JP5350607B2 - グアニル酸シクラーゼ活性測定法 - Google Patents

グアニル酸シクラーゼ活性測定法 Download PDF

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Description

本発明は、ピルベートオルトホスフェートジキナーゼ(PPDK)を用いた試料中のグアニル酸シクラーゼ活性を簡便、迅速、かつ、高感度に検出する方法を提供することである。さらに、一酸化窒素(NO)を特異的に検出する方法に関する。
グアニル酸シクラーゼは、生体内においてシグナル伝達に関与する重要な酵素で、グアノシン三リン酸(GTP)からセカンドメッセンジャーの一種であるサイクリックGMP(cGMP)とピロリン酸を生成する。グアニル酸シクラーゼには、心房性ナトリウム利尿ペプチド受容体によって活性化されるもの(膜結合型グアニル酸シクラーゼ)や、NOによって活性化されるもの(可溶型グアニル酸シクラーゼ)が知られている。
また、グアニル酸シクラーゼに関連する医薬品等も多数開発されており、グアニル酸シクラーゼの活性促進剤、活性抑制剤等の研究が盛んに進められている。グアニル酸シクラーゼの活性を簡便で迅速に測定することは、細胞刺激物質に対する各種細胞の応答を調べる上で非常に重要であり、医学、薬学、バイオ研究、医薬品開発等の分野において大きな意味を持つ。
従来、グアニル酸シクラーゼ活性を測定するには、cGMPに特異的な抗体を用いて、cGMPの生成量を測定するラジオイムノアッセイ法やエンザイムイムノアッセイ法等が一般的に用いられている。しかし、いずれも標識したcGMPを競合的に反応させるアッセイ方法であるため、精度が悪く、微細な変化をとらえるのが困難である。また、作業も煩雑であるため、多大な時間と作業者の熟練を要する等の欠点がある。さらにラジオイムノアッセイ法では放射性物質を用いるため、作業者が被爆するおそれもあり、特別な施設も必要となる。
グアニル酸シクラーゼによってGTPから生成されるピロリン酸を検出することにより、グアニル酸シクラーゼ活性を測定する方法として、ニコチンアミドモノヌクレオチドアデニリルトランスフェラーゼ(EC 2.7.7.1)を用いる発光測定方法(例えば、特許文献1参照)が知られている。このほか、グアニル酸シクラーゼ活性に用いられた例はないが、簡便にピロリン酸を測定する方法としては、ATPスルフリラーゼ(EC 2.7.7.4)を用いる方法(例えば、非特許文献1参照)が知られている。
ニコチンアミドモノヌクレオチドアデニリルトランスフェラーゼやATPスルフリラーゼを用いる方法では、連続的に測定を行った場合、AMPが蓄積されるに従い、発光量が減少していくため、定量性に問題がある。また、ATPスルフリラーゼを用いる方法では、ATPスルフリラーゼの基質であるアデニロホスホスルフェート(APS)がATPに構造が類似しているため、ルシフェラーゼに対しても基質となり、発光反応が起こる。このため、バックグラウンド発光量が高くなり、感度が悪いという問題点がある。
可溶型グアニル酸シクラーゼを活性化することが知られているNOは、生体内ではNO生成酵素(NOS)によってアルギニンと酸素とから合成され、生体内生理活性物質として重要な機能を有している。
例えば、血管内皮細胞は、NOをシグナルとして周囲の平滑筋を弛緩させ、それにより動脈を拡張させて血流量を増大させる。このNOが有する生理活性作用を利用し、心臓の冠動脈を拡張させることにより血液供給を増大させる目的で、ニトログリセリン、亜硝酸アミル、一硝酸イソソルビド等の亜硝酸誘導体が心臓病の治療に用いられる。さらには、この生理活性作用を利用した発毛剤や勃起不全治療薬も開発されている。
免疫に関与する細胞の一種であるマクロファージは、病原体を殺傷するためにNOを産生する。逆に、敗血症では、マクロファージがNOを大量に産生し、それによる血管拡張が敗血症における低血圧症の主因になると考えられている。
