JP5398577B2 - 目的物質の分離・回収方法および装置 - Google Patents
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Description
また、染料工業、顔料工業、化学工業等では、製造工程で塩析操作が行われており、その後に不純物となる塩分を除去されている。
分離残渣中に残留する有価物を回収するに際しては、従来の濾過分離等の方法に代わって、膜処理を適用することが多くなっている。前述した塩分の除去に際しても膜処理が利用されている。
膜処理技術の具体的分離手法として、透過しやすい物質と透過しにくい物質の分離を、最終の段で新鮮な洗浄液を供給し、その段で得た透過液を多段使用しながら、最初の段から目的物質を高い回収率で得、最終残液に目的物質が僅かしか残らない、時間差的多段向流法による膜を用いた技術が知られている。(特許文献1)
また、特許文献2において、発明者らは、被処理物から有価物、不純物などを効率的に回収する目的で、第1系統の多段向流分離操作における最初の段の透過液を、第1系統の最終透過液として取出すこと、該第1系統の多段向流分離操作で生じる他の透過液(または残液)に対し、第2系統の分離操作を行うことを開示した。それらにより全体として高い分離性能が得られ、目的物質の高濃度回収を可能とした。
特許文献3において発明者は、透過傾向の異なる物質の分離を運転条件の調整により、透過傾向を制御することで、デカグリセリン混合物からのジグリセリンやトリグリセリンの除去などの精密な分離精製方法を開示した。
しかしながら、特許文献1や特許文献2の技術では、それぞれ透過性がある物質同士を採用した膜で分離するにあたり、阻止率や透過率(Transmittance)に大きな差がある場合や、ほとんど透過しない物質と透過する物質の分離は可能であるものの、双方の透過傾向が小さい場合、あるいは透過傾向が近接している場合はそれぞれを効率よく分離することは困難であった。すなわち、比較的透過率の高い目的物質1と比較的透過率の低い目的物質2を分離する場合、双方の目的物質の使用する膜での透過率が近ければ、原料溶液を供給する段から分離される透過液には目的物質1に加えて目的物質2も無視できない濃度で混在することになり、この目的物質2の効率よい回収に困難があった。
被処理液を残液と透過液に膜分離する分離装置に対して、目的物質1及び目的物質2を含む原料溶液を供給し、透過液から目的物質1を取得し、残液から目的物質2を取得するダイアフィルトレーション法であって、
以下の多段向流分離操作を複数回のサイクルで行うとともに、前記各サイクルを4段以上の段で行い、各サイクルおよび各段を経時的に実施し;
第1サイクルにおいて;
(1)各段に被処理液と前記被処理液に添加する洗浄液を供給し、分離装置の分離膜によって透過液と残液に分離すること、
(2)各段の透過液を段毎に分けて貯留手段に貯留すること、
(3)各段の残液を直ぐ後ろの段に送り、送り先の段で、被処理液として用いること、
(4)4段以上の段のうちの中間にある段に、外部から原料溶液を供給すること、
以下、第2サイクル以降の各サイクルにおいて;
(5)貯留手段に貯留された透過液を、第1の段の被処理液として使用し、または透過液を取得した前サイクルの段よりも前段の洗浄液として使用すること、
(6)前記洗浄液は、前段へいくほど目的物質1の濃度が高くなるように構成し、または目的物質1の目的物質2に対する比率が高くなるように構成すること、
(7)各段に供給された被処理液と洗浄液を、分離装置の分離膜によって透過液と残液に分離し、
各段の透過液を段毎に分けて貯留手段に貯留するとともに、各段の残液を直ぐ後ろの段に送り、送り先の段で、被処理液として用いること、
(8)第1の段の透過液を最終透過液として取り出し、目的物質1を取得すること、
(9)最後の段の残液を最終残液として取り出し、目的物質2を取得すること、
を特徴とする原料溶液の膜分離方法。
膜透過傾向が近接している目的物質1と目的物質2を分離する場合、例えば目的物質1の方が高い透過傾向であるとしても、原料溶液を供給する最初の段から分離される透過液には、目的物質2も比較的高い濃度で混在している可能性が高い。従来は、このような透過液をさらに分離して目的物質1を得て、残液中の物質(目的物質2)は廃棄されるか、全く別系統の分離手段により分離されるのが通常であった。本願発明では、当該透過液についてさらに多段向流分離装置による分離を行い、その残液を後段の分離手段に供給することで、より濃度の高い状態で目的物質2を多段向流分離手段の最終残液として分離することができる。一方、原料供給段より後段で分離された目的物質1を含む透過液は、分離された段より前の段の洗浄液として順次利用されることで、前段の透過液の目的物質1濃度を高めることが可能である。目的物質1は多段向流手段の最終透過液として分離される。このような構成とすることで、目的物質1と目的物質2の双方を高収率で、効率よく分離することが可能となる。
各サイクルは4段以上の段から構成され、各段の分離操作は被処理液と別途貯留された目的物質1の濃度の異なる複数の洗浄液を使用して行われ、前記洗浄液は前段へいくほど目的物質1の濃度、あるいは目的物質1の目的物質2に対する比率が高くなるように構成され、
各サイクルの最後の段の残液を最終残液として取り出すとともに、各段の透過液を別途設けられた貯留手段に貯留し、後のサイクルの分離操作において最初の段の被処理液として、あるいは前のサイクルで分離された段より前段の洗浄液として使用することにより供給する。
