以下、一実施形態に従う眼鏡装置及び映像システムについて図面を参照して説明する。尚、図面に示される構成、配置或いは形状等並びに図面に関連する記載は、単に眼鏡装置及び映像システムの原理を容易に理解させることを目的とするものであり、眼鏡装置及び映像システムの原理を何ら限定するものではない。
図1は、映像システムを概略的に示す。尚、図1に示される映像システムは、単に、眼鏡装置及び映像システムの原理を明瞭に説明するために示されるものである。眼鏡装置及び映像システムの原理は、図1に示される詳細な構造、配置や形状に何ら限定されない。
映像システム1は、映像を表示する表示装置2と、視聴者に映像を立体的に知覚させるための立体視補助動作を行う眼鏡装置3とを含む。表示装置2は、3次元的に知覚されるための映像を表示する表示パネル21を含む。表示パネル21として、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、PDP(プラズマディスプレイパネル)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイや映像を表示可能な他の装置が好適に使用される。表示パネル21に表示される映像は、左眼で視認されるように撮像或いは描写された左眼フレーム画像と、右眼で視認されるように撮像或いは描写された右眼フレーム画像とを含む。本実施形態において、左眼フレーム画像及び右眼フレーム画像は、表示パネル21に交互に表示される。眼鏡装置3は、視聴者が左眼で左眼フレーム画像を視聴し、右眼で右眼フレーム画像を視聴するように立体視補助動作を実行する。この結果、視聴者は、表示パネル21上に表示された映像を3次元的(立体的)に知覚することとなる。映像が立体的に知覚されるとき、左眼フレーム画像及び右眼フレーム画像中のオブジェクト(左眼フレーム画像及び右眼フレーム画像中に描かれた物体の像)は、表示パネル21の平坦な面から飛び出たように或いは引っ込んだように知覚されることとなる。
表示パネル21の周縁を取り囲むように形成された筐体22の上縁上に送信素子23が配設される。送信素子23は、表示パネル21上での左眼フレーム画像及び右眼フレーム画像の表示に同期して、同期信号を送信する送信部として用いられる。送信素子23として、例えば、赤外線発光素子、RF送信機や同期信号を送信可能な他の要素が好適に用いられる。
送信素子23からの同期信号は、眼鏡装置3に受信される。眼鏡装置3は、受信した同期信号に基づき、上述の立体視補助動作を実行する。この結果、視聴者は、表示パネル21が表示する左眼フレーム画像を左眼で視聴し、右眼フレーム画像を右眼で視聴することが可能となる。
眼鏡装置3は、全体として、視力矯正用の眼鏡と同様の形状をなす。眼鏡装置3は、眼鏡装置3を着用した視聴者の左眼前に配置される左眼フィルタ31と、右眼前に配置される右眼フィルタ32とを含む光学フィルタ部33を備える。左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32は、視聴者の左眼及び右眼へ透過する光の量を調整可能に形成される光学素子である。したがって、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32として、視聴者の左眼及び右眼へ透過する光路を開閉するシャッタ素子(例えば、液晶シャッタ)、視聴者の左眼及び右眼へ透過する光を偏光する偏光素子(例えば、液晶フィルタ)や光量を調整可能な他の光学素子が好適に用いられる。
表示パネル21が左眼フレーム画像を表示している間、左眼フィルタ31が視聴者の左眼への光の透過を許容する一方で、右眼フィルタ32は、視聴者の右眼への光の透過を抑制する。かくして、視聴者は左眼フレーム画像を左眼で視聴することができる。表示パネル21が右眼フレーム画像を表示している間、右眼フィルタ32が視聴者の右眼への光の透過を許容する一方で、左眼フィルタ31は、視聴者の左眼への光の透過を抑制する。かくして、視聴者は右眼フレーム画像を右眼で視聴することができる。このような立体視補助動作を通じて、視聴者は表示パネル21が表示する映像を3次元的に知覚することができる。
眼鏡装置3は、左眼フィルタ31と右眼フィルタ32との間に配設された受信素子34を含む。受信素子34は、映像のフレーム画像の表示に同期して送信される同期信号の受信部として用いられる。上述の映像のフレーム画像の表示と光学フィルタ部33の立体視補助動作との間の同期は、受信素子34が送信素子23から同期信号を受信することにより達成される。送信素子23として、赤外線発光素子が用いられるとき、受信素子34として、赤外線受光素子が好適に用いられる。送信素子23として、RF送信機が用いられるとき、受信素子34として、RF受信機が好適に用いられる。代替的に、送信素子23が送信する同期信号を受信可能な他の要素が、受信素子34として用いられてもよい。
図2は、眼鏡装置3のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。図1及び図2を用いて、眼鏡装置3が更に説明される。
眼鏡装置3は、電池35を含む。電池35は、眼鏡装置3の電源として用いられ、以下に説明される眼鏡装置3の様々な構成要素に電力を供給する。眼鏡装置3は、電池35の電圧を検出する電圧判定回路36を含む。電圧判定回路36は、電池35の電圧に対して定められた電圧閾値に対して、検出された電池35の電圧が下回っているか否かを検出する。検出された電池35の電圧が電圧閾値よりも低いとき、電圧判定回路36は、不具合情報を出力する。以下の説明において、電圧判定回路36が出力する不具合情報は、第1不具合情報として例示される。
電池35の電圧が大きく低下すると、例えば、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の上述の光量に対する調整動作は、受信素子34による同期信号の受信にもかかわらず、表示パネル21が表示する映像のフレーム画像の表示に追従・同期しなくなる。電圧閾値は、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32のこのような不具合を防止するために設定される。本実施形態において、電圧判定回路36は、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の光量調整動作と表示パネル21のフレーム画像の表示との同期を妨げる不具合因子を検出する検出部として例示される。
本実施形態において、電圧判定回路36は、電池35の電圧を直接的に検出する。代替的に、電圧判定回路36は、後述される駆動回路37に印加されている電圧を検出してもよい。電圧判定回路36は、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32を駆動する駆動回路37に印加されている電圧を検出し、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32による光量調整動作に影響を与える程度の電圧の低下か否かを、直接的に判定してもよい。以下の説明において用いられる「電池の電圧を検出する」との用語或いはこれに類する用語は、電池35から電圧を直接的に検出することだけでなく、他の構成要素に印加されている電圧を検出することによって間接的に電池35の電圧を検出することも意味する。尚、電池35の電圧或いは他の構成要素に印加されている電圧の計測は、既知の電圧測定技術を用いて、好適に実行可能である。
