本発明は、上述した事情に鑑みて為されたもので、流動層を用いたガス化炉もしくは燃焼炉を用い、カルシウム含有鉱物を用いて脱硫反応を行わせるに際し、カルシウム含有鉱物の硫黄化合物吸収能を向上させることで、カルシウム含有鉱物の不動態化を極力抑制し、未反応カルシウム含有鉱物を減らすことのできる脱硫方法及び脱硫装置を提供することを目的とする。
また、本発明の脱硫装置は、流動層ガス化炉もしくは流動層燃焼炉の流動媒体の一部もしくは全量にカルシウム含有鉱物を用い、そのカルシウム含有鉱物を脱硫剤として炉内で脱硫反応を行わせる装置において、前記脱硫剤としてのカルシウム含有鉱物の細孔構造を変化させて前記脱硫剤の脱硫機能を高めるための前処理室を前記流動層ガス化炉もしくは前記流動層燃焼炉内に仕切り壁によって形成し、前記前処理室は、流動層炉または移動層炉であり、前記流動層ガス化炉もしくは流動層燃焼炉から該流動媒体を連続的もしくは間欠的に前記前処理室へ供給し、該前処理室内はカルシウム含有鉱物が脱炭酸反応を生じる温度以上に加熱保持されており、前記前処理室内の雰囲気は酸素ガスと一酸化炭素ガスの分圧が2kPa以上に交互にもしくは同時に保たれるように維持されていて、前記前処理室内の流動媒体滞留時間が1分以上となるようにしたことを特徴とするものである。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、カルシウム含有鉱物の脱硫効果を示した図である。
カルシウム含有鉱物(ここでは石灰石)を常温で11atmまで昇圧し、CO2気流中にて、温度850℃まで昇温後、雰囲気ガスをN2に切り替え、石灰石をCaOへ分解した。石灰石の分解が完了した後、O2(6%)、CO(6%)を供給し、前処理を行った。その後、COの供給を止め、SO2(1000ppm)、O2(6%)、N2バランスを含む反応ガスを供給し、SO2の吸収反応を行った。試料の重量変化から転換率の経時変化を求めた結果を図1に示す。SO2吸収の初速度は前処理を行っても変わらなかったが、しかしながら、前処理を行った場合には、到達転化率(石灰石の利用率)は13%から34%へと、2.5倍に向上した(前処理時間、1時間の場合)。同様の結果は950℃においても得られた。また、常圧下で同様の前処理操作を行った場合にも、到達転化率は12%から29%へと、2.4倍に向上した(前処理時間、1時間の場合)。この現象はCO単独、あるいはO2単独で前処理を行った場合はみられず、CO、O2共存下で前処理を行った場合にのみみられた。前処理後の石灰石の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)像で確認したところ、非常に凹凸に富んだ形状となっていた。こうした粒子の表面性状の変化に伴って、CaOの細孔構造が変化し、SO2のCaO粒子内部への拡散が促進された結果、CaOのSO2吸収能が向上したのである。
また、ここでの脱硫性能の向上は、石灰石の組成変化によるものではなく、細孔構造の変化により、CaO粒子内部へのガス拡散が促進されたためであることから、SO2以外の硫化物(H2S)の吸収能[(4)式]も向上すると推察することができる。
本発明は、上記のカルシウム含有鉱物の活性化メカニズムを利用して、可燃物の流動層ガス化炉、または、流動層燃焼炉における乾式脱硫方法において、脱硫剤粒子として用いるカルシウム含有鉱物の硫黄化合物吸収能を向上させる脱硫方法と脱硫装置に関するものである。
本発明におけるカルシウム含有鉱物の活性化方法は、請求項1乃至3に示す前処理を行うことにより、カルシウム含有鉱物の細孔を硫黄化合物の吸着に対してより最適な形状に発達させて、硫黄化合物の吸収能を高めるものである。本発明の前処理方法の条件を表1に示す。
請求項4乃至7に記載の発明は、可燃物を対象とした流動層ガス化炉、または、流動層燃焼炉に、本発明によるカルシウム含有鉱物の活性化方法を具体的に実現させるための前処理炉を設けた流動層ガス化炉、または、流動層燃焼炉である。
(実施例1)
図2は脱硫剤の脱硫機能を高めるための前処理炉を流動層ガス化炉、または、流動層燃焼炉に併設する形態を示すものである。
符号1は流動層ガス化炉または、流動層燃焼炉であり、炉内に供給された可燃物(図示せず)を流動化ガス3、ガス化剤4によって、ガス化、あるいは燃焼させて、排ガス7を発生させる。流動層ガス化炉または流動層燃焼炉1は流動媒体の一部もしくは全量にカルシウム含有鉱物を用いて、そのカルシウム含有鉱物に硫黄化合物を吸収させて炉内脱硫を行わせるものである。また、流動媒体中には可燃物が炉内で熱分解する際に生成する未然炭素が混在する。
実施例1では、流動層ガス化炉または流動層燃焼炉1と、併設する脱硫剤前処理炉2の間で流動媒体を循環供給させる。循環供給の方法は、搬送ガスに同伴させる方法や各種コンベヤによる方法でよく、また、流動媒体を搬送用容器に封じて輸送させる方法を用いてもよい。
脱硫剤前処理炉2は、カルシウム含有鉱物と未燃炭素を含む流動媒体をカルシウム含有鉱物が脱炭酸反応を生じる温度700℃以上、具体的には大気圧では800℃以上、20Bar程度の加圧下では850℃以上、好ましくは900℃以上の温度に加熱保持した上で、炉底から例えば空気等の酸素含有ガス5を供給させる。図3に示すように、供給された酸素は脱硫剤の活性を高めるガスとして作用しつつ、脱硫剤前処理炉内の流動媒体中の未燃炭素と反応して一酸化炭素を生成する。ここで生成された一酸化炭素もまた脱硫剤の活性を高めるためのガスとして作用する。この方法でカルシウム含有鉱物を活性化させるためには、酸素と一酸化炭素の分圧を2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上に維持することが肝要である。
脱硫剤の活性を高めるガスとしての一酸化炭素は、図3に示すように流動媒体中の未燃炭素と脱硫剤前処理室に供給した酸素ガスの反応で生成させてもよいが、図2に示すように炉底から直接、一酸化炭素ガス6を供給してもよい。
脱硫剤前処理炉では、カルシウム含有鉱物を含む流動媒体を1分以上、好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上保持し、カルシウム含有鉱物の活性化を行う。流動層ガス化炉または流動層燃焼炉1から脱硫剤前処理炉2へのカルシウム含有鉱物を含む流動媒体の供給および脱硫剤前処理炉2から流動層ガス化炉または流動層燃焼炉1への回収は連続的に行っても、間欠的(断続的)に行ってもよい。
流動層ガス化炉1において、一酸化炭素酸素の分圧が2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上である場合には、脱硫剤前処理炉2の酸素の分圧を2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上とすることで、カルシウム含有鉱物を含む流動媒体を、流動層ガス化炉で一酸化炭素ガスに、脱硫剤前処理炉で酸素ガスに交互に接触させることを行わせて、カルシウム含有鉱物を活性化させることもできる。
また、流動層燃焼炉において、酸素の分圧が2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上である場合には、脱硫剤前処理炉2の一酸化炭素の分圧を2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上とすることで、カルシウム含有鉱物を含む流動媒体を、流動層燃焼炉で酸素ガスに、脱硫剤前処理炉で一酸化炭素ガスに交互に接触させることを行わせて、カルシウム含有鉱物を活性化させることもできる。
脱硫剤前処理炉2内には、酸素ガス濃度及び一酸化炭素ガス濃度が所定の濃度に達しているかどうかを確認するために測定装置9を設けることが好ましい。これにより、脱硫剤前処理炉内の酸素ガス濃度及び一酸化炭素ガス濃度を監視し、前処理炉内雰囲気がカルシウム含有鉱物を活性化させるのに、より最適な酸素ガス分圧及び一酸化炭素ガス分圧(2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上)になるように、前処理炉底から供給する酸素ガス5、一酸化炭素ガス6の流量もしくは濃度を制御する。
以上の実施例に示す方法と装置により、脱硫剤の硫黄化合物吸収能を向上させる効果を十分に発揮させることができる。
(実施例2)
図4は脱硫剤の脱硫機能を高めるための前処理炉を流動層ガス化炉、または、流動層燃焼炉とともに同一の外殻によって被い、反応装置として一体化されている実施形態を示すものである。
