以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。先ず、図1乃至図8を参照して実施形態に係るパチンコ遊技機の全体について説明する。図1は、実施形態に係るパチンコ機1の外枠2に対して本体枠3を開放し、本体枠3に対して扉枠5を開放した状態を示す斜視図であり、図2は、パチンコ遊技機の正面から見た斜視図であり、図3は、パチンコ機1の正面図であり、図4は、パチンコ機1の側面図であり、図5は、パチンコ機1の平面図であり、図6は、パチンコ機1の背面図であり、図7は、パチンコ機1を構成する外枠2、本体枠3、遊技盤4、扉枠5の後方から見た分解斜視図であり、図8は、パチンコ機1を構成する外枠2、本体枠3、遊技盤4、扉枠5の前方から見た分解斜視図である。
図1乃至図8において、本実施形態に係るパチンコ機1は、島(図示しない)に設置される外枠2と、該外枠2に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4を装着し得る本体枠3と、該本体枠3に開閉自在に軸支され且つ前記遊技盤4に形成されて球が打ち込まれる遊技領域605を遊技者が視認し得る遊技窓101と該遊技窓101の下方に配置され且つ遊技の結果によって払出される球を貯留する貯留皿としての皿ユニット300とを備えた扉枠5と、を備えて構成されている。
外枠2には、その下方前方に表面が装飾カバー板15によって被覆されている下部前面板14が固着されている。また、本体枠3には、上記したように遊技盤4が着脱自在に装着し得る他に、その裏面下部に打球発射装置650と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット1100が取り付けられ、本体枠3の後面開口580(図7参照)を覆うカバー体1250が着脱自在に設けられている。更に、扉枠5には、上記した皿ユニット300の他に、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット250と、ハンドル装置460とが設けられている。そして、本実施形態の特徴は、扉枠5に設けられる皿ユニット300が1つであり、しかも、従来は本体枠3に設けられていたハンドル装置460が扉枠5に設けられ、また、扉枠5と本体枠3とが正面から見てほぼ同じ方形の大きさであるため、正面から本体枠3が視認できなくした点である。以下、パチンコ機1を構成する部材について詳細に説明する。
外枠2について、主として図9乃至図13を参照して説明する。図9は、外枠2の正面斜視図であり、図10は、同外枠2の正面から見た分解斜視図であり、図11は、同外枠2の正面図であり、図12は、同外枠2の背面図であり、図13は、図11のB−B断面図(A)と図13(A)のC−C断面図(B)、D−D断面図(C)、E−E断面図(D)である。
図9及び図10において、本実施形態に係る外枠2は、上下の上枠板10及び下枠板11と左右の側枠板12,13とを、それぞれの端部を連結するための連結部材19で連結することによって方形状に組み付けられるものである。具体的には、連結部材19は、中央と左右とに段差のある表彰台状に形成され、突出した中央の部分が上枠板10及び下枠板11の両端部中央に形成された係合切欠部20に嵌合され、一段下がった左右の部分の平面に上枠板10の裏面と下枠板11の上面とが当接し且つ一段下がった左右の部分の一側面に側枠板12,13の内側面が当接するようになっている。
そして、その状態で、上枠板10の係合切欠部20の両側方及び下枠板11の係合切欠部20の両側方にそれぞれ形成される挿通穴21と連結部材19の一段下がった左右の部分の平面に形成される複数(図示の場合2個)の連結穴22(図10の上枠板10と側枠板12とを連結する連結部材19に表示するが、他の連結部材19にも存在する)とを一致させて上方又は下方から複数(図示の場合2本)の連結ビス23で止着し、更に、側枠板12,13の上下端部分に穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴24と連結部材19の一段下がった左右の部分の側面に形成される複数(図示の場合3個)の連結穴25とを一致させて側方外側から複数(図示の場合3本)の連結ビス26,27で止着することにより、上下の上枠板10及び下枠板11と左右の側枠板12,13とが強固に連結固定される。ただし、3本の連結ビス26,27のうち、1本の連結ビス27は、側枠板12,13と連結部材19とを連結するものではなく、上枠板10及び下枠板11と連結部材19とを側方から直接連結するものである。
外枠2を構成する上枠板10と下枠板11、及び側枠板12,13のうち、上枠板10と下枠板11とは従来と同じ木製であり、側枠板12,13は、軽量金属、例えば、アルミニュウム合金の押出し成型板により構成されている。上枠板10及び下枠板11を従来と同じ木製で構成した理由は、パチンコ機1を遊技場に列設される島に設置する場合に、島の垂直面に対し所定の角度をつけて固定する作業を行う必要があるが、そのような作業は上枠板10及び下枠板11と島とに釘を打ち付けて行われるため、釘を打ち易くするためである。一方、側枠板12,13をアルミニュウム合金の押出し成型板により構成した理由は、従来の木製に比べ強度を維持しつつ肉厚を薄く形成することができるため、側枠板12,13の内側に隣接する本体枠3の側面壁540〜543(図23参照)の正面から見たときの左右幅を広くすることができる。このため左右方向の寸法の大きな遊技盤4を本体枠3に装着することができることになり、結果的に遊技盤4の遊技領域605を大きく形成することができるからである。ただし、側枠板12,13をアルミニュウム合金の平板で構成すると、充分な剛性が確保できないため、図13(C)に示すように、側枠板12(側枠板13も全く同じ構造である。)の後方部分内側にリブによって後方が開放した空間部28(側枠板13の空間部28は図12に表示)を形成して後方部分の肉厚h1が厚くなるように引き抜き成型されている。もちろん、この肉厚h1は、従来の木製の肉厚と同等若しくは若干薄い寸法となっている。
また、図13(B),(D)に示すように、側枠板12の空間部28の前方には、連結部材19の一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる溝部29(側枠板13の溝部29は図9に表示)が形成されている。側枠板12の溝部29から前端部までは、図13(B)〜(D)に示すように、その内側面が連結部材19の一段下がった左右の部分の他方の部分が当接する平板状をなすものであるが、その平板部に材料軽減のための浅い凹部が形成されている。更に、前記溝部29が形成される反対側の面(外側面)には、図9及び図13(B)に示すように、上支持金具45の垂下片部53が挿入される凹部30(側枠板13の凹部30は図10に表示)が形成されている。
そして、上記のように形成される軸支側の側枠板12には、連結部材19を取り付けるための構成以外に、その上部に上支持金具45の垂下片部53を側枠板12の外側に止着ビス32で止着するための取付穴31が穿設されると共に、その下部に下支持金具66の垂直当接片72に形成される取付穴69と一致させて止着ビス34で止着するための取付穴33が穿設されている。また、取付穴33の下部であって側枠板12の前方部分に側枠板12と下部前面板14とを止着ビス36で止着するための取付穴35が形成されている。
一方、開放側の側枠部13には、連結部材19を取り付けるための構成以外に、その上部に閉鎖用突起38を取付ネジ39で取り付けるための取付穴37が穿設され、その下部に閉鎖用突起41を取付ネジ42で取り付けるための取付穴40が穿設されると共に、さらに最下方に側枠板13と下部前面板14とを止着ビス44で止着するための取付穴43が形成されている。
なお、この閉鎖用突起38,41は、外枠2に対して本体枠3を閉じる際に、本体枠3の開放側辺に沿って取り付けられる錠装置1000のフック部1054,1065(図67参照)と係合するものであり、後に詳述するように錠装置1000のシリンダー錠1010に鍵を差し込んで一方に回動することにより、フック部1054,1065と閉鎖用突起38,41との係合が外れて本体枠3を外枠2に対して開放することができるものである。
また、下枠板11と左右の側枠板12,13の下部前面に固定される下部前面板14は、閉止時においてその上面に本体枠3が載置されるものであり、下部前面板14の表面及び側面は、装飾カバー板15によって被覆されているが、装飾カバー板15の裏面に、その後端に弾性爪が形成される止着突起16(図12参照)が突設され、その止着突起16が下部前面板14に貫通される止着穴17に貫通させられることにより下部前面板14に取り付けられている。なお、外枠2の装飾カバー板15の開放側の上面には、本体枠3の閉止時に該本体枠3をスムーズに案内するための案内板18が交換可能に装着されている。
ところで、本体枠3を開閉自在に軸支する構造として、上枠板10と側枠板12とを連結する機能も兼用する上支持金具45と下部前面板14の一側上面に沿って取り付けられる下支持金具66とが設けられている。上支持金具45には、前方に突出している支持突出片46に該支持突出片46の側方から先端中央部に向かって屈曲して形成された支持鉤穴47が形成されており、この支持鉤穴47に本体枠3の後述する上軸支金具503の軸支ピン504(図25参照)が着脱自在に係合されるようになっている。
また、下支持金具66も前方に突出した形状に形成されているが、この突出した部分に上向きに支持突起68が突設され、この支持突起68に本体枠3の後述する枠支持板506(図26参照)に形成される支持穴が挿入される。したがって、外枠2に本体枠3を支持するためには、下支持金具66の支持突起68に本体枠3の枠支持板506に形成される支持穴を係合させた後、本体枠3の上軸支金具503の軸支ピン504を支持鉤穴47に掛け止めることにより簡単に開閉自在に軸支することができる。
また、上支持金具45は、上枠板10の軸支側の上面及び前面に凹状に形成される取付段部49に装着されるものであるが、その装着に際し、上支持金具45に形成される複数(図示の場合2個)の取付穴48と取付段部49に穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴50とを一致させて取付ビス51を上方から差し込み、上枠板10の裏面から押し当てられる挟持板52に止着することにより上支持金具45が上枠板10に堅固に固定される。
また、上支持金具45の外側側方には、側枠板12の外側に当接する垂下片部53があり、その垂下片部53にも取付穴が穿設され、この取付穴と前記取付穴31とを止着ビス32で止着することにより、上支持金具45と側枠板12とを固定すると共に、上枠板10と側枠板12とを上支持金具45を介して連結している。
一方、下支持金具66は、前述したように側枠板12の取付穴33と垂直当接片72の取付穴69とを一致させた状態で止着ビス34で止着し、さらに、下支持金具66の水平面の中程に穿設される取付穴70に取付ネジ71を差し込むことにより、前記装飾カバー板15を介して前記下部前面板14の上面に止着されるものである。
上記のように構成される外枠2において、その構成部材である上枠板10と下枠板11と側枠板12,13とを連結部材19で連結することにより、連結部材19が側枠板12,13の内面に密着して止着されると共に連結部材19と上枠板10及び下枠板11が係合した状態で止着されるので、その組み付け強度が高く頑丈な方形状の枠組みとすることができる。上記した連結部材19と上枠板10及び下枠板11との係合状態に加え、連結部材19の側枠板12,13への取り付けに際し、溝部29に連結部材19の一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる構造であるため、連結部材19の側枠板12,13への取り付けが強固となり、これによっても方形状の枠組みの強度を向上することができると共にその位置決めを正確に行うことができる。
また、連結部材19によって上枠板10、下枠板11、側枠板12,13を連結した後、上支持金具45を所定の位置に取り付けたときに、図11及び図12に示すように、各枠板10,11,12,13の外側面(外周面)から外側に突出する部材は存在しないので、パチンコ機1を図示しないパチンコ島台に設置する際に、隣接する装置(例えば、隣接する玉貸器)と密着して取り付けることができる。また、下支持金具66を取り付けたときにも、下部前面板14の上面と下支持金具66の上面とがほぼ同一平面となるようになっている。
次に、上記した本体枠3の前面側に開閉自在に設けられる扉枠5について、図14乃至図19を参照して説明する。図14は、扉枠5の正面図であり、図15は、扉枠5の背面図であり、図16は、図14に表示されるA−A断面図であり、図17は、図14に表示されるB−B断面図であり、図18は、扉枠5の正面から見た分解斜視図であり、図19は、扉枠5の背面から見た分解斜視図である。
図14、図15、図18及び図19に示すように、扉枠5は、方形状に形成される扉枠本体100の上部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、該遊技窓101の前面周囲に扉レンズユニット120が取り付けられ、また、遊技窓101の下方の板状部の前面に扉枠本体100に皿ユニット300が設けられ、その皿ユニット300の一側(開放側)にハンドル装置460の操作ハンドル461が突設固定されている。また、扉枠本体100の裏面には、遊技窓101の周囲に補強板金210が固定され、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット250が取り付けられると共に、前記遊技窓101の下方の板状部の裏面に、前記操作ハンドル461に対応するジョイントユニット480、装着台280、及び枠装飾中継基板290がそれぞれ取り付けられている。なお、ガラスユニット250の裏面下部には、防犯機能を有する防犯カバー270も装着されている。以下、扉板5を構成する上記の各構成部材のより詳細な構造について説明する。
図18及び図19に示すように、扉枠本体100は、合成樹脂によって額縁状に形成され、前述したように上方部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、その遊技窓101の下方が板状部となっている。遊技窓101の上部左右には、後述するスピーカ163を貫通させる円形状のスピーカ用開口102が形成され、そのスピーカ用開口102の下方に後述するガラスユニット250の止め片254を係止するための止めレバー108(図15参照)が回動自在に設けられている。なお、本実施形態に係る遊技窓101は、従来に比べて上下方向及び左右方向の寸法が大きくなった遊技盤4が取り付けられるため、遊技窓101の上下方向及び左右方向の寸法も大きくなっている。このため、後述する扉枠レンズユニット120の形状が従来一般的に知られているものと大きく相違する。
一方、遊技窓101の下方の板状部には、軸支側上部に皿ユニット300の賞球連絡樋451が貫通する賞球通過口103が開設され、その斜め中央寄りに後述する側面開口蓋406を脱着するための蓋用開口105が開設され、その蓋用開口105の開放側の隣接する位置に球送りユニット287を装着するための球送り開口104が開設され、さらに球送り開口104のさらに開放側寄りにシリンダー錠1010が貫通するための錠穴106が開設されている。
また、球送り開口104の下方の板状部の裏面側にジョイントユニット480を取り付けるためのジョイントユニット装着凹部107が形成され、同じく下方の板状部の裏面側の遊技窓101の下部左右にガラスユニット250の掛止突片255を掛け止めるための係合受片(図示せず)が形成され、その係合受片の側方に防犯カバー270の後述する装着弾性片273が装着される装着開口部110が形成されている。また、板状部の前面中央には、前方に向って後述する皿ユニット300の案内穴456(図16参照)に挿入される係合突起111が形成されている。更に、扉枠本体100の下辺は、後方に突出した扉枠突片112となっており、後述するように、この扉枠突片112と本体枠3に形成される係合溝584,585とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成するものである。
次に、上記した扉枠本体100の前面側の上部に取り付けられる扉レンズユニット120の構成について説明する。扉レンズユニット120は、前面側を反射面とするリフレクタと、リフレクタの前面及び内側に取り付けられる冷陰極管及びLED基板と、リフレクタの前方を覆う光透過性のあるレンズカバー150と、レンズカバー150に取り付けられるスピーカ163と、レンズカバー150のベースとなるレンズベース体121と、から構成されている。
レンズカバー150は、レンズベース体121における上レンズカバー部151と、側方レンズカバー部156,157とが透過性の樹脂によって形成されている。そして、前述したように扉枠本体100に形成される遊技窓101の開口寸法が従来よりも大きく形成されているため、扉枠本体100の外周辺と遊技窓101の内周辺との間の寸法、換言するならば、レンズカバー150が取り付けられるための寸法(特に、左右両側部の寸法)が狭くなっているため、本実施形態におけるレンズカバー150は、上レンズカバー部151と側方レンズカバー部156,157のすべての最大前方突出部において、その基部寸法(扉枠本体100に当接する部分の幅寸法)に対して前方に向って突出する突出寸法が大きくなるような断面楔形状となっている。より詳細に説明すると、上レンズカバー部151及び側方レンズカバー部156,157は、共に白色レンズ部として断面楔状の前方膨出部が合成樹脂で成形され、その白色レンズ部の下部後端の遊技窓101を縁取る内側に着色の異なる合成樹脂で成形された赤色レンズ部を連結して構成されるものである。
ところで、上レンズカバー部151は、内部が空洞で後方が開放した断面楔状に形成されると共に平面視においてブーメラン形状に構成されるものであり、前述した「く」字状に形成される上冷陰極管とその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。そして、上レンズカバー部151の楔状先端部外側には、銀色に着色された不透明な先頭モール部材154が固着されており、上レンズカバー部151のほぼ全体に相当する断面楔状の前方膨出面を上冷陰極管で照明している。また、側方レンズカバー部156,157は、内部が空洞で後方が開放して断面楔状に形成される点で上レンズカバー部151と同様であるが、側方視において楔状の突出量が上レンズカバー部151に比べて少なく、また全体としてなだらかな曲線を有するブーメラン形状に構成されるものであり、前述した直線状に形成される側方冷陰極管とその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。
また、本実施形態において、扉枠5の前面周囲を装飾する照明手段として冷陰極管を使用している理由は、以下の通りである。扉枠5の前面周囲を装飾する際に、発光源とその発光源の前面に配置されるレンズカバーの距離をあまり大きく取ることができないという制約がある。この制約は、扉枠5は常に開閉されるため、あまり突出量を大きくすると、開放時における作業等に支障を来たすおそれがあるからである。しかして、発光源とレンズカバーとの間の距離があまりとれない状況において、従来のように、発光源として、ランプやLEDを点在させた場合に、レンズカバーを通して視認できる光装飾は、連続した状態の光装飾が視認できるものではなく光が強い部分と弱い部分との斑模様に視認できるに過ぎない。これに対し、本実施形態のように、発光源として連続した冷陰極管を使用した場合に、冷陰極管とレンズカバー150との距離が短くても、レンズカバー150を通して視認できる光装飾は、連続した状態の美しい光装飾が視認できるものである。このため、正に遊技盤4を囲む領域が連続した美しい光装飾により縁取られた状態となるので、従来のパチンコ遊技機にはない装飾効果を奏することができる。なお、発光源とレンズカバーとの距離をある程度とることができる場合には、LED等の点在する発光源を使用しても光が拡散してレンズカバーの全域をあまり強弱がなく照明することができる。
更に、レンズカバー150の側方レンズカバー部156,157の下方に装飾部材取付領域184が形成され、その装飾部材取付領域184に装飾部材185が取り付けられている。この装飾部材185は、上記したスピーカカバー165と類似した形状にして、レンズカバー150を扉枠本体100の表面に取り付けたときに、レンズカバー150の上部左右と下部左右とがバランスのとれた印象を与えるために取り付けられるものである。なお、上記したスピーカカバー165及び装飾部材185は、上記したように単にスピーカ163の前方を覆ったり、あるいはレンズカバー150の下部を装飾したりするだけではなく、その周囲がLEDで光装飾される構造となっている。
以上、詳述したように、本実施形態に係るスピーカカバー165及び装飾部材185は、扉枠5の遊技窓101を囲む領域において、前述した冷陰極管及びLED基板による光装飾とは別に四隅を重点的に光装飾するように構成されているので、遊技窓101の下辺を除く全周が漫然と光によって装飾されるのではなく、強弱のある光装飾とすることができる。特に、扉枠5の左右上部における光装飾は、従来、スピーカだけが配置される傾向が強く、そのスピーカ周りの光装飾が行われないため遊技窓101の外周周りの光装飾に斑がある印象を与えていたが、本実施形態のように構成することにより、遊技窓101の下辺を除く全周を効果的に光装飾を行うことができるものである。
扉枠本体100の前面側には、上記した扉レンズユニット120が取り付けられると共にその下方に皿ユニット300が取り付けられる。ここで、皿ユニット300の構造を説明する前に、扉枠本体100の裏面側に取り付けられる補強板金210、ガラスユニット250、防犯カバー270、装着台280、枠装飾中継基板290、ハンドル装置460について順次説明する。先ず、補強板金210について主として図18、図19、及び図15乃至図17を参照して説明する。
補強板金210は、図18及び図19に示すように、扉枠本体100の上辺部裏面に沿って取り付けられる上側補強板金211と、扉枠本体100の軸支側辺部裏面に沿って取り付けられる軸支側補強板金212と、扉枠本体100の開放側辺部裏面に沿って取り付けられる開放側補強板金213と、扉枠本体100の遊技窓101の下辺裏面に沿って取り付けられる下側補強板金214と、が相互にビス等で締着されて方形状に構成されるものである。
図18に示すように、軸支側補強板金212の上下端部には、その上面に上下方向に摺動自在に設けられる軸ピン219を有する上軸支部218と、その下面に軸ピン221(図15参照)を有する下軸支部220と、が一体的に形成されている。そして、上下の軸ピン219,221が本体枠3の軸支側上下に形成される上軸支金具503及び下軸支金具509に軸支されることにより、扉枠5が本体枠3に対して開閉自在に設けられるものである。
下側補強板金214は、所定幅を有して扉枠本体100の横幅寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁のうち下方長辺端縁が後方に向って折曲した下折曲突片229となっており、上方長辺端縁の両側部が後方に向って折曲した上折曲突片230となっているものの、その両側部の上折曲突片230に挟まれる部分が垂直方向に延設される垂直折曲突片231となっている。下折曲突片229の突出量はあまり大きくなく、この下折曲突片229が溝部や凹部と係合して凹凸係合をなすものではなく、強度を高めるために形成されているのに対し、両側部の上折曲突片230の突出量は下折曲突片229の突出量よりもやや大きく下方からの不正具の侵入を多少防止するが、むしろ、本実施形態における下側補強板金214の構成で最も特徴的な構成は、垂直折曲突片231である。
この垂直折曲突片231は、その上端縁形状が後述するガラスユニット250のユニット枠251の下端形状に合致するように凹状に形成され、ガラスユニット250を扉枠5の裏面側に固定したときに、垂直折曲突片231の上端片がガラスユニット250のユニット枠251の幅方向のほぼ中央の外周に沿って形成される係合溝261に係合するようになっている(図17参照)。なお、下側補強板金214には、扉枠本体100に形成される賞球通過口103の底面を除く外周を保護する賞球通過口被覆部228が形成されている。
次に、扉枠5の裏面に取り付けられる透明板ユニットとしてのガラスユニット250について説明する。ガラスユニット250は、図18及び図19に示すように、遊技窓101よりも大きな開口を有する合成樹脂で成型した環状の縦長八角形状のユニット枠251と、ユニット枠251の開口の外周前後面に2枚の透明板としてのガラス板262(ガラス板でなくても透明な合成樹脂板でもよい。)を(ホットメルト系接着剤で)接着することにより構成されるものである。なお、図示は省略するが、ユニット枠251には、内部に乾燥剤を封入する乾燥剤封入空間部が形成されている。
次に、上記したガラスユニット250の下部裏面を被覆して遊技盤4への不正具の侵入を防ぐ防犯機能が付与された防犯カバー270について、主として図15、図17、図18、及び図19を参照して説明する。防犯カバー270は、図示するように、透明な合成樹脂によって左右の補強板金212,213の間のガラスユニット250の下方部を覆うような平板状に形成され、その上辺部が遊技盤4の内レール603の下方円弧面に沿った円弧状の当接凹部271として形成されていると共に、その当接凹部271に沿って後方に向って防犯後突片274が突設されている。また、防犯カバー270を取り付けた状態で軸支側裏面には、防犯後端部突片275が斜め状に突設形成されている。一方、防犯カバー270の前面には、防犯カバー270を取り付けた状態で前記ガラスユニット250のユニット枠251の下方形状に沿った防犯前突片272が突設されると共に、下部両端にU字状に形成される装着弾性片273が前方に向けて突設形成されている。
上記のように構成される防犯カバー270は、装着弾性片273を扉枠本体100に形成される装着開口部110に装着することにより、扉枠5の裏面側に着脱自在に取り付けられる。そして、取り付けた状態では、図17に示すように、防犯前突片272がガラスユニット250のユニット枠251の後方下片面と対面するようになっている。また、防犯前突片272の前端は、垂直折曲突片231と当接している。また、防犯後突片274及び防犯後端部突片275は、後方へ突出した状態となっているが、扉枠5を閉じたときに、防犯後突片274の軸支側の半分は、遊技盤4に固定される内レール603の下側面に侵入して対面した状態となるが、防犯後突片274の開放側の半分は、遊技領域区画枠部材601の内レール603に形成されたレール防犯溝607に挿入された状態となり、また、防犯後端部突片275は、本体枠3の軸支側に形成される前記防犯突起608の上面に沿って重合状の位置となる(図30参照)。
しかして、防犯カバー270を取り付けて扉枠5を閉じた状態においては、前述した扉枠突片112と係合溝584,585とによる防犯構造、及び後述する防犯突片285と防犯空間586とによる防犯構造に加えて、ガラスユニット250の下方から不正具を侵入させようとしても、防犯前突片272とユニット枠251との重合により、防犯カバー270の前面下方方向からの不正具の侵入が防止され、防犯後突片274と遊技領域区画枠部材601を構成する内レール603との重合により、防犯カバー270の後面下方方向からの不正具の侵入が防止される。特に、扉枠5の軸支側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、防犯突起608と防犯後端部突片275との重合構造によって外レール602への不正具の侵入が阻止され、さらに内レール603と防犯後突片274との重合構造によって遊技盤4の遊技領域605への不正具の侵入を阻止することができる。同様に、扉枠5の開放側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、前述した開放側補強板金213の二重の折曲突片223,225による防犯構造に加えて、レール防犯溝607と防犯後突片274との凹凸係合によりさらに遊技盤4の遊技領域605への不正具の侵入を阻止することができる。なお、防犯カバー270の裏面側の防犯後突片274と防犯後端部突片275との間の垂直面は、扉枠5を閉じた状態で外レール602と内レール603とで形成される打球の誘導通路の前面下方部分を覆うものであるため、当該誘導通路部分を飛送若しくは逆送する打球のガラス板262への衝突を防止する機能も有している。
装着台280は、図15、図18、及び図19に示すように、扉枠本体100の板部裏面の上半分を覆うように取り付けられるものであり、防犯カバー270と同様に透明な合成樹脂によって前方が開放した横長直方体状に形成されるものである。この装着台280は、発射レール515から発射された球をスムーズに遊技盤4に導くために、扉枠5を閉めたときに装着台280の後面と本体枠3の板部511とによって発射レール515を挟持するように形成されるものであり、このため、装着台280の後面に球飛送誘導面286が形成されている。ところで、本実施形態に係る装着台280には、その軸支側上部に下側補強板金214に形成される賞球通過口被覆部228の後方突出部を貫通させる賞球通過口用開口281が形成され、その開放側下部に球送りユニット287を取り付ける球送りユニット取付凹部282が形成されている。この球送りユニット取付凹部282から斜め方向の領域が球飛送誘導面286となっている。また、球送りユニット取付凹部282に取り付けられる球送りユニット287は、後述する打球発射装置650の打球槌687の往復動差に対応して揺動する球送り部材が設けられ、この球送り部材の揺動動作によって皿ユニット300の誘導通路部の流下端にある球を発射レール515の発射位置に1個ずつ供給するものである。また、装着台280の中程下部に後述する側面開口蓋406を取り外す際に指を入れることができる蓋用開口283が形成されている。更に、装着台280の上辺の一部に垂直に立設される立壁284が形成されている。この立壁284は、図15に示すように、前記防犯カバー270を取り付けたときに、該防犯カバー270の前面と当接して防犯カバー270の下部が前方に移動しないように規制するためのものである。
更に、本実施形態に係る装着台280の特徴は、上述した球飛送誘導面286の下方から賞球通過口用開口281にかけて斜め状に防犯突片285が後方に向って突設される構造である。この防犯突片285は、前述したように、本体枠3の板部511に形成される防犯空間586との間で、扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成するものである。
上記した装着台280の下部の軸支側には、図15及び図18に示すように、枠装飾中継基板290が取り付けられ、その枠装飾中継基板290の後面を覆う中継基板カバー291が取り付けられている。この枠装飾中継基板290は、扉枠5に設けられる電飾部品や電気部品(冷陰極管、LED基板、スピーカ163、操作ハンドル461内に設けられるスイッチ、貸球ユニット327、操作ボタンユニット329等)からの配線が集約して接続され、その枠装飾中継基板290からの配線が本体枠3の裏面に取り付けられる基板ユニット1100に組み込まれる扉中継基板1102等を介しての賞球払出制御基板や遊技盤4に取り付けられる主基板ボックス624の主制御基板2800(図78参照)に接続されている。
次に、主として図14、図18及び図19を参照して皿ユニット300の構成について説明する。皿ユニット300は、大きく分けて外観を構成するユニット枠301と、ユニット枠301の内部に取り付けられる下部スピーカユニット340と、下部スピーカユニット340の上部に配置され且つ前記ユニット枠301の上面に臨むように設けられる皿体380と、皿体380に設けられる第二球抜弁の球抜き動作をするための第二球抜きリンクユニット(図示せず)と、ユニット枠301の後面を閉塞する皿蓋板450と、から構成されている。
ユニット枠301には、貸球ユニット327が備えられている。この貸球ユニット327は、パチンコ機1に隣接して球貸し機が設けられている場合に、貸出指令を導出するスイッチや貸出残表示器等が設けられるものである。また、ユニット枠301には、上面の前方中央に操作ボタンユニット329が備えられている。なお、操作ボタンユニット329は、複数(図示の場合は3個)の操作ボタンを有して構成されているが、この複数の操作ボタン330は、遊技盤4に設けられる装飾図柄表示器631等で行われる遊技内容に遊技者が参加する際に操作されるものである。
更に、皿ユニット300には、ユニット枠301の上面右側に、第一球抜ボタン316が配置されていると共に、ユニット枠301の中央下部に、第二球抜リンクユニットの一部を構成する第二球抜ボタン421が配置されている。なお、本実施形態において、第一球抜ボタン316と第二球抜ボタン421の2つの球抜ボタン316,421を設けたのは、第一球抜ボタン316の操作によって、皿体380の貯留部381及び誘導通路部に貯留されているすべての球を球抜きすることができるものの、その球抜動作は、誘導通路部382で一列状に整列された球を球抜するために多少時間がかかるのに対し、第二球抜ボタン421の操作によって、皿体380の貯留部381から上流側の球を径の大きな第二球抜開口から素早く球抜することができるため、球抜時間を短くすることができる。このため、遊技者が球抜きにかける時間の長短を選択することができるものである。
また、遊技中に大当りとなった場合に皿ユニット300に大量の球が払出されることになり、これを放置して遊技を継続すると皿ユニット300の上流側に設けられる満タンスイッチ916(図57参照)が機能して払出動作が停止されたり弾発動作が停止されて大当り中であるにもかかわらず遊技が継続できなくなるおそれがあり、このような場合に、第二球抜ボタン421の操作を行うことにより、皿ユニット300に貯留されつつある球を球抜すると同時に発射位置への球の供給を維持して大当り中の遊技を継続することができるようになっている。
次に、扉枠5の開放側下部に取り付けられるハンドル装置460について、主に図18、図19、及び図20を参照して説明する。図20は、ハンドル装置460と本体枠3に設けられる打球発射装置650との関係を示す斜視図である。ハンドル装置460は、扉枠5の開放側下部前面に設けられる操作ハンドル461と、操作ハンドル461に対応する扉枠5の裏面に組み付けられて操作ハンドル461の回動操作に応じて回転する回転軸465と連携され且つ回転軸465の回転運動をスライド運動に変化させるジョイントユニット480と、から構成されている。
このハンドル装置460には、図示は省略するが、操作ハンドル461を回転操作するとONとなるマイクロスイッチと、マイクロスイッチがONとなっている状態で押圧操作するとマイクロスイッチがOFF状態となる単発ボタンと、操作ハンドル461の外周表面に施された導電性のメッキを介して遊技者の操作ハンドル461への接触を検知するタッチセンサとを備えている。そして、遊技者が操作ハンドル461を回動してマイクロスイッチがONとなり且つタッチセンサが接触を検出しているときに打球発射装置650の後述する発射モータ695(図37参照)が回転駆動されるようになっている。また、回転軸465の先端には、勾玉状に形成されたカムが固定されており、このカムが回転することで、ジョイントユニット480のスライド突片492が左右方向に移動するようになっている。
このジョイントユニット480のスライド突片492のスライド移動が、図20に示すように、打球発射装置650のスライド部材710に伝達されて打球発射装置650の付勢バネ684(図37参照)の張力を調節し、もって打球槌687の付勢力の強弱を調整して遊技者の望む打球の弾発力を得ることができる。なお、ハンドル装置460と打球発射装置650との関係については、打球発射装置650(本発明の発射装置に相当する)についての説明の後で詳細に説明する。
次に、遊技盤4が前面側から着脱自在に装着し得ると共に、打球発射装置650と、賞球を払い出すための賞球タンク720とタンクレール部材740と球通路ユニット770と賞球ユニット800と満タンユニット900と、外枠2に対する本体枠3の施錠及び本体枠3に対する扉枠5の施錠を行う錠装置1000と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット1100と、後面開口580を覆うカバー体1250と、等の各種の部品が本体枠主体500に装着されることにより構成される本体枠3について、図面を参照して説明する。
