JP5396820B2 - 振動アクチュエータ、レンズ鏡筒および光学機器 - Google Patents

振動アクチュエータ、レンズ鏡筒および光学機器 Download PDF

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Description

本発明は、振動アクチュエータと、振動アクチュエータを有するレンズ鏡筒および光学機器に関する。
近年、圧電素子等の電気機械変換素子を用いた振動アクチュエータは、多様な分野で利用されている。しかし、従来技術に関する振動アクチュエータは、例えば当該振動アクチュエータを使用する使用環境の温度が変化すると、圧電素子等の静電容量等が変化し、振動アクチュエータの出力が変化するという問題を有している。
このような問題に対応した従来技術としては、電歪素子に発熱体を熱結合させる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、従来技術に係る振動アクチュエータは、電歪素子に発熱体を取り付けているため、変位素子が大きくなり、小型化が困難であるという問題を有している。また、電歪素子に発熱体を取り付けているため、変位素子の構造が複雑になるという問題を有している。
特開昭58−48976号公報
本発明は、このような問題点に鑑みてなされ、本発明の目的は、使用環境の温度の違いに関わらず安定した特性を有する振動アクチュエータと、当該振動アクチュエータを有するレンズ鏡筒および光学機器を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る振動アクチュエータは、
電気機械変換素子(64)の変位により振動を発生する振動部材(74)と、
前記振動により前記振動部材に対して相対移動する相対移動部材(60)と、
前記相対移動部材を停止させた状態で前記電気機械変換素子を発熱させることができる周波数の駆動信号を、前記電気機械変換素子に対して出力する制御部(18,24,25)とを有する。
また、例えば、前記電気機械変換素子の温度を検出する温度検出部(26)を有し、
前記制御部は、前記温度検出部によって所定の値以下の温度が検出された場合に、前記周波数の駆動信号を、前記電気機械変換素子に対して出力してもよい。
また、例えば、前記温度検出部は、前記電気機械変換素子の静電容量を検出することにより前記電気機械変換素子の温度を検出してもよい。
また、例えば、前記電気機械変換素子の静電容量を検出する静電容量検出部(92)を有し、
前記制御部は、前記静電容量検出部によって所定の値以下の静電容量が検出された場合に、前記周波数の駆動信号を、前記電気機械変換素子に対して出力してもよい。
また、例えば、前記制御部は、前記相対移動部材を停止させた状態で前記電気機械変換素子を発熱させることができる第1の周波数を有する駆動信号を、前記電気機械変換素子に対して出力する第1の制御と、
前記相対移動部材を前記振動部材に対して相対移動させることができる第2の周波数を有する駆動信号を、前記電気機械変換素子に対して出力する第2の制御と、を切り換える切替部(82)を有していてもよい。
本発明に係るレンズ鏡筒は、上記いずれかの振動アクチュエータを有する。また、本発明に係る光学機器は、上記いずれかの振動アクチュエータを有する。
なお上述の説明では、本発明をわかりやすく説明するために実施形態を示す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明は、これに限定されるものでない。後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させてもよい。さらに、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る振動アクチュエータを有するカメラの概略図、
図2は、本発明の一実施形態に係る振動アクチュエータの制御回路を説明したブロック図、
図3は、温度検出部または静電容量検出部が、圧電素子部の静電容量を検出する方法を示す回路図、
図4は、図2に示す制御回路によって行われるアクチュエータ部の制御の一例を表すフローチャート、
図5は、図1に示すアクチュエータ部の概略断面図、
図6は、図2および図8に示す発振部の変形例を説明したブロック図、
