前記の層厚分布の予測においては、高炉の操業者等が経験や過去の操業成績等に基づき複数の操業条件案を作成し、これら操業条件案に基づくシミュレーションを行うことによって当該操業条件案で高炉の操業を行った場合に生じる層厚分布の予測を行う。このようにして予測された層厚分布が望ましい高炉操業を実現する適正な形状であれば、この予測に用いられた操業条件により高炉の操業を行うことによって、高炉の層厚分布が適正な形状に維持される。しかし、予測された層厚分布が前記望ましい高炉操業を実現する適正な形状でなければ、再度、操業者等が異なる操業条件案を作成し、これに基づくシミュレーションを行わなければならない。
このような操業条件案の作成及びシミュレーションによる操業条件の変更についての検討は、高炉の層厚分布を適正な形状にすべく実際に操業条件を変更するときに行われるため、前記検討のための時間を長時間確保することができない。従って、多くの操業条件案を作成し、これら操業条件案に基づくシミュレーションを行って多数の層厚分布の予測を行うことが困難であった。そのため、予測された層厚分布の中から前記適正な層厚分布に即した形状の層厚分布を確実に得ることが難しく、その結果、適切な層厚分布を得るための操業条件を確実に導出することが困難であった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、高炉内における装入物堆積層の層厚分布を目標とする適正な層厚分布に近い分布とするための高炉の操業条件を導出する方法、及びこの方法を用いた操業条件導出装置を提供することを課題とする。
そこで、上記課題を解消すべく、本発明は、高炉内の装入物堆積層の層厚分布を目標層厚分布に近い分布にするための高炉の操業条件を導出する方法であって、前記層厚分布を調整可能なパラメータを含む操業条件である基準操業条件を設定する基準設定工程と、前記基準設定工程で設定した基準操業条件から当該基準操業条件に含まれるパラメータを変更することにより得られる多数の演算用操業条件を作成する演算用条件作成工程と、前記高炉の操業を前記基準操業条件から前記演算用条件作成工程で作成した各演算用操業条件に変更した場合にこの操業条件変更後の当該高炉内に生じる層厚分布を予測層厚分布としてそれぞれ予測する予測工程と、前記予測工程で予測した多数の予測層厚分布の中から前記目標層厚分布と分布状態が類似する1又は複数の予測層厚分布を選び、この選んだ予測層厚分布の少なくとも一部についてその予測層厚分布を前記予測工程で予測したときに用いた演算用操業条件を選択操業条件とする選択工程と、を備えることを特徴とする。尚、本発明において多数とは、選択工程において選び出される操業条件の数よりも多い数をいい、一般に、数百以上の数のことをいう。
このように高炉の操業条件を基準操業条件から変更する前に多数の演算用操業条件を作成して各演算用操業条件で当該高炉を操業したときに高炉内に生じる予測層厚分布を予測しておき、その予想結果、即ち、多数の操業条件に対応する層厚分布を予め蓄積しておけば、その中から目標層厚分布に近い層厚分布が予測された条件を検索することにより好適な操業条件が得られる。即ち、多数の操業条件に対応する層厚分布を予め予測して蓄積しておくことで、基準操業条件で操業している高炉内の装入物堆積層の層厚分布を目標層厚分布に近い分布状態(前記選択した層厚分布)とするために前記基準操業条件から変更すべき高炉の操業条件を高精度で短時間に得ることができる。
本発明に係る高炉の操業条件導出方法においては、前記選択工程は、前記多数の予測層厚分布の中から前記目標層厚分布と分布状態が類似する複数の予測層厚分布を選び、この選んだ複数の予測層厚分布を前記予測工程で予測したときに用いた演算用操業条件を候補操業条件として選択する第1の選択工程と、この第1の選択工程で選択された複数の候補操業条件の中から、前記基準操業条件からの操業条件の変更度合いの最も少ない候補操業条件を選出して前記選択操業条件とする第2の選択工程とを含むのが好ましい。
高炉の操業条件を基準操業条件から前記操業条件の変更度合いの最も少ない操業条件(選択操業条件)に変更することにより、目標層厚分布に類似する層厚分布(予測層厚分布)が高炉内に得られると共に、操業条件の変更度合いを少なくしてこの操業条件の変更による炉内状態の変動リスクを低減することができる。
前記基準操業条件及び前記演算用操業条件には複数種のパラメータが含まれ、前記演算用条件作成工程では、前記基準操業条件に含まれる複数種のパラメータの中から特定種のパラメータを変更することにより前記演算用操業条件が作成されるのが好ましい。
かかる構成によれば、不要な予測層厚分布の導出を抑制でき、変更すべき操業条件が効率よく得られる。即ち、操業条件には層厚分布を調整可能な複数種のパラメータが含まれるが、通常の操業条件の変更時にはその値を変更しない種類のパラメータも含まれているため、このような種類のパラメータを変更せずに演算用操業条件を作成することにより、不要な予測層厚分布の導出を阻止できる。
前記予測工程で予測した多数の予測層厚分布とこれら各予測層厚分布を当該予測工程で予測したときに用いた演算用操業条件との関連付けられた多数の分布・操業条件対を含むデータベースを前記選択工程の前に予め構築しておくデータベース構築工程を備え、前記選択工程では、前記目標層厚分布が与えられる度に、前記データベースに予め格納された多数の分布・操業条件対の中から前記目標層厚分布と分布状態が類似する予想層厚分布を含む分布・操業条件対を選ぶのが好ましい。
このように、データベースを構築しておくことで、選択操業条件を導出するときに、毎回、多数の演算用操業条件の作成及び各演算用操業条件で高炉の操業を行ったときの当該高炉内における堆積装入物の層厚分布の予測を行わなくてもよくなる。即ち、予めデータベースを構築しておくことで、目標層厚分布が与えられたときに、データベースの中から目標層厚分布に近い予測層厚分布を選択するだけで選択操業条件が導出される。
以上のような高炉の操業条件導出方法によれば、多数の操業条件に対応する層厚分布を予め予測して蓄積しておくことで、基準操業条件で操業している高炉内の装入物堆積層の層厚分布を目標層厚分布に近い分布状態とするために前記基準操業条件から変更すべき高炉の操業条件を高精度で短時間に得ることができる。
しかし、上記の操業条件導出方法において、前記選択工程で選択された被選択操業条件を再基準操業条件とし、この再基準操業条件に含まれる前記パラメータを変更することにより得られる多数の再演算用操業条件を作成する再演算用条件作成工程と、前記高炉の操業を前記再基準操業条件から前記再演算用条件作成工程で作成した各再演算用操業条件に変更した場合に、この操業条件変更後の当該高炉内に生じる層厚分布を再予測層厚分布としてそれぞれ予測する再予測工程と、前記再予測工程で予測した多数の再予測層厚分布の中から前記目標層厚分布と分布状態が類似する1又は複数の再予測層厚分布を選び、この選んだ再予測層厚分布の少なくとも一部についてその再予測層厚分布を前記再予測工程で予測したときに用いた再演算用操業条件を選択して再選択操業条件とする再選択工程と、をさらに備えることで、高炉内の層厚分布をより目標層厚分布に近い分布状態とするために基準操業条件から変更すべき高炉の操業条件を効率よく得ることができる。
