JP5357320B1 - フラグメントモデル作成装置、フラグメントモデル作成システム、フラグメントモデル作成方法、及び、フラグメントモデル作成プログラム - Google Patents

フラグメントモデル作成装置、フラグメントモデル作成システム、フラグメントモデル作成方法、及び、フラグメントモデル作成プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】BDAの設定やBAAの設定の確度を高めることの可能なフラグメントモデル作成装置、フラグメントモデル作成システム、フラグメントモデル作成方法、及び、フラグメントモデル作成プログラムを提供する。
【解決手段】分割の対象となる分割原子対を結晶モデルにて特定する分割位置特定部22と、結晶モデルの中で相互に結合する原子からなる複数の原子団の各々をフラグメントモデルとして作成するモデル作成部23と、を備える。複数の原子からなる原子団が1つの基本分割単位として設定され、結晶モデルを構成する複数の原子の各々は、基本分割単位を構成する原子のいずれかに対応づけられる。分割位置特定部22では、基本分割単位を構成する原子の中で分割原子対の候補が設定される。また、分割位置特定部22は、結晶モデルに対し複数の基本分割単位の各々に含まれる候補を分割原子対として特定する。
【選択図】図14

Description

フラグメントモデルの作成を行うフラグメントモデル作成装置、フラグメントモデル作成システム、フラグメントモデル作成方法、及び、フラグメントモデル作成プログラムに関する。
タンパク質と、リガンドとなる化合物との相互作用を解析する一つの手法として、フラグメント分子軌道法(FMO法)を用いた相互作用エネルギーの計算が用いられている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、及び、非特許文献3参照)。
中野、望月他 Chem. Phys. Lett., 523, pp. 128-133 (2012) 中野他 J. Comput. Chem. Jpn., Vol. 6, No. 3, pp. 173-184 (2007) 福澤他 J. Comput. Chem. Jpn., Vol. 6, No. 3, pp. 185-198 (2007)
ところで、上述のFMO法では、フラグメントモデルの作成に際して、計算の対象になるモデルに対し、分割位置になる原子(Bond Detached Atom :BDA)と、BDAと対になる原子( Bond Attached Atom :BAA)とが利用者によって設定される。そして、BDAとBAAとが適切に設定されることによって、FMO法による計算結果の精度が高められる。
この際に、タンパク質のような一次元の高分子モデルが計算の対象である場合には、BDAの候補とBAAの候補とが一次元的に並ぶため、BDAの設定やBAAの設定に誤りは生じ難い。しかしながら、低温型石英のような非金属結晶モデルが計算の対象である場合には、BDAの候補やBAAの候補が三次元に複雑に散在するため、一次元的な高分子モデルに比べて、BDAの設定やBAAの設定に誤りが生じやすくなる。
本開示の技術は、BDAの設定やBAAの設定の確度を高めることの可能なフラグメントモデル作成装置、フラグメントモデル作成システム、フラグメントモデル作成方法、及び、フラグメントモデル作成プログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのフラグメントモデル作成装置は、分割の対象となる複数の分割原子対を結晶モデルにて特定する分割位置特定部と、前記結晶モデルの中で相互に結合する原子からなる複数の原子団の各々をフラグメントモデルとして作成するモデル作成部と、を備える。ここで、前記結晶モデルには、少なくとも非金属結晶モデルが含まれ、複数の原子からなる原子団が1つの基本分割単位として設定され、前記結晶モデルを構成する複数の原子の各々は、前記基本分割単位を構成する原子のいずれかに対応づけられる。前記分割位置特定部では、前記基本分割単位を構成する原子の中で前記分割原子対の候補が設定される。そして、前記分割位置特定部は、前記結晶モデルに対し複数の前記基本分割単位の各々に含まれる前記候補を前記分割原子対として特定する。
上記課題を解決するためのフラグメントモデル作成システムは、入力装置と、前記入力装置から入力されたデータを用いてフラグメントモデルを作成するフラグメントモデル作成装置と、を備える。また、前記フラグメントモデル作成装置は、前記入力装置から入力された結晶モデルに対して分割の対象となる複数の分割原子対を特定する分割位置特定部と、前記結晶モデルの中で相互に結合する原子からなる複数の原子団の各々をフラグメントモデルとして作成するモデル作成部と、を備える。ここで、前記結晶モデルには、少なくとも非金属結晶モデルが含まれ、複数の原子からなる原子団が1つの基本分割単位として設定され、前記結晶モデルを構成する複数の原子の各々は、前記基本分割単位を構成する原子のいずれかに対応づけられる。前記分割位置特定部では、前記基本分割単位を構成する原子の中で前記分割原子対の候補が設定される。そして、前記分割位置特定部は、前記結晶モデルに対し複数の前記基本分割単位の各々に含まれる前記候補を前記分割原子対として特定する。
上記課題を解決するためのフラグメントモデル作成方法は、分割の対象となる複数の分割原子対を結晶モデルにて特定すること、前記結晶モデルの中で相互に結合する原子からなる複数の原子団の各々をフラグメントモデルとして作成すること、を含む。ここで、前記結晶モデルには、少なくとも非金属結晶モデルが含まれ、複数の原子からなる原子団が1つの基本分割単位として設定され、前記結晶モデルを構成する複数の原子の各々は、前記基本分割単位を構成する原子のいずれかに対応づけられる。前記複数の分割原子対を特定するときには、前記基本分割単位を構成する原子の中で前記分割原子対の候補が設定される。そして、前記結晶モデルに対し複数の前記基本分割単位の各々に含まれる前記候補が前記分割原子対として特定される。
上記課題を解決するためのフラグメント作成プログラムは、コンピュータを、分割の対象となる複数の分割原子対を結晶モデルにて特定する分割位置特定部と、前記結晶モデルの中で相互に結合する原子からなる複数の原子団の各々をフラグメントモデルとして作成するモデル作成部として機能させる。ここで、前記結晶モデルには、少なくとも非金属結晶モデルが含まれ、複数の原子からなる原子団が1つの基本分割単位として設定され、前記結晶モデルを構成する複数の原子の各々は、前記基本分割単位を構成する原子のいずれかに対応づけられる。前記分割位置特定部では、前記基本分割単位を構成する原子の中で前記分割原子対の候補が設定される。そして、前記分割位置特定部は、前記結晶モデルに対し複数の前記基本分割単位の各々に含まれる前記候補を前記分割原子対として特定する。
上記各構成によれば、基本分割単位に対して分割原子対の候補が設定され、複数の基本分割単位の集合として結晶モデルが取り扱われる。そして、結晶モデルにおける複数の基本分割単位の各々に含まれるBDAの候補とBAAの候補とが分割原子対として特定される。それゆえに、BDAの設定やBAAの設定の確度を高めることが可能になる。
このフラグメントモデル作成装置は、前記特定された分割原子対を前記フラグメントモデルの構成ごとに出力する出力部をさらに備えることが好ましい。
フラグメントモデルに含まれる分割原子対に関する情報は、例えば、相互に異なる2つのフラグメントモデルを1つのフラグメントモデルとして取り扱う際のマージ処理にて必要とされる。また、フラグメントモデルに含まれる分割原子対に関する情報は、例えば、フラグメントモデルを用いて計算される結晶モデルの電子状態に関し、その計算の精度を高めるうえで有効に活用される。上記フラグメントモデル作成装置によれば、こうした分割原子対をフラグメントモデルの構成ごとに利用者に把握させることが可能にもなる。
このフラグメントモデル作成装置は、前記複数の分割原子対の一部にて分割を解除し、前記解除された分割原子対を含む相互に隣接する2つの前記フラグメントモデルを1つのフラグメントモデルに変換するマージ処理部をさらに備えることが好ましい。
結晶モデルの中で相互に結合する原子からなる複数の原子団では、分割原子対の設定や結晶モデルの構造などによって、フラグメントモデルの大きさやフラグメントモデルの構成原子の種類などが相互に異なる。複数のフラグメントモデルを用いて結晶モデルの電子状態が計算される場合には、フラグメントモデルの大きさやフラグメントモデルの荷電の偏りが結晶モデルのなかで少ない方が、計算の精度を高められることが少なくない。さらに、フラグメントモデルを用いて結晶モデルの電子状態が計算される場合には、フラグメントモデルごとの電子状態の計算が並列に処理され、こうした計算の方式では、複数のフラグメントモデルの各々の大きさが均一になることによって計算の効率化が図られる。
この点、上記フラグメントモデル作成装置によれば、複数の分割原子対の一部にて分割が解除され、解除された分割原子対が含まれる2つのフラグメントモデルが新たな1つのフラグメントモデルに変換される。それゆえに、一度作成されたフラグメントモデルの大きさやフラグメントモデルの構成原子の種類を変更することが可能にもなる。
このフラグメントモデル作成装置にて、前記分割位置特定部では、相互に異なる複数の前記候補が設定される。そして、前記分割位置特定部は、前記分割原子対を前記候補ごとに特定し、前記モデル作成部は、前記候補ごとの分割原子対を用いて前記フラグメントモデルを前記候補ごとに作成することが好ましい。
結晶モデルの中で相互に結合する原子からなる複数の原子団では、分割原子対の設定によって、フラグメントモデルの大きさやフラグメントモデルの構成原子の種類などが相互に異なる。複数のフラグメントモデルを用いて計算された結晶モデルの電子状態では、フラグメントモデルの大きさやフラグメントモデルの構成原子の種類によって相互に異なる場合が少なくない。そして、フラグメントモデルの大きさやフラグメントモデルの構成原子の種類に多様性が与えられることは、結晶モデルにおける電子状態の計算に際し、その計算精度の傾向を把握させるうえで有益でもある。
