JP5359686B2 - 液体流路装置とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば血液中の抗原の検出、分析などに好適に使用される平板状の液体流路装置とその製造方法に関する。
近年、医療分野、環境分野などでは、液体試料中の微量成分の検出、分析が頻繁に行われており、その際、例えば医療分野では、基板に流路が形成されたマイクロチップと呼ばれる液体流路装置が使用される場合が多い。
例えば特許文献1には、マイクロチップに形成された液体流路内で、抗体を含有する試薬と血液とを混合、反応させた後、該マイクロチップごと検出装置に供して、抗原抗体反応を検出する技術が記載されている。また、例えば特許文献2には、回転可能なディスクの半径方向に流路を複数形成し、この流路の一部にあらかじめ抗体を固定しておき、その後、流路に体液を流通させることによって、抗原抗体反応により体液中の抗原を抗体に捕捉させるディスク状の液体流路装置が開示されている。
特開2007−139500号公報 特開平05−005741号公報
しかしながら、このような従来の液体流路装置では、液体流路を閉止したり開通させたりすることができず、目的の成分の検出、分析に不都合が生じることがあった。
本発明の目的は、簡便に液体流路を開通状態から閉止状態にしたり、閉止状態から開通状態にしたりできる液体流路装置を低コストで提供することである。
本発明の第1の液体流路装置は、基板の少なくとも片面に、液体が流通する液体流路と、前記液体が溜まる1つ以上の液槽とが形成され、前記基板の前記液体流路と前記液槽とが形成された流路形成面には蓋板が積層した液体流路装置であって、
前記液体流路の一部を閉止状態から開通状態にする開通手段を有し、
前記開通手段は、前記液体流路の前記一部に配置された栓体を具備し、
前記蓋板の内面または前記液体流路の底部における前記栓体の対向位置には、前記栓体を収納可能な凹部が構成され、
前記栓体は、前記蓋板または前記底部を外側から押圧する操作により、前記液体流路の前記一部から前記凹部内に移動して、前記開通状態とすることを特徴とする。
本発明の液体流路装置の製造方法は、前記第1の液体流路装置のうち、前記凹部が前記蓋板の前記内面に形成された液体流路装置の製造方法であって、
前記基板に前記液体流路と前記液槽とを形成し、前記蓋板に前記凹部を形成する第1工程と、前記液体流路の前記一部に栓体を形成する第2工程と、前記基板の前記流路形成面に、前記蓋板を積層する第3工程とを有し、
前記第1工程では、
前記基板の内層を構成するシートに前記液槽の上部と前記液体流路とを形成し、前記基板の中間層を構成するシートに前記液槽の下部を形成した後、前記基板の前記内層を構成するシートと、前記基板の前記中間層を構成するシートと、前記基板の外層を構成するシートとを順次積層して、前記基板に前記液体流路と前記液槽とを形成し、
前記蓋板の内層を構成するシートに前記凹部を形成した後、前記蓋板の前記内層を構成するシートと、前記蓋板の外層を構成するシートとを積層して、前記蓋板に前記凹部を形成することを特徴とする。
また、本発明の液体流路装置の製造方法は、前記第1の液体流路装置のうち、前記凹部が前記液体流路の前記底部に形成された液体流路装置の製造方法であって、
前記基板に前記液体流路と前記液槽と前記凹部を形成する第1工程と、前記蓋板の内面の前記凹部の対向位置に、栓体を形成する第2工程と、前記基板の前記流路形成面に、前記蓋板を積層する第3工程とを有し、
前記第1工程では、
前記基板の内層を構成するシートに前記液槽の上部と前記液体流路とを形成し、前記基板の内側中間層を構成するシートに前記液槽の中間部と前記凹部を形成し、前記基板の外側中間層を構成するシートに前記液槽の下部を形成した後、前記基板の前記内層を構成するシートと、前記内側中間層を構成するシートと、前記外側中間層を構成するシートと、前記基板の外層を構成するシートとを順次積層することを特徴とする。
本発明の第2の液体流路装置は、基板の少なくとも片面に、液体が流通する液体流路と、前記液体が溜まる1つ以上の液槽とが形成され、前記基板の前記液体流路と前記液槽とが形成された流路形成面には蓋板が積層した液体流路装置であって、
前記液体流路の一部を開通状態から閉止状態にする閉止手段を有し、
前記閉止手段は、前記蓋板の内面または前記液体流路の底部に形成された凹部内に収納された栓体を具備し、
前記栓体は、前記蓋板または前記底部を外側から押圧する操作により前記凹部内から前記液体流路の前記一部に移動して、前記閉止状態とすることを特徴とする。
本発明の液体流路装置の製造方法は、前記第2の液体流路装置のうち、前記凹部が前記蓋板の前記内面に形成された液体流路装置の製造方法であって、
前記基板に前記液体流路と前記液槽とを形成し、前記蓋板に前記凹部を形成する第1工程と、前記凹部内に栓体を形成する第2工程と、前記基板の前記流路形成面に、前記蓋板を積層する第3工程とを有し、
前記第1工程では、
前記基板の内層を構成するシートに前記液槽の上部と前記液体流路とを形成し、前記基板の中間層を構成するシートに前記液槽の下部を形成した後、前記基板の前記内層を構成するシートと、前記基板の前記中間層を構成するシートと、前記基板の外層を構成するシートとを順次積層して、前記基板に前記液体流路と前記液槽とを形成し、
前記蓋板の内層を構成するシートに前記凹部を形成した後、前記蓋板の前記内層を構成するシートと、前記蓋板の外層を構成するシートとを積層して、前記蓋板に前記凹部を形成することを特徴とする。
また、本発明の液体流路装置の製造方法は、前記第2の液体流路装置のうち、前記凹部が前記液体流路の底部に形成された液体流路装置の製造方法であって、
前記基板に前記液体流路と前記液槽と前記凹部を形成する第1工程と、前記凹部内に栓体を形成する第2工程と、前記基板の前記流路形成面に前記蓋板を積層する第3工程とを有し、
前記第1工程では、
前記基板の内層を構成するシートに前記液槽の上部と前記液体流路とを形成し、前記基板の内側中間層を構成するシートに前記液槽の中間部と前記凹部を形成し、前記基板の外側中間層を構成するシートに前記液槽の下部を形成した後、前記基板の前記内層を構成するシートと、前記内側中間層を構成するシートと、前記外側中間層を構成するシートと、前記基板の外層を構成するシートとを順次積層することを特徴とする。
前記各第2工程では、前記栓体を形成するための栓体形成材料を塗布する方法により、前記栓体を形成することが好適である。
本発明によれば、簡便に液体流路を開通状態から閉止状態にできる液体流路装置を低コストで提供できる。
第1実施形態例の液体流路装置を示す概略平面透視図である。 図1の液体流路装置の一部を拡大した平面透視図である。 図2のI−I’線に沿う断面図である。 (a)図3中の開通手段の拡大断面図、(b)図3中の閉止手段の拡大断面図である。 図1の液体流路装置において、開通手段が作動する様子を説明する図であって、(a)蓋板を外側から押圧して荷重を加えた状態を示す断面図と、(b)荷重を取り去った状態を示す断面図である。 図1の液体流路装置において、閉止手段が作動する様子を説明する図であって、(a)蓋板を外側から押圧して荷重を加えた状態を示す断面図と、(b)荷重を取り去った状態を示す断面図である。 図1の液体流路装置の製造方法を模式的に説明する工程図である。 図1の液体流路装置において、栓体受けが設けられた状態を示す断面図である。 栓体の平面視形状を菱形にした例を模式的に示す平面図である。 第2実施形態例の液体流路装置について、その一部を示す断面図である。 (a)図10中の開通手段の拡大断面図、(b)図10中の閉止手段の拡大断面図である。 図10の液体流路装置において、開通手段が作動する様子を説明する図であって、(a)蓋板を外側から押圧して荷重を加えた状態を示す断面図と、(b)荷重を取り去った状態を示す断面図である。 図10の液体流路装置において、閉止手段が作動する様子を説明する図であって、(a)蓋板を外側から押圧して荷重を加えた状態を示す断面図と、(b)荷重を取り去った状態を示す断面図である。 図10の液体流路装置の製造方法を模式的に説明する工程図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