即ち、選択工程で選択された操業条件を基にして、再演算用操業条件を作成することにより、選択工程で選択された予測層厚分布よりも目標層厚分布により近い分布状態の層厚分布(再予測層厚分布)を得ることができ、この層厚分布が予測される操業条件を検索することにより、高炉内の層厚分布を目標層厚分布により近い分布状態とするために基準操業条件から変更すべき高炉の操業条件を得ることができる。
前記再演算用条件作成工程では、前記再基準操業条件に含まれる各パラメータが当該パラメータから予め決められた所定の範囲内で変更されることが好ましい。
このように、各パラメータの変更可能な範囲が制限されることで、作成される再演算用操業条件の数が各パラメータを制限なく変更して作成する演算用操業条件の数に比べて少なくなるため、再予測工程を予測工程に比べて短時間で行うことができる。
高炉の操業条件導出方法において、前記再演算用条件作成工程と前記再予測工程と前記再選択工程とが順に繰り返され、前記再演算用条件作成工程では、前記再選択工程で選択された再選択操業条件を前記再基準操業条件として前記再演算用操業条件が作成されることで、再選択操業条件に基づく再演算用操業条件の作成が繰り返されて目標層厚分布により近い再予測層厚分布が得られ、その結果、高炉内の層厚分布を目標層厚分布により近い分布状態とするために基準操業条件から変更すべき高炉の操業条件を得ることができる。
前記再選択工程は、前記多数の再予測層厚分布の中から前記目標層厚分布と分布状態が類似する複数の再予測層厚分布を選び、この選んだ複数の再予測層厚分布を前記再予測工程で予測したときに用いた再演算用操業条件を再候補操業条件として選択する第1の再選択工程と、この第1の再選択工程で選択された複数の再候補操業条件の中から、前記再基準操業条件からの操業条件の変更度合いの最も少ない再候補操業条件を選出して前記再選択操業条件とする第2の再選択工程とを含むのが好ましい。
高炉の操業条件を再基準操業条件から前記操業条件の変更度合いの最も少ない操業条件(再選択操業条件)に変更することにより、目標層厚分布に類似する層厚分布(再予測層厚分布)が高炉内に得られると共に、操業条件の変更度合いを少なくしてこの操業条件の変更による炉内状態の変動リスクを低減することができる。
また、上記課題を解消すべく、本発明は、高炉内の装入物堆積層の層厚分布を目標層厚分布に近い分布にするための前記高炉の操業条件を導出する装置であって、前記層厚分布を調整可能なパラメータを含む操業条件である基準操業条件が設定されることによって、この設定された基準操業条件に含まれるパラメータを変更することにより得られる多数の演算用操業条件を作成して格納する演算用条件作成手段と、前記高炉の操業を前記基準操業条件から前記演算用条件作成手段で作成した各演算用操業条件に変更した場合にこの操業条件変更後の当該高炉内に生じる層厚分布を予測層厚分布としてそれぞれ予測して格納する予測手段と、前記予測手段で予測した多数の予測層厚分布の中から前記目標層厚分布と分布状態が類似する1又は複数の予測層厚分布を選び、この選んだ予測層厚分布を前記予測手段で予測したときに用いた演算用操業条件を選択操業条件とする選択手段と、この選択手段によって選択された選択操業条件を外部に出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
このように高炉の操業条件を基準操業条件から変更する前に多数の演算用操業条件を作成して各演算用操業条件で当該高炉を操業したときに高炉内に生じる予測層厚分布を予測しておき、その予想結果、即ち、多数の操業条件に対応する層厚分布を予め蓄積しておけば、その中から目標層厚分布に近い層厚分布が予測された条件を検索することにより好適な操業条件が得られる。換言すると、多数の操業条件に対応する層厚分布を予め予測して蓄積しておくことで、基準操業条件で操業している高炉内の装入物堆積層の層厚分布を目標層厚分布に近い分布状態(前記選択した層厚分布)とするために前記基準操業条件から変更すべき高炉の操業条件を高精度で短時間に得ることができる。
また、選択手段によって選択された演算用操業条件が出力手段によって出力されることにより、高炉の操業者等が迅速且つ的確に目的とする操業条件を取得することが可能となる。
本発明に係る高炉の操業条件導出装置においては、前記予測手段は、前記高炉の操業を前記基準操業条件から前記演算用条件作成手段で作成した各演算用操業条件に変更した場合にこの操業条件変更後の当該高炉内に生じる層厚分布を予測層厚分布としてそれぞれ予測する予測部と、この予測部で予測した多数の予測層厚分布とこれら各予測層厚分布を当該予測部で予測したときに用いた演算用操業条件とを関連付けて分布・操業条件対として格納するデータベース部とを有し、前記選択手段は、前記層厚分布が与えられることにより前記データベース部から前記目標層厚分布と分布状態が類似する予想層厚分布を含む分布・操業条件対を選ぶのが好ましい。
かかる構成によれば、多数の分布・操業条件対がデータベース部に格納されることで、選択操業条件を導出するときに、毎回、多数の演算用操業条件の作成と各演算用操業条件で高炉の操業を行ったときの当該高炉内における堆積装入物の層厚分布の予測を行わなくてもよくなる。即ち、予めデータベース部に多数の分布・操業条件対が格納されることで、目標層厚分布が与えられたときに、データベースの中から目標層厚分布に近い予測層厚分布を選択するだけで選択操業条件が導出される。
前記出力手段は、前記選択手段で選択された選択操業条件と共にこの選択操業条件に対応する予測層厚分布を出力するのが好ましい。
かかる構成によれば、高炉の操業者等が変更すべき操業条件と共に操業条件変更後の層厚分布を迅速且つ的確に取得することができる。
さらに、前記予測手段では、前記操業条件変更後の高炉内に生じる予測層厚分布と共に当該予測層厚分布を有する装入物堆積層の予測層上面形状が予測され、前記出力手段は、前記選択手段で選択された選択操業条件、この選択操業条件に対応する予測層厚分布及びこの予測層厚分布に対応する予測層上面形状を出力するのがより好ましい。
かかる構成によれば、変更すべき操業条件及び操業条件変更後の層厚分布に加え、高炉の安定操業において重要な指標の1つである操業条件変更後の層上面形状(いわゆる表面プロフィール)も高炉の操業者等が迅速且つ的確に取得することが可能となる。
前記選択手段で選択された複数の選択操業条件に対して、前記基準操業条件からの操業条件の変更度合いの少ない順に順位付けを行う順位付け手段をさらに備え、前記出力手段は、前記選択手段で選択された各選択操業条件を順位付け手段における順位が付された状態で出力するのが好ましい。
かかる構成によれば、高炉の基準操業条件からの変更後の操業条件の候補が複数出力され、この中から操業者等が操業条件を採択することが可能となる。即ち、当該装置によって目標層厚分布に近い分布の層厚分布が得られる複数の操業条件候補が提示され、高炉の操業者等により、前記出力された情報等に基づいて変更後の操業条件が最終決定される。
以上のような高炉の操業条件導出装置によれば、多数の操業条件に対応する層厚分布を予め予測して蓄積しておくことで、基準操業条件で操業している高炉内の装入物堆積層の層厚分布を目標層厚分布に近い分布状態とするために前記基準操業条件から変更すべき高炉の操業条件を高精度で短時間に得ることができる。