この点、上記フラグメントモデル作成装置によれば、基本分割単位ごとの分割原子対に複数の候補が設定され、複数の候補の各々に対して分割原子対が特定される。それゆえに、フラグメントモデルの作成に際して、多様性を高めることが可能にもなる。
このフラグメントモデル作成装置にて、前記モデル作成部は、前記フラグメントモデルの評価値を前記候補ごとに算出し、前記候補と前記評価値とを対応付けて出力する出力部をさらに備えることが好ましい。
上記フラグメントモデル作成装置によれば、フラグメントモデルの評価値が分割原子対の候補ごとに出力される。それゆえに、候補ごとに作成されるフラグメントモデルのいずれが結晶モデルにおける電子状態の計算に適しているかを利用者に把握させることが容易にもなる。
このフラグメントモデル作成装置にて、前記評価値は、前記結晶モデルの形式電荷の絶対値の総和、前記結晶モデルにおける形式電荷の偏り、及び、前記複数のフラグメントモデルの各々の大きさにおける最大値の少なくとも1つであることが好ましい。
上記フラグメントモデル作成装置によれば、結晶モデルにおける電子状態の計算に適している候補が、結晶モデルの形式電荷の絶対値の総和、結晶モデルにおける形式電荷の偏り、複数のフラグメントモデルの各々の大きさにおける最大値の少なくとも1つによって示される。
このフラグメントモデル作成装置にて、前記出力部は、前記複数のフラグメントモデルの各々における形式電荷、及び、前記複数のフラグメントモデルの各々における大きさの少なくとも1つを相互に異なる要素を有した色として出力することが好ましい。
上記フラグメントモデル作成装置によれば、色相、明度、彩度等の色の要素が相互に異なる色によってフラグメントモデルの形式電荷や大きさが出力されるため、結晶モデル内での形式電荷や大きさの分布の視認性が高められる。ひいては、フラグメントモデルのいずれが結晶モデルにおける電子状態の計算に適しているかの把握をさらに容易にすることが可能にもなる。
本開示の技術によれば、フラグメントモデルの作成に際してBDAの設定やBAAの設定の確度を高めることが可能になる。
本開示の技術における基本分割単位の一例を説明するための低温型石英のa軸投影図である。 本開示の技術における基本分割単位の一例におけるa軸投影図である。 本開示の技術における基本分割単位の一例におけるb軸投影図である。 本開示の技術における基本分割単位の一例におけるc軸投影図である。 本開示の技術における基本分割単位の一例を模式的に示す模式図である。 本開示の技術における基本分割単位の他の例を模式的に示す模式図である。 本開示の技術における第1の実施形態でのフラグメントモデル作成装置の装置構成を機能的に示すブロック図である。 第1の実施形態の記憶装置に記憶されるデータの種類を示す図である。 第1の実施形態における荷電状態リストの表示画面の一例を示す図である。 第1の実施形態における評価リストの表示画面の一例を示す図である。 第1の実施形態における評価結果の表示画面の一例のうち結晶モデルにおける荷電状態が色で表示される図である。 第1の実施形態における評価結果の表示画面の一例のうち結晶モデルにおける荷電状態が色で表示される図である。 第1の実施形態における評価結果の表示画面の一例のうち結晶モデルにおけるフラグメントモデルの大きさが色で表示される図である。 第1の実施形態の制御装置の装置構成を機能的に示すブロック図である。 (a)(b)(c)第1の実施形態の制御装置が実行する処理を模式的に示す図である。 第1の実施形態におけるフラグメントモデルの作成手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態におけるマージの対象の一例を模式的に示す模式図である。 第2の実施形態の記憶装置に記憶されるデータの種類を示す図である。 第2の実施形態の制御装置の装置構成を機能的に示すブロック図である。 第2の実施形態におけるマージ条件の表示画面の一例を示す図である。 第2の実施形態におけるマージ処理結果の表示画面の一例を示す図である。 第2の実施形態におけるマージ処理の手順を示すフローチャートである。
(第1の実施形態)
図1から図16を参照して第1の実施形態を説明する。まず、図1から図6を参照して、フラグメントモデルの作成に用いられる結晶から切り出したクラスターモデル(以下、結晶モデルと称する)と基本分割単位とについて説明する。なお、結晶モデルの対象となる非金属結晶の種類としては、ダイヤモンド、窒化ホウ素、ケイ素、炭化ケイ素、ガリウム、ガリウムヒ素等の共有結合性結晶、あるいは、ゼオライト、石英、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の共有結合性とイオン結合性との双方を有する結晶が挙げられる。また、結晶モデルの対象には、点欠陥、線欠陥、面欠陥、階段状の部分であるステップ、ステップの線上で1原子分の食い違いを生じている部分であるキンクを含むもの、さらには、一部の原子がバルクと異なる他の原子に置換されたもの、バルクと異なる他の原子が添加されたものも含まれる。さらには、結晶モデルの対象には、2つ以上の物質が溶け合った固相である混晶も含まれる。混晶には、1つの物質の空間格子の隙間に他の物質の原子が位置した侵入型と、1つの物質を構成する原子の固有位置に他の物質の原子が置換された置換型とが含まれる。
上記非金属結晶のうち、図1から図6では、結晶モデルの一例として低温型石英が示されて、結晶モデルの構成原子であるSiとOとの各々が円として示されている。また、結晶モデルにおける構成原子の各々の元素記号が構成原子ごとに示され、単一の結晶格子内の構成原子の識別番号が元素記号に付されている。
図1に示されるように、低温型石英モデルにおける結晶格子UAには、3つのSi原子であるSi1、Si2、Si3と、5つのO原子であるO1、O2、O4、O5、O6と、4つの1/4個のO3とが含まれる。Si1には、O2、O3、O4、及び、O6が共有結合している。Si2には、O1、O3、O5、及び、O6が共有結合している。Si3には、O1、O2、O4、及び、O5が共有結合している。これら共有結合している原子間は、図1にて太実線で結ばれている。
結晶格子UAとは、結晶構造の対称性を特徴づける格子であるため、1つの結晶格子UAを構成する特定の原子が、他の結晶格子UAを構成する場合がある。例えば、低温型石英モデルにおけるO3は、相互に隣接する8つの結晶格子UAの構成原子である。そして、1つの結晶格子UAにおける8つの頂点の各々に1/8個のO3が配置されることで、1つの結晶格子UAに1つのO3が含まれている。
これに対して、フラグメントモデルを作成するための基本分割単位とは、電子状態の計算を可能にする単位であるため、1つの基本分割単位を構成する特定の原子が、他の基本分割単位を構成することはない。例えば、上記低温型石英モデルにおける基本分割単位は、3つのSi原子であるSi1からSi3と、6つのO原子であるO1からO6とから構成され、上記低温型石英モデルにおけるO3は、いずれか1つの基本分割単位に含まれる方式で、基本分割単位は設定される。これによって、フラグメントモデルの作成に用いられる結晶モデルは、基本分割単位が繰り返された基本分割単位の集合からなる原子団として取り扱われる。なお、基本分割単位は、単一の結晶格子UAに含まれる複数の原子に基づいて定められる原子団の他、複数の結晶格子UAに含まれる複数の原子に基づいて定められる原子団であってもよい。
図2の破線で示されるように、低温型石英モデルのa軸投影にて、Si1とO6とからなる原子対は、結晶格子UAごとにb軸を挟み、また、Si3とO2とからなる原子対は、結晶格子UAごとにc軸を挟む。そして、結晶格子UAに含まれる複数の原子からなる原子団が基本分割単位として個別に取り扱われるためには、相互に独立した原子からなる原子対が分割原子対として設定され、上記2つの原子対の各々が分割原子対として設定される必要がある。
図3の破線で示されるように、低温型石英モデルのb軸投影にて、Si1とO6とからなる原子対は、結晶格子UAごとにa軸を挟み、また、Si1とO4とからなる原子対は、結晶格子UAごとにc軸を挟み、さらに、Si2とO1からなる原子対も、結晶格子UAごとにc軸を挟む。そして、結晶格子UAに含まれる複数の原子からなる原子団が基本分割単位として個別に取り扱われるためには、a軸投影とは異なり、上記3つの原子対の各々が分割原子対として設定される必要がある。
図4の破線で示されるように、低温型石英モデルのc軸投影にて、Si2とO1とからなる原子対は、結晶格子UAごとにb軸を挟み、また、Si3とO2とからなる原子対は、結晶格子UAごとにa軸を挟む。そして、結晶格子UAに含まれる複数の原子からなる原子団が基本分割単位として各別に取り扱われるためには、a軸投影やb軸投影とは異なり、上記2つの原子対の各々が分割原子対として設定される必要がある。
このように、1つの結晶格子UAに含まれる原子団に基づく基本分割単位を低温型石英モデルにて個別に取り扱うためには、単一の結晶軸に沿った投影図から得られる情報では足りない。そして、数千個の原子から構成される複雑な構造を呈した3次元の結晶モデルに対し、上述のような分割原子対を個別に定めることは極めて困難である。
図5に示されるように、低温型石英モデルにおける原子間の結合の形態は、上述した投影図に基づいて、二次元の模式図として表現することが可能である。図5では、基本分割単位C1に含まれる原子団である3つのSi原子と6つのO原子とが、二点鎖線によって囲まれている。
フラグメントモデルとは、結晶モデルの構成原子のうち、相互に結合している原子からなる原子団である。ここで、基本分割単位C1の各々がフラグメントモデルとして作成される場合には、基本分割単位C1の構成原子と他の基本分割単位C1とが分割されたものとして取り扱われる。すなわち、基本分割単位C1の各々がフラグメントモデルとして作成される場合には、結晶モデルにおいて分割される原子対である分割原子対として、下記4種類の原子対が基本分割単位C1ごとに定められる。
・BDA(Si1)−BAA(O6):図5にて塗り潰された丸部位。
・BDA(Si2)−BAA(O1):図5にて塗り潰された三角部位。
・BDA(Si3)−BAA(O2):図5にて塗り潰された四角部位。
・BDA(Si1)−BAA(O4):図5にて塗り潰された菱形部位。