[第1実施形態例]
図1は第1実施形態例の液体流路装置10Aの一実施形態例を概略的に示す平面透視図、図2は図1の液体流路装置10Aの一部を拡大した平面透視図、図3は図2のI−I’線に沿う断面図である。
この液体流路装置10Aは、平板からなる四角形の基板11Aの片面に、試料および試薬の少なくとも一方からなる液体が流通する溝状の液体流路12と、液体流路12の端部や途中において液体が溜まる複数(この例では9)の液槽(14a〜14i)とが形成され、基板11Aの液体流路12が形成された側の流路形成面12aに蓋板13Aが積層して構成されたものである。この液体流路装置10Aにおいては、図1中の上端部側が上方に、下端部側が下方に位置するようにこれを立てた場合には、液体流路12の上流側の端部から下流側の端部に向けて矢印F方向に試料が重力により流通し、その途中で試料に対して各種の処理や試薬との混合がなされ、各種検出、分析に供される測定液が調製される。
すなわち、液体流路12の上流側の端部には、投入された試料が溜まる試料投入槽14aが設けられ、この試料投入槽14aの下流には、試料投入槽14aから流通してきた試料に対してろ過処理が施される図示略のフィルタが内蔵されたろ過槽14bが設けられている。
ろ過槽14bの下流には、ろ過処理された試料を一定量計量する計量槽14cが設けられている。この例の計量槽14cには、オーバーフロー流路12dとその下流に設けられた廃液槽14dとからなるオーバーフロー手段が備えられている。そのため、計量槽14cで一定量を超えた試料はオーバーフローしてオーバーフロー流路12dを流れ、廃液槽14dに流入し、その結果、計量槽14cでは、一定量の試料が計量できるようになっている。
計量槽14cの下流には、計量槽14cで計量された試料と、あらかじめ第1試薬槽14eに所定量封入されている液体の第1試薬とが混合される第1混合槽14fが設けられ、第1混合槽14fの下流には、第1混合槽14fで調製された中間調製液と、あらかじめ第2試薬槽14gに所定量封入されている液体の第2試薬とが混合される第2混合槽14hが設けられている。
そして、第2混合槽14hの下流(液体流路12の下流側の端部)には測定槽14iが設けられ、第2混合槽14hで調製された測定液がここに貯留され、図示略の検出分析手段により、各種成分の検出や分析がなされるようになっている。
なお、各液槽には、必要に応じて、大気と連通する開閉可能な図示略の連通孔が設けられる。
この液体流路装置10Aの基板11Aは、図3に示すように複数層から構成されている。具体的には、外層11aと、その内側に積層した中間層11bと、その内側に積層した内層11cの3層から構成されている。
内層11cには、液槽(図3には試料投入槽14aとろ過槽14bのみ図示)の上部(液槽の蓋板13A側の部分。)と、液体流路12とが形成されている。
中間層11bには、液槽の下部(前記上部以外であって、液槽の底部側の部分。)が形成されている。また、この中間層11bは、内層11c側の面が液体流路12の底部12bを構成している。
外層11aは、基板11Aの最も外側に配置され、その中間層11b側の面が液槽の底部を構成している。
また、蓋板13Aも複数層から構成されている。具体的には、外層13aとその内側に積層した内層13bの2層から構成されている。
そして、この液体流路装置10Aは、液体流路12の一部を閉止状態から開通状態にする開通手段S1〜S7と、開通状態から閉止状態にする閉止手段T1とを有している。
この例では、開通手段S1〜S7は、試料投入槽14aとろ過槽14bとの間、ろ過槽14bと計量槽14cとの間、計量槽14cと第1混合槽14fとの間、第1混合槽14fと第2混合槽14hとの間、第1試薬槽14eと第1混合槽14fとの間、第2試薬槽14gと第2混合槽14hとの間、第2混合槽14hと測定槽14iとの間の各液体流路12にそれぞれ1ずつ設けられている。
一方、閉止手段T1は、ろ過槽14bと計量槽14cとの間の液体流路12において、開通手段S2よりも下流側に設けられている。
開通手段S1〜S7は、図3にS1およびS2を例示して説明するように、液体流路12内に、液体流路12の一部を塞ぐように配置されて液体の流れを封止し、この部分を閉止状態とする樹脂製の栓体15を具備している。また、蓋板13Aの内面において、栓体15との対向位置には、栓体15を収納可能な凹部16が形成されている。具体的には、この例では、蓋板13Aの内層13bが打ち抜きなどで開口され、凹部16が形成されている。
この例の栓体15は、図4(a)に拡大して示すように、閉止状態においては、液体流路12の底部12bと接する部分(底部)が、弱粘着層15aにより、液体流路12の底部12bに固定されている。また、栓体15の高さは、液体流路12の高さよりも若干高く形成され、その頂部15b側が、凹部16内に液密にやや嵌入した状態で配置されている。
一方、凹部16において、栓体15の頂部15bとの対向位置には、弱粘着層15aよりも粘着力の大きな強粘着層16aが形成されている。
そして、栓体15は、当該開通手段S1、S2が設けられている部分(栓体15や凹部16に対応する部分)の蓋板13Aまたは液体流路12の底部12bを外側から押圧する操作により、液体流路12から凹部16内に移動して、液体流路12を閉止状態から開通状態にする。
具体的には、図5に開通手段S1を例に挙げて示すように、蓋板13Aを外側から矢印Aで示すように押圧して荷重を加えると、図5(a)に示すように蓋板13Aが撓み、凹部16の強粘着層16aと栓体15の頂部15bとが接してこれらが粘着する。そして、その後に荷重を取り去ると、図5(b)に示すように、蓋板13Aはその復元力により元の状態に復元するが、それにともなって、強粘着層16aの作用により凹部16に粘着した栓体15は、液体流路12の底部12bから離れ、凹部16内に収納された状態になる。その結果、栓体15は液体流路12の底部12bから離間し、ここを液体が流通できるようになる。
このように開通手段S1〜S7においては、開通手段S1〜S7が設けられている部分の蓋板13Aを外側から押圧して荷重を加えた後、この荷重を取り去る押圧操作によって、栓体15が液体流路12から凹部16内へと移動し、その結果、この部分の液体流路12が閉止状態から開通状態となる。
なお、図5では、蓋板13Aを外側から押圧して荷重を加えているが、開通手段S1が設けられている部分の液体流路12の底部12bを外側から、すなわち、基板11Aの外側から押圧する操作によって、栓体15を同様に液体流路12から凹部16内に移動させてもよい。
また、液体流路12を開通させた後、図5では、弱粘着層15aは液体流路12の底部12b側に残っているが、栓体15側に粘着した状態となっても何ら問題はない。
一方、この液体流路装置10Aの閉止手段T1は、図4(b)にも示すように、樹脂製の栓体17を具備し、この栓体17は、蓋板13Aの内面に形成された凹部18内に収納されている。具体的には、この例では、蓋板13Aの内層13bが打ち抜きなどで開口され、凹部18が形成され、その内部に、栓体17が配置されている。
この例の栓体17は、開通状態においては、弱粘着層17aにより、その頂部17bが凹部18に粘着して、凹部18内に収納されている。また、栓体17の高さは、液体流路12の高さよりも若干高く形成され、後述のように液体流路12を閉止状態とした際には、その頂部17b側が、凹部18内に液密にやや嵌入した状態になるようになっている。
一方、液体流路12の底部12bにおいて、栓体17の底部との対向位置には、強粘着層18aが形成されている。
そして、栓体17は、当該閉止手段T1が設けられている部分(栓体17や凹部18に対応する部分)の蓋板13Aまたは液体流路12の底部12bを外側から押圧する操作により、凹部18内から液体流路12に移動して、液体流路12を開通状態から閉止状態にする。