先ず、図21〜図29を参照して、上記した各種の部品が装着される本体枠主体500及び各種の部品が装着された本体枠3について説明する。図21は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の正面図であり、図22は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の背面図であり、図23は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の側面図であり、図24は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の背面から見た斜視図であり、図25は、部品を取り付けた本体枠3の前方から見た斜視図であり、図26は、部品を取り付けた本体枠3を外枠2に軸支した状態を前方から見た斜視図であり、図27は、部品を取り付けた本体枠3の背面図であり、図28は、部品を取り付けた本体枠3の背面から見た斜視図であり、図29は、パチンコ機1の中程(主基板ボックス624部分)の水平線で切断したパチンコ遊技機の断面平面図である。
図21において、本体枠主体500の一側上下には、本体枠3を外枠2に開閉軸支するための上軸支金具503及び下軸支金具509(共に図25参照)を取り付けるための軸支金具取付段部501,502が形成され、この軸支金具取付段部501,502に上軸支金具503及び下軸支金具509を取り付けた状態では、本体枠主体500の上辺及び側辺が上軸支金具503の上辺及び側辺とほぼ同一平面状となり、本体枠主体500の下辺及び側辺が下軸支金具509の下辺及び側辺とほぼ同一平面状となっている(図27参照)。ここで、上軸支金具503と下軸支金具509について図25と図27を参照して説明する。上軸支金具503は、本体枠主体500の裏面に取付部を有すると共にその上端辺が前方に突出し、その前方に突出した上面に軸支ピン504が立設固定され、その軸支ピン504の側方に扉軸支穴505が穿設されている。一方、下軸支金具509は、本体枠主体500の裏面に取付部を有すると共にその下端辺及びやや上部に2つの支持板506,507が一体的に突設されている。下方に位置する支持板506は、本体枠3を外枠2の下支持金具66に支持するための枠支持板506を構成するものであり、上方に位置する支持板507は、扉枠5の下軸支部220を本体枠3に支持するための扉支持板507を構成するものである。このため、枠支持板506に外枠2の下支持金具66の支持突起68を挿入するための軸支穴(図示しない)が形成され、扉支持板507に扉枠5の下軸支部220に突設される軸ピン221を挿入するための軸支穴508が穿設されている。
ところで、本体枠主体500は、正面から見た場合に、長方形状に形成され、その上部の約3/4が遊技盤4を設置するための遊技盤設置凹部510(図25参照)となっており、その遊技盤設置凹部510の下方のやや奥まった領域が板部511となっている。また、遊技盤設置凹部510を囲む前面側の前面上辺部及び前面開放側辺部は、扉枠5の裏面と対面するように所定幅を有して形成されており、前面上辺部には、横方向に平行状に突設される突起によって上部防犯二重溝581が形成され、正面から見て右側の前面開放側辺部には、外側に側部防犯溝582が形成されると共に内側に後端が第一側面壁540に接続される傾斜面となっている内壁によって形成される防犯凹部583が形成され、正面から見て左側の前面軸支側辺部は、前面上辺部や前面開放側辺部と異なり扉枠5の裏面と対面する所定幅を有するように形成されていないが、本体枠主体500の前面軸支側辺部が前面上辺部や前面開放側面部に比べて前方への突出量が多い軸支辺部587となっている。
より詳細に説明すると、前面上辺部に形成される上部防犯二重溝581は、扉枠5の上辺部裏面に取付固定される上側補強板金211の両長辺端を後方に向って折曲される折曲突片215,216がそれぞれ挿入されるようになっているものである。また、前面開放側辺部に形成される側部防犯溝582及び防犯凹部583は、扉枠5の開放部裏面に取付固定される開放側補強板金213の両長辺端を後方に向って折曲される開放側外折曲突片223及び開放側内折曲突片225がそれぞれ挿入されるようになっているものである。更に、前面軸支側辺部の軸支辺部587には、扉枠5の軸支側裏面に取付固定される軸支側補強板金212の軸支側L字状折曲突片217の先端部が当接するようになっている。そして、上記した構造によって扉枠5と本体枠3との当接面の隙間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を防止することができ、特に、最も不正行為が行われやすい開放側辺部や次いで不正行為が行われやすい上辺部における不正行為の防止をはかることができる構造となっている。もちろん、軸支側における軸支側補強板金212と軸支側L字状折曲突片217との当接による不正行為の防止も充分に機能するが、多くの場合、軸支側は、頑丈な支持金具45,66と軸支金具503,509とで本体枠3と扉枠5とが連結されているため、上辺部及び開放側辺部に比べて本体枠3と扉枠5との間に隙間が作り難い。このため、本実施形態においては、二重の防犯構造ではなく、一重の防犯構造としている。これらの点については、後に詳述する。
また、遊技盤設置凹部510を囲む前面側の前面上辺部、前面開放側辺部、及び前面軸支側辺部には、上記した構成以外に前面開放側辺部の上部、中間部、下部に本体枠3の開放側裏面に取り付けられる後述する錠装置1000に設けられる扉用フック部1041(図67参照)を貫通させて前方に飛び出させるための扉用フック穴549が開設されており、また、前面軸支側辺部の内側面に遊技盤4に形成される位置決め凹部611と係合するための盤位置決め突起576が設けられている。更に、前面軸支側辺部の盤位置決め突起576のやや下方位置の内側前方面に、扉枠5を閉じた状態で軸支側補強板金212の軸支側L字状折曲突片217の先端が挿入される上下2つの規制突起577が突設されている。この規制突起577の作用については前述した通りである。また、図21に示すように、開放側の平面部分と遊技盤設置凹部510との境目の上下に遊技盤4に設けられる遊技盤止め具614の端部が係合される盤止め具挿入穴578が形成されている。
次に、板部511の構成について図21乃至図26を参照して説明する。板部511の上面は、遊技盤4を載置するための遊技盤載置部512となっており、その遊技盤載置部512のほぼ中央に、当該載置部512に遊技盤4を載置したときに遊技盤4に形成されるアウト口606(図30参照)の下面を支持する通路支持突起513が突設されている。また、図21に示すように、板部511の前面の中央部から開放側の端部に向かってレール取付ボス514が所定間隔を置いて突設され、このレール取付ボス514に発射レール515(図25参照)がビス止め固定されている。また、発射レール515の先端位置に対応する板部511の前面には、レール接続部材516が突設され、遊技盤設置凹部510に遊技盤4が設置されたときに、遊技盤4の内レール603の下流端である接続通路部609(図30参照)と隣接するようになっている。また、レール接続部材516の側方位置(発射レール515と反対側の位置)には、遊技盤4の下部を固定するための楕円形状の遊技盤固定具519(図25参照)の上端部を取り付けるための固定具取付ボス517が突設され、その斜め下方にストッパー518が突設されている。即ち、遊技盤固定具519は、固定具取付ボス517を中心にして回転自在に設けられ、前記遊技盤載置部512に遊技盤4が載置された状態で時計方向に回動して遊技盤固定具519を遊技盤4の前面に押圧して遊技盤4を固定するものである。また、遊技盤を取り外す場合には、遊技盤固定具519を反時計方向に回して取り外すことにより、簡単に行うことができる。この場合、遊技盤固定具519はストッパー518により反時計方向の余分な回転ができないようになっている。
また、板部511の開放側下部は、手前側に膨出状に突設された(裏面から見れば凹状となっている)直方体状の発射装置取付部520が形成されており、この発射装置取付部520に本体枠主体500の裏面から打球発射装置650が固定されている。この点については、後に詳述する。上記した発射装置取付部520の前面壁部分には、前述したジョイントユニット480のスライド突片492と連携されるスライド部材710(図41参照)が収納されるハンドル連結窓522が形成され、該ハンドル連結窓522の隣接する位置に打球槌687の軸受689(図37参照)の端面が臨む軸用穴523が開設されている。また、発射装置取付部520の上壁部分には、打球発射装置650の打球槌687が上方に突出するための槌貫通開口521が切欠形成され、その槌貫通開口521の斜め上方の板部511の前面に錠装置1000のシリンダー錠1010が貫通するシリンダー錠貫通穴526が開設されている。
一方、板部511の裏面には、図22に示すように、軸支側の上部から板部511の中央部分に向けて延設された後下方に向かう球抜排出通路524が形成されている。この球抜排出通路524は、後述する球抜接続通路880(図25参照)から排出される球をパチンコ機1の下方から島の内部に排出するためのものである。また、上述した発射装置取付部520の上方には、円柱状の案内突起525が後方に向かって突設され、この案内突起525に後述する基板ユニット1100の案内孔1212(図73参照)が差し込まれて基板ユニット1100の取付けを容易にしている。また、基板ユニット1100をビスで取り付けるための取付穴部527が板部511の左右上下に形成され、この取付穴部527に基板ユニット1100の取付片1122を対応させてビスで止着する。また、発射装置取付部520の凹状の内部には、打球発射装置650を取り付けるための発射装置取付ボス529が後方に向かって突設され、更に、開放側の最下端部には、図24に示すように、本体枠3を外枠2に対して閉じる際に、装飾カバー板15の上面に当接しながら本体枠3の閉止動作を案内するために先端が先細状で縦長形状の案内突片528が後方に向かって突設されている。
板部511には、以上説明した構成以外に、図24に示すように、軸支側の端部上面に前記球抜排出通路524の上流端の開口である球抜接続開口530が形成されている。この球抜接続開口530に球抜接続通路880の下流端が接続されるようになっている。また、球抜接続開口530に隣接する部分は、後に詳述する満タンユニット900(図25参照)を載置するための満タンユニット載置部531が板部511と直交するように水平状に形成され、その満タンユニット載置部531の前方部分に満タンユニット900の係合片924(図57参照)と係合するユニット係合溝532が形成されている。更に、図25に示すように、満タンユニット載置部531の前方の板部511の前面には、扉枠5の開放時に満タンユニット900の出口921から排出される賞球を堰き止める出口開閉装置579が設けられている。この出口開閉装置579については、詳細に説明しないが、扉枠5が閉じているときには、扉枠5の裏面に当接するレバーによって開閉板が下降した状態となっているが、扉板5が開放されるとレバーへの当接がなくなるため開閉板が上昇して出口921を閉塞するものである。このため、扉枠5の開放時においても満タンユニット900内に貯留された賞球が出口921から零れ落ちることがない。また、図25に示すように、板部511の上端辺にそって形成される遊技盤載置部512であって発射レール515の発射部の上方に対応する位置に上下方向に貫通する締結穴533を形成し、その締結穴533の前方部分に締結バンド619を掛け止めるための締結連杆534が差し渡されている。この締結連杆534は、本体枠3からの遊技盤4の取り外しを防止するための機構である。
次に、遊技盤設置凹部510の構成について説明する。遊技盤設置凹部510は、軸支側の内側面及び上記した上辺部及び開放側の鍔面部から後方へ周設される第一側面壁540と、該第一側面壁540から後方に周設される第二側面壁541と、該第二側面壁541から後方に周設される第三側面壁542と、該第三側面壁542から後方に周設される第四側面壁543、とにより、本体枠3の左右側辺及び上辺の後方部分が囲まれた凹状に形成されているものである。なお、第一側面壁540〜第四側面壁543は、背面から見て上辺及び右辺(軸支側の辺)が段差をもって後方に真っ直ぐに延長されるように形成されるのに対し、左辺(開放側の辺)が第一側面壁540から第四側面壁543に向かうにしたがって内側に傾斜する段差状(図29参照)に形成される。これは、左辺(開放側の辺)の第一側面壁540から第四側面壁543までを後方に真っ直ぐ形成したときに、本体枠3を開放する際に、第四側面壁543の最後端部が外枠2の側枠板13の内面と当接してスムーズに開放できない場合があるため、開放側の第一側壁面540から第四側面壁543までが内側傾斜状とすることによりスムーズに開放することができるようにしたものである。それと同時に開放側の第一側面壁540に沿って錠装置1000が取り付けられるが、その取付けを第一側面壁540の後端辺に設けられる錠取付穴547(図63参照)を利用して行うため、その錠取付穴547を形成するためにも開放側の第一側面壁540から第四側面壁543を傾斜段差状に形成したものである。更に、第一側面壁540〜第四側面壁543の段差の寸法も、第一側面壁540と第二側面壁541との段差は、後述する遊技盤4の裏面の周辺と当接する必要があるため、ある程度大きな段差をもって形成されるが、それ以外の段差は、極めて小さな段差となっている。もちろん、第二側面壁541〜第四側面壁543までは段差を形成することなく連続的に形成してもよい。
そして、上記した側面壁540〜543は、図23に示すように、それぞれ奥行き幅寸法d1,d2,d3,d4を有するように形成され、本実施形態の場合、d1+d2+d3+d4=約135mmとなっている。特に、第一側面壁540の幅寸法d1は、遊技盤4の厚みに相当し、残りの第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間に遊技盤4に設けられる各種の遊技装置の後方突出部分が収納されるようになっている。つまり、第一側面壁540は、遊技盤4の厚さとほぼ同じ奥行寸法を有する前側面壁を構成し、第二側面壁541〜第四側面壁543は、遊技盤4の周辺部裏面と当接する段差部を有して第一側面壁540から後方に向かってほぼ当該第一側面壁540と平行状に延設され且つ遊技盤4に設けられる遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁を構成するものである。特に、本実施形態の場合には、図5に示すように、第二側面壁541〜第四側面壁543のすべての部位の後方への突出量が、本体枠3の裏面側上部に固定される賞球タンク720の球を貯留する貯留部728の後面壁722とほぼ同じ位置となるように形成されている。これにより、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4のほぼ全域を液晶表示画面が占めるような遊技装置が取り付けられている場合においても、そのような遊技装置の後方突出部分を楽に収納することができるものである。
また、図22及び図24に示すように、第四側面壁543の後端辺からは背面から見てその左辺(開放側)、上辺及び右辺(軸支側)に、開放側後面壁544、上後面壁545及び後面壁としての軸支側後面壁546がそれぞれパチンコ機の正面と平行となるように内側に向かって突設されている。軸支側後面壁546は、その前面が平板状(図21参照)となっており、その後面に球払出機構を構成する後述の球通路ユニット770と賞球ユニット800とが着脱自在に取り付けられるようになっている。したがって、軸支側後面壁546の内側への突出幅寸法は、球通路ユニット770と賞球ユニット800とを取り付ける幅があれば充分である。また、上後面壁545は、その前面が平板状(図21参照)となっており、その後面に後述するタンクレール部材740が取り付けられるため、その下端辺が傾斜状に形成されている。したがって、上後面壁545の内側への突出幅は、傾斜状に取り付けられるタンクレール部材740の高さ幅寸法があれば充分である。更に、開放側後面壁544には、その前面が平板状(図21参照)となっており、その後面に後述するカバー体1250を軸支するカバー体支持筒部575が形成されている。したがって、開放側後面壁544の内側への突出幅寸法は、カバー体支持筒部575を形成する幅寸法があれば充分である。
上述したように、第四側面壁543の後端辺から内側に向かって突設される開放側後面壁544、上後面壁545及び軸支側後面壁546の前面が平板状に形成され、この平板状部分が遊技盤4の周辺部に対応するものであるため、上記したように、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4のほぼ全域を液晶表示画面が占めるような遊技装置が取り付けられている場合においても、そのような遊技装置の後方突出部分を楽に収納することができるものである。なお、開放側後面壁544、上後面壁545及び軸支側後面壁546の内側は、後面開口580となっており、この後面開口580が後述するカバー体1250によって開閉自在に閉塞されるようになっている。
次に、遊技盤設置凹部510の更に詳細な構成について説明すると、前述したように、開放側の平面部分には、錠装置1000の扉枠用フック部1041が貫通する扉用フック穴549が上中下の3箇所開設されているが、その上下の扉用フック穴549のさらに上中下に錠装置1000の後述する係止突起1004が係合される錠係止穴548(図22参照)が形成されている。また、開放側の第一側面壁540に沿って錠装置1000が取り付けられるが、その取付けをビスで行うための錠取付穴547(図22参照)が第一側面壁540の後端部の上部と中程に形成されている。なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されるビス止め部1003と前記シリンダー錠貫通穴526の上方近傍に形成される錠取付穴547とを対応させてビスで止着することにより、錠装置1000の下方も取り付けられるようになっている。
また、図24に示すように、第一側面壁540の上辺前方の左右には、本体枠3を外枠2に対して閉止する際に、外枠2の上枠板10の内周面と当接する案内円弧突起552が突設され、第一側面壁540の後端辺中央に後述する賞球タンク720の切欠部729と連通する逃げ凹部551が形成され、第一側面壁540と第二側面壁541と接続する垂直面にタンク取付溝550が形成されている。そして、このタンク取付溝550に賞球タンク720の取付鍔部733を取り付けたときには、図28に示すように、賞球タンク720の切欠部729が逃げ凹部551と連通して賞球タンク720内に貯留された球の球圧が増加したときに圧抜きして球詰まりが発生しないように機能する。また、賞球タンク720を本体枠3に取り付けたときには、平面視で賞球タンク720の正面側から見て奥側の後面壁722と第四側面壁543の後端辺がほぼ一致(図5参照)するようになっている。なお、上記した案内円弧突起552は、本体枠3の上辺を外枠2の上枠板10の内周面と当接させることにより、本体枠3を持ち上げて本体枠3の下辺と装飾カバー板15との間に隙間を形成し、その隙間から不正器具を挿入するような不正行為を防止するためのものである。
また、前述した上後面壁545には、タンクレール部材740を取り付けるためのレール係止溝553が後面開口580の開口縁に沿って形成されており、また、第四側面壁543と上後面壁545の屈曲部にレール係止溝554が形成されている。そして、これらレール係止溝553,554にタンクレール部材740の係止突片749,750(図45参照)を係止させることにより、タンクレール部材740を本体枠3に取り付けることができる。また、タンクレール部材740を取り付けたときの下流側に対応する上後面壁545の上部には、レール掛止弾性片555が形成され、レール係止溝553,554にタンクレール部材740の係止突片749,750を係止させて、タンクレール部材740を本体枠3に取り付けたときに、その係止状態が外れないようにレール掛止弾性片555がタンクレール部材740の下流側上端の上から当接するようになっている。タンクレール部材740を取り外すときには、レール掛止弾性片555を後方へ押圧しておいてからレール係止溝553,554と係止突片749,750との係止状態を解除すべくタンクレール部材740を上方に持ち上げればよい。また、レール掛止弾性片555の側方に逃げ穴556が穿設され、レール掛止弾性片555の下方にアース線接続具557形成されている。逃げ穴556は、タンクレール部材740に設けられる整列歯車747の軸ピン748の端部を逃がすために穿設されるものであり、また、アース接続具207は、タンクレール部材740の内部に貼着される金属製の導電板(図示しない)に接触していると共に、電源基板に設けられるアース用コネクタに接続される配線が接続されるものである。
また、軸支側後面壁546には、図22及び図24に示すように、軸支側後面壁546の左右両端に垂直状の立壁560を立設し、その立壁560の間に球通路ユニット770と賞球ユニット800とが取り付けられる。また、左右の立壁560の間の最上流部から中流部よりやや上方まで賞球案内突起561が屈曲状に突設されている。この賞球案内突起561は、軸支側後面壁546にその突出高さが下流側に向かって徐々に低くなるように後方に向かって突設され、後述する球通路ユニット770を取り付けたときに、該球通路ユニット770の球落下通路772(図50参照)に対応するもので、賞球を一列状に誘導するものである。また、賞球案内突起561の左右には、球通路ユニット770をビスで止着するための通路ユニット取付ボス562、及び位置決めするための位置決めピン574が突設されると共に、後述する球切れスイッチ778(図50参照)に対面するスイッチ対応突起563が突設されている。通路ユニット取付ボス562及び位置決めピン574については、後に詳述する。
更に、左右の立壁560の中流部から下流部にかけて賞球ユニット800の係合部としての鉤状係合部824(図52参照)と係合する係止部としての係合突片565と、賞球ユニット800のボタン挿通係合穴821(図52参照)と係合するロック用弾性爪564と、が形成されると共に、賞球ユニット800のスプロケット807の回転軸808(図52参照)の端部が受け入れられる逃げ穴566が形成されている。また、軸支側後面壁546の下方には、払出モータ用逃げ開口部572が形成されており、この払出モータ用逃げ開口部572に賞球ユニット800の駆動モータとしての払出モータ815が臨むようになっている(図25参照)。そして、賞球ユニット800は、軸支側後面壁546の裏面最下端に形成される係止溝573のその下端を係止して前記係合突片565及びロック用弾性爪564によって軸支側後面壁546に着脱自在に取り付けられるようになっている。この着脱自在の構成については、後に詳述する。
また、軸支側後面壁546の開放側の端部には、そのカバー体1250の開放側の端辺が入り込むカバー体当接溝567が形成されていると共に、該カバー体当接溝567の下方に施錠壁569が突設されている。カバー体当接溝567には、カバー体1250の止め穴1253(図28参照)に対応する止め穴568が形成されており、これら止め穴1253,568とを一致させて図示しないビスで止着することにより、カバー体1250によって本体枠3の後面開口580を閉塞固定することができるようになっている。また、施錠壁569には、平面視U字状の施錠用突出鉤片570が突設され、本体枠3に対してカバー体1250を閉じた状態で施錠用突出鉤片570をカバー体1250に形成される貫通穴1254(図28参照)を貫通させ、例えば、南京錠等の錠を施錠用突出鉤片570に掛け止めることにより、南京錠の鍵を有する責任者しかカバー体1250を開放することができないようにすることができる。
以上、遊技盤設置凹部510及び板部511とからなる本体枠主体500の構成について説明してきたが、上記に説明した以外に、板部511の最下端辺部に、扉枠5を閉じたときに、扉枠本体100の下辺を後方に向けて折曲した扉枠突片112,113(図19参照)が挿入される係合溝584,585(図21参照)が形成されている。係合溝584は、前述した発射装置取付部520の下方に形成される溝であり、係合溝585は、前記係合溝584の一端から軸支側に向って形成される溝である。なお、係合溝585に対応する扉枠突片112は、係合溝584に対応する扉枠突片113の突出量よりも大きくなるように後方に向って突設されている。ただし、開放端下部には、突出量の多い扉枠突片112が僅かに形成されている。そして、上記した扉枠突片112,113と係合溝584,585とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成するものである。
上記のように板部511には、発射レール515や出口開閉装置579が設けられ且つレール接続部材516や発射装置取付部520が突設形成されているが、発射装置取付部520及び発射レール515の板部511における配置位置が開放側に偏り、しかもそれらが板部511の表面よりも突出して形成されている。このため、扉枠5を閉じた状態において、発射装置取付部520及び発射レール515が配置される板部511のほぼ中央部から開放側にいたる領域は、扉枠5の裏面と発射装置取付部520及び発射レール515の前面とが密着した状態となるため、前述した扉枠突片112と係合溝585との隙間を上手にすり抜けてきたピアノ線等の不正具を扉枠5の裏面と発射装置取付部520及び発射レール515の前面との間をさらに上手にすり抜けさせて遊技盤4の表面側若しくは遊技盤4の裏面側に到達させることは極めて困難である。
一方、発射装置取付部520及び発射レール515が配置されない板部511のほぼ中央部から軸支側にいたる領域は、板部511の表面に突出した部分がないため、扉枠5を閉じた状態において、扉枠5の裏面と板部511の前面との間に空間586が生じてしまう。このため、前述した扉枠突片112と係合溝584との隙間を上手にすり抜けてきたピアノ線等の不正具が扉枠5の裏面と板部511の前面との間の空間586を簡単にすり抜けてしまうことができるため、この空間586を不正具が上方に向ってすり抜けないように、扉枠5の裏面下部に取り付けられる装着台280には、扉枠5を閉じた状態で該空間586に侵入する防犯突片285が形成されている。この防犯突片285は、板部511のほぼ中程から軸支側端部までいたるように装着台280に形成されている。したがって、発射レール515及び遊技盤4に取り付けられる外レール602の下方空間は、装着台280に突設される防犯突片285を受け入れる防犯空間586を構成している。そして、この防犯突片285と防犯空間586とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成するものである。
本体枠3は、上記したように、遊技盤4、打球発射装置650、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、満タンユニット900、錠装置1000、基板ユニット1100及びカバー体1250が取り付けられるが、以下、これらを順次説明する。
遊技盤4の概略構成について図30乃至図35を参照して説明する。図30は、遊技盤4の正面から見た斜視図であり、図31は、遊技盤4の正面図であり、図32は、遊技盤4の背面図であり、図33は、遊技盤4の平面図であり、図34は、遊技盤4に形成される取り外し防止機構部分の拡大斜視図であり、図35は、遊技盤4の取り外し防止機構に対する本体枠側の構造を示す本体枠3の部分斜視図である。
図30において、遊技盤4は、遊技パネル599を保持したほぼ正方形状のパネルホルダ600と、パネルホルダ600の前面に遊技領域605を囲むように取り付けられる遊技領域区画枠部材601と、から構成されている。遊技パネル599の表面には、遊技領域605に各種の遊技装置や多数の障害釘(いずれも図示省略)が植立されている。そして、それらの遊技装置や障害釘が設けられた後に遊技領域区画枠部材601がパネルホルダ600の前面に取り付けられるが、その遊技領域区画枠部材601は、遊技パネル599の周囲を囲むように内部が円形の空洞状に形成され且つ外形がパネルホルダ600の外形に沿った形状に形成されており、その下辺中程から上辺の中心を過ぎた斜め上方までの円弧面が外レール602として形成され、その外レール602の終端に設けられる衝止部620の下部位置から上辺の前記衝止部620の対称の逆流防止部材604が設けられる位置までが内レール603として形成されている。外レール602は、その始端部に前記発射レール515の延長状に設けられたレール接続部材516に連接する接続通路部609が斜め状に形成されており、その接続通路部609に隣接してファール口610が形成されている。また、ファール口610の上流端から衝止部620までの外レール602には、金属製のレールが密着して取り付けられている。なお、衝止部620は、勢いよく外レール602を滑走してきた打球が衝突したときに、その衝突した打球を遊技領域605の内側に反発させるようにゴムや合成樹脂の弾性体が設けられるものであり、逆流防止部材604は、一端発射されて遊技領域605の内側に取り入れられた打球が再度外レール602に逆流しないように防止するものである。更に、外レール602の下部一側には、金属製のレールの一部に沿うように防犯突起608が突設されている。この防犯突起608は、扉枠5が閉じられた状態で前述したように防犯カバー270に突設される防犯後端部突片275と上下方向に重複して本体枠3と扉枠5の軸支側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を防止するものである。
また、内レール603の下部中央には、アウト口606が設けられ、そのアウト口606から逆流防止部材604までの内レール603と外レール602との間は、発射された打球が遊技領域605まで誘導される誘導通路を構成するものであるが、遊技領域605に到達せずに外レール602を逆流した打球はファール口610に取り込まれて後述する満タンユニット900のファール球入口923に導かれて再度皿ユニット300に排出されるようになっている。なお、遊技領域605は、実質的に内レール603によって囲まれる領域である。また、内レール603のアウト口606から衝止部620に向かう途中の遊技領域区画枠部材601には、レール防犯溝607が形成されている。このレール防犯溝607は、扉枠5が閉じられた状態で前述したように防犯カバー270に突設される防犯後突片274の一部が侵入するように溝状に形成されており、このレール防犯溝607と防犯後突片274との凹凸係合により、上下方向に重複して本体枠3と扉枠5の開放側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を最終的に防止するものである。
ところで、遊技盤4の一側には、本体枠3に形成される前記盤位置決め突起576に嵌合する位置決め凹部611が形成され、遊技盤4の他側には、本体枠3に形成される前記盤止め具挿入穴578に挿入される遊技盤止め具614が設けられている。遊技盤止め具614は、押し込み固定したときにその端部が盤止め具挿入穴578に挿入されるようになっている。しかして、遊技盤4を本体枠3に固定するためには、本体枠3の前面側から位置決め凹部611が盤位置決め突起576に嵌合するように斜め方向から差し込んだ後、遊技盤4の全体を本体枠3の第一側面壁540に押し込み、その状態でフリーな状態となっている遊技盤止め具614を押し込み固定してその端部を盤止め具挿入穴578に挿入して固定する。その後、遊技盤固定具519を回動して遊技盤4の下部前面を固定する。これによって遊技盤4を本体枠3に簡単に装着することができる。遊技盤4を取り外すには、上記の手順と逆の手順で取り外せばよい。
ところで、本実施形態における遊技盤4は、遊技盤4の本体枠3からの不正な取り外しを極めて簡単に防止する構成を有している。即ち、図30及び図34に示すように、遊技盤4の下方の前記通路用切欠部613と反対側の下端部に遊技盤4の前後に貫通する取付用切欠部616を形成し(正確には、遊技領域区画枠部材601に取付用切欠部616が形成されている。)、その取付用切欠部616の下部に水平方向に締結バー617を掛け渡し固定する。締結バー617には、そのほぼ中央に締結バンド619を掛け止めるための帯溝状の締結部618が形成されている。一方、本体枠3に設けられる取り外し防止機構としては、前述したように、本体枠3下方の板部511の上端辺にそって形成される遊技盤載置部512であって発射レール515の発射部の上方に対応する位置に上下方向に貫通する締結穴533を形成し、その締結穴533の前方部分に締結バンド619を掛け止めるための締結連杆534が差し渡されている(図35参照)。
上記のように構成される遊技盤4を本体枠3の遊技盤設置凹部510に収納配置したときには、図34に示すように、締結バー617が遊技盤載置部512に当接して載置した状態になると共に、締結部618と締結連杆534とが一致した状態となる。そして、その状態で締結部618と締結連杆534との一致している部分に対して、締結バー617の上方から一般的に市販されている締結バンド619の先端を取付用切欠部616に差し込んで下方に向けて締結穴533に差し込み前方に導き、その先端を締結バンド619の締結具部分に係合させる。そして、締結バンド619の締結具より前方に飛び出した不必要な先端部分を切断しておく。このようにすれば、締結バンド619を切断しない限り、遊技盤止め具614と遊技盤固定具519等の固定を解除しても、遊技盤4を本体枠3から取り外すことができない。締結バンド619を切断すれば、遊技盤4を本体枠3から取り外すことはできるものの、例えば、締結バンド619をパチンコ店独特のものを使用することにより、異なる締結バンドが締結されていれば、遊技盤4を取り外して何らかの不正行為を行われたことが容易に理解することができるものである。このように極めて簡単な取り外し防止機構により遊技盤4の本体枠3からの不正な取り外しを防止することができる。
また、遊技盤4の外形形状は、その上部左右に前記扉枠5の裏面に設けられるスピーカ163の後方突出部分を受け入れるようにスピーカ用切欠部612が形成され、また、ファール口610の側方斜め下に後述する満タンユニット900の前方誘導通路920部分の一部が挿入される通路用切欠部613が形成されている。また、遊技領域区画枠部材601の下方左右には、証明確認用の証紙を貼付する証紙貼付部615が設けられている。
一方、遊技盤4の裏面には、遊技領域605に設けられる各種の遊技装置(例えば、大入賞口装置や一般入賞口等の入賞口)に入賞した球を下流側に整列して誘導する入賞空間形成カバー体621が取り付けられており、その入賞空間形成カバー体621の裏面に遊技領域605のほぼ中央に配置される装飾図柄表示器631(図74参照)の表示を制御する表示装置制御基板が収納される表示制御基板ボックスとしての液晶表示制御基板ボックス622が取り付けられている。
更に、遊技盤4の裏面には、入賞空間形成カバー体621の下方に盤用基板ホルダ623が固定されている。この盤用基板ホルダ623は、その前方に前記入賞空間形成カバー体621によって整列誘導された入賞球を集めるように空間部(この空間部は、前後方向の幅が入賞空間形成カバー体621の幅よりも比較的広いものとして形成されている。)が形成され、その空間部の底面に落下口629(図29参照)が形成されている。この落下口629は、前記アウト口606の後面部分で合流して後述する基板ユニット1100に形成されるアウト球通路1119(図73参照)に連通するものである。また、盤用基板ホルダ623には、その裏面に遊技動作を制御する主制御基板2800(図78参照)を収納する主基板ボックス624と、後述する基板ユニット1100に設けられる払出制御基板1186や電源基板等と接続するための中継端子板625と、が取り付けられている。中継端子板625には、遊技盤4を本体枠3に装着するだけで自動的に前記基板ユニット1100に設けられるドロワコネクタ1200,1202と接続されるドロワコネクタ626,627が設けられている。また、盤用基板ホルダ623には、ドロワコネクタ626,627の間から中継端子板625を貫通するように後方に向かって突出する接合案内突起628が形成されている。この接合案内突起628は、後に詳述するように遊技盤4を本体枠3に装着する作業を行ったときに、基板ユニット1100側に設けられるドロワコネクタ1200,1202と遊技盤4側に設けられるドロワコネクタ626,627とが自然に接続されるように基板ユニット1100の枠用基板ホルダ1101に形成される接合案内孔1213に挿入される(図73参照)ものである。なお、これらドロワコネクタの接続については、後に詳述する。
