以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、後述する外枠11と内枠12とに対して、前扉としての前面枠セット14及び下皿ユニット13を開放した状態を示す斜視図である。但し、図2では便宜上、後述する遊技盤42及びガラスユニット150を省略して示している。
図1,2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を構成する外枠11を備えており、この外枠11の左側部に内枠12が開閉可能に支持されている。
ここで、外枠11について図3を参照しつつ説明する。図3は外枠11の全体を示す斜視図である。本実施形態における外枠11は、上辺枠構成部11a及び下辺枠構成部11bが木製の板材により構成され、左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dがアルミニウム合金製の押出成形材により構成され、これら各枠構成部11a〜11dがネジ等の離脱可能な締結具により全体として矩形枠状に組み付けられている。
左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dは、原料となるアルミニウム合金を高温・高圧下のもと所定断面形状で押出形成し、この押出成形材を所定寸法に切断し、切削加工等によりネジ止め用のネジ孔など細かい箇所を加工して得られる。
左辺枠構成部11cの上下端部には、それぞれ上ヒンジ金具15及び下ヒンジ金具16が取着されている。これに対し、図19,20に示すように、内枠12の左側(図19,20では右側)の上下端部には、支持金具65,66が取付けられている。そして、左辺枠構成部11cのヒンジ金具15,16に対して内枠12の支持金具65,66を組み付けることで、外枠11に対して内枠12が開閉可能に装着されることとなる。より詳しく説明すると、上ヒンジ金具15には挿込孔15aが形成され、下ヒンジ金具16には上方へ突出した突起部16aが形成されている。一方、これに対する支持金具65,66には、図示は省略するが、それぞれ挿込孔15aに挿し込まれる突起部や、突起部16aが挿し込まれる挿込孔が形成されている。これらをそれぞれ組み付けることにより、内枠12の上下部が回動可能に支持されて、内枠12が開閉可能となる。つまり、内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に開放できるようになっている。そして、外枠11の内側に形成される空間部に、内枠12や裏パックユニット203など遊技機の本体部が収容される。
また、図3に示すように、ヒンジ金具15,16は、左辺枠構成部11cにネジ止めされているため、ヒンジ金具15,16及び左辺枠構成部11cは電気的に導通した状態となっている。ヒンジ金具15,16が外枠側枢支部材に相当し、これに組付けられる支持金具65,66が内枠側枢支部材に相当する。
一方、右辺枠構成部11dの内側には、後述する施錠装置G1の鉤部材192,193(図13等参照)に対応して、上下一対の爪馬17,18が取付けられている。そして、内枠12の閉時においては、各爪馬17,18に対して鉤部材192,193が係合されることにより、内枠12の開放が規制される。
本実施形態における爪馬17,18は、その先端部が略直角に折り曲げられることにより所謂折り返し部17a,18aを備えている。当該折り返し部17a,18aの存在により、内枠12が閉鎖状態とされる場合において、爪馬17,18自身の長さをさほど長くせずとも、鉤部材192,193の係合状態の安定化、ひいては爪馬17,18と鉤部材192,193との電気的導通状態の安定化をより確実に図ることができる。
なお、本実施形態におけるヒンジ金具15,16、支持金具65,66、爪馬17,18は、アルミニウム合金製の外枠11本体(左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11d)よりも剛性の高い冷間圧延鋼板(SPCC等)、電気亜鉛めっき鋼板(SECC等)などにより形成されている。
また、図3に示すように、爪馬17,18は、その基部が直接、右辺枠構成部11dの内側面にネジ止めされているため、爪馬17,18及び右辺枠構成部11dは電気的に導通した状態となっている。
外枠11の下辺枠構成部11bには、樹脂製の幕板飾り19が取着されている。なお、幕板飾り19上面には、金属製の滑り部材21,22が設けられ、これにより内枠12開閉時における摺動の円滑性が担保されている。また、幕板飾り19の上面奥部には、上方に突出するリブ23が一体形成されている。これにより内枠12との間に隙間が形成されにくくなっており、この意味において不正防止が図られている。
図1,2の説明に戻り、内枠12、下皿ユニット13及び前面枠セット14の本体部は絶縁性を有する合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂により構成されている。これら各部材の本体部の成形に合成樹脂を用いることにより、金属製素材を用いた場合と比較してより複雑な形状に対応できるとともに、生産コストの増大を抑制することもできる。また、ABSを用いる利点としては、ポリカーボネイト等の樹脂素材と比較して、生産コストが低い、粘性が強く衝撃に強い等が挙げられる。加えて、例えば前面枠セット14の前面側等の意匠面にメッキ等のコーティング処理を施す場合において、その処理を比較的容易に行いやすく、外観品質のより高いものが製造できるというメリットがある。
前面枠セット14及び下皿ユニット13は、内枠12に対し開閉可能に取付けられている。下皿ユニット13及び前面枠セット14ともに、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。
図4は、パチンコ機10より前面枠セット14を取り外した状態を示す正面図である(但し、図4では便宜上、遊技盤42面上の遊技領域内の構成を空白で示している)。なお、内枠12の前面側には、その周囲(前面枠セット14に対応する部分)においてリブR1が突設されている。そして、前面枠セット14の閉時には、前面枠セット14がリブR1の内側に嵌まり込んだ状態となる。この構成により、前面枠セット14と内枠12との間の隙間から針金等を進入させることが困難となり、不正防止の役割を果たす。
図2に示すように、内枠12下部の下皿ユニット13に対応する位置に設けられた収容凹部24には、後記する遊技球発射ユニット70の一部、中継基板DK等が収容されている。そして、後述するハンドル35内のタッチセンサや操作量検出手段等から延びる電気配線などが、中継基板DKを介して、収容凹部24の左側部に設けられた透孔(図示略)から後方へと導出され、各種制御用の基板等に電気的に接続されている。
また、下皿ユニット13の裏面には、下皿ユニット13の強度、剛性を担保するべく、補強部材としての補強用板金28がそのほぼ全面に取付けられている。補強用板金28など後述する各種補強用板金は、比較的剛性の高い冷間圧延鋼板(SPCC等)、電気亜鉛めっき鋼板(SECC等)などにより形成されている。
下皿ユニット13には、パチンコ機10の前面に張り出すように設けられた張出部32(図5参照)に囲まれるようにして、そのほぼ中央部に下皿31が設けられている。下皿31には、排出口30を介して後述する払出機構部352(第2払出通路247)から排出された遊技球が貯留される。上述のとおり、下皿ユニット13は、張出部32を含むその大部分がABS樹脂にて成形されているが、その中でも特に下皿(皿本体部)31は、後述するように導電性を有するABS樹脂にて成形されている。そして、下皿31は補強用板金28と接触するように組付けられており、下皿31と補強用板金28との電気的導通が図られている。詳しくは後述するが、このような構成の下、下皿ユニット13を内枠12に対し施錠状態とした場合には、下皿31がパチンコ機10外部とアース接続されることとなる。
なお、符号33はスピーカSP(図2参照)からの音出力口であり、符号34は下皿31内から遊技球を下方へと排出するための球抜きレバーである。
下皿31よりも右方には、手前側に突出して遊技球発射ハンドル(以下単に「ハンドル」という)35が配設されている。つまり、ハンドル35は、下皿ユニット13の開閉軸線とは反対側にあたるパチンコ機10の正面からみて右側に位置している。ハンドル35には、タッチセンサや、ハンドル35の操作部の操作量を検出するための操作量検出手段などが設けられている。また、下皿31の左方には、灰皿36が設けられている。
一方、図1に示すように、下皿31の上方には、上皿37が設けられている。上皿37は、前面枠セット14下部にて、パチンコ機10の前面に張り出すように設けられた張出部38(図5参照)に囲まれるようにして配置されている。上皿37は、後述する払出機構部352から払出される遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射ユニット70の方へ誘導する機能を有する球受皿である。
より詳しくは、図5,6に示すように、上皿37は、左右方向に長く上方に開口した略箱状に形成されており、その内部に遊技球を貯留可能となっている。
上皿37の奥壁部37aの左端には排出口37bが形成されており、この排出口37bを介して払出機構部352(第1払出通路246)から払出される遊技球が上皿37へ排出される。
上皿37の底部37cはパチンコ機10正面から見て左側から右側に向けて下方へ傾斜している。
上皿37の左右方向略中央部より左側部分すなわち上流側部分は、前後幅が比較的広く、より多くの遊技球を貯留できるスペースが確保されている。
一方、上皿37の右側部分すなわち下流側部分には、前面枠セット14裏側に設けられた後述する球出口141へ通じる前後幅の比較的狭い整流部37dが設けられている。この整流部37dは、球出口141ひいては遊技球発射ユニット70に向けて遊技球を1列に整列しつつ誘導する機能を有する。
また、上皿(皿本体部)37も、下皿31と同様、後述するように導電性を有するABS樹脂にて成形されている。そして、上皿37は、後述する補強用板金134と接触するように組付けられており、上皿37と補強用板金134との電気的導通が図られている。より詳しくは、遊技球1つ分の幅を有する整流部37dの始点(球受皿の特定位置)H1よりも下流側(図6の右側)の特定部位と補強用板金134とが接触している。詳しくは後述するが、このような構成の下、前面枠セット14を内枠12に対し施錠状態とした場合には、上皿37がパチンコ機10外部とアース接続されることとなる。
また、図4において、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース40を主体に構成されており、樹脂ベース40の中央部には略円形状の窓孔41が形成されている。樹脂ベース40の後側には遊技盤42が着脱可能に装着されている。遊技盤42は四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース40(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤42の前面部の略中央部分が樹脂ベース40の窓孔41を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。なお、樹脂ベース40には、前面枠セット14の開放を検知する図示しない開放検知センサが設けられている。また、図示しないが内枠12の開放を検知する開放検知センサも設けられている。
次に、遊技盤42の構成を、図7を用いて説明する。遊技盤42には、入球手段として、一般入賞口43、可変入賞装置44、第1契機対応口(始動口)45、第2契機対応口(スルーゲート)46などが配設されるとともに、可変表示装置ユニット47が配設されている。これらは、ルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤42前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般入賞口43、可変入賞装置44、第1契機対応口45に遊技球が入球し、後述する検出スイッチの出力により、上皿37(または下皿31)へ所定数の賞球が払出される。その他に、遊技盤42にはアウト口48が設けられており、各種入賞部(入賞装置、入賞口、第1契機対応口45等)に入球しなかった遊技球はこのアウト口48を通って球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤42には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車49等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示装置ユニット47には、第2契機対応口46の通過を契機として第2図柄を変動表示する第2図柄表示装置51と、第1契機対応口45への入賞を契機として第1図柄(特別図柄)を変動表示する第1図柄表示装置52(特別図柄表示装置)とが設けられている。第2図柄表示装置51(普通図柄表示装置)は、第2図柄(普通図柄)用の表示部53と保留ランプ54とを有し、遊技球が第2契機対応口46を通過する毎に例えば表示部53による表示図柄(第2図柄)が変動し、その変動表示が所定図柄で停止した場合に第1契機対応口45が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
第2図柄表示装置51の表示部53における第2図柄の変動表示中に、新たに遊技球が第2契機対応口46を通過した場合には、その分の第2図柄の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。しかし、かかる最大保留回数は、これに限定されるものではない。例えば、8回分の第2図柄の変動表示を待機させるべく、最大保留回数を8回に設定することとしてもよい。なお、表示部53は、複数のランプの点灯を切り換えることにより変動表示される構成の他、第1図柄表示装置52(液晶表示装置)の一部で変動表示される構成等であっても良い。保留ランプ54も同様に、第1図柄表示装置52の一部で変動表示される構成等であっても良い。
第1図柄表示装置52は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置55により表示内容が制御される。なお、本実施形態では、第1図柄表示装置52(液晶表示装置)は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備える。可変表示装置ユニット47には、第1図柄表示装置52を囲むようにしてセンターフレーム57が配設されている。
なお、第1図柄表示装置52には、図示は省略するが、左・中・右の3つの図柄列が設定されており、図柄列毎に図柄(第1図柄)が変動表示される。本実施形態では、例えば第1図柄は、「0」〜「9」の数字を各々付すよう構成されており、数字の昇順又は降順に第1図柄が表示されて一連の図柄列が構成されている。そして、周期性をもって第1図柄が上から下へと変動表示されるようになっている。
この場合において、左図柄列においては、第1図柄が降順(付された数字が減る順)に表示され、中図柄列及び右図柄列においては、同じく第1図柄が昇順(付された数字が増える順)に表示される。そして、左図柄列→右図柄列→中図柄列の順に変動表示が停止し、その停止時に第1図柄表示装置52上で第1図柄が大当たり図柄の組合せ(本実施形態では、同一の第1図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして特別遊技動画が表示されるようになっている(大当たり状態が開始される)。
可変入賞装置44は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっている。上述したように第1契機対応口45に対し遊技球が入賞し、第1図柄表示装置52で図柄が変動表示され、その停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組合せとなったことを必要条件に特別遊技状態が発生すると、可変入賞装置44の大入賞口が所定の開放状態となり、遊技球が入賞しやすい状態(大当たり状態)になるよう構成されている。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置44の大入賞口が所定回数繰り返し開放される。
