脈管系と外部処理装置の間での血液の交換のための、ヒトまたは動物の患者の脈管系へのアクセス用血液透析アクセスシステムは、当該技術においてよく知られている。一つの方法は、患者内に置かれたカテーテルを含み、しかしてその一端は中心静脈系中に延出し、そして他端は、一般に「ポート」と称される患者の体内に置かれた数個であり得る装置の一つに取り付けられる。ここにおいて、「管」は、患者の体内の流体を運ぶ導管と定義される。これらの装置は、一般に、隔壁により密封されるアクセス開口を有しかつ流体空間または管内に配置されるカテーテルに通じる第2の位置からの出口を有する室を含む。該隔壁は針を該室中に通させるが、しかし次いで該針が除去される時閉鎖し、それにより該空間または管内からの漏れを防ぎおよびまたいかなるものも該室に入ったりまたは出たりするのを防ぐ。これらの装置は、通常、感染、他の汚染および取扱いミスを予防するために皮膚の下に埋没される。
最近、このクラスの改良装置が開発され、そして米国特許第5,954,691号および1998年5月21日出願の米国特許出願第09/083,078号に記載されている。これらの発明は、250mL/分を越える容積流量での脈管系と外部処理装置の間での血液の高流体流量交換のための、ヒトまたは動物の患者の脈管系へのアクセス用血液透析アクセスシステムであって、
(a)内面により画定された内腔を含み、かつ患者の皮膚を穿刺するようにおよび血液交換過程の高血液流量要件と一致した流量で血液を運んで通すように構成および配置された針組立体、
(b)患者の体内の管または空間に対して流体連結を可能にする皮下に埋没可能なアクセス装置であって、該装置は
(i)直線的またはなだらかに変化する流れ方向を有する流路を提供しかつ内面および患者の皮膚穿刺部位に関して遠位端および近位端を有ししかもチャネルの近位端を通じての針の挿入およびそこからの針の抜取りをするように構成および配置されたチャネル構造体、
(ii)チャネル内に配置されかつ第1と第2の位置の間で移動可能なシールであって、該シールは第1位置で針がシールに挿入されていない状態で流体がシールを通過するのを防ぎおよび第2位置で針がシールに挿入された状態で流体が針を通過しそして実質的にチャネル遠位端に出現するのを可能にし、かつ密封手段が第2位置にある時に針内面とチャネル内面の間の血液流路遷移は実質的に連続的かつ滑らかである上記シール
を含み、かつ該装置は患者の体の内管まで延出するカテーテルにチャネル遠位端を接合するための構造体を更に含み、かかる接合はチャネルの内面およびカテーテルの内面に沿って連続的かつ滑らかである上記アクセス装置
を組み合わせて含む上記血液透析アクセスシステムに向けられている。
あらゆる侵襲処置についてのように、特に長期間にわたって適所にとどまらねばならない装置に関して、感染の予防が問題であってきた。カテーテルおよび/またはポート中および周りでの血液の凝固もまた厄介であることが判明しており、そしてその予防のための特にカテーテルの閉塞(その有用性を減じまたは破壊し得る)を阻止するための方法が必要とされる。かなりの量の研究が、これらの問題の軽減に向けられてきた。
カテーテルおよび/またはポートをヘパリンのような抗凝固剤でフラッシングすることが、標準的手法である。しかしながら、ヘパリンは抗菌性でなく、そして加えて、注意深く制御されない場合それは抗凝集過程をあまりにも遠くに伝達して、それにより出血の危険を呈し得る。抗生物質を抗凝固剤と共に用いることも当該技術において知られているが、しかしこれがなされる場合、抗生物質の使用の場合常であるように、適用抗生物質に対して免疫性を有するハイブリッド微生物が作られる可能性が増大する。この理由のために、長期間にわたって効能を維持するために抗生物質の使用量をできる限り最小限度にすることが、医用技術において望ましい。
米国特許第4,107,305号は、有効量のタウロリン組成物を投与することにより内毒血症と闘う方法を開示する。
米国特許第4,445,889号は、内在カテーテルを通じて導入される患者における感染を予防する方法であって、該患者を該カテーテルに連結し、該カテーテルを流体受容容器に連結し、該容器中に殺生物剤分配装置を入れ、そして該容器中での感染性細菌の増殖の阻止および付随的に該カテーテルおよび該患者中への導入のために該容器中の流体中に殺生物剤を放出させることを含む上記方法を開示する。
米国特許第4,587,268号は、創傷の処置用の組成物であって、1種以上の水溶性薬物(好ましくは、抗生物質またはメチロール転移抗細菌性物質である)が溶解または分散されている再吸収可能な水性ゲルを含む上記組成物を開示する。
米国特許第4,626,536号は、ヒトまたは温血動物の血流中の毒性タンパク質またはペプチド、たとえば、毒液、真菌毒素および細菌外毒素と闘うための、タウロリン化合物の使用を開示する。
米国特許第4,797,282号は、細胞増殖抑制剤の制御遅延放出用の、体内に埋没され得る薬物デポーであって、細胞増殖抑制剤と少なくとも1種のアミノ酸とを含有するポリアクリレートおよび/またはポリメタクリレートを基材とする合成材料を含む上記薬物デポーを開示する。
米国特許第4,853,225号は、感染と闘うために有用な埋没可能な薬物デポーであって、生理学的に受容し得る賦形剤および少なくとも1種の遅延放出性活性化合物(ジャイレース阻害剤タイプの化学療法剤である)を含む上記薬物デポーを開示する。
米国特許第4,960,415号は、創傷および創傷穴中に挿入するための装置であって、製薬的に活性な物質を含有する容器から成り、この容器の壁は、該活性物質を該創傷域中に避散させる膜、好ましくは、半透膜から少なくとも部分的に成る上記装置を開示する。該容器は、より好ましくは、透析チューブである。創傷分泌物を排液するために、製薬的に活性な物質、特にタウロリジン、を含有する該容器は、好都合には、排液チューブに連結される。好ましくは、創傷中に通じる端がフィラメントに引き裂かれている排液チューブが用いられる。
米国特許第5,077,281号は、血液凝固阻止剤としてのおよび非細菌性炎症阻止剤としてのタウロリン化合物の使用を開示する。この特許によれば、タウロリンは、顕著な凝固阻止作用を有し、そして透析を必要とする医学的状況における使用のためにおよび脈管補てつ装置用に特に適合する。これらの化合物はクマリンまたはペパリンのような他の抗凝固剤と一緒に用い得るということも開示されている。
米国特許第5,093,117号は、グラム陰性菌血症または敗血症性ショックの処置または予防のために有用であると言われる製薬組成物を開示する。これらの組成物は、殺菌有効量のグラム陰性細菌に対するポリクローナル免疫グロブリンおよび血餅溶解有効量のプロテインCを含有する。該組成物は、更に、1種以上のプロテインC補因子およびグラム陰性菌内毒素に対するモノクローナル抗体を含有し得る。グラム陰性菌血症または敗血症性ショックの処置または予防のための方法は、殺菌有効量のグラム陰性細菌に対するポリクローナル免疫グロブリンおよび血餅溶解有効量のプロテインCを一緒にまたは別々にのいずれかにて投与することを含む。該方法は、随意に、1種以上のプロテインC補因子およびグラム陰性内毒素に対するモノクローナル抗体を投与することを含み得る。
米国特許第5,210,083号は、細菌に有効な濃度のタウロリジンおよび/またはタウルルタムを非経口的に受容し得るポリオールと共に含有する水溶液を開示する。該水溶液は、非経口投与用に特に適合すると言われる。
米国特許第5,362,754号は、ミノサイクリンとEDTAの混合物(M−EDTA)の製薬組成物並びにカテーテルポートの効能を維持する際に該組成物を用いる方法を開示する。ポリサッカリド富化グリコカリックス(たとえば、ブドウ球菌生物体のグリコカリックス)の形成を阻止する方法もまた、M−EDTA溶液を用いて提供される。M−EDTA溶液はまた、エス・エピデルミス(S.epidermis)およびエス・アウレウス(S.aureus)のような感染性生物体の付着を予防するために医用装置を予備処理するために用い得る。該組成物は、ポリサッカリド富化グリコカリックスの形成を破壊および予防する。
米国特許第5,545,213号は、実効イオン電荷を有する生物活性剤を投与するための改良方法を提供するために、ポリマー支持体表面に結合された実効イオン電荷を持ったグラフトポリマーを有する物品を開示する。該物品は、血栓抵抗性および/または抗微生物性の医用装置として特に有用であると言われる。
米国特許第5,593,665号は、腫瘍壊死因子により介在された医学的状況を患っている患者の処置のための同時、別個または逐次使用用の複合製剤としての、腫瘍壊死因子とタウロリジンおよび/またはタウルルタムとを含有する製品を開示する。
米国特許第5,688,516号は、医用装置をフラッシングおよびコーティングする際における組成物および組成物を用いる方法を開示する。該組成物は、キレート剤、抗凝固剤または抗血栓症剤と非グリコペプチド抗微生物剤、たとえば、テトラサイクリン抗生物質との選定組合わせを含む。医用装置をコーティングするためにおよびカテーテル感染を阻止するためにこれらの組成物を用いる方法もまた開示されている。特定の組合わせは、製薬上受容し得る希釈剤中にミノサイクリンまたは他の非グリコペプチド抗微生物剤をEDTA、EGTA、DTPA、TTH、ヘパリンおよび/またはヒルジンと一緒に含む。
米国特許第5,718,899号は、創傷、手術もしくは熱傷部位、または感染の危険の時機における正常組織において微生物およびウイルスからの感染と闘うために用いられる全範囲の免疫グロブリンの高濃度を含有する組成物を開示する。該組成物は、病原体の付着が阻止されおよび創傷または熱傷部位に最も近い病原体が毒素放出の前に食作用致死のために予備オプソニン作用化されるように、生体もしくは細菌の付着または生物膜の形成の前に軟膏、クリーム、流体、スプレー、等として創傷または熱傷部位に直接的に施用される。該組成物中の免疫グロブリンは、創傷、手術または熱傷部位にその場で置かれる、コラーゲン、フィブリン、ヒアルロナン、生分解性ポリマーおよびそれらの断片のような生体適合性材料上に固定し得る。加えて、該組成物中の免疫グロブリンは、カテーテル、コンタクトレンズまたはトータルジョイントのような埋没可能な装置の体接触面上にコーティングすることができる。該組成物は、感染を予防することにおいて格別な用途を有すると言われる。
米国特許第5,752,941号は、ラモプラニンの抗生物質またはそれらの混合物が添加された薄い親水性被膜を有する中心静脈用ポリウレタン製カテーテル、およびカテーテル関連感染を予防する際のそれらの使用を開示する。これらのカテーテルは、細菌の付着およびコロニー化を予防するためにおよびそれ故にカテーテルを挿入された患者における脈管感染の危険を下げるために有用であると言われる。その発明のカテーテルを製造する方法は、親水性薄膜でコーティングされたポリウレタン製カテーテルを選定抗生物質の水溶液中でインキュベートすることに存する。
米国特許第5,783,570号は、少なくとも1種のムコ多糖(好ましくは、ヘパリンまたはヘパリン誘導体)と第4級ホスホニウムのイオン性錯体から成る有機溶媒可溶性ムコ多糖、該有機溶媒可溶性ムコ多糖および抗菌剤(好ましくは、銀ゼオライトのような無機抗菌剤)を含む抗菌性で抗トロンボゲン形成性の組成物、並びに該有機溶媒可溶性ムコ多糖を含む医用材料を開示する。該有機溶媒可溶性ムコ多糖、並びにそれを含有する抗菌性で抗トロンボゲン形成性の組成物および医用材料は、基材であるべきポリマーに抗トロンボゲン形成性および抗菌性を容易に付与し、そしてこれらの性質はこの材料の製造直後のみならず、長期溶離後も維持されると言われる。
