JP5381892B2 - 炉底の侵食ラインの推定方法および炉底構造 - Google Patents

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Description

本発明は、炉底の浸食ラインの推定方法および炉底構造に関し、具体的には、高温の金属溶融体を貯留するために内部に耐火物が内張りされた炉の炉底の侵食ラインの推定方法および炉底構造に関する。
高炉、電気炉あるいは、これらに類する高温の金属溶融体を貯留するために内部に耐火物が内張りされた炉(以降の説明では「高炉」を例にとる)の炉底耐火物は、溶融銑鉄の流動に晒されており、長期間の操業の過程で徐々に侵食されてゆく。一方、高炉の炉底は、一旦火入れにより操業が開始されると、その後の操業期間に積替などの補修を行うことは、技術的に困難である。このため、高炉の炉底の延命を図るには、侵食の進展を緩和することができる操業を行うことによる対処しか、選択肢がないのが実情である。
近年のように、高炉の寿命(操業期間)が20年以上に及び、あるいは、それ以上の寿命を達成するためには、高炉の炉底の侵食ラインを精度よく推定することや、このような推定結果に基づいて侵食の進展を効果的に緩和できる炉底構造を採用することが、従来にも増して重要になってきている。
従来から、高炉の炉底の侵食ラインは、実際に稼働している高炉の耐火物の内部に埋め込まれた熱電対の測温値に基づいて、2点間の温度と距離およびその間の炉底レンガの熱伝導度から熱流束を算出し、炉内の稼働面の温度をその材料の損耗限界温度と仮定して、残存厚みを算出する方法によって、推定されている。
また、特許文献1には、炉体の周囲の複数箇所の測温値を制約条件として、境界要素法により伝熱解析を行い、炉底レンガの残存厚みを算出する方法が開示されている。
炉底の侵食ラインのこれらの推定方法は、いずれも、実測した温度データを用いてその時点の炉底の侵食ラインを求め、求められた侵食のデータに基づいてその後の侵食の傾向を推定するものであるので、炉底レンガの侵食がどの程度進展するのかを、火入れによる操業の開始前に予測することはできない。
本出願人は、先に特許文献2により、炉底部における溶銑の流動とレンガも含めた領域の伝熱現象およびレンガの損耗条件が明らかであればこれらを記述する数式モデルを構成し、それらを連立して時間進展して解けば、炉底レンガの損耗ラインの時間推移を推定できるとの知見に基づき、炉底全体の物質収支、運動量収支、及び、エネルギー収支を解き、レンガの侵食限界温度に基づき、侵食を判定することによって、火入れによる操業の開始前に炉底浸食ラインを推定できること、また、この方法を用いて、炉底レンガの浸食を可及的少なく抑制できる炉底構造を開示した。
特許文献2により開示された特許発明に係る方法は、具体的には、(a)炉底レンガの初期構造を与え格子を生成させること、(b)レンガで内張りされた炉内に溶融した溶銑を収容したときの物質収支式、運動量収支式および、レンガを含めた全領域のエネルギー収支式に基づいて、炉底部におけるレンガの温度分布と溶銑の流動と温度分布とを算出すること、(c)時間の進展に伴う各格子の温度分布を求めること、(d)その算出された温度分布に基づいて、レンガの限界温度を超えた格子のレンガが損耗したと判定すること、(e)損耗が発生したと判定されたレンガを溶銑に置き換えること、(f)上記(c)〜(e)項の操作を、レンガの損耗が停止するまで繰り返すことによって、炉底レンガの損耗経緯と平衡損耗ラインとを推定すること、から成る炉底の浸食ラインの推定方法である。
このように、特許文献2により開示された方法は、炉底レンガの損耗が停止するまで、炉底浸食ラインの算出を繰り返すことによって、炉底レンガの損耗の経緯と平衡損耗ラインとを、火入れによる操業の開始前に予測することが可能になる。
特開昭60−184606号公報 特許第3385831号明細書
ところで、炉底の侵食現象は不可逆過程であり、ある過渡的な侵食状態がその後の侵食現象に影響を及ぼすことを繰り返すことによって、最終的な平衡損耗ラインが決定される。
すなわち、炉底の底部に着床している炉芯コークスは、炉底の侵食とともに沈下レベルや形状を変化させ、これにより、炉底における溶銑の流れが変化し、この変化が炉底の侵食に影響する。