図7は、ロータの回転速度と、圧電素子部に出力される駆動信号の周波数との関係を表すグラフ、
図8は、本発明の第2実施形態に係る振動アクチュエータにおける制御回路を説明するためのブロック図である。
第1実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係る振動アクチュエータを有するカメラの概略図である。カメラ2は、カメラボディ6とレンズ鏡筒8を有する。本実施形態に係るカメラ2に備えられるカメラボディ6は、レンズ交換式のデジタルカメラであり、レンズ鏡筒8が着脱自在に備えられる。
カメラボディ6は、電源14、ボディCPU10および記録媒体12等を有する。記録媒体12は、CCDまたはCMOS等の固体撮像素子や、銀塩フィルム等を有しており、レンズ鏡筒8によってカメラボディ6内部に導かれる被写体光による像を記録することができる。電源14から電力を供給されるボディCPU14は、カメラ6に備えられる記録媒体12等の各部材を制御することができる。
また、ボディCPU10は、レンズ鏡8に備えられるレンズCPU16と通信することができる。ボディCPU10は、例えばレンズCPU16を介して、レンズ鏡筒8に備えられる駆動制御部18等の各部材の制御を行うことができる。
レンズ鏡筒8は、カメラボディ6に対して着脱自在に取り付けられており、カメラボディ6の内部に被写体光を導くことができる。本実施形態に係るカメラ2に備えられるレンズ鏡筒8は、レンズCPU16、駆動制御部18、アクチュエータ部20およびAF(オートフォーカス)調整レンズ群22等を有する。
レンズCPU16は、ボディCPU10との通信機能や、AF調整レンズ群22等の制御機能を有している。例えば、レンズCPU16は、AF調整レンズ群22の位置情報や、アクチュエータ部20の温度情報等を、ボディCPU10に出力することができる。
AF調整レンズ群22は、図示しない他のレンズ群とともに、撮影光学系の一部を構成する。AF調整レンズ群22は、レンズ鏡筒8の内部を、撮影光学系の光軸Lに沿って移動し、撮影光学系のピント位置を調整することができる。
本実施形態に係るカメラに備えられるAF調整レンズ群22は、アクチュエータ部20から動力を伝達されて、レンズ鏡筒8の内部を移動することができる。本実施形態において、アクチュエータ部20は超音波モータ(SMW)である。また、アクチュエータ部20の駆動は、レンズ鏡筒8に備えられたレンズCPU16および駆動制御部18等を介して制御される。
図5は、図1に示すアクチュエータ部20の概略断面図である。アクチュエータ部20は、ロータホルダ58、ロータ60、ステータ74、加圧部76および押さえ環72を有する。
図5に示すように、アクチュエータ部20は、図1に示すレンズ鏡筒8に備えられる固定筒56の外周面に配置されている。固定筒56の中心軸は、撮影光学系の光軸Lと略一致しており、固定筒56の内周面側には、図1に示すAF調整レンズ群22、または撮影光学系を構成するその他のレンズ群等が配置される。
アクチュエータ部20を構成するロータホルダ58、ロータ60、ステータ74、加圧部76および押さえ環72は、リング状の形状を有している。ロータホルダ58、ロータ60、ステータ74、加圧部76および押さえ環72の内径側には、固定筒56が挿入されている。また、アクチュエータ部20を構成する各部材は、光軸Lに沿って、押さえ環72、加圧部76、ステータ74、ロータ60、ロータホルダ58の順に配置されている。
押さえ環72は、固定筒56の外周面に螺旋止めされ、固定されている。押さえ環72は、支持部材80との間に、ロータ60、ステータ74および加圧部76を、光軸L方向に挟み込んでいる。したがって、アクチュエータ部20を構成するロータ60およびステータ74等は、押さえ環72および支持部材80によって、固定筒56の外周面側に保持される。
加圧部76は、押さえ環72とステータ74の間に設けられており、押さえ環72とステータ74を、光軸L方向に沿って互いに離間させる方向に付勢する皿バネ70を有する。ステータ74に備えられる弾性体部62と、ロータ60とは、皿バネ70の付勢力によって加圧接触される。皿バネ70とステータ74の間に配置される加圧板68は、皿バネ70の付勢力を、ステータ74に対して面接触で伝えるために備えられるリング状の部材である。