眼鏡装置3は、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32による光量調整のタイミングを定めるために用いられるタイミング信号を生成するタイミング信号生成回路38を含む。タイミング信号生成回路38が生成したタイミング信号に基づいて、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32は、左眼及び右眼への透過光量の増減を行う。
上述の如く、受信素子34は、送信素子23から同期信号を受信し、同期信号に応じた電気信号をタイミング信号生成回路38へ出力する。タイミング信号生成回路38は、受信素子34から出力された電気信号に基づき、タイミング信号を生成する。タイミング信号は、受信素子34が受信した同期信号と同期するように生成される。
受信素子34が送信素子23から同期信号を受信しないとき、受信素子34からタイミング信号生成回路38へ電気信号は出力されない。したがって、タイミング信号生成回路38は、同期信号に基づいて、タイミング信号を生成することはない。代替的に、タイミング信号生成回路38は、同期信号が受信されない間、既に取得された同期信号に基づいて、擬似的なタイミング信号を生成してもよい。この場合、同期信号が瞬間的に受信されないときでも、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32による光量調整のタイミングは適切に定められる。
眼鏡装置3は、受信判定回路39を含む。タイミング信号生成回路38は、タイミング信号を受信判定回路39へ出力する。その後、受信判定回路39は、タイミング信号を、制御回路40へ出力する。代替的に、タイミング信号生成回路38から上述の擬似的なタイミング信号が入力されたとき、受信判定回路39は、擬似的なタイミング信号をタイミング信号として制御回路40へ出力してもよい。
受信判定回路39は、タイミング信号が入力された時点からの経過時間或いは電池35からの電力供給が開始された時点からの経過時間を更に計測する。その後、タイミング信号が入力されたとき、受信判定回路39は、このタイミング信号が入力された時点からの経過時間を測定する。代替的に、受信判定回路39は、上述の擬似的なタイミング信号を受信している期間の長さを測定してもよい。受信判定回路39は、上述の計測を繰り返し、同期信号が受信されない不受信期間を検出する。
同期信号が受信されないとき、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の光量調整動作のタイミングは設定されない。したがって、表示パネル21の映像のフレーム画像の表示と、光学フィルタ部33による立体視補助動作との間の同期は成立しない。タイミング信号生成回路38が、上述の如く、既に受信された同期信号に基づいて、タイミング信号を生成する場合であっても、不受信期間が長期に亘って継続すると、表示パネル21の映像のフレーム画像の表示と光学フィルタ部33による立体視補助動作との間にずれが生ずることとなる。
このような光学フィルタ部33による光量調整の不具合(不具合因子)を検出するため、受信判定回路39は、不受信期間に対して定められた不受信閾値と、検出された不受信期間とを比較する。不受信期間が、不受信閾値よりも長いときには、受信判定回路39は、不具合情報を制御回路40に出力する。以下の説明において、受信判定回路39が出力する不具合情報は、第2不具合情報として例示される。
眼鏡装置3は、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32を駆動する駆動回路37を制御するための制御信号を出力する制御回路40を含む。制御回路40は、電圧判定回路36及び受信判定回路39から不具合情報が入力されていない間、タイミング信号に基づいて、第1制御信号を生成する。電圧判定回路36から第1不具合情報が入力されたとき、制御回路40は、第1不具合情報に基づいて、第2制御信号を生成する。受信判定回路39から第2不具合情報が入力されたとき、制御回路40は、第2不具合情報に基づいて、第3制御信号を生成する。第1制御信号、第2制御信号及び第3制御信号は、駆動回路37へ出力される。制御回路40への入力信号間で優先順位が設けられてもよい。例えば、第1不具合情報が最も優先順位を高く設定されてもよい。タイミング信号/第2不具合情報及び第1不具合情報が同時に制御回路40に入力されたとき、制御回路40は、例えば、第1不具合情報を出力してもよい。
駆動回路37は、第1制御信号、第2制御信号又は第3制御信号に基づいて、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32を駆動する。第1制御信号、第2制御信号及び第3制御信号に基づいて駆動される左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32による光量調整動作は、好ましくは、互いに異なる。
図3は、眼鏡装置3の機能構成を概略的に示すブロック図である。図1乃至図3を用いて、眼鏡装置3が更に説明される。
眼鏡装置3は、電池35、図1及び図2に示される受信素子34に相当する受信部340、図2に示されるタイミング信号生成回路38に相当する信号生成部380、図2に示される電圧判定回路36及び受信判定回路39に相当する検出部360、図2に示される制御回路40に相当する制御部400及び図2に示される駆動回路37に相当する駆動部370及び光学フィルタ部33を含む。図2に関連して説明された如く、電池35は、眼鏡装置3の電源として用いられ、受信部340、信号生成部380、検出部360、制御部400、駆動部370及び光学フィルタ部33に電力を供給する。
受信部340は、上述の如く、同期信号を受信する。受信部340が受信した同期信号は、電気信号として、信号生成部380へ出力される。信号生成部380は、解析部381、記憶部382及びタイミング信号生成部383を含む。解析部381は、例えば、受信部340が受信した同期信号の受信間隔の測定、同期信号の波形の解析や光学フィルタ部33を表示パネル21の映像のフレーム画像の表示に同期させるために必要とされる他の同期情報を解析する。同期信号に対する解析部381の解析によって得られた同期情報は、記憶部382に記憶される。タイミング信号生成部383は、記憶部382に記憶された同期情報に基づいて、タイミング信号を生成し、検出部360に出力する。
検出部360は、図2に関連して説明された電圧判定回路36に相当する電圧検出部361と、受信判定回路39に相当する受信検出部391とを含む。タイミング信号生成部383によって生成されたタイミング信号は、受信検出部391に入力される。その後、受信検出部391に入力されたタイミング信号は、制御部400に出力される。受信検出部391は、不受信閾値よりも長い期間、タイミング信号を受信しないとき、同期信号の通信の不具合を表す第2不具合情報を制御部400に出力する。
電圧検出部361は、電池35の電圧を検出する。検出された電池35の電圧が電圧閾値よりも低いとき、電圧検出部361は、制御部400に第1不具合情報を出力する。
制御部400は、検出部360から出力されたタイミング信号、第1不具合情報又は第2不具合情報に基づいて、第1制御信号、第2制御信号又は第3制御信号を駆動部370に出力する。駆動部は、第1制御信号、第2制御信号又は第3制御信号に基づいて、光学フィルタ部33の左眼フィルタ31及び/又は右眼フィルタ32を駆動する。