該多段向流分離手段は、前サイクルの多段向流分離手段おける透過液を次サイクルの多段向流分離手段の洗浄液として使用する、時間差的多段向流を可能とするものである。好ましくは、最後の段における洗浄には目的物質1を実質的に含まない洗浄液を使用する。またこの洗浄液は、最終残液として分離する目的物質2に対する比率が精製するために十分低い程度であれば、目的物質1を含んでいてもよい。時間差的多段向流の利点は、分離手段が1つあれば可能であるため省スペース化が可能であること、多量の洗浄水を必要とせず、排水量が小さいためコストダウンを図れることなどがある。
第2サイクル以降の各サイクルにおいて、貯留手段に貯留された透過液を、第1の段の被処理液として使用し、または透過液を取得した前サイクルの段よりも2つ以上前の段の洗浄液として使用する、請求項1に記載の原料溶液の膜分離方法。
本発明によれば、透過率が小さい物質同士を膜により分離する場合であっても、初段における分離開始時の被処理液として複数段の透過液を用いることで初段における分離開始時の被処理液の量あるいは濃度を適切に確保し、透過液を1段以上飛ばして使用することで、1段当たりに使用する透過液流量を小さくすることができ、かつ1段当たりの透過液と被処理液の組成変化を確保できる。
前記多段向流分離操作において、原料溶液を複数の段に分けて供給する、請求項1または2に記載の原料溶液の膜分離方法。
原料溶液を単独の段に供給するのではなく、必要に応じて洗浄液で希釈して、複数の段に分けて供給することによって、特に時間差的多段向流分離において中間段での液量不足の防止が可能になる。
前記多段向流分離操作において、最初の段に供給する被処理液を処理前に濃縮する請求項1〜3のいずれか1項に記載の原料溶液の膜分離方法。
最初の段の被処理液の濃度を適切にすることを目的とする。特に多サイクルを有する多段向流分離手段において、該最初の段に供給する被処理液とするには、前サイクルの透過液は望ましい循環液濃度より低濃度であり、そのままでは適切な濃度の透過液が得られない場合がある。そこで、最初の段の処理前に対象とする前サイクルの回収液を対象として濃縮操作を行うことで、分離開始時の被処理液の濃度を上げるとともに、目的物質1と目的物質2間の透過率の差を広げ、またより多くの透過液を濃縮することにより望ましい濃度の循環液量を確保することが可能となる。
<請求項5>
前記多段向流分離操作において、貯留手段に貯留した透過液を、次サイクルの各段に洗浄液として供給する前に濃縮する請求項1〜4のいずれか1項に記載の原料溶液の膜分離方法。
〔発明の効果〕
透過液や洗浄液を予め高い濃度にすること、貯蔵容量を削減すること、洗浄水やその他の洗浄媒液の使用を自由なタイミングで行うことが可能となる。
原料溶液を供給する段及びこれよりも後ろの段のいずれかの段に対して、最後の段によって分離される残液の少なくとも一部を供給する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の原料溶液の膜分離方法。
多段向流分離手段の最終段から分離される残液の少なくとも一部を原料溶液供給段及びこれよりも後ろの段のいずれかの段に供給することで、膜分離操作の継続に必要な循環液量が不足する段の液量を確保することができる。また、精製が進んだ残液をいずれかの段に供給することで、精製品の組成を改善、安定させることが可能となる。
少なくとも3種類の目的物質を含む原料溶液から、
(1)前記多段向流分離操作の最終透過液に目的物質1を分離する工程、
(2)前記多段向流分離操作の最終残液に目的物質2を分離する工程、
(3)前記多段向流分離装置のいずれかの段から、多段向流分離装置とは別の分離手段に、透過液または残液の全部または一部を供給し、前記別の分離手段の最終透過液または最終残液に目的物質3を分離する工程、
を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の原料溶液の膜分離方法。
3種類以上の目的物質の分離が可能となる。第3の分離手段については、多段向流分離手段でも、他の分離手段でもよい。
第1の段の透過液の少なくとも一部を、次サイクルの被処理液の一部として使用することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の原料溶液の膜分離方法。
所定の組成に達しない透過液の排出を防止しつつ、次サイクルの初段で必要とする被処理液量を確保することができ、初段以降の透過液量の低減あるいは段の省略が可能となる。また、本発明を複数サイクル繰り返すことで、被処理液の組成を安定させることができる。
なお、本発明は必ずしも全てのサイクルにおいて適用する使用する必要はなく、複数サイクルのうち、必要なサイクルに適用してもよい。
第1の段の透過液は、
前記透過液中の目的物質1が所定濃度以上となるまで、および透過液中の目的物質1の濃度の目的物質2の濃度に対する比率が所定比率以上となるまで、という二つの条件の少なくともいずれかを満たすまで、
次サイクルの被処理液として使用し、
前記二つの条件の少なくともいずれかを満たしたときに、最終透過液として系外に取り出し、
第2の段の透過液を次サイクルの被処理液として使用する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の原料溶液の膜分離方法。
請求項7の効果に加え、最終透過液の組成を安定させることができる。
