JP5373983B1 - 全熱回収再利用による自立式かつ自律式の保温兼保湿マスク - Google Patents

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Abstract

【課題】人体から出る呼気には必要且つ十分な温度・湿度が含まれ人体にとって理想的なものです。この全熱エネルギーの全てを外部からエネルギーや制御作用を加えることなく回収し、そっくり吸気に付与し再利用する。
【解決手段】呼気の全熱エネルギーのすべてを回収し得る熱容量を持った固体熱媒体を用い、その形状および寸法を細線状あるいは繊維状とし表面積の体積に対する比率を著しく大きくした上で偏在させず分散配置する。分散され孤立し断熱状態にある熱媒体では、呼気あるいは吸気の熱媒体通気層内通過時間に比べはるかに短時間内に温度が飽和し散逸も起こらない。結露した水分は細線あるいは細繊維の表面に熱と共にとどまり、吸気に際し過不足なく気化することが出来る。汎用材料及び汎用技術で達成でき、かつ高い機能を単純で簡素な構造に集積した。
【選択図】図1

Description

本願発明は人体用の自立式かつ自律式保温兼保湿マスクに使用する熱媒体の材質、重量、構造及び形状などに関わるものです。マスクには防塵マスク、防毒マスク、防寒マスクのほか衛生マスクなど種々のものが存在します。本願は防寒マスクに属します。
はじめに、内容をより正確に伝えるため使用する用語の定義や用法などについてあらかじめ説明します。本願では正式名称などを使用することを心がけますが、より広く使われているものなどについては通称なども使用します。
「マスク」:JISでは呼吸用保護具と呼称されますが、通称に従いマスクと記します。
「マスク外殻」:マスクを構成する各要素を所定の位置に収容保持し、人体に装着する機能を持つ本体部分。
「マスク内の通気空間(通気道)」:人体からマスク外の空間までの呼吸気の通過する空間。
「全熱エネルギー」:顕熱及び潜熱はいずれも熱エネルギーですが、両者を合わせた熱エネルギーの合計である事を強調する際に用います。
「熱媒体」:呼気と吸気間の全熱エネルギーの授受に介在する物質 本願では固体です。
「熱媒体通気層」:通気性を有する熱媒体の集合ないしは集積した空間領域。多くは細線や細繊維で出来た編み物状や織物状あるいは不織布様のものが偏在せず分散分布していますが、連通孔で出来たスポンジ状のものもあります。
「熱伝導」:物質内の熱の移動。
「熱伝達」:流体(呼吸気)と固体(熱媒体)間の界面を介した熱の移動。
「熱容量」:物質の比熱と質量(重量)の積。
「容積密度」:「密度」は素材に固有の値です。「容積密度」とは「熱媒体通気層」内の空間の単位容積内に存在する熱媒体の質量として使用します。本願では素材の「密度」の数分の一から数百分の一の程度となります。
「自律式」:所定の機能を外部の制御を必要とせずそれ自体が本来的に備えている方式。
「自立式」:外部の動力やエネルギーの供給を必要とせず自呼吸の力のみで可能な方式。
断熱(状態)」:マスクの通気道は近似的に外部と熱的に遮断されていると仮定します。厳密には通気抵抗に抗して呼気、吸気を駆動させるエネルギー(圧力)を加えるため断熱ではないが授受するエネルギー量に比し無視できる程度に少ないので近似的に断熱と見做します。
「質量」「重量」:本願では、実質的に相違がないので同義語として扱います。
「呼吸率」:呼吸時の単位時間当たりの使用空気量(非特許文献3参照)。
等価円」:熱媒体素材の多くは固体で、細い線状あるいは繊維状などです。これらの断面は必ずしも円形とは限りません。これら断面の周長と等しい周長を持つ円を等価円とします
擬似円形」:細線や細い繊維などは断面が円形の物が多いですが、多角形の物もあれば楕円形など円形の変形した物など多種に及びます。これらを擬似円形とします。
