JP5337815B2 - 多アンテナ受信機干渉除去方法及び装置 - Google Patents

多アンテナ受信機干渉除去方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は概して多入力多出力(MIMO)ベースの通信ネットワークに関し、特にはMIMOベースのネットワークにおける信号干渉の除去に関する。
MIMO(多入力及び多出力)は、無線通信に関する最大データレートまたはスループットを向上させるために不可欠な技術である。MIMOベースのシステムにおいて、送信機は、受信機へ情報を送信するための複数のアンテナを有する。各送信アンテナは送信されている信号を表すエネルギーを放射する。受信機もまた、送信された信号を受信するための複数のアンテナを有する。各アンテナで受信された信号は、複数の送信アンテナの異なる1つからの寄与を有する。異なる送信アンテナが異なる情報を送信するマルチレイヤ伝送の場合において、送信機へのチャネルに関するフィードバック情報がない場合、受信機は異なる送信アンテナ信号成分を分離しようとするであろう。
MIMOベースの受信機は、同一のアンテナで受信した信号を、各送信アンテナから送信された個々の独立した信号ストリームに分離する。信号分離処理に関し、アンテナダイバーシチゲインを抽出できるかもしれないMLD(最大尤度検出)が、最良の性能を与える。MLDは、複数の受信信号からの変調信号の可能性のある全ての組み合わせについての二乗ユークリッド距離に基づいてメトリックを算出し、最大尤度(複数のストリームに亘る変調信号の組み合わせに対応するメトリックの合計の最大値)を示す変調信号の組み合わせを選択する。MLDに関する複雑さは、変調次数または送信アンテナ数の関数として指数関数的に増加するため、高度な無線通信ネットワークに対しては一層非現実的になっている。
MLDに基づいて複数の信号ストリームを分離するための1つの従前の方法は、QR分解とMアルゴリズムの組み合わせ(QRM-MLD)を伴う。QRM-MLDはMLDと同様の性能を得ながら、MLDと比較して信号処理量を削減する。QR分解は、全ての信号伝播経路に関連付けられた合成チャネル行列の、ユニタリ行列Q及び上三角行列Rへの分解を伴う。そして、エルミート行列Qが算出され、全ての受信信号ストリームを表す行列に乗じられる。これにより、所望の信号ストリームについての上三角行列と、ノイズが得られる。得られる行列の最下行(bottom row)は、他の信号ストリームからの干渉を受けていない、特定の信号ストリームを含んでいる。これは、ストリーム間干渉を除去するのに必要な信号処理リソース量を削減する。次に、Mアルゴリズムが、送信アンテナに対応する各ステージにおいて比較するために、メトリック算出におけるMによるブランチメトリックに従って複数のシンボルを選択し、それはさらにメトリック算出の量を削減する。しかし、QR-MLDは依然として過度に複雑になりがちである。
多アンテナ受信機に用いられている別の従前の方法は、連続干渉除去(SIC)である。SICによれば、受信された複数の信号ストリームは、例えば受信電力に基づいて順位付けされる。最高順位のストリームが選択され、当該信号について検出されたシンボルと当該信号に関する推定チャネル応答とに基づいて、当該信号のレプリカが再生成される。そして、合成信号から信号のレプリカが差し引かれ、当該信号の合成信号における影響が除去される。このように、残りの信号ストリームについてのシンボルを、除去された信号ストリームからの干渉が無い状態で検出することができる。SIC処理は、全ての信号ストリームが検出されるまで継続される。SICを用いた検出性能は、多くの信号ストリームが除去されるほど向上する。なぜなら、残った信号ストリームはより干渉が少ない状態で検出可能だからである。しかし、SICの性能は、MLDよりもかなり悪い。これは、アンテナダイバーシチゲインが最初の信号ストリームには期待できず、2番目の信号ストリームに対しては2次ダイバーシチゲインのみが期待されるといった具合だからである。一般に、Txアンテナの数をT、Rxアンテナの数をRとした場合、SICを用いたn番目のストリーム信号検出で予期される理想的なダイバーシチ次元は(R-T+n)である。これは、n番目の信号ストリーム検出において、R個のアンテナのうち(T-n+1)のストリームの信号を含んでいるからである。これは正しくない信号ストリーム検出につながるおそれがあり、その場合、誤った信号のレプリカが除去され、残った信号ストリームに対する干渉を増加させる。
