JP5364744B2 - 加速度検出装置、方法及びプログラム - Google Patents
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Description
ところで、ユーザの歩行状態を分析するには、例えば加速度データの波形のピーク値が用いられる。信号波形からそのピーク値を検出する手法としては、例えば音信号からそのピーク値を検出する際に移動平均法を用いて平滑化を行った音声信号に対し三点比較を行うことでピークを検出する手法(例えば非特許文献1を参照)や、平滑化微分を用いて符号が正から負になる位置を抽出し、この抽出された位置の中から閾値以上の位置をピークとして抽出する手法が知られている(例えば非特許文献1を参照)。
第1の態様は、上記ピーク位置候補の抽出処理に先立ち、上記平滑化された加速度データに対し各軸成分のデータ間で波形の正方向と負方向の向きが同じになるように調整を行うようにしたものである。
このようにすると、ピーク位置候補の抽出処理を簡単かつ精度良く行うことが可能となる。
このようにすると、加速度データから直接ピーク値を検出する場合に比べ、ピーク値を正確に検出することが可能となる。
[構成]
図1は、この発明の一実施形態に係る加速度検出システムの概略構成図である。このシステムは、ユーザの体に装着される加速度センサASと、加速度検出装置としてのピーク検出装置PDとから構成される。
記憶ユニット3は、記憶媒体として例えばハードディスクやフラッシュメモリ等の随時書込み及び読出しが可能な不揮発性メモリを使用したもので、この発明の実施形態を実施する上で必要な記憶機能として、加速度データ記憶部31と、平滑化データ記憶部32と、軸向き調整後データ記憶部33と、ピーク位置候補記憶部34と、ピーク位置検出結果記憶部35を備えている。
次に、以上のように構成されたピーク検出装置PDによる加速度ピーク位置検出動作を説明する。図3はその全体の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
(1)3軸加速度データの取得
ユーザの歩行中に加速度センサASは、当該ユーザの歩行動作により発生する加速度をその前後方向(x軸)、左右方向(y軸)、上下方向(z軸)に分けてそれぞれ検出し、その検出データを蓄積する。そして、予め設定された時間分の検出データが蓄積されると、当該蓄積された検出データを読み出してこれを3軸加速度データとしてピーク検出装置PDに向け送信する。なお、上記蓄積された3軸加速度データは、ピーク検出装置PDから送信要求を受信したときにこの要求に応答してピーク検出装置PDへ送信するようにしてもよい。
上記新たな3軸加速度データが受信されると、ピーク検出装置PDでは正規化・平滑化処理部22が起動し、この正規化・平滑化処理部22が先ずステップS12において3軸(x軸、y軸、z軸)のうちの1つの軸を選択し、この選択した軸に該当する加速度データを上記加速度データ記憶部31から読込む。そして、ステップS13において、上記読込んだ加速度データに対し以下のような正規化処理を行う。
ax=(ax(t-N), ax(t-N+1),…,ax(t))
とした場合、下式に示す平均AVEと分散SDを用いることで、正規化データが
Ax’=(ax’(t-N), ax’(t-N+1),…,ax’(t))
として算出される。ただし、3軸加速度データ受信部21において受信された各軸の加速度データ数をN+1とし、iを任意の整数とする。
すなわち、平滑化手法としては、例えばローパスフィルタを用いた平滑化処理がある。この平滑化処理は、正規化されたデータに対し、下式に示す一次遅れの伝達関数G(s)を乗じることにより実現できる。ただし、K,ωc ,sはそれぞれ、ローパスフィルタの通過域における利得、遮断周波数、ラプラス変換の変数とする。
上記ステップS15により3軸すべての加速度データに対する処理が終了すると、制御ユニット2は次にステップS16において軸向き調整部23を起動する。そして、この軸向き調整部23により、上記平滑化データ記憶部32から3軸の平滑化された加速度データを読込み、この読込んだ各軸の平滑化された加速度データ間でその波形の+方向と−方向の向きが同じになるように、以下のような調整処理を行う。
例えば、3軸の平滑化加速度データをそれぞれ