したがって、炉底の平衡損耗ラインの推定精度をさらに向上するためには、炉底の過渡的な侵食状態に応じて炉芯コークスの沈下レベルや形状を、炉底の侵食の条件として考慮に入れる必要がある。
しかし、特許文献2により開示された方法により得られる平衡損耗ラインは、炉底の侵食に伴う炉芯コークスの沈下レベルや形状の変化、さらにはこれらに伴う溶銑の流れの変化を考慮しないため、この分の推定精度の低下は避けられない。
本発明の目的は、高炉、電気炉あるいは、これらに類する高温の金属溶融体を貯留するために内部に耐火物が内張りされた炉の炉底レンガの平衡損耗ラインを、特許文献2により開示された特許発明よりもさらに精度良く推定する方法と、この方法を用いて設計される、炉底レンガの浸食を可及的少なく抑制することができる炉底構造とを提供することである。
本発明者等は、種々の実験や高炉の解体調査を重ね、炉底部における溶銑の流動と、炉底レンガも含めた領域の伝熱現象およびレンガの損耗条件に加え、炉芯コークスの沈下レベル(下端レベル、すなわち下端の高さ)や形状(炉芯コークスの下端部の溶銑、または、炉底耐火物との接触する境界の形状)が明らかであれば、これらを記述する数式モデルを構成し、それらを連立して時間進展して解けば、炉底レンガの損耗ラインの時間推移を、特許文献2により開示された特許発明よりもさらに正確に、火入れによる操業の開始前に推定できることを知見し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
本発明は、(i)炉底部に内張りされた炉底レンガの初期構造を与え格子を生成させること、(ii)炉内に溶融した金属溶融体を収容したときの物質収支式、運動量収支式および、炉底レンガを含めた全領域のエネルギー収支式に基づいて、炉底部における炉底レンガの温度分布と、金属溶融体の流動および温度分布とを算出すること、(iii)時間の進展に伴う格子それぞれの温度分布を算出すること、(iv)算出された温度分布に基づいて、炉底レンガの限界温度を超えた前記格子の炉底レンガを、損耗が発生したと判定すること、(v)損耗が発生したと判定された炉底レンガを金属溶融体に置き換えること、(vi)炉内の炉芯コークスの下端レベルおよび形状を、操業条件と炉底レンガの損耗状況とから力学的バランスに基づいて算出し、炉内の通液抵抗として反映させること、(vii)(ii)〜(vi)項までの操作を、レンガの損耗が停止するまで繰り返して行うことによって、炉底レンガの損耗経緯と平衡損耗ラインとを推定することを特徴とする炉底の浸食ラインの推定方法である。
別の観点からは、本発明は、カーボン質系レンガを外張り材とし、粘度質系レンガを内張り材としてなる炉底構造において、全てをカーボン質系レンガで構成したと仮定し、上記の本発明に係る推定方法により推定された炉底レンガの平衡損耗ラインにおける残存レンガ厚み以下の厚みに設定された外張りとなるカーボン質系レンガと、該カーボン質系レンガの内側に内張りされた粘度質系レンガとを備えることを特徴とする炉底構造である。
本発明によれば、炉底レンガの平衡損耗ラインを、特許文献2により開示された方法以上に高精度で予測することが可能になるとともに、この方法により得られた、炉底レンガの損耗経緯と平衡損耗ラインとに基づいて、炉底レンガの構造を適切に設計することが可能になる。
図1は、本発明の計算フロー図である。 図2(a)は、従来法による炉底レンガの平衡損耗ラインの推定結果を示す説明図であり、図2(b)は、本発明法による炉底レンガの平衡損耗ラインの推定結果を示す説明図である。 図3は、図2の高炉の稼働停止後のコアボーリング調査より得られた、平衡損耗ラインの実測結果を示す説明図である。 図4は、図2、3に示す高炉の炉底構造と配置される炉底レンガの種類を示す説明図である。 図5(a)は、従来法により炉底レンガの平衡損耗ラインを推定した結果に基づいて設計された炉底構造を示す説明図であり、図5(b)は、本発明法により炉底レンガの平衡損耗ラインを推定した結果に基づいて設計された炉底構造を示す説明図である。 図6(a)は、図5(a)に示す炉底構造の炉底レンガの平衡損耗ラインの推定結果を示す説明図であり、図6(b)は、図5(b)に示す炉底構造の炉底レンガの平衡損耗ラインの推定結果を示す説明図である。