ステータ74は、弾性体部62と圧電素子部64と基板部66とを有する。基板部66には、図1に示す駆動制御部18からの駆動信号が伝達される。ステータ74における圧電素子部64には、基板部66を介して、駆動信号が出力される。
基板部66に伝達される駆動信号は電圧信号であり、圧電素子部64には駆動信号に応じた電圧が印加される。圧電素子部64は、基板部66を介して出力される駆動信号に応じて変形し、圧電素子部64とロータ60との間に備えられる弾性体部62に、進行波を発生させる。
弾性体部62は、皿バネ70の付勢力によって、ロータ60に加圧接触される。また、弾性体部62におけるロータ60側の端部には、櫛歯状の凹凸が形成されている。なお、固定筒56の外周面には、突起56aが形成されている。突起56aは弾性体部62と係合し、弾性体部62が、光軸Lを中心として、固定筒56に対して相対的に回転移動することを防止している。
ステータ74を挟んで加圧部76と反対側には、ロータ60が配置される。また、ロータ60と支持部材80との間には、ロータホルダ58が配置される。ロータホルダ58は、アクチュエータ部20における出力部であり、ロータ60と共に回転する。
ステータ74における圧電素子部64が所定の周波数で振動された場合、弾性体部62には進行波が生じる。弾性体部62に加圧接触されているロータ60およびロータホルダ58は、弾性体部62に生じた進行波によって、光軸Lを中心とした回転運動を行うことができる。
本実施形態では、アクチュエータ部20におけるロータホルダ58の回転運動は、カム機構等(不図示)を用いて、光軸Lに沿う方向の運動に変換される。光軸Lに沿う方向の運動に変換された後、アクチュエータ部20による運動は、図1に示すAF調整レンズ群22を保持するAF環(不図示)に伝達され、AF調整レンズ群22を光軸L方向に移動させる。
図2は、図1および図5に示すアクチュエータ部20の制御回路を説明したブロック図である。本実施形態に係るアクチュエータ部20は、演算制御部24および駆動制御部18によって駆動制御される。
演算制御部24は、レンズCPU16と、温度検出部26と、回転検出部28とを有する。回転検出部28は、アクチュエータ部20におけるロータ60等(図5)の回転速度を検出する。温度検出部26は、アクチュエータ部20における圧電素子部64の温度を検出する。各検出部26,28は、アクチュエータ部20の回転数または温度に関する情報を、レンズCPU16に出力する。なお、温度検出部26については後に詳述する。
レンズCPU16は、図1に示すボディCPU10からの指令や、図2に示す温度検出部26または回転検出部28等の情報に基づき、駆動制御部18の発振部30に対して、アクチュエータ部20を駆動させるための制御信号を出力する。
駆動制御部18は、発振部30と、波形生成部32と、移相器34と、増幅器36,37と、切替回路40とを有する。駆動制御部18は、演算制御部24からの制御信号に基づき、アクチュエータ部20の基板部66に対して、アクチュエータ部20を駆動するための信号を出力することができる。
発振部30は、所定の周波数のパルス信号を発生させ、波形生成部32に出力する。発振部30が発生させるパルス信号の周波数は、レンズCPU16からの制御信号によって決定される。
波形生成部32は、入力されたパルス信号の周波数に対応した駆動信号を生成する。生成される駆動信号の形状等は特に限定されず、例えば所定の周波数を有する交流信号とすることができる。波形生成部32は、生成した駆動信号を、増幅器36および移相器34に出力する。
移相器34は、入力された駆動信号の位相を+π/2または−π/2移相して、増幅器37に出力する。演算制御部24および駆動制御部18は、駆動信号の移相量を、−π/2と+π/2とで切り換えることによって、アクチュエータ部20におけるロータ60(図5)の回転方向を切り替えることができる。
増幅器36,37は、波形生成部32または移相器34から入力された駆動信号を増幅し、切替回路40を介して、アクチュエータ部20の基板部66に出力する。アクチュエータ部20に備えられる基板部66には、周波数が等しく移相の異なる2種類の駆動信号が入力される。
