以下、本発明に係る物体検出装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、物体検出装置を自動車等の車両に搭載し、自車両の前方に存在する先行車両等の物体を検出する場合について説明するが、これに限定されず、種々の用途に用いることができる。
本実施形態に係る物体検出装置1は、図1に示すように、撮像手段2や距離検出手段6、統合処理手段10や物体検出手段11、閾値可変手段12、再検出手段13等を有する処理部9等を備えて構成されている。
なお、距離検出手段6等を含む処理部9の上流側の構成については、本願出願人により先に提出された特開2006−72495号公報等に詳述されており、構成の詳細な説明はそれらの公報に委ねる。以下、簡単に説明する。
本実施形態では、撮像手段2は、互いに同期が取られたCCDやCMOSセンサ等のイメージセンサがそれぞれ内蔵され、例えば車両のルームミラー近傍に車幅方向に所定の間隔をあけて取り付けられた運転者側のメインカメラ2aと助手席側のサブカメラ2bとからなるステレオカメラであり、所定のサンプリング周期で撮像して、一対の画像を出力するように構成されている。
なお、以下では、メインカメラ2aで撮像される画像を基準画像T、サブカメラ2bで撮像される画像を比較画像Tcという。また、以下では、基準画像Tを対象として統合処理手段10等における処理を行う場合について説明するが、比較画像Tcを対象として行ったり、両方の画像T、Tcをそれぞれ処理するように構成することも可能である。
また、本実施形態では、撮像手段2のメインカメラ2aおよびサブカメラ2bでは、それぞれモノクロの輝度値Dが取得されるようになっているが、RGB値等で表されるカラーの画像データを撮像する撮像手段を用いることも可能であり、その場合についても本発明が適用される。
本実施形態では、撮像手段2のメインカメラ2aやサブカメラ2bで基準画像Tや比較画像Tcを撮像する場合、図2に示すように、基準画像T等の各水平ラインjの最も左側の画素から撮像を開始し、その後、順に右方向に走査していく。また、走査する水平ラインjを最も下側のラインから順に上方に切り替えながら撮像するようにして、各画素ごとに撮像した順に基準画像Tと比較画像Tcの各画素の輝度値Dをそれぞれ変換手段3に順次送信するようになっている。
変換手段3は、一対のA/Dコンバータ3a、3bで構成されており、撮像手段2のメインカメラ2aやサブカメラ2bで撮像された基準画像T等の画素ごとの輝度値Dをそれぞれ例えば256階調のグレースケールの輝度としてのデジタル値の輝度値Dに順次変換して画像補正部4に出力するようになっている。
また、画像補正部4では、各画素の輝度値Dに対してずれやノイズの除去、輝度の補正等の画像補正をそれぞれ順次行い、各輝度値Dを画像データメモリ5に順次格納するとともに、処理部9に順次送信するようになっている。また、画像補正部4は、画像補正した基準画像Tと比較画像の各輝度値Dを距離検出手段6にも順次送信するようになっている。
距離検出手段6のイメージプロセッサ7は、基準画像Tと比較画像の各画素ブロックに対して順次ステレオマッチング処理やフィルタリング処理を施して、基準画像Tの画素ごとに視差dpを順次算出するようになっている。
具体的には、ステレオマッチング処理では、図示を省略するが、基準画像T上の例えば4×4画素等の所定の画素数の基準画素ブロックと輝度パターンが類似する画素ブロックを比較画像Tc中のエピポーラライン上に特定し、それらの基準画像Tおよび比較画像Tc上の位置から基準画像Tの画素ごとに視差dpが順次算出される。
なお、以下、このようにして基準画像Tの各画素に視差dpを割り当てた画像(図3参照)を距離画像Tzという。また、画素の基準画像T上での座標(i,j)と上記のようにして算出された視差dpとは、実空間上で、メインカメラ2aとサブカメラ2bの中央真下の道路面上の点を原点とし、自車両の水平方向をX軸方向、高さ方向をY軸方向、距離方向(撮像手段2の前方方向)をZ軸方向とした場合の実空間上の点(x,y,z)と、三角測量の原理に基づいて、
x=CD/2+z×PW×(i−IV) …(1)
y=CH+z×PW×(j−JV) …(2)
z=CD/(PW×(dp−DP)) …(3)
で表される座標変換により1対1に対応付けることができる。
ここで、上記各式において、CDは一対の撮像手段の間隔、PWは1画素当たりの視野角、CHは一対の撮像手段の取り付け高さ、IVおよびJVは正面の無限遠点の距離画像Tz上のi座標およびj座標、DPは消失点視差を表す。
従って、上記のように、本実施形態では、距離データとして視差dpが以下の各処理で必要に応じて用いられるようになっているが、視差dpを上記(3)式に従って実空間上の距離zに換算して、距離データとして用いるように構成することも可能である。
また、フィルタリング処理では、基準画像Tの基準画素ブロックと比較画像Tcの画素ブロックとの輝度パターンの類似性の度合いが低い場合には算出した視差dpを無効と出力するようになっており、イメージプロセッサ7は、有効とされた視差dpのみを距離データメモリ8に順次格納させるとともに、処理部9に順次送信するようになっている。
なお、本実施形態では、上記のように、撮像手段2としてメインカメラ2aとサブカメラ2bとを備え、距離検出手段6は、それらで撮像された基準画像Tおよび比較画像Tcに対するステレオマッチング処理により基準画像Tの各画素について実空間上の距離z(すなわち視差dp)を算出するように構成されているが、これに限定されず、撮像手段2は例えば単眼のカメラのように1枚の画像Tのみを出力するものであってもよい。
また、距離検出手段6は、当該画像Tの各画素について実空間上の距離zを算出または測定して画像Tの各画素に割り当てる機能を有していればよい。例えば、前述したレーダ装置のように、自車両前方にレーザビームを照射してその反射光の情報に基づいて物体までの距離zを測定する装置等であってもよく、検出の手法は特定の手法に限定されない。
さらに、本実施形態では、実空間上の距離の情報として、上記のように算出した視差dpを用い、必要に応じて実空間上の距離zに変換して処理を行うように構成されているが、距離検出手段6の段階で視差dpを実空間上の距離zに変換して距離画像Tzを作成するように構成することも可能である。
処理部9は、本実施形態では、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータで構成されている。処理部9は、統合処理手段10や物体検出手段11、閾値可変手段12、再検出手段13を備えており、本実施形態では、さらに、路面検出手段14や図示しないメモリを備えている。
なお、処理部9において先行車両検出等の他の処理を行うように構成することも可能である。また、処理部9に、必要に応じて、車速センサやヨーレートセンサ、ステアリングホイールの舵角を測定する舵角センサ等のセンサ類からの測定値が入力されるように構成されている。
ここで、本実施形態の処理部9の統合処理手段10や物体検出手段11、割り当て手段12、閾値可変手段12、再検出手段13等における処理について説明する前に、路面検出手段14における処理について説明する。
なお、以下の説明において、車線とは、追い越し禁止線や路側帯と車道とを区画する区画線等の道路面上に標示された連続線や破線をいう。また、本実施形態では、以下に説明するように、路面検出手段14は、道路面に標示された車線を検出し、その検出結果に基づいて道路面を検出するように構成されているが、道路面を検出することができるものであれば以下に説明する形態に限定されない。
本実施形態では、路面検出手段14は、撮像手段2により撮像された基準画像T中から自車両の左側および右側の車線を検出し、その車線の情報に基づいて路面を検出するようになっている。