具体的には、図6に示すように、蓋板13Aを外側から矢印Bで示すように押圧して荷重を加えると、図6(a)に示すように蓋板13Aが撓み、液体流路12の底部12bの強粘着層18aと栓体17の底部とが接してこれらが粘着する。そして、その後に荷重を取り去ると、図6(b)に示すように、蓋板13Aはその復元力により元の状態に復元するが、その際、栓体17は蓋板13Aには同伴されず、強粘着層18aの作用により液体流路12の底部12bに粘着したままの状態となる。このように蓋板13Aが復元しても、栓体17はそれに追従せずに液体流路12に粘着したままであるため、この栓体17により液体流路12は閉塞され、液体はこの部分を流通できなくなる。この際、栓体17は、上述のとおり、その頂部17b側が、凹部18内に液密にやや嵌入した状態となる。
このように閉止手段T1においては、閉止手段T1が設けられている部分の蓋板13Aを外側から押圧して荷重を加えた後、この荷重を取り去る押圧操作によって、栓体17が凹部18内から液体流路12へと移動し、その結果、この部分の液体流路12が開通状態から閉止状態となる。
なお、図6では、蓋板13Aを外側から押圧して荷重を加えているが、閉止手段T1が設けられている部分の液体流路12の底部12bを外側から、すなわち、基板11Aの外側から押圧する操作によって、栓体17を同様に液体流路12に移動させてもよい。
また、液体流路12を閉止させた後、図6では、弱粘着層17aは凹部18側に残っているが、栓体17側に粘着した状態となっても何ら問題はない。
このような液体流路装置10Aを用いて、測定液を調製する具体的な方法としては、まず、この液体流路装置10Aを試料投入槽14a側が上方に、測定槽14i側が下方に位置するように立てて、液体が重力によって上流側から下流側に流れやすい状態とする。
ついで、試料をシリンジなどにサンプリングし、このシリンジの針を試料投入槽14aに対応する部分の蓋板13Aに突き刺して、試料投入槽14aに試料を注入する。その後、試料投入槽14aとろ過槽14bとの間に設けられた開通手段S1において、上述の押圧操作、すなわち、蓋板13Aまたは液体流路12の底部を外側から押圧して荷重を加えた後、取り去る操作を行い、栓体15を凹部16内に移動させ、この部分の液体流路12を開通状態とし、試料を重力によりろ過槽14bまで導入する。
この際、押圧する操作は、作業者が指で押す手動により行ってもよいし、押圧位置がXY座標としてあらかじめプログラムされている押圧装置などを使用して、所定の位置を押すようにしてもよい。
ついで、ろ過槽14bでろ過処理がなされた後、ろ過槽14bと計量槽14cとの間に設けられた開通手段S2についても、栓体15を同様にして凹部16内に移動させ、この部分の液体流路12を開通状態とし、試料を重力により計量槽14cに導入する。
ついで、計量槽14cにおいて、導入された液体がオーバーフローし始めたことを確認後、ろ過槽14bと計量槽14cとの間に設けられた閉止手段T1について、栓体17を凹部18から液体流路12へと移動させ、この部分の液体流路12を閉止状態とする。
このようにして、計量槽14cに上流側からの液体がさらに流入するのを停止させてから、計量槽14cの下流に設けられた開通手段S3を作動させて、計量槽14cで計量された試料を第1混合槽14fに導入する。
こうして計量後の試料を第1混合槽14fに導入する一方で、第1試薬槽14eと第1混合槽14fとの間の開通手段S4についても、同様に開通状態として、第1試薬を第1混合槽14fに導入し、試料と第1試薬とを第1混合槽14fにおいて混合し、中間調製液を調製する。
ついで、第1混合槽14fと第2混合槽14hとの間の開通手段S5についても、同様に開通状態として、第1混合槽14fで調製された中間調製液を第2混合槽14hに導入する。その一方で、第2試薬槽14gと第2混合槽14hとの間の開通手段S6についても、同様に開通状態として、第2試薬を第2混合槽14hに導入する。そして、中間調製液と第2試薬とを第2混合槽14hにおいて混合し、測定液を調製する。
ついで、第2混合槽14hと測定槽14iとの間の開通手段S7についても、同様に開通状態として、第2混合槽14hで調製された測定液を測定槽14iに導入する。
そして、測定槽14iに測定液を導入した後、この液体流路装置10Aごと検出分析手段に供し、目的成分の検出や測定を行う。
なお、このようにして測定液を調製する過程においては、各液槽に設けられている図示略の連通孔を必要に応じて適宜開閉することにより、液体を流れ易くしたり、流量の正確性を向上させたりする等、液体の流通を制御してもよい。
このような液体流路装置10Aによれば、液体流路12を閉止状態から開通状態にする開通手段S1〜S7と、開通状態から閉止状態にする閉止手段T1とを有するため、液体流路12中の液体の流れを制御でき、その結果、精度の高い検出や分析を短時間で行うことができる。
例えば、この例では、計量槽14cの上流には閉止手段T1が設けられ、下流には開通手段S3が設けられている。そのため、計量槽14cで試料を短時間で正確に計量して、第1混合槽14fに導入することができる。ここで仮に、計量槽14cの下流に開通手段S3が設けられておらず、この部分の液体流路12が常に開通した状態であると、計量中であっても計量槽14cから試料が連続的に流出してしまい、試料を一定量溜めることができず、計量自体が不可能となる。また、計量槽14cの上流に閉止手段T1が設けられていない場合には、ろ過槽14bを経た試料の全量が計量槽14cに完全に流入し終わってから、計量槽14cと第1混合槽14fの間の開通手段S3を作動させて、計量された試料を第1混合槽14fに導入する必要がある。この場合、試料が特に血液などの粘性を有した液体であると、ろ過槽14bを経た試料の全量が完全に計量槽14cに流入し終わるまでに時間を要し、短時間での計量が困難となる。その点、この例のように、計量槽14cの上流側に閉止手段T1が設けられていると、ろ過槽14bを経た試料の全量が計量槽14cに完全に流入し終わらなくても、計量槽14cにおいて試料がオーバーフローし始めた時点で閉止手段T1を作動させて、計量槽14cへの試料のさらなる流入を停止することができ、短時間での正確な計量が可能となる。
また、この例では、第1混合槽14fと第2混合槽14hとの間に開通手段S5が設けられ、第2混合槽14hと測定槽14iとの間に開通手段S7が設けられている。そのため、第1混合槽14fおよび第2混合槽14hにおいて、目的の混合や反応が十分に進行してから、これら開通手段S5、S7を開通させ、中間調製液や測定液をそれぞれ第2混合槽14hや測定槽14iに導入することができる。よって、混合や反応が不十分なことに起因する検出や分析の精度低下を防止することができる。
さらに、この例では、第1試薬槽14eと第1混合槽14fとの間、第2試薬槽14gと第2混合槽14hとの間にも開通手段S4、S6が設けられているため、所望の時点でこれらを開通させて、あらかじめ第1試薬槽14eおよび第2試薬槽14gにそれぞれ封入されている第1試薬および第2試薬を第1混合槽14fや第2混合槽14hに流入させることができる。仮に開通手段S4、S6が設けられていない場合には、液体流路装置10Aの保管時などに、第1試薬および第2試薬が下流側に流れ始めてしまうおそれがある。
また、この例の液体流路装置10Aの開通手段S1〜S7および閉止手段T1は、シンプルな構成であり、低コストで形成できる。そのため、この液体流路装置10Aは使い捨てタイプとすることができる。また、開通および閉止の操作も簡便な押圧操作のみで、操作性にも優れる。
この例の液体流路装置10A、すなわち、蓋板13Aが2層構造とされ、凹部16、18が蓋板13Aに形成されている液体流路装置10Aは、次の方法により製造できる。
すなわち、基板11Aに液体流路12と液槽とを形成し、蓋板13Aに凹部16、18を形成する第1工程と、開通手段S1〜S7を構成する栓体15を液体流路12の一部に形成し、一方、閉止手段T1を構成する栓体17を蓋板13Aの凹部18内に形成する第2工程と、基板11Aにおいて液体流路12などが形成された側の流路形成面12aに、蓋板13Aにおいて凹部16、18が形成された側の面(内面)を積層する第3工程とを備えた方法により製造できる。
