JP5348553B2 - 水中接近警報装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、作業基地からの距離の如何に関わらず、測定対象物の位置を正確に把握し、必要に応じて警報を発することを可能とするものである。
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
本項に記載の水中接近警報装置は、全ての送受波局が送信局又は受信局として機能することが可能であり、又、演算器に各送受波局の送受信信号が集められる。そして、演算器にて任意の送受波局間の距離を把握し、必要に応じ、警報表示器により接近警報を表示するものである。なお、接近警報の手法としては、警報音、モニタへの警告表示、パトライト(登録商標)などのランプの点燈等、適宜選択されるものである。又、警報レベルにも、安全、注意、危険といった段階を設けることとしても良い。
本項に記載の水中接近警報装置は、演算器によって送信局に割振られた送受波局からの送信波を、演算器によって受信局に割振られた送受波局において受信し、演算器に対し有線でその距離を伝達することにより、送信局と各受信局との距離を把握し、送信局の位置を割り出すものである。しかも、送信局として割振る送受波局と、受信局として割振る送受波局とを適宜交換して、各送受波局間の送受波を行うことで、各送受波局の相対位置を多方面から把握するものである。
本項に記載の水中接近警報装置は、演算器において、送信局として割振られた送受波局から発信された送信波が、受信局として割振られた送受波局により受信されるまでの時間が、送信局として割振られた送受波局と、受信局として割振られた送受波局との間の距離データに変換されるものである。又、上記(2)項のごとく、送信局として割振る送受波局と、受信局として割振る送受波局とを適宜交換して、各送受波局間の送受波を行い距離データを得られる場合に、各送受信局の三次元位置を把握するものである。そして、特定の送受波局間の距離が予め設定された距離よりも接近した場合には、警報表示器に接近警報を表示するものである。
本項に記載の水中接近警報装置は、前記制御部から、基準局として割振り振られた3個の送受波局を基準として、潜水作業に係る潜水士又は作業機械の作業基地に設置された3個の送受波局に対する、移動局に割振られた、水中の測定物体としての、潜水士又は作業機械に設置された残りの送受波局の、位置を把握するものである。
本項に記載の水中接近警報装置は、少なくとも1つの前記移動局から送信された送信波が、前記基準局で受信不可能な場合、例えば、基準局に対する移動局の距離が遠くなり、送信波の受信が不能若しくはS/Nの劣化が顕著となる様な場合や、いずれかの送受信局に不具合が生じたような場合には、補完的に、各移動局間の送信波の送受信を行うことで、移動局間の距離を直接的に把握するものである。
本項に記載の水中接近警報装置は、少なくとも1つの前記移動局から送信された送信波が、前記基準局で受信不可能な場合には、各移動局間で受信された送信波を優先的に各移動局間の距離判定に用いることで、移動局間の距離を直接的に把握するものである。
本項に記載の水中接近警報装置は、各送受波局自体がSBL方式の受信器を備えるものであり、送信局の送信波を各受信局で受信し、各送受波局間の距離を、各々の送受波局単独の受信情報に基づき把握することも可能である。
本発明の実施の形態に係る水中接近警報装置20は、水中での潜水作業における安全性を確保するために用いられるものであり、図1に示されるように、複数の送受波局TRn(TR1〜TR5)と、全ての送受波局に有線接続される演算器22と、警報表示器24とを含むものである。本発明の実施の形態では、全ての送受波局TR1〜TR5は、図2に示されるように、通信部26、位置計測部28、送受信部30、送受波器32を備えている。ここで用いられる送受波器32は、図3に示されるように、3個の受信器R1、R2、R3を備えることで、それ自体がいわゆるSSBL(Super Short Base Line)を構成するものである。又、送受波器は2つの音源(例えば超音波送信器)T1、T2を備えており、発振周波数を適宜選択することも可能である。
ここで、制御部34は、後述のように、複数の送受波局TRnの中から、任意の1個の送受波局を送信局として割振り、残りの送受波局を受信局として割振る制御ロジックを備えている。又、送信局として割振る送受波局と、受信局として割振る送受波局とを適宜交換して、各送受波局間の送受波を行う制御ロジックを備えている。
〔S10〕:オペレータによる計測開始指令を受けて、演算器22の制御部34では、任意の1個の送受波局(例えばTR5)を送信局として割振り、残りの送受波局(例えばTR1〜TR4)を受信局として割振る。
〔S20〕:演算器22のトリガー発生部38より、計測要求に係るトリガー信号が送信局(TR5)に送られる。
〔S30〕:S20と同時に、演算器22のトリガー発生部38より、計測要求に係るトリガー信号が受信局(TR1〜TR4)に送られる。
〔S40〕:送信局(TR5)の送受信部30が起動し、送受波器32の音源T1(又はT2)から送信波が出力される。
〔S50〕:S40と同時に、受信局(TR1〜TR4)の位置計測部28のカウンターがリセットされる。そして、送受信部30が起動し、送受波器32の各受信器R1、R2、R3により音源からの送信波の受信が確認されると、位置計測部28のカウンターが停止される。