具体的には、路面検出手段14は、図4に示すように基準画像T中の1画素幅の水平ラインj上を例えば画像中央から左右方向に探索したり、或いは、前回のサンプリング周期で検出した車線LR、LLの情報と前回のサンプリング周期と今回のサンプリング周期との間の自車両の挙動に基づいて画像の左右に探索領域を設定し、その左右の探索領域内を左右方向に探索する等して、輝度が隣接する画素の輝度から設定された閾値以上に大きく変化する画素を車線候補点cr、clとして検出する。
そして、基準画像T上の水平ラインjを1画素分ずつ上方にシフトさせながら、同様にして各水平ラインj上に車線候補点を検出していき、車線候補点をハフ変換等により直線で近似する等の処理を行って、図5に示すように自車両の左側および右側にそれぞれ車線LR、LLを検出するようになっている。なお、以上の路面検出手段14の処理構成については、本願出願人が先に提出した特開2006−331389号公報等に詳述されており、詳細な説明は同公報等を参照されたい。
また、路面検出手段14は、このようにして検出した左右の車線位置LR、LL等の情報に基づいて車線モデルを三次元的に形成して路面を検出するようになっている。本実施形態では、路面検出手段14は、図6(A)、(B)に示すように、自車両の左右の車線を所定区間ごとに三次元の直線式で近似し、それらを折れ線状に連結して表現した車線モデルを形成するようになっている。
本実施形態では、各所定区間ごとの直線式を、下記(4)、(5)式で表され図6(A)に示されるZ−X平面上の路面モデルである水平形状モデルと、下記(6)、(7)式で表され図6(B)に左車線LLが代表して示されるZ−Y平面上の路面モデルである道路高モデルで表すようになっている。
[水平形状モデル]
右車線LR x=aR・z+bR …(4)
左車線LL x=aL・z+bL …(5)
[道路高モデル]
右車線LR y=cR・z+dR …(6)
左車線LL y=cL・z+dL …(7)
路面検出手段14は、検出した路面モデルの情報をメモリに保存するとともに、前述した車線LR、LLの情報等もメモリに保存するようになっている。なお、本実施形態のように、道路面の実空間上の路面の高さ(すなわち車線モデル)を算出する代わりに、道路面を水平面と見なして以下の各処理を行うように構成することも可能である。
次に、統合処理手段10や物体検出手段11、閾値可変手段12、再検出手段13等における処理について説明する。
統合処理手段10は、撮像手段2のメインカメラ2aから画像補正部4等を介して基準画像Tの各画素pの輝度Dが順次送信されてくると、隣接する複数の画素pについて、当該複数の画素pの各輝度Dに基づいて1つの画素領域に統合するか否かを判定し、統合すべきと判定した場合に1つの画素領域に統合するようになっている。
本実施形態では、統合処理手段10は、撮像手段2のメインカメラ2aから基準画像Tの各画素pの輝度Dが順次送信されてくると、入力された一の画素(以下、注目画素という。)の輝度Dと、注目画素と同一の基準画像T(すなわち、同じサンプリング周期で撮像された基準画像T)中の、注目画素より以前に入力され注目画素の左や下に隣接する画素pの輝度Dとの差分ΔDが所定の第1閾値ΔDth未満であり、かつ、注目画素の輝度Dと、上記の隣接する画素pが属する画素領域gに属する全画素pの輝度Dの平均値Daveとの差分δDが所定の第2閾値δDth未満である場合に、注目画素と隣接する画素pを1つの画素領域gに統合するようになっている。
以下、具体的に、統合処理手段10における統合処理について、図7および図8に示すフローチャートに従って説明し、あわせて本実施形態に係る物体検出装置1の作用について説明する。
なお、本実施形態では、前述したように、撮像手段2から順次出力された各画素pの輝度Dが順次送信されてくるが、統合処理手段10では、各輝度Dの入力と同時並行的に以下の処理が行われる。また、以下の説明では、例えば図2に示した基準画像Tにおける画素について、基準画像Tの左下隅の画素を原点とし、右向きにi軸、上向きにj軸をとった場合の画素の座標(i,j)を用いて、画素pi,jのように表す。また、画素pi,jの輝度Dを輝度Di,jのように表す。
統合処理手段10は、撮像手段2により撮像が開始されると(ステップS1)、iおよびjの値をそれぞれ0に設定する(ステップS2)。前述したように、撮像手段2で撮像された水平ライン0(すなわちj座標が0の各画素からなる水平ラインj)上の左端の画素p0,0(すなわち原点の画素)の輝度D0,0の処理部9への入力が開始されると(ステップS3)、続いて、画素p1,0、p2,0、p3,0、…の輝度D1,0、D2,0、D3,0、…が順次入力される。
統合処理手段10は、水平ラインjの右端の画素まで処理を完了していなければ(ステップS4;NO)、処理が繰り返されるごとにi座標を1ずつインクリメントして(ステップS5)、設定した注目画素pi,jを水平ラインj上の右隣の画素に移動させながら(ステップS6)、処理を続ける。
また、水平ラインjの右端の画素まで処理を完了すると(ステップS4;YES)、基準画像Tの最上段の水平ラインまで処理が終了していなければ(ステップS7;NO)、処理を行う水平ラインjを1行上方の水平ラインj+1に移行させ、注目画素のi座標を0に設定して(ステップS8)、画素p0,j+1を注目画素として(ステップS6)処理を行い、注目画素を画素p0,j+1から順に右側に移動させながら処理を続行する。
次に、注目画素を画素pi,jに設定(ステップS6)した後の統合処理手段10における処理(図8のステップS9以降)について説明する。
統合処理手段10は、まず、注目画素pi,jと、図9(A)に示すように注目画素pi,jが入力されるより以前に入力されていて注目画素pi,jの左に隣接する画素pi-1,jについて、下記の条件1や条件2を満たすか否かの判定を行う(ステップS9)。
[条件1]注目画素pi,jの輝度Di,jと、左に隣接する画素pi-1,jの輝度Di-1,jとの差分ΔDleft(i,j)、すなわち、
ΔDleft(i,j)=|Di,j−Di-1,j| …(8)
が、予め設定された第1閾値ΔDth未満である。なお、以下、上記のような隣接する画素間の輝度Dの差分ΔDをエッジ強度という。
[条件2]図9(B)に示すように、注目画素pi,jの輝度Di,jと、左に隣接する画素pi-1,jが属する画素領域gに属する全画素の輝度Dの平均値Dave-leftとの差分δDleft(i,j)、すなわち、
δDleft(i,j)=|Di,j−Dave-left| …(9)
が、予め設定された第2閾値δDth未満である。なお、以下、上記のように、注目画素pi,jの輝度Di,jと、隣接する画素が属する画素領域gの輝度Dの平均値Daveとの差分δDを平均値差分という。
なお、画素領域gに属する全画素の輝度Dの平均値Daveは後述するステップS16で算出される。また、左に隣接する画素pi-1,jが属する画素領域gが当該左に隣接する画素pi-1,jのみで構成されている場合もあり、その場合、画素領域gに属する全画素の輝度Dの平均値Dave-leftは、当該左に隣接する画素pi-1,jの輝度Di-1,jに等しい。
統合処理手段10は、条件1と条件2をともに満たすと判定した場合には(ステップS9;YES)、ステップS10の判定処理に進み、条件1と条件2の少なくとも一方を満たさないと判定した場合には(ステップS9;NO)、ステップS13の判定処理に進む。なお、上記の第1閾値ΔDthと第2閾値δDthとは同じ値に設定されても異なる値に設定されてもよく、それらの閾値の値は適宜設定される。
統合処理手段10は、ステップS9の判定処理で、条件1と条件2をともに満たすと判定すると(ステップS9;YES)、続いて、注目画素pi,jと、図10(A)に示すように注目画素pi,jが入力されるより以前に入力されていて注目画素pi,jの下に隣接する画素pi,j-1について、上記と同様に、下記の条件3や条件4を満たすか否かの判定を行う(ステップS10)。
