JP5358842B2 - 金属箔を接合した陶磁器製品およびその製造法 - Google Patents

金属箔を接合した陶磁器製品およびその製造法 Download PDF

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Description

本発明は、陶磁器類の釉薬若しくは素地材料上に、アルミニウムまたはその合金材料を接合した陶磁器類およびその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、陶磁器類の加飾、表面修飾の方法とアルミニウムまたはその合金を接合した陶磁器製品に関するものである。本発明は、500℃以下の低温で、陶磁器類の釉薬若しくは素地材料上に、アルミ箔などの金属材料を強固に直接接合した陶磁器製品を製造し、提供するものである。
陶磁器製品への金属の接合および担持は、一般的に、高温での焼付けにより行なわれる。例えば、陶磁器の加飾に用いる水金やラスターは、600〜700℃の高温で焼付けが行なわれる(非特許文献1参照)。また、上絵付け用のアルコール系水金の場合、500〜700℃の高温で焼成を行なう必要がある(特許文献1参照)。また、金属箔を用いた窯業製品の加工方法として、上絵具を焼付けるための下地に金属箔を複数枚重ねて貼付した後、焼成して焼付け、その上に上絵具を用いて彩色色絵付けをし、再び焼成する窯業製品の加飾方法が提案されている(特許文献2参照)が、この金属箔の焼き付け温度は、550〜650℃と高温である。
金属へ窯業材料(ガラス)をコーティングする事例としては、琺瑯が挙げられる。金属をステンレス鋼とした場合には、970〜1000℃で焼成し、低融点であるアルミニウムを用いる場合には、500〜550℃で焼付ける(非特許文献2参照)。琺瑯の製造においても、金属材料およびガラスの組成などによって、焼付け温度は異なるが、通常、500℃以上の高温が必要とされる。
一般に、セラミックスと金属の接合技術には、例えば、接着剤の利用、ろう付け、拡散接合、陽極接合(電圧印加接合)などがある(非特許文献3参照)。この中で、陽極接合法は、ガラスと金属または半導体の接合に適用され、接合する材料を加熱し、高電圧を印加することで、400℃以下という低温での接合を可能にしている(特許文献3参照)。しかし、陽極接合法の適用例の大半は、シリコンとガラスを用いた電子デバイスに関するものであり(特許文献4、5など参照)、従来、本接合法を電子デバイスと全く別異の技術分野に属する陶磁器製品の技術分野へ利用した事例は見当たらない。
上述のように、陶磁器製品と金属の複合体を作製する技術としては、500℃以上の高温での焼付けによる手法が中心であり、500℃以下の低温条件で陶磁器類および金属の複合体を作製する技術は、これまで確立されていなかったのが実情である。可能な限り低温で陶磁器類および金属の複合体を作製することが可能になれば、熱膨張差に起因する界面剥離などの問題の軽減や、エネルギーの観点などから大きな利点がある。しかしながら、陶磁器類の技術分野において、500℃以下の低温で、陶磁器類と金属などの異種材料を直接接合することは、極めて困難とされていた。
特開平11−189483号公報 特開2006−111481号公報 特開2005−350311号公報 特開2007−050463号公報 特開平08−054414号公報 窯業の事典、朝倉書店、p.250(1995年) 窯業の事典、朝倉書店、p.448〜451(1995年) セラミックス接合工学、日刊工業新聞社、p.47〜75(1990年)
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、500℃以下の低温条件下で、陶磁器類と金属の接合複合体を作製することを可能とする新しい陶磁器類の製造方法およびその陶磁器製品を開発することを目標として鋭意研究を重ねた結果、陶磁器類の釉薬や素地がガラス成分から構成されていることに着目し、陶磁器類の釉薬または素地材料上に、アルミニウムまたはその合金材料を直接重ねて接触させ、接合するこれらの材料の接合界面に直流電圧を印加して、界面に発生させた静電引力および界面の金属材料の酸化を利用することにより、陶磁器類−金属の接合複合体を作製できることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、該陶磁器類の釉薬若しくは素地材料上に、500℃以下の低温領域において、陶磁器類と金属材料、特にアルミニウム材料を直接接合した接合体を製造する方法、および陶磁器類の釉薬若しくは素地材料上に金属材料を直接接合した陶磁器製品を提供することを目的とするものである。