以下、液体流路装置10Aの製造工程を模式的に示す図7をさらに参照して、液体流路装置10Aの製造工程について説明する。
第1工程では、まず、基板11Aの内層11cを構成するシート11c’の巻回物(ロール)20と、中間層11bを構成するシート11b’の巻回物21と、外層11aを構成するシート11a’の巻回物22とを用意する。
ついで、内層11cを構成するシート11c’の巻回物20から、シート11c’を連続的に供給して、打抜機23aにより、液体流路12に対応する箇所を線状に打ち抜くとともに、計量槽14cなどの各液槽の上部に相当する部分を孔状に打ち抜く。
一方、中間層11bを構成するシート11b’の巻回物21から、シート11b’を連続的に供給して、打抜機23bにより、計量槽14cなどの各液槽の下部に対応する箇所を孔状に打ち抜く。
ついで、外層11aを構成するシート11a’ の巻回物22からシート11a’を連続的に供給し、各シート11a’、11b’、11c’を順次積層することにより、基板11Aを製造する。
ここで各シート11a’、11b’、11c’は、図示略の接着剤供給装置から供給される接着剤により、接着されることが好ましいが、各シート11a’、11b’、11c’の材質によっては、熱融着などにより貼り合わされてもよい。さらに、あらかじめ粘着剤や接着剤が塗布されたシートなどを用いてもよい。
一方、この第1工程では、蓋板13Aの内層13bを構成するシート13b’の巻回物25と、蓋板13Aの外層13aを構成するシート13a’の巻回物26も用意し、ついで、内層13bを構成するシート13b’の巻回物25から、シート13b’を連続的に供給して、打抜機23cにより、凹部16、18に対応する箇所を打ち抜く。
ついで、蓋板13Aの外層13aを構成するシート13a’ の巻回物26からシート13a’を連続的に供給し、各シート13a’、13b’を積層することにより、蓋板13Aを製造する。
ここで各シート13a’、13b’は、図示略の接着剤供給装置から供給される接着剤により、接着されることが好ましいが、各シート13a’、13b’の材質によっては、熱融着などにより貼り合わされてもよい。さらに、あらかじめ粘着剤や接着剤が塗布されたシートなどを用いてもよい。
このように第1工程として、各巻回物20、21、22、25、26から各シート11a’、11b’、11c’、13a’、13b’を供給し、シート11b’、11c’、13b’についてはそれぞれ所定の形状に打ち抜き、その後、各シート11a’、11b’、11c’を順次積層、接着し、一方、各シート13a’、13b’も積層、接着する工程を採用すると、液体流路12および液槽などが形成された多数の基板11Aと、凹部16、18が形成された多数の蓋板13Aとをそれぞれ連続的に生産することができる。
このような方法は、一枚の平板からなる各基板、各蓋板に対して、液槽や液体流路や凹部を例えばフォトリソグラフィ、切削加工などで形成する方法、液槽や液体流路や凹部の形成された基板や蓋板を射出成形などで成形する方法などにくらべて、製造コストが低く、簡便で、大量生産も可能となり、工業的に好適である。
なお、シート11b’、11c’、13b’を所定の形状に打ち抜き、液体流路12、液槽、凹部16、18などを形成する方法は、低コストで生産性にも優れるが、それ以外の方法(レーザ加工、ナイフなどを用いた切り抜き加工、熱加工など。)で、シート11b’、11c’、13b’を所定の形状に開口させて、液体流路12、液槽、凹部16、18などを形成してもよい。
また、この例では、液体流路装置10Aの基板11Aとして、外層11a、中間層11b、内層11cの3層から構成されたものを示しているが、外層11aと内層11cとの2層から構成されるものであってもよい。その場合には、内層11cをなすシート11c’に、液体流路12と液槽を形成する。この場合、形成される液体流路12と液槽の深さは同じとなる。
基板11Aの外層11a、中間層11b、内層11cを構成する各シート11a’、11b’、11c’や、蓋板13Aの外層13a、内層13bを構成する各シート13a’、13b’の材質としては、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、PEN樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、繊維強化プラスチックなどの樹脂が挙げられる。これらのなかでも、透明であって、液体流路12を流通する液体の様子を目視することができる点では、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、PEN樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
なお、本実施形態例では、基板11Aや蓋板13Aの材料として樹脂の巻回物を使用し、その際の液体流路装置10Aの好適な製造方法について説明しているため、シート材料としては、このように樹脂を例示している。しかしながら、製造方法には特に制限はなく、例えば、液体流路装置を安定に支持することが要求される場合などには、基板や蓋板にガラスなどの樹脂以外の透明材料を使用し、これに切削加工などの方法を適用して液体流路、液槽、凹部などを形成することも可能である。
各シート11a’、11b’、11c’の厚さは、適宜設定することができるが、図示例の液体流路装置10Aの場合、内層11cをなすシート11c’の厚さは、形成される液体流路12の深さに相当し、内層11cをなすシート11c’と中間層11bをなすシート11b’の厚さの和は液槽の総深さに相当する。よって、液槽や液体流路12などに求められる深さを考慮して、これらシート11b’およびシート11c’の厚みを決定する。
具体的には、シート11b’の厚さは25〜500μmが好ましく、シート11c’の厚さは、10〜300μmが好ましい。
また、シート11a’の厚さは、蓋板13Aを押圧して開通手段S1〜S7および閉止手段T1を作動させる場合には、50μm以上が好ましく、より好ましくは100〜1000μmとする。このような厚さであると、液体流路装置10Aの支持層として十分に作用する。逆に、基板11Aを押圧する場合には、基板11Aは、押圧操作により荷重が加えられた場合には撓み、その後、荷重が取り去られた場合には元に戻る復元力を有する必要がある。その場合には、シート11a’の厚さは10〜300μmが好ましい。
液体流路12の幅、各液槽の容積、形状などには特に制限はなく、適宜設定できる。例えば、液体流路12の幅としては、好ましくは25〜2000μm、より好ましくは500〜2000μm、液槽の容積としては、好ましくは50〜50000μl、より好ましくは100〜1000μlである。
ただし、廃液槽14dなどについては、特に好適な容積があるわけではなく、各液槽の機能に応じて自由に設計できる。
また、各シート13a’、13b’の厚さも、適宜設定することができるが、図示例の液体流路装置10Aの場合、内層13bをなすシート13b’の厚さは、形成される凹部16、18の深さに相当する。よって、凹部16、18に求められる深さを考慮して、これらシート13b’の厚みを決定する。また、図5および6に示したように、蓋板13Aを外側から押圧して、開通手段S1〜S7や閉止手段T1を作動させる場合には、シート13a’、13b’は、押圧操作により荷重が加えられた場合には撓み、その後、荷重が取り去られた場合には元に戻る復元力を有する必要がある。その点も考慮して、これらの厚みを決定する必要がある。
蓋板13Aが押圧される場合には、具体的には、シート13a’の厚さは10〜300μmが好ましく、シート13b’の厚さは25〜500μmが好ましい。逆に、基板11Aが押圧される場合には、シート13a’の厚さは50μm以上が好ましい。