米国特許第5,788,979号は、患者の血流との接触に置かれるべきバイオマテリアルを、そうでなければかかる接触から生じる該バイオマテリアルへの付着からの血液凝固を阻止するためにコーティングする方法を開示する。人体の血液および組織と適合可能な液体状態の生分解性材料が製造され、そして抗凝固性薬物を該生分解性材料の液体状態中に合体して、液状コーティング材料が形成される。該液状コーティング材料は、該コーティング材料がその抗凝固作用を遂行することになっている期間に従って選択された処方、パターンおよび厚さを有する実質的に連続的な重なり層にて該バイオマテリアルの表面に接着的に施用される。その後、該コーティング材料は、該層が流血と接触している時の時間の関数としての連続的崩壊のために、約100ミクロン未満の層厚に乾燥される。
Gorman等,「J.Clin.Pharm.Ther.」12:393〜399(1987)は、微生物抗付着活性について3種の抗微生物剤、すなわち、タウロリジン、クロルヘキシジンおよびポビドン−ヨウ素の調査を報告した。2種の付着系、すなわち、ヒトの頬の上皮細胞に対するカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の口辺分離菌およびヒトの尿道上皮細胞に対するイー・コリ(E.coli)の尿分離菌を調べた。3種の薬剤の各々は、有意な抗付着活性を示し、そして該活性は濃度依存性であった。
Root等,「Antimicrobial Agents and Chemotherapy」32(11):1627〜1631(1988)は、脈管内カテーテルを有する顆粒球減少症患者はエス・エピデルミス(S.epidermis)での感染について増大した危険にあるということを報告した。カテーテルが注入のために用いられていない合間中、ヘパリンを含有する溶液でカテーテル内腔の開存性を維持することが慣行である。著者は、ヘパリンが感染患者のカテーテルから分離されたエス・エピデルミス(S.epidermis)の増殖を阻止しないことを示した。EDTA二ナトリウムの20mg/mL溶液、すなわちこの濃度において血液を効果的に抗凝固するキレート剤は、1mL当たり103CFUのブドウ球菌の初期接種物について24時間で殺菌性であることが示された。バンコマイシン、すなわちブドウ球菌感染を処置するためにしばしば用いられる抗生物質もまた、治療範囲における薬物濃度である6.7μg/mLの投与量にて103CFU/mLの初期接種物について殺菌性であることが分かった。著者は、EDTAの低コスト、抗凝固剤としての有効性および殺菌活性にかんがみて、EDTAを顆粒球減少症患者における静脈内カテーテルの維持用のヘパリン溶液の代替品として研究することを推奨した。
Jones等,「J.Appl.Bacteriol.」71:218〜227(1991)は、臨床菌株イー・コリ(E.coli)、エス・サプロフィティカス(S.saprophyticus)、エス・エピデルミディス(S.epidermidis)およびシー・アルビカンス(C.albicans)の表面疎水性に対する3種の非抗生物質抗微生物剤、すなわち、タウロリジン、クロルヘキシジンアセテートおよびポビドン−ヨウ素の効果を調査した。微生物−上皮細胞の付着を妨害すると報告された濃度において、3種の薬剤のすべてが細胞表面の疎水性を変えることが分かった。しかしながら、これらの効果は、一様な関係を示さなかった。一般に、タウロリジンおよびポビドン−ヨウ素の処置は調査された菌株の疎水性を低減したのに対して、クロルヘキシジンアセテートの効果は処置された微生物に依存した。
Traub等,「Chemotherapy」39:322〜330(1993)は、ブイヨン中において並びにウシおよびヒトの血清および新鮮な脱線維素化ヒト血液の存在下で代表的数の多抗生物質耐性細菌分離菌に対する殺菌活性についてタウロリジンを調査した。著者は、この抗微生物性物質をイー・ファエシウム(E.faecium)、エス・アウレウス(S.aureus)(GRMRSA)のグリコペプチド耐性菌株によりまたは広スペクトルのβ−ラクタマーゼを産生する腸内細菌科細菌によりコロニー化または表面的に感染された患者の局所処置のために用い得ることを示唆した。
Willatts等,「Crit.Care Med.」23(6):1033〜1039(1995)は、タウロリジンは臨床的な細菌学的成果、内毒素血症の進行、器官不全の消散および終点としての28日死亡率を用いた場合、セプシス症候群を有する大学付属病院の集中治療室に入れられた患者の成果に対して有益な治療効果を有さなかったことを報告した。
Darouiche等,Nutrition 13(4)(増補):26S〜29S(1997)は、脈管カテーテル関連感染の予防は皮膚またはカテーテルハブのいずれかから生じる微生物のカテーテルへの付着を阻止することにほとんど集中していると報告した。彼等は、脈管カテーテル関連感染の成功的予防のために非専用的に用い得る2つの一般的手法を記載した。第1の手法は、抗微生物剤を用いず、そして熟練注入治療チームによる脈管カテーテルの設置および維持のような方策および最大滅菌バリアの使用を含む。第2の手法は、抗微生物剤を用い、そしてクロルヘキシジンのような局所消毒薬の施用、銀含浸皮下カフ(短期中心静脈カテーテル用)の使用、抗微生物剤と抗血栓症剤の組合わせでのカテーテルのフラッシング、および防腐剤(クロルヘキシジンおよび銀スルファジアジン)または抗微生物剤(ミノサイクリンおよびリファンピン)のいずれかでのカテーテルのコーティングを含む。
テキサス州サンアントニオにおいて1997年11月2〜5日に開催されたAmerican Society of Nephrologyの第30回年次会合にて発表された講演において、Sodemann等は、カテーテル関連感染の救済および予防のための抗生物質ロック技法としてのゲンタマイシン/クエン酸ナトリウム混合物の4年試用に関して報告した。彼等は、感染に因るカテーテルの取替えは濃縮ゲンタマイシン/クエン酸塩混合物の日常的施用により避けることができ、並びに内腔内汚染カテーテルの救済さえ可能であると結論した。
前記のものの開示は、それらが全部、参照により本書に組み込まれる。
図1は、本発明の埋没アクセス装置の横断面図である。
図2は、本発明の装置の第2態様の横断面図である。
図3は、本発明の装置の第3態様の横断面図である。
図4は、針が挿入されている図3に示された態様の横断面図である。
図5は、図3に示された態様の弁の横断面図である。
図6は、図3に示された態様のロッキングマウントの横断面図である。
図7は、図3に示された態様の弁受座マウントの横断面図である。
図8は、図3に示された態様の遠位ハウジングの横断面図である。
図9は、滑動性シール−一体摩擦ロックを有する本発明の装置の第4態様の横断面図である。
図10は、縦方向滑動性シールを有する本発明の装置の第5態様の横断面図である。
図11は、トランペット型弁を有する本発明の装置の第6態様の横断面図である。
図12は、針が挿入された図11に示された態様の横断面図である。
図13は、膨張可能なシールを有する本発明の装置の第5態様の横断面図である。
図14は、好ましい針および閉塞具の組立体の横断面図である。
好ましい態様
上記に述べられたように、好ましい観点において、本発明は、内部補てつ装置アクセスシステムであって、
(a)患者に対して外部部位と患者に対して内部部位の間の、患者の皮膚を横断する連続流路を提供する手段、
(b)該患者の皮膚の下の箇所で該流路を遮断する手段、
(c)該患者の皮膚を横断する流路部分を除去する手段、および
(d)殺生物剤ロックであって、
(i)抗凝固剤および
(ii)非抗生物質殺生物剤
を含む殺生物剤ロック
を含む内部補てつ装置アクセスシステムに向けられる。
好ましくは、本発明は、100mL/分を越える容積流量での脈管系と外部処理装置の間での血液の高流体流量交換のための、ヒトまたは動物の患者の脈管系へのアクセス用のしかも感染および血液凝固をもたらす傾向が低減された血液透析アクセスシステムであって、
(a)内面により画定された内腔を含み、かつ患者の皮膚を穿刺するようにおよび血液交換過程の高血液流量要件と一致した流量で血液を運んで通すように構成および配置された針組立体、
(b)患者の体内の管または空間に対して流体連結を可能にする皮下に埋没可能なアクセス装置であって、該装置は
(i)直線的またはなだらかに変化する流れ方向を有する流路を提供しかつ内面および患者の皮膚穿刺部位に関して遠位端および近位端を有ししかもチャネルの近位端を通じての針の挿入およびそこからの針の抜取りをするように構成および配置されたチャネル構造体、
(ii)チャネル内に配置されかつ第1と第2の位置の間で移動可能なシールであって、該シールは第1位置で針がシールに挿入されていない状態で流体がシールを通過するのを防ぎおよび第2位置で針がシールに挿入された状態で流体が針を通過しそして実質的にチャネル遠位端に出現するのを可能にし、かつ密封手段が第2位置にある時に針内面とチャネル内面の間の血液流路遷移は実質的に連続的かつ滑らかである上記シール
を含み、かつ該装置は患者の体の内管まで延出するカテーテルにチャネル遠位端を接合するための構造体を更に含み、かかる接合はチャネルのおよびカテーテルの内面に沿って連続的かつ滑らかである上記アクセス装置、および
(c)殺生物剤ロックであって、
(i)抗凝固剤および
(ii)非抗生物質殺生物剤
を含む殺生物剤ロック
を組み合わせて含む上記血液透析アクセスシステムに向けられる。
ここにおいて用いられる「殺生物剤ロック溶液」は、内部補てつ装置、たとえば、カテーテルの内腔からの体液、たとえば、血液と置換して、内腔空間を微生物に対して不適にしおよび該装置中の残存血液の凝固を予防する殺生物剤ロックの溶液である。
本発明の好ましい皮下に埋没可能な装置は、(a)貫通チャネルを有するアクセス誘導手段および(b)貫通チャネルを有しかつアクセス部分、密封部分および遠位部分を含むカテーテルを含む。弾性密封手段が、カテーテルの密封部分内に配置される。弾性密封手段は、通常、流体がシールを通過するのを妨げる。しかし、機械的装置が経皮的に挿入されそしてアクセス誘導手段によりカテーテルのアクセス部分に誘導される時、該機械的装置はカテーテルのアクセス部分を貫通し、密封手段に係合しそしてそれを押し開ける。これにより、カテーテルの遠位部分へのおよび究極的には、アクセス誘導手段から遠位にあるカテーテルの遠位部分が管内腔中に延出するにつれて管内腔へのアクセスが提供される。カテーテルは、カテーテルを支持する周囲組織に取り付けられる。
密封手段は、好ましい態様において、チューブ内腔内で弁機構の特徴を具体化する弾性材料から作製されたチューブを含む。チューブは、チャネルの内壁に沿って軸方向に配置される。バネクランプが、チューブに隣接かつ外部に備えられ、そしてチューブの内部内腔が閉鎖されてそれにより流体が通るのを防ぐようにチューブを圧縮するよう働く。
バネクランプは、開放位置から閉鎖位置までの長手方向の遷移断面が特別な形状を形成するようにチューブの内腔を閉鎖するように配置および構成される。弁の該形状は、針がシールに押し通されるにつれて針閉塞具の先端が押入り作用でゴム弁スリットを開放または押し離すことを可能にする。針の押す力は、針が密封域にゴムを切断することなく入るにつれてバネのバイアス力およびシールの内部応力に打ち勝つ。切断が起こらないため、ポートにおける隔壁について見られるようなゴム粒子は発生しない。更に、破損に対する貫通サイクルの数は、無視できる損傷しか貫通中に起こらないので非常に高い。
針、チューブ内腔およびカテーテルの間の流路遷移は、最大の滑らかさ、および流れ直径の急変化がなくかつなだらかな流れ方向変化のみを有し、好ましくは流れ方向変化を全く有しない連続流路を備えるように配置および構成される。流路のいかなる狭まりおよび広がりも、緩やかであって25度以下の角度である。流れ方向のいかなる変化もなだらかであり、すなわち、好ましくは約20度以下で、そしていずれにしても30度以下の曲がり角度および同時に流路の直径の約2倍以上の曲げ半径(もしあるなら)を有する。