図4は、表示装置2のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。図1及び図4を用いて、表示装置2が説明される。
表示装置2は、復号化IC24、映像信号処理IC25、送信制御IC26、CPU27、メモリ28、クロック29、表示パネル21及び送信素子23を備える。
符号化された映像信号は、表示装置2の復号化IC24に入力される。復号化IC24は、映像信号を復号化して映像データを所定の様式で出力する。映像の符号化として、MPEG(Motion Picture Experts Group)−2、MPEG−4やH264が例示される。
映像信号処理IC25は、3次元映像の表示に関する信号処理を行う。映像信号処理IC25は、映像信号の処理を実行し、復号化IC24からの映像データを3次元映像として表示する。代替的に、映像信号処理IC25は、復号化IC24で復号された映像データから左眼フレーム画像と右眼フレーム画像とを検出してもよい。検出された左眼フレーム画像及び右眼フレーム画像は、表示パネル21に時間的に交互に表示される。更に代替的に、復号化IC24が出力した映像データから左眼フレーム画像と右眼フレーム画像とが自動的に生成されてもよい。映像信号処理IC25は、生成された左眼フレーム画像と右眼フレーム画像とを表示パネル21に交互に出力してもよい。映像信号処理IC25は、3次元映像の表示に関する信号処理を行なった後、表示パネル21の信号入力方式に適合した出力信号を生成する。
尚、映像信号処理IC25は、上記の処理以外の処理を実行してもよい。映像信号処理IC25は、例えば、表示パネル21の特性に応じて、表示される映像の色彩を調整してもよい。映像信号処理IC25は、復号化IC24で生成された映像データのフレーム間の映像を補間し、映像のフレームレートを上げてもよい。
送信制御IC26は、映像信号処理IC25が生成した左眼フレーム画像及び右眼フレーム画像と同期する同期信号を生成する。その後、送信制御IC26は、生成された同期信号を送信素子23へ出力する。
CPU27は、例えば、メモリ28に記録されたプログラム及び外部からの入力(図示せず)に従って、表示装置2の様々な要素(例えば、復号化IC24や映像信号処理IC25)を制御する。この結果、CPU27は、表示装置2全体の制御を司ることとなる。
メモリ28は、CPU27が実行するプログラムやプログラム実行時に発生する一時データを記録する領域として利用される。メモリ28として、揮発性のRAM(Random Access Memory)や不揮発性のROM(Read Only
Memory)が例示される。
クロック29は、CPU27や他の要素の動作基準となるクロック信号を供給する。
表示パネル21には、映像信号処理IC25から出力された映像信号(左眼フレーム画像及び右眼フレーム画像)が表示される。眼鏡装置3を着用した視聴者は、眼鏡装置3の立体視補助動作を通じて、表示パネル21に表示されるフレーム画像を3次元的に知覚することとなる。
送信素子23は、送信制御IC26による制御の下、同期信号を眼鏡装置3へ出力する。上述の如く、同期信号に基づいて、眼鏡装置3はタイミング信号を生成し、生成されたタイミング信号に基づいて、光学フィルタ部33の立体視補助動作を実行する。
図5は、表示装置2の機能構成を概略的に示すブロック図である。図1、図4及び図5を用いて、表示装置2が更に説明される。
表示装置2は、復号化部240、L/R信号分離部251、立体信号処理部252、表示部210、同期信号生成部253、送信制御部260及び送信部230を備える。
図4に関連して説明された復号化IC24に相当する復号化部240には、符号化された映像信号が入力される。復号化部240は、入力された映像信号を復号する。
L/R信号分離部251は、復号化部240が復号した映像信号から左眼用及び右眼用の映像信号(左眼フレーム画像及び右眼フレーム画像)を生成若しくは分離する。
立体信号処理部252は、眼鏡装置3を通じて視認される映像を表示する表示部210の特性に応じて、L/R信号分離部251で分離された左眼用及び右眼用の映像信号を調整する。立体信号処理部252は、例えば、表示部210の表示面の大きさに応じて、左眼フレーム画像と右眼フレーム画像との間の視差量を調整する。尚、表示部210は、図1に例示される表示パネル21に相当する。
同期信号生成部253は、L/R信号分離部251が生成した左眼フレーム画像及び右眼フレーム画像と同期又は対応した同期信号を生成する。この際、表示部210の特性に応じて、生成される同期信号の種類(例えば、波形)や生成タイミングが調整される。
L/R信号分離部251、立体信号処理部252並びに同期信号生成部253は、図4に関連して説明されたハードウェア構成において、映像信号処理IC25に該当する。
表示部210は、立体信号処理部252によって処理された映像信号を映像として表示する。上述の如く、図4に関連して説明されたハードウェア構成において、表示部210は、表示パネル21に該当する。
送信部230は、同期信号生成部253で生成された同期信号を、送信制御部260の制御下で、眼鏡装置3へ送信する。送信部230は、図4に関連して説明されたハードウェア構成において、送信素子23に該当する。
送信制御部260は、送信される同期信号のデータ量や、同期信号の送信間隔を制御する。送信制御部260は、図4に関連して説明されたハードウェア構成において、送信制御IC26に該当する。
(第1制御モード)
図6は、検出部360が不具合情報を出力していないときにおける同期信号に基づく光学フィルタ部33の光量調整動作を説明する図である。図6のセクション(A)は、表示部210に表示されるフレーム画像を示す。図6のセクション(B)は、送信部230から送信される同期信号を示す。図6のセクション(C)は、タイミング信号生成部383が出力するタイミング信号を示す。図6のセクション(D)は、左眼フィルタ31の光量調整動作によって変動する左眼への透過光量を示す。図6のセクション(E)は、右眼フィルタ32の光量調整動作によって変動する右眼への透過光量を示す。図3、図5及び図6を用いて、光学フィルタ部33の光量調整動作が説明される。図6に関連して説明される光学フィルタ部33に対する制御モードは、第1制御モードとして例示される。
図6のセクション(A)に示される如く、表示部210は、左眼で視聴されるための左眼フレーム画像41と、右眼で視聴されるための右眼フレーム画像42とを交互に表示する。
図6のセクション(B)に示される如く、左眼フレーム画像41の表示の開始に同期して或いは左眼フレーム画像41の表示開始時刻から所定の時間遅れた時刻に、同期信号生成部253は第1同期信号51を生成する。左眼フレーム画像41の表示の終了に同期して或いは左眼フレーム画像41の表示終了時刻から、所定の時間、先行した時刻に、同期信号生成部253は第2同期信号52を生成する。右眼フレーム画像42の表示の開始に同期して或いは右眼フレーム画像42の表示開始時刻から所定の時間遅れた時刻に、同期信号生成部253は第3同期信号53を生成する。右眼フレーム画像42の表示の終了に同期して或いは右眼フレーム画像42の表示終了時刻から、所定の時間、先行した時刻に、同期信号生成部253は第4同期信号54を生成する。送信部230は、送信制御部260の制御下で、第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54を送信する。第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54は、例えば、それぞれ異なる波形を有するように生成される。