上述の課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)陶磁器類の釉薬若しくは素地材料上に、アルミニウムまたはアルミニウム合金材料を直接重ねて、または、上記釉薬若しくは素地材料上に、アルミニウムまたはその合金材料を介して、該アルミニウムまたはアルミニウム合金材料と異なる金属材料を重ねて、かつ接合する陶磁器類と金属材料を、該金属材料が陽極端子側、該陶磁器類本体が陰極側に位置するように配置し、アルミニウムまたはその合金材料側(陽極)に、点接触する端子を用いて、接合するこれらの材料の接合界面に直流電圧を印加して、界面に発生させた静電引力作用および界面の金属材料の酸化作用により上記接合界面を密着させること、その際に、上記陶磁器類への電圧印加時に流れた電流値から算出される金属材料の単位面積当りの電荷量が、少なくとも10mC/cmの電荷量であること、を特徴とする陶磁器類の製造方法。
(2)上記金属材料が、マグネシウム、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、白金、金、鉛、またはこれらの中から選択された1種を含む合金材料である、前記(1)に記載の陶磁器類の製造方法。
(3)上記陶磁器類を250〜500℃に加熱した後に、直流電圧を印加する、前記(1)または(2)に記載の陶磁器類の製造方法。
(4)前記(1)から(3)のいずれか1項に記載の製造方法により製造してなる陶磁器類であって、
1)陶磁器類の釉薬若しくは素地材料上に、アルミニウムまたはその合金材料を直接接合した接合体であるか、または、上記釉薬若しくは上記素地材料上に、アルミニウムまたはその合金材料を介して、該アルミニウムまたはアルミニウム合金材料と異なる金属材料を接合した接合体であり、
2)上記アルミニウムまたはその合金材料の厚みが、1μm以上1mm以下であり、
3)上記接合体を構成する陶磁器類の釉薬若しくは素地材料とアルミニウムまたはその合金材料との接合界面が、アルミニウムまたはその合金材料側(陽極)に、点接触する端子による直流電圧の印加により界面に発生させた静電引力作用および界面の金属材料の酸化作用により接合されている、ことを特徴とする陶磁器類。
(5)上記金属材料が、マグネシウム、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、白金、金、鉛、またはこれらの中から選択された1種を含む合金材料である、前記(4)に記載の陶磁器類。
(6)上記釉薬材料が、アルカリ金属イオンを含んでいる、前記(4)に記載の陶磁器類。
(7)上記釉薬または上記素地材料が、ガラス相、または結晶相を含むガラス相から構成されている、前記(4)に記載の陶磁器類。
(8)釉薬材料に含まれるアルカリ金属イオンが陶磁器類本体内に析出している、前記(4)または(6)に記載の陶磁器類。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、陶磁器類の釉薬若しくは素地材料上に、アルミニウムまたはその合金材料を直接接合した接合体、または、上記釉薬若しくは上記素地材料上に、アルミニウムまたはその合金材料を介して、金属材料を接合した接合体であって、該接合体を構成する陶磁器類の釉薬若しくは素地材料とアルミニウムまたはその合金材料との接合界面が、直流電圧の印加により界面に発生させた静電引力作用および界面の金属材料の酸化作用により接合されていることを特徴とするものである。本発明において、陶磁器類とは、陶器、磁器及びその類似製品を含むものとして定義されるものであり、それの形態は特に限定されない。
また、本発明は、金属箔などの金属材料を接合した陶磁器類を製造する方法であって、陶磁器類の釉薬若しくは素地材料上に、アルミニウムまたはアルミニウム合金材料を直接重ねて、または、上記釉薬若しくは素地材料上に、アルミニウムまたはその合金材料を介して、金属材料を重ねた後に、接合するこれらの材料の接合界面に直流電圧を印加して、界面に発生させた静電引力作用および界面の金属材料の酸化作用により上記接合界面を密着させることを特徴とするものである。
本発明においては、陶磁器類を構成する釉薬および素地材料中のガラス相に含まれるナトリウムなどのアルカリ金属イオンが、直流電圧印加により移動し、表面に電荷を帯びることで、金属材料との間に静電的な引力が作用する。この静電引力により陶磁器類の釉薬若しくは素地材料と金属材料が密着し、更に金属材料の界面が酸化されることで、釉薬若しくは素地材料と金属材料とが強固に接合する。