[条件3]注目画素pi,jの輝度Di,jと、下に隣接する画素pi,j-1の輝度Di,j-1とのエッジ強度ΔDlower(i,j)、すなわち、
ΔDlower(i,j)=|Di,j−Di,j-1| …(10)
が、予め設定された前述した第1閾値ΔDth未満である。
[条件4]図10(B)に示すように、注目画素pi,jの輝度Di,jと、下に隣接する画素pi,j-1が属する画素領域gに属する全画素の輝度Dの平均値Dave-lowerとの平均値差分δDlower(i,j)、すなわち、
δDlower(i,j)=|Di,j−Dave-lower| …(11)
が、予め設定された前述した第2閾値δDth未満である。
なお、この場合も、下に隣接する画素pi,j-1が属する画素領域gが当該下に隣接する画素pi,j-1のみで構成されている場合もあり、その場合、画素領域gに属する全画素の輝度Dの平均値Dave-lowerは、当該下に隣接する画素pi,j-1の輝度Di,j-1に等しい。
そして、統合処理手段10は、条件3と条件4の少なくとも一方を満たさないと判定した場合には(ステップS10;NO)、注目画素pi,jを、下に隣接する画素pi,j-1とは統合せず、ステップS9の判定処理で上記の条件1と条件2を満たすと判定しているため、注目画素pi,jを左に隣接する画素pi-1,jと1つの画素領域gに統合する(ステップS11)。
その際、図9(A)に示したように、左に隣接する画素pi-1,jが他の画素と統合されていなければ、注目画素pi,jと左に隣接する画素pi-1,jが統合されて、左右に隣接する2つの画素からなる画素領域gが新たに形成される。また、例えば図9(B)に示したように、左に隣接する画素pi-1,jが画素領域gに属していれば、注目画素pi,jが画素領域gに追加されるように統合され、画素領域gが注目画素pi,jの分だけ1画素分拡大する。
次に、統合処理手段10は、ステップS10の判定処理で、条件3と条件4をともに満たすと判定した場合には(ステップS10;YES)、注目画素pi,jを、下に隣接する画素pi,j-1および左に隣接する画素pi-1,jと統合する(ステップS12)。
その際、図10(A)に示したように、下に隣接する画素pi,j-1が他の画素と統合されていなければ、注目画素pi,jと下に隣接する画素pi,j-1が統合されて、上下に隣接する2つの画素からなる画素領域gが新たに形成される。また、例えば図10(B)に示したように、下に隣接する画素pi,j-1が画素領域gに属していれば、注目画素pi,jが画素領域gに追加されるように統合され、画素領域gが注目画素pi,jの分だけ1画素分拡大する。
また、例えば図11(A)に示すように、左に隣接する画素pi-1,jが画素領域g1に属し、下に隣接する画素pi,j-1が他の画素領域g2に属している場合、注目画素pi,jを下に隣接する画素pi,j-1および左に隣接する画素pi-1,jと統合することで(ステップS12)、図11(B)に示すように、注目画素pi,jを介して画素領域g1と画素領域g2とが統合されて1つの画素領域gとなる。
一方、統合処理手段10は、ステップS9の判定処理で、条件1と条件2の少なくとも一方を満たさないと判定した場合には(ステップS9;NO)、ステップS13の判定処理に進み、上記と同様に、条件3や条件4を満たすか否かの判定を行う(ステップS13)。
そして、統合処理手段10は、条件3と条件4をともに満たすと判定した場合には(ステップS13;YES)、ステップS9の判定処理で条件1と条件2の少なくとも一方を満たさないと判定しているため(ステップS9;NO)、注目画素pi,jを、左に隣接する画素pi-1,jとは統合せず、下に隣接する画素pi,j-1のみと統合する(ステップS14)。
なお、本実施形態では、道路面や道路面に標示された車線等は物体として検出せず、道路面より上側に存在する物体を検出することが目的であるため、ステップS9、S10、S13の判定処理で、条件1〜条件4等の判定基準のほかに、道路面や道路面に標示された車線等が撮像されている画素(以下、道路面に対応する画素という。)と、それより上側に存在する物体が撮像されている画素(以下、物体に対応する画素という。)とを統合せず、それぞれ別の画素領域gに統合されるように構成することが可能である。
すなわち、例えば、画素pの基準画像T上の座標(i,j)や距離検出手段6で検出された画素pの視差dpに基づいて、上記(2)、(3)式から算出される当該画素pに対応する実空間上の点の高さyと、路面検出手段14が検出した当該視差dpに対応する実空間上の距離zにおける道路面の高さy*から、当該画素pに対応する実空間上の点の道路面からの高さy−y*を算出する。
そして、道路面からの高さy−y*が所定の閾値以上である場合には、当該画素pは物体に対応する画素であり、閾値未満である場合には、当該画素pは道路面に対応する画素であると判定することができる。所定の閾値は、例えば10cm等に設定される。
なお、前述したように道路面を水平面と見なす場合には、当該画素pに対応する実空間上の点の道路面からの高さは上記の高さyとなる。また、路面検出手段14で今回のサンプリング周期における車線モデルが検出されていなければ、前回のサンプリング周期で検出した車線モデルに基づいてその後の自車両の挙動等から今回のサンプリング周期における車線モデルを推定して用いることができる。
そして、統合処理手段10は、注目画素pi,jと、その左や下に隣接する画素pのいずれか一方が物体に対応する画素であり、他方が道路面に対応する画素である場合には、ステップS9、S10、S13の判定処理で条件1〜条件4を満たす場合であっても、それらの画素を統合しないように構成することが可能である。
このように構成すれば、道路面に対応する画素pで形成される画素領域gを、道路面より上側に存在する物体が撮像されている画素領域gであると誤検出したり、逆に、物体に対応する画素pで形成される画素領域gを、道路面や道路面に標示された車線等が撮像されている画素領域gであると誤検出することを防止することが可能となる。
また、道路面に対応する画素であると判定した画素pに所定のフラグを対応付ける等するように構成すれば、画素pに所定のフラグが対応付けられているかを判定して、当該画素pが道路面に対応する画素すなわち道路面や道路面に標示された車線等が撮像されている画素であるか否かを容易に判定することが可能となる。
統合処理手段10は、ステップS11、S12、S14の処理で、注目画素pi,jを隣接する画素pと統合すると、拡大した画素領域gの画素数を更新し、画素領域gの左端gleft、右端grightの画素の各座標や上端gtop、下端gbottomの画素の各座標に変更があれば更新する。また、例えば図11(B)に示したように、複数の画素領域g1、g2が統合されて1つの画素領域gとされた場合には、1つに統合された画素領域gの画素領域番号を、統合の対象となった複数の画素領域g1、g2の各画素領域番号のうち例えば最も小さい番号を選択する等して更新する(ステップS15)。
また、統合処理手段10は、注目画素pi,jを追加して拡大した画素領域gや、複数の画素領域g1、g2を統合して形成した画素領域gに属する全画素pの輝度Dの平均値Daveを算出して更新する(ステップS16)。統合処理手段10は、ステップS16の処理を終了すると、図7のステップS4の判定処理以降の処理を続行する。
一方、統合処理手段10は、ステップS13の判定処理で、条件3と条件4の少なくとも一方を満たさないと判定した場合には(ステップS13;NO)、注目画素pi,jを、左に隣接する画素pi-1,jとも下に隣接する画素pi,j-1とも統合せず、注目画素pi,jのみが属する新たな画素領域gとして登録する(ステップS17)。