従来の干渉除去技術のさらに別のものは、反復的ソフト除去方法と、例えば渡辺らによるIEICE論文、「QR分解及びソフト干渉除去器を用いたMIMOシステムの検討」、IEICE技術報告、RCS2005-112, pp. 31-36, 2005年11月、に開示されているような反復的なソフト除去方法との組み合わせを伴う。この手法は、受信機ダイバーシチゲインを得ることができるかもしれないソフト値を用いた反復並行干渉除去方法を用いるとともに、誤りの伝播を抑制する。QR分解は、初期推定及び除去においてかなり良好な性能を提供し、その結果、反復的なソフト干渉除去において迅速な収束を実現する。そして、この手法は、削減された処理によりMLDと同様の結果を実現する。しかし、QRM-MLDと同様、複雑さにおいて依然として非実用的であり、必要な多数のターボデコーダ反復は、信号検出の実行に必要な時間を増加させる。
本明細書において教示される方法及び装置によれば、多アンテナ受信機は、シンボル検出および、1フレーム又は1サブフレームといった1つの送信時間間隔(TTI)に亘る各受信信号ストリームについての対数尤度比(LLR)のようなレシオ決定メトリックの算出にQR分解を用いる。そして、受信機はソフトシリアル干渉除去を実行してシンボルを再検出し、ソフトシリアル干渉除去結果に基づいて個々の受信信号ストリームについての決定メトリックを算出する。決定メトリックは、ソフトシリアル干渉除去を用いて、あるいは用いないことにより、シンボル検出がより正確になるかどうかを示す。複数の信号ストリームの少なくとも1つについて決定メトリック算出を比較することにより、ソフトシリアル干渉除去がシンボル検出精度を向上させるかどうかを受信機が判定することが可能になる。もしソフトシリアル干渉除去が検出精度を向上させると判別されれば、干渉除去結果に基づいて検出されたシンボルは、送信された信号を検出するためにデコードされてコヒーレントに結合される。ソフトシリアル干渉除去が検出精度を向上させると判別されなければ、干渉除去が実行されるまえに検出されたシンボルがデコードされる。このように、検出されたシンボルのうち、より精度の高いグループが送信された信号のデコードに用いられる。例えば、決定メトリックによって示されるように、ソフトシリアル干渉除去があまりに多くのシンボル検出誤りをもたらす場合、得られたシンボルはデコードされない。代わりに、QR分解の結果に基づいて検出されたシンボルがデコードされる。
さらに、多アンテナ受信機は、デコードに失敗した信号ストリームの再デコードを少なくとも1回試行することができる。すなわち、1つ以上の信号ストリームが正しくデコードされていない場合、対応するデコード処理は未解決のままとなり、一方で受信機は残りの信号ストリームをデコードしようとする。従って、1つの信号ストリームが正しくなくデコードされたので、受信機はデコードを止めない代わりに、受信機は少なくとも1回、任意の、デコードに失敗した信号ストリームのいずれかを再デコードしようとする。正しくデコードされた信号ストリームからの干渉は、再デコードが試行される前に合成信号からキャンセルされているので、デコード性能はさらに上昇する。このように、デコードに失敗した信号ストリームの再デコードを受信機が試行する際、正しくデコードされたストリームからの干渉がない状態で再デコードを試行できる。受信機は、必要に応じ、シンボルの再デコードを行う前の決定メトリック算出に基づいて、デコードに失敗した信号ストリームを再度順位付けしてもよい。これはさらに、再デコード精度も向上させる。再デコードに成功する可能性が最も高い複数の信号ストリームがまず始めに処理され、それらの寄与は受信機が残りの信号ストリームを再デコードしようとする前に除去される。信号ストリームの再デコードを複数回試行することにより、受信機によって発行される否定応答(NACK)要求の数を削減することができ、それによりデータスループットが改善される。