加熱温度としては、直流電圧印加により容易にアルカリ金属イオンの移動が可能な温度が必要であるが、釉薬のガラス転移点よりも明らかに低い250〜500℃の加熱温度で十分である。また、アルカリ金属イオンを移動させるために、直流電圧は、200〜800Vが好適である。接合の加熱温度および印加電圧については、上記温度より高温および高い電圧でも実施することが可能である。本発明では、陶磁器類を250〜500℃に加熱した後に、直流電圧を印加する。
本発明では、電圧印加の向きが重要である。電圧印加の向きについては、図1に示すように、接合する陶磁器類と金属の材料を、金属材料が陽極端子側、陶磁器類本体が陰極側に位置するように配置することが重要であり、それにより、良好な接合界面を形成することが可能となる。金属材料側(陽極)の端子の接触面積によって、接合の強さに影響があるため、陽極(金属材料)側に、点接触する端子を用いることの方が好適であり、図1のような材料と電極の配置が例示される。また、接合時間については、上記加熱温度および印加電圧の範囲で、高温高電圧であるほど、短い時間で接合可能であるが、低温低電圧では、30分以上要することがある。接合雰囲気については、大気中、不活性ガス中および減圧雰囲気のいずれの雰囲気下でも接合可能である。
本発明では、上記金属材料が、例えば、マグネシウム、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、白金、金、鉛またはこれらの中から選択された1種を含む合金材料であること、上記釉薬材料が、アルカリ金属イオンを含有していること、上記釉薬または上記素地材料が、ガラス相、または結晶相を含むガラス相から構成されていること、上記アルミニウムまたはその合金材料の厚みが、1mm以下であること、釉薬材料に含まれるアルカリ金属イオンが陶磁器類本体内に析出していること、上記陶磁器類への電圧印加時に流れた電流値から算出される金属材料の単位面積当りの電荷量が10mC/cm以上の電荷量であること、を好ましい実施の態様としている。
図1は、本発明の方法により、陶磁器類の釉薬若しくは素地材料上に金属材料を接合する場合における被接合材料、電極などの構成物の配置を示す説明図であり、金属(図1の例では、アルミニウム11)が陽極側に位置するように、陽極端子14を介して配置し、また、陶磁器類本体12が陰極側に位置するように陰極15を介して配置する。図1において、符号16は電源、17はアースを示している。また、図1は、平面状の試料の場合を表わした図であるが、立体物の場合でも、上記電極の極性と材料の位置関係が保たれれば、同様に接合することが可能である。
被接合材料をチャンバー内に配置して減圧雰囲気下で接合する場合には、加熱前に、チャンバー内の空気を排気する。また、被接合材料をチャンバー内に配置して不活性ガス雰囲気下で接合する場合には、加熱前に、チャンバー内を真空排気した後、不活性ガスを導入する。被接合材料を大気中で接合する場合には、そのまま加熱する。加熱および電圧印加の方法については、図2に示すように、加熱時間と、印加電圧および接合時間の関係を考慮して、接合しようとする陶磁器類と金属をヒーターにより加熱し、対象物の被接合材料が所定温度に達した後、直流電圧を所定時間印加する。
直流電圧の印加により、図3に示すように、釉薬材料32に含まれるアルカリ金属イオン33、特にナトリウムイオンが、陰極の陶磁器類本体側に移動する。アルカリ金属イオン33の移動により、釉薬材料32と金属材料31の界面において、釉薬材料のマイナス帯電層34はマイナスに帯電し、金属材料のプラス帯電層35はプラスに帯電する。符号36は、電源を示している。
このとき、電流が流れるが、電流は、図4に示すように、温度の上昇により指数関数的に増大し、また、電圧の増加に対しては、図5に示すように、直線的に増大する。接合の強さは、電流量、すなわち帯電量に影響される。そのため、接合の因子としては、温度因子の影響が大きく、できるだけ高い温度で接合することで、短時間で接合することが可能となる。
この帯電により、界面に静電引力が発生し、当該静電引力作用により金属材料と釉薬若しくは素地材料は密着し、その後、界面の金属材料が酸化されることにより、最終的に強固な結合による接合が達成される。この場合、静電引力により、金属材料および釉薬若しくは素地材料は密着するため、特に加圧する必要はないが、加圧することも適宜可能である。
本発明においては、金属材料として、アルミニウムまたはアルミニウム合金材料が、強固な接合を得やすく、その厚さは1mm以下であることが好適である。特に、金属箔を用いた場合には、釉薬若しくは素地材料表面の凹凸に影響されにくく、好適に全面接合することが可能である。