ついで、第2工程を行う前に、この例の液体流路装置10Aの場合には、栓体15、17を保持するための弱粘着層15a、17aと強粘着層16a、18aとを所定の位置に形成する図示略の粘着層形成工程を行う。弱粘着層15a、17aと強粘着層16a、18aの形成は、適切な粘着剤を選定して、それを所定位置に塗布する方法が好適である。
強粘着層16a、18aおよび弱粘着層15a、17aには、従来公知の粘着剤の中から基板11A、蓋板13A、栓体15、17の材質などに応じて適宜選択することができるが、その際、強粘着層16a、18aを形成する粘着剤の粘着力(粘着強度)は、弱粘着層15a、17aを形成する粘着剤の粘着力よりも強いことが必要である。強粘着層16a、18aを形成する粘着剤の粘着力が弱粘着層15a、17aを形成する粘着剤の粘着力以下であると、開通手段S1〜S7や閉止手段T1において押圧操作をしても、栓体15、17を液体流路12から凹部16内に移動させたり、凹部18内から液体流路12へと移動させたりできない場合や、移動後にそこに保持することができない場合がある。その場合、液体流路12を開通したり閉止したりできなくなる。
強粘着層16a、18aを形成する粘着剤の粘着力は、弱粘着層15a、17aを形成する粘着剤の粘着力よりも0.1N/cm以上大きいことが好ましい。さらには、0.1〜30N/cmの範囲で大きいことが好ましい。強粘着層16a、18aを形成する粘着剤の粘着力が弱粘着層15a、17aを形成する粘着剤の粘着力よりも0.1N/cm以上大きいと、開通手段S1〜S7および閉止手段T1を確実に作動させることができる。一方、粘着力の差が30N/cmを超えるようにこれらの粘着層を構成することは困難である。
また、そのうえで、強粘着層16a、18aの粘着力を1〜30N/cmの範囲とし、弱粘着層15a、17aの粘着力を0.05〜5N/cmの範囲とすることが好ましい。
強粘着層16a、18aおよび弱粘着層15a、17aに使用する粘着剤としては、例えば、アクリル系、ゴム系、ポリウレタン系、ポリエステル系、シリコン系などが挙げられる。これらのうち、例えば、強粘着層16a、18aにはアクリル系、ゴム系などを使用し、さらに芯材として、不織布、ポリエステル繊維などを含ませてもよい。弱粘着層15a、17aには、アクリル系、シリコン系のものを使用することが好ましい。強粘着層16a、18aと弱粘着層15a、17aとの粘着力の差を上述の好適な範囲とするためには、各粘着剤を構成する樹脂のガラス転移温度を適宜調整したり、粘着剤に粘着付与剤、硬化剤、芯材などの添加剤を加えたり、その添加量を調整したりする方法が挙げられる。
なお、ここで「粘着力」とは、JIS Z 0237のステンレス板に対する180度引きはがし粘着力のことである
ついで、第2工程において、第1工程で基板11Aに形成された液体流路12の一部、すなわち、各開通手段S1〜S7を設ける各位置に、栓体15を形成するとともに、第1工程で蓋板13Aに形成された凹部16、18のうち、閉止手段T1に対応する凹部18内に、栓体17を形成する。
栓体15の形成は、連続的に供給される基板11Aの所定位置に、栓体15を形成するための栓体形成材料を印刷機、ディスペンサ、コータ(ロールコータ、ナイフコータなど)などの塗布装置24aで塗布する方法により行う。栓体17の形成も、同様の塗布装置24bを用いて、栓体形成材料を凹部18に塗布、充填する方法で行う。
栓体形成材料としては、例えば、その粘度が30〜600dPa・sの範囲にある樹脂組成物が好適に使用され、上記粘度範囲にある樹脂組成物が溶剤を含まないものであればより好ましい。
樹脂組成物に含まれる樹脂成分としては、塗布性(印刷性、ディスペンス性など。)、栓体としての封止能力およびその安定性が良好で、栓体形成材料とした際に上記範囲の粘度となる樹脂であればその種類に制限はない。
また、樹脂組成物には適当な可塑成分が含まれてもよい。
樹脂組成物には、栓体形成材料の粘度を調整するためのフィラーが含まれてもよく、例えば、沈降性硫酸バリウム、タルク、針状酸化ケイ素、中空ビーズなどが挙げられ、1種以上を使用できる。
溶剤は、必要に応じて、栓体形成材料の粘度を調整するために配合されるものであって、適当な有機溶媒が使用される。
このように栓体形成材料を印刷法、ディスペンサ法、コータ法などで塗布する方法によれば、連続的に効率よく栓体15、17を所定の位置に形成できる。
栓体形成材料をそれぞれ所定の位置に塗布した後、栓体形成材料の組成などによって、必要に応じて、これを加熱乾燥する工程、硬化する工程などの図示略の各工程を行う。
その後、第3工程において、基板11Aの流路形成面12aに、蓋板13Aの凹部16、18が形成された側の面を積層し、接着する。また、ここで基板11Aと、蓋板13Aとは、図示略の接着剤供給装置から供給される接着剤により、接着されることが好ましいが、これらの材質によっては、熱融着などにより貼り合わされてもよい。さらに、あらかじめ粘着剤や接着剤が塗布されたシートなどを用いてもよい。
これにより、複数の液体流路装置10Aが連続的に連なった連続体を製造することができる。
こうして製造された液体流路装置10Aの連続体は、図7に示すように巻き取られて、巻回物27の状態とされてもよいし、折り畳まれた状態にされてもよい。また、1枚ずつ切り離された枚葉タイプとされてもよい。巻回物27の状態、折り畳まれた状態とされる場合には、各液体流路装置10A間にミシン目、凹条などのラインを形成する工程を行ってもよい。これにより、各液体流路装置10A間で屈曲されやすくなり、液体流路装置10Aの連続体を折り畳みやすくすることができる。また、枚葉タイプに切り離しやすくすることもできる。
なお、以上説明した第1実施形態例では、各開通手段S1〜S7および閉止手段T1において、栓体15、17は弱粘着層15a、17aによりあらかじめ所定位置に保持され、その後、押圧操作により、液体流路12から凹部16内、あるいは、凹部18内から液体流路12に移動し、強粘着層16a、18aにより所定位置に保持される形態とした。
しかしながら、このように粘着力の差を利用した方法により、栓体15、17を所定位置に移動させ、そこに保持する形態には限定されない。
例えば、栓体15、17の形状、材質、凹部16、18の形状、凹部16、18が形成される蓋板13Aの材質などを調整することにより、開通状態において、栓体15、17が凹部16、18内に弾性力などにより密に保持されるようにすれば、必ずしも、凹部16、18内に弱粘着層17aや強粘着層16aは設けられなくてもよい。
また、閉止状態において、栓体15、17が液体流路12の所定位置に確実に保持され、そこから移動してしまわないように、例えば図8に示すように、液体流路12の底部12bから凸起して、栓体15、17を挟持する一対の栓体受け19a、19bなどを形成しておいてもよい。栓体受け19a、19bを例えば弾性体などから形成してすると、弾性力により栓体15、17を液体流路12の所定位置からズレないように保持することができる。
さらに、例えば、図9に開通手段S1を例示して説明するように、栓体15の平面視形状を菱形などとして、その最大幅W1を液体流路12の幅W2よりも大きく設定するとともに、液体流路12の両側壁には、栓体15の幅方向の両端部が係止される係止凹部を形成しておく方法などによって、閉止状態において、栓体15、17の幅方向の両端部が係止凹部に係止され、液体流路12の所定位置から液体流路に沿って(図中上下方向)ズレないようにしてもよい。なお、図9では、平面視形状が菱形の栓体15を例示したが、栓体15の最大幅W1が液体流路12の幅W2よりも大きく形成され、液体流路の両側壁に、栓体15を係止可能な係止凹部が形成される限り、栓体の平面視形状は菱形に限定されない。
さらに、弱粘着層15a、17a、強粘着層16a、18aを設けた上で、栓体受け19a、19bを設けたり、栓体15、17の平面視形状を菱形にしたりするなど、栓体15、17を保持する手段としてこれらを併用してもよい。
[第2実施形態例]
