JP5338254B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、変圧器の鉄心材料等の用途に供して好適な方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
方向性電磁鋼板については、インヒビターと呼ばれる析出物を使用して、最終仕上焼鈍中にゴス(Goss)方位を有する粒を優先的に二次再結晶させることが一般的な技術として知られている。例えば、特許文献1は、AlN、MnSをインヒビターとして使用する方法が、特許文献2はMnS、MnSeをインヒビターとして使用する方法が示され、それぞれ工業的に実用化されている。
さらに、これらのインヒビターの働きを強化することを目的として、特許文献3には、Pb、Sb、Nb、Teを利用する方法が、特許文献4には、Zr、Ti、B、Nb、Ta、V、Cr、Moを利用する方法が開示されている。
インヒビターを用いる方法は、安定して二次再結晶粒を発達させるのに有効な方法ではあるが、インヒビターを鋼中に微細分散させるために、1300℃以上の高温でのスラブ加熱が必要である。さらに、インヒビターは、二次再結晶後に磁気特性を劣化させる原因となるため、インヒビターを除去する純化焼鈍工程が必要であり、その工程は、1100℃以上の高温で、しかもその焼鈍雰囲気を制御する必要がある。
一方、インヒビター成分を含まない成分系を用いて方向性電磁鋼板を製造する方法が、特許文献5に提案されている。この方法は、インヒビター成分を極力排除し、一次再結晶時の結晶粒界が持つ粒界エネルギーの粒界方位差角依存性を顕在化させることにより、インヒビターを用いることなく、ゴス方位を有する粒を二次再結晶させる技術であり、その効果をテクスチャーインヒビション効果と呼んでいる。上記特許文献5の方法では、インヒビターを純化する工程が不要のため、最終仕上げ焼鈍を高温化する必要がない。さらに、インヒビターを鋼中に微細分散させる必要がないため、高温スラブ加熱も必要としないことなど、製造のコスト面でも設備のメンテナンス面でも大きなメリットを有する方法である。
特公昭40-15644号公報 特公昭51-13469号公報 特公昭38-8214号公報 特公昭52-24116号公報 特開2000-129356号公報
しかしながら、特許文献5に示されるような、インヒビターを含まない成分系においては、粒成長を抑制する析出物が少ないため、焼鈍時の粒成長で粒径が大きくなりやすく、焼鈍温度依存性が強い。このため、若干の工程条件変動、具体的には焼鈍温度のばらつきで、熱延板焼鈍後や再結晶焼鈍後の粒径も変動し、製品コイルの全長全幅での磁気特性が変動し、コイル全体として良好な磁気特性が得られない、という問題が顕在化するようになった。
本発明は、以上の問題を有利に解決するもので、製品磁気特性の高位安定を図ることができる方向性電磁鋼板の製造方法を提案するものである。
さて、発明者らは、上述の問題を解決すべく、粒径制御に影響があると思われる元素を中心に鋭意検討を重ねた結果、AlとNの比を所定の範囲に規制した上で、特定の元素を微量添加することにより、良好かつ安定的な磁気特性を得ることが可能であることを見出した。以下、本発明を成功に至らしめた実験について説明する。
なお、以下、%表示については、特に断らない限り質量%を意味するものとする。
(実験1)
C:0.012〜0.073%、Si:3.15〜3.33%、Mn:0.06〜0.09%、Cr:0.02〜0.06%、Sb:0.018〜0.045%、Al:35〜100ppm、N:14〜70ppm、S:11〜25ppmおよびNb:20〜50ppmを有し、残部Feおよび不可避的不純物の組成になる鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1250℃でスラブ加熱後、熱間圧延により2.3mm厚さの熱延板とした。次に、1050℃で15秒の熱延板焼鈍を施した後、冷間圧延により0.23mmの板厚に仕上げた。さらに、均熱条件が850℃で60秒の再結晶焼鈍を施した後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布してから、1200℃に10時間保定する仕上げ焼鈍を行った。最後に、リン酸マグネシウムとホウ酸を主体とする張力付与コーティングの形成を兼ねた平坦化焼鈍を900℃で15秒間施し、方向性電磁鋼板を作製した。
得られたサンプルの磁束密度BをJIS C2550の方法に準拠して測定した。得られた磁束密度は、一見ばらついているように見えたが、鋼スラブ成分のAlとNの比で整理すると極めて良い相関が得られた。
その結果を図1に示す。