符号1は流動層ガス化炉または流動層燃焼炉であり、炉内に供給された可燃物を流動化ガス3、ガス化剤4によって、ガス化、あるいは燃焼させて、排ガス7を発生させる。流動層ガス化炉または流動層燃焼炉1は流動媒体の一部もしくは全量にカルシウム含有鉱物を用いて、カルシウム含有鉱物に硫黄化合物を吸収させて炉内脱硫を行わせるものである。また、流動媒体中には可燃物が炉内で熱分解する際に生成する未燃炭素が存在する。
実施例2は、ガス化または燃焼を行う部分とは別に脱硫剤の前処理を行う部分を設け、ガス化または燃焼を行う部分から得た流動媒体を、脱硫剤の前処理を行う部分に供給し、脱硫剤の前処理を行う部分は流動層または移動層の状態にしたもので、いわば、脱硫剤の前処理炉を流動層ガス化炉または流動層燃焼炉の外殻内に設けて装置として一体化したものである。ガス化または燃焼を行う流動層と脱硫剤の前処理を行う流動層、あるいは移動層は、仕切り壁によって、分けられているが、別々の炉として構成されておらず、1つの炉として一体に構成されているものである。
実施例2において、流動層ガス化炉または流動層燃焼炉1と脱硫剤前処理炉2の間で、カルシウム含有鉱物を含む流動媒体を循環供給させるが、その方法は、流動層ガス化炉または流動層燃焼炉1と脱硫剤前処理炉2を仕切る壁の上部を流動媒体を超えさせるか、もしくは、流動層界面より下の位置で、仕切り壁に設けられた開口部を流動媒体を通過させることにより行う。
脱硫剤前処理炉2は、カルシウム含有鉱物と未燃炭素を含む流動媒体をカルシウム含有鉱物が脱炭酸反応を生じる温度700℃以上、具体的には大気圧では800℃以上、〜20Bar程度の加圧下では850℃以上、好ましくは900℃以上の温度以上に加熱保持した状態で、炉底から例えば空気等の酸素含有ガス5を供給する。供給された酸素は脱硫剤の活性を高めるガスとして作用する。また、供給された酸素は図3に示すように、前処理炉内の流動媒体中の未燃炭素と反応して一酸化炭素を生成する。ここで生成された一酸化炭素は脱硫剤の活性を高めるためのガスとして作用する。カルシウム含有鉱物を活性化させるために、酸素と一酸化炭素の分圧を2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上に維持する。
脱硫剤の活性を高めるガスとしての一酸化炭素は図3の方法のように未燃炭素と脱硫剤前処理室に供給した酸素ガスの反応で生成させてもよいが、図4に示すように炉底から直接、一酸化炭素ガス6を供給してもよい。
脱硫剤前処理炉では、カルシウム含有鉱物を含む流動媒体を1分以上、好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上保持し、カルシウム含有鉱物の活性化を行う。流動層ガス化炉または流動層燃焼炉と脱硫剤前処理炉の間のカルシウム含有鉱物を含む流動媒体の循環供給は連続的に行っても、間欠的(断続的)に行ってもよい。
流動層ガス化炉において、一酸化炭素の分圧が2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上である場合には、脱硫剤前処理炉2の酸素の分圧を2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上とすることで、カルシウム含有鉱物を含む流動媒体を、流動層ガス化炉で一酸化炭素ガスに、脱硫剤前処理炉で酸素ガスに交互に接触させることを行わせて、カルシウム含有鉱物を活性化させることもできる。
また、流動層燃焼炉において、酸素の分圧が2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上である場合には、脱硫剤前処理炉2の一酸化炭素の分圧を2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上とすることで、カルシウム含有鉱物を含む流動媒体を、流動層燃焼炉で酸素ガスに、脱硫剤前処理炉で一酸化炭素ガスに交互に接触させることを行わせて、カルシウム含有鉱物を活性化させることもできる。
脱硫剤前処理炉2内には、酸素ガス濃度及び一酸化炭素ガス濃度の測定装置9を設ける。これにより、脱硫剤前処理炉内の酸素ガス濃度及び一酸化炭素ガス濃度を監視し、前処理炉内雰囲気がカルシウム含有鉱物を活性化させるのに、より最適な酸素ガス分圧及び一酸化炭素ガス分圧(2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上)になるように、前処理炉底から供給する酸素ガス5、一酸化炭素ガス6の流量を制御する。
以上の実施例に示す方法と装置により、脱硫剤の硫黄化合物吸収能を向上させる効果を十分に発揮させるものである。
(実施例3)
図5は本発明者らが発明した流動層ガス化炉と流動層燃焼炉の機能を統合して、一つにまとめた統合型流動床ガス化炉に脱硫前処理炉を組み込んだ形態の概念図である。
図5は、該統合型ガス化炉の基本的な構成を模式的に表現したものであり、熱分解即ちガス化、チャー燃焼、熱回収、脱硫剤前処理の4つの機能をそれぞれ担当するガス化室31、チャー燃焼室32、熱回収室33、脱硫剤前処理室34を備え、例えば全体が円筒形又は矩形を成した炉体内に収納されている。熱回収室33と脱硫剤前処理室34は、炉底から供給するガスと流動媒体の循環の挙動は同じものであるため、図5では同一室のように表示されているが、熱回収室33は流動層内に層内伝熱管が設けられており、脱硫剤前処理室34には層内伝熱管は設置されていない。
図6に円筒形炉体内に各室を収納した形態の水平断面図を示す。
ガス化室31、チャー燃焼室32、熱回収室33、脱硫剤前処理室34は仕切壁11、12、13、14、15、16、17で分割されており、それぞれの底部に流動媒体を含む濃厚層である流動床が形成される。各室の流動床、即ちガス化室流動床、チャー燃焼室流動床、熱回収室流動床の流動媒体を流動させるために、各室31、32、33、34の底である炉底には、流動媒体中に流動化ガスを吹き込む散気装置が設けられている。散気装置は炉底部に敷かれた例えば多孔板を含んで構成され、該多孔板を広さ方向に分割して複数の部屋に分割されており、各室内の各部の空塔速度を変えるために、散気装置の各部屋から多孔板を通して吹き出す流動化ガスの流速を変化させるように構成している。空塔速度が室の各部で相対的に異なるので各室内の流動媒体も室の各部で流動状態が異なり、そのため内部旋回流が形成される。図中、散気装置に示す白抜き矢印の大きさは、吹き出される流動化ガスの流速を示している。例えば符号32bで示す箇所の太い矢印は、符号32aで示す箇所の細い矢印よりも流速が大きい。
ガス化室31とチャー燃焼室32の間は仕切壁11、17で仕切られ、チャー燃焼室32と熱回収室33の間は仕切壁12で仕切られ、チャー燃焼室32と脱硫剤前処理室34の間は仕切り壁13、15で仕切られ、熱回収室33と脱硫剤前処理室の間は仕切り壁14で仕切られている。即ち、別々の炉として構成されておらず、一つの炉として一体に構成されている。更に、チャー燃焼室32のガス化室31と接する面の近傍には、流動媒体が下降するべく沈降チャー燃焼室35を設ける。即ち、チャー燃焼室32は沈降チャー燃焼室35と沈降チャー燃焼室35以外のチャー燃焼室本体部とに分かれる。このため、沈降チャー燃焼室35をチャー燃焼室の他の部分(チャー燃焼室本体部)と仕切るための仕切壁16が設けられている。
ここで、流動床と界面について説明する。流動床は、その鉛直方向下方部にある、流動化ガスにより流動状態に置かれている流動媒体(例えば珪砂)を濃厚に含む濃厚層と、その濃厚層の鉛直方向上方部にある流動媒体と多量のガスが共存し、流動媒体が勢いよくはねあがっているスプラッシュゾーンとからなる。流動床の上方即ちスプラッシュゾーンの上方には流動媒体をほとんど含まずガスを主体とするフリーボード部がある。本発明でいう界面は、ある厚さをもった前記スプラッシュゾーンをいうが、またスプラッシュゾーンの上面と下面(濃厚層の上面)との中間にある仮想的な面ととらえてもよい。
また「流動床の界面より鉛直方向上方においてはガスの流通がないように仕切壁により仕切られ」というとき、さらに界面より下方の濃厚層の上面より上方においてガスの流通がないようにするのが好ましい。
ガス化室31とチャー燃焼室32の間の仕切壁11は、炉の天井19から炉底(散気装置の多孔板)に向かってほぼ全面的に仕切っているが、下端は炉底に接することはなく、炉底近傍に流通部21がある。但しこの流通部21の上端が、ガス化室流動床界面、チャー燃焼室流動床界面のいずれの界面よりも上部にまで達することはない。さらに好ましくは、流通部21の上端が、ガス化室流動床の濃厚層の上面、チャー燃焼室流動床の濃厚層の上面のいずれよりも上部にまで達することはないようにする。言い換えれば、流通部21は、常に濃厚層に潜っているように構成するのが好ましい。即ち、ガス化室31とチャー燃焼室32とは、少なくともフリーボード部においては、さらに言えば界面より上方においては、さらに好ましくは濃厚層の上面より上方ではガスの流通がないように仕切壁により仕切られていることになる。
