JP5393542B2 - 埋設icタグ - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート、モルタル、セメント混和物などに埋設して管理する埋設ICタグに関する。
コンクリート、モルタル、セメント混和物等のセメント組成物の品質管理、物流管理におけるICタグが用いられている。
ICタグは、電子マネー、入退出管理、あるいは、物に取り付けて物流におけるトレーサビリティや品質管理などに用いられている。ICタグは、無線通信によって、ICタグと外部読書装置との間で個別IDや各種情報をやり取りするものであるが、電波を用いるため、ICタグ内にはアンテナが必要となる。無線通信におけるアンテナ特性は、3次元空間において、何れかの方向に指向性や偏波面を有し、アンテナに供給される高周波電源としての電波の周波数と、アンテナ形状、周囲の環境などに影響される。特定の方向に指向性を持たせた場合には、特定方向に対して利得が得られるため、2点間の通信において有利となり、通信距離を延長することができるが、逆に、指向性を有することによって特定の方向以外への利得や輻射が小さくなると、通信距離は短くなり、通信が困難となる。
このような課題に対して、通常は、アンテナの効率をあげることは勿論のこと、使用用途に応じて、アンテナの指向性を利用し、あるいは指向性を高めて、その指向性に応じてアンテナを設置し、通信が安定的に確保できるようにしている。
ICタグについても、内蔵されるアンテナは、通常は指向性を有するために、特定方向に対して安定的に通信は可能であるが、一方で、方向によっては通信が困難となる場合がある。従って、ICタグの利用では、通常、ICタグの指向性の方向に対して、外部読書装置のアンテナの方向を向くように、ICタグを持ったり、取り付けたりする。
また、ICタグをコンクリート品質管理に用いる場合には、逆に指向性を広くしたICタグが知られている(特許文献1)。
特開2009−282688号公報
コンクリート、モルタル、セメント混和物等のセメント組成物の維持管理、品質管理やトレーサビリティに、セメント組成物に指向性のあるICタグを混入して使用する場合、セメント組成物は硬化前には流動性を有し、ICタグの方向性が定まらず、また、硬化後にICタグがランダムな配置となった場合に、特定方向からは読書き可能であるが、特定方向以外では通信できなくなることが予想される。
さらに、アンテナ設計によって指向性を極力抑えることも可能ではあるが、このように無指向性にすることによって、電波は全方向に輻射されてエネルギーが分散されるため、通信距離は全体的に低下する、といった課題がある。
本発明はこれら問題点を解決し、セメント組成物にICタグを混入して使用する場合において、指向性を有するICタグを用いて通信距離を確保し、安定的な通信を可能とするものである。セメント組成物中にICタグを埋設し、外部読書装置を用いてICタグのIDや各種情報を読書きにおいて、その通信距離の向上を図り、セメント組成物の硬化前、あるいは硬化後に外部読書装置から読取りやすくすることを課題とした。
ICタグLSI、アンテナ、これらを内蔵した円球状又は楕円球状被覆体を含むICタグであって、ICタグLSIに接続するアンテナの指向性の方向を、被覆体の円球における互いに直交する2つの直径のうちの一方の方向、又は、被覆体の楕円球における短軸若しくは長軸方向に一致させ、被覆体は、上層部及び下層部を有し、下層部の比重は、上層部の比重よりも大きいことを特徴としたコンクリート、モルタル、セメント硬化体埋設用ICタグ、を提供する。
被覆体の楕円球における短軸/長軸比が、0.5から1.0であることを特徴とする前記のICタグ、を提供する。
円球状又は楕円球状被覆の材質が樹脂あるいはセメント混練物であり、重心の位置が、被覆体の円球における互いに直交する2つの直径のうちの一方、又は被覆体の楕円球の短軸若しくは長軸上であって、その中心にないことを特徴とする前のICタグ、を提供する。
