JP5366978B2 - 電気浸透ポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、とくにマイクロ流体技術分野において流体を移動させるために分極化電気浸透、たとえば第二の種類の電気浸透を用いる電気浸透ポンプの改良に関するものである。
電気浸透は、広く知られた現象であり、さまざまな分野において用いられている。電気浸透は、印加された電界の影響の下で多孔質構造を流れる極性を有する液体の運動に関するものである。ほとんどの表面は表面イオン化によって負の電荷を有する。イオン流体をこの表面に接触させた場合、この負の電荷を覆い、電荷バランスを維持するために、この表面の近くに陽イオンからなる層が形成される。このことにより電気二重層(EDL)が形成される。この表面を横切って電界が印加されると、EDL内のイオンは、反対の電荷を帯電した電極の方に向かって引きつけられ、それらとともに粘性力により周囲の媒体を引きずる。このことにより、流体は負の電荷を帯電した電極の方に向かって移動することになる。
したがって、流体の移動を制御するために電気浸透を用いることができる。このことはマイクロ流体の技術分野においてとくに有益である。マイクロ流体構造体またはマイクロシステムは、一連のマイクロチャネルと容器とからなっており、その少なくとも1つの寸法が、通常マイクロメートルまたはナノメートルの範囲にあり、1〜2mm以下である。流体を、これらのマイクロチャネルに流して、混合、スクリーニング、検出、分離、反応などの如きさまざまなアクションを受けさせることができる。このようなマイクロ構造体は、テストおよび分析を非常に小さなスケールで行なうことができるため、各動作において消費されるサンプルおよび試薬の量を減らすことができるので、化学分野およびバイオテクノロジ分野において非常に重要にものとなってきている。このことは、作業を以前よりも速く、少ない費用で行なうことができ、さらに、生じる廃棄材料がより少ないことを意味する。このようなマイクロシステムは、「ラボチップ(lab−on−a−chip)」またはマイクロ総合分析システムズ(μTAS)としばしば呼ばれている。
電気浸透を利用するマイクロ流体アクチュエータの使用は、多くのマイクロシステムの用途に対する有望な技術であると考えられている。というのは、これらのアクチュエータは、比較的容易に製作することができ、広範囲のイオン濃度において良好な性能を得ることができるからである。
しかしながら、古典的なまたは通常の電気浸透(EOl)として知られている上述の形態の電気浸透は、通常、流体を方向付けて移動させるために直流電界成分の存在を必要としている。このことは、電極におけるガスの発生および孔軸線に沿った孔濃度プロファイルの形成の如きシステムの効率および信頼性を悪化させてしまういくつかの副作用をもたらす場合がある。パルス電流を用いることにより、これらの副作用を無くすことはできないものの縮小することはできる。
動作させるために直流電界成分の存在を必要としない形態の電気浸透がいくつか他に存在する。本明細書では、これらの現象は、総合的に「分極化電気浸透」と呼び、誘導電荷電気浸透(ICEO)および第二の種類の電気浸透(EO2)を含んでいる。分極化電気浸透は、交流または直流によって作動させることができる。電荷(EDL)が、既に存在し、電界を印加することだけで移動されるような古典的電気浸透とは異なり、分極化電気浸透では、電界が電荷を誘発し、この電荷が移動される。
誘導電荷電気浸透は、分極化可能な表面の近傍の電界により誘発され拡散した電荷に対して電荷自体が作用することによって引き起こされる。米国特許出願第US2003/0164296号には、マイクロ流体ポンプおよびミキサーを動作させるためにICEOを用いることが記載されている。この現象は、とくに平坦な非対称電極およびAC電圧を用いて液体をポンプで移動させるためにICEOが用いられる状況で、AC電気浸透(ACEO)と呼ばれることがある。
第二の種類の電気浸透は、表面に形成される空間電荷領域(SCR)内のイオンに作用する。EO2による移送は、同一の電界強度において、古典的電気浸透よりも10〜100倍速い。したがって、比較的低電位で、流体の速い移送を実現することができる。国際特許出願第WO2004/007348号には、第二の種類の電気浸透を用いたマイクロ流体ポンプが記載されている。
これらのタイプの分極化電気浸透では、拡散電荷層またはSCRを形成するために用いられた表面は、一または複数の分極化可能要素、通常球状の粒子によって提供される。この表面は、電界が作用するのに必要な電荷不均衡を形成するために分極化可能でなければならない。これらの分極化可能要素が電解質流体(移送される流体)に浸され、適切な電界に晒されると、必要な電荷の拡散またはSCRが形成され、流体が分極化電気浸透によって移動されることになる。ICEOの場合、球状粒子の各側に対称な流れパターンが得られて、正味の流量がゼロとなる。このことは混合目的に役立つ。ICEOは、球状の粒子の一方側を遮蔽するまたは分極化可能要素の形状を適応させて一方側により大きな電荷不均衡を形成することにより、ポンプ移送の方向付けをするために用いることができる。EO2では、流れは、もっぱらまたは主として粒子の一方側に生成される。
分極化電気浸透によって生成される流れの速度は、用いられる分極化可能要素のサイズに比例する。これらの分極化可能要素は、マイクロチャネルまたは他の流路に設けられると、流路の流れ断面領域を減らし、流体が流れうる分極化可能要素間の空間によって形成される孔を効果的に形成する。十分な流量を提供するために必要となる分極化可能要素のサイズは、孔サイズが比較的大きくなってしまうため、デバイスのポンプ圧を制限してしまうことになる。
たとえば、EO2ポンプを形成する場合、少なくとも10μmの特徴的直径(Dchar)を備えた分極化可能要素を用いる必要がある。特徴的直径とは、動作中に印加される電界の方向に対して平行に測定される分極化可能要素の直径のことである。
このことは、分極化電気浸透(これは分極化可能要素のサイズとともに増強される)とポンプ圧力との間のトレードオフをもたらす。
このトレードオフを緩和する1つの選択肢は、葉巻き形状またはシリンダ形状の分極化可能要素を用いることである。これらは、分極化電気浸透を誘発できる湾曲面を提供することに加えて、間隔を狭めて詰め込むことができるので流路内の孔サイズを縮小することができる。しかしながら、このような分極化可能要素は、生産が難しく、とくに、多くのマイクロ流体用途において高い圧力を生成するために必要となりうる小さなサイズの生産が非常に難しい。たとえば、多くの場合、孔サイズは1マイクロメートル未満であることが必要である。
第一の態様によれば、本発明は、電気浸透により液体の移動を誘発するためのポンプであって、流体を輸送するための流れ経路を形成する流路と、流路内に少なくとも1つの孔を形成するように流路内に設けられている少なくとも1つの分極化可能手段とを備えており、ポンプが、流路を横切って設けられているとともに少なくとも1つの分極化可能手段の近傍に位置する非伝導性多孔質膜をさらに備えており、膜が、流路の長手方向の軸線に対して少なくとも部分的に平行な方向に沿って延びているとともに分極化可能手段によって形成されている少なくとも1つの孔より小さな孔サイズを具備する孔を有しており、このことにより、使用時、電界が、流路の長手方向に沿って分極化可能手段を横切って生成されると、分極化電気浸透作用の下で、流路内の流体が流れるように構成されており、少なくとも1つの分極化可能手段が、孔の壁の少なくとも一部分を流路の長手方向の軸線に対して湾曲または傾斜させるような形状に形成されている。
したがって、本発明は、既存の分極化電気浸透ポンプを当該ポンプの分極化可能手段と共に作用する多孔質膜を追加することによって向上させることができるという点に着目してなされたものである。
分極化電気浸透ポンプはすべて分極化可能手段が必要である。というのは、この分極化可能手段が、拡散電荷層またはSCRの如き分極化電気浸透による移動を誘発するのに必要とされる電荷不均衡を生ずる表面を提供するからである。多孔質膜を分極化可能手段の近傍に設けることにより、生成された電荷が膜の孔の中へと延出することが可能となる。このことが生じるのは、膜表面に対して平行な電荷の流れが膜の多孔質構造によって禁じられるためであり、これによって、電荷層がより厚くなる。換言すれば、誘導電荷の側面方向のドリフトは多孔質膜によって抑制されることとなる。
