JP5350626B2 - 樹状細胞活性化用組成物 - Google Patents

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本発明は、樹状細胞活性化用組成物、ならびに該組成物を用いて樹状細胞を活性化させる方法および活性化された樹状細胞に関する。
樹状細胞(dendritic cell:DC)は免疫機能の要となる細胞であり、骨髄幹細胞に由来し、成熟すると免疫応答を誘導する強力な抗原提示細胞となる。樹状細胞は体内のいたるところに存在し、抗原をトラップし、免疫応答を起動ならびにコントロールする。樹状細胞等の抗原提示細胞は、外来異物を取り込んで細胞内でペプチド断片までに分解(抗原プロセシング)し、そのペプチド断片をMHC分子に結合し、これを細胞表面上に提示する。このように提示された複合物をヘルパーT細胞はT細胞受容体を介して認識し、ヘルパーT細胞は様々なサイトカインを産生する。サイトカインは、未熟なBリンパ細胞や細胞傷害性Tリンパ細胞の前駆細胞等に作用し、分化成熟を促し、その結果抗原処理能を備えたエフェクター細胞が誘導される。
樹状細胞を活性化する物質については、幾つか報告されており、例えば特許文献1には、チョレイ、シュクシャ等の生薬を含有する未成熟樹状細胞活性化剤、特許文献2には、椎茸菌糸体抽出物を含む樹状細胞活性化剤、特許文献3には、メシマコブを含む樹状細胞活性化剤、特許文献4には、コルジセプス・シネンシスの抽出物を含む樹状細胞活性化剤が記載されている。
また、樹状細胞を活性化する物質として、β−グルカンが知られており、近年、その成熟化促進作用にはβ−グルカンレセプター、dectin-1が重要な役割を演じていることが報告されている(非特許文献1)。
β−グルカンに分類される多糖類であるカードランは、リンパ球活性化作用があることが明らかにされ、カードラン加水分解物を有効成分とする免疫賦活剤が特許文献5に記載されている。該文献には、抗原受容体を介する刺激等により活性化されたTリンパ球およびBリンパ球にカードラン加水分解物を作用させると、Tリンパ球およびBリンパ球の活性が上昇するが、抗原受容体を介する刺激等を与えずにカードラン加水分解物を作用させると、ほとんど活性化しないことが記載されている。また、特許文献6には、加熱処理されたカードラン加水分解物を有効成分とする免疫抑制剤が記載されている。該文献には、脾臓細胞の培養系に加熱処理したカードラン加水分解物を添加すると、マイトジェン刺激を加えずに培養した場合はTリンパ球およびBリンパ球の細胞代謝活性等はそれほど損なわれなかったが、マイトジェン刺激下で培養した場合は細胞代謝活性等の上昇が強度に抑制されたことが記載されている。
特開2007−238559号公報 特開2006−141346号公報 特開2006−124383号公報 特開2006−124382号公報 特開平10−194977号公報 特開平10−194976号公報 Saijo S, Fujikado N, Furuta T, Chung SH, Kotaki H, Seki K, Sudo K, Akira S, Adachi Y, Ohno N, Kinjo T, Nakamura K, Kawakami K, Iwakura Y., "Dectin-1 is required for host defense against Pneumocystis carinii but not against Candida albicans", Nat Immunol. 2007 Jan;8(1):39-46.