なお、統合処理手段10での統合処理の際、統合した画素領域gの画素数が非常に小さく、ノイズ等のように無視してよい画素領域である場合に、そのような画素領域gを登録から削除するように構成することも可能である。
そして、統合処理手段10は、この新規の画素領域gの画素数を1とし、左端gleft、右端gright、上端gtop、下端gbottomの画素の各座標をそれぞれ注目画素pi,jの座標(i,j)として記録し、新規の画素領域gに新たな画素領域番号を付ける(ステップS15)。また、統合処理手段10は、この新規の画素領域gの輝度Dの平均値Daveとして、当該注目画素pi,jの輝度Di,jを記録して(ステップS16)、図7のステップS4の判定処理以降の処理を続行する。
そして、水平ラインjの右端の画素まで処理を完了し(図7のステップS4;YES)、基準画像Tの最上段の水平ラインまで処理が終了すると(ステップS7;YES)、統合処理手段10は、各画素領域gに属する各画素pの各座標(i,j)や画素数、左右端gleft、grightの画素の各座標、上下端gtop、gbottomの画素の各座標、画素領域gの輝度Dの平均値Dave等の情報を、当該基準画像Tと対応付けてメモリに保存する。また、必要に応じてそれらの情報を外部に出力する。
また、その際、例えば、各画素領域gの左右端gleft、grightの画素位置の中間点をi座標とし、上下端gtop、gbottomの画素位置の中間点をj座標とする中心点を各領域ごとに算出し、上記の各情報とともにメモリに保存するとともに、必要に応じて外部に出力するように構成することも可能である。
なお、統合処理手段10は、予め決められた所定の単数または複数の水平ラインjについて、上記の処理と並行して、各画素pの輝度Dを予め作成したヒストグラムに順次投票するようになっており、当該水平ラインjについての上記の処理が終了した時点、或いは、上記の全処理が終了した時点で、例えばヒストグラムにおける出現度数が最大となる輝度を道路面の輝度Droadとして算出し、メモリに保存するようになっている。
例えば、図35に示した基準画像Tに対して統合処理手段10で上記の処理を行うと、図12に示すように、基準画像T上の各画素がそれぞれ画素領域に統合されて、基準画像Tが各画素領域に分割される。なお、図12および後述する図27では、各画素領域に分割された基準画像Tのうち、先行車両を含む部分のみが示されている。
物体検出手段11は、上記の統合処理手段10における統合処理と並行して、距離検出手段6により得られた距離データ、すなわち本実施形態では視差dpをグループ化して物体を検出し、基準画像T中における物体の範囲を決定するようになっている。本実施形態では、物体検出手段11は、距離検出手段6の検出領域、すなわち本実施形態では距離画像Tzの全領域を複数に区分し、それぞれの区分ごとに得られた距離データ、すなわち下記の代表距離データをグループ化して物体を検出するようになっている。
具体的には、物体検出手段11は、例えば図3に示した距離画像Tzを図13に示すように所定幅の縦方向に延在する短冊状の区分dnに分割する。そして、図14に示すように、各区分dnごとにヒストグラムHnを作成し、各区分dnに含まれる視差dpのうち道路面より上方に存在する視差dpをヒストグラムHnに投票し、その最頻値dpnをその区分dnの代表距離データdpnとする。これを全区分dnについてそれぞれ行う。
そして、物体検出手段11は、各区分dnの代表距離データdpn等を上記(1)〜(3)式に代入して各代表距離データdpnの実空間上の座標(x,y,z)を算出する。道路面より高い位置にある座標を実空間上にプロットすると、各代表距離データdpnに対応する実空間上の各点は、図15に示すように、前方の物体の自車両MCに面した部分に対応する部分に多少ばらつきを持ってプロットされる。
物体検出手段11は、このようにプロットされた各点について、実空間上で隣接する点同士のX軸方向(水平方向)の間隔Δxが設定された閾値Δxth以内であり、かつ、Z軸方向(距離方向)の間隔Δzが設定された閾値Δzth以内であるか否かを判定し、間隔Δx、Δzがともに閾値Δxth、Δzth以内である場合に、それらの隣接する点を1つのグループとしてグループ化する。
このようにして、物体検出手段11は、各代表距離データdpnに対応する実空間上の各点の隣接する点同士をグループ化できるか否かを判定しながらグループ化していき、各点をそれぞれグループにまとめていく。そして、図16に示すように、それぞれ1つのグループにまとめられた各点を直線近似して物体を検出するようになっている。物体検出手段11は、このようにして検出した物体の情報をメモリに保存する。
また、物体検出手段11は、物体を検出すると、図17に示すように、1つの物体として検出された各グループの距離画像Tz上での上端や下端、左端、右端の各位置Ltop、Lbottom、Lleft、Lrightを算出するようになっている。なお、図17では、前方の1つの物体についてのみ上端の位置Ltop等が示されているが、検出した他の物体についても同様に上端の位置Ltop等が算出される。
また、本実施形態では、物体検出手段11は、このように1つのグループすなわち物体にグループ化した各代表距離データdpnの平均値や、各代表距離データdpnを距離に換算した場合に自車両に最も近い距離を与える代表距離データdpnを、自車両から当該物体までの実空間上の距離のデータとして算出するようになっている。
そして、このようにして距離画像Tz上での物体の上端や下端、左端、右端の各位置Ltop、Lbottom、Lleft、Lrightを境界とする矩形状の枠線を設定し、それを基準画像Tにあてはめることで、物体に対応する基準画像T中の各画素を矩形状の枠線で包囲して基準画像T中における物体の範囲を決定するように構成することが可能である。
しかし、図17に示すように、距離画像Tz上で、物体の上端や下端、左端、右端の各位置Ltop、Lbottom、Lleft、Lrightが的確に検出されている場合は上記の構成でよいが、図18(A)に示すように、距離画像Tz上で物体の下側部分では物体のエッジが明確でなく、物体の上側のエッジ部分のみが検出される場合もある。このような場合に検出された物体(正確には物体の上側部分の上端)や下端、左端、右端の各位置Ltop、Lbottom、Lleft、Lrightを境界とする矩形状の枠線を設定すると、物体の上側部分のみが矩形状の枠線で包囲されて物体の範囲とされてしまう。
そこで、本実施形態では、物体検出手段11は、距離画像Tz上での物体の上端や下端、左端、右端の各位置Ltop、Lbottom、Lleft、Lrightを算出すると、図18(B)に示すように、物体の上端、左端、右端の各位置Ltop、Lleft、Lrightを境界とし、下端部分の位置は距離画像Tz中における道路面の位置に延長して枠線を設定するようになっている。
そして、物体検出手段11は、このようにして距離画像Tz上で設定した各物体に対する枠線を、図19に示すように基準画像T上にあてはめて、物体に対応する基準画像T中の各画素を矩形状の枠線で包囲して基準画像T中における物体の範囲を決定するようになっている。物体検出手段11は、このようにして決定した物体の範囲の情報を、検出した物体の情報に対応付けてメモリに保存する。
なお、本実施形態では、図16や図19に示すように、検出した物体にラベルOやラベルSを付してその種別を区別して検出するようになっている。すなわち、ラベルOやラベルSは物体の自車両に対向する面の種別を表し、ラベルOは物体の背面、ラベルSは物体の側面が検出されていることを表す。
閾値可変手段12は、上記のようにして物体検出手段11が基準画像T中に決定した物体の範囲内に存在する、統合処理手段10が統合した各画素領域gに着目して、物体検出手段11が距離のデータすなわち本実施形態では代表距離データdpnをグループ化して物体を検出する際に用いた閾値Δxth、Δzthを可変させるようになっている。