受信部340は、第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54を受信する。解析部381は、第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54それぞれの波形に基づき、第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54それぞれを識別する。第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54の波形や受信間隔といった同期情報は、記憶部382に記憶される。
タイミング信号生成部383は、記憶部382に記憶された同期情報に基づき、第1同期信号51に同期して、左眼フィルタ31が光の透過を許容するタイミングを定める第1タイミング信号61を生成する。同様に、タイミング信号生成部383は、第2同期信号52に同期して、左眼フィルタ31が光の透過を妨げるタイミングを定める第2タイミング信号62を生成する。更に、タイミング信号生成部383は、第3同期信号53に同期して、右眼フィルタ32が光の透過を許容するタイミングを定める第3タイミング信号63を生成する。同様に、タイミング信号生成部383は、第4同期信号54に同期して、右眼フィルタ32が光の透過を妨げるタイミングを定める第4タイミング信号64を生成する。第1タイミング信号61、第2タイミング信号62、第3タイミング信号63及び第4タイミング信号64は、例えば、それぞれ異なる波形を有するように生成される。
第1タイミング信号61、第2タイミング信号62、第3タイミング信号63及び第4タイミング信号64は、受信検出部391を介して、制御部400へ出力される。制御部400は、例えば、第1タイミング信号61、第2タイミング信号62、第3タイミング信号63及び第4タイミング信号64の波形に基づき、制御内容を識別し、第1タイミング信号61、第2タイミング信号62、第3タイミング信号63及び第4タイミング信号64それぞれに対応する制御信号を駆動部370へ出力する。駆動部370は、入力された制御信号に基づき、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32を駆動する。
かくして、左眼フィルタ31は、第1同期信号51に同期して、左眼へ透過する光量を増大させる調整動作を行い、第2同期信号52に同期して、左眼へ透過する光量を減少させる調整動作を行う。同様に、右眼フィルタ32は、第3同期信号53に同期して、右眼へ透過する光量を増大させる調整動作を行い、第4同期信号54に同期して、右眼へ透過する光量を減少させる調整動作を行う。この結果、視聴者は、表示部210に表示される映像を3次元的に知覚することが可能となる。
(第2制御モード)
図7は、検出部360の電圧検出部361が第1不具合情報を表す第1不具合信号を出力しているときの、光学フィルタ部33の光量調整動作を説明する図である。図7のセクション(A)は、表示部210に表示されるフレーム画像を示す。図7のセクション(B)は、送信部230から送信される同期信号を示す。図7のセクション(C)は、タイミング信号生成部383が出力するタイミング信号を示す。図7のセクション(D)は、電圧検出部361が出力する第1不具合信号を示す。図7のセクション(E)は、左眼フィルタ31の光量調整動作によって変動する左眼への透過光量を示す。図7のセクション(F)は、右眼フィルタ32の光量調整動作によって変動する右眼への透過光量を示す。図3、図5乃至図7を用いて、光学フィルタ部33の光量調整動作が更に説明される。図7に関連して説明される光学フィルタ部33に対する制御モードは、第2制御モードとして例示される。
図6のセクション(A)に関連して説明されたフレーム画像の表示と同様に、表示部210は、左眼で視聴されるための左眼フレーム画像41と、右眼で視聴されるための右眼フレーム画像42とを交互に表示する。
図6のセクション(B)に関連して説明された同期信号の生成と同様に、左眼フレーム画像41の表示の開始に同期して或いは左眼フレーム画像41の表示開始時刻から所定の時間遅れた時刻に、同期信号生成部253は第1同期信号51を生成する。左眼フレーム画像41の表示の終了に同期して或いは左眼フレーム画像41の表示終了時刻から、所定の時間、先行した時刻に、同期信号生成部253は第2同期信号52を生成する。右眼フレーム画像42の表示の開始に同期して或いは右眼フレーム画像42の表示開始時刻から所定の時間遅れた時刻に、同期信号生成部253は第3同期信号53を生成する。右眼フレーム画像42の表示の終了に同期して或いは右眼フレーム画像42の表示終了時刻から、所定の時間、先行した時刻に、同期信号生成部253は第4同期信号54を生成する。送信部230は、送信制御部260の制御下で、第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54を送信する。第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54は、例えば、それぞれ異なる波形を有するように生成される。
受信部340は、第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54を受信する。解析部381は、第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54それぞれの波形に基づき、第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54を識別する。第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54の波形や受信間隔といった同期情報は、記憶部382に記憶される。
図6のセクション(C)に関連して説明されたタイミング信号の生成と同様に、タイミング信号生成部383は、記憶部382に記憶された同期情報に基づき、第1同期信号51に同期して、左眼フィルタ31が光の透過を許容するタイミングを定める第1タイミング信号61を生成する。同様に、タイミング信号生成部383は、第2同期信号52に同期して、左眼フィルタ31が光の透過を妨げるタイミングを定める第2タイミング信号62を生成する。更に、タイミング信号生成部383は、第3同期信号53に同期して、右眼フィルタ32が光の透過を許容するタイミングを定める第3タイミング信号63を生成する。同様に、タイミング信号生成部383は、第4同期信号54に同期して、右眼フィルタ32が光の透過を妨げるタイミングを定める第4タイミング信号64を生成する。第1タイミング信号61、第2タイミング信号62、第3タイミング信号63及び第4タイミング信号64は、例えば、それぞれ異なる波形を有するように生成される。
電圧検出部361が、電池35の電圧が、電圧閾値よりも低いことを検知すると、検出部360は、受信検出部391からのタイミング信号の出力に代えて、第1不具合情報を表す第1不具合信号71を出力する。電池35の電圧が、電圧閾値よりも低い間、検出部360は、第1不具合信号71を出力し続ける。