一実施形態によれば、多アンテナ受信機によって受信された、複数のコンポーネント信号ストリームを含んだ合成信号は、各信号ストリームに対するシンボル検出および決定メトリックの算出のためにQR分解を用いて処理される。異なる信号ストリームに対して検出されたシンボルと信号ストリームの順位とに基づいて、ソフトシリアル干渉除去が合成信号に実施される。ソフトシリアル干渉除去の実行結果に基づいて、シンボルは再検出され、また決定メトリックも再算出される。ソフトシリアル干渉除去を用いる場合と用いない場合とのどちらがより正確にシンボル検出できるかを判定するために、少なくとも1つの信号ストリームについて、異なる複数の決定メトリック算出が比較される。ソフトシリアル干渉除去を用いた方がシンボル検出精度が高いであろうと判定された場合、ソフトシリアル干渉除去結果に基づいて検出されたシンボルを用いて信号ストリームがデコードされる。そうでなければ、信号ストリームはQR分解を用いて検出されたシンボルに基づいてデコードされる。
各構成要素が与える潜在的な効果をまとめると、多段階反復ソフトシリアル除去は受信アンテナダイバーシチゲインをもたらし、ソフト干渉除去はシンボル検出誤り又はデコード誤りに起因する誤り伝播を低減し、QR分解はシンボル検出誤りを低減し、メトリックに基づく、シンボル検出誤りに除去を用いるか否かの選択はデコード誤りを低減する。もちろん、本発明は上述の特徴及び利点に限定されない。本技術分野に属する当業者は、以下の詳細な説明を読み、添付図面を見ることにより、さらなる特徴及び利点を認識するであろう。
多アンテナ受信機の一実施形態のブロック図である。 多アンテナ受信機による干渉除去のための処理ロジックの一実施形態のフローチャートである。 受信信号ストリームをQR分解するための処理ロジックの一実施形態のフローチャートである。 QR分解結果を用いて検出されたシンボルに基づいてソフトシリアル干渉除去を実行するための処理ロジックの一実施形態のフローチャートである。 ソフトシリアル干渉除去を用いる場合と用いない場合とのどちらがより正確なシンボル検出となるかを判定するための処理ロジックの一実施形態のフローチャートである。 シンボルストリームをデコードするための処理ロジックの一実施形態のフローチャートである。 シンボルストリームを再デコードするための処理ロジックの一実施形態のフローチャートである。
図1は、異なる信号伝播経路上を送信された信号を受信するためのRアンテナ102を有する受信機100の一実施形態を示す図である。異なるアンテナ102で時間(t) x1(t), x2(t),…, xR(t)の関数として受信された信号の各々は、異なる送信アンテナ(図示せず)の1つからの寄与を有している。受信された信号は、シンボルインデックス(n) x1(n), x2(n), …, xR(n)の関数としての対応するベースバンド信号ストリームを形成するため、フロントエンド回路104によってフィルタ処理、ダウンコンバート並びにデジタル化される。合成ベースバンド信号ベクトルx= [x1(n), x2(n), …xR(n)]Tは、送信された信号をデコードするために、受信機100に含まれるベースバンドプロセッサ106によって処理される。
一実施形態において、ベースバンドプロセッサ106は、合成ベースバンド信号に干渉除去を実行する前後において、各信号ストリームについてシンボル検出を行う。決定メトリックもまた、干渉除去を実行する前後において各信号ストリームについて算出される。決定メトリックはシンボル検出の正確さを示す。ベースバンドプロセッサ106は、干渉除去を用いる場合と用いない場合とでどちらがより正確にシンボル検出できるかを判定するため、少なくとも1つの信号ストリームについて、複数の決定メトリックの比較を行う。より正確ならば、ベースバンドプロセッサ106は、送信された信号をデコードをするために、干渉除去結果に基づいて検出されたシンボルを用いる。さもなければ、干渉除去前に検出されたシンボルがデコードに用いられる。このように、より精度の高いシンボルのグループが、送信された信号のデコードに用いられる。
別の実施形態において、ベースバンドプロセッサ106は、デコードに失敗した信号ストリームを再デコードすることを少なくとも1回は試みる。このように、1つだけの信号ストリームが誤ってデコードされる場合、信号のデコードは停止しない。その代わりに、ベースバンドプロセッサ106は、デコードに失敗した信号ストリームについて、再送信を要求する前に少なくとも1回は再デコードを試みる。従って、ベースバンドプロセッサ106は、送信された信号を検出されたシンボルのより正確なグループを用いてデコードするだけでなく、デコードに失敗した信号ストリームについて、再送要求する前に再デコードを少なくとも1回は試みる。これは、デコードが成功している際に干渉を減じることは干渉を低減すると共に次の試行時におけるデコード性能を向上させうるからである。このように、ベースバンドプロセッサ106は信号デコード精度を向上させるだけでなく、受信機100による信号再送要求(例えばNACK)の数を削減することによって伝送スループットも向上させる。
