JP5393368B2 - 電極体 - Google Patents
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そして、電極体は、植込み型除細動器が心臓の動作の異常に応じて生成した電気パルスを、電極から心臓に向けてショック放電によって印加している。
従って、万が一電極や電極と接続された植込み型の除細動器の故障や、除細動器の電池が切れたことなどにより、体内での除細動が不可能または不十分となりAEDによる除細動が必要となった場合に、電極体がこのAEDによる除細動を阻害することがないので、患者の治療上のリスクを抑えることができる。
以下、本発明の第一の実施の形態による電極体について、図1乃至図4に基づいて説明する。
図1乃至3に示すように、本実施の形態による電極体1は、心嚢膜14(図3参照)表面に設置されて図示しない植込み型の除細動器にリード2(図1、2参照)を介して接続されている。電極体1は、リード2内の導線3(図2参照)に接続され心嚢膜14表面と接する電極4、5と、電極4、5を保持し心嚢膜14表面に設置されるシート状の保持部6と、保持部6を厚さ方向に貫通する導電部7、8、9とから概略構成される。図4に示すように、除細動器11にはリード2を介して一対の電極体1が接続されている。
電極4、5は、生体への溶出が少なく、耐食性に優れた白金イリジウム等の合金を材料とする薄板又は箔からプレス加工等によって形成される。また、電極4、5は、上述した材料で形成された線材や撚り線から加工されていても良い。
保持部6は上述のような軟性のポリマーを材料として形成されることにより、心嚢膜14の形状や変形に対して柔軟に追従することができる。
導電部7、9は、ループ状に形成された電極4、5の内側に配設されていて、導電部8は、電極4と電極5との間に配設されている。導電部7、8、9と電極4、5とは心嚢膜14の表面方向に離間しており、この間には保持部6の一部が配設されている。保持部6は、電極4、5および導電部7、8、9を保持すると共に、導電部7、8、9と電極4、5とを電気的に絶縁している。
導電部7、8、9の基材としては、保持部6の材料と同様のものを採用することができる。
そのため、導電部7、8、9は、心嚢膜14の形状や変形に対して柔軟に追従することができる。
また、この基材に添加される導電性の添加物は、銀、チタン、又はこれらを成分の一部に含む合金の粒子、或いは粉体状、柱状又は管状のカーボンの微粒子であっても良い。
心臓10の動作の異常を検出すると、一対の電極体1と接続された除細動器11(図4参照)が駆動し電気パルスを発生する。そして、この電気パルスが、一方の電極体1から他方の電極体1へ心臓10を通過することによって除細動が実行される。電気パルスは、図3に示す一方の電極体1の電極4、5から他方の電極体1の電極4、5へ放電される。
このとき、保持部6は、電極4、5の心嚢膜14との接触面4a、5a以外を覆っているので、電極4、5から心嚢膜14側以外へは電気エネルギーが伝達されず、体表面へ向かう胸腔側への電気エネルギーの漏洩を防ぐことができる。また、電極4、5と導電部7、8、9とは離間し電気的に絶縁されているので、電極4、5から導電部7、8、9を介して体表面へ向かう胸腔側への電気エネルギーが漏洩することを防ぐことができる。
この場合には、体表面に貼り付けられたAED12の体外電極13から導入される電気パルスの少なくとも一部は、図1乃至3に示す電極体1の導電部7,8,9を通過して心臓10に効率よく到達する。
第一の実施の形態による電極体1では、保持部6を貫通する導電部7、8、9を備えているので、万が一に電極4、5から心臓10への電気パルスの供給が不可能または不十分になり体外から除細動を行う場合に、体外電極13から導入される電気パルスの少なくとも一部が、導電部7,8,9を通過して心臓10に効率よく到達できる効果を奏する。そして、電極体1が体外から行う除細動を妨げることを防ぐことができる。
また、体外からの除細動を可能とするために電極体1に導電部7、8、9を備えずに保持部6を貫通する開口部を形成することが考えられるが、第一の実施の形態による電極体1では、保持部6に開口部が形成されていないので、この開口部に線維化組織が発達して電極体1内部に入り込むことによる電極4、5の変形や破損を防ぐことができる。
従って、電極体1が埋植設置された患者の治療上のリスクを低減することができる。