そして、可変させた閾値Δxth、Δzthに基づいて、再検出手段13で視差dp(代表距離データdpn)を再度グループ化して、本来1つの物体として検出されるべき撮像対象が複数の物体として検出されている場合に1つの物体として再検出したり、或いは、本来別々の物体として検出されるべき撮像対象が1つの物体として検出されている場合にそれらを別々の物体として再検出するようになっている。
本実施形態では、図20および図21に示すフローチャートに従って処理を行って、閾値可変手段12は閾値Δxth、Δzthを可変させ、再検出手段13は可変された閾値Δxth、Δzthに基づいて物体の再検出処理を行うようになっている。
閾値可変手段12は、まず、物体検出手段11が基準画像T中に決定した各物体の範囲のうち、任意の2つの物体P、Qの各範囲を選択する(ステップS21)。続いて、閾値可変手段12は、選択した2つの物体P、Qの各範囲の間に、物体検出手段11によりこれらの2つの物体P、Qより遠方に存在する他の物体が検出されているか否かを判断するようになっている(ステップS22)。
図22に示すように、2つの物体P、Qの各範囲の間に、2つの物体P、Qより遠方に存在する他の物体Rが検出されている場合には、これらの2つの物体P、Qが同一の物体であるとは言えない。そのため、閾値可変手段12は、2つの物体P、Qの各範囲の間に2つの物体P、Qより遠方に存在する他の物体が検出されている場合には(ステップS22;YES)、これらの2つの物体P、Qの組み合わせについては、閾値Δxth、Δzthを可変させないようになっている。
閾値可変手段12は、続いて、選択した2つの物体P、Qの範囲について、それぞれ各範囲内に存在する画素領域gのうち、範囲内における画素数が所定の画素数未満である画素領域gについては、比較の対象から除外するようになっている(ステップS23)。
物体の範囲内で例えば5画素等に設定される所定の画素数以上の画素数を有さず、物体の範囲で非常に小さい画素部分しか占めない画素領域gは、当該物体の範囲にたまたま属する形になっているとしても、当該物体に対しては、他の物体と再統合したりする際の閾値Δxth、Δzthを可変させるか否かの決定に寄与するほどの重要性を有しないためである。
また、閾値可変手段12は、図23に示す物体Pの範囲内に存在する画素領域gpや物体Qの範囲内に存在する画素領域gqのように、物体の範囲内に存在する画素領域が、空が撮像された画素領域gskyであると見なすことができる場合には、当該画素領域を比較の対象から除外し(ステップS24)、また、図24に示す物体P、Qの範囲内に存在する画素領域gp、gqのように、物体の範囲内に存在する画素領域が、路面を含む地面が撮像された画素領域ggroundであると見なすことができる場合には、当該画素領域を比較の対象から除外するようになっている(ステップS25)。
空や地面はそもそも物体P、Qを構成する要素ではないからであり、また、それらを比較の対象とすると、別の物体である物体P、Qが誤って1つの物体に再統合され易くなってしまうためである。
なお、画素領域gが、空が撮像された画素領域gskyであるか否かの判断は、例えば、当該画素領域gの下端gbottomの位置が基準画像T中の無限遠に対応する画素(すなわち消失点)の位置と同じ或いはそれより上側の位置に存在し、当該画素領域gに属する画素の画素数が大きな値に設定された閾値以上であること等から判断される。
また、画素領域gが、地面が撮像された画素領域gskyであるか否かの判断は、例えば、当該画素領域gの上端gtopの位置が基準画像T中の消失点の位置と同じ或いはそれより下側の位置に存在し、当該画素領域gに属する画素の画素数が大きな値に設定された閾値以上であり、前述したように統合処理手段10が算出した当該画素領域gの輝度の平均値Daveが道路面の輝度Droadと同じ或いはそれに近い値であること等から判断される。
続いて、閾値可変手段12は、ステップS23〜S25で除外されなかった画素領域のうち、2つの物体P、Qの各範囲からそれぞれ1つずつ範囲内に属する画素領域gp、gqを選択するようになっている(ステップS26)。そして、閾値可変手段12は、選択した画素領域gp、gqの画素領域番号が同一であるか否かを判断するようになっている(ステップS27)。
本実施形態では、閾値可変手段12は、選択した画素領域gp、gqの画素領域番号が同一でなく、画素領域gp、gqが同一の画素領域でない場合(ステップS27;NO)であっても、統合処理手段10が既に算出している画素領域gp、gqの輝度の平均値Daveから算出された輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|(ステップS28)が小さい値に設定された所定の閾値以下であれば(ステップS29;YES)、選択した画素領域gp、gqの画素領域番号が同一である場合(ステップS27;YES)と同等に扱うようになっている。なお、ステップS28で算出された輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|はメモリに保存される(ステップS28)。
閾値可変手段12は、選択した画素領域gp、gqの画素領域番号が同一である場合(ステップS27;YES)、すなわち、画素領域gp、gqが同一の画素領域gである場合、或いは、選択した画素領域gp、gqの輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|が所定の閾値以下である場合(ステップS29;YES)には、図25に示すように、この同一の画素領域gが2つの物体P、Qの範囲の外側に設定される所定の範囲を越えて基準画像T中に広がって存在するか否かを判断するようになっている(ステップS30)。なお、以下、画素領域gp、gqの輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|が所定の閾値以下である場合(ステップS29;YES)、それらの画素領域を類似した輝度を有する画素領域という。
そして、画素領域gp、gqが属する同一の画素領域g、或いは画素領域gp、gqが属する類似した輝度を有する画素領域が2つの物体P、Qの範囲の外側に設定される所定の範囲(図25において破線で示される範囲)を越えて基準画像T中に広がって存在する場合には(ステップS30;YES)、閾値可変手段12は、画素領域gp、gqを比較の対象から除外するようになっている(ステップS31)。
なお、この場合、類似した輝度を有する画素領域gp、gqについてステップS28で算出された輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|はメモリから削除される。また、ステップS30、S31の処理を行わなくても、実際上の問題を生じない場合には、ステップS30、S31の処理は必ずしも行われなくてもよい。
画素領域gp、gqが、空や地面が撮像された画素領域である場合にはそもそもステップS24、S25の処理で比較の対象から除外されるが、それ以外の場合でも、図25に示すように、画素領域gp、gqが同一の画素領域gや類似した輝度を有する画素領域の一部であり、同一の画素領域gや類似した輝度を有する画素領域が2つの物体P、Qの範囲を大きく越えて存在する場合には、同一の画素領域gや類似した輝度を有する画素領域は2つの物体P、Qを含む各物体の影等である可能性があり、そのような画素領域gすなわち画素領域gp、gqに基づいて2つの物体P、Qを再統合等する際の閾値Δxth、Δzthを可変させることは適当でないためである。
閾値可変手段12は、同一の画素領域gや類似した輝度を有する画素領域が2つの物体P、Qの範囲の外側に設定される所定の範囲以内に存在する場合には(ステップS30;NO)、これら画素領域gp、gqが属する2つの物体の組み合わせについてグループ化する旨の宣言を行う(ステップS32)。宣言は、例えばこれらの2つの物体の組み合わせに対してフラグを付す等の処理によって行われる。