またチャー燃焼室32と熱回収室33の間の仕切壁12はその上端が界面近傍、即ち濃厚層の上面よりは上方であるが、スプラッシュゾーンの上面よりは下方に位置しており、仕切壁12の下端は炉底近傍までであり、仕切壁11と同様に下端が炉底に接することはなく、炉底近傍に濃厚層の上面より上方に達することのない開口23がある。
チャー燃焼室32と脱硫剤前処理室34の間の仕切壁13はその上端が界面近傍、即ち濃厚層の上面よりは上方であるが、スプラッシュゾーンの上面よりは下方に位置しており、仕切壁13の下端は炉底近傍までであり、仕切壁11と同様に下端が炉底に接することはなく、炉底近傍に濃厚層の上面より上方に達することのない開口24がある。
沈降チャー燃焼室35を設けるべくチャー燃焼室32内を仕切る仕切壁16の上端は流動床の界面近傍で、下端は炉底に接している。仕切壁16の上端と流動床との関係は、仕切壁12、13と流動床との関係と同様である。沈降チャー燃焼室35とガス化室31を仕切る仕切壁17は、仕切壁11と同様であり、炉の天井から炉底に向かってほぼ全面的に仕切っており、下端は炉底に接することはなく、炉底近傍に流通部22があり、この開口の上端が濃厚層の上面より下にある。即ち、流通部22と流動床の関係は、流通部21と流動床の関係と同様である。
ガス化室31に投入された石炭等・硫黄分を含む可燃物は流動媒体から熱を受け、熱分解、ガス化される。典型的には、燃料はガス化室では燃焼せず、いわゆる乾留される。残った乾溜チャーは流動媒体と共に仕切壁11の下部にある流通部21からチャー燃焼室32に流入する。このようにしてガス化室31から導入されたチャーはチャー燃焼室32で燃焼して流動媒体を加熱する。チャー燃焼室32でチャーの燃焼熱によって加熱された流動媒体は仕切壁12の上端を越えて熱回収室33に流入し、熱回収室内で界面よりも下方にあるように配設された層内伝熱管42で収熱され、冷却された後、再び仕切壁12の下部開口23を通ってチャー燃焼室32に流入する。
ガス化室31に投入された可燃物の揮発分は瞬時にガス化し、続いて固形炭素分(チャー)のガス化が比較的緩慢に起こる。したがって、ガス化室31内におけるチャーの滞留時間(ガス化室31に投入されたチャーがチャー燃焼室32に抜けるまでの時間)は燃料のガス化割合(炭素転換率)等を決める重要なファクターとなり得る。
硅砂等を流動媒体として用いた場合、チャーの比重が流動媒体の比重と比較して小さいため、主に層の上部に集中してチャーが蓄積される。前記のようにガス化室への流動媒体の流入及びガス化室からチャー燃焼室への流動媒体の流出が仕切り壁下流通部より生じる炉構造とした場合、主に層上部に存在するチャーよりも、主に層下部に存在する流動媒体の方が、ガス化室からチャー燃焼室へと流出し易く、逆にチャーはガス化室からチャー燃焼室へと流出しにくい。したがって、その分だけ、ガス化室が完全混合層となっている場合よりもチャーのガス化室での平均滞留時間を長く維持することが可能になる。
その場合、沈降チャー燃焼室35よりガス化室へと流入した流動媒体は、ガス化室内で層内に広く混合されることなく、主にガス化室下部のみを通過してチャー燃焼室へと流出することになるが、その場合においても、ガス化室炉床より供給される流動化ガスと流動媒体とが熱交換を行ない、流動化ガスからチャーへと熱を伝えることによって、間接的にチャーのガス化に用いられる熱を流動媒体の顕熱から供給することは可能である。
また、ガス化室内流動化ガス速度を制御し、前記ガス化室内旋回流の様相を制御することにより、ガス化室内での流動媒体とチャーの混合状態を変化させることが可能であり、それにより、チャーのガス化室内平均滞留時間の制御が可能となる。
一方、本炉構造においては、ガス化室とチャー燃焼室との圧力差を制御することにより、ガス化室内流動層高を自由に変化させることが可能であるため、その手法を用いてもガス化室内チャー滞留時間を制御することが可能である。
ここで、熱回収室33は本発明の燃料のガス化システムに必須ではない。即ち、ガス化室31で主として揮発成分がガス化した後に残る主としてカーボンからなるチャーの量と、チャー燃焼室32で流動媒体を加熱するのに必要とされるチャーの量がほぼ等しければ、流動媒体から熱を奪うことになる熱回収室33は不要である。また前記チャーの量の差が小さければ、例えば、ガス化室31でのガス化温度が高目になり、ガス化室31で発生するCOガスの量が増えるという形で、バランス状態が保たれる。
しかしながら、熱回収室33を備える場合は、チャーの発生量の大きい石炭から、ほとんどチャーを発生させない都市ゴミまで、幅広く多種類の燃料に対応することができる。即ち、どのような燃料であっても、熱回収室33における熱回収量を加減することにより、チャー燃焼室32の燃焼温度を適切に調節し、流動媒体の温度を適切に保つことができる。
一方、チャー燃焼室32で加熱された流動媒体は仕切壁16の上端を越えて沈降チャー燃焼室35に流入し、次いで仕切壁17の下部にある流通部22からガス化室31に流入する。
ここで、各室間の流動媒体の流動状態及び移動について説明する。
ガス化室31の内部で沈降チャー燃焼室35との間の仕切壁17に接する面の近傍は、沈降チャー燃焼室35の流動化と比べて強い流動化状態が維持される強流動化域1bになっている。全体としては投入された燃料と流動媒体の混合拡散が促進される様に、場所によって流動化ガスの空塔速度を変化させるのが良く、一例として図5に示したように強流動化域1bの他に弱流動化域1aを設けて流動媒体の旋回流を形成させるようにする。
チャー燃焼室32は中央部に弱流動化域2a、周辺部に強流動化域2bを有し、流動媒体およびチャーが内部旋回流を形成している。ガス化室31、チャー燃焼室32内の強流動化域の流動化速度は5Umf以上、弱流動化域の流動化速度は5Umf以下とするのが好適であるが、弱流動化域と強流動化域に相対的な明確な差を設ければ、この範囲を超えても特に差し支えばない。チャー燃焼室32内の熱回収室33、脱硫前処理室34、および、沈降チャー燃焼室35に接する部分には強流動化域2bを配するようにするのがよい。また必要に応じて炉底には弱流動化域2a側から強流動化域2b側に下るような勾配を設けるのが良い。ここで、Umfとは最低流動化速度(流動化が開始される速度)を1Umfとした単位である。即ち、5Umfは最低流動化速度の5倍の速度である。
このように、チャー燃焼室32と熱回収室33との仕切壁12近傍のチャー燃焼室側の流動化状態を熱回収室33側の流動化状態よりも相対的に強い流動化状態に保つことによって、流動媒体は仕切壁12の流動床の界面近傍にある上端を越えてチャー燃焼室32側から熱回収室33の側に流入し、流入した流動媒体は熱回収室33内の相対的に弱い流動化状態即ち高密度状態のために下方(炉底方向)に移動し、仕切壁12の炉底近傍にある下端(の流通部23)をくぐって熱回収室33側からチャー燃焼室32の側に移動する。
同様に、チャー燃焼室32の本体部と脱硫剤前処理室34との仕切壁13近傍のチャー燃焼室本体部側の流動化状態を脱硫剤前処理室34側の流動化状態よりも相対的に強い流動化状態に保つことによって、流動媒体は仕切壁13の流動床の界面近傍にある上端を越えてチャー燃焼室32本体部の側から脱硫剤前処理室34の側に移動流入する。脱硫剤前処理室34の側に流入した流動媒体は、脱硫剤前処理室34内の相対的に弱い流動化状態即ち高密度状態のために下方(炉底方向)に移動し、仕切壁13の炉底近傍にある下端(の開口24)をくぐって脱硫剤前処理室34側からチャー燃焼室32の側に移動する。
同様に、チャー燃焼室32の本体部と沈降チャー燃焼室35との仕切壁16近傍のチャー燃焼室本体部側の流動化状態を沈降チャー燃焼室35側の流動化状態よりも相対的に強い流動化状態に保つことによって、流動媒体は仕切壁16の流動床の界面近傍にある上端を越えてチャー燃焼室32本体部の側から沈降チャー燃焼室35の側に移動流入する。沈降チャー燃焼室35の側に流入した流動媒体は、沈降チャー燃焼室35内の相対的に弱い流動化状態即ち高密度状態のために下方(炉底方向)に移動し、仕切壁17の炉底近傍にある下端(の開口22)をくぐって沈降チャー燃焼室35側からガス化室31側に移動する。なおここで、ガス化室31と沈降チャー燃焼室35との仕切壁17近傍のガス化室31側の流動化状態は沈降チャー燃焼室35側の流動化状態よりも相対的に強い流動化状態に保たれている。このことは流動媒体の沈降チャー燃焼室35からガス化室31への移動を誘引作用により助ける。
同様に、ガス化室31とチャー燃焼室32との間の仕切壁11近傍のチャー燃焼室32側の流動化状態はガス化室31側の流動化状態よりも相対的に強い流動化状態に保たれている。したがって、流動媒体は仕切壁11の流動床の界面より下方、好ましくは濃厚層の上面よりも下方にある(濃厚層に潜った)流通部21を通してチャー燃焼室32の側に流入する。
