以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
1.ネガ型感放射線性樹脂組成物:
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物は、前記一般式(1)又は(2)で表されるアレーン系化合物(A)、前記一般式(3)で表される架橋剤(B)、酸発生剤(C)、酸拡散制御剤(D)、及び溶剤(E)を含む組成物である。以下、その詳細について説明する。
1−1.アレーン系化合物(A):
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物に含まれるアレーン系化合物(A)は、前記一般式(1)で表される化合物(以下、単に「化合物(A1)」と記載する。)又は前記一般式(2)で表される化合物(以下、単に「化合物(A2)」と記載する。)である。
前記一般式(1)及び(2)中、Rで表される「炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキル基」の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等を挙げることができる。なかでも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ペンチル基が好ましい。なお、前記一般式(1)及び(2)のそれぞれにおいて、少なくともいずれかのRは、炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキル基であり、炭素数1〜3の置換若しくは非置換のアルキル基、又は炭素数4〜8の置換若しくは非置換の直鎖アルキル基であることが好ましい。「炭素数1〜3の置換若しくは非置換のアルキル基」としては、メチル基、エチル基、及びn−プロピル基が好ましい。また、「炭素数4〜8の置換若しくは非置換の直鎖アルキル基」としては、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基が好ましい。
前記一般式(1)及び(2)中、Xで表される「炭素数2〜8の置換又は非置換のアルキレン基」の具体例としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等を挙げることができる。また、前記一般式(1)及び(2)中のXは、高収率で製造可能であるという観点から、炭素数2〜6の非置換のアルキレン基が好ましく、炭素数3の非置換のアルキレン基、即ちプロピレン基が好ましい。Xがプロピレン基であるアレーン系化合物(A)は、高収率で安価に製造することができる。
化合物(A1)及び化合物(A2)は、それぞれ下記一般式(1A)及び(2A)で表すこともできる。
上記一般式(1A)及び(2A)中、R及びXは、前記一般式(1)及び(2)におけるR及びXと同義である。
(アレーン系化合物(A)の製造方法)
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物に含まれるアレーン系化合物(A)は、下記一般式(4)で表される化合物(以下、単に「原料化合物(a1)」と記載する。)と、下記一般式(5)で表される化合物(以下、単に「原料化合物(a2)」と記載する。)と、を縮合反応させることで製造することができる。
上記一般式(4)中、Rは、相互に独立に、水素原子、又は炭素数1〜8の置換若しくは非置換のアルキル基を示す。但し、少なくともいずれかのRは、炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキル基である。
上記一般式(5)中、Xは、置換若しくは非置換のメチレン基、又は炭素数2〜8の置換若しくは非置換のアルキレン基を示す。
前記一般式(4)中、Rで表される「炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキル基」の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等を挙げることができる。なかでも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ペンチル基が好ましい。なお、アレーン系化合物(A)を調製するに際して用いる前記一般式(4)中の二つのRの少なくともいずれかは、炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキル基であり、炭素数1〜3の置換若しくは非置換のアルキル基、又は炭素数4〜8の置換若しくは非置換の直鎖アルキル基であることが好ましい。「炭素数1〜3の置換若しくは非置換のアルキル基」としては、メチル基、エチル基、及びn−プロピル基が好ましい。また、「炭素数4〜8の置換若しくは非置換の直鎖アルキル基」としては、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基が好ましい。
前記一般式(5)中、Xで表される「炭素数2〜8の置換又は非置換のアルキレン基」の具体例としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等を挙げることができる。また、前記一般式(5)中のXは、高収率で製造可能であるという観点から、炭素数2〜6の非置換のアルキレン基が好ましく、炭素数3の非置換のアルキレン基が更に好ましい。即ち、前記一般式(5)で表される化合物としては、下記式(5−1)で表される化合物(グルタルアルデヒド)が好ましい。
縮合反応によって主として得られるアレーン系化合物(A)の構造は、前記一般式(5)中のXの炭素数によって決まる。例えば、前記一般式(5)中のXがプロピレン基である場合には、主として化合物(A1)(但し、X=プロピレン基)、又は化合物(A2)(但し、X=プロピレン基)を得ることができる。
縮合反応の条件(方法)は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。具体的には、酸触媒をはじめとする適当な触媒の存在下、適当な反応溶媒中、60〜90℃で6〜72時間脱水縮合させる方法等を挙げることができる。