〔S60〕:各受信局(TR1〜TR4)の位置計測部28のカウンター値が演算器22の位置演算部36に送られ、ここで、各受信局(TR1〜TR4)の受信時間が距離データに変換され、送信局(TR5)から各受信局(TR1〜TR4)までの距離が求められる。
そして、演算器22の制御部34では、全ての送受信局TRnが送信局として割振られるまで、上記S10〜S60を繰り返す。例えば、S10〜S60を1サイクル1秒で、かつ、0.25間隔で実行する。
〔S70〕:演算器22において、各送受信局TRnの三次元位置を演算し、位置表示処理がなされる。そして、安全、注意、危険というような、段階的な危険レベルの判定を行う(後述する)。これらの情報が警報表示器24に送られ、表示部42に表示される。又、収録部44に計測データが保存処理される。
〔S110〕:プログラムが起動され、計測を開始する。
〔S120〕:サンプルを開始する。ここで行われる作業は、図4のS10〜S60が該当する。
〔S130〕:各送受信局TRnの三次元位置から、特定の送受信局間の距離が危険レベルまで近すぎていないかを判定する。
〔S140〕:S130において危険と判断された場合には、演算器22の制御部34から、危険画面表示指令を警報表示器24の表示部42に送信する。
〔S150〕:S130において危険と判断されない場合には、危険レベルに近づきつつあるか、即ち警告を発する必要があるか否かを判定する。
〔S160〕:S150において警告を発する必要があると判断されると、演算器22の制御部34から、警告画面表示指令を警報表示器24の表示部42に送信する。
〔S170〕:S150において警告を発する必要がないと判断されると、演算器22の制御部34から、通常画面表示指令を警報表示器24の表示部42に送信する。
〔S180〕:全ての送受信局TRnが送信局として割振られ、計測が終了するまで、S120〜S170の判定を繰り返す。
〔S190〕:S180において、計測終了が確認されると、計測プログラムを終了する。
なお、上記S140、S160、S170での接近警報の手法としては、上述のモニタへの表示のみならず、警報音の発報、パトライト(登録商標)などのランプの点燈等を選択し、又は併用することも可能である。
更に、制御部34には、少なくとも1つの移動局TR4(TR5)から送信された送信波が、基準局TR1、TR2、TR3で受信不可能な場合に、各移動局TR4、TR5間で送信波の送受信を行う制御ロジックが含まれている。具体的には、図6〜図8に示されるとおりである。
〔S210〕:演算器22の制御部34では、移動局1(TR4)を送信局として割振り、移動局1(TR4)の送受波器32の音源T1(又はT2)から送信波SW1を発射する。
〔S220〕:基準局(TR1、TR2、TR3)の各受信器(R1、R2、R3)で送信波SW1を受信する。
〔S230〕:基準局(TR1、TR2、TR3)で受信した3個の受信信号より、演算器22の位置計測部28で、各基準局から移動局1(TR4)までの三軸X・Y・Zの距離を算出する。
〔S240〕:演算器22の制御部34で、移動局2(TR5)を送信局として割振り、移動局2(TR5)の送受波器32の音源T1(又はT2)から送信波SW2が出力される。
〔S250〕:基準局(TR1、TR2、TR3)の各受信器(R1、R2、R3)で送信波SW2を受信する。
〔S260〕:基準局(TR1、TR2、TR3)で受信した3個の受信信号より、演算器22の位置計測部28で、各基準局から移動局2(TR5)までの三軸X・Y・Zの距離を算出する。
〔S270〕:S230及びS260で求められた移動局(TR4、TR5)の三軸X・Y・Zの距離から、演算器22において、移動局間の距離を求める。
〔S280〕:演算器22から警報表示器24に情報が送られ、表示部42に移動局(TR4、TR5)間の距離と、各移動局の位置(X・Y・Z)が表示される。
〔S290〕:移動局(TR4、TR5)間の距離が、所定値より小さい場合に、警報表示器24の表示部42より警報を発する。警報発報の手順は、図5のS120〜S180に沿って行われる。
〔S210〕:演算器22の制御部34では、移動局1(TR4)を送信局として割振り、移動局1(TR4)の送受波器32の音源T1(又はT2)から送信波SW1を発射する。
〔S220〕:基準局(TR1、TR2、TR3)の各受信器(R1、R2、R3)で送信波SW1を受信する。
〔S230〕:基準局(TR1、TR2、TR3)で受信した3個の受信信号より、演算器22の位置計測部28で、各基準局から移動局1(TR4)までの三軸X・Y・Zの距離を算出する。
〔S240〕:演算器22の制御部34で、移動局2(TR5)を送信局として割振り、移動局2(TR5)の送受波器32の音源T1(又はT2)から送信波SW2が出力される。
〔S300〕:基準局(TR1、TR2、TR3)の各受信器(R1、R2、R3)で送信波SW2を受信できない。
〔S310〕:演算器22の位置計測部28では、各基準局から移動局2(TR5)までの三軸X・Y・Zの距離は算出できない。