そして、図5における右側が結晶モデルにおける末端である場合には、Si3−O4からなる原子団が、末端フラグメントモデルFE1として取り扱われる。結果として、上述したO3の例、すなわち、複数の結晶格子UAに跨る1つの原子の例のように、相互に隣り合う基本分割単位C1の間で共存する原子が存在することがないように基本分割単位C1が区画される。そのため、基本分割単位C1に相当するフラグメントモデルと、それとは異なる末端フラグメントモデルFE1が作成される。
図6に示されるように、図5における基本分割単位C1と同じサイズのフラグメントモデルは、上述の分割原子対とは異なる分割原子対によっても定められる。例えば、基本分割単位C1から紙面の右方向に酸素原子を1つずらした位置においても、基本分割単位C1と同様に、結晶格子に含まれる原子団である3つのSi原子と6つのO原子とが、1つの基本分割単位C2として定められる。そして、分割原子対として下記4種類の原子対が基本分割単位C2ごとに定められることによって、基本分割単位C1と同じサイズであって、且つ、結晶モデルにおける位置が異なる基本分割単位C2が、フラグメントモデルとして作成される。
・BDA(Si1)−BAA(O6):図6にて塗り潰された丸部位。
・BDA(Si2)−BAA(O1):図6にて塗り潰された三角部位。
・BDA(Si3)−BAA(O2):図6にて塗り潰された四角部位。
・BDA(Si3)−BAA(O4):図6にて塗り潰された菱形部位。
そして、図6における右側が結晶モデルにおける末端である場合には、Si3からなる原子団が、末端フラグメントモデルFE2として取り扱われる。
このように、基本分割単位では、3つのSi原子と6つのO原子とが含まれ、且つ、これらの原子が相互に結合する原子団として存在すればよいため、酸素原子を1つずらした位置にて、相互に異なる基本分割単位が設定され得る。つまり、こうした基本分割単位の設定に際しては、相互に異なる区画の形態がある。そして、相互に同じサイズの基本分割単位が用いられるとしても、基本分割単位ごとに定められる分割原子対が相互に異なる場合には、末端フラグメントモデルの構造や形式電荷も相互に異なる。結果として、結晶モデルの電子状態、結晶モデルと他の分子モデルとの相互作用エネルギー等のFMO法の算出結果も相互に異なる。
なお、3つのSi原子と6つのO原子とを含む基本分割単位には、4組のBDA−BAAが設定され、基本分割単位C1と基本分割単位C2とでは、4組のBDA−BAAのうち1組だけが相互に異なる。そして、相互に同じサイズの基本分割単位がこうしたずれにより作成されることは、4組のBDA−BAAの各々に対して共通するものである。例えば、基本分割単位C2における4組のBDA−BAAのうち、Si3−O2がSi1−O2に変更される場合にも、図6の破線で囲まれるように、3つのSi原子と6つのO原子とからなる基本分割単位C3が作成される。このように、4組のBDA−BAAの設定によって得られる同じサイズの基本分割単位には、相互に異なる2個(16個)の形態がある。
また、上述の末端フラグメントモデルFE1,FE2のように、複数の基本分割単位の他に、それ以外の余りとなる原子団が、結晶モデルには含まれることになる。基本分割単位以外の余りの原子団が上述のように結晶モデルには含まれるため、本実施形態における基本分割単位とは、分割原子対の繰り返しを定める最小の繰り返し単位であるものの、フラグメントモデルそのものを定める単位ではない。フラグメントモデルとは、結晶モデルの構成原子のうち、相互に結合している原子からなる原子団である。そして、基本分割単位ごとに定められる分割原子対によっては、1つの基本分割単位から複数のフラグメントモデルが作成される場合、あるいは、複数の基本分割単位を跨いで1つのフラグメントモデルが作成される場合がある。ただし、いずれの場合であっても、基本分割単位ごとに定められる分割原子対が相互に異なる場合には、末端フラグメントモデルの構造や形式電荷も相互に異なる。
次に、結晶モデルからフラグメントモデルを作成するフラグメントモデル作成システムについて説明する。
図7に示されるように、フラグメントモデル作成システムは、フラグメント作成装置としての制御装置11を含み、制御装置11には、入力装置12、出力装置13、及び、記憶装置14が接続されている。なお、フラグメントモデル作成システムは、入力装置12、出力装置13、及び、記憶装置14の少なくとも1つがネットワークを介して制御装置11に接続される分散されたコンピューターシステムであってもよいし、制御装置11、入力装置12、出力装置13、及び、記憶装置14が1つのコンピューターシステムに実装されてもよい。
制御装置11は、入力装置12から入力されるデータと記憶装置14に記憶されるデータとを用い、記憶装置14に記憶されるフラグメントモデル作成プログラムが示す手順に従って、フラグメントモデルを作成し、フラグメントモデルの作成結果を出力装置13に出力させる。
入力装置12は、フラグメントモデルの作成に必要とされるデータを制御装置11に入力する。入力装置12は、例えば、結晶モデルデータDcry、基本分割単位データDcel、分割原子対候補Pdev、及び、基底関数データDbasisを分割条件として入力する。また、入力装置12は、出力形態数Noutを評価条件として入力する。
記憶装置14は、プログラム記憶部14aとデータ記憶部14bとを含む。プログラム記憶部14aは、フラグメントモデルを作成するためのフラグメントモデル作成プログラムを記憶する。データ記憶部14bは、入力装置12から入力されるデータの他、フラグメントモデル作成プログラムの実行に際して用いられる各種のデータ、例えば、原子の種類ごとの基底関数の数、原子の種類ごとの電子数、原子の種類ごとの原子半径等を記憶する。
出力装置13は、制御装置11にて作成された複数のフラグメントモデルの各々に関して、フラグメントモデルに含まれる原子の種類、フラグメントモデルに含まれる原子の座標、フラグメントモデルの荷電状態等に関するデータを分割結果として出力する。また、出力装置13は、結晶モデルの分割形態ごとに分割結果を出力する。また、出力装置13は、制御装置11にて作成された複数の分割結果の各々と分割結果の評価値とを対応づけたデータを評価結果として出力する。
図8を参照して記憶装置14に記憶されるデータの詳細を説明する。
図8に示されるように、データ記憶部14bには、入力装置12から入力されるデータとして、結晶モデルデータDcry、基本分割単位データDcel、分割原子対候補Pdev、基底関数データDbasis、出力形態数Noutが記憶されている。
結晶モデルデータDcryは、結晶モデルを構成する全ての原子の各々を固有の原子として示し、構成原子の各々について原子の種類と原子の座標とを示す。結晶モデルデータDcryにおいて原子の種類や原子の座標などの固有の原子ごとのデータには、1つの基本分割単位に含まれる原子のいずれかが対応づけられている。結晶モデルデータDcryのデータ形式は、例えば、原子座標の原点に近い順に構成原子が読み込まれる形式であってもよいし、原子座標の原点から遠い順に構成原子が読み込まれる形式であってもよい。
こうした結晶モデルデータDcryにおける原子の種類は、例えば、低温型石英の単位格子である結晶格子UAにおける各構成原子の種類が低温型石英の空間群に従って並進や回転され、こうした対象操作が所望の回数にわたり繰り返されることによって作成される。また、結晶モデルデータDcryにおける原子の座標も、例えば、結晶格子UAにおける各構成原子の座標が低温型石英の空間群に従って並進や回転され、こうした対象操作が所望の回数にわたり繰り返されることによって作成される。なお、結晶格子UAの並進のみでは、結晶モデルの末端部分において、結晶モデルを構成する原子の周期的な結合が崩れてしまうため、これを補うために、複数のSi原子やO原子が末端に付加される。さらに、こうして形成されたデータのうち一部の構成原子に対応するデータに対し、例えば、置換後の原子の種類や削除に関するデータが対応づけられることによって、一部の構成原子の置換された結晶モデルデータDcryや点欠陥を有する結晶モデルデータDcryが作成される。また、添加される原子の種類とその原子の座標とが加えられることによって、一部に原子が添加された結晶モデルデータDcry、あるいは、ステップやキンク等が含まれる結晶モデルデータDcryが作成される。また、一部の原子団の座標に対して並進等が施されることによって、線欠陥や面欠陥を有する結晶モデルデータDcryが作成される。
基本分割単位データDcelは、1つの基本分割単位に含まれる複数の原子の各々を固有の原子として示し、構成原子の各々について原子の種類を示す。基本分割単位は、結晶モデルにおいて繰り返される三次元の単位原子団であり、分割原子対候補Pdevが定められる最小の空間単位である。基本分割単位は、結晶モデルの内部に含まれる範囲において結晶モデルデータDcryが作成される際にユーザによって予め設定される。基本分割単位は、例えば、単一の結晶格子UAに含まれる原子団や複数の結晶格子UAに含まれる原子団として設定される。
分割原子対候補Pdevは、基本分割単位ごとに定められる分割原子対の候補を示す。すなわち、分割原子対候補Pdevは、基本分割単位の構成原子のうち、BDAの候補として設定されるn個(nは1以上の整数)の原子と、BAAの候補として設定されるn個の原子との組み合わせを示す。分割原子対候補Pdevに含まれる原子対の形態は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。例えば、基本分割単位に含まれる原子がSi1からSi3とO1からO6とである場合に、分割原子対候補Pdevでは、BDAの候補とBAAの候補として、Si1−O6、Si2−O1、Si3−O2、Si1−O4が含まれる形態の他に、Si1−O6、Si2−O1、Si3−O2、Si3−O4が含まれてもよい。制御装置11は、BDAの候補とBAAの候補との組み合わせの形態、すなわち、分割形態ごとにフラグメントモデルを作成する。
基底関数データDbasisは、作成されたフラグメントモデルにおける荷電状態の計算に用いられる基底関数を示す。
出力形態数Noutは、分割形態ごとに出力される分割結果の数を示す。分割原子対候補Pdevによって定まる分割形態の数が16であって、出力形態数Noutが3である場合には、16種類の分割結果のうち、分割結果の評価値が高い順に、3種類の分割結果が出力される。なお、フラグメントモデルの優先順位は、結晶モデルにおけるフラグメントモデルごとの形式電荷の偏り等によって制御装置11で判断される。