十分な強度を得ることが難しい金属材料を接合する場合には、アルミニウム材料を金属表面に表面処理して用いることで、接合が可能となる。陶磁器類に関しては、表面に釉薬材料を有するものが、より強固に接合可能であり、接合の強さの観点からは有利であるが、素地材料への接合も可能である。また、釉薬材料の組成については、アルカリ金属イオン、特にナトリウムを含むことが接合に好適である。また、ガラス相以外に、結晶相を析出した釉薬材料を使用することも可能である。
陶磁器類などのセラミックスは、高温で焼成することで製造されるが、このとき、収縮し、高い寸法精度で製造することは困難である。そのため、陶磁器類同士を組み合わせた場合、隙間などが生じる場合があるが、被接合材料の接触面を金属でコートし、変形できる金属の性質を利用することで、密着、密閉性の向上を図ることが適宜可能である。
材料を精密に加工する方法の一つに放電加工がある。この方法では、加工対象となる材料が導電性を有していることが前提となる。一般に、セラミックスである陶磁器類は、導電性を有していない製品であるが、本発明では、陶磁器類の表面にアルミ箔などの金属材料を接合することで、導電性を与えることが可能となる。それにより、陶磁器類に放電加工などの適用が可能になり、より精密な加工が可能となる。また、アルミニウムの導電性の特性を利用し、例えば、IH用の発熱部材として利用することも可能となる。
従来、陶磁器類と金属の複合体製品を製造するには、500℃以上の高温で焼付けを行う方法が中心であり、それよりも低温で、異種材料を直接接合した複合体製品を作製することは困難とされていた。これに対して、本発明は、陶磁器類の釉薬または素地材料上に、アルミニウムまたはその合金材料を重ねて接触させ、接合するこれらの材料の接合界面に直流電圧を印加することにより、界面に静電引力を発生させ、該静電引力の作用を利用することと界面の金属材料の酸化作用により、釉薬若しくは素地材料と金属材料を密着、接合させて、陶磁器類とアルミなどの金属材料の接合体を製造することを可能としたものである。
陽極接合は、例えば、陰極側に接続されるガラス基板と正極側に接続されるシリコン基板とを接触させ、陰極と正極との間に電圧を印加することにより、ガラス基板とシリコン基板とを接合する方法として利用されている。通常、陽極接合は、ガラス基板としてナトリウムなどのアルカリ金属を含むものが用いられるが、このような従来用いられる陽極接合方法では、ガラス基板に含まれるアルカリ金属イオンが接合界面と反対の表面に析出し、該析出したアルカリ金属イオンが漏出して汚染を引き起こすという問題がある。
これに対して、本発明の方法では、陶磁器類本体に塗布された釉薬材料と金属材料を接合する場合、陶磁器類本体を陰極側に接続するため、釉薬材料は、陶磁器類本体に対して正極側に位置することになり、釉薬材料に含まれるアルカリ金属は陶磁器類本体内に析出するので、析出したアルカリ金属イオンが汚染を引き起こす心配がないという利点がある。本発明は、陶磁器類−釉薬材料−アルミニウム材料、または陶磁器類素地−アルミニウム材料という特定の材料構成と、該材料に対する電極配置の特定の位置関係が必須の構成とされていること、また、これらの構成との関係で、接合界面の金属材料としてアルミニウム材料が必須とされること、界面に発生させた静電引力の作用と界面の金属材料の酸化作用との協動により強固な接合を達成すること、が重要かつ必要であり、単純に従来法の陽極接合を陶磁器類にそのまま適用したとしても該製品の強固な接合を達成することは不可能である。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)陶磁器類の釉薬若しくは素地材料上に、アルミニウムなどの金属材料を接合した陶磁器製品およびその製造方法を提供することができる。
(2)500℃以下の低温で、陶磁器類と金属を強固に接合させた、陶磁器類と金属の複合体を作製し、提供することができる。
(3)本発明の方法を用いることで、陶磁器類に、アルミ箔などの金属材料を、焼付けなどの既存の技術よりも、低温かつ強固に、直接接合することが可能である。
(4)本発明は、陶磁器類とアルミ箔などの金属材料を直接接合することで、熱に弱い中間層の形成や、該中間層を挿入する必要性がないなど、当該複合体の製造プロセスの単純化が図れる利点を有する。
(5)陶磁器類の表面にアルミ箔を接合することで、導電性を付与することが可能となり、それにより、放電加工などによる陶磁器類の精密加工が可能となる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