生成される電荷層の厚みが大きくなるとその効果も大きくなる。したがって、本発明に従って多孔質膜を用いると、この膜および分極化可能手段は、分極化電気浸透流を生成することができる。与えられた電界に対して流量を増すことができる。
このことを達成するためには、多孔質膜は分極化可能手段の近傍に位置する必要がある。というのは、この手段のまわりに形成される誘導電荷層は非常に薄いからである。したがって、膜は分極化可能手段から5ミクロン以下の位置にあるべきである。
生成されたSCRを多孔質構造の中へ延出させることによりEO2を増強させる可能性が、ミシュク等(Mishchuk、et al.)による論文「ダイヤフラム−樹脂システム内の流体の電気浸透輸送」(水の化学および技術ジャーナル、26巻、4号、21〜32ページ、2004年)に記載されている。この論文は、電気ろ過法におけるEO2の利用に関するものである。これらの方法は、たとえば水からの不純物の抽出および土からの重金属の取り除きに用いられている。このような方法では、ダイヤフラムを介して電気浸透移動を誘発して不必要な粒子を後に残すようにするため、帯電した多孔性ダイヤフラムが用いられている。非常に理論的ではあるが、この論文では、ダイヤフラムをイオン交換樹脂で被膜することにより、樹脂粒子によって生成されるSCRがダイヤフラムの中へと延出し、電気浸透作用が増強されるという仮説が立てられている。帯電した多孔質ダイヤフラムをイオン交換樹脂と共に用いることによりその中の流量を増大させることができること、または、帯電していないダイヤフラムを樹脂と共に用いることにより電気ろ過法を実現することができることが示唆されている。
本発明の発明者等は、この技術が分極化電気浸透ポンプにおいても効果を奏しうることに着目した。加えて、多孔質膜を用いるとさらなる効果がありうることが明らかである。
本発明に係る多孔質膜を用いると、流路の有効孔サイズを小さくすることが可能となるというさらなる効果を有している。ポンプの孔サイズを調整するために別個の構成要素を用いることにより、分極化可能手段を所望のレベルの分極化電気浸透効果を提供する視点のみで設計することができる。したがって、多孔質膜を用いてポンプの孔サイズを小さくしておくことができるので、ポンプ圧力を犠牲にすることなく分極化可能手段をより大きくすることができる。
分極化可能手段によって形成される「孔」は、当該分極化可能手段自体内の孔または隙間に加えて、流路の壁と分極化可能手段との間に形成される空間も含むことができる。換言すれば、分極化可能手段によって形成される孔とは、流路を流れる流体が分極化可能手段を通るまたは通り抜けるための領域である。したがって、分極化可能手段自体が孔を有している必要はない。さらに詳しくいえば、これが、流路を部分的に遮断するように作用し、その他の空間が孔の役割をはたしうる。
本発明によれば、多孔質膜は、分極化可能手段によって形成される孔よりも小さなサイズの孔を有していなければならない。本発明の目的によれば、分極化可能手段によって形成される孔の孔サイズは、分極化可能手段によって形成される孔と同一の長さおよび孔隙率を有している真っ直ぐなシリンダ形状の孔を有しているとともに同一の空隙容量対表面領域比を有している膜の孔サイズと同一であると考えられる。このような等価孔サイズの計算は流体の流れを考慮する場合頻繁に行われている。タブリュ・エル・マッケーブ(W.L.McCabe)、ジェイ・シー・スミス(J.C.Smith)およびピー・ハリオット(P.Harriot)、化学工学ユニットオペレーション(Unit operations of chemical engineering)、マグロウヒル(McGraw−Hill)、シンガポール、1993年、152〜153ページを参照されたい。
好ましくは、膜は、多孔質でなければ流路を遮断するように、流れ経路全体を横切って設けられる。このことにより、流れ経路全体が膜の孔サイズによって確実に影響を受けることになる。
膜の孔全部が同一のサイズであることまたは同一の向きであることは必要ではない。たとえば、多孔質膜が、第一の方向に延びる第一の組の孔とこの第一の方向に対して直角な第二の方向に沿って延びる第二の組の孔とを有していてもよい。これに代えて、膜は、あるサイズを有する第一の組の孔と、異なるサイズを有する第二の組の孔とを有していてもよい。しかしながら、膜は、単一方向の均一な孔を有していることが好ましい。
膜の孔のうちの少なくとも一部が流路の長手方向の軸線に対して少なくとも部分的に平行な方向に延びていることが必要であり、このことにより、これらの孔を流れる流体が、当該流体の流入した膜の部位から長手方向に沿って離れた位置にある膜の部位から流出するようになる。
好ましくは、膜の孔は、流路の長手方向の軸線に対してほぼ平行となっている。
膜の孔サイズは、ポンプの機能によって部分的に決まる。流量が非常に低いものの高い圧力が必要となる場合には、30nmもの小さな孔が用いられうる。他方、電子冷却のためにたとえば高い流量が望まれている場合、大きな孔、たとえば最大10μmの孔が有益である。
マイクロ流体システムの分野内では、0.1と1μmとの間の孔サイズを有する膜を用いると、ポンプ機能が顕著に向上することが分かっている。
しかしながら、さらに一般的にいえば、多孔質膜の孔は、流路の長手方向の軸線に対して平行な方向に沿って測定された場合、分極化可能手段の長さの好ましくは少なくとも1/10、最も好ましくは少なくとも1/100小さい。
理想的には、膜の厚みは、強化拡散電荷層、SCRまたは誘発される他の電荷濃度と同等の程度であるべきである。このことにより、単にシステムに対して抵抗を追加しうるさらなる長さを導入することなく、拡張された拡散電荷層、SCRなどの全てが確実に活用されることになる。
しかしながら、現実問題として好ましい厚みを見つけ出すことは、時間がかかり、困難なことである。マイクロ流体システムでは、100μmの膜厚が良好な結果を生んでいる。さらに一般的にいえば、10と1000μmとの間の膜厚が好ましく、50と200μmとの間がさらに好ましい。
単一の膜が用いられてもよいし、または、複数の膜が用いられてもよい。たとえば、所望の全膜厚を得るためにたとえば複数の膜を用いることが望ましい場合もある。複数の膜が用いられる場合、これらの膜は通常面と面が接触した状態にある。本明細書に記載の膜厚は、全厚、すなわち単一の膜の厚さまたは複数の膜の総合厚さを意味している。一部の実施形態では2つの膜が用いられる。
伝導性の膜を用いると電気浸透効果を短絡させる場合もあるため、膜は非伝導性である。
膜は、反対の電荷を有してもよいしまたは無電荷であってもよいが、好ましくは分極化可能手段と同一の符号の表面電荷を有し、また、好ましくは同一の表面グループを有している。電荷が異なると、電気浸透流に対してブレーキをかけるという影響を与えることになり、2つの異なる表面グループが用いられると、望ましくない電気化学反応が生じる恐れがある。
好ましくは、膜は疎水性のポリマーを有している。このことにより、膜マトリックスが濡れなくなる。濡れが生じてしまうと、液体輸送にあまり貢献せず、電流および電力の消費の増大に結びついてしまうことになる。このタイプの膜は、孔内の液体が液体輸送により取り除かれた後は液体を保持しないという長所をさらに有している。
疎水性膜材料は、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリエチレン(超高分子量)の如きポリマー材料から選択されることが好ましい。また、疎水性膜は、製造中に、親水化表面処理を受けることが好ましい。たとえば、この処理によって、孔の表面にスルホン酸基を導入することができる。上述のように、これらのグループは、分極化可能手段の表面グループと同一であることが好ましい。