一般的には、イ、ロの2つの室間の流動媒体の移動は、イ、ロ室が、上端が界面の高さ近傍にある仕切壁ハによって仕切られているときは、その仕切壁ハ近傍のイ室とロ室の流動化状態を比較して、例えばイ室側の流動化状態がロ室側の流動化状態よりも強く保たれていれば、流動媒体は仕切壁ハの上端を越えてイ室側からロ室側に流入移動する。また、イ、ロ室が、下端が界面より下方、好ましくは濃厚層の上面より下方にある(濃厚層に潜った)仕切壁ニによって仕切られているとき、言い換えれば界面よりも下方に開口を、あるいは濃厚層に潜った開口を有する仕切壁ニによって仕切られているときは、その仕切壁ニ近傍のイ室とロ室の流動化状態を比較して、例えばイ室側の流動化状態がロ室側の流動化状態よりも強く保たれていれば、流動媒体は仕切壁ニの下端の開口をくぐってロ室側からイ室側に流入移動する。これは、イ室側の流動媒体の相対的に強い流動状態の誘引作用によるとも言えるし、ロ室側の相対的に弱い流動状態によるロ室内の流動媒体の密度がイ室側よりも高いことによるとも言える。また以上のような各室間の流動媒体の移動がある一つの箇所で生じたために崩れようとする各室間のマスバランスの平衡状態を保つように、他の箇所で各室間の流動媒体の移動が生じる場合もある。
また、1つの室を画成する仕切壁としての、または1つの室内の仕切壁としての仕切壁ハの上端と、同じく仕切壁ニの下端との相対的関係について言えば、上端を越えて流動媒体を移動させようとする仕切壁ハのその上端は、下端を流動媒体を潜らせて移動させようとする仕切壁のその下端よりも、鉛直方向上方に位置する。このように構成することによって、その室に流動媒体を充填して流動化させたとき、流動媒体の充填量を適切に決めれば、前記上端を流動床の界面近傍に位置させ、かつ前記下端を濃厚層に潜らせるように設定することができ、仕切壁近傍の流動化の強さを前述のように適切に設定することにより、流動媒体を仕切壁ハあるいは仕切壁ニに関して所定の方向に移動させることができる。また、仕切壁ニによって仕切られる2つの室間のガスの流通をなくすことができる。
以上のことを図5の場合に当てはめて説明すれば、チャー燃焼室32と熱回収室33、および、チャー燃焼室32と脱硫剤前処理室34とは、上端が界面の高さ近傍にあり下端が濃厚層に潜った仕切壁12、および、13で仕切られており、仕切壁12、および、13近傍のチャー燃焼室32側の流動化状態が、仕切壁12、および、仕切り壁13近傍の熱回収室33側、および、脱硫剤前処理室34側の流動化状態よりも強く保たれている。したがって、流動媒体は仕切壁12、および、仕切り壁13の上端を越えてチャー燃焼室32側から熱回収室33側、および、脱硫剤前処理室34側に流入移動し、また仕切壁12、および、仕切り壁13の下端をくぐって熱回収室33側、および、脱硫剤前処理室34側からチャー燃焼室32側に移動する。
また、チャー燃焼室32とガス化室31とは、下端が濃厚層に潜った仕切壁17により仕切られており、仕切壁17のチャー燃焼室側には、上端が界面の高さ近傍にある仕切壁16と仕切壁17を含む仕切壁で画成された沈降チャー燃焼室35が設けられ、仕切壁16近傍のチャー燃焼室32本体部側の流動化状態が、仕切壁16近傍の沈降チャー燃焼室35側の流動化状態よりも強く保たれている。したがって、流動媒体は仕切壁16の上端を越えてチャー燃焼室32の本体部側から沈降チャー燃焼室35側に流入移動する。このように構成することにより沈降チャー燃焼室35に流入した流動媒体は少なくともマスバランスを保つように、仕切壁17の下端をくぐって沈降チャー燃焼室35からガス化室31に移動する。このとき、仕切壁17近傍のガス化室31側の流動化状態が、仕切壁17近傍の沈降チャー燃焼室35側の流動化状態よりも強く保たれていれば、誘引作用により流動媒体の移動が促進される。
さらにガス化室31とチャー燃焼室32本体部とは、下端が濃厚層に潜った仕切壁11で仕切られている。沈降チャー燃焼室35からガス化室31に移動してきた流動媒体は、さきのマスバランスを保つように仕切壁11の下端をくぐってチャー燃焼室32に移動するが、このとき、仕切壁11近傍のチャー燃焼室32側の流動化状態が、仕切壁11近傍のガス化室31側の流動化状態よりも強く保たれていれば、さきのマスバランスを保つようにだけではなく、強い流動化状態により流動媒体はチャー燃焼室32側に誘引され移動する。
図5に示す実施例では、流動媒体の沈降をチャー燃焼室32の一部である沈降チャー燃焼室35で行わせているが、同様な構成をガス化室31の一部に、具体的には流通部21の部分に、不図示のいわば沈降ガス化室ともいうべき形で設けてもよい。即ち、沈降ガス化室の流動化状態を隣接のガス化室本体部のそれよりも相対的に弱くして、ガス化室本体部の流動媒体が沈降ガス化室に仕切壁の上端を越えて流入し、沈降した流動媒体が流通部11を通してチャー燃焼室に移動する。このとき沈降チャー燃焼室35は、沈降ガス化室と併設してもよいし、設けなくてもよい。沈降ガス化室を設ければ、図5の場合と同様に、流動媒体はチャー燃焼室32から流通部22を通してガス化室31へ、またガス化室31から流通部11を通してチャー燃焼室32へと移動する。
熱回収室33は全体が均等に流動化され、通常は最大でも熱回収室に接したチャー燃焼室32の流動化状態より弱い流動化状態となるように維持される。従って、熱回収室33の流動化ガスの空塔速度は0〜3Umfの間で制御され、流動媒体は緩やかに流動しながら沈降流動層を形成する。なおここで0Umfとは、流動化ガスが止まった状態である。このような状態にすれば、熱回収室33での熱回収を最小にすることができる。すなわち、熱回収室33は流動媒体の流動化状態を変化させることによって回収熱量を最大から最小の範囲で任意に調節することができる。また、熱回収室33では、流動化を室全体で一様に発停あるいは強弱を調節してもよいが、その一部の領域の流動化を停止し他を流動化状態に置くこともできるし、その一部の領域の流動化状態の強弱を調節してもよい。
脱硫剤前処理室34は全体が均等に流動化され、通常は最大でも脱硫剤前処理室34に接したチャー燃焼室32の流動化状態より弱い流動化状態となるように維持される。従って、脱硫剤前処理室34の流動化ガスの空塔速度は0〜3Umfの間で制御され、流動媒体は緩やかに流動しながら沈降流動層を形成する。なおここで0Umfとは、流動化ガスが止まった状態である。このような状態にすれば、チャー燃焼室32と脱硫剤前処理室34の間の流動媒体の循環量を0にすることができる。すなわち、脱硫剤前処理室34は流動媒体の流動化状態を変化させることによって、脱硫剤前処理室34へ流入して流出する流動媒体の滞留時間、すなわち、カルシウム含有鉱物を活性化させる時間を任意に調節することができる。また、脱硫剤前処理室34では、流動化を室全体で一様に発停あるいは強弱を調節してもよいが、その一部の領域の流動化を停止し他を流動化状態に置くこともできるし、その一部の領域の流動化状態の強弱を調節してもよい。
脱硫剤前処理室34の炉底から流入させる流動化ガスは酸素含有ガス(例えば空気、あるいは、酸素と蒸気の混合ガスなど)、酸素と一酸化炭素含有ガス(例えば、酸素と一酸化炭素と蒸気の混合ガスなど)、あるいは、一酸化炭素含有ガス(例えば、一酸化炭素と蒸気の混合ガスなど)を用いる。
脱硫剤前処理室34はチャー燃焼室から流入してくるカルシウム含有鉱物と未然炭素を含む流動媒体をカルシウム含有鉱物が脱炭酸反応を生じる温度以上に維持する。炉底から供給された酸素はカルシウム含有鉱物の活性を高めるガスとして作用する。また、供給された酸素は流動媒体中の未燃炭素と反応して一酸化炭素を生成する。ここで生成された一酸化炭素は脱硫剤の活性を高めるためのガスとして作用する。カルシウム含有鉱物を活性化させるために、脱硫剤前処理室34の酸素と一酸化炭素の分圧を2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上に維持する。
脱硫剤の活性を高めるガスとしての一酸化炭素は流動媒体中の未燃炭素と脱硫剤前処理室に供給した酸素ガスの反応で生成させてもよいが、脱硫剤前処理室34の炉底から直接、一酸化炭素を供給してもよい。
脱硫剤前処理炉では、カルシウム含有鉱物を含む流動媒体を1分以上、好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上保持し、カルシウム含有鉱物の活性化を行う。チャー燃焼室32と脱硫剤前処理室34の間の流動媒体循環は連続的に行っても、間欠的(断続的)に行ってもよい。