同図に示したとおり、Al/Nが小さいと磁束密度が低下する傾向にあり、特にAl/N<1.4においては、ばらつきも大きくなることが分かる。また、1.4≦Al/N<2の範囲では、磁束密度は安定しているものの、若干低下する傾向が認められる。
そこで、Al/Nが磁束密度と相関を有する理由について検討した。その結果、上述の実験1において、Al/N=2付近での磁束密度の変化より、上記サンプル鋼板中に存在しているAlとNがAlNを形成(Al/Nは質量比で27/14≒1.93)しており、この窒素化合物の挙動が関与しているものと推定した。この推定を追求するため、さらに窒化物形成元素を種々加えた実験を行った。
(実験2)
C:0.045〜0.062%、Si:3.20〜3.31%、Mn:0.04〜0.16%、Cr:0.03〜0.11%、Sb:0.015〜0.037%、Mo:0.03〜0.05%、Al:55〜97ppm、N:20〜49ppm、Al/N:1.98〜3.10およびS:17〜27ppmを含み、さらにZr、Ti、B、Ta、NbおよびVを各々約50ppm含有させ、残部Feおよび不可避的不純物になる鋼スラブとこれら微量元素(Zr、Ti、B、Ta、NbおよびV)を含有させない鋼スラブとを、それぞれ連続鋳造にて製造し、1250℃でスラブ加熱後、熱間圧延により2.2mm厚さの熱延板とした。ついで、1100℃で60秒の熱延板焼鈍を施した後、冷間圧延により0.23mmの板厚に仕上げた。さらに、均熱条件が840℃で80秒の再結晶焼鈍を施した後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布してから、1200℃に10時間保定する仕上げ焼鈍を行った。最後に、リン酸マグネシウムとホウ酸を主体とする張力付与コーティングの形成を兼ねた平坦化焼鈍を900℃で15秒間施し、方向性電磁鋼板を作製した。
得られたサンプルの磁束密度BをJIS C2550の方法に準拠して測定した。
その結果を図2に示す。
同図に示したとおり、添加したZr、Ti、B、Ta、NbおよびVの種類により、得られる磁束密度は大きく異なることが分かる。すなわち、ZrおよびTiを添加したサンプルは、磁束密度が低く、二次再結晶が発現していなかった。これに対し、B、Ta、NbおよびVを添加した場合は、添加しない場合と比較して、磁束密度が高くなっていることが明らかとなった。
このように、B、Ta、NbおよびVを添加することによって磁気特性が向上する理由は、必ずしも明らかになっていないが、発明者らは、以下のように考えている。
添加物や不純物における窒化物の熱力学的安定性は、詳細に調べられており、窒素に結合している元素によって、その安定性が異なることが分かっている。前述の実験において、添加した元素の窒化物の安定性は、安定な方からZr、Ti、Al、Ta、B、NbおよびVである。
磁束密度が低かったZrおよびTiは、その窒化物がAlの窒化物より安定であるのに対して、磁束密度が高かったB、Ta、NbおよびVは、窒化物がAlの窒化物より不安定である。これは、ZrおよびTiを含んだ鋼板は、AlNより安定したZrNやTiNが形成されており、その形成したZrNやTiNが磁気特性を低下させているという可能性を示唆している。
さらに、実験1において、Al/Nが低い場合、Nbの存在下においても磁束密度が低かった。これは、Al/Nが低いため、化学量論的にAlに対しNが過剰となり、Nbが過剰なNと結合して窒化物を形成したことが原因と考えられる。
以上の考察より、微量元素の窒化物の増加は、鋼板中の結晶粒の粒界エネルギー差を駆動力としたテクスチャーインヒビション効果を、薄れさせてしまうものと推定される。
一方、Ta、B、NbおよびVを添加した場合は、AlNが優先的に形成されるため、Ta、B、NbおよびVの窒化物は形成されない。また、B、Ta、NbおよびVが鋼板中に存在すると、再結晶焼鈍後の結晶粒径は細かく、かつ均一になることも判明した。
このように、微量元素(但しAlを除く)の窒化物の形成がないこと、および微量元素の存在により実現される結晶粒径の均一性が、粒径のサイズの影響を受けることなくテクスチャーインヒビション効果を発揮し、その結果、磁束密度の向上につながったと推定している。つまり、この微量元素の効果により、従来のインヒビター含まない成分系の問題点である、同一サンプル内の磁気特性のばらつきが改善されるものと考えられる。
以上のような、実験、考察を経て、発明者らは、インヒビターを含まない成分系に方向性電磁鋼板中に存在するAlとNの比を規制し、加えて、Ta、B、NbおよびVを微量添加することにより、良好な磁気特性が得られるとの結論に至った。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)質量%で、C:0.10%以下、Si:2.0〜8.0%およびMn:0.005〜1.0%を含有し、Alを100ppm以下、かつN、SおよびSeを各々50ppm以下とし、さらにNが27ppm以上であって、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラブを、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、ついで再結晶焼鈍を施した後、仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