第1図柄表示装置52の図柄変動表示中に新たに遊技球が第1契機対応口45に入賞した場合には、その分の図柄変動表示は、その時点で行われている図柄変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、図柄変動表示が待機(保留、記憶)されることとなる(記憶手段)。この保留される図柄変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ56にて点灯表示されるようになっている。しかし、最大保留回数は、これに限定されるものではない。例えば、8回分の図柄変動表示を待機させるべく、最大保留回数を8回に設定することとしてもよい。なお、保留ランプ56は、第1図柄表示装置52の一部で変動表示される構成等であっても良い。
また、遊技盤42には、遊技球発射ユニット70から発射された遊技球を遊技盤42上部へ案内するための誘導レールが取り付けられており、ハンドル35の回動操作に伴い発射された遊技球は誘導レールを通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。本実施形態では、レールは、所定間隔を隔てて内外二重に配設された内レール58と外レール59とを有する。両レール58,59は、ステンレス製の金属帯によって構成されている。内レール58は上方及び右側方の約1/2ほどを除いて略円環状に形成されている。また、一部(主に左側部)が内レール58に向かい合うようにして外レール59が設けられている。この場合において、内レール58と外レール59とにより主として誘導レールが構成され、これら各レール58,59が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。
内レール58の先端部分(図7の左上部)には戻り球防止部材61が取着されている。これにより、一旦、内レール58及び外レール59間の球案内通路から遊技盤42の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、内レール58の戻り球防止部材61とは反対側の端部と、外レール59の先端部との間(向かって右側の部分)には、両者を繋ぐようにして樹脂製の円弧部材62が取着されている。該円弧部材62の上端部(外レール59側の部分)、すなわち、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図7の右上部)には、返しゴム63が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム63に当たって例えば遊技盤42の略中央部側へ戻される。なお、遊技盤42の右下隅部及び左下隅部は、証紙等のシールやプレート(例えば図7の右下隅部のS1)を貼着するためのスペースとなっている。
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールの内周部(内外レール58,59)により略円形状に区画形成されており、特に本実施形態では、遊技盤42の盤面上に区画される遊技領域が従来よりもはるかに大きく構成されている。
本実施形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール58、外レール59及び円弧部材62によって囲まれる領域のうち、内外レール58,59の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。従って、遊技領域と言った場合には誘導レール部分は含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール59によってではなく内レール58によって特定される。同様に、遊技領域の向かって右側限界位置は円弧部材62によって特定される。また、遊技領域の下側限界位置は遊技盤42の下端位置によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール59によって特定される。
図4の説明に戻り、前記樹脂ベース40において、窓孔41(遊技盤42)の下方には、遊技球発射ユニット70が取付けられている。図8は遊技球発射ユニット70の正面図である。この図に基づいてより詳しく説明すると、遊技球発射ユニット70は、樹脂ベース40に固定された金属製のベース板71と、ベース板71に取付けられた発射装置72と、発射装置72の先端側において、発射装置72の長手方向に平行に延びるようにしてベース板71に取付けられた断面略M字状をなす発射レール73と、発射レール73の基端部に1球ずつ遊技球を誘導案内するべくベース板71に取付けられた球送りユニット74と、発射レール73の基端部上に載置される遊技球を支持して位置決めするべくベース板71に取付けられた位置決め部材(図示略)とを備えている。
前記発射レール73は、発射装置72より発射された直後に遊技球を案内するためのものであって、所定の発射角度(打ち出し角度)となるよう直線的に延びている。そして、ハンドル35の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール73に沿って斜め上方に打ち出され、その後前述した通りレール58,59の球案内通路を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。
本実施形態では、発射装置72として、従来一般的に採用されていたモータ及び発射槌の組み合わせではなく、リニアソレノイドを採用している。すなわち、発射装置72は、発射レール73と平行に延びるプランジャ76を具備しており、該プランジャ76の先端には、遊技球を打撃する打部77が装着されている。かかる構成下、発射装置72が所定時間毎に励磁・非励磁が繰り返し行われ、これにより、プランジャ76の出没が繰り返される。そして、プランジャ76の突出の度に、所定位置に位置決めされた遊技球が発射レール73から発射されるのである。なお、前記ハンドル35の操作量に基づき、プランジャ76の突出速度が適宜調整され(ストローク量はほぼ一定)、これにより、遊技球の発射速度ひいては飛翔量が調整されるようになっている。発射装置72は、ベース板71に立設された4箇所のボスに対してねじで固定されているのであるが、本実施形態では、下側の2つのボスはベース板71に固着されているのに対し、上側の2つのボスは、高さ(突出量)調整可能となっている。従って、該ボスの突出量を適宜調整することで、発射装置72の取付けられる高さ(突出量)、ひいては、プランジャ76の先端位置、つまり遊技球の打点を調整することができるようになっている。
前記球送りユニット74は、上皿37側から案内されてくる遊技球を1球ずつ、前記発射レール73の基端部(発射位置)に案内するためのものであり、前記発射装置72の上部を被覆するようにして前記ベース板71に固定された樹脂製の台座部81を介してベース板71に取り付けられる。
球送りユニット74は、台座部81の前面側に着脱可能に取付けられる樹脂製の開閉部82を備え、当該開閉部82に所定の球送り機構が収容され一組化された構成となっている。なお、本実施の形態では、台座部81及び開閉部82は、透明又は半透明部材であって、透明又は半透明の合成樹脂により形成されている。このため、開閉部82の外部から、内部に収容された球送り機構を視認できる。このため、球送り機構に何らかの不具合が発生した場合などにおいても、後述するように開閉部82を取外す前にその状態を認識できる。
より詳しくは、開閉部82には、その一側(図の右側)に上下一対の軸凸部82bが設けられ、前記台座部81には、軸凸部82bが差し込まれる上下一対の軸受部81bが設けられている。これにより、開閉部82が台座部81の一側(図の右側)にて回動可能に軸支されている。すなわち開閉部82が台座部81において開閉可能となっている。また、上の軸凸部82bには、当該軸凸部82b本体部より開閉部82の左右方向(回動軸の直交方向)に沿って外方向へ向けて突出した係止凸部82cが形成され、台座部81には、上の軸受部81bの略上方位置において、係止凸部82c(軸凸部82b)をその軸線方向に係止可能な軸係止部材81cが前方に向けて突設されている。軸係止部材81cは、台座部81の左右方向における内側(図では左側)の一部がテーパ状に切りかかれている。本実施の形態におけるそのテーパ形状(テーパ角)は、前記台座部81に対する垂線方向(パチンコ機10の前後方向)より右に斜め約45度傾いた構成となっている。これにより、開閉部82を台座部81に対して完全に取着した状態すなわち閉状態(図8に示した状態)から、前記台座部81の垂線方向に対して右に斜め約45度以上傾いた状態まで回動させ、ほぼ全開状態としなければ、前記軸凸部82bを軸受部81bから抜き出せない構成となっている。つまり、開閉部82が、上述したような前記閉状態から前記全開状態に至る特定の回動区間に位置する場合には、軸凸部82bが軸受部81bより取外し不能となり、開閉部82を台座部81から取外せない構成となっている。もちろん、開閉部82が、台座部81の垂線方向に対して右に斜め約45度以上傾いた状態でなければ、軸凸部82bを軸受部81bに差し込むこともできないようになっている。
また、前記台座部81には、前方へ突出する係止爪83が一体形成されているとともに、開閉部82の支持軸とは反対側には爪受部としての係止孔84が形成されている。常には、前記開閉部82は閉状態となっているとともに、この閉状態で係止爪83は操作可能となっている。つまり、開閉部82が閉鎖されると、係止孔84に係止爪83が必然的に係止されることとなり、これにより、該閉状態が維持されるようになっている。
また、開閉部82の前部には、上皿37から案内されてくる遊技球を導入する導入口85が設けられており、該導入口85から遊技球が下方へと導入される。なお、ケース本体部を構成する開閉部82には、その後部(取付部に相対する側)においてケース蓋部としての蓋体(図示略)が着脱可能に取付けられており、開閉部82の内部空間内には、球送り機構が配設されている。
なお、図示は省略するが、前記球送り機構には、前記導入口85から導入された遊技球を整列させつつ停留させる球誘導路、遊技球を1球ずつ送り出すための駆動手段としての電磁石及び球送り部材としての送出片が設けられている。送出片は、その一端のコーナー部分が、開閉部82に対し回動可能に軸支されるとともに、その反対側において、遊技球を1個だけ収容可能に凹設されたホルダ部を具備している。また、ホルダ部と回動軸とを結ぶ上辺部分には、前記電磁石に対向するようにして磁性金属よりなる金属片が取着されている。かかる構成により、電磁石がオン状態とされた場合には、金属片が電磁石にくっつくよう引っ張られ、送出片が上方へ回動する。これにより、導入口85から導入された遊技球(球誘導路に停留される遊技球)がホルダ部に収容され、かつ、該遊技球の下方への流動が規制される。一方、電磁石がオフ状態とされた場合には、送出片が重力によって下方へ回動し、前記ホルダ部に収容されていた遊技球が下方へと流下し、前記発射レール73の基端部へと案内される。なお、電磁石がオフ状態とされた場合には、送出片の上部によって次の遊技球のホルダ部への流下が規制されている。従って、電磁石のオン・オフ動作が繰り返し実行されることで、遊技球が1球ずつ発射起点位置へと案内されることとなる。なお、電磁石のオン・オフと、発射装置72(ソレノイド)の励磁・非励磁とが同期させられるよう構成されている。
図4の説明に戻り、発射レール73と前記レール58,59(誘導レール)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路91が形成されている。従って、仮に、発射装置72から発射された遊技球が戻り球防止部材61まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路91を介して下皿31に排出される。
なお、図4中の符号246は上皿37に通ずる払出通路(第1払出通路)であり、この第1払出通路246を介して遊技球が上皿37に排出される。第1払出通路246には開閉式のシャッタ93が取り付けられている。詳しい図面の開示は省略するが、シャッタ93は、その下辺部に沿って設けられた軸部を軸心として回動可能となるとともに、前面枠セット14を開放した状態(図4の状態)ではバネ等の付勢力によりシャッタ93が第1払出通路246をほぼ閉鎖するようになっている。また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋94(図2参照)によりシャッタ93が押し開けられるようになっている。なお、前面枠セット14の開放状態においては、遊技球は下皿31へ排出されるようになっている。従って、上述したように、前面枠セット14に対して上皿37が直接設けられる構成とした本パチンコ機10において、前面枠セット14の開放に際し払出通路内等の遊技球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
樹脂ベース40には、窓孔41の左右下部に略四角形状の小窓95,96が設けられている。従って、遊技盤42の左右下隅部に張られたシール等(例えば図7のS1等)は、当該小窓95,96を通じて視認できるようになっている。また、小窓95,96から上記シール等を貼り付けることも可能である。
また、樹脂ベース40には窓孔41の左上方において略小判形状の小窓97が設けられ、小窓97に対応して遊技盤42の左上部にも略小判形状の孔部98が設けられている。そして、後述する前面枠セット14の円弧状電飾部112等と接続される各種電気配線(図示略)が小窓97及び孔部98を通して本パチンコ機10の背面側から導かれている。
また、内枠12の左端部には、前面枠セット14及び下皿ユニット13の支持部材として、支持金具101,102,103が取り付けられている。上段の支持金具101には手前側に切欠を有する支持孔104が設けられ、中段の支持金具102にはそれぞれ上下方向に突出した突起軸105,106が設けられている。また、下段の支持金具103には図示しない支持孔が設けられている。
次に、前面枠セット14について図1,図9を参照しつつ説明する。図9は、前面枠セット14の背面図である。前面枠セット14には前記遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部111が形成されている。
また、パチンコ機10の正面から見て窓部111の左端と前面枠セット14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:図9では右側に示されている)、すなわち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠セット14自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。この場合、図1及び図4を相互に比較すると明らかなように、前面枠セット14が閉じられた状態において、外レール59の左端部の一部が前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。このように遊技球が一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球が遊技領域に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域において遊技球が視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、前面枠セット14の十分な強度及び支持強度が確保可能となっている。
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部111の周縁には、多数のLED等の発光手段を内蔵した円弧状電飾部112が設けられている。本パチンコ機10では、円弧状電飾部112が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中である旨、或いはリーチ中である旨を報知する。その他、円弧状電飾部112の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ113と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ114とが設けられている。また、円弧状電飾部112の下端部に近接するようにして、内部を視認できるよう透明樹脂が取り付けられた小窓115が設けられている。なお、本実施形態では、より煌びやかさを醸し出すべく、円弧状電飾部112の表面側の多くの領域において、クロムメッキが施されている。