被覆体における上層部及び下層部の境界面が、アンテナの指向性の主方向と実質的に平行であることを特徴とする前記のICタグ、を提供する。
こうして、指向性を有するアンテナを備え、セメント組成物中においてICタグが特定の方向を向くICタグを提供することができる。
ここで、前記円球状または楕円球状被覆体は、幾何学的に完全な球体、楕円体でなくとも良い。例えば、実際の多面体で近似できる部分を含む被覆体であっても、この被覆体を直線で切り取った線分の最大長さを実測して、aとし、その線分を垂直に2等分する面が切り取る前記被覆体の断面の面積と輪郭線を実測して、それぞれ、S、Lとすると許容範囲を求めることができる。
即ち、Lを円周とする円の面積Sとすると、1≧S/S≧0.8、Sを面積とする円の直径をbとすると、1≧b/a≧0.5、である。この程度の幾何学的な変形であれば、充分に本発明の被覆体として使用できる。
ここで、アンテナの指向性は、電波の輻射方向と輻射強度との関係を示すもので、アンテナの形状、用いる周波数帯によって変化する。通常、輻射角と輻射強度との関係として、例えば、送信アンテナの指向性であれば、送信アンテナを上下、左右に方向を変化させ、受診アンテナで得られた電波の強さ比としてデシベル(dB)として指向性図で示す。
電波の輻射は空間的であるため、通常は3次元的な輻射での指向性を示す。しかしながら、例えば、ダイポールアンテナのように特定の面に対して360°均等に電波が輻射される場合を無指向性とする場合もあり、また、ICタグでは、受信した電波エネルギーを使って送信するためアンテナの指向性を輻射強度として示すと実際の通信可能な距離と整合しない場合があり現実的ではなく、また、電波の偏波面が影響するという問題もある。
これらのことから、「指向性がある」とは、「アンテナからの発生電波を、電波の輻射強度と電波の方向をベクトルで表現し、電波の発生源をベクトルの始点としたとき、ベクトルの終点で形成される曲面が、球とならないこと」である。
また、ICタグを接続した状態でのICタグと外部読書装置との最大読取通信距離を指標として、「指向性のあるアンテナ」を定義すると、「3次元空間において外部読書装置との最大読取通信距離が均一とならないICタグアンテナであり、本願発明では、最大読取通信距離が最も短い場合と、最も長い場合との比が2倍以上あるICタグアンテナ」である。
さらに、指向性の主方向とは、最大読取通信距離が最も長い方向をいう。
本発明は、ICタグに内臓するアンテナが特定の方向に指向性を有するために、前記アンテナの指向性が、全体として無指向の球体状とならないものを採用した。
アンテナの指向性の主方向が、楕円球の軸方向となるように設置する。アンテナそのもの又はその指向性の主方向の延長線が、楕円球の中心を通るように配置し、楕円球のICタグ被覆材で被覆した。
前記楕円球の短軸/長軸比が、0.5から1.0である(短軸/長軸比が1.0のときは、球となる。)。ICタグを、中心を通り、軸を含む平面で2分割したとき、一方の半楕円球が他方の半楕円球と比重差を設けることもできる。そして、全体として、球形あるいは楕円球形状とする。これにより、流動性を有するセメント組成物中で容易に上下方向の比重差によって、ICタグが特定方向を向き、アンテナの指向性の主方向が短軸方向に向き易くなる。短軸/長軸比が、0.5から1.0の範囲にないと、重心の位置を楕円球の中心からずらしても、楕円球体が、振動により一定に配向することが難しくなる。こうして、特にコンクリート締め固めの振動によって、ICタグ自体が回転しやすくなる。
被覆材の材質としては、樹脂あるいはセメント混練物。下層部にはステンレスなどの比重の大きい金属、アルミナやジルコニアなどのセラミックスを半楕円球形状に成型し、上部層に樹脂あるいはセメント混練物を用いてもよい。また、下層部には、粒子径0.1mm以上の例えば、鉛粒、ステンレス粒などの金属粒、アルミナ粒、ジルコニア粒、などのセラミックス粒を、予め成型する型に入れ、あるいは、比較的流動性のある上層部材料に混ぜて、その自重によって下層部に集まることを利用して、上下層で比重差を持たせたICタグとしてもよい。