より詳細に述べると、ベースバンドプロセッサ106は、送信された信号を復元するために合成ベースバンド信号x = [x1(n), x2(n), …, xR(n)]Tを処理する複数のステージ108〜116を含んでいる。説明及び図示の簡単化のみを目的として、送信されたシンボルストリームの数が、受信アンテナ102(R)の数と等しいものとする。しかし、常にそうであるとは限らない。従って、本明細書で説明する方程式及び対応する図は、送信及び受信アンテナの任意の数に対して一般化するために、さらなるインデックス(図示せず)を含むように容易に修正可能である。つまり、ここで説明する実施形態によって、任意の数の送信及び受信アンテナを取り扱うことが可能である。このことを理解した上で、異なるステージ108〜116は、個別の論理及び/又はソフトウェアステージとして実施することができる。あるいは、異なるベースバンドプロセッサステージ108〜116は、1つの論理エンティテイ及び/又はソフトウェアプログラムとして実施されてもよい。いずれにしても、図1に示されるステージ108〜116はベースバンドプロセッサ106が実行する様々な信号処理機能を説明しているにすぎず、特許請求の範囲に記載された本発明がロジック及び/又はソフトウェア要素のある特定な物理構成であると解釈されたり、そのようなものに限定するものではない。
第1のベースバンドプロセッサステージ108は、例えば図2のステップ200に示すように、受信された信号ストリームx1(n), x2(n), …, xR(n)にQR分解を適用する。第1ステージ108は、各信号ストリームx1(n), x2(n), …, xR(n)について、例えば図2のステップ202に示すように、QR分解結果に基づいてシンボル
Figure 0005337815
を検出するとともに決定メトリックM1(R) = m1,1, m1,2, …, m1,Rを算出する。第2のベースバンドプロセッサステージ110は、例えば図2のステップ204に示すように、検出されたシンボルの最初のグループ^S1(R)を用いてソフトシリアル干渉除去を合成ベースバンド信号xに実行する。実際にデコードされたシンボルではなく、シンボル推定(すなわち検出されたシンボル)が用いられるため、干渉除去は「ソフト」と見なされる。第2ステージ110はまた、例えば図2のステップ206に示すように、ソフトシリアル干渉除去結果に基づいて、1送信時間区間(典型的には1フレーム又は1サブフレーム)内のシンボルに亘って平均化された各信号ストリームについてシンボル
Figure 0005337815
を再検出するとともに、決定メトリックm2,1, m2,2, …, m2,R = M2(R)を再算出する。
第3ベースバンドプロセッサステージ112は、例えば図2のステップ208に示すように、ソフトシリアル干渉除去を用いる場合と用いない場合とでどちらがより正確にシンボル検出できるかを判定するために、少なくとも1つの信号ストリームに対して異なる複数の決定メトリック計算結果を比較する。一実施形態において、LLRが決定メトリックとして用いられる。別の実施形態において、決定メトリックはSINR(信号対干渉及び雑音比)である。さらに別の実施形態では、各信号ストリームに関連付けられた変調及びコーディングセット(MCS)が決定メトリックとして用いられる。本技術分野に属する当業者は、シンボル検出精度を示す他の好適なメトリックも利用可能であることを容易に理解するであろう。とにかく、ソフトシリアル干渉除去を行わない方がシンボル検出精度が良いと決定メトリックが示していれば、第3ステージ112はQR分解結果に基づいて検出された第1のシンボルグループ^S1(R)を選択する。さもなければ、第3ステージ112は、干渉除去結果に基づいて検出された第2のシンボルグループ^S2(R)を選択する。