多段向流分離操作の複数段での膜分離に同一の分離手段を用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の膜分離方法。
本発明によれば、膜分離手段および循環槽など付属機器および制御機構を少なくすることができ、操作しやすく、自動化が実施しやすくなるとともに省スペース化、低コスト化が可能となる。
被処理液を残液と透過液に膜分離する分離装置に対して、目的物質1及び目的物質2を含む原料溶液を供給し、透過液から目的物質1を取得し、残液から目的物質2を取得するダイアフィルトレーションに用いる装置であって、
以下の多段向流分離操作を複数回のサイクルで行うとともに、前記各サイクルを4段以上の段で行い、各サイクルおよび各段を経時的に実施し;
第1サイクルにおいて;
(1)各段に被処理液と前記被処理液に添加する洗浄液を供給し、分離装置の分離膜によって透過液と残液に分離する、
(2)各段の透過液を段毎に分けて貯留手段に貯留する、
(3)各段の残液を直ぐ後ろの段に送り、送り先の段で、被処理液として用いる、
(4)4段以上の段のうちの中間にある段に、外部から原料溶液を供給する、
以下、第2サイクル以降の各サイクルにおいて;
(5)貯留手段に貯留された透過液を、第1の段の被処理液として使用し、または透過液を取得した前サイクルの段よりも前段の洗浄液として使用する、
(6)前記洗浄液は、前段へいくほど目的物質1の濃度が高くなるように構成し、または目的物質1の目的物質2に対する比率が高くなるように構成する、
(7)各段に供給された被処理液と洗浄液を、分離装置の分離膜によって透過液と残液に分離し、
各段の透過液を段毎に分けて貯留手段に貯留するとともに、各段の残液を直ぐ後ろの段に送り、送り先の段で、被処理液として用いる、
(8)第1の段の透過液を最終透過液として取り出し、目的物質1を取得する、
(9)最後の段の残液を最終残液として取り出し、目的物質2を取得する、
ように構成されたことを特徴とする原料溶液の膜分離装置。
本発明は、複数の分離装置を直列に配置した多段向流分離装置(以下、連続多段向流分離装置という)や、時間差的多段向流分離装置を利用して目的物質を分離するものである。
ところで本発明では、分離装置において分離膜を透過した液を透過液、膜を透過せず、残留した液を残液という。なお、時間差的多段向流分離装置においては、分離操作を構成する膜装置、貯留槽および循環系を構成する配管類に残留する液を含めて残液という。原料溶液は分離操作を行っていない原料を含む液であり、原料液またはその希釈液を指す。また、いわゆる溶液のみを示すものではなく、溶液と固形物の混合物であるスラリーや懸濁液を含むものとする。
<被処理液>
被処理液は各段の分離工程に供給される目的物質を含む液の総称である。連続多段向流分離装置における被処理液は、前段の膜分離装置から供給される残液や後段からの透過液を含み、原料溶液が供給される段においては、原料溶液も含む。
一方、時間差的多段向流分離装置では、各段の開始時の膜装置や循環系の液であり、前サイクルにおける透過液などを含んでいる。
被処理液に水などの溶媒を添加する一方、膜分離を用いて透過液を分離することで対象液中から透過液に着目物質を除去する手法であるダイアフィルトレーションは物質の精製手段として広く用いられる。本発明では被処理液に添加する液を洗浄液と称する。具体的には、純水や洗浄水、後段からの透過液、有機溶媒などである。なお、洗浄液中に目的物質が含まれていても構わない。
連続して複数ある膜分離工程のうち1段分の装置による工程を段と呼ぶ。連続多段向流分離装置では直列に配置された個々の分離装置において実施される分離工程若しくは、分離装置そのものをいう。一方、時間差的多段向流装置では、順次使用する透過液用容器に対応させて分離工程を区切り、その区切りから次の区切りまでの操作をさす。なお、その間に対応させた透過液をその1段分の透過液とする。例えば、容器を各段用に複数用意し、連続的に得られる透過液をその容器に入れるまでを1段としてもよい。そのほか、並列的に複数の容器を使用して、それらを合わせて1段と称することもできる。
分離膜から出る物質の透過液中濃度の循環液、濃縮液、膜装置への供給液などの取り扱い液の着目した物質の濃度の比を着目した物質の“透過率”と呼ぶ。
原料溶液の供給を行う段での原料の供給方法は、透過液の取得と並行して膜装置内の循環系などに行っても、前段での透過液の取得後の残液に対して、その段での透過液の取得に先立って行っても良く、洗浄水などを原料供給に併せて加える方法を含めて、柔軟に対応できる。
第1の実施形態として図2〜図6により連続多段向流分離装置を利用する方法を開示する。
連続多段向流分離装置は、図5、図6のように直列に複数設けられた膜分離装置から構成される。被処理液を個々の膜分離装置によって透過液と残液に分離し、残液を次の膜分離装置の被処理液として供給するとともに、透過液を、前段の膜分離装置に洗浄液として返送するよう構成されている。図2,3、4は個々の膜分離装置例を示す。適宜組み合わせて使用すればよい。
なお、第1の多段向流分離装置の1番目の膜分離装置の上流側には、透過液の濃縮段が設けられている。
必要に応じて、第3段以降の透過液を濃縮し、洗浄液として使用してもよい。濃縮段に続く1番目の分離操作では3段目の操作で得た透過液を洗浄液として加える操作を行い、最終透過液83を得る。
第1の多段向流分離装置では、予め原料溶液から得た、処理液の一部を供給してもよい。