lax’=(lax’(t-N), lax’(t-N+1),…,lax’(t))
lay’=(lay’(t-N), lay’(t-N+1),…,lay’(t))
laz’=(laz’(t-N), laz’(t-N+1),…,laz’(t))
とし、比較対象としてx軸を選定すると、x軸とy軸との間、及びx軸とz軸との間のそれぞれにおける相互相関MAは以下のように算出される。ただし、添え字は相互相関の算出を行う軸の組み合わせを表す。
lay’_= -lay’=(-lay’(t-N), -lay’(t-N+1),…,-lay’(t))
ay_= -ay= (-ay(t-N), -ay(t-N+1),…,-ay(t))
とすることで、該当する軸の加速度データの符号を反転させる。なお、添え字の_は符号調整を行ったことを表す。これに対し、MAx-y ≧σである場合には、符号の反転を行わず、
ax_= ax
ay_= ay
とする。そして、この軸向き調整処理後の平滑化加速度データを軸向き調整後データ記憶部33に記憶させる。
次に制御ユニット2は、ステップS17によりピーク位置候補抽出部24を起動する。そして、このピーク位置候補抽出部24が、上記軸向き調整後の3軸の平滑化加速度データからピーク位置の候補を抽出する処理を以下のように実行する。図4は、このピーク位置候補抽出処理の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
先ずステップS171により、上記軸向き調整後データ記憶部33から軸向きが調整された平滑化加速度データを読込む。そして、この読込んだ軸向き調整後の平滑化加速度データの中から1つの軸をステップS172で選択し、この選択された軸に対応する軸向き調整後の平滑化加速度データから+方向に凸な部分(ポジティブピーク)及び−方向に凸な部分(ネガティブピーク)をそれぞれ抽出する(ステップS173)。
lax’_(i)-lax’_(i-1)>0,lax’_(i+1) - lax’_(i)<0
である場合には、位置iをポジティブピーク位置Piとする。これに対し
lax’_(i)-lax’_(i-1)<0,lax’_(i+1) - lax’_(i)>0
である場合には、位置iをネガティブピーク位置Niとする。そして、これらピーク位置と、当該ピーク位置における、軸の向きが調整された平滑化加速度データの値も合わせて抽出する。ここで、軸の向きが調整されたx軸の平滑化加速度データ上で抽出されたポジティブピーク群のデータセットPx を
((Px1, lax’_(Px1), (Px2, lax’_(Px2),…, (Pxn, lax’_(Pxn))
のように表記する。ただし、n は抽出されたピークの数であるとする。
続いてステップS174において、上記抽出された各ピーク群から不要なピーク候補を削除するための閾値処理が行われる。具体的には、ポジティブピーク群に対しては0以下のポジティブピークの削除を行い、ネガティブピーク群に対しては0以上のネガティブピークをネガティブピーク群から削除する。例えば、
Px=((Px1, lax’_(Px1), (Px2, lax’_ (Px2), (Px3, lax’_ (Px3),…, (Pxn, lax’_ (Pxn))
のうち、2つ目のピーク値が0以下である場合(lax’_(P2)<0)には、閾値処理されたx軸におけるポジティブピーク群Px’は、
Px’=((Px1, lax’_(Px1), (Px3, lax’_ (Px3),…, (Pxn, lax’_(Pxn))
となる。この閾値処理されたx軸のピーク群Px’は制御ユニット2内の作業メモリに保存される。
上記3軸のすべての軸について上記ピーク抽出処理と閾値処理が終了すると、ピーク位置候補抽出部24はステップS176において、上記軸ごとに抽出されたポジティブピーク群及びネガティブピーク群の近接関係からピーク位置候補の抽出を以下のように行う。
Px’=((Px1, lax’_(Px1), (Px3, lax’_ (Px3),…, (Pxn, lax’_(Pxn))
の各位置に対して、Pa’ 及びPz’ の各要素において近しいピークがあるかどうかを探索する。その算出イメージを図7及び図8に示す。同図では、各ピーク位置間の時間差を算出し、時間差が閾値以内だった組み合わせに対してその旨の情報(○印で図示)を付与している。図7及び図8の例では、Px’1 に対してその近傍位置でPy'1 及びPz’2 においてピークが抽出されている。このため、