しかし、上記の操業条件導出装置において、前記選択操業条件を再基準操業条件として、当該再基準操業条件に含まれるパラメータを変更することにより得られる多数の再演算用操業条件を作成して格納する再演算用条件作成手段と、前記高炉の操業を前記再基準操業条件から前記再演算用作成手段で作成した各再演算用操業条件に変更した場合にこの操業条件変更後の当該高炉内に生じる層厚分布を再予測層厚分布としてそれぞれ予測して格納する再予測手段と、前記再予測手段で予測した多数の再予測層厚分布の中から前記目標層厚分布と分布状態が類似する1又は複数の再予測層厚分布を選び、この選んだ再予測層厚分布を前記再予測手段で予測したときに用いた再演算用条件を再選択操業条件とする再選択手段とをさらに備え、前記出力手段は、前記再選択手段によって前記再選択操業条件の選択が行なわれた場合には、前記再選択操業条件を外部に出力することで、高炉内の層厚分布をさらに目標層厚分布に近い分布状態とするために基準操業条件から変更すべき高炉の操業条件を短時間で得ることができる。
即ち、再条件作成手段において、選択手段で選択された操業条件を基にして再演算用操業条件を作成することにより、選択手段で選択された予測層厚分布よりも目標層厚分布により近い分布状態の層厚分布(再予測層厚分布)を得ることができ、この層厚分布が予測される操業条件を検索することにより、高炉内の層厚分布を目標層厚分布により近い分布状態とするために基準操業条件から変更すべき高炉の操業条件を得ることができる。
前記再演算用条件作成手段では、前記基準操業条件に含まれる各パラメータが当該パラメータから予め決められた所定の範囲内で変更されるのが好ましい。
このように、各パラメータの変更可能な範囲が制限されることで、作成される再演算用操業条件の数が各パラメータを制限なく変更して作成する演算用操業条件の数に比べて少なくなるため、再予測手段での再予測層厚分布の予測時間が、予測手段での予測層厚分布の予測時間よりも短くなる。
前記再選択手段で選択された複数の再選択操業条件に対して、前記再基準操業条件からの操業条件の変更度合いの少ない順に順位付けを行う再順位付け手段を有し、前記出力手段は、再選択手段で選択された各再選択操業条件を再順位付け手段における順位が付された状態で出力するのが好ましい。
かかる構成によれば、高炉の再基準操業条件からの変更後の操業条件の候補が複数出力され、この中から操業者等が操業条件を採択することが可能となる。即ち、当該装置によって目標層厚分布に近い分布の層厚分布が得られる複数の操業条件候補が提示され、高炉の操業者等により、前記出力された情報等に基づいて変更後の操業条件が最終決定される。
以上より、本発明によれば、高炉内における装入物堆積層の層厚分布を目標とする適正な層厚分布に近い分布とするための高炉の操業条件を予測する方法、及びこの方法を用いた操業条件予測装置を提供することができる。
以下、本発明の第1実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
高炉の操業条件導出装置(以下、単に「導出装置」とも称する。)は、高炉内の装入物堆積層の層厚分布を目標とする層厚分布(目標層厚分布)に近い分布にするための高炉の操業条件を導出するものである。具体的には、図1に示されるように、導出装置10は、装置本体20と、この装置本体20にデータ(情報)を入力する入力手段12と、装置本体20からのデータ(情報)を外部に出力する出力手段14とを備える。装置本体20は、入力されたデータに基づき高炉の操業条件を導出して出力するものあり、条件作成手段(演算用条件作成手段)22と、予測手段(予測部)24と、選択手段26と、データベース28とを有する。
入力手段12は、装置本体20に複数種のデータを入力することができる。具体的に、入力手段12は、キーボードにより構成され、条件作成手段22と選択手段26とに接続されている。そのため、入力手段12は、現在の高炉の操業条件(基準操業条件)を条件作成手段22に入力することができると共に、目標とする層厚分布(目標層厚分布)を選択手段26に入力することができる。尚、本実施形態の入力手段12は、キーボードにより構成されているが、タッチパネル等の他の入力手段でもよい。また、導出装置10は、入力手段12を備えず、高炉の制御等に用いられるコンピュータ等から装置本体20に情報が直接入力されるように構成されてもよい。また、条件作成手段22及び選択手段26に共通の入力手段12が接続され、この共通の入力手段12によりそれぞれデータが入力される必要もない。即ち、条件作成手段22と選択手段26とに個別の入力手段12が接続され、各入力手段12からそれぞれデータが入力されてもよい。
操業条件とは、高炉内の装入物堆積層の層厚分布を調整可能なパラメータを含むものである。本実施形態の操業条件には、高炉へのコークスの装入量(投入量)、高炉への鉱石の装入量(投入量)、分配シュート(旋回シュート)の傾動ポイント(以下、単に「傾動ポイント」とも称する。)、サウンジングレベル等がパラメータとして含まれる。尚、本実施形態では、高炉がベルレス式高炉であるため、操業条件のパラメータの1つとして傾動ポイントが含まれているが、ベルアーマ式高炉であれば傾動ポイントの代わりにムーバルアーマの押出し量(ノッチ)が含まれる。
条件作成手段22は、基準操業条件に含まれるパラメータを変更することにより得られる多数の演算用の操業条件(演算用操業条件)を作成するものである。具体的に、条件作成手段22は、入力手段12により入力された基準操業条件から多数の演算用操業条件を作成し、この作成した多数の演算用操業条件を出力信号としてデータベース28に出力する。詳細には、条件作成手段22は、基準操業条件に含まれる複数種のパラメータの中から特定種のパラメータを変更することにより得られる演算用操業手段を作成する。本実施形態では、特定種のパラメータとして傾動ポイントのみが変更される。即ち、条件作成手段22は、基準操業条件のパラメータのうちのコークスの装入量、鉱石の装入量、サウンジングレベル等を一定としたまま、傾動ポイントのみを変更することにより基準操業条件から演算用操業条件を作成する。この傾動ポイントの変更はランダムに行われる。また、条件作成手段22は、入力手段12により入力された基準操業条件も出力信号としてデータベース28に出力する。尚、条件作成手段22において変更されるパラメータは限定されない。例えば、本実施形態では、傾動ポイントのみが変更されるが、サウンジングレベル等の他のパラメータがそれぞれ単独で変更されてもよく、複数種のパラメータが同時に変更されてもよい。
予測手段24は、高炉の操業を基準操業条件から条件作成手段22で作成した各演算用操業条件に変更した場合に、この操業条件変更後の当該高炉内に生じる層厚分布を予測層厚分布としてそれぞれ予測(算出)するものである。また、予測手段24は、操業条件変更後の予測層厚分布と共に当該予測層厚分布を有する装入物堆積層の上面の形状(予測層上面形状)も予測(算出)する。
具体的に、予測手段24は、データベース28から当該データベース28に格納されている基準操業条件及び各演算用操業条件を取得し、これら基準操業条件と各演算用操業条件とに基づいて操業条件の変更に伴う高炉内の状態(例えば、装入物堆積層の状態等)の変化を演算し、この演算結果を出力信号としてデータベース28に出力する。より具体的に、予測手段24は、基準操業条件と各演算用操業条件とに基づいて操業条件変更後に高炉内に生じる装入物堆積層の層厚分布(予測層厚分布)、層上面形状(予測層上面形状)等を予測し、これら演算結果をデータベース28に蓄積(出力)する。尚、本実施形態の予測手段24は、操業条件変更後の高炉内の状態等を演算により算出し、算出した結果に基づき予測層厚分布と予測層上面形状とを予測しているが、他にガス流速分布、粒径分布、空げき率分布等を算出(予測)するように構成されてもよい。