以上説明した第1実施形態例の液体流路装置10Aでは、蓋板13Aは外層13aおよび内層13bの2層から構成され、基板11Aは外層11a、中間層11b、内層11cの3層から構成され、凹部16、18は蓋板13Aに形成された形態を例示した。
以下、本第2実施形態例では、図10〜13に示すように、蓋板13は1層で構成され、一方、基板11Bは外層41a、外側中間層41b、内側中間層41c、内層41dの4層から構成され、凹部16、18は蓋板13ではなく液体流路12の底部12bに形成された形態について例示する。
この例の液体流路装置10Bは、図10に示すように、その基板11Bは、外層41aと、その内側に積層した外側中間層41bと、その内側に積層した内側中間層41cと、その内側に積層した内層41dの4層から構成されている。
内層41dには、液槽(図10には試料投入槽14aとろ過槽14bのみ図示)の上部(液槽の蓋板13側の部分。)と、液体流路12とが形成されている。
内側中間層41cには、液槽の中間部(前記上部以外の部分のうち、液槽の底部側の部分を除いた中間部分。)と、凹部16、18とが形成されている。また、この内側中間層41cは、内層11d側の面が液体流路12の底部12bを構成している。
外側中間層41bには、液槽の下部(液槽の底部側の部分であり、前記上部および中間部以外の部分。)が形成されている。また、この外側中間層41bは、内側中間層41c側の面が凹部16、18の底部を構成している。
外層41aは、基板11Bの最も外側に配置され、その外側中間層41b側の面が液槽の底部を構成している。
また、蓋板13は、1層のみから構成されている。
そして、この液体流路装置10Bでは、開通手段S1〜S7は、図10にS1およびS2を例示して説明するように、液体流路12内に、液体流路12の一部を塞ぐように配置されて液体の流れを封止し、この部分を閉止状態とする樹脂製の栓体15を具備している。また、液体流路12の底部12bにおいて、この栓体15の対向位置には、栓体15を収納可能な凹部16が形成されている。
この例の栓体15は、図11(a)に拡大して示すように、閉止状態においては、蓋板13と接する部分(頂部)が、弱粘着層15aにより、蓋板13の内面に固定されている。また、栓体15の高さは、液体流路の高さよりも若干高く形成され、その底部15c側が、凹部16内に液密にやや嵌入した状態で配置されている。
そして、栓体15は、当該開通手段S1、S2が設けられている部分の蓋板13または液体流路12の底部12bを外側から押圧する操作により、液体流路12から凹部16内に移動して、液体流路12を閉止状態から開通状態にする。
具体的には、図12に開通手段S1を例に挙げて示すように、蓋板13を外側から矢印Cで示すように押圧して荷重を加えると、図12(a)に示すように蓋板13が撓み、凹部16の強粘着層16aと栓体15の底部15cとが接し、これらが粘着する。そして、その後に荷重を取り去ると、図12(b)に示すように、蓋板13はその復元力により元の状態に復元するが、その際、栓体15は、強粘着層16aの作用により凹部16内に収納された状態で保持される。その結果、蓋板13が復元するのに伴って、栓体15は蓋板13から離間し、ここを液体が流通できるようになる。
このように開通手段S1〜S7においては、開通手段S1〜S7が設けられている部分の蓋板13を外側から押圧して荷重を加えた後、この荷重を取り去る押圧操作によって、栓体15が液体流路12から凹部16内へと移動し、その結果、この部分の液体流路12が閉止状態から開通状態となる。
なお、図12では、蓋板13を外側から押圧して荷重を加えているが、開通手段S1が設けられている部分の液体流路12の底部12bを外側から、すなわち、基板11Bの外側から押圧する操作によって、栓体15を液体流路12から凹部16内に移動させてもよい。
一方、この液体流路装置10Bの閉止手段T1は、図11(b)にも示すように、樹脂製の栓体17を具備し、この栓体17は、液体流路12の底部12bに形成された凹部18内に収納されている。具体的には、この例では、基板11Bの内側中間層41cが打ち抜きなどで開口されて凹部18が形成され、その内部に、栓体17が配置されている。
この例の栓体17は、開通状態においては、その底部が弱粘着層17aにより凹部18に粘着して、凹部18内に収納されている。また、栓体17の高さは、液体流路12の高さよりも若干高く形成され、後述のように液体流路12を閉止状態とした際には、その底部側が、凹部18内にやや嵌入した状態になるようになっている。
一方、蓋板13の内面において、栓体17の頂部との対向位置には、強粘着層18aが形成されている。
そして、栓体17は、当該閉止手段T1が設けられている部分の蓋板13または液体流路12の底部12bを外側から押圧する操作により、凹部18内から液体流路12に移動して、液体流路12を開通状態から閉止状態にする。
具体的には、図13に示すように、蓋板13を外側から矢印Dで示すように押圧して荷重を加えると、図13(a)に示すように蓋板13が撓み、蓋板13の強粘着層18aと栓体17の頂部とが接し、これらが粘着する。そして、その後に荷重を取り去ると、図13(b)に示すように、蓋板13はその復元力により元の状態に復元するが、その際、栓体17は、強粘着層18aの作用により蓋板13の内側に粘着した状態で保持される。その結果、栓体17は、凹部18から液体流路12へと移動する。こうして、この栓体17により液体流路12は閉塞され、液体はこの部分を流通できなくなる。
このように閉止手段T1においては、閉止手段T1が設けられている部分の蓋板13を外側から押圧して荷重を加えた後、この荷重を取り去る押圧操作によって、栓体17が凹部18内から液体流路12へと移動し、その結果、この部分の液体流路12が開通状態から閉止状態となる。
なお、図13では、蓋板13を外側から押圧して荷重を加えているが、閉止手段T1が設けられている部分の液体流路12の底部12bを外側から、すなわち、基板11Bの外側から押圧する操作によって、栓体17を液体流路12に移動させるようにしてもよい。
この例の液体流路装置10Bは、基板11Bに液体流路12と液槽と凹部16、18とを形成する第1工程と、開通手段S1〜S7を構成する栓体15を、当該開通手段S1〜S7が設けられる部分の蓋板13の内面に形成し、一方、閉止手段T1を構成する栓体17を閉止手段T1に対応する凹部18内に形成する第2工程と、基板11Bにおいて液体流路12などが形成された側の流路形成面12aに、蓋板13の栓体15が形成された側の面を積層する第3工程とを備えた方法により製造できる。
第1工程では、図14に示すように、まず、基板11Bの内層41dを構成するシート41d’の巻回物28と、内側中間層41cを構成するシート41c’の巻回物29と、外側中間層41bを構成するシート41b’の巻回物30と、外層41aを構成するシート41a’の巻回物31とを用意する。
ついで、内層41dを構成するシート41d’の巻回物28から、シート41d’を連続的に供給して、打抜機23aにより、液体流路12に対応する箇所を線状に打ち抜くとともに、計量槽14cなどの各液槽の上部に相当する部分を孔状に打ち抜く。
一方、内側中間層41cを構成するシート41c’の巻回物29から、シート41c’を連続的に供給して、打抜機23bにより、計量槽14cなどの各液槽の中間部に対応する部分を孔状に打ち抜き、また、凹部16、18に対応する部分も打ち抜く。
また、外側中間層41bを構成するシート41b’の巻回物30から、シート41b’を連続的に供給して、打抜機23cにより、計量槽14cなどの各液槽の下部に対応する部分を孔状に打ち抜く。
ついで、外層41aを構成するシート41a’ の巻回物31からシート41a’を連続的に供給し、各シート41a’、41b’、41c’41d’を順次積層することにより、基板11Bを製造する。
ここで各シート41a’、41b’、41c’、41d’は、図示略の接着剤供給装置から供給される接着剤により、接着されることが好ましいが、各シート41a’、41b’、41c’、41d’の材質によっては、熱融着などにより貼り合わされてもよい。さらに、あらかじめ粘着剤や接着剤が塗布されたシートなどを用いてもよい。