(|Px1-Py1|<δ && | Px1-Pz2|<δ(δ:近傍を表すパラメータ)),
(Px1,Py1,Pz2)
の組み合わせをピーク位置候補として抽出する。この抽出されたピーク位置候補はピーク候補位置記憶部34に記憶される。
次に制御ユニット2は、ピーク位置検出部25が、上記ピーク位置候補抽出部24により検出されたピーク位置候補に基づいて、加速度データ(生データ)上のピーク位置を検出する処理を以下のように行う。
すなわち、先ずステップS18により3軸(x軸、y軸、z軸)のうちの1つの軸を選択し、この選択した軸に該当するピーク位置候補を上記ピーク位置候補記憶部34から読込む。またそれと共に、当該ピーク位置候補が存在する期間を含む加速度の生データを上記加速度データ記憶部31から読込む。そして、ステップS19において、上記読込んだ加速度の生データ上で、上記ピーク位置候補の位置を含む所定の時間帯に対し最大の値を持つ加速度値を探索し、この探索された最大をとる加速度値をピーク値として検出する。この検出されたピーク値は、その検出位置を表す時刻情報と、ユーザの識別情報と関連付けられてピーク位置検出結果記憶部35に記憶される。
x軸上のピーク(Px’’1,ax_(Px’’1)),(Px’’2,ax_ (Px’’2))
y軸上のピーク(Py’’1,ay_ (Py’’1)),(Py’’2,ay_(Py’’2))
z軸上のピーク(Pz’’1,az_ (Pz’’1)),(Pz’’2,ax_ (Pz’’2))
のようになる。図9において、破線はピーク位置候補を、また実線は当該ピーク位置候補に基づいて加速度の生データ上で検出されたピークをそれぞれ示している。
Claims (7)
- 加速度センサから複数の軸成分を有する加速度データを受信し記憶する手段と、
前記記憶された加速度データを軸成分ごとに平滑化する平滑化手段と、
前記平滑化された加速度データからその軸成分ごとにピークの集合を抽出し、この抽出されたピークの集合の中から、前記複数の軸のすべてにおいてピーク位置を示す時刻が予め定められた時間幅の中に含まれるピークの組み合わせをピーク位置候補として抽出するピーク位置候補抽出手段と
を具備することを特徴とする加速度検出装置。 - 前記平滑化された加速度データに対し各軸成分のデータ間で波形の正方向と負方向の向きが同じになるように調整を行い、この軸の向きが調整された平滑化加速度データを前記ピーク位置候補抽出手段に供給する軸向き調整手段を、さらに具備することを特徴とする請求項1記載の加速度検出装置。
- 前記ピーク位置候補抽出手段により抽出されたピーク位置候補の情報に基づいて、前記記憶された加速度データの各軸成分からピーク値を検出するピーク値検出手段を、さらに具備することを特徴とする請求項1又は2記載の加速度検出装置。
- 加速度センサから複数の軸成分を有する加速度データを受信しメモリに記憶する過程と、
前記メモリに記憶された加速度データを軸成分ごとに平滑化する過程と、
前記平滑化された加速度データからその軸成分ごとにピークの集合を抽出し、この抽出されたピークの集合の中から、前記複数の軸のすべてにおいてピーク位置を示す時刻が予め定められた時間幅の中に含まれるピークの組み合わせをピーク位置候補として抽出する過程と
を具備することを特徴とする加速度検出方法。 - 前記ピーク位置候補の抽出過程に先立ち、前記平滑化された加速度データに対し各軸成分のデータ間で波形の正方向と負方向の向きが同じになるように調整を行う過程を、さらに具備することを特徴とする請求項4記載の加速度検出方法。
- 前記ピーク位置候補を抽出する過程により抽出されたピーク位置候補の情報に基づいて、前記メモリに記憶された加速度データの各軸成分からピーク値を検出する過程を、さらに具備することを特徴とする請求項4又は5記載の加速度検出方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の加速度検出装置が具備する手段による処理を、当該加速度検出装置が備えるコンピュータに実行させるプログラム。
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