打球発射装置650について図36乃至図41を参照して説明する。図36は、打球発射装置650の全体の斜視図(A),発射モータ部分を取り外した状態の斜視図(B)であり、図37は、打球発射装置650の分解斜視図であり、図38は、打球発射装置650と発射レール515との関係を示す正面図(A),発射モータ部分の斜視図(B)であり、図39は、操作ハンドル461を操作していない状態における打球発射装置650と発射レール515との関係を示す背面図であり、図40は、操作ハンドル461を操作している状態における打球発射装置650と発射レール515との関係を示す背面図であり、図41は、打球発射装置650に設けられるスライド部材710の平面図(A),正面図(B),正面から見た斜視図(C),正面図(B)のA−A断面図(D)である。
打球発射装置650は、発射ベース枠651に打球槌687を回動自在に軸支すると共に、その打球槌687に往復回動を付与する発射モータ695を発射ベース枠651に取り付け、さらに打球槌687に復帰する付勢力を付与する付勢バネ684の付勢力を調節するスライド杆677及びスライド部材710が発射ベース枠651に設けられることにより構成される。
より詳細に説明すると、図37に示すように、発射ベース枠651は、合成樹脂によって横長な長方形状に成型されるものであり、そのほぼ中心に打球槌687の軸受689が嵌合される軸受筒652が形成され、その上部及び側方に打球槌687の発射原点位置を規制するゴムストッパー部材653,654が取り付け固定されている。即ち、ゴムストッパー部材653,654は、打球槌687が付勢バネ684の付勢力により発射原点位置に戻ったときに打球槌687の衝撃を受け止めるものである。また、発射ベース枠651の後方(発射レール515の下方に対応する部位の反対側)の上方に横長細溝状のスライド案内孔655が形成され、そのスライド案内孔655の下方にスライド部材収納空間656が形成されている。スライド案内孔655は、後述するスライド杆677の後端上部に突設される案内係止片678が挿入されてスライド杆677のスライド移動を案内するものであり、スライド部材収納空間656には、スライド部材710が左右方向に移動可能に収納されるものである。なお、スライド杆677の前方部分のスライド案内は、スライド杆677の前方に形成される案内長孔680に止めネジ682によって発射ベース枠651に形成される止め穴662に止着される案内ブッシュ681を貫通させることにより行われる。また、スライド部材収納空間656の底面には、図38に示すように、長方形状の連結開口664が形成されている。
また、発射ベース枠651の上辺の前方部分には、発射ベース枠651の本体に対して庇部が形成されており、前記軸受筒652の上方の庇部に作動片用開口657が穿設されている。この作動片用開口657には、前記扉枠5の皿ユニット300の下流側の打球供給口288(図15参照)に臨んで設けられている供給揺動片289(図15参照)と当接する作動片658が作動片用開口657の開口縁の後方上部に突設されている取付部660に止めピン659によって揺動自在に設けられるものである。作動片658は、「て」字状に形成され、その上辺の後端部が止めピン659によって軸支され、その軸支部から下方の円弧部に打球槌687と一体的に回動するベース板690に突設される作動片当接部693と当接し、打球槌687の往復動作に連動して上辺部が供給揺動片289を揺動させ、供給揺動片289の揺動動作により打球供給口288から流出する打球を1個ずつ発射レール515の発射位置に供給するようになっている。
更に、発射ベース枠651には、発射モータ695を内蔵するモータカバー694を止着するためのモータ取付ボス661が後方下部に2箇所と前方上部に1箇所の合計3箇所に突設されていると共に、前記スライド部材収納空間656の下部後方にスライド杆677をスライドさせるためにスライド部材710と連結される揺動片672の下端の軸穴673が挿入される揺動片用ボス663が突設されている。
上記した発射ベース枠651には、打球発射装置650の剛性を高めるために金属プレート665がほぼ密着するように取り付けられている。このため、金属プレート665には、軸受筒652、下方のゴムストッパー部材653、スライド案内孔655、案内ブッシュ681、及び揺動片用ボス663にそれぞれ対応する貫通孔666,667,668,669,671が形成されていると共に、スライド部材710の連結凸部712が貫通する横長楕円状の貫通孔670も貫通されている。上記のように構成される金属プレート665は、スライド部材710をスライド部材収納空間656に収納した後、それぞれの貫通孔666〜671がそれに対応する部材652,653,655,681,712,663を貫通あるいは一致させるように発射ベース枠651に密着させてビス止めすることにより発射ベース枠651に固定されるものである。
金属プレート665が取り付けられた発射ベース枠651の揺動片用ボス663の先端部分が貫通孔671から頭を出しているが、その頭の部分に揺動片672の軸穴673が挿通されて、揺動片672が下端を中心にして揺動自在に軸支される。揺動片672は、図37に示すように、縦長杆状に形成され、その下端に前記軸穴673が形成され、その中程にスライド部材710の連結凸部712が挿入されるやや縦長穴形状の連結穴674が形成されている。そして、その連結穴674より上方の前方面がスライド杆677の一端(後端)と当接する当接部675となっている。しかして、揺動片672を揺動片用ボス663に挿通し、且つ貫通孔670から頭を出しているスライド部材710の連結凸部712に連結穴674を挿入してワッシャ付きピン676を連結凸部712に止着することにより、揺動片672が発射ベース枠651に取り付けられる。そして、取り付けられた揺動片672は、スライド部材710のスライドに伴って下端を中心にしてその上方部分が揺動するようになっている。
また、金属プレート665の上部前面には、横長杆状のスライド杆677が左右方向にスライド可能に取り付けられる。即ち、スライド杆677の後方上部に突設されるL字状の案内係止片678を金属プレート665の貫通孔668に貫通係合させ、スライド杆677の前方に形成される案内長孔680に止めネジ682を有する案内ブッシュ681を貫通させて止めネジ682を止め穴662に止着する。上記した案内係止片678と貫通孔668、及び案内長孔680と案内ブッシュ681とにより、スライド杆677が金属プレート665を介して発射ベース枠651にスライド可能に装着される。また、スライド杆677には、その一端(後端)に上述した揺動片672の当接部675と当接する被当接部679が形成され、その他端(前端)に付勢バネ684の一端の係止輪685を掛け止めるためのバネ係止部683が突設されている。
金属プレート665が取り付けられた発射ベース枠651の軸受筒652が貫通孔666から突出しているが、その軸受筒652には、打球槌687の軸受689が抜け落ちないように嵌合されている。軸受689の軸には、打球槌687の下端部が固着されると共に同時にベース板690が固着される。ベース板690には、その前方裏面側に前記作動片658と当接する作動片当接部693が突設され、その前方前面に付勢バネ684の他端の係止輪686を掛け止めるためのバネ係止部692が突設され、さらにその後方前面に発射モータ695のモータカム697と係脱するモータ当接突片691が突設されている。打球槌687の上端には、合成樹脂製の槌先688が固着されており、この槌先688が発射レール515の下端部とその上方に固着される発射位置ストッパー702とによって形成される発射位置に突入するように臨んでいる。
一方、発射ベース枠651の前述したモータ取付ボス661には、モータカバー694に収納された発射モータ695が取り付けられる。より具体的には、図38(B)に示すように、モータカバー694は、内部に発射モータ695を収納するように形成された円筒部と、該円筒部の前方に拡大して前記モータ取付ボス661に取り付けるための取付固定穴699が形成される取付部と、が一体的に形成され、円筒部の内部に収納される発射モータ695のモータ軸696の先端に逆回転防止カム698とモータカム697とが固定されている。逆回転防止カム698の外周には、多数の逆歯が形成されており、ストッパー片取付ボス701に揺動自在に固定されるストッパー片700(図39参照)と係合して発射モータ695の逆方向の回転を防止している。これは、モータカム697が逆方向に回転してモータカム697とモータ当接突片691とが噛み合って打球発射装置650が駆動できなくなる故障が発生しないように防止するためである。また、モータカム697は、勾玉状に形成されており、発射モータ695の回転に伴いモータ当接突片691と係脱しながら打球槌687を往復動作させる。なお、モータカバー694をモータ取付ボス661に取り付けたときには、図36(A)に示すように、打球発射装置650の主たる構成が後面から見て被覆されたような状態となっている。
ところで、前述したスライド部材収納空間656に収納されてスライド移動するスライド部材710は、図41に示すように、後方が開放した直方体状に形成され、その前面に楕円形状の楕円凸部711が突設され、さらに該楕円凸部711の後方位置に円形状の連結凸部712が突設されている。また、上面及び下面には、スライド部材収納空間656内をスライドし易いように断面円弧状のスライド用当接突部713がその両端に突設されている。一方、直方体状に形成されるスライド部材710の空間は、前記扉枠5の裏面下部に設けられるジョイントユニット480のスライド突片492が挿入される挿入空間714となっている。しかして、この挿入空間714は、スライド方向前方の側壁手前側に第一傾斜面715が形成されると共に、その第一傾斜面715のやや後方寄りに上面及び下面の内側から内部に向かって突設され且つ相互の先端間に所定の間隔が形成される挟持片716が形成されている。挟持片716の手前側にも奥に向かって側方視でハ字状に傾斜する第二傾斜面717も形成されている。しかして、スライド突片492が挿入空間714に挿入された状態では、図41(B)に示すように、スライド突片492の傾斜辺493側の一端辺がスライド方向前方の側壁に当接した状態で且つ上下の挟持片716の間に挿入された状態となっている。なお、スライド部材710の挿入空間714の側方に空間部718が形成されているが、この空間部718は、特に機能を奏しているわけではない。
しかして、上記のように構成されるスライド部材710は、スライド部材収納空間656に収納された状態で、図38(A)に示すように、スライド部材収納空間656の底面に形成される楕円形状の連結開口664に挿入空間714が臨むように形成されていると共に、スライド部材710がスライド部材収納空間656の一方の空間内壁に当接した状態(図38(A)では左の空間内壁に当接しているように図示されているが、通常の状態では右の空間内壁に当接した状態となっている。)となっている。
そこで、先ず、スライド部材710と打球発射装置650の付勢バネ684の強弱を調整する関係について説明すると、スライド部材710がスライド部材収納空間656の内部の初期位置(図38(A)において右の空間内壁に当接した位置)にあるときには、図39に示すように、該スライド部材710の連結凸部712に連結された揺動片672がほぼ垂直状態となっている。このため、揺動片672と当接しているスライド杆677も付勢バネ684の付勢力により一方向(図39において左側方向)に付勢された状態で揺動片672の当接部675とスライド杆677の被当接部679とが当接した状態となっている。この状態では、付勢バネ684が張力されていないので、打球槌687が発射モータ695の回転に従動して往復回動しても、打球槌687の復帰力も弱く、発射位置にある打球が弾発されても遊技盤4の遊技領域605に到達することはない。
一方、スライド部材収納空間656の内部をスライド部材710が初期位置から他方方向に移動したとき(図38(A)において左の空間内壁方向に向かって移動したとき)、図40に示すように、揺動片672が下端の軸穴673を軸として揺動して傾動するため、当接部675と被当接部679との当接によりスライド杆677が他方向(図40において右側方向)に向かってスライド移動する。すると、スライド杆677のバネ係止部683に係止されている付勢バネ684も張力されて伸びた状態となる。この状態では、付勢バネ684が張力されているので、打球槌687が発射モータ695の回転に従動して往復回動したときの打球槌687の復帰力が強くなり、発射位置にある打球が強く弾発されて遊技盤4の遊技領域605に到達する。そして、この打球の弾発力の強弱は、スライド部材710のスライド部材収納空間656内でのスライド量に応じて調整することができる。
上記したように、スライド部材710を移動させることにより、打球発射装置650による弾発力を調整することができるが、このスライド部材710の移動は、前述したハンドル装置460の操作ハンドル461の回動操作部材464の回動操作に応じて移動するジョイントユニット480のスライド体483の移動と連動するようになっている。この点について図20、を参照して説明する。
前述したように、ハンドル装置460の操作ハンドル461の回動操作部材464を回転させることにより、回転軸465の先端に固着される勾玉状のカム466も回転するため、ジョイントユニット480のスライド体483が収納体481の内部を一方向に向かってスライド移動する。このため、スライド体483の前面に突設されるスライド突片492も同じ方向にスライド移動することになる。スライド体483のスライド突片492は、扉枠5を本体枠3に対して閉じた状態では、本体枠5の発射装置取付部520に形成される連結開口664を貫通してスライド部材710の挿入空間714に挿入されるようになっている。この場合の挿入状態は、前述したようにスライド突片492の傾斜辺493側の一端辺がスライド方向前方の側壁に当接した状態で且つ上下の挟持片716の間に挿入された状態である。したがって、スライド突片492が一方向に向かってスライド移動すると、スライド部材710も同一方向に向かってスライド移動することになる。このとき、前述したように、スライド部材710のスライド移動に伴ってスライド杆677もスライド移動するので、付勢バネ684の付勢力を調整することができる。つまり、ハンドル装置460の回動操作部材464を回動操作することにより、打球発射装置650の打球の弾発力を調整することができるものである。
ところで、本実施形態においては、ハンドル装置460が扉枠5に設けられ、打球発射装置650が本体枠3に設けられているので、扉枠5を開閉する毎にハンドル装置460のスライド突片492と打球発射装置650のスライド部材710とが連携したり離れたりすることになる。しかし、本実施形態においては、上述したように、本体枠3に対して扉枠5を閉じることにより、スライド突片492がスライド部材710の挿入空間714に自動的に挿入されてハンドル装置460と打球発射装置650とが連携され、逆に、本体枠3に対して扉枠5を開放することにより、スライド突片492が挿入空間714から離れてハンドル装置460と打球発射装置650とを分離することができるので、極めて簡単に扉枠5の開閉に伴ってハンドル装置460と打球発射装置650との連携・分離を行うことができる。特に、スライド突片492が挿入空間714に挿入される際には、スライド突片492の位置が上下方向に多少ずれていても、挿入空間714内に突設される挟持片716の第二傾斜面717によってスライド突片492がスムーズに挟持位置に挿入されるようになっている。
また、時として、操作ハンドル461の回動操作部材464に遊技者が詰め物を詰めてある程度回動した位置で固定している場合があるが、遊技場の店員がその詰め物を知らずに扉枠5を開閉する場合がある。このような場合でも、扉枠5を開放する場合には、単にスライド突片492が挿入空間714から離れるだけであるので問題はないが、扉枠5を閉める場合に、スライド突片492の位置が多少一方向にずれた状態となっているものの、スライド突片492の傾斜辺493とスライド部材710の第一傾斜面715との協働作用により、扉枠5の閉止動作に伴ってスライド部材710を一方向に移動させながら最終的にスライド突片492とスライド部材710とが係合するようになっている。つまり、本実施形態においては、操作ハンドル461の回動操作部材464がどのような回動位置で固定されていても、操作ハンドル装置460と打球発射装置650との連携を行うことができるものである。
次に、本体枠3の裏面上部に取り付けられる賞球タンク720について、主として図42を参照して説明する。図42は、賞球タンク720の斜視図(A)、平面図(B)、側面図(C)である。賞球タンク720は、前述したように、本体枠3の裏面上部に形成されるタンク取付溝550(図24参照)に着脱自在に取り付けられるものである。しかして、賞球タンク720は、長方形状の箱状に形成され、パチンコ機1の正面側から見て、その前面壁721に切欠部729が形成され、その底面が上流側壁724から下流側壁723に向かって傾斜する第一傾斜底面726と前面壁721から次に説明する排出口730に向かって傾斜する第二傾斜底面727とによって貯留部728が形成されている。また、その第二傾斜底面727の傾斜下端に排出口730が形成されるが、この排出口730は、パチンコ機1の正面側から見て賞球タンク720の後面壁722よりも外側に突出するように下流側壁723と後面壁722とをコ字状に連結する排出口突出壁725に囲まれるように形成されている。また、賞球タンク720の前面壁721の両端外側には、前記タンク取付溝550と係合する取付鍔部733が形成されていると共に、賞球タンク720の底面の裏面側に本体枠3の前記第四側面壁543に載置当接する載置当接片731,732が突設され、さらに、賞球タンク720の上流側の後面壁722の下部に後述する球ならし部材744を取り付けるための球ならし取付軸735が突設されている。また、排出口730を除く賞球タンク720の後面壁722及び上流側壁724には、球の跳ね飛びを防止するための溢れ防止部材734が着脱自在に取り付けられるようになっている。
上記のように構成される賞球タンク720においては、本体枠3のタンク取付溝550に対して取付鍔部733を上方から差し込むように取り付け、載置当接片731,732を本体枠3の第四側面壁543に当接させる。これによって、賞球タンク720が本体枠3の裏面側上部に載置して取り付けられるが、この取り付けられた状態においては、図28に示すように、前面壁721の切欠部729を介して貯留部728と本体枠3の裏面に形成された逃げ凹部551とが連通し、また、図5に示すように、排出口730が次に説明するタンクレール部材740の上流端部に臨むようになっている。したがって、賞球タンク720において、球を貯留する貯留部728(第一傾斜底面726及び第二傾斜底面727に対応する貯留空間部分)の前後方向の幅は、本体枠3の第二側面壁541〜第四側面壁543までの前後方向の幅とほぼ同じとなるように形成されると共に、それらの側面壁541〜543までの上部に載置されるようになっている。しかして、前述したように、本体枠3の第一側面壁540〜第四側面壁543は、遊技盤4の周辺部の後方突出空間を覆うように深く形成されているので、その側面壁541〜543の上部に載置される賞球タンク720の貯留部の深さは、従来の貯留タンクにくらべて浅く形成されているものの、賞球が貯留されて重量が増加しても賞球タンク720の全体を本体枠3の側面壁542〜543で支持しているので、傾斜底面726,727が変形することなく貯留された球をスムーズに排出口730に導くことができる。また、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているため、貯留部728に貯留された球の流れが第二傾斜底面727から外側に向かって流れるように構成されている。このため、従来のように傾斜底面の一部に開口を設けて排出口としていた賞球タンクに比べて、排出口近傍の貯留部に球詰まり解消のための球崩し突部を突出形成することなく球詰まりが発生し難い構造とすることができる。
そして、本実施形態においては、前述したように、遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上部外側に賞球タンク720の貯留部が載置された状態で、しかも、賞球タンク720の排出口730が貯留部の後面壁722よりも外側に突出して設けられているため、タンクレール部材740が賞球タンク720の貯留部の外側(パチンコ機1の正面から見て奥側)に位置して、タンクレール部材740と賞球タンク720の貯留部728とが上下方向に重複しない位置となっているので、遊技盤4の裏面に設けられる遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上辺を本体枠3の上辺に近い位置で後方に向って突出させることができ、これにより、遊技装置の後方突出部が遊技盤4の上辺部で突出していても後側面壁541〜543の内部に楽に収納することができる。
更に、賞球タンク720の貯留部728が遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上部外側に載置されているか否かに関係なく、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているという構成だけで従来の賞球タンクにはない独特の効果を奏するものである。これについて図43を参考にして説明する。図43は、従来の賞球タンク(A),(B)と本実施形態に係る賞球タンク(C)との排出口部分における球の圧力状態を示す平面図である。図において、通常時、賞球タンク720に貯留される球は、賞球タンク720の貯留部に貯留されて滞留した状態となっている。この場合、従来の賞球タンクのように貯留部の傾斜底面の一部を開口して排出口730Aを形成している場合、例えば、図43(A)に示すように、球崩し突部736Aと反対側に排出口730Aが形成された賞球タンクや、図43(B)に示すように、球崩し突部736Bに隣接して排出口730Bが形成されている場合には、排出口730A,730Bの部分では、貯留された球の圧力とその圧力に基づく賞球タンクの側壁からの反作用により、常に排出口730A,730B部分に四方から球圧がかかった状態となっている。このため、たまたま球の重合具合によって球同士の圧力が釣り合い、下流側の球が流れ出ても、排出口730A,730B部分で球噛み状態が発生し球詰まりが発生することがあった。これに対し、本実施形態に係る賞球タンク720では、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているので、図43(C)に示すように、排出口730部分における貯留された球の圧力は、貯留部から排出口730方向に向かう作用力とその反作用だけの二方向からの圧力であり、従来のように四方から圧力を受けるわけではない。このため、下流側の球が流れ出ても、排出口730部分における球噛み状態が発生し難く、球詰まりが発生しないという優れた効果を奏することができる。
上記した賞球タンク720の下方に配置されるタンクレール部材740について主として図44乃至図46を参照して説明する。図44は、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、及び満タンユニット900の関係を示すパチンコ機1の背面側から見た斜視図であり、図45は、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、及び満タンユニット900の関係を示すパチンコ機1の正面側から見た斜視図であり、図46は、タンクレール部材740の下流部と球通路ユニット770の上流部との関係を示す断面図(A)と平面図(B)である。
タンクレール部材740は、前述したように、本体枠3の上後面壁545のレール係止溝553,554(図24参照)に着脱自在に取り付けられるものである。そのため、タンクレール部材740には、その後面側の側面の左右辺及び下辺にレール係止溝553に上から差し込まれる複数の係止突片749が突設されると共に、その後面側側面の上辺中央にレール係止溝554に上から掛け止められる鉤状の係止突片750が突設されている。しかして、タンクレール部材740は、上面が開放した傾斜樋状に形成され、その上流端上面が賞球タンク720の排出口730に臨み、その下流端下面が後に詳述する球通路ユニット770に臨んでいる。また、タンクレール部材740の内部は、図5に示すように仕切壁741によって球が2列に整列して流下する通路742となっている。なお、通路742の底面は、細溝が切り欠けられており、通路742を球と一緒に転動する異物がその細溝から下方に落下するようになっている。また、通路742の側壁には、静電気を除去するための金属板(図示しない)が貼付されており、この金属板の下流端が前述したアース線接続具557(図22参照)に接続されている。このため、タンクレール部材740を流下する球に帯電していた静電気が金属板からアース線接続具557を介して電源基板のアース用コネクタを経て外部にアースされるようになっている。
また、タンクレール部材740の中流域のやや下流側に重錘を有する卵形状の球ならし部材744が揺動自在に設けられている。この球ならし部材744は、前述した賞球タンク720の球ならし取付軸735に揺動自在に軸支されるものであり、タンクレール部材740の2列のそれぞれの通路742内に向かって垂下され、各通路742を流下する球が上下方向に複数段で流下してきたときに1段となるように整流するものである。また、球ならし部材744の設置位置より下流側のタンクレール部材740の上面が球押え板745によって被覆されている。この球押え板745は、球ならし部材744によって1段とならなかった球を強制的に1段とするように傾斜円弧状に形成されるものである。更に、タンクレール部材740の下流端部には、それぞれの通路742に臨んで一対の整列歯車747が軸ピン748によって回転自在に軸支されている。この整列歯車747は、外周に複数の歯が形成され、一対の整列歯車747の歯のピッチが半ピッチずつずれるようにして軸ピン748に固定されている。このため、タンクレール部材740の各通路742を流下してきた球の上部が整列歯車747の歯と噛み合いながら下流側に流下するときに2列の通路742の球が交互に1つずつ送られることになる。この場合、図46に示すように、各通路742を流れてきた球は、整列歯車747と噛み合いながら2列の通路742の下部に形成される傾斜面743に沿って中央方向に誘導され、その誘導中に次に説明する球通路ユニット770の球落下通路772の上端入口773に2列の通路742からの球を交互に一列状にして落下するようになっている。なお、整列歯車747は、その上面を円弧状の歯車カバー746によって被覆されている。
上記したタンクレール部材740から一列状に落下される球を賞球ユニット800に導くための球通路ユニット770について、主として図47乃至図51を参照して説明する。図47は、本体枠3と球通路ユニット770及び賞球ユニット800との関係を示す分解斜視図であり、図48は、球通路ユニット770及び賞球ユニット800との関係を示す背面図であり、図49は、球通路ユニット770の背面から見た斜視図であり、図50は、球通路ユニット770の正面図であり、図51は、球通路ユニット770と賞球ユニット800との連結構造を説明するための側面図である。なお、図48及び図49において、賞球ユニット800部分は、ギヤカバー866、アルミ放熱板841、ユニットサブ板825が削除され、ユニットベース体801に形成された球通路部分をわかりやすく描いたものである。ただし、ギヤ等については、球通路との関係を理解し易くするため、一点鎖線で示してある。
球通路ユニット770は、ほぼ長方形状の板材の裏面(背面から見える面を表面という。)に屈曲した一対の屈曲通路壁771によって球落下通路772が形成されている。この球落下通路772は、図46(A)に示すように、その上流が前後方向(背面から見て奥行方向)に屈曲する前後屈曲通路部772aと、該前後屈曲通路部772aに連通して左右方向(背面から見て左右方向)に屈曲する左右屈曲通路部772bと、該左右屈曲通路部772bに連通してほぼ垂直状となっている垂直通路部772cとからなっている。前後屈曲通路部772aは、図46(A)に示すように、上述したタンクレール部材740から落下する上端入口773の位置が前述したように2列の通路742のほぼ中央であるため、本体枠3の上後面壁545及び軸支側後面壁546の表面から背面側に離れた位置となっているので、前後屈曲通路部772aと軸支側後面壁546に突設される前記賞球案内突起561とによって球落下通路772を軸支側後面壁546の表面に近い位置とするように前後方向に屈曲するものである。また、左右屈曲通路部772bは、図50に示すように、タンクレール部材740から前後屈曲通路部772aを落下してきた球の勢いを弱めるために球通路ユニット770のほぼ横幅一杯にコ字状に屈曲して形成されるものである。更に、垂直通路部772cもほぼ垂直状に形成されているものの若干緩やかに湾曲して形成され、その垂直通路部772cを構成する一方の屈曲通路壁771に切欠部775が形成され、その切欠部775に上端が支軸777によって軸支される球切れ検出片776が揺動自在に取り付けられている。この球切れ検出片776の側方には、球切れスイッチ778が取り付けられ、球切れスイッチ778のアクチュエータ779が球切れ検出片776に当接している。球切れ検出片776及び球切れスイッチ778によって垂直通路部772cでの球切れを検出する球切れ検出機構が構成されている。
しかして、垂直通路部772cに球が存在しているときには、垂直通路部772cに存在する球によって球切れ検出片776が押圧されてアクチュエータ779を押して球切れスイッチ778をONとするが、垂直通路部772cに球詰まりや球欠乏により球が存在しなくなると球切れ検出片776が垂直通路部772c内に向かって揺動するので、アクチュエータ779が球切れスイッチ778をOFFとする。球切れスイッチ778がOFFになると、後述する賞球ユニット800の払出モータ815の回転が停止して賞球の払出が停止されるようになっている。なお、切欠部775の下端部には、球切れ検出片776の通路部と反対側への過剰な揺動を防止するためにストッパー突起780が形成されており、また、球通路ユニット770の球切れ検出片776に対応する垂直通路部772cに球詰まり用挿入溝781が形成されている。この球詰まり用挿入溝781は、球詰まり等で球切れ検出片776の揺動動作が行われ難い場合に、球通路ユニット770の後面側からピンを差し込んで球切れ検出片776部分の球詰まりの解消を図るために設けられるものである。更に、球切れ検出片776に対面する他方の屈曲通路壁771は、若干球切れ検出片776側に向かって膨出状に形成されている。これは、垂直通路部772cに球が存在しているときに確実に球切れ検出片776を押圧して球切れスイッチ778をONにするためである。
また、球通路ユニット770には、上記した球落下通路772を避けた位置に止め穴782と位置決めボス783とが形成されている。位置決めボス783は、本体枠3の軸支側後面壁546に形成される位置決めピン574に係合されるものであり、止め穴782は同じく軸支側後面壁546に形成される通路ユニット取付ボス562に対応するものである。しかして、球通路ユニット770を本体枠3に取り付けるには、図47に示すように、位置決めボス783を位置決めピン574に係合させながら通路ユニット取付ボス562と止め穴782とを一致させ、その状態で止め穴782からビス784を螺着することにより行うことができる。更に、球通路ユニット770には、その一側中程にカバー体1250の係合片と係合するカバー体係合溝785が形成されていると共に、下部に賞球ユニット800と連結するための連結蓋部材786が回動自在に設けられている。
連結蓋部材786は、図49に示すように、長方形状の板材の裏面に円弧状に突設される一対の通路壁790を突設することにより構成されており、球通路ユニット770の下部表面の左右両端部に突設される軸支部としての支持突片787に、連結蓋部材786の両端部から延びる支持片788の先端に突設される回転軸部としての突起軸789を嵌合することにより回動自在に軸支されるものである。また、連結蓋部材786は、閉じることにより球通路ユニット770の下方に延長されて通路壁790によって形成される通路と球落下通路772の下流端部とが連通した状態(図51(B)に示す状態)と、開放することにより通路壁790によって形成される通路と球落下通路772の下流端部とが連通しない状態(図51(A)に示す状態)と、に回動し得るが、開放した状態から閉じた状態に移行する際に、連結蓋部材786の支持片788を案内する案内突起791が球通路ユニット770の後面下端部に突設されている。
しかして、球通路ユニット770を本体枠3の軸支側後面壁546に固定した状態で、しかも、後述するように賞球ユニット800を同じく軸支側後面壁546に装着した状態(図51(A)に示す状態)で、連結蓋部材786を閉じて賞球ユニット800に設けられる係止弾性爪820によってその後面を係止することにより、球通路ユニット770の球落下通路772と賞球ユニット800の屈曲通路803とを通路壁790にて連通して、球通路ユニット770の球落下通路772を落下する球を賞球ユニット800の屈曲通路803に導くことができるものである。このように球通路ユニット770に回動自在な連結蓋部材786を設けた理由は、後述するように賞球ユニット800を本体枠3に対して着脱自在に装着し易くすることと、その着脱自在に装着したことに起因して球通路ユニット770と賞球ユニット800との間に形成される空間が球のスムーズな落下を阻害しないようにするためである。
また、球通路ユニット770に突設される一対の屈曲通路壁771の間に本体枠3の軸支側後面壁546にその突出高さが下流側に向かって徐々に低くなるように突設される賞球案内突起561を挿入することで、球落下通路772の上端入口773がタンクレール部材740の2列の通路742のほぼ中央下部に位置するように、球落下通路772の上流部を背面からみて前後方向に屈曲する前後屈曲通路部772aとして形成する。これにより、一対の整列歯車747によって2列で流下する球を交互に1個ずつ賞球ユニット800側に送り出す構成において、球落下通路772を通して球を1個ずつスムーズに賞球ユニット800に送り出すことができる。また、この構成によれば、複数の部材の組立体から球落下通路772を構成する必要がないため、球落下通路772を構成する部品点数を削減することができると共に、球落下通路772の組み付け作業性を向上することができる。
また、タンクレール部材740から前後屈曲通路部772aを落下してきた球は、左右屈曲通路部772bを通過することでその勢いを弱め、その後、垂直通路部772cを通って賞球ユニット800に送られる。また、勢いが弱められた状態で球が送り込まれる垂直通路部772cには、球切れを検出するための球切れ検出機構(球切れ検出片776及び球切れスイッチ778)が設けられる。これにより、球落下通路772での球切れ、言い換えれば賞球ユニット800に供給する球が切れたこと(球切れ)を確実に検出することができる。
次に、上記した球通路ユニット770の下流側に配置される賞球ユニット800について、主として図52乃至図55を参照して説明する。図52は、賞球ユニット800の背面側から見た分解斜視図であり、図53は、払出モータ815と払出部材としてのスプロケット807との関係を説明するための背面図であり、図54は、賞球ユニット800の通路と駆動関係を説明するための背面図であり、図55は、図54のA−A断面図である。
図52において、賞球ユニット800は、一対の屈曲通路壁802によって球通路を構成する屈曲通路803、賞球通路810、及び球抜通路811が形成されるユニットベース体801と、該ユニットベース体801の後面を覆うユニットサブ板825と、該ユニットサブ板825の上部表面(後面側)に取り付けられる中継基板830と、前記ユニットサブ板825のほぼ中央表面領域(後面側領域)に設けられるギヤ群843,844,847及び検出円盤850(回転伝達部材)を被覆するギヤカバー866とから構成されている。以下、これらの構成を順次説明する。