先に記載されているように、分極化可能手段の表面上に生成される誘導電荷が膜へと延出することができるように、多孔質膜は分極化可能手段の近傍に設けられなければならない。最良の結果を達成するためには、多孔質膜は分極化可能手段と直接接触していることが好ましい。
分極化可能手段は、分極化電気浸透移動を誘発する適切ないかなる形態を有していてもよい。このような手段は従来の分極化電気浸透ポンプから明らかである。
好ましい一部の実施形態では、少なくとも1つの分極化可能手段は、孔壁の少なくとも1部分が流路の長手方向の軸線に対して湾曲または傾斜するような形状に形成されている。したがって、分極化可能手段によって形成される孔は、分極化可能手段の近くに流路の長手方向の軸線に対して通常平行になっている生成された電界に対し湾曲または傾斜する壁を有していてもよい。その場合、孔内の電界は法線成分と接線成分とを有しており、電界の法線成分は分極化表面に電荷を誘発し、接線成分はその電荷を移動させることで液体を表面に沿って移動させる。このようにして、分極化電気浸透流が達成される。
これらの実施形態では、孔壁全体が曲げられるまたは傾けられる必要はない。場合によっては、流路が真っ直ぐな側面を有し、これらの側面が孔の一または複数の側面を形成するようになっていてもよい。しかしながら、各孔は、流路の長手方向の軸線に対して湾曲または傾斜した分極化可能手段によって形成される孔壁の少なくとも一部分を有していることが好ましい。流路はその全体の中で屈曲した部分と方向変化とを有している場合もあるが、分極化可能手段は、一般的に、電界を印加することができる流路の真っ直ぐな部分に設けられる。したがって、流路の長手方向の軸線または方向の記載はすべて、分極化可能手段を有する流路の一部分のことを意味したものである。
少なくとも1つの分極化可能手段は、多孔質膜の近傍に位置するとともに流路の長手方向に対してほぼ垂直な表面を具備する部分を有していてもよい。電界の影響の下で、この表面上に電荷が生成されるので、電荷層が生成、形成されることになる。生成された電荷層は、膜の穴の中および分極化可能膜の穴を横切って延びる傾向にあり、その結果、流れが生じることとなる。このような実施形態に係る分極化可能手段は湾曲または傾斜した壁をさらに有していてもよいが、これらは必要なことではない。したがって、実施形態によっては、少なくとも1つの分極化可能手段が、流路の長手方向に対してほぼ垂直な表面と、長手方向に対してほぼ平行な表面とだけを有していてもよい。一例として、流路の長手方向に対して平行に配置された真っ直ぐなシリンダ形状の孔を備えた分極化可能手段が挙げられる。分極化可能手段は、このような孔を備えた膜、すなわち第二の膜であてもよい。
多孔質膜の近傍に位置するとともに流路の長手方向に対してほぼ垂直な表面を備えた実施形態の場合、多孔質膜および分極化可能手段の厚さと孔サイズとの間の関係は上述のものと同一である。
一実施形態では、分極化可能手段は少なくとも1つの分極化可能粒子を有している。この粒子が流路内に配置された場合、流れを制限し、孔を形成することとなる。この孔は、流路の長手方向に沿って測定されるような粒子の長さと同一の長さを有している。さらなる粒子を追加すると、孔の形状を変化させることができるしまたは複数の孔を形成することができる。
製造が比較的簡単なため、分極化可能粒子はほぼ球状であることが好ましい。しかしながら、たとえばシリンダ形状、楕円形状、平行四辺形状、三角形状、たこ形状、円錐台形状などの他の多くの形状が可能である。
個々の分極化可能粒子を互いに接触させて配置された場合、単一の電荷が生じ、電気浸透効果が増強される。したがって、分極化可能手段が、複数の隣接する分極化可能粒子を含んでいることが好ましい。
隣接する分極化可能粒子は、流路内において列をなしてももしくは格子状に配置されてもよいし、または、単に無作為に詰め込まれてももしくはクラスタ状に配置されてもよい。流路の長手方向の軸線に対してほぼ垂直な面内に「並んで」設けられる粒子数を増やすと、孔の数が増え、長手方向の粒子を増やすことにより分極化可能手段の厚みを増やすと、孔の長さが大きくなる。分極化可能粒子の層を隣接させると、生成される分極化電気浸透作用をあるしきい値までなら増強することができるが、さらに層を追加しても得られる流出量は変わらない。
分極化可能手段が複数の隣接する分極化可能粒子を有する実施形態では、多孔質膜が複数の分極化可能粒子の近傍に位置するまたはそれと接触していることが好ましい。たとえば、分極化可能粒子が同一の面内で流路を横切って配置されている場合、多孔質膜が各分極化可能粒子、すなわち分極化可能手段の外面全体と接触するようになっていることが好ましい。
また、一部の実施形態では、単一の多孔質膜が、複数の分極化可能手段と接触するようになっていてもよいし、または、その近傍に位置するようになっていてもよい。このことは、複数の分極化可能粒子が同一の断面内で放射線状に間隔を置いて流路の壁に取り付けされる場合に生じうる。これらの分極化可能手段は共に、流れ経路を制限して、孔を形成する。
分極化可能手段が一または複数の分極化可能粒子を有している場合、多孔質膜の孔が流路の長手方向に沿って測定されるような単一の分極化可能粒子の長さの少なくとも1/10小さいことが好ましい。最も好ましくは、孔サイズは、この長さよりも少なくとも1/100小さい。
好ましくは、多孔質膜は、流路の長手方向に沿って測定される分極化可能粒子のサイズの0.5と3倍との間の厚みを有している。
これに代えて、分極化可能手段は、分極化可能膜の形態で設けられてもよい(ある実施形態では、流路の長手方向の軸線に対して湾曲または傾斜する孔を有しており、他の実施形態では、真っ直ぐなシリンダ状の孔を有している)。この場合、非伝導性膜の孔サイズは、流路の長手方向に沿って測定されるような分極化可能手段を構成する膜の厚みの好ましくは少なくとも1/10小さく、さらに好ましくは少なくとも1/100小さい必要がある。
先に記載されているように、第二の種類(EO2)の電気浸透は、古典的な電気浸透に較べて、比較的低い電圧で速い流量を実現することができる。したがって、好ましい実施形態では、ポンプは第二の種類の電気浸透によって液体の移動を誘発するように構成されている。
これを達成するために、分極化可能手段の表面でSCRを生成することが可能でなければならない。このことは、単極伝導材料を用いて達成される。生成されたSCRを用いて流体の移動を方向付けするために、単極伝導手段の表面が均一でなければならない。均一とは、いかなる表面の凹凸であっても分極化可能手段の特徴的直径の5%未満でなければならないことを意味する(特徴的直径とは、生成される電界の方向に対して平行に測定される分極化可能手段の寸法のことである)。分極化可能手段は流れ方向に沿った規則的な構造(たとえば、溝)を有していてもよい。しかしながら、好ましくは、分極化可能手段は、滑らかな面、すなわち表面誤差がすべて特徴的直径の5%未満である面を有している。好ましくは、いかなる表面誤差であっても直径にかかわらず100nm未満である。
いかなる単極伝導手段で本発明を構築してもよいが、好ましくは、分極化可能手段は以下の特性のうちの一または複数を有している:ポリマーからなるイオン伝導体は、強酸性イオン交換グループ(たとえば、スルホン酸基)、流体媒体の伝導性の10倍以上の伝導性、バルク伝導性(メンバーは分極化不能コアを有してもよいが、この直径は伝導性の外層の直径よりも著しく小さい、好ましくはゼロである)、最も低い孔隙率および孔サイズ(理想的にはゼロ)。具体的にいえば、単極伝導手段が強酸性イオン交換体を有していることが好ましい。スルホン化ポリスチレン−ジビニルベンゼンがとくに好ましい材料である。ただ、とくにタンパク質結合の削減が有益となる用途においてはスルホン化アクリルも用いることができる。分極化可能伝導手段が円錐形の孔を備えた膜である場合、ポリエーテルスルフォン(PES)と混合されたスルホン化されたポリエーテル・エーテル・ケトン(sPEEK)が好ましい材料である。このような膜は、孔形状のネガティブを表わす突出部を有した表面に溶かされたポリマー混合物をキャスト成形することにより製作することができる。この表面は、エッチングされたシリコンマスターから複製されたポリジメチルシロキサン(PDMS)から造ることができる。