そして、閾値可変手段12は、ステップS22の判断をクリア(ステップS22;NO)した2つの物体P、Qの範囲に属し、ステップS23〜S25の処理で除外されなかった各画素領域gp、gqについて上記のステップS27〜S32の処理を行っていない画素領域gp、gqの組み合わせがあれば(ステップS33;NO)、2つの物体P、Qの範囲に属し、ステップS23〜S25の処理で除外されなかった全ての画素領域gp、gqについて上記のステップS27〜S32の処理を行うようになっている。
すなわち、例えば図26に示すように、物体Pの範囲内に存在する画素領域gpのうち、例えば画素領域gp1、gp2がステップS23〜S25の処理で除外されず、物体Qの範囲内に存在する画素領域gqのうち、例えば画素領域gq1、gq2、gq3がステップS23〜S25の処理で除外されなかった場合には、gp1−gq1、gp1−gq2、gp1−gq3、gp2−gq1、gp2−gq2、gp2−gq3の6通りの組み合わせについて上記のステップS27〜S32の処理が行われる。
また、画素領域gp、gqの全ての組み合わせについて上記のステップS27〜S32の処理を行うと(ステップS33;YES)、閾値可変手段12は、メモリに保存した輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|を参照して、最小の絶対値|ΔDave|を算出して、2つの物体P、Qの組み合わせに対応付けてメモリに保存するようになっている(ステップS34)。
また、閾値可変手段12は、上記のようにして、画素領域gp、gqの輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値を算出すると、絶対値|ΔDave|に基づいて、2つの物体P、Qの各範囲の距離のデータすなわち本実施形態では代表距離データdpnを再度グループ化する際の閾値Δxth、Δzthを可変させて、メモリに保存するようになっている(ステップS35)。
基準画像T上に撮像された1つの物体、例えば先行車両の背面部分等では、図12に示したように、統合処理手段10で基準画像Tの各画素pの輝度Dに基づいて統合された画素領域が物体の全面に分布し、同一の画素領域や類似した輝度を有する画素領域で占められることが予想される。
そのため、物体検出手段11により2つの物体として検出されている場合でも、算出した画素領域gp、gqの輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値が小さければ、それらの2つの物体はそもそも1つの物体を2つの物体として検出したものであるとして、画素領域gp、gq自体が基準画像T上で離れていてもグループ化されるように閾値Δxth、Δzthを可変させた方がよい。
しかし、逆に、画素領域gp、gqの種々の組み合わせについて算出した輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の中で最も小さい値(最小値)が大きい場合には、それらの2つの物体は、1つの物体を2つの物体として検出したものであるとは言えないため、再検出手段13で1つの物体として再検出されるように閾値Δxth、Δzthを可変させる必要はない。
そこで、本実施形態では、閾値可変手段12は、算出した画素領域gp、gqの輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値が小さいほど、代表距離データdpnを再度グループ化する際に代表距離データdpnがグループ化されやすくなるように、例えば閾値Δxthと閾値Δzthとがともにより大きな値になるように可変させるようになっている。
特に、上記のステップS32の処理で、グループ化する旨の宣言が行われ、フラグが付される等した2つの物体は、同一の画素領域gや類似した輝度を有する画素領域がともに属する物体であり、まさに1つの物体が2つの物体として検出されたものであると考えられる。
そこで、本実施形態では、グループ化する旨の宣言が行われ、フラグが付される等した2つの物体の組み合わせについては、再検出手段13で確実に1つの物体として再検出されるように、例えば閾値Δxth、Δzthをとり得る最大値に可変させる等して、非常に大きな値に可変させるようになっている。
なお、閾値Δxthや閾値Δzthを可変させる手法としては、例えば、閾値Δxthや閾値Δzthを、画素領域gp、gqの輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値に対する単調減少関数として予め定義しておくように構成することが可能である。
また、例えば、画素領域gp、gqの輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値が、上記のような宣言が行われるほど小さくないとしても、最小値について予め閾値を設けておき、例えば、差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値が閾値以下である場合には、元の閾値Δxthや閾値Δzthにそれぞれ正の値の所定値を加算するようにして可変させ、差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値が閾値より大きい場合には、元の所定の閾値Δxthや閾値Δzthを可変させないように構成することも可能である。
例えば、図12に示した各画素領域に分割された基準画像Tでは、図27に示すように、先行車両の左右のエッジ部分がそれぞれ物体として検出された2つの物体P、Qの範囲内に、例えば同一の画素領域Gに属する画素領域Gp、Gqが存在するため、画素領域Gp、Gqの輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値は0になる。そのため、この場合、2つの物体P、Qについては、閾値Δxthと閾値Δzthとがともにより大きな値になるように可変される。
閾値可変手段12は、物体検出手段11が基準画像T中に決定した各物体の範囲の全ての組み合わせについて処理が終了していなければ(ステップS36;NO)、2つの物体の範囲の組み合わせを変えて選択し(ステップS21)、ステップS22〜S35の処理を繰り返して行うようになっている。
なお、同一の画素領域g或いは類似した輝度を有する画素領域(ステップS29;YES)が2つの物体P、Qの範囲の外側に設定される所定の範囲以内に存在する場合には(ステップS30;NO)、それらの2つの物体についてはグループ化が宣言され(ステップS32)、再検出手段13で確実に1つの物体として再検出されるため、当該2つの物体について、ステップS27〜S32の処理を行っていない画素領域gp、gqの組み合わせがあったとしても(ステップS33;NO)、それらの組み合わせについて上記の処理を繰り返す必要はない。
そのため、そのような場合には、当該2つの物体P、Qの範囲に属する画素領域gp、gqの他の組み合わせについての処理を行うことなく、当該2つの物体P、Qについては、即座にステップS31以降の処理に移行するように構成することも可能である。
再検出手段13は、上記のようにして、基準画像T中に決定された各物体の範囲の全ての組み合わせについて閾値可変手段12による処理が終了すると(ステップS33;YES)、閾値可変手段12が可変させた閾値Δxth、Δzthに基づいて距離のデータすなわち本実施形態では代表距離データdpnを再度グループ化して物体の再検出を行うようになっている(ステップS37)。