ついで、第2工程を行う前に、第1実施形態例の場合と同様にして、栓体15、17を保持するための弱粘着層15a、17aと強粘着層16a、18aとを所定の位置に形成する図示略の粘着層形成工程を行う。
ついで、第2工程において、蓋板13を構成するシート13’の巻回物32から、シート13’を連続的に供給して、各開通手段S1〜S7の位置に対応するように、蓋板13の内面に栓体15を形成する。一方、第1工程で液体流路12の底部12bに形成された凹部16、18のうち、閉止手段T1を構成する凹部18内に、栓体17を形成する。
栓体15の形成は、第1実施形態例において説明したように、栓体15を形成するための栓体形成材料を印刷機、ディスペンサ、コータ(ロールコータ、ナイフコータなど)などの塗布装置24aで塗布する方法により好適に行える。また、栓体17の形成も、連続的に供給される基板11Bに形成された凹部18内に、栓体形成材料を同様の塗布装置24bで塗布し、充填する方法により好適に行える。
また、栓体形成材料としても、第1実施形態例で例示したものを同様に好適に使用できる。
その後、第3工程において、基板11Bの流路形成面12aに、蓋板13の内面、すなわち栓体15が形成された側の面を積層し、接着する。また、ここで基板11Bと、蓋板13とは、図示略の接着剤供給装置から供給される接着剤により、接着されることが好ましいが、これらの材質によっては、熱融着などにより貼り合わされてもよい。さらに、あらかじめ粘着剤や接着剤が塗布されたシートなどを用いてもよい。これにより、複数の液体流路装置10Bが連続的に連なった連続体を製造することができる。
こうして製造された液体流路装置10Bの連続体は、第1実施形態例の場合と同様に、巻き取られて、巻回物33の状態とされてもよいし、折り畳まれた状態にされてもよい。また、1枚ずつ切り離された枚葉タイプとされてもよい。また、各液体流路装置10B間にミシン目、凹条などのラインを形成する工程を行ってもよい。
なお、この例の場合にも、第1実施形態例の場合と同様に、栓体15、17の形状、材質、凹部16、18の形状、凹部16、18が形成される基板11Bの材質などを調整することにより、開通状態において、栓体15、17が凹部16、18内に弾性力などにより密に保持されるようにすれば、必ずしも、凹部16、18内に弱粘着層17aや強粘着層16aは設けられなくてもよい。
また、第1実施形態例の場合と同様に、栓体15、17を挟持する一対の栓体受け19a、19bなどを形成してもよい。
また、閉止状態において、栓体15、17の幅方向の両端部が係止凹部に係止され、液体流路12の所定位置から液体流路に沿って(図中上下方向)ズレないようにしてもよい。
さらに、これらの手法を組み合わせて併用してもよい。
以上、第1実施形態例および第2実施形態例で例示した液体流路装置10A、10Bでは、基板11A、11Bの片面のみに液体流路12が形成されているが、基板11A、11Bの両面に液体流路12が形成されてもよい。
また、各液槽に必要に応じて設けられる、開閉可能な連通孔の形態には制限はなく、蓋板13A、13に形成された連通孔に、嵌め込み式のキャップを抜き差しすることで、連通孔を開通、閉止できる形態などでもよい。また、液体流路12に設けられる開通手段S1〜S7および閉止手段T1と同様の構成の開通手段と閉止手段とを連通孔に設けてもよい。
また、各液槽には、必要に応じて、送液手段を設けてもよい。送液手段の具体的な形態としては、その液槽に対応する部分の蓋板13A、13またはその液槽の底部を外側から押圧する操作により、その液槽の内容積が小さくなり、その液槽内の液体が吐出されて、下流側に送液されるような形態が挙げられる。このような送液手段を設けた液槽には、液体の上流側への逆流を防止する堰板などの逆流防止手段を設けることが好適である。
以上の例においては、液体を流通させるために、重力の作用を利用した形態について示したが、遠心力の作用を利用してもよい。例えば、この液体流路装置10A、10Bを試料投入槽14a側が回転中心側に位置し、測定槽14i側が回転の外周側に位置するように遠心装置にセットして液体流路装置10A、10Bを回転させ、液体流路12の上流側から下流側に遠心力が働き、その結果、液体が流れるようにしてもよい。
また、このように液体流路装置10A、10Bを回転させ、遠心力を利用して液体を流通させる際には、開通手段S1〜S7や閉止手段T1を作動させるための各押圧操作には、圧接ディスクを用いることもできる。圧接ディスクは、液体流路装置10A、10Bの蓋板13A、13の表面を回転中心側から回転の外周側に向かって、回転の半径方向に移動しながら、所定位置を押圧するものである。
また、重力や遠心力を利用して液体を移動させる以外に、液体流路12、液槽の一部、またはこれらの両方を加熱して液体流路12や液槽内の空気を膨張させたり、液体流路12の一部に酸素吸収剤(酸化しやすい鉄粉など)を封入しておき、液体流路12内の酸素を吸収することで液体流路12内を減圧にしたりして、液体を移動させ、流通させる方法などを併用してもよい。
また、以上の説明では、試料投入槽14aに試料を注入する方法として、シリンジの針を蓋板13A、13に突き刺す方法を例示しているが、例えば、あらかじめ蓋板13A、13に試料注入孔を形成しておき、そこから試料を注入してもよい。その場合、試料注入孔には保護テープを被せておき、シリンジを保護テープに突き刺すことで注入してもよいし、保護テープを剥がして試料注入孔にシリンジを挿入して注入してもよい。
液体流路装置10A、10Bを流通させる試料および試薬としては、特に制限はなく、医療分野、環境分野などで従来より採用されている試料と試薬とを適宜組み合わせて使用することができる。
例えば、医療分野においては、試料として、血液(全血)、血漿、血清、バフィーコート、尿、糞便、唾液、喀痰などの生体由来のもの、ウィルス、細菌、カビ、酵母、動植物の細胞などが挙げられる。また、これらから単離したDNAまたはRNAを用いてもよいし、これらに対して何らかの前処理、希釈などが施されたものを試料としてもよい。
なお、先に例示した液体流路装置10A、10Bは、試料投入槽14aの下流に、試料投入槽14aから流通してきた試料に対してろ過処理を施すためのろ過槽14bを備えている。よって、このような液体流路装置10A、10Bを用いると、例えば、血液から血球をろ過処理で取り除く場合など、従来はあらかじめ別のろ過装置でろ過処理を行う必要があった試料を予めろ過処理することなく、そのまま液体流路装置10A、10Bの試料投入槽14aに供することができる。
試薬としては、特に制限はなく、目的成分に応じて適宜選択できるが、試料中に存在する抗原を抗原抗体反応を利用して捕捉、分析する場合には、抗原に対する抗体を含有する試薬が好ましい。
なお、以上の例では、第1試薬槽14eや第2試薬槽14gに、例えば抗体が含まれる試薬をあらかじめ封入しておき、これらの試薬と、例えば抗原が含まれる試料とを第1混合槽14fや第2混合槽14hで混合することにより、抗原が抗体に捕捉される形態を例示した。しかしながら、抗原を抗体に捕捉させる形態はこのような形態に限定されず、例えば、抗体あるいは抗体を担持させた磁性ビーズを液体流路装置10A、10Bの液槽または液体流路の途中などに固定しておき、そこを試料が流通することにより、試料中の抗原が抗体に捕捉されるようにしてもよい。ついで、適当な試薬を試料投入槽14aなどからシリンジなどで投入するとともに、必要に応じて上述した送液手段も適宜利用するなどして、このように捕捉された抗原を洗浄したり、変性させたり、増殖(濃度上昇)させたり、分離したりして、分析精度を高めることもできる。
また、液体流路装置10A、10Bで行う反応としては、抗原抗体反応に限らず、各種化学反応、DNAを増幅させるPCR(polymerase chain reaction)、DNAなどのタンパクを捕捉する反応なども実施できる。複数の反応を組み合わせることもできるし、液体流路装置10A、10B内では混合処理のみを行うなど、必ずしも何らかの反応を行わなくてもよい。このように液体流路装置10A、10Bの使用方法には何ら限定はない。