また、窓部111の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されたカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿37に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図られる。
図9に示すように、前面枠セット14の裏側の上部コーナー部には、前記発光手段用の発光基板124が取付けられている。また、前面枠セット14の裏側には、窓部111を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、前面枠セット14の裏側にあって窓部111の上下左右の外側にはそれぞれ補強用板金131,132,133,134が取り付けられている。これら補強用板金131〜134は相互に接触して連結されているが、前記発光基板124を覆うようにして、発光基板124と補強用板金131との間には、両者の直接の接触を避けるべく、あるいは、発光基板124への通電を防止するための樹脂パーツ135が設けられている。これにより、発光基板124におけるノイズや磁界の発生等の抑制が図られている。
図9の右側の補強用板金131にはその中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前面枠セット14を閉じた状態で内枠12の孔部12a(図4等参照)に係合されるように構成されている。この構成により、上皿37を含む形態で前面枠セット14が構成され、その上下の軸支位置が延長されたとしても、中間位置における前面枠セット14の浮き上がりが防止できる。それ故、前面枠セット14を浮かしての不正行為等が抑制されるようになっている。
また、図9の左側の補強用板金132には、前面枠セット14の背面側に延びる上下一対の前面枠セット鉤部14a,14bが一体形成されている。
さらに、上記円弧状電飾部112の表面側の多くの領域において、クロムメッキが施されていることについては上述したが、メッキ部分の面積が大きいと、その分帯電されやすい傾向にある。この点、本実施形態では、円弧状電飾部112のうち、クロムメッキが施された部分と、その裏側に位置する図9の上側の補強用板金133とが、金属製のねじ133aで共締めされている。これにより、メッキが多用されることによる帯電及びこれに起因するノイズ等の不具合の抑制が図られている。
併せて、下側の補強用板金134には、前記発射レール73(図4参照)に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材136が設けられている。このレール側壁部材136は、前面枠セット14を閉じた際に発射レール73の側壁となる。故に、発射レール73から遊技球がこぼれ落ちないようになっている。
加えて、レール側壁部材136の近隣には、前面枠セット14閉時において、上皿37の最下流部と遊技球発射ユニット70の前記導入口85とを連通するべく、球出口141が設けられている。下側の補強用板金134には、該球出口141を開閉可能とするための開閉部材142が取付けられている。この開閉部材142は、前記球出口141よりも上方において前記下側の補強用板金134に取付けられたハウジング143と、上端が前記ハウジング143内に収容され、それ以外の部分が前記下側の補強用板金134にほぼ沿うようにして下方に延び、可撓性及びバネ弾性を有する舌片部144と、前記ハウジング143内において前記舌片部144に連結され、ハウジング143の内枠12側(前面枠セット14閉時における奥側)において上端が回動可能に軸支され、後部が下方に向かって延びる硬質樹脂製の被押圧部145とを備えている。前面枠セット14の開状態にあっては、前記被押圧部145は、その先端側(下端側)が奥に向かって幾分突出しており、かつ、前記舌片部144の下端は、前記球出口141の上部を塞ぐ位置にまで垂下している。つまり、この場合においては上皿37上の遊技球は舌片部144によって流れが規制され、球出口141から導入口85側へと案内されないようになっている。これに対し、前面枠セット14が閉状態とされると、前記被押圧部145が前記内枠12から前方へ延びる突起(図示略)の先端に当たり、押圧される。すると、これに連結されている舌片部144が上方へ引っ張られることとなりスライドさせられる。このスライドにより、球出口141が開放され、上皿37上の遊技球は球出口141から導入口85へ順次と案内されることとなる。
さらに、本実施形態では、前後一対のガラス板を含むガラスユニット150(図1参照)が、上記前面枠セット14の裏面側において取付けられている。本実施形態におけるガラスユニット150は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対を為して別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
前記前面枠セット14の裏側には、複数箇所において被取付部180が設けられ、ガラスユニット150の取付部(図示略)が、ネジ等により、被取付部180に取着されることで、ガラスユニット150が取付固定されている。
このような構成下、本実施の形態では、被取付部180に対し、ガラスユニット150の取付部に具備された螺着手段を螺合させることで、両者が締結される。かかる締結により、ガラスユニット150は前面枠セット14に対し強固に取付けられている。
図9の説明に戻り、前面枠セット14の図9の右端部(パチンコ機10正面から見ると左端部)には、支持金具181,182が取り付けられている。従って、内枠12側の支持金具101,102(図4参照)に対して前面枠セット14側の支持金具181,182を組み付けることで、内枠12に対して前面枠セット14が開閉可能に装着されるようになる。ここで、支持金具101,102及び支持金具181,182の関連性をふまえてより詳しく説明する。支持金具181は略棒状をなし、その上部の径が下部の径より太くなっている。上記支持孔104の切欠の幅は、前記支持金具181の上部の太さより狭く、下部の太さより広くなっている。前面枠セット14の装着手順としては、まず前記支持金具181の下部を前記切欠を介して支持孔104に挿入し、次に支持金具102の突起軸105に支持金具182を差込む。そして、前記切欠位置に対応して前記支持金具181の上部を位置させることで、支持金具181が支持孔104から外れなくなり、前面枠セット14の装着が完了する。
一方、下皿ユニット13の装着についても説明すると、図10,11に示すように、下皿ユニット13には、上下一対の支持部183,184が設けられている。従って、内枠12側の支持金具102,103(図4参照)に対して下皿ユニット13側の支持部183,184を組み付けることで、内枠12に対して下皿ユニット13が開閉可能に装着されるようになる。ここで、支持金具102,103及び支持部183,184の関連性をふまえてより詳しく説明すると、支持部183は板金に形成された孔によって構成され、前記支持金具102の下方へ延びる突起軸106を挿通可能となっている。また、支持部184は、上下方向に出没可能な略逆L字状をなす突起よりなる。支持部184は、内部に設置された図示しないバネによって常には下方へ突出した状態に維持されている。下皿ユニット13の装着手順としては、まず、前記支持部183たる孔に、前記支持金具102の突起軸106を差し込む。そして、前記支持部184をバネの付勢力に抗して没入状態としておいて、支持部184の先端と支持金具103の図示しない支持孔とを位置合わせし、その後支持部184を突出状態として支持孔にこれを嵌め込むことで、下皿ユニット13の装着が完了する。
次に、内枠12の施錠機構、並びに、前面枠セット14及び下皿ユニット13の施錠機構について説明する。本実施形態では、前面枠セット14の施錠機構(前扉施錠機構)及び下皿ユニット13の施錠機構は、内枠12の施錠機構(内枠施錠機構)と一体的となっている。つまり、本実施形態における各施錠機構は、単一の施錠装置G1によって具現化されている。なお、内枠12の施錠状態及び前面枠セット14の施錠状態は、内枠12の右側部に設けられたシリンダ錠196への所定のキー操作によってそれぞれ解除されるようになっている。
ここで、本実施形態の施錠装置G1の構成について図12乃至図16を参照して説明する。図12は施錠装置G1の正面図を、図13はその右側面図を、図14はその左側面図を各々示している。さらに、図15は施錠装置G1の正面側の斜視図を、図16は施錠装置G1の背面側の斜視図をそれぞれ示している。施錠装置G1を構成する縦長の基枠186は、取付板187と支持板188とを備えており、これらが一体となって断面略L字状をなしている。本実施の形態の施錠装置G1は、その取付板187が内枠12の内側に縦方向に取付けられている。
なお、基枠18をはじめとして、摺動杆191など施錠装置G1を構成する各種構成部材は、剛性の高い冷間圧延鋼板(SPCC等)、電気亜鉛めっき鋼板(SECC等)などにより形成されている。
前記取付板187には複数の取付孔が穿設され、さらにその上部と下部に、矩形状の挿入孔189,190が形成されている。該挿入孔189,190には、前面枠セット14の閉時において前面枠セット14の背面側に延びる前面枠セット鉤部14a,14b(図2参照)が進入するようになっている。
支持板188の内側には、摺動杆191が上下に摺動可能に配設されている。摺動杆191、並びに、基枠186の上部及び下部に設けられた鉤部材192,193は、図示しない上下一対のコイルバネにより、常には下方位置に位置するよう引っ張られている。そして、鉤部材192,193は、前記摺動杆191が上方へ移動したときのみ連動して摺動させられるようになっている。つまり、各々の鉤部材192,193は、独立して上方に移動可能となっており、針金などで上下の鉤部材192,193を上方に移動させようとする場合(不正行為が行われる場合)は、両方の鉤部材192,193に針金を引っ掛けて上に引かなければならない。つまり、一方のみの鉤部材192または193を引っ掛けて上に引いただけでは、不正解錠をすることができないように構成されている。
なお、内枠12の施錠状態(内枠施錠状態)にあっては、外枠11の爪馬17,18に対し鉤部材192,193が係合状態となるのであるが、両鉤部材192,193が一体に動く構成では、製造誤差や組付け誤差等により、鉤部材192,193のうち一方が爪馬17,18に当接した状態となった際に、他方が当接せず、浮き上がった状態となるおそれがある。これに対し、鉤部材192,193が独立して動くことにより、このような不具合を解消することができる。ひいては、後述するアース経路がより確実に形成されることとなる。
鉤部材192,193が内枠用係合部に相当し、爪馬17,18が内枠用被係合部に相当する。
また、前面枠セット施錠機構を構成する前面枠セット施錠部材194,195は、金属板を断面コ字状に折曲げることにより形成されており、そのうち取付板187側の面には矩形状の係合孔194a,195aが形成され、当該係合孔194a,195aが取付板187に形成された前記挿入孔189,190に相対するよう配置されている。また、前面枠セット施錠部材194,195及び取付板187間には図示しない上下一対のコイルばねが設けられており、前面枠セット施錠部材194,195が、常には上方位置に位置するよう引っ張られている。
そして、前面枠セット14が閉じられるときには、前記前面枠セット鉤部14a,14bがその194a,195aに進入する。このとき、前面枠セット施錠部材194,195は、前記鉤部14a,14bによって押され、前記コイルばねの引張力に抗して一旦下方に摺動し、その後、コイルばねの引張力で元の位置に戻り、前面枠セット鉤部14a,14bと係合する(前扉施錠状態)。また、前面枠セット施錠部材194,195は、解錠時には、摺動杆191の下方への摺動に伴って下方に摺動する。これにより、前面枠セット鉤部14a,14bと前面枠セット施錠部材194,195との係合が解除されるようになっている。
前面枠セット施錠部材194,195が前扉用係合部に相当し、前面枠セット鉤部14a,14bが前扉用被係合部に相当する。
シリンダ錠196の錠軸には、摺動杆191に係合されるカム板196aが取付けられている。そして、キー操作によってキーが図12の時計方向に回動された場合、摺動杆191が上方に摺動させられる。これにより、鉤部材192,193が上方に摺動させられる。このとき、鉤部材192,193と外枠11側の爪馬17,18との係合が解除され、内枠12が解錠される(内枠解錠状態)。
一方、キー操作によってキーが図12の反時計方向に回動させられた場合、摺動杆191が下方に摺動させられ、前面枠セット施錠部材194,195が下方に摺動させられる。このとき、前面枠セット施錠部材194,195と前面枠セット14側の前面枠セット鉤部14a,14bとの係合が解除され、前面枠セット14が解錠されることとなる(前扉解錠状態)。
さらに、本実施形態では、下皿ユニット施錠機構を構成する下皿ユニット施錠部材197が前記支持板188に沿って摺動可能に取付けられている。下皿ユニット施錠部材197は、上下一対の下皿ユニット鉤部197a,197bと、最上部に位置する操作部198とを備えている。下皿ユニット施錠部材197は、図示しないコイルばねにより、常には上方位置に位置するよう引張られている。これにより、下皿ユニット13の閉状態にあっては、下皿ユニット13の背面側に設けられた係合部13a,13b(図2等参照)に下皿ユニット鉤部197a,197bが係合し、その係合状態が維持される。下皿ユニット施錠部材197の操作部198は、前記前面枠セット14を開状態とした場合にのみ露出し、当該場合に限り操作可能となっている。そして、該操作部198を前記コイルばねの引張力に抗して押下げることにより、前記係合状態が解除され、下皿ユニット13が解錠されることとなる。換言すれば、それまで閉状態にある下皿ユニット13は、前面枠セット14が開かれた場合に限り、その解錠が許容されるようになっている。
なお、基枠186、摺動杆191、鉤部材192,193、前面枠セット施錠部材194,195、下皿ユニット施錠部材197などの各構成部材は、相互に接触しており、施錠装置G1全体は常に電気的に導通した状態となっている。
次に、パチンコ機10の背面の構成を詳しく説明する。図17はパチンコ機10の背面図である。
先ずはじめに、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤42の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を払出す払出機構や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤42の裏面に装着するようにしている。この場合、主基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、さらにこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤42の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
実際には、図18の概略図に示すように各ユニット201〜203が配置され、取り付けられている。なお図18において、略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重なる領域に、裏パックユニット203が配置されている。
詳しくは、第1制御基板ユニット201には、パチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1による軸線Aを中心に当該第1制御基板ユニット201が開閉可能となっている。また、第1制御基板ユニット201には、その右端部(すなわち支軸部と反対側、さらに言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット201が機体に対して固定保持されるようになっている。
また、第2制御基板ユニット202には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4による軸線Bを中心に当該第2制御基板ユニット202が開閉可能となっている。また、第2制御基板ユニット202には、その左端部(すなわち支軸部と反対側、さらに言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この締結部M5によって第2制御基板ユニット202が機体に対して固定保持されるようになっている。