本発明の課題は、樹状細胞を活性化する組成物、ならびに該組成物を用いて樹状細胞を活性化させる方法および活性化された樹状細胞を提供することである。
本発明者らは、カードランオリゴを樹状細胞およびマウス脾臓細胞の培養系に適用してサイトカインの産生を調べることにより、カードランオリゴが樹状細胞の活性化作用を示すことを見出し、本発明を完成した。
本発明の特徴は要約すると以下の通りである。
[1]カードランオリゴを有効成分として含有する樹状細胞活性化用組成物。
[2]樹状細胞の活性化によりサイトカインの産生が調節される、[1]に記載の組成物。
[3][1]または[2]に記載の組成物を用いて樹状細胞をin vitroで処理することを含む、樹状細胞を活性化させる方法。
[4][1]または[2]に記載の組成物を用いて樹状細胞をin vitroで処理することにより調製された活性化樹状細胞。
本明細書において「樹状細胞の活性化」とは、樹状細胞が成熟すること、または樹状細胞の機能が増強されることをいい、その機能は特に限定されない。樹状細胞の機能としては、例えば、抗原の取り込み、抗原プロセシング、抗原提示、細胞接着/共刺激分子の発現、サイトカインの産生、Tリンパ球などの他の細胞への刺激などが挙げられる。また、他の細胞への刺激によって、それらの細胞からサイトカイン産生の増強、オータコイド産生増強、抗体産生の増強、遅延型過敏症反応の増強、障害因子の産生増強、アポトーシス誘導促進など、様々な免疫機能が増強・強化・調節される。調節には、例えば、産生されるサイトカイン量の増加(増強)という調節だけでなく、減少(抑制)という調節も含まれる。
カードランオリゴを樹状細胞に適用することにより、樹状細胞を活性化させることができ、その結果サイトカインの産生を調節(増加または減少)することができる。カードランオリゴを含有する樹状細胞活性化用組成物は、医薬組成物、飲食品、培地等の形態をとることができる。特に医薬組成物、飲食品は、免疫が関連する難治性疾患の多くに新たな治療法、予防法を提供することができる。医薬組成物、飲食品を、ヒトを含む動物に投与したり、摂取させることにより、例えば腫瘍免疫や感染免疫において抗原プロセシングを効率よく進めることで特異的反応を強化したり、また自己免疫において自己ペプチドに対する誤った応答を制御することができる。
本発明の樹状細胞活性化用組成物は、カードランオリゴを有効成分として含有することを特徴とする。
カードラン(CRD)は、多糖類であるβ−グルカンの1つであり、β型ブドウ糖がβ−(1,3)グルコシド結合で結合した構造を持つ。カードランオリゴはカードランを低分子化したもの(好ましくは平均分子量2000〜3000ダルトン)である。
カードランは、微生物、例えば、アルカリゲネス属またはアグロバクテリウム属の微生物によって生産される多糖類であり、加熱凝固性を有する。カードランとして、具体的には、アルカリゲネス・フェカリス・バール・ミクソゲネス菌株10C3Kにより生産されるカードラン(アグリカルチュラル・バイオロジカル・ケミストリー(Agricultural Biological Chemistry)Vol.30, p.196 (1966))、アルカリゲネス・フェカリス・バール・ミクソゲネス菌株10C3Kの変異株NTK−u(IFO13140)により生産されるカードラン(特公昭48−32673号)、アグロバクテリウム・ラジオバクター(IFO13127)およびその変異株U−19(IFO13126)により生産される多糖類(特公昭48−32674号)が挙げられる。また、カードランは和光純薬工業株式会社、キリンフードテック株式会社等から販売されている。
カードランオリゴ(低分子カードラン)は、例えば上記カードランをβ−1,3−グルカナーゼにより分解したり、ギ酸、酢酸等の有機酸や塩酸、硫酸等の無機酸で酸加水分解して調製できる。例えばカードランをアセトンに懸濁し、HClで酸性とし、約50℃で5〜6時間還流加熱することで調製できる。具体的には、図1−1および図1−2のスキームで調製することができる(図1−1の「*」は、図1−2の「*」に続くことを示す)。この方法よれば、平均分子量約2000〜3000ダルトンのカードランオリゴが得られる。図1−1および図1−2のスキームに従って調製された低分子カードランの分析結果を表1に示す。図1−1、図1−2および表1に示す(1)〜(4)の画分のカードランオリゴのいずれも本発明に用い得るが、図1−2および表1の(3)精製低分子CRD−FD(低分子化処理後に凍結乾燥して得られたもの)、(4)精製低分子CRD−SD(低分子処理後に噴霧乾燥して得られたもの)が好ましい。