また、受け入れ側の段で必要とする洗浄液の量、すなわち目標とする透過液量を得るまでに加えるべき洗浄液の量、あるいは目標とする透過液中の糖度分などの内容物の量を得るまでに加えるべき洗浄液の量は、必ずしも、予め準備した透過液量と一致せず、また一致させる必要が常にある訳でもない。本発明において、段数の使い方は、おおむね後段で分離した透過液を前方の段で使いきるように記載したが、それらは不可欠ではなく液量のバランスに関して柔軟に対応する事が可能である。
また、膜分離を行った場合、一般に透過液は循環液と比べると濃度が希薄であり、透過液の濃縮操作を行うことで、分離操作中の濃度の適正化が可能となる。
また、第1の多段向流手段の開始時の被処理液の濃縮に限らず、分離操作中にも濃縮を行うことで、第1の多段向流手段における目的物質1の透過液への分離が容易になり、同時に目的物質2の残液側への回収が容易になる。その結果、最終透過液中への目的物質2の混入が抑制できる。この濃縮は目的物質1が透過率の低い物質である場合に好適である。多くのナノフィルトレーション膜の場合、残液側の濃度が低いと、透過率が低くなる傾向があり、この濃縮操作は、透過液の濃度を高くするために特に有効である。濃縮の方法は、膜を用いた方法の外、蒸発、蒸留、濾過、吸着などの公知の方法を用いればよい。
多段向流分離装置に用いる膜として、RO膜(逆浸透膜)、NF膜(ナノフィルトレーション膜)、UF膜(限外濾過膜)、MF膜(マイクロフィルトレーション膜)、透析膜、イオン交換膜などから選定する事ができる。特にナノフィルトレーション膜は、分子量が1000以下程度での分離に好ましい。
これらの膜を単段で用いて透過傾向が近い2つの目的物質を透過液と残液にそれぞれをシャープに分離することは難しいが、本発明の多段向流操作を用いる事によって、こうした透過しやすさが近接している分離膜と目的物質1及び目的物質2の組み合わせであっても、それぞれ高い純度の物質に高い収率で分画することが可能になる。
また、目的物質1、目的物質2を膜で濃縮する場合には、RO膜、NF膜、UF膜などの分離膜等、目的物質1、目的物質2ともに透過しにくい膜を選定する。また、目的物質1及び/又は目的物質2が透過する膜であっても、透過を複数回繰り返して元の液の濃縮液への回収率を高める方法などで採用することができる。膜により処理液を濃縮することで、透過液濃度、洗浄液濃度、被処理液濃度が上がり、少ない液量で物質組成を変化させる事が可能になる。
また透過液あるいは洗浄液の濃縮は、多段操作と独立して行うことができる。その結果、透過液や洗浄液を予め高い濃度にすること、貯蔵容量を削減すること、洗浄水やその他の洗浄媒液の使用を自由なタイミングで行うことが可能となる。
また、第2の多段向流分離装置の最終段から分離される残液の少なくとも一部を、第2の多段向流分離装置のいずれかの段に被処理液の一部として供給することが好ましい。供給先は、最終段を含め、第2の多段向流分離装置であればよく、膜分離操作の継続に必要な循環液量が不足する段に供給することが好適である。また供給先は、1段に限定することはなく、複数の段に供給してもよい。このように残液を第2の多段向流分離装置の段に供給することで被処理液量を増加させることができるだけにとどまらず、精製が進んだ残液を供給することで、精製品の組成を改善、安定させることが可能となる。また、精製を進める過程で残液が目標に適合しない場合であっても、製品として系外へ抜き出さずに再処理することが可能になる。
<サイクル>
時間差的多段向流分離操作において、多段の操作を開始時の被処理液に対して実施する、一連の多段向流操作(第1の多段向流分離と第2の多段向流分離を一連の操作として実施する)の開始から終了までを1“サイクル”と呼ぶ。そのサイクルに付随して行う濃縮などの操作を含めてもサイクルと呼ぶことがある。
時間差的多段向流分離操作では、各段に供給された被処理液および洗浄液は、膜装置と循環液槽に構成された循環系内を循環する。この循環系内に存在する液を循環液という。循環液は、循環系内でさまざまな濃度分布で存在している。また、分離操作の進行や、原料溶液や洗浄液の添加により、循環系全体の組成も変化する。
飛び段は、多段向流操作における循環液と透過液の組成あるいは濃度の変化を効率よく達成することを目的として、多段向流法でのダイアフィルトレーションを実施するにあたって、隣接する前段より前に位置する段で透過液を洗浄液として使用する操作を意味する。連続多段向流分離操作では、複数の分離装置を連結させ、使用する分離装置がそれぞれの段に対応し、取得した透過液を隣接する前段の分離装置より前の分離装置に洗浄液として供給することを意味する。
洗浄水52として、常温あるいは温度調節したイオン交換水を用いることができる。
透過液53は、膜モジュールの分離膜を透過した液である。各膜モジュールのノズルから、透過液容器15などに移送することができる。また必要に応じて、返送用配管30を通じ、透過液全量を循環液槽にもどすことができる。
洗浄液56は、循環系に系外から供給される液であり透過液53の一部、あるいは洗浄水が用いられる。サイクルの最終段階では、洗浄液とは別にイオン交換水である洗浄水52を用い、透過液を得る操作を行う。洗浄水は最終段を含む任意の段で使用する。
洗浄液容器13−Bに受け入れた洗浄液56あるいは希薄液57、またはイオン交換水を循環液槽に洗浄液調節弁33および洗浄液供給機構23を通じて充填する。洗浄液ポンプ14−Bはその供給に用いる。なお希薄液57は、最終残液を取り出す際に発生する、最終残液が洗浄用温水59で希薄になった液である。
