JP5399792B2 - 導光板 - Google Patents
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しかし、母屋の南側などの日当たりの良い場所にテラスを設けた場合、冬場においては、太陽光がテラスの屋根材等で遮られて室内が暗くなってしまうという課題があった。特にテラスを設けた部屋では、太陽光が差し込まなくなり、部屋の中央部まで太陽光が届かなくなって部屋全体が暗くなったり、部屋の温度が急激に低下したりするという課題が指摘されていた。
また、前記特許文献2に開示された方法では、入射光面側にレンズ形状面を設けた場合、レンズ形状面の谷部分に、大気中に散乱している塵や雨滴が付着するため、プリズムを保護する層を積層する必要性があるが、コストや重量の増加が問題となり、実用化が難しいことが予測される。
以上のように、本発明の導光板は、入射光線の出射角を制御することができるから、テラスの屋根材として特に好適であるほか、庇などの屋根材、テラス前面パネル、ルーバーやフェンス、バルコニーなどの面材として使用でき、その他の採光材としても好適に利用することができる。
本実施形態の導光板(「本導光板」という)1は、図1−図3に示すように、透明樹脂板2の下面側にプリズム面3を備え、透明樹脂板2の上面側に紫外線吸収層4を備えた板体乃至シート体である。但し、紫外線吸収層4は必ずしも備えてなくてもよい。
透明樹脂板2の材料については、特に制限はない。一般に外装建材として使用されている透明樹脂を使用することができる。例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂等の透明な樹脂材料を使用することができる。これらを1又は2種以上混合してもよい。これらの樹脂の中で、透明性、耐熱性、耐衝撃性などの点で、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。
ポリカーボネート系樹脂の分子量は特に制限するものではない。通常の押出成形によりシート成形可能な粘度平均分子量が1.5万〜3万程度のものが好ましい。
この際、イオウは、市販のイオウ粉末などを使用できる。例えば、鶴見化学(株)製(JIS2級相当品)のイオウ粉末などが挙げられる。
硫黄系化合物としては、硫化鉛、チオ尿素誘導体等が挙げられる。
銅系化合物としては、ステアリン酸銅、硫化銅、フタロシアニル銅等が挙げられる。
他の近赤外線吸収物質としては、六塩化タングステン、塩化スズ、クロム、コバルト錯塩、アントラキノン誘導体等が挙げられる。
このような近赤外線吸収物質の含有量は特に制限されるものではないが、透明樹脂100重量部に0.01〜6重量部を含有させるのが好ましい。含有量が0.01〜6重量部、好ましくは0.01〜2重量部、特に好ましくは0.01〜1重量部であれば、近赤外線領域の光線吸収性能に優れ、可視光線の透過率が高いものとなる。
プリズム面3は、図1−図3に示すように、透明樹脂板2の下面側、すなわち導光板1に光線が入射する側とは反対側に設けられ、断面三角形状で長尺な三角柱状の単位プリズム3aがその幅方向に連続して並設された構成を備えている。
このようなプリズム面3を備えた本導光板1を、例えばテラスの屋根材に加工して使用すると、図4(B)に示すように、冬場、太陽の角度が低くなると、入射してくる太陽光線の大きく変えて(例えば3°〜17°程度)、テラスを設けた室内の奥まで太陽光を到達させることができ、図4(A)に示すように、夏場、太陽の高度が高くなった時は、入射してくる太陽光線の角度に大きく影響を与えず透過させることができる。
かかる観点から、単位プリズム3aの一方の底部角度αは4〜9°であるのがさらに好ましく、中でも6〜8°であるのがさらに好ましい。他方の底部角度βは、70°〜90°であるのがさらに好ましく、中でも80〜90°であるのがさらに好ましい。
かかる観点から、プリズムピッチLは2mm〜10mmであるのが特に好ましく、中でも特に2mm〜5mmであるのがさらに好ましい。
紫外線吸収層4は、透明樹脂に紫外線吸収物質を混合して形成することができる。
透明樹脂板2および紫外線吸収層4の各層の厚みは、表面硬度、成形性に問題が無ければ制限するものではなく、厚み比も同様である。一般的には、透明樹脂板2の厚みは0.5mm〜5.0mm、特に1.0mm〜3.5mm、中でも特に1.5mm〜3.0mmであるのが好ましく、紫外線吸収層4の厚みは10μm〜100μm、特に20μm〜70μm、中でも特に20μm〜40μmであるのが好ましい。