Figure 0005350626
本発明の樹状細胞活性化用組成物は、例えばカードランオリゴそのもの、またはカードランオリゴを含む医薬組成物、飲食品、培地等の形態をとってもよい。
本発明の樹状細胞活性化用組成物が医薬組成物の場合、該医薬組成物は、例えば癌、悪性腫瘍、感染症、自己免疫疾患、アレルギー性疾患等の治療または予防等に用いることができる。適用可能な疾患として、具体的には、悪性リンパ腫、胃癌、大腸癌、食道癌、前立腺癌、頭頸部癌、口腔癌、肺癌、肝臓癌、膵臓癌、子宮癌、卵巣癌、乳癌、白血病、メラノーマ、骨髄腫、結核、インフルエンザ、マラリア、ウイルス性肝炎(A型、B型、C型、D型、E型など)、風疹、MRSA、HIV、細胞または臓器・組織移植に伴う移植片拒絶、移植片対宿主病、関節リウマチ、多発性硬化症、I型糖尿病、自己免疫性心筋炎、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、自己免疫性溶血性貧血、全身性強皮症、乾癬、クローン病、接触過敏症、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、喘息などが挙げられるが、これらに限定されない。
医薬組成物は、経口、非経口で投与することができ、投与形態により、様々な剤形を採りうる。例えば経口投与の場合、液剤、エリキシル剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、散剤、錠剤、シロップ剤等にし、非経口の場合、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射等、あるいは貼付剤、坐剤等にすることができる。また、医薬組成物を徐放性、持続性製剤としてもよい。医薬組成物は、例えば公知の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、甘味剤、懸濁化剤、乳化剤、分散剤、安定剤、コーティング剤、緩衝剤等の添加剤を含有させることができ、通常用いられる方法により製造することができる。
医薬組成物に含有されるカードランオリゴの量は、カードランオリゴとして1日あたり好ましくは0.1〜100mg/kg体重、より好ましくは1〜2.5mg/kg体重の範囲で投与されるように含まれていればよいが、疾患、投与対象(動物)、その体重、重篤度、年齢、性別、投与方法等により適宜調整することができる。また、予防剤として使用する場合は、治療薬として使用する場合と比べてより少量〜同量としてもよい。
本発明の樹状細胞活性化用組成物が飲食品の場合、当業者が利用可能である任意の適切な方法によって、カードランオリゴを飲食品に含有させることができる。そのような飲食品を、機能性飲料、機能性食品とすることもでき、該飲食品を摂取することにより、癌、悪性腫瘍などの予防・改善、免疫活性化、アレルギーの予防・改善等の効果が期待できる。カードランオリゴは、液状、固体若しくは顆粒状に加工してから飲食品に含有させてもよい。あるいは飲食品中に直接混合又は溶解してもよいし、食品に塗布、被覆、浸透、吹き付けまたは埋め込んでもよい。カードランオリゴは、飲食品中に均一に分布していてもよいし、不均一に分布していてもよい。あるいはまた、カードランオリゴ自体を、固形成形したり、カプセルや糖衣錠等の形状に製剤したものも、本発明の飲食品に包含される。具体的な飲食品としては、例えばジュース、茶等の飲料、クッキー、せんべい、アイスクリーム、ゼリー等の菓子、サプリメント等の栄養補助食品が挙げられるが、これらに限定されない。