人体用の防寒マスクは健康な人にとっても役割の重要性が大きいのです。例えば、インフルエンザの予防にとって乾燥は大敵です。一方寒い時期の呼吸による体温および水分の散逸は基礎代謝の大きな部分を占め、特に病弱者や高齢者には負担が大きく体力の消耗となります。対策として加熱式の「濡れマスク」のほか、病院などの屋内施設では電動式「加湿装置」などが利用されていますが、何れも外部エネルギーを必要とします。加熱式でない濡れマスクもありますが、寒い時期の外気では蒸発に必要な大きな潜熱を賄う事は出来ず実質機能しないのが現状です。そのほか飛沫防止に用いる衛生マスクは、冷たい外気が直接肌に当るのを防ぎ体感的には緩和効果はありますが、吸入空気の温度および湿度は改善されず呼吸器官への効果はありません。日常生活に支障のない自立式かつ自律式で効果的な用具は見当たらないのが実情です。
特開2007−319421 吸収性コア、及びこれを収容するマスク 特開2009−285370 吸収性コア、及びこれを収容するマスク 特開2010−82278 マスク 特開2003−62098 保湿マスク 特開2001−178837 呼吸加湿具並びにマスク等の補助具 特開2007−276 衛生マスク 特開2010−35563 立体マスクとその使用方法 特開2007−282720 保湿性を有するマスク用布およびそれを用いた衛生マスク 特開2009−247614 衛生マスク 実用新案登録第3152585号 温熱機能付きマスク 特開2010−151344 全熱交換器 特開平6−335535 マスク 特開平11−253567 マスク
機械工学便覧 改訂第4版 日本機械学会編修(昭和42年2月20日発行) 金属便覧 第3版 日本金属学界編(昭和42年3月20日発行) 「行動別日本人の呼吸率と生活時間」放射線医学総合研究所 ラドン濃度測定・線量評価委員会(1998)
体力への負担を抑制しつつ日常生活に支障がないよう、自立式かつ自律式、軽量、簡便十分な保温及び保湿機能を有するものとすることが課題です。具体的には外部動力を使用することなく、呼気と吸気それぞれの全熱エネルギーすなわち温度および湿度を数秒の短い呼吸の期間内に熱媒体を介して効率よく授受し入れ替えると共に新鮮な空気との置換も確保することです。通常、呼気から熱媒体への熱エネルギーの回収段階では両者ともに平均温度に低下し、吸気への付与段階でもそれらの平均温度に更に低下します。結果として再利用効率が大きく低下します。本願発明は、熱媒体によって呼気の全熱エネルギーを近似的に全量回収し、吸気に際し回収した全熱エネルギーを近似的に全量再利用する手段を見出したものです。使用者にとっての理想的な温度と湿度に調整された吸入器です。言い換えれば、自呼吸の力のみで最適条件の空気が得られる吸入器となるのです。
先ず、全ての熱エネルギーが授受し受け渡されるには、熱媒体の熱容量が呼気の持つ全熱エネルギーを吸収しうる値でなければなりません。例えば、熱媒体の熱容量が不足の場合、熱媒体は呼気の熱エネルギーの一部を吸収しきれずに外部に捨ててしまわざるを得ません。同一熱容量でも温度を高くすれば収容エネルギーを大きく出来るのですが、熱媒体の温度を呼気の温度以上に上昇させることが出来ないのです。逆に熱媒体の熱容量が大きすぎる場合も熱媒体の到達温度が呼気の初期の温度に到達できず、同様の理由で吸収した熱エネルギーの全てを吸気に受け渡すことが出来ず熱の損失が生じます。さらに、呼吸では数秒程度の短い期間内に熱媒体の固体と呼吸気の気体すなわち空気との間での熱伝達、固体内での熱伝導による全熱エネルギーの授受を飽和完了させることが必要となります。そのためには次の二つの事項が必須です。一つは呼気と熱媒体及び熱媒体と吸気の間での熱伝達率が必要な全熱エネルギーを所定の時間内に十分授受しうる値を有し、授受された全熱エネルギーがそれ以上の速さで内部に熱伝導され遅滞なく媒質内で飽和に達することです。二つめはこれらの熱が散逸せずその場に留まる、すなわち断熱隔離されている事です。