また、予測手段24は、高炉を基準操業条件で操業し続けた場合にこの高炉内に生じる層厚分布(基準層厚分布)も予測する。この基準層厚分布は、高炉の操業者等が目標層厚分布を設定する際の一つの指針とできるよう、出力手段14によって外部に出力される。
選択手段26は、条件作成手段22により作成された多数の演算用操業条件の中から所定の演算用操業条件を選択して選択操業条件とするものである。具体的に、選択手段26は、第1工程部26aと第2工程部(順位付け手段)26bとを有する。第1工程部26aは、入力手段12によって入力された目標層厚分布と分布状態が類似する複数の予測層厚分布をデータベース28に格納されている多数の予測層厚分布の中から選び、選んだ複数の予測層厚分布を予測手段24が予測したときに用いた演算用操業条件を候補操業条件としてデータベース28に格納された多数の演算用操業条件の中からそれぞれ選択して取得する部位である。第2工程部26bは、第1工程部26aで選択された複数の候補操業条件の中から、基準操業条件からの操業条件の変更度合いの最も少ない候補操業条件を選択する部位である。具体的には、第2工程部2bは、第1工程部26aで選択された複数の候補操業条件に対して前記変更度合いの少ない順に順位付けし、この中から最も変更度合いの少ない候補操業条件を選択して選択操業条件とする。このように基準操業条件からの操業条件の変更度合いの大小に関する順位付けされた複数の候補操業条件(選択操業条件を含む)は、第2工程部26bにより出力信号として出力手段14に出力される。
データベース28は、データを出し入れ自由に格納するものであり、条件作成手段22と予測手段24と選択手段26とに接続されている。このデータベース28は、各手段22,24,26から出力される出力信号を受信することにより、各操業条件や予測層厚分布等を内部に格納する。このように格納された各種データは、接続されている各手段22,24,26からの求めに応じ出力信号として各手段22,24,26に送信される。尚、本実施形態では、条件作成手段22と予測手段24と選択手段26とが共通のデータベース28にデータを格納するが、これに限定されない。即ち、各手段22,24,26に個別のデータベース28が接続されてもよい。
出力手段14は、装置本体20からのデータを外部に出力するものである。この出力手段14は、選択手段26により選択された候補操業条件や選択操業条件、これら操業条件に対応する予測層厚分布、及びこの予測層厚分布に対応する予測層上面形状等を出力する。本実施形態においては、出力手段14として、CRTディスプレイが用いられる。しかし、これに限定されず、FPD等の他の表示手段であってもよく、印字手段等であってもよい。また、これらを組み合わせたものであってもよい。
本実施形態に係る導出装置10は、以上の構成からなり、次に、この導出装置10の作用について図2乃至図7も参照しつつ説明する。
入力手段12により、条件作成手段22に高炉の現在の操業条件(基準操業条件)が入力される(ステップS1)。前記のように基準操業条件には、パラメータとしてコークスの装入量、鉱石の装入量、傾動ポイント、サウンジングレベル等が含まれる。この基準操業条件のパラメータのうち、本実施形態で値を変化させる傾動ポイントを具体的に図3に示す。ここで傾動ポイントとは、旋回しながら装入物を高炉内に装入する樋状の旋回シュートの傾動角を表すものであり、予め指定された旋回シュートの傾動角をユニークな番号として表現したものである。本実施形態の高炉では、傾動ポイントは、1ポイントから20ポイントまで設定されている。20ポイントでは旋回シュートが垂直に近い状態であり、ポイントが小さくなるに伴って旋回シュートが水平に近づき、1ポイントでは最も水平に近い状態となる。また、図3のコークス傾動ポイントとは、各旋回におけるコークス装入時の旋回シュートの傾動ポイントのことであり、鉱石傾動ポイントとは、各旋回における鉱石装入時の旋回シュートの傾動ポイントのことである。
基準操業条件が条件作成手段22に入力されると、データベース28に前回のデータが残っていた場合にはこのデータが消去され、残っていなかった場合は、そのまま次のステップへ移る(ステップS2)。
条件作成手段22では、基準操業条件から多数の演算用操業条件が作成される(ステップS3)。具体的に、条件作成手段22は、入力手段12から入力された基本操業条件のパラメータのうちの傾動ポイントのみを変更して演算用操業条件を作成する。このとき、条件作成手段22では、基本操業条件の傾動ポイントがランダムに設定され、シュート旋回順に小さい値から並べられる(例えば、図5(a)及び図5(b)のケース1〜5を参照)。このように条件作成手段22で作成された演算用操業条件は、出力信号として順次データベース28に送信される。
データベース28に演算用操業条件が格納されると、予測手段24によって順次引き出され、当該予測手段24において各演算用操業条件から予測層厚分布が予測される、即ち、各演算用操業条件を用いたシミュレーションにより予測層厚分布が予測される(ステップS4)。このとき、本実施形態の予測手段24では、予測層厚分布と共にこの予測層厚分布を有する装入物堆積層の上面の形状(予測層上面形状)も予測される。これら予測された予測層厚分布及びこの予測層厚分布に対応する予測層上面形状は、順次データベース28に送信され、互いに関連付けられた状態で蓄積される。また、予測層厚分布を予測したときに用いた演算用操業条件も、これら予測層厚分布及び予測層上面形状に関連付けられ、当該予測層厚分布及び予測層上面形状と共にデータベース28に格納される。データベース28に所定の件数(例えば、数十万件)の予測層厚分布及び予測層上面形状が蓄積されるまでステップS3及びステップS4が繰り返される(ステップS5)。
ステップS3〜ステップS5と並行して、基準操業条件を続けた場合に高炉内で生じる層厚分布(基準層厚分布)を予測手段24によって予測(シミュレーション)する(ステップS3a)。この基準層厚分布は、出力手段14によって表示(出力)される(図4の四角印を参照)。この表示に基づき、操業者等が目標とする層厚分布(目標層厚分布)を設定する(ステップS4a)。具体的に、基準操業条件で高炉の操業を続けると、図4に示すように、炉壁近傍の鉱石の層厚が厚くなり炉壁近傍の通気性が悪くなるとする結果が予測手段24により予測された。そこで、操業者等がこの表示に基づき目標とする層厚分布を決定し(図4のグラフ中の丸印を参照)、入力手段12から選択手段26に入力する。尚、本実施形態では、炉半径が1m〜3.9mの範囲で望ましいと考えられる層厚分布を指定しているが、炉半径0m〜1mまでは基準層厚分布と同じとなるため指定を省略している。
データベース28に所定の件数の予測層厚分布及び予測層上面形状が蓄積され、且つ目標層厚分布が設定されると、データベース28に蓄積された多数の予測層厚分布の中から、選択手段26によって変更すべき高炉の操業条件が選択される(ステップS6〜ステップS8)。