金属、半導体、金属製ポリマーおよび他のイオン交換体を特別な用途に用いることができるが、一般的に好ましくはない。
単極伝導体とは、伝導性が負のまたは正の電荷に対して高い、好ましくは少なくとも4倍高い、さらに好ましくは少なくとも15倍高い材料のことを意味している。
ポンプがICEOを通じて動作するように構成されている場合、分極化可能手段は誘電材料を含有することができる。しかしながら、好ましくは、伝導性材料が用いられる。したがって、EO2ポンプおよびICEOポンプでは、分極化可能手段には伝導手段が好ましい。
伝導手段とポンプ内で用いられるであろう流体との間の伝導比を確実に適切かつ高いものにするために、伝導手段が、好ましくは0.01S/cmを超える比伝導率、さらに好ましくは0.01〜1S/cmの間の比伝導率、最も好ましくは1S/cmを超える比伝導率を有している。
分極化可能手段が伝導手段を含む場合、多孔質膜は、それが伝導手段よりも少なくとも1/5小さい伝導度を有している場合に、非伝導性であると考えることができる。
ポンプがEO2を通じて動作するように構成されている場合、多孔質膜は、使用時にSCRが生成される単極伝導手段の表面の近傍に位置するようにまたはそれと接触するように設けられることが好ましい。しかしながら、これに加えて、驚くべきことに、分極化可能手段の反対側に膜を設けることまたは多孔質膜を両側に設けることもポンプ効果をさらに増強させることが示されている。
この効果は、他の形態の分極化電気浸透を用いて動作するポンプにも見出されている。したがって、一実施形態では、ポンプは、第二の多孔質膜をさらに備えており、この第二の多孔性膜は、分極化可能手段のうちの上述の多孔性膜とは反対側の表面の近傍に位置し、好ましくは接触している。第二の多孔質膜は、流路の長手方向に対して少なくとも部分的に平行な方向に延びている孔を有している。好ましくは、第二の多孔質膜の孔は分極化可能手段によって形成される孔よりも大きい。このことにより、このさらなる膜によって生じる流れ抵抗が小さなものとなる。
分極化可能粒子を分極化可能手段の形成のために用いる場合、第二の多孔質膜を用いることは、分極化可能粒子を流路内の適当な場所にしっかりと固定するというさらなる目的の役に立つ。このことは、分極化可能手段を適切な場所に保持するための結合剤または精密な工作の必要性を無くするので有利である。
第二の多孔質膜をこの機能のために用いる必要はない。さらに正確にいえば、分極化可能手段を多孔質膜と他の多孔質構造体、たとえば開いた格子と間に設けてもよい。したがって、好ましくは、分極化可能手段は、流路内の多孔質膜と多孔性シール要素、たとえば第二の膜、網または格子との間にしっかりと設けられる。好ましくは、シール要素の孔は、多孔質膜によって形成される孔よりも大きい、最も好ましくは少なくとも3倍大きい。
さらなる選択肢は、多孔質膜が、分極化可能手段を取り囲む多孔質プラグの形態で提供されることである。このことは、電気浸透効果は小さくなるものの、製造が簡単であるという長所を有している。
これに代えて、多孔質膜は、分極化可能手段の表面の多孔性フィルムを含んでいてもよい。多孔性フィルムは従来のスプレー技術を用いて塗布することができる。
先に記載されているように、分極化可能粒子を用いる場合、隣接する粒子の数を増やしても、それに応じて分極化電気浸透作用をあるしきい値までしか増強することしかできない。したがって、複数の分極化可能手段を流路の長手方向に沿って間隔をおいて設けることが好ましい。このように、事実上、ポンプは複数の別々のポンプセクションを有しうる。複数の分極化可能手段の各々は、個別の粒子であってもよいし、隣接する粒子であってもよいし、膜であってもよいし、または、これらを組み合わせたものであってもよい。
複数の分極化可能手段を用いる場合、好ましくは、ポンプは複数の多孔質膜を備えており、各分極化可能手段は、流路の長手方向の軸線に対して少なくとも部分的に平行な方向に沿って延びているとともに分極化可能手段によって形成される孔よりも小さな孔サイズを具備する孔を有している多孔質膜の近傍に設けられるかまたはそれに接触している。
このことにより、各分極化可能手段は、電荷濃度、たとえばSCRを膜の孔の中へ延出することにより分極化電気浸透流を増強することが可能となる。
好ましい一部の実施形態では、ポンプは、一対の非伝導性の多孔質膜を備えており、当該一対の非伝導性の多孔質膜が少なくとも1つの分極化可能手段の各側に1つずつ設けられ、各非伝導性多孔質膜が少なくとも1つの分極化可能手段の近傍に設けられている。このように配置すると、このポンプは双方向用のポンプとなる。
一部の実施形態では、各分極化可能手段は、多孔性シール要素の多孔質膜とは反対側の面にさらに接触して、分極化可能手段を固定している。このシール要素は第二の多孔質膜、格子、網などであってもよい。
ポンプ内で用いられる膜はすべて、先に記載されているような同一の厚さ、孔サイズおよび材質特性を有しうる。このように、第二の多孔質膜を用いる場合、第二の多孔質膜は、分極化可能手段を設置する機械的な機能と、ポンプを双方向に動作可能とする機能とを果たすことができる。
第二の下流側の分極化可能手段の多孔質膜が第一の上流側の分極化可能手段に接触することができる。換言すれば、長手方向に間隔をおいて並べられた分極化可能手段は、両方のグループと接触する多孔質膜によってのみ分離することができる。このような実施形態では、多孔質膜自体がシール要素として働く。
これに代えて、長手方向に間隔をおいて並べられる分極化可能手段間のギャップに、多孔質膜の孔サイズよりもはるかに大きい、たとえば少なくとも5倍、好ましくは10倍大きい孔サイズを有しているシール要素が配置されてもよい。このシール要素は、たとえば第二の多孔質膜または格子を含んでいてもよい。
膜が多孔質プラグを含む実施形態では、このプラグが一または複数の分極化可能手段を取り囲むようになっていてもよいし、または、個別のプラグがポンプ内の長手方向に間隔をおいて並べられる分極化可能手段の各々に対して用いられるようになっていてもよい。
このポンプを電極なしで生産することができる。しかしながら、これらは分極化可能手段を横切って電界を発生させるために使用時には存在していなければならない。これらの電極は、いったんポンプが動作システム内に適所に設けられた場合にポンプに取り付けられてもよいが、ポンプの一体部分であってもよい。したがって、好ましくは、ポンプは、使用時、流体を分極化電気浸透の作用の下で流れさせるように分極化可能手段を横切って電界を生成するように構成されているとともに流路の長手方向に沿って分極化可能手段の両側に設けられている電極をさらに備えている。
これらの電極が複数の長手方向に沿って間隔をおいて並べられている分極化可能手段を取り囲むようになっていてもよいし、または、長手方向に沿って間隔を置いて並べられている分極化可能手段の各々がそれ自体一対の電極を有するようになっていてもよい。各電極がそれに対応する非伝導性多孔質膜から間隔をおいて配置されるようになっていてもよいし、または、各電極が非伝導性多孔質膜の表面を覆うように非伝導性多孔質膜と直接接触するようになっていてもよい。電極が多孔質膜に接触するようになっている場合に良好な結果を得ることができる。単一の多孔質膜が分極化可能手段の近傍に位置する実施形態では、分極化可能手段の多孔質膜が設けられている側の電極が多孔質膜に接触するようになっていてもよいし、一方、分極化可能手段の各側に一対の多孔質膜の各々が設けられる実施形態では、分極化可能手段の一方側の電極が分極化可能手段のその一方側の多孔質膜に接触するようになっていてもよく、分極化可能手段の他方側の電極が分極化可能手段のその他方側の多孔質膜に接触するようになっていてもよい。
これらの電極の好ましい材料はパラジウムである。
好ましくは、これらの電極は、分極化可能手段の方向に向いた表面領域を有している。このような電極は、流路の断面に対して平行なかつその断面(全体のうちの一部)を覆う金属製の多孔質格子であってもよい。また、これらの電極は、チャンネル壁から延びる柱の如き3次元構造であってもよい。このような電極はより均一な電流分布を提供する。このことは、分極化可能手段のすべての部分に確実にSCRを生成させるためにEO2を用いる際にとくに重要である。
