JP5395826B2 - 補聴器調整装置 - Google Patents

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Description

本発明は、使用者の聴力等の諸条件に応じて、接続された補聴器の調整を行う補聴器調整装置に関する。
従来より、使用者の聴力に合わせて補聴器の調整を行う補聴器調整装置が用いられている。
例えば、特許文献1には、補聴器調整過程における補聴器調整装置の表示画面が開示されている。
すなわち、表示画面には、横座標が周波数(ヘルツ)、縦座標が補聴器からの出力音の音量(dB)であるグラフに、補聴器使用者の不快閾値(UCL)および聴力閾値(HTL)が示されている。このグラフには、各周波数帯における、補聴器から出力される最大音レベル(ピーク標識)が示されており、ピーク標識がUCLとHTLとの間にあれば、補聴器使用者が適切に音を聞き取ることができる。よって、このグラフにより、補聴器調整の妥当性を検証している。
特表2009−531883号公報
しかしながら、上記従来の補聴器調整装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された補聴器調整装置では、表示画面に示されるピーク標識が、数秒間連続する音声の最大音レベルであるとされている。ここで、数秒間連続する音声は文章レベルの長さの音声である。よって、特許文献1の調整方法では、補聴器使用者が、文章全体を聞き取れたか否かについての検証はできるが、文章を構成する単語や単語を構成する音を聞き取れたか否かについて、正確に検証することはできない。この結果、補聴器使用者の満足度の高い補聴器調整を行うことができない。
本発明の課題は、補聴器調整を行う際に、単語や音(セグメント)の単位で聞き取り度合いを検証し、補聴器使用者の満足度の高い補聴器調整を実施することが可能な補聴器調整装置を提供することにある。
本発明に係る補聴器調整装置は、補聴器に接続され、基準音を用いて補聴器の調整を行う補聴器調整装置であって、記憶部と、出力部と、入力部と、制御部と、表示部と、を備えている。記憶部は、セグメント情報が付与された基準音、および補聴器使用者の所望の音量範囲を記憶する。この所望の音量範囲は、補聴器使用者の聴力閾値を下限値とし、補聴器使用者の不快閾値を上限値として設定される。出力部は、記憶部から補聴器に対して基準音を出力する。入力部は、補聴器において補聴処理された基準音に対する補聴処理音が入力される。制御部は、記憶部に記憶されたセグメント情報に基づいて、補聴処理音に含まれるセグメント単位の音量を算出する。表示部は、記憶部に記憶された補聴器使用者の所望の音量範囲内に、制御部において算出された音量が入っているか否かを、セグメント単位で表示する。
以上のように本発明は、補聴器に接続され、基準音を用いて補聴器の調整を行う補聴器調整装置であって、記憶部と、出力部と、入力部と、制御部と、表示部と、を備えている。記憶部は、セグメント情報が付与された基準音、および補聴器使用者の所望の音量範囲を記憶する。この所望の音量範囲は、補聴器使用者の聴力閾値を下限値とし、補聴器使用者の不快閾値を上限値として設定される。出力部は、記憶部から補聴器に対して基準音を出力する。入力部は、補聴器において補聴処理された基準音に対する補聴処理音が入力される。制御部は、記憶部に記憶されたセグメント情報に基づいて、補聴処理音に含まれるセグメント単位の音量を算出する。表示部は、記憶部に記憶された補聴器使用者の所望の音量範囲内に、制御部において算出された音量が入っているか否かを、セグメント単位で表示する。
したがって、本発明に係る補聴器調整装置によれば、表示結果を見るだけで、容易に、基準音のセグメント単位で補聴器使用者が適切に聞き取ることができるか否かを検証することができるため、従来よりも詳細に補聴器の調整を行うことができる。この結果、補聴器使用者の満足度の高い補聴器調整を実施することができる。