脱水縮合反応に際して使用する触媒の具体例としては、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、及びペンタフルオロベンゼンスルホン酸等を挙げることができる。なかでも、トリフルオロ酢酸が、より高収率で目的とするアレーン系化合物(A)を得ることができるために好ましい。
脱水縮合反応に際して使用する反応溶媒の好適例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の含ハロゲン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤等を挙げることができる。
縮合反応させる、原料化合物(a1)と原料化合物(a2)の割合は特に限定されないが、収率を向上させる観点から、原料化合物(a2)1molに対して、原料化合物(a1)が1〜8molであることが好ましく、2〜6molであることが更に好ましく、3〜5molであることが特に好ましい。上記割合の範囲外であると、目的とするアレーン系化合物(A)の収率が低下する場合がある。
縮合反応工程における、反応溶液中の基質濃度(原料化合物(a1)と原料化合物(a2)との合計の濃度)は、特に限定されないが、収率向上の観点からは、2mol/L以上であることが好ましく、4mol/L以上であることが更に好ましく、4〜10mol/Lであることが特に好ましい。基質濃度が2mol/L未満であると、目的とするアレーン系化合物(A)の収率が低下する場合がある。
アレーン系化合物(A)は、縮合反応終了後、縮合物(沈殿物)として得ることができる。得られた縮合物(沈殿物)を、(1)水、(2)有機溶媒、又は(3)水と有機溶媒との混合溶媒、で洗浄して精製することが好ましい。また、得られた縮合物(沈殿物)を有機溶媒に溶解させ、溶解させた有機溶媒を水で洗浄することにより、残存する原料や副生成物を除去することも好ましい。
洗浄・精製に用いる有機溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。なかでも、メチルアルコール、エチルアルコール、ジエチルエーテルが好ましい。また、水及びエーテル系溶媒を含有する有機溶媒の少なくともいずれかで洗浄して精製することが好ましい。なお、これらの有機溶媒は、一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物に含まれるアレーン系化合物(A)としては、化合物(A1)及び化合物(A2)のいずれかを一種単独で用いても良く、両方を混合して用いても良い。
1−2.架橋剤(B):
架橋剤(B)は、例えば、放射線照射により、後述する感放射線性の酸発生剤(C)から生じた酸の存在下、アレーン系化合物(A)を架橋し、レジストとしてアルカリ現像液に対し不溶性又は難溶性にする作用を有する成分である。
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物に含まれる架橋剤(B)としては、前記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物中、架橋剤(B)の含有割合としては、アレーン系化合物(A)100質量部に対して、通常、0.5〜50質量部であり、1〜30質量部であることが好ましく、2〜20質量部であることが更に好ましい。架橋剤(B)の含有割合が、2〜20質量部であると、アルカリ現像液に対する溶解性の抑止効果、及びレジストの耐熱性向上が期待できる。
1−3.酸発生剤(C):
酸発生剤(C)は、例えば、放射線照射により酸を発生させる成分である。この酸発生剤(C)から酸が生じることにより、架橋剤(B)がアレーン系化合物(A)を架橋し、レジストとしてアルカリ現像液に対し不溶性又は難溶性にすることができる。
酸発生剤(C)の好適例としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート等のトリフェニルスルホニウム塩化合物;
4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムカンファースルホネート等のトリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム塩化合物;
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート等のジフェニルヨードニウム塩化合物;
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート等のビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩化合物;
1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド等のスクシンイミド類化合物;
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等のビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド類化合物等を挙げることができる。なお、これらの酸発生剤(C)は、一種単独で、又は二種以上を混合して使用することができる。
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物中、酸発生剤(C)の含有割合としては、アレーン系化合物(A)100質量部に対して、通常、0.1〜20質量部であり、0.5〜15質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることが更に好ましい。酸発生剤(C)の含有割合が、20質量部超であると、パターン断面形状が劣化する場合がある。一方、酸発生剤(C)の含有割合が、0.1質量部未満であると、解像度が低下する場合がある。
1−4.酸拡散制御剤(D):
酸拡散制御剤(D)は、例えば、放射線照射により酸発生剤(C)から生じた酸が拡散するのを抑制し、非放射線照射領域におけるアレーン系化合物(A)の架橋反応等好ましくない化学反応が起こるのを防ぐ作用を有する成分である。