チャー燃焼室32の酸素分圧が2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上である場合には、脱硫剤前処理炉2の一酸化炭素分圧を2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上とすることで、カルシウム含有鉱物を含む流動媒体を、チャー燃焼室32で酸素ガスに、脱硫剤前処理室34で一酸化炭素ガスに、交互に接触させることを行わせて、カルシウム含有鉱物を活性化させることもできる。
脱硫剤前処理室34内には、酸素ガス濃度及び一酸化炭素ガス濃度の測定装置41を設ける。これにより、脱硫剤前処理炉室内の酸素ガス濃度及び一酸化炭素ガス濃度を監視し、脱硫剤前処理室内雰囲気がカルシウム含有鉱物を活性化させるのに、より最適な酸素ガス分圧及び一酸化炭素ガス分圧(2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上)になるように、脱硫剤前処理室炉底から供給する酸素と一酸化炭素の流量を制御する。
また、燃料中に含まれる比較的大きな不燃物はガス化室31の炉底に設けた不燃物排出口から排出する。また、各室の炉底面は水平でも良いが、流動媒体の流れの滞留部を作らないようにするために、炉底近傍の流動媒体の流れに従って、炉底を傾斜させても良い。なお、不燃物排出口は、ガス化室31の炉底だけでなく、チャー燃焼室32、熱回収室33、あるいは、脱硫剤前処理室34の炉底に設けてもよい。
ガス化室31の流動化ガスとして最も好ましいのは生成ガスを昇圧してリサイクル使用することである。このようにすればガス化室から出るガスは純粋に燃料から発生したガスのみとなり、非常に高品質のガスを得ることができる。それが不可能な場合は水蒸気等、できるだけ酸素を含まないガス(無酸素ガス)を用いるのが良い。ガス化の際の吸熱反応によって流動媒体の層温が低下する場合は、必要に応じて無酸素ガスに加えて、酸素もしくは酸素を含むガス、例えば空気を供給して生成ガスの一部を燃焼させるようにしても良い。チャー燃焼室32に供給する流動化ガスは、チャー燃焼に必要な酸素を含むガス、例えば空気、酸素と蒸気の混合ガスを供給する。熱回収室33に供給する流動化ガスは、空気、水蒸気、燃焼排ガス等を用いる。また脱硫剤前処理室34に供給する流動化ガスは、酸素もしくは、酸素を含むガス、例えば空気、あるいは、酸素と水蒸気の混合ガス等を用いる。
ガス化室31とチャー燃焼室32の流動床の上面(スプラッシュゾーンの上面)より上方の部分すなわちフリーボード部は完全に仕切壁で仕切られている。さらに言えば、流動床の濃厚層の上面より上方の部分すなわちスプラッシュゾーン及びフリーボード部は完全に仕切壁で仕切られているので、チャー燃焼室32とガス化室31のそれぞれの圧力P1,P2のバランスが多少乱れても、双方の流動層の界面の位置の差、あるいは濃厚層の上面の位置の差、即ち層高差が多少変化するだけで乱れを吸収することができる。即ち、ガス化室31とチャー燃焼室32とは、仕切壁11、および、仕切り壁17で仕切られているので、それぞれの室の圧力P1,P2が変動しても、この圧力差は層高差で吸収でき、どちらかの層が流通部22の上端に下降するまで吸収可能である。従って、層高差で吸収できるチャー燃焼室32とガス化室31のフリーボードの圧力差(P1−P2又はP2−P1)の上限値は、互いを仕切る仕切壁17の下部の流通部22の上端からの、ガス化室流動床のヘッドと、チャー燃焼室流動床のヘッドとのヘッド差にほぼ等しい。
以上説明した統合型ガス化炉では、一つの流動床炉の内部に、ガス化室、チャー燃焼室、熱回収室、脱硫剤前処理室の4つを、それぞれ隔壁を介して設け、更にチャー燃焼室とガス化室、チャー燃焼室と熱回収室、チャー燃焼室と脱硫剤前処理室はそれぞれ隣接して設けられている。この統合型ガス化炉は、チャー燃焼室とガス化室間に大量の流動媒体循環を可能にしているので、流動媒体の顕熱だけでガス化のための熱量を充分に供給でき、できるだけ少量の、且つ発熱量の高い生成ガスを得ることが最も容易に実現できる。
さらに、チャー燃焼ガスと生成ガスの間のシールが完全にされるので、ガス化室とチャー燃焼室の圧力バランス制御がうまくなされ、燃焼ガスと生成ガスが混ざることがなく、生成ガスの性状を低下させることもない。
また、熱媒体としての流動媒体とチャーはガス化室31側からチャー燃焼室32側に流入するようになっており、さらに同量の流動媒体がチャー燃焼室32側からガス化室31側に戻るように構成されているので、自然にマスバランスがとれ、流動媒体をチャー燃焼室32側からガス化室31側に戻すために、コンベヤ等を用いて機械的に搬送する必要もなく、高温粒子のハンドリングの困難さ、顕熱ロスが多いといった問題もない。
以上説明したように、図5に示すように、1つの流動床炉内に、燃料の熱分解・ガス化、チャー燃焼、層内熱回収、及び脱硫剤前処理の4つの機能を共存させ、チャー燃焼室内の高温流動媒体を熱分解・ガス化の熱源供給の熱媒体としてガス化室に供給する統合型ガス化炉は、前記ガス化室と熱回収室、および、ガス化室と脱硫剤前処理室は仕切壁によって炉底から天井にわたって完全に仕切るか、もしくは互いに接しないように配置し、且つガス化室とチャー燃焼室は流動床の界面より上部においては完全に仕切壁で仕切り、該仕切壁近傍のガス化室側の流動化状態の強さとチャー燃焼室側の流動化状態の強さとの相対的な関係を所定の関係に保つことによって、当該仕切壁の炉底近傍に設けた流通部を通じて、チャー燃焼室側からガス化室側へ流動媒体を移動させるように構成されている。また、ガス化室側からチャー燃焼室側へチャーを含んだ流動媒体を移動させるように構成されている。
このため、ガス化室とチャー燃焼室は流動床の界面より上部においては完全に仕切壁で仕切られているので、それぞれの室のガス圧力が変動しても圧力バランスが崩れて燃焼ガスと生成ガスが混ざるという問題を生じない。このため、ガス化室とチャー燃焼室の間に特別な圧力バランス制御を必要としない。そして、該仕切壁近傍のガス化室側の流動化状態とチャー燃焼室側の流動化状態の強弱を所定の状態に保つことによって、当該仕切壁の炉底近傍に設けた流通部を通じて、チャー燃焼室側からガス化室側へ安定に流動媒体を大量に移動させることが出来る。このため、チャー燃焼室側からガス化室側への流動媒体の移動に機械的な高温粒子のハンドリング手段を必要としない。
上記統合型ガス化炉は、前記チャー燃焼室内のガス化室に接した箇所に設けた弱流動化域を沈降チャー燃焼室とし、炉底から流動床界面近傍まで達する仕切壁によって、他のチャー燃焼室と区分けして構成してもよく、また、前記チャー燃焼室、沈降チャー燃焼室、ガス化室内にそれぞれ強流動化域と弱流動化域を設け、各室内に流動媒体の内部旋回流を生じさせるように構成してもよい。
また、以上の統合型ガス化炉では、前記熱回収室をチャー燃焼室の強流動化域に接するように配置し、該熱回収室とチャー燃焼室は炉底近傍に流通部を備え、且つその上端が流動床界面近傍まで達する仕切壁で仕切り、且つ仕切壁近傍のチャー燃焼室側の流動化状態を熱回収室側の流動化状態よりも相対的に強くして流動媒体の循環力を生じさせるようにしてもよく、また、前記熱回収室を沈降チャー燃焼室の強流動化域に接するように配置し、該熱回収室と沈降チャー燃焼室は炉底近傍に流通部を備え、且つその上端が流動床界面近傍まで達する仕切壁で仕切り、且つ仕切壁近傍の沈降チャー燃焼室側の流動化状態を熱回収室側の流動化状態よりも相対的に強くして流動媒体の循環力を生じさせるようにしてもよい。
さらに以上の統合型ガス化炉では、前記脱硫剤前処理室をチャー燃焼室の強流動化域に接するように配置し、該脱硫剤前処理室とチャー燃焼室は炉底近傍に流通部を備え、且つその上端が流動床界面近傍まで達する仕切壁で仕切り、且つ仕切壁近傍のチャー燃焼室側の流動化状態を脱硫剤前処理室側の流動化状態よりも相対的に強くして流動媒体の循環力を生じさせるようにしてもよく、また、前記脱硫剤前処理室を沈降チャー燃焼室の強流動化域に接するように配置し、該脱硫剤前処理室と沈降チャー燃焼室は炉底近傍に流通部を備え、且つその上端が流動床界面近傍まで達する仕切壁で仕切り、且つ仕切壁近傍の沈降チャー燃焼室側の流動化状態を脱硫剤前処理室側の流動化状態よりも相対的に強くして流動媒体の循環力を生じさせるようにしてもよい。
また、前記ガス化室の流動化ガスとしては無酸素ガスを用いるが、このいわゆる無酸素ガスとしては水蒸気等の全く酸素を含まないガスを用いるようにしてもよい。
また、前記ガス化室、チャー燃焼室、熱回収室の各室の炉底面を、炉底近傍の流動媒体の流線に沿って傾斜させてもよく、前記チャー燃焼室内のガス化炉に接した弱流動化域の流動化状態を制御することによって、該ガス化室の温度を調節するように構成してもよい。
ここで図5に示す統合型ガス化炉に脱硫剤前処理室を組み込んだ形態において、採用する脱硫剤粒子について説明する。