また透過液の糖度の合計値を表示し、透過液の糖度の合計値を計算し、透過液重量の変化から透過液流量を計算し、透過液取得量の目標管理を補助する。冷却水58の熱交換器(冷却器)5−Aへの、あるいは加熱用水60の加熱用熱交換器5−Bへの供給を制御することで循環液の温度を調節する。膜モジュール6−B、6−Cの上流および下流圧力は2個の圧力計7でそれぞれ指示され、圧力調節弁9でモジュール出口の圧力がメカニカルに調節され、その調節弁の設定はモジュールの主に上流側の圧力計7でのモジュールの運転状態で管理を行う。
透過液の抜出し機構24は透過液の循環系から外への抜出しについて、停止状態と可能状態を制御する機構で、三方弁による流路選択、弁の開閉などを用いる事ができる。
透過液の流量測定機構25は透過液容器と中に入った透過液の合計重量とその際の時刻を記録することにより流量を測定する機能であるが、流量そのものを測定する機構を用いてもよい。
洗浄液供給量の制御による循環液濃度維持機構27は、洗浄液56、あるいは洗浄水52の供給を自動弁で制御することで循環液の濃度を調節する機構である。この操作と循環液濃度を膜による濃縮と透過液の循環液槽への返送を制御することができる。循環液の濃度が過大になった場合や、循環液槽内の液量の不足が予測される場合は、透過液槽などへの抜き出しをやめ、循環内に透過液を透過液返送弁34の開閉制御により、循環液量を確保できる。循環液に原液などの濃度の高い液を混合し、洗浄水52あるいは洗浄液56を循環液槽に添加することによって、循環液濃度や循環液量を確保することもできる。
多段向流分離操作を時間差的多段向流分離操作と連続多段向流分離操作を組み合わせて使用してもよい。
より具体的には、原料溶液供給段前後を連続多段向流操作で行い、連続多段操作の前段部分、後段部分に適宜時間差的多段法を適用するものである。
循環液濃縮用の膜装置は目的物質1が透過しにくいもので、目的物質1や目的物質2の入った混合物を濃縮することを目的として設置することができる。目的物質1と目的物質2を分離するために使用する分離膜での分離を円滑に実行するために、この分離膜装置の運転圧力の制御と独立して、循環液濃縮膜装置の運転圧力制御により、洗浄液や循環液が何らかの事情で希薄になった場合などの対応ができる。
透過液濃度を管理することにより、適切な各段の運転が可能になる、すなわち、計画量の糖度分を透過液中に取出すために、透過液中の糖度などの濃度指標を測定し、必要分になるまで、透過液を取得し、場合によっては、洗浄液の追加、洗浄水や洗浄媒液の追加や、洗浄工程の終了を判断する事ができ、またこれらにより、自動運転するための指標とする事ができる。
低分子不純物などの目的物質3を目的物質1と目的物質2との混合物から予め分離した後、目的物質1と目的物質2を分離することも可能である。具体的には、不純物等を含む原液を目的物質1および2をおおむね阻止する濃縮用膜に供給し、水分や低分子物質を分離するものである。分離するタイミングは、原料溶液供給段あるいはその周辺の段でよい。その結果、濃縮用膜の透過液から、不純物等を抜出す事ができ、これにより目的物質1を抜出す最終透過液にも、目的物質2を抜出す最終残液にも不純物等の混入を抑制した分離が可能になる。なお、濃縮用膜で分離する物質は、不純物だけでなく、有用な目的物質3であっても良い。逆に分子量の大きい物質をあらかじめ目的物質1と目的物質2との混合物から分離することで、目的物質1と目的物質2の分離を容易にしたり、分離後の目的物質の価値を高めたりすることができる。
原料溶液を望まれる最終透過液と最終残液に分離するためには、洗浄液が一定の範囲にあることが必要であり、そのために事前に実施した運転で得た分離液を保管しておくか、別の方法で準備したものを洗浄液として利用する。
原料溶液供給量や供給方法は、供給するサイクル間で同じ繰り返しであってもよいし、取り扱い容器の容量などの運転条件や処理量の増加・削減や処理の停止を含めた運転状態に対応して供給を行ってもよい。また供給は一度に実施する必要はなく、一部の連続する複数段に対して、一連の分離操作に並行して原料溶液を供給してもよく、連続操作においても単数や複数の供給段や流量を固定してもよいし、液量あるいは分析値や物性値などから選んだ測定値に対応してそれらを変化させてもよい。
<1 PEG200分離の内容>
市販のトリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコールなどを含むPEG200(三洋化成工業株式会社製)の分画を行った。PEG200はこれらの物質の混合物である。これをトリエチレングリコールが最大濃度の混合物と、ペンタエチレングリコールが最大濃度の混合物に分離した。
<分離膜> 使用した分離膜はPCI Membranes社製B1タイプ膜モジュール6−Aに0.9m2のAFC80、膜モジュール6−B,6−Cに0.9m2のAFC30を各1本装着し、総計3本の膜モジュールを用いた。AFC80はPEG200中の成分を実質的に透過しないため、多段向流操作前に行う濃縮用の膜として使用したナノフィルトレーション膜である。AFC30はPEG200中の各物質の分画用に用いたナノフィルトレーション膜である。
あらかじめ前サイクルからの透過液に見立て、表1の洗浄液であるPEG200水溶液初サイクルの1段から8段分を用意する。これらを循環液槽に入れ、圧力調節弁を全開のままで昇圧ポンプ4を起動し、膜モジュール、配管等に残存する液を抜出しつつ、循環を継続する。AFC30の全ての透過液を循環液槽に返送した。その後AFC80の透過液を容器に抜出し、循環液の糖度が17%になるようにPEG200原液を攪拌しながら加えた。あわせて分離膜AFC80からの透過液を系外に取り出して濃縮を進めた。濃縮運転は、40Barで行い、その間AFC30からの透過液はすべて循環液槽に返送した。