ユニットベース体801は、ほぼ長方形状の板状(この板部分を「底面」という場合がある。)に形成され、その板状のユニットサブ板825側に向かって突設される一対の屈曲通路壁802によって屈曲通路803が形成されている。屈曲通路壁802は、ユニットベース体801の上部中央から下流側のほぼ中程まで球の直径よりもやや大きな間隔で突設されるが、その中程から下流側に大きく左右に分かれて中程から下流端までユニットベース体801の両端辺の側壁を兼ねている。また、中程の屈曲通路壁802が大きく左右に分かれた部分は、球送り回転体としてのスプロケット807が配置される振分空間805を構成し、その振分空間805の下部からユニットベース体801の下流端までに左右に分かれた前記屈曲通路壁802の対をなすように通路区画壁809が突設形成されている。つまり、中程から下流側の左右の屈曲通路壁802と通路区画壁809とによって振分空間805から左右に2つの通路が構成されることなり、一方の通路が賞球通路810を構成し、他方の通路が球抜通路811を構成している。なお、通路区画壁809も左右に大きく分かれており、その分かれた通路区画壁809の内側に払出モータ815を収納するモータ収納空間814が形成されている。即ち、払出モータ815は、球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)を避けた位置であって当該球通路の奥行き幅寸法内に形成されるモータ収納空間814に収納固定される。なお、屈曲通路803は、該通路803内に停留する球のスプロケット807への圧力を弱めるために蛇行状に形成されて振分空間805に到達しているが、その振分空間805の上流側の底面に楕円形状の開口804が形成されている。この開口804は、屈曲通路803内に入った小さなゴミ等を貯留するもので、賞球ユニット800を本体枠3から取り外したときに溜まったゴミ等を取り出すことができるようになっている。
また、上記した振分空間805には、外周に球が嵌り合う複数(図示の場合は、3つ)の凹部が形成された払出部材としてのスプロケット807が回転自在に配置されるが、このスプロケット807が固定される回転軸808の他端を軸支する軸受筒806が振分空間805の底面に形成されている。また、振分空間805の底部を構成する通路区画壁809の上端部は、スプロケット807の回転円弧に沿った凹円弧状に形成され、その一方に形成される賞球通路810の上流部には、払出球検出センサ812が着脱自在に装着されている。払出球検出センサ812は、先端部に球が通過する円形状の通過穴が形成された直方体状の磁気センサからなり、その後端部の形状と合致するスイッチ嵌合凹部865を屈曲通路壁802で形成することにより、簡単に着脱自在に取り付けられるものである。なお、払出球検出センサ812からの配線(図示しない)は、後述する中継基板830に接続されるようになっている。更に、賞球通路810を構成する屈曲通路壁802の下流側には、ユニットサブ板825と一体的に形成される通路蓋板部859に形成される係止部860と係合する係止爪813が複数形成されている。ただし、複数の係止爪813のうち、通路蓋板部859の下端の一方の係止部860と係合する係止爪813は、通路区画壁809側に形成されている。
また、ユニットベース体801の下方であって賞球通路810と球抜通路811との間には、払出モータ815を収納する円形状のモータ収納空間814が形成されるが、このモータ収納空間814の内部に払出モータ815の円筒状本体が収納されるようになっている。ただし、払出モータ815は、その前面に形成される一対の取付片816によってユニットサブ板825の下方に取り付けられるアルミ放熱板841の裏面側にビス817で固着されるようになっている。そして、払出モータ815がユニットサブ板825のアルミ放熱板841に取り付けられた状態で、払出モータ815のモータ軸818は、アルミ放熱板841に穿設された軸挿通穴842を貫通して第一ギヤ843が固着されるようになっている。また、ユニットサブ板825及びアルミ放熱板841でユニットベース体801の後面側を被覆することにより、上記した屈曲通路803、賞球通路810、及び球抜通路811が形成される奥行幅方向の空間内に払出モータ815の円筒状本体部分も収納配置されることになる。そして、払出モータ815を収納するモータ収納空間814と前述したスプロケット807が配置される振分空間805とが、上下方向の極めて近い位置関係に形成されているため、ユニットベース体801の上下方向の長さを短くすることができ、結果的に賞球ユニット800のコンパクト化を図ることができる。
更に、ユニットベース体801には、上記した球抜通路811の最下端に球抜きされた球を賞球ユニット800の裏面側に誘導する誘導突片819が突設され、この誘導突片819に誘導された球が後述する球抜接続通路880に誘導されて最終的にパチンコ機1の外部(島台の下方に設けられる回収樋)に放出されるようになっている。また、ユニットベース体801の上部には、前述した球通路ユニット770の連結蓋部材786を係止する係止弾性爪820が突設されると共に、賞球ユニット800を本体枠3の軸支側後面壁546に着脱自在に取り付けるためのボタン挿通係合穴821及び鉤状係合部824と、ユニットベース体801とユニットサブ板825を挟持した状態でギヤカバー866とを連結するための取付ボス823が設けられている。ボタン挿通係合穴821には、ユニットベース体801の上部一側に設けられて棒状の着脱ボタン822が奥行幅方向に摺動自在に取り付けられるものであり、後述するように、その前方先端が本体枠3の軸支側後面壁546に形成されるロック用弾性爪564に対応している。また、ボタン挿通係合穴821の後端面は、図47に示すように、ロック用弾性爪564の先端部が入り込むように凹状となっている。また、鉤状係合部824は、本体枠3の軸支側後面壁546に形成される係合突片565と係合するもので、賞球ユニット800を軸支側後面壁546に押し当てて下方に押下げることにより、鉤状係合部824と係合突片565とが係合するものである。そして、その係合状態においてロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821とが係合するので、賞球ユニット800の上方向の移動ができないようになっている。なお、鉤状係合部824は、ユニットベース体801の上部左右に形成されている。また、ユニットサブ板825を挟持した状態でユニットベース体801とギヤカバー866とを連結するための取付ボス823は、後面側に向かって長く突設され、ユニットサブ板825に穿設される貫通穴858を貫通した後、ギヤカバー866の取付穴867に対応させ、そのギヤカバー866の表面からネジ868を螺着することにより、ユニットサブ板825を挟持した状態でユニットベース体801とギヤカバー866とを連結している。
上記したユニットベース体801を被覆するユニットサブ板825の構成について説明すると、ユニットサブ板825は、ユニットベース体801の屈曲通路803部分と振分空間805部分と賞球通路810部分とを覆う合成樹脂製の板材に払出モータ815が取り付けられると共に球抜通路811の下流部分とを覆うアルミ放熱板841を取り付けることにより構成されている。そして、ユニットサブ板825の合成樹脂板部の表側(後面側)には、中継基板830を取り付けるための中継基板領域826が上部に形成され、その下方に複数のギヤ843,844,847や検出円盤850が取り付けられるギヤ領域840が形成されている。中継基板領域826は、ほぼ正方形状に形成され、その正方形状に沿って中継基板830を載置する載置リブ827が突設され、その一側垂直辺の上下に後述する基板カバー835の係合突起836と係合する係合溝部828が形成され、その他側垂直辺の中央に基板カバー835の係止突部837と係合する係止爪部829が形成されている。また、中継基板領域826には、着脱ボタン822が挿通されるボタン挿通穴834と中継基板830をビス(図示しない)で止着するための取付ボス部832が形成されている。
上記した中継基板領域826に取り付けられる中継基板830は、賞球ユニット800に設けられる上述した払出球検出センサ812、払出モータ815、及び後述するセンサ855からの配線と、後述する払出制御基板1186(図25及び図72参照)からの配線とを中継するもので、そのために複数のコネクタが設けられると共に、着脱ボタン822が挿通されるボタン挿通穴833と前記取付ボス部832に対応する取付穴831とが穿設されている。しかして、中継基板830を中継基板領域826の載置リブ827に載置した状態で取付穴831と取付ボス部832とを合致させて図示しないビスで止着することにより中継基板830をユニットサブ板825の表面(後面)に止着することができる。
また、上記のように取り付けられる中継基板830は、基板カバー835によって被覆される。基板カバー835は、ほぼ正方形状の前面側が開放したボックス状に形成され、その一側垂直辺の上下基部に係合突起836と他側垂直辺のほぼ中央側面に係止突部837が形成されている。また、基板カバー835の正方形状の垂直面には、ボタン開口838と接続開口部839とが形成されている。しかして、基板カバー835の係合突起836を中継基板領域826の係合溝部828に差し込んで係合した後、係止突部837と係止爪部829とを係合させることにより、簡単に基板カバー835で中継基板830を被覆することができる。逆に、取り外す場合には、係止爪部829を弾性変形させて係止突部837との係合を解除すると共に基板カバー835を斜め手前側に引いて係合突起836と係合溝部828との係合を解除することができる。なお、基板カバー835を被覆した状態では、ボタン挿通係合穴821に係合されている着脱ボタン822の頭部がボタン挿通穴833,834を挿通してボタン開口838から外部に僅かに臨んでいる。また、中継基板830に接続された配線は、接続開口部839から外部に引き出されるようになっている。
次に、ユニットサブ板825に形成されるギヤ領域840に設けられるギヤ843,844,847、及び検出円盤850について説明する。前述したように、払出モータ815のモータ軸818の先端は、ユニットサブ板825のアルミ放熱板841に穿設される軸挿通穴842を貫通してユニットサブ板825の表面(後面側)に突出しており、その突出した部分に第一ギヤ843(駆動ギヤ)が固着されている。第一ギヤ843の上方には、該第一ギヤ843と噛合する第二ギヤ844(回転伝達ギヤ)がギヤカバー866の裏面(前面側)に一端が圧入され且つアルミ放熱板841に穿設される軸穴846に他端が支持される軸845に回転自在に設けられ、その第二ギヤ844の上方には、該第二ギヤ844と噛合する第三ギヤ847(回転伝達ギヤ)がユニットサブ板825に形成される軸穴849に圧入された軸848に回転自在に設けられている。更に、第三ギヤ847の上方には、該第三ギヤ847と噛合するギヤ部852(従動ギヤ)を有する検出円盤850が前記スプロケット807を軸支する回転軸808に回転自在に設けられている。なお、図55に示すように、モータ軸818の先端部がギヤカバー866に形成される受穴に遊嵌されている。また、回転軸808は、その一端がユニットベース体801に形成される軸受筒806に圧入されて支持され、その他端がギヤカバー866に形成される軸受穴に支持されるものであるが、ギヤ領域840の中央よりやや下方に形成された軸貫通穴864を貫通して振分空間805においてスプロケット807を回転自在に軸支し、ユニットサブ板825とギヤカバー866とによって形成される空間において検出円盤850を回転自在に軸支している。ただし、図55に示すように、スプロケット807の後端部が検出円盤850の中心前面部と係合した状態となっているので、スプロケット807と検出円盤850とは、回転軸808を中心として一体的に回転するようになっている。したがって、払出モータ815が回転駆動すると、その回転が第一ギヤ843、第二ギヤ844、第三ギヤ847、検出円盤850のギヤ部852を介してスプロケット807を回転するように伝達される。
検出円盤850の外周は、ギヤ部852の円よりも一回り大きく形成されており、そのギヤ部852よりも外側に突出している外周部分には、スプロケット807の凹部と同じ数(図示の場合には、3個)の検出切欠851が形成されている。この検出切欠851は、ユニットサブ板825の表面に形成される基板取付部857に挟持支持されるセンサ基板854に設けられる投受光方式のセンサ855(回転位置検出手段)によって検出されるものである。そして、センサ855は、払出動作時において所定のインターバル時間内に検出切欠851の検出個数を検出することにより、スプロケット807が正常に回転しているか否かを監視するためのものである。仮に、センサ855により、異常回転が検出されたとき(多くは、スプロケット807による球噛み状態)には、スプロケット807を所定回数正逆回転させて異常状態(例えば、球噛み状態)を解消するものである。なお、実際に払いだされた球の個数は、前述した賞球通路810に設けられる払出球検出センサ812によって検出して計数のために使用している。なお、図55に示すように、センサ基板854の他端辺もギヤカバー866に形成される基板取付部に挟持されるようになっている。
上述したように、ギヤ領域840に設けられる複数のギヤのうち、第二ギヤ844だけがギヤカバー866側に圧入される回転軸845に回転自在に設けられているところ、ギヤ領域840を覆うギヤカバー866には、前記ユニットベース体801に突設されてユニットサブ板825の貫通穴858を貫通する取付ボス823の先端部に対応する位置に穿設される取付穴867が形成されている。そして、ギヤカバー866側に設けられる第二ギヤ844の歯とユニットサブ板825側に設けられる第一ギヤ843及び第三ギヤ847の歯とを噛み合わせながら、取付穴867と取付ボス823とを一致させた状態でギヤカバー866の後面からネジ868で螺着することにより、ユニットサブ板825を挟持する状態でベースユニット体451とギヤカバー866とが一体的に固定される。また、ギヤカバー866の一側側面には、前記中継基板830に接続される配線(例えば、中継基板830と後述する払出制御基板1186とを接続する配線等)を掛け留めて纏める配線処理片869が突設されている。
以上、賞球ユニット800の構成について説明してきたが、ユニットベース体801とユニットサブ板825と中継基板830と基板カバー835とギヤカバー866とを組み付けた状態においては、図55に示すように、払い出すべき球が導かれる屈曲通路803の下方位置に払出モータ815の円筒状の本体部分が収納されるように位置する。また、ユニットベース体801には、球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)内に配置されたスプロケット807と、球通路を避けた位置であって球通路の奥行き幅寸法内に形成されるモータ収納空間814に収納された払出モータ815と、を設け、ユニットサブ板825には、その非閉塞面側に沿って払出モータ815のモータ軸818の回転をスプロケット807の回転軸808に伝達する回転伝達部材(第一ギヤ843、第二,3ギヤ844,847、及び検出円盤850のギヤ部852)を設け、しかも、払出モータ815と屈曲通路803の振分空間805に配置される払出部材としてのスプロケット807とをユニットサブ板825の後面のギヤ領域840に設けられる複数のギヤ843,844,847,850(852)によって回転駆動するように連結した構造となっている。即ち、ユニットベース体801とユニットサブ板825との間に形成される球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)の奥行き幅内にスプロケット807と払出モータ815とを収納し、しかも、スプロケット807と払出モータ815とを連結する回転伝達部材(第一ギヤ843、第二,3ギヤ844,847、及び検出円盤850のギヤ部852)をユニットサブ板825の非閉塞面側の所定幅内に沿って設けたので、球通路の外側に払出モータやスプロケットの一部を配置したものに比べて、賞球ユニット800を薄型化することができる。また、このような賞球ユニット800は、当該賞球ユニット800内の球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)が一条の通路形状で形成されることにより、より一層の薄型化が図られている。即ち、従来のように、払出モータ815を賞球ユニットの前面側又は後面側又は側方側に突出させるものと異なり、本体枠3の軸支側後面壁546の後面側に取り付けたときに、賞球ユニット800のいずれの部分もさらに後方に向かって突出することがない構造とすることができる。なお、図55において、払出モータ815の前端部分がユニットベース体801の後面よりも僅かに突出して構成されているが、この突出部分は、図25に示すように、軸支側後面壁546の下方の払出モータ用逃げ開口部572から本体枠3の前方部分に臨むようになっているため、結果的にその突出寸法から軸支側後面壁546の板厚寸法を差し引いた寸法だけ突出する程度となり、軸支側後面壁546よりも前方に向かう突出量は僅かなものとなっている。また、このような構成をとることにより、本実施形態では、賞球ユニット800が取り付けられる本体枠3の軸支側後面壁546と遊技盤4の裏面との間に、遊技盤4に設けられる遊技装置の後方突出部分を収納する収納空間を奥行き幅方向で大きくとることができる。
また、上記のように構成される賞球ユニット800を本体枠3の軸支側後面壁546に取り付けるためには、図47に示すように、鉤状係合部824と係合突片565とを対応させて位置合わせした後、賞球ユニット800の下端を係止溝573に掛け止め且つ鉤状係合部824と係合突片565とを係合させるために賞球ユニット800を軸支側後面壁546に密着させたまま下方に押下げる。このとき、賞球ユニット800の下端部と係止溝573とが係合し且つ鉤状係合部824と係合突片565とが係合しているので、取付自体は完了しているが、賞球ユニット800を上方に移動させることにより簡単に上記のそれぞれの係合状態が解除されてしまうため、これを防止するために、ロック用弾性爪564がボタン挿通係合穴821に係合するようになっている。つまり、ロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821とが係合することにより、取付状態で賞球ユニット800の上方への移動を防止している。このように、賞球ユニット800を取り付けた後に、球通路ユニット770の連結蓋部材786を前述したように回動して係止弾性爪820で係止することにより、球通路ユニット770の球落下通路772下流端と賞球ユニット800の屈曲通路803の上流端とを一対の通路壁790によって構成される通路を介して連通化することができる。また、賞球ユニット800を取り付けた状態では、賞球通路810の下流端と後に詳述する満タンユニット900の賞球入口927とが接続され、球抜通路811の下流端が球抜接続通路880の上流端と接続される。
一方、賞球ユニット800を取り外すときは、係止弾性爪820による係合を解除して連結蓋部材786を手前側に回動し、その後、着脱ボタン822を押圧してロック用弾性爪564を前面側に移動させてロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821との係合を解除させ、その後着脱ボタン822を押圧したままの状態で賞球ユニット800を上方に引き上げて賞球ユニット800の下端部と係止溝573との係合及び鉤状係合部824と係合突片565との係合を解除して賞球ユニット800を手前側に引き出すことにより、賞球ユニット800を簡単に取り外すことができる。
上記した賞球ユニット800の下流側に配置される満タンユニット900について、主として図56乃至図62を参照して説明する。図56は、賞球ユニット800と満タンユニット900との関係を示す斜視図であり、図57は、満タンユニット900の斜視図であり、図58は、満タンユニット900の正面から見た分解斜視図であり、図59は、満タンユニット900の背面から見た分解斜視図であり、図60は、満タンユニット900とファール口610との関係を示す一部破断斜視図であり、図61は、満タンユニット900に設けられる底面揺動板907部分で切断した横断面図であり、図62は、満タンユニット900とファール口610との関係を示す断面図である。
満タンユニット900は、前述したように本体枠3の満タンユニット載置部531に載置固定されるものであり、図58に示すように、上面が開放したボックス状に形成されるボックス主体901と、該ボックス主体901の上面を覆う蓋体926とから構成されている。ボックス主体901は、賞球通路810の下流端から流入した球が内部をジグザグ状に誘導されて出口921から排出されるようになっている。このため、その上流部に蓋体926に形成される賞球入口927から流入した球を一端から他端に向かって側方に誘導する側方誘導通路902が形成されている。側方誘導通路902の賞球入口927の直下の一端部には、球を側方に向かって誘導するように凹円弧状に形成される側方誘導受部903が設けられ、側方誘導通路902の他端内面に側方誘導通路902を流れてきた球の衝撃を受け止めて該球を下流側に誘導する緩衝部材904が設けられている。
また、側方誘導通路902の他端内面に設けられる緩衝部材904に衝突した球は、向きを下流側に変えた後、側方誘導通路902の球の流れと逆方向に流れるように誘導される逆側方誘導通路905が形成されている。逆側方誘導通路905を流れた球は、その後、前方に向かって形成される前方誘導通路920に導かれて該前方誘導通路920の流下端に形成される出口921から前述した皿ユニット300の賞球連絡樋451に導かれる。
ところで、前記逆側方誘導通路905の上流側の底面には、その底面の全域に亘って開口する底面開口906が形成され、その底面開口906を底面揺動板907が揺動自在に閉塞している。底面開口906は、上面が開放されたほぼ正方形の凹状に形成され、その内部の正面から見て前後方向の側壁に一対の軸支突起911が突設されている。また、底面開口906の凹状の底面にバネ913の下端を位置決めするための円形状のバネ載置凹部912が形成されている。一方、底面開口906を閉塞する底面揺動板907は、ほぼ正方形状に形成され、その裏面下流側に正面から見て前記軸支突起911に嵌合することにより軸支される半円形状の軸受部908が突設形成されている。また、底面揺動板907の裏面中央には、図61に示すように、バネ913の上端が係止されるバネ係止突起910が下方に向かって突設されている。したがって、底面揺動板907は、バネ913の付勢力によりその上流側が常に上方へ揺動された方向に付勢されている。そして、バネ913は、通常の賞球の払出個数(例えば、15個)が一度に底面揺動板907上に載置したときでも底面揺動板907が下方に揺動せず、賞球の払出個数以上の所定個数の球が底面揺動板907上に載置したときに下方に揺動するようなバネ係数を有するバネ部材によって形成されている。更に、底面揺動板907の上流側に検出突片909が前方に向かって突出されている。この検出突片909は、底面揺動板907の軸受部908を軸支突起911に嵌合軸支したときに、連通孔929を貫通して次に説明するスイッチ収納空間914に位置するようになっている。
また、逆側方誘導通路905の上流端部の側壁の外側には、満タンスイッチ916を収納するためのスイッチ収納空間914が一体的に形成されている。スイッチ収納空間914に満タンスイッチ916を取り付けるために、スイッチ収納空間914の上部であって逆側方誘導通路905の上流端部の側壁の外側面にスイッチ取付部918が形成され、そのスイッチ取付部918に満タンスイッチ916を保持するスイッチホルダ915の取付片917がネジ919によって止着されている。満タンスイッチ916は、投光器と受光器とからなるスイッチとして構成され、その受光器と投光器との間を検出突片909が上下に揺動することによりON・OFFを検出するものである。
更に、逆側方誘導通路905の下流側の一側方にファール球通路922が形成されている。ファール球通路922は、その上流側のファール球入口923が図60に示すように、前述したファール口610に連通し、その下流側が前方誘導通路920の上流側に連通するように屈曲して形成されている。このため、ファール口610に取り入れられたファール球は、ファール球入口923から屈曲したファール球通路922を通って前方誘導通路920に導かれ、さらに出口921及び賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に戻される。
また、ボックス主体901には、前記出口921の両側方と前記ファール球入口923の一側方に前記満タンユニット載置部531に形成されるユニット係合溝532に係合される係合片924が突設されると共に、蓋体926に形成される掛止片928と係合する掛止突起925が形成されている。この掛止突起925は、ボックス主体901の左右後方の側壁上部に適宜形成されている。
一方、蓋体926は、ボックス主体901の側方誘導通路902、逆側方誘導通路905、前方誘導通路920、及びファール球通路922の上面を覆うような板形状に形成され、前記側方誘導通路902に上流端に対応する位置に正方形状の賞球入口927が開口されている。また、蓋体926の周囲には、ボックス主体901の前記掛止突起925と係合するための掛止片928が下方に向かって突設されている。
上記のように構成される満タンユニット900においては、図56に示すように、賞球ユニット800の賞球通路810から払出された球が賞球入口927から側方誘導通路902の上流側に入って側方誘導受部903によって側方に向かって誘導されて緩衝部材904に衝突する。緩衝部材904に衝突した球は、そのまま下流側に向かって逆側方誘導通路905を前記側方誘導通路902の誘導方向と逆方向に誘導されて前方誘導通路920に導かれ、前方誘導通路920の出口921から賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に導かれる。また、ファール球入口923から入ったファール球も屈曲したファール球通路922によって球の勢いを弱められて前方誘導通路920に合流し、前方誘導通路920の出口921から賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に導かれる。
そして、通常時、満タンユニット900内を球が自然に流れているときには、側方誘導通路902から逆側方誘導通路905に球が移動する際に、底面揺動板907に落下するが、通常の賞球の払出個数程度では、バネ913の弾発力が強いので、底面揺動板907が揺動することがなく、図61の実線で示すように、検出突片909が投受光方式の満タンスイッチ916の投光器と受光器との間に入ってスイッチが導通しない状態(OFF)となっている。これに対し、皿ユニット300に賞球が貯留されて満タンユニット900内にも球が充満してきたときには、前方誘導通路920及び逆側方誘導通路905の上流側の全域に形成される底面揺動板907上に貯留された球の圧力により底面揺動板907がバネ913の付勢力に抗して下方に揺動し、図61の二点鎖線で示すように、検出突片909が投受光方式の満タンスイッチ916の投光器と受光器との間から外れてスイッチが導通した状態(ON)となる。満タンスイッチ916がONすると、賞球ユニット800の払出モータ815の回転駆動が停止(所定個数の賞球を払出している最中にON信号が導出された場合には、その所定個数の賞球が払出されてから停止)するようになっている。
上記したように、満タンユニット900においては、球が流下する通路(図示の場合には、逆側方誘導通路905)の通路底面の幅とほぼ同じ幅の底面揺動板907によって満タンスイッチ916を作動させるようにすると共に、通常時の球の流れによって揺動せずある程度の球が載置したときに底面揺動板907揺動するように付勢部材(バネ913)で付勢したので、従来のように一部の通路の底面等に球が載置したことにより球詰まりを検出するものに比べて、その一部の通路部分における球の載置が球詰まりによって検出されない事態を確実に防止することができる。このことは、球の満タンを確実に検出することができるものである。
上記したように、本実施形態に係る満タンユニット900においては、本体枠3の満タンユニット載置部531に着脱自在に取り付けるものであるため、従来のように、満タン装置を本体枠に形成された払出通路の内部に組み付けるものに比べて、本体枠に満タン構造のための通路を形成する必要がない。また、満タンユニット900の内部をジグザグ状の通路とすることにより、賞球ユニット800の賞球通路810から払出された球の勢いを弱めながら皿ユニット300に誘導することができるので、払い出された賞球が皿ユニット300から外に飛び出すこともない。更に、本実施形態に係る満タンユニット900は、ファール球を導くファール球通路922が賞球を払い出す前方誘導通路920の途中に球の勢いを弱めて合流するようになっているので、賞球の流れを阻害することなくファール球を合流させることができる。
次に、本体枠3の開放側の裏側端辺に沿って垂直方向に取り付けられる錠装置1000について主として図63乃至図71を参照して説明する。図63は、錠装置1000と本体枠3との関係を示す背面斜視図であり、図64は、錠装置1000の本体枠3への掛け止め構造を示す拡大側方断面図であり、図65は、パチンコ機1の縦方向中央よりやや下方の位置で水平方向に切断した一部断面図であり、図66は、錠装置1000と本体枠3の側壁540,541との詳細な関係を示す拡大断面図であり、図67は、錠装置1000の側面図(A)、前面側から見た斜視図(B)であり、図68は、錠装置1000の背面側から見た斜視図(A)、錠装置1000のコ字状基体1001の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050の斜視図(B),(C)であり、図69は、錠装置1000の分解斜視図であり、図70は、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050の作用を説明するための正面図であり、図71は、不正防止部材1023,1032の作用を説明するための正面図である。
錠装置1000は、本体枠3の開放側の第一側面壁540に沿って本体枠3のほぼ上端から下端にかけて取り付けられるものであり、図63に示すように、本体枠3の外周側辺と第一側面壁540の立ち上がり部との間の上下端近い部分及び中程に形成される複数(図示の場合、3個)の錠係止穴548と、第一側面壁540の垂直面の上部と中程に切り欠けられて形成される錠取付穴547とシリンダー錠貫通穴526の上部近傍に形成される錠取付穴547と、によって次に説明する錠装置1000のコ字状基体1001が支持固定されるものである。そこで、以下、錠装置1000の構造について詳細に説明する。
図67乃至図69に示すように、錠装置1000は、断面コ字状に形成される錠基体としてのコ字状基体1001と、該コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と、前記コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる本体枠用摺動杆1050と、該本体枠用摺動杆1050の摺動を不正に行うことができないようにコ字状基体1001の下部に取り付けられる不正防止部材1023,1032と、からなる。
コ字状基体1001は、金属を断面コ字状となるように折り曲げ、その内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設けるものであるが、その横幅寸法は従来の断面L字状に成形された基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いものとなっている。これは、前述したように遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540〜543で囲まれる空間を大きくしたため、側面壁540と本体枠3の外周辺との間の寸法が極めて小さくなっていることにより、本実施形態に係る錠装置1000の横幅寸法を小さく形成して錠装置1000を本体枠3の裏側に取り付けることができるような取付構造として改良したためである。そして、コ字状基体1001の断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取り付けられるため、錠装置1000が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態の不正防止構造となっている。
先ず、コ字状基体1001の開放側と反対の閉塞側上下に本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065が貫通される長方形状のフック貫通開口1002が開設されると共に、閉塞側であって第一側面壁540と密着する側面1001b(図69参照)上部と中程に水平方向にビス止め部1003が突設され、更に、開放側の第一側面壁540と密着しない側面1001a(図69参照)の上端部及び中間部と、開放側の両側面1001a,1001bの下端部に係止突起1004が突設形成されている。ビス止め部1003と係止突起1004は、錠装置1000を本体枠3の裏面に取り付けるためのものであり、係止突起1004を本体枠3の錠係止穴548に差し込んで上方に移動させ(図64参照)、その状態でビス止め部1003と錠取付穴547とが一致するため、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができる。なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程のビス止め部1003だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されるビス止め部1003と前記シリンダー錠貫通穴526の上方近傍に形成される錠取付穴547とを対応させて図示しないビスで止着することにより、錠装置1000の下方も取り付けられるようになっている。
また、その取り付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を錠係止穴548に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中の2箇所に形成されたビス止め部1003及びコ字状基体1001の開放側(前方部)に形成されたビス止め部1003を錠取付穴547にビスで固定する構造であるため、錠装置1000の前方部を係止突起1004と錠係止穴548で係止し、錠装置1000の後方部をビス止め部1003と錠取付穴547で固定し且つ錠装置1000の下方部をビス止め部1003と錠取付穴547で固定するので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。換言するならば、錠装置1000を極めて横幅寸法の薄いコ字状基体1001に集約して構成した場合でも、錠装置1000の前方部と後方部との係止及び固定により、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造(固定構造でもよい)を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003及びビス止め部1003がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着する側面1001bから水平方向に突設形成される構造であるため、前方部の係止構造が第一側面壁540と密着する側面1001bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるものである。
また、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bの上部、中程、下部に挿通穴1005が形成され、コ字状基体1001に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納した状態で挿通穴1005にリベット1006を差込んでかしめることにより、コ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を摺動自在に取り付けることができる。即ち、扉枠用摺動杆1040の上中下の3箇所に形成されるリベット用長穴1042と本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052にそれぞれ1つずつ形成されるリベット用長穴1055,1061にリベット1006を貫通させることにより、扉枠用摺動杆1040が上方に移動できるようにし、本体枠用摺動杆1050が下方に移動できるようになっている。したがって、図68(B)に示すように本体枠用摺動杆1050のリベット用長穴1055,1061の下端部にリベット1006が貫通しており、図68(C)に示すように扉枠用摺動杆1040のリベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通している。