本発明の装置はまた、アクセス装置の貫通チャネルに嵌合的に合致する中空針装置、および該針の内腔中に挿入されて該内腔を満たす閉塞具を備える。この針/閉塞具の組合わせは、尖端と、組織を容易に穿刺するようにおよび弁を損傷なしに開放するように形成される滑らかな遷移(transition)を有する外面とを有する針組立体を提供する。
本発明のアクセス装置は、一本針のおよび標準の両方の血液透析、血漿搬出および流体交換治療(腹膜透析のような)の適用に適合する。2つの流路を必要とする標準適用について、ハウジングは、上記のように2つの針組立体に係合するように配置および構成することができ、また二重内腔貫通チャネルを含み得る。2本の針が用いられる場合、各針に係合する棒を備えることができ、それにより両方の針を互いにロックして一方の針のみの偶然的切離しを排除し、それにより患者の安全性を高める。
本発明の埋没可能な皮下用アクセス装置は、実質的に淀み点を有さない流線形流路に沿って低い圧力降下でもって、100mL/分以上、好ましくは、200mL/分以上の流量を必要とする適用用に適合するということに留意することが重要である。低い圧力降下および淀み点の実質的排除は、装置の異なる要素が衝合するところの滑らかな遷移点(たとえば、チャネル−カテーテルの接触面)を有することによりおよび内腔直径のいかなる変化も緩やか性を越えないようにしかつ死容積のないおよび急カーブまたは流路中に突出する物のない直線的またはほぼ直線的流路(すなわち、流れ方向の多くてなだらかにすぎない変化を有する)を有することにより達成される。
かかる大きい流量が低い抵抗と共に所望されるため、患者が受容する最大針外径を用いることが必要である。従って、穿刺針の剛性が望ましい。硬質針は、フレキシブルチューブよりも部材外径当たり大きい内腔内径(すなわち、より薄い壁)を可能にする。このことは重要であり、何故ならそれは針ができる限り小さいことを許容し、それにより患者の穿刺部位における外傷を小さくする一方、大きい流量を取り扱うことが依然できるからである。フレキシブルチューブは、はるかに高い外径対内径アスペクト比を有する。かくして、血液透析中通常の血流を収容するために、硬質材料よりむしろ可撓性材料が用いられるならば、はるかに大きい外径が必要とされるであろう。また、硬質針は、バネにより発生される抵抗力に打ち勝つためにより大きい力をシールに伝達することを可能にする。かくして、より大きい抵抗力が用いられて、より強くて、信頼性がありかつ故障許容性のシールをもたらし得る。
更に、流路中に鋭角または曲がりがないことは、壊れやすい血球を傷つけることがはるかに小さい。針からカテーテルまでの(またはその逆)の流路はなだらかな流れ方向変化(あるとしても)のみであって直線的または実質的に直線的であるので、乱流は最小にされ、また剪断応力は小さくされて、低減された赤血球の損傷および血小板の活性化傾向をもたらすことになる。
最も単純な形態において、図1に示されているように、本発明の装置は、アクセスセグメント4、遠位セグメント6およびそれらの間に配置された一体弁セグメント8を有する改良カテーテル2(皮膚線1により指摘されているように、皮下に設置し得る)を含む。改良カテーテル2は、ほとんどその長さ中、標準内径10および標準外径12を有する。しかしながら、本発明の機能的目的を達成するために、これらの値からのいくつかの明確な偏りがある。
アクセスセグメント4は、その末端に、操作者が皮下アクセス装置入口16を探り当てることを可能にする隆起識別環14が配置される。アクセスセグメント4は、内向き円錐状アクセス誘導部分18およびアクセス整合部分20を有する。アクセス誘導部分18は、標準弁内径10が達成されるまで内方に緩やかにテーパーするところの、標準弁内径10より大きい開始内径22を有する。かくして、挿入時に、円錐状アクセス誘導部分18は、経皮嵌合針40をアクセス整合部分20中に誘導し、しかしてそこで針端48を有する針40は弁スリット28と整合される。針40は、標準弁内径10と適合可能なバレル外径50、およびバレル内径54を有する。針40は、組織が針40の内腔中にとどまるようになることなく装置中に針40を経皮挿入するための円錐状先端を有する閉塞具42を備える。
一体弁セグメント8は、針40を弁スリット28と更に整合させるために、テーパー状弁アクセス部分24および弁ポータル26を含む。一体弁セグメント8は、最も好ましくは、弁スリット28が後で貫通して形成されるところの充実弁密封部分30と共に成形される、ということに留意することが重要である。この構成は、より完全な密封をもたらすことになり、また平坦状チューブより小さい密封力を必要とする。
一体弁セグメント8は、対向テーパー状遠位部分32を更に含み、またその外面中に弁密封部分30との半径方向整合にて弁密封手段座34が形成され、しかして弁密封手段座34は、弁密封手段座34を通じてのカテーテル外径が標準外径12より小さいがしかし標準内径10より大きいようなセグメント外面における円周くぼみである。弁密封手段座34は、弁密封手段36を収容し、しかして弁密封手段36は、弁密封部分30を閉鎖するのに十分な半径方向バイアス力を与えそしてそれを装置が使用中にない時は閉鎖したままにする。別の態様において、弁密封手段36は、それから形成されたまたはそれに取り付けられた1以上の取付けタブ38を有し得る。埋没中、1以上の取付けタブ38は、カテーテル2が一体弁セグメント8の全体にわたって固定されるがしかし皮膚の下でアクセスセグメント4の横方向の動きを許容するように、周囲組織に取り付けられる。
流出セグメント6は、アクセスが所望される管または空間内に末端が配置されるように埋没される。処置を開始するために、操作者は、最初に、隆起識別環14をガイドとして用いて、アクセスセグメント4を皮膚を通じて探り当てる。操作者は、針−閉塞具組立体がアクセス誘導部分18に入りそしてアクセス整合部分20により整合されるように、針40内に配置された閉塞具42で皮膚を穿刺する。装置中に挿入し続けると、針−閉塞具組立体は、弁アクセス部分24および弁ポータル26に遭遇する。閉塞具42の先端が弁ポータル26に入るにつれて、閉塞具42のテーパー状前縁は弁アクセス部分24を圧して、弁密封手段36によりかけられた半径方向バイアス力に打ち勝ち、そしてそれにより針40が弁密封部分30を通過し得るように弁スリット28を開放する。これは弁密封部分30への損傷なしに達成される。何故なら針40はアクセス整合部分20により弁スリット28と軸方向にすでに整合されているからである。この過程は、挿入に先だって針に医学的に受容し得る水系潤滑剤が与えられる場合、はるかに円滑でかつ患者に対してより小さい不快感を引き起こす。
一体弁セグメント8は閉鎖態様にて形成されそして弁スリット28が後にあけられるため、およびまたカテーテル2が作製される材料の密封性質のために、本発明の弁は、弁密封手段36によりかけられるべき所要最小バイアス力でもって完全密封を達成するということに留意することが重要である。従って、弁中への針/閉塞具組合わせの進入を可能にするようこのバイアス力に打ち勝つために針/閉塞具組合わせにより与えられねばならない力は、本質的に平坦状のチューブでありそして実質的により大きいバイアス力が用いられないならば完全密封を決して達成しない公知の弁を閉鎖するのに必要とされるよりも実質的に小さい。この力の減少は、針の挿入および抜取り中装置により小さい衝撃をもたらすことになり、それにより患者の安心感を大いに高める。
第2態様において、図2に示されているように、遠位セグメント6を、標準的医用カテーテル44にそれらの間におけるアダプター56の挿入により取り付けるということが考えられる。アダプター56は、遠位セグメント6内に配置される第1端およびカテーテル44内に配置される第2端を有し、流線形流路が最小的に乱されるようにテーパーされる。加えて、アダプター56は、その第1端内に、針40のバレル外径50と合致する内径50’を有する針受座域58が形成される。針座58aは、その内径54’が針40のバレル内径54と合致するように、半径方向内方に延出する。この態様において、針−閉塞具組立体が装置中にかつ軸方向にシールを通じて挿入される時、針40は、流線形流路が最小的に乱されるように(あるとしても)、針座58aに係止する(図1参照,図2に示されていない)。
第3態様において、図3〜8に示されているように、埋没アクセス装置100は、皮膚線1の下で静止する。アクセス装置100は、誘導ハウジング102、ロッキングマウント104、弁106、弁受座マウント108、弁密封手段120、アダプター220、カテーテル240および遠位ハウジング110(すべて軸AA’の周りに配置される)の組立体を含む。軸AA’として示されているところの、装置を通じての流路は、なだらかな流れ方向変化を受け入れることができる。なだらかな流れ方向変化(もし存在するなら)は、標準内径10の約2倍より小さい曲げ半径内で約30度を越える曲がり角度を決して含まず、好ましくは20度を越えない。一層好ましくは、いかなるかかるなだらかな流れ方向変化も、標準内径10の少なくとも約4倍の曲げ半径内で約20度より大きくない。標準内径10は、典型的には、約0.060と約0.105インチの間にある。
誘導ハウジング102は、部分的に閉鎖された第1端が内向き円錐状針誘導面122に形成された改良中空円筒体であり、しかして針誘導面122は、血液透析、血漿搬出および流体交換治療において用いるのに適した針を収容するべき大きさの軸方向アクセス内腔123を画定する。誘導ハウジング102は、面取り前縁124を備えた開放第2端を有する。
ロッキングマウント104は、そこを貫通して形成されたところの、血液透析、血漿搬出および流体交換治療において用いるのに適した針を収容することのできる内腔143を画定する。ロッキングマウント104は、ロック内腔145が内腔143と連通するようにロック内腔145が形成されたロック表面144を有するロッキングまたは作動部分140、および横断面直径146’を有する弁座146が形成された弁取付け部分142を含む。ロッキング部分140は、ロックバイアス手段152がロック内腔145を可動的に覆うように、ロックバイアス手段152が取り付けられる。ロッキング手段150は、ロック内腔145内に配置され、そしてロックバイアス手段152により内腔143の方へバイアスがかけられる。針40が内腔143中に挿入される時、閉塞具42の円錐状先端は、ロックバイアス手段152によりロッキング手段150にかけられたバイアス力に打ち勝ち、それにより針40が挿入されるにつれてロッキング手段150を引っ込ませる。針40が針座148中に完全に挿入される時、半円形状ロッキング溝44はロッキング手段150と整合される。針40の回転はロックバイアス手段152がロッキング手段150を半円形状ロッキング溝44A中に押し込むようにさせ、それにより針40をアクセス装置100中にロックする。針40をアクセス装置100から抜き取るために、針40は、ロッキング手段150が再び引っ込みそして針40が自由に除去されるように再び回転される。
弁106は、アクセスセグメント160、遠位セグメント164およびそれらの間に配置された一体弁セグメント162を有する。アクセスセグメント160は、その末端に、横断面外径166’を有しかつ弁入口163を画定する隆起受座環166が配置される。一体弁セグメント162は、テーパー状弁アクセス部分170および随意に、針40を弁スリット178と更に整合させるべき弁ポータル172を含む。一体弁セグメント162は、対向テーパー状遠位部分174を更に含む。一体弁セグメント162は、最も好ましくは、弁スリット178が後で貫通して形成されるところの充実弁密封部分176と共に成形されるということに留意することが重要である。この構成は、より完全な密封をもたらすことになり、また平坦状チューブより小さい密封力を必要とする。