さらに、裏パックユニット203には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に当該裏パックユニット203が開閉可能となっている。また、裏パックユニット203には、その左端部(すなわち支軸部と反対側、さらに言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられると共に上端部及び下端部に対応してそれぞれ回動式の係止部M8,M9が(機体側に)設けられており、これら締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット203が機体に対して固定保持されるようになっている。
この場合、各ユニット201〜203の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット201は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、同右開きになるよう構成されている。
一方、図19は、内枠12に遊技盤42を組み付けた状態でその構成を示す背面図である。また、図20は内枠12を後方より見た斜視図である。ここでは図19及び図20を用いて内枠12及び遊技盤42の裏面構成を説明する。
遊技盤42は、樹脂ベース40に囲まれた四角枠状の設置領域に設置され、内枠12に設けられた複数(本実施形態では4カ所)の係止固定具211,212によって脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動でき、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とを切り替えることができるよう構成されており、図19にはロック状態を示す。遊技盤42の左右3カ所の係止固定具211は金属片を折り曲げ形成したL型の金具であり、遊技盤42の固定状態で内枠12外方へ張り出さないよう構成されている。なお、遊技盤42の下部1カ所の係止固定具212は樹脂製のI型の留め具である。
遊技盤42の中央には可変表示装置ユニット47が配置されている。可変表示装置ユニット47においては、センターフレーム57を背後から覆う樹脂製(例えばABS製)のフレームカバー213が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる第1図柄表示装置52と表示制御装置55とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム57に内蔵されたLED等を駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
また、遊技盤42の裏面には、可変表示装置ユニット47を取り囲むようにして裏枠セット215が取り付けられている。この裏枠セット215は、遊技盤42の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品(例えばABS製)であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構が形成されている。詳しくは、裏枠セット215の下方には、前述した一般入賞口43、可変入賞装置44、第1契機対応口45の遊技盤開口部に対応し、且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤42の下方には、内枠12にやはり樹脂製(例えばポリカーボネイト樹脂製)の排出通路盤217が取り付けられており、該排出通路盤217には、排出球をパチンコ機10外部へ案内するための排出通路218が形成されている。従って、図19に仮想線で例示するように、一般入賞口43等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット215の回収通路216を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口48も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。
上記構成では、遊技盤42の下端面を境界にして、上方に裏枠セット215(回収通路216)が、下方に排出通路盤217(排出通路218)が設けられており、排出通路盤217が遊技盤42に対して前後方向に重複(オーバーラップ)せずに設けられている。従って、遊技盤42を内枠12から取り外す際において、排出通路盤217が遊技盤42の取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
なお、排出通路盤217は、パチンコ機前面の上皿37の丁度裏側辺りに設けられており、上皿37の排出口37bより針金等を差し込み、さらにその針金等を内枠12と排出通路盤217との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで本パチンコ機10では、排出通路盤217の上皿37の丁度裏側辺りに、内枠12にほぼ一体的に重なり合うようにしてパチンコ機前方に延びるプレート219が設けられている。従って、内枠12と排出通路盤217との隙間から針金等を侵入させようとしてもそれがプレート219にて阻害され、遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金等を利用して可変入賞装置44(大入賞口)を強制的に開放する等の不正行為を防止することができる。
また、遊技盤42の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出するための入球検出手段などが設けられている。具体的には、遊技盤42表側の一般入賞口43に対応する位置には入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置44には、カウントスイッチ223が設けられている。カウントスイッチ223は、可変入賞装置44に入賞した入賞球をカウントするスイッチである。また、第1契機対応口45に対応する位置には第1契機対応口(始動口)スイッチ224が設けられ、第2契機対応口46に対応する位置には第2契機対応口(ゲート)スイッチ225が設けられている。
入賞口スイッチ221及び第2契機対応口(ゲート)スイッチ225は、後述する電気配線(ケーブルコネクタ)を介して盤面中継基板226に接続され、さらにこの盤面中継基板226が後述する主基板(主制御装置261)に電気配線を介して接続されている。また、カウントスイッチ223は電気配線を介して大入賞口中継基板227に接続され、さらにこの大入賞口中継基板227がやはり電気配線を介して主基板に接続されている。これに対し、第1契機対応口(始動口)スイッチ224は中継基板を経ることなく直接主基板に電気配線を介して接続されている。
その他図示は省略するが、可変入賞装置44には、大入賞口を開放するための大入賞口ソレノイドが設けられ、第1契機対応口45には、電動役物を開放するための第1契機対応口(始動口)ソレノイドが設けられている。
上記入球検出手段にて各々検出された検出結果は、後述する主基板に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。
また、裏枠セット215には、第1制御基板ユニット201を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤42の裏面から見て左下隅部には上下方向に延びる支持金具231が設けられ、この支持金具231には同一軸線上に上下一対の支持孔が形成されている。その他、遊技盤42の右下部において符号232は上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)であり、同左上部において符号233は係止爪片である。
また、内枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、内枠12にはその右端部に長尺状の支持金具235が取り付けられており、その構成を図21に示す。図21に示すように、支持金具235は長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より起立させるようにして、下方2カ所に第2制御基板ユニット用の支持孔部237が形成されると共に、上方2カ所に裏パックユニット用の支持孔部238が形成されている。それら支持孔部237,238にはそれぞれ同軸の支持孔が形成されている。その他、図19,20に示すように、第2制御基板ユニット用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)239が設けられている。また、裏パックユニット用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)240が設けられている。但し、第2制御基板ユニット用の支持金具と裏パックユニット用の支持金具とを各々個別の部材で設けることも可能である。符号241,242,243は、遊技盤42との間に裏パックユニット203を挟み込んで支持するための回動式の固定具である。
その他、内枠12の背面構成において、遊技盤42の右下部には、後述する払出機構より払出される遊技球を上皿37、下皿31又は排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。
遊技球分配部245の開口部245aは上皿37に通じ、開口部245bは下皿31に通じ、開口部245cは排出通路218に通じる構成となっている(図20参照)。より詳しくは、図2に示すように、樹脂ベース40には、遊技球分配部245の開口部245aと上皿37の排出口37bとを連通させる第1払出通路246が設けられ、遊技球分配部245の開口部245bと下皿31の排出口30とを連通させる第2払出通路247が設けられている。
なお、従来、遊技球分配部245に相当する部分が裏パックユニット203側に設けられていたため、上皿37の排出口37bを通じて裏パックユニット203を押すことにより、内枠12と遊技球分配部245に相当する部分との間に隙間が生じ、その隙間を通じて針金等を差し込み、内部機器を操作するといった不正行為が考えられた。そこで本パチンコ機10では、遊技球分配部245として内枠12側に設け、なおかつ固定手段によって固定することにより、そのような不正行為を防止している。さらに、遊技球分配部245の上端面は遊技盤42の下端面が設置される高さ位置に合わせて形成されており、遊技盤42の取外しの妨げとならないように工夫されている。
加えて、遊技球分配部245は、樹脂ベース40の本体部と同様に絶縁性を有する樹脂材料(例えば、後述する帯電防止材AからなるABS樹脂等)により構成されており、払出機構部352(払出桶359)と、上皿37や下皿31との電気的導通が遮断された状態となっている。また、上述のとおり、遊技球分配部245が裏パックユニット203(払出機構部352)側に設けられていないため、構造的にも電気的導通を遮断しやすい。
次に、第1制御基板ユニット201を図22を用いて説明する。図22は第1制御基板ユニット201の正面図である。
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、この取付台251に主制御装置261と音声ランプ制御装置262とが搭載されている。ここで、主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット264(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
封印手段としての封印ユニット264はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図22等に示すように、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結されるようになっている。封印ユニット264による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、封印ユニット264を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合などにより基板ボックス263を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス263の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス263に残しておけば、基板ボックス263を見ることで不正な開封が行われた旨を容易に発見できる。
但し、主基板には、上記各ケーブルコネクタのコネクタを接続するための端子部が設けられており、該端子部は、基板ボックス263から露出状態となっている。かかる端子部の露出は、他の基板及び基板ボックスについても同様である。
また、音声ランプ制御装置262は、例えば主制御装置261(主基板)又は表示制御装置55からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス265に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置262上には電源中継基板266が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板266を介して表示制御装置55及び音声ランプ制御装置262に出力されるようになっている。
取付台251は、樹脂材料(例えばポリカーボネイト樹脂製)にて成形され、その表面に平坦状をなす2つの基板搭載面が設けられている。これら基板搭載面は直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。
そして、一方の基板搭載面上に主制御装置261(主基板)が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面上に音声ランプ制御装置262(音声ランプ制御基板)が縦長の向きに配置されるようになっている。特に、主制御装置261は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置262はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面が前後方向に段差をもって形成されているため、これら基板搭載面に主制御装置261及び音声ランプ制御装置262を搭載した状態において各制御装置261,262はその一部を前後に重ねて配置されるようになる。つまり、主制御装置261はその一部(本実施形態では1/3程度)が浮いた状態で配置されるようになる。また、各制御装置が効率良く設置できるようになる。また、第1制御基板ユニット201を遊技盤42に装着した状態では、基板搭載面の後方にスペースが確保され、可変入賞装置44やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。
取付台251には、図22等の左端面に上下一対の支軸256が設けられており、この支軸256を図19に示す支持金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤42に対して開閉可能に支持される。また、取付台251には、右端部に締結具として上下一対のナイラッチ257が設けられると共に上端部に長孔258が設けられており、ナイラッチ257を図19等に示す被締結孔232にはめ込むと共に、長孔258に図19等に示す係止爪片233を係止させることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤42に固定されるようになる。なお、支持金具231及び支軸256が前記図18の支軸部M1に、被締結孔232及びナイラッチ257が締結部M2に、係止爪片233及び長孔258が係止爪部M3に、それぞれ相当する。
次に、第2制御基板ユニット202を図23を用いて説明する。図23は第2制御基板ユニット202の正面図である。
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、この取付台301に払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル35の操作に従い発射装置72等の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314を省略することも可能である。