飲食品に含有されるカードランオリゴの量は、例えばヒトを対象とする場合、カードランオリゴの1日の摂取量として、好ましくは10mg〜1g、より好ましくは100mg〜300mgの範囲で配合されるように含まれていればよく、特に限定されない。また、ネコ、イヌ等のペットや、ラット、マウス等の実験動物のための飲食品にもカードランオリゴを含めることができる。さらに、これらの飲食品には、発色剤、香料、甘味料、保存剤、乳化剤、酸化防止剤、化学調味料、増粘剤、膨張剤等の各種添加物をさらに含めてもよい。
本発明の樹状細胞活性化用組成物が培地の場合、該培地はヒト、ラット、マウス等の樹状細胞(その前駆細胞でもよい)を培養して樹状細胞を活性化することに用いることができる。培地へのカードランオリゴの添加量は、好ましくは1〜200μg/ml、より好ましくは10〜50μg/mlであるが、培養対象の樹状細胞、培養条件、培養サイズ、培養方法、用いる培地などにより適宜調節可能であり、特に限定されない。樹状細胞用培地は、例えばRPMI 1640培地(日本製薬株式会社、株式会社ニチレイ、Invitrogen社、シグマアルドリッチジャパン株式会社)などの市販のものを用いることができる。
また、本発明の樹状細胞活性化用組成物を用いて、樹状細胞をin vitroで処理することにより活性化された樹状細胞を得ることができる。具体的には、カードランオリゴを含有する樹状細胞用培地で、樹状細胞(その前駆細胞でもよい)を培養すればよい。活性化樹状細胞は、例えば免疫の研究や、癌、悪性腫瘍、感染症、自己免疫疾患、アレルギー性疾患等の治療または予防に用い得る。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
(1)カードランオリゴの調製
カードランはキリンフードテック株式会社から購入した。カードランオリゴは、図1−1および図1−2のスキームに従って調製し、本実施例には図1−2の(3)精製低分子CRD−FDおよび(4)精製低分子CRD−SDを用いた。該カードランオリゴを1mg/mlで生理食塩水(大塚製薬株式会社)に溶解したものをオートクレーブ(121℃、20分)処理した。サンプルは凍結させ、用事溶解させた。
(2)対照となる高分子β−グルカン(SBG、standard beta-glucan)の調製
市販のマイタケ子実体を凍結乾燥し、乾燥粉末20gを測りとった。これを蒸留水500mLに懸濁し、αアミラーゼ(和光純薬)100mgを添加し、37℃で12時間反応させ、αグルカンを除去した。残渣を十分に蒸留水で洗浄し、蒸留水500mLを加えて、高圧蒸気滅菌器にて2時間抽出操作した。抽出物を除去し、残渣に0.5N NaOH 500mLを加え、4℃で攪拌しながら一晩抽出した。遠心分離にて抽出物を集め、中和、透析後に遠心分離して不溶物を除去した。可溶部をさらに十分に透析し、8M尿素溶液となるように尿素の粉末を加え、DEAE-Sephadex A25カラムを通して、酸性多糖画分を吸着除去した。通過画分を透析し、尿素を除去し、凍結乾燥して精製β−グルカン画分(SBG)を得た。SBGの収量は乾燥粉末あたり、約100mgであった。オートクレーブ(121℃、20分)処理した後に凍結させ、用事溶解させた。
(3)動物
雄性DBA/2マウスは日本SLC株式会社より購入した。マウスはspecific pathogen free(SPF)環境下で飼育された。
(4)培地
(a) Hank’s balanced salt solution(HBSS;株式会社ニッスイ)9.8g/lを注射用水(光製薬株式会社)に溶解後、オートクレーブにて滅菌し、Gentamycin sulfate(50μg/ml;和光純薬工業株式会社)、ヘパリン(5U/ml;和光純薬工業株式会社)及びNaHCO(0.35g/l;和光純薬工業株式会社)を添加して使用した(以下、該培地をHBSSという)。
(b) RPMI1640 medium(シグマアルドリッチジャパン株式会社)にGentamycin sulfateを50μg/ml添加し、後述の脾細胞の培養に使用した(以下、該培地をRPMIという)。
(5)サイトカインの測定(ELISA法)
Pharmingen社から抗体ならびに標準品を購入した。Pharmingen社の推奨する基本的なプロトコールに従い、以下のように実施した。
