JP5381892B2 - 炉底の侵食ラインの推定方法および炉底構造 - Google Patents
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Description
炉底の侵食ラインのこれらの推定方法は、いずれも、実測した温度データを用いてその時点の炉底の侵食ラインを求め、求められた侵食のデータに基づいてその後の侵食の傾向を推定するものであるので、炉底レンガの侵食がどの程度進展するのかを、火入れによる操業の開始前に予測することはできない。
そして、溶銑の物質収支式(1)、運動量収支式(2)、およびレンガを含めた全領域のエネルギー収支式(3)は、以下の通りである。
ただし、(1)〜(3)式において、U:速度ベクトル、ρ:密度、p:圧力、μ:粘度、β:体積膨張係数、g:重力加速度、Cp:比熱、T:温度、T0:基準温度、λ:熱伝導度、ε:空隙率、φ:粒子形状係数、dp:粒子径、 F:通液抵抗である。
(i)項
まず、図1におけるステップ(以下「S」と略記する。)1において、高炉の炉底レンガの初期構造を与える。これにより格子の生成を行う。
S2では、高炉の操業条件と炉底レンガの初期構造に対して、炉芯コークスの沈下レベルおよび形状を剛塑性力学に基づく公知のモデル(ISIJ int.,49(2009),470頁参照)により計算し、炉底流動における通液抵抗の条件として設定する。ここで、剛塑性力学に基づくモデルの支配方程式を(4)〜(7)に示す。
これらの(4)〜(7)式を用いてFEM(有限要素法)により、炉内応力分布を計算することによって、炉芯コークスの沈下レベルおよび形状を計算する。上記の方法によれば、DEM(離散要素法)を用いるよりも、計算負荷を大きく軽減することが可能である。
S3では、3つの変数U,p,T(速度ベクトル,圧力,温度)の初期条件を設定する。
S4では、溶銑の流入条件を設定する。
S5では、時間tを、Δtだけ進展させる。
S6では、上記(1),(2)式によりt=t+Δtにおける速度ベクトルUおよび圧力pを求める。
S7では、上記(3)式よりt=t+Δtにおける温度Tを求める。
このように、(iii)項では、時間の進展に伴う各格子の温度分布を算出する。
S8では、温度Tに基づいてレンガの損耗を判定する。
ここで、カーボン質系レンガの損耗判定は、溶銑への溶解損耗があるため、溶銑の凝固温度である1150℃を基準にして行う。一方、粘土質系レンガの損耗判定は、その溶融温度を限界温度に設定して行う。
このように、(iv)項では、算出された温度分布に基づいて、レンガの限界温度を超えた格子の炉底レンガを、損耗が発生したと判定する。
S9では、限界温度以上の温度に到達した炉底レンガを、溶銑と置き換えることによって損耗した炉底レンガを順次、取り除く。
例えば、S8で計算により算出された炉底レンガの内部に設定された格子点の温度が、上記の限界温度を越えた場合には、このS9において、その計算を行った格子点上の物性[密度、熱伝導度、粘度(但しレンガでは粘度は必要ない)]を溶銑の物性と入れ替えることによって、損耗したと判定された炉底レンガを溶銑と置き換える。
このように、(v)項では、損耗が発生したと判定された炉底レンガを溶銑に置き換える。
S9では、S8により求めた炉底レンガの損耗状態に基づいて、S2と同様の方法により炉芯コークスの沈下レベル(下端レベル、すなわち下端の高さ)や形状(炉芯コークスの下端部の溶銑、または、炉底耐火物との接触する境界の形状)を計算し、計算により得られた炉芯コークスの沈下レベルおよび形状を、次ステップの炉底流動における通液抵抗の条件として反映させる。
このように、(vi)項では、高炉の内部の炉芯コークスの下端レベルおよび形状を、操業条件とレンガ損耗状況とから力学的バランスに基づいて算出し、炉内の通液抵抗として反映させる。
S10では、炉底レンガの損耗が終了したか否かを判定し、終了と判定するまでステップS5に戻り計算を進展させる。そして、炉底レンガが損耗しなくなった時点で、平衡侵食に達したと判断する。
このように、(vii)項では、(ii)項から(vi)項までの操作を、炉底レンガの損耗が停止するまで、繰り返し行うことによって、炉底レンガの損耗経緯と平衡損耗ラインとを推定する。
図2(a)は、従来法(特許文献2により開示された方法)による高炉の炉底レンガ1の平衡損耗ラインの推定結果2を示す説明図であり、図2(b)は、本発明法によるこの高炉の炉底レンガ1の平衡損耗ラインの推定結果3を示す説明図である。
2、3 平衡損耗ラインの推定結果
Claims (2)
- (i)炉底部に内張りされた炉底レンガの初期構造を与え格子を生成させること、
(ii)炉内に溶融した金属溶融体を収容したときの物質収支式、運動量収支式および、前記炉底レンガを含めた全領域のエネルギー収支式に基づいて、前記炉底部における前記炉底レンガの温度分布と、前記金属溶融体の流動および温度分布とを算出すること、
(iii)時間の進展に伴う前記格子それぞれの温度分布を算出すること、
(iv)算出された前記温度分布に基づいて、前記炉底レンガの限界温度を超えた前記格子の炉底レンガを、損耗が発生したと判定すること、
(v)前記損耗が発生したと判定された前記炉底レンガを前記金属溶融体に置き換えること、
(vi)炉内の炉芯コークスの下端レベルおよび形状を、操業条件と前記炉底レンガの損耗状況とから力学的バランスに基づいて算出し、炉内の通液抵抗として反映させること、
(vii)前記(ii)〜(vi)項までの操作を、レンガの損耗が停止するまで繰り返して行うことによって、前記炉底レンガの損耗経緯と平衡損耗ラインとを推定すること
を特徴とする炉底の浸食ラインの推定方法。 - カーボン質系レンガを外張り材とし、粘度質系レンガを内張り材としてなる炉底構造において、全てをカーボン質系レンガで構成したと仮定し、請求項1に記載された推定方法により推定された炉底レンガの平衡損耗ラインにおける残存レンガ厚み以下の厚みに設定された外張りとなるカーボン質系レンガと、
該カーボン質系レンガの内側に内張りされた粘度質系レンガと
を備えることを特徴とする炉底構造。
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