このとき循環液の温度は約50℃になるように間接冷却および間接加熱で調節する。
また運転の結果糖度分が目標値に達しない場合は、AFC80から透過液を取得することで、透過液中の溶解物質量を増やして透過液中の溶解物質量を増やした。
<第1段>
初回のサイクルの説明に戻る。循環液から透過液を得、同時に循環液濃度である循環液の糖度が17%になるように、あらかじめ用意した第1段用の洗浄液を供給した。この洗浄液は、一旦洗浄液槽に入れ、洗浄液ポンプ、制御弁を通じて循環液槽に供給される。表1には、第1段に用意した洗浄液量と同液中のPEG200の重量を示した。第1段用の洗浄液は、後述する第3段透過液用の容器に用意した。第1段用の洗浄液がほぼ空に近くなったところで、次の段に移る。
運転圧力は32Bar程度に調整した。各サイクルおよび段の運転を通じて循環液温度は約50℃を維持した。
第2段用の洗浄液は第4段透過液用の容器に用意し、第2段透過液を得た。
第3段用の洗浄液は第5段透過液用の容器に用意し、第3段透過液を得た。
第4段用の洗浄液は第6段透過液用の容器に用意し、第4段透過液を得た。
第5段に入る前に、一旦運転圧力を10Bar以下程度に調整した後、原料溶液51とイオン交換水を循環液に加え、糖度17%に調整した後、第5段用の洗浄液を第8段透過液用容器に用意し、第5段透過液を得た。運転圧力は32Bar程度に調整した。
第6段用の洗浄液を第8段透過液用容器に用意し、第6段透過液を得た。
第7段用の洗浄液を第8段透過液用容器に用意し、第7段透過液を得た。
第8段用の洗浄液を第8段透過液用容器に用意し、第8段透過液を得た。
第9段は、洗浄水を循環液槽に供給しながら、予定量の第9段透過液を得た。
第10段は、洗浄水を循環液槽に供給しながら、予定量の第10段透過液を得た。
初回サイクルにおいて、循環液量が減り、運転し難いと判断した場合は、適宜処理原液を循環液に加え、同時に必要な洗浄液(あるいは洗浄水)を加え、循環液糖度17%を確保しながら、運転を継続し、最終残液を得、透過液容器に、1段から10段の透過液を得る。
第10段で得た最終残液の一部は、サイクルの10段目で循環液に混合し、残りの液は系外に取出する。
<被処理液の準備>
初回サイクルで得た第1、第2、および第3透過液の全量を循環液容器に順次入れ、AFC80により濃縮し、循環液濃度を17%とした。各透過液は、循環液槽に直接投入したが、一旦洗浄液槽に入れた後、濃縮をすすめて所定の被処理液を得ても良い。
洗浄液として初回サイクルの第4透過液を用い、第2サイクル第1段の透過液を得た。第1段の透過液中にあらかじめ設定した目標糖度分が得られた時点で、第1段を終える。設定した目標の透過液量をこえても設定糖度分が得られない場合は、容器の余裕がある範囲で、目標の糖度分を得るようにする。第1段から第4段については第2サイクル以降この方針で実施した。なお、循環液の糖度17%程度の濃度における運転圧力は約24Bar、循環液温度は約50℃を維持した。
表1に目標の透過液量と目標の糖度分を記載した。
第2段用の洗浄液は初回サイクルの第4段と第5段の透過液の一部を用い、第2段透過液を第1段と同様の方法で得た。
第3段用の洗浄液は初回サイクルの第5段と第6段の透過液の一部を用い、第3段透過液を第1段と同様の方法で得た。
第4段用の洗浄液は初回サイクルの第6段の透過液の残りを用い、処理する原料溶液を加えながら、洗浄水を加えながら糖度17%程度を維持し、所定の糖度分が得られるまで運転し、第4段透過液を得た。糖度17%程度の運転においては32Bar程度とした。
循環液槽内の液量が約20kg(循環液槽は30リットル用で、膜モジュールおよび配管内の液量は約10kg分程度で合計液量約30kg)になるように、処理する原料溶液を徐々に加えながら、糖度17%程度になるように洗浄水を供給した後、15分程度循環運転を実施した後、前サイクル7段目の透過液を洗浄液として、5段目透過液を得た。
その後第1サイクルと同様に、洗浄水を用いて、第9段透過液、第10段透過液をえた。
<第3サイクル以降の運転>
第3サイクル以降の運転も第2サイクルと同様に第7サイクルまで進め、各サイクルで供給する原料溶液量は表2に示した量とした。原料溶液供給を減らした後の第8サイクル、第9サイクルは、9段まで運転した。
以下の条件により最終透過液および最終残液の液体クロマトグラフチャートを得た。
カラム:日立GL.W520−S水系SEC分析カラム
溶離液:H2O
流量:0.3mL/分
サンプル注入量:50μL(30℃)
測定時間:50分
検知器:RID
各サイクルの運転により得た最終透過液、最終残液の液体クロマトグラフによるチャートにより分離状況を判断した。図8のチャートはPEG関連物質を標準物質として測定したものである。図8(A)はジエチレングリコール、図8(B)はPEG200混合物、図8(C)はPEG300混合物のものである。標準物質としてのジエチレングリコールは約32分にピークがある。またPEG200混合物は、約30.2分に最も高いピークがあり、その両脇である29.5分と31分にピークがある。サンプルが平均分子量200のポリエチレングリコール混合液であることと、ジエチレングリコールのピークから判断して、ジエチレングリコール(分子量106)が32分、トリエチレングリコール(分子量150)が31分、テトラエチレングリコール(分子量194)が30.2分、ペンタエチレングリコール(分子量238)が29.5分にそれぞれピークをもつと判断できる。加えて、平均分子量300のポリエチレングリコールの混合物では、最大級のピークが、28.8分と28.2分の2箇所にあり、これらをヘキサエチレングリコール(分子量282)とヘプタエチレングリコール(分子量326)とするとそれらの平均がPEG300の平均分子量300と近く、各物質の滞留時間と分子量が矛盾なく並ぶ。