また、NOは、生体内の神経伝達物質としても働く。シナプス間隙のみで働く多くの神経伝達物質と異なり、NOは広い範囲に拡散して直接接していない周辺の神経細胞にも影響を与える。このメカニズムは記憶形成にも関与すると考えられている。
すなわち、これらのNO産生の活性促進剤、活性阻害剤等を高感度、かつ、簡便で迅速に測定することは、医学、薬学、バイオ研究、医薬品開発、化学安全性評価等の分野において非常に大きな意味を持つ。
NO量を測定する方法としては、電子スピン共鳴法、オゾン化学発光法、Griess法及び蛍光法が一般的に使用されている。電子スピン共鳴法は感度が悪く、オゾン化学発光法は気相に限られるという欠点がある。また、Griess法は、NOが酸化するときに生じるNO によるジアゾニウム塩化合物とナフチレンジアミンのアゾカップリングを利用して、NO量を間接的に検出する方法であり、NO量を直接的に測定する方法ではなく、生成している物質がNO由来であるか又はNO 由来であるかを区別することができないという問題点を有している。
蛍光法としては、ジアミノナフタレン(DAN)やジアミノフルオレセイン(DAF)などの蛍光色素を用いる方法が使用されているが、ともにNOが酸化された物質を検出しており、やはり直接的にNO量を測定しているとは言えない。
また、DANやDAFは、両者ともに蛍光色素であるため励起光を必要とするため、励起光を必要としない化学発光、生物発光に比べて、検出装置が大型で、複雑で、かつ、高価になる等の問題点もある。
NOは、短寿命の不安定ラジカル種であり、細胞から放出されるとすぐに二酸化窒素に変化してしまうため、上記のGriess法や蛍光法では、生体内で有効に作用しているNO量を正確に測定することは困難である。特に、虚血剤開発等のようにNO生成を促進させる化学物質をスクリーニングする場合には、生体内で有効に作用しているNO量を直接的に測定できる特異性の高いNO量の測定方法が求められている。
さらに、NO量の測定は、生理的環境に近い温和な条件下で検出できることが望ましいが、上記のGriess法や蛍光法では、生理的条件下での検出が困難である。
NO生成酵素(NOS)は、L−アルギニンと酸素を基質とし、NADPH、FMN、FAD、テトラヒドロビオプテリンを補酵素として、L−シトルリンとNOの生成を触媒する酵素である。NOS活性は、慢性閉塞性肺疾患や動脈硬化などの疾患に関係しているといわれている。NOSには、酵素学的にもタンパク質分子としても異なる3種類のアイソフォームが存在し、それぞれ誘導型NO合成酵素(iNOS)、血管内皮型NO合成酵素(eNOS)、神経型NO合成酵素(nNOS)と呼ばれている。
NOS活性を測定する方法として、NOの生成を測定する他に、L−[guanidino−14C]arginineを基質として用いて、L−[guanidino−14C]citrullineの放射能を測定する方法が知られている。この方法は、高感度ではあるが、放射性物質を使用する方法であり、作業者が被爆するおそれがあり、特別な施設を必要とするばかりでなく、arginaseによって同じ物質ができるため注意が必要である。
また、グアニル酸シクラーゼ活性測定に基づくNOSの活性測定も報告されているが(例えば、特許文献2参照)、cGMPの検出に基づく方法であり、精度が悪く、煩雑で、感度が悪い等の問題がある。
特表2003−509601号公報 特表2007−512011号公報 Anal Biochem.1985年 151巻(2)、 p504-509
本発明の目的は、特異的に、簡便に、迅速に、かつ、高感度にグアニル酸シクラーゼを検出する方法を提供することである。さらに、当該グアニル酸シクラーゼ活性測定によるNOを検出する方法、NOS活性を測定する方法を提供することである。