第1不具合信号71が入力された制御部400は、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の光量調整を、例えば、0.5Hz以上40Hz以下の調整周波数、より好ましくは、映像のフレームレートの半分未満の調整周波数で実行させるための制御信号を駆動部370に出力する。駆動部370は第1不具合信号71に基づいて生成された制御信号に従って、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32を駆動する。
本実施形態において、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32を透過する光量が最小値から最大値に達し、再度、最小値まで戻るまでの光量調整動作は、1調整単位と定義される。1つの調整単位から次の調整単位が行われるまでの期間は、調整周期と定義される。調整周期の逆数は、調整周波数と定義される。尚、1調整周期において、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32を透過する光量が最大化されている期間及び左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32を透過する光量が最小化されている期間は、略均等に割り当てられている。
図6に示されるタイミング信号に基づく、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の光量調整の調整周波数は、0.5Hz以上40Hz以下、より好ましくは、表示部210に表示される映像のフレームレートの半分未満である。左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の光量調整の調整周波数が映像のフレームレートの半分未満の範囲に設定されるならば、例えば、映像のフレームレートが120Hz(左眼フレーム画像:60Hz 右眼フレーム画像:60Hz)であるとき、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32それぞれの光量調整の調整周波数は、30Hz未満である。
図7に示される第1不具合信号71に基づく制御下で、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32は、例えば、0.5Hz以上40Hz以下、より好ましくは、映像のフレームレートの半分未満の調整周波数で光量調整を実行する。左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32が、このような低い範囲の調整周波数で光量調整を実行することにより、眼鏡装置3を装着した視聴者は、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の動作を比較的容易に視覚的に把握することができ、眼鏡装置3に不具合が発生していることを察知することができる。40Hzを超える調整周波数で、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32が光量調整を行った場合には、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の動作が速すぎ、視聴者が左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の動作を視覚的に把握することは困難となる。0.5Hz未満の調整周波数で、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32が光量調整を行った場合には、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の動作が遅すぎ、視聴者が左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の動作を視覚的に把握することは困難となる。
図7に示されるように、本実施形態において、第1不具合信号71に基づいて、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32は略同時に透過光量を増減させる。
図8は、人間がフリッカを知覚する周波数の範囲を表すグラフ(原島:画像情報圧縮(オーム社) 図2.9(Kelly, 1961))である。図8を用いて、第2制御モードにおける調整周波数の好適な範囲が説明される。
図8に示されるグラフの横軸は、周波数を示す。図8に示されるグラフの縦軸は、人間が知覚できるフリッカ(ちらつき)の閾値(図8中、「Trolands(網膜上の照度)」)を表す。
図8のグラフによれば、平均輝度が小さくなるにつれて、閾値のピークの位置は、低周波数帯に向けて移動する。一般的な映像システム1の環境下において、0.5Hz以上40Hz以下の調整周波数で光学フィルタ部33が動作するならば、人間は、表示装置2が表示する映像がちらついていると感ずる。ちらつきを知覚する調整周波数の範囲は、個人間でばらつくが、0.5Hz以上30Hz未満の範囲であれば、比較的多くの人が、ちらつきを知覚する。尚、図8のグラフによれば、様々な平均輝度に対して、一般的な人がちらつきを感じるピーク周波数は、5Hz以上20Hz以下の範囲であるので、好ましくは、調整周波数は、5Hz以上20Hz以下の範囲に設定される。
第2制御モードにおける調整周波数は、以下に示される条件を満たすように設定されてもよい。
(1)映像のフレームレートより低い調整周波数であること
(2)フレーム画像の表示に非同期であること
(3)光学フィルタ部の調整動作に起因するフリッカ(ちらつき)が視聴者に知覚されること
図9は、検出部360の受信検出部391が第2不具合情報を表す第2不具合信号を出力しているときにおける光学フィルタ部33の光量調整動作を説明する図である。図9のセクション(A)は、表示部210に表示されるフレーム画像を示す。図9のセクション(B)は、送信部230から送信される同期信号を示す。図9のセクション(C)は、タイミング信号生成部383が出力するタイミング信号を示す。図9のセクション(D)は、受信検出部391が出力する第2不具合信号を示す。図9のセクション(E)は、左眼フィルタ31の光量調整動作によって変動する左眼への透過光量を示す。図9のセクション(F)は、右眼フィルタ32の光量調整動作によって変動する右眼への透過光量を示す。図3、図5乃至図9を用いて、光学フィルタ部33の光量調整動作が更に説明される。図9に関連して説明される光学フィルタ部33に対する制御モードは、第2制御モードとして例示される。
図6のセクション(A)に関連して説明されたフレーム画像の表示と同様に、表示部210は、左眼で視聴されるための左眼フレーム画像41と、右眼で視聴されるための右眼フレーム画像42とを交互に表示する。
図6のセクション(B)関連して説明された同期信号の生成と同様に、左眼フレーム画像41の表示の開始に同期して或いは左眼フレーム画像41の表示開始時刻から所定の時間遅れた時刻に、同期信号生成部253は第1同期信号51を生成する。左眼フレーム画像41の表示の終了に同期して或いは左眼フレーム画像41の表示終了時刻から、所定の時間、先行した時刻に、同期信号生成部253は第2同期信号52を生成する。右眼フレーム画像42の表示の開始に同期して或いは右眼フレーム画像42の表示開始時刻から所定の時間遅れた時刻に、同期信号生成部253は第3同期信号53を生成する。右眼フレーム画像42の表示の終了に同期して或いは右眼フレーム画像42の表示終了時刻から、所定の時間、先行した時刻に、同期信号生成部253は第4同期信号54を生成する。送信部230は、送信制御部260の制御下で、第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54を送信する。第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54は、例えば、それぞれ異なる波形を有するように生成される。