更に、コ字状基体1001の下方部には、その閉塞側面に不正防止切欠部1007が形成されると共に、その開放側の本体枠3の第一側面壁540と密着する側面1001bの前端部にシリンダー錠1010を取り付けるための錠取付片1008が側方に向かって突設され、更に、第一側面壁540と密着する側面1001bに挿入縦開口1020、バネ係止片1021、及び逃げ横穴1022がそれぞれ形成されている。不正防止切欠部1007は、後に説明する第一不正防止部材1023のストッパー片部1027が進退するようになっている。この点については、後に詳述する。また、錠取付片1008は、錠装置1000を本体枠3の裏面に取り付けた状態で、遊技盤設置凹部510の下端辺よりも下方の位置となるようにコ字状基体1001の側面1001bの前端部から側方に向かって突設されるが、この錠取付片1008には、シリンダー錠1010が貫通する錠挿通穴1009が形成されると共にシリンダー錠1010の錠取付基板1011に形成される取付穴1013をビス1012で取り付けるための取付穴1014が上下2箇所に穿設され、更に、錠装置1000の下部を本体枠3の裏面に取り付けるためのビス止め部1003が穿設されている。また、挿入縦開口1020は、シリンダー錠1010に固定される係合カム1016の第一係合突片1017及び第二係合突片1018がシリンダー錠1010の回動時に侵入するための開口であり、バネ係止片1021は、不正防止部材1023,1032に設けられるバネ1035が係止されるものであり、逃げ横穴1022は、連結ピン1034の移動の邪魔をしないように逃げ穴を構成するものである。この点については後に詳述する。
上記した錠取付片1008に取り付けられるシリンダー錠1010について説明すると、シリンダー錠1010は、錠取付基板1011の前方に円筒状のシリンダー錠本体が固定され、そのシリンダー錠本体の錠軸1015が錠取付基板1011より後面に出ており、その錠軸1015の後端に係合カム1016がビス1019によって固定されている。係合カム1016は、ブーメラン形状に形成され、その一端辺が回動時に本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合する第一係合突片1017となっており、その他端辺が回動時に扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合する第二係合突片1018となっている。そして、上記のように構成されるシリンダー錠1010は、円筒状のシリンダー錠本体部分を錠挿通穴1009に挿通して錠取付基板1011の上下2箇所に形成される取付穴1013と錠取付片1008の取付穴1014とを一致させてビス1012で螺着することにより、シリンダー錠1010をコ字状基体1001に固定することができる。
次に、コ字状基体1001に取り付けられる不正防止部材1023,1032,について図69を参照して説明する。不正防止部材1023,1032は、シリンダー錠1010を正式な鍵で回動せずに、例えばピアノ線や針金等で不正に本体枠用摺動杆1050を下降させることを防止するためのものである。しかして、不正防止部材1023,1032は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結した構造となっている。第一不正防止部材1023は、上端の揺動軸穴1025を中心にして揺動自在に構成される縦長の板状に形成され、その揺動軸穴1025を前述したコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を摺動自在に取り付けるための挿通穴1005及びリベット1006のうち、最下方の挿通穴1005及びリベット1006によって取り付けられる。
また、第一不正防止部材1023には、その板状面に前記挿入縦開口1020と重複する縦長な突片挿入穴1026が開設され、この突片挿入穴1026に第二係合突片1018が挿入し得るようになっている。つまり、突片挿入穴1026と挿入縦開口1020を第二係合突片1018が貫通することにより、コ字状基体1001の内部に設けられる扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045と第二係合突片1018とが係合するようになっている。また、第一不正防止部材1023の突片挿入穴1026の開設位置の斜め上方の外形線が傾斜部1024となっている。この傾斜部1024は、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017の後面側と当接するもので、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017と傾斜部1024とが当接することにより第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として揺動(図71(B)において時計回転方向)するようになっている。
更に、第一不正防止部材1023には、前記突片挿入穴1026の斜め下方の外形線上にストッパー片部1027が突設され、そのストッパー片部1027の下方に規制突片1031が突設され、該規制突片1031の前方部にピン穴1029と連結穴1030とが上下に形成されている。ストッパー片部1027は、本体枠用摺動杆1050の施錠時に前記不正防止切欠部1007及び本体枠用摺動杆1050の係合切欠部1066に侵入係合して本体枠用摺動杆1050が不正に摺動しないようにするものである。また、規制突片1031は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とはバネ1035によって連結されるが、そのバネ1035で連結されたときに第二不正防止部材1032の付勢方向への移動を規制するものである。ピン穴1029は、ガイドピン1028が固定されるものであり、ガイドピン1028が第一不正防止部材1023の裏面側からピン穴1029に固定された状態で、そのガイドピン1028を前記挿入縦開口1020の最下端部に形成される横長状開口部に係合させることにより、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001の側面1001bに沿って案内するものである。更に、連結穴1030は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結するためのものである。
上記した第一不正防止部材1023に連結される第二不正防止部材1032は、逆「て」字状の板材で形成され、その上部一端に連結穴1033が形成され、その上部他端にバネ係止穴1036が穿設され、下方端部に当接部1037が設けられている。連結穴1033は、第一不正防止部材1023の連結穴1030と一致させて連結ピン1034で連結するためのものであり、バネ係止穴1036は、一端がコ字状基体1001のバネ係止片1021に係止されるバネ1035の他端を係止するものである。また、当接部1037は、本体枠3の閉鎖時に外枠2の内側下部に固定される閉鎖用突起41と当接するものである。なお、上記した第一不正防止部材1023及び第二不正防止部材1032の作用については、後に詳述する。
次に、コ字状基体1001の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050について説明する。先ず、扉枠用摺動杆1040は、縦長の金属製の板状部材から構成され、その一側縦辺の上中下の3箇所に扉枠用フック部1041が前方に向かって一体的に突設されている。この扉枠用フック部1041は、コ字状基体1001内に収納したときに、その開放側から前方に突出しているもので、錠装置1000を本体枠3の裏面に固定したときに、本体枠3に形成される扉用フック穴549(図21及び図22参照)から前方に突出し、扉枠5の裏面に形成されるフックカバー227(図15参照)に係止するものである。なお、扉枠用フック部1041は、下向きの係合爪形状となっているため、扉枠用摺動杆1040を上昇させることにより扉枠用フック部1041とフックカバー227との係止状態を解除することができる。
また、扉枠用摺動杆1040の上中下の側面中央に、前記リベット1006が挿通される縦長のリベット用長穴1042が形成され、該リベット用長穴1042のうちの最上部のリベット用長穴1042の下方及び扉枠用摺動杆1040の最下端にガイド突起1043が突設されている。リベット用長穴1042は、コ字状基体1001の挿通穴1005に挿通されるリベット1006が貫通されるものであり、しかも、このリベット1006が扉枠用摺動杆1040の上昇動作を邪魔しないように縦長に形成されている。そして、通常状態においては、リベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通当接した状態となっている。また、ガイド突起1043は、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052に形成される突片移動穴1056,1064に挿通されるものであり、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の摺動動作を案内するようになっている。
また、扉枠用摺動杆1040の上端部にスプリングフック部1046が形成され、このスプリングフック部1046にスプリング1048の一端が係止され、そのスプリング1048の他端が本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051に形成されるスプリングフック部1057に係止される。これにより、扉枠用摺動杆1040が下方向に、本体枠用摺動杆1050が上方向に、それぞれ相互に付勢されている。扉枠用摺動杆1040の中程には、当接弾性片1047が凸状に形成されている。この当接弾性片1047は、扉枠用摺動杆1040の一側側面からプレスで打ち出して凸状に形成したものであり、コ字状基体1001の内側面に当接して内部で扉枠用摺動杆1040がガタつかないようにするものである。更に、扉枠用摺動杆1040の下方部分の側面には、共に縦長な遊び穴1044と上昇係合穴1045とが形成されている。遊び穴1044は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第一係合突片1017の先端部が移動しえる空間を構成するものである。また、上昇係合穴1045は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって扉枠用摺動杆1040が上昇するように係合するためのものである。なお、扉枠用摺動杆1040の縦辺下部後方には、前記不正防止切欠部1007よりも上下方向に大きな切欠である逃げ切欠部1049が形成されている。この逃げ切欠部1049は、第一不正防止部材1023のストッパー片部1027を確実に不正防止切欠部1007及び係合切欠部1066に係合させるために邪魔しないように形成されるものである。
一方、本体枠用摺動杆1050は、金属板製の上フック部材1051と、金属板製の下フック部材1052と、上フック部材1051と下フック部材1052とを連結する連結線杆1052と、から構成されている。つまり、本体枠用摺動杆1050は、従来のように1つの金属製の縦長板で構成されているわけではなく、フック部1054,1065を有する上フック部材1051と下フック部材1052とを金属製の板材をプレスで形成し、その金属製の上フック部材1051と下フック部材1052とを細い金属製の連結線杆1053で連結したものである。このため、狭いコ字状基体1001の空間に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを効率よく収納することができる。
ところで、上フック部材1051には、その上端部に後方に向かってフック部1054が突設され、その板面部にリベット用長穴1055と突片移動穴1056とが形成され、また、その前方の縦辺下端部にスプリングフック部1057と連結穴1058とが形成され、さらに、その上辺及び下辺に当接部1059が形成されている。フック部1054は、コ字状基体1001の上方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の上部に設けられる閉鎖用突起38に係合するもので上向きに係止爪部が形成されている。リベット用長穴1055は、扉枠用摺動杆1040の上部に形成されるリベット用長穴1042に対応するものであり、このリベット用長穴1055にリベット1006が貫通された通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1055の最下端部を貫通した状態となっている。これにより、上フック部材1051が下方に向かって移動することができるようになっている。突片移動穴1056は、前述したように扉枠用摺動杆1040の上方のガイド突片1043が挿入されて、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内するようになっている。スプリングフック部1057は、前述したようにスプリング1048の他端が係止されるものである。また、連結穴1058は、連結線杆1053の上端が折り曲げられて挿入されるものである。更に、当接部1059は、コ字状基体1001に収納されたときに、該コ字状基体1001の内部側壁に当接して上フック部材1051の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
一方、下フック部材1052には、その下端部に後方に向かってフック部1065が突設され、その板面部の上方から下方にかけてリベット用長穴1061と下降係合穴1062と遊び穴1063と突片移動穴1064とが順次形成され、また、その前方の縦辺上端部に連結穴1060が、その後方の縦辺下部に係合切欠部1066がそれぞれ形成され、さらに、その上辺及び下辺に当接部1067が形成されている。フック部1065は、コ字状基体1001の下方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の下部に設けられる閉鎖用突起41に係合するもので上向きに係止爪部が形成されている。リベット用長穴1061は、扉枠用摺動杆1040の下部に形成されるリベット用長穴1042に対応するものであり、このリベット用長穴1061にリベット1006が貫通された通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1061の最下端部を貫通した状態となっている。これにより、下フック部材1052が下方に向かって移動することができるようになっている。下降係合穴1062は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって本体枠用摺動杆1050が下降するように係合するためのものである。また、遊び穴1063は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第二係合突片1018の先端部が移動し得る空間を構成するものである。突片移動穴1064は、前述したように扉枠用摺動杆1040の下方のガイド突片1043が挿入されて、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内するようになっている。また、連結穴1060は、連結線杆1053の下端が折り曲げられて挿入されるものである。更に当接部1067は、コ字状基体1001に収納されたときに、該コ字状基体1001の内部側壁に当接して下フック部材1052の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
以上、錠装置1000を構成する各部材について説明してきたが、この錠装置1000を組み付けるには、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051と下フック部材1052とを連結線杆1053で連結し、その状態で扉枠用摺動杆1040のガイド突片1043を上フック部材1051と下フック部材1052の突片移動穴1056,1064に挿入すると共に、相互のリベット長穴1042とリベット用長穴1055,1061を位置合わせして重ね合わせ、その重ね合わせた状態で上フック部材1051のフック部1054と下フック部材1052のフック部1065とをコ字状基体1001のフック貫通開口1002に貫通させながら扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001のコ字状の空間に挿入する。その後、挿通穴1005からリベット1006を差し込む。この際、リベット1006がリベット用長穴1055,1061、1042を貫通するように差し込む。ただし、最下端のリベット1006を差し込むときには、第一不正防止部材1023の揺動軸穴1025にもリベット1006を差し込んで第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に同時に取り付ける必要がある。なお、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に取り付ける前に、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結し且つガイドピン1028をピン穴1029に図示しないビスで止着しておき、さらにガイドピン1028を挿入縦開口1020の最下端の開口部に挿入しておく必要がある。
リベット1006で扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001内に収納固定した状態で、スプリング1048をスプリングフック部1046,1057相互間に掛け渡し、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを相互に反対方向に付勢し、さらに、バネ1035をバネ係止片(穴)1021,1036に掛け渡して第二不正防止部材1032が規制突片1031に当接した状態とする。その後、錠取付片1008の錠挿通穴1009にシリンダー錠1010の円筒状本体部分を挿入してシリンダー錠1010をビス1012で取付穴1014に固定する。なお、このとき係合カム1016の第一係合突片1017の先端部が傾斜部1024の外側で且つ挿入縦開口1020に僅かに挿入し、係合カム1016の第二係合突片1018の先端部が第一不正防止部材1023の突片挿入穴1026及び挿入縦開口1020に僅かに挿入した状態となるようにシリンダー錠1010を錠取付片1008に取り付ける。
上記のようにして組み付けた錠装置1000を本体枠3の裏面に取り付けるためには、前述したように、扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041を本体枠3に形成される扉用フック穴549に差し込みながら、鉤型に突出する係止突起1004を本体枠3の錠係止穴548に差し込んで上方に移動させ、その状態で水平方向に突出したビス止め部1003及びビス止め部1003を錠取付穴547に一致させ、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、図63に示すように、錠装置1000を本体枠3の裏面に強固に固定することができる。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003及びビス止め部1003がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着する側面1001bから水平方向に突設形成される構造であるため、前方部の係止構造が第一側面壁540と密着する側面1001bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるものである。
ところで、本体枠3の裏面に取り付けられた錠装置1000の作用について図70及び図71を参照して説明する。先ず、図70を参照して本体枠3の開閉動作と扉枠5の開閉動作について説明する。本体枠3が外枠2に対して閉じ且つ扉枠5が本体枠3に対して閉じている状態においては、図70(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起38,41と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止し且つ扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041と扉枠5のフックカバー227とが係止した状態となっている。その状態でシリンダー錠1010に図面示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図70(B)に示すように、第一係合突片1017の先端が本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合してスプリング1048の付勢力に抗して下フック部材1052を下方に押下げ、これと連結されている連結線杆1053と上フック部材1051も押下げられて下降する。このため、外枠2の閉鎖用突起38,41と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止状態が解除されるため、本体枠3を前面側に引くことにより本体枠3を外枠2に対して開放することができる。なお、本体枠3を閉じる場合には、フック部1054,1065がスプリング1048の付勢力により上昇した状態(図70(A)に示す状態と同じ上昇した位置)となっているが、フック部1054,1065の上辺が外側に向かって下り傾斜しているため、強制的に本体枠3を外枠2に対して押圧することにより、フック部1054,1065の上辺傾斜部が閉鎖用突起38,41の下端部と当接するので、本体枠用摺動杆1050が下方に下降し、遂には、フック部1054,1065の上向き爪部と閉鎖用突起38,41とが再度係止した状態となって本体枠用摺動杆1050が上昇して係止状態に戻る。
一方、シリンダー錠1010に図示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第二係合突片1018が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図70(C)に示すように、第二係合突片1018の先端が扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合してスプリング1048の付勢力に抗して扉枠用摺動杆1040を上方に押し上げ上昇する。このため、扉枠5のフックカバー227と扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041とが係止状態が解除されるため、扉枠5を前面側に引くことにより扉枠5を本体枠3に対して開放することができる。なお、扉枠5を閉じる場合には、扉枠用フック部1041がスプリング1048の付勢力により下降した状態(図70(A)に示す状態と同じ下降した位置)となっているが、扉枠用フック部1041の下辺が外側に向かって上り傾斜しているため、強制的に扉枠5を本体枠3に対して押圧することにより、扉枠用フック部1041の下辺傾斜部がフックカバー227の上端部と当接するので、扉枠用摺動杆1040が上方に上昇し、遂には、扉枠用フック部1041の下向き爪部とフックカバー227とが再度係止した状態となって扉枠用摺動杆1040が下降して係止状態に戻る。なお、本実施形態における扉枠用摺動杆1040は、コ字状基体1001の全長とほぼ同じ長さに形成されると共に、そのコ字状基体1001が本体枠3の縦方向の側面のほぼ全長に亘って取り付けられ、しかも、扉枠5との係止部である扉枠用フック部1041が扉枠用摺動杆1040の上端部、中央部、下端部の3箇所に形成されているため、扉枠5と本体枠3の縦方向の全長における施錠が確実に行われ、扉枠5と本体枠3との間を無理やりこじ開けてその間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を行うことができないという利点もある。
上記したように、本実施形態に係る錠装置1000は、シリンダー錠1010に差し込んだ鍵を一方向に回動することにより、外枠2に対する本体枠3の施錠を解除し、他方向に回動することにより、本体枠3に対する扉枠5の施錠を解除することができる。この場合、シリンダー錠1010に鍵を差し込むことなく本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065にピアノ線等を引っ掛けてこれを下降させる不正行為が行われることがあるが、本実施形態においては、このような不正行為を行うことができないようになっている。このような不正行為を防止する構造の第一番目が第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とから構成されるロック機構であり、第二番目の不正防止構造がコ字状基体1001の閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050が収納される構造である。
先ず、第一番目の不正防止構造であるロック機構の作用について図71を参照して説明する。先ず、外枠2と本体枠3とが閉じている状態においては、図71(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起41と第二不正防止部材1032の当接部1037とが当接した状態となっている。この状態においては、バネ1035の付勢力により第一不正防止部材1023が反時計方向に回動してストッパー片部1027が不正防止切欠部1007内に侵入し、ストッパー片部1027が不正防止切欠部1007に対応する位置にある本体枠用摺動杆1050の下フック部材1052に形成される係合切欠部1066と係合した状態となっている。このため、本体枠用摺動杆1050にピアノ線等を引っ掛けて引き降ろそうとしても、ストッパー片部1027と係合切欠部1066とが係合しているので、本体枠用摺動杆1050を不正に下方に引き降ろすこと(解錠すること)が不能となり、本体枠3を開放するという不正行為を行うことができない。
一方、シリンダー錠1010に鍵を差し込んで正規に本体枠3を開錠する場合には、図71(B)に示すように、鍵を回動させることにより係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入するように回動される。この第一係合突片1017の回動時に、第一不正防止部材1023の傾斜部1024と第一係合突片1017の側面とが当接するため、第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として図示の時計回転方向に回転を始め、ストッパー片部1027も不正防止切欠部1007から退避するように移動する。このため、ストッパー片部1027と係合切欠部1066との係合が解除された状態となる。このとき、第二不正防止部材1032は、バネ1035を伸ばして当接部1037が後退した位置となっている。この状態でさらに係合カム1016を回動させて第一係合突片1017も回動させると、第一係合突片1017の先端が下フック部材1052の下降係合穴1062に係合して本体枠用摺動杆1050の全体を下降させるので、フック部1054,1065と外枠2の閉鎖用突起38,41との係止状態が解除されて本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
なお、本体枠3を外枠2に対して閉じるときには、第二不正防止部材1032は、規制突片1031に当接した状態となっているため、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032との位置関係は、図71(A)に示す状態とほぼ同じ位置関係になっている。この状態で本体枠3を閉めると、外枠2の閉鎖用突起41と第二不正防止部材1032の当接部1037とが正面から当接し、最終的に図71(A)に示す状態となる。このため、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが本体枠3を閉じるときに邪魔になることはない。また、本実施形態においては、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが本体枠用摺動杆1050の下降動作だけが不正に行われないように防止しているのは、本体枠用摺動杆1050を不正に開放すれば、解放後に扉枠用摺動杆1040を手動で簡単に開けることができることと、ピアノ線等で摺動杆を上昇させる不正行為は事実上行い難いという理由により、本体枠用摺動杆1050に対する不正操作ができないように工夫されている。
また、上記した第一番目の不正防止構造であるロック機構であっても、第一不正防止部材1023をピアノ線等で揺動させることにより、ロック機構の機能を無力化することも不可能ではない。そこで、万一ロック機構のロック機能が不正な行為により無力化される場合を想定すると、本実施形態においては、錠装置1000が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001の閉鎖空間に収納されて完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んでコ字状基体1001の閉鎖空間の内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げようとしても、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bによって不正具の閉鎖空間への侵入が阻止されるため、不正行為を簡単に行うことができない構造となっている。
以上、詳述したように、本実施形態に係る錠装置1000は、その横幅寸法が従来のL字状基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設け且つ錠装置1000を操作するためのシリンダー錠1010のコ字状基体1001への取付位置を遊技盤の下端辺よりも下方となる位置としたので、遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540〜543で囲まれる空間を大きくしても、錠装置1000を本体枠3の裏側に強固に取り付けることができる。そして、断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取り付けられるため、錠装置1000が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んで内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げる等の不正行為を簡単に行うことができない。また、錠装置1000の取り付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を錠係止穴548に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中下の3箇所に形成されたビス止め部1003及びビス止め部1003を錠取付穴547にビスで固定する構造であるため、錠装置1000の前方部を係止突起1004と錠係止穴548で係止し、錠装置1000の後方部をビス止め部1003及びビス止め部1003と錠取付穴547で固定するので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。
なお、上記した実施形態においては、コ字状基体1001の下方部をビス止めする構造として錠取付片1008に形成されたビス止め部1003と本体枠3のシリンダー錠貫通穴526の上部近傍に形成した錠取付穴547とを螺着する構造としたが、これに代えて、シリンダー錠1010を錠取付片1008に取り付けるビス1012を利用して、該ビス1012の先端が錠取付片1008を貫通して螺着される錠取付穴をシリンダー錠貫通穴526の上下に形成する構造でも良い。また、コ字状基体1001の下方部をビス止めしなくても、錠装置1000の後方部のビス止め部1003と錠取付穴547との固定だけでも、錠装置1000を本体枠3の裏面に強固に固定されることを確認している。更に、上記した実施形態においては、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を左右の側面1001a,1001bを有するコ字状基体1001で完全に被覆するものとしたが、例えば、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を第一側面壁540に密着しない反対側の側面1001aに摺動自在にリベット等で装着し、第一側面壁540に密着する側面1001bを省略したL字状基体(錠基体)とし、そのL字状基体(錠基体)の側面1001aと第一側面壁540とによって形成される閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納する構造としてもよい。この場合でも、実施形態と同じような取付構造及び不正防止構造とすることができる。
次に、本体枠3の裏面下部に取り付けられる基板ユニット1100について、主として図72及び図73を参照して説明する。図72は、基板ユニット1100を背面側から見た斜視図であり、図73は、基板ユニット1100を前面側から見た斜視図である。
基板ユニット1100は、本体枠3の裏面下部に複数形成されるホルダ用の取付穴部527(図22,図24参照)に取り付けられるものであり、図示すように、合成樹脂成形された枠用基板ホルダ1101に、扉中継基板、電源基板ボックス1103、端子基板ボックス1104、払出制御基板ボックス1105、主ドロワ中継基板、及び副ドロワ中継基板の各種基板を取り付けることにより構成されている。上記の基板のうち、扉中継基板、電源基板ボックス1103、端子基板ボックス1104、及び払出制御基板ボックス1105は、枠用基板ホルダ1101の後面側に前後方向に重複して取り付けられ、主ドロワ中継基板及び副ドロワ中継基板は、枠用基板ホルダ1101の前面側に取り付けられるものである。なお、払出制御基板ボックス1105の裏面には、電源基板等からの電磁波の影響を防止するためにシールド板が取り付けられ、また、主ドロワ中継基板及び副ドロワ中継基板は、基板カバー1109に被覆されて取り付けられている。
先ず、枠用基板ホルダ1101は、横長状に合成樹脂で成形され、図示すように、その後面側一側部に配線用開口1124が形成され、図示は省略するが、配線用開口1124の内側に扉中継基板を取り付けるための中継基板用凹部が形成されている。この枠用基板ホルダ1101の左右両辺及び下辺には、基板ユニット1100を本体枠3に取り付けるための取付片1122が外側に向かって突設され、該取付片1122を本体枠3の前記取付穴部527(図22参照)に対応させて図示しないビスで止着することにより、基板ユニット1100が本体枠3の背面下部に取り付けられる。なお、取付穴部527は、図24に示すように、取付片1122の外形形状に合致する外周壁を有して形成されている。更に、枠用基板ホルダ1101の他端側(図73の右側)側壁の外側に、配線を係止するための配線掛止片1123が突設形成されている。
また、枠用基板ホルダ1101の前面側のほぼ中央には、アウト球通路1119が逆さL字状に形成されている。このアウト球通路1119は、前述したアウト口606(図31参照)、球抜排出通路524(図22参照)の下流側、及び落下口629(図29参照)と対応するように上方が幅広く形成され、下流側が球を列状に排出するように幅狭く形成されている。したがって、基板ユニット1100を本体枠3に取り付けたときには、図25に示すように、アウト球通路1119の幅広上流部がアウト口606の下面を支持する通路支持突起513の後方に位置するようになっている。そして、アウト球通路1119の下流端からアウト球や入賞球、あるいは球抜き球がパチンコ遊技機の外部(一般的に、島の回収樋)に向かって放出されるものである。
基板カバー1109には、主ドロワ中継基板に設けられる主ドロワ中継コネクタ1200及び払出制御基板用コネクタ1201と、副ドロワ中継基板に設けられる副ドロワ中継コネクタ1202及び扉枠用コネクタ1203とが基板カバー1109の外側に突出するための長方形状のコネクタ用開口が開設されている。
払出制御基板ボックス1105は、横長の長方形状の払出制御基板が固定されるボックス主体と、ボックス主体に取り付けられて払出制御基板の表面を覆うカバー体と、から構成されている。ボックス主体とカバー体とは、その一側辺を係合させ、その他側辺に分離切断部1183でカシメ固定している。これによってボックス主体とカバー体とを分離するためには、分離切断部1183を切断しないと分離できないようになっている。ただし、分離切断部1183におけるカシメ固定は、複数箇所(図示の場合は、1〜4の数字で示す4箇所)のうち、いずれかをカシメ部材でカシメれば良く、例えば、検査等で分離する必要がある場合には、3回まで行うことができる。もちろん、不正に分離した場合には、切断した痕跡が残ることになるので、不正行為があったか否かを直ちに知ることができるようになっている。