第4ベースバンドプロセッサステージ114は、例えば図2のステップ210に示すように、選択されたシンボルグループを用いて、異なる複数の信号ストリームをデコードする。従って、第4ステージ114は、干渉除去によってより高いシンボル検出精度が得られると決定メトリックが示す場合には、ソフトシリアル干渉除去結果に基づいてシンボルのデコードを実行する。さもなければ、信号ストリームはQR分解結果に基づいてデコードされる。第4ステージ114は、任意の既知なシンボルデコード技術によって信号ストリームをデコードしてよい。
第5ベースバンドプロセッサステージ116は、個々の信号ストリームが正しくデコードされているかどうか判定する。一実施形態において第5ステージ116は、本技術分野で周知な様に、各信号ストリームについて巡回冗長チェック(CRC)値を算出する。CRC値は、ある特定の信号ストリームについて検出されたシンボルが正しくデコードされているかどうかを示す。もし正しくデコードされていることが示されれば、受信された信号ストリームはおそらく何らかの重み付けを用いて再生成され、その信号の寄与が部分的に除去されるよう、合成ベースバンド信号から部分的に除去される。このようにして、既にデコードされた信号ストリームからの干渉が低減された、又は理想的には干渉が存在しない状況で、残りの信号ストリームをデコードすることができる。一実施形態において、信号ストリームは、デコードされたシンボルを対応するソフトシンボル推定に再エンコードすることによって再生成されてよい。ソフトシンボル推定は、以下の式で与えられる、信号ストリームを搬送したチャネル(すなわち信号伝播経路)の推定に供される。
Figure 0005337815
ここで、xregenは複数のアンテナの1つで受信された元の信号の近似、αはLLR(又は他の実施形態において対応する(mutual)情報)に基づく重みファクタを表し、再生成された信号がどの程度正しいかに依存する。また、Hest jは再生成された信号に関するチャネル推定を表し、sregen jは再生成されたシンボル値を表す。
一方、デコードに失敗した信号ストリームについてのデコード結果は、第4ステージ114が最初に全ての信号ストリームをデコードするまで未決のままである。1つ以上の信号ストリームが正しくデコードできない場合、ベースバンドプロセッサ106はそれらの再デコードを少なくとも1回は試みる。このように、受信機100は信号ストリームの再送信をむやみに要求しない。その代わり、ベースバンドプロセッサ106はデコードに失敗した信号ストリームのデコードをさらに少なくとも1回は試みる。
例えば、m番目の信号ストリームxm(n)が最初デコードに失敗したとする。xm(n)の後でデコードに成功した信号ストリームの各々に関する信号寄与が、合成ベースバンド信号から除去される。このように、ベースバンドプロセッサ106がxm(n)の再デコードを試行する際には、信号ストリームxm(n)の後でデコードに成功した個々の信号ストリームからの干渉が存在しない。最初のデコード反復(iteration)の間、xm(n)が最初にデコードされる際に、ストリームxm+1(n), xm+2(n), …, xR(n)からの信号干渉が存在する。しかし、信号ストリームxm+1(n), xm+2(n), …, xR(n)のいずれかが最初から正しくデコードされれば、対応する干渉はベースバンドプロセッサ106がxm(n)の再デコードを試行する前に除去される。これは、全体的な受信機性能を向上させるとともに、受信機100が行う信号再送要求の数を削減する。最終的に、一般的なシステムは、正しくデコードされたストリームについてACK(肯定応答)を送信する。さもなければ、システムは、デコードに失敗したストリームの再送を要求するNACK(否定応答)を送信する。
図3は、ベースバンド信号ストリームx1(n), x2(n), …, xR(n)のQR分解のための処理ロジックの一実施形態を示す図である。第1ベースバンドプロセッサステージ108は、QR分解及びシンボル検出処理を開始する(ステップ300)。信号ストリームインデックスiは、最も高い順位の信号ストリームが最初に処理されるようにi = 1と設定される(ステップ302)。信号ストリームは受信電力に基づいて最初に順位付けされていてもよい。とにかく、第1ステージ108は、最高順位の信号ストリームx1(n)にQR分解を適用する(ステップ304)。QR分解処理を説明するため、合成ベースバンド信号ベクトルx = [x1(n), x2(n), …, xR(n)]Tを、