受信部340は、第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54を受信する。解析部381は、第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54それぞれの波形に基づき、第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54を識別する。第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54の波形や受信間隔といった同期情報は、記憶部382に記憶される。
図6のセクション(C)に関連して説明されたタイミング信号の生成と同様に、タイミング信号生成部383は、記憶部382に記憶された同期情報に基づき、第1同期信号51に同期して、左眼フィルタ31が光の透過を許容するタイミングを定める第1タイミング信号61を生成する。同様に、タイミング信号生成部383は、第2同期信号52に同期して、左眼フィルタ31が光の透過を妨げるタイミングを定める第2タイミング信号62を生成する。更に、タイミング信号生成部383は、第3同期信号53に同期して、右眼フィルタ32が光の透過を許容するタイミングを定める第3タイミング信号63を生成する。同様に、タイミング信号生成部383は、第4同期信号54に同期して、右眼フィルタ32が光の透過を妨げるタイミングを定める第4タイミング信号64を生成する。第1タイミング信号61、第2タイミング信号62、第3タイミング信号63及び第4タイミング信号64は、例えば、それぞれ異なる波形を有するように生成される。
図9のセクション(C)に示される如く、受信部340が第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54を受信しなくなった後も、所定期間、タイミング信号生成部383は、以前に受信された第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54に基づいて取得された同期情報を記憶部382から読み出し、疑似タイミング信号61a,62a,63a,64aを生成してもよい。疑似タイミング信号61a,62a,63a,64aの信号波形は、リアルタイムで取得された第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54に基づいて生成されたタイミング信号61,62,63,64と異なる波形を有してもよい。
疑似タイミング信号61a,62a,63a,64aが入力された受信検出部391は、疑似タイミング信号61a,62a,63a,64aの信号波形に基づき、疑似タイミング信号61a,62a,63a,64aが入力されていることを識別することができる。疑似タイミング信号61a,62a,63a,64aの入力を受けている期間の計測を開始する。この計測された期間は、第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54の受信がない不受信期間に相当する。疑似タイミング信号61a,62a,63a,64aの入力を受けている期間に対して定められた閾値の期間(即ち、不受信閾値)の間、受信検出部391は、疑似タイミング信号61a,62a,63a,64aの波形を通常のタイミング信号61,62,63,64の波形に戻し、制御部400へ左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の光量調整動作のタイミングを通知してもよい。制御部400は、受信検出部391からの入力に応じて、駆動部370を制御する。
疑似タイミング信号61a,62a,63a,64aの入力期間が不受信閾値を超えると、受信検出部391は、光量調整動作のタイミング情報に代えて、第2不具合情報を表す第2不具合信号72を制御部400に出力する。受信検出部391は、第1同期信号51、第2同期信号52、第3同期信号53及び第4同期信号54が受信されない間、第2不具合信号72を出力し続ける。尚、第2不具合信号72の波形は、第1不具合信号71の波形とは異なる。
第2不具合信号72が入力された制御部400は、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の光量調整を、映像のフレームレートの半分未満の調整周波数で実行させるための制御信号を駆動部370に出力する。駆動部370は第2不具合信号72に基づいて生成された制御信号に従って、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32を駆動する。
図9に示される第2不具合信号72に基づく制御下で、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32は、例えば、0.5Hz以上40Hz以下の調整周波数で光量調整を実行する。左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32が、このような低い範囲の調整周波数で光量調整を実行することにより、眼鏡装置3を装着した視聴者は、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の動作を比較的容易に視覚的に把握することができ、眼鏡装置3に不具合が発生していることを察知することができる。40Hzを超える調整周波数で、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32が光量調整を行った場合には、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の動作が速すぎ、視聴者が左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の動作を視覚的に把握することは困難となる。0.5Hz未満の調整周波数で、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32が光量調整を行った場合には、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の動作が遅すぎ、視聴者が左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の動作を視覚的に把握することは困難となる。尚、調整周波数は、図8に関連して説明された条件に従って、適宜定められてもよい。