次に、カバー体1250について、図6、図24及び図28を参照して説明する。カバー体1250は、本体枠3の後面開口580を覆うものであり、その一側の上中下の3箇所に本体枠3の背面一側に形成されるカバー体支持筒部575に上方から挿入される軸支ピン1251が形成され、その他側のほぼ中央に球通路ユニット770に形成されるカバー体係合溝785と係合する係合片1252が形成されている。しかして、カバー体1250の軸支ピン1251をカバー体支持筒部575に差し込むことにより、カバー体1250を本体枠3に開閉自在に軸支し、係合片1252をカバー体係合溝785に係止することにより、カバー体1250を本体枠3に閉じた状態とすることができ、遊技盤4に設けられる各種部品の背面を保護することができる。なお、開放する場合には、係合片1252とカバー体係合溝785との係合を解除すればよい。
また、図示の場合のカバー体1250においては、開放側の係合片1252の上下に止め穴1253が形成され、また、本体枠3の施錠壁569に突設される施錠用突出鉤片570を貫通させる貫通穴1254が形成され、更に詳細に図示しないが、次に説明する第二実施形態に係るカバー体1270と同じように、接続操作用開口1255、立壁、当接突起、補強リブが形成されている。これら接続操作用開口1255、立壁、当接突起、補強リブは、第二実施形態に係るカバー体1270の接続操作用開口1283、立壁1284、当接突起1285、補強リブ1286と同じ位置に設けられて同じ機能を奏するものである。しかして、カバー体1250を閉じた状態で、カバー体1250の止め穴1253と本体枠3側の止め穴568とを一致させて図示しないビスで止着することにより、カバー体1250によって本体枠3の後面開口580を閉塞固定することができる。そして、本体枠3に対してカバー体1250を閉じた状態で施錠用突出鉤片570がカバー体1250の貫通穴1254を貫通しているので、例えば、南京錠等の錠を施錠用突出鉤片570に掛け止めることにより、南京錠の鍵を有する責任者しかカバー体1250を開放する。
次に、遊技盤4に配設された遊技装置及び演出装置について、図74を参照して説明する。図74は、遊技盤4を示す正面図である。図74に示すように、遊技領域605のほぼ中央には、本実施形態の要部をなす演出装置630が配置されている。演出装置630は、液晶表示器から構成されて装飾図柄(図柄情報)を変動表示する装飾図柄表示器631(図柄表示手段)と、該装飾図柄表示器631の図柄表示面632の外周部分を装飾する外周装飾体633と、を備えている。
演出装置630の下方には、第一特別図柄始動入賞口634(始動入賞口、第一の始動入賞口)が配設されている。第一特別図柄始動入賞口634に入賞した遊技球は、始動口スイッチ635(入賞検出手段、第一の入賞検出手段:図75参照)によって検出され、この検出に基づいて第一特別図柄表示器1391での第一特別図柄の変動表示と、装飾図柄表示器631での装飾図柄の変動表示とが許可される。第一特別図柄表示器1391(第一の特別図柄表示手段)は、遊技領域605外となる遊技盤4の右下表面部分に後述する機能表示ユニット1390の一部として配置されており、装飾図柄表示器631での装飾図柄の表示結果は、第一特別図柄表示器1391での第一特別図柄(第一の特別図柄)の表示結果と対応して表示される。即ち、装飾図柄表示器631では、第一特別図柄表示器1391に表示される特別図柄の変動開始に伴って装飾図柄(図柄情報)の変動表示を開始し、その後、特別図柄の表示結果と対応した装飾図柄の表示結果を停止表示する。特別図柄が特定表示結果となるときは、装飾図柄を特定の表示態様(特定表示結果:例えば、左・中・右の装飾図柄が数字で構成されてそれぞれが同一の数字で揃う)で停止表示する一方、特別図柄が特定表示結果以外の表示結果となるときは、装飾図柄を特定の表示態様(特定表示結果)以外の表示結果で停止表示する。本実施形態では、第一特別図柄及び第二特別図柄をそれぞれ「0〜9」のいずれかの数字で表示し、このうち「0」の図柄をはずれ図柄に設定すると共に、「1〜9」の図柄を当り図柄(特定表示結果)に設定しており、このうち「1,3,5,7,9」の奇数図柄を確変図柄とする一方、「2,4,6,8」の偶数図柄を非確変図柄としている。また、これに対応して、装飾図柄における特定の表示態様(特定表示結果)は、特別図柄の「1〜9」の当り図柄に応じてそれぞれ「1・1・1」「2・2・2」…「9・9・9」となるように設定している。なお、確変図柄の大当り図柄(以下、これを確変大当り図柄ともいう)で大当りした場合には、当該大当りの終了後に後述する確率変動制御を実行する。一方、非確変図柄の大当り図柄(以下、これを非確変大当り図柄ともいう)において、初当りの場合は確率変動制御を実行せず、初当り以外での大当りの場合は、大当りのセット回数を1減算し、その結果として大当りのセット回数が1以上の値をとるときには、次回の大当り遊技状態が発生するまで確率変動制御を実行するようになっている。
演出装置630の右側端には、演出装置630の右側方における遊技領域605を流下する遊技球の通過が可能なゲート636が配置されている。ゲート636を通過した遊技球は、ゲートスイッチ637(通過球検出手段:図75参照)によって検出され、この検出に基づいて機能表示ユニット1390の普通図柄表示器1395での普通図柄の変動表示が許可される。
ゲート636の下方となる演出装置630の右下方には、始動入賞装置638が配置されている。始動入賞装置638は、当該始動入賞装置638を遊技盤4の表面(遊技領域605)に取り付けるための取付基板639を有している。取付基板639には、始動口スイッチ640(入賞検出手段、第二の入賞検出手段:図75参照)が内蔵されると共に左右一対の開閉片641a,641bを備えた第二特別図柄始動入賞口642(始動入賞口、第二の始動入賞口)が設けられている。
第二特別図柄始動入賞口642の開閉片641a,641bは、始動口ソレノイド646(図75参照)の駆動に基づいて、第二特別図柄始動入賞口642を開放する傾動位置と第二特別図柄始動入賞口642を閉鎖する垂直位置との間で移行可能に設けられている。なお、取付基板639の上端部分には、開閉片641a,641bが閉鎖した状態(垂直位置に移行した状態)で、第二特別図柄始動入賞口642への遊技球の入賞を阻止する障害突起647が突設されている。そして、第二特別図柄始動入賞口642は、普通図柄表示器1395の表示結果が「当り」となったときに、開閉片641a,641bが所定態様で開放制御されることで(開放制御手段)、演出装置630の右側方を流下する遊技球の入賞が可能となっている。開閉片641a,641bの具体的な開放態様としては、時間短縮制御(以下、これを時短制御ともいう)を行わない通常時で0.6秒間の開放を1回行い、時短制御を行う時短時で1.6秒間の開放を0.3秒のインターバル期間を空けて3回行うようになっている。
また、時短制御時には、遊技球のゲート636通過に伴う普通図柄(普通図柄当り判定乱数)の抽選において「当り」となる当選確率が通常時に比べて高く設定されている(高確率判定制御手段)。具体的に、通常時では、440個の普通図柄当り判定乱数(図79(A)参照)のうち1個の乱数のみが当り決定用乱数に設定されるのに対して、時短制御時では、440個の普通図柄当り判定乱数のうち400個の乱数が当り決定用乱数に設定される。このため、通常時では、普通図柄の当選確率が1/440となって開閉片641a,641bの開放が滅多に行われない(遊技球が第二特別図柄始動入賞口642に滅多に入賞しない)のに対して、時短制御時では、普通図柄の当選確率が400/440となって開閉片641a,641bの開放が頻繁に行われる(遊技球が第二特別図柄始動入賞口642に頻繁に入賞する)ようになっている。
第二特別図柄始動入賞口642に入賞した遊技球は、始動口スイッチ640によって検出され、この検出に基づいて第二特別図柄表示器1392での第二特別図柄の変動表示と、装飾図柄表示器631での装飾図柄の変動表示とが許可される。第二特別図柄表示器1392(第二の特別図柄表示手段)は、機能表示ユニット1390の一部として配置されており、装飾図柄表示器631での装飾図柄の表示結果は、前述した第一特別図柄表示器1391での第一特別図柄の表示結果と同様に、第二特別図柄表示器1392での第二特別図柄(第二の特別図柄)の表示結果と対応して表示される。即ち、装飾図柄表示器631では、第二特別図柄表示器1392に表示される特別図柄の変動開始に伴って装飾図柄(図柄情報)の変動表示を開始し、その後、特別図柄の表示結果と対応した装飾図柄の表示結果を停止表示する。特別図柄が特定表示結果となるときは、装飾図柄を特定の表示態様(特定表示結果:例えば、左・中・右の装飾図柄が数字で構成されてそれぞれが同一の数字で揃う)で停止表示する一方、特別図柄が特定表示結果以外の表示結果となるときは、装飾図柄を特定の表示態様(特定表示結果)以外の表示結果で停止表示する。
始動入賞装置638の左下方であり且つ前記演出装置630の右下方には、大入賞口648aを開閉する開閉板648bを備えた大入賞口装置648が配置されている。大入賞口装置648は、当該大入賞口装置648を遊技盤4の表面(遊技領域605)に取り付けるための取付基板648dと、大入賞口648a(開閉板648b)の開閉用駆動源となる大入賞口ソレノイド648e(図75参照)と、大入賞口648aに入賞した遊技球を検出するためのカウントスイッチ648f(図75参照)とを備えている。そして、大入賞口装置648の開閉板648bは、大当り遊技状態の発生時に大入賞口ソレノイド648eの駆動に基づいて、大入賞口648aを閉鎖する垂直位置から大入賞口648aを開放する傾動位置に移行することで、大入賞口648aへの大量の遊技球の入賞を可能にする。
また、遊技領域605の最下部には、遊技領域605を流下していずれの入賞口や入賞装置にも入賞しなかった遊技球が取り込まれるアウト口606が設けられている。また、遊技領域605には、上記した構成以外にも、遊技領域605内を光装飾するための各種ランプ・LED(図示しない)が配置されると共に、多数の障害釘(図示しない)が所定のゲージ配列をなして植設されている。
遊技盤4の右下表面部分に設けられる機能表示ユニット1390は、7セグメント表示器及びLED等を複数備えて構成されている。これらの7セグメント表示器及びLED等には、7セグメント表示器からなる第一特別図柄表示器1391及び第二特別図柄表示器1392と、LEDからなる第一特別図柄保留記憶ランプ1393a,1393b、第二特別図柄保留記憶ランプ1394a,1394b、普通図柄表示器1395、普通図柄保留記憶ランプ1396a〜1396d、及び遊技状態表示ランプ1397と、がそれぞれ割り当てられている。
機能表示ユニット1390の下側には、第一特別図柄表示器1391が配置され、この第一特別図柄表示器1391の右方に第二特別図柄表示器1392が配置されている。第一特別図柄表示器1391は、第一特別図柄始動入賞口634の一方に遊技球が入賞すると第一特別図柄を変動表示し、その表示結果によって大当り遊技状態の発生の有無を表示する。一方、第二特別図柄表示器1392は、第二特別図柄始動入賞口642に遊技球が入賞すると、第一特別図柄表示器1391と同様に第二特別図柄を変動表示し、その表示結果によって大当り遊技状態の発生の有無を表示する。なお、第一特別図柄始動入賞口634に入賞した遊技球は、第一特別図柄の変動表示で使用されないときには、入賞した遊技球の球数を保留数として第一特別図柄表示器1391の左方に配置された第一特別図柄保留記憶ランプ1393a,1393bに表示する。一方、第二特別図柄始動入賞口642に入賞した遊技球は、第二特別図柄の変動表示で使用されないときには、入賞した遊技球の球数を保留数として第二特別図柄表示器1392の右方に配置された第二特別図柄保留記憶ランプ1394a,1394bに表示する。
なお、本実施形態では、第一特別図柄表示器1391での第一特別図柄の保留変動回数が最大4回(第一特別図柄を変動表示させる保留球が最大4個)まで記憶可能となっており、同様に、第二特別図柄表示器1392での第一特別図柄の保留変動回数も最大4回(第二特別図柄を変動表示させる保留球が最大4個)まで記憶可能となっている。このため、特別図柄(第一及び第二の特別図柄)のトータルとしての保留変動回数、言い換えれば装飾図柄の保留変動回数は、最大8回まで記憶可能となっている。
第二特別図柄保留記憶ランプ1394aの上方には、普通図柄表示器1395が配置されており、この普通図柄表示器1395の上方に普通図柄保留記憶ランプ1396a〜1396dが配置されている。普通図柄表示器1395は、ゲート636に遊技球が通過すると普通図柄を変動表示し、その表示結果によって第二特別図柄始動入賞口642の開閉片641a,641bの開閉の有無を表示する。なお、ゲート636に通過した遊技球は、普通図柄の変動表示で使用されないときには、通過した遊技球の球数を保留数として普通図柄保留記憶ランプ1396a〜1396dに表示する。なお、本実施形態では、普通図柄表示器1395での普通図柄の保留変動回数が最大4回(普通図柄を変動表示させる保留球が最大4個)まで記憶可能となっている。
第一特別図柄保留記憶ランプ1393a,1393bの左方には、遊技状態表示ランプ1397が配置されている。この遊技状態表示ランプ1397は、遊技状態として確率変動(以下、これを確変ともいう:高確率状態)が生じている旨を所定の色で点灯して報知する。
次に、演出装置630の詳細な構成について説明すると、演出装置630は、前述した装飾図柄表示器631(図柄表示面632)の外周部分を装飾する外周装飾体633を備えている。外周装飾体633は、遊技盤4に穿設された取付開口(図示しない)に対してその裏面側から取り付けられる装飾図柄表示器631の外周部分を装飾すべく、取付穴1300を介して遊技盤4の表面(遊技領域605)にビス止めされる。
外周装飾体633は、合成樹脂材料から形成され、装飾図柄表示器631の図柄表示面632を遊技者側となる前方に臨設する窓開口部1301と、該窓開口部1301の外周を囲むように前方に突出して設けられる装飾突出部1302と、を備えている。装飾突出部1302の右側端には、前記ゲート636が設けられる一方、装飾突出部1302の左側端には、演出装置630の左側方の遊技領域605を流下する遊技球を受け入れるワープ入口1303と、該ワープ入口1303と連通してワープ入口1303に入った遊技球を下方に誘導するワープ通路1304と、該ワープ通路1304の下流端となるワープ出口1305と、が形成されている。
装飾突出部1302の下辺部分には、ワープ出口1305から排出された遊技球を中央側に誘導するステージ1306と、該ステージ1306の中央前端側(遊技者側)に位置して前記第一特別図柄始動入賞口634の上方から遊技球を排出する排出部1307と、ステージ1306の後面壁をなす立壁部1308と、該立壁部1307の中央下端に穿設されてステージ1306上の遊技球の受け入れが可能な受入口1309と、該受入口1309に入った遊技球を立壁部1308の裏面側で誘導する誘導通路1310と、該誘導通路1310の下流端をなすと共に排出部1307の真下に位置して前記第一特別図柄始動入賞口634の上方から遊技球を排出する排出口1311と、が形成されている。
しかして、ワープ入口1303に入った遊技球は、ワープ通路1304を介してステージ1306上に送り込まれる。そして、ステージ1306上に送り込まれた遊技球は、その転動に応じて遊技者側となる前側の排出部1307から再度遊技領域605に排出されるか、あるいは後面壁をなす立壁部1308の受入口1309に入り、誘導通路1310を通って排出口1311から再度遊技領域605に排出される。従って、演出装置630の右側方を流下してワープ入口1303に入った遊技球は、ステージ1306上から第一特別図柄始動入賞口634の上方位置で排出されるため、比較的、第一特別図柄始動入賞口634に入賞し易くなっている。
また、上記した装飾突出部1302の立壁部1308には、前記装飾図柄表示器631での装飾図柄の保留変動回数(装飾図柄を変動表示させる保留球数)を表示する装飾図柄保留記憶ランプ1320a〜1320h(始動記憶数表示手段)が列設されている。装飾図柄保留記憶ランプ1320a〜1320hは、装飾図柄の最大保留変動回数となる8回(装飾図柄を変動表示させる最大保留球数の8個)と個々に対応する8個のランプから構成されている。しかして、装飾図柄の保留変動回数が1回あるときには、左端に位置する装飾図柄保留記憶ランプ1320aが点灯され、装飾図柄の保留変動回数が2回、3回、4回、・・・と、増えるに従って装飾図柄保留記憶ランプ1320b、装飾図柄保留記憶ランプ1320c、装飾図柄保留記憶ランプ1320d、・・・と順次点灯が追加されていき、逆に装飾図柄の保留変動が消化されるに従って点灯状態にある装飾図柄保留記憶ランプの右端から順に消灯されていくようになっている。
ここで、遊技領域605に設けられる各種の入賞装置等によって実現される遊技の概略について説明すると、パチンコ機1の裏面側に設けられる打球発射装置650(球発射手段)によって打ち出された遊技球は、発射レール515及び案内レール(外レール602及び内レール603)を通って遊技領域605に放出され、その後、遊技領域605を障害釘(障害部材)等に衝突しながらアウト口606に向かって流下する。遊技領域605を流下する遊技球がゲートスイッチ637によって検出されると、普通図柄表示器1395で普通図柄が変動表示され、その表示結果が「当り」であるときに始動入賞装置638を構成する第二特別図柄始動入賞口642の開閉片641a,641bが開放される。
第一特別図柄始動入賞口634に遊技球が入賞すると、第一特別図柄表示器1391で第一特別図柄が変動を開始して、所定時間経過した後に表示結果が停止する。また、普通図柄の「当り」に基づく開閉片641a,641bの開放によって第二特別図柄始動入賞口642に遊技球が入賞すると、第二特別図柄表示器1392で第二特別図柄が変動を開始して、所定時間経過した後に表示結果が停止する。
なお、第一又は第二の特別図柄の変動表示及び停止時には、これに対応させて装飾図柄表示器631で装飾図柄の変動表示及び停止が行われる。第一及び第二の特別図柄表示器1391,1392は、前述したように機能表示ユニット1390として遊技盤4の右下表面部分に配置される。このため、特別図柄の変動表示は、遊技者側からは注目し難く地味な演出として行われる。これに対して、装飾図柄の変動表示は、遊技領域605のほぼ中央に配置された液晶表示器からなる装飾図柄表示器631で行われるため遊技者が注目し易く、多彩な演出内容で視覚的な興趣を低下させないようになっている。
そして、第一特別図柄又は第二特別図柄の表示結果が特定表示結果(「当り」)になると、「大当り遊技状態(利益付与状態)」が発生されて、大入賞口装置648の開閉板648bが所定の態様で開放され、大入賞口648aへの大量の遊技球の入賞が可能になる。具体的な開放態様としては、大入賞口装置648の開閉板648bが所定時間(例えば、30秒)経過するまで、あるいは所定個数(例えば、9個)の入賞があるまで開放状態に維持され、所定時間の経過又は所定個数の入賞があると一旦閉鎖される。このような開放から閉鎖までを1サイクル(ラウンド)として所定回数(所定のラウンド数、実施形態中では、いずれの大当りに対しても一律の10回)まで繰り返される。即ち、所定のラウンドを終了ラウンドとしてラウンド毎に大入賞口装置648が開放される。
なお、本実施形態では、通常遊技状態での初当りにおいて確変大当り(予め定めた確変図柄で大当り)した場合には、各確変大当り図柄に対応して設定された所定の複数回をセット回数として、当該セット回数が終了するまで大当り遊技状態が発生されるようになっている。具体的には、後で詳述する図79(B)の大当り図柄判定テーブルに基づいて第一特別図柄始動入賞口634への入賞による大当り判定で確変図柄で初当りした場合、3回を所定のセット回数として大当り遊技状態が発生されるようになっている。このとき、3回目の大当り遊技状態が開始されるまで(大当り遊技中は除く)確率変動状態(高確率状態)であり且つ時短状態となる高確率状態に制御することで、遊技者の持ち球(遊技球)をほぼ減らすことなく3回の大当り遊技状態を発生させて遊技者に多量の賞球を付与するようになっている。なお、後で詳述する図79(C)の大当り図柄判定テーブルに基づいて第二特別図柄始動入賞口642への入賞による大当り判定で確変図柄で初当りした場合には、4回又は2回を所定のセット回数として大当り遊技状態が発生されるようになっている。
また、上記した高確率状態での始動入賞において、第一特別図柄始動入賞口634又は第二特別図柄始動入賞口642への入賞に基づいて確変図柄での大当り判定がなされた場合には、その時点で大当りのセット回数が図79(B)又は図79(C)の大当り判定テーブルに基づいて決定されたセット回数に変更されるようになっている。
ここで、操作ハンドル461による遊技球の打ち込み操作について説明する。先ず、通常遊技状態では、第一特別図柄始動入賞口634に遊技球を入賞させるべく、演出装置630の左側方を流下するように遊技球を打ち込むことになる。これは、図示しないが遊技領域605のゲージ構成(障害釘の配置構成)、及び演出装置630のワープ通路1304の構成において、演出装置630の右側方を流下した遊技球は、演出装置630の真下位置に配置された第一特別図柄始動入賞口634に入賞しないように設定されており、然も時短制御が行われない通常遊技状態では、前述したように開閉片641a,641bの開放が滅多に行われずに第二特別図柄始動入賞口642への入賞が殆ど期待できないことから、自ずと遊技者は、演出装置630の左側方を流下するように遊技球を打ち込む(以下、これを左打ちともいう)ことになる。この左打ちとなる遊技球の打ち込み領域は、本発明に係る第一の打込領域となる。
一方、大当り遊技状態(大当り中)では、当該大当り遊技状態の発生に基づく大入賞口装置648(開閉板648b)の開放に起因して、大入賞口648aに遊技球を入賞させるべく、演出装置630の右側方を流下するように遊技球を打ち込む(右打ちする)ことになる。これは、大入賞口648aの遊技領域605内での配置に因るものであり、演出装置630の左側方を流下した遊技球は、演出装置630の右下方に配置された大入賞口648aに入賞することが不可能であり、大当り遊技状態では、必然的に遊技者は、右打ちを行うことになる。この右打ちとなる遊技球の打ち込み領域は、本発明に係る第二の打込領域となる。
また、大当り遊技状態の発生を契機として行われる時短制御時には、大当り中と同様に、演出装置630の右側方を流下するように遊技球を打ち込む(右打ちする)ことでの遊技が可能となる。これは、時短制御時では、前述したように開閉片641a,641bの開放が頻繁に行われることで第二特別図柄始動入賞口642への入賞確率を大幅に向上させることができることから、遊技者に右打ちを行わせる遊技内容となる。なお、大当り中及び時短制御時での遊技球の打ち込み方となる右打ちを行う場合、遊技領域605に打ち込まれた遊技球は、ゲージ構成に起因して、演出装置630の下方に配置された第一特別図柄始動入賞口634へは入賞しないようになっている。
但し、時短制御時において、遊技者が意図的に右打ち(第二特別図柄始動入賞口642に遊技球を入賞させる打ち方)をすることなく、通常遊技状態と同様に、第一特別図柄始動入賞口634に遊技球を入賞させるべく、左打ちを行うことも可能である。これは、後述する第一特別図柄での大当り判定を選択することで、連続大当りがセットされるときは確実に3セットの大当り遊技状態を発生させる堅実な遊技内容を遊技者が選択した場合である。
図75は、パチンコ機1の動作を制御するための構成を概略的に示している。パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板のグループと周辺基板のグループとで分担されており、このうち主基板のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示等)を制御している。これら基板類は、いずれもパチンコ機1の背面側に設置されており、通常、本体枠3の施錠を解除した上で本体枠3を開放しない限り前面側から視認されたり、操作されたりすることはない。この他にも、パチンコ機1には電源基板や発射制御基板、インタフェース基板(CR機の場合)等が装備されているが、いずれも公知のものを適用できるため、ここでは図示と共に詳細な説明を省略する。
主基板グループは、主制御基板2800と払出基板2810とから構成されている。主制御基板2800(当落判定手段、利益付与状態制御手段)は、中央演算装置としてのCPU2801をはじめ、読み出し専用メモリとしてのROM2802や読み書き可能メモリとしてのRAM2803等を備えている。このうちCPU2801は、ROM2802に格納されている遊技制御プログラムを実行し、この実行に伴いパチンコ機1で行われる各種遊技を制御する。またCPU2801は、周辺基板グループや払出基板2810に送信するコマンドを作成する。また、RAM2803には、主制御基板2800で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。
なお、主制御基板2800には、始動口スイッチ635,640、ゲートスイッチ637、カウントスイッチ648fが接続されており、主制御基板2800には、これらスイッチ類から検出信号が入力される。具体的には、遊技球が流下する過程でゲート636を通過すると、その通過がゲートスイッチ637により検出され、そして検出信号が主制御基板2800に入力される。また、遊技球が第一特別図柄始動入賞口634に入賞すると、始動口スイッチ635から主制御基板2800に検出信号が入力され、遊技球が第二特別図柄始動入賞口642に入賞すると、始動口スイッチ640から主制御基板2800に検出信号が入力される。また、大当り遊技中に大入賞口648aに遊技球が入賞すると、カウントスイッチ648fから主制御基板2800に検出信号が入力される。そして、CPU2801は、これら入力された検出信号に応じた処理を実行する。即ち、CPU2801は、入力された検出信号に基づいて各種ソレノイド646,648e、第一特別図柄表示器1391、第二特別図柄表示器1392、普通図柄表示器1395、第一特別図柄保留記憶ランプ1363a,1363b、第二特別図柄保留記憶ランプ1364a,1364b、普通図柄保留記憶ランプ1396a〜1396d、及び遊技状態表示ランプ1397に対し、それぞれの駆動信号を出力する。さらにCPU2801は、入賞に応じた遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを払出基板2810に対して出力する。
払出基板2810もまた、中央演算装置としての払出CPU2811をはじめ読み出し専用メモリとしての払出ROM2812や読み書き可能メモリとしての払出RAM2813を備えている。なお、上述した始動口スイッチ635,640やカウントスイッチ648fにより遊技球の入賞が検出されると、各スイッチから検出信号が主制御基板2800に入力される。そして、主制御基板2800では、入力された検出信号に基づいてCPU2801から払出基板2810に対して規定個数の遊技球の払い出しを指示する払出コマンドが送信される。そして、払出基板2810は、主制御基板2800から受けとった払出コマンドを処理し、規定個数分の遊技球の払い出しを実行するべく賞球ユニット800(球払出手段)に対して駆動信号を出力する。この結果、実際に賞球ユニット800によって規定個数分の遊技球の払い出しが行われる。
また、払出基板2810には、発射モータを備えた打球発射装置650が接続されており、打球発射装置650は、発射モータの動力を用いて遊技球を遊技領域605に向けて発射する動作を行うことができる。遊技者が操作ハンドル461を操作(捻り操作)すると、打球発射装置650の発射モータが駆動され、これにより遊技球が打ち出される。図75には示されてないが、打球発射装置650には、遊技者の身体が操作ハンドル461に触れていることを検知するためのタッチセンサが内蔵されている。打球発射装置650は、遊技者が操作ハンドル461に触れていることが検知されている場合に発射モータを駆動可能な状態となる。そして、この状態で操作ハンドル461が初期の位置から時計回り方向に捻り操作されると、打球発射装置650は実際に発射モータを駆動して遊技球を発射する。
周辺基板グループは、サブ統合基板2820やランプ駆動基板2830、表示制御基板2840等から構成されている。このうちサブ統合基板2820(図柄表示制御手段)は、統合CPU2821をはじめ統合ROM2822、統合RAM2823を備えている。また、サブ統合基板2820は、音出力に関する制御を行う音源IC2825を備えるほか、音出力に関する読み出し専用メモリとしての音ROM2824をも備えている。統合CPU2821は、統合ROM2822に格納されている演出制御プログラムを実行することにより主制御基板2800から受信された演出コマンドに基づく処理を実行する。また、統合RAM2823には、サブ統合基板2820で実行される種々の処理において生成される各種データや入出力信号、主制御基板2800から受信した演出コマンド等の情報が一時的に記憶される。そして、統合CPU2821は、RAM2823に記憶されている演出コマンドを読み出すと、この読み出した演出コマンドに基づいて表示制御基板2840に対して表示コマンドを送信したり、ランプ駆動基板2830にランプ点灯信号やモータ駆動信号を送信したり、あるいは、図75中には示さないが扉枠5の前面周囲を光装飾する照明手段(実施形態中では冷陰極管)に駆動信号を出力したりする。また、サブ統合基板2820は、音源IC2825によって演出コマンドに基づく音出力態様を音ROM2824から読み出し、この読み出した音出力態様に応じた駆動信号をスピーカ163に出力する。
ランプ駆動基板2830は、サブ統合基板2820から受信したランプ点灯信号を遊技盤4の遊技領域605を光装飾する装飾ランプ(図示しない)や装飾図柄保留記憶ランプ1320a〜1320hに送信する。表示制御基板2840は、中央演算装置としての表示CPU2841を備えるほか、読み出し専用メモリとしての表示ROM2842や読み書き可能メモリとしての表示RAM2843を備えている。このうち表示CPU2841は、サブ統合基板2820からの表示コマンドに基づいて装飾図柄表示器631を制御する。さらに、サブ統合基板2820の統合CPU2821は、操作ボタン330から検出信号を受信することで、これに基づいて装飾図柄表示器631の演出表示を制御する。
次に、パチンコ機1の遊技進行に応じて主制御基板2800で実行される種々の制御処理について図76乃至図84を参照して説明する。図76は、主制御基板2800に搭載されるCPU2801が実行するメイン処理の一例を示すフローチャートである。図77は、電源断発生時処理の一例を示すフローチャートである。図78は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。図79(A)は、主制御基板2800で更新される乱数を示す一覧表図である。図79(B)は、第一特別図柄用の大当り図柄判定テーブルを示す一覧表図である。図79(C)は、第二特別図柄用の大当り図柄判定テーブルを示す一覧表図である。図80は、遊技処理の一例を示すフローチャートである。図81は、変動開始処理を示すフローチャートである。図82は、大当り判定処理の一例を示すフローチャートである。図83は、特別図柄停止図柄設定処理を示すフローチャートである。図84は、変動表示パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。なお、タイマ割込処理は、主制御基板2800に搭載されるCPU2801により所定のタイミング(本実施形態では、4ms毎)で実行される。
図76に示すように、パチンコ機1へ電力の供給が開始されると、CPU2801は、電源投入時処理を実行する(ステップS1)。この電源投入時処理では、RAM2803に記憶されているバックアップデータが正常であるか(停電発生時の設定値となっているか)否か判別し、正常であればRAM2803に記憶されているバックアップデータに従って停電発生時の状態に戻す処理(復電時処理)を実行し、バックアップデータが異常であればRAM2803をクリアしてCPU周辺のデバイス設定(通常の初期設定:割込タイミングの設定等)を行う。なお、遊技途中でパチンコ機1への電力供給が停止すると、RAM2803に現在の遊技状態がバックアップデータとして記憶される。また、電源投入時処理にてRAM2803に記憶されているバックアップデータのクリアを指示するRAM消去スイッチがオンであれば、RAM2803をクリアし、通常の初期設定を行う。また、電源投入時処理にて主制御基板2800に搭載されるRAM2803にバックアップデータが保存されていない場合には、RAM2803をクリアし、通常の初期設定を行う。また、電源投入時処理では、通常の初期設定を実行したときにサブ統合基板2820に主制御基板2800が起動したことを示す電源投入コマンドを送信可能な状態にセットする処理も実行される。電源投入コマンドは、主制御基板2800が起動したことをサブ統合基板2820に通知するものである。なお、遊技店の閉店時等にパチンコ機1への電力供給を停止した場合(電源を落とした場合)にもRAM2803にバックアップデータが記憶され、再びパチンコ機1への電力供給を開始したときには電源投入時処理が実行される。
電源投入時処理が終了すると、CPU2801は、遊技用の各処理を繰り返し実行するループ処理を開始する。このループ処理の開始時には、CPU2801は、先ず、停電予告信号が検知されているか否かを判定する(ステップS2)。なお、本実施形態では、パチンコ機1にて使用する電源電圧は、電源基板(図示しない)によって生成する。即ち、パチンコ機1に搭載される複数種類の装置はそれぞれ異なる電源電圧で動作するため、外部電源からパチンコ機1に供給される電源電圧を電源基板にて所定の電源電圧に変換した後、各装置に供給している。しかして、停電が発生し、外部電源から電源基板に供給される電源電圧が所定の電源電圧以下となると、電源基板から主制御基板2800に電源電圧の供給が停止することを示す停電予告信号が送信される。そして、ステップS2で主制御基板2800に搭載されるCPU2801により停電予告信号を検知すると、電源断発生時処理を実行する(ステップS4)。この電源断発生時処理は、停電後に電源基板に供給される電源電圧が(本実施形態では、24V)復旧した場合に(以下、復電と呼ぶ)、遊技機の動作を停電前の状態から開始するために停電発生時の状態をRAM2803にバックアップデータとして記憶する処理である。処理内容は後述するが、本実施例においては、図示する通り、電源断発生時処理は、割込処理ではなく、ループの開始直後に停電予告信号の検知有無に応じて実行される分岐処理としてメイン処理(主制御処理)内に組み込まれている。
ステップS2で停電予告信号が検知されていない場合、即ち外部電源からの電力が正常に供給されている場合には、遊技にて用いられる各種乱数を更新する乱数更新処理2を行う(ステップS3)。なお、乱数更新処理2にて更新される乱数については後述する。
図77は、電源断発生時処理(ステップS4)の一例を示すフローチャートである。上述したように、電源断発生時処理は、メイン処理において、停電予告信号が検出された時に実行される処理である。CPU2801は、先ず、割込処理が実行されないように割込禁止設定を行う(ステップS4a)。そして、RAM2803のチェックサムを算出し、RAM2803の所定領域に保存する(ステップS4b)。このチェックサムは、復電時に停電前のRAM2803の内容が保持されているか否かをチェックするのに使用される。
次いで、CPU2801は、RAM2803の所定領域に設けられたバックアップフラグに、電源断発生時処理が行われたことを示す規定値を設定する(ステップS4c)。以上の処理を終えると、CPU2801は、RAM2803へのアクセスを禁止し(ステップS4d)、無限ループに入って電力供給の停止に備える。なお、この処理では、ごく短時間の停電等(以下、「瞬停」と呼ぶ)によって、電源電圧が不安定となることによって、電源断発生時処理が開始されてしまった場合、実際には電源電圧は停止されないため、上記処理では、無限ループから復帰することができなくなるおそれがある。かかる弊害を回避するため、本実施例のCPU2801には、ウォッチドックタイマが設けられており、所定時間、ウォッチドックタイマが更新されないとリセットがかかるように構成されている。ウォッチドックタイマは、正常に処理が行われている間は定期的に更新されるが、電源断発生時処理に入り、更新が行われなくなる。この結果、瞬停によって、電源断発生時処理に入り、図77の無限ループに入った場合でも、所定期間経過後にリセットがかかり、電源投入時と同じプロセスでCPU2801が起動することになる。