また、シート体の一面側にプリズム面3を備えたプリズムシートを透明樹脂板2とは別体として形成し、このプリズムシートを透明樹脂板2に積層するようにしてもよい。
透明樹脂板2と紫外線吸収層4の積層方法としては、予めプリズム面3を賦形してなる透明樹脂板2に、紫外線吸収層4を備えたシートを積層するようにしてもよいし、また、透明樹脂板2を構成する樹脂(「透明樹脂板構成樹脂」という)と紫外線吸収層4を構成する樹脂(「紫外線吸収層構成樹脂」という)とを共押出しして積層した後、プリズム面3を賦形するようにしてもよい。
この際、透明樹脂板構成樹脂並びに紫外線吸収層構成樹脂の主成分樹脂としてポリカーボネート樹脂を使用する場合であれば、メイン押出機の温度条件は、通常250〜290℃、特に260〜280℃とするのが好ましく、サブ押出機の温度条件は、通常250〜290℃、特に260〜280℃とするのが好ましい。
樹脂中の異物を除去するために、押出機のTダイより上流側にポリマーフィルターを設置することが好ましい。
フィードブロック方式の場合、フィードブロックで積層された溶融樹脂を、Tダイなどのシート成形ダイに導き、シート状に成形し後、表面を鏡面処理された成形ロール(ポリシングロール)に流入させてバンクを形成すると共に成形ロール通過中に鏡面仕上げと冷却を行い、積層体を形成することができる。
他方、マルチマニホールド方式の場合には、マルチマニホールドダイ内で積層された溶融樹脂を、上記同様にダイ内部でシート状に成形し後、成形ロールにて表面仕上げ及び冷却を行い、積層体を形成することができる。
ダイの温度としては、透明樹脂板構成樹脂並びに紫外線吸収層構成樹脂の主成分樹脂としてポリカーボネート樹脂を使用する場合であれば、通常230〜290℃、好ましくは250〜280℃であり、成形ロール温度としては、通常100〜190℃、好ましくは110〜180℃である。ロールは縦型ロールまたは、横型ロールを適宜使用することができる。
本導光板1は、テラスの屋根材に加工して使用するのに特に適している。その際、図4に示すように、本導光板1のプリズム面3を、光線入射側とは反対側に位置させ、しかも、単位プリズム3aの傾斜面がより傾斜する向きに本導光板1を傾斜させる、言い換えれば各単位プリズム3a内において傾斜辺よりも起立片が傾斜上部に位置するように本導光板1を傾斜させる、さらに言い換えれば、各単位プリズム3a内において底部角度βの側が底部角度αの側より斜め上方に位置するように本導光板1を傾斜させるようにして使用するのが好ましい。
この際、本導光板1の傾斜角度は、特に限定するものではないが、例えば単位プリズム3aの長さ方向と直交する断面において、導光板が0〜20°傾斜するように、好ましくは南を向いて傾斜するように配置するのが好ましい。このように傾斜させた場合に同様の効果が得られることが確認されている。
本明細書において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意であり、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であるのが好ましい」旨の意図も包含する。
紫外線吸収層構成樹脂としての紫外線吸収剤含有ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製「パンライト5250ZS」)と、透明樹脂板構成樹脂としてのポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバレックス7027U」)とを、それぞれ別々の押出機のホッパーに投入し、いずれも温度280℃で溶融し、次いで、マルチマニホールドダイを用いて共押出しした後、紫外線吸収層のポリカーボネート樹脂の側を鏡面金属ロール側とし、反対面を、予め底角の鋭角部の角度が6.7°で鈍角部の角度が83.3°で高さ0.33mmの直角三角形状のプリズム形状に彫刻された金属ロールに接触させて、当該反対面にプリズム面を付与して冷却固化してシートを得た。