本発明に係る炉底の浸食ラインの推定方法および炉底構造を実施するための形態を、添付図面を参照しながら説明する。以降の説明では、本発明を高炉の炉底の侵食ラインの推定に適用した場合を例にとる。
本発明では、高炉の炉底部をその構造体であるレンガ、その内容物である溶銑およびコークス充填層とからなるとする。
そして、溶銑の物質収支式(1)、運動量収支式(2)、およびレンガを含めた全領域のエネルギー収支式(3)は、以下の通りである。
Figure 0005381892
Figure 0005381892
Figure 0005381892
ここで、
Figure 0005381892
Figure 0005381892
Figure 0005381892
である。
ただし、(1)〜(3)式において、U:速度ベクトル、ρ:密度、p:圧力、μ:粘度、β:体積膨張係数、g:重力加速度、C:比熱、T:温度、T:基準温度、λ:熱伝導度、ε:空隙率、φ:粒子形状係数、d:粒子径、 F:通液抵抗である。
(1)〜(3)式を連立して解けば、溶銑の流動と全領域における温度の時間推移を求めることができる。そして、求めた温度に基づいてレンガの損耗を判定しながら時間進展すれば、炉底レンガの損耗進展を記述することが可能となる。
図1は、本発明の計算フロー図である。本発明の要素(i)〜(vii)を、図1を参照しながら説明する。
(i)項
まず、図1におけるステップ(以下「S」と略記する。)1において、高炉の炉底レンガの初期構造を与える。これにより格子の生成を行う。
(ii)項
S2では、高炉の操業条件と炉底レンガの初期構造に対して、炉芯コークスの沈下レベルおよび形状を剛塑性力学に基づく公知のモデル(ISIJ int.,49(2009),470頁参照)により計算し、炉底流動における通液抵抗の条件として設定する。ここで、剛塑性力学に基づくモデルの支配方程式を(4)〜(7)に示す。
(4)式は連続の式であり、(5)は運動方程式であり、(6)式はDrucker−Pragerの降伏条件式であり、さらに、(7)式は構成方程式である。
これらの(4)〜(7)式を用いてFEM(有限要素法)により、炉内応力分布を計算することによって、炉芯コークスの沈下レベルおよび形状を計算する。上記の方法によれば、DEM(離散要素法)を用いるよりも、計算負荷を大きく軽減することが可能である。
Figure 0005381892
このように、(ii)項では、高炉の内部に溶銑を収容したときの物質収支式、運動量収支式および、炉底レンガを含めた全領域のエネルギー収支式に基づいて、炉底レンガの温度分布と、溶銑の流動および温度分布とを算出する。
(iii)項
S3では、3つの変数U,p,T(速度ベクトル,圧力,温度)の初期条件を設定する。
S4では、溶銑の流入条件を設定する。
S5では、時間tを、Δtだけ進展させる。
S6では、上記(1),(2)式によりt=t+Δtにおける速度ベクトルUおよび圧力pを求める。
S7では、上記(3)式よりt=t+Δtにおける温度Tを求める。
このように、(iii)項では、時間の進展に伴う各格子の温度分布を算出する。
(iv)項
S8では、温度Tに基づいてレンガの損耗を判定する。
ここで、カーボン質系レンガの損耗判定は、溶銑への溶解損耗があるため、溶銑の凝固温度である1150℃を基準にして行う。一方、粘土質系レンガの損耗判定は、その溶融温度を限界温度に設定して行う。
このように、(iv)項では、算出された温度分布に基づいて、レンガの限界温度を超えた格子の炉底レンガを、損耗が発生したと判定する。
(v)項
S9では、限界温度以上の温度に到達した炉底レンガを、溶銑と置き換えることによって損耗した炉底レンガを順次、取り除く。
例えば、S8で計算により算出された炉底レンガの内部に設定された格子点の温度が、上記の限界温度を越えた場合には、このS9において、その計算を行った格子点上の物性[密度、熱伝導度、粘度(但しレンガでは粘度は必要ない)]を溶銑の物性と入れ替えることによって、損耗したと判定された炉底レンガを溶銑と置き換える。
このように、(v)項では、損耗が発生したと判定された炉底レンガを溶銑に置き換える。
(vi)項