IFN−γ、IL−6、TNF−α、GM−CSFの各サイトカインに対する一次抗体を1〜5μg/mL溶液とし、Nuncプレートに吸着させた。アルブミンにてブロッキング操作し、培養液を添加した。標準品も同様に添加した。十分に洗浄後、二次抗体を添加し、POX標識を指標にサイトカインの産生濃度を測定した。
〔実施例1〕DBA/2マウスの骨髄由来樹状細胞におけるサイトカイン産生誘導
(a) 骨髄由来樹状細胞(bone marrow derived dendritic cell:BMDC)の培養
DBA/2マウスをCO麻酔により屠殺し、大腿骨を摘出した。HBSSを入れた1mlのシリンジにて大腿骨をfrashした。得られた細胞懸濁液を1200rpm×5分で遠心分離して細胞を得た。得られた細胞をRPMIで2回洗浄した後、白血球数の計測により細胞濃度を1×10cells/mlに調製した。その後、樹状細胞の分化増殖を誘導するため、サイトカインのrmGM−CSF(10ng/ml)、rmIL−4(5ng/ml)を含む5%FCS/RPMIに懸濁し、細胞培養用24穴プレートに1mlずつまき、37℃、5%COインキュベータにて2日間培養した。培養後、上清を静かに取り除き、新しいサイトカインと培地を再びプレートに添加した。さらに3日間培養したものをBMDCとして使用した。
(b) BMDCにおけるサイトカイン産生誘導
上記(a)で調製したDBA/2マウス由来BMDC培養系にカードランオリゴ(0、1、10、100ng/ml)を添加し、37℃で48時間培養した。培養後、上清を回収し、上清中のTNF−α、IL−6産生をELISAにて測定した。カードランオリゴの添加により、TNF−αおよびIL−6産生の誘導が観察された(図2)。従って、カードランオリゴは未成熟な樹状細胞に作用し、サイトカインの産生を誘導することが明らかとなった。
〔実施例2〕DBA/2マウス由来脾細胞におけるサイトカイン産生誘導
(a) 脾細胞の培養
DBA/2マウスをCO麻酔により屠殺し、脾臓を摘出した。RPMI中でmeshを用いてteaseした後、1200rpm×5分で遠心分離した。得られた細胞をACK-lysing buffer(8.29g/l;NKCl、1g/l;KHCO、37.2mg/l;EDTA・2Na)で処理し、RPMIで2回洗浄した。その後、白血球数の計測により細胞濃度を5×10cells/mlに調製し、10%の非働化FCSを含むRPMI(10%FCS/RPMI)に懸濁した。
(b) 脾細胞におけるサイトカイン産生誘導
(a)で調製した脾細胞を、細胞培養用24穴プレートに1mlずつまき、カードランオリゴ(0、1、10、100μg/ml)を添加し、37℃、5%COインキュベータにて48時間培養した。また、positive controlとして上記(2)で調製した可溶性β−グルカンのSBGを用い、カードランオリゴと同様にして培養した。上清を回収し、上清中のGM−CSF、TNF−α、IFN−γをELISAで測定した。
SBGを添加したものは、GM−CSF、TNF−α、IFN−γ産生の誘導が観察された。一方、カードランオリゴを添加したものは、SBGよりは弱いながらGM−CSFおよびIFN−γ産生の誘導が観察された。しかしながら、TNF−α産生の誘導は観察されなかった(図3、(a)の段)。
SBGによるサイトカイン産生には、GM−CSFが重要な役割を演じていることが報告されている(Harada T, Miura NN, Adachi Y, Nakajima M, Yadomae T, Ohno N., “Granulocyte-macrophage colony-stimulating factor (GM-CSF) regulates cytokine induction by 1,3-beta-D-glucan SCG in DBA/2 mice in vitro”, J Interferon Cytokine Res. 2004 Aug;24(8):478-89)。そこで、DBA/2マウス由来脾細胞培養系にrmGM−CSF(1ng/ml)を添加し、上記と同様にカードランオリゴまたはSBG(0、1、10、100μg/ml)で刺激したところ、カードランオリゴではIFN−γ産生の誘導は観察されたが、TNF−α産生の誘導は観察されなかった(図3、(b)の段)。カードランもSBGも可溶性β−グルカンであるが、β−グルカンの種類により誘導されるサイトカインの種類が上記のように異なっており、サイトカインの種類によりその誘導パターンが異なることが示唆される。