図5および図6に示すように、第二の実施の形態による電極体21は、保持部6を貫通する柱状やピン状または線状に形成された導電部27、28、29を複数備えている。導電部27、29は、ループ状に形成された電極4、5の内側に複数配設されていて、導電部28は、電極4と電極5との間に複数配設されている。各導電部27、28、29間は心嚢膜14の表面方向に離間しており、各導電部27、28、29間は電気的に絶縁されている。また、導電部27、28、29は電極4、5と離間し電気的に絶縁されている。
導電部27、28、29は、保持部6から脱落しないために、図7(a)に示すような、保持部6との接触面にオーバーハング(フランジ)30が形成された導電部27a、28b、29cとしてもよく、図7(b)に示すような、オーバーハング30が複数形成された導電部27b、28b、29bとしてもよい。
また、図示しないが、導電部27、28、29は、保持部6との接触面を粗面にしたり、保持部6との接触面にローレットなどの凹凸を形成したりして、導電部27、28、29と保持部6を効率よく定着させてもよい。
後者の金型に導電部27、28、29に設置する場合には、柱状の導電部27、28、29を安定よく設置するために、金型に導電部27、28、29の先端部が挿入可能な凹部を形成し、この凹部に導電部27、28、29を挿入した後に保持部6の材料を金型に充填してもよい。そして、形成された保持部6から導電部27、28、29の端部が突出していてもよい。
また、第二の実施の形態による導電部27、28、29は、白金イリジウム合金を材料として形成されていたり、銀、チタン、又はこれらを成分の一部に含む合金、或いは黒鉛など含む材料で形成されていたりするので、ポリマー系素材に導電性を付与した第一の実施の形態による導電部7、8、9よりも、通過する電気エネルギーの量を多くすることができる。
また、複数の柱状または線状の導電部27、28、29が互いに心嚢膜14の表面の方向に間隔をあけて配設されているので、第一の実施の形態と同様に電極体1の柔軟性を損なうことがない。
図8および図9に示すように、第三の実施の形態による電極体31は、保持部6を貫通する撚り線状に形成された導電部37、38、39を複数備えている。導電部37、39は、ループ状に形成された電極4、5の内側に複数配設されていて、導電部38は、電極4と電極5との間に複数配設されている。各導電部37、38、39間は心嚢膜14の表面方向に離間しており、各導電部37、38、39間は電気的に絶縁されている。
導電部37、38、39は、白金イリジウム合金を材料として形成されている。また、導電部37、38、39は、銀、チタン、又はこれらを成分の一部に含む合金、或いは黒鉛など含む材料で形成されていてもよい。
また、第三の実施の形態による導電部37、38、39は、ポリマー系素材に導電性を付与した第一の実施の形態による導電部7、8、9よりも、通過する電気エネルギーの量を多くすることができる。
また、複数の撚り状の導電部37、38、39が互いに心嚢膜14の表面の方向に間隔をあけて配設されているので、第一の実施の形態と同様に電極体1の柔軟性を損なうことがない。
図10および図11に示すように、第四の実施の形態による電極体41は、保持部6の装着面6aの反対側の面6bの略全面に配設された膜状の第一導電皮膜48aと、装着面6aに配設された膜状の第二導電皮膜48bと、第一及び第二導電皮膜48a、48bを接続する導電性の接続部材49とから構成される導電部47を備えている。
第二導電皮膜48bは、ループ状に形成された電極4、5の内側と、電極4と電極5との間に配設されていて、電極4、5とは保持部6の面方向に離間し電気的に絶縁されている。
第一および第二導電皮膜48a、48bは、例えば、白金イリジウム合金の金属箔などの材料で形成されている。
接続部材49は、ピンなどの柱状の部材や線状の部材で、例えば、白金イリジウム合金などで形成されている。また、接続部材49は、銀、チタン、又はこれらを成分の一部に含む合金の線材で形成されていてもよい。
第一および第二導電皮膜48a、48bおよび接続部材49からなる導電部47は、電極4、5と電気的に絶縁されている。
また、第一導電皮膜48aが体外除細動の電気エネルギーを受けとめるので、第一乃至第三の実施の形態よりも大きい面で電気エネルギーを受けとめて心臓側に通過させることができる。