脱硫剤として流動媒体に同伴する大きさのカルシウム含有鉱物の粒子を炉内に供給することによって、本発明の機能が発揮される。図5の統合型ガス化炉は流動媒体に摩耗による損耗の少ない硅砂を用いることができるのが特徴であるが、当然のことながら脱硫剤であるカルシウム含有鉱物の粒子そのものを流動媒体として用いても何ら差し支えない。
また、脱硫剤粒子の供給場所は特に限定されるものではないが、まず脱炭酸反応を起こさせるという意味ではガス化室に供給するのが好ましいといえる。ガス化室には原料供給口が設けられるので、原料と一緒に供給してもよい。特に高温で運転される場合には、供給口はできるだけ少ない方が好ましいので、原料と一緒に供給するのがよい。
脱硫剤粒子の大きさは、流動媒体に同伴して各室に搬送される範囲において極力大きくする。また、流動化ガスに同伴して、フリーボードへ飛散しない程度に、脱硫剤の粒経を大きいものにする。このようにして脱硫剤の粒経を極力大きくすることで、脱硫剤の流動層内の滞留時間を長くさせることができる。その結果、脱硫剤前処理室へ循環する脱硫剤の量を多くし、ひいては、脱硫剤粒子が脱硫剤前処理室に留まる滞留時間を長くさせて、脱硫剤の活性をより促進させる。図5の統合型ガス化炉の流動層内全域に脱硫剤粒子をより多量に滞留させて、その脱硫剤を脱硫剤前処理室にて活性化させることにより、トータルとして使用するカルシウム含有鉱物の量を最小限に抑えて、未反応カルシウム含有鉱物の排出量を最小限に抑制することができる。
また、図5の統合型ガス化炉において、ガス化室31の一酸化炭素分圧を2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上に維持し、チャー燃焼室32の酸素分圧を2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上に維持することにより、脱硫剤粒子をガス化室31で一酸化炭素ガスに、チャー燃焼室32で酸素ガスに交互に接触させることを行わせて、脱硫粒子を活性化させることもできる。この場合、ガス化室31に一酸化炭素濃度測定装置、チャー燃焼室32に酸素濃度測定装置を取付けて、ガス化室31の一酸化炭素分圧とチャー燃焼室32の酸素分圧が脱硫剤を活性化するのに、より最適な条件(2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上)となるように、ガス化室とチャー燃焼室の流動化ガスを制御することが好ましい。例えば、ガス化室31の流動化ガスに一酸化炭素の含まれるガス化室生成ガスを用いる場合、ガス化室31の一酸化炭素濃度を制御することが可能である。
図5の統合型ガス化炉を加圧系で構成する場合は、より高効率でのエネルギー利用が可能である。図5の形態で加圧型統合型ガス化炉を構成する場合の一例について説明する。
例えば運転圧力2.85MPaの統合型ガス化炉において、脱硫剤前処理室に、酸素と蒸気の混合ガスを供給し、脱硫剤前処理室に流入してくる未燃炭素に対する酸素の当量を1以下として、未燃炭素の不完全燃焼により脱硫剤活性ガスの一酸化炭素を生成させることができる。チャー燃焼室から流出する未燃炭素(チャー)の量wchar[kg/s]は、燃料供給量と、熱分解生成されるチャーの燃料に対する質量割合と、チャー燃焼室の1パスの滞留時間(=チャー燃焼室流動媒体重量÷チャー燃焼室から他の室へ流出する流動媒体の流量)と、チャー燃焼反応速度から計算することができる。また、脱硫剤前処理室の流動媒体循環量wpretreat[kg/s]は脱硫剤前処理室滞留時間と、脱硫剤前処理室容積と、流動媒体嵩密度から計算することができる。この2つの流量(wchar[kg/s]とwpretreat[kg/s])から、脱硫剤前処理室へ流入する流動媒体中の未燃炭素の量を計算することができるため、未燃チャーに対する酸素当量を定めれば、脱硫剤前処理室に供給する酸素量を計算で定めることができる。また、脱硫剤前処理室の流動化状態(Umf比)を定めることにより、脱硫剤前処理室の流動化ガス流量を決められるので、以上の計算をあわせることにより、運転圧力2.85MPa統合型ガス化炉における、脱硫剤前処理室内の酸素分圧を計算することができる。運転圧力2.85MPaの統合型ガス化炉において、全流動層容積の6.2%を脱硫剤前処理室とした場合、チャー燃焼室の温度を950℃とし、脱硫剤前処理室内の流動媒体滞留時間を5分とし、脱硫剤前処理室に流入してくる未燃炭素の量に対する酸素の当量を0.1として、脱硫剤前処理室のUmf比(流動媒体の平均径、粒子密度には通常用いられる値を用いて計算)を0.8とするならば、供給する酸素と蒸気量の混合ガス中の酸素の容積分率は3.6%であり、酸素分圧としては102kPaとなり、脱硫剤を活性化させるために必要な酸素濃度と一酸化炭素濃度の雰囲気を達成することができる。脱硫剤前処理室の流動媒体の滞留時間は長いほど好ましいことから、脱硫剤前処理室とチャー燃焼室の単位面積当りの流動媒体循環量(みかけの流動媒体沈降速度)を少なくさせることが好ましく、脱硫剤前処理室の流動化状態は比較緩慢な状態になるが、脱硫剤前処理室のUmf比を1以上として流動化させられれば、脱硫剤前処理室内の未燃炭素の拡散が促進されて、一酸化炭素が脱硫剤前処理室内全域に拡散するので、更に好ましい。脱硫剤前処理室のUmf比を増加させる必要がある場合には、Umf比の増加で流動化が活発になることにより、脱硫剤前処理室とチャー燃焼室の間の流動媒体循環量が増加し流動媒体滞留時間が短くなる場合もあるので、このような場合は必要な脱硫剤前処理室の流動媒体滞留時間を確保するするために流動層高を増加させてもよいが、最も効果的なのは、脱硫剤前処理室からの流動媒体出口部分もしくは出口部分の近傍のみの流動化状態を弱めておくことによって、流動媒体循環量を抑制し、流動媒体滞留時間を確保する方法である。
脱硫剤前処理室の一酸化炭素濃度は、脱硫剤前処理室に流入してくる未燃炭素に対する酸素の当量を調整することにより、制御することができる。脱硫剤前処理室に流入してくる未燃炭素が少ない場合には、脱硫剤前処理室に供給する酸素を少なくして完全燃焼させぬよう注意する必要がある。ただし、脱硫剤前処理室に流入してくる未燃炭素が極端に少ない場合には、脱硫剤前処理室で不完全燃焼を起こさせる酸素分圧が2kPa以下になり脱硫剤を活性化できなくなることも起こりうるので、この場合は、チャー燃焼室の温度を下げてチャー燃焼速度を遅くして、チャー燃焼室から1パスで流出する未燃炭素を増加させればよい。平均的な石炭チャーの場合、温度を950℃から850℃に100℃下げることによって、チャー滞留量を約48%増加させることができる(チャーの燃焼反応速度の活性化エネルギーが57.1×106J/kmolの場合)。チャー燃焼室の温度を下げて、チャー燃焼速度を遅くして、チャー燃焼室から1パスで流出する未燃炭素を増加させても、チャー燃焼室内にはチャーを完全燃焼させるのに十分な酸素を供給しているため、チャーはチャー燃焼室を何度か循環する間に完全燃焼するので、統合型ガス化炉の機能上、何ら問題はない。
運転圧力2.85MPa統合型ガス化炉においては、全流動媒体(=全脱硫剤)が脱硫剤前処理室を通過する平均的な時間の意味をもつ「脱硫剤前処理室循環平均所要時間」を、[前処理室滞留時間]÷([前処理室容積]÷[全流動層容積])として定義すれば、脱硫剤を適当に選定することにより、脱硫剤の流動層内滞留時間を脱硫剤前処理室循環平均所要時間の3倍以上にすることができ、炉内に存在する脱硫剤の95%以上の前処理を確実に行うことが可能である。脱硫剤の層内滞留時間は脱硫剤の粒子径を適当に選ぶことによって、調整することができる(脱硫剤の粒経を大きくすることで、脱硫剤の磨耗、割れにより粒経の小さくなった脱硫剤粒子の飛散する量を減らすことができるので、脱硫剤の層内滞留時間を長くすることができる)。また、カルシウム含有鉱物そのものを流動媒体とすれば、脱硫剤の流動層内滞留時間、ひいては、脱硫剤の活性時間を、最大限に長くさせることができるため、より少ない投入量の脱硫剤を、より活性化させることで、最大限に効果的な炉内脱硫を行うことが可能である。
脱硫剤前処理室の機能を最大限に発揮するためには、炉全体に対する脱硫剤前処理室の大きさは脱硫剤の炉内平均滞留時間を考慮して適切に決める必要があることはもちろんのことであるが、ここで記したように炉全体に対する脱硫剤前処理室の大きさが一定であっても、ある程度は層温の調整や脱硫剤前処理室に供給する酸素ガスの量や脱硫剤前処理室内の流動化の状態を制御することによって脱硫剤前処理室の機能を制御することは可能である。
次に図5の実施形態で常圧統合型ガス化炉を構成する場合の一例について説明する。