本実施例では、表1に示したように、施行因子を変えて、陶磁器類と金属材料の接合を行った。表1は、施行因子における接合比較例(接合条件ならびに接合結果)を示すもので、供試片1〜4は、石灰釉を施した陶板に、一辺20mm、厚み約1μmのアルミ箔を重ね、試料温度約300℃(ヒーター設定温度:350℃)に加熱した。加熱開始より30分経過後、直流電圧500Vを印加した。接合時間は、1〜30分(min)とした。
ここで使用した石灰釉のゼーゲル式は、0.062KO・0.314NaO・0.624CaO・0.556Al・4.899SiOである。接合後、テープテストを実施し、剥離面積から接合の強さの評価を行なった。その結果を図6に示す。接合時間が1分では、剥離面積割合が98%であり、ほぼ全面剥離したが、接合時間が15分では、剥離面積割合は、約40%、30分では、同約20%の剥離にとどまった。
供試片5、6では、石灰釉を施した陶板に、一辺20mm、厚み約1μmのアルミ箔を重ね、試料温度で222〜374℃に加熱した。加熱開始より30分経過した後、直流電圧500Vを印加し、接合時間を15分とした。ここで使用した石灰釉は、供試片1〜4で使用したものと同様とした。
テープテストを実施して、剥離面積割合を求めた。図7に、その結果を示す。温度の上昇により、剥離しにくくなり、試料温度が約370℃では、剥離面積割合が8%となった。目視の状態では、接合状態は、非常に良好であった。逆に、試料温度が約220℃の場合、ほぼ全面剥離した。
供試片7、8では、石灰釉を施した陶板に、一辺20mm、厚み約1μmのアルミ箔を重ね、試料温度300℃(ヒーター温度:350℃)に加熱した。加熱開始より30分経過した後、所定の直流電圧(200〜800V)を印加した。接合時間は15分とした。ここで使用した石灰釉は、供試片1〜4で使用したものと同様とした。
テープテストにより、剥離面積割合を求めた。図8に、その結果を示す。電圧の上昇により、剥離しにくくなり、電圧が800Vでは、剥離面積割合が7%となった。目視の状態では、接合状態は、非常に良好であった。逆に、電圧が200Vと低い場合には、剥離面積割合が80%となった。
本実施例では、釉薬のアルカリ組成を変えて、接合を行った。表2は、釉薬のアルカリ組成を変えた接合比較表で、供試片9〜18は、アルカリおよびアルカリ土類成分の組成の異なる石灰釉を施した陶板に、一辺20mm、厚み約1μmのアルミ箔を重ね、試料温度約300℃(ヒーター温度:350℃)に加熱した。加熱開始より30分経過後、直流電圧500Vを15分印加した。使用した石灰釉のゼーゲル式は、xKO・yNaO・zCaO・0.55Al・5.00SiOである。ここで、x、yは、それぞれ0.1〜0.4、zは0.5〜0.8とした。
接合した後、テープテストを実施し、剥離面積割合から接合の強さの評価を行なった。図9に、その結果を示す。また、釉薬の組成、接合条件ならびに接合結果を表2にまとめて示す。アルカリの組成により、接合に影響が見られた。特に、ナトリウムを多く含む釉薬において、剥離面積割合が低くなる傾向が見られ、良好な接合性を示した。
本実施例では、釉薬の骨格成分組成を変えて接合を行った。表3は、釉薬の骨格成分組成を変えた接合比較表で、供試片19〜26では、釉薬のガラス骨格成分組成の異なる石灰釉を施した陶板に、一辺20mm、厚み約1μmのアルミ箔を重ね、試料温度約300℃(ヒーター温度:350℃)に加熱した。加熱開始より30分経過後、直流電圧500Vを15分印加した。使用した石灰釉のゼーゲル式は、0.10KO・0.30NaO・0.60CaO・sAl・tSiOである。ここで、sは0.45〜0.65、tは4.0〜6.0とした。
接合した後、テープテストを実施し、剥離面積割合から接合の強さの評価を行った。図10に、その結果を示す。また、釉薬の組成、接合条件ならびに接合結果を表3にまとめて示す。その結果、釉薬のガラスの骨格成分による影響は、余りないことが分かった。
以上の実施例に基づいて、電圧印加時に流された電流値から算出したアルミ箔の単位面積辺りの電荷量と剥離面積割合について整理した結果を図11に示す。電荷量が増加するにしたがって、剥離面積割合は減少していることが確認できる。このことから、接合に与える重要な因子として、電荷量があり、本実施例においては、10mC/cm以上の電荷量で良好な接合が得られることが分かる。
