JP5378334B2 - 漂白ポリアクリル酸架橋セルロース繊維 - Google Patents
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Description
本発明は、漂白ポリアクリル酸架橋セルロース繊維と、漂白ポリアクリル酸架橋セルロース繊維を製造するための方法及び使用するための方法とに関する。
セルロース繊維は、おむつなどの吸収性製品の基本構成要素である。これらの繊維は、液体吸収構造を形成するが、これは吸収性製品において鍵となる機能要素である。セルロースフラフ(fluff)パルプは、セルロース繊維の一形態であり、空隙体積の高い又は嵩
高い液体吸収繊維構造が形成されることから、この用途には好ましい繊維である。しかしながら、この構造は湿ると崩壊する傾向がある。繊維構造の嵩が崩壊又は低減すると、湿潤状態の構造において保持することができる液体の体積が低減し、セルロース繊維構造の湿っていない部分への液体の吸い上がりが抑制される。その結果として、乾燥した嵩高い繊維構造の潜在的吸収力が実現されることはなく、繊維構造の湿潤嵩が繊維構造全体の液体保持能を決定する。
の参照文献には、C2−C9ポリカルボン酸で架橋され、個々に区別されたセルロース繊維を含有する吸収性構造が記載されている。これらの個々に区別された架橋繊維から作られた吸収性構造は、高い乾燥及び湿潤弾性を示し、非架橋繊維を含有する構造と比較して湿りに対して改良された応答性を有する。そのうえ、好ましいポリカルボン酸架橋剤であるクエン酸は、比較的低い価格で大量に入手可能であり、このためクエン酸はホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド付加生成物と商業的に競合している。
号を参照のこと。この密度の老化又は逆戻りに対する抵抗は、高分子ポリカルボン酸架橋剤を用いて形成された安定な繊維内架橋に関係している。対照的に、クエン酸により架橋されたセルロース繊維は、無視できない密度の増加を示し、時が経つにつれて嵩及び吸収能の損失を伴う。一般的には、密度の増加は、繊維中の架橋レベルの減少(すなわち逆戻り)を示している。密度増加に加えて、繊維ウェブにおける架橋の損失により、嵩高さが小さいウェブとなり、その結果、吸収能及び液体捕捉能は減少する。
漂白は、パルプのパルプ白色度を上げるための一般的な方法である。フラフパルプの外観を改良するための産業上の慣例は、パルプをこれまでよりも高いレベルの白色度まで漂白することである(紙パルプ技術協会(TAPPI)又は国際標準化機構(ISO))。伝統的な漂白剤としては、元素状態の塩素、二酸化塩素、及び次亜塩素酸塩が挙げられる。しかし、漂白は費用がかかり、環境的に苛酷であり、多くの場合、製造のボトルネックの源である。消費者の好みはより明るく白いパルプについて広まっていることから、製造業者らはこれまでよりも積極的に漂白ストラテジーを追求している。高度に漂白されたパルプは漂白程度の低い等価物よりも“白い”が、これらのパルプは依然として黄白色である。黄白色の製品は望ましくない。消費者が黄白色と比較して明らかに青白色を好むことを示唆する研究は無数にある。青白色はより白い、すなわち「新鮮」、「新しい」、「清潔」と知覚されるが、黄白色は「古い」、「色褪せた」、「汚い」と判断される。
リ溶液により仕上がり繊維のpHを約4.5から好適に5.5−6.5まで上げている。このことと、酸化性漂白剤とを組合せることにより、クエン酸架橋繊維の「いぶしたような焦げた」においの特徴は排除される。また、酸化性漂白剤は最終製品の白色度を増すのに役立つ。
一の側面において、本発明は、漂白ポリアクリル酸架橋セルロース繊維を提供する。本発明の漂白ポリアクリル酸架橋セルロース繊維は、1種以上の漂白剤で処理されており高い嵩と改良された白さとを有する架橋セルロース繊維を提供する、ポリアクリル酸架橋セルロース繊維である。