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス315,316,317,318にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、前述した主制御装置261と同様、基板ボックス315を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット319(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス315が封印されている。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータの球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入することとしている。
取付台301は樹脂成形品よりなり、その表面に平坦状な基板搭載面が設けられている。そして、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は取付台301の基板搭載面に横並びの状態で直接搭載され、電源装置313の基板ボックス317上に払出制御装置311が取付台303を介して搭載されている。
また、取付台301には、図23の右端部に上下一対の支軸305が設けられており、この支軸305を図19等に示す支持孔部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、取付台301には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ306が設けられており、ナイラッチ306を図19等に示す被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。なお、支持孔部237及び支軸305が前記図18の支軸部M4に、被締結孔239及びナイラッチ306が締結部M5に、それぞれ相当する。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものであり、パチンコ機10の背面から見た背面図を図24に示し、分解斜視図を図25に示す。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット47を囲むのに十分な大きさを有する(但し本実施形態では、前述の音声ランプ制御装置262も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置55等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。
払出機構部352は、裏パック351の最上部にて遊技ホールの島設備から供給される遊技球を貯留するタンク355と、当該タンク355の下方にてタンク355から導出される遊技球を整列させつつ流下させるタンクレール356と、当該タンクレール356の下流側に連設されたケースレール357と、当該ケースレール357の下流側にて遊技球の払出しを行う払出装置358と、当該払出装置358から払出された遊技球を内枠12(樹脂ベース40)の遊技球分配部245へ導く払出桶359とを有してなる。ここで、タンクレール356が上流側レール部材に相当し、ケースレール357が下流側レール部材に相当する。従って、タンクレール356及びケースレール357によって本実施形態における案内レールが構成される。
ここで、払出機構部352の各構成部についてより詳細に説明する。
タンク355は、前後方向よりも左右方向に長く、上方に開口した略箱状に構成されており、その内部に遊技球を貯留可能に構成されている。
図26に示すように、タンク355の底部355aは、パチンコ機10の背面側から見て右側から左側に向けて下方傾斜している。底部355aの下流部である左端には、遊技球をタンクレール356へ導出するための略矩形状の導出口355bが形成されている。
また、図25に示すように、タンク355の上流側には、遊技球の貯留量を検出する貯留検出スイッチ355cが取着されている。貯留検出スイッチ355cは、タンク355の上流側まで遊技球が貯留されているか否か(タンク355がほぼ満タンであるか否か)を遊技球の接触により検知するよう構成されている。そして、貯留検出スイッチ355cにより遊技球が検知されない場合には、島設備側の供給機構からタンク355に遊技球が供給され、貯留検出スイッチ355cにより遊技球が検知されると、遊技球の供給が停止するようになっている。
さらに、詳しくは後述するが、タンク355には、導電板405が取付けられている。
次にタンクレール356の構成ついて説明する。図26に示すように、タンクレール356は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体361を有している。
レール本体361は、保護カバー部354の上辺部に沿って左右方向に延在し、かつ、その底部がパチンコ機10の背面側から見て左側から右側に向けて下方傾斜している。
レール本体361の上流部である左端には、球受部362が設けられている。この球受部362により、タンク355より落下してきた遊技球が自重によって下流側へ流れていき、タンク355から導出される遊技球を円滑にレール本体361内に取り込むことができる。
また、レール本体361には長手方向に延びる仕切壁363が設けられており、この仕切壁363により遊技球が二手に分流されるようになっている。仕切壁363により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。なお、図示は省略するが、仕切壁363により仕切られた各球通路の底面には、遊技球の誘導性を高めたり球詰まりの抑制を図るための1筋又は2筋の突条が設けられると共に、その突条の側方に球詰まりを解消するための開口部などが設けられている。
また、タンクレール356の背面側には、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360が取付けられている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
また、図25に示すように、レール本体361には、その下流側半分程度の天井部分を覆うようにして整流板367が配設されている。この整流板367は、下流側になるほどタンクレール356内の球通路高さを制限するよう弓なりに反った形状をしており、さらにその下面には長手方向に延びる凸部が形成されている。これにより、タンクレール356内を流れる各遊技球は最終的には上下に積み重なることなく下流側に流出する。従って、タンクレール356に多量の遊技球群が流れ込んできても、遊技球の噛み込みが防止され、タンクレール356内における球詰まりが解消されるようになっている。整流板367は着脱可能に設けられており、当該整流板367を取り外すことによりタンクレール356内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。なお、整流板367は透明のポリカーボネイト樹脂により成形されているため、わざわざ整流板367を取り外さなくとも、タンクレール356内の状況を確認することができ、メンテナンス時等において整流板367を取り外す手間を省くことができる。
ケースレール357は、保護カバー部354の側方にて上下方向に沿って配設されており、その内部に遊技球を流下させる球通路を有している。
また、ケースレール357には、球切れ検出スイッチ357aが設けられている。これにより、ケースレール357の球通路内に遊技球が整列した状態で停留している場合には、所定の可動片が遊技球によって押圧されて球切れ検出スイッチ357aがオン状態となる。一方、球通路内に遊技球がなくなると、球切れ検出スイッチ357aがオフ状態となる。
また、ケースレール357には、球抜きボタン357bが設けられるとともに、球抜き通路(図示略)が設けられている。当該球抜き通路の下流側は、上記遊技球分配部245を介して排出通路218に通じており、タンク355及びタンクレール356の球抜きを行う際には、当該球抜き通路を介して遊技球がパチンコ機10外部へ排出される。
払出装置358は、払出モータ358a、スプロケット358b及び払出カウントスイッチ358cを備えている。
払出モータ358aは、ステッピングモータであり、本実施形態では120ステップ(パルス)の駆動信号を与えることによりスプロケット358bを1回転するように構成されている。つまり、30パルスの駆動信号でスプロケット358bが45度変化するというように、駆動信号の数に応じた回転量でスプロケット358bを回転させるように構成されている。そして、この駆動信号によって払出モータ358aの回転量を制御し、遊技球の払出個数を制御している。
また、スプロケット358bの周面には複数の凸部が等間隔で設けられ、各凸部間には遊技球が入り込む球受凹部がそれぞれ設けられている。そして、スプロケット358bは、払出装置358の球通路内に凸部が突出するように配設され、払出モータ358aにより回転駆動される。これにより、球払出動作の停止時には、球通路内に遊技球が停留され、球払出動作時にはスプロケット358bが時計回り方向(正方向)に回転し、遊技球が一個ずつ払出される。なお、スプロケット358bには所定角度間隔(本実施形態では45度、つまり30ステップ分)毎にスリットが形成されており、当該スリット位置を図示しないフォトセンサにより検知することより、スプロケット358bの回転量を検出することができるようになっている。
払出カウントスイッチ358cは、スプロケット358bより下流側に配設されており、スプロケット358bにより払出された遊技球を検出するものである。本実施形態では、払出カウントスイッチ358cとして、遊技球の通過可能な通過孔が設けられた通過型の近接センサを採用している。もちろんフォトセンサ等でもよい。遊技球は一個ずつ排出されるので払出カウントスイッチ358cからの検出信号をカウントすることにより、実際に払出された球数を把握することができる。
そして、払出モータ358aの駆動により必要個数の遊技球の払出しが適宜行われ、払出された遊技球は、払出カウントスイッチ358cにより検出された後、払出桶359を介して遊技球分配部245へ導かれ、当該遊技球分配部245を介して上皿37又は下皿31へ払出される。
払出桶359は、第1導出通路359aと第2導出通路359bとを備えている。ここで、第1導出通路359aは、上記遊技球分配部245の開口部245a,245bと、払出装置358とを連通するよう構成されている。第2導出通路359bは、上記遊技球分配部245の開口部245cと、ケースレール357の球抜き通路とを連通するよう構成されている。これにより、払出装置358から導出される遊技球は、第1導出通路359aを介して上皿37や下皿31へと導かれ、ケースレール357の球抜き通路から導出される遊技球は、第2導出通路359bを介して排出通路218へ、ひいてはパチンコ機10外部へと排出される。
なお、払出桶359の第1導出通路359aは、遊技球が遊技球分配部245の開口部245aへ向かうように形成されている。これにより、通常時、遊技球は下皿31よりも上皿37へ優先的に導かれるようになっている。そして、上皿37及びこれに通じる第1払出通路246が遊技球で満杯となると、遊技球分配部245の開口部245aが塞がった状態となるため、払出装置358から払出される遊技球は、遊技球分配部245の開口部245b側へこぼれ落ちて第2払出通路247へと流下し、下皿31の排出口30へと導かれる。
さらに、下皿31も満杯となり、第2払出通路247の所定地点まで遊技球が溜まると、図示しない下皿満タン検出スイッチによってその旨(下皿満タン状態)が検出され、払出装置358による遊技球の払出しが一時的に停止する構成となっている。
その後、下皿31中の遊技球が遊技者等によって抜き取られ、第2払出通路247内に溜まった遊技球が流れ始めると、下皿満タン検出スイッチがオフとなり、払出装置358が遊技球の払出可能な状態に復帰する。
このような遊技球の払出しに伴って、ケースレール357,タンクレール356,タンク355に停留していた遊技球は、下流側の払出装置358方向に流動する。この流動によりタンク355内の遊技球の貯留数が減少すると、島設備の供給機構は、こうした貯留数の減少を検知し、減少した分の遊技球をタンク355に補給する。
図24,25の説明に戻り、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されている。つまり、この払出中継基板381を介して、払出モータ358a、払出カウントスイッチ358c、下皿満タン検出スイッチなどが払出制御装置311と電気的に接続されている。これにより、払出装置358が払出制御装置311からの出力信号に基づいて駆動制御されるとともに、払出制御装置311が払出カウントスイッチ358cからの入力信号に基づいて払出個数を計数する。
また、払出機構部352には、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。この電源スイッチ基板382は、電源装置313に接続されており、当該電源装置313に対し電源供給する。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
さて、ここで裏パック351の説明に戻る。裏パック351には、図24等の右端部に上下一対の支軸385が設けられており、この支軸385を図19等に示す支持孔部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を図19等に示す被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に図19等に示す固定具242を係止させることで、裏パックユニット203が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。また、本実施形態では、多くの遊技球が貯留され比較的負荷のかかるタンク355の近傍の係止部M8として、回動式のI型の留め具が採用されている。このため、ナイラッチ等の固定具を用いた場合に比べてより確実に裏パックユニット203(タンク355)の係止を行うことができる。このとき、図19等に示す固定具241,243によっても裏パックユニット203が内枠12に固定される。なお、支持孔部238及び支軸385が前記図18の支軸部M6に、被締結孔240及びナイラッチ386が締結部M7に、固定具242及び係止孔387が係止部M8に、それぞれ相当する。また、固定具243が係止部M9に相当する。
なお、本実施形態における支持金具235や支軸385などの各種支持金具は、比較的剛性の高い冷間圧延鋼板(SPCC等)、電気亜鉛めっき鋼板(SECC等)などにより形成されている。
また、裏パックユニット203のベース部353には、外部中継端子板230用の開口部391が設けられており、裏パックユニット203の固定された状態でも、外部中継端子板230の取外し及び操作が可能となっている。
次に、パチンコ機10のアース構造、特に払出機構部352など遊技球の払出しに関連する部位(遊技球が接触する部位)のアース構造について詳しく説明する。
本実施形態における払出機構部352を構成する各構成部材、すなわちタンク355、タンクレール356、ケースレール357、払出装置358、及び、払出桶359は、カーボンファイバ(炭素繊維)の混入された導電性樹脂材料により形成されている。
払出機構部352を構成する各構成部材の成形材料及びその特性を図27に示す。図27に示すように、本実施形態では、タンク355、タンクレール356、ケースレール357、払出装置358、及び払出桶359を、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)製若しくはPC(ポリカーボネート)製の導電材によって形成するとともに、払出桶359を覆う桶カバー359dをABS製の帯電防止材(ABS製の絶縁材)によって形成する。なお、本実施形態では、単位体積当たりの電気抵抗値(以下、表面抵抗値という)が106Ω以下のものを導電材、表面抵抗値が106Ωを越えるものを帯電防止材として区別している。