上記スラブ中に含有されるAl量とN量の比を質量比で1.4以上にすると共に、上記スラブ中にさらに、B、Ta、NbおよびVのうちから選んだ1種または2種以上を合計で10〜150ppm含有させることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
(2)前記スラブ中に、さらに、Ni:0.010〜1.50%、Cr:0.01〜0.50%、Cu:0.01〜0.50%、P:0.005〜0.50%、Sn:0.005〜0.50%、Sb:0.005〜0.50%、Bi:0.005〜0. 50%およびMo:0.005〜0. 10%のうちから選んだ少なくとも1種を含有することを特徴とする上記(1)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、インヒビターを実質的に含まない成分系において、高位安定な磁気特性を有する方向性電磁鋼板を得ることができる。
次に、本発明の構成要件における限定理由について述べる。
C:0.10%以下
C量が0.10%を超えると、脱炭処理を行っても磁気時効の起こらない50ppm以下に低減することが困難になる。従って、Cは少ないほうが望ましいが、0.10%までは許容できる。
Si:2.0〜8.0%
Siは、鋼の比抵抗を高め、鉄損を改善するために必要な元素であるが、2.0%未満ではその効果に乏しく、一方、8.0%を超えると加工性が劣化し、圧延が困難となるため、Si量は2.0〜8.0%とする。
Mn:0.005〜1.0%
Mnは、熱間加工性を良好にするために必要な元素であるが、0.005%未満ではその効果に乏しく、一方1.0%を超えると製品板の磁束密度が低下するため、Mn量は0.005〜1.0%とする。
本発明において、Al量は、100ppm以下、かつN、SおよびSeの量については、それぞれ50ppm以下にすることが鋼板を良好に二次再結晶させる上で必須である。かかる成分は、極力低減することが磁気特性の観点からは望ましいが、これらの成分の低減は、コスト高となるため、上記範囲内で残存させても問題はない。
なお、上述した元素のうちAlは80ppm以下、Seは20ppm以下とすることがさらに望ましい。また、N、Sの軽元素は、鋼スラブ作製前の成分調整時に完全に除去することは困難であり、特殊な処理を行わない場合は、各々20ppmほど鋼板中に残存している。
これら元素の中でも、AlとNの比を1.4以上とすることが、前述した理由により必須であり、特に、AlとNの比が2以上の場合には、磁気特性がさらに向上するのでより好ましい。また、上述のとおり、Nは完全に除去することが困難であるため、Al/N≧1.4を満たすために、Alを100ppm以下の範囲で添加することも妨げない。
さらに、本発明における磁気特性向上の効果を十分に得るためには、Ti、Nb、BおよびVを10ppm以上添加することが必要である。
各々添加量が10ppm未満では添加効果が少ない。また、好ましくは、各々20ppm以上であり、より好ましくは50ppm以上である。
ただし、これらの微量添加元素は、最終製品においても地鉄中に残存し、鉄損を劣化させる原因となることから、その総量は150ppm以下に制限される。なお、鉄損の劣化抑制の観点からは、総量で100ppm以下とすることが望ましい。
以上、必須元素および抑制元素について説明したが、本発明には、その他にも磁気特性の改善元素として、次に述べる元素を適宜含有させることができる。
Ni:0.01〜1.50%
熱延板組織を改善して磁気特性を向上させるためにNiを添加することができる。添加量が0.01%未満であると添加効果が少なく、一方1.50%を超えると二次再結晶が不安定になり磁気特性が低下する。
Cr:0.01〜0.50%、Cu:0.01〜0.50%、P:0.005〜0.50%
これらの元素は、いずれも鉄損の改善に有用な元素であるが、それぞれ下限に満たないと、その添加効果に乏しく、一方上限を超えると二次再結晶粒の発達が抑制され、むしろ磁気特性の劣化を招く。
Sn:0.005〜0.50%、Sb:0.005〜0.50%、Bi:0.005〜0. 50 %、Mo:0.005〜0. 10%
これらの元素も磁気特性の向上に有用な元素であるが、それぞれ下限に満たないと、その添加効果に乏しく、一方上限を超えると二次再結晶粒の発達が抑制され、むしろ磁気特性の劣化を招く。