x=Hc+n (2)
で与えられる行列形式で表現することができる。ここで、Hはチャネル応答行列、cは送信された信号ストリームの行列(列ベクトル)、nは各受信アンテナにおける付加的なノイズ項である。4つの送信アンテナと4つの受信アンテナの場合、xは以下のように表記できる。
Figure 0005337815
上述したように、任意数の送信及び受信アンテナを考慮することができる。一般に、xはR×1のサイズを有し、HはR×Tのサイズを有し、cはT×1のサイズを有する。ここで、Rは受信アンテナ102の数、Tは送信アンテナの数であり、おそらくR≧Tであろう。
さらに、Hの行列要素hi,jは、j番目の送信アンテナとi番目の受信アンテナ102との間のチャネル応答を示す。再び4つの送信アンテナと4つの受信アンテナの場合を例にとる。c2, c3及びc4からの干渉なしにc1をx4で得るためのQR分解を実行するために、式(2)’は以下のように修正される。
Figure 0005337815
ここで、H1 = [h4, h3, h2, h1]及びh1 = [hj,1, hj,2, hj,3, hj,4]Tである。c1はH1に従って行要素(row component)を交換することによって生成される。H1のQR分解により、ユニタリ行列Q1及び上三角行列R1が得られる。ハミルトニアン行列QH 1及び合成ベースバンド信号xの乗算は以下の式によって与えられる。
Figure 0005337815
式(4)及び(5)は以下のように整理することができる。
Figure 0005337815
ここで、式(6)からの4番目の行は以下のように与えられる。
4 = r141+η14 (7)
式(7)からわかるように、4番目の行は送信された信号ストリームcj(j≠1)の干渉を受けていない。同様に、H2 = [h3, h4, h1, h2]及びc2 = [c3412]T、H3 = [h4, h1, h2, h3]及びc3 = [c4123]T、及びH4 = [h1, h2, h3, h4] = H及びc4 = [c1234]T = cである。同様に、c2, c3,及びc4についての干渉の影響のない項も式(4)〜(6)に基づいて判定することができる。同様にして、QR分解をxzでcwを得るようにすることもできる。どの受信アンテナストリームxzがcwを得るためにQR分解されるべきかを判定するために、任意の望ましいメトリックを用いることができる。一実施形態において、この判定は、互いに干渉を受けないように割り当てられているであろう、各ストリームについて受信されたパイロット電力に基づく。別の実施形態において、cwは全てのz (1, 2, …, R)についてxzを分解することによって得られ、最大の推定SINRを有するものが選択される。
第1のベースバンドプロセッサステージ108は、QR分解結果y4に基づいて、第1の信号ストリームx1(n)についてシンボル^s1,1を検出し、決定メトリックm1,1を算出する(ステップ306)。そして第1ステージ108は、上述したように、全ての信号ストリームがQR分解されたかどうか判定する(ステップ308)。もしまだであれば、ストリームインデックスがインクリメントされ(ステップ310)、QR分解処理は残った信号ストリームの各々について繰り返される(ステップ304〜306)。信号ストリームは、全ての信号ストリームがQR分解された後、決定メトリック算出結果に基づき、必要に応じて再度順位付けされてもよい(ステップ312)。一実施形態において、LLRが決定メトリックとして用いられる。別の実施形態において、決定メトリックはSINR(信号対干渉及び雑音比)である。さらに別の実施形態では、各信号ストリームに関連付けられた変調及びコーディングセット(MCS)が決定メトリックとして用いられる。このように、受信電力ではなく決定メトリック算出結果に基づく信号ストリーム順位を用いてソフトシリアル干渉除去を実行することができる。いずれの方法でも、第1ステージ108は、全てのストリームが処理されると、QR分解及びシンボル検出処理を終了する(ステップ314)。得られた、検出されたシンボルのグループ^S1(R)は、ソフトシリアル干渉除去及びシンボル再検出を実行するために第2ステージ110に供給される。