これに代えて、電極は、分極化可能手段の両側または一方側の多孔質膜および/またはシール要素の上に被着される金属または伝導性ポリマーの層を有してもよい。たとえば、金または他の金属をスパッタリングまたは蒸着によって被着させることができるし、また、伝導性ポリマーを溶融ポリマーにより被着させることができる。シール要素および膜の全体に伝導性を付与するのではなく、伝導性材料を制御された方法で薄く被着することにより膜および伝導性シール要素の上に薄い伝導層を形成するようにすべきである。この形態の電極は、分極化可能手段が膜または格子の如き他のシール要素の間に位置する場合に有益である。このように電極を形成するためにポンプの既存の構造を用いると費用効率が良い。
したがって、好ましくは、多孔質膜またはシール要素はそれらの外面に被着される電極層を有している。
分極化電気浸透移動を生成するために必要とされる電気信号は当該技術分野において公知になっている。
分極化可能手段の近傍に位置する多孔質膜を用いるときに大きな誘発電荷が形成されるため、液体の速度は、与えられた電界強度において、多孔質膜を有さないポンプにより得られる速度より通常高くなる。EO2ポンプの速度は最大10倍まで上昇させることができ、また、圧力は10倍を超える倍数だけ上昇させることができる。したがって、ポンプを動作させるために用いられる電圧を下げることが可能となる。このことは、電気化学反応およびガスの発生に関する問題の削減、制御電子機器および電源の単純化ならびに可搬性の向上を含むいくつかの利点をもたらす。
理論的には、本発明に係るEO2ポンプ内の電荷の短期間の蓄積の間、液体速度(v)は、電界強度E、伝導性手段のサイズa、膜孔サイズam、バルクイオン濃度Cに以下のように依存すると考えられる:
Figure 0005366978
しかしながら、電荷の蓄積の後、電界の方向に対して平行な真っ直ぐなシリンダ状の孔を備えた不活性(すなわち、非伝導性)膜の場合には以下の関係が成り立つと仮定されている。
Figure 0005366978
このことは、この極端なケース(すなわち、電界の方向に対して平行な孔)の場合、ポンプ全体は準線形の(sub−linear)速度−電界強度関係を示す。ほとんどの多孔質物質は、電界に対して垂直な方向にも孔隙率を有しており、抑制されているものの、この方向に沿った液体または電荷の流れを可能としている。
正確な流量−電圧関係は不活性な多孔質物質の孔隙率および他の特性に応じて変わりうるものの、この微細な多孔質物質の中への電荷の流入ならびにそれに伴う帯電層の厚みの増大により、このような不活性な多孔質物質がない状況と比較して流量および圧力が大きく上昇することになる。
EO2およびICEOのために頻繁に用いられるようなオフセットDC成分またはゼロDC成分を備えた非対称の正方形パルス信号を用いてポンプを動作させることができる。圧力/流量と電界との間が準線形関係であるシステムの場合には、弱いパルスが流れ方向を決定し、線形関係である場合には、強いパルスが流れ方向決定することになる。
非対称のポンプ(分極化可能手段の一方側にのみ微細な多孔質膜を備えている)の場合、移送の方向付けを得るために対称な交流信号を用いることができる。また、DC信号を用いることもできる。
多孔質膜の使用が電気浸透作用を増強させるので、電極は、前のポンプの場合よりも分極化可能手段から遠く離れた位置に設けることができる。一部の実施形態では、電極が不必要な副作用を生じる恐れがあるため、このことが有益な場合もある。
したがって、一部の実施形態では、電気抵抗および不必要な泡の形成を減らすために、スペーサ層が多孔質膜と電極との間に設けられる。好ましくは、このスペーサは、電荷を分極化可能手段へ移送するが泡の通過を防止することが可能なイオン交換膜の形態を有している。このイオン交換膜に接触する分極化可能手段を提供することがさらに可能である。このことは、電気浸透対流効果を生み、スペーサ膜上の不必要な分極化(このことにより、電気抵抗が増大し、したがって高電圧が必要となる)を減らす。しかしながら、薄いイオン溶液(最大0.1〜1ミリモル)の場合、本発明における低電圧およびACの使用の可能性により、この処置は通常不必要である。
本発明に係るポンプをマイクロ流体システムのマイクロチャネル内に設けることができる。このような実施形態では、ポンプの流路がマイクロチャネルの一部を形成することが好ましい。電界を形成させるための電極をマイクロチャネル内の分極化可能手段の両側に配置することにより、チャネル内にポンプ部を形成することができる。所望ならば、複数のポンプを同一のシステム内に設けてもよいし、または、同一のマイクロチャネルに設けてもよい。
したがって、さらなる態様によれば、本発明に係るマイクロ流体システムは、マイクロチャネルと、マイクロチャネル内に設けられている電極であって、これらの電極の間にポンプ部が形成されている電極と、ポンプ部に少なくとも1つの孔を形成するように、ポンプ部内に設けられている少なくとも1つの分極化可能手段と、ポンプ部を横切ってかつ少なくとも1つの分極化可能手段の近傍に位置する非伝導性多孔質膜とを備えており、膜が、ポンプ部の長手方向の軸線に対して少なくとも部分的に平行な方向に沿って延びているととともに分極化可能手段によって形成されている少なくとも1つの孔よりも小さな孔のサイズを具備する孔を有しており、ポンプ部は、使用時、電極がマイクロチャネル内の流体が分極化電気浸透の作用の下で流れるように分極化可能手段を横切って電界を生じさせるように構成されている。
好ましい一部の実施形態では、少なくとも1つの分極化可能手段が、孔壁の少なくとも一部分をポンプ部の長手方向の軸線に対して湾曲または傾斜させるような形状に形成されている。これに代えて、少なくとも1つの分極化可能手段が、流路の長手方向にほぼ垂直な表面と、長手方向に対してほぼ平行な表面とだけを有していてもよい。
しかしながら、本発明に係るポンプは、自立式であってもよい。このことにより、本発明に係るポンプをさまざまな用途に用いることができるように単独で製造および販売することが可能となる。たとえば、自立式ポンプは、ラボチップ(lab−on−a−chip)システムの流入導管に接続することができる。このように、ポンプをマイクロシステム自体の中へ組込むという複雑さ無しに、このポンプを用いてマイクロシステムに流体を流すことができる。
このような実施形態では、流路はハウジング内を貫通する孔であることが好ましい。好ましくは、分極化可能手段は、多孔質膜と多孔性シール要素との間の貫通孔内に詰め込まれる複数の隣接する分極化可能粒子を有している。このように、複数の分極化可能粒子は貫通孔内に収容されている。好ましい実施形態では、シール要素は、流路の長手方向に対して少なくとも部分的に平行な方向に延びている孔を有している第二の膜である。第二の膜の孔は、分極化可能手段によって形成される孔よりも大きいことが好ましい。これに代えて、シール要素は格子または網を有していてもよい。
自立式ポンプの使用は、それ自体で進歩性があると考えられるので、本発明のさらなる態様によれば、本発明は、電気浸透により液体の移動を誘発するためのポンプであって、流路を形成する貫通孔を有しているハウジングと、貫通孔の少なくとも一部分をシールする多孔質シール要素と、これらのシール要素の間に詰め込まれている複数の隣接する分極化可能粒子とを備えており、分極化可能粒子が流路に孔を形成しており、シール要素のうちの1つが、流路の長手方向の軸線に対して少なくとも部分的に平行な方向に沿って延びているとともに分極化可能粒子によって形成されている孔よりも小さな孔サイズを具備する孔を有している非伝導性多孔質膜を含んでいる。
分極化可能粒子は、孔壁の少なくとも一部分を貫通孔の長手方向の軸線に対して湾曲または傾斜させるような形状に形成されてもよい。これに代えて、分極化可能粒子は、流路の長手方向とほぼ垂直な表面と、流路の長手方向にほぼ平行な表面とだけを有していてもよい。
第二のシール要素は、さらなる膜または上述のような格子を有していてもよい。