本発明者らは、このような課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、PPDKを含む試薬を用いて、グアニル酸シクラーゼによって生成するピロリン酸を測定することにより、特異的に、簡便に、迅速に、かつ、高感度にグアニル酸シクラーゼ活性を測定することが可能であることを見出した。さらに、当該グアニル酸シクラーゼ活性を測定する方法を用いて、NOを検出すること、NOS活性を測定することにより上記課題を解決しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の発明を提供するものである。
(1)以下の(i)〜(iii)のステップを含むグアニル酸シクラーゼ活性の測定法。
(i)グアニル酸シクラーゼを含む試料とGTPとを反応させ、試料中に含まれるグアニル酸シクラーゼによってGTPを変換してcGMPとピロリン酸を生成させるステップ
(ii)上記(i)で生成させたピロリン酸を、ピルベートオルトフォスフェートジキナーゼの触媒活性の下で、ホスホエノールピルビン酸、AMPと反応させることによってATPを生成させるステップ
(iii)上記(ii)で生成させたATPを発光法若しくは発色法により測定するステップ
(2)以下の(i)〜(iii)のステップを含むグアニル酸シクラーゼ活性の測定法。
(i)グアニル酸シクラーゼを含む試料とGTPとを反応させ、試料中に含まれるグアニル酸シクラーゼによってGTPを変換してcGMPとピロリン酸を生成させるステップ
(ii)上記(i)で生成させたピロリン酸を、ピルベートオルトフォスフェートジキナーゼの触媒活性の下で、ホスホエノールピルビン酸、AMPと反応させることによってATPを生成させるステップ
(iii)上記(ii)で生成させたATPを、ルシフェラーゼの触媒活性の下で、ルシフェリンと反応させることによって発生するする発光量を測定するステップ
(3)上記(1)又は(2)記載のグアニル酸シクラーゼ活性測定法を用いた、一酸化窒素の検出方法。
(4)上記(1)又は(2)記載のグアニル酸シクラーゼ活性測定法を用いた、一酸化窒素合成酵素の活性測定方法。
(5)以下の(i)〜(iii)のステップを含むことを特徴とする、グアニル酸シクラーゼ活性を測定するためのキット。
(i)グアニル酸シクラーゼを含む試料とGTPとを反応させ、試料中に含まれるグアニル酸シクラーゼによってGTPを変換してcGMPとピロリン酸を生成させるステップ
(ii)上記(i)で生成させたピロリン酸を、ピルベートオルトフォスフェートジキナーゼの触媒活性の下で、ホスホエノールピルビン酸、AMPと反応させることによってATPを生成させるステップ
(iii)上記(ii)で生成させたATPを発光法若しくは発色法により測定するステップ
(6)以下の(i)〜(iii)のステップを含むことを特徴とする、グアニル酸シクラーゼ活性を測定するためのキット。
(i)グアニル酸シクラーゼを含む試料とGTPとを反応させ、試料中に含まれるグアニル酸シクラーゼによってGTPを変換してcGMPとピロリン酸を生成させるステップ
(ii)上記(i)で生成させたピロリン酸を、ピルベートオルトフォスフェートジキナーゼの触媒活性の下で、ホスホエノールピルビン酸、AMPと反応させることによってATPを生成させるステップ
(iii)上記(ii)で生成させたATPを、ルシフェラーゼの触媒活性の下で、ルシフェリンと反応させることによって発生するする発光量を測定するステップ
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)グアニル酸シクラーゼの活性測定ステップ
グアニル酸シクラーゼの活性測定には、原理的に以下の3つのステップが含まれる。
(i) ピロリン酸を生成させるステップ
具体的には、グアニル酸シクラーゼを含む試料とGTPとを反応させ、試料中に含まれるグアニル酸シクラーゼによってGTPを変換してcGMPとピロリン酸を生成させるステップ