実施例2では図5に開示した装置を用いた。
実施例2の一連の多段向流分離操作は、濃縮段(表3に記載せず)を含めて21段階の膜分離操作からなる。濃縮段を除いた20段は、定常状態において原料溶液の物質1と物質2との合計の100重量流量単位に対して、各段からの残液中の物質1と物質2との合計で146重量流量単位とする第1の多段向流分離手段6段と246重量流量単位とする第2の多段向流分離手段14段を、残液中の物質1と物質2との濃度合計が25重量%程度となるように確保しながら運転した。原料は6段目の開始前に希釈水と共に約25重量%水溶液として供給し、第1段においては次段からの透過液を物質1、物質2のいずれも透過しないRO膜やNF膜を用いて約360重量流量単位程度の水分を除去し、2段目から18段目までの適切に選んだ段では、洗浄液として次々段の透過液を洗浄液として用い、各段の濃度調整のために、必要に応じてRO膜による濃縮、または透過液に水分を補給する操作を行い、濃縮操作部最後の二段においては、新鮮な洗浄水526および555重量流量単位を供給し、各段の残液濃度25重量%水溶液とする運転を継続した場合の運転結果である。
表3は、上記の運転条件における結果をまとめたものである。表中F、C、Pは物質1と物質2との合計の重量流量単位(除水分)を示し、Fは供給液中の値、Cは各段の残液、Pは各段の透過液中の値である。第1段においては、表3に示されるPより多量の物質1と物質2とに相当する透過液を取得し、その第1段のPの値に相当する分の透過液を系外に抜き出し、残りの透過液を第1段に戻す運転が可能である。最終段においても表3のCの値に相当する残液より多くの残液を取得し、その最終段のCの値の相当する分の残液を系外に抜き出し、残りの残液を最終段に戻す運転が可能である。
実施例3では図6に開示した装置を用いた。
実施例3の一連の多段向流洗浄分離操作は、濃縮段(表4−1,4−2に記載せず)を含めて11段階の膜分離操作からなる。各段における物質1と物質2の流量単位及び重量分率を表4−1に、物質1、物質2及び水を含む処理液の重量流量単位を表4−2に示す。濃縮段を除いた10段は、定常状態において供給原料溶液の物質1と物質2との合計の100重量流量単位に対して、各段からの残液中の物質1と物質2との合計で438重量流量単位とする第1の多段向流洗浄分離手段として4段と838重量流量単位とする第2の多段向流洗浄分離手段として6段を、残液中の物質1と物質2との濃度合計が25重量%程度となるように確保しながら運転するものである。原料は5段目の開始前に希釈水と共に約25重量%水溶液として供給した。第1段には、次段からの透過液を物質1、物質2のいずれも透過しないRO膜やNF膜を用いて約304重量流量単位程度水分を除去してから洗浄液として供給した。2段目から10段目までの適切に選んだ段では、次の段の透過液を洗浄液として用い、各段の濃度調整のために、必要に応じてRO膜による濃縮、または透過液に水分を補給する操作を行った。第2の多段向流分離操作部の最後段においては、新鮮な洗浄水809重量流量単位を供給した。表4−3は、各段の残液濃度を25重量%水溶液とする運転を継続した場合の、最終透過液、最終残液における各成分濃度及び合計濃度を示す。
2…秤
3…昇圧ポンプ入口配管
4…昇圧ポンプ
5−A…熱交換器(冷却器)
5−B…熱交換器(加熱器)
6−A,6−B,6−C… 膜モジュール
7…圧力計
8…pH計
9…圧力調節弁
10…循環液出口配管/ホース
11…分離膜洗浄液循環用温水容器
12…残液用容器
13…洗浄水貯槽
13−B…洗浄液容器
14−A…洗浄水ポンプ
14−B…洗浄液ポンプ
15…透過液容器
16…透過液用配管/ホース
22…循環液の抜出し機構
23…洗浄液の供給機構
24…透過液の抜出し機構
25…透過液の流量測定機構
26…循環液の濃度測定機構
27…洗浄液供給量の制御による循環液濃度維持機構
28…透過液の糖度測定機構用の糖度計
29…循環液の温度維持機構
30…返送用配管
31…先行バッチ貯槽
33…洗浄液調節弁
34・・・透過液返送弁
51…原料溶液
52…洗浄水
53…透過液
54…残液
55…返送透過液
56…洗浄液
57…希薄液
58…冷却水
59…洗浄用温水
60…加熱用水
61…対象液
62…洗浄液
63…透過液
64…残液
65…膜ユニット
66…圧力調節弁
67…循環ポンプ
68…透過液ポンプ
69…昇圧ポンプ
70…循環液タンク
71…透過液タンク
81…原料溶液
82…純水
83…最終透過液
84…最終残液
85…濃縮透過液
Claims (11)
- 被処理液を残液と透過液に膜分離する分離装置に対して、目的物質1及び目的物質2を含む原料溶液を供給し、透過液から目的物質1を取得し、残液から目的物質2を取得するダイアフィルトレーション法であって、
以下の多段向流分離操作を複数回のサイクルで行うとともに、前記各サイクルを4段以上の段で行い、各サイクルおよび各段を経時的に実施し;
第1サイクルにおいて;
(1)各段に被処理液と前記被処理液に添加する洗浄液を供給し、分離装置の分離膜によって透過液と残液に分離すること、