具体的に、先ず、選択手段26の第1工程部26aがデータベース28に蓄積された多数の予測層厚分布の中から、目標層厚分布と比べて一定の範囲内の予測層厚分布のみを引き出す。詳細には、第1工程部26aは、目標層厚分布及びこの目標層厚分布と比較する予測層厚分布を図4のグラフ(鉱石層及びコークス層を合わせた層厚(LO+LC)に対する鉱石層(LO)の層厚比のグラフ)のようにグラフ化し、目標層厚分布のグラフを中心にその上下の一定幅の範囲内(例えば上下にそれぞれ10%の範囲内等)に入る予測層厚分布を取得する(ステップS6)。
このようにして予測層厚分布の数を絞った上で、前記取得した一定の範囲内の各予測層厚分布と目標層厚分布とを比較して、その誤差値Eをそれぞれ算出する。この誤差値Eは、両層厚分布を前記層厚比を用いてグラフ化したときに、その形状の類似度合の指標となる値である。具体的には、以下の式(1)により算出される値である。
このようにして前記一定の範囲内の全ての予測層厚分布に対する誤差値Eが算出されると、第1工程部26aは、算出された各誤差値Eを比較して小さい順に5つの誤差値Eを選び、これらの誤差値Eを算出するときに用いられた予測層厚分布をそれぞれ導出する。そして、第1工程部26aは、この導出した各予測層厚分布に対応する、即ち、各予測層厚分布が予測手段24で予測されたときに用いられた演算用操業条件をデータベース28から候補操業条件として取得する(ステップS7)。具体的には、図5(a)及び図5(b)に示すケース1乃至5のような候補操業条件が得られた。
次に、第1工程部26aで得られた5つの候補操業条件が、第2工程部26bにおいて、基準操業条件からの操業条件の変更度合いの少ない順に順位付けされ、基準操業条件からの前記変更度合いの最も少ない候補操業条件が選択操業条件として第2工程部により選ばれる(ステップS8)。具体的には、以下の式(2)の値Dが最も小さくなる候補操業条件が第2工程部26bにより選ばれる。図5(a)及び図5(b)においては、ケース5の候補操業条件が最も値Dが小さくなる。
以上のようにして選択或いは算出された各種データが出力手段14によって表示される(ステップS9)。具体的には、図5(a)及び図5(b)に示す誤差値Eの小さい5つの候補操業条件(選択操業条件を含む)及び基準操業条件、図6に示す前記5つの候補操業条件に対応する予測層厚分布を層厚比を用いてグラフ化したもの、図7に示す前記5つの候補操業用条件に対応する予測層上面形状(プロフィール)、前記5つの候補操業条件に対応する各誤差値E及び各値Dが表示される。そして第2工程部に選択された値Dが最も小さい選択操業条件には操業者等が分り易いように目印等が付される。
これら出力手段14に表示された各結果に基づき、操業者等は、値Dの最も小さな選択操業条件を選び、高炉の操業条件を現在の基準操業条件から前記選択した操業条件に変更する。これにより、高炉内の装入物堆積層は、選択した操業条件に対応する予測厚分布となり、また、この予測層厚分布に対応する予測層上面形状となる。
以上のような導出装置10によれば、高炉の操業条件を基準操業条件から変更する前に多数の演算用操業条件を作成して各演算用操業条件で当該高炉を操業したときに高炉内に生じる予測層厚分布を予測しておき、その予想結果、即ち、多数の操業条件に対応する層厚分布を予め蓄積しておけば、その中から目標層厚分布に近い層厚分布が予測された条件を検索することにより好適な操業条件が得られる。即ち、多数の操業条件に対応する層厚分布を予め予測して蓄積しておくことで、基準操業条件で操業している高炉内の装入物堆積層の層厚分布を目標層厚分布に近い分布状態(前記選択した層厚分布)とするために前記基準操業条件から変更すべき高炉の操業条件を高精度で短時間に得ることができる。
第1工程部26aで選択した複数の予測層厚分布に対応する各候補操業条件の中から、誤差値Eの小さなものを選択することにより、目標層厚分布に類似する層厚分布(予測層厚分布)が高炉内に得られる。
さらに、上記複数の条件より第2工程部26bで値Dが最も小さな選択操業条件を選択することにより、高炉の操業条件を基準操業条件から前記採択した選択操業条件に変更することにより、基準操業条件での操業時の層厚分布から操業条件変更後の予測層厚分布への高炉内の層厚分布変化の過渡期に生じる炉内状態の変動リスクも低減することができる。
基準操業条件に含まれる複数種のパラメータの中から特定種のパラメータ(本実施形態では傾動ポイント)を変更することによって演算用操業条件を作成することで、不要な予測層厚分布の導出を抑制でき、変更すべき操業条件が効率よく得られる。即ち、操業条件には層厚分布を調整可能な複数種のパラメータが含まれるが、通常の操業条件の変更時にはその値を変更しない種類のパラメータも含まれているため、このような種類のパラメータを変更せずに演算用操業条件を作成することにより、不要な予測層厚分布の導出を阻止できる。
選択手段26によって選択された候補操業条件や選択操業条件が出力手段14によって出力されることにより、高炉の操業者等が迅速且つ的確に目的とする操業条件を取得することが可能となる。即ち、選択手段26によって選択された複数の候補操業条件(選択操業条件を含む)、これら各操業条件に対応する予測層厚分布及びこの予測層厚分布に対応する予測層上面形状が出力手段14に表示(出力)されることにより、操業者等が層厚分布以外の要素も考慮して変更後の操業条件を選択し易くなる。しかも、本実施形態では、出力手段14がCRTディスプレイであるため、操業者等が出力手段14に表示される情報を視覚的に把握でき、これにより迅速且つ的確に目的とする操業条件を取得できる。
データベース28に、多数の演算用操業条件と各演算用操業条件に対応する予測層厚分布とを関連付けた情報が格納されることで、選択操業条件を導出するときに、毎回、多数の演算用操業条件の作成と各演算用操業条件で高炉の操業を行ったときの当該高炉内における堆積装入物の層厚分布の予測を行わなくてもよくなる。即ち、予めデータベース28に多数の演算用操業条件と各演算用操業条件に対応する予測層厚分布とを関連付けた情報が格納されることで、目標層厚分布が与えられたときに、データベース28の中から目標層厚分布に近い予測層厚分布を選択するだけで選択操業条から変更すべき高炉の操業条件を得ることができる。
次に、本発明の第2実施形態について図8を参照しつつ説明するが、上記第1実施形態と同様の構成には同一符号を用いると共に詳細な説明を省略し、異なる構成ついてのみ詳細に説明する。
本実施形態に係る導出装置110は、第1実施形態よりも高炉内の装入物堆積層の層厚分布を高い精度で目標層厚分布に近い分布状態にするための高炉の操業条件を効率よく導出することができる。即ち、導出装置110は、選択手段26で選択された操業条件を基に当該操業条件に含まれる各パラメータを変更して多数の操業条件を作成することにより、選択手段26で選択された予測層厚分布よりも目標層厚分布により近い分布状態の層厚分布を得ることができ、この層厚分布が予測される操業条件を検索することにより、高炉内の層厚分布を目標層厚分布により近い分布状態とするために基準操業条件から変更すべき高炉の操業条件(再選択操業条件)を得ることができる。
具体的に、導出装置110は、入力手段12と、装置本体30と、出力手段14とを備え、この装置本体30は、検索部30aと探索部30bとを備える。検索部30aは、第1実施形態の装置本体20と同様に構成され、条件作成手段22と予測手段24と選択手段26とデータベース28とを有し、選択手段26は、第1工程部26aと第2工程部26bとを有する。