上下層部に用いる材料の比重をコントロールする方法として、樹脂あるいはセメント混練物中に比重の異なる骨材を混合することによって比重を調整して、上層部と下層部とすることもできる。特にセメント混練物は、セメント組成物との密着性に優れるので有効な材質である。樹脂はエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂など一般的なものを用いることができる。
骨材は、粒子径0.1mm〜5mmが望ましい。軽量骨材(比重2.0以下であり、膨張頁岩等を原料としてこれを人工的に焼成・発泡して得られる人工軽量骨材、あるいは、軽石や火山噴出物などの天然軽量骨材)、重量骨材(比重2.5以上、望ましくは比重2.8以上の天然に産出する鉄鉱石やその他岩石等を粉砕した天然重量骨材、鉄分を多く含むダストやスラグ等を溶融して製造した人工重量骨材、アルミナなど成型焼成したセラミックス骨材)、その他、鉄粉、ステンレス粉、硫酸バリウム、タングステン粉、鉛粉や鉛粒を用いることができる。骨材が金属質の場合は、ICタグの通信距離を低下させることがあるので、影響が少なくなるようICタグアンテナを金属質から数mm以上、離して設置することが望ましい。
また、セメント混練物に粒状の発砲スチロール、泡モルタルなどの気泡を含有させて比重を調整してもよい。
また、本被覆材によって、本願発明を、楕円半球に比重差をつけて製造するには、アンテナを備えたICタグ基板を、任意の方向に設置し、前記骨材を用いて比重差を設けた材料2種以上で成型。あるいは、セメント混練物の場合は、重量骨材、セメント、水、減水剤を含むセメント混練物において、流動性を高め、重量骨材が沈降することを利用し、比重差を調整してもよい。この場合、増粘材を添加して、重量骨材の沈降を制御するとよい。
こうして、得られた本願発明品の上層部となる部分の比重2.1以下、下層部となる部分は比重2.1を越えることが好ましい。また、両層部の比重差は0.2以上、より望ましくは、0.6以上であることが好ましい。
以上のように、本発明によれば、セメント組成物の硬化前、あるいは硬化後に外部読書装置から読取りやすくする。
本願発明の外観を示す模式図。 本願発明の内部構造を示す模式図。 本願発明の使用例を示す模式図。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明は、特定の方向に指向性を有するICタグアンテナとして、基板上で折り返して形成した1/2波長で共振し、指向性の主方向がアンテナ長手方向に対して直角方向にドーナツ状であるもの用い、比重が上下部で異なるICタグ被覆材として、セメント混練物および樹脂を用いた。
上層部および下層部を合わせた形態は、球形あるいは楕円球形状とした。図1に、本願発明の外観を示す模式図を示した。図中、aが、楕円の長径(長軸)、bが、短径(短軸)の長さである。流動性を有するセメント組成物中で、上下方向比重差によって、ICタグが特定方向を向く。長径と短径の比率は0.5から1とした。この比率の範囲では、特にコンクリート締め固めの振動によって、タグ自体が回転しやすくなった。
ICタグ被覆材の材質
表−1に、上層部となる部分の比重2.1以下の材質として、発泡ガラスビーズ、天然シラスバルーン、フライアッシュバルーン、エポキシ樹脂を選定し、下層部となる部分で、比重2.1を越える材質の材料として、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、珪砂、アルミナ粉末を骨材とした例を示した。
上下層部に用いる材料の比重をコントロールするために、樹脂あるいはセメント混練物中に比重の異なる骨材を混合することによって比重を調整して、上層部と下層部とした。
各骨材の粒子径、セメント100重量部に対する骨材量(重量部)、水量(重量部)、高性能減水剤量(重量部)、比重(硬化後の成形体の比重)を示した。