図78は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、本実施形態では、メイン処理の実行中に主制御基板2800に搭載されるCPU2801により4ms毎にタイマ割込処理が実行される。タイマ割込処理において、CPU2801は、レジスタの退避処理を実行した後(ステップS10)、ステップS11からステップS19の処理を実行する。ステップS11のスイッチ入力処理では、上述したスイッチ(ゲートスイッチ637、始動口スイッチ635,640、カウントスイッチ648f等)の検出信号を監視する処理を実行する。ステップS12の払出動作処理では、スイッチ入力処理(ステップS11)にて検出された信号に基づいて払出基板2810に遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを送信する。ステップS13の乱数更新処理1では、遊技にて用いられる各種乱数を更新する処理を実行する。なお、本実施形態では、乱数更新処理1にて更新される乱数と、上述した乱数更新処理2にて更新される乱数と、は異なる。乱数については後述するが、乱数更新処理2にて更新される乱数を乱数更新処理1でも更新するようにしてもよい。
また、ステップS14の遊技処理では、遊技の進行状態に応じてパチンコ機1を制御する処理が実行される。ステップS15の普通図柄遊技では、普通図柄表示器1395に関わる制御処理を実行する。ステップS16の普通電動役物遊技では、開閉片44の開閉制御するための処理を実行する。ステップS17の特別図柄遊技では、遊技処理(ステップS14)の処理の結果に基づいて第一特別図柄表示器1391を変動表示する制御を実行する。ステップS18の特別電動役物遊技では、大入賞口ソレノイド648eを可動制御して大入賞口装置648の開閉板648b及び第二の大入賞口装置649の開閉片649b,649cの開閉制御を実行する。ステップS19のコマンド伝送出力処理では、遊技処理(ステップS14)でセットされた演出コマンドをサブ統合基板2820に送信する処理を実行する。また、コマンド伝送出力処理(ステップS19)では、パチンコ機1への電力供給が開始されたときに電源投入時処理(ステップS1)でセットされた電源投入コマンドをサブ統合基板2820に送信する処理も行われる。ステップS20のI/Oポート出力処理では、パチンコ機1の外部(例えば、管理コンピュータ等)に遊技状態を示す状態信号を出力する処理、特別図柄始動記憶ランプ147に駆動信号を出力する処理、等を実行する。ステップS11からステップS20の処理を実行すると、レジスタの復帰処理(ステップS21)を実行して、処理を終了する。
ここで、上述した乱数更新処理1(ステップS13)及び乱数更新処理2(ステップS3)で主制御基板2800に搭載されるCPU2801により更新される各種乱数について図79(A)を参照して説明する。図79(A)に示すように、本実施形態では、遊技にて用いられる各種乱数として、大当り遊技状態を発生させるか否かの判定(大当り判定)に用いられる大当り判定乱数(乱数取得手段)、大当り判定にて大当り遊技状態を発生させると判定されたときに停止表示する大当り図柄の判定(大当り図柄判定)に用いられる大当り図柄判定乱数、大当り判定にて大当り遊技状態を発生させないと判定されたときにリーチ態様を伴うはずれとするか否かの判定(リーチ判定)に用いられるリーチ判定乱数、第一特別図柄表示器1391及び第二特別図柄表示器1392に表示されている特別図柄の変動表示パターンを決定するために用いられる変動表示パターン乱数、第二特別図柄始動入賞口642の開閉片641a,641bを開放状態に制御するか否かの判定(普通図柄当り判定)に用いられる普通図柄当り判定乱数(乱数抽出手段、開放判定手段)、等がある。なお、リーチ判定用乱数を用いて特別図柄の変動表示パターンを決定すると共に、装飾図柄表示器631にて表示制御される装飾図柄の変動表示パターンを決定するようにしてもよい。
これらの乱数のうち、乱数更新処理1では、大当り遊技状態の発生に関わる大当り判定乱数、大当り図柄判定、及び第二特別図柄始動入賞口642の開閉片641a,641bを開放状態に制御するか否かに関わる普通図柄当り判定乱数の更新を行う。即ち、大当り遊技状態の発生及び条件作動装置(大入賞口装置648)の開閉板648bを開放状態に制御するか否かに関わる判定に用いられる乱数は所定のタイミングとして4ms毎に更新される。このようにすることにより、それぞれの乱数における所定期間における確率(大当り遊技状態を発生させると判定する確率、条件作動装置の開閉板648bを開放状態に制御すると判定する確率)を一定にすることができ、遊技者不利な状態となることを防止できる。一方、乱数更新処理2では、大当り遊技状態の発生及び普通図柄の表示結果に関わらないリーチ判定乱数及び変動表示パターン乱数の更新を行う。なお、主制御基板2800で更新される乱数は、上記したものに限られず、乱数更新処理2では、大当り判定乱数を更新するカウンタが1周したときに次にカウントを開始させる大当り判定乱数の初期値を決定するための初期値決定乱数等の更新も行う。
図80は、遊技処理(ステップS14)の一例を示すフローチャートである。遊技制御処理において、CPU2801は、先ず、第一特別図柄始動入賞口634に遊技球が入賞したか否かを判別する(ステップS30)。具体的には、始動口スイッチ635,640,643から検出信号が出力されたか否かを判別し、始動口スイッチ635,640,643から検出信号が出力された場合には第一特別図柄始動入賞口634に遊技球が入賞した(ステップS30にてYES)と判別し、始動口スイッチ635,640,643からの検出信号が出力されていなければ第一特別図柄始動入賞口634に遊技球が入賞していない(ステップS30にてNO)と判別する。ステップS30にて第一特別図柄始動入賞口634に遊技球が入賞したと判別したときには、各種乱数(大当り判定乱数等)を取得し、RAM2803に設けられている第一の保留球数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かを判別する(ステップS31)。そして、ステップS31で第一の保留球数カウンタが4未満であれば、第一始動記憶格納処理を行い(ステップS32a:第一の始動記憶手段)、次いで保留履歴更新処理(ステップS32b)を実行する。なお、ステップS30で始動口スイッチ635,640,643がオンしていない場合、及びステップS31で第一の保留球数カウンタの値が4である場合には、第一の始動記憶格納処理及び保留履歴更新処理を実行せずに、そのままステップS33へ移行する。
その後、第二特別図柄始動入賞口642に遊技球が入賞したか否かを判別する(ステップS33)。具体的には、始動口スイッチ640から検出信号が出力されたか否かを判別し、始動口スイッチ640から検出信号が出力された場合には第二特別図柄始動入賞口642に遊技球が入賞した(ステップS33にてYES)と判別し、始動口スイッチ640からの検出信号が出力されていなければ第二特別図柄始動入賞口642に遊技球が入賞していない(ステップS33にてNO)と判別する。ステップS33にて第二特別図柄始動入賞口642に遊技球が入賞したと判別したときには、各種乱数(大当り判定乱数等)を取得し、RAM2803に設けられている第二の保留球数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かを判別する(ステップS34)。そして、ステップS34で第二の保留球数カウンタが4未満であれば、第二始動記憶格納処理を行い(ステップS35a:第二の始動記憶手段)、次いで保留履歴更新処理(ステップS35b)を実行する。なお、ステップS33で始動口スイッチ640がオンしていない場合、及びステップS34で第二の保留球数カウンタの値が4である場合には、第二の始動記憶格納処理及び保留履歴更新処理を実行しない。その後、CPU2801は、遊技の進行状態を示す処理選択フラグの値を参照してステップS40〜ステップS44のうちいずれかの処理を行う。
始動記憶格納処理では、保留球数カウンタに「1」を加算する処理と、保留球数カウンタの加算に伴って第一特別図柄保留記憶ランプ1363a,1363b及び第二特別図柄保留記憶ランプ1364a,1364bの点灯表示態様(点灯表示させるLEDの個数)を変更する処理と、取得した乱数値(本実施形態では、大当り判定乱数)をRAM2803に設けられた第一及び第二の始動記憶の保存領域にそれぞれ第一及び第二の保留球数カウンタのカウント値に対応させて記憶する処理と、を行う。このように、保留球数カウンタは、始動記憶の保存領域に記憶される乱数値の数を示すカウンタである。また、ステップS31,S34において保留球数カウンタの値が上限値である場合にはステップS30,S33で取得した乱数値を破棄する。なお、ステップS30,S33で第一特別図柄始動入賞口634又は第二特別図柄始動入賞口642に遊技球が入賞したと判別したときには、ステップS30〜ステップS32b、又はステップS33〜ステップS35bの間で各種乱数を取得すればよく、例えば、ステップS30,S33で各種乱数を取得せずに、ステップS31,S34で保留球数カウンタが上限値未満であることを判別した後に、各種乱数を取得してもよいし、始動記憶格納処理(ステップS32a,S35a)で取得するようにしてもよい。
処理選択フラグが「0」のときに実行される変動開始処理(ステップS40)では、始動記憶数を確認し、始動記憶数が0でなければ、特別図柄の変動表示を開始するための設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、大当り遊技状態を発生させるか否かの判定を行う。処理選択フラグが「1」のときに実行される変動表示パターン設定処理(ステップS41)では、特別図柄及び装飾図柄の変動表示に関わる設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、特別図柄の変動表示パターンを決定し、当該変動表示パターンに対応して設定される変動時間(第一特別図柄表示器1391にて特別図柄の変動表示を開始してから停止表示するまでの時間)をタイマにセットする。処理選択フラグが「2」のときに実行される変動中処理(ステップS42)では、変動表示パターン設定処理(ステップS41)で変動時間が設定されたタイマを監視し、タイマがタイムアウトしたことに基づいて第一特別図柄表示器1391における特別図柄の変動表示を停止させる処理を行う。このとき、変動開始処理(ステップS40)にて大当り遊技状態とする判定がなされていれば、処理選択フラグを「3」に更新し、大当り遊技状態とする判定がなされていなければ処理選択フラグを「0」に更新する。
また、処理選択フラグが「3」のときに実行される大当り遊技開始処理(ステップS43:利益付与状態制御手段)では、大当り遊技状態を開始するための設定を行う。具体的には、サブ統合基板2820に大当り遊技状態の開始表示の実行を指示する大当り開始コマンドを送信すると共に、条件作動装置の開放回数等の設定を行う。
処理選択フラグが「4」のときに実行される大当り遊技中処理(ステップS44:利益付与状態制御手段)では、大当り遊技状態が開始された場合に、カウントスイッチ648fによって検出された遊技球の個数を判別し、所定個数(本実施形態では、9個)の遊技球が第一又は第二の大入賞口648a,649aに入賞したとき、又は、所定期間(本実施形態では、30秒)が経過したとき条件作動装置を閉鎖状態にするための処理を行うと共に、サブ統合基板2820に大当り遊技状態中の表示(例えば、ラウンド表示等)の実行を指示する大当り中コマンドを送信する。また、大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数(本実施形態では、15回)に達していなければ、再び、条件作動装置を開放状態にするための処理を行い、大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数に達したときには、サブ統合基板2820に大当り遊技状態の終了表示の実行を指示する大当り終了コマンドを送信すると共に処理選択フラグを「0」に更新する。
図81は、変動開始処理(ステップS40)の一例を示すフローチャートである。変動開始処理において、CPU2801は、先ず、それぞれの特別図柄表示器1391,1392に対応する2つの保留球数カウンタの値(第一始動記憶数及び第二始動記憶数)が共に「0」であるか否かを判別する(ステップS401)。2つの保留球数カウンタの値の和は、始動記憶の保存領域に格納される乱数値の個数を示すものであるため、ステップS401において、いずれの保留球数カウンタの値が共に「0」であれば(YES)、第一大当り抽選及び第二大当り抽選に関する始動条件が成立していないと判別されてステップS407に移行する。
一方、ステップS401でいずれかの保留球数カウンタの値が「0」でなければ(NO)、始動記憶移行処理を実行する(ステップS403a〜ステップS404d)。始動記憶の保存領域には、8つの記憶領域(記憶領域[1]〜[8])が設けられている。つまり、第一始動記憶数と第二始動記憶数との合計である合計始動記憶数(「1」〜「8」)の値にそれぞれ対応付けられた、8個の記憶領域が設けられている。各記憶領域[1]〜[8]は、大当り判定用乱数が記憶される大当り判定用乱数記憶領域と、大当り図柄用乱数が記憶される大当り図柄用乱数記憶領域と、特別図柄判定フラグが記憶される特別図柄判定フラグ記憶領域とを有している。特別図柄判定フラグとしては、記憶される乱数が第一特別図柄(第一抽選)に関する乱数であることを示す「0」と、第二特別図柄(第二抽選)に関する乱数であることを示す「1」とが設定されている。そして、始動記憶移行処理では、まず、記憶領域[1]の特別図柄判定フラグ記憶領域に記憶されている特別図柄判定フラグを基に、次に変動させる図柄が、第二特別図柄であるか否かを判定する(ステップS402)。第二特別図柄ではない場合、即ち第一特別図柄である場合には(ステップS402にてNO)、n番目(nは2以上の自然数)の各記憶領域(記憶領域[2]〜[8])に記憶される各種乱数を、n−1番目の記憶領域(記憶領域[1]〜[7])にそれぞれシフトする処理(ステップS403a)と、記憶領域[1]に記憶されていた第一特別図柄に関する乱数を取得する処理(ステップS403b)とを実行する。また、特別図柄変動フラグに「1」をセットする(ステップS403c)と共に、第一特別図柄に対応する保留球数カウンタを「1」減算する処理(ステップS403d)を実行する。
一方、記憶領域[1]の特別図柄判定フラグ記憶領域に記憶されている特別図柄判定フラグを基に判別される次回の変動図柄が第二特別図柄である場合には(ステップS402にてYES)、ステップS403aと同様、n番目の各記憶領域(記憶領域[2]〜[8])に記憶される各種乱数を、n−1番目の記憶領域(記憶領域[1]〜[7])にそれぞれシフトする処理(ステップS404a)と、記憶領域[1]に記憶されていた第二特別図柄に関する乱数を取得する処理(ステップS404b)と、を実行する。また、特別図柄変動フラグに「2」をセットする(ステップS404c)と共に、第二特別図柄に対応する保留球数カウンタを「1」減算する処理(ステップS404d)を実行する。
その後は、ステップS403bで取得した第一特別図柄に関する乱数のうちの大当り判定乱数、あるいはステップS404bで取得した第二特別図柄に関する乱数のうちの大当り判定乱数を用いて大当り遊技状態を発生させるか否かの判定を行い(ステップS405)、次いで、特別図柄停止図柄設定処理を行った後に(ステップS406)、処理選択フラグを「1」に更新する(ステップS407)。処理選択フラグを「1」に更新することにより、次にタイマ割込処理が発生し、遊技処理(ステップS14)が実行されたときに変動表示パターン設定処理(ステップS41)が実行可能となる。
図82は、大当り判定処理(ステップS405)の一例を示すフローチャートである。大当り判定処理において、CPU2801は、大当り遊技中処理(ステップS44)でセットされる確変フラグがON状態であるか(セットされているか)否かを判別する(ステップS51)。確変フラグがON状態であれば、確変状態時大当り判定テーブル(図示しない)を選択し(ステップS52:高確率状態制御手段)、確変フラグがON状態でなければ(OFF状態であれば)、通常状態時大当り判定テーブル(図示しない)を選択する(ステップS53:通常状態制御手段)。なお、確変状態時大当り判定テーブルでは、0〜349までの350個の大当り判定乱数のうち大当り判定乱数と一致することにより大当り遊技状態を発生させることが決定される大当り判定値が10個設定され、大当りとなる確率である大当り確率が1/35となっている。一方、通常状態時大当り判定テーブルでは、0〜349までの350個の大当り判定乱数のうち大当り判定値が1個設定され、大当り確率が1/350となっている。
そして、ステップS52,S53で選択した確変状態時大当り判定テーブル、又は、通常状態時大当り判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS403b又はステップS404bで取得した大当り判定乱数と、が一致するか否かによって、大当り遊技状態を発生させるか否か判定する(ステップS54:高確率状態判定手段)。ステップS52,S53で選択した確変状態時大当り判定テーブル、又は、通常状態時大当り判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS403b又はステップS404bで取得した大当り判定乱数の値(保留球数カウンタの0に対応する保存領域に保存される大当り判定乱数の値)と、が一致することに基づいて大当り遊技状態を発生させると判定したときには、大当りフラグをON状態(セット)する(ステップS55)。その後、当該大当りが確変当りであるか否かを判定する(ステップS56)。確変当りのときは、大当り図柄判定乱数の抽出値に応じた大当りのセット回数を大当りセットカウンタにセットし(ステップS57)、次いで、連続大当り制限処理を実行した後に(ステップS58)、大当り判定処理を終了する。一方、ステップS56で確変当りでないときは、大当りセットカウンタの値が「0」であるか否かを判定する(ステップS59)。ステップS59で大当りセットカウンタの値が「0」でないとき、即ちステップ56からのフローにおいて確率変動制御(高確率状態)中に非確変当りとなったときには、大当りセットカウンタの値を更新することなくそのまま大当り判定処理を終了する。一方、ステップS59で大当りセットカウンタの値が「0」のとき、即ちステップ56からのフローにおいて確率変動制御(高確率状態)以外となる通常遊技状態中に非確変当りとなったときには、ステップS57へ移行して大当り図柄判定乱数の抽出値に応じた大当りのセット回数を大当りセットカウンタにセットする。即ち、大当りセットカウンタの値を大当り図柄判定乱数の抽出値に応じた大当りのセット回数に変更する処理を行い、その後、ステップS58の連続大当り制限処理を実行した後に大当り判定処理を終了する。また、ステップS54で大当りとしない(はずれとする)と判定されたときには、以下の処理を実行することなく処理を終了する。なお、ステップS58の連続大当り制限処理は、初当りからの連続大当り回数を上限回数(本実施形態では、15回)に制限するための処理である。具体的には、図示しないが初当りから連続大当り回数をカウントしていき、ステップS57での大当りセットカウンタへのセット処理により連続大当り回数が15回を越えてしまうような場合には、強制的に連続大当り回数が15回となるように大当りセットカウンタの値を減算処理することで、連続大当り回数が15回を越えないように制限するようになっている(連続回数制限手段)。
なお、大当りフラグは、大当り遊技状態への移行制御を示すフラグであり、大当りフラグがセットされていれば大当り遊技開始処理(ステップS43)にて大当り遊技状態を発生させる。また、確変フラグは、大当り遊技状態終了後に確率変動状態への移行制御を示すフラグであり、大当り遊技中処理(ステップS44)にて大当り遊技状態を終了した後、確変フラグをセットする処理が実行される。確変フラグがセットされた状態では、上述した確率変動状態に制御され、例えば、上述したステップS52の確変状態時大当り判定テーブルが選択されて確率変動状態以外の状態(通常状態)よりも大当り遊技状態を発生させると判定される確率が高まる。また、後述する時短フラグは、大当り遊技状態終了後に時短状態への移行制御を示すフラグであり、大当り遊技状態の終了時点から所定期間(実施形態中では、大当りのセット数が残っている場合、次回の大当り開始時点までの期間、あるいは大当りのセット数が残っていない場合、100回の図柄変動が行われるまでの期間)でセットされ、所定期間の終了と同時に時短フラグがリセットされる。また、大当りフラグ、確変フラグ、及び時短フラグのON/OFF状態(セット状態、リセット状態)と、大当りセットカウンタの値は、それぞれRAM2803に記憶される。また、大当りフラグ、確変フラグ、及び時短フラグのOFF状態(リセット状態)とは「0」の値がセットされることであり、大当りフラグ、確変フラグ、及び時短フラグのON状態(セット状態)とは「1」の値がセットされることである。
ステップS57における大当りセットカウンタへの大当りセット回数のセット処理としては、大当りセットカウンタの値が「0」となる通常遊技状態では、第一特別図柄始動入賞口634への入賞(第一特別図柄の変動表示)に基づいて大当りが判定された場合、図79(B)に示す第一特別図柄用の大当り図柄判定テーブルを参照して、大当りのセット回数がセットされる。具体的に、第一特別図柄用の大当り図柄判定テーブルでは、0〜99の計100個の大当り図柄判定乱数のうち、3セットを決定する「1,3,5,7,9」の大当り図柄用の決定値に20個の乱数が振り分けられ、1セットを決定する「2,4,6,8」のいずれかの大当り図柄用の決定値に80個の乱数が振り分けられている(利益対応表示制御手段)。「1,3,5,7,9」の大当り図柄決定用となる20個の乱数は、ほぼ均等な配分で「1,3,5,7,9」のいずれかに振り分けられ、「2,4,6,8」の大当り図柄決定用となる80個の乱数は、ほぼ均等な配分で「2,4,6,8」のいずれかに振り分けられている(利益付与回数記憶手段、利益付与回数決定手段)。即ち、図79(B)に示す第一特別図柄用の大当り図柄判定テーブルに基づき「1,3,5,7,9」のいずれかの大当り図柄(確変大当り図柄)が決定されたときには、大当りセットカウンタに「3」がセットされる一方、「2,4,6,8」のいずれかの大当り図柄(非確変大当り図柄)が決定されたときには、大当りセットカウンタに「1」がセットされる。また、このような構成から、本実施形態では、通常遊技状態における第一特別図柄での大当り判定において、複数種類のセット回数が設定されており、当該複数種類のセット回数となる「3セット」「1セット」が、それぞれ20%、80%の割合で決定されるようになっている。
また、大当りセットカウンタの値が「0」よりも大きな値となる高確率状態で第一特別図柄始動入賞口634への入賞(第一特別図柄の変動表示)に基づいて大当りが判定された場合、図79(B)に示す第一特別図柄用の大当り図柄判定テーブルに基づき、3セットを決定する「1,3,5,7,9」のいずれかの大当り図柄(確変大当り図柄)が決定されたときには、大当りセットカウンタの値が「3」に変更されるようになっている(利益付与回数変更手段、回数一律決定手段)。
一方、通常遊技状態において第二特別図柄始動入賞口642への入賞(第二特別図柄の変動表示)に基づき大当りが判定された場合では、図79(C)に示す第二特別図柄用の大当り図柄判定テーブルを参照して、大当りのセット回数がセットされる。具体的に、第二特別図柄用の大当り図柄判定テーブルでは、0〜99の計100個の大当り図柄判定乱数のうち、4セットを決定する「3,7」の大当り図柄用の決定値に10個の乱数が振り分けられ、2セットを決定する「1,5,9」の大当り図柄用の決定値に10個の乱数が振り分けられ、1セットを決定する「2,4,6,8」のいずれかの大当り図柄用の決定値に80個の乱数が振り分けられている(利益対応表示制御手段)。「3,7」の大当り図柄決定用となる10個の乱数は、ほぼ均等な配分で「3,7」のいずれかに振り分けられ、「1,5,9」の大当り図柄決定用となる10個の乱数は、ほぼ均等な配分で「1,5,9」のいずれかに振り分けられ、「2,4,6,8」の大当り図柄決定用となる80個の乱数は、ほぼ均等な配分で「2,4,6,8」のいずれかに振り分けられている(利益付与回数記憶手段、利益付与回数決定手段)。即ち、図79(C)に示す第二特別図柄用の大当り図柄判定テーブルに基づき「3,7」のいずれかの大当り図柄(確変大当り図柄)が決定されたときには、大当りセットカウンタに「4」がセットされ、「1,5,9」のいずれかの大当り図柄(確変大当り図柄)が決定されたときには、大当りセットカウンタに「2」がセットされる。一方、「2,4,6,8」のいずれかの大当り図柄(非確変大当り図柄)が決定されたときには、大当りセットカウンタに「1」がセットされる。また、このような構成から、本実施形態では、通常遊技状態における第二特別図柄での大当り判定において、複数種類のセット回数が設定されており、当該複数種類のセット回数となる「4セット」「2セット」「1セット」が、それぞれ10%、10%、80%の割合で決定されるようになっている。
また、大当りセットカウンタの値が「0」よりも大きな値となる高確率状態で第二特別図柄始動入賞口642への入賞(第二特別図柄の変動表示)に基づいて大当りが判定された場合、図79(C)に示す第二特別図柄用の大当り図柄判定テーブルに基づき、4セットを決定する「3,7」のいずれかの大当り図柄(確変大当り図柄)が決定されたときには、大当りセットカウンタの値が「4」に変更され、2セットを決定する「1,5,9」のいずれかの大当り図柄(確変大当り図柄)が決定されたときには、大当りセットカウンタの値が「2」に変更されるようになっている(利益付与回数変更手段、回数選択決定手段)。
なお、上記した大当りセットカウンタの値については、主制御基板2800からサブ統合基板2820に向けてその数値を示すコマンド信号が送信されるようになっている。そして、大当りセットカウンタのコマンド信号を受けたサブ統合基板2820は、当該コマンド信号から「1」以上の値が大当りセットカウンタにセットされていることを判別すると、これに基づいて装飾図柄表示器631の図柄表示面632に残りの大当り回数を遊技者に認識させる表示(例えば、「残りの大当り回数:3回」等の文字)を装飾図柄の変動表示に合わせて行うようになっている(残回数表示手段)。これにより、初当りによって大当りのセット回数(連続大当り回数)が決定された後、利益付与状態の制御が実行される毎に残りのセット回数を遊技者に認識させることができる。さらには、高確率状態中に大当りのセット回数が変更されるような場合には、その都度、変更された残りのセット回数を遊技者に認識させることができるので、遊技者に対して残りのセット回数を明確に認識させた上で安心して遊技を行わせることができる。
図83は、特別図柄停止図柄設定処理(ステップS406)の一例を示すフローチャートである。特別図柄停止図柄設定処理において、CPU2801は、前記大当り判定処理(ステップS405)のステップS55でセットされる大当りフラグがON状態であるか(セットされているか)否かを判別する(ステップS61)。大当りフラグがON状態であれば、図79(B)に示す第一特別図柄用の大当り図柄判定テーブル又は図79(C)に示す第二特別図柄用の大当り図柄判定テーブルを参照して大当り図柄判定乱数の抽出値から特別図柄(第一又は第二の特別図柄)における大当り図柄の種類(実施形態中では、「1〜9」のいずれかの大当り図柄)を決定して(ステップS62)、特別図柄停止図柄設定処理を終了する。一方、ステップS61で大当りフラグがOFF状態であれば、はずれ時の停止図柄(実施形態中では、「0」のはずれ図柄)に決定して(ステップS63)、特別図柄停止図柄設定処理を終了する。
図84は、変動表示パターン設定処理(ステップS41)の一例を示すフローチャートである。変動表示パターン設定処理において、CPU2801は、今回の変動表示の結果、大当りとするか否か、即ち、大当りフラグがセットされているか否かを判別し(ステップS410)、大当りフラグがセットされていれば(ON状態であれば)、大当りとなる場合に用いられる変動表示パターンが設定された大当り時変動表示パターンテーブルを選択する(ステップS412)。また、大当りフラグがセットされていなければ(OFF状態であれば)、リーチ判定乱数を取得し、RAM2803の所定の保存領域に記憶すると共に、所定の判定値が設定されたリーチ判定テーブルに設定されている判定値と、取得したリーチ判定乱数の値と、が一致するか否かによって、リーチとするか否かを判定する(ステップS411)。リーチ態様とすると判定されたときには、リーチ態様を伴うはずれ図柄を導出する態様が示された変動表示パターンが設定されたリーチ時変動表示パターンテーブルを選択し(ステップS413)、リーチ態様としないと判定されたときには、リーチ態様を伴わないはずれ図柄を導出する態様が示された変動表示パターンが設定されたはずれ時変動表示パターンテーブルを選択する(ステップS414)。なお、リーチ判定テーブルでは、リーチ確率(リーチ態様とする割合)が1/12.5となるように、即ち、0〜24までの25個のリーチ判定乱数のうち2個の判定値がリーチ判定テーブルに設定されている。
そして、変動表示パターン乱数を取得し、RAM2803の所定の保存領域に記憶すると共に、ステップS411,S413,S414で選択された大当り時変動表示パターンテーブル、リーチ時変動表示パターンテーブル、はずれ時変動表示パターンテーブル、のいずれか1つの変動表示パターンテーブルに設定されている判定値と、取得した変動表示パターン乱数の値と、が一致する変動表示パターンに決定する(ステップS415)。
次いで、ステップS415で決定した変動表示パターンを指定する演出コマンドとして変動表示パターンコマンドをセットし(ステップS416)、当該変動表示パターンに応じた変動時間を主制御基板2800に搭載されるRAM2803に設けられたタイマ(本実施形態では、有効期間タイマ)にセットする(ステップS417)。ステップS417では、ステップS415で決定した変動表示パターンに設定されている変動時間を有効期間タイマにセットする。その後、CPU2801は、処理選択フラグを「2」に更新する(ステップS418)。なお、ステップS416でセットされた変動表示パターンコマンドは、コマンド伝送出力処理(ステップS19)にてサブ統合基板2820に送信される。また、変動表示パターンコマンドをコマンド伝送出力処理でサブ統合基板2820に送信するときには、特別図柄遊技にて第一特別図柄表示器1391に駆動信号を出力し、特別図柄の変動表示を開始させる。
ここで、変動表示パターンコマンドは、2バイト構成のデータであり、各変動表示パターンコマンドには、第一特別図柄表示器1391にて特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄の変動表示が停止表示されるまでの変動時間やリーチ演出を特定するためのデータが含まれる。この2バイト構成の変動表示パターンコマンドのうち、1バイト目は、変動表示パターンであることを特定可能なデータであり、2バイト目は、変動番号(変動表示パターン)を特定可能なデータである。即ち、サブ統合基板2820に搭載される統合CPU2821は、1バイト目のデータに基づいて変動表示パターンであることを認識可能であり、さらに、2バイト目のデータに基づいて変動表示パターンを特定する。
なお、変動表示パターン設定処理では、遊技状態を示す演出コマンドとして、確変フラグがセットされているか否かを確認し、確変フラグがセットされているときに遊技状態が確変状態であることを示す遊技状態コマンドをセットする処理が実行される。遊技状態コマンドは、変動表示パターンコマンド及び当落コマンドと共にコマンド伝送出力処理(ステップS19)にてサブ統合基板2820に送信される。サブ統合基板2820に搭載される統合CPU2821は、遊技状態コマンドが確変状態を示すことで遊技状態が確変状態であることを認識することができる。なお、確変フラグがセットされている場合には、前述した確率変動状態への制御に加えて、時短状態への制御が行われる。例えば、ステップS414ではずれ時変動表示パターンテーブルから特別図柄の変動時間を通常状態よりも短縮した「短縮変動」の変動表示パターンが選択されると共に、第二特別図柄始動入賞口642の開閉片641a,641bの開放時間が通常状態に比べて延長される。
また、ステップS417で変動時間がセットされた有効期間タイマは、コマンド伝送出力処理(ステップS19)で変動表示パターンコマンドをサブ統合基板2820に送信するときにスタートし、変動中処理(ステップS42)で有効期間タイマがタイムアウトしたときに第一特別図柄表示器1391に駆動信号を出力して特別図柄の変動表示をCPU2801により停止制御させると共に、サブ統合基板2820に装飾図柄の変動表示停止を指示する演出コマンド(変動停止コマンド)を送信する。なお、サブ統合基板2820では、変動停止コマンドを受信したことに基づいて装飾図柄の停止を確定表示するための制御を行う。
なお、リーチ態様とは、特定の表示結果(大当り表示)の一歩手前を表す態様(大当りとなる直前の態様)である。本実施形態では、装飾図柄表示器631に表示される左・中・右の装飾図柄のうち左装飾図柄と右装飾図柄と(任意の2つの装飾図柄の組み合わせでもよい)が同一の図柄で停止し、中装飾図柄(任意の2つの装飾図柄の組み合わせが停止した状態では残りの装飾図柄)については変動表示している状態、又は、装飾図柄表示器631に表示される全ての装飾図柄が同一の図柄の組み合わせで同期して変動表示している状態(例えば、左・中・右の装飾図柄が常に同一の図柄となるように同期して変動表示している状態)をリーチ態様といい、リーチ態様となった後、装飾図柄表示器631、スピーカ163等により実行される演出(例えば、装飾図柄表示器631にて所定の変動表示、スピーカ163にて所定の音声出力)をリーチ演出という。
図85は、大当り遊技開始処理(ステップS43)の一例を示すフローチャートである。大当り遊技開始処理において、CPU2801は、先ず、大当りセットカウンタから「1」を減算する処理を行い(ステップS451)、次いで確変機能が作動中(確率変動状態)であるか否かを判別する(ステップS452)。確変機能が作動中であれば、確変機能の作動を停止した後に(ステップS453)、また、確変機能が作動中でなければ、そのままステップS454に移行して、時短機能が作動中(時短制御中)であるか否かを判別する。時短機能が作動中であれば、時短機能の作動を停止した後に(ステップS455)、また、時短機能が作動中でなければ、そのままステップS456に移行して処理選択フラグを「4」に更新する。処理選択フラグを「4」に更新することにより、次にタイマ割込処理が発生し、遊技処理(ステップS14)が実行されたときに大当り遊技中処理(ステップS44)が実行可能となる。
図86は、大当り遊技中処理(ステップS44)の一例を示すフローチャートである。大当り遊技中処理において、CPU2801は、前記ステップS456でセットされたラウンド数に基づいて大入賞口装置648を開放する大入賞口開放制御処理を実行する(ステップS501)。具体的な制御としては、大入賞口装置648の開閉板648bが所定時間(例えば、30秒)経過するまで、あるいは所定個数(例えば、9個)の入賞があるまで開放状態に維持し、所定時間の経過又は所定個数の入賞があると一旦閉鎖する。そして、このような開放から閉鎖までを1サイクル(ラウンド)としてセットされたラウンド数まで繰り返す。その後、CPU2801は、大当りフラグをOFFして(ステップS502)、大当りセットカウンタが「0」であるか否かを判別する(ステップS503)。大当りセットカウンタが「0」でないときには、確変フラグをONにすると共に(ステップS504:高確率状態制御手段、連続利益付与状態制御手段)、時短フラグをONにして(ステップS505)、ステップS506へ移行する。即ち、初当り時に複数回のセット数がセットされて当該セット数がまだ残っているときには、次回の大当り遊技状態が発生するまでの期間で確率変動制御と時短制御とを実行するようになっている。一方、大当りセットカウンタが「0」のときには、ステップS505へ移行して時短フラグをONする。即ち、大当りのセット数が残っていないときには、大当り遊技状態の終了後に100回の図柄変動が行われるまでの期間で時短制御を実行するようになっている。ステップS506では、処理選択フラグを「0」に更新する。処理選択フラグを「0」に更新することにより、次にタイマ割込処理が発生し、遊技処理(ステップS14)が実行されたときに変動開始処理(ステップS40)が実行可能となる。