図12および図13に示すように、第五の実施の形態による電極体51は、保持部6の厚さ方向の中間部に薄板状または箔状の導電部57を備えている。導電部57は、電極4、5とは厚さ方向に間隔をあけて配設されていて絶縁されている。
保持部6は、電極4、5と重ならない位置に開口部6cが形成されていて、この開口部6cから導電部57の両面が共に露出している。
導電部57は、白金イリジウム合金の金属箔や薄板状の白金イリジウム合金などで形成されている。
また、電極体51は保持部6の厚さ方向の中間部に薄板状または箔状の導電部57を備えた構成なので、第四の実施の形態と比べて簡易な構成となり製造が容易である。
第六の実施の形態による電極体は、図2および3に示す第一の実施の形態による電極体1の保持部6に薬剤が含有されている。
保持部6は、例えば、その基材をNUSIL TECHNOLOGY LLCのドラッグ・デリバリーグレードのシリコンゴムDDU−4340とし、粉末状の薬剤を混合して成形する。
薬剤の選択例としては、リン酸ベタメゾンナトリウム、リン酸デキサメサゾンナトリウムなどの水溶性ステロイド剤、或いは酢酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、酢酸プレドニゾロンなどの粉体のステロイド剤の粉末、或いはラパマイシン、シロリムス、タクロリムス水和物、シクロスポリン、アザチオプリン、塩酸グスペリウム、ミゾリビンなどの免疫抑制剤を挙げることができる。
第七の実施の形態による電極体は、図2および3に示す第一の実施の形態による電極体1の導電部7、8、9に薬剤が含有されている。
導電部7、8、9は、例えば、その基材をNuSil Technology LLCのドラッグ・デリバリーグレードのシリコンゴムDDU−4340とし、これに金属やカーボンの粒子を添加した後、粉末状の薬剤を混合して成形する
薬剤の選択例としては、リン酸ベタメゾンナトリウム、リン酸デキサメサゾンナトリウムなどの水溶性ステロイド剤、或いは酢酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、酢酸プレドニゾロンなどの粉体のステロイド剤の粉末、或いはラパマイシン、シロリムス、タクロリムス水和物、シクロスポリン、アザチオプリン、塩酸グスペリウム、ミゾリビンなどの免疫抑制剤を挙げることができる。。
例えば、上述した実施の形態では、電極4、5はループ状に形成されているが、直線状などのループ状以外の形状に形成されていてもよい。
また、第五の実施の形態では、保持部6の厚さ方向の中間部に薄板状または箔状の導電部57を設けて、開口部6cから導電部6を露出させているが、図14に示す電極体61のように、保持部6に形成された開口部6cに薄板状または箔状の導電部67、68、69を開口部6cを塞ぐように配設してもよい。
また、第六の実施の形態による電極体61では、第一の実施の形態による電極体1の保持部6に薬剤が含有されているが、第二乃至第五の実施の形態による電極体の保持部6に薬剤が含有されてもよく、第七の実施の形態による電極体の保持部6に薬剤を含有してもよい。
4、5 電極
6 保持部
6a 装着面
7、8、9、27、28、29、37、38、39、47、57 導電部
14 心嚢膜(生体組織)
Claims (4)
- 治療対象の生体組織表面に装着され、電気パルスを生体組織表面に印加する電極体であって、
前記生体組織表面に沿って装着された絶縁性の保持部と、
前記生体組織表面と接触し前記生体組織に通電可能であると共に、前記生体組織表面との接触面以外が前記保持部に覆われた電極と、
前記保持部内に配設されて、前記保持部の前記生体組織表面への装着面およびその反対側の面に少なくとも一部が露出し、前記電極と絶縁された導電性の導電部とを備えることを特徴とする電極体。 - 前記保持部は軟性のポリマーを含む材料で形成され、前記導電部は軟性のポリマーに導電性の添加物が混入または分散された材料から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電極体。
- 前記導電性の添加物は、白金、イリジウム、又はこれら一方または両方を成分の一部に含む合金の粒子であることを特徴とする請求項2に記載の電極体。
- 前記保持部または前記導電部、或いはその両方に薬剤が含有されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電極体。
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