(ii) ATPを生成させるステップ
具体的には、上記(i)で生成させたピロリン酸を、ピルベートオルトフォスフェートジキナーゼの触媒活性の下で、ホスホエノールピルビン酸、AMPと反応させることによってATPを生成させるステップ
(iii) ATPを測定するステップ
具体的には、上記(ii)で生成させたATPを発光法若しくは発色法により測定するステップ
これらの(i)〜(iii)のステップは、それぞれ別に行わせてもよいし、(i)〜(ii)を同時に行ったり、(ii)〜(iii)を同時に行ったり、さらには(i)〜(iii)を同時に行ったりすることも可能である。
(2)グアニル酸シクラーゼ
本発明の(i)ピロリン酸を生成させるステップにおいて、試料中の測定対象となるグアニル酸シクラーゼには、可溶型グアニル酸シクラーゼ及び膜結合型グアニル酸シクラーゼがある。さらに、さまざまな由来や複数のアイソフォームのグアニル酸シクラーゼがあるが、グアニル酸シクラーゼは、その種類を問わない。
可溶型グアニル酸シクラーゼを試薬として一定濃度加え、サンプルに含まれるNOを検出することやNOSの活性測定を行うことも可能である。
NOによる可溶型グアニル酸シクラーゼの活性化は、NOによる特異的な反応であり、二酸化窒素等も含めた窒素酸化物を測定する方法よりも、生体内で真に有効に作用しているNOをより正確に検出することが可能になる。
NOの検出やNOSの活性測定で用いられる可溶型グアニル酸シクラーゼには、NOによって活性化される性質を持つ任意の可溶型グアニル酸シクラーゼが用いられる。可溶型グアニル酸シクラーゼにはいくつかのアイソフォームがあるが、NOによって活性化する性質をもっていればいずれも使用できる。また、これらを遺伝子組換えにより製造したもの等が挙げられる。
(3)GTP
本発明の(i)ピロリン酸を生成させるステップにおいて使用するGTPは、ルシフェラーゼを用いた発光法の場合、ATPと構造が類似しているため、わずかではあるがルシフェラーゼの基質となり発光し、バックグラウンドとなる。
したがって、GTP濃度は、測定器の感度やルシフェラーゼ濃度等にあわせて最適化することが望ましく、1×10−9〜1×10−3Mが望ましい。
GTPの代わりに、ルシフェラーゼに対して反応性はGTPより比較的低いが、グアニル酸シクラーゼへの反応性を維持したGTP誘導体を使用しても構わない。
GTP誘導体を用いる場合には、1×10−7〜1×10−1Mが望ましい。GTPの代わりにGTP誘導体を用いることにより、GTPがルシフェラーゼの基質となり、発光してしまうことによるバックグラウンドを抑制することが可能となる。
発色法の場合においても、ATPを変換するキナーゼや脱水素酵素等の基質特異性により、GTPによるバックグラウンド発色への影響が異なるため、GTP濃度は最適化することが望ましい。この場合もGTPの代わりにGTP誘導体を使用しても構わない。GTP濃度は、1×10−9〜1×10−3Mが望ましく、GTP誘導体を用いる場合には、1×10−7〜1×10−1Mが望ましい。
(4)ピルベートオルトホスフェートジキナーゼ
本発明の(ii)ATPを生成させるステップにおいて使用するピルベートオルトホスフェートジキナーゼ(PPDK;EC2.7.9.1)は、マグネシウムイオン存在下で、AMP、ホスホエノールピルビン酸及びピロリン酸に作用して、ATP、ピルビン酸及びリン酸を生じる反応を触媒し、その逆の反応も触媒する酵素である。その理化学的性質及び製法についても既に知られており、入手は比較的に容易である。PPDKには、植物由来又は微生物由来のPPDKが知られている。
植物由来のPPDKとしては、例えば、トウモロコシ葉由来[Biochemistry 12、p2862−2867 (1973)]及びサトウキビ葉由来[The Biochemical Journal 114、p117−125(1969)]のPPDKが挙げられる。