自立式ポンプは、分極化可能粒子の両側に位置する電極をさらに備えていてもよい。これらの電極は、貫通孔の外側に設けられてもよいし、または、分極化可能粒子の両側に位置する貫通孔の内側に設けられてもよい。このことは、貫通孔を形成し、この貫通孔に分極化可能粒子を入れ、多孔質膜を用いて貫通孔をシールし、次いでハウジングの両側に環状のリングを追加して貫通孔を延長させることにより達成することができる。
ここで、例示のみを意図して、本発明のいくつかの実施形態を添付の図を参照して説明する。
従来のポンプを収容しているマイクロチャネルを示す断面図である。 図1AのB−B線に沿った断面図である。 本発明に係るポンプを示す図である。 本発明に係る他のポンプを示す図である。 単一分極化可能粒子上のEO2の原理を示す図である。 多孔質膜と接触している単一分極化可能粒子上のEO2の原理を示す図である。 本発明に係るポンプの他のバージョンを示す図である。 本発明に係るポンプの他のバージョンを示す図である。 本発明に係るポンプの他のバージョンを示す図である。 本発明のさらなるバージョンを示す図である。 本発明のさらなる実施形態を示す図である。 ポンプが自立している本発明に係る実施形態を示す図である。 本発明のさらなる実施形態を示す図である。 本発明で用いられる多孔質分極化可能膜を示す概略図である。 本発明に係るポンプの他の実施形態を示す図である。 図10の「X」として示されている部分を示す拡大図である。
図1Aには、マイクロチャネル12内の従来のポンプ10が示されている。このポンプ10は第二の種類の電気浸透を通じて動作するように構成されている。電極13a、bは、マイクロチャネル12の中へと延出して、マイクロチャネル12内にポンプ部(pumping segment)14を形成している。このポンプ部14内では、複数の球状の分極化可能粒子15が分極化可能手段11を形成するように配置されている。これらの粒子15は、単極伝導材料(unipolar conducting material)からなっており、マイクロチャネル12および電極13a、bにより提供される電界の長手方向の軸線に対して湾曲している。マイクロチャネルがメタノールの如き電解質で充填され、かつ、電極13a、bが分極化可能手段11を横切って適切な電界を印加するように操作されることにより、周囲の流体が第二の種類の浸透を通じて移動することとなる。したがって、このポンプにより、流体は、マイクロチャネル12内を矢印により示されている方向に向かって流れることが可能となる。
図1Bには、マイクロチャネル12の断面が示されている。この断面は、B−B線に沿って、すなわち分極化可能手段11を切断して得られる断面である。図から分かるように、分極化可能手段11は部分的にマイクロチャネル12を閉鎖し、チャネルに孔17を形成している。分極化可能粒子15は、孔17に湾曲した壁を提供するような形状である。この例では、マイクロチャネル12それ自体が湾曲した孔壁を形成しているが、このことは必要なことではない。また、他の実施形態では、マイクロチャネルの断面は正方形であってもよいしまたは長方形であってもよい。分極化電気浸透による移動を引き起こすために必要となる電荷の不均衡は、湾曲したまたは傾斜した孔壁を形成している分極化可能手段11の表面で引き起こされる。分極化可能粒子15の必要サイズのために、これらの粒子の間で形成される孔17が比較的大きくなってしまい、ポンプの圧力が制限されてしまう。
実施形態が図2Aに示されている本発明に係るポンプによってこの問題が克服されている。ポンプ20は、球状の分極化可能粒子25からなる分極化可能手段21と接触するようにマイクロチャネル22を横切って設けられている多孔質膜26を備えている。この膜26は、マイクロチャネル22の長手方向の軸線に対して平行な細長い孔26aを有している。これに加えて、ポンプ20は、従来のポンプ10と同一の構成部材を備えている。
図2Bには、一つの変形例が示されている。この実施形態では、電極23aが多孔質膜26と接触している。電極23aは、レーザによって穿孔されたフォイルであってもよいしまたは網もしくは格子であってもよく、金属または他の導体性材料から形成される。
多孔質膜26は、2つの有益な方法でポンプ20に影響を与える。第一に、分極化可能手段21により形成される孔よりも孔26aが狭い(小さい)ように膜が選択されているため、多孔質膜26は、ポンプ20の有効孔サイズを小さくする。このことにより、ポンプ圧力を上昇させることが可能となる。第二に、電気浸透作用が増強される。このことは、適切な電界が印加されると分極化可能手段21のまわりに生じる空間電荷領域(SCR)に対して膜26が有する効力に起因するものである。SCRの原理は、図3A、Bを参照して下記に記述する。
生成された電界が強濃度分極化(strong concentration polarization)を行うのに十分に足りる強さである場合、SCRが分極化可能手段21に誘発されることになる。その時、分極化ゾーンは、バルク液体との境界に位置する拡散層と、分極化可能表面の近くに位置するSCR層と、その表面の最も近くに位置するであろうEDLとからなる。しかしながら、分極化可能粒子表面におけるEDLの可能性にもかかわらず、SCRがこの層とは無関係に形成されるということに着目することは重要である。「第二の種類の電気浸透」についての概念は、バルク液体に作用する電気効果(電気流体力学効果)とは異なる薄い電荷ゾーン(SCR)にその源を有している点がEOlと類似している。このような分極化現象はイオン伝導物質または電子伝導物質について記載されている。
分極化現象については、伝導性の低い液体内の選択的(陽)イオン透過伝導性材料に関して最も容易に記述することができる。この現象はよく知られており、ここでは簡潔に記述する。材料の方向に向けて電界を案内することにより、陽イオンが固体材料の方向に向けて移動し通り抜けるものの、陰イオンは、選択的透過性により、反対方向に向かって移動することができない(すなわち、一方の電荷の輸率が他方よりも著しく大きくなってしまう)。定常状態では、材料からの共イオンの電気拡散流は、反対方向の拡散流によって補償される。したがって、濃度が材料の方に向かって減少する拡散ゾーンが観察されることになる。電界強度を上昇させると、濃度の減少が大きくなるものの、電流が増える。材料近傍のイオン濃度がゼロになるところを限界点とする。この点では、電圧をさらに上昇させても電流が増大しないので、「限界電流」と呼ばれる。
しかしながら、限界電流は電圧−電流曲線における平坦部分を表わしているものの、電圧が十分に高ければ、電流がさらに大きくなる。この強濃度分極化の1つの特徴は、材料の近傍(材料と拡散ゾーンとの間)にSCRが現れることである。
過剰限界電流が生じる1つの理由は、分極化ゾーンにおけるEO2渦(円状の流れであり、場合によっては電気対流とも呼ばれる)が発生し、拡散によりイオンを輸送するようになるからである。平坦な膜においてさえ、EO2渦が観察されている。
図3Aには、伝導性が低い液体および矢印Eに示された強電界の中にある単一の単極伝導粒子上に生じたSCRが示されている。この粒子の湾曲面は、主電界に対して二つの成分、すなわち接線成分Etanと法線成分Enormとを形成している。法線成分が薄いSCR層を誘発し、この層に作用する接線成分がイオンおよび流体の輸送、すなわち第二の種類の電気浸透を引き起こす。この図に示されているように、生成されたSCRは非常に薄いものである。しかしながら、複数の分極化可能粒子がグループ化されると、組み合わさった単一のSCRが生じることになる。
このSCRは、粒子に多孔質膜36を接触させることによってさらに大きくすることができる。図3Bに示されているように、SCRは膜の孔36aの中にまで延出する。このことが起こるのは、粒子と膜との間の自由空間が、自由な電気浸透流を可能とするほど十分な大きさではないからである。したがって、分極化領域が、厚くなり、膜の中へと延出していくことになる。SCRの層が大きくなればなるほどEO2効果が大きくなる。
この説明はEO2に関するものである。しかしながら、誘導電荷電気浸透(ICEO)の如き弱い(過剰限界電流は含まず)分極化現象は、同一の方法で増強することができる。