図9に示されるように、本実施形態において、第2不具合信号72に基づいて、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32は交互に透過光量を増減させる。このように、第1不具合信号71に基づく制御下における左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32と光量調整動作と、第2不具合信号72に基づく制御下における左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32と光量調整動作とを互いに異ならせることにより、視聴者は、不具合が電池残量の低下に起因するものであるのか或いは同期信号の通信に起因するものであるのかを特定することが可能となる。代替的に、第2不具合信号72に基づく制御下における左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の光量調整動作を図7に関連して説明された光量調整動作とする一方で、第1不具合信号71に基づく制御下における左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の光量調整動作を図9に関連して説明された光量調整動作としてもよい。更に代替的に、第2不具合信号72に基づく制御下における左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の光量調整動作と第1不具合信号71に基づく制御下における左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の光量調整動作とが、視聴者に視覚的に互いに異なるものであることを識別させることができる他の光量調整動作であってもよい。
(調整周波数)
図10は、閃光点滅周波数と光突発性反応との関係とを表すヒストグラム(G.F.A. Harding, P.M. Jeavors, Photosensitive Epilepsy p.87)である。図10は、170人の被験者に対する閃光点滅刺激による脳波検査の結果を示し、図10に示されるヒストグラムの縦軸は、異なった周波数での点滅に対して光突発反応を引き起こした被験者の割合を示す。図7、図9及び図10を用いて、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の調整周波数が説明される。
図7及び図9に関連して説明された如く、第1不具合信号71又は第2不具合信号72に基づき、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32は、0.5Hz以上40Hz以下の調整周波数で光量調整を行う。図10に示される閃光点滅周波数と光突発性反応との関係を考慮すると、第1不具合信号71又は第2不具合信号72が生成されたとき、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32は、0.5Hz以上5Hz未満の調整周波数で光量調整動作を行うことが好ましいと考えられる。
(眼鏡装置から伝達される他の情報)
上述された実施形態において、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32が0.5Hz以上40Hz以下の調整周波数で光量調整を行うことによって、視聴者に眼鏡装置3の不具合を通知したが、上述の低周波数帯での左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32の光量調整動作によって、眼鏡装置3の不具合以外の情報を視聴者に伝達することも可能である。
例えば、眼鏡装置3の信号生成部380及び/又は検出部360は、同期信号を受信している期間を測定してもよい。この測定により、視聴者が3次元映像を視聴している時間(視聴時間)の情報が取得される。視聴時間に対して定められた閾値(視聴時間閾値)(例えば、2時間或いは3時間)を超えて3次元映像を視聴しているとき、電圧検出部361又は受信検出部391は、制御部400に警告信号を出力してもよい。制御部400は、警告信号に基づき、0.5Hz以上40Hz以下の調整周波数で光量調整を実行させるための第4制御信号を駆動部370に出力してもよい。第4制御信号に基づいて駆動部370が左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32に0.5Hz以上40Hz以下の調整周波数で光量調整を行わせることにより、視聴者に長時間の3次元映像の視聴が続いていることを通知することが可能となる。
この通知により、視聴者に3次元映像の視聴の一時中断を促すことが可能となり、過度の眼精疲労を視聴者に与えることが抑制されることとなる。
(間欠式の第2制御モード)
図11は、間欠式に実行される第2制御モードを示す。図7、図9及び図11を用いて、間欠式に実行される第2制御モードが説明される。
上述の如く、第2制御モードでの光学フィルタ部33の動作は、視聴者にフリッカを知覚させる。フリッカは、しばしば、視聴者を不快にさせる。図11に示される如く、比較的短期間(例えば、2秒)の第2制御モードが間欠式に実行されると、視聴者は連続的にフリッカを知覚しないので、視聴者の不快感が低減される。先行する第2制御モードと、後続の第2制御モードの間において、光学フィルタ部33は、例えば、左眼フィルタ31及び右眼フィルタ32をともに開状態或いは閉状態にしてもよい。第2制御モードが行われるインターバルは、例えば、2秒に設定される。
第2制御モードが間欠式に且つ一定の周期で実行されると、視聴者は、眼鏡装置3が制御下でフリッカを生じさせていることを知覚する。したがって、視聴者は、フリッカが眼鏡装置3の故障に起因して生じているのではなく、眼鏡装置3が情報を視聴者に伝達していると認識しやすくなる。
上述された実施形態は、以下の構成を主に備える。
上述の実施形態の眼鏡装置は、3次元的に知覚されるための映像の視聴を補助するための眼鏡装置であって、左眼へ透過する光量を調整する左眼フィルタと、右眼へ透過する光量を調整する右眼フィルタと、を含む光学フィルタ部と、該光学フィルタ部の前記光量の調整動作を制御する制御部と、を備え、該制御部は、前記光学フィルタ部に対する制御モードを、前記映像を構成するフレーム画像の表示に同期させるように前記光学フィルタ部を制御する第1制御モードと、前記映像のフレームレートよりも遅く、且つ、前記フレーム画像の表示に非同期の前記光学フィルタ部の前記調整動作を視聴者に知覚させる第2制御モードとの間で切り替えることを特徴とする。
上記構成によれば、視聴者は、眼鏡装置を用いて、映像を3次元的に知覚する。眼鏡装置の光学フィルタ部は、左眼へ透過する光量を調整する左眼フィルタと、右眼へ透過する光量を調整する右眼フィルタとを含む。制御部は、光学フィルタ部による光量の調整動作を制御する。制御部は、光学フィルタ部に対する制御モードを、第1制御モードと第2制御モードとの間で切り替える。第1制御モード下で、光学フィルタ部の調整動作は、映像を構成するフレーム画像の表示に同期する。第2制御モード下で、光学フィルタ部の調整動作は、映像のフレームレートよりも遅く、且つ、フレーム画像の表示に非同期であるので、視聴者は、眼鏡装置が第2制御モード下で動作していることを知覚することができる。かくして、視聴者は、眼鏡装置から情報を受け取ることができる。
上記構成において、前記フレーム画像の表示に同期した同期信号を受信する受信部を更に備え、前記第1制御モードで前記光学フィルタ部を制御する前記制御部は、前記同期信号に基づき、前記光学フィルタ部に前記調整動作を実行させ、前記第2制御モードで前記光学フィルタ部を制御する前記制御部は、前記同期信号に無関係に前記光学フィルタ部に前記調整動作を実行させることが好ましい。