次に、本発明の製造工程について説明する。
上記成分の好適組成に調整した溶鋼を、通常の造塊法や連続鋳造法でスラブとする。また、直接鋳造法で100mm以下の厚さの薄鋳片としてもよい。スラブの場合は、通常の方法で加熱して熱間圧延するが、鋳造後加熱せずに直ちに熱間圧延してもよい。薄鋳片の場合は、熱間圧延しても良いし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に供してもよい。
熱間圧延前のスラブ加熱温度は、Al、N、SおよびSeを低減化したインヒビター成分を実質的に含まないスラブであるため、従来必須であったインヒビターを固溶させるための高温焼鈍を必要とせず、1250℃以下の低温とすることができ、コストの面で望ましい。
ついで、必要に応じて熱延板焼鈍を施す。良好な磁気特性を得るための熱延板焼鈍温度は800〜1150℃が好適である。熱延板焼鈍温度が800℃未満であると熱延でのバンド組織が残留し、整粒した一次再結晶組織を実現することが困難となり二次再結晶の発達が阻害される。一方、熱延板焼鈍温度が1150℃を超えると、熱延板焼鈍後の粒径が粗大化しすぎるため、整粒した一次再結晶組織を実現する上で極めて不利となる。
熱延板焼鈍後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施した後、再結晶焼鈍を行うが、その冷間圧延の温度を100℃〜300℃に上昇させて行うこと、およびその冷間圧延の途中で100〜300℃の時効処理を1回または複数回行うことは、磁気特性を向上させる上で有利である。
再結晶焼鈍は、脱炭を必要とする場合、雰囲気を湿潤雰囲気とするが、脱炭を必要としない場合は、乾燥雰囲気で行っても良い。再結晶焼鈍後は、侵珪法によってSi量を増加させる技術を併用しても良い。
その後、鉄損を重視してフォルステライト被膜を形成させる場合には、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布した後に、仕上げ焼鈍を施すことにより、二次再結晶組織を発達させるとともに、フォルステライト被膜を形成させることが可能である。
打ち抜き加工性を重視してフォルステライト被膜を形成させない場合には、焼鈍分離剤を使用しないか、使用するにしても、フォルステライト被膜を形成を阻害するシリカやアルミナ等を主成分として使用する。上記の焼鈍分離剤を塗布する際には、水分を持ち込まない静電塗布を行うことなどが有効であり、耐熱無機材料シート(シリカ、アルミナ、マイカ)を用いても良い。
仕上げ焼鈍は、二次再結晶の発現のために800℃以上で行うことが望ましい。また、二次再結晶を完了させるためには、800℃以上の温度に20時間以上保持させることが望ましい。
打ち抜き性を重視してフォルステライト被膜を形成させない場合には、二次再結晶が完了すればよいので、保持温度は850〜950℃が望ましく、保持の段階で仕上げ焼鈍を終了することも可能である。
鉄損を重視する場合やトランスの騒音を低下させるためにフォルステライト被膜を形成させる場合には、1200℃程度まで昇温させることが望ましい。
仕上げ焼鈍後には、付着した未反応の焼鈍分離剤を除去するため、水洗やブラッシング、酸洗等を行う。その後、平坦化焼鈍を行い形状を矯正することが、鉄損低減のために有効である。
鋼板を積層して使用する場合には、平坦化焼鈍前または後に、鉄損を改善する目的で、鋼板表面に絶縁コーティングを施すことが有効である。この絶縁コーティングは、鉄損低減のために、鋼板に張力を付与できるコーティングとすることが望ましく、バインダーを介した張力コーティング塗布方法や物理蒸着法、化学蒸着法によって、無機物を鋼板表面に蒸着させたコーティング方法を採用すると、優れたコーティング膜の密着性および鉄損低減効果が得られる。
<実施例1>
C:0.018〜0.023%、Si:3.20〜3.40%、Mn:0.10〜0.15%、Cr:0.03〜0.05%、Al:30〜140ppmおよびN:29〜50ppmを含み、表1記載のAl/N比を有し、さらに表1記載のNb量を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、連続鋳造にて製造した。ついで1200℃でスラブ加熱し、熱間圧延により板厚2.2mm厚さの熱延板とした。次に、1060℃で40秒の熱延板焼鈍を施し、1回の冷間圧延により板厚0.23mmの厚さに仕上げた。さらに、均熱条件が850℃で100秒の再結晶焼鈍を施したのち、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布してから、900℃に50時間保定して二次再結晶させたのち、1200℃に10時間保定してフォルステライト被膜を形成させた。最後に、1200℃で60秒の平坦化焼鈍を施し、その後、化学蒸着法によりTiNを鋼板表面に蒸着させてコーティングとした。