したがって、多孔質膜26を備えたポンプ20はより大きな電気浸透効果を生じるだろうし、これに加えて、ポンプ20の有効孔サイズを減少させると、ポンプ圧が上昇することとなる。このことにより、電極23a、bを分極化可能手段21からさらに離隔させて設けることで、ポンプ20の安定性を向上させることができるようになる。
分極化可能手段21が単極性であるため、粒子の一方側にしかSCRが形成されない。したがって、膜26は、分極化可能手段21のうちの使用時にSCRが誘発される側に通常設けられている。しかしながら、分極化可能手段の他方側に膜26を設けてもまたは両側に膜を設けても効果を得ることができる。
図4Aには、分極化可能手段41の他方側にさらなる膜47が設けられたポンプ40の実施形態が示されている。この膜47は、シール要素の役割を果たし、また、多孔質膜46と協働して分極化可能手段41を流路40内に固定するようになっている。膜47は流体力学的抵抗を小さくするためにより大きな孔を有している。膜46は、分極化可能手段41のうちの使用時にSCRが形成される側に設けられている。この実施形態の他のバージョンでは、膜46、47に被膜される金属層または伝導性高分子層により電極43a、43bを形成することができる。
図4Bに示されている変形例では、微細な孔を備えている1対の膜46が分極化可能手段41の両側に1つずつ設けられている。このように配置することにより双方向ポンプを提供することができる。このポンプは、分極化可能手段41の下流側に微細な多孔質膜が存在しているため図4Aのポンプよりも大きな流体力学的抵抗を有しているものの、双方向に動作することができるという利点を有している。
図4Cに示されている他のバージョンでは、電極43a、43bは、それぞれに対応する膜46と接触させて設けられている。各電極43a、43bは、レーザにより穿孔されたフォイルであってもよいしまたは網もしくは格子であってもよく、そして、金属により形成されてもよいしまたは他の伝導性材料により形成されてもよい。
図5には、ポンプ50が電気浸透移動を生じさせるための複数の分極化可能粒子55を有している2つの分極化可能手段51a、bを備えているさらなる実施形態が示されている。これらの手段51a、bは、生成されるSCRを増強するように位置決めされる別個の多孔質膜56a、bと接触している。
さらに、膜56bも第一の分極化可能手段51aに接触させるように、分極化可能手段51a、bを相互にさらに接近させて設けてもよいし、または、膜56bをより厚くしてもよい。所望ならば、さらなる分極化可能手段51を設けるようにしてもよい。
図5に示されている実施形態は、主要流路52からはずれたコンパートメント54の中に電極53a、bが設けられている他の流路構造をさらに有している。流路52を流れる流れは、矢印により示されているように、これらのコンパートメント54を迂回するようになっている。イオン交換膜58が、電極53a、bの近傍に設けられ、コンパートメント54を主要流路52から分離している。これらのイオン交換膜58は、電界を遮蔽しないが、泡が分極化可能手段51a、bに達するのを防いでいる。たとえば、このような泡はポンプ50に動力を供給するために直流が用いられた場合に生ずることがある。コンパートメント54は、流路52よりも低い圧力に保持することができる。たとえば、コンパートメントは、大気に開放されてもよいし、または、溶液(バッファ)を交換し、電解ガスを放出することが可能な蓋を有するように構成してもよい。
図6には、本発明の他の実施形態が示されている。ここで、ポンプ60は複数の分極化可能手段61a、bを備え、これらの各々は、図4に関して記述されているのと同一の利点を有するように、多孔質膜66a、bおよび第二のシール膜67a、bにより接触されている。先の場合と同様に、コンパートメント64およびイオン交換膜68は、泡がポンプ60の動作の邪魔をしないように用いられる。しかしながら、この実施形態では、さらなる分極化可能手段69がこれらの膜68に接触させて設けられている。これらのさらなる分極化可能手段69により、イオン交換膜68の不必要な分極化作用を減らしてしまう電気浸透対流が形成される。
上述の実施形態はすべてマイクロチャネル内に形成されるポンプに関するものである。本発明に係るポンプはマイクロシステムにおける使用にとくに適しているが、他の多くの分野で用いることもできる。
図7には、本発明に係る自立式ポンプ70が示されている。このポンプは、電子冷却回路、マイクロシステムへのフィーダ流入口の如きさまざまな流体システムへ取り付けることができる。後者の用途では、ポンプ70を、システム自体の中に統合するという複雑さをもたらすことなく、マイクロシステムを動作させるために用いることができる。
ポンプ70はハウジング71内に形成されている。ハウジング71を貫通する流路72をドリルで形成し、分極化可能粒子75をしっかりと詰め込んで、すべての粒子が他の粒子と接触するようにすることにより、単一の分極化可能手段が形成されている。このことにより、使用時に単一の組み合わさったSCRが形成されることが担保されることとなる。分極化可能粒子75からなる層が複数あっても、電気浸透効果がある深さまでは増大するものの、それ以上は、層数を増やしても生成されるSCRに対してさらなる効果はない。ポンプ70は、層の数が過剰である、すなわちこれらのすべての層が電気浸透効果を増大させるわけではないものの、作成するポンプ70をこの規模にすることにより生産が容易になる。
流路72は多孔質膜76、77により各端部においてシールされている。これらの膜は同一であってもよいし、または、使用時、生成されるSCRを有さない膜はポンプ70の抵抗を減らすためにより大きな孔を有してもよい。他の実施形態では、流路のこの端部をシールするために格子を用いうる。
スペーサ層78がハウジング71上に被膜され、次いで、電極73a、bが任意の適切な手段によってこれらの層78の外側に取り付けられる。
次いで、ポンプ70が必要に応じて流路に取り付けられる。
上述の実施形態では球状の分極化可能粒子を用いているものの、他の分極化可能手段が用いられてもよい。場合によっては、これらは、生成される電界に対して湾曲したまたは傾斜にした表面をさらに有している場合もある。
図8には、分極化可能手段81が円錐台形状の孔87を形成するように内面が先細となっている中空のシリンダの形態をとっているポンプ80が示されている。先細になっている内面はSCRを生じるための傾斜面を提供している。ポンプ部の有効孔サイズを縮小し、電気浸透効果を増強するために多孔質膜86が、分極化可能手段81に接触させて設けられている。
これに代えて、図8の孔87は、流路壁のまわりに半径方向に沿って間隔をおいて配置される複数の別個の分極化可能なウェッジ(くさび)形状の粒子によって形成されてもよい。このような実施形態では、各くさびが分極化可能手段を形成することになる。
他の実施形態では、分極化可能手段は、分極化可能手段81に類似している形状の孔を有している多孔質膜であってもよい。図9には、分極化可能膜90に適切な孔形状を示す概略図である。ここでは、孔91は、勾配のある傾斜部分92と、直線状の壁部分93とを有している。したがって、この実施形態では、孔壁のある部分だけが流路の長手方向の軸線に対して傾斜している。勾配部分92はピラミッド形状であり、部分93は正方形状の断面を有している。SCRの生成により大きな表面を提供するように、勾配部分92は直線状の部分93よりも厚みが大きくなっている。膜90に適切な寸法の一例は、l1=50μm、l2=1〜2μm、w1=5μm、w2=5μmである。勾配部分92は、54.7度の傾斜を有しているため、シリコンの結晶平面をたどることができる。
織物の中でこのような膜90を用いて水移送機能を提供するようにしてもよい。このような実施形態では、本発明によれば、多孔質膜を分極化可能膜の一方側または両側に接触させて設けるようにしてもよい。
いうまでもなく、上述の実施形態は、本発明に係る好ましい実施形態に過ぎない。したがって、実施形態に対してさまざまな変更がなされてもよく、また、それらの実施形態は本発明の技術範囲以内に含まれる。たとえば、上述の実施形態がEO2の使用に関して記述されているが、これらの実施形態は、ICEOまたは分極化可能電気浸透のその他の形態を通じた移動を実現するように適応されても同様によい。