〔S320〕:演算器22の制御部34において、再度、移動局1(TR4)又は移動局2(TR5)を送信局として割振り、移動局1(TR4)から送信波SW1、又は、移動局2(TR5)から送信波SW2を発射し、これを受信局に割振られた移動局で受信する。そして、演算器22の位置計測部28で、移動局1(TR4)と移動局2(TR5)との間の距離を直接的に求める。
〔S330〕:演算器22から警報表示器24に情報が送られ、表示部42に移動局(TR4、TR5)間の距離と、移動局1(TR4)の位置(X・Y・Z)が表示される。このとき、移動局2(TR5)の位置(X・Y・Z)は表示されない。
〔S340〕:移動局(TR4、TR5)間の距離が、所定値より小さい場合に、警報表示器24の表示部42より警報を発する。警報発報の手順は、図5のS120〜S180に沿って行われる。
〔S210〕:演算器22の制御部34では、移動局1(TR4)を送信局として割振り、移動局1(TR4)の送受波器32の音源T1(又はT2)から送信波SW1を発射する。
〔S400〕:基準局(TR1、TR2、TR3)の各受信器(R1、R2、R3)で送信波SW1を受信できない。
〔S410〕:演算器22の位置計測部28では、各基準局から移動局1(TR4)までの三軸X・Y・Zの距離は算出できない。
〔S420〕:演算器22の制御部34では、移動局2(TR5)を送信局として割振り、移動局2(TR5)の送受波器32の音源T1(又はT2)から送信波SW2を発射する。
〔S430〕:基準局(TR1、TR2、TR3)の各受信器(R1、R2、R3)で送信波SW2を受信できない。
〔S440〕:演算器22の位置計測部28では、各基準局から移動局2(TR5)までの三軸X・Y・Zの距離は算出できない。
〔S450〕:演算器22の制御部34において、再度、移動局1(TR4)又は移動局2(TR5)を送信局として割振り、移動局1(TR4)から送信波SW1、又は、移動局2(TR5)から送信波SW2を発射し、これを受信局に割振られた移動局で受信する。そして、演算器22の位置計測部28で、移動局1(TR4)と移動局2(TR5)との間の距離を直接的に求める。
〔S460〕:演算器22から警報表示器24に情報が送られ、表示部42に移動局(TR4、TR5)間の距離のみ表示され、移動局1、2(TR4、TR5)の位置(X・Y・Z)は表示されない。
〔S470〕:移動局(TR4、TR5)間の距離が、所定値より小さい場合に、警報表示器24の表示部42より警報を発する。警報発報の手順は、図5のS120〜S180に沿って行われる。
まず、本項に記載の水中接近警報装置20は、全ての送受波局TR1〜TRnが送信局又は受信局として機能することが可能であり、演算器22に各送受波局TR1〜TRnの送受波信号が集められる。そして、演算器22によって送信局に割振られた送受波局(例えばTR5)からの送信波を、演算器22によって受信局に割振られた送受波局(例えばTR1〜TR4)において受信し、演算器22に対し有線でその距離を伝達することにより、送信局の位置を割り出すものである。そして、演算器22にて任意の送受波局間の距離を把握し、任意の送受波局間の距離が予め設定された距離よりも接近した場合に、警報表示器24に接近警報を表示するものである。
Claims (5)
- 水中の測定物体間の距離を検知して接近警報を発する水中接近警報装置であって、
水中の測定物体に設置される複数の送受波局と、演算器と、警報表示器とを含み、前記演算器と全ての前記送受波局、及び、前記演算器と前記警報表示器が、相互に信号の授受を行うように有線接続され、
前記演算器には、任意の1個の送受波局を送信局として割振り、残りの送受波局を受信局として割振る制御ロジック、及び、送信局として割振る送受波局と、受信局として割振る送受波局とを交換して、各送受波局間の送受波を行う制御ロジックを備える制御部が含まれ、
前記送信局として割振られた送受波局から発信された送信波が、前記受信局として割振られた送受波局により受信されるまでの時間に基づき、前記送信局として割振られた送受波局と、前記受信局として割振られた送受波局との間の距離が、前記演算器において求められ、特定の送受波局間の距離が予め設定された距離よりも接近した場合に、前記警報表示器に接近警報が表示されるように構成されていることを特徴とする水中接近警報装置。 - 前記制御部には、水中の測定物体としての、潜水作業に係る潜水士又は作業機械の作業基地に設置された3個の送受波局を基準局として割振り、水中の測定物体としての、潜水士又は作業機械に設置された残りの送受波局を移動局として割振る制御ロジックが含まれることを特徴とする請求項1記載の水中接近警報装置。
- 前記制御部には、少なくとも1つの前記移動局から送信された送信波が、前記基準局で受信不可能な場合に、各移動局間の送信波の送受信を行う制御ロジックが含まれることを特徴とする請求項2記載の水中接近警報装置。
- 前記制御部には、少なくとも1つの前記移動局から送信された送信波が、前記基準局で受信不可能な場合に、各移動局間で受信された送信波を各移動局間の距離判定に用いる制御ロジックが含まれることを特徴とする請求項2記載の水中接近警報装置。
- 前記送受波局に3個以上の受信器が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の水中接近警報装置。
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