タンク355は、表面抵抗値が100ΩのABS製の導電材Aを用いて成形されている。タンク355内においては、遊技球の払出しに伴う遊技ホールの島設備の供給機構からの遊技球の補給の際に、補給された遊技球がタンク355内に貯まっている遊技球に衝突する頻度が多く、しかも、タンク内部と遊技球との接触面積も大きいため、静電気の発生量が特に多いと考えられる。さらには、タンク355に供給される遊技球は、遊技ホールの磨き装置によって磨かれたり、搬送途中で他の遊技球と衝突する等して静電気が帯電した状態で供給されることも多い。加えて、タンク355は、払出カウントスイッチ358c等のセンサを備えた払出装置358よりも上流側に設置されるため、帯電状態のままで遊技球を流下させてしまうと払出カウントスイッチ358c等の動作に悪影響を及ぼすおそれがある。このため、本実施形態では、タンク355に表面抵抗値の小さい導電材Aを用いている。
タンクレール356は、タンク355と同様の導電材Aを用いて成形されている。タンクレール356内においては、レール内部と遊技球との接触面積が大きいことに加え、タンク355内に遊技球が貯まっていない状態で遊技ホールの島設備からタンク355に遊技球の補給がなされ、補給された遊技球がタンクレール356内に貯まっている遊技球に衝突する場合があり得るため、静電気の発生量が多いと考えられる。特に、タンク355の導出口355bの下方位置ではその可能性が高い。加えて、タンクレール356は、タンク355と同様に、払出カウントスイッチ358c等を備えた払出装置358よりも上流側に設置される。このため、本実施形態では、タンクレール356にも表面抵抗値の小さい導電材Aを用いている。
ケースレール357は、内部における遊技球との接触面積がタンクレール356よりも小さいことを考慮し、比較的大きな表面抵抗値(103.8Ω)のABS製の導電材Cを用いて成形される。また、帯電防止材や絶縁材ではなく導電材Cを用いたのは、万一、タンクレール356から帯電状態の遊技球が流下してきた場合に、この遊技球がそのまま払出装置358内に進入することを防止し、静電気が払出カウントスイッチ358c等に作用してしまうことを未然に回避するためである。
払出装置358は、払出カウントスイッチ358c等が設けられている部分を含めて、導電材Aと導電材Cの中間程度の表面抵抗値(102Ω)のPC製の導電材Bを用いて成形される。払出装置358内における遊技球同士の衝突頻度や遊技球との接触面積は、ケースレール357とほぼ同等であり、払出装置358内における静電気発生量はケースレール357内とほぼ同等と考えられる。一方、払出装置358内には払出カウントスイッチ358c等という賞球や貸球の払出し数を制御する部品が存在するため、万一、帯電状態の遊技球が払出装置358内に進入した場合に、この遊技球の静電気が払出カウントスイッチ358c等に作用してしまうことを確実に防止する必要がある。このため、本実施形態では、払出装置358に、ケースレール357よりも表面抵抗値の小さい導電材Bを用いている。
払出桶359は、払出カウントスイッチ358c等を備えた払出装置358の下流側に設置されるため払出カウントスイッチ358c等の誤動作への影響が小さいことを考慮し、比較的大きな表面抵抗値の導電材Cを用いて成形される。また、帯電防止材や絶縁材ではなく導電材Cを用いたのは、賞球や貸球としての遊技球を払出桶359内で静電気を除去した上で上皿37に払出すためである。
一方、払出桶359を覆う桶カバー359dは、大きな表面抵抗値を有するABS製の帯電防止材A(1011Ω)を用いて成形される。桶カバー359dは、裏パックユニット203の裏側から見える部分であることを考慮し、導電材よりも材料の色の種類が多い絶縁材や帯電防止材を採用したものである。また、互いに組み合わされる払出桶359及び桶カバー359dを表面抵抗値が異なる材料(導電材C,帯電防止材A)で成形したことにより、払出桶359及び桶カバー359d内を流下する遊技球に帯電した静電気は、表面抵抗値の小さい払出桶359側に積極的に引きつけられる。結果として、桶カバー359dの背面側に設けられた払出中継基板381等を静電気から保護することができる。
図27に示すように、上皿37は、パチンコ機10の前面に張り出す張出部38が大きな表面抵抗値の帯電防止材Aを用いて成形され、遊技球を貯め置く皿本体部が小さな表面抵抗値の導電材Aを用いて成形される。同様に、下皿31は、パチンコ機10の前面に張り出す張出部32が大きな表面抵抗値の帯電防止材Aを用いて成形され、遊技球を貯め置く皿本体部が小さな表面抵抗値の導電材Aを用いて成形される。
上皿37や下皿31では、払出装置358から払出された遊技球が皿自体やその内に貯まっている遊技球と衝突する頻度が多く、しかも皿内部と遊技球との接触面積も大きいため、静電気の発生量が多いと考えられる。また、払出し途中で他の遊技球と衝突する等して静電気が帯電した状態の遊技球が貯留されることも多い。上皿37等は、払出装置358よりも下流側に位置するが、ここに貯留された遊技球を帯電状態のままにしておくと、仮に上皿37等が遊技球で満杯となり、払出装置358から上皿37等まで遊技球が貯まってしまった場合に、当該遊技球を通じて上流側の払出装置358へ静電気が流れ、払出カウントスイッチ358c等の動作に悪影響を及ぼすおそれがある。このため、本実施形態では、上皿37及び下皿31(皿本体部)に表面抵抗値の小さい導電材Aを用いている。
上述のとおり、図24に示すように、払出機構部352は、各構成部の表面抵抗値の大きさに対応して、上流側から以下のように区分される。表面抵抗値が100Ωの導電材Aからなる領域P(タンク355からタンクレール356までの領域)、表面抵抗値が103.8Ωの導電材Cからなる領域Q(ケースレール357領域)、表面抵抗値が102Ωの導電材Bからなる領域R(払出装置358領域)、及び表面抵抗値が103.8Ωの導電材Cからなる領域S(払出桶359領域)である。
本実施形態では、領域Pにおけるアース経路と、領域Q、領域R及び領域Sにおけるアース経路が異なる。
ここで、各部位のアース経路(導電経路)について説明する。図25に示すように、裏パック351におけるタンク355及びタンクレール356の取付位置には、クランク状に折り曲げ形成された銅製の導電プレート401が配設されている。そして、裏パック351に対しタンク355及びタンクレール356を取付けることにより、導電プレート401を介してタンク355及びタンクレール356が電気的に導通した状態となる。
また、タンク355の取付側(図25奥側)の側壁部には、タンク355本体を形成する導電性樹脂材料よりも導電性に優れた銅製の導電板405が取付けられている。導電板405は、タンク355の側壁部に嵌め込まれる本体部405aと、当該本体部405aの一端に接続されたリード線(銅線を絶縁材により被覆した被覆線)405bとからなる。
本体部405aは、左右方向へ長く、断面略コ字状に形成されている。そして、取付け時には、タンク355の側壁部を跨ぐように上方から嵌め込まれ、その一部がタンク355の内側に臨んだ状態となり、タンク355内に貯留される遊技球と広範囲にわたって直接接触する構成となっている。
内枠12に対し裏パック351を取付けた際(図17参照)には、リード線405bの先端側に設けられたリング状の接続端子405cが、施錠装置G1の基枠186(取付板187)の上端部近傍に設けられた接続部187a(図19等参照)に対しビス止めされる。
また、図25に示すように、ベース部353の背面側には、裏パック351の回動軸側において、銅製の導電板409が取付けられている。そして、当該導電板409に当接するようにして、ケースレール357、払出装置358及び払出桶359が取付けられている。従って、導電板409を介して、ケースレール357、払出装置358及び払出桶359が電気的に導通した状態となる。
また、導電板409は、上側の支軸385の基部と接触するように配設されている。従って、内枠12の支持金具235の支持孔部238に対し、この支軸385を挿通させ、裏パックユニット203が内枠12に対して支持されることで、支持金具235と、ケースレール357、払出装置358及び払出桶359とが電気的に導通した状態となる。
内枠12に対し遊技盤42を取付けた後(図19等参照)には、リード線413により、支持金具235と、内枠12の上側の支持金具65とを電気的に接続する。
より詳しくは、リード線413両端の接続端子413a,413bが、それぞれ支持金具65の接続部65a、支持金具235の上端部近傍(支持孔部238近傍)の接続部238aにビス止めされる。
上記構成により、タンク355及びタンクレール356が施錠装置G1と電気的に導通された状態となり、ケースレール357、払出装置358及び払出桶359が内枠12の支持金具65と電気的に導通された状態となる。
なお、本実施形態では、タンクレール356とケースレール357との間に、例えばゴム等よりなる絶縁部材369(図25等参照)が介在されることにより、両者間の電気的導通が遮断された構成となっている。
また、図17に示すように、外枠11の右辺枠構成部11d及び左辺枠構成部11cの背面側にはアース線をビス止めするための接続部11g,11hが設けられている。パチンコ機10が遊技ホールの島設備に設置された際には、当該接続部11g,11hに対し、一端が島設備の外部アースに接続された所定のアース線の他端側がビス止め等により接続される。これにより、パチンコ機10は外部にアース接続された状態となる。
そして、外枠11に対し内枠12を回動可能に組み付けることにより、払出機構部352の下流側構成部が外部アースと電気的に接続された状態となる。つまり、領域Q、領域R及び領域Sにおいては、払出機構部352の下流側構成部(ケースレール357、払出装置358及び払出桶359)→導電板409→支軸385→支持金具235(支持孔部238)→リード線413→支持金具65→ヒンジ金具15→外枠11(左辺枠構成部11c)→アース線→島設備の外部アースといったアース経路(第1の導電経路に相当する)が形成され、当該アース経路を介して払出機構部352の下流側構成部から除去された静電気が機外へ放電除去される。
さらに、外枠11に対し内枠12を施錠した際には、施錠装置G1の鉤部材192,193が外枠11の爪馬17,18に係合されることにより、払出機構部352の上流側構成部が外部アースと電気的に接続された状態となる。つまり、領域Pにおいては、払出機構部352の上流側構成部(タンク355←タンクレール356)→導電板405→施錠装置G1〔基枠186→摺動杆191→鉤部材192(193)〕→爪馬17(18)→外枠11(右辺枠構成部11d)→アース線→島設備の外部アースといったアース経路(第2の導電経路に相当する)が形成され、当該アース経路を介して払出機構部352の上流側構成部から除去された静電気が機外へ放電除去される。
次に、下皿31及び上皿37のアース経路(球受皿用の導電経路)について説明する。上述したように、下皿31及び上皿37は、それぞれ補強用板金28,134との電気的導通が図られている。従って、下皿ユニット13が施錠されることにより、下皿31→補強用板金28→係合部13a,13b→施錠装置G1〔下皿ユニット鉤部197a,197b→基枠186→摺動杆191→鉤部材193(192)〕→爪馬18(17)→外枠11(右辺枠構成部11d)→アース線→島設備の外部アースといったアース経路が形成され、当該アース経路を介して下皿31から除去された静電気が機外へ放電除去される。
同様に、前面枠セット14が施錠されることにより、上皿37→補強用板金134→補強用板金132→前面枠セット鉤部14b(14a)→施錠装置G1〔前面枠セット施錠部材195(194)→摺動杆191→鉤部材193(192)〕→爪馬18(17)→外枠11(右辺枠構成部11d)→アース線→島設備の外部アースといったアース経路が形成され、当該アース経路を介して上皿37から除去された静電気が機外へ放電除去される。
さて、図28は、本パチンコ機10の電気的構造を示したブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、NMI割込み処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)の復電処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスパス及びデータパスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、表示制御装置55や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。
また、払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、NMI割込み処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射装置72による遊技機の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置72及び球送りユニット74は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル35をタッチしていることをセンサ信号により検出されていること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないこと等を条件に、発射装置72及び球送りユニット74が駆動され、ハンドル35の操作量に応じた強度で1球ずつ遊技球が発射される。
表示制御装置55は、第1図柄表示装置52における第1図柄の変動表示と、第2図柄表示装置51における第2図柄の変動表示とを制御するものである。この表示制御装置55は、CPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、2つの出力ポート528,529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527の入力には主制御装置261の出力が接続され、入力ポート527の出力には、CPU521、ROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されると共にバスライン530を介して一方の出力ポート528が接続されている。出力ポート528の出力には第2図柄表示装置51(表示部53)や、音声ランプ制御装置262が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529の出力には液晶表示装置たる第1図柄表示装置52が接続されている。
表示制御装置55のCPU521は、主制御装置261から送信される表示コマンドに基づいて第1図柄表示装置52及び第2図柄表示装置51の表示を制御する。ROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
ビデオRAM524は、第1図柄表示装置52に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、第1図柄表示装置52の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、第1図柄表示装置52に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して第1図柄表示装置52に表示させるものである。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給するための電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアするための回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、ヒンジ金具15や外枠11の左辺枠構成部11c等を介して払出装置358など払出機構部352の下流側構成部からの静電気除去を行う第1のアース経路と、施錠装置G1や外枠11の右辺枠構成部11d等を介してタンク355など払出機構部352の上流側構成部からの静電気除去を行う第2のアース経路とを備えている。このようにアース経路が左右両側に設けられることで、パチンコ機10外部とのアース接続が、払出機構部352のどの部位からも容易にかつより近い位置で行うことができる。結果として、払出機構部352から効率よく、適切かつ充分に静電気を取り除くことができる。さらに、パチンコ機10背面側の余分な配線を減らし、配線の煩雑化や部品点数の増加を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、絶縁部材369により、タンクレール356とケースレール357との間における電気的導通が遮断されており、遊技球に静電気が帯電しやすいタンク355やタンクレール356から除去される静電気が下流側(払出装置側)へ流れることを防止している。しかも、タンク355及びタンクレール356は、表面抵抗値が100ΩのABS製の導電材Aを用いて成形されている。一方、払出装置358は導電材Aよりも大きな表面抵抗値(102Ω)の導電材Bを用いて成形され、ケースレール357は導電材Bよりも大きな表面抵抗値(103.8Ω)の導電材Cを用いて成形されている。これにより、遊技球に静電気が帯電しやすいタンク355やタンクレール356において、静電気の発生後速やかにかつ払出装置358からできる限り離れた位置で効率よく静電気を除去することが可能となり、タンク355等で発生した静電気が下流側へ流れることを抑制することができる。結果として、払出装置358の誤作動防止など、静電気放電に伴う種々の不具合の発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、ヒンジ金具15や施錠装置G1などのように、パチンコ機10の背面側中央部に配設される各種電子機器からより離れた位置に設けられた部材を通して島設備の外部アースとの電気的導通を図ることができるため、各種電子機器等への電磁誘導ノイズ等の影響を極力抑えることができる。なお、本実施形態では、図20に示すように、各種電子機器の配設される内枠12の背面側中央部と施錠装置G1の配設位置とを隔てる絶縁性の隔壁部244を備えているため、静電気がパチンコ機10の背面中央部側(各種電子機器側)へ流れることも抑制することができる。