図9、及び、図10は、分割結果に含まれる荷電状態リストが表示される表示画面の一例と、評価結果が表示される表示画面の一例とを示す。図11から図13の各々は、評価結果の表示画面の一例として結晶モデルにおける荷電状態が色で表示される例や結晶モデルにおけるフラグメントモデルの大きさが色で表示される例を示す。
分割結果は、フラグメントに含まれる構成原子の各々の座標を示す座標リストと、フラグメントモデルにおける荷電状態を示す荷電状態リストとを結晶モデルの分割形態ごとに含む。
座標リストでは、フラグメントモデルを構成する原子の種類と、フラグメントモデルを構成する原子の座標とが対応づけられた状態で示される。座標リストは、フラグメントモデルの荷電状態を示すフラグメントモデルのタイプ番号ごとに、そのフラグメントモデルを構成する原子の種類と、そのフラグメントモデルを構成する原子の座標とが示される。
荷電状態リストでは、結晶モデルの分割形態ごとに作成される全てのフラグメントモデルの各々が、フラグメントモデルの荷電状態ごとに一覧として示される。例えば、3つのSi原子であるSi1からSi3と、6つのO原子であるO1からO6とが構成原子であるフラグメントモデルでは、BDAがSi1であるフラグメントモデルと、BDAがSi2であるフラグメントモデルとは、これらが相互に異なる荷電状態であるものとして取り扱われる。
図9に示されるように、荷電状態リストの表示画面Vfragでは、例えば、フラグメントモデルの荷電状態ごとに割り当てられるタイプ番号Nと、以下に示される7つの項目とが対応づけられている。なお、BDAとなる原子と、BAAとなる原子とは、例えば、フラグメントモデルの構造式を用いて示される。例えば、構造式の表示に際し、BDAとなる原子に「:」が付され、BAAとなる原子に「‐」が付されることによって、これらを利用者に把握させる。
・フラグメントモデルの化学式Cfm
・フラグメントモデルを構成する原子の数Na
・フラグメントモデルを構成する基底関数の数Nb
・BDAとなる原子
・BAAとなる原子
・フラグメントモデルに含まれるBDAの数nBDA
・フラグメントモデルに含まれるBAAの数nBAA
・フラグメントモデルの形式電荷Nc
・結晶モデルに含まれる数Cnt
・フラグメントモデルの構造式Fname
評価結果は、複数の分割結果の各々に対する評価値、すなわち、BDAの候補とBAAの候補との組み合わせである分割原子対の候補の各々に対する評価値を示す。評価結果が示す分割結果の数は、出力形態数Noutによって定められる。
図10に示されるように、評価結果が表示される表示画面Vevaでは、例えば、BDAの候補とBAAの候補との組み合わせである分割原子対の候補Dcandが各別に示される。また、分割原子対の候補Dcandごとの分割結果Dreslは、分割原子対の候補Dcandに対応づけられた状態で示される。複数の分割結果Dreslの表示に際し、例えば、複数の分割結果Dreslの各々の評価値Pseqとして結晶モデルの形式電荷の絶対値の総和が設定され、形式電荷の絶対値の総和が低い順に複数の分割結果Dreslの各々が並べられる。
図11に示されるように、評価結果が表示される表示画面Vevaでは、複数の分割結果Dreslのうちの1つが、分割原子対の候補Dcandと、結晶モデルの分子構造Vstrと共に表示される。例えば、図11では、分割原子対の候補Dcandとして、Si3−O4、Si1−O6、Si2−O1、Si1−O2が用いられ、それに基づいて作成されたフラグメントモデルの各々の形式電荷が色によって示されている。
各フラグメントモデルの形式電荷が示される場合には、相互に異なる形式電荷の各々に、色相、明度、彩度等の色の要素を相互に異にする色が対応づけられ、これらの対応関係が指標Ichargとして表示される。図11では、基準となる±0の形式電荷に対して白色が対応づけられ、例えば、+3.0の形式電荷及び−3.0の形式電荷に対して黒色が対応づけられている。そして、形式電荷が+3.0から±0に近くなるほど、また、形式電荷が−3.0から±0に近くなるほど、黒色から白色に近づくように相互に異なる形式電荷に対応づけられる色の彩度が変わる。なお、指標Ichargにおける形式電荷の上限値及び下限値は適宜変更することができ、基準となる±0の形式電荷から+方向、あるいは−方向に進むにつれて、白色から黒色に向けて彩度が変わるように、相互に異なる色が対応づけられることが好ましい。そして、分子構造Vstrを構成する複数のフラグメントモデルの各々には、フラグメントモデルの形式電荷に対応する色が付されている。
図12に示されるように、図11にて示された分割原子対の候補Dcandとは異なる候補Dcandについても同様に、分割原子対の候補Dcandと、結晶モデルの分子構造Vstrと共に表示される。例えば、図12では、分割原子対の候補Dcandとして、Si1−O4、Si1−O6、Si2−O1、Si3−O2が用いられ、それに基づいて作成された各フラグメントモデルの形式電荷が示されている。
図13に示されるように、結晶モデルの分子構造Vstrと共に色で示される評価結果の要素は、各フラグメントモデルの大きさであってもよい。この際も、評価結果が表示される表示画面Vevaでは、複数の分割結果Dreslのうちの1つが、分割原子対の候補Dcandと、結晶モデルの分子構造Vstrと共に表示される。
例えば、図13では、分割原子対の候補Dcandとして、Si3−O4、Si1−O6、Si2−O1、Si1−O2が用いられ、それに基づいて作成された各フラグメントモデルの大きさが色によって示されている。そして、各フラグメントモデルの大きさが示される場合には、相互に異なる大きさの各々に、色相、明度、彩度等の色の要素を相互に異にする色が対応づけられ、これらの対応関係が指標Iscaleとして表示される。なお、図13では、基本分割単位データDcelに含まれる原子団が基準の大きさとして設定され、基準の大きさに対して白色が対応づけられ、例えば、基準の大きさの2倍に相当する大きさ、及び、基準の大きさの1/2倍に相当する大きさに対して黒色が対応づけられている。そして、原子団の大きさが2倍から基準の大きさに近くなる程、また、1/2倍から基準の大きさに近くなるほど黒色から白色に近づくように相互に異なる大きさに対応づけられる彩度が変わる。なお、指標Iscaleにおける大きさの上限値及び下限値は適宜変更することができ、基準となる大きさから大きくなる方向、あるいは小さくなる方向に進むにつれて、白色から黒色に近い色に向けて次第に彩度が変わるように、相互に異なる色が対応づけられることが好ましい。
なお、図11から図13に示される分子構造Vstrは、分子構造Vstrにおける中心座標が回転中心として設定され、マウスやタッチパッドのようなヒューマンインターフェースデバイスの操作によって、表示画面Veva内にて回転すること好ましい。こうした構成であれば、表示画面Vevaには、1つの分子構造Vstrが相互に異なる視点から表示される。上述のように、各フラグメントモデルには、形式電荷や大きさに対応づけられた色が付されるものの、一部のフラグメントモデルが他のフラグメントモデルの背後に表示される場合がある。この点、1つの分子構造Vstrが相互に異なる視点から表示される構成であれば、背後に表示されるフラグメントモデルの色が視認可能になる。それゆえに、分子構造Vstrにおける形式電荷や大きさの分布が把握されやすくなる。
図14を参照して制御装置11の詳細な構成を説明する。
図14に示されるように、制御装置11には、結合位置特定部21、分割位置特定部22、モデル作成部23、形式電荷算出部25、及び、基底関数算出部24が備えられている。
結合位置特定部21は、結晶モデルデータDcryを用い、結晶モデルにおける構成原子の全てに対し、相互に異なる2つの原子の間の距離である原子間距離を算出する。また、結合位置特定部21は、原子間距離の算出された原子対から、結合している原子対を抽出し、抽出された原子対を結合対として出力する。例えば、結合位置特定部21は、抽出された原子対を参照し、結晶モデルデータDcryに含まれる構成原子の各々に対し、それの結合対象となる他方の原子を対応づけることによって、結合対を示すデータを生成する。この際に、結合位置特定部21は、例えば、相互に異なる2つの原子の各々の原子半径の和を理想距離として算出し、算出された原子間距離が理想距離に対する設定域内である所定の閾値以内であれば、これら2つの原子を結合対として出力する。なお、理想距離に対する設定域は、例えば、相互に異なる2つの原子の種類や結晶モデルの構造ごとに異なる。
分割位置特定部22は、結晶モデルデータDcry、基本分割単位データDcel、及び、分割原子対候補Pdevを用い、結晶モデルデータDcryの構成原子からBDAとBAAとの組み合わせを抽出する。
この際に、分割位置特定部22は、まず、結晶モデルデータDcryと基本分割単位データDcelとを参照し、結晶モデルの構成原子を基本分割単位の構成原子のいずれかに対応づける。そして、複数の基本分割単位の各々にて、分割原子対の候補に対応する原子が、BDAの候補及びBAAの候補として抽出される。そして、分割位置特定部22は、結合位置特定部21の出力結果である結合対を用い、抽出された原子対のうち、結合対に含まれる組み合わせをBDAとBAAとの組み合わせとして特定する。一方で、分割位置特定部22は、抽出された原子対のうち、結合対に含まれない組み合わせを単に結合していない非結合原子対として特定する。