図4は、QR分解結果を用いて検出されたシンボルのグループに基づいて、合成ベースバンド信号xにソフトシリアル干渉除去を実施するための処理ロジックの一実施形態を示す図である。主に、送信された信号ストリームの各々は、QR分解中に検出された対応するシンボルを用いて再生成され、次いで例えば式(1)に従い、信号の順位に基づいて合成ベースバンド信号から減じられる。このように、残りの信号ストリームについてのシンボルは、順位の高い信号ストリームからの干渉が削減もしくは理想的には存在しない状態で再検出されることが可能である。より詳細には、第2のベースバンドプロセッサステージ110が、ソフトシリアル干渉除去処理を開始する(ステップ400)。反復インデックスkがk = 1に設定され(ステップ402)、信号ストリームインデックスjがj = 1に設定される(ステップ404)。干渉除去はkmax回反復して実施され、全ての信号ストリームについてのシンボルが各反復において検出される。最初の反復の間(ステップ406)、第2ステージ110は干渉除去パラメータを初期化する。なぜなら、第1ステージ108により、シンボルは既に検出されており、決定メトリックも計算されているからである。
ベースバンドプロセッサ106に含まれる、あるいは関連付けられた信号再生成器118は、初期化されたパラメータを用いて、最初の信号ストリームを再生成する。第2ステージ110は、再生成された信号を合成ベースバンド信号から除去(cancel)する(ステップ410)。ここで、レプリカとしても知られる、再生成された信号は、検出された信号および推定されたチャネルから、式(1)に類似したメトリックに基づく重みファクタを用いて得られる。そして、最も順位の高い信号ストリームからの干渉が削減もしくは理想的には存在しない状態で、次に高い順位の信号ストリームについてのシンボル^s2,2が検出され、決定メトリックm2,2が算出される。この処理は、全ての信号ストリームについてのシンボルが再検出され、合成ベースバンド信号から除去されるまで(ステップ414)、信号ストリームインデックスjがインクリメントされながら(ステップ416)継続される。最終的に、全ての信号ストリームが検出され、合成ベースバンド信号から除去される。そうすると、反復インデックスkが1つ増やされ(ステップ418)、干渉除去処理は全てのストリームに対してもう一度繰り返される(ステップ406〜416)。シンボル推定^s2,1, ^s2,2, …, ^s2,Rおよび決定メトリック算出結果m2(R)は、反復インデックスが増やされるごとに精度が増す(refine)であろう。最終的に、所望回数の干渉除去反復が実施される(ステップ420)。その後の反復k (2, 3, 4,…)の間j番目のストリームを再検出できるように、2回目の反復から(図4においてk = 2の状態から)は、^s2,jの再検出について、直前の(k-1)回目の反復でj番目に検出されたシンボルストリームのレプリカ^s2,jが再加算される。
この時点で、最高順位のストリームについて、シンボル^s2,1が再検出され、決定メトリックm2,1が再算出される(ステップ422)。これは、k = 1の際に実施された初期化処理を補う(ステップ406および408)。第2ベースバンドプロセッサステージ110は、必要に応じ、新たな決定メトリック算出結果に基づいて再度ストリームの順位付けを行ってもよい(ステップ424)。そして、ソフトシリアル干渉除去処理は終了する(ステップ426)。ここで得られた、検出されたシンボル^S2(R)および決定メトリック算出結果M2(R)は、ソフトシリアル干渉除去がシンボル検出精度を向上させるかどうかを判定するために第3ステージ112へ供給される。
図5は、ソフトシリアル干渉除去を用いる場合と用いない場合のどちらがシンボル検出の精度が良好かを判定するための処理ロジックの実施形態を示す図である。主として、第3ベースバンドプロセッサステージ112は、ソフトシリアル干渉除去がシンボル検出精度を向上させるかどうかを判定するために、複数の信号ストリームの少なくとも1つについて第1および第2ステージ108,110が与えた決定メトリック算出結果を比較する。第3ステージ112は、シンボル検出精度判定処理を開始する(ステップ500)。一実施形態において、第3ステージ112はm個の最高順位の信号ストリームに対する決定メトリック算出結果を比較する。別の実施形態において、第3ステージ112は、最高順位の信号ストリームの干渉除去後に対する決定メトリック算出結果(m2,1)を、最高順位の信号ストリームの干渉除去前に対する決定メトリック算出結果(m1,1)と比較する(ステップ502)。