図10および図11には、他の好ましい実施形態が記載されている。この実施形態は、球状の分極化可能粒子を用いる代わりに、分極化可能膜27を用いている点以外は図2の実施形態に類似している。ポンプ20は、分極化可能膜27からなる分極化可能手段と接触するように、マイクロチャネル22を横切って設けられている非伝導性多孔質膜26を備えている。電極23a、23bは、マイクロチャネル22の中へと延びている。
分極化可能膜27は、マイクロチャネル22の長手方向の軸線に対して平行となっている真っ直ぐなシリンダ形状の孔28を有している。分極化可能膜27は、多孔質膜26の近傍にありかつ電界に対して垂直となっている表面29を有している。実際、分極化可能膜27および多孔質膜26は直接(面と向かって)接触するように配置されており、図11では、説明の目的のため、わずかに分離させて示されている。
膜27の孔28の壁は、電界の方向に対して平行となっている表面29aにより形成されている。したがって、この実施形態では、分極化可能膜27は、流路の長手方向に対してほぼ垂直な表面29と、流路の長手方向に対してほぼ平行な表面29aとだけを有している。長手方向に対して湾曲したまたは傾斜した表面はない。
多孔質膜26は、マイクロチャネル22の長手方向の軸線に対して平行になっているものの孔28より狭い孔26aをさらに有している。
流路の長手方向に対してほぼ垂直になっているとともに非伝導性多孔質膜26によって覆われている表面29上に、電荷層が電界によって生成される。生成された電荷層は、膜26の孔26aの中および分極化可能膜27の孔28を横切って延びる傾向がある。表面29上に誘発された電荷は、重なり合って、非伝導性多孔質膜26の厚み方向に沿って完全にまたは部分的に延びる連続的な空間電荷領域(SCR)を形成することになる。SCRが分極化可能膜27の孔28を横切って延びていくと、圧力および流れが生じる。したがって、この実施形態では、分極化可能膜および非伝導性膜を組み合わせることにより、分極化可能膜が流路の長手方向に対して傾斜するまたは湾曲する表面を有していなくとも、分極化電気浸透作用の下で流れが生じるようになっている。また、分極化可能膜と非伝導性膜とを組み合わせることによりもたらされる効果は、他の実施形態によっても実現可能であり、この実施形態に限定されるものではない。

Claims (17)

  1. 分極化電気浸透により液体の移動を誘発するためのポンプであって、
    流体を移送するための流れ経路を形成する流路と、
    前記流路内に少なくとも1つの孔を形成するように前記流路内に設けられる少なくとも1つの分極化可能手段とを備えており、
    前記ポンプが、前記流路を横切って設けられているとともに前記少なくとも1つの分極化可能手段の近傍に位置している非伝導性多孔質膜をさらに備えており、該膜が、前記流路の長手方向の軸線に対して少なくとも部分的に平行な方向に沿って延びているとともに前記分極化可能手段によって形成されている前記少なくとも1つの孔よりも小さな孔サイズを具備する孔を有しており、このことにより、使用時、電界が前記流路の長手方向に沿って前記分極化可能手段を横切って生成されると、分極化電気浸透作用の下で、前記流路内の流体が流れるように構成されてなる、ポンプ。
  2. 前記少なくとも1つの分極化可能手段が、前記孔の壁の少なくとも一部分を前記流路の長手方向の軸線に対して湾曲または傾斜させるような形状に形成されてなる、請求項1に記載のポンプ。
  3. 前記少なくとも1つの分極化可能手段が、前記流路の長手方向に対してほぼ垂直な表面と、前記流路の長手方向に対してほぼ平行な表面とだけを有してなる、請求項1に記載のポンプ。
  4. 前記膜が単方向性の均一な孔を有してなる、請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のポンプ。
  5. 前記多孔質膜が、前記少なくとも1つの分極化可能手段と直接接触してなる、請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のポンプ。
  6. 前記多孔質膜の前記孔が、前記流路の長手方向の軸線に対して平行な方向に沿って測定される場合、前記分極化可能手段の長さより少なくとも1/10小さい、請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載のポンプ。
  7. 前記分極化可能手段が少なくとも1つの分極化可能粒子を有してなる、請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載のポンプ。
  8. 前記分極化可能手段が複数の隣接する分極化可能粒子を有してなる、請求項7に記載のポンプ。
  9. 前記多孔質膜が、前記流路の長手方向に沿って測定される1つの分極化可能粒子のサイズよりも少なくとも1/10小さい孔サイズを有してなる、請求項7または8に記載のポンプ。
  10. 前記分極化可能手段が多孔質膜を含む、請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載のポンプ。
  11. 前記分極化可能手段が、前記流路内で、前記流路の長手方向の軸線に対して少なくとも部分的に平行な方向に沿って延びる孔を有している多孔質シール要素と前記多孔質膜との間の位置に固定されてなる、請求項1乃至10のうちのいずれか1項に記載のポンプ。
  12. 一対の非伝導性多孔質膜を備えており、該一対の非伝導性多孔質膜が前記少なくとも1つの分極化可能手段の各側に1つずつ設けられ、各非伝導性多孔質膜が前記少なくとも1つの分極化可能手段の近傍に位置してなる、請求項1乃至10のうちのいずれか1項に記載のポンプ。
  13. 前記ポンプが、前記流路の長手方向に沿って前記分極化可能手段の両側に設けられているとともに、使用時、流体を分極化電気浸透の作用の下で流れさせるように前記分極化可能手段を横切って電界を生じるように構成されている電極をさらに備えてなる、請求項1乃至12のうちのいずれか1項に記載のポンプ。
  14. 前記電極のうちの少なくとも1つが前記多孔質膜と直接接触してなる、請求項13に記載のポンプ。
  15. 前記流路がハウジング内の貫通孔を含み、前記分極化可能手段が、前記多孔質膜と多孔性シール要素との間の前記貫通孔内に詰め込まれる複数の隣接する分極化可能粒子を含んでなる、請求項1に記載のポンプ。
  16. マイクロ流体システムであって、
    マイクロチャネルと、
    前記マイクロチャネル内に設けられている電極であって、これらの電極の間にポンプ部が形成されている電極と、
    前記ポンプ部に少なくとも1つの孔を形成するように、前記ポンプ部内に設けられている少なくとも1つの分極化可能手段と、
    前記ポンプ部を横切ってかつ前記少なくとも1つの分極化可能手段の近傍に位置する非伝導性多孔質膜とを備えており、
    前記膜が、前記ポンプ部の長手方向の軸線に対して少なくとも部分的に平行な方向に沿って延びているととともに前記分極化可能手段によって形成されている前記少なくとも1つの孔よりも小さな孔サイズを具備する孔を有しており、
    前記ポンプ部は、使用時、前記電極が前記マイクロチャネル内の流体が分極化電気浸透の作用の下で流れるように前記分極化可能手段を横切って電界を生じさせるように構成されてなる、マイクロ流体システム。
  17. 分極化電気浸透により液体の移動を誘発するためのポンプであって、
    流路を形成する貫通孔を有しているハウジングと、
    前記貫通孔の少なくとも一部分をシールする多孔質シール要素と、
    前記シール要素間に詰め込まれている複数の隣接する分極化可能粒子とを備えており、
    前記分極化可能粒子が前記流路に孔を形成しており、
    前記シール要素のうちの1つが、前記流路の長手方向の軸線に対して少なくとも部分的に平行な方向に沿って延びているとともに前記分極化可能粒子によって形成されている孔よりも小さな孔サイズを具備する孔を有している非伝導性多孔質膜を含んでなる、ポンプ。
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