例えば、分割位置特定部22は、結合位置特定部21にて生成された結合対を示すデータを用い、結晶モデルデータDcryに含まれる構成原子の各々に対し、BDAか否か、BAAか否かを対応づける。また、分割位置特定部22は、結晶モデルデータDcryに含まれる構成原子の各々に対し、その構成原子が非結合原子対に含まれるときに、その構成原子に対応づけられていた結合対象となる原子をデータから削除する。これによって、分割位置特定部22は、結晶モデルデータDcryに含まれる構成原子の各々に対し、その構成原子の結合対象となる原子、その構成原子がBDAか否か、その構成原子がBAAか否か、これらを対応づけたデータを生成する。なお、この際に、結晶モデルデータDcryが置換された原子を含むデータである場合には、置換された原子に対しては、BDAかBAAのいずれかが対応づけられない構成としてもよい。こうした置換された原子に対するBDAやBAAの対応づけは、置換された原子に対する解析の要請に応じて、分割位置特定部22にて適宜設定されるものである。例えば、置換された原子と基本分割単位の構成原子とを同様に扱う要請であれば、基本分割単位の構成原子と同様に、置換された原子に対してBDAかBAAのいずれかが対応づけられてもよい。一方で、置換された原子と他の原子とを結合原子対として取り扱う要請であれば、置換された原子に対しては、BDAかBAAのいずれかが対応づけられなくてもよい。また、結晶モデルデータDcryが削除された原子を含むデータである場合、及び、結晶モデルデータDcryが添加された原子を含む場合であっても、置換された原子と同様、これらの原子に対するBDAやBAAの対応づけは、分割位置特定部22にて適宜設定されるものである。
モデル作成部23は、結合位置特定部21での特定結果、分割位置特定部22での特定結果、及び、結晶モデルデータDcryを用い、結晶モデルから複数のフラグメントモデルを作成する。この際に、モデル作成部23は、結合位置特定部21にて特定された結合対から、分割位置特定部22にて特定されたBDA、BAA、及び、非結合原子対が除外された結合対を修正後の結合対として取り扱う。そして、モデル作成部23は、結晶モデルの構成原子のうち、修正後の結合対が連なる原子団の各々をフラグメントモデルとして特定する。また、モデル作成部23は、出力部としての機能を有し、結晶モデルの構成原子の各々がそれを含むフラグメントモデルに対応づけられたモデルデータを生成して出力する。
基底関数算出部24は、モデル作成部23の出力結果であるモデルデータと、基底関数データDbasisとを用い、フラグメントモデルの各々の基底関数の数を算出して、その算出結果を出力装置13に出力する。また、形式電荷算出部25は、モデル作成部23の出力結果であるモデルデータと各原子の電子数とを用い、フラグメントモデルの各々の形式電荷を算出し、その算出結果を出力装置13に出力する。
図15を参照して、結合位置特定部21、及び、分割位置特定部22の各々における処理の一例を説明する。なお、図15(a)(b)(c)の各々は、結合位置特定部21、及び、分割位置特定部22にて生成されるデータを原子座標系にて模式的に可視化した図である。
図15(a)に示されるように、結合位置特定部21にて取り扱われる結晶モデルデータDcryでは、結晶モデルの構成原子の各々の座標が原子座標系で定められている。例えば、結晶モデルの構成原子の1つである原子A1には、それがSiであって、その座標である(x1,y1,z1)が対応づけられている。結晶モデルの構成原子の1つである原子A2には、それがOであって、その座標である(x2,y2,z2)が対応づけられ、結晶モデルの構成原子の1つである原子A3には、それがOであって、その座標である(x3,y3,z3)が対応づけられている。さらに、結晶モデルの構成原子の1つである原子A4には、それがSiであって、その座標である(x4,y4,z4)が対応づけられている。
図15(b)に示されるように、結合位置特定部21では、結晶モデルデータDcryに対し、さらに結合対データDpが加えられる。結合対データDpは、方向性を有する結合が相互に異なる2つの原子間に形成されているか否か、すなわち、相互に異なる2つの原子が結合対であるか否かを示す。例えば、結晶モデルデータDcryに含まれる原子のうち、構成原子の1つである原子A1には、それの結合先となる原子A2が対応づけられ、構成原子の1つである原子A2には、それの結合先となる原子A1が対応づけられる。また、構成原子の1つである原子A3には、それの結合先となる原子A4が対応づけられ、構成原子の1つである原子A4には、それの結合先となる原子A3が対応づけられる。
図15(c)に示されるように、分割位置特定部22では、結晶モデルの構成原子の各々が、基本分割単位の構成原子のいずれであるかが特定される。例えば、構成原子の1つである原子A1には、Si3が対応づけられ、構成原子の1つである原子A2にも、O4が対応づけられる。また、構成原子の1つである原子A3には、O2が対応づけられ、構成原子の1つである原子A4には、Si3が対応づけられる。
さらに、分割位置特定部22では、結合位置特定部21にて生成されたデータに、さらに分割原子対データDbda,Dbaaが加えられる。分割原子対データDbdaは、結晶モデルの構成原子の各々に対し、それがBDAであるか否かを示し、また、分割原子対データDbaaは、結晶モデルの構成原子の各々に対し、それがBAAであるか否かを示す。例えば、構成原子の1つである原子A1には、BDAであることを示すDが対応づけられ、また、構成原子の1つである原子A2には、BAAであることを示すAが対応づけられる。なお、これらの構成原子A1,A2には、BDAあるいはBAAの対応づけに伴い、各々の結合先が削除されている。一方で、構成原子の1つである原子A3,A4には、それらがBDAあるいはBAAであることが対応づけられず、これに伴って、各々の結合先の対応づけが保たれている。
図16を参照してフラグメントモデル作成システムで実施されるフラグメントモデル作成方法について説明する。
図16に示されるように、まず、フラグメントモデルの作成条件が入力装置12に入力される(ステップS11)。この際に、結晶モデルデータDcry、基本分割単位データDcel、分割原子対候補Pdev、基底関数データDbasis、及び、出力形態数Noutが、予め設定されたフォーマットに従う1つのインプットファイルとして入力装置12に入力される。例えば、図1に示される低温型石英が結晶モデルとして用いられる場合には、結晶モデルに含まれる全てのSiに関する座標と、全てのOに関する座標とが入力される。制御装置11は、入力装置12に入力されたインプットファイルを記憶装置14に記憶する。
制御装置11は、結晶モデルデータDcryを用い、結晶モデルにおける構成原子の全てに対し、相互に異なる2つの原子の間の距離である原子間距離を算出する。次いで、制御装置11は、原子間距離の算出された原子対から、結合している原子対を抽出し、抽出された原子対を結合対として出力する(ステップS12)。
制御装置11は、結晶モデルデータDcry、基本分割単位データDcel、及び、分割原子対候補Pdevを用い、結晶モデルデータDcryの構成原子から、BDA、BAA、及び、非結合原子対を特定する(ステップS13)。
例えば、図1に示される結晶モデルに対しては、予めSi3O6が基本分割単位として設定され、Si1−O6、Si2−O1、Si3−O2、Si1−O4が分割原子対の候補として設定される。そして、複数の基本分割単位の各々にて、Si1、Si2、Si3に対応する原子がBDAの候補として抽出され、さらに、O1、O2、O4、O6に対応する原子がBAAの候補として抽出される。そして、抽出された原子対のうち、結合対に含まれる組み合わせがBDAとBAAとの組み合わせとして特定される。一方で、抽出された原子対のうち、結合対に含まれない組み合わせは、単に結合していない非結合原子対として特定される。
次いで、制御装置11は、結合対、BDA、BAA、非結合原子対、及び、結晶モデルデータDcryを用い、結晶モデルを複数のフラグメントモデルに分割する。
この際に、モデル作成部23は、結合対、BDA、BAA、及び、非結合原子対を参照し、結晶モデルの構成原子のうち、相互に結合している原子からなる原子団の各々をフラグメントモデルとして取り扱う(ステップS14)。続いて、制御装置11は、作成された各フラグメントモデルにおける形式電荷の絶対値の総和を算出し、また、作成された各フラグメントモデルにおける基底関数の数を算出する(ステップS15)。そして、制御装置11は、分割原子対候補Pdevによって定められる分割形態の全てに対してフラグメントモデルが作成されたか否かを判断する(ステップS16)。
分割形態の全てに対してフラグメントモデルが作成されていない場合(ステップS16で「NO」の場合)には、制御装置11は、フラグメントモデルが作成されていない他の分割原子対を用い、ステップS13からステップS16を繰り返す。
分割形態の全てに対してフラグメントモデルが作成されている場合(ステップS16で「YES」の場合)には、制御装置11は、全ての分割形態のうち、フラグメントモデルの形式電荷の絶対値の総和が小さい分割形態から順に優先順位を割り当てる。この際に、形式電荷の絶対値の総和が同じである分割形態に対しては、各分割形態に含まれるフラグメントモデルのサイズの最大値、すなわち、基底関数の数の最大値が小さい順に優先順位を割り当てる。そして、制御装置11は、割り当てられた優先順位を参照し、分割結果と評価結果とを出力装置13から出力する(ステップS17)。
上記第1の実施形態によれば以下の効果が得られる。
(1)基本分割単位C1,C2に対して分割原子対の候補が設定され、複数の基本分割単位C1,C2の集合として結晶モデルが取り扱われる。そして、複数の基本分割単位C1,C2の各々に含まれる候補が分割原子対として特定される。それゆえに、BDAの設定やBAAの設定の確度が高められ、また、BDAの設定やBAAの設定が簡易にもなる。
(2)分割位置特定部22によって特定されたBDAと、分割位置特定部22によって特定されたBAAとは、フラグメントモデルの構成であるフラグメントモデルの構造式ごとに出力される。それゆえに、こうした分割原子対をフラグメントモデルの構成ごとに利用者に把握させることが可能にもなる。
(3)なお、フラグメントモデルに含まれる分割原子対に関する情報は、相互に異なる2つのフラグメントモデルを1つのフラグメントモデルとして取り扱う際のマージ処理にて必要とされる。また、フラグメントモデルに含まれる分割原子対に関する情報は、フラグメントモデルを用いて結晶モデルの電子状態が計算される場合に、その計算の精度を高めるうえで有効に活用される。上記(2)に準じた構成によれば、こうした有益な情報を出力することが可能にもなる。
(4)分割位置特定部22では、相互に異なる複数の候補が分割形態として設定され、分割原子対が分割形態ごとに特定される。そして、モデル作成部23は、分割形態ごとの分割原子対を用いてフラグメントモデルを分割形態ごとに作成する。それゆえに、フラグメントモデルの作成に際して、多様性を高めることが可能にもなる。