上記構成によれば、眼鏡装置は、フレーム画像の表示に同期した同期信号を受信する受信部を更に備える。第1制御モードで光学フィルタ部を制御する制御部は、同期信号に基づき、光学フィルタ部に調整動作を実行させる。第2制御モードで光学フィルタ部を制御する制御部は、同期信号に無関係に光学フィルタ部に調整動作を実行させる。視聴者は、眼鏡装置が第2制御モード下で動作していることを知覚することができるので、視聴者は、眼鏡装置から情報を受け取ることができる。
上記構成において、前記第2制御モードで前記光学フィルタ部を制御する前記制御部は、前記映像のフレームレートの半分以下の所定の調整周波数で、前記左眼フィルタ及び前記右眼フィルタが前記調整動作を実行するように、前記光学フィルタ部を制御することが好ましい。
上記構成によれば、映像のフレームレートの半分未満の所定の調整周波数で、左眼フィルタ及び右眼フィルタが調整動作を実行するように、光学フィルタ部を制御するので、視聴者は、眼鏡装置から情報を受け取ることができる。
上記構成において、前記第1制御モード下で動作する前記光学フィルタ部の前記光量の調整動作と前記フレーム画像の表示との間の同期を妨げる不具合因子を検出するとともに検出された前記不具合因子に関する不具合情報を出力する検出部を更に備え、該検出部が前記不具合情報を出力したとき、前記制御部は、前記制御モードを、前記第1制御モードから前記第2制御モードに切り替えることが好ましい。
上記構成によれば、眼鏡装置の検出部は、第1制御モード下で動作する光学フィルタ部の光量の調整動作とフレーム画像の表示との間の同期を妨げる不具合因子を検出するとともに検出された不具合因子に関する不具合情報を出力する。検出部が不具合情報を出力したとき、制御部は、制御モードを、第1制御モードから第2制御モードに切り替えることができるので、視聴者は、眼鏡装置から不具合情報を受け取ることができる。
上記構成において、前記眼鏡装置の電源として用いられる電池を更に備え、前記検出部は、前記電池の電圧に対して定められた電圧閾値よりも前記電池の電圧が低いとき、前記不具合情報を出力することが好ましい。
上記構成によれば、電池の電圧が電圧閾値よりも低下したとき、検出部は不具合情報を出力する。制御部は、この不具合情報に基づき、フレーム画像の表示周波数より遅い調整周波数で、左眼フィルタ及び右眼フィルタが調整動作を実行するように、光学フィルタ部を制御する。したがって、眼鏡装置を装着した視聴者は、映像のフレームレートの半分以下の調整周波数での左眼フィルタ及び右眼フィルタの調整動作によって、眼鏡装置の電池の電圧が低下していることを視覚的に察知することができる。
上記構成において、前記検出部は、前記同期信号を受信しない不受信期間に対して定められた不受信閾値よりも長い期間、前記同期信号を前記受信部が受信しないとき、前記不具合情報を出力することが好ましい。
上記構成によれば、不受信閾値よりも長い期間、眼鏡装置が同期信号を受信しないとき、不具合情報を出力する。制御部は、この不具合情報に基づき、フレーム画像の表示周波数より遅い調整周波数で、左眼フィルタ及び右眼フィルタが調整動作を実行するように、光学フィルタ部を制御する。したがって、眼鏡装置を装着した視聴者は、映像のフレームレートの半分以下の調整周波数での左眼フィルタ及び右眼フィルタの調整動作によって、眼鏡装置が同期信号を受信していないことを視覚的に察知することができる。
上記構成において、前記不具合情報は、前記眼鏡装置の電源として用いられる電池の電圧が、該電池の電圧に対して定められた電圧閾値よりも低いことを表す第1不具合情報と、前記不受信期間に対して定められた不受信閾値よりも長い期間、前記同期信号が受信されていないことを表す第2不具合情報と、を含み、前記第1不具合情報に基づく前記左眼フィルタ及び前記右眼フィルタの前記調整動作が、前記第2不具合情報に基づく前記左眼フィルタ及び右眼フィルタの前記調整動作と異なるように、前記制御部は前記光学フィルタ部を制御することが好ましい。
上記構成によれば、電池の電圧が電圧閾値よりも低いことを表す第1不具合情報に基づく左眼フィルタ及び右眼フィルタの調整動作と、同期信号を受信しない不受信期間が不受信閾値よりも長いことを表す第2不具合情報に基づく左眼フィルタ及び右眼フィルタの調整動作とが互いに異なるので、視聴者は、電池の電圧が低いことに起因する不具合か、同期信号が受信されていないことに起因する不具合かを判断することができる。
上記構成において、前記調整周波数は、0.5Hz以上40Hz以下であることが好ましい。
上記構成によれば、左眼フィルタ及び右眼フィルタの調整動作が0.5Hz以上40Hz以下の周波数帯で実行されるので、視聴者は、左眼フィルタ及び右眼フィルタの動作を視覚的に捕捉することができる。かくして、眼鏡装置の不具合が好適に通知される。
上記構成において、前記調整周波数は、5Hz以上20Hz以下であることが好ましい。
上記構成によれば、視聴者がフリッカを最も知覚しやすい5Hz以上20Hz以下の範囲で、調整動作が実行されるので、視聴者は、左眼フィルタ及び右眼フィルタの動作を視覚的に捕捉することがでる。かくして、眼鏡装置の不具合が好適に通知される。
上記構成において、前記調整周波数は、0.5Hz以上5Hz以下であることが好ましい。
上記構成によれば、左眼フィルタ及び右眼フィルタの調整動作が0.5Hz以上5Hz以下の周波数帯で実行されるので、光過敏性発作のリスクが十分に低減された周波数帯で左眼フィルタ及び右眼フィルタが調整動作を行うこととなる。
上記構成において、前記第2制御モードは、間欠式に実行されることが好ましい。
上記構成によれば、第2制御モードは、間欠式に実行されるので、連続的に第2制御モード下で光学フィルタ部が動作するときよりも、視聴者に与える不快感が低減される。また、光学フィルタ部が、非同期動作を間欠式に行うので、視聴者は眼鏡装置の非同期動作を知覚しやすくなる。かくして、視聴者は、眼鏡装置から情報を受け取ることができる。
上述の実施形態の映像システムは、3次元的に知覚されるための映像を表示する表示装置と、該映像の視聴を補助するための眼鏡装置と、を備える映像システムであって、前記表示装置は、前記映像のフレーム画像の表示に同期する同期信号を送信する送信部を備え、前記眼鏡装置は、左眼へ透過する光量を調整する左眼フィルタと、右眼へ透過する光量を調整する右眼フィルタと、を含む光学フィルタ部と、該光学フィルタ部の前記光量の調整動作を制御する制御部と、を備え、該制御部は、前記光学フィルタ部に対する制御モードを、前記映像を構成するフレーム画像の表示に同期させるように前記光学フィルタ部を制御する第1制御モードと、前記映像のフレームレートよりも遅く、且つ、前記フレーム画像の表示に非同期の前記光学フィルタ部の前記調整動作を視聴者に知覚させる第2制御モードとの間で切り替えることを特徴とする。
上記構成によれば、視聴者は、眼鏡装置を用いて、映像を3次元的に知覚する。眼鏡装置の光学フィルタ部は、左眼へ透過する光量を調整する左眼フィルタと、右眼へ透過する光量を調整する右眼フィルタとを含む。制御部は、光学フィルタ部による光量の調整動作を制御する。制御部は、光学フィルタ部に対する制御モードを、第1制御モードと第2制御モードとの間で切り替える。第1制御モード下で、光学フィルタ部の調整動作は、映像を構成するフレーム画像の表示に同期する。第2制御モード下で、光学フィルタ部の調整動作は、映像のフレームレートよりも遅く、且つ、フレーム画像の表示に非同期であるので、視聴者は、眼鏡装置が第2制御モード下で動作していることを知覚することができる。かくして、視聴者は、眼鏡装置から情報を受け取ることができる。