さらに、本実施形態では、島設備に常時固定され、開閉動作のない外枠11を介してパチンコ機10外部との電気的導通を図ることができるため、パチンコ機10と島設備とを接続するアース線が内枠12の開閉動作の妨げとなったり、内枠12の開閉動作に伴いアース線が損傷・断線するなどといった不具合の発生を抑制することができる。結果として、アース経路の良好な電気的導通状態を維持しやすい。
加えて、本実施形態では、絶縁性を有する遊技球分配部245により、上皿37と払出機構部352(払出桶359)との電気的導通を遮断するとともに、上皿37のアース接続に関しても施錠装置G1等を介して行う構成となっているため、上皿37から除去される静電気が払出機構部352へ流れることを抑制することができる。しかも、本実施形態では、上皿37も表面抵抗値が100ΩのABS製の導電材Aを用いて成形されている。これにより、払出機構部352から遊技球が払出され、当該遊技球に静電気が帯電しやすい上皿37において、静電気の発生後速やかにかつ払出装置358からできる限り離れた位置で効率よく静電気を除去することが可能となり、上皿37等で発生した静電気が払出機構部352側へ流れることを抑制することができる。結果として、払出装置358の誤作動防止など、静電気放電に伴う種々の不具合の発生を抑制することができる。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施形態では、ヒンジ金具15,16、支持金具65,66、爪馬17,18、補強用板金28等の各種補強用板金、支軸385や支持金具235等の各種支持金具、施錠装置G1などの各種金属部材が、冷間圧延鋼板(SPCC等)、電気亜鉛めっき鋼板(SECC等)などにより形成されている。これら金属部材は、比較的剛性が高く導電性を有する金属素材であれば、他の金属素材により形成されたものであってもよい。
但し、図29に示すように、亜鉛は鉄などと比較して導電性が良いため、電気亜鉛めっき鋼板を用いた構成の方が、導電性の良いアース経路を構築することができ、静電気をよりスムーズに除去することができる。
(b)上記実施形態では、払出機構部352の各構成部材、すなわちタンク355、タンクレール356、ケースレール357、払出装置358、及び払出桶359が、カーボンファイバの混入された導電性樹脂材料により形成されている。これに限らず、これら構成部材を、例えばステンレス繊維等の金属素材を含有する導電性樹脂材料により形成した構成としてもよい。勿論、上皿37や下皿31に関しても同様である。
(c)上記実施形態では、左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dがアルミニウム合金製の押出成形材により構成されたハイブリットタイプの外枠11が例示されている。外枠11は、これに限定されるものではなく、例えば、枠構成部11a〜11dすべてがアルミニウム合金よりなるタイプのものであってもよい。
勿論、左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dは押出成形品でなくともよく、例えば型成形品でもよい。
また、成形素材に関しても、アルミニウム合金に限らず、導電性を有する他の金属材料を用いてもよい。但し、アルミニウム合金の主体となるアルミニウムは、図29に示すように鉄等に比べ導電性に優れるとともに、比較的軽く加工性もよいため、アルミニウム合金を用いるのがより好ましい。なお、アルミニウム合金は、アルミニウムに、亜鉛、マグネシウム、銅、ニッケル、チタン、シリコン等、或いはそれらを任意に組み合わせたものを添加することにより形成される。
なお、島設備の意図しない箇所に静電気が流れないようにするため、島設備に対し釘等により固定される上辺枠構成部11aや下辺枠構成部11bに関しては、上記実施形態の木製部材など絶縁性部材からなるハイブリットタイプとすることがより好ましい。
(d)各種アース経路は上記実施形態に限定されるものではない。
払出機構部352に関して、例えば、施錠装置G1と島設備の外部アースとを直接アース線により接続したアース経路(タンク355→施錠装置G1→アース線→島設備の外部アース)や、電源装置313等のアース端子を介するアース経路(タンク355→施錠装置G1→アース線等→電源装置313→アース線→島設備の外部アース)、裏パックユニット203の回動軸となる支軸385や支持金具235を通さないアース経路(払出装置358→導電板409→リード線413→支持金具65→ヒンジ金具15→左辺枠構成部11c→アース線→島設備の外部アース)などが挙げられる。
同様に、上皿37や下皿31に関して、例えば、前面枠セット14や下皿ユニット13の回動軸側を通すアース経路〔上皿37(下皿31)→支持金具181,182(支持部183,184)→支持金具101,102(支持金具102,103)→アース線等→電源装置313等のアース端子→アース線等→島設備の外部アース〕、左辺枠構成部11cを介したアース経路〔上皿37(下皿31)→支持金具181,182(支持部183,184)→支持金具101,102(支持金具102,103)→支持金具65,66→ヒンジ金具15,16→左辺枠構成部11c→アース線→島設備の外部アース〕、電源装置313等のアース端子を介するアース経路(上皿37や下皿31→施錠装置G1→アース線等→電源装置313等のアース端子→アース線→島設備の外部アース)などが挙げられる。
また、パチンコ機10外部のアース接続先は、島設備の外部アースに限らず、例えばカードユニット等であってもよい。
また、例えば、外枠11の右辺枠構成部11dや左辺枠構成部11cをパチンコ機10外部のアース接続先とは接続せず、当該右辺枠構成部11dや左辺枠構成部11c自体をアース部として機能させる構成としてもよいし、右辺枠構成部11dと爪馬17,18との間に絶縁性の樹脂部材を介在させる等して、施錠装置G1と右辺枠構成部11dとの間の電気的導通を遮断し、施錠装置G1自体をアース部として機能させる構成としてもよい。勿論、施錠装置G1及び右辺枠構成部11dの両者をアース部として機能させる構成としてもよい。
(e)各種部材を電気的に接続する電気的接続手段は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、タンク355と施錠装置G1とを金属プレートを介して電気的に接続した構成としてもよい。また、上皿37と補強用板金134とをアース線を用いて電気的に接続した構成としてもよい。タンク355とタンクレール356とを直接接触させた構成としてもよい。また、導電板405等の中継部材を省略した構成としてもよい。
(f)各種部材を構成する導電材は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、タンク355及びタンクレール356に同じ表面抵抗値の導電材Aを用いたが、タンク355とタンクレール356に異なる表面抵抗値の導電材を用いる構成としてもよい。例えば、タンク355に、タンクレール356に用いられる導電材よりも小さな表面抵抗値の導電材を用いた構成としてもよい。
また、上記実施形態では、タンクレール356とケースレール357とに異なる表面抵抗値の導電材を用いた構成となっているが、例えばタンクレール356及びケースレール357に同じ表面抵抗値の導電材を用いた構成としてもよい。
また、上記実施形態では、払出装置358に、ケースレール357よりも表面抵抗値の小さい導電材Bを用いている。これは、払出装置358内における遊技球同士の衝突頻度や遊技球との接触面積が、ケースレール357とほぼ同等であり、払出装置358内における静電気発生量がケースレール357内とほぼ同等と考えられるが、払出カウントスイッチ358c等を備えていることを考慮したものである。従って、ケースレール357も払出装置358の上流側部材であることを考慮すれば、払出装置358に用いられる導電材よりも小さな表面抵抗値の導電材を用いて形成することが好ましい。
また、上記実施形態では、上皿37及び下皿31と、払出桶359とに異なる表面抵抗値の導電材を用いた構成となっているが、例えば上皿37と払出桶359とに同じ表面抵抗値の導電材を用いた構成としてもよい。
(g)上記実施形態では、右辺枠構成部11d等を介した第2のアース経路に関しては、島設備の外部アースと電気的に接続される払出機構部352側の接続点となる特定部位がタンク355となっている。これに限らず、例えばタンクレール356と施錠装置G1とを電気的に接続した構成としてもよい。また、タンク355及びタンクレール356の両者が施錠装置G1と電気的に接続された構成としてもよい。
なお、タンクレール356にてアース接続される場合には、左右方向におけるタンク355の底部355aと導出口355bとの境界部の位置H2(図26参照)よりも上流側(図26左側)の位置、例えば球受部362などにおいてアース接続される構成とすることが好ましい。底部355aと導出口355bとの境界部は、遊技球がタンクレール356に落下する位置であるので、静電気が発生しやすい。従って、ここよりも上流側の特定部位を始点としたアース経路を設けることにより、払出機構部352の下流側へ静電気が流れにくくなる。
また、上記実施形態では、島設備の外部アースと電気的に接続される上皿37側の接続点となる特定部位が、整流部37dの始点(球受皿の特定位置)H1よりも下流側部位となっている。これに限らず、例えば上皿37の上流側部位が接続点となる構成としてもよい。
(h)タンク355など、払出機構部352の各構成部材に対し、遊技球の素材である鉄(鋼鉄)と帯電列の上で近い関係にある素材(例えば銅など)によりメッキ処理を施し、タンク355等と遊技球との接触により静電気が発生しにくい構成としてもよい。勿論、上皿37や下皿31に関しても同様である。
(i)上記実施形態では、払出機構部352を搭載した裏パックユニット203が内枠12の背面側において回動可能な構成となっているが、これに限らず、裏パックユニット203が内枠12の背面側に固定される構成としてもよい。
(j)上記実施形態では、絶縁部材369により、タンクレール356とケースレール357との間における電気的導通が遮断され、払出機構部352の下流側構成部(ケースレール357、払出装置358及び払出桶359)からの静電気除去が、左辺枠構成部11c等からなる第1のアース経路を介して行われ、払出機構部352の上流側構成部(タンク355及びタンクレール356)からの静電気除去が、右辺枠構成部11d等からなる第2のアース経路を介して行われる構成となっている。
これに限らず、例えば、払出機構部352の各構成部材、すなわちタンク355、タンクレール356、ケースレール357、払出装置358、及び、払出桶359のすべてが電気的に導通された構成としてもよい。このようにすれば、左辺枠構成部11c等を介した第1のアース経路、又は、右辺枠構成部11d等を介した第2のアース経路の一方が適切に機能しない場合にも、他方が代替的に機能し、静電気を機外へ放電除去することができる。
また、タンク355とタンクレール356との間を絶縁し、払出機構部352の下流側へ静電気が流れにくくなる構成としてもよい。
タンク355とタンクレール356との間を絶縁した構成では、例えばタンク355が施錠装置G1を介して島設備の外部アースとアース接続され、残りのタンクレール356、ケースレール357、払出装置358、及び、払出桶359が裏パックユニット203を支える支持金具235等を介して島設備の外部アースとアース接続される構成としてもよい。また、タンク355及びタンクレール356がそれぞれ施錠装置G1を介してアース接続され、残りのケースレール357等が支持金具235等を介してアース接続された構成としてもよい。
なお、絶縁手段としては、各構成部材を離間させる構成や、構成部材間にゴム等の絶縁部材を介在させる構成などが挙げられる。
(k)施錠装置G1の構成は上記実施形態に限定されるものではなく、異なる構成を採用してもよい。例えば、上記実施形態では、前面枠セット14の施錠機構に関し、前面枠セット14側に、爪部を有する前面枠セット鉤部14a,14bが設けられ、施錠装置G1側に、前記爪部と係合する前面枠セット施錠部材194,195が設けられているが、施錠装置G1側に爪部を有する鉤部材を設け、前面枠セット14側に当該爪部と係合する受部を設けた構成としてもよい。
(l)上記実施形態では、上皿37が前面枠セット14に設けられ、下皿31が下皿ユニット13に設けられた構成となっている。これに限らず、例えば前面枠セット14及び下皿ユニット13が一体に設けられ、かつ、上皿37と下皿31とが別体に設けられた構成や、前面枠セット14及び下皿ユニット13が一体に設けられ、かつ、上皿37と下皿31とが一体(下皿31を省略し、上皿37のみ備えた構成を含む)に設けられた構成、上皿37及び下皿31が一体となって下皿ユニット13に設けられた構成、上皿37及び下皿31が下皿ユニット13に設けられ、かつ、当該上皿37と下皿31とが別体に設けられた構成などを採用してもよい。
(m)上記実施形態では、外枠11の右辺枠構成部11d及び左辺枠構成部11cの背面側の下部にアース線をビス止めするための接続部11g,11hが設けられている。接続部11g,11hの設けられる位置や数は、これに限定されるものではない。例えば、右辺枠構成部11dの上部に接続部を設けた構成としてもよい。このようにすれば、タンク355から島設備の外部アースまでのアース経路をより短くすることができる。
また、接続部の形態は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば右辺枠構成部11dの後側のフランジ部を接続部として利用してもよい。かかる場合、右辺枠構成部11dのフランジ部を挟むようにして、島設備の外部アースから延びるアース線の端子部を取付ける構成を採用することができる。このようにすれば、接続位置を上下方向に自由に変化させることが可能となり、利便性が増す。
(n)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、それに類する雀球等の各種遊技機などとして実施してもよい。さらに、パチンコ機以外の遊技機として、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機としても、もちろん実施可能である。
以下、特許請求の範囲の請求項に記載されないものであって、上記実施形態から把握できる技術的思想について、その効果とともに記載する。
手段1.島設備に固定される矩形枠状の外枠と、
前記外枠の左右一方側(例えば左側)にて上下方向を回動軸として開閉可能に支持された内枠と、
前記内枠の背面側に設けられ、遊技球の払出しを行う払出機構部と、
前記内枠の左右他方側(例えば右側)にて上下方向に沿って配設され、少なくとも前記外枠に対し前記内枠を施錠する内枠施錠機構を有してなる施錠装置とを備えた遊技機であって、
前記施錠装置は、
金属製の導電材を用いて形成されるとともに、