探索部30bは、再条件作成手段(再演算用条件作成手段)32と再予測手段34と再選択手段36とデータベース28とを有する。このデータベース28には、再条件作成手段32と再予測手段34と再選択手段36とが接続されている。本実施形態では、検索部30aのデータベースと探索部30bとのデータベースとが共通のデータベース28により構成されているが、検索部30aと探索部30bとが個別にデータベースを有していてもよい。また、再条件作成手段32と再予測手段34と再選択手段36とが個別のデータベースを有していてもよい。本実施形態のデータベース28は、装置本体30における他の構成要素の記憶部(格納手段)も兼ねている。
再条件作成手段32は、選択手段26(詳しくは、第2工程部26b)によって選出された選択操業条件を再基準操業条件とし、この再基準操業条件を基にして多数の再演算用操業条件を作成するものである。具体的に、再条件作成手段32は、選択手段26の第2工程部26bから受信した再基準操業条件(選択操業条件)に含まれるパラメータを変更することにより再演算用操業条件を作成する。即ち、この再条件作成手段32は、目標層厚分布に近い層厚分布が得られる操業条件として一旦導出された操業条件をベースとし、さらにこの操業条件に含まれるパラメータを変更して多数の再演算用操業条件を作成することによって、前記導出された操業条件に対応する層厚分布に比べて目標層厚分布にさらに近い層厚分布を高炉内に生じさせる操業条件(再演算用操業条件)を取得することを可能にする。
また、再条件作成手段32は、再基準操業条件に含まれる各パラメータを当該パラメータから予め決められた所定の範囲内で変更することにより、再基準操業条件から再演算用操業条件を作成する。所定の範囲内でパラメータを変更させることで、再条件作成手段32では基準操業条件に対応する層厚分布に近い分布状態の層厚分布を高炉内に生じさせる再演算用操業条件が効率よく作成される。また、このようにパラメータの変更範囲が制限されることで、作成された再演算用操業条件に高炉の操業条件を変更しても、変更の前後での表面プロフィールの変化が少なくなる。
また、再条件作成手段32は、当該導出装置110において、再基準操業条件から多数の再演算用操業条件を作成し、この再演算用操業条件の中から再選択操業条件を選択する動作が繰り返し行われる場合には、再選択手段36で選択された再選択操業条件を取得し、これを再基準操業条件として再演算用操業条件を作成する。これにより、当該導出装置110では、再基準操業条件から再選択操業条件を導出する工程を繰り返すことが可能となる。再条件作成手段32では、前記工程が繰り返される毎に、目標層厚分布により近い層厚分布を高炉内に生じさせる操業条件が作成される。
この再条件作成手段32は、第1実施形態の導出装置10や検索部30aの条件作成手段22と同様に、再基準操業条件に含まれる複数種のパラメータの中から特定種のパラメータを変更することにより再演算用操業条件を作成する。そのため、再条件作成手段32においても、不要な層厚分布の予測を抑制でき、変更すべき操業条件が効率よく得られる。即ち、操業条件には層厚分布を調整可能な複数種のパラメータが含まれるが、通常の操業条件の変更時にはその値を変更しない種類のパラメータも含まれているため、このような種類のパラメータを変更せずに再演算用操業条件を作成することにより、不要な層厚分布の予測を阻止できる。
本実施形態の再条件作成手段32では、特定種のパラメータとして傾動ポイントのみが変更され、その変更範囲が3ポイント以内に設定されている。尚、再条件作成手段32においても、第1実施形態の導出装置10や検索部30aの条件作成手段22と同様に、変更されるパラメータは限定されない。
再条件作成手段32は、このように作成された再演算用操業条件を出力信号としてデータベース28に出力する。
再予測手段34は、高炉の操業を再基準操業条件から再条件作成手段32で作成した各再演算用操業条件に変更した場合に、この操業条件変更後の当該高炉内に生じる層厚分布を再予測層厚分布としてそれぞれ予測(算出)するものである。再予測手段34では、再条件作成手段32において作成された各再演算用操業条件に対応する再予測層厚分布を予測するため、多数の再予測層厚分布が予測される。一度、目標層厚分布に近い層厚分布を高炉内に生じさせる操業条件として導出された再基準操業条件から、再条件作成手段32においてこの再基準操業条件に含まれるパラメータを変更して再演算用操業条件が作成されているため、再予測手段34において予測された再予測層厚分布の中には、再基準操業条件に対応する層厚分布に比べて目標層厚分布により近い分布状態の層厚分布が含まれる。
また、再予測手段34は、操業条件変更後の再予測層厚分布と共に当該再予測層厚分布を有する装入物堆積層の上面の形状(再予測層上面形状)も予測する。尚、再予測手段34は、予測手段24同様、再予測層厚分布と再予測層上面形状との他に、ガス流速分布、粒径分布、空げき率分布等を予測(算出)するように構成されてもよい。
再選択手段36は、再条件作成手段32により作成された多数の再演算用操業条件の中から所定の再演算用操業条件を選択して再選択操業条件とするものである。具体的に、再選択手段36は、目標層厚分布と分布状態が最も近い再予測層厚分布をデータベース28の中から選び、この再予測層厚分布に対応する再演算用操業条件を取得して再選択操業条件とする。このようにして選択された再選択操業条件は、再選択手段36により、出力手段14又は再条件作成手段32に出力される。
尚、再選択手段36は、検索部30aの選択手段26と同様に、第1工程部26aと第2工程部26bとに相当する部位を含む構成であってもよい。即ち、再選択手段36は、多数の再予測層厚分布の中から目標層厚分布と分布状態が類似する複数の再予測層厚分布を選び、この選んだ複数の再予測層厚分布を再予測手段で予測したときに用いた再演算用操業条件を再候補操業条件として選択する部位と、この部位で選択された複数の再候補操業条件の中から、再基準操業条件からの操業条件の変更度合いD(式(2)参照)の最も少ない再候補操業条件を選出して再選択操業条件とする部位とを含む構成でもよい。このように高炉の操業条件を再基準操業条件から操業条件の変更度合いDの最も少ない操業条件に変更することにより、目標層厚分布に類似する層厚分布が高炉内に得られると共に、操業条件の変更による炉内状態の変動リスクを低減することができる。
本実施形態に係る導出装置110は、以上の構成からなり、次に、この導出装置110の作用について図9乃至図12も参照しつつ説明する。
本実施形態の導出装置110においても、第1実施形態と同様に、ステップS1からステップS8までが行われる。
具体的に、入力手段12によって条件作成手段22に基準操業条件(図3参照)が入力される(ステップS1)。基準操業条件が入力されると、データベース28に前回のデータが残っていた場合にはこのデータが消去され、残っていなかった場合は、そのまま次のステップへ移る(ステップS2)。条件作成手段22では、基準操業条件から当該基準操業条件に含まれるパラメータがランダムに変更されて多数の演算用操業条件が作成される(ステップS3)。本実施形態においては、例えば、1280000個の演算用操業条件が作成される(図11の条件選択1回目のシミュレーション回数の欄を参照)。条件作成手段22で作成された演算用操業条件は、出力信号として順次データベース28に送信される。