本発明の一実施形態に係る補聴器調整装置およびその周辺機器を示す概念図。 図1の補聴器調整装置の制御ブロック図。 図1の補聴器調整装置の音源DBに格納される日本語の音源例を示す図。 図1の補聴器調整装置の音源DBに格納される英語の音源例を示す図。 図1の補聴器調整装置におけるモニタリング開始前の調整画面を示す図。 図1の補聴器調整装置におけるモニタリング画面の初期状態を示す図。 図1の補聴器調整装置における評価音源出力中に表示部に出力される画面の一例を示す図。
本発明の一実施形態に係る補聴器調整装置について、図1〜図7を用いて説明すれば以下の通りである。
本実施形態の補聴器調整装置1は、図1に示すように、入力部2と、表示部3と、音出力部4と、を備えている。また、補聴器調整装置1は、接続ボックス6および配線7,8を介して、調整対象となる補聴器5と接続される。
なお、補聴器5は、使用者9の左耳、右耳用として別々に用意されるが、図1ではその一例として右耳用の補聴器5を示している。
調整者10は、入力部2を介して各種パラメータを変更することで、補聴器5の設定を行う。このとき、音出力部4は、調整に対する評価を行うための評価音源を出力する。
図2は、補聴器調整装置1の制御ブロックを示している。
調整者10によって入力部2を介して入力・変更される調整値は、調整値メモリ12に蓄えられるとともに、表示部3に表示される。調整者10が補聴器5への調整値の書き込みを指示すると、書き込み部13から接続ボックス6、補聴器5の入力部14および補聴処理部17を介して、補聴器5の補聴パラメータ保持部15に調整値が書き込まれる。
補聴パラメータ保持部15は、使用者9の聴力に応じて決定されるゲインやコンプレッション等の補聴パラメータを記憶する。
補聴器5は、補聴パラメータ保持部15に格納されたパラメータに基づいて、本体マイク16から取得した音を補聴処理部17において処理した後、レシーバ18から出力することで、使用者9の聴覚や好みに合わせた音を提供する。
通常、上記構成によって調整された補聴器5から出力される音を使用者9に聞いてもらい、その結果を元にして、更なる微調整が行われる。
本実施形態の補聴器調整装置1では、このような補聴処理を検証して、効果的な微調整を可能にする補聴器調整方法を実施する。本実施形態では、この目的を達成するために、音節ごとにメタ情報が振られた評価用音源(基準音)を音源DB24に記憶させ、その評価用音源に対する補聴処理の状態をモニタリングしている。
図3に、音源DB24に格納される日本語の音源例を、図4に、英語の音源例を示す。
ここでは、Wavファイルなどの音源ファイルと、音源の音節情報とその時間情報(区分時間情報)とがメタ情報として付与されている。なお、図3に示す日本語の音源例では、音節情報をひらがなとローマ字とで記載している。
ここで、入力部2を介して、調整者によって使用者9に提供される音源が選択される。選択された音源は、制御部11によって音源DB24から読み出され、音出力部4から出力される。補聴器調整装置1の音出力部4から出力された音源は、本体マイク16を通じて補聴器5へ入力され、補聴処理部17で補聴処理された後、レシーバ18を介して使用者9に出力される。
ここで本実施形態では、上述した補聴処理の検証を行うために、補聴器5の本体マイク16へ入力された音と補聴処理後の音とが、補聴処理部17よって出力部19、接続ボックス6を介して、補聴器調整装置1の読み込み部20に返される。
これらの音は、モニタリング結果保存部23に保存されるとともに、音源に付与されたメタ情報を参照して、区分情報算出部22において、音節ごとの入力音圧および補聴処理後の音圧の平均値とピーク値とを算出し、モニタリング部21を介して表示部3において調整者10に提示される。
なお、ここでは、本体マイク16に入力された音を補聴器調整装置1に返すように制御されているが、これらの処理は省略されてもよい。すなわち、例えば、補聴器調整装置1側において、補聴器5とスピーカ(音出力部4)との間の距離などのパラメータによって、「本体マイク16に入力された音」を算出できる場合には、本体マイク16に入力された音を補聴器調整装置1に返す処理を行わなくてもよい。
以下、図面を用いて、本実施形態における補聴器調整装置1の動作の説明をする。
図5には、モニタリングを開始する前の調整画面が示されている。
調整者10は、入力部2を介してスライダー31を操作することで、使用者9にあった周波数ごとの増幅値を設定する。周波数ごとに一連の調整が行われた後、モニタリングボタン32が押下されると、図5に示す調整画面は所定のモニタリング画面(図6参照)に遷移する。なお、図5に示されている3本の曲線は、例えば、上から90Hz・60Hz・40Hzの各周波数に対応する音量を示している。
図6には、モニタリング画面の初期状態が示されている。
プルダウンメニュー33によって、評価用の音源のリストから評価に使用したい音源が選択される。音源が選択されると、音源情報表示領域34には、音源に付与されているメタ情報に基づいて、音節情報とその区分時間情報とが提示される。なお、図6に示す音源情報表示領域34では、1マスの大きさが各音節の長さを示している。
次に、調整者10によって開始ボタン35が押下されると、音出力部4から評価音源が出力される。
図7には、評価音源を出力中に表示部3に出力される画面の一例が示されている。
評価音源が音出力部4から出力されると、その評価音源は、本体マイク16を介して補聴器5に入力される。その後、評価音源は、補聴処理部17において、使用者9に対応する補聴パラメータに基づいて補聴処理が行われる。
補聴処理部17では、本体マイク16に入力された音をフーリエ変換FFTなどの処理によって周波数ごとの強さを分析した後、補聴パラメータによって周波数ごとに異なる増幅処理を行い、逆フーリエ変換IDFTで再び波形に戻す処理が行われる。このとき、求められる周波数ごとの強さ(スペクトラム情報、音量)を、画面上でモニタリングする。
具体的には、画面上に、使用者9の不快閾値(UCL)36および聴力閾値(HTL)37が示されるとともに、補聴処理前のスペクトラム情報から求めた区分時間ごとの補聴処理前のスペクトラム情報の平均値38と、補聴処理後のスペクトラム情報から求めた区分時間ごとのスペクトラム情報の平均値39とが表示される。さらに、音節に対応する区分時間ごとのピーク値40が表示される。ここで、使用者9ごとに設定されるUCL36とHTL37とは、調整値メモリ(記憶部)12に格納されている。
本実施形態では、区分時間ごとの平均値およびピーク値が、不快閾値(UCL)36および聴力閾値(HTL)37の間の値となっていることを確認することで、補聴処理によって、使用者が聞き取れる音の大きさに適切に増幅できているか否かを検証することができる。つまり、平均値とピーク値とを用いることにより、音節全体として十分な増幅が行えているか否かを判定することができるとともに、各音節(各区分時間)ごとに含まれるおそれがある破裂音などにより、ピーク値がUCL36の値を超えていないことを確認することができる。
図7に示す例では、入力として500Hz、1kHzの周波数に特徴があるが、その周波数のうち1kHzに対して、HTL37をわずかに超える程度までしか増幅できていないことが分かる。よって、「さ」の聞き取りを向上させるためには、1kHzの周波数の部分の増幅度を高くするように調整をすればよいことが分かる。
従来技術では、上記スペクトラム情報として、リアルタイムなスペクトラム情報と、過去数秒間のピーク値を表示していた。しかしながら、言葉の聞き取りが可能かどうかの確認を行うためには、単に、過去数秒間のピーク値などの情報をみるのではなく、言葉の最小単位である音素や音節といった単位で補聴処理が適切であるかどうかを判定する必要がある。
そこで、本実施形態の補聴器調整装置1では、評価音源に付与されたメタ情報から各音節の時間情報を取得する。そして、補聴器5側の補聴処理部17から出力部19、接続ボックス6、読み込み部20を介して得られた補聴処理前・後のスペクトラム情報から、区分情報算出部22において、音節ごとの時間情報に基づいて、平均値39およびピーク値40を算出する。そして、その情報を表示部3においてモニタリングする。なお、図7は、音節“さ(SA)”に対して、再度、補聴処理を施しているときの例を示している。
さらに、本実施形態の補聴器調整装置1では、モニタリング結果保存部23において上記結果を保存しておき、保存結果を評価音源の再生終了後に再確認できるように構成されていてもよい。
具体的には、音源情報表示領域34において、各音節をポインティングデバイス等で選択できるようにし、選択された音節が評価された際の平均値やピーク値を、図6および図7に示す方法によって提示すればよい。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、音節単位のセグメント情報に基づいて、補聴処理のモニタリングを行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、言葉の聞きとりの精度を高めるためには、音節単位が好ましいと考えられるが、音節よりも短い音素単位、または音節よりも長い単語単位で行った場合でも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
(B)
上記実施形態では、平均値とピーク値との両方を用いてモニタリングを行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、精度が低下する可能性があるが、平均値およびピーク値の少なくとも一方を用いてモニタリングした場合でも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
本発明の補聴器調整装置は、補聴器調整を行う際に、単語や音(セグメント)の単位で聞き取り度合いを検証し、補聴器使用者の満足度の高い補聴器調整を実施することができるという効果を奏することから、片耳用、両耳用に関わらず、補聴器全般に対して広く適用可能である。
1 補聴器調整装置
2 入力部
3 表示部
4 音出力部(出力部)
5 補聴器
6 接続ボックス
7,8 配線
9 使用者(補聴器使用者)
10 調整者
11 制御部
12 調整値メモリ(記憶部)
13 書き込み部
14 入力部
15 補聴パラメータ保持部
16 本体マイク
17 補聴処理部
18 レシーバ
19 出力部
20 読み込み部
21 モニタリング部
22 区分情報算出部
23 モニタリング結果保存部
24 音源DB(記憶部)
31 スライダー
32 モニタリングボタン
33 プルダウンメニュー
34 音源情報表示領域
35 開始ボタン
36 不快閾値(UCL)
37 聴力閾値(HTL)
38,39 平均値
40 ピーク値