微生物由来のPPDKとしては、例えば、プロピオニバクテリウム・シェルマニ(Propionibacterium shermanii)[Biochemistry 10、p721−729(1971)]、アセトバクタ−・キシリナム(Acetobacter xylinum)[Journal of Bacteriology(1970)]、バクテロイデス・シンビオサス(Bacteroides symbiosus)[Metoods in Enzymology 42、p199−212(1975)]及びミクロビスポ−ラ属[例えば、ミクロビスポ−ラ・サ−モロ−ザ(Microbispora thermorosea)IFO14047]等に属する微生物の生産するPPDKが挙げられる。特に、ミクロビスポ−ラ・サ−モロ−ザ由来のPPDKは、非常に熱安定性に優れており、このPPDKを用いることにより、安定性に優れた生物発光試薬を開発することが可能になる。本発明に用いられるPPDKの濃度は、0.001〜100U/ml(終濃度)であることが望ましい。また、ホスホエノールピルビン酸の濃度は、0.01〜0.5mM(終濃度)であることが望ましい。AMPの濃度は、0.001〜0.1mM(終濃度)であることが望ましい。本発明に用いられる他の金属イオンとは、2価の陽イオンが好ましく、具体的にはマンガンイオンなどが挙げられる。マグネシウムイオン、マンガンイオンなどの金属イオンの濃度は、0.001〜100mM(終濃度)であることが望ましい。
本発明の(iii)ATPを測定するステップには、発色法と発光法がある。
(5)発色法
発色法には、ピロリン酸からATPを生成する酵素を用いてATPを生成させ、該ATPにヘキソキナーゼ又はグリセロールキナーゼ等のキナーゼ及びグルコ−ス6リン酸脱水素酵素又はグリセロール3リン酸脱水素酵素等の脱水素酵素を用い、NADH又はNADPHを生成させ、該NADH又はNADPHにテトラゾリウム塩の存在下、フェナジンメト硫酸塩(PMS)、1−メトキシフェナジンメト硫酸塩(1−mPMS)、フェナジンエト硫酸塩(PES)、9−ジメチルアミノベンゾ―α―フェナゾキソニウムクロライド(メルドラブルー)又はジアフォラーゼ等の電子伝達体を作用させ、生成するホルマザン色素を測定したり、該NADH又はNADPHから電子伝達体を経由して生成する電子を酸素に受容させることにより過酸化水素を生成させ、該過酸化水素を測定したりする方法がある(特開2006−187251号公報)。
発光法と比較すると、感度や測定可能範囲の点で劣るが、発光検出装置(ルミノメーター)よりも広く普及している吸光度計を使用することができるため、すでに吸光度計を所有する測定者にとっては発光検出装置の導入コストを抑えられるという利点を有する。
(6)発光法
PPDKを用いた発光法は、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応によるATP測定法とPPDKを組み合わせたサイクリング法であり(米国特許5891659、Anal Biochem. 2004年、333号、p296−302)、高感度で、かつ、1.6×10−10〜1×10−7Mという幅広い濃度範囲のピロリン酸を測定できるため、高感度で、かつ、幅広い濃度範囲のグアニル酸シクラーゼ活性測定に適している。
PPDKを用いてピロリン酸を測定する場合、基質となるホスホエノールピルビン酸やAMPはルシフェラーゼの基質とならないため、バックグラウンド発光量を低値に抑え、高感度にピロリン酸を測定することが可能になり、結果として高感度なグアニル酸シクラーゼ活性測定が可能になる。
また、PPDKとルシフェラーゼのサイクリング反応によるピロリン酸測定では、発光阻害物であるAMPもサイクリングされるため、AMP濃度は一定であり、反応が進むにつれて、AMPが蓄積されて、発光量が低下することはなく、定量性に優れた測定が可能である。