データベース28に演算用操業条件が格納されると、予測手段24によって各演算用操業条件から予測層厚分布がそれぞれ予測される(ステップS4)。本実施形態の予測手段24では、予測層厚分布と共にこの予測層厚分布を有する装入物堆積層の上面の形状(予測層上面形状)も予測され、互いに関連付けられた状態でデータベース28に格納される。データベース28に所定の件数(本実施形態の場合、ステップS3で作成された演算用操業条件の数(1280000個:図11参照))の予測層厚分布及び予測層上面形状が蓄積されるまでステップS3及びステップS4が繰り返される(ステップS5)。
ステップS3〜ステップS5と並行して、基準層厚分布が予測手段24によって予測され(ステップS3a)、この基準層厚分布に基づき、操業者等が目標とする層厚分布(目標層厚分布)を設定する(ステップS4a)。
データベース28に所定の件数の予測層厚分布及び予測層上面形状が蓄積され、且つ目標層厚分布が設定されると、データベース28に蓄積された多数の予測層厚分布の中から、選択手段26によって変更すべき高炉の操業条件(選択操業条件)が選択される(ステップS6〜ステップS8)。
本実施形態の導出装置110は、高炉内の層厚分布を第1実施形態の導出装置10と同程度の精度で目標層厚分布に近い分布状態にするための高炉の操業条件を導出する場合には、ステップS8までに選択或いは算出された各種データを出力手段14に表示させて(ステップS16)終了し、第1実施形態の導出装置10と比べてより高い精度で目標層厚分布に近い分布状態にするための高炉の操業条件を導出する場合には、次のステップに進む(ステップS10)。
次に、再条件作成手段32は、第2工程部26bで選択された選択操業条件を再基準操業条件として取得し、この再基準操業条件を基にして多数の再演算用操業条件を作成する(ステップS11)。具体的に、本実施形態の再条件作成手段32は、例えば、第2工程部26bにおいて選択操業条件とされた図5(a)、図5(b)、図6及び図7のケース1を再基準操業条件として取得し、この再基準操業条件に含まれるパラメータを所定の範囲内(本実施形態では傾動ポイントを3ポイント以内)で変更することにより9865個(図11の条件選択1回目と2回目とのシミュレーション回数の差)の再演算用操業条件を作成する。このとき、目標層厚分布に近い層厚分布が得られる操業条件として検索部30aにおいて導出された選択操業条件に基づき、この選択操業条件に含まれるパラメータを変更して多数の再演算用操業条件が作成されることで、前記の選択操業条件に対応する層厚分布に比べて目標層厚分布により近い層厚分布を高炉内に生じさせる操業条件(演算用操業条件)が得られる。
このようの再条件作成手段32で作成されて再演算用操業条件は、出力信号として順次データベース28に送信される。
データベース28に再演算用操業条件が格納されると、再予測手段34によって順次引き出され、当該再予測手段34において各再演算用操業条件から再予測層厚分布が予測される(ステップS12)。このとき、再予測手段34では、予測手段24と同様に、再予測層厚分布と共にこの再予測層厚分布を有する装入物堆積層の上面の形状(再予測層上面形状)も予測される。これら再予測層厚分布とこの再予測層厚分布に対応する再予測層上面形状とは、互いに関連付けられて順次データベース28に送信される。また、再予測層厚分布を予測したときに用いた再演算用操業条件も、これら再予測層厚分布及び再予測層上面形状に関連付けられてデータベース28に格納される。
全ての再演算用操業条件(本実施形態では、例えば、9865個の再演算用操業条件)に対応する再予測層厚分布が予測され、データベース28に格納されると、再選択手段36によって所定の再演算用操業条件(再選択操業条件)が選択される(ステップS13〜ステップS15)。
具体的に、再選択手段36は、再予測手段34によって予測された各再予測層厚分布と目標層厚分布とを比較して、その誤差値E(式(1)参照)をそれぞれ算出する(ステップS13)。
全ての再予測層厚分布に対する誤差値Eが算出されると、再選択手段36は、算出された各誤差値Eを比較して最も小さい誤差値Eを選び、この誤差値Eを算出するときに用いられた再予測層厚分布を導出する。そして、再選択手段36は、この導出した再予測層厚分布に対応する、即ち、この再予測層厚分布が再予測手段34で予測されたときに用いられた再演算用操業条件をデータベース28から再選択操業条件として取得する(ステップS14)。
再選択手段36は、最初に誤差値Eを算出したときには、最も小さな誤差値Eを選んで、この誤差値Eに対応する再選択操業条件をデータベース28から取得して再条件作成手段32に出力するが、2回目以降では、誤差値Eが前回求めた最も小さな誤差値より小さくなるものがなくなるまで上記のように取得した再選択操業条件を再条件作成手段32に出力し、ステップS11からステップS14までを繰り返す(ステップS15)。
この過程を図11に示す。この図11の誤差値(評価関数)Eからもわかるように、ステップS11からステップS14までを繰り返すことにより、検索部30aの選択手段26で得られた選択操業条件での層厚分布に比べ、目標層厚分布により近い分布状態の層厚分布が得られた。即ち、目標層厚分布に近い層厚分布を高炉内に生じさせる操業条件として、一旦、選択手段26で選択された選択操業条件(再基準操業条件)を基にして、多数の再演算用操業条件を作成することにより、選択手段26で選択された予測層厚分布よりも目標層厚分布により近い分布状態の層厚分布を得ることができ、さらに、ステップS11からステップS14を所定回数繰り返す毎に、前回よりも目標層厚分布により近い分布状態の層厚分布を得ることができる。そして、この得られた層厚分布が予測される操業条件を検索することにより、高炉内の層厚分布を目標層厚分布により近い分布状態とするために基準操業条件から変更すべき高炉の操業条件(再選択操業条件)が得られる。
詳細には、検索部30aにおいて、ランダムにパラメータを変更して作成した多数の演算用操業条件からそれぞれ予測層厚分布が予測され、この中から目標層厚分布に近い予測層厚分布が選ばれ、この予測層厚分布が予測された操業条件が選択操業条件として選出される。そして、探索部30bの再条件作成手段32において、この選択操業条件に基づいてパラメータの変動範囲を制限した状態で多数の再演算用操業条件が作成される。このようにして作成された多数の再演算用操業条件は、パラメータの変更範囲が狭いため選択操業条件に近い操業条件となり、これら再演算用操業条件からそれぞれ予測される再予測層厚分布は、検索部30aにおいて目標層厚分布に近い分布状態として選ばれた予測層厚分布に近いものが多くなる。即ち、予測層厚分布に比べて目標層厚分布と大きく離れた分布状態の層厚分布が予測される操業条件が排除される。そのため、操業条件のパラメータをランダムに変更するよりも効率よく予測層厚分布に近い再予測層厚分布が多数得られる。そして、再選択手段36において、この中から予測層厚分布に比べて目標層厚分布により近い再予測層厚分布が選ばれ、これに対応する操業条件が検索されることで、目標層厚分布により近い層厚分布を高炉内に生じさせるより好適な操業条件(再選択操業条件)が効率よく導出される。このように導出された再選択操業条件を再基準条件として、上記同様に再選択操業条件を導出する過程が繰り返されることで、所定の回数までは、前回の過程よりも目標層厚分布により近い層厚分布を高炉に生じさせるためのより好適な操業条件が効率よく導出される。