Claims (3)

  1. 補聴器に接続され、基準音を用いて前記補聴器の調整を行う補聴器調整装置であって、
    セグメント情報が付与された前記基準音、および補聴器使用者の所望の音量範囲を記憶する記憶部と、
    前記記憶部から前記補聴器に対して前記基準音を出力する出力部と、
    前記補聴器において補聴処理された前記基準音に対する補聴処理音が入力される入力部と、
    前記記憶部に記憶された前記セグメント情報に基づいて、前記補聴処理音に含まれるセグメント単位の音量を算出する制御部と、
    前記記憶部に記憶された前記補聴器使用者の所望の音量範囲内に、前記制御部において算出された音量が入っているか否かを、前記セグメント単位で表示する表示部と、
    を備え、前記所望の音量範囲は、前記補聴器使用者の聴力閾値を下限値とし、前記補聴器使用者の不快閾値を上限値として設定される構成とした補聴器調整装置。
  2. 前記セグメント単位には、音節単位、音素単位、単語単位が含まれる、
    請求項1に記載の補聴器調整装置。
  3. 前記表示部は、前記所望の音量範囲に対して、前記補聴処理音に含まれる前記セグメント単位の音量の平均値およびピーク値を比較表示する、
    請求項1または2に記載の補聴器調整装置。
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