常圧統合型ガス化炉において、脱硫剤前処理室に、酸素と蒸気の混合ガスを供給し、脱硫剤前処理室に流入してくる未燃炭素に対する酸素の当量を1以下として、未燃炭素の不完全燃焼により脱硫剤活性ガスの一酸化炭素を生成させることができる。チャー燃焼室から流出する未燃炭素(チャー)の量wchar[kg/s]は、燃料供給量と、熱分解生成されるチャーの燃料に対する質量割合と、チャー燃焼室の1パスの滞留時間(=チャー燃焼室流動媒体重量÷チャー燃焼室から他の室へ流出する流動媒体の流量)と、チャー燃焼反応速度から計算することができる。また、脱硫剤前処理室の流動媒体循環量wpretreat[kg/s]は脱硫剤前処理室滞留時間と、脱硫剤前処理室容積と、流動媒体嵩密度から計算することができる。この2つの流量(wchar[kg/s]とwpretreat[kg/s])から、脱硫剤前処理室へ流入する流動媒体中の未燃炭素の量を計算することができるため、未燃チャーに対する酸素当量を定めれば、脱硫剤前処理室に供給する酸素量を計算で定めることができる。また、脱硫剤前処理室の流動化状態(Umf比)を定めることにより、脱硫剤前処理室の流動化ガス流量を決められるので、以上の計算をあわせることにより、常圧型統合型ガス化炉における、脱硫剤前処理室内の酸素分圧を計算することができる。常圧統合型ガス化炉において、全流動層容積の6.9%を脱硫剤前処理室とした場合、チャー燃焼室の温度を900℃とし、脱硫剤前処理室内の流動媒体滞留時間を5分とし、脱硫剤前処理室に流入してくる未燃炭素の量に対する酸素の当量を0.1として、脱硫剤前処理室のUmf比(流動媒体の平均径、粒子密度には通常用いられる値を用いて計算)を0.8とするならば、供給する酸素と蒸気量の混合ガス中の酸素の容積分率は3.1%であり、酸素分圧としては3.1kPaとなり、脱硫剤を活性化するために必要な酸素濃度と一酸化炭素濃度の雰囲気を達成することができる。脱硫剤前処理室の流動媒体の滞留時間は長いほど好ましいことから、脱硫剤前処理室とチャー燃焼室の単位面積当りの流動媒体循環量(みかけの流動媒体沈降速度)を少なくすることが好ましく、脱硫剤前処理室の流動化状態は比較的緩慢な状態になるが、脱硫剤前処理室のUmf比を1以上として流動化させられれば、脱硫剤前処理室内の未燃炭素の拡散が促進されて、一酸化炭素が脱硫剤前処理室内全域に拡散するので、更に好ましい。脱硫剤前処理室のUmf比を増加させる必要がある場合には、Umf比の増加で流動化が活発になることにより、脱硫剤前処理室とチャー燃焼室の間の流動媒体循環量が増加し流動媒体滞留時間が短くなる場合もあるので、このような場合は必要な脱硫剤前処理室の流動媒体滞留時間を確保するするために流動層高を増加させてもよいが、最も効果的なのは、脱硫剤前処理室からの流動媒体出口部分もしくは出口部分の近傍のみの流動化状態を弱めておくことによって、流動媒体循環量を抑制し、流動媒体滞留時間を確保する方法である。
脱硫剤前処理室の一酸化炭素濃度は、脱硫剤前処理室に流入してくる未燃炭素に対する酸素の当量を調整することにより、制御することができる。脱硫剤前処理室に流入してくる未燃炭素が少ない場合には、脱硫剤前処理室に供給する酸素を少なくして完全燃焼させぬよう注意する必要がある。ただし、脱硫剤前処理室に流入してくる未燃炭素が極端に少ない場合には、脱硫剤前処理室で不完全燃焼を起こさせる酸素分圧が2kPa以下になり脱硫剤を活性化できなくなることも起こりうるので、この場合は、チャー燃焼室の温度を下げてチャー燃焼速度を遅くして、チャー燃焼室から1パスで流出する未燃炭素を増加させればよい。平均的な石炭チャーの場合、温度を900℃から850℃に50℃下げることによって、チャー滞留量を約23%増加させることができる(チャーの燃焼反応速度の活性化エネルギーが57.1×106J/kmolの場合)。チャー燃焼室の温度を下げて、チャー燃焼速度を遅くして、チャー燃焼室から1パスで流出する未燃炭素を増加させても、チャー燃焼室内にはチャーを完全燃焼させるのに十分な酸素を供給しているため、チャーはチャー燃焼室を何度か循環する間に完全燃焼するので、統合型ガス化炉の機能上、何ら問題はない。
常圧統合型ガス化炉においては、脱硫材前処理室に流入する流動媒体温度を900℃とした場合、脱硫剤前処理室に供給する流動化ガスによって、流動媒体は冷却されるが、低下後の温度は894℃となり、脱炭酸反応をさせるのに十分な高温である。
常圧統合型ガス化炉においては、全流動媒体(=全脱硫剤)が脱硫剤前処理室を通過する平均的な時間の意味をもつ「脱硫剤前処理室循環平均所要時間」を、[前処理室滞留時間]÷([前処理室容積]÷[全流動層容積])として定義すれば、脱硫剤を適当に選定することにより、脱硫剤の流動層内滞留時間を脱硫剤前処理室循環平均所要時間の3倍以上にすることができ、炉内に存在する脱硫剤の95%以上の前処理を確実に行うことが可能である。脱硫剤の層内滞留時間は脱硫剤の粒子径を適当に選ぶことによって、調整することができる(脱硫剤の粒経を大きくすることで、脱硫剤の磨耗、割れにより粒経の小さくなった脱硫剤粒子の飛散する量を減らすことができるので、脱硫剤の層内滞留時間を長くすることができる)。また、カルシウム含有鉱物そのものを流動媒体とすれば、脱硫剤の流動層内滞留時間、ひいては、脱硫剤の活性時間を、最大限に長くさせることができるため、より少ない投入量の脱硫剤を、より活性化させることで、最大限に効果的な炉内脱硫を行うことが可能である。
脱硫剤前処理室の機能を最大限に発揮するためには、炉全体に対する脱硫剤前処理室の大きさは脱硫剤の炉内平均滞留時間を考慮して適切に決める必要があることはもちろんのことであるが、ここで記したように炉全体に対する脱硫剤前処理室の大きさが一定であっても、ある程度は層温の調整や脱硫剤前処理室に供給する酸素ガスの量や脱硫剤前処理室内の流動化の状態を制御することによって脱硫剤前処理室の機能を制御することは可能である。
以上の実施例に示す方法と装置により、脱硫剤の硫黄化合物吸収能を向上させる効果を十分に発揮させるものである。
(実施例4)
図7は本発明者らが発明した流動層燃焼ボイラに脱硫前処理炉を組み込んだ形態の概念図である。
図7において、炉51内底部には流動化ガスの分散板52が備えられ、この分散板52は両側縁部が中央部より低く、炉51の中心線に対してほぼ対称的な山形断面形状(屋根状)に形成されている。そして、流動化ガスは風箱54、55、56を経て分散板52から上方に噴出せしめるようになっており、両側縁部の風箱54、56から噴出する流動化ガスの空塔速度は炉51内の流動媒体の流動層を形成するのに十分な速度とするが、中央部の風箱55から噴出する流動化ガスの空塔速度は前者よりも小さく選ばれている。両側縁部の風箱54、56の上部には、流動化ガスの上向き流路をさえぎり、風箱54、56から噴出される流動化ガスを炉51中央に向けて反射転向させる反射壁として、板状の傾斜仕切り壁58が設けられ、この傾斜仕切り壁58と噴出する流動化ガスの空塔速度の差により図面中矢印で示す方向の旋回流が生じる。一方、この傾斜仕切り壁58の背面と炉壁間には、熱回収室59、および、脱硫剤前処理室66が形成され、運転中に流動媒体の一部が傾斜仕切り壁8の上部を越えて熱回収室59、および、脱硫剤前処理室66に入り込むように構成されている。
熱回収室59の下部の炉底よりも高いレベルには、流動化ガスを供給する散気装置60が設けられ、熱回収室59の散気装置60を設置した近傍には開口部62が設けられ、熱回収室59に入り込んだ流動媒体は、運転状態によって連続的、または、断続的に沈降流動層、または、沈降移動層を形成しつつ伝熱管65により、熱の授受を行いながら沈降し、燃焼部へ循環する。
脱硫剤前処理室66の下部の炉底よりも高いレベルには、流動化ガスを供給する散気装置61が設けられ、脱硫剤前処理室66の散気装置61を設置した近傍には開口部63が設けられ、脱硫剤前処理室66に入り込んだ流動媒体は、運転状態によって連続的、または、断続的に沈降流動層、または、沈降移動層を形成しつつ、燃焼部へ循環する。
燃料は、図示されない各種供給装置により、燃焼室64中央部の沈降流動層部に投入される。投入された燃料は、流動媒体とともに沈降流動層内を下降し、両側縁部まで移動し、揮発分が抜け、チャーとなったあと、風箱54、56から噴出する酸素含有流動化ガスにより流動化している流動媒体とともに上昇し、燃焼する。その後、傾斜仕切り壁により反射転向する。このように、燃料は内部循環流にのりながら、高温の燃焼室内部で循環しつづけながら完全燃焼する。高温の流動媒体内に位置し続けることで、燃料比の高い燃料でも完全燃焼できる。
燃料の燃焼によって発生した燃焼ガスは、炉内を上昇し、炉頂部に仕切られた接触熱伝達回収部に経路71に入り込み、伝熱管72で熱回収をされたのち、サイクロン73を経て、大気に放出される。その際、燃焼ガスに同伴している粒子はサイクロン23で捕集され、ガス同伴輸送、もしくは、スクリューフィーダ等の方法により、流動層炉内に供給される。