(5)なお、上記(3)に示されるように、複数のフラグメントモデルを用いて結晶モデルの電子状態が計算される場合には、フラグメントモデルの大きさやフラグメントモデルの構成原子の種類によって、計算結果が相互に異なる場合が少なくない。そして、フラグメントモデルの大きさやフラグメントモデルの構成原子の種類に多様性を与えることは、結晶モデルの電子状態に関し、その計算精度の傾向の把握に際して有益でもある。上記(4)に準じた構成によれば、こうした有益な情報を出力することが可能にもなる。
(6)出力装置13の出力する評価結果には、複数の分割結果の各々に対する評価値、すなわち、BDAの候補とBAAの候補との組み合わせである分割原子対の候補の各々に対する評価値が示される。それゆえに、候補ごとに作成されるフラグメントモデルのいずれが結晶モデルにおける電子状態の計算に適しているかを利用者に把握させることが容易にもなる。特に、色相、明度、彩度等の色の要素が相互に異なる色によってフラグメントモデルの形式電荷や大きさが出力されることで、結晶モデルにおける形式電荷や大きさの分布が三次元的に把握され、結果として、各フラグメントモデルにおける形式電荷や大きさの視認性が高められる。
(第2の実施形態)
図17から図22を参照して第2の実施形態を説明する。なお、第2の実施形態は、作成された複数のフラグメントモデルの一部と他のフラグメントモデルとが1つの原子団として再度設定され、その原子団が新たな1つのフラグメントモデルとして新たに作成されるマージ処理が行われることが第1の実施形態とは異なる。そこで、第2の実施形態では、こうした第1の実施形態とは異なる点について主に説明し、第1の実施形態と重複する機能を有する構成に第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
なお、フラグメントモデルを用いた結晶モデルの電子状態の計算では、フラグメントモデルごとの電子状態の計算が並列に処理される。こうした計算の方式では、複数のフラグメントの各々の大きさ、すなわち、並列粒度のばらつきを小さくすることによって、計算の効率化を図ることができる。また、複数のフラグメントのうちで、極端に大きさの小さいフラグメントの数を減らすことによっても、計算の効率化を図ることができる。さらには、上述したマージ処理によって、マージ処理を行わない場合よりも、複数のフラグメントの各々の大きさにおけるばらつきを小さくし、且つ、極端に大きさの小さいフラグメントを減らすことで、計算の精度を高めることも可能である。
図17を参照して、マージ処理の対象となるフラグメントモデルについて説明する。なお、図17では、1つのフラグメントモデルが円として示されて、各円の直径がフラグメントモデルのサイズを示す。また、相互に異なるフラグメントモデル間におけるBDAとBAAとの結合が細線で示されている。なお、最も大きい円で示されるフラグメントモデルは、結晶モデルにおけるバルク中のフラグメントモデルであり、最も小さい円で示されるフラグメントモデルは、結晶モデルの周囲に作成される末端のフラグメントモデルである。そして、中間の大きさの円で示されるフラグメントモデルは、結晶モデルにおける紙面の手前側の端面に作成される末端のフラグメントモデルである。
図17に示されるように、結晶モデルの末端には、末端のフラグメントモデルである末端フラグメントモデルFS1,FS2,FS3が作成される。末端フラグメントモデルFS1,FS2,FS3の各々では、基本分割単位の構成原子や分割原子対の候補等のフラグメントモデルの作成条件によって、フラグメントモデルの構成原子やサイズが相互に異なる。末端フラグメントモデルFS1,FS2,FS3の各々は、フラグメントモデルの作成に際して末端に残る部分であって、他のフラグメントモデルよりもサイズが小さい。こうした末端フラグメントモデルFS1,FS2,FS3は、他のフラグメントモデルと同様に分割原子対を含むものの、それに含まれる分割原子対の各々は、他のフラグメントモデルの分割原子対とは異なる。
例えば、末端フラグメントモデルFS1の左側に並ぶフラグメントモデルの各々が、Si3O6であって、その荷電状態はSi1::Si2:Si3:O1−O2−O3O4−O5O6−であると仮定する。これに対し、末端フラグメントモデルFS1の各々が、SiO3H2であって、その荷電状態はSi1:O3O4−O6H3H6であると仮定する。こうした場合には、いずれのフラグメントモデルも分割原子対を含むものの、末端フラグメントモデルFS1の左側に並ぶフラグメントモデル各々は、BDAとしてSi1、Si2、Si3を含み、BAAとしてO1、O2、O4、O6を含む一方で、末端フラグメントモデルFS1は、BDAとしてSi1を含み、BAAとしてO4を含む。
上述したように、末端フラグメントモデルFS1,FS2,FS3の各々に含まれる分割原子対の候補と、他のフラグメントモデルに含まれる分割原子対の候補とは、相互に異なる。そして、末端フラグメントモデルFS1,FS2,FS3の各々と、それに隣接する他のフラグメントモデルとの結合の形態は、末端フラグメントモデルFS1,FS2,FS3の各々に含まれる分割原子対によって異なる。
例えば、末端フラグメントモデルFS1の各々が、SiO3H2であって、その荷電状態はSi1:O3O4−O6H3H6であると仮定する。こうした場合に、末端フラグメントモデルFS1における1つの結合形態では、BDAであるSi1にて、末端フラグメントモデルFS1と他の1つのフラグメントモデルとが結合し(図17における実線矢印)、これらによって1つの新たなフラグメントモデルFN1が作成される。これに対し、末端フラグメントモデルFS1における他の結合形態では、BAAであるO4にて、末端フラグメントモデルFS1と他の1つのフラグメントモデルとが結合し(図17における破線矢印)、これらによって1つの新たなフラグメントモデルFN2が作成される。
図18に示されるように、データ記憶部14bには、入力装置12から入力されるデータとして、結晶モデルデータDcry、基本分割単位データDcel、分割原子対候補Pdev、マージ指定数Nmerg、マージタイプTmerg、マージ条件Cmerg、基底関数データDbasis、出力形態数Noutが記憶されている。
マージ指定数Nmergは、マージ処理が自動的に行われるフラグメントモデルの原子数を示す。例えば、マージ指定数Nmergが3である場合には、原子数が3に満たないOHフラグメントモデル等のフラグメントモデルが自動的なマージ処理の対象として選択される。すなわち、原子数が3に満たないフラグメントモデルは、それに含まれるBDAあるいはBAAと、それに隣接する他の1つのフラグメントモデルとが結合しているものとして取り扱われ、その原子団が新たな1つのフラグメントモデルとして新たに作成される。
マージタイプTmergは、マージ処理の対象であるフラグメントモデルと、そのマージ処理の対象に適用されるマージ処理の形式とを示す。例えば、末端フラグメントモデルFS1のタイプ番号Nに第1形式が設定される。同様に、末端フラグメントモデルFS2のタイプ番号Nに第2形式が設定され、末端フラグメントモデルFS3のタイプ番号Nに第3形式が設定される。
マージ条件Cmergは、マージ処理の対象にて結合元になる原子、すなわち、BDAあるいはBAAを示す。マージ条件Cmergは、マージタイプTmergが示す形式ごとに結合元の原子を示す。例えば、第1形式に対しては、末端フラグメントモデルFS1におけるBDAと、それに近接する他の1つのフラグメントモデルにおけるBAAとが結合していることが対応づけられる。第2形式に対しては、末端フラグメントモデルFS2におけるBDAと、それに近接する他の1つのフラグメントモデルにおけるBAAとが結合していることが対応づけられる。第3形式に対しては、末端フラグメントモデルFS3におけるBDAと、それに近接する他の1つのフラグメントモデルにおけるBAAとが結合していることが対応づけられる。
なお、マージ条件Cmergでは、マージタイプTmergが示す1つの形式に対し、相互に異なる複数の結合元の原子が択一的に示されてもよい。例えば、第1形式では、末端フラグメントモデルFS1のBDAと他の1つのフラグメントモデルとが結合している形式と、末端フラグメントモデルFS1のBAAと他の1つのフラグメントモデルとが結合している形式とが択一的に示されてもよい。
図19を参照して制御装置11の詳細な構成を説明する。
図19に示されるように、制御装置11には、マージ処理部26が含まれている。マージ処理部26は、モデル作成部23の出力結果であるモデルデータ、及び、マージ指定数Nmergを用い、自動的なマージ処理の対象となるフラグメントモデルを抽出する。例えば、マージ処理部26は、複数のフラグメントモデルの各々に含まれる原子数をフラグメントモデルごとに算出し、マージ指定数Nmergに満たない原子数からなるフラグメントモデルを自動的なマージ処理の対象として抽出する。そして、マージ処理部26は、抽出されたフラグメントモデルのBDAあるいはBAAと、それに近接する他の1つのフラグメントモデルとの間に結合があるものとして取り扱い、これらを1つのフラグメントモデルに修正する。
マージ処理部26は、モデル作成部23の出力結果であるモデルデータ、マージタイプTmerg、及び、マージ条件Cmergを用い、マージ条件Cmergにて示されるマージ処理の対象の各々に対し、マージタイプTmergにて示される形式でマージ処理を施す。
例えば、マージ処理部26は、マージタイプTmergの第1形式に従って、末端フラグメントモデルFS1におけるBDAと、それに近接する他のフラグメントモデルにおけるBAAとが結合しているものとして取り扱い、マージデータにて、これらを1つのフラグメントモデルに修正する。同様に、マージ処理部26は、第2形式に従って、末端フラグメントモデルにおけるBDAと、それに近接する他のフラグメントモデルにおけるBAAとが結合しているものとして取り扱い、マージデータにて、これらを1つのフラグメントモデルに修正する。また、マージ処理部26は、第3形式に従って、末端フラグメントモデルにおけるBDAと、それに近接する他のフラグメントモデルにおけるBAAとが結合しているものとして取り扱い、マージデータにて、これらを1つのフラグメントモデルに修正する。そして、マージ処理部26は、出力部としての機能を有し、結晶モデルの構成原子の各々がそれを含む修正後のフラグメントモデルに対応づけられたモデルデータを生成して出力する。