弁受座マウント108は、横断面外径108’、弁アクセスセグメント160の方に向けられる第1側および弁遠位セグメント164の方に向けられる第2側を有する円盤形部材である。弁受座マウント108は、弁106を収容することのできる横断面直径183’を有する受座マウント内腔183を画定する。受座マウント108の第1側は、その外周縁の丁度軸方向に配置される円周溝186を有する。受座マウント108の第1側には、隆起弁受座スペーサー182も形成される。弁受座スペーサー182は、弁受座環横断面直径166’と実質的に同様な横断面外径182’を有する。かくして、弁106が受座マウント内腔183中に挿入される時、弁受座スペーサー182および弁アクセス環166は、実質的に同じ横断面直径を有しそしてロッキングマウント104中のくぼみ状弁座146に嵌合的に嵌る。この構成は、更に、ロッキングマウント104に関して受座マウント108の望ましくない横方向の動きを防止し、それによりアクセス装置100の安定性を高めおよび患者の不快感を最小にする。受座マウント108の第2側は、その外周縁の周りに、弁密封部分176に関して弁密封手段120を最適に位置づけるのに十分な軸方向厚の隆起弁密封手段スペーサー184が配置される。
弁密封手段120は、図1の弁スリット28と同様な弁スリット178を密封するのに十分な半径方向密封力をかけることのできるいかなる慣用のまたは適当な密封手段でもよい。
アダプター220は、遠位セグメント164内に配置される第1端およびカテーテル240内に配置される第2端を有し、流線形流路が最小的に乱されるようにテーパーされる。加えて、アダプター220は、その第1端内に、針40のバレル外径50と合致する内径50’を有する針受座域226が形成される。針座228は、その内径54’が針40のバレル内径54と合致するように、半径方向内方に延出する。この態様において、針−閉塞具組立体が装置中にかつ軸方向にシールを通じて挿入される時、針40は、流線形流路が最小的に乱されるように(あるとしても)、針座228に係止する。
カテーテル240は、血液透析、血漿搬出および流体交換治療において用いられるものに典型なタイプのものであり得る。
遠位ハウジング110は、横断面外径108’を有する弁受座マウント108収容するのに十分な横断面内径110’を有する第1端を有する。加えて、遠位ハウジング110の第1端には、弁密封部分176に関して弁密封手段120を最適に位置づけることのできる弁密封手段リテーナー112が形成される。遠位ハウジング110は、カテーテル240を収容することのできる内腔113が貫通して形成された第2端を更に有する。
針40の横断面は、ロッキング溝44を含む。装置100中への針40の挿入時に、ロッキング手段150はロッキング溝44中に延出して、針40を適所にロックする。ロッキング手段150にロックバイアス手段152によりかけられる力は、しっかりした引張りがロッキング溝44をロッキング手段150から外すことを可能にするように設計される。別の好ましい態様において、ロッキング溝44は、針の円周において不連続であり、そしてロッキング手段150をロッキング溝44から外すことは、不作動化のために針40を回転しそして次いで針40を抜き取ることにより達成される。
200〜500mL/分の流量が可能である血液透析、血漿搬出および他の流体交換治療操作について、針40は、15〜17ゲージであり得る。かかる操作において、針40を通じての圧力降下は、200mmHgを越えるべきではない。これらの条件下で、針40は、ステンレス鋼から作製されそしておよそ0.1mmの壁厚を有し得、それにより高い安全係数と共に十分な強度をもたらす。対照的に、可撓性材料の使用は、挿入中の座屈および崩壊を予防するために、3〜5倍大きい針壁厚を必要としよう。
組立アクセス装置100において、弁106は弁受座マウント108の内腔183内に配置され、しかしてこの組合わせは上記のようにロッキングマウント104に係止され、そして該組合わせは次いで誘導ハウジング102内に全体的に配置される。誘導ハウジング102の面取り前縁124は、弁受座マウント108の外周縁の丁度軸方向に配置された円周溝186に嵌合的に嵌る。誘導ハウジング102は、流体密密封を作り出すために、公知の手段により弁受座マウント108に取り付けられる。弁密封手段120は、弁密封部分176を密封するために、弁密封手段スペーサー184および弁密封手段リテーナー112により最適に位置づけられる。アダプター220は、上記のように、一部は弁遠位セグメント144内にそして一部はカテーテル240内に配置される。アダプター220は、針40内に嵌合的に嵌る針受座域226を有し、それにより針40の内腔からカテーテル240までの滑らかな流路を作り出す。弁106、弁受座マウント108、弁密封手段120、アダプター220およびカテーテル240はすべて、遠位ハウジング110内に配置される。カテーテル240は、遠位ハウジング110からそれを貫通して形成された軸方向内腔113を経て出現する。
図4は、針40が挿入されかつ閉塞具42が針40から除去された組立アクセス装置100を示す。針端48は、針40の内部内腔からアダプター220の内部内腔までの遷移が滑らかであるように、アダプター220の針座228と接触している。該組立体は、流れの直径変化のすべてが緩やかでかつ連続的であるように設計および構成される。これらの遷移の角度は25度より小さく、しかして10度未満が好ましい。ここにおいて、流れ直径は、流体が流動している導管の、流れに垂直に測定された直径と定義される。針40の横断面は、隆起状ロッキング溝44を含む。ロッキング溝44は、針の円周において不連続であり、そしてロッキング手段150をロッキング溝44から外すことは、針40を回転しそして次いで針40を装置100から抜き取ることにより達成される。別の意図された態様において、ロッキング溝44は、針の円周において連続している。ロッキング手段150にロックバイアス手段152によりかけられる力は、ロッキング溝44をロッキング手段150から外すべきしっかりした引張りでもって、針40が装置100から抜き取られることを可能にする。
任意の態様において、カテーテル240は、通し穴248を有する1以上のタブ246がそこから形成されまたはそれに取り付けられる。これらのタブ246は、装置100の埋没時にカテーテル240を結び付けまたは縫合わせにより周囲組織に固着するために用いられる。装置100それ自体は、周囲組織に固着されない。この配置でもって、装置100は、針40を皮膚に対して横方向に動かせることなく皮膚を貫通する針40と整合するのに十分に皮膚の下で動き得る。組織から装置100への付着は、ハウジング表面をヒアルロン酸で処理することにより失われる。
図9は、別の企てられた態様300を示し、しかして針40をアクセス装置300内に固定する一体摩擦ロックがある。密封プラグ304が、ハウジング組立体302/310内にそのアクセス内腔303とピストン308のバイアス力伝達フランジ309の間に配置される。装置が使用中にない時、バネ306がピストン308にバイアスをかけて密封プラグ304に押し当てて、密封プラグ304をテーパー状密封面344に押しつけ、それにより流体が装置に流れるのを防ぐ。
使用中、針40は、誘導ハウジング302の円錐状針誘導面322によりアクセス内腔303に誘導され、しかしてそこで針40は密封プラグ304と接触する。針40が更に装置中に押されるにつれて、密封プラグ304に針40によりかけられる軸方向力が、バネ306によりピストン308のバイアス力伝達フランジ309にかけられる密封プラグバイアス力に打ち勝って、密封プラグ304を密封面344から離れるように動かしそして密封プラグ304に常態的にかけられた半径方向圧縮力を除去し、針40が密封プラグ304を穿刺することを十分に可能にする。針がランダムに穿刺しそして究極的には隔壁の断片化をもたらすことになる当該技術において知られた隔壁と異なり、誘導ハウジング302の円錐状針誘導面322による針40の誘導に因り、密封プラグ304は一貫して同じ場所および方向にて穿刺されるということに留意することが重要である。この特徴は、密封プラグの断片化を効果的に排除する。
針40が密封プラグ304を穿刺すると、針40はピストン308の針座318に接触し、しかしてそこで針の先端48は針座318と接触して針40とピストン308の間の滑らかな移動(transition)を形成する。針40が挿入されると、密封プラグ304は、針40を装置300中に有効的にロックするのに十分な残留圧を針40上に与える。針40に対する軸方向の引張りは、密封プラグ304を密封面344に対して引っ張って、針40にかけられる半径方向力を増大し、それにより針40を更に一層しっかりと保持する傾向にある。しかしながら、針40の単なる捻りは、動摩擦を導入しそして針40が装置から除去されることを可能にする。Oリング312および314は、それぞれ、針40をピストン308からおよびピストン308を密封ハウジング310から密封する。装置が使用中でない時、バネ306は、ピストン308に皮膚線1の方へバイアスをかけて、密封プラグ304がそれ自体を密封するように密封プラグ304を圧縮し、針40の挿入により形成された通路を閉鎖する。ピストン308はカテーテル340および密封ハウジング310に関して滑動するので、ピストン308およびカテーテル340の内壁および/または密封ハウジング310の内壁からの移動は滑らかのままである、ということが留意される。
図10は、本発明についての更に別の企てられた弁機構である。この態様において、針40は、滑動性バネ押しポペット404と接触する。円錐状針誘導面422を用いて針40が装置400中に押されるにつれて、弁構造体408は、誘導ハウジング402から離れるようにバイアスがかけられる(示されているように)。Oリング416がハウジング壁405を離れて、流体が弁を通過することを可能にする。バネ406は、針40が装置から抜かれる時、ポペット404およびOリング416をハウジング壁405との接触に戻しめる。ポペット404は、弁円周の全体にわっては延出せず、何故ならそうすると流体の流れを妨害するからである。その代わりに、ポペット404は、複数の棒様延出体418を有し、しかして延出体418は、針40が挿入される時、流体が弁を通過するべき開放域を提供する。Oリング406は、密封をもたらし、針40の周りの漏れを予防する。ピストン408(弁構造体)はカテーテル440および密封ハウジング410に関して滑動するので、ピストン408およびカテーテル440の内壁および/または密封ハウジング410の内壁からの移動は滑らかなままである。
図11および12は、別の企てられた態様500を示し、しかして弁密封手段はトランペット型弁504である。各処置セッションに先立って、細針509が経皮的に内腔530中に導入されそして隔壁512を貫通して、バネ508によりかけられるバイアス力に打ち勝つのに十分な流体を貯蔵所520中に注入することにより弁504を開放する。針40を、次いで装置500中に、300(図9)および400(図10)に関して上記したのと同様な態様で導入することができ、そして円錐状針誘導面522を有する誘導ハウジング502が針40を誘導する。処置セッションが完了されると、針40は、装置から除去され、そしてトランペット型弁504は、流体を貯蔵所520から細針509を経て抜き取ることにより閉鎖され、しかして細針509は次いで装置から除去される。示されているように、誘導ハウジング502と協同する密封ハウジング510があり、また通路503を密封するシール504がある。
図13は、別の企てられた態様600であり、しかして膨張可能なシール604が通路603を密封する。誘導ハウジング602の円錐状針誘導面622により誘導される針40は、挿入される時、膨張可能なシール604を押し離す。針40は、次いで、密封ハウジング610中に設けられた止め体608に当たる。針40が抜かれる時、シール604は膨張して、通路603を閉鎖する。時折必要となり得るように、細針609が経皮的に内腔630中に導入されそして隔壁612を貫通して、シール604の内腔と流体連結にある貯蔵所620中に流体を注入することによりシール604を再膨張させることができる。その他の態様においてのように、密封ハウジング610からカテーテル640までの流路遷移は滑らかである。