どちらにしても、ソフトシリアル干渉除去前に第1ステージ108で検出されたシンボル^S1(R)の方が高精度であると決定メトリックが示していれば、それらがデコード用に選択される(ステップ504)。さもなければ、第2ステージ110で検出された第2のシンボルグループ^S2(R)がデコード用に選択される(ステップ506)。そして、シンボル検出精度判定処理は終了する(ステップ508)。選択されたシンボルグループはデコードのために第4ベースバンドプロセッサステージ114に供給される。
図6は、シンボルストリームの選択されたグループをデコードするための処理ロジックの一実施形態を示す図である。主に、第4ベースバンドプロセッサステージ114は、デコードに失敗したシンボルストリームについて少なくとも1回は再デコードを試みながら、第3ステージ112によって供給されるシンボルをデコードする。このように、受信機100が発行する信号再送要求の数を削減しながら、シンボル検出精度を向上させる。より詳細には、第4ステージ114がシンボルデコード処理を開始する(ステップ600)。最も順位の高い信号ストリームが最初に処理されるよう、信号ストリームインデックスjがj = 1に設定される(ステップ602)。第1ストリームに関するシンボルがデコードされ、決定メトリックが再算出される(ステップ604)。第5ベースバンドプロセッサステージ116は、第1の信号ストリームについて、シンボルデコード結果^d1に基づいてCRC値を算出する。
ベースバンドプロセッサ106に含まれるか、関連付けられたコントローラ120は、CRC値が有効であるかどうか判定する(ステップ606)。有効なら、ベースバンドプロセッサ106は、第1の信号ストリームが正しくデコードされたことを示す肯定応答(AC)メッセージのようなメッセージを生成する(ステップ608)。ACKメッセージが実際に送信される時期は、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)プロトコルに依存する。1つのACKメッセージによって全てのストリームに対して肯定応答してもよいし、異なる複数のメッセージを用いてもよい。いずれにせよ、信号生成器118は、正しくデコードされたシンボル^d1を用いて第1の信号ストリームを再生し、第4ステージ114は再生成された信号を合成ベースバンド信号から除去する(ステップ610)。このように、残りのシンボルストリームは、第1のストリームからの干渉が削減または理想的には存在しない状態でデコードされることが可能である。必要に応じ、コントローラ120は、本技術分野において周知であるように、ベースバンドプロセッサ106に含まれるか関連付けられた詳細(fine)チャネル推定器122に、第1の信号ストリームに関する詳細チャネル推定^h1 fineを算出するように命令する(ステップ612)(例えば決定フィードバックアプローチとして周知である)。詳細チャネル推定は、高精度であり、第1のストリームを(例えば式(1)におけるHest jを詳細チャネル推定^h1 fineで置換することにより再生成するために用いられる。より精度の良いチャネル推定は、再生成された信号の合成信号からの除去を改善する。
とにかく、シンボルデコード処理(ステップ604〜610)は、各信号ストリームについて継続される(ステップ614および616)。ある特定の信号ストリームについて算出されたCRC値が無効であれば、その信号ストリームは再生成されず、合成信号からも除去されない(ステップ606)。その代わり、そのデコード結果は未決のままとなり、また決定メトリック算出結果はその後の使用のために保存される(ステップ618)。シンボルストリームは正しくデコードされなかったため、デコード結果は使用されない。そうしないと、それらが再生成されて合成信号から除去される場合にデコード誤りが悪化する。第4ステージ114は、各シンボルストリームが最初にデコードされた後、シンボルデコード処理を終了させる(ステップ620)。しかし、受信機100は、デコードに失敗した信号ストリームの各々について自動的に信号再送要求を生成しない