圧電素子部64は、駆動制御部18から基板部66に入力される2種類の駆動信号によって変位を発生し、当該圧電素子部64の変位によって、弾性体部60に進行波が発生する。弾性体部60に発生した進行波によって、ロータ60およびロータホルダ58が回転運動を行う。このようにして、アクチュエータ部20は、ロータホルダ58の回転運動が伝達されるAF調整レンズ群22(図1)を、光軸L方向に移動させる。
図2に示す駆動制御部18における切替回路40は、レンズCPU16からの制御信号に基づき、基板部66への配線を、切り替えることができる。すなわち、切替回路40は、駆動制御部18の増幅器36,37と基板部66とを電気的に接続する第1の状態から、演算制御部24における温度検出部26と基板部66とを電気的に接続する第2の状態へ、配線を切り替えることができる。また、切替回路40は、第2の状態から、第1の状態へ、配線を切り替えることができる。
レンズCPU16は、例えばAF調整レンズ群22を駆動する時や、AF調整レンズ群22を駆動させずに圧電素子部64を発熱させる時には、駆動制御部18に備えられる増幅器36,37と、基板部66とが電気的に接続されるように、切替回路40を制御する。また、レンズCPU16は、温度検出部26によって、アクチュエータ部20における圧電素子部64の温度を検出する時は、温度検出部26と基板部66が電気的に接続されるように、切替回路40を制御することができる。
温度検出部26は、切替回路40を介して、アクチュエータ部20における基板部66に電気的に接続され得る。本実施形態に係る温度検出部26は、アクチュエータ部20における圧電素子部64の静電容量を測定することによって、圧電素子部64の温度を検出する。
図3は、本実施形態に係る温度検出部26が、圧電素子部64の温度を検出する方法を説明した回路図である。図3に示すように、アクチュエータ部20における圧電素子部64は、等価回路においてコンデンサーとみなすことができる。
温度検出部26は、電圧発生部46、抵抗部44および圧電素子部64によって、RC直列回路を形成している。圧電素子部64の温度を測定する時、温度検出部26は、スイッチ48を開くことによって、圧電素子部64に電荷をチャージする。A/D変換器50は、コンデンサーとみなされる圧電素子部64の端子電圧をアナログ信号に変換し、レンズCPU16に出力する。
図2に示すレンズCPU16は、温度検出部26から入力される圧電素子部64の端子電圧の時間変化から、圧電素子部64の静電容量を算出する。例えば、圧電素子部64の静電容量をC(F)と、端子電圧が所定の値VC1(V)に到達するまでに要する時間T1(秒)との関係は、以下の式1で表される。
T1=−RC・ln(1−VC1/E) (式1)
なお、R(Ω)は抵抗部44の抵抗、E(V)は電圧発生部46の電圧である。
さらに、レンズCPU16は、基準温度(例えば20℃)における圧電素子部64の静電容量と、温度検出部26からの出力信号に基づいて算出された静電容量とを比較することによって、圧電素子部64の温度を算出できる。基準温度における圧電素子部64の静電容量や、圧電素子部64の静電容量の温度依存性等、レンズCPU16による温度算出に必要な値は、例えば図2に示す演算制御部24に備えられた不図示のメモリ等に格納されている。
図4は、図2に示す制御回路によって行われるアクチュエータ部20の制御の一例を表すフローチャートである。
図4に示すステップS001では、図2に示す演算制御部24および駆動制御部18が、アクチュエータ部20の制御を開始する。演算制御部24におけるレンズCPU16は、図1に示すボディCPU10から、アクチュエータ部20の制御を開始する旨の信号が入力されたタイミングで、アクチュエータ部20の制御を開始する。ボディCPU10は、例えば、カメラ2の電源がONになった時に、アクチュエータ部20の制御を開始する旨の信号を、レンズCPU16に出力する。
ステップS002において、演算制御部24および駆動制御部18は、アクチュエータ部20における圧電素子部64の温度を検出し、圧電素子部64の温度が所定値以下か否かを判断する。始めに、図2に示すレンズCPU16は、切替回路40に制御信号を出力し、アクチュエータ部20の基板部66と温度検出部26とを電気的に接続させる。
さらに、レンズCPU16は、温度検出部26に制御信号を出力し、温度検出部26に、アクチュエータ部20における圧電素子部64の温度を検出させる。また、レンズCPU16は、温度検出部26から出力される信号を基に、圧電素子部64の温度を算出する。