ICタグ内に設置するICタグLSIおよびICタグアンテナは予め接続し、ICタグLSIは950MHz帯を使用した。ICタグアンテナは、アンテナの直角方向に指向性を有するもので、アンテナの延長線上には極めて電波が飛びにくく、外部読書装置での通信が困難である。アンテナの具体的形状は、図3に示した。図3は、ICタグアンテナの指向性の主方向を楕円球の長軸方向に一致させたICタグを示した。
ICタグLSIとICタグアンテナは、上層部および下層部の形成時に破損を防ぐため、予め、シリコーン樹脂で薄く被覆した。
表−1に、上層部および下層部に用いた材料示す。表−1に示す配合で上層部および下層部を製造し、ICタグLSIおよびICタグアンテナを鉛直方向に埋設した。本実施例では、セメント組成物としてのコンクリートの壁面からの読取りを目的としたため、鉛直方向に設置したが、コンクリートスラブ等では、鉛直方向から読取りやすくするため、ICタグLSIおよびICタグアンテナは水平方向に埋設した(図2)。
製造には直径4cmの球状の氷を造るための樹脂製の製氷皿を用いた。ICタグ番号I〜Xまでは、予め接続およびシリコーン被覆したICタグLSIおよびICタグアンテナ(全長約35mm)の垂直方向にセットし、まず、表−1の比重の異なる下層部のセメント混練物を半量流し込み、およそ2時間後に比重の異なる下層部を流し込み、硬化後に脱枠して球状のICタグを製造した。
ICタグ番号XIおよびXIIは、全容積の3分の1の容積のアルミナまたはステンレスボールを製氷皿に入れ、次いで上層部のみを流し込んで成型。この時、ボール間に上層部材料が入るように振動を与えた。ICタグ番号XIIIは、直径4cmの球の1/3の大きさで、中心部にICタグアンテナを挿し込めるようにして成型、焼結したセラミックスを用い、ICタグLSIおよびICタグアンテナをセットした後に、同様に製氷皿を用いて上層部を流し込んで製造した。
このように製造したICタグをそれぞれ5個用い、予め練混ぜたスランプ8cm、配合設計強度24N/mmの普通コンクリート約5リットルにスコップで練りこみ、コンクリートφ15cm高さ30cmの円柱試験体に成型した。成型時には棒状バイブレータを用いて3層に分けて打設し、さらに、コンクリート用型枠振動機でおよそ3分間、振動を与えた。コンクリート硬化後に1週間養生し、コンクリート試験体の側面から、外部読書装置を用い、読取れるICタグの数を数えた。結果は表―2に併せて示した。表―2には、製造したICタグと、コンクリート埋設での読取率を記載した。
実施例では、何れも5個のICタグ中、4個以上、読取れたのに対し、比較例では、2〜3個であった。

Claims (4)

  1. ICタグLSI、アンテナ、これらを内蔵した円球状又は楕円球状被覆体を含むICタグであって、前記ICタグLSIに接続する前記アンテナの指向性の主方向を、前記被覆体の円球における互いに直交する2つの直径のうちの一方の方向、又は、前記被覆体の楕円球における短軸若しくは長軸方向に一致させ
    前記被覆体は、上層部及び下層部を有し、
    前記下層部の比重は、前記上層部の比重よりも大きいことを特徴としたコンクリート、モルタル、セメント硬化体埋設用ICタグ。
  2. 状又は楕円球状の前記被覆の材質が、樹脂あるいはセメント混練物であり、重心の位置が、前記被覆体の円球における互いに直交する2つの直径のうちの一方、又は前記被覆体の楕円球における短軸若しくは長軸上であって、その中心にないことを特徴とする請求項1に記載のICタグ。
  3. 前記被覆体の楕円球における短軸/長軸比が、0.5から1.0であることを特徴とする請求項1または2に記載のICタグ。
  4. 前記被覆体における前記上層部及び前記下層部の境界面が、前記アンテナの指向性の主方向と実質的に平行であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のICタグ。
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