次に、サブ統合基板2820に搭載される統合CPU2821によって実行される処理について説明する。図87はサブメイン処理の一例を示すフローチャートであり、図88は16ms定常処理の一例を示すフローチャートである。
図87に示すように、パチンコ機1への電力供給が開始されると、統合CPU2821は、初期設定処理を行う(ステップS71)。この初期設定処理は、サブ統合基板2820に搭載される統合RAM2823をクリアする処理等が行われる。なお、この初期設定処理中では割込禁止となっており、初期設定処理のあと割込許可となる。初期設定処理(ステップS71)が終了すると、16ms経過フラグTがセットされたか否かを監視するループ処理を開始する(ステップS72)。
本実施形態では、統合CPU2821は、2ms経過毎に割込を発生させ、2ms定常処理を実行する。2ms定常処理では、16ms経過監視カウンタをカウントアップする(16ms経過監視カウンタを1加算する)処理が実行され、16ms経過監視カウンタの値が8になったとき、即ち、16ms経過したときに16ms経過フラグTをセットすると共に、16ms経過監視カウンタをリセット(0にする)処理が実行される。このように、16ms経過フラグTは、2ms定常処理にて16ms毎に「1」に設定(セット)され、通常は「0」に設定(リセット)されている。ステップS72で16ms経過フラグがセットされている(16ms経過フラグTが「1」)ときには、16ms経過フラグをリセットした後(ステップS73)、16ms定常処理を行う(ステップS74)。
この16ms定常処理では、主制御基板2800から受信した演出コマンドに基づいて装飾図柄表示器631、枠ランプ27、サイドランプ65、スピーカ163等を制御する処理が実行される。16ms定常処理が終了すると、再びステップS72に戻り、16ms経過フラグTがセットされる毎に、つまり16ms毎に上述したステップS73〜ステップS74を繰り返し行う。一方、ステップS72で16ms経過フラグTがセットされていない(16ms経過フラグTが「0」)ときには、16ms経過フラグTがセットされるまでループ処理を行う。
図88は、サブメイン処理にて16ms毎に実行される16ms定常処理の一例を示すフローチャートである。16ms定常処理において、統合CPU2821は、ステップS91〜ステップS95の処理を実行する。ステップS91のコマンド解析処理では、主制御基板2800から受信した演出コマンドを解析する。ステップS92の演出制御処理では、変動表示パターンコマンドに基づいて装飾図柄表示器631に関わる制御処理を実行する。具体的には、後述する装飾図柄の停止図柄の決定、等を行う。
また、ステップS93の音制御処理では、スピーカ163に関わる制御処理を実行する。ステップS94のランプ制御処理では、サイドランプ65、枠ランプ27に関わる制御処理を実行する。ステップS95の情報出力処理では、表示制御基板220に表示コマンドを送信すると共に、ランプ駆動基板156に駆動信号及びランプ点灯信号を送信する。ステップS96の乱数更新処理では、演出制御処理(ステップS92)で各種設定に用いられる乱数を更新する処理を実行する。
ここで、上述した乱数更新処理(ステップS96)でサブ統合基板2820に搭載される統合CPU2821により更新される各種乱数としては、装飾図柄の停止図柄として大当り図柄の決定に用いられる大当り図柄乱数、装飾図柄の停止図柄としてはずれ図柄の決定に用いられるはずれ図柄乱数、等がある。なお、各種乱数(大当り図柄乱数、はずれ図柄乱数、等)は、コマンド解析処理(ステップS91)にて主制御基板2800から受信した演出コマンドが変動表示パターンであるときに取得される。
また、16ms定常処理におけるステップS91〜ステップS96の処理は16ms以内に終了する。仮に、16ms定常処理を開始してから当該16ms定常処理の終了までに16ms以上かかったとしても、16ms定常処理を開始してから16ms経過したときに直ぐに16ms定常処理を最初から(後述するステップS91のコマンド解析処理から)実行しない。即ち、16ms定常処理の実行中に16ms経過したときには、16ms経過フラグのセットのみを行い、当該16ms定常処理の終了後にステップS72で16ms経過フラグがセットされていると判定されたときに16ms定常処理を開始する。
また、本実施形態では、16ms定常処理にて乱数更新処理(ステップS96)を実行して各種乱数を更新するように構成しているが、各種乱数を更新する時期(タイミング)はこれに限られるものではない。例えば、サブメイン処理におけるループ処理及び16ms定常処理のいずれか一方又は両方にて各種乱数を更新するように構成してもよい。
図89は、コマンド解析処理(ステップS91)の一例を示すフローチャートである。コマンド解析処理において、統合CPU2821は、先ず、主制御基板2800から演出コマンドを受信したか否かを判別する(ステップS601)。本実施形態では、主制御基板2800から演出コマンドを受信すると、16ms定常処理等の他の処理を中断してコマンド受信割込処理を発生させ、受信したコマンドを、サブ統合基板2820に搭載される統合RAM2823における受信コマンド格納領域に保存する。なお、受信コマンド格納領域は、演出コマンドの受信順に対応して複数の領域が設けられ、コマンド受信割込処理では、演出コマンドの受信順に対応して各領域に保存する。ステップS601では、受信コマンド格納領域の内容を確認し、受信コマンドが記憶されていれば、受信コマンド格納領域の受信順が先の演出コマンドを読み出す(ステップS602)。
そして、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドであるか判別し(ステップS603)、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドであれば(ステップS603にてYES)、変動表示パターン受信フラグをセットすると共に、サブ統合基板2820に搭載される統合RAM2823における変動表示パターン格納領域に格納する(ステップS604)。
一方、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドでなければ(ステップS603にてNO)、読み出した演出コマンドが大当りコマンドであるか判別し(ステップS605)、読み出した演出コマンドが大当りコマンドであれば(ステップS605にてYES)、大当りフラグをセットする(ステップS606)。また、読み出した演出コマンドが大当りコマンドでなければ(ステップS605にてNO)、受信した演出コマンド(遊技状態コマンド、変動停止コマンド、大当り開始コマンド等)に対応したフラグをセットする(ステップS607)。
図90は、演出制御処理(ステップS92)の一例を示すフローチャートである。演出制御処理において、統合CPU2821は、遊技の進行状態を示す処理選択フラグの値を参照してステップS700〜ステップS702のうちいずれかの処理を行う。
処理選択フラグが「0」のときに実行される装飾図柄変動開始処理(ステップS700)では、変動表示パターンコマンドを受信していれば装飾図柄の変動表示を開始させるための設定を行う。具体的には、変動表示パターンコマンド及び確変大当りコマンドに応じて装飾図柄の停止図柄を決定すると共に、リーチ演出態様を決定する、等の設定を行い、処理選択フラグを「1」に更新する。
処理選択フラグが「1」のときに実行される装飾図柄変動処理(ステップS701)では、変動停止コマンドを受信したときに表示制御基板220に表示コマンドを送信して装飾図柄の変動表示を停止させる制御を行い、主制御基板2800から大当り開始コマンドを受信していれば処理選択フラグを「2」に更新し、主制御基板2800から大当り開始コマンドを受信していなければ処理選択フラグを「0」に更新する。
処理選択フラグが「2」のときに実行される大当り表示処理(ステップS702)では、主制御基板2800から送信される大当り開始コマンドに応じて装飾図柄表示器631に大当り遊技状態の開始を示す表示を行うと共に、主制御基板2800から送信される大当り中コマンドに応じて大当り遊技状態中の表示(例えば、ラウンド表示等)を行うための制御を実行し、大当り終了コマンドを受信していれば大当り遊技状態の終了表示を行い、処理選択フラグを「0」に更新する。
図91は、装飾図柄変動開始処理(ステップS700)の一例を示すフローチャートである。装飾図柄変動開始処理において、統合CPU2821は、先ず、変動表示パターン受信フラグがセットされているか判別する(ステップS710)。変動表示パターン受信フラグは、上述したコマンド解析処理(ステップS91)のステップS604でセットされ、主制御基板2800から変動表示パターンコマンドを受信したことを示すフラグである。即ち、ステップS710で変動表示パターン受信フラグがセットされていなければ(ステップS710にてNO)、変動表示パターンコマンドを受信していないと判別して、そのまま装飾図柄変動開始処理を終了する。
一方、変動表示パターン受信フラグがセットされていれば(ステップS710にてYES)、変動表示パターン受信フラグをリセットし(ステップS711)、受信した当落コマンドが当りを示すコマンドであるか判別すると共に、受信した変動表示パターンコマンドに基づく変動表示パターンが大当りを発生させる変動表示パターンであるか(当りパターンであるか)判別する(ステップS712)。当りパターンであるか否かは、変動表示パターンコマンドの2バイト目のデータを参照することにより確認できる。
当落コマンドが当りを示すコマンドでなければ(ステップS712にてNO)、はずれ図柄の停止図柄を決定する(ステップS713)。また、変動表示パターンが当りパターンであれば(ステップS712にてYES)、大当り図柄の停止図柄を決定する(ステップS714)。なお、ステップS713ではずれ図柄の停止図柄を決定するときに、リーチ態様を伴う変動表示パターンであるかを判別し、リーチ態様を伴う変動表示パターンであれば、左・中・右の装飾図柄のうち左及び右の装飾図柄が同一図柄であり、中の装飾図柄は左及び右の装飾図柄とは異なる図柄となる停止図柄に決定する。一方、リーチ態様を伴わない変動表示パターンであれば、左・中・右の装飾図柄のそれぞれが異なる図柄となる停止図柄に決定する。また、確変大当りフラグは、大当り表示処理(ステップS702)にて大当り遊技状態を開始するときにリセットされる。なお、確変大当りフラグがリセットされる時期はこれに限らず、例えば、装飾図柄変動処理(ステップS701)で装飾図柄の変動表示を停止させるとき、具体的には、変動停止コマンドを受信したときにリセットするようにしてもよいし、大当り表示処理(ステップS702)で大当り遊技状態を終了するときにリセットするようにしてもよい。
次いで、統合CPU2821は、主制御基板2800側で決定されたリーチ演出の変動表示パターンと、ステップS713,S714で決定した装飾図柄の停止図柄と、に応じた表示コマンドをセットした後(ステップS715)、処理選択フラグを「1」に更新して処理を終了する(ステップS716)。なお、ステップS715でセットされた表示コマンドは、情報出力処理(ステップS95)にて表示制御基板220に送信され、表示制御基板220に搭載される表示CPU221により当該表示コマンドを受信したことに基づいて装飾図柄表示器631にて装飾図柄の変動表示の実行を開始する。
図92は、装飾図柄変動処理(ステップS701)の一例を示すフローチャートである。装飾図柄変動処理において、統合CPU2821は、先ず、変動停止コマンド受信フラグがセットされているか判別する(ステップS755)。変動停止コマンド受信フラグは、上述したコマンド解析処理(ステップS91)のステップS604でセットされ、主基板101から変動停止コマンドを受信したことを示すフラグである。即ち、ステップS755で変動停止コマンド受信フラグがセットされていなければ(ステップS755にてNO)、変動停止コマンドを受信していないと判別して処理を終了する。
一方、変動停止コマンド受信フラグがセットされていれば(ステップS755にてYES)、変動停止コマンド受信フラグをリセットし、装飾図柄の停止を指示する表示コマンドをセットする(ステップS756)。なお、ステップS756でセットされた表示コマンドは、情報出力処理(ステップS95)にて表示制御基板2840に送信され、表示制御基板2840に搭載される表示CPU2841により当該表示コマンドを受信したことに基づいて装飾図柄表示器631にて装飾図柄の変動表示停止を確定表示する。
次いで、統合CPU2821は、大当り開始コマンド受信フラグがセットされているか判別する(ステップS757)。大当り開始コマンド受信フラグは、上述したコマンド解析処理(ステップS91)のステップS604でセットされ、主基板101から大当り開始コマンドを受信したことを示すフラグである。即ち、ステップS757で大当り開始コマンド受信フラグがセットされていなければ(ステップS757にてNO)、大当り開始コマンドを受信していないと判別し、処理選択フラグを「0」に更新して処理を終了する(ステップS759)。一方、大当り開始コマンド受信フラグがセットされていれば(ステップS757にてYES)、大当り開始コマンド受信フラグをリセットし、処理選択フラグを「2」に更新して処理を終了する(ステップS758)。
次に、複数のセット回数となる大当り遊技状態について、図93乃至図95を参照して説明する。図93(A)はセット回数が変更されない3セットの大当り遊技状態の一例を示すタイムチャートであり、図93(B)は第一特別図柄の大当り判定に基づいてセット回数が1回変更された5セットの大当り遊技状態の一例を示すタイムチャートである。図94は第二特別図柄の大当り判定に基づいてセット回数が1回変更された5セットの大当り遊技状態の一例を示すタイムチャートである。図95は第二特別図柄の大当り判定に基づいてセット回数が2回変更された4セットの大当り遊技状態の一例を示すタイムチャートである。なお、以下の説明では便宜的に、通常遊技状態での遊技において、左打ちによる第一特別図柄始動入賞口634への入賞に基づいて確変図柄での大当り判定がなされ、初当りとして3セットの大当りが決定された場合を例示するものである。但し、遊技内容としては、通常遊技状態で右打ちを行い、第二特別図柄始動入賞口642への入賞に基づいた大当り判定で初当りを狙うようにしてもよい。このとき、第二特別図柄始動入賞口642への入賞に基づいて確変図柄での大当り判定がなされた場合、前記図79(C)に示す大当り図柄判定テーブルに基づいて4セット又は2セットのいずれかの大当りが決定される。
先ず、図93(A)に示すように、通常遊技状態での左打ちによって第一特別図柄始動入賞口634への入賞に基づく「7」の大当り図柄での大当り判定がなされると、初当り時となる1回目の大当り遊技状態として、大入賞口装置648の開閉板648bが10回繰り返して開放される。そして、このような「7」の確変図柄の大当り図柄での初当りによって3セットの大当り遊技状態が発生される(大当りセットカウンタに「3」がセットされる)。大当り遊技状態の終了後(この時点で大当りセットカウンタは1減算されて「2」となる)は確率変動制御と時短制御とが実行され、これに伴って遊技者は、第二特別図柄始動入賞口642への入賞を狙うべく右打ちでの遊技が遊技球を殆ど減らすことなく行えるようになる。その後、遊技者の意志に基づいて右打ちを行うことなく左打ちによって第一特別図柄始動入賞口634への入賞に基づく大当り判定がなされると、次回(2回目)の大当り遊技状態の発生と同時に、一旦、確率変動制御及び時短制御の実行が停止される。図93(A)中には、「4」の大当り図柄によって2回目の大当り遊技状態の発生が決定された場合を例示している。また、このとき、「4」の非確変図柄で大当りしたため、大当りのセット回数は変更されずに、大当りセットカウンタは1減算されて「1」となる。
その後は、同様に、2回目の大当り遊技状態の終了時点から3回目の大当り遊技状態の開始時点まで確率変動制御と時短制御とが実行され、大当り遊技状態の発生と同時に、確率変動制御及び時短制御の実行が停止されて、3回目の大当り遊技状態が発生される。図93(A)中には、左打ちによって第一特別図柄始動入賞口634への入賞に基づく大当り判定がなされて、「2」の大当り図柄によって3回目の大当り遊技状態の発生が決定された場合を例示している。また、このとき、「2」の非確変図柄で大当りしたため、大当りのセット回数は変更されずに大当りセットカウンタは1減算されて「0」となり、大当り遊技状態が計3セットで終了する。
次に、図93(B)に示すように、通常遊技状態での左打ちによって第一特別図柄始動入賞口634への入賞に基づく「3」の大当り図柄での大当り判定がなされると、初当り時となる1回目の大当り遊技状態として大入賞口装置648の開閉板648bが10回繰り返して開放される。そして、このような「3」の確変図柄の大当り図柄での初当りによって3セットの大当り遊技状態が発生される(大当りセットカウンタに「3」がセットされる)。大当り遊技状態の終了後(この時点で大当りセットカウンタは1減算されて「2」となる)は確率変動制御と時短制御とが実行され、これに伴って遊技者は、第二特別図柄始動入賞口642への入賞を狙うべく右打ちでの遊技が遊技球を殆ど減らすことなく行えるようになる。その後、遊技者の意志に基づいて右打ちを行うことなく左打ちによって第一特別図柄始動入賞口634への入賞に基づく大当り判定がなされると、次回(2回目)の大当り遊技状態の発生と同時に、一旦、確率変動制御及び時短制御の実行が停止される。図93(B)中には、「8」の大当り図柄によって2回目の大当り遊技状態の発生が決定された場合を例示している。また、このとき、「8」の非確変図柄で大当りしたため、大当りのセット回数は変更されずに、大当りセットカウンタは1減算されて「1」となる。
その後は、同様に、2回目の大当り遊技状態の終了時点から3回目の大当り遊技状態の開始時点まで確率変動制御と時短制御とが実行され、大当り遊技状態の発生と同時に、確率変動制御及び時短制御の実行が停止されて、3回目の大当り遊技状態が発生される。図93(B)中には、左打ちによって第一特別図柄始動入賞口634への入賞に基づく大当り判定がなされて、「7」の大当り図柄によって3回目の大当り遊技状態の発生が決定された場合を例示している。また、このとき、「7」の確変図柄で大当りしたため、この時点で大当りのセット回数が3セットに変更される(大当りセットカウンタが「3」に変更される)。
そして、3回目の大当り遊技状態の終了時点(この時点で大当りセットカウンタは1減算されて「2」となる)から4回目の大当り遊技状態の開始時点まで確率変動制御と時短制御とが実行され、大当り遊技状態の発生と同時に、確率変動制御及び時短制御の実行が停止されて、4回目の大当り遊技状態が発生される。図93(B)中には、「4」の大当り図柄によって4回目の大当り遊技状態の発生が決定された場合を例示している。また、このとき、「4」の非確変図柄で大当りしたため、大当りのセット回数は変更されずに、大当りセットカウンタは1減算されて「1」となる。
その後は、同様に、4回目の大当り遊技状態の終了時点から5回目の大当り遊技状態の開始時点まで確率変動制御と時短制御とが実行され、大当り遊技状態の発生と同時に、確率変動制御及び時短制御の実行が停止されて、5回目の大当り遊技状態が発生される。図93(B)中には、左打ちによって第一特別図柄始動入賞口634への入賞に基づく大当り判定がなされて、「6」の大当り図柄によって5回目の大当り遊技状態の発生が決定された場合を例示している。また、このとき、「6」の非確変図柄で大当りしたため、大当りのセット回数は変更されずに大当りセットカウンタは1減算されて「0」となり、大当り遊技状態が計5セットで終了する。
次に、図94に示すように、通常遊技状態での左打ちによって第一特別図柄始動入賞口634への入賞に基づく「3」の大当り図柄での大当り判定がなされると、初当り時となる1回目の大当り遊技状態として大入賞口装置648の開閉板648bが10回繰り返して開放される。そして、このような「3」の確変図柄の大当り図柄での初当りによって3セットの大当り遊技状態が発生される(大当りセットカウンタに「3」がセットされる)。大当り遊技状態の終了後(この時点で大当りセットカウンタは1減算されて「2」となる)は確率変動制御と時短制御とが実行され、これに伴って遊技者は、第二特別図柄始動入賞口642への入賞を狙うべく右打ちでの遊技が遊技球を殆ど減らすことなく行えるようになる。その後、遊技者の意志に基づいて右打ちを行い第二特別図柄始動入賞口642への入賞に基づく大当り判定がなされると、次回(2回目)の大当り遊技状態の発生と同時に、一旦、確率変動制御及び時短制御の実行が停止される。図94中には、「7」の大当り図柄によって2回目の大当り遊技状態の発生が決定された場合を例示している。また、このとき、「7」の確変図柄で大当りしたため、この時点で大当りのセット回数が4セットに変更される(大当りセットカウンタが「4」に変更される)。
その後は、同様に、2回目の大当り遊技状態の終了時点から3回目の大当り遊技状態の開始時点まで確率変動制御と時短制御とが実行され、大当り遊技状態の発生と同時に、確率変動制御及び時短制御の実行が停止されて、3回目の大当り遊技状態が発生される。図94中には、右打ちによって第二特別図柄始動入賞口642への入賞に基づく大当り判定がなされて、「2」の大当り図柄によって3回目の大当り遊技状態の発生が決定された場合を例示している。また、このとき、「2」の非確変図柄で大当りしたため、大当りのセット回数は変更されずに、大当りセットカウンタは1減算されて「3」となる。
そして、3回目の大当り遊技状態の終了時点(この時点で大当りセットカウンタは1減算されて「2」となる)から4回目の大当り遊技状態の開始時点まで確率変動制御と時短制御とが実行され、大当り遊技状態の発生と同時に、確率変動制御及び時短制御の実行が停止されて、4回目の大当り遊技状態が発生される。図94中には、右打ちによって第二特別図柄始動入賞口642への入賞に基づく大当り判定がなされて、「8」の大当り図柄によって4回目の大当り遊技状態の発生が決定された場合を例示している。また、このとき、「4」の非確変図柄で大当りしたため、大当りのセット回数は変更されずに、大当りセットカウンタは1減算されて「1」となる。その後は、同様に、4回目の大当り遊技状態の終了時点から5回目の大当り遊技状態の開始時点まで確率変動制御と時短制御とが実行され、大当り遊技状態の発生と同時に、確率変動制御及び時短制御の実行が停止されて、5回目の大当り遊技状態が発生される。図94中には、右打ちによって第二特別図柄始動入賞口642への入賞に基づく大当り判定がなされて、「4」の大当り図柄によって5回目の大当り遊技状態の発生が決定された場合を例示している。また、このとき、「4」の非確変図柄で大当りしたため、大当りのセット回数は変更されずに大当りセットカウンタは1減算されて「0」となり、大当り遊技状態が計5セットで終了する。
次に、図95に示すように、通常遊技状態での左打ちによって第一特別図柄始動入賞口634への入賞に基づく「3」の大当り図柄での大当り判定がなされると、初当り時となる1回目の大当り遊技状態として大入賞口装置648の開閉板648bが10回繰り返して開放される。そして、このような「3」の確変図柄の大当り図柄での初当りによって3セットの大当り遊技状態が発生される(大当りセットカウンタに「3」がセットされる)。大当り遊技状態の終了後(この時点で大当りセットカウンタは1減算されて「2」となる)は確率変動制御と時短制御とが実行され、これに伴って遊技者は、第二特別図柄始動入賞口642への入賞を狙うべく右打ちでの遊技が遊技球を殆ど減らすことなく行えるようになる。その後、遊技者の意志に基づいて右打ちを行い第二特別図柄始動入賞口642への入賞に基づく大当り判定がなされると、次回(2回目)の大当り遊技状態の発生と同時に、一旦、確率変動制御及び時短制御の実行が停止される。図95中には、「7」の大当り図柄によって2回目の大当り遊技状態の発生が決定された場合を例示している。また、このとき、「7」の確変図柄で大当りしたため、この時点で大当りのセット回数が4セットに変更される(大当りセットカウンタが「4」に変更される)。
その後は、同様に、2回目の大当り遊技状態の終了時点から3回目の大当り遊技状態の開始時点まで確率変動制御と時短制御とが実行され、大当り遊技状態の発生と同時に、確率変動制御及び時短制御の実行が停止されて、3回目の大当り遊技状態が発生される。図95中には、右打ちによって第二特別図柄始動入賞口642への入賞に基づく大当り判定がなされて、「1」の大当り図柄によって3回目の大当り遊技状態の発生が決定された場合を例示している。また、このとき、「1」の非確変図柄で大当りしたため、この時点で大当りのセット回数が2セットに変更される(大当りセットカウンタが「2」に変更される)。即ち、2回目の大当り遊技状態を決定する大当り判定時点(「7」の確変図柄での大当り時点)では、当該大当り判定に伴って発生する大当り遊技状態を含めて残り4回の連続大当りが決定されていたが、3回目の大当り遊技状態を決定する大当り判定(「1」の確変図柄での大当り)に基づいて、当該大当り判定に伴って発生する大当り遊技状態を含めて残り2回の連続大当りに変更される。
そして、3回目の大当り遊技状態の終了時点(この時点で大当りセットカウンタは1減算されて「1」となる)から4回目の大当り遊技状態の開始時点まで確率変動制御と時短制御とが実行され、大当り遊技状態の発生と同時に、確率変動制御及び時短制御の実行が停止されて、4回目の大当り遊技状態が発生される。図95中には、右打ちによって第二特別図柄始動入賞口642への入賞に基づく大当り判定がなされて、「6」の大当り図柄によって4回目の大当り遊技状態の発生が決定された場合を例示している。また、このとき、「6」の非確変図柄で大当りしたため、大当りのセット回数は変更されずに大当りセットカウンタは1減算されて「0」となり、大当り遊技状態が計4セットで終了する。
ところで、以上説明したように、本実施形態では、初当りにおける大当り図柄の種類によって、大当り遊技状態のセット回数を複数種類の中から選択するようになっている。このため、大当りを決定する図柄の種類に対する遊技者の期待感を異ならせることで、遊技の興趣低下を抑制するようになっている。また、初当りにおける大当り図柄の種類によってセット回数が決定した場合でも、その後の高確率状態での大当り図柄の種類に応じて大当り遊技状態の繰り返し回数(連続大当り回数)が変更可能となっているので、高確率状態での遊技の興趣低下を抑制することができる。具体的には、確率変動制御中の遊技内容としては、第二特別図柄始動入賞口642への入賞を狙うべく右打ちを行った場合、前記図94に示したように、初当りで大当りのセット回数が3回に決定された後に、2回目の大当り判定(確変大当りの判定)で大当りのセット回数が4回に変更されることで、トータル5セットの大当りが発生することもあれば、前記図95に示したように、初当りで大当りのセット回数が3回に決定された後に、2回目の大当り判定(確変大当りの判定)で大当りのセット回数が4回に変更され、この時点で連続大当りの継続回数が5回となったにも拘わらず、3回目の大当り判定(確変大当りの判定)で大当りのセット回数が2回に変更されることで、トータル4セットの大当りで終了してしまうこともあるため、ハイリスクハイリターンとなってよりスリルの高い遊技内容となる。
これに対して、確率変動制御及び時短制御中に第一特別図柄始動入賞口634への入賞を狙うべく左打ちを行う場合では、前記図93(B)に示したように、初当りで大当りのセット回数が3回に決定された後に、3回目の大当り判定(確変大当りの判定)で大当りのセット回数が3回に変更されることで、トータル6セットの大当りが発生するように、確変大当りが判定されたときには確実に大当りのセット回数が3回に変更されることとなり、確率変動制御及び時短制御中に第二特別図柄始動入賞口642への入賞を狙うべく右打ちを行う場合に比べて堅実な遊技内容となる。
以上のように、本実施形態の構成によれば、通常遊技状態において、当落判定手段により当選判定(大当り判定)がなされると、当該当選判定に基づいて利益付与状態の回数を複数種類の中から決定する。即ち、初当り時に大当りのセット回数(連続大当り回数)を決定する。また、このような大当り判定時には、利益対応表示制御手段の制御に基づき、利益付与回数決定手段によって決定された利益付与状態の回数に応じた種類の特定表示結果が図柄表示手段に表示される。これにより、遊技者は、通常遊技状態で大当りとなった場合、図柄情報の特定表示結果の種類によって、その後、利益付与状態が何回まで繰り返されるかを認識できる。このため、通常遊技状態で大当りが決定する際の図柄情報の特定表示結果の種類に対して遊技者の期待感を異ならせることができ、ひいては通常遊技状態における遊技の興趣低下を抑制することができる。
一方、高確率状態において、第一の始動入賞口又は第二の始動入賞口への入賞に基づいて大当り判定(当落判定手段による当選判定)がなされると共に特定条件が成立すると、当該当選判定に基づいて利益付与状態の回数を複数種類の中から決定して、決定した利益付与状態の回数に変更する。また、このような大当り判定時には、通常遊技状態のときと同様に、利益対応表示制御手段の制御に基づき、利益付与回数決定手段によって決定された利益付与状態の回数に応じた種類の特定表示結果が図柄表示手段に表示されるので、遊技者は、図柄情報の特定表示結果の種類によって変更される利益付与状態の回数を認識できる。このため、高確率状態で大当りが決定する際の図柄情報の特定表示結果の種類に対して遊技者の期待感を異ならせることができ、ひいては高確率状態における遊技の興趣低下を抑制することができる。
また、この構成によれば、高確率状態中、遊技者の意思に基づいて、第一の始動入賞口への入賞に基づく大当り判定を選択すべく第一の打込領域に遊技球を打ち込むか、あるいは第二の始動入賞口への入賞に基づく大当り判定を選択すべく第二の打込領域に遊技球を打ち込むかの打ち分けを行うことができる。即ち、第一の始動入賞口への入賞に基づく大当り判定では、変更される利益付与状態の回数が一律に決定されるのに対して、第二の始動入賞口への入賞に基づく大当り判定では、第一の始動入賞口への入賞に基づく利益付与状態の一律の回数に比べて多い回数と少ない回数とを含む複数種類の中から変更される利益付与状態の回数が選択決定されることになる。このため、遊技者は、高確率状態において、意図的に遊技球の打ち分けを行うことで、所定数の賞球を堅実に獲得したい場合と、獲得できる賞球数の増減に対するスリルを味わいたい場合と、を選択することができる。具体的に、第一の始動入賞口への入賞を狙う第一の打込領域への遊技球の打ち込みを行う場合は、一律の回数で利益付与状態を発生させることができるので、所定数の賞球を堅実に獲得することができる。一方、第二の始動入賞口への入賞を狙う第二の打込領域への遊技球の打ち込みを行う場合は、一律の回数に比べて利益付与状態の発生回数が多くなり獲得できる賞球を所定数よりも増やすことができる反面、一律の回数に比べて利益付与状態の発生回数が少なくなり獲得できる賞球が所定数よりも減ってしまうことになり、賞球数の増減に対するスリルを味わうことができる。そして、このような第一又は第二の始動入賞口への意図的な遊技球の打ち分けによって、高確率状態における遊技性の低下を抑制することができる。
また、利益付与状態の連続回数が予め定めた上限回数に到達すると、利益付与回数変更手段による利益付与状態の回数の変更を強制的に制御して利益付与状態の連続回数が上限回数を越えないように制限する連続回数制限手段を備える。この場合、遊技者は、その上限回数に達するように利益付与状態が繰り返し行われることを目標として遊技を行うことができ、遊技の興趣低下を抑制することができる。
また、連続利益付与状態制御手段により制御される利益付与状態の回数のうち未だ利益付与状態制御手段によって制御されていない利益付与状態の回数を遊技者に認識させる表示を行う残回数表示手段を備える。この場合、初当りによって大当りのセット回数(連続大当り回数)が決定された後、利益付与状態の制御が実行される毎に残りのセット回数を遊技者に認識させることができる。さらには、高確率状態中に大当りのセット回数が変更されるような場合には、その都度、変更された残りのセット回数を遊技者に認識させることができるので、遊技者に対して残りのセット回数を明確に認識させた上で安心して遊技を行わせることができる。
また、残回数表示手段は、図柄表示手段から構成される。この場合、当落判定手段の当選判定を遊技者が判別できる態様で図柄情報の表示結果を表示する図柄表示手段で残りの大当りのセット回数を遊技者に認識させる表示を合わせて行うことで、遊技者が最も注目する図柄表示手段で残りの大当りのセット回数に関わる表示ができる。このため、遊技者に対して残りの大当りのセット回数を確実に認識させることができる。
また、入賞検出手段は、第一の始動入賞口に入賞した遊技球を検出する第一の入賞検出手段と、第二の始動入賞口に入賞した遊技球を検出する第二の入賞検出手段と、を含み、第一の入賞検出手段及び第二の入賞検出手段による遊技球の検出に基づいて乱数を取得する乱数取得手段と、第一の入賞検出手段による遊技球の検出に基づき乱数取得手段によって取得された乱数値を第一の始動記憶データとして予め定められた上限数まで記憶する第一の始動記憶手段と、第二の入賞検出手段による遊技球の検出に基づき乱数取得手段によって取得された乱数値を第二の始動記憶データとして予め定められた上限数まで記憶する第二の始動記憶手段と、を備える。この場合、所定条件の成立判定の契機となる第一及び第二の始動入賞口への入賞に対して、それぞれ予め定められた上限数まで始動記憶データとして記憶することができるので、始動入賞に伴う図柄情報の変動表示中に始動入賞がある場合でも、当該始動入賞を無効とすることがないので、遊技者に対して継続的に遊技球の打ち込みを行わせることができる。
また、第二の始動入賞口は、当該第二の始動入賞口への遊技球の受け入れを困難にする閉鎖位置と遊技球の受け入れを可能にする開放位置との間で移行可能に設けられる開閉片を備え、第二の打込領域に配置されると共に遊技球の通過検出に基づいて開閉片を閉鎖位置から開放位置に移行する通過球検出手段を備える。この場合、通過球検出手段によって遊技球の通過検出があることを条件に、第二の始動入賞口を遊技球の受け入れ困難な閉鎖状態から遊技球の受け入れ可能な開放状態に移行する構成にできるので、遊技領域内での遊技球の球流れに対する興趣の低減を抑制することができる。
また、通過球検出手段による遊技球の通過検出に基づいて乱数を抽出する乱数抽出手段と、該乱数抽出手段によって抽出された乱数値に基づいて開閉片を閉鎖位置から開放位置に移行するか否かの判定を行う開放判定手段と、該開放判定手段により開放位置に移行する判定がなされたことに基づいて始動入賞口を所定期間で開放制御する開放制御手段と、を備える。この場合、通過球検出手段によって遊技球の通過検出があると必ず第二の始動入賞口を開放するのではなく、通過球検出手段による遊技球の通過検出に基づいて抽選を行い、その抽選結果が当りとなったときにのみ第二の始動入賞口を開放する構成にできる。
また、高確率状態制御手段は、開放判定手段により開放状態に移行する判定割合が通常時に比べて高い遊技状態に制御する高確率判定制御手段を含む。この場合、当落判定手段において当選判定がなされて高確率状態に制御する場合、利益付与状態制御手段による利益付与状態の終了後に、開放判定手段により第二の始動入賞口の開閉片を開放位置に移行する判定割合が通常時に比べて高い遊技状態(高確率状態)に制御して第二の始動入賞口への入賞割合を大幅に高めることで、次回の利益付与状態の発生を通常時に比べて容易にする構成にできる。
また、利益付与状態制御手段により利益付与状態に制御されたときに、閉鎖状態から開放状態に移行して大量の遊技球が入賞し得る大入賞口を有する大入賞口装置を備える。この場合、大入賞口への入賞に伴って大量の賞球を遊技者に払い出すことを利益付与状態として遊技者に付与することができる。
また、大入賞口装置は、利益付与状態制御手段により利益付与状態に制御されたときに、所定時間経過するまであるいは所定個数の入賞があるまで開放状態に維持され、所定時間の経過又は所定個数の入賞があると一旦閉鎖され、このような開放から閉鎖までを1サイクルとした開閉サイクルが所定回数まで繰り返される。この場合、大入賞口の1回の開放から閉鎖までを1サイクルとしてこのような開閉サイクルを所定回数まで繰り返し行う構成を利益付与状態とすることで、遊技者が大量の賞球を獲得し得る利益付与状態を継続的な遊技状態とすることができる。