図14は、先に記載された埋没アクセスハウジングと嵌合するように構成および配置された好ましい対応する針組立体を示す。針バレル40は、薄い金属材料製である。より薄い材料は、実際流れ直径を最大にし、しかしてこのことは、いかなる血液透析についても一般的目標である。患者に対する不快感はより小さい直径の針により減じられるが、しかしかかる針は、流量を制限しまたは高流量が小さい針に無理に通される場合大きい圧力降下をもたらす。低流量は血液透析について過度の処置時間を必要とし、そして細針を通じての高流量は血液を損傷する。相殺取引があり、そして薄い針壁は、所与針外径について最大化流れ直径に寄与する。閉塞具42が、針40内に備えつけられて、針先端48における針40の外面と閉塞具42の間の滑らかな移動43をもたらす。針40のバレルは、半円形状ロッキング溝44Aを有する。閉塞具42は、ハウジング68にネジ山62を介して固定される。閉塞具42は、針40が中空でありそして皮膚を貫通させるために用いることができない(その大きい直径の内腔は塞がれるようになるため)ので必要である。閉塞具42は、皮膚に呈される中空面をまさに満たし、また皮膚を貫通するのに適した先端45を有する。ハウジング68は、血液透析装置に連結するためのネジ込みフィッティング64をチャネル69に備え付ける。閉塞具42が除去される時、閉塞具42により用いられた開口を閉め切るスリット円盤弁66が存在して、血液透析が進行することを可能にする。
使用中にない時、本発明の内部補てつ装置、たとえば、上記の装置は、抗凝固剤および非抗生物質殺生物剤を含む抗殺生物剤ロックで満たされる。ここにおいて用いられる用語「抗凝固剤」は、直接的または間接的のいずれかにて、血液の凝固を防止するべきまたはいったん形成された血餅または他の凝固種を溶解するべき能力を有するいかなる組成物も意味するように意図されている。この能力を有することが知られているいかなる化合物も用い得る。
かかる化合物の例として、クエン酸水素ジアンモニウム、酒石酸ジアンモニウム、クエン酸、クエン酸二ナトリウム塩、クエン酸一カリウム塩、クエン酸一ナトリウム塩、クエン酸三カリウム塩、クエン酸三ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA二アンモニウム塩、EDTA二カリウム塩、EDTA二ナトリウム塩、EDTA四ナトリウム塩、エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸(EGTA)、EDTA三ナトリウム塩、EDTA三カリウム塩、エチレングリコール−O,O′−ビス(2−アミノエチル)−N,N,N′,N′−四酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N′,N′−三酢酸三ナトリウム塩、ニトリロ三酢酸、酒石酸ナトリウムカリウム、D−酒石酸水素カリウム、L−酒石酸二カリウム塩、L−酒石酸二ナトリウム塩、L−酒石酸一ナトリウム塩、ヘパリン、ワルファリン、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、インドメタシン、プロスタグランジン、スルフィンピラゾン、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性剤(TPA)、クマリン、プロタミンサルフェート、抗トロンビンIII、クマジン、プロテインC/プロテインS、ニクマロン、フェンプロクモン、ヒルジン、ヒルログ、等を列挙し得る。前記のものの混合物を、用い得る。本発明の現時点の実施における使用のために好ましい抗凝固剤系は、クエン酸とその塩好ましくはクエン酸三ナトリウムの組合わせである。これは、以下に一層詳細に論じられる。
ここにおいて用いられる用語「殺生物剤」は、不所望な生物体の繁殖、増殖(growth)、増殖(multiplication)、等を破壊する、阻止する、防止する、等の薬剤を意味する。用語生物体は、微生物、細菌、波状細菌、スピロヘータ、胞子、胞子形成性生物体、グラム陰性生物体、グラム陽性生物体、酵母、真菌、糸状菌、ウイルス、好気性生物体、嫌気性生物体、ミコバクテリア、等を含む。
本発明の実施において用いられる殺生物剤は、「非抗生物質」であるものであり、すなわちそれは抗生物質でない。本発明の目的のために、用語「抗生物質」は、合成的にまたは微生物によるのいずれかで生成された化学物質であって、希薄溶液にて他の微生物の増殖を阻止または殺す能力を有する該化学物質と定義される。これらの抗生物質に遺伝学的に免疫性である微生物を生み出す確率を最小にするために、それらを避けることが本発明の目的であるけれども、それらは、所望されるなら、本発明の殺生物剤に加えて存在し得る。好ましくは、本発明の非抗生物質殺生物剤は、化学治療剤である。
殺生物剤は、有害なまたは不所望な微生物を殺す、清浄にする、防止するおよび/または存在または繁殖を遅らすために透析装置において用いられる。微生物は、真菌アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・フラーブス(Aspergillus flavus)、リゾプス・ニグリカンス(Rhizopus nigricans)、クラドスポリウム・ヘルバリウム(Cladosporium herbarium)、エピデルモフィトン・フロッコーサム(Epidermophyton floccosum)、トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、等を含む。
用語微生物はまた、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas
aeruginosa)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミス(Staphylococcus epidermis)、ストレプトコッカス・フェカーリス(Streptococcus faecalis)、クレブシエラ(Klebsiella)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、他のグラム陰性菌および他のグラム陽性菌、ミコバクチン、等に対する抗細菌活性を含む。該用語はまた、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、等のような酵母を包含する。加えて、微生物の胞子、ウイルス、等は、本発明の意図内である。
装置において用いられる殺生物剤は、とりわけ、フェノール、第4級アンモニウム、界面活性剤、塩素含有、キノリン、キナルジニウム、ラクトン、染料、チオセミカルバゾン、キノン、サルファ、カーバメート、尿素、サリチルアミド、カルバニリド、アミド、グアニド、アミジン、キレートおよびイミダゾリン殺生物剤から成る群から選択された群員を含み得る。
本発明の実施において用い得る非抗生物質殺生物剤の中に、たとえば、酢酸、安息香酸、ソルビン酸、プロピオン酸、ホウ酸、デヒドロ酢酸、亜硫酸、バニリン酸、p−ヒドロキシ安息香酸のエステル、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、ヨウ素(種々の溶媒中)、ポビドン−ヨウ素、ヘキサメチレンテトラミン、ノキシチオリン、1−(3−クロロアリル)−3,5,7−トリアゾ−1−アゾニアアダマンタンクロライド、タウロリジン、タウルルタム、EDTA、N−(5−ニトロ−2−フルフリリデン)−1−アミノ−ヒダントイン、5−ニトロ−2−フルアルデヒドセミカルバゾン、3,4,4′−トリクロロカルバニリド、3,4′,5−トリブロモサリチルアニリド、サリチルアニリド、3−トリフルオロメチル−4,4′−ジクロロカルバニリド、8−ヒドロキシキノリン、1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−7−(1−ピペラジニル)−3−キノリンカルボン酸、1,4−ジヒドロ−1−エチル−6−フルオロ−4−オキソ−7−(1−ピペラジニル)−3−キノリンカルボン酸、過酸化水素、過酢酸、フェノール、ナトリウムオキシクロロセン、パラクロロメタキシレノール、2,4,4′−トリクロロ−2′−ヒドロキシジフェノール、チモール、クロルヘキシジン、ベンザルコニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、銀スルファジアジンおよび硝酸銀がある。
例示的殺生物性染料は、アクリジン、アクリフラビン、アミナクリンヒドロクロライド、プロフラビンヘミサルフェート、トリフェニルメタン、マゼンタ、クリスタルバイオレット、スカーレットレッド、パラローザニリンおよびローザニリンを含む。
例示的塩素放出性殺生物剤は、次亜塩素酸ナトリウム、オキシクロロセン、クロラミン、ジクロロジメチルヒダントイン、ハラゾーン、ジクロラミン、クロラシン、スクシンクロルイミド、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌレート、トリクロロメラミン、ジクロログリコールウリル、ハロゲン化ジアルキルヒダントインおよびハランを含む。例示的殺生物性キナルジニウムおよびキノリン殺生物剤は、デクアリニウム、ラウロリニウム、ヒドロキシキノリン、リオキノール、クロルキナルドールおよびハルキノールである。
例示的第4級アンモニウム殺生物剤は、ピリジニウム殺生物剤、ベンザルコニウムクロライド、セトリミド、ベンゼトニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、クロルフェノクチウムアムソネート、デクアリニウムアセテート、デクアリニウムクロライド、ドミフェンブロマイド、ラウロリニウムアセテート、メチルベンゼトニウムクロライド、ミリスチル−ガンマ−ピコリニウムクロライド、オルタホニウムクロライドおよびトリクロビソニウムクロライドを含む。
例示的フランは、グリセオフルビン、ニトロフルフラール、ニトロフラゾン、ニトロフラントイン、フラゾリドンおよびフラルタドンを含む。例示的フェノール殺生物剤は、塩素化フェノール、クレゾールフェノール、チモール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、ヘキサクロロフェン、ビスフェノール、アミルメタクレゾール、ビチオノール、クロロチモール、ジクロロキシレノール、クロロフェン、p−クロロフェノール、p−フェニルフェノール、トリニトロフェノール、ジクロロビスフェノールおよびブロモクロロビスフェノールを含む。
例示的ラクトンは、プロピオラクトンを含む。
例示的尿素殺生物剤は、ノキシチオリン、ポリノキシレンおよびトリクロカーボンを含む。
本発明の目的のために有用な他の殺生物剤の例は、クロルヘキシジングルコネート、クロルヘキシジン、クロルヘキシジンアセテート、クロルヘキシジンヒドロクロライド、ジブロモプロパミジン、ハロゲン化ジフェニルアルカン、ジブロムサラン、メタブロムサラン、トリブロムサラン、カルバニリド、サリチルアニリド、テトラクロロサリチルアニリド、トリクロロカルバニリド、プロパミジンイセチオネート、ペンタミジン、ピクロキシジン、メンダラミン、酸付加および第4級、メテナミンマンデレート、ポリオキシメチレンエステル、たとえば、ポリオキシメチレンジエステル、ポリオキシメチレンジアセテート等およびそれらの混合物である。