前記内枠施錠機構に設けられた内枠用係合部と、前記外枠に設けられた内枠用被係合部とが係合することにより、前記内枠の開放を規制する内枠施錠状態となり、
前記内枠用係合部が前記内枠用被係合部から離脱(係合解除)されることにより、前記内枠の開放を許容する内枠解錠状態となる構成であって、
前記外枠は、
上下左右の各辺部を構成する枠構成部のうち、少なくとも左右両側の枠構成部が、金属製の導電材を用いて形成され、
前記左右両側の枠構成部のうち、前記内枠の回動軸側に対応する前記左右一方側の枠構成部の上下部には、前記内枠を開閉可能に支持する外枠側枢支部材が設けられ、
前記外枠側枢支部材は、
金属製の導電材を用いて形成されるとともに、前記左右一方側の枠構成部との電気的導通が図られ、
前記内枠用被係合部は、
金属製の導電材を用いて形成されるとともに、前記施錠装置に対応する前記左右他方側の枠構成部との電気的導通が図られ、
前記内枠は、
その回動軸側の上下部に、前記外枠の外枠側枢支部材に対し回動可能に組付けられる内枠側枢支部材を備え、
前記内枠側枢支部材は、
金属製の導電材を用いて形成されるとともに、前記払出機構部との電気的導通が図られ、
前記施錠装置が前記内枠施錠状態となることにより、前記内枠用係合部と前記内枠用被係合部とが電気的に導通して、当該施錠装置と前記左右他方側の枠構成部とが電気的に導通することにより、
前記左右一方側の枠構成部を介して、少なくとも前記払出機構部からの静電気除去を行うことのできる第1の導電経路(第1のアース経路)と、
前記施錠装置及び前記左右他方側の枠構成部のうち少なくとも施錠装置を介して、少なくとも前記払出機構部からの静電気除去を行うことのできる第2の導電経路(第2のアース経路)とを備えたことを特徴とする遊技機。
なお、「前記左右一方側の枠構成部を介して、少なくとも前記払出機構部からの静電気除去を行うことのできる第1の導電経路」には、例えば、「前記左右一方側の枠構成部を介して、少なくとも前記払出機構部と遊技機外部の外部アースとの電気的導通を図る第1の導電経路」や、「前記左右一方側の枠構成部が、少なくとも前記払出機構部からの静電気除去を行うことのできるアース部として機能する第1の導電経路」などが含まれる。
同様に、「前記施錠装置及び前記左右他方側の枠構成部のうち少なくとも施錠装置を介して、少なくとも前記払出機構部からの静電気除去を行うことのできる第2の導電経路」には、例えば、「前記施錠装置及び前記左右他方側の枠構成部のうち少なくとも施錠装置を介して、少なくとも前記払出機構部と遊技機外部の外部アースとの電気的導通を図る第2の導電経路」や、「前記施錠装置及び前記左右他方側の枠構成部のうち少なくとも施錠装置が、少なくとも前記払出機構部からの静電気除去を行うことのできるアース部として機能する第2の導電経路」などが含まれる。
ここで、「アース部として機能する」とは、施錠装置や外枠が遊技機外部の外部アース等に接続されていない構成においても、当該施錠装置や外枠自体が静電気を自然放電して除去できることを意味する。
上記手段1によれば、外枠の左右一方側の枠構成部を介した第1の導電経路と、左右他方側の枠構成部を介した第2の導電経路とを備えている。これにより、払出機構部のうち内枠の回動軸寄り(左右一方側)に設けられた各種構成部材からの静電気除去に関しては、第1の導電経路を介して行うことができ、内枠の回動軸から離れた側(左右他方側)に設けられた各種構成部材からの静電気除去に関しては、第2の導電経路を介して行うことができる。このように静電気除去のための導電経路が左右両側に設けられることで、払出機構部のアース接続が、払出機構部のどの部位からも容易となる。結果として、払出機構部から効率よく、適切かつ充分に静電気を取り除くことができる。
ひいては、遊技機背面側中央部に配設された各種電子機器を跨ぐように又は迂回するようにしてアース線等を配設する必要もない。結果として、遊技機背面側の余分な配線を減らし、配線の煩雑化や部品点数の増加を抑制することができる。
払出機構部等を備えた内枠は非常に重いため、これを回動可能に支える雄雌両枢支部材(外枠側枢支部材及び内枠側枢支部材)間には、内枠の重量負荷により、内枠の開閉動作に伴って大きな摩擦力が働く。そのため、内枠の開閉動作が繰り返されることによって、枢支部材の表面が削れたり、メッキが剥れてしまい、雄雌両枢支部材の接続部分における電気的導通状態が悪化するおそれがある。このような事態が発生した場合には、雄雌両枢支部材間の導電性が悪くなり、枢支部材を介して適切に静電気を機外へ除去できなくなるおそれがある。また、枢支部材は外枠などと比べ容量が小さいため、ヒンジ部材のみで多くの静電気を自然放電させることは難しい。
逆に、施錠装置と、これに係合する外枠の内枠用被係合部との間では、これらの製造誤差や組付誤差等により、内枠用係合部と内枠用被係合部とが施錠状態において適切に係合せずに、電気的導通状態が不安定となるおそれがある。
この点、本手段によれば、枢支部材(左右一方側の枠構成部)を介した第1の導電経路が適切に機能しない場合でも、施錠装置(左右他方側の枠構成部)を介した第2の導電経路が代替的に機能し、静電気を機外へ放電除去することができる。同様に、施錠装置(左右他方側の枠構成部)を介した第2の導電経路が適切に機能しない場合でも、枢支部材(左右一方側の枠構成部)を介した第1の導電経路が代替的に機能し、静電気を機外へ放電除去することができる。
従来、パチンコ機等の遊技機の背面側には、遊技球の払出しを行う払出機構部の他にも、遊技に関する各種制御を行う各種制御装置などが数多く配設されており、当該制御装置同士を電気的に接続するコマンド送受信用のケーブルコネクタや、制御装置と電源装置とを電気的に接続する電源供給用のケーブルコネクタなども数多く配線されている。
この点、施錠装置や枢支部材は、通常、外枠の枠構成部に対応して、遊技機背面側中央部の各種電子機器から離れた内枠の側縁部に配設されている。このことから、本手段にように、枢支部材(左右一方側の枠構成部)や施錠装置(左右他方側の枠構成部)を導電経路の一部として利用する構成とすれば、遊技機の背面側中央部に配設される各種電子機器からより離れた位置を通して遊技機外部の外部アースとの電気的導通を図る又は静電気を除去することができるため、各種電子機器等への電磁誘導ノイズ等の影響を極力抑えることができる。さらに、各種電子機器の配設される内枠の背面側中央部と施錠装置(又は枢支部材)の配設位置とを隔てる絶縁性の隔壁部を設けるようにすれば、静電気が遊技機背面中央部側(各種電子機器側)へ流れることも抑制することができる。
なお、枢支部材(左右一方側の枠構成部)や施錠装置(左右他方側の枠構成部)を介することなく、遊技機と遊技機外部とをアース接続する構成としては、アース線を用いて遊技機側の電源装置のアース端子と遊技機外部の外部アースとを接続する構成などが考えられるが、このような構成では、メンテナンス時等において内枠の開閉動作の妨げとなるおそれがある。加えて、内枠の開閉に伴いアース線が外れる等の不具合も生じやすい。さらに、内枠の開閉動作を可能とするためには、ある程度アース線の長さに余裕を持たせる必要があるため、内枠を閉鎖する際に当該アース線を内枠と外枠との間に挟んで傷つけてしまうおそれもある。結果として、適切な静電気除去が行えなくなるおそれがある。
また、折角、内枠の側縁部に配設された施錠装置や枢支部材を導電経路の一部として利用し、遊技機外部とアース接続したとしても、外枠の枠構成部を介さず、例えば施錠装置や枢支部材と外部アースとをアース線により直接接続するような構成では、上記同様の不具合が発生する。
これに対し、仮に島設備に常時固定され、開閉動作のない外枠を介して遊技機外部との電気的導通を図る又は静電気を除去する構成とすれば、このような不具合の発生を抑制することができる。結果として、適切な静電気除去を行うことができる。
手段2.前記払出機構部は、
前記内枠の背面上部にて、前記島設備の供給機構から供給される遊技球を貯留可能に構成されたタンクと、
前記内枠の回動軸側寄りに配設され、遊技球の払出しを行う払出装置と、
前記タンクの下方にて前記タンクから導出される遊技球を整列させつつ前記左右他方側から前記左右一方側へ流下させるタンクレール(上流側レール部材)と、
前記内枠の回動軸側寄りに配設され、前記タンクレールと前記払出装置とを連通させるケースレール(下流側レール部材)とを備えてなり、
前記払出機構部のうち少なくとも前記ケースレール及び払出装置と、前記第1の導電経路との電気的導通が図られ、
前記払出機構部のうち少なくとも前記タンク及びタンクレールと、前記第2の導電経路との電気的導通が図られていることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
上述したように、パチンコ機等の遊技機の背面側には、数多くの電子機器が配設されている。このため、本手段の構成のように、払出機構部を構成する各構成部材が左右方向の広範囲にわたって配設される構成においては、仮に払出機構部のうち施錠装置近傍に設けられた構成部材(タンクやタンクレール)と、枢支部材とをアース線等により接続しなければならない構成や、内枠の回動軸寄りに設けられた構成部材(ケースレールや払出装置)と、施錠装置とをアース線等により接続しなければならない構成とした場合には、当該アース線等が、遊技機背面側中央部に配設された各種電子機器を跨ぐように又は大きく迂回するように配設されることとなる。かかる場合には、各種電子機器等への電磁誘導ノイズ等の影響や、配線の煩雑化などが懸念されるとともに、導電経路が長くなること等により、払出機構部から効率よく、適切かつ充分に静電気を取り除くことができないおそれがある。
この点、上記手段2によれば、払出機構部のアース接続が、払出機構部の各構成部材とより近い位置にて行えるため、上記不具合の発生を抑制し、上記手段1の作用効果をより高めることができる。
手段3.前記タンク、前記タンクレール、前記ケースレール及び前記払出装置を樹脂製の導電材を用いて形成すると共に、
前記タンク及び前記タンクレールの形成に用いられる導電材の抵抗率を、前記払出装置の形成に用いられる導電材の抵抗率より低い抵抗率としたことを特徴とする手段2に記載の遊技機。
ここで抵抗率とは、ある材料についての単位体積当たりの電気抵抗値をいう。抵抗率は比導電率の逆数として表わすことができる。
島設備の供給機構から遊技球が供給されるタンクや、当該タンクから落下する遊技球を受け、整列させるタンクレールなどでは、特に遊技球同士が衝突する頻度が多く、静電気が帯電しやすい。
この点、本手段によれば、仮に払出装置からタンクレールを経てタンクまで遊技球が溜まった状況において、遊技球に帯電した静電気が放電する場合には、当該放電は、確率的に上流側(タンク側)で生じやすく、下流側(払出装置側)で生じにくくなる。これにより、遊技球に静電気が帯電しやすいタンクやタンクレールにおいて、静電気の発生後速やかにかつ払出装置からできる限り離れた位置で効率よく静電気を除去することが可能となり、タンク等で発生した静電気が下流側(払出装置側)へ流れることを抑制することができる。結果として、払出装置の誤作動防止など、静電気放電に伴う種々の不具合の発生を抑制することができる。
しかも、第2の導電経路を備え、タンクレールよりも下流側の構成部分を介することなく、遊技球に静電気が帯電しやすいタンクやタンクレールと所定のアース部との電気的導通が図られているため、タンクやタンクレールから除去される静電気が下流側(払出装置側)へ流れることを抑制することができる。
手段4.前記タンクレールの形成に用いられる導電材の抵抗率を、前記ケースレールの形成に用いられる導電材の抵抗率より低い抵抗率としたことを特徴とする手段2又は3に記載の遊技機。
上記手段4によれば、上記手段3の作用効果をより高めることができる。
手段5.前記タンクは、遊技球を下方へ導出可能な導出口と、当該導出口へ向けて下方傾斜した底部とを備え、
前記タンクレールは、前記タンクの導出口から落下する遊技球を受け、当該遊技球を整列させつつ流下させる構成であって、
前記払出機構部のうち、前記タンクレールの左右方向における前記底部と前記導出口との境界部の位置よりも上流側に位置する特定部位において、前記施錠装置(第2の導電経路)との電気的導通が図られていることを特徴とする手段2乃至4のいずれかに記載の遊技機。
タンクの導出口と底部との境界部は、遊技球がタンクレールに落下する位置であるので、静電気が発生しやすい。従って、上記手段5によれば、ここよりも上流側の特定部位を始点とした上記第2の導電経路が形成されることとなり、払出機構部の下流側へ静電気がより流れにくくなる。
手段6.前記タンクレールと前記ケースレールとの間の電気的導通を遮断したことを特徴とする手段2乃至5のいずれかに記載の遊技機。
上記手段6によれば、タンクやタンクレールで発生した静電気を、払出機構部の下流側へ流れにくくする効果をさらに高めることができる。
手段7.前記内枠の左右他方側寄りに設けられ、遊技球を発射可能な発射装置と、
前記内枠の左右一方側にて上下方向を回動軸として開閉可能に支持された前扉と、
前記前扉の前面側において、前記払出機構部から左右一方側寄りに払出された遊技球を貯留しかつ当該遊技球を整列させつつ左右他方側へ流下させ前記発射装置まで誘導可能な球受皿とを備え、
前記球受皿を樹脂製の導電材を用いて形成すると共に、
前記施錠装置は、
前記内枠に対し前記前扉を施錠する前扉施錠機構を有し、
前記前扉施錠機構に設けられた前扉用係合部と、前記前扉に設けられた前扉用被係合部とが係合することにより、前記前扉の開放を規制する前扉施錠状態となり、
前記前扉用係合部が前記前扉用被係合部から離脱(係合解除)されることにより、前記前扉の開放を許容する前扉解錠状態となる構成であって、
前記前扉用被係合部は、
金属製の導電材を用いて形成されるとともに、前記球受皿との電気的導通が図られ、
前記施錠装置が前記前扉施錠状態となることにより、前記前扉用係合部と前記前扉用被係合部とが電気的に導通して、当該施錠装置と前記球受皿との電気的導通が図られることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の遊技機。
前扉に設けられた球受皿には、遊技球が払出機構部から吐き出されるようにして払出されるため、当該遊技球に静電気が帯電しやすい。
この点、上記手段7によれば、左右一方側寄りに遊技球を払出す払出機構部の下流側構成部から離れた側、すなわち左右他方側に設けられた施錠装置や外枠の枠構成部を導電経路の一部又はアース部として利用することにより、球受皿から除去される静電気が払出機構部へ流れることを抑制することができる。結果として、払出装置の誤作動防止など、静電気放電に伴う種々の不具合の発生を抑制することができる。
手段8.前記球受皿の形成に用いられる導電材の抵抗率を、前記払出機構部の払出装置の形成に用いられる導電材の抵抗率より低い抵抗率としたことを特徴とする手段7に記載の遊技機。
上記手段8によれば、仮に球受皿が遊技球で満杯となり、払出装置から球受皿まで遊技球が溜まった状況において、遊技球に帯電した静電気が放電する場合には、当該放電は、確率的に球受皿側で生じやすく、払出装置側で生じにくくなる。これにより、遊技球に静電気が帯電しやすい球受皿において、静電気の発生後速やかにかつ払出装置からできる限り離れた位置で効率よく静電気を除去することが可能となり、上記手段7の作用効果をより高めることができる。
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
A.上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機(パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機)であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備えた弾球遊技機」が挙げられる。
B.上記各手段における遊技機は、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機(特に遊技球を遊技媒体として使用するスロットマシン仕様の遊技機)であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成し、さらに球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む取込手段と、前記球受皿に遊技球の払出しを行う払出手段とを備え、前記取込手段により遊技球が取り込まれることにより遊技の開始条件が成立するように構成した遊技機」が挙げられる。