(2)各段の透過液を段毎に分けて貯留手段に貯留すること、
(3)各段の残液を直ぐ後ろの段に送り、送り先の段で、被処理液として用いること、
(4)4段以上の段のうちの中間にある段に、外部から原料溶液を供給すること、
以下、第2サイクル以降の各サイクルにおいて;
(5)貯留手段に貯留された透過液を、第1の段の被処理液として使用し、または透過液を取得した前サイクルの段よりも前段の洗浄液として使用すること、
(6)前記洗浄液は、前段へいくほど目的物質1の濃度が高くなるように構成し、または目的物質1の目的物質2に対する比率が高くなるように構成すること、
(7)各段に供給された被処理液と洗浄液を、分離装置の分離膜によって透過液と残液に分離し、
各段の透過液を段毎に分けて貯留手段に貯留するとともに、各段の残液を直ぐ後ろの段に送り、送り先の段で、被処理液として用いること、
(8)第1の段の透過液を最終透過液として取り出し、目的物質1を取得すること、
(9)最後の段の残液を最終残液として取り出し、目的物質2を取得すること、
を特徴とする原料溶液の膜分離方法。 - 第2サイクル以降の各サイクルにおいて、貯留手段に貯留された透過液を、第1の段の被処理液として使用し、または透過液を取得した前サイクルの段よりも2つ以上前の段の洗浄液として使用する、請求項1に記載の原料溶液の膜分離方法。
- 前記多段向流分離操作において、原料溶液を複数の段に分けて供給する、請求項1または2に記載の原料溶液の膜分離方法。
- 前記多段向流分離操作において、最初の段に供給する被処理液を処理前に濃縮する請求項1〜3のいずれか1項に記載の原料溶液の膜分離方法。
- 前記多段向流分離操作において、貯留手段に貯留した透過液を、次サイクルの各段に洗浄液として供給する前に濃縮する請求項1〜4のいずれか1項に記載の原料溶液の膜分離方法。
- 原料溶液を供給する段及びこれよりも後ろの段のいずれかの段に対して、最後の段によって分離される残液の少なくとも一部を供給する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の原料溶液の膜分離方法。
- 少なくとも3種類の目的物質を含む原料溶液から、
(1)前記多段向流分離操作の最終透過液に目的物質1を分離する工程、
(2)前記多段向流分離操作の最終残液に目的物質2を分離する工程、
(3)前記多段向流分離装置のいずれかの段から、多段向流分離装置とは別の分離手段に、透過液または残液の全部または一部を供給し、前記別の分離手段の最終透過液または最終残液に目的物質3を分離する工程、
を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の原料溶液の膜分離方法。 - 第1の段の透過液の少なくとも一部を、次サイクルの被処理液の一部として使用することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の原料溶液の膜分離方法。
- 第1の段の透過液は、
前記透過液中の目的物質1が所定濃度以上となるまで、および透過液中の目的物質1の濃度の目的物質2の濃度に対する比率が所定比率以上となるまで、という二つの条件の少なくともいずれかを満たすまで、
次サイクルの被処理液として使用し、
前記二つの条件の少なくともいずれかを満たしたときに、最終透過液として系外に取り出し、
第2の段の透過液を次サイクルの被処理液として使用する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の原料溶液の膜分離方法。 - 多段向流分離操作の複数段での膜分離に同一の分離手段を用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の膜分離方法。
- 被処理液を残液と透過液に膜分離する分離装置に対して、目的物質1及び目的物質2を含む原料溶液を供給し、透過液から目的物質1を取得し、残液から目的物質2を取得するダイアフィルトレーションに用いる装置であって、
以下の多段向流分離操作を複数回のサイクルで行うとともに、前記各サイクルを4段以上の段で行い、各サイクルおよび各段を経時的に実施し;
第1サイクルにおいて;
(1)各段に被処理液と前記被処理液に添加する洗浄液を供給し、分離装置の分離膜によって透過液と残液に分離する、
(2)各段の透過液を段毎に分けて貯留手段に貯留する、
(3)各段の残液を直ぐ後ろの段に送り、送り先の段で、被処理液として用いる、
(4)4段以上の段のうちの中間にある段に、外部から原料溶液を供給する、
以下、第2サイクル以降の各サイクルにおいて;
(5)貯留手段に貯留された透過液を、第1の段の被処理液として使用し、または透過液を取得した前サイクルの段よりも前段の洗浄液として使用する、
(6)前記洗浄液は、前段へいくほど目的物質1の濃度が高くなるように構成し、または目的物質1の目的物質2に対する比率が高くなるように構成する、
(7)各段に供給された被処理液と洗浄液を、分離装置の分離膜によって透過液と残液に分離し、
各段の透過液を段毎に分けて貯留手段に貯留するとともに、各段の残液を直ぐ後ろの段に送り、送り先の段で、被処理液として用いる、
(8)第1の段の透過液を最終透過液として取り出し、目的物質1を取得する、
(9)最後の段の残液を最終残液として取り出し、目的物質2を取得する、
ように構成されたことを特徴とする原料溶液の膜分離装置。
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