基底関数算出部24は、マージ処理部26の出力結果であるモデルデータと、基底関数データDbasisとを用い、フラグメントモデルの各々の基底関数の数を算出して、その算出結果を出力装置13に出力する。また、形式電荷算出部25は、マージ処理部26の出力結果であるモデルデータと各原子の電子数とを用い、フラグメントモデルの各々の形式電荷を算出し、その算出結果を出力装置13に出力する。
なお、出力装置13は、第1の実施形態と同様に、制御装置11にて作成された複数のフラグメントモデルの各々に関して、結晶モデルの分割形態ごとに分割結果を出力する。また、出力装置13は、制御装置11にて作成された複数の分割結果の各々と分割結果の評価値とを対応づけたデータを評価結果として出力する。さらに、出力装置13は、マージ処理によって作成された新たなフラグメントごとに、フラグメントモデルの荷電状態等に関するデータをマージ処理結果として出力する。
図20は、出力装置13にて表示されるマージタイプTmerg、及び、マージ条件Cmergの表示画面の一例を示し、図21は、出力装置13にて表示されるマージ処理結果の一例を示す。
図20に示されるように、マージタイプTmerg、及び、マージ条件Cmergの表示画面VMconでは、例えば、第1形式に対応づけられるタイプ番号Nである「2」と、第2形式に対応づけられるタイプ番号Nである「3」と、第3形式に対応づけられるタイプ番号Nである「7」とが示されている。また、表示画面VMconでは、第1形式のBDAとしてSi1が設定され、それに近接する他の1つのフラグメントモデルにおけるBAAとSi1とが結合していることが「*」によって対応づけられている。また、第1形式のBDAとしてO4が設定され、それに近接する他の1つのフラグメントモデルにおけるBAAとO4とが結合していることが「*」によって対応づけられている。すなわち、表示画面VMconでは、マージタイプTmergが示す1つの形式に対し、相互に異なる複数の結合元の原子が択一的に示されている。
図21に示されるように、マージ処理結果の表示画面VMevaでは、マージ処理に適用されたモデルデータがDifとして表示される。例えば、モデル作成部23の出力結果がマージ処理に適用された場合には、そのモデルデータを含むファイルが「SIO_US_STEP1」として示される。
マージ処理結果の表示画面VMevaでは、例えば、マージ処理の形式ごとに割り当てられる組み合わせ番号Nmtypeと、以下に示される4つの項目とが対応づけられている。
・処理形式の組み合わせComb
・結晶モデルの形式電荷Ncs
・フラグメントモデルを構成する原子の数の最大値Amax
・結晶モデルにおける基底関数の数Nbs
なお、組み合わせCombは、マージ処理の形式の組み合わせを示す固有のビット値であって、マージタイプTmerg、及び、マージ条件Cmergに基づいて一義的に定められる。例えば、図21に示されるように、マージタイプTmergが、第1形式から第3形式である場合に、組み合わせCombは3ビットで示される。そして、図21に示されるように、第1形式から第3形式の各々にて、相互に異なる2つの結合元の原子が定められる場合に、組み合わせCombのビット値は「0」あるいは「1」で示される。
具体的には、組み合わせ番号Nmtypeが「1」として設定されたマージ処理では、組み合わせCombとして「000」が対応づけられ、第1形式のBDAとしてSi1が設定され、第2形式のBDAとしてSi2が設定され、第3形式のBDAとしてO1が設定されている。また、形式番号Nmtypeが「2」として設定されたマージ処理では、組み合わせCombとして「001」が対応づけられ、第1形式のBDAとしてO4が設定され、第2形式のBDAとしてSi2が設定され、第3形式のBDAとしてO1が設定されている。また、形式番号Nmtypeが「3」として設定されたマージ処理では、組み合わせCombとして「010」が対応づけられ、第1形式のBDAとしてSi1が設定され、第2形式のBDAとしてO6が設定され、第3形式のBDAとしてO1が設定されている。
図22を参照してフラグメントモデル作成システムで実施されるフラグメントモデル作成方法について説明する。なお、以下では、フラグメントモデル作成方法のうち、マージタイプTmerg、及び、マージ条件Cmergを用いて行われるマージ処理について説明する。
マージ処理部26は、モデル作成部23あるいは記憶装置14からマージ処理の対象となるモデルデータを入力する。また、マージ処理部26は、記憶装置14からマージタイプTmerg、及び、マージ条件Cmergを入力する(ステップS21)。
マージ処理部26は、モデルデータ、マージタイプTmerg、及び、マージ条件Cmergを用い、マージの対象となるフラグメントモデルを抽出する。次いで、制御装置11は、マージの対象となるフラグメントモデルと、その結合先となるフラグメントモデルとを抽出する(ステップS22)。マージ処理部26は、抽出されたフラグメントモデルとマージ条件Cmergとを用い、抽出されたフラグメントモデルに対してBDAとBAAとを特定する(ステップS23)。そして、マージ処理部26は、特定されたBDAを含むフラグメントモデルと、特定されたBAAを含むフラグメントモデルとからなる新たなフラグメントモデルを作成し、モデルデータを更新する(ステップS24)。
制御装置11は、マージ処理部26にて作成された各フラグメントモデルにおける形式電荷の絶対値の総和を算出し、また、マージ処理部26にて作成された各フラグメントモデルにおける基底関数の数を算出する(ステップS25)。そして、制御装置11は、マージ条件Cmergに示される結合元の原子の全ての組み合わせに対してマージ処理が行われたか否かを判断する(ステップS26)。
マージ条件Cmergに示される結合元の原子の全ての組み合わせに対してマージ処理が行われていない場合(ステップS26で「NO」の場合)には、制御装置11は、マージ処理が行われていない他の形式に対して、ステップS22からステップS26を繰り返す。
マージ条件Cmergに示される結合元の原子の全ての組み合わせに対してマージ処理が行われている場合(ステップS26で「YES」の場合)には、制御装置11は、全ての結合元の原子の全ての組み合わせのうち、フラグメントモデルの形式電荷の絶対値の総和が小さい分割形態から順に優先順位を割り当てる。この際に、形式電荷の絶対値の総和が同じである分割形態に対しては、各組み合わせに含まれるフラグメントモデルのサイズの最大値、すなわち、基底関数の数の最大値が小さい順に優先順位を割り当てる。そして、制御装置11は、割り当てられた優先順位を参照し、分割結果と評価結果とを出力装置13から出力する(ステップS27)。
上記第2の実施形態によれば以下の効果が得られる。
(7)分割位置特定部22にて特定された複数のBDAと、分割位置特定部22にて特定された複数のBAAとの対のうち、一部の分割原子対は、マージ処理部26でその分割が解除される。そして、解除された分割原子対を含む相互に隣接する2つのフラグメントモデルは、マージ処理部26で1つのフラグメントモデルに変換される。それゆえに、一度作成されたフラグメントモデルの大きさやフラグメントモデルの構成原子の種類を変更することが可能にもなる。
(8)マージ処理部26では、相互に異なる複数の形式がマージ処理の形式として設定され、複数の形式の各々にてマージ処理が実施される。そして、出力装置13は、フラグメントモデルをマージ処理の形式ごとに作成する。それゆえに、マージ処理によるフラグメントモデルの作成に際して、多様性を高めることが可能にもなる。
(9)マージ処理結果の表示画面VMevaでは、マージ処理の形式ごとに、結晶モデルの形式電荷Ncs、フラグメントモデルを構成する原子の数の最大値Amax、結晶モデルにおける基底関数の数Nbsが表示される。それゆえに、フラグメントモデルの評価値をマージ処理の形式ごとに利用者に把握させることが可能にもなる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・第1の実施形態における制御装置11は、第2の実施形態におけるマージ処理部26の機能のうち、自動的なマージ処理のみを実行する機能を備えてもよい。
・制御装置11は、形式電荷算出部25の算出結果を用いて結晶モデルにおける形式電荷の偏りを算出する算出部を備えてもよい。そして、評価結果に用いられる評価値には、結晶モデルの形式電荷に限らず、結晶モデルにおける形式電荷の偏りが設定されてもよい。
・図11から図13では、基準となる形式電荷及び大きさに対して白色がフラグメントモデルに対応付けられ、形式電荷及び大きさが基準から離れる程、黒色に近い色がフラグメントモデルに対応付けられる構成とした。
これに限らず、形式電荷が色で示される場合には、基準となる形式電荷に白色が対応付けられ、基準となる形式電荷よりも正の方向に大きい場合には一つの色、例えば赤色がフラグメントモデルに対応付けられ、基準となる形式電荷よりも負の方向に大きい場合には、他の色、例えば青色がフラグメントモデルに対応付けられる構成でもよい。この場合には、形式電荷が正の方向における最も大きい値に近付く程、また、形式電荷が負の方向における最も大きい値に近付く程、フラグメントモデルには、彩度の高い色が対応付けられる構成が好ましい。
また、大きさが色で示される場合には、基準となる大きさに白色が対応付けられ、基準となる大きさよりも大きい場合には、一つの色、例えば赤色がフラグメントモデルに対応付けられ、基準となる大きさよりも小さい場合には、他の色、例えば青色がフラグメントモデルに対応づけられる構成でもよい。この場合には、上記形式電荷の場合と同様、基準との差によって彩度の異なる色がフラグメントモデルに対応付けられる構成が好ましい。
・制御装置11は、複数の層からなる結晶モデルに対し、形式電荷や形式電荷の偏りを層ごとに算出してもよく、出力装置13は、例えば、図11から図13に示される形式電荷を層ごとに示してもよい。こうした結晶モデルにおける層ごとの荷電状態は、結晶モデルの表面と他の化合物モデルとの相互作用エネルギーの解析、例えば、ペプチドのモデルと結晶モデルとの相互作用エネルギーの解析にて有益な情報となる。