全熱エネルギーの授受飽和と滞留なのです。熱媒体素材の表面積を体積に対し相対的に大きくすることで上記の二事項が同時に達成できるのです。その手段として熱媒体を細線状、中空又は中実の細繊維状あるいは連通穴で構成されるスポンジ状など、細分化し体積あたりの表面積を出来るだけ大きくします。細く、薄くすれば熱は早急に内部に伝わり、長さ方向には流れにくくなるのです。熱媒体の材質に関しては固体で、金属、合金、合成樹脂あるいは天然素材の別を問いません。一方、呼吸に伴う通気抵抗を小さくし使用者の負担が過大にならないよう配置する構造上の配慮も重要です。方法の一例として、繊維を織物シートとしてギャザー状に変形させ波打たせてフワーッと重ね集積するなどが有効です。
次に具体的な方法を述べます。先ず「マスクの構成」を、続いてマスク内での熱エネルギーの授受の仕組みの原理を「基本モデル」で、さらに基本モデルで得られた知見に基づき実際のマスクに適用するのに必要な要件を織り込んだ「実用化モデル」で、の三段階に分けて説明します。説明は熱エネルギー「顕熱」で進めますが、全熱エネルギーにそのまま適用できます
試算 上述のモデルなどで得られた知見に基づき、試算により上記の前提としている条件の可能性を定量的に確認します。試算では基準となる人物を設定し、典型的な呼吸率「1m /h」を選び関連する呼吸の基礎数値の確認、典型的な冬の外気条件「5℃、相対湿度20%」などを選びます。その上で呼気または吸気と固体間の界面での熱伝達量の算定、熱媒体内の熱伝導速度と平衡までの時間の影響、伝達された熱の断熱隔離の程度の評価考察などを実施します。
呼吸に関する基礎数値 以下の試算では、呼吸の空気量(呼吸率)1[m/h]を基準とします。(非特許文献3参照) 呼吸回数は私自身の測定平均値12[回/分]とし、呼気及び吸気はそれぞれ一回当り2.5秒間としています。空気の比重は1.3[g/L]です。呼吸率[m/h]には、「睡眠と安らかな横臥」(0.37)から「速やかな歩行」(1.93)までと大きな幅があります。
呼気中の水分量は呼気35℃、相対湿度100%とすれば0.055[g/回]、吸気中の水分量は、吸気5℃相対湿度20%とすれば0.002[g/回]です。呼気中の全熱エネルギーは潜熱と顕熱をあわせ45[cal]、吸気中の全熱エネルギは3.1[cal]故、回収し移行させるのは42[cal]です
必要な熱媒体の熱容量及び質量
(吸収すべき熱エネルギー量)=(熱容量)*(吸収しうる温度差)
(熱容量)= 42/30[cal/℃]=1.4[cal/℃]
(熱容量)=(比熱)*(質量)
熱媒体量は、銅15.2g、アルミ6.5g、フェノール3.8g、ほかポリプロピレン、ポリエチレン、銀、チタン、ステンレス、天然繊維などが利用できます。中でもポリプロピレンは比重が小さく、吸水性のないことから有望な素材の一つです。熱媒体の比熱[cal/g℃]は、銅0.092、アルミ0.214、銀0.056、チタン0.126、ステンレス0.12、フェノール0.38、絹0.32、ほかポリプロピレン、ポリエチレンなどです。
熱伝達量の算定 本算定では、上記で得られた熱媒体の必要量、銅「15.2g」を例として試算します。細線でできた網目状で層状の集合体を想定し、細線の直径を20ミクロンとします。界面を通じての熱エネルギーの授受の算定に関してはいくつかのモデルがあります。
ボイラーの設計などに用いられる 「a. 流れに直角におかれた1個の円管外面の熱伝達(表面温度一定) d:円管外径m,l:円管長さm,u:円管から遠く離れたところの流速m/s, t :円管から遠く離れたところの流体温度℃, ν:流体の動粘性係数 , a:流体の温度伝導率m/s, λ:流体の熱伝導率kcal/mh℃, t:円管外面の温度℃, Q:円管表面から対流により単位時間に伝達される熱量kcal/h, αcm:円管表面の平均熱伝達率kcal/mh℃で αcm=Q/πdl(t− t),……添字fは… 」の実験式(105)や「……c. 流れに直角におかれた円管群……」の実験式(107)などです。(機械工学便覧 抜粋)
{(αcm*d)/λf}=c1{(u*d)/ν}n1 ……(105)
ここで
d: 円管外径[m]・・・20*10−6
l: 円管長さ[m]・・・5.4*10
u: 円管から遠く離れたところの流速[m/s]・・・0.22
t0: 円管から遠く離れたところの流体温度[℃]・・・35
tw: 円管外面の温度[℃]・・・5
νf:流体の温度(t0+ tw)/2 での動粘性係数[m/s]0.154*10−4 (20℃)
a: 流体の温度伝導率[m/s]・・・0.089(40℃)(注;内挿値)
λf: 流体の温度(t0+ tw)/2 の熱伝導率[kcal/mh℃]・・・0.0220 (20℃)
n1: 0.618 c1: 0.174
(第25表より uf: 0.22/(0.154*10−4))
αcm:円管表面の平均熱伝達率 [kcal/m h℃]・・・88.2
αcm=Q/πdl(t- t)=88.2
Q=88.2*πdl(tw− t0)
=88.2*π*2*10−5*5*10*30=831[kcal/h]
=231 [cal/s]
一方、呼気及び吸気の移行対象熱量は 42/2.5 [cal/s]=17[cal/s] 適用実験式(105)
「表面温度一定」に対する補正係数「1/2」を考慮に入れると、231*1/2=116[cal/s]となります。この結果15.2grの銅の細線の場合、直径を20ミクロンとすれば必要な移行熱エネルギー量 17[cal/s]に対し116[cal/s]と数倍の能力を持つことが確かめられました。尚、実験式(107)式からも同程度の結果が得られます。
伝達熱の内部伝導と飽和と平衡 次に、流入した熱エネルギーがどの程度の速さで内部に伝わり飽和し平衡に達するか概算します。モデルとして、細線の半径「10ミクロン」に等しい厚みを持つ銅の平板を考えます。平板の表面の温度は呼気の温度「35℃」、裏面の温度を外気温「5℃」とします。平板の面積 S[m]=πdl=π*20*10−6*5.4*10=0.34[m]
一方、銅の熱伝導率を「341」[kcal/mh℃]とすると、概略「十の九乗[cal/s]」程度となり呼気吸気の[45cal/2.5s]に比べ圧倒的に大きく瞬時に飽和平衡に達すると見做せます。熱伝導率の高い銅では当然の事ですが、3桁小さい合成樹脂や4桁小さい絹繊維の場合でも同様、瞬時に飽和平衡に達することが分ります。なお、呼気から熱媒体への移行と熱媒体から吸気への熱の移行は厳密には同じ値にはなりませんが、本願の基本機能を定量的に把握し確認するための概算では同様とみなして差し支えはありません。
断熱隔離の程度 熱媒体に移行した熱エネルギーが引き続く移行完了までの間に散逸する程度について考察します。熱媒体通気層内では同一温度で共存しているため熱の移動散逸は起こりません。起こりうるのは温度の異なる外面と接している面からの、強制対流ではなく自然対流によるものだけです。面積は、多く見積もっても5*5=25cmです。熱媒体表面積0.34mの1%以下で無視できる程度です。細線化された熱媒体内での長さ方向の熱伝導は呼吸気の通過速度に比べ十分に遅く、一方半径方向の熱伝導量は界面での熱伝達量に対し十分大きな値を有し迅速に平衡に達し断熱隔離の状態が吸気への付与まで十分に保たれる事になります。
総合評価 試算及び概算は20ミクロンの細線で行いましたが、これらを総合し考察した結果直径を50ミクロンとしても所定の機能が得られると評価できました。従いこれを請求項1として申請しています。前述しましたが、これら機能は顕熱同様潜熱についても成り立ちます。温度だけでなく結露した水分も細線表面に散逸することなく留まり、冬場のメガネの曇りが消滅するように吸気に際し湿分となって吸入されるのです。
本願のマスクには、通常のマスクにはない際立った特徴のあることも分りました。熱容量が必要以上存在しても熱エネルギーの回収再利用の機能には支障のないことです。他方必要量に満たない場合は、回収熱エネルギーの不足のため吸気の温度が途中でステップ状に低下し、人体にサーマルストレスを掛けることになります。用途に見合った必要な熱容量を確保することが肝要です。「大は小兼ねる」のです。これを根拠に請求項4を請求しています。
使用上の留意事項 使用に際し留意いただきたいことを記します。熱媒体は金属のほか合成樹脂、天然素材など広く特性にあわせ利用頂けますが、経年劣化、環境劣化及びアレルギー対応などに留意いただきたいこと及び「ウイルス」などの繁殖をさせないよう清潔さの維持に努めていただきたいことです。
体力の消耗を軽減し健康維持に大きく寄与すると共に、インフルエンザなどの予防にも大きな効果を発揮します。
マスクの構成 熱媒体による熱エネルギーの授受移行の機能を発揮させる典型的な自立式かつ自律式マスクの構成の一例を示したものです。 基本モデル 本願における呼吸気と熱媒体との熱エネルギーの授受の仕組みないし原理を四段階に分けて説明しています。 実用化モデル 図3は、図2で得られた知見に基づきより現実的なモデルで熱の移行を説明したものです。 図4は、図3の基となる数値計算の結果です。
マスクの構成 熱媒体による熱エネルギーの授受移行の機能を発揮させる典型的な自立式かつ自律式マスクの構成の一例を示したものです。各構成要素の作用などは以下の通りです。1「マスク外殻」は他の構成要素などを内部に収容保持します。2「防滴布(外)」は外部からの雨滴などが熱媒体に付着するのを防止します。3「熱媒体通気層」は呼気及び吸気が熱媒体との間で全熱エネルギーの授受を行う集合体です。内部空間には微細な固体の熱媒体が分散分布しています。4「防滴布(内)」は呼気に混じった飛沫が熱媒体に付着するのを防止します。防滴布(外)と共に、熱媒体通気層とは分離でき着脱可能です。材質についても布質に限らず紙質のものなども使用できます。5「顔面」は説明を省略します。6「緩衝材」はマスク周辺部での呼吸気の漏洩防止と共に顔面との接触を緩和します。7「開口群領域」は外殻にスリット状に設けた複数の開口部が集まっている領域です。各スリットは上方、前方、側方からの風雨の直接吹き込みを防ぐため庇状の構造とし下方、後方との通気を促します。8「通気道(通気空間)」は顔面からマスク外殻内面までの、呼吸気の通過する領域で、外界とはほぼ断熱されています。自呼吸の駆動エネルギーは授受対象の全熱エネルギーに比べ無視しうる程度に小さい値です。
図1「マスクの構成」が実施例です。熱媒体として「銅 15.2g」を使用した、直径20ミクロンの細線による定量的な実現の可能性の各種試算も具体的な実施例です。その他、熱媒体として合成樹脂「フェノールの場合は3.8g」、天然素材、銅以外の金属なども十分に実用に値します。また、別の角度から実施可能な例として挙げられるのは、使用環境や使用対象に応じて熱媒体の量をクラス分けしたりなどです。
基本モデル 本願における呼吸気と熱媒体との熱エネルギーの授受の仕組みや原理を四段階に分けて説明しています。但し実際の現象は無限大段階に分かれた連続事象です。日常の経験では、呼気や吸気が熱媒体と接触すれば平均化され両者共に同じ温度になります。
例えば、40度の湯1リットルと0度の水1リットルを混合すれば20度のぬるま湯2リットルとなります。しかし、一定の条件を満たした場合、40度の呼気のうち前半分は近似的にその熱エネルギーの全てを熱媒体に与えて熱媒体の前半分を40度に上昇させ自らは0度となります。
残りの後半分は40度のまま留まることが出来るのです。すなわち熱エネルギーの質(温度)を低下させずに移行させることが出来るのです。これを図2で説明します。熱媒体は固体ゆえ密度は通常呼吸気すなわち空気の千倍以上ですが、本モデルでは原理説明の単純化のため熱容量の空間での容積密度は呼気と同一としています。尚、熱媒体はエネルギーの効率的な授受の目的で微細化し空間に分散配置しているものとします。
第一段階では、第1/4分割呼気が第一領域に入り熱媒体と熱平衡に達します。このとき熱媒体及び呼気の温度は共に50%(20℃)となります。これがAの状態です。第二段階では第2/4分割呼気が第一領域に入り、第1/4分割呼気は押し出され第二領域に入り、それぞれの領域で熱平衡に達し、75%及び25%となります。これがBの状態です。同様に進行し最終的にはDの状態に達します。図の「薄い塗りつぶし」の状態です。分割の無限大すなわち連続事象では、熱媒体の前半分は40度に漸近するのです。仮想段階E〜Gは、第一領域〜第四領域に残留し共存する呼気に仮想的に押し出す駆動力を作用させA〜D段階と同様に順次熱エネルギーを熱媒体に移行させます。その結果、より高い温度領域での移行が促進され、75%の移行となり「濃い塗りつぶし」分布となります。本モデルでは熱媒体通気層と呼気の体積を同じとした為、仮想段階の状況は起こりえません。また、呼気が熱媒体通気層に留まるため呼吸本来の機能「新鮮な空気との置換」もできません。現実には熱媒体通気層の体積を呼気の体積よりはるかに小さく出来ます。これが実用化モデルです。さらに分割を細分化し、連続化したものが実際の現象です。熱媒体が断熱隔離されていない場合は熱平衡到達時には両者共に温度が50%に低下しますが、隔離された状態での順次移行では大部分が前半の高い温度領域で移行が行われます。
ここで「一定の条件」とは以下の3点です。(1)熱媒体が呼気の持つ全熱エネルギーを収容できる熱容量を持っていること(2)その形状、寸法及び配置が数秒程度の短い呼吸の期間内に全熱エネルギーを授受、飽和し熱平衡に到達せしめうる能力を与えるものであること(3)その配置、配列及び構造が授受された熱エネルギーが呼吸の期間中散逸せず留まりうる能力を与えるものであること、です。(1)〜(3)の具体内容の例を以下に示します。
先ず熱容量について、同じ熱容量でも温度を高くすれば収容するエネルギーも大きくなります。しかし熱は温度の高いところから低いところへは流れますが、逆には流れません。従い呼気の持つ温度での熱容量が必要です。次に呼気から熱媒体への熱伝達能力について、伝達される熱量は両者が接する界面の面積及び時間に比例します。従い、限られた時間内に定められた熱を伝達するためにはそれに見合った面積が必要となります。一方伝達された熱は内部に向かって熱伝導で伝わり拡がってゆき、熱平衡に達します。限られた時間内に平衡に達するには伝達された熱量に見合った小さな熱容量が要求されます。これらを考え合わせると細い線状ないし繊維状とするのが望ましいのです。同じ質量の熱媒体でも細分化すれば体積に対する表面積の比率が比例して増加します。最後に、伝達され平衡に達している熱エネルギーを引き続く吸気への付与まで散逸させずとどめるためには微細化された熱媒体がそれぞれ断熱隔離状態であることが必要です。上述の線状あるいは繊維状の熱媒体をある程度の間隔を保ち互いに点接触程度のゆるい網状あるいは織物状とし積層するなどで実質的には断熱隔離状態を実現できます。
実用化モデル 図3は、図2で得られた知見に基づきより現実的なモデルで熱の移行を説明したものです。熱媒体は固体ゆえ呼気に比べ熱容量の容積密度は桁違いに大きく、呼気及び吸気が熱媒体と共存残留する量を大きく減らせ、新鮮空気との置換が十分に行われます。
基本モデルで熱エネルギーの質を低下させずに移行できる知見が得られました。この知見を基に実用化モデルではより現実的な熱媒体を想定し、熱の移行に加え新鮮空気をも十分に取り入れられることを示します。基本モデルと同様、四段階に分けて段階的に進行する状況を説明します。
得られた知見 呼吸として必要な新鮮空気への置換率は、50%です。呼気と吸気の最後の分割分は、気道内に熱媒体と留まり共存するため新鮮空気への置換には寄与しません。熱媒体と呼吸すなわち空気の熱容量容積密度比が、5、6、7、8、9、10・・・ と増加するに伴い新鮮空気への置換率も 60%、66%、71%、75%、78%、80%・・・と増加します。エネルギーの回収率も、残留する最後の分割分を含め約90%です。残留呼気分の熱エネルギーは、吸気に際し回収され活用されるのです。モデルは四段階移行ですが、現実は連続移行です。従い熱容量比及び段階移行の分割数の増加に伴い熱媒体への熱エネルギーの移行は、呼気の残留分を含めると100%に漸近します。上記モデルは全て以下の事項を前提としています。
(1)熱媒体は微細化し分散され内部では互いに断熱隔離されている。従い熱は拡散しない
(2)呼気から熱媒体への熱伝達は、呼気の進行に比較し十分に速い速度で行われ、呼気と熱媒体の熱平衡は呼気の進行に比し十分に早く達成される。基本モデルと同様、熱エネルギーの高い再利用効率が得られることが分ります。新鮮空気への置換も十分に達成されることも分ります。
図4は、図3の基となる数値計算の結果です。図3の各領域、各段階の結果を計算式とともに記しています。結果の数値は温度そのものではなく、「40℃を100%」、「0℃を0%」とした%表示の数値です。
体力消耗を抑制し日常の健康増進に寄与するだけでなく、乾燥した環境下でのインフルエンザの予防など医学的見地からの寄与など利用価値は高い。さらに本願は、汎用材料・汎用技術を簡素な構造の中に集約させた物で産業上も利用の可能性が高い。

Claims (4)

  1. マスク外殻が内部に熱媒体通気層を収容保持し、前記熱媒体通気層には綿及びステンレスを除く個体の微細な熱媒体が偏在することなく分散分布する構造を有し、前記熱媒体の熱容量が0.5[cal/℃]以上、3.0[cal/℃]以下の範囲内にあり、前記微細な熱媒体の素材の形状が細線状ないし細繊維状でその断面が中実又は中空の円形ないしは擬似円形、多角形でその等価円の直径が50ミクロン以下であることを特徴とする全熱回収再利用による自立式かつ自律式の保温兼保湿マスク
  2. マスク外殻が内部に熱媒体通気層を収容保持し、前記熱媒体通気層にはステンレスを除く個体の微細な熱媒体が偏在することなく分散分布する構造を有し、前記熱媒体の熱容量が0.5[cal/℃]以上、3.0[cal/℃]以下の範囲内にあり、前記微細な熱媒体の素材の形状が細線状ないし細繊維状でその断面が中実又は中空の円形ないしは擬似円形、多角形でその等価円の直径が20ミクロン以上、50ミクロン以下の範囲内にあることを特徴とする全熱回収再利用による自立式かつ自律式の保温兼保湿マスク
  3. マスク外殻が内部に熱媒体通気層を収容保持し、前記熱媒体通気層には銅からなる個体の微細な熱媒体が偏在することなく分散分布する構造を有し、前記熱媒体の熱容量が0.5[cal/℃]以上、3.0[cal/℃]以下の範囲内にあり、前記微細な熱媒体の素材の形状が細線状ないし細繊維状でその断面が中実又は中空の円形ないしは擬似円形、多角形でその等価円の直径が50ミクロン以下であることを特徴とする全熱回収再利用による自立式かつ自律式の保温兼保湿マスク
  4. 使用対象者の使用環境下における呼気の持つ全熱エネルギーの全てを吸収しうる熱容量を有するようにクラス分けされている事を特徴とする請求項1〜3のマスク


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