また、形成されたプリズム面は、断面三角形状の三角柱状の単位プリズムがその幅方向に連続して並設されており、単位プリズムの底部鋭角部の角度αが6.7°であり、底部鈍角部の角度βが83.3°であり、単位プリズムの頂部は丸みを帯び、その曲率半径はいずれも0.3mmであり、隣接する単位プリズム間の頂点間隔(プリズムピッチ)Lは3mm、単位プリズムの高さHは0.29μmであった。
実施例1において、鏡面金属ロール側の反対面を、予め底角の鋭角部の角度が3°で鈍角部の角度が87°であり、高さ0.15mmの断面三角形状のプリズム形状に彫刻された金属ロールに接触させて、当該反対面にプリズム面を付与した以外は、実施例1と同様に2種2層構成のシートを得た。
また、形成されたプリズム面は、断面三角形状の三角柱状の単位プリズムがその幅方向に連続して並設されており、単位プリズムの底部鋭角部の角度αが3°であり、底部鈍角部の角度βが87°であり、単位プリズムの頂部は丸みを帯び、その曲率半径はいずれも0.2mmであり、隣接する単位プリズム間の頂点間隔(プリズムピッチ)Lは3mm、単位プリズムの高さHは0.14mmであった。
実施例1において、鏡面金属ロール側の反対面を、予め底角の鋭角部の角度が9°で鈍角部の角度が81°であり、高さ0.43mmの断面三角形状のプリズム形状に彫刻された金属ロールに接触させて、当該反対面にプリズム面を付与した以外は、実施例1と同様に2種2層構成のシートを得た。
また、形成されたプリズム面は、断面三角形状の三角柱状の単位プリズムがその幅方向に連続して並設されており、単位プリズムの底部鋭角部の角度αが9°であり、底部鈍角部の角度βが81°であり、単位プリズムの頂部は丸みを帯び、その曲率半径はいずれも0.2mmであり、隣接する単位プリズム間の頂点間隔(プリズムピッチ)Lは3mm、単位プリズムの高さHは0.38mmであった。
実施例1において、鏡面金属ロール側の反対面を、予め底角の鋭角部の角度が2°で鈍角部の角度が88°であり、高さ0.1mmの直角三角形状のプリズム形状に彫刻された金属ロールに接触させて、当該反対面にプリズム面を付与した以外は、実施例1と同様に2種2層構成のシートを得た。
また、形成されたプリズム面は、断面直角三角形状の三角柱状の単位プリズムがその幅方向に連続して並設されており、単位プリズムの底部鋭角部の角度αが2°であり、底部鈍角部の角度βが88°であり、単位プリズムの頂部は丸みを帯び、その曲率半径はいずれも0.2mmであり、隣接する単位プリズム間の頂点間隔(プリズムピッチ)Lは3mm、単位プリズムの高さHは0.1mmであった。
実施例1において、鏡面金属ロール側の反対面を、予め底角の鋭角部の角度が10°で鈍角部の角度が80°であり、高さ0.48mmの直角三角形状のプリズム形状に彫刻された金属ロールに接触させて、当該反対面にプリズム面を付与した以外は、実施例1と同様に2種2層構成のシートを得た。
また、形成されたプリズム面は、断面直角三角形状の三角柱状の単位プリズムがその幅方向に連続して並設されており、単位プリズムの底部鋭角部の角度αが10°であり、底部鈍角部の角度βが80°であり、単位プリズムの頂部は丸みを帯び、その曲率半径はいずれも0.2mmであり、隣接する単位プリズム間の頂点間隔(プリズムピッチ)Lは3mm、単位プリズムの高さHは0.42mmであった。
実施例1において、プリズム形状を付与しないシートを作製した。
すなわち、紫外線吸収層構成樹脂としての紫外線吸収剤含有ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製「パンライト5250ZS」)と、透明樹脂板構成樹脂としてのポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバレックス7027U」)を、それぞれ別々の押出機のホッパーにそれぞれ投入し、いずれも温度280℃で溶融し、次いで、マルチマニホールドダイを用いて共押出した後、2つの鏡面金属ロール間に通して冷却固化してシートを得た。
<全光線透過率、ヘーズ>
HM−150(村上色彩技術研究所(株))を使用し、実施例及び比較例で得たシートの全光線透過率(JISK7361)及びヘーズ(JISK7136)を測定した。
全光線透過率、85%以上で、且つヘーズが2%以下である場合は「○」、それ以外の場合は「×」と評価し、結果を表1及び表2に示した。
(1) 屈折角度