一の側面において、本発明は、漂白ポリアクリル酸架橋セルロース繊維を提供する。本発明の漂白ポリアクリル酸架橋セルロース繊維は、1種以上の漂白剤で処理されており、高い嵩と、以下に説明する白さ指数(Whiteness Index)により測定して、改良された白
さとを有する架橋セルロース繊維を提供する、ポリアクリル酸架橋セルロース繊維である。この漂白ポリアクリル酸架橋繊維は、漂白剤で処理されていないポリアクリル酸架橋繊維と比較して高い白さ(すなわち、大きい白さ指数)を有する。
、これらは各々全体として参照により本明細書中に明示的に援用される。
を挙げることができる。一の態様においては、架橋触媒は次亜リン酸ナトリウムである。使用する触媒の量は、乾燥繊維の全重量に基づいて約0.1〜約5重量パーセントで変化させることができる。
である。
などの、他の化学物質で前処理した繊維を使用してもよい。更に、複数の前処理を組合せて使用してもよい。
に記載されるような系と装置により調製してもよい。簡単には、セルロース繊維のマット又はウェブを繊維処理帯域を通して輸送するための運搬装置;繊維処理帯域にて処理物質を供給源から繊維に施用するためのアプリケーター;マットを構成する個々のセルロース繊維を引き離して、実質的に破壊されておらず本質的に単一にされたセルロース繊維から
なる繊維出力を形成するためのファイバライザー;残留水分をフラッシュ蒸発させるための、ファイバライザーに連結された乾燥機;及び、乾燥させ硬化させた架橋繊維を形成するための、繊維の付加的加熱のための制御温度帯域と架橋剤を硬化させるためのオーブンを含む系及び装置により繊維を調製する。
約20ポンド(約0.05〜約9kg)の過酸化水素で処理することができる。一の態様においては、繊維1トンあたり約0.1〜約10ポンド(約0.05〜約5kg)の過酸化水素で繊維を処理する。別の態様においては、繊維1トンあたり約0.1〜約2ポンド(約0.05〜約0.9kg)の過酸化水素で繊維を処理する。
ポリアクリル酸架橋セルロース繊維は、サザンパインクラフトパルプ繊維(CF416,Weyerhaeuser Co.)を、ポリアクリル酸(ACUMER 9932, Rohm & Haas)(繊維のオーブン乾
燥重量全体に基づいて4重量%のポリアクリル酸)及び次亜リン酸ナトリウム(繊維のオーブン乾燥重量全体に基づいて0.7重量%)で処理することにより調製し、その後、表1に記載し表2に特性付けるように、再加湿して漂白させた。次いで、処理済み繊維を193℃で8分間硬化させた。これら繊維を、水又は表1に説明する漂白剤(すなわち、過酸化水素(H2O2)/水酸化ナトリウム(NaOH))を含有する水により再加湿した。
書によれば、白は、“顕著な明度をもつ物体の色であり、可視スペクトル全域にわたる殆ど全ての入射エネルギーを拡散して反射する物体に属すると特質上感じられる色”と定義される。名詞又は形容詞として使用する場合、白は“色がない”と定義される。殆どの天然産物や多くの人工製品は、“色がない”ということはない。“白い”製品がフラフパルプ、紙、織物、プラスチック、又は歯であるか否かにかかわらず、殆ど常に、白以外の固有の色が製品に付随して存在する。ここで二つの仮定的な物体を考える。第一の物体は、Websterの白の定義を満たし、反射率の高い一様なスペクトルを特徴とするものであり、
第二の物体は、第一の物体に少量の青色着色料を添加したものである(スペクトルは一様でなくなる)。たとえその全反射率が一定のスペクトル領域において低いとしても、殆どの人は第二の物体がより白いと判断するであろう。更に、人間の色覚の主観性に関しては、無意識に一定の関連付けがなされる。青白色は“きれいで純粋”と関連付けられる一方、“黄白色”は“汚い、古い、又は不純”の象徴である。結果として、充填材及びその色合いが適切である(例えば、赤−青、緑−青)着色料のタイプや量と、対象に対する最適な光学的処方とが、多大な関心を払われる主題となっている。
関している。TAPPI白色度が等しい二つの製品間で選択権を与えられた場合、人間は通常