演算制御部24および駆動制御部18は、圧電素子部64の温度が所定値以下ならば、ステップS003に係る処理を行い、圧電素子部64の温度が所定値以下でない場合は、ステップS003に係る処理をスキップする。なお、ステップS002において、判断の基準となる所定の温度は、アクチュエータ部20に求められる精度等に応じて適切な値とすることができるが、例えば0℃〜10℃の値とすればよい。また、レンズCPU16によって算出された圧電素子部64の温度は、不図示のメモリに記録されてもよい。
図4に示すステップS003において、演算制御部24および駆動制御部18は、圧電素子部64を発熱させる第1の制御を行う。ステップS003において、演算制御部24および駆動制御部18は、アクチュエータ部20におけるロータ60(図5)を停止させた状態で、圧電素子部64を発熱させることができる周波数を有する駆動信号を、基板部66に出力する。
ステップS003に係る第1の制御において、圧電素子部64に出力される駆動信号の周波数は、アクチュエータ部20の周波数特性によって決定される。図7は、図5に示すアクチュエータ部20におけるロータ60の回転速度(又は回転数)と、基板部66に入力され、圧電素子部64に出力される駆動信号の周波数との関係を表すグラフである。
図7におけるfは、図5に示すアクチュエータ部20におけるロータ60が回転を始める周波数であり、fは、ステータ74における弾性体部62が機械的な共振を生じる周波数である。AFレンズ群14を移動させる第2の制御(ステップS005)では、周波数の増加に伴ってのロータ60の回転速度が低下するf〜fの周波数を有する駆動信号が圧電素子部64に出力される。
それに対して、本発明の第1実施形態における第1の制御では、ロータ60を回転させない周波数を有する駆動信号が、圧電素子部64に出力される。例えば、第1の制御において基板部66に出力される駆動信号の周波数(第1の周波数)は、図7におけるfのように、ロータ60が回転を始める周波数であるfより大きい。
第1の制御において圧電素子部64に出力される駆動信号の周波数fは、アクチュエータ部20の周波数特性に応じて決定されるが、例えばf+1.0kHz〜f+2.0kHとすることができる。また、図7に示すアクチュエータ部20の周波数特性は、温度依存性を有する。したがって、図2に示すレンズCPU16は、ステップS002において算出された温度を考慮して、第1の周波数を算出することができ、これによって第1の周波数を最適化することができる。
ステップS003において、図2に示すレンズCPU16は、駆動制御部18における発振部30に対して、ロータ60を回転させない第1の周波数を有する駆動信号を、アクチュエータ部20に出力するように指示する。発振部30は、レンズCPU16からの指示に基づき、第1の周波数を有するパルス信号を、波形生成部32に出力する。波形生成部32は、入力されたパルス信号の周波数に対応した駆動信号を生成し、生成された駆動信号は、移相器34、増幅器36,37および切替回路40を介して、アクチュエータ部20における基板部66に出力される。
駆動信号が入力されたアクチュエータ部20では、図7に示す周波数特性に示すように、図5に示すロータ60は回転しない。しかし、ロータ60を回転させない周波数を有する駆動信号が出力された圧電素子部64は、電気エネルギーの一部が熱に変換されることによって発熱する。図2に示すレンズCPU16は、駆動制御部18を介して、所定の時間アクチュエータ部20を駆動した後、ステップS004に進む。
ステップS004において、演算制御部24および駆動制御部18は、操作信号が入力されたか否かを判断する。すなわち、演算制御部24におけるレンズCPU16は、AF動作を開始するように指示するAF操作信号が、図1に示すボディCPU10から、レンズCPU16に入力されているか否かを判断する。ボディCPU10は、例えば、カメラボディ6に備えられたレリーズボタン(不図示)が、撮影者によって半押しされたタイミングで、レンズCPU16にAF操作信号を出力する。
図2に示す演算制御部24および駆動制御部18は、レンズCPU16にAF操作信号が入力されている場合は、ステップS005に係る処理に進む。それに対して、レンズCPU16にAF操作信号が入力されていない場合は、所定時間待機した後に、ステップS002に戻って処理を繰り返す。