このように優れた特徴を有するPPDKを使用することにより、高感度で、簡便で、スループット性に優れたグアニル酸シクラーゼ活性測定法が可能となり、さらに、この方法を用いてグアニル酸シクラーゼの活性促進剤や活性抑制剤等、活性に影響を与える物質のスクリーニングを行うことが可能となる。
(7)ルシフェラーゼ
ルシフェラーゼとしては、ルシフェリン−ルシフェラーゼ系によるATP測定に用いられている任意のルシフェラーゼが挙げられる。ルシフェラーゼは、例えば、ゲンジボタル、ヘイケボタル、アメリカボタル等由来のルシフェラーゼ、あるいはこれらのルシフェラーゼを遺伝子組換えにより製造したもの等が望ましい。
ルシフェラ−ゼの濃度は、0.1μg/ml(終濃度)以上、好ましくは1〜1000μg/ml(終濃度)が望ましい。ルシフェリンの濃度は、0.1μM(終濃度)以上、好ましくは1〜10,000μM(終濃度)が望ましい。
(8)試薬
なお、本発明の試薬には、酵素反応、発光反応を円滑に行わせるために、種々の化合物を添加してもよい。このような化合物としては、例えば、安定化剤、界面活性剤、賦活剤等が挙げられる。すなわち、PPDKの賦活剤としては、塩化マンガンや硫酸アンモニウム(0.1〜100mM(終濃度))を使用することができる。また、ルシフェラーゼの安定剤として、ジチオスレイトール(0.1〜10mM(終濃度))、EDTA(0.1〜10mM(終濃度))、BSA(0.01〜10%(終濃度))などを使用することができる。そして、反応系の安定化剤としてTricine緩衝液やHEPES緩衝液(20〜200mM(終濃度))などを使用することができる。
(9)検出装置
本発明は、蛍光物質を使用する方法ではなく、発光検出による方法であるため、高価で大型な励起光照射装置を必要とせず、検出装置を低価格化、小型化することができる。
また、本発明に使用しているPPDK−ルシフェラーゼ発光試薬のATP−ピロリン酸のサイクリング反応は、発光反応で消費したATPをAMPとピロリン酸を使ってATPに再生されるため、発光量が持続する。高濃度のルシフェラーゼを試薬に添加することにより、高発光、かつ、持続型の発光試薬を作製することができる。そのため、高価で高感度な光電子増倍管のような検出部は必要とならない。すなわち、感度的には若干劣るが、低価格で小型のフォトダイオードを使用した装置やCCDカメラを使用したイメージング装置でも十分安定して測定することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、実施例は本発明を何ら限定するものではない。
1.<試薬の調製>
以下の物質を各終濃度になるように添加溶解して調製し、実験に使用した。
(1)基質溶液(pH7.7)
1×10−7M グアノシン三リン酸(オリエンタル酵母社製)
2mM 塩化マンガン(和光純薬工業社製)
1mM ジチオトレイトール(和光純薬工業社製)
0.1% BSA(シグマ社製)
20mM Tricine(同仁化学社製)
(2)PPDK−ルシフェラーゼ発光試薬(pH6.7)
0.234U/ml PPDK(キッコーマン社製)
5.5GLU/ml ルシフェラーゼ(キッコーマン社製)
10mM 酢酸マグネシウム(和光純薬工業社製)
0.2mM D−ルシフェリン(YMC社製)
0.04mM ホスホエノールピルビン酸(シグマ社製)
0.0125mM AMP(オリエンタル酵母社製)
0.1% BSA(シグマ社製)
0.0025U/ml アピラーゼ(シグマ社製)
30mM BES(同仁化学社製)
(3)グアニル酸シクラーゼ溶液(pH7.7)
可溶型グアニル酸シクラーゼ(和光純薬工業社製)
2mM 塩化マンガン(和光純薬工業社製)
1mM ジチオトレイトール(和光純薬工業社製)
0.1% BSA(シグマ社製)
20mM Tricine(同仁化学社製)
(4)NOC7溶液