ここで、本実施例での磁気特性測定サンプルの採取および磁気特性の測定を、以下の手順で実施した。
まず、平坦化焼鈍ラインの焼鈍炉出側に設置したインライン鉄損計によって、コイルの全長にわたって鉄損を測定し、コイル長手方向の鉄損プロファイルを取得しておく。次に、TiNコーティング後、上記鉄損プロファイルでの鉄損が高かった部位から、板幅方向に3箇所、およびコイル長手方向の両端部2箇所(幅方向中央)、の計5箇所からサンプルを採取し、磁気特性をJIS C2550の方法に準拠して測定した。
上記5箇所の内、最も磁気特性が悪かったサンプルにおける磁束密度BおよびW17/50を、そのコイルの代表値とし、その値の良否により、コイル全長で優れた磁気特性が得られているか否かの評価をした。
以上の測定評価結果を、表1に併記する。
Figure 0005338254
同表に示したとおり、本発明によれば、インヒビターを含まない成分系において、コイル全長にわたり良好な磁気特性の方向性電磁鋼板を得ることができた。
<実施例2>
表2に示す成分を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを連続鋳造にて製造した。ついで、1250℃でスラブ加熱し、熱間圧延により板厚2.3mm厚さの熱延板とした。次に、1000℃で35秒の熱延板焼鈍を施し、1回目の冷間圧延により板厚0.82mmの鋼板とした。ついで、1000℃で40秒の中間焼鈍を施したのち、2回目の冷間圧延により板厚0.23mmの最終厚さに仕上げた。引き続き、850℃で60秒の再結晶焼鈍を行い、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布し、1250℃で10時間の仕上げ焼鈍を行った。この際10時間の保定のうち後半5時間をAr雰囲気とし、それ以外は水素雰囲気とした。最後にリン酸マグネシウムとほう酸を主体とした張力付与コーティングの形成を兼ねた平坦化焼鈍を900℃で15秒行った。
得られたサンプルの磁気特性を、実施例1と同様な手順に従い、焼鈍後の鋼板について測定および評価をした。
その結果を表2に併記する。
Figure 0005338254
同表に示したとおり、本発明によれば、インヒビターを含まない成分系において、コイル全長にわたり良好な磁気特性の方向性電磁鋼板を得ることができた。
本発明によれば、インヒビターを含まない成分系において、コイル全長・全幅にわたって磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を得ることができ、この方向性電磁鋼板は、強い磁束密度が必要なコイルの鉄心などの用途に供して極めて有効である。
鋼中のAlとNの比Al/Nと磁束密度Bとの関係を示した図である。 鋼中に添加した微量元素の種類と磁束密度Bとの関係を比較して示した図である。

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.10%以下、Si:2.0〜8.0%およびMn:0.005〜1.0%を含有し、Alを100ppm以下、かつN、SおよびSeを各々50ppm以下とし、さらにNが27ppm以上であって、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラブを、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施した後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げ、ついで再結晶焼鈍を施した後、仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
    上記スラブ中に含有されるAl量とN量の比を質量比で1.4以上にすると共に、上記スラブ中にさらに、B、Ta、NbおよびVのうちから選んだ1種または2種以上を合計で10〜150ppm含有させることを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 前記スラブ中に、質量%でさらに、Ni:0.01〜1.50%、Cr:0.01〜0.50%、Cu:0.01〜0.50%、P:0.005〜0.50%、Sn:0.005〜0.50%、Sb:0.005〜0.50%、Bi:0.005〜0. 50%およびMo:0.005〜0. 10%のうちから選んだ少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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