ステップS005において、演算制御部24および駆動制御部18は、図1に示すAF調整レンズ群22を移動させる第2の制御を行う。ステップS005において、演算制御部24および駆動制御部18は、アクチュエータ部20におけるロータ60を回転させることができる周波数(第2の周波数)を有する駆動信号を、基板部66に出力する。
例えば、レンズCPU16は、図7に示すf〜fの周波数を有する駆動信号を、アクチュエータ部20に出力するように、駆動制御部18における発振部30に指示する。発振部30は、レンズCPU16からの指示に基づき、f〜fの周波数を有するパルス信号を、波形生成部32に出力する。波形生成部32は、入力されたパルス信号の周波数に対応した駆動信号を生成し、生成された駆動信号は、移相器34、増幅器36,37および切替回路40を介して、アクチュエータ部20における基板部66に出力される。
なお、図7に示すアクチュエータ部20の周波数特性は、温度依存性を有する。したがって、図2に示すレンズCPU16は、ステップS002において算出された温度を考慮して、第2の周波数を算出することができ、これによって第2の周波数を最適化することができる。
駆動信号が入力されたアクチュエータ部20では、図5に示すロータ60およびロータホルダ58が回転する。さらに、ロータ60およびロータホルダ58の運動が、図1に示すAFレンズ群14を保持するAF環(不図示)に伝達され、AFレンズ群14を光軸L方向に移動させる。
レンズCPU16は、AFレンズ14を所定の位置まで移動させた後、第2の制御を終了する。さらに、図2に示す演算制御部24および駆動制御部18は、所定時間待機した後に、ステップS002に戻って図4に示す処理を繰り返す。
本実施形態に係る振動アクチュエータは、ロータ60を停止させた状態で、圧電素子部64を発熱させることができるため、圧電素子部64を一定以上の温度に保つことができる。したがって、本実施形態に係る振動アクチュエータによれば、環境温度の違いに関わらず安定した特性を得ることができる。
また、本実施形態に係る振動アクチュエータは、圧電素子部64に出力される駆動信号の周波数を、所定の周波数とすることによって、圧電素子部64を発熱させる。したがって、本実施形態に係る振動アクチュエータは、圧電素子部64を加熱するための発熱体を、アクチュエータ部20に別途取り付ける必要がないため、小型化に適している。
さらに、本実施形態に係る振動アクチュエータは、駆動信号の周波数を変化させるだけで、圧電素子部64を発熱させる第1の制御と、AF調整レンズ22を駆動させる第2の制御とを切り替えることができる。したがって、第1の制御と、第2の制御とで、駆動制御部18に関する回路の多くを兼用することができるため、本実施形態に係る振動アクチュエータは、駆動制御部18を小型化することができ、また、駆動制御部18の構造をシンプルにできる。
また、さらに、本実施形態に係る振動アクチュエータは、アクチュエータ部20の出力部であるロータホルダ58と、アクチュエータ部20の駆動対象であるAF環との機械的な動力の伝達を、制御に応じて(すなわち第1の制御と第2の制御とで)切り替える必要がない。したがって、本実施形態に係る振動アクチュエータを備えるカメラまたはレンズ鏡筒は、小型化が容易である。
また、本実施形態に係る振動アクチュエータは、アクチュエータ部20の駆動特性に影響がある圧電素子部64の静電容量を検出し、圧電素子部64の静電容量に基づき、圧電素子部64を発熱させる制御を行う。したがって、本実施形態に係る振動アクチュエータは、アクチュエータ部20の駆動特性をより好適に安定させることができる。
また、圧電素子部64の静電容量を検出することによって、圧電素子部64の温度を検出するため、アクチュエータ部20に、温度を検出するための部材を別途設ける必要がなく、この点でも小型化に有利である。さらに、本実施形態に係る振動アクチュエータは、アクチュエータ部20の基板部66を第1の制御と第2の制御の両方に用いることができるため、アクチュエータ部20を小型化できる。加えて、圧電素子部64の静電容量を検出することによって、圧電素子部64自体の温度を検出するため、温度の検出精度が高い。