以上詳述した通り、本発明は、金属箔などの金属材料を接合した陶磁器製品およびその製造法に係るものであり、本発明により、金属箔などの金属材料を接合した陶磁器製品およびその製造方法を提供することができる。本発明は、陶磁器類などの新しい加飾技術の一つとして利用することが可能であり、また、アルミニウムのアルマイト処理と組み合わせることで、着色した加飾にも応用することが可能である。本発明は、例えば、陶磁器製照明器具の内側やタイル表面に本発明の技術を活用し、例えば、金属箔を接合することにより、反射材として利用することが可能である。また、透光性のある磁器の場合には、内側に適当な形状で接合することで、非透過の模様として表現することが可能である。また、可動イオンを含むガラス製品の場合には、例えば、グラスなどの器にも応用することが可能である。本発明は、陶磁器類と金属材料を複合化するための新しい加工技術およびその製品を提供するものとして有用である。
接合時の試料の配置を示す図である。 加熱および電圧印加の方法を示す図である。 電圧印加によるイオンの移動モデルを示す図である。 温度による電流量への影響を示す図である。 電圧による電流量への影響を示す図である。 接合強さへの時間の影響を示す図である。 接合強さへの温度の影響を示す図である。 接合強さへの電圧の影響を示す図である。 接合強さへの釉薬のアルカリ組成の影響を示す図である。 接合強さへの釉薬の骨格組成の影響を示す図である。 電荷量と剥離面積割合の関係を示す図である。
符号の説明
(図1および図3の符号)
11 アルミニウム
12 陶磁器類
13 ヒーター
14 陽極端子
15 陰極
16 電源
17 アース
31 アルミニウム
32 釉薬
33 アルカリ金属イオン
34 マイナス帯電層
35 プラス帯電層
36 電源

Claims (8)

  1. 陶磁器類の釉薬若しくは素地材料上に、アルミニウムまたはアルミニウム合金材料を直接重ねて、または、上記釉薬若しくは素地材料上に、アルミニウムまたはその合金材料を介して、該アルミニウムまたはアルミニウム合金材料と異なる金属材料を重ねて、かつ接合する陶磁器類と金属材料を、該金属材料が陽極端子側、該陶磁器類本体が陰極側に位置するように配置し、アルミニウムまたはその合金材料側(陽極)に、点接触する端子を用いて、接合するこれらの材料の接合界面に直流電圧を印加して、界面に発生させた静電引力作用および界面の金属材料の酸化作用により上記接合界面を密着させること、その際に、上記陶磁器類への電圧印加時に流れた電流値から算出される金属材料の単位面積当りの電荷量が、少なくとも10mC/cmの電荷量であること、を特徴とする陶磁器類の製造方法。
  2. 上記金属材料が、マグネシウム、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、白金、金、鉛、またはこれらの中から選択された1種を含む合金材料である、請求項1に記載の陶磁器類の製造方法。
  3. 上記陶磁器類を250〜500℃に加熱した後に、直流電圧を印加する、請求項1または2に記載の陶磁器類の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法により製造してなる陶磁器類であって、
    1)陶磁器類の釉薬若しくは素地材料上に、アルミニウムまたはその合金材料を直接接合した接合体であるか、または、上記釉薬若しくは上記素地材料上に、アルミニウムまたはその合金材料を介して、該アルミニウムまたはアルミニウム合金材料と異なる金属材料を接合した接合体であり、
    2)上記アルミニウムまたはその合金材料の厚みが、1μm以上1mm以下であり、
    3)上記接合体を構成する陶磁器類の釉薬若しくは素地材料とアルミニウムまたはその合金材料との接合界面が、アルミニウムまたはその合金材料側(陽極)に、点接触する端子による直流電圧の印加により界面に発生させた静電引力作用および界面の金属材料の酸化作用により接合されている、ことを特徴とする陶磁器類。
  5. 上記金属材料が、マグネシウム、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、スズ、白金、金、鉛、またはこれらの中から選択された1種を含む合金材料である、請求項4に記載の陶磁器類。
  6. 上記釉薬材料が、アルカリ金属イオンを含んでいる、請求項4に記載の陶磁器類。
  7. 上記釉薬または上記素地材料が、ガラス相、または結晶相を含むガラス相から構成されている、請求項4に記載の陶磁器類。
  8. 釉薬材料に含まれるアルカリ金属イオンが陶磁器類本体内に析出している、請求項4または6に記載の陶磁器類。
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