本発明において用いられる殺生物剤として用い得る防腐剤は、グアニジン、たとえば、アレキシジン、アンバゾン、クロルヘキシジンおよびピクロキシジン;ハロゲンおよびハロゲン化合物、たとえば、ボルニルクロライド、ヨウ素酸カルシウム、クロフルカーボン、フルロサラン、ヨウ素酸、ヨウ素、オキシクロロセン、ポビドン−ヨウ素、次亜塩素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、シンクロセン、チモールヨーダイド、トリクロカーボン、トリクロサンおよびトロクロセンカリウム;水銀化合物、たとえば、ヒドラガフェン、メラレインナトリウム、メルブロミン、アンモニア化、p−フェノールスルホン酸ナトリウム第2水銀、スクシンイミド第2水銀、硫化第2水銀、レッド、マーキュロフェン、酢酸第1水銀、塩化第1水銀、ヨウ化第1水銀、ニトロメルソール、チメルホネートナトリウムおよびチメロサール;ニトロフラン、たとえば、フラゾリドン、2−(メトキシメチル)−5−ニトロフラン、ニドロキシゾン、ニフロキシム、ニフルジドおよびニトロフラゾン;フェノール、たとえば、アセトメロクトール、ビチオノール、カルバクロール、クロロキシレノール、クロロフェン、クレゾール、p−クレゾール、フェンチクローン、ヘキサクロロフェン、1−ナフチルサリチレート、2−ナフチルサリチレート、2,4,6−トリブロモ−m−クレゾールおよび3′,4′,5−トリクロロサリチルアニリド;キノリン、たとえば、アミノキヌリド、ベンゾキシキン、ブロキシキノリン、クロロキシン、クロルキナルドール、クロキシキン、エチルヒドロクプレイン、ユープロシン、ハルキノール、ヒドラスチン、8−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリンサルフェートおよびヨードクロルヒドロキシキン;他のもの、たとえば、酢酸アルミニウム溶液、塩基性酢酸アルミニウム溶液、硫酸アルミニウム、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、ホウ酸、クロルヘキシジン、クロロアゾジン、m−クレシルアセテート、硫酸第2銅、ジブロモプロパミジン、イクタモール、ネガトール、ノキシチオリン、オルニダゾール、β−プロピオラクトンおよびα−テルピネオールを含む。
本発明の実施において用いられる殺生物剤は、ポリマーパラホルムアルデヒドも包含する。殺生物剤として用いられるパラホルムアルデヒドは、一般式(CH2O)n(ここで、nは3である)の環状トリポリマーおよび一般式HO(CH2O)mH(ここで、mは3〜125である)の線状ポリマーから成る群から選択される。これらのポリマーは、白色結晶質固体であり、そして水分の存在下で解重合を受けて、水溶性殺生物剤および消毒剤ホルムアルデヒドをもたらす。ニューヨーク州John Wiley & Sons,Inc.により出版されたEncyclopedia of Chemical Technology,Kirk−Othmer,Vol.10,第81頁,1966参照。操作中、パラホルムアルデヒドは、周囲からの流体により水分活性化されて、ホルムアルデヒドに解重合させる。ホルムアルデヒドは、微生物の存在を制御するべき殺生物剤または消毒剤として作用する。一般に、水分の存在下でまたは水分および酸触媒の存在下で、環状および線状ポリマーは、99%のホルムアルデヒドまで転化され、長期間にわたって放出される。
本発明の装置において用いられる製剤中の殺生物剤の量は、一般に約0.001mg/mL〜約1000mg/mLであり、しかして一層好ましい量は約1〜約200mg/mLであり、そして最も好ましい量は約2mg/mL〜約100mg/mLである。殺生物剤は、ペンシルベニア州フィラデルフィアのLea & Febigerにより1977年に出版されたBlockの「Disinfection,Sterilization and Preservation」に、ニューヨークのAcademic Pressにより1971年に出版されたHugoの「Inhibition and Destruction of Microbial Cells」に、およびロンドンのThe London Pharmaceutical Pressにより出版されたBlacow編集の「Martindale,The Extra Pharmacopoeia」に開示されている。
本発明の特に好ましい態様において、殺生物剤および抗凝固剤は、治療有効量の、
(A)式(I)
〔ここで、R
1は水素またはアルキルであり、そしてR
2は水素、アルキルまたは式(II)
の基である〕
の少なくとも1種の化合物
および
(B)生物学的に受容し得る酸および生物学的に受容し得るそれらの塩から成る群から選択された少なくとも1種の化合物
を含む組成物中において用いられる。
式Iの化合物の代表的例の製造は、英国特許第1,124,285号に記載されている。基本的には、これらの化合物は、タウリンアミドとホルムアルデヒドの縮合生成物であり、そしてそれ故ここにおいて「タウリンアミド誘導体」と称する。それらは、グラム陽性およびグラム陰性菌の両方に対してのみならず、これらの生物体により生成される外毒素および内毒素に対しても活性である。
R1および/またはR2がアルキルである場合、それらは、直鎖または分岐鎖のいずれかのアルキルであり得、そして好ましくは、1から8個の炭素原子を有するアルキル、すなわち、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびそれらの異性体から独立に選択される。一層好ましくは、R1および/またはR2がアルキルである場合、それらは、1から6個の炭素原子を有するアルキル、すなわち、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびそれらの異性体から独立に選択される。最も好ましくは、アルキル基は、1から4個の炭素原子を有し、すなわち、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびそれらの異性体である。しかしながら、R1が水素でありそしてR2が水素または式IIの基であることが最も好ましい。
本発明において、式Iの化合物のうち、化合物タウロリジン(R1=H、R2=式II)およびタウルルタム(R1=R2=H)が特に好ましい。タウロリジンは、ビス−(1,1−ジオキソ−ペルヒドロキシ−1,2,4−チアジアジン−4−イル)メタンである。
これらの化合物は、ホルムアルデヒド担体、すなわち、ホルムアルデヒドを結合して含有する非毒性誘導体である。
タウロリジンの作用態様は、上記の毒素上にまたは細菌細胞壁のムレイン上に存在するヒドロキシルまたはアミノ基へのメチロール基の転移を含むことが分かった。溶液中で、タウロリジンは、タウルルタムおよびN−メチロールタウルルタムとの平衡にて存在し、タウロリジンが非常に優勢である。タウルルタムは、それ自体メチロールタウリンアミドとの平衡にあり、その平衡はタウルルタムの大いなる優勢にある。上記のメチロール誘導体すなわちメチロールタウルルタムおよびメチロールタウリンアミドが毒素または細菌と接触する時、メチロール基は転移される。メチロールタウルルタムはそれによりタウルルタムに転化され、一方メチロールタウリンアミドはタウリンすなわち人体において極めて十分に許容される天然に存在するアミノスルホン酸に転化される。かくして、タウロリジンおよびタウルルタムは、本質的に同じ具合に作用しそして同じ最終生成物を生成する、ということが認識されよう。
グラム陰性生物体による細菌感染は、通常、内毒素血症、すなわち、生物体により遊離された内毒素に対する患者の反応が伴う。
内毒素は、O菌体抗原の錯体リポポリサッカリド構成成分であり、そしてグラム陰性菌の細胞壁にゆるく付着している。細菌源に関係なく、すべての内毒素が、広範囲の個々の効果を奏するグラム陽性菌の外毒素とは反対に、同様な毒性質を示す。ヒトにおいて、それは、多数のグラム陰性菌が溶解される場合、内毒素性ショック症候群を生じ得る。この症候群は、グラム陰性敗血症を有する患者の約30%において遭遇される。タウリンアミド誘導体は内毒素を不活性化し得るということが知られている。
外毒素のような毒性タンパク質を同様に不活性化することができ、またメチロール転移性抗菌剤を、リポポリサッカリド毒素の不存在下で毒性タンパク質と闘うために投与し得る。かかわり得る毒素は、グラム陰性菌、たとえば、イー・コリ(E.coli)およびバクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)の外毒素を含む。滅菌5%ポリビニルピロリドン中のタウロリジンの20%溶液の0.2mLのマウスへの静脈内投与は、イー・コリ(E.coli)およびビー・フラジリス(B.fragilis)の両方の病原性菌株の腹腔内投与についての死亡率を非常に有意的に低減し得るということが知られている。
他の毒性タンパク質は、タウロリジンにより実質的に解毒されることが示されている、動物毒液、たとえば、メリチン並びに真菌毒素、たとえば、アマニチンおよびα−ブンガロトキシンを含む。
タウロリジンの格別な利点は、その非常に低い毒性である。すなわち、それはマウスにおいて非催奇性であり、そして腹腔内LD50は1.5g/kg程度であるということが示された。上記のように、これらの化合物は、体内において天然に存在しかつ特に無毒であるタウリンの生成をもたらすことになるメチロール転移活性を示す。タウロリジンの更なる利点は、水溶液におけるその安定性であり、該溶液を予備包装し、そして比較的長期間にわたって保管することを可能にする。
これらのタウリンアミド誘導体は、通常、本発明の内部補てつ装置中への注入により、水溶液として投与される。かかる溶液は、所与のタウリンアミド誘導体に加えて、タウリンアミド誘導体を溶液に維持するのを助けるためにおよび該溶液の等張性に寄与するために、可溶化剤、たとえば、ポリビニルピロリドン(PVP)を含有し得る。かかる溶液中のタウリンアミド誘導体の濃度は、ゼロより大から約2wt%の範囲にあり得、約0.01〜約1.5wt%の範囲の濃度が好ましく、そして約1wt%の濃度が最も好ましい。これらより高い濃度は有用であるが、しかし溶解性が問題になる。
PVPを該溶液中に組み込む場合、それは、通常、低い水溶解性を有するタウリンアミド誘導体、特にタウロリジンの比較的高い濃度を達成するために、4〜7重量%の範囲の濃度にて用いる。PVPの分子量は、約30,000より大きくあるべきではなく、そして好ましくは10,000未満であり、たとえば約200〜約3500の間にある。BASFにより販売されているKollidone(登録商標)は、特に適合する。かかるPVPは、かなり速く吸収されそして腎臓を通じて排泄される。
内部補てつ装置中に注入されるタウリンアミド誘導体の溶液の量は、通常、それを満たすのに十分である。かかるシステムは、典型的には、約0.1mL〜約10mLの範囲の内容積を有する。かかる量は、無論、とりわけ個々の患者のサイズの関数であり得るところの、該装置と共に用いられるチューブの長さおよび直径と共に変動する。
かかる溶液中のタウリンアミド誘導体の濃度は、好ましくは、該化合物の溶解性に最も依存して、約0.4〜5重量%の範囲にある。約0.4〜約2.0重量%のタウロリジン、すなわち、1リットル当たり約4〜約20グラムの溶液が特に好ましい。
タウロリジンの原液の製造を記載する例は、いくつかの特許たとえば米国特許第4,337,251号に載っている。
すなわち、15リットルの2回蒸留された発熱物質不含水を、撹拌機および強力還流装置を備えた25リットルガラス容器中に装填し、そして撹拌しながら50℃に加熱する。タウロリジン(400g)を添加し、次いでPVP(Kollidone 17、1000g)を添加する。溶解後、この溶液を冷却し、そしてpHを数滴の0.1N塩酸で6.0に調整する。この溶液を次いで吸着フィルターに通して微生物および発熱物質を除去し、そして滅菌用Milliporeフィルターに通した後に100mLバイアル中に満たし、しかして最終的に加圧滅菌される。