・制御装置11は、フラグメントモデルの構成原子とその構成原子の座標とを用いてフラグメントモデルの大きさを算出する算出部を備えてもよい。そして、評価結果に用いられる評価値は、複数のフラグメントモデルの各々の大きさにおける最大値が設定されてもよい。
・評価結果に用いられる評価値は、結晶モデルの形式電荷の絶対値の総和、結晶モデルにおけるフラグメントモデルごとの形式電荷の偏り、複数のフラグメントモデルの各々の大きさにおける最大値の少なくとも1つであってもよい。
・評価結果が表示される表示画面Vevaでは、分割原子対の候補Dcandごとの分割結果Dreslが、分割原子対の候補Dcandに対応づけられた状態で示される。これに限らず、評価結果が表示される表示画面Vevaでは、分割原子対の候補Dcandと評価値Pseqとが単に対応付けられた状態で示されてもよい。
・BDA及びBAAの特定に用いられる結合対は、結晶モデルデータDcryにて予め指定されてもよい。こうした構成では、制御装置11から結合位置特定部21を省略することが可能にもなる。
・末端フラグメントモデルFS1,FS2,FS3が作成されるか否かは、結晶モデルの構成原子や基本分割単位の構成原子によって異なる。それゆえに、末端フラグメントモデルFS1,FS2,FS3が作成されない構成であってもよく、要は、結晶モデルが複数の基本分割単位に分けられ、複数の前記基本分割単位の各々に含まれる候補が分割原子対として特定される構成であればよい。
・BDAやBAAは分割結果に含まれなくてもよい。要するに、ユニットモデルごとの候補原子によってフラグメントモデルが作成される構成であればよい。
・記憶装置14は、結晶格子に含まれる原子団を結晶の種類ごとに記憶し、制御装置11は、その結晶格子に含まれる原子団を基本分割単位として用いてもよい。すなわち、基本分割単位は、予め結晶モデルごとに定められてもよい。
・上述した非金属結晶と、生体高分子、例えば、各種酵素等のタンパク質や、核酸であるDNA及びRNAとの相互作用エネルギーをFMO法によって算出する場合には、実施形態に記載の方法によって作成されたフラグメントモデルを用いることができる。結晶モデルを複数のフラグメントモデルに分けると、結晶モデルを構成する各面によって、その面を構成するフラグメントモデルの形式電荷や大きさの分布が異なることが多い。
FMO法によって上記相互作用を算出する上では、生体高分子と相互作用する面、すなわち吸着面を構成する各フラグメントモデルの大きさが、基本分割単位に等しい大きさであることが好ましく、また、吸着面を構成する各フラグメントモデルの形式電荷が±0であることが好ましい。
そのため、図11から図13に示されるように、表示画面Vevaに示される分子構造Vstrを構成する各フラグメントモデルに形式電荷及び大きさに応じた色が対応付けられる構成では、白色のフラグメントモデルによって構成される面が、吸着面として好ましい。すなわち、上述のように各フラグメントモデルに対して色が対応付けられた状態で分子構造Vstrが表示される構成によれば、結晶モデルにて吸着面として設定されるべき面の選択を容易にすることができる。
・結晶モデルの対象は、非金属結晶のみに限らず、例えば、非金属結晶に加えて、水分子、DNA、イオン、ペプチド、及び、タンパク質の少なくとも1つを含む複合体であってもよい。この場合、非金属結晶と他の分子との複合体が1つの結晶モデルとして取り扱われることで、この結晶モデルについてのフラグメントモデルが作成される。そのため、複合体が1つの結晶モデルとして取り扱われる場合には、非金属結晶と他の分子との境界では、非金属結晶を構成する原子と他の分子を形成する原子との両方を含むフラグメントモデルが作成され得る。
・フラグメントモデル作成システムでは、相互に異なる複数の入力装置12が、ネットワークを介して1つの制御装置11に接続され、1つの制御装置11は、相互に異なる複数の入力装置12からの入力データを用いて各別にフラグメントモデルを作成してもよい。また、制御装置11は、記憶装置14の機能、及び、出力装置13の機能の少なくとも一方を兼ねてもよい。
C1,C2,C3…基本分割単位、FE1,FE2,FS1,FS2,FS3…末端フラグメントモデル、Dcel…基本分割単位データ、Dcry…結晶モデルデータ、Pdev…分割原子対候補,Pseq…評価値、Veva,Vfrag,VMcon,VMeva…表示画面、11…制御装置、12…入力装置、13…出力装置、14…記憶装置、14a…プログラム記憶部、14b…データ記憶部、21…結合位置特定部、22…分割位置特定部、23…モデル作成部、24…基底関数算出部、25…形式電荷算出部、26…マージ処理部。

Claims (10)

  1. 分割の対象となる複数の分割原子対を結晶モデルにて特定する分割位置特定部と、
    前記結晶モデルの中で相互に結合する原子からなる複数の原子団の各々をフラグメントモデルとして作成するモデル作成部と、を備え、
    前記結晶モデルには、少なくとも非金属結晶モデルが含まれ、
    複数の原子からなる原子団が1つの基本分割単位として設定され、
    前記結晶モデルを構成する複数の原子の各々は、前記基本分割単位を構成する原子のいずれかに対応づけられ、
    前記分割位置特定部では、
    前記基本分割単位を構成する原子の中で前記分割原子対の候補が設定され、
    前記分割位置特定部は、
    前記結晶モデルに対し複数の前記基本分割単位の各々に含まれる前記候補を前記分割原子対として特定する、
    フラグメントモデル作成装置。
  2. 前記特定された分割原子対を前記フラグメントモデルの構成ごとに出力する出力部をさらに備える
    請求項1に記載のフラグメントモデル作成装置。
  3. 前記複数の分割原子対の一部にて分割を解除し、
    前記解除された分割原子対を含む相互に隣接する2つの前記フラグメントモデルを1つのフラグメントモデルに変換するマージ処理部をさらに備える、
    請求項2に記載のフラグメントモデル作成装置。
  4. 前記分割位置特定部では、
    相互に異なる複数の前記候補が設定され、
    前記分割位置特定部は、
    前記分割原子対を前記候補ごとに特定し、
    前記モデル作成部は、
    前記候補ごとの分割原子対を用いて前記フラグメントモデルを前記候補ごとに作成する、
    請求項1から3のいずれか1つに記載のフラグメントモデル作成装置。
  5. 前記モデル作成部は、
    前記フラグメントモデルの評価値を前記候補ごとに算出し、
    前記候補と前記評価値とを対応付けて出力する出力部をさらに備える
    請求項4に記載のフラグメントモデル作成装置。
  6. 前記評価値は、前記結晶モデルの形式電荷の絶対値の総和、前記結晶モデルにおける形式電荷の偏り、及び、前記複数のフラグメントモデルの各々の大きさにおける最大値の少なくとも1つである
    請求項5に記載のフラグメントモデル作成装置。
  7. 前記出力部は、前記複数のフラグメントモデルの各々における形式電荷、及び、前記複数のフラグメントモデルの各々における大きさの少なくとも1つを相互に異なる要素を有した色として出力する
    請求項5または6に記載のフラグメントモデル作成装置。
  8. 入力装置と、
    前記入力装置から入力されたデータを用いてフラグメントモデルを作成するフラグメントモデル作成装置と、を備え、
    前記フラグメントモデル作成装置は、
    前記入力装置から入力された結晶モデルに対して分割の対象となる複数の分割原子対を特定する分割位置特定部と、
    前記結晶モデルの中で相互に結合する原子からなる複数の原子団の各々をフラグメントモデルとして作成するモデル作成部と、を備え、
    前記結晶モデルには、少なくとも非金属結晶モデルが含まれ、
    複数の原子からなる原子団が1つの基本分割単位として設定され、
    前記結晶モデルを構成する複数の原子の各々は、前記基本分割単位を構成する原子のいずれかに対応づけられ、
    前記分割位置特定部では、
    前記基本分割単位を構成する原子の中で前記分割原子対の候補が設定され、
    前記分割位置特定部は、
    前記結晶モデルに対し複数の前記基本分割単位の各々に含まれる前記候補を前記分割原子対として特定する、
    フラグメントモデル作成システム。
  9. 分割の対象となる複数の分割原子対を結晶モデルにて特定すること、
    前記結晶モデルの中で相互に結合する原子からなる複数の原子団の各々をフラグメントモデルとして作成すること、を含み、
    前記結晶モデルには、少なくとも非金属結晶モデルが含まれ、
    複数の原子からなる原子団が1つの基本分割単位として設定され、
    前記結晶モデルを構成する複数の原子の各々は、前記基本分割単位を構成する原子のいずれかに対応づけられ、
    前記複数の分割原子対を特定するときには、
    前記基本分割単位を構成する原子の中で前記分割原子対の候補が設定され、
    前記結晶モデルに対し複数の前記基本分割単位の各々に含まれる前記候補を前記分割原子対として特定する、
    フラグメントモデル作成方法。
  10. コンピュータを、
    分割の対象となる複数の分割原子対を結晶モデルにて特定する分割位置特定部と、
    前記結晶モデルの中で相互に結合する原子からなる複数の原子団の各々をフラグメントモデルとして作成するモデル作成部として機能させ、
    前記結晶モデルには、少なくとも非金属結晶モデルが含まれ、
    複数の原子からなる原子団が1つの基本分割単位として設定され、
    前記結晶モデルを構成する複数の原子の各々は、前記基本分割単位を構成する原子のいずれかに対応づけられ、
    前記分割位置特定部では、
    前記基本分割単位を構成する原子の中で前記分割原子対の候補が設定され、
    前記分割位置特定部は、
    前記結晶モデルに対し複数の前記基本分割単位の各々に含まれる前記候補を前記分割原子対として特定する、
    フラグメントモデル作成プログラム。
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