S9では、S8により求めた炉底レンガの損耗状態に基づいて、S2と同様の方法により炉芯コークスの沈下レベル(下端レベル、すなわち下端の高さ)や形状(炉芯コークスの下端部の溶銑、または、炉底耐火物との接触する境界の形状)を計算し、計算により得られた炉芯コークスの沈下レベルおよび形状を、次ステップの炉底流動における通液抵抗の条件として反映させる。
このように、(vi)項では、高炉の内部の炉芯コークスの下端レベルおよび形状を、操業条件とレンガ損耗状況とから力学的バランスに基づいて算出し、炉内の通液抵抗として反映させる。
(vii)項
S10では、炉底レンガの損耗が終了したか否かを判定し、終了と判定するまでステップS5に戻り計算を進展させる。そして、炉底レンガが損耗しなくなった時点で、平衡侵食に達したと判断する。
その結果、S11で炉底レンガの平衡侵食ラインが求められる。
このように、(vii)項では、(ii)項から(vi)項までの操作を、炉底レンガの損耗が停止するまで、繰り返し行うことによって、炉底レンガの損耗経緯と平衡損耗ラインとを推定する。
本発明によれば、(vi)項によって炉底の過渡的な侵食状態に応じて炉芯コークスの沈下レベルおよび形状を、炉底の侵食の条件として加味するので、炉底レンガの平衡損耗ラインを、特許文献2により開示された方法以上に高精度で予測することが可能になる。
このため、カーボン質系レンガを外張り材とし、粘度質系レンガを内張り材としてなる炉底構造において、全てをカーボン質系レンガで構成したと仮定し、本発明に係る推定方法により推定された炉底レンガの平衡損耗ラインにおける残存レンガ厚み以下の厚みに設定された外張りとなるカーボン質系レンガと、このカーボン質系レンガの内側に内張りされた粘度質系レンガとを備える本発明の炉底構造は、炉底の侵食の進展を緩和できるため、20年以上あるいはそれ以上の高炉の寿命(操業期間)を与えることが可能である。
本発明を、実施例を参照しながら、具体的に説明する。
図2(a)は、従来法(特許文献2により開示された方法)による高炉の炉底レンガ1の平衡損耗ラインの推定結果2を示す説明図であり、図2(b)は、本発明法によるこの高炉の炉底レンガ1の平衡損耗ラインの推定結果3を示す説明図である。
図2(a)および図2(b)における着色部の縁をなす線2、3が推定された平衡損耗ラインである。また、図2(a)および図2(b)における太い実線が、推定に用いた炉芯コークスの沈下レベル(下端位置)を示す。図2(a)に示す従来法では、上述したように炉底の侵食に伴う炉芯コークスの沈下レベルや形状の変化、さらにはこれらに伴う溶銑の流れの変化を考慮していないので、炉芯コークスの沈下レベルは変化しないのに対し、図2(b)に示す本発明法では、これらを考慮するために、炉芯コークスの沈下レベルは時間の経過とともに変化している。
すなわち、図2(a)に示す従来法(特許文献2により開示された方法)では、炉芯コークスの沈下レベルは変化しない。図2(a)における炉芯コークスの沈下レベルは、炉底煉瓦が存在しないと仮定して算出される。したがって、損耗の無い状態では、溶銑中のすべてに炉芯コークスが充填されていることに対して、図2(b)では、炉壁部には炉芯コークスの下端と炉底煉瓦の間に炉芯コークスが充填されていない、いわゆるコークスフリーゾーンと称される部位を模擬している。これが、炉壁部において煉瓦損耗が進む状況を、従来法より精度よく算出できる理由である。
また、従来法(特許文献2により開示された方法)は、炉芯コークスの沈下レベルの具体的な設定方法を開示していないが、炉壁部に炉芯コークスの下端と炉底煉瓦の間に炉芯コークスが充填されていない状況に着目して、仮に、炉芯コークスの沈下レベルを上方に設定したとしても、煉瓦損耗が進んだ段階では、炉芯コークスの下端と炉底煉瓦の間に炉芯コークスが充填されていない部位が炉底全面に広がることが予想されるため、結局は炉壁部において煉瓦損耗が進む状況を十分表現できない。
図3は、この高炉の稼働停止後における炉底レンガ1のコアボーリング調査より得られた、平衡損耗ラインの実測結果(実測侵食ライン)を示す説明図である。なお、図3では、コアボーリング箇所が実際の炉底侵食ラインに対して上側に偏っていたため、実測侵食ラインの一部の実測結果を示す。