所望されるなら、PVPのいくらかまたは全部を、非経口的に受容し得るポリオールにより置換し得る。ポリオールについてのこの使用は、米国特許第5,210,083号に開示されており、しかしてその開示はそのままそっくり参照により本書に組み込まれる。そこには、これは、タウロリジンのより高い濃度において、溶液を使用できなくし得る結晶化が起こり得るために有利であるということが指摘されている。
細菌およびそれらの内および外毒素の場合、上記のようなメチロール転移後、脱水を伴う更なる不可逆工程があるということが分かった。かくして、リポポリサッカリドである細菌内毒素の場合、該内毒素がその致死的効果を奏するのを妨害する不可逆架橋反応が起こるということが分かった。同様に、タンパク質またはポリペプチドでありかつ内毒素において見出される種類のリポポリサッカリド物質を含有しない細菌外毒素の場合、解毒反応は、不可逆的であることが分かった。しかしながら、米国特許第5,210,083号において、上述のメカニズムによるメチロール基の転移は多くのヒドロキシルまたはアミノ化合物の場合可逆的であり、従ってタウロリジンの利用能を有意には妨害しない平衡を確立し得るということが開示されている。かくして、ポリオール、たとえば、糖および糖アルコールも、水溶液中のタウロリジンおよび/またはタウルルタムの比較的高い濃度をそれらの抗菌および抗毒素活性に有意には影響を及ぼすことなく維持するために用い得る。好ましいポリオールは、炭水化物、たとえば、ヘキソース、たとえば、グルコース、フルクトースおよびそれらの混合物;ペントース、たとえば、キシロース;ポリサッカリド、たとえば、デキストランまたは加水分解デンプン;グリセロール;並びに糖アルコール、たとえば、ソルビット、マンニットおよびキシリットを含む。グルコースが、最も好ましい。
ポリオールの濃度は、典型的には、約3〜約40重量%の範囲にある。グルコースの場合、濃度は、好ましくは約10〜約30重量%の範囲、一層好ましくは約20%である。
かかるポリオールが用いられる場合、溶液中のタウロリジンの濃度は、好ましくは約0.5〜約5重量%の範囲に、一層好ましくは約2〜3重量%の範囲にある。タウルルタムの濃度は、好ましくは約1〜約7.5重量%、一層好ましくは約3〜約5重量%の範囲にある。
グラム陰性生物体がしばしば存在するのでおよびタウリンアミド誘導体の静菌活性は多くの抗生物質のそれより低いので、広域抗生物質、一層特にグラム陽性およびグラム陰性病原体の両方に対して強活性の、好ましくは抵抗性を全くまたは遅延的にしか誘発しない物質、たとえば、β−ラクタム抗生物質、たとえば、ペニシリン、アンピシリンまたはセファロスポリン;テトラサイクリン抗生物質;マクロライド抗生物質、たとえば、エリスロマイシン;ポリペプチド抗生物質、たとえば、バシトラシンまたはノボビオシン;または一層好ましくはアミノグリコシド抗生物質、たとえば、アミカシン、ブチロシン、ホルチマイシン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、リンコマイシン(たとえば、クリンダマイシンおよびリンコマイシン)、カナマイシン、ジデオキシカナマイシンB(DKP)、リビドマイシン、ネチルマイシン、リボスタマイシン、サガマイシン、セルドマイシンおよびそれらのエピマー、シソマイシン、ソルビスチン、トブラマイシン、バンコマイシン、ゲンタマイシンおよびリファマイシン(たとえば、リファンピシンおよびリファマイシン);等と共に、本発明の実施において用いられる組成物を投与することが有利であり得る。これらのうち、ゲンタマイシンが好ましい。
しかしながら、抗生物質は、耐性菌株を生み出すそれらの傾向の故に、外科的処置における使用についてしばしば禁忌され、そして普通でない場合においてを除いて、タウリンアミド誘導体を抗細菌作用について専ら頼りにすることが、かかる誘導体は耐性菌株を生み出さないので好ましい。
本発明の実施において用いられる組成物は、好ましくは、薬理学的に受容し得る担体溶液、たとえば、水、リンガー液または食塩水も含有する。加えて、本発明の組成物はまた、それらの物理的および生化学的性質に好影響を及ぼし得る他の溶解添加剤、たとえば、アミノ酸、砂糖、食塩、脂肪、脂質、等を含有し得る。
抗微生物性タウリンアミド誘導体を本発明の実施において用いる場合、それらは、生物学的に受容し得る酸または生物学的に受容し得るその塩と組み合わせて用いられる。酸はカルボン酸であることが好ましく、そしてそれは抗凝固剤でもあることが一層好ましい。米国特許第5,077,281号は、タウロリン化合物は独力で顕著な凝固阻止作用を示し、そして透析を必要とする医学的症状においておよび脈管補てつ装置用に単独でまたは他の抗凝固剤、たとえば、クマリンもしくはヘパリンと組み合わせてのいずれかで用いるために特に適合するということを教示する。該特許に指摘されているように、このことは、タウロリンは血液凝固に影響を及ぼさずそして消炎作用を示さないことを明記するところの、W.L.BrucknerおよびR.W.Pfirrmann、「Verlag Urban und Schwarzenberg」、ミュンヘン、1985により出版された「Taurolin」の教示と反対である。本発明の実施において用いられるタウリンアミド誘導体は、より良好な公知の抗凝固剤、たとえば、ヘパリンで見られるより小さい程度であるけれども、ある程度の抗凝固活性を示すということを本発明者は確信している。従って、タウリンアミド誘導体を抗凝固剤好ましくは生物学的に受容し得る酸またはその塩であるものと組み合わせて用いることが有益である。
本発明に従って、抗微生物性タウリンアミド誘導体が、7より高くない、好ましくは約3.5〜約6.5の範囲に、一層好ましくは約4.5〜約6.5の範囲にある最終組成物についてのpHを生じるように、生物学的に受容し得る酸または生物学的に受容し得るその塩と組み合わせられる場合、有益な結果が達成される。かかる酸の例示的なものは、酢酸、ジヒドロ酢酸、安息香酸、クエン酸、ソルビン酸、プロピオン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、塩酸、リンゴ酸、リン酸、亜硫酸、バニリン酸、酒石酸、アスコルビン酸、ホウ酸、乳酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール−ビス−{β−アミノエチルエーテル}−N,N,N′,N′−四酢酸およびジエチレントリアミン五酢酸、等、並びに、前記のものの生物学的に受容し得る塩、たとえば、リン酸アンモニウム、クエン酸カリウム、メタリン酸カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、等である。血液抗凝固量の、クエン酸、リン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール−ビス−{β−アミノエチルエーテル}−N,N,N′,N′−四酢酸およびジエチレントリアミン五酢酸から成る群から選択された酸および生物学的に受容し得るそれらの塩が好ましい。本発明の実施において用いられる酸は、有機酸、特に少なくとも1個のカルボキシル基を有するもの、特にクエン酸またはEDTAであることが好ましい。酸はクエン酸であることが一層好ましく、そしてそれがクエン酸塩、たとえば、クエン酸ナトリウムと組み合わせて用いることが最も好ましい。
Mermel,L.A.等は、Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy(1998)にて発表された「バンコマイシン介在感受性スタフィロコッカス・アウレウス(VISA)およびメチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(MRSA)に対するタウロリジン活性(Taurolidine Activity Against Vancomycin−Intermediate Susceptibility Staphylococcus Aureus (VISA) and Methicillin−Resistant Staphylococcus Aureus (MRSA))」という題目の講演において、タウロリジン活性はpH7.0〜pH5.0の範囲においてpHを低減すると共に増大することを開示した。
EDTAは、採血チューブにおいて用いられる公知の抗凝固剤である。それはまた、カルシウムとキレートを形成するべき能力を有すると知られている。カルシウムは血液凝固において役割を有することが知られている一つの因子であるので、抗凝固活性におけるEDTAの効能の少なくとも一部はこの手段によりもたらされることがあり得ると信じられる。クエン酸ナトリウムもまた、不溶性クエン酸カルシウムを発生するべきその能力により抗凝固性質を有すると信じられる。
前記の酸抗凝固剤は、遊離酸状態にて単独で用い得るが、しかし一層しばしばそれらのカルボン酸基のいくらかもしくは全部が適切な塩基で中和されて用いられまたは同様な塩と組み合わされる。一般に、水溶液中に可溶である塩を形成するカチオン、たとえば、アルカリ金属イオン、たとえばナトリウムまたはカリウムを用いることが望ましい。クエン酸亜鉛も用い得る。ナトリウムまたはカリウム塩、特にナトリウムが通常好ましく、そしてEDTAの二ナトリウム塩およびクエン酸ナトリウムが最も好ましい。
酸および/または塩は、所望の抗凝固効果をもたらすのにおよび同時に生物学的使用にとって適切なpHをもたらすまたはもたらすのを助けるのに有効な濃度にて用いられる。典型的には、本発明の組み合わされた殺生物剤および抗凝固剤の組成物は、約3.0〜約7好ましくは約3.5〜約6.5、一層好ましくは約4.5〜約6.5の範囲のpHを有する。組成物は、通常、生理学的pHにある。必要なら、pHは、追加の酸または塩基、たとえば、鉱酸、たとえば、塩酸、または、好ましくはアシドーシスを引き起こさないもの(たとえば、酢酸、リンゴ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸または乳酸)により調整し得る。当業者に精通されているところのpHを調整するための他の方法もまた用い得る。好ましいところのクエン酸三ナトリウムおよびクエン酸が本発明の実施において用いられる場合、クエン酸三ナトリウムは、典型的には、1リットル当たり約5〜約50グラムの濃度範囲にて用いられる。クエン酸が、次いで、pHを所望のレベルをもたらすのに十分な量で添加される。
本発明の方法は、主として、すでに適所にある内部補てつ装置中への殺生物剤/抗凝固剤組成物を導入することに関するけれども、当業者は、体の外部の人工表面をこれらの組成物と接触させることはその埋没後かかる表面における血液凝塊の付着を防止しおよび細菌増殖にとっての部位の排除を助成し得ることを理解するであろう。かくして、内部補てつ装置は、細菌増殖にとっての好都合な部位を呈する血液凝塊に因る閉塞を予防しそしてそれにより後続し得る感染を予防するために、本発明の実施において用いられる組成物により内面にておよび/または外面にて予備処理し得る。かかる外面処理は、典型的には、組成物を装置の外面上の適所に一時的に保持しそして次いでゆっくりそれらの放出を可能にする手段、たとえば、適合に応じて、多孔性材料、半透膜、カチオンまたはアニオン種、等を用いる。装置の内面は、初めに組成物でそして次いで挿入後上記に参照されるような反復的な周期的フラッシングで処理し得る。
更に、本発明は、主としておよび好ましくは、埋没血液透析カテーテルの開存性および無菌性を維持することに向けられているけれども、有益な効果はまた、他の同様な内部補てつ装置へのその適用により得ることができ、しかしてかかる装置は、排液管、腹膜透析用カテーテル、中心静脈カテーテル、末梢静脈内カテーテル、動脈カテーテル、スワン−ガンツカテーテル、臍カテーテル、経皮非トンネル状シリコーンカテーテル、カフ付きトンネル状中心静脈カテーテル並びに皮下中心静脈ポートを含むが、しかしこれらに限定されない。
本発明の様々な特徴および観点は、更に以下の例において説明される。これらの例は本発明の範囲内における実施の仕方を当業者に示すために呈示されているけれども、それらは、本発明の範囲における限定として供するようには決して意図されていない。