、白さの属性が高い製品を好む。CIE白さの適用は、そのような白さの属性の唯一の指標
である。同様に、比較される製品より白さの高い製品は、それが低い白色度を示す場合であっても、好ましい。北アメリカにおけるTAPPI白色度と、残りの全世界にわたるISO白色度は、製品の“白さ”を粗く定量するために使用されるパルプ及び紙産業の特別な標準規格である。TAPPI又はISOのいずれの標準規格が適用されるかにかかわらず、白色度は457nmの有効波長で測定される製品のパーセント反射率と定義される。一般に、当産業では白色度が高いとは白さが高いことを意味すると認識されるが、必ずしも常にそうではない。白色度は可視スペクトルの青色端において行われる帯域限定測定であるから、本質的には製品がどれだけ青いかを測定している。白色度の表示に依拠すれば、TAPPI白色度を
最大にすることができ、更に白ではなく青く見える製品を製造することができる。白色度は、製品がどれだけ白いかという示度をほとんど提供しないし、その明度、色相、又は彩度について何も示さない。白さの表示としてこれでは不充分である。このように、白さが主目的である場合に白色度を追求するのは危険である。
に示す:Lは明度を示し、黒色を示すゼロから完全な白色を示す100まで増加する;aは、プラスは赤色を示し、マイナスは緑色を示し、ゼロは灰色を示す;そしてbは、プラスは黄色を示し、マイナスは青色を示し、ゼロは灰色を示す。反対色の概念は、1878年にへーリングによって提唱された。1940年代以来、数多くの測定可能なL,a,b次元は、CIEドキュメントNo.15に定義される、それらをCIE XYZ 3刺激値に関連させる等式により定義してきた。所与の色について測定された値は、それらの値が表される色空間に依存する。[TAPPI 1213 sp-98“光学的測定用語法(Optical measurements terminology)”(紙の外観評価に関する)]。
)であり、R(X)は絶対赤色反射率(595nm)であり、R(Y)は絶対緑色反射率(557nm)であり、R(Z)は絶対青色反射率(455nm)である。次いで、CIE
三刺激関数X,Y,及びZを次の等式にしたがって計算する:X=0.782R(X)+0.198R(Z),Y=R(Y),及びZ=1.181R(Z)。次に、L値,a値及びb値を、確立された等式を用いて算定する(Technibrite Micro TB-1C Instruction Manual TTM 575-08, 1989年10月30日)。白さ指数,WI(CDM-L)は、TAPPI T 1216
sp-98(TAPPI 1216 sp-98“白さ、黄色度、白色度、及び発光反射率ファクターについての指数(Indices for whiteness, yellowness, brightness and luminous reflectance factor)”)にしたがった等式,WI(CDM-L)=L−3bにより計算した。
であり(サンプルC)、水酸化ナトリウム有りで0日で6.13(サンプルG)であることが分かる。水酸化ナトリウム処理材料は、約1ポイントのアドバンテージがある。しかし、14日の暗所貯蔵後には、水酸化ナトリウムで処理したサンプル(G)は、5.95で本質的には変わらないが、水酸化ナトリウム無しのサンプル(C)のハンターbは3.51まで低下した。水酸化ナトリウム処理材料は、水酸化ナトリウムを施用していないサンプルと比較して、2ポイント以上のアドバンテージをあけられている。概して、最良の結果は、白さ指数の増加が示すように、時間の経過(例えば、14日間)により得られ、過酸化水素のみでの処理により達成される(サンプルB−Dを参照のこと)。
Claims (12)
- 架橋後に過酸化水素単独で処理した、ポリアクリル酸で繊維内架橋されたセルロース繊維であって、