酸拡散制御剤(D)としては、酸と親和性が強ければ特に限定されないが、その具体例としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−メチル−2−フェニルベンズイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン等の芳香族アミン類や、トリエタノールアミン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)アニリンなどのアルカノールアミン類;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼンテトラメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等の3級アミン化合物;
N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、t−ブチル(テトラヒドロ−2−オキサ−3−フラニル)カルバメート、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のアミド基含有化合物;
テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウムヒドロキシド化合物;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類の他;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の含窒素複素環化合物を挙げることができる。なお、これらの酸拡散制御剤(D)は、一種単独で、又は二種以上を混合して使用することができる。
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物中、酸拡散制御剤(D)の含有割合としては、アレーン系化合物(A)100質量部に対して、通常、15質量部以下であり、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることが更に好ましい。酸拡散制御剤(D)の含有割合が、15質量部超であると、レジストとしての感度が著しく低下する傾向がある。一方、酸拡散制御剤(D)の含有割合が、0.001質量部以下であると、プロセスの条件によっては、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物は、酸拡散制御剤(D)を配合することにより、貯蔵安定性及びレジストとしての解像度が更に向上するとともに、放射線照射から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。また、パターン上部から下部にかけての溶解性のばらつきを抑制することが可能となり、特にパターン上部のブリッジングやパターン下部の溶け残りを抑制することができる。
1−5.溶剤(E):
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物は、全固形分濃度が、通常、3〜50質量%、好ましくは5〜25質量%となるように、溶剤(E)を含むものである。上述の各構成成分を混合した組成物混合液は、例えば、孔径200nm程度のメンブランフィルターで濾過することによって、組成物溶液として調製され、基板上に塗布される。
溶剤(E)の具体例としては、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。なかでも、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチロラクトン等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を少なくとも含有することが特に好ましい。これらの溶剤(E)は、一種単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。
1−6.その他の添加剤:
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物は、上述の添加剤の他にも、例えば、界面活性剤、増感剤等のその他の添加剤を含んでいても良い。
(界面活性剤)
界面活性剤は、レジストとしての塗布性、現像性等を向上させる作用を有する成分である。
界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下商品名で、KP341(信越化学工業社製)、ポリフローNo.75,同No.95(共栄社化学社製)、エフトップEF301,同EF303,同EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックスF171,同F173(大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC430,同FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,同SC−101,同SC−102,同SC−103,同SC−104,同SC−105,同SC−106(旭硝子社製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤は、一種単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物中、界面活性剤の含有割合としては、アレーン系化合物(A)100質量部に対して、通常、2質量部以下である。
(増感剤)
増感剤は、レジストとしての感度を向上させる作用を有する成分である。
増感剤としては、例えば、カルバゾール類、ベンゾフェノン類、ローズベンガル類、アントラセン類、フェノール類等を挙げることができる。これらの増感剤は、一種単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物中、増感剤の含有割合としては、アレーン系化合物(A)100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましい。
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物は、上述の添加剤以外にも、ハレーション防止剤、接着助剤、保存安定化剤、消泡剤等の添加剤を含んでいても良い。