また、図12に示されるように、再基準操業条件から所定の範囲(本実施形態では3ポイント以内)内でパラメータを変更して再演算用操業条件を作成することによって、上記の繰り返しの結果として得られた再選択操業条件に対応する表面プロフィールが、再基準操業条件に対応する表面プロフィールとほぼ一致する。これにより、表面プロフィールの形状をあまり変化させることなく、目標の層厚分布を得ることができることがわかる。
再選択手段36は、以上のようにステップS11からステップS15を繰り返し、最後に求めた誤差値Eに対応する操業条件を再選択操業条件として出力手段14に出力する。また、再選択手段36は、再選択操業条件に対応する再予測層厚分布及び、この再予測層厚分布に対応する再予測層上面形状をデータベース28から取得して出力手段14に出力する。以上のようにして各種データが出力手段14によって表示される(ステップS16)。操業者等は、この出力手段14に表示された各結果に基づき、高炉の操業条件を変更することで、高い精度で目標層厚分布に近い分布状態の層厚分布を得ることができる。
以上のような導出装置110によれば、選択手段26で選択された操業条件を基にして、再演算用操業条件を作成することにより、選択手段26で選択された操業条件に対応する予測層厚分布よりも目標層厚分布により近い分布状態の層厚分布(再予測層厚分布)を得ることができ、この層厚分布が予測される操業条件を検索することにより、高炉内の層厚分布を目標層厚分布により近い分布状態とするために基準操業条件から変更すべき高炉の操業条件を得ることができる。
再基準操業条件から再演算操業条件を作成するときに、各パラメータの変更可能な範囲が制限されることで、作成される再演算用操業条件の数が各パラメータを制限なく変更して作成する演算用操業条件の数に比べて少なくなるため、再予測手段34での予測時間を予測手段24での予測時間に比べて短時間で行うことができる。即ち、操業条件を変更したときの層厚分布の予測(シミュレーション等)には時間がかかるため、作成される操業条件の数を制限することで、予測時間の短縮を図ることができる。しかも、各パラメータの変更範囲を小さくすることで、操業条件の変更の前後で表面プロフィールの変化を小さくすることができる。
尚、本発明に係る高炉の操業条件導出方法、及びこの方法を用いた高炉の操業条件導出装置は、上記第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記第1及び第2実施形態の導出装置10、110では、目標層厚分布に近い分布の層厚分布が得られる複数の演算用操業条件が選択され、さらに、基準操業条件からの操業条件の変更が少ない演算用操業条件が前記複数の演算用操業条件の中から選択されているが、この操業条件の変更が少ないものを選択する工程がなくてもよい。即ち、誤差値Eの小さな演算用操業条件が選択されるだけでもよい。このように選択された演算用操業条件に高炉の操業条件を変更することで当該高炉内に目標層厚分布に近い分布の層厚分布を得ることができる。
また導出装置10、110は、目標層厚分布に近い分布の層厚分布が得られる複数の操業条件候補を提示するのみで、高炉の操業者等が最終の採択を行ってもよい。この場合、導出装置10、110は、候補となる操業条件と共に、対応する層厚分布や層上面形状、誤差値等を表示(出力)するように構成されてもよい。
基準操業条件(又は再基準操業条件)のパラメータのうち、演算用操業条件(又は再演算用操業条件)を作成するために変更するパラメータの種類は限定されない。例えば、上記第1及び第2実施形態では、傾動ポイントのみを変更して演算用操業条件(又は再演算用操業条件)が作成されるが、これに限定されず、例えば、サウンジングレベルの値を変更して演算用操業条件(又は再演算用操業条件)を作成してもよい。このようにサウンジングレベルの値を変更して得られた演算用操業条件(又は再演算用操業条件)は、この演算用操業条件(又は再演算用操業条件)に高炉の操業条件を変更すると基準操業条件(又は再基準操業条件)で操業していたときに比べて装入物堆積層上面の高炉内の高さ位置が変化するような操業条件となる。
上記第1及び第2実施形態では、誤差値Eの小さな演算用操業条件以外に演算用操業条件に対応する層厚分布及び層上面形状も導出若しくは予測されるが、これに限定されない。即ち、少なくとも誤差値Eの小さな演算用操業条件が導出されればよい。
上記第1及び第2実施形態の条件作成手段22は、基準操業条件に含まれるパラメータを制限なくランダムに変更して演算用操業条件を作成しているが、パラメータの変更範囲を所定の範囲内に制限してもよい。このように制限することで、条件作成手段22において、制限なくパラメータを変更させるときに比べ、得られる演算用操業条件の多様性が失われるが、基準操業条件に対応する層厚分布に近い分布状態の層厚分布が得られる演算用操業条件が効率よく作成されるため、制限なくパラメータを変化させる場合に比べ、短時間で必要な数の演算用操業条件を作成することができる。
しかも、第2実施形態の導出装置110のように、検索部30aで導出された選択基準条件を基に、1)再演算用操業条件の作成、2)これに基づく再予測層厚分布の予測、3)目標層厚分布に近い再予測層厚分布の選択、4)この選択した再予測層厚分布に対応する再選択操業条件の検索、この再選択操業条件を基に1)再演算用操業条件の作成、・・・を繰り返すことで、目標層厚分布に近い層厚分布を得るために基準操業条件から変更すべき操業条件を導出することができる。例えば、第2実施形態の導出装置110において、図13に示されるような基準操業条件が与えられた場合、条件作成手段22で12048個の演算用操業条件が作成され、探索部30bにおいてステップS11からステップS15までの繰り返しが8回行われ(図14参照)、再選択操業条件が導出された。その結果、上記の検索部30aの条件作成手段22でパラメータを制限なく変更して演算用操業条件を作成する運転に比べると、基準操業条件から当該導出装置110で導出された再選択操業条件への操業条件の変更の前後で表面プロフィールに多少の変化が生じるが(図15参照)、目標層厚分布に近い分布状態の層厚分布を得られる再選択操業条件が導出されたことがわかる(図14の誤差値の欄を参照)。しかも、条件作成手段22においてパラメータの変更範囲を制限していることで作成される演算用操業条件が少なくなるため、予測手段でのシミュレーション回数が大幅に削減され(図11と図14とのシミュレーション回数を参照)、基準操業条件の入力から再選択操業条件の導出までの時間を大幅に短縮することができる。また、図15における表面プロフィールの変化度合いも実際の高炉の操業において問題とならない程度に十分小さい。
上記第2実施形態において、検索部30aと探索部30bとが共通の構成要素で構成されてもよい。即ち、条件作成手段22と再条件作成手段32とが共通の条件作成手段で構成され、予測手段24と再予測手段34とが共通の予測手段で構成され、選択手段26と再選択手段36とが共通の選択手段で構成されてもよい。