また、本実施形態に係る振動アクチュエータは、第1の制御において圧電素子部64に出力する駆動信号の周波数である第1の周波数fを、第2の制御において圧電素子部64に出力する駆動信号の周波数である第2の周波数f〜fよりも高い周波数とすることができる。したがって、本実施形態に係る振動アクチュエータは、ロータ60を回転運動させない状態で、圧電素子部64の温度を上昇させることができる。したがって、図1のカメラ2のレンズ鏡筒8においては、AF調整レンズ群22を移動させることなく、圧電素子部64の温度を上昇させることができる。したがって、カメラ2の電源がオンになったときや、AF調整レンズ群22の駆動をすべきでないとき等に、圧電素子部64の温度を上昇させることができる。
また、本実施形態に係る振動アクチュエータは、温度検出部26によって所定の値以下の温度が検出された場合に、圧電素子部64を発熱させる制御を行う。したがって、本実施形態に係る振動アクチュエータは、低温環境においてアクチュエータ部20の出力が低下する現象を防止することができる。
第2実施形態
図8は、本発明の第2実施形態に係る振動アクチュエータにおける制御回路を説明するためのブロック図である。第2実施形態おける振動アクチュエータは、制御回路における温度検出部26が静電容量検出部92に置き換えられており、レンズCPU90の演算がレンズCPU16と異なる他は、第1実施形態と同様である。
静電容量検出部92は、図3において説明した第1実施形態における温度検出部26と同様にして、圧電素子部64の静電容量を検出することができる。また、図7に示すレンズCPU90は、第1実施形態に係るレンズCPU16と同様にして、静電容量検出部92から出力された信号から圧電素子部64の静電容量を算出することができる。
レンズCPU90は、第1実施形態に係るレンズCPU16とは異なり、圧電素子部64の温度を算出することなく、算出された静電容量から、圧電素子部64を発熱させる制御を行うか否かを判断する。すなわち、図8に示す演算制御部25および駆動制御部18は、図2に示す演算制御部24および駆動制御部18と同様に、図4のフローチャートに示す処理を行うことができるが、ステップS002における処理が、図2に示す第1実施形態とは異なる。
すなわち、図8に示す演算制御部25および駆動制御部18は、図4に示すステップS002において、圧電素子部64の静電容量が、所定の静電容量以下か否かを判断する。演算制御部25および駆動制御部18は、圧電素子部64の静電容量が所定値以下ならば、ステップS003に係る処理を行い、圧電素子部64の静電容量が所定値以下でない場合は、ステップS003に係る処理をスキップする。
なお、ステップS002において、判断の基準となる所定の静電容量は、アクチュエータ部20に求められる精度等に応じて適切な値とすることができるが、例えば20℃における圧電素子部64の静電容量の85%〜90%(すなわち、10%〜15%の低下)の値とすればよい。
第2実施形態に係る振動アクチュエータは、ロータ60を停止させた状態で、圧電素子部64を発熱させることができるため、圧電素子部64の静電容量を一定以上に保つことができる。したがって、本実施形態に係る振動アクチュエータは、環境温度の変化に伴う圧電素子部64の特性変化を受けにくく、安定した特性を得ることができる。
また、圧電素子部64の静電容量を検出して振動アクチュエータの特性を安定化させるため、温度または静電容量を検出するための部材を別途設ける必要がなく、小型化に有利である。さらに、本実施形態に係るアクチュエータ部20は、ロータ60を回転させる際に圧電素子部64に電圧を印加するための電極部68を用いて、圧電素子部64の静電容量検出するため、別途圧電素子部64の静電容量を検出する部材を設ける必要がなく、構造がシンプルである。
また、第2実施形態に係る振動アクチュエータは、圧電素子部64を発熱させる第1の制御については、第1実施形態に係る振動アクチュエータと同様であり、第1実施形態と同様の効果を有する。
その他の実施形態
図2または図8に示す駆動制御部18に備えられる発振部30は、図6に示す発振部30aのように、発振切替部82と、AF駆動発振部84と、発熱発振部86とを有していてもよい。発振切替部82は、移相器34および増幅器36,37に出力するパルス信号を、AF駆動発振部84に生成させるか、発熱発振部86に生成させるかを切り替えることができる。