2.ネガ型化学増幅型レジスト
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物は、ネガ型化学増幅型レジスト用の材料として好適に用いることができる。
ネガ型化学増幅型レジストにおいては、放射線照射により感放射線性の酸発生剤(C)から発生した酸の作用によって、架橋剤(B)に求電子部位が生成し、生成した求電子部位がアレーン系化合物(A)中の極性基、例えば、ヒドロキシル基に求電子攻撃し、架橋反応が起こる。その結果、レジストの放射線照射領域のアルカリ現像液に対して不溶化又は難溶化する一方、非放射線照射領域はアルカリ現像液によって溶解、除去される。これにより、放射線照射領域がレジストパターンの凸状部を形成するネガ型レジストパターンが得られる。
本発明のネガ型感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成する際には、まず、組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スプレー塗布等、適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウェハー等の基板上に塗布することにより、レジスト皮膜を形成する。形成されたレジスト皮膜は、必要に応じて予め加熱処理(以下、「PB(Pre−Bake)」と記載する。)を行い、塗膜中の溶媒を揮発させても良い。PBの加熱条件としては、第一のポジ型感放射線性樹脂組成物の配合組成によって適宜選択されるが、通常、30〜200℃で30〜120秒であり、50〜150℃で40〜100秒であることが好ましい。
次に、前記レジスト皮膜に、所定のレジストパターンを形成するようにマスクを介して放射線照射する。照射に使用される放射線としては、例えば、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、F2エキシマレーザー(波長157nm)、EUV(極紫外線、波長13nm等)等の遠紫外線、電子線等の荷電粒子線、シンクロトロン放射線等のX線等を適宜選択して使用することができるが、これらのうち遠紫外線、電子線が好ましい。また、放射線照射量等の照射条件は、ネガ型感放射線性樹脂組成物の配合組成、各添加剤の種類等に応じて、適宜選定される。
次いで、高精度の微細パターンを安定して形成するために、放射線照射後に加熱処理(以下、「PEB(Post−Exposure Bake)」と記載する。)を行うことが好ましい。PEBにより、放射線照射領域における架橋反応を円滑に進行させることができる。PEBの加熱条件としては、ネガ型感放射線性樹脂組成物の配合組成によって適宜選択されるが、通常、30〜200℃で30〜120秒であり、50〜170℃で40〜100秒であることが好ましい。
ネガ型感放射線性樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば特公平6−12452号公報等に開示されているように、使用される基板上に有機系あるいは無機系の反射防止膜を形成しておくこと、又は環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば特開平5−188598号公報等に開示されているように、レジスト皮膜上に保護膜を設けること、或いはこれらの技術を併用することもできる。
最後に、放射線照射されたレジスト皮膜を、アルカリ現像液を用いて現像することにより、所定のレジストパターンが形成される。
アルカリ現像液の好適例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物を溶解したアルカリ性水溶液を挙げることができる。これらのアルカリ性化合物は一種単独で、又は二種以上を混合して用いても良い。
現像液中のアルカリ性化合物の濃度は、通常、10質量%以下である。アルカリ性化合物の濃度が10質量%超であると、放射線照射領域も現像液に溶解するおそれがある。
また、現像液には、有機溶媒を添加することもできる。有機溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類の他、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。なお、これらの有機溶媒は一種単独で、又は二種以上を混合して用いても良い。
現像液中の有機溶媒の使用割合は、アルカリ性水溶液100体積部に対して、100体積部以下であることが好ましい。前記有機溶媒の使用割合が100体積部超であると、現像性が低下して、露光部の現像残りが多くなる場合がある。また、現像液には、更に界面活性剤等を適量添加しても良い。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
[ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)]:
以下に示す条件で分析を行った。
システム:東ソー社製、型番「HLC−8220」
検出器:型番「HLC−8200」、内蔵RI・UV−8200(280nm)
カラムオーブン温度:40℃
サンプルポンプ:流速0.600mL/min、ポンプ圧14.5mPa
リファレンスポンプ:流速0.600mL/min、ポンプ圧2.5mPa
カラム:昭和電工社製、商品名「Shodex Asahipak GF−510 HQ」+商品名「GF−310 HQ」×2
ガードカラム:昭和電工社製、商品名「Shodex Asahipak GF−1G 7B」
[1H−NMR]:
日本電子社製の型番「JMN−ECA−600」(600MHz)を使用してスペクトルを測定した。
[IR]:
Thermo ELECTRON社製の型番「NICOLET 380 FT−IR」を使用してスペクトルを測定した。
[熱重量/示差熱同時分析(TG−DTA)]:
Seiko社製の商品名「EXSTAR6000 TG/DTA 6200」を使用し、窒素気流下で昇温速度:10℃/min、温度:80〜600℃の条件下で測定した。
[溶解度の測定]:
2mgの各種化合物を2mLの溶媒中に入れて撹拌した後、以下に示す基準に従って溶解度を評価した。
「++(可溶)」:溶液の着色が観察され、室温で化合物が溶解して残存しない状態