本実施形態では、再検出手段13は、閾値可変手段12が算出した差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値が小さい2つの物体を、差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値がより大きい2つの物体よりも優先して代表距離データdpnを再度グループ化するようになっている。
そのため、本実施形態では、再検出手段13は、メモリに保存された画素領域gp、gqの輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値が小さい2つの物体の組み合わせから順に、可変された閾値Δxth、Δzthに基づいて、再度、物体検出手段11における処理と同様の処理を行って代表距離データdpnをグループ化して、基準画像T中で物体を再検出するようになっている。
距離画像Tzを複数の区分dnに分割し、各区分dnに含まれる道路面より上方に存在する視差dpをヒストグラムHnに投票して、その最頻値dpnをその区分dnの代表距離データdpnとする処理は、物体検出手段11により既に行われているため、再検出手段13はその検出結果を利用する。
そして、再検出手段13は、区分dnごとの代表距離データdpnをグループ化する際、可変された閾値Δxth、Δzthに基づいて代表距離データdpn間のX軸方向(水平方向)の間隔Δxが設定された閾値Δxth以内であり、かつ、Z軸方向(距離方向)の間隔Δzが設定された閾値Δzth以内であるか否かの判定を行い、間隔Δx、Δzがともに可変された閾値Δxth、Δzth以内である場合に、それらを1つのグループとして再度グループ化する。
また、再検出手段13は、図28に示すように2つの物体P、Qを1つの物体として再検出できなかった場合には、続いて、優先順に従って、物体P或いは物体Qと他の物体Sとを再統合できるか否かを、物体P、S或いは物体Q、Sについてそれぞれ可変された閾値Δxth、Δzthに基づいて判断し、再統合できる場合にはそれらの物体を1つのグループとしてグループ化して再検出する。
また、再検出手段13は、図29に示すように2つの物体P、Qを1つの物体として再検出できた場合には、続いて、1つの物体PQと他の物体Sとを再統合できるか否かを、物体P、S或いは物体Q、Sについてそれぞれ可変された閾値Δxth、Δzthに基づいて判断し、いずれかの組み合わせの閾値Δxth、Δzth或いは両方の組み合わせの閾値Δxth、Δzthに基づいて再統合が可能である場合には、物体P、Q、Sを1つのグループとしてグループ化し、1つの物体として再検出する。
再検出手段13は、このようにして、物体検出手段11が検出した物体や再統合した物体と、他の物体とを、可変された閾値Δxth、Δzthに基づいて再統合できるか否かを順次判断し、再統合できる場合には物体同士を再統合させて再検出するようになっている。なお、上記のように閾値Δxth、Δzthを可変させても2つの物体P、Qが再統合されない場合があることは言うまでもない。
再検出手段13は、このようにして1つのグループとしてグループ化すると、そのグループの距離画像Tz上での物体の上端や下端、左端、右端の各位置Ltop、Lbottom、Lleft、Lrightを改めて算出してその情報をメモリに保存する。
また、再検出手段13は、物体検出手段11と同様に、物体の上端、左端、右端の各位置Ltop、Lleft、Lrightを境界とし、下端部分の位置は距離画像Tz中における道路面の位置に延長して枠線を設定し、その枠線を改めて基準画像T上にあてはめるようになっている。そして、再検出手段13は、このようにして設定したグループすなわち物体の範囲の情報を、1つのグループとした物体の情報に対応付けてメモリに保存する。そして、必要に応じて外部装置に出力するようになっている。
このようにして、再検出手段13で、再度、物体の検出を行うと、上記のように閾値Δxth、Δzthが可変されているため、画素領域gp、gqの輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値が小さく閾値Δxthと閾値Δzthとがともにより大きな値になるように可変された場合には、それらの2つの物体は、代表距離データdpnを再度グループ化する際に代表距離データdpnがグループ化されやすくなり、2つの物体が再統合される可能性が高まる。
特に、上記のステップS32の処理で、グループ化する旨の宣言が行われ、フラグが付される等した2つの物体は、例えば閾値Δxth、Δzthをとり得る最大値に可変させる等して、非常に大きな値に可変させる。例えば、図27に示した先行車両の左右のエッジ部分がそれぞれ物体として検出された2つの物体P、Qでは、それぞれの範囲内に例えば同一の画素領域Gに属する画素領域Gp、Gqが存在するため、画素領域Gp、Gqの輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値は0になり、閾値Δxthと閾値Δzthとがともに非常に大きな値になるように可変されている。
そのため、再検出手段13で可変された閾値Δxth、Δzthに基づいて上記のようにして再検出処理(ステップS34)が行われると、図30に示すように、先行車両が確実に1つの物体として基準画像T中に統合されて再検出される。
また、画素領域gp、gqの輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値が大きいため閾値Δxthと閾値Δzthとがともに小さな値に可変されたり、或いは元の閾値Δxthと閾値Δzthのままとなる場合には、それらの2つの物体は、代表距離データdpnを再度グループ化する際に代表距離データdpnがグループ化されることはなく、2つの物体は再統合されない。
なお、本実施形態では、再検出手段13による再検出処理(ステップS37)は、閾値可変手段12のステップS21〜S36の処理が終了した後で行われるように構成されているが、例えば、閾値可変手段12によるステップS35の処理で閾値Δxth、Δzthが可変された直後に、再検出手段13により可変された閾値Δxth、Δzthに基づいて当該2つの物体について再検出処理を行うように構成する等して、再検出手段13による再検出処理を、閾値可変手段12による処理と同時に行うように構成することも可能である。
しかし、この場合、図31に示すように、本来、再統合されるべき2つの物体P、Qよりも先にステップS21の処理で2つの物体Q、Sの各範囲が選択され、2つの物体Q、Sが再統合されると、その後、2つの物体P、Qの各範囲が選択された際に、2つの物体P、Qを再統合できなくなる場合がある。
このような不具合が生じることを回避するため、この場合にも、前述したように、再検出手段13における処理では、閾値可変手段12が算出した2つの画素領域の輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値が小さい2つの物体を、差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値がより大きい2つの物体よりも優先して代表距離データdpnを再度グループ化するという原則を採用する。
具体的には、再検出手段13は、上記のように先に2つの物体Q、Sを一旦再統合したとしても、2つの物体Q、Sに関する差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値がその後に選択された2つの物体P、Qに関する差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値よりも大きければ、2つの物体P、Qの方を優先し、2つの物体Q、Sの再統合を解除して元の2つの物体Q、Sの各範囲に戻した後、2つの物体P、Qについて、可変された閾値Δxth、Δzthに基づいて代表距離データdpnを再度グループ化するように構成される。