すなわち、レンズCPU16,90から、図4に示す第2の制御を行う旨の指示があった場合、発振部切替部82は、AF駆動発振部84にパルス信号を生成させる。その反対に、レンズCPU16,90から、図4に示す第1の制御を行う旨の指示があった場合、発振切替部82は、発熱発振部86にパルス信号を生成させる。
AF駆動発振部84は、図7に示すf〜fの周波数を有するパルス信号を、移相器34および増幅器36,37に出力し、アクチュエータ部20のロータ60を回転させることができる。発熱発振部86は、ロータ60を回転させない周波数(例えば図7に示すf)を有するパルス信号を出力し、アクチュエータ部20のロータ60を回転させることなく圧電素子部64を発熱させることができる。
なお、本発明に係る振動アクチュエータにおける温度検出部は、圧電素子部64の静電容量を検出する温度検出部26(図2,図3)に限られず、サーミスタ等のその他の温度センサであってもよい。また、本発明に係る振動アクチュエータにおけるアクチュエータ部は超音波モータに限られず、圧電素子等の電気機械変換素子を用いるアクチュエータであれば何でも良い。
図1は、本発明の一実施形態に係る振動アクチュエータを有するカメラの概略図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る振動アクチュエータの制御回路を説明したブロック図である。 図3は、温度検出部または静電容量検出部が、圧電素子部の静電容量を検出する方法を示す回路図である。 図4は、図2に示す制御回路によって行われるアクチュエータ部の制御の一例を表すフローチャートである。 図5は、図1に示すアクチュエータ部の概略断面図である。 図6は、図2および図8に示す発振部の変形例を説明したブロック図である。 図7は、ロータの回転速度と、圧電素子部に出力される駆動信号の周波数との関係を表すグラフである。 図8は、本発明の第2実施形態に係る振動アクチュエータにおける制御回路を説明するためのブロック図である。
符号の説明
8… レンズ鏡筒
16,90… レンズCPU
18… 駆動制御部
20… アクチュエータ部
24… 演算制御部
26… 温度検出部
60… ロータ
62… 弾性体部
64… 圧電素子部
66… 基板部
74… ステータ
82… 発振切替部
92… 静電容量検出部

Claims (5)

  1. 電気機械変換素子の変位により振動を発生する振動部材と、
    前記振動により前記振動部材に対して相対移動する相対移動部材と、
    前記電気機械変換素子の静電容量を検出することにより前記電気機械変換素子の温度を検出する温度検出部と、
    前記温度検出部によって所定の値以下の温度が検出された場合に前記相対移動部材を停止させた状態で前記電気機械変換素子を発熱させることができる第1の周波数を有する駆動信号と、前記相対移動部材を前記振動部材に対して相対移動させることができる第2の周波数を有する駆動信号のいずれか一方を、前記電気機械変換素子に対して出力する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記温度検出部によって検出された温度に基づいて、前記第1の周波数の値を決定することを特徴とする振動アクチュエータ。
  2. 前記電気機械変換素子の静電容量を検出する静電容量検出部を有し、
    前記制御部は、前記静電容量検出部によって所定の値以下の静電容量が検出された場合に、前記第1の周波数の駆動信号を、前記電気機械変換素子に対して出力することを特徴とする請求項1に記載の振動アクチュエータ。
  3. 前記制御部は、前記第1の周波数を有する駆動信号を、前記電気機械変換素子に対して出力する第1の制御と、前記第2の周波数を有する駆動信号を、前記電気機械変換素子に対して出力する第2の制御と、を切り替える切替部を有する請求項1または請求項2に記載の振動アクチュエータ。
  4. 請求項1からのいずれかに記載の振動アクチュエータを有するレンズ鏡筒。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の振動アクチュエータを有する光学機器。
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