過酸化水素単独で処理した個々のポリアクリル酸繊維内架橋繊維の白色度指数が、個々のポリアクリル酸繊維内架橋繊維の過酸化水素単独処理から1日後に測定した第1の値から、過酸化水素単独処理から14日後に測定した第2の値まで向上し、この白色度指数の向上が、同じ期間において、過酸化水素と水酸化ナトリウムを併用して処理した場合よりも大きい、上記セルロース繊維。 - ポリアクリル酸で繊維内架橋された個々の繊維を含有する空気流れ中に過酸化水素単独を吹き付けることを含む、個々の漂白ポリアクリル酸繊維内架橋セルロース繊維の製造方法であって、
過酸化水素単独で処理した個々のポリアクリル酸繊維内架橋繊維の白色度指数が、個々のポリアクリル酸繊維内架橋繊維の過酸化水素単独処理から1日後に測定した第1の値から、過酸化水素単独処理から14日後に測定した第2の値まで向上し、この白色度指数の向上が、同じ期間において、過酸化水素と水酸化ナトリウムを併用して処理した場合よりも大きい、上記方法。 - 過酸化水素を繊維1トンあたり0.1〜20ポンド(0.05〜9kg)の量で繊維に施用する、請求項2に記載の方法。
- 個々の漂白ポリアクリル酸繊維内架橋セルロース繊維を含む吸収性製品であって、
個々の漂白ポリアクリル酸繊維内架橋セルロース繊維が、過酸化水素単独でさらに処理した、ポリアクリル酸で繊維内架橋された個々のセルロース繊維を含んでなり、
過酸化水素単独で処理した個々のポリアクリル酸繊維内架橋繊維の白色度指数が、個々のポリアクリル酸繊維内架橋繊維の過酸化水素単独処理から1日後に測定した第1の値から、過酸化水素単独処理から14日後に測定した第2の値まで向上し、この白色度指数の向上が、同じ期間において、過酸化水素と水酸化ナトリウムを併用して処理した場合よりも大きい、上記製品。 - 該製品が、布巾、ティシュー又はタオルである、請求項4に記載の製品。
- 該製品が、幼児用おむつ、成人用失禁製品又は婦人用衛生製品である、請求項4に記載の製品。
- 架橋後に過酸化水素単独で処理した、ポリアクリル酸で繊維内架橋されたセルロース繊維であって、
過酸化水素単独で処理した個々のポリアクリル酸繊維内架橋繊維のハンターb値が、個々のポリアクリル酸繊維内架橋繊維の過酸化水素単独処理から1日後に測定した第1の値から、過酸化水素単独処理から14日後に測定した第2の値まで減少し、このハンターb値の減少が、同じ期間において、過酸化水素と水酸化ナトリウムを併用して処理した場合よりも大きい、上記セルロース繊維。 - ポリアクリル酸で繊維内架橋された個々の繊維を含有する空気流れ中に過酸化水素単独を吹き付けることを含む、個々の漂白ポリアクリル酸繊維内架橋セルロース繊維の製造方法であって、
過酸化水素単独で処理した個々のポリアクリル酸繊維内架橋繊維のハンターb値が、個々のポリアクリル酸繊維内架橋繊維の過酸化水素単独処理から1日後に測定した第1の値から、過酸化水素単独処理から14日後に測定した第2の値まで減少し、このハンターb値の減少が、同じ期間において、過酸化水素と水酸化ナトリウムを併用して処理した場合よりも大きい、上記方法。 - 過酸化水素を繊維1トンあたり0.1〜20ポンドの量で繊維に施用する、請求項8に記載の方法。
- 個々の漂白ポリアクリル酸繊維内架橋セルロース繊維を含む吸収性製品であって、
個々の漂白ポリアクリル酸繊維内架橋セルロース繊維が、過酸化水素単独でさらに処理した、ポリアクリル酸で繊維内架橋された個々のセルロース繊維を含んでなり、
過酸化水素単独で処理した個々のポリアクリル酸繊維内架橋繊維のハンターb値が、個々のポリアクリル酸繊維内架橋繊維の過酸化水素単独処理から1日後に測定した第1の値から、過酸化水素単独処理から14日後に測定した第2の値まで減少し、このハンターb値の減少が、同じ期間において、過酸化水素と水酸化ナトリウムを併用して処理した場合よりも大きい、上記製品。 - 該製品が、布巾、ティシュー又はタオルである、請求項10に記載の製品。
- 該製品が、幼児用おむつ、成人用失禁製品又は婦人用衛生製品である、請求項10に記載の製品。
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