また、このような各種反応を促進したり、液体の流れを促進したりするために、液体流路12や液槽に対して、各種の処理を行うことができる。例えば、酸、アルカリなどを用いた化学的処理、ラテックス、蛍光物質などを用いた物理的処理、抗原、抗体、DNAなどを用いた生化学的処理を種々施して、例えば、親水処理、親油処理、撥水処理などの表面処理効果を得ることができる。その他にも、塗料の塗布処理、プラズマ処理、フレーム処置などを実施してもよい。さらに、液体流路12には、必要に応じて、邪魔板、攪拌板、突起を設けたり、分水形状を形成したりして、流通する液体が均一な混合状態となるようにしてもよい。また、液体流路12や液槽内を必要に応じて加圧しておいたり(加圧処理)、減圧しておいたり(真空処理)してもよい。
さらに、着色剤、色素、蛍光剤などを適当な液槽内に投入しておき、そこに到達した試料を着色したり、試料に蛍光を付与したりすることも可能である。
また、液体流路装置10A、10Bの蓋板13A、13、液体流路12、液槽、基板11A、11Bなどの任意の箇所に、必要に応じて、この液体流路装置10A、10Bを用いて行う操作の内容や手順、液槽の名称(例えば「計量槽」など。)などを直接印刷しておいてもよい。または、操作の内容や手順、液槽の名称などが印刷された表示シールなどを貼着したり、何らかの目印となるマーキングを設けたりしておいてもよい。さらに、例えば蓋板13A、13の一部のみを透明化するなどして、その箇所が目立つようにしてもよい。
液体流路装置10A、10Bで調製された測定液の検出分析手段としては、従来公知の光学的手段、電気的手段などを適宜採用することができる。また、その際に、液体流路装置10A、10Bを必要に応じて加熱したり冷却したりしてもよい。
10A、10B 液体流路装置
11A、11B 基板
11a、41a 基板の外層
11b 基板の中間層
41b 基板の外側中間層
41c 基板の内側中間層
11c、41d 基板の内層
12 液体流路
12a 流路形成面
13A、13 蓋板
13a 蓋板の外層
13b 蓋板の内層
15、17 栓体
16、18 凹部
S1〜S7 開通手段
T1 閉止手段

Claims (7)

  1. 基板の少なくとも片面に、液体が流通する液体流路と、前記液体が溜まる1つ以上の液槽とが形成され、前記基板の前記液体流路と前記液槽とが形成された流路形成面には蓋板が積層した液体流路装置であって、
    前記液体流路の一部を閉止状態から開通状態にする開通手段を有し、
    前記開通手段は、前記液体流路の前記一部に、弱粘着層により固定された栓体を具備し、
    前記蓋板の内面または前記液体流路の底部における前記栓体の対向位置には、前記栓体を収納可能な凹部が構成され、該凹部には、前記弱粘着層よりも粘着力の大きな強粘着層が形成され
    前記栓体は、前記蓋板または前記底部を外側から押圧する操作により、前記液体流路の前記一部から前記凹部内に移動して、前記強粘着層により前記凹部内に保持され、前記開通状態とすることを特徴とする液体流路装置。
  2. 請求項1に記載の液体流路装置のうち、前記凹部が前記蓋板の前記内面に形成された液体流路装置の製造方法であって、
    前記基板に前記液体流路と前記液槽とを形成し、前記蓋板に前記凹部を形成する第1工程と、前記液体流路の前記一部に栓体を形成する第2工程と、前記基板の前記流路形成面に、前記蓋板を積層する第3工程とを有し、
    前記第1工程では、
    前記基板の内層を構成するシートに前記液槽の上部と前記液体流路とを形成し、前記基板の中間層を構成するシートに前記液槽の下部を形成した後、前記基板の前記内層を構成するシートと、前記基板の前記中間層を構成するシートと、前記基板の外層を構成するシートとを順次積層して、前記基板に前記液体流路と前記液槽とを形成し、
    前記蓋板の内層を構成するシートに前記凹部を形成した後、前記蓋板の前記内層を構成するシートと、前記蓋板の外層を構成するシートとを積層して、前記蓋板に前記凹部を形成することを特徴とする液体流路装置の製造方法。
  3. 請求項1に記載の液体流路装置のうち、前記凹部が前記液体流路の前記底部に形成された液体流路装置の製造方法であって、
    前記基板に前記液体流路と前記液槽と前記凹部を形成する第1工程と、前記蓋板の内面における前記凹部の対向位置に、栓体を形成する第2工程と、前記基板の前記流路形成面に、前記蓋板を積層する第3工程とを有し、
    前記第1工程では、
    前記基板の内層を構成するシートに前記液槽の上部と前記液体流路とを形成し、前記基板の内側中間層を構成するシートに前記液槽の中間部と前記凹部を形成し、前記基板の外側中間層を構成するシートに前記液槽の下部を形成した後、前記基板の前記内層を構成するシートと、前記内側中間層を構成するシートと、前記外側中間層を構成するシートと、前記基板の外層を構成するシートとを順次積層することを特徴とする液体流路装置の製造方法。
  4. 基板の少なくとも片面に、液体が流通する液体流路と、前記液体が溜まる1つ以上の液槽とが形成され、前記基板の前記液体流路と前記液槽とが形成された流路形成面には蓋板が積層した液体流路装置であって、
    前記液体流路の一部を開通状態から閉止状態にする閉止手段を有し、
    前記閉止手段は、前記蓋板の内面または前記液体流路の底部に形成された凹部内に収納され、弱粘着層により前記凹部内に保持された栓体を具備し、
    前記液体流路の前記一部には、前記弱粘着層よりも粘着力の大きな強粘着層が形成され、
    前記栓体は、前記蓋板または前記底部を外側から押圧する操作により前記凹部内から前記液体流路の前記一部に移動して、前記強粘着層により前記液体流路の前記一部に保持され、前記閉止状態とすることを特徴とする液体流路装置。
  5. 請求項4に記載の液体流路装置のうち、前記凹部が前記蓋板の前記内面に形成された液体流路装置の製造方法であって、
    前記基板に前記液体流路と前記液槽とを形成し、前記蓋板に前記凹部を形成する第1工程と、前記凹部内に栓体を形成する第2工程と、前記基板の前記流路形成面に、前記蓋板を積層する第3工程とを有し、
    前記第1工程では、
    前記基板の内層を構成するシートに前記液槽の上部と前記液体流路とを形成し、前記基板の中間層を構成するシートに前記液槽の下部を形成した後、前記基板の前記内層を構成するシートと、前記基板の前記中間層を構成するシートと、前記基板の外層を構成するシートとを順次積層して、前記基板に前記液体流路と前記液槽とを形成し、
    前記蓋板の内層を構成するシートに前記凹部を形成した後、前記蓋板の前記内層を構成するシートと、前記蓋板の外層を構成するシートとを積層して、前記蓋板に前記凹部を形成することを特徴とする液体流路装置の製造方法。
  6. 請求項4に記載の液体流路装置のうち、前記凹部が前記液体流路の底部に形成された液体流路装置の製造方法であって、
    前記基板に前記液体流路と前記液槽と前記凹部を形成する第1工程と、前記凹部内に栓体を形成する第2工程と、前記基板の前記流路形成面に前記蓋板を積層する第3工程とを有し、
    前記第1工程では、
    前記基板の内層を構成するシートに前記液槽の上部と前記液体流路とを形成し、前記基板の内側中間層を構成するシートに前記液槽の中間部と前記凹部を形成し、前記基板の外側中間層を構成するシートに前記液槽の下部を形成した後、前記基板の前記内層を構成するシートと、前記内側中間層を構成するシートと、前記外側中間層を構成するシートと、前記基板の外層を構成するシートとを順次積層することを特徴とする液体流路装置の製造方法。
  7. 前記第2工程では、前記栓体を形成するための栓体形成材料を塗布する方法により、前記栓体を形成することを特徴とする請求項2、3、5、6のいずれかに記載の液体流路装置の製造方法。
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