実施例及び比較例で得たシートを、そのプリズム面が光線入射側とは反対側に向きとし、プリズム面の単位プリズムの長さ方向が東西方向の向きとし、さらに南を向いて10°高くなるように傾斜するように、すなわち北側縁が南側縁より10°高くなるように傾けて配置し、且つ、各単位プリズム3aにおいて傾斜辺よりも起立辺が傾斜上部に位置するように、すなわち各単位プリズム3a内において底部角度βの側が底部角度αの側より斜め上方に位置するようにシートを傾斜させて設置した。そして、夏至の太陽南中高度である78°(東京)及び冬至の太陽南中高度である31°(東京)を想定して、南方向から光源が78°又は31°の高さで透明耐候樹脂面に光を実際に入射させ、入射角度に対して屈折した角度を、CR−200(村上色彩技術研究所(株))を使用して測定し、結果を表1及び表2に示した。
実施例及び比較例で得たシートを、トステム社パワーアルファF型(6尺2間)のテラス屋根材として設置した。この際、そのプリズム面が光線入射側とは反対側に向きとし、且つプリズム面の単位プリズムの長さ方向が東西方向に向きに、さらに南を向いて10°高くなるように傾斜するように、すなわち北側縁が南側縁より10°高くなるように傾けて配置し、且つ、各単位プリズム3aにおいて傾斜辺よりも起立辺が傾斜上部に位置するように、すなわち各単位プリズム3a内において底部角度βの側が底部角度αの側より斜め上方に位置するようにシートを傾斜させて設置した。
テラス屋根材及び前面パネルを南向きに施工し、部屋の大きさ(中京間12畳)、窓部1650mm×1800mmで、夏至(晴天、気温30℃)或いは冬至(晴天、気温13℃)の12時から13時から1時間経過した際の、南側の窓部から北側に0m、3.5m、4.5m、5.5m、入った位置の床面の照度(lx)を測定し、結果を表1及び表2に示した。
シミュレーションソフトを用いて、上記実施例及び比較例で得られたシートをテラスの屋根材として使用することを想定し、条件を変えてシミュレーションを行い、単位プリズムの底部角度α、βの好ましい範囲を検討した。
この際、テラスを取り付けた部屋(中京間12畳)を南北方向20マス、東西方向に10マスに測定間隔を区切り、各マスの照度を測定し、全マスを対象として、次の式(1)で平均照度を算出した。
(1)・・平均照度=(全マスの照度平均値)×100/(プリズム面なし(比較例1)の全マスの照度平均値)
また、照度分布を示す表中の図では、完全な影を黒、太陽光そのままの照度を白で表し、照度分布を示した。
比較例3の結果を見ると、賦形をしていない通常の採光材を用いた場合は、冬場に部屋の窓から3.5m〜5.5mの位置に光が当たっていないことが確認できた。これは、窓際ばかりに光が当たり、部屋の奥にいくほど光が少なく、部屋の中で寒暖差が生じることが容易に想像できる。その為、一般的な12畳前後のリビングにおいて、この3.5m〜5.5mの位置に光を採光することにより、部屋の寒暖差を解消し快適な空間にすることができると考えられる。
これに対し、実施例1、2、3については、夏場に部屋の照度に影響を与えることなく、冬場に部屋の奥3.5mから5.5mの範囲に光を導光していることが確認できた。
他方、比較例1の結果を見ると、底部角度αを2°とした場合は、屈折角度が大きくない為、冬至において3.5m〜5.5mの位置に光を導光することができず、十分な導光効果が得られていない。
よって、底部角度αの範囲は、実施例2の3°から実施例3の9°までが夏に影響を与えることなく、冬に部屋の奥に光を導光可能であるため、部屋の照度および温度差を解消することが可能である。
2 透明樹脂板
3 プリズム面
3a 単位プリズム
4 紫外線吸収層
Claims (2)
- 透明樹脂板2の少なくとも片側に、断面三角形状の三角柱状の単位プリズム3aがその幅方向に連続して並設されてなる構成を有するプリズム面3を備え、当該プリズム面3を構成する単位プリズム3aの一方の底部角度αが3°以上9°以下、他方の底部角度βが60°以上90°以下であり、かつ単位プリズムのピッチが2mm〜10mmである屋根材であって、
光線入射側とは反対側にプリズム面3が位置し、かつ各単位プリズム3a内において底部角度βの側が底部角度αの側より斜め上方に位置し、かつ単位プリズムの長さ方向が東西方向に±30°以内を向き、かつ横から見て0〜20°傾斜するように設置されてなる屋根材。 - 紫外線吸収剤層を備えた請求項1記載の屋根材。
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