例1
リンガー−乳酸塩溶液(独国ビベラッハのThomae)中のタウロリジンの0.5%溶液を、30mL容積を有する4本のポリエチレンボトルの各々中に導入した。充填容量は、5、10および15mLであった。一つのボトルには、5mLの該タウロリジン溶液および2mLのACD−A(独国バッドホンブルグのFresenius)を満たした。ACD−A溶液は、全血の保存のために用いられ、そして1リットル当たり22.0グラムのクエン酸ナトリウム二水和物、7.3グラムのクエン酸および34.5グラムのグルコース一水和物を含有する。
血液を屠殺場にて雌ブタから屠殺創傷から直接的に該容器中に採集し、しかして該容器をその際30mLのレベルまで満たした。これらの容器に蓋をし、そして穏やかに動かして血液を該溶液と混合した。これらの容器を、30分後検査した。タウロリジンのみを含有する容器中の血液は凝固したが、しかしタウロリジンとACD−Aの混合物を含有する容器中の血液は凝固しなかった。かくして、タウロリジンと組み合わせてのクエン酸ナトリウムおよびクエン酸抗凝固剤の使用は、実質的に高められた抗凝固性を全血にもたらすということが結論される。
例2
本発明の実施において用いられかつ米国特許第5,954,691号に記載されているタイプの皮下に埋没可能なチタン製ポートシステム(以後、DIALOCK(登録商標)ポート)が、この例において用いられる。それは、先端が右心房中に導入される2つの12フレンチシラスチック製カテーテルと連結される。ポートの弁は、上記のような2本の特殊針により開放されて、約300mL/分の血流を許容する。
ポートは、平均年齢が68.9歳である10人の女性および6人の男性の患者に彼等のインフォームドコンセント後、熟練腎臓病学者により埋没された。16人の患者のうち9人は、糖尿病患者であった。この調査についての患者の包含基準は、血液透析のために利用し得る腕において血液アクセス部位をもたらさない管疲はいであった。16人のうち8人は重いうっ血性心不全を患っており、そしてすべてが高い共存症を有していた。患者のうち9人は埋没直後に血液透析を開始し、そしてその他の者は長期の血液透析中でありそしてカテーテルからポートシステムに切り替えた(4人の患者は、誘導ワイヤによる交換)。周術期の合併症は起こらなかった。
好ましい管は右内頸静脈であったが、しかし外頸および鎖骨下静脈もまた用いられた。装置は、今までのところ、11.0年の患者年数の総継続期間用いられてきた。ポートは、すべての計画IIDセッション(n=1200)について用いられた。
装置の内腔内汚染を避けるために、抗微生物剤ロックがセッション間に適用されそして次の処置の前に除去された。この水性抗微生物性殺生物剤ロックは13.3グラム/リットルのタウロリジン、1リットル当たり6.7グラムのクエン酸三ナトリウムおよび1リットル当たりおおよそ3.3グラムのクエン酸を含んでいた。該クエン酸は、pH範囲を4.75〜5.25に調整するために添加された。これらのクエン酸およびクエン酸ナトリウムにより、カテーテルの凝固は防止されそしてヘパリンの適用は不必要であった。
調査の期間中、菌血症(エス・アウレウス(S.aureus))の2つの症状出現が観察され、そして装置の損失なしに首尾よく処置された(1000日当たり0.5感染)。
例3
この例において、例2に記載された皮下に埋没可能なDIALOCKポートが用いられた。
管疲はいが、血液透析患者における増大する問題である。1998年6月から開始する有望な複中心パイロット試用において、31個のポートが、19人の女性および12人の男性の患者(平均年齢66歳,最低30歳,最高81歳)に埋没された。新規装置の受容に加えて、この調査の目標は、いかなる病原微生物に対しても、多抵抗性を有するものに対してさえ、優秀な効能でもって、完全に無毒の殺生物性混合物(抗感染物質としてのタウロリジンおよび凝固阻止用のクエン酸/クエン酸ナトリウムを含有するヘパリン不含殺生物剤ロック)により支持される感染の回避であった。
10個の関与センターにおいて、ポートは、調査の開始以来損失されなかった(3,847日の埋没)。高い共存症にもかかわらず、2人の患者しか、血流関連感染(エス・アウレウス(S.aureus))を経験しなかった。総観察感染は、1000日当たり0.5であった。全身性抗生処置は、成功であった。先在的カテーテル関連敗血症は、5/31の患者に起こった。再発は、皮下に埋没可能なDIALOCK(登録商標)ポートを用いる患者に起こらなかった。
入院は短期であり、そしてアクセスは埋没直後に用いられた。受容は、カテーテルからポートに切り替えた患者(12/31)においてさえ高かった。6/31の患者において、誘導ワイヤによる交換が可能であった。通常の設置技法は、3人の腎臓病学者により適用されたセルディンガーであった。好ましい管は、右内頸静脈(18/31)であったが、しかしすべての他の中心静脈が用いられた。
この調査の結果は、表1に示されている。
カテーテルの不利に比べて、DIALOCK(登録商標)ポートシステムは、入浴を許容し、また非常に安全である。本発明の殺生物剤ロックと結び付いて、感染の危険は低く、また移植と同様な穿刺技法を許容する。装置の寿命は、これから確立されねばならない。
例4
比較例
4つの別々の設備において、例3において上述されたものと同様な、米国における2つおよびヨーロッパにおける2つすなわちA、B、CおよびDの調査が行われたが、但し、用いられたロック溶液は、1mL当たり2,000から10,000国際単位の範囲の濃度におけるヘパリンまたはヘパリン化食塩水であった。米国における調査、すなわち、AおよびBにおいて、ベンジルアルコールもまた、標準保存剤として存在した。これらの比較調査の結果は、表1に示されている。
例5
実験は、人血と接触している時に十分に機能するところの最小タウロリジン/クエン酸塩殺生物剤ロック酸性度を決定するために行われた。様々な殺生物剤ロック酸濃度が、新鮮なヒト全血と重量により50/50にて混合された。pHは、実験的にpH3.0〜pH7.0まで変動された。4.0以下の殺生物剤ロック酸性度において、生じた血液混合物は、殺生物剤ロックとの1時間の接触後固くなり凝固物状になる。この固化は、凝塊が色において非常に暗くそして特質において乾いて見えるので(色または物理的性質において正常でない)、明らかに、殺生物剤ロックの酸レベルおよび正常な血液凝固に因った。殺生物剤ロックの酸性度がpH5.0より高く維持された場合、血液凝固は起こらずそして血液の色は健康な赤色のままであった。かくして、タウロリジン殺生物剤ロックの酸性度についての最も好ましい下限は約5.0である。
例6
敗血症の危険は、埋没静脈カテーテルのアキレス腱である。抗生物質でのロック技法は、普及しておらず、また真菌感染を避け得ない。本発明に従って、抗感染性殺生物剤ロックが、DIALOCKポートシステムと一緒になされる適用のために開発された。皮下埋没DIALOCKポートは、先端が右心房中に導入される2つの12フレンチシラスチック製カテーテルと連結される。ポートの弁は、2本の特殊針により開放されて、300mL/分までの血流を許容する。
充填溶液は、タウロリジン、すなわち真菌および多耐性病原微生物に対して効能を有する抗敗血症物質を含む。クエン酸およびクエン酸ナトリウムと組み合わせにより、カテーテルの凝固は阻止され、またヘパリンの適用は不必要である。該混合物は、絶対的に無毒であり、そしていかなる害も伴うことなく静脈内に注入し得る。装置およびカテーテルの内腔内汚染を避けるために、抗感染性ロックがセッション間に適用されそして次の処置の前に吸引により除去される。
1998年6月に開始する複中心パイロット試用において、28個のポートが、18人の女性および10人の男性の患者(平均年齢68±9歳)にインフォームドコンセント後、3人の熟練腎臓病学者により1999年1月まで埋没された。
8つの透析センターが、この調査に関与した。包含基準は、管疲はいであった。8/28の患者は重いうっ血性心不全を患っており、そしてすべてが高い共存症を有していた。埋没直後の血液透析(HD)の開始は13人の患者であり、その他の患者は長期のHD中であり、そして5人の患者はカテーテルからポートに切り替えた(誘導ワイヤによる交換)。好ましい管は、右内頸静脈(IJV,n=16)であり、その他のものは、左IJV(n=4)、両鎖骨下静脈(n=8)および1人の患者における外頸静脈であった。装置の総継続期間は、9人の患者において6ヶ月より多い3,068日であった。ポートの穿刺は、アルコールでの皮膚消毒後いかなる特殊な手法を用いることなくなされた。
4人の患者は埋没の直前または時間中にカテーテル感染の故に敗血症の症状出現を有した事実にもかかわらず、装置の感染は、更なる経過中起こらなかった。エス・アウレウス(S.aureus)での血流関連感染の2つの症状出現が、調査期間中観察され、そして装置の損失なしに首尾よく処置された(0.65感染/1000日)。一方の患者は、調査の開始の4ヶ月前に脊椎炎を発現しそして埋没カテーテルを有し、そして積極的血液培養を持った他方の患者はエム・クローン(M.Crohn)に因る免疫抑制治療を受けた。
例7
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、エンテロコッカス(Enterococcus)およびシュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)の臨床血液分離菌を、トリプチカーゼダイズブイヨン中に接種し、そして培養物が可視的に濁るようになるまで37℃にてインキュベートした。段階希釈を行って、エス・アウレウス(S.aureus)、エンテロコッカス(Enterococcus)およびシュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)について10コロニー形成単位(cfu)/0.1mL、カンジダ(Candida)について5cfu/0.1mL、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌およびエンテロバクター(Enterobacter)について100cfu/0.1mLの最終細胞密度が得られた。最終希釈液から、0.1mLをDIALOCKポートチューブの各遠位端中に滴注し、そしてDIALOCKポートを室温にて一晩インキュベートした。
インキュベーション後、普通のシリコン製カテーテルを、各DIALOCKポートの両側の遠位端に置いた。5000U/mLのヘパリン(保存剤と共に)の溶液または2%クエン酸化タウロリジンの溶液を該DIALOCKポートの近位端を通じて滴注して、DIALOCKポートおよびカテーテルを満たした。該カテーテルをクランプ固定し、そして該DIALOCKポート/カテーテルを37℃にて72時間インキュベートした。
このインキュベーション後、両方のカテーテルを各DIALOCKポートから取り外し、そして各々を0.1mLの栄養ブイヨンでフラッシングした。各フラッシング物の0.1mLアリコートを血液寒天平板上で培養して、残存生物体の数を決定した。それらの結果は、表2に示されている。
*寒天平板上でカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の増殖なし。しかしながら、おそらくカテーテル外面からの、汚染物(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌およびコリネバクテリウム)の数個のコロニーがあった。**寒天平板上でピー・エロジノーサ(P.aeroginosa)の増殖なし。しかしながら、おそらくカテーテル外面からの、汚染物の2個のコロニーがあった。
本発明の根底にある原理から逸脱することなくなし得る多くの変更および改変にかんがみて、本発明に与えられる保護の範囲の理解のために、請求の範囲が参照されるべきである。