10mM NOC7(同仁化学社製)
0.1M NaOH
2.<グアニル酸シクラーゼ活性測定>
実施例1(1)記載の基質溶液1mlに、実施例1(3)記載のグアニル酸シクラーゼ溶液(グアニル酸シクラーゼの終濃度:0、10、50、100、500、1000ng/ml)を加え、25℃にて10分間インキュベートした。インキュベート後に0.01mlずつサンプリングし、実施例1(2)記載のPPDK−ルシフェラーゼ発光試薬0.1mlに添加し、そのとき生じる発光量をルミテスターC−100N(キッコーマン社製)にて測定した。その結果を、図1に示した。図1の結果は、グアニル酸シクラーゼを含まないサンプルの発光量を差し引いた値を示した。
図1の結果から、グアニル酸シクラーゼ活性を10−3,000ng/mlの間の幅広い濃度範囲で、簡便、かつ、高感度に測定することができ、さらには、グアニル酸シクラーゼの活性促進、活性抑制等の活性に影響を及ぼす物質のスクリーニングに応用することが可能になることがわかる。
3.<NOの検出>
実施例1(1)記載の基質溶液1mlを25℃にて予備加温し、そこに、終濃度が100ng/mlになるように実施例1(3)記載の可溶型グアニル酸シクラーゼ溶液を加え、さらに、実施例1(4)記載のNOC7溶液を0.01ml加え、25℃にてインキュベートした。NOC7を添加した直後と10分後に反応液を0.01mlずつサンプリングし、生じたピロリン酸を測定した。
ピロリン酸量の測定は、サンプリングした0.01mlの反応液を、実施例1(2)記載のPPDK−ルシフェラーゼ発光試薬0.1mlに添加し、発光量をルミテスターC−100N(キッコーマン社製)にて測定した。
その結果を図2に示した。図2の発光量は、添加直後の発光量を10分後の発光量から差し引いたものを示した。
図2の結果から、NO発生剤であるNOC7を添加したサンプル(図2中のNOC7(+))のほうが、NOC7を添加していないサンプル(図2中のNOC7(−))と比較して、約25倍高い発光量を示した。この方法により、NOを簡便、かつ、高感度に検出可能であることがわかる。また、可溶型グアニル酸シクラーゼの活性化は、NOに対して特異的な反応であるため、発光量の増加もNOに対して特異的なものであり、その他の窒素酸化物も測定してしまう方法よりも優れていることがわかる。この方法は、NOの測定ばかりでなく、NOSの活性測定やNOSの活性促進剤や活性抑制剤等の活性に影響を与える物質のスクリーニング等へも応用できる。
グアニル酸シクラーゼの検量線を示す。縦軸は、発光量(RLU)グアニル酸シクラーゼ濃度(ng/ml)を示す。 NOC7添加による発光量の変化を示す。NOC7を添加したサンプル(NOC7(+))とNOC7を添加しないサンプル(NOC7(−))を示す。

Claims (3)

  1. 以下の(i)〜(iii)のステップを含む、グアニル酸シクラーゼが10ng/ml以上の濃度範囲におけるグアニル酸シクラーゼ活性測定法
    (i)グアニル酸シクラーゼを含む試料とGTPとを反応させ、試料中に含まれるグアニル酸シクラーゼによってGTPを変換してcGMPとピロリン酸を生成させるステップ
    (ii)上記(i)で生成させたピロリン酸を、ピルベートオルトフォスフェートジキナーゼの触媒活性の下で、ホスホエノールピルビン酸、AMPと反応させることによってATPを生成させるステップ
    (iii)上記(ii)で生成させたATPを、ルシフェラーゼの触媒活性の下で、ルシフェリンと反応させることによって発生するする発光量を測定するステップ
  2. 請求項1記載のグアニル酸シクラーゼ活性測定法を用いた、一酸化窒素の検出方法。
  3. 請求項1記載のグアニル酸シクラーゼ活性測定法を用いた、一酸化窒素合成酵素の活性測定方法。
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