さらに、図4は、この高炉の炉底構造と、配置される炉底レンガ1の種類とを示す説明図である。また、表1には、図4における丸囲み数字1の部位の炉底レンガの物性と、図4における丸囲み数字2の部位の炉底レンガの物性とを示すとともに、表2には評価に用いた高炉の炉底の解析対象時期の操業諸元を示す。
Figure 0005381892
Figure 0005381892
図2(b)に示す本発明法による平衡損耗ラインの推定は、図2(a)に示す従来法による推定結果とはその侵食形状が大きく異なり、中心付近のシャモットレンガが残存し、図3に示す稼働停止後のコアボーリング調査の結果とよく符合している。このことから、本発明により、高炉の炉底レンガの平衡損耗ラインにより浸食ラインを、精度良く推定できることがわかる。
図5(a)は、従来法により炉底レンガの平衡損耗ラインを推定した結果に基づいて設計された炉底構造を示す説明図であり、図5(b)は、本発明法により炉底レンガの平衡損耗ラインを推定した結果に基づいて設計された炉底構造を示す説明図である。
表3には、図5(a)および図5(b)に示す炉底構造それぞれの各部位の炉底レンガ1の物性値をまとめて示すとともに、表4には、図5(a)および図5(b)に示す炉底構造それぞれを有する高炉の基本的な操業諸元を示す。
Figure 0005381892
Figure 0005381892
図5(a)に示す炉底構造も、図5(b)に示す本発明に係る炉底構造も、丸囲み数字1により示すカーボン質系レンガを外張り材とし、丸囲み数字2により示す粘度質系(セラミック)レンガを内張り材としてなる炉底構造であって、全てをカーボン質系レンガで構成したと仮定し、推定方法により推定された炉底レンガの平衡損耗ライン2、3における残存レンガ厚み以下の厚みに設定された外張りとなるカーボン質系レンガと、このカーボン質系レンガの内側に内張りされた粘度質系レンガとを備える点においては、共通である。
図6(a)は、図5(a)に示す炉底構造の炉底レンガの平衡損耗ラインの推定結果を示す説明図であり、図6(b)は、図5(b)に示す炉底構造の炉底レンガの平衡損耗ラインの推定結果を示す説明図である。
図6(a)および図6(b)に示すように、図5(b)に示す本発明に係る炉底構造は、本発明に係る推定方法により推定された平衡損耗ラインを用いるために、縦部分が存在しており、これにより、炉底耐火物の損耗が抑制され、炉底寿命の延長が期待できる。
1 炉底レンガ
2、3 平衡損耗ラインの推定結果

Claims (2)

  1. (i)炉底部に内張りされた炉底レンガの初期構造を与え格子を生成させること、
    (ii)炉内に溶融した金属溶融体を収容したときの物質収支式、運動量収支式および、前記炉底レンガを含めた全領域のエネルギー収支式に基づいて、前記炉底部における前記炉底レンガの温度分布と、前記金属溶融体の流動および温度分布とを算出すること、
    (iii)時間の進展に伴う前記格子それぞれの温度分布を算出すること、
    (iv)算出された前記温度分布に基づいて、前記炉底レンガの限界温度を超えた前記格子の炉底レンガを、損耗が発生したと判定すること、
    (v)前記損耗が発生したと判定された前記炉底レンガを前記金属溶融体に置き換えること、
    (vi)炉内の炉芯コークスの下端レベルおよび形状を、操業条件と前記炉底レンガの損耗状況とから力学的バランスに基づいて算出し、炉内の通液抵抗として反映させること、
    (vii)前記(ii)〜(vi)項までの操作を、レンガの損耗が停止するまで繰り返して行うことによって、前記炉底レンガの損耗経緯と平衡損耗ラインとを推定すること
    を特徴とする炉底の浸食ラインの推定方法。
  2. カーボン質系レンガを外張り材とし、粘度質系レンガを内張り材としてなる炉底構造において、全てをカーボン質系レンガで構成したと仮定し、請求項1に記載された推定方法により推定された炉底レンガの平衡損耗ラインにおける残存レンガ厚み以下の厚みに設定された外張りとなるカーボン質系レンガと、
    該カーボン質系レンガの内側に内張りされた粘度質系レンガと
    を備えることを特徴とする炉底構造。
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