「+(可溶)」:溶液の着色が観察され、加熱状況下で化合物が溶解して残存しない状態
「+−(一部可溶)」:溶液の着色が観察されるとともに、化合物が溶解せずに一部残存した状態
「−(不溶)」:溶液の着色が観察されず、化合物が残存した状態
[感度(μC/cm2)]:
150nmの1L1Sパターンを与えるマスクを用いて形成したレジストパターンにおいて、150nmの1L1Sパターンが形成される際の露光量(μC/cm2)を最適露光量とし、この最適露光量を感度(μC/cm2)として評価した。ライン部の線幅及び隣り合う2つのライン部の間(スペース部)の距離の測定は、走査型電子顕微鏡(「S−9380」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
なお、本明細書中、「150nmの1L1Sパターン」とは、ライン部の線幅が150nmであり、隣り合う2つのライン部の間(スペース部)の距離が150nmであるレジストパターン、所謂ライン・アンド・スペースパターンのことをいう。
[解像度(nm)]:
ライン・アンド・スペースパターン形成において、最適露光量で形成されうるラインパターンのうち線幅が最も小さい(狭い)ラインパターンの線幅(nm)を解像度として評価した。
(合成例1) アレーン系化合物(A)(化合物(a))の合成
3−エトキシフェノール11g(80mmol)をクロロホルム10mLに溶解させた後、トリフルオロ酢酸15.35g(10mL、134mol)を添加して撹拌した。氷浴で十分に冷却した後、1,5−ペンタンジアールの50%水溶液4g(20mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、48時間還流した。反応終了後、20倍量のメタノールに反応簿液を注いで撹拌し、次いで、しばらく静置した。上澄みを除去するとともに新たなメタノールを添加して再度撹拌した。上澄みの除去、メタノールの添加、及び撹拌のサイクルを3回繰り返した後、メンブランフィルターで析出物を濾過し、デシケーター内で減圧乾燥した。次いで、60℃で24時間乾燥することにより、5.2gの化合物(a)を得た(収率:74%)。なお、反応式を以下に示す。また、予想される化合物(a)の構造を下記式(a)に示す。
得られた化合物(a)のゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)による分析結果を図1に示す。図1に示すように、メインシグナルの溶出時間は約33分であり、ポリスチレンを基準物質として見積もった分子量は2046、及び分子量分布は1.01であった。
得られた化合物(a)40mgをDMSO−d60.5mLに溶解させ、フィルターで濾過した後、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定した。測定結果を図2に示す。図2に示すように、芳香族環のプロトン数を24と仮定したところ、それぞれのプロトンの積分値は予想される構造(上記式(a))に近似した値となった。なお、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)の帰属結果を以下に示す。
[1H−NMR]δ(ppm):
0.48−2.37(m,72H,Ha,Hb,Hh,Hi,Hj)、3.45−4.09(m,24H,Hg)、4.09−4.65(m,12H,Hc)、5.87−7.48(m,24H,He,Hd)、7.75−9.64(m,12H,Hf)
得られた化合物(a)の赤外吸収スペクトル(IR、KBr法)の測定結果を図3に示す。なお、図3中、νOH(3405.9cm−1)、νC−H(aliphatic)(2930.8cm−1)、νC−H(ethoxy)(2861.1cm−1)、νC=C(aromatic)(1619.1cm−1、1587.8cm−1)、及びν−O−(ester)(1233.0cm−1、1101.2cm−1)にそれぞれ帰属され得る吸収(シグナル)を観察することができる。
得られた化合物(a)の熱重量/示差熱同時分析(TG−DTA)の測定結果を図4に示す。図4に示す結果から、Td(5%)=362.9℃、Td(10%)=372.9℃であると判明した。
また、得られた化合物(a)及び下記式(6)で表される化合物(Noria;但し、下記式(6)中、X=プロピレン基)の各種溶媒に対する溶解度の測定結果を下記表1に示す。
(実施例1) ネガ型感放射線性樹脂組成物の調製
アレーン系化合物(A)、架橋剤(B)、酸発生剤(C)、酸拡散制御剤(D)、及び溶剤(E)を、下記表2に示す仕込み量にて混合した。得られた混合液を、孔径200nmのメンブランフィルターで濾過し、組成物溶液を調製した。なお、ネガ型感放射線性樹脂組成物の調製に用いた原料化合物を、以下に記載する。
アレーン系化合物(A):
(A−1):前記式(a)で表される、合成例1で得られた化合物(a)
架橋剤(B):
(B−1):下記式(b)で表される化合物
酸発生剤(C):
(C−1):トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート
酸拡散制御剤(D):
(D−1):トリ−n−オクチルアミン
溶剤(E):
(E−1):シクロヘキサノン
(E−2):1−メトキシ−2−プロパノール
(実施例2) ネガ型感放射線性樹脂組成物を用いたレジストの性能評価
まず、「CLEAN TRACK ACT8」(東京エレクトロン社製)を用いて、シリコンウェハー上に実施例1で得られた組成物溶液をスピンコートし、下記表3に示す条件にてPBを行い、膜厚60nmのレジスト皮膜を得た。
次いで、得られたレジスト皮膜に、簡易型電子線描画装置(日立製作所社製、型式「HL800D」、出力:50KeV、電流密度:5.0A/cm2)を用いて、150nmの1L1Sパターンを与えるマスクを介して、電子線を照射した。照射後、下記表3に示す条件でPEBを行った。次いで、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、23℃で1分間パドル法により現像した後、水洗・乾燥して、レジストパターンを形成した。
得られたレジストパターンについて、感度(μC/cm2)及び解像度(nm)を評価した。その結果を下記表3に示す。