次に、SBGによるサイトカイン産生誘導に対してカードランオリゴが及ぼす影響を観察した。上記(a)で調製した脾細胞をrmGM−CSF(1ng/ml)共存下、37℃で培養し、1時間後にカードランオリゴ(0、1、10、100μg/ml)を添加した。さらに1時間培養後、SBG(100μg/ml)で刺激し、48時間37℃で培養した。上清を回収し、上清中のTNF−αおよびIFN−γをELISAで測定した。また、SBGの代わりに生理食塩水を用い、上記と同様にして培養し、ELISA測定を行った。
SBGにより誘導されるTNF−αの産生は、カードランオリゴの添加により低下した(図4)。一方、SBGにより誘導されるIFN−γの産生には、著しい影響を及ぼさなかった。
以上、実施例1および2に示したように、骨髄樹状細胞ならびに脾臓細胞培養系を用いてカードランオリゴの活性を標準β−グルカン(SBG)と比較したところ、下記の特徴があることが明らかとなった。
1.SBGならびにカードランオリゴは共に、骨髄樹状細胞からTNF−αならびにIL−6産生を惹起した(SBGの結果は省略している)。
2.脾臓細胞培養系では、SBGはGM−CSF産生能を有し、IFN−γならびにTNFを産生した。一方で、カードランオリゴはGM−CSF産生能をほとんど示さなかった。
3.脾臓細胞培養系において、GM−CSF共存下にカードランオリゴ刺激すると、IFN−γ産生が上昇した。しかし、このような条件でもTNF−α産生は起きなかった。
これらのことから、標準β−グルカンとは樹状細胞活性化能において著しい差のあることがわかった。即ち、標準β−グルカンはGM−CSF産生能を有し、それに伴い、IFN−γ産生能ならびにTNF産生能を示すが、カードランオリゴは、標準β−グルカンが示す活性の中で、骨髄樹状細胞からのサイトカイン産生ならびに脾臓でのIFN−γ産生を選択的に示した。
このように、β−グルカンがサイトカイン産生を選択的に制御できることは、本発明の樹状細胞活性化用組成物に含有されるカードランオリゴが初めてである。この活性は単に低分子化したことによって、十分な活性化に至らないという単純な発想ではなく、IFN−γは産生できるが脾臓細胞からTNF−αは産生させないという選択的なものである。
この選択性は、β−グルカンを食品や医薬品に応用する上において重要な特徴となる。例えば、過剰なTNF産生は発熱を惹起し、敗血症などを誘導するが、カードランオリゴはそのような有害作用を示さない可能性がある。
以上、本発明の樹状細胞活性化用組成物は極めて特徴的な活性を示すので免疫調節作用を指向した食品、医薬品の原料として有用性が高い。
特に医療分野における利用可能性が期待される。難治性の免疫疾患は多岐にわたり、治療法のめどの立たない疾患も多く、カードランオリゴはこれらの疾患の治療法の開発において有用なツールの一つとなるものと思われる。
低分子カードラン(カードランオリゴ)作製フローを示す。 低分子カードラン(カードランオリゴ)作製フローを示す。 DBA/2マウス由来BMDCにおけるカードランオリゴによるサイトカインの誘導を示す。パネルAはTNF−αの誘導、パネルBはIL−6の誘導を示す。 DBA/2マウス由来脾細胞におけるカードランオリゴによるサイトカインの誘導を示す。(a)の段のグラフは、培地にカードランオリゴまたはSBGを添加した場合を示す。(b)の段のグラフは、rmGM−CSFを添加した培地に、カードランオリゴまたはSBGを添加した場合を示す。 DBA/2マウス由来の脾細胞におけるSBGのサイトカイン誘導に対するカードランオリゴの影響を示す。

Claims (2)

  1. 平均分子量2000〜3000ダルトンのカードランオリゴを有効成分として含有する樹状細胞活性化用組成物。
  2. 請求項に記載の組成物を用いて樹状細胞をin vitroで処理することを含む、樹状細胞を活性化させる方法。
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