図7に示す流動層燃焼ボイラに脱硫前処理室を組み込んだ形態において、脱硫剤前処理室66ではカルシウム含有鉱物と未燃炭素を含む流動媒体の循環が行われる。脱硫剤前処理室66はカルシウム含有鉱物が脱炭酸反応を生じる温度以上に維持され、炉底から例えば空気等の酸素含有ガスを供給する。供給された酸素は脱硫剤の活性を高めるガスとして作用する。また、供給された酸素は流動媒体中の未燃炭素と反応して一酸化炭素を生成する。ここで生成された一酸化炭素は脱硫剤の活性を高めるためのガスとして作用する。カルシウム含有鉱物を活性化させるために、脱硫剤前処理室の酸素と一酸化炭素の分圧を2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上に維持する。
脱硫剤の活性を高めるガスとしての一酸化炭素は流動媒体中の未燃炭素と脱硫剤前処理室に供給した酸素ガスの反応で生成させてもよいが、散気管61から直接、一酸化炭素を供給してもよい。
脱硫剤前処理室では、カルシウム含有鉱物を含む流動媒体を1分以上、好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上保持し、カルシウム含有鉱物の活性化を行う。燃焼室64と脱硫剤前処理室66の間のカルシウム含有鉱物を含む流動媒体の循環は連続的に行っても、間欠的(断続的)に行ってもよい。
燃焼室64の酸素分圧が2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上である場合には、脱硫剤前処理室66の一酸化炭素分圧を2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上とすることで、カルシウム含有鉱物を含む流動媒体を、燃焼室64で酸素ガスに、脱硫剤前処理室66で一酸化炭素ガスに交互に接触させることを行わせて、カルシウム含有鉱物を活性化させることもできる。
脱硫剤前処理室66内には、酸素ガス濃度及び一酸化炭素ガス濃度の測定装置67を設ける。これにより、脱硫剤前処理室66内の酸素ガス濃度及び一酸化炭素ガス濃度を監視し、脱硫剤前処理室内の雰囲気がカルシウム含有鉱物を活性化させるのに、より最適な酸素ガス分圧及び一酸化炭素ガス分圧(2kPa以上、好ましくは5kPa以上、更に好ましくは6kPa以上)になるように、前処理炉底から供給する酸素、あるいは一酸化炭素の流量を制御する。
図7の形態で常圧型流動層燃焼ボイラを構成する場合の一例について説明する。
常圧型流動層燃焼ボイラにおいて、脱硫剤前処理室に、酸素と蒸気の混合ガスを供給し、脱硫剤前処理室に流入してくる未燃炭素に対する酸素の当量を1以下として、未燃炭素の不完全燃焼により脱硫剤活性ガスの一酸化炭素を生成させることができる。燃焼室から流出する未燃炭素(チャー)の量wchar[kg/s]は、燃料供給量と、熱分解生成されるチャーの燃料に対する質量割合と、燃焼室の1パスの滞留時間(=燃焼室流動媒体重量÷燃焼室から他の室へ流出する流動媒体の流量)と、チャー燃焼反応速度から計算することができる。また、脱硫剤前処理室の流動媒体循環量wpretreat[kg/s]は脱硫剤前処理室滞留時間と、脱硫剤前処理室容積と、流動媒体嵩密度から計算することができる。この2つの流量(wchar[kg/s]とwpretreat[kg/s])から、脱硫剤前処理室へ流入する流動媒体中の未燃炭素の量を計算することができるため、未燃チャーに対する酸素当量を定めれば、脱硫剤前処理室に供給する酸素量を計算で定めることができる。また、脱硫剤前処理室の流動化状態(Umf比)を定めることにより、脱硫剤前処理室の流動化ガス流量を決められるので、以上の計算をあわせることにより、常圧型流動層燃焼ボイラにおける、脱硫剤前処理室内の酸素分圧を計算することができる。常圧型流動層燃焼ボイラにおいて、全流動層容積の7.3%を脱硫剤前処理室とした場合、燃焼室の温度を825℃とし、脱硫剤前処理室内の流動媒体滞留時間を5分とし、脱硫剤前処理室に流入してくる未燃炭素の量に対する酸素の当量を0.1として、脱硫剤前処理室のUmf比(流動媒体の平均径、粒子密度には通常用いられる値を用いて計算)を0.8とするならば、供給する酸素と蒸気量の混合ガス中の酸素の容積分率は6.9%であり、酸素分圧としては6.9kPaとなり、脱硫剤を活性化するために必要な酸素濃度と一酸化炭素濃度の雰囲気を達成することができる。脱硫剤前処理室の流動媒体の滞留時間は長いほど好ましいことから、脱硫剤前処理室と燃焼室の単位面積当りの流動媒体循環量(みかけの流動媒体沈降速度)を少なくさせることが好ましく、脱硫剤前処理室の流動化状態は比較的緩慢な状態になるが、脱硫剤前処理室のUmf比を1以上として流動化させられれば、脱硫剤前処理室内の未燃炭素の拡散が促進されて、一酸化炭素が脱硫剤前処理室内全域に拡散するので、更に好ましい。脱硫剤前処理室のUmf比を増加させる必要がある場合には、Umf比の増加で流動化が活発になることにより、脱硫剤前処理室と燃焼室の間の流動媒体循環量が増加し流動媒体滞留時間が短くなる場合もあるので、このような場合は必要な脱硫剤前処理室の流動媒体滞留時間を確保するために流動層高を増加させてもよいが、最も効果的なのは、脱硫剤前処理室からの流動媒体出口部分もしくは出口部分の近傍のみの流動化状態を弱めておくことによって、流動媒体循環量を抑制し、流動媒体滞留時間を確保する方法である。
脱硫剤前処理室の一酸化炭素濃度は、脱硫剤前処理室に流入してくる未燃炭素に対する酸素の当量を調整することにより、制御することができる。脱硫剤前処理室に流入してくる未燃炭素が少ない場合には、脱硫剤前処理室に供給する酸素を少なくして完全燃焼させぬよう注意する必要がある。ただし、脱硫剤前処理室に流入してくる未燃炭素が極端に少ない場合には、脱硫剤前処理室で不完全燃焼を起こさせる酸素分圧が2kPa以下になり脱硫剤を活性化できなくなることも起こりうるので、この場合は、燃焼室の温度を下げてチャー燃焼速度を遅くして、燃焼室から1パスで流出する未燃炭素を増加させればよい。平均的な石炭チャーの場合、温度を825℃から800℃に25℃下げることによって、チャー滞留量を約11%増加させることができる(チャーの燃焼反応速度の活性化エネルギーが57.1×106J/kmolの場合)。チャー燃焼室の温度を下げて、チャー燃焼速度を遅くして、燃焼室から1パスで流出する未燃炭素を増加させても、燃焼室内にはチャーを完全燃焼させるのに十分な酸素を供給しているため、チャーは燃焼室を何度か循環する間に完全燃焼するので、流動層燃焼ボイラの機能上、何ら問題はない。
常圧型流動層燃焼ボイラにおいては、脱硫材前処理室に流入する流動媒体温度を825℃とした場合、脱硫剤前処理室に供給する流動化ガスによって、流動媒体は冷却されるが、低下後の温度は817℃となり、脱炭酸反応をさせるのに十分な高温である。
常圧型流動層燃焼ボイラにおいては、全流動媒体(=全脱硫剤)が脱硫剤前処理室を通過する平均的な時間の意味をもつ「脱硫剤前処理室循環平均所要時間」を、[前処理室滞留時間]÷([前処理室容積]÷[全流動層容積])として定義すれば、脱硫剤を適当に選定することにより、脱硫剤の流動層内滞留時間を脱硫剤前処理室循環平均所要時間の3倍以上にすることができ、炉内に存在する脱硫剤の95%以上の前処理を確実に行うことが可能である。脱硫剤の層内滞留時間は脱硫剤の粒子径を適当に選ぶことによって、調整することができる(脱硫剤の粒経を大きくすることで、脱硫剤の磨耗、割れにより粒経の小さくなった脱硫剤粒子の飛散する量を減らすことができるので、脱硫剤の層内滞留時間を長くすることができる)。また、カルシウム含有鉱物そのものを流動媒体とすれば、脱硫剤の流動層内滞留時間、ひいては、脱硫剤の活性時間を、最大限に長くさせることができるため、より少ない投入量の脱硫剤を、より活性化させることで、最大限に効果的な炉内脱硫を行うことが可能である。
脱硫剤前処理室の機能を最大限に発揮するためには、炉全体に対する脱硫剤前処理室の大きさは脱硫剤の炉内平均滞留時間を考慮して適切に決める必要があることはもちろんのことであるが、ここで記したように炉全体に対する脱硫剤前処理室の大きさが一定であっても、ある程度は層温の調整や脱硫剤前処理室に供給する酸素ガスの量や脱硫剤前処理室内の流動化の状態を制御することによって脱硫剤前処理室の機能を制御することは可能である。
以上の実施例に示す方法と装置により、脱硫剤の硫黄化合物吸収能を向上させる効果を十分に発揮させるものである。
本発明により、カルシウム含有鉱物の硫黄化合物吸収能を向上させることができる。その結果、脱硫剤として使用するカルシウム含有鉱物を最小限に減じることができ、また、未反応カルシウム含有鉱物を最小限に減じることができる。