また、この場合、2つの物体P、Qについて代表距離データdpnが再度グループ化された後、2つの物体P、Qが再統合された物体と物体Sについても、再度差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値に基づいて可変された閾値Δxth、Δzthに基づいて代表距離データdpnのグループ化の処理が行われ、再統合することができれば、3つの物体P、Q、Sが1つの物体として再検出される。
なお、以上が、閾値可変手段12における閾値Δxth、Δzthの可変処理の基本的な構成であるが、以下、可変処理についての種々の変形例について説明する。
基準画像T上に検出された2つの物体P、Qの各範囲に同一の画素領域gが存在するとすれば、その同一の画素領域gは、図32に示すように、通常、2つの物体P、Qの各範囲をそれぞれ区画する境界のうちの向かい合う部分(本実施形態のように各範囲が矩形状に設定される場合には各範囲のそれぞれ向かい合う辺の部分)に跨って存在する。
また、2つの物体P、Qが本来同一の物体であり、この同一の物体の1つの面が2つの物体P、Qの各範囲に跨って撮像されている場合には、統合処理手段10により仮に同一の物体のこの1つの面が同一の画素領域gに統合されず別の画素領域gp、gqにそれぞれ統合されたとしても、物体Pの画素領域gpと物体Qの画素領域gqの輝度の平均値Daveは非常に近いものとなり、それらの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|は非常に小さい値になるはずである。
そのため、本来同一の物体として検出されるべき物体が2つの物体P、Qとして検出されている場合には、2つの物体P、Qの各範囲をそれぞれ区画する境界のうちの向かい合う部分(本実施形態のように各範囲が矩形状に設定される場合には各範囲のそれぞれ向かい合う辺の部分)に、同一の画素領域gや、輝度の平均値Daveは非常に近い2つの画素領域gp、gqが跨って存在すると考えられる。
そこで、図26に示したように、ステップS23〜S25の処理で除外されなかった例えば画素領域gp1、gp2および画素領域gq1、gq2、gq3の全ての組み合わせについて処理を行う代わりに、2つの物体P、Qの各範囲をそれぞれ区画する境界のうちの向かい合う部分に注目して画素領域を組み合わせるように構成することも可能である。
すなわち、図33に示すように、閾値可変手段12における処理を、基準画像T中に決定された2つの物体P、Qの各範囲をそれぞれ区画する境界のうち、互いに向かい合う部分の近傍の各範囲内にそれぞれ探索範囲Pa、Qaを設定し、これらの探索範囲Pa、Qa内に存在する各画素領域同士を比較して、当該2つの物体P、Qについて閾値Δxth、Δzthを可変させるように構成することが可能である。
このように構成すれば、閾値可変手段12における処理の負担が軽減され、閾値可変手段12における処理を的確かつより高速に行うことが可能となる。
また、図35等に示すように、先行車両の背面部分では、ほとんどの場合、リアガラスやバンパ部分、ナンバープレートの周囲の部分等のテクスチャが基準画像T上で水平方向に延在するような構成とされている。
そこで、物体として、特に先行車両を的確に検出すること等を目的とするような場合、2つの物体P、Qの各範囲内に存在する各画素領域を比較する際に、同一の水平ライン上に存在する画素領域同士を比較すれば、当該2つの物体P、Qを1つの物体すなわち先行車両等に再統合すべきか否かが容易に分かる。
しかも、この場合も、2つの物体P、Qが本来先行車両等の同一の物体として検出されるべき物体であれば、図27に示したように、2つの物体P、Qの各範囲をそれぞれ区画する境界のうちの向かい合う部分(本実施形態のように各範囲が矩形状に設定される場合には各範囲のそれぞれ向かい合う辺の部分)に、同一の画素領域gや、輝度の平均値Daveは非常に近い2つの画素領域gp、gqが跨って存在すると考えられる。
そこで、図34に示すように、閾値可変手段12における処理を、基準画像T中に決定された2つの物体P、Qの各範囲をそれぞれ区画する境界のうち、互いに向かい合う部分の近傍の各範囲内にそれぞれ探索範囲Pa、Qaを設定し、さらに、各探索範囲Pa、Qaのうち、基準画像Tの同一の水平ラインj上に存在する各画素領域同士を比較して、当該2つの物体P、Qについて閾値Δxth、Δzthを可変させるように構成することが可能である。
このように構成すれば、閾値可変手段12における処理の負担が軽減され、閾値可変手段12における処理を的確かつ非常に高速に行うことが可能となる。
以上のように、本実施形態に係る物体検出装置1によれば、撮像手段2が撮像した画像T(基準画像T)の各画素pを、輝度Dに基づいて画素領域gに統合して画像Tを各画素領域gに分割し、物体検出手段11が検出した各物体P、Qの範囲内に存在する各画素領域gp、gq同士を比較して、各物体P、Qについて距離のデータ(本実施形態では代表距離データdpn)を再度グループ化する際の閾値Δxth、Δzthを可変させ、可変させた閾値Δxth、Δzthに基づいて距離のデータを再度グループ化して物体の再検出を行う。
そのため、従来の物体検出装置では固定された閾値Δxth、Δzthを用いていたため、図36に示したように画像T中で本来1つの物体として検出されるべき撮像対象が複数の物体として検出されてしまう場合があったが、本実施形態に係る物体検出装置1によれば、画像T中に物体として検出された各物体P、Qの範囲内に存在する各画素領域gp、gq同士を比較して閾値Δxth、Δzthを可変させて再検出を行うことで、上記のような事態が発生する可能性を格段に低下させることが可能となる。
そのため、距離検出手段6が検出した視差dp(或いは実空間上の距離z)に基づく代表距離データdpnを的確に再グループ化して、本来1つの物体として検出されるべき物体を的確に1つの物体として再検出することが可能となる。そして、例えば、検出或いは再検出した物体の情報を車両の自動制御等に活用すれば、的確な物体の情報に基づいて制御を行うことが可能となり、車両の安全走行等を的確に実現することが可能となる。
また、例えば図19に示した基準画像Tでは、物体検出手段11により、左側のガードレールがS1、O1、S2の3つの物体として検出された結果が示されているが、このような場合でも、統合処理手段10によりガードレールの部分が1つの画素領域gとして統合されれば物体S1、O1、S2についての閾値Δxth、Δzthがともにそれらをグループ化しやすいように可変される。
そのため、本実施形態に係る物体検出装置1によれば、本来1つの物体(例えばガードレール)として検出される物体が物体検出手段11により複数の物体(例えば物体S1、O1、S2)として検出されても、統合処理手段10が統合した画像Tの各画素pの画素領域gへの統合結果に基づいて閾値可変手段12で的確に閾値Δxth、Δzthを可変し、それに基づいて再検出手段13で的確に1つの物体として検出することが可能となる。
なお、本実施形態では、閾値Δxth、Δzthを可変させるための判断基準として、物体P、Qの各範囲内に存在する画素領域gp、gqの輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値を用いる場合を示したが、差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の最小値を用いる代わりに、例えば図26に示した例で言えば(図33、図34に示した例でも同様)、物体Pに属する画素領域gp1、gp2と物体Qに属する画素領域gq1、gq2、gq3の6通りの組み合わせについて輝度の平均値Daveの差分ΔDaveの絶対値|ΔDave|の総和や平均値、重み付け平均値、中間値等を用いるように構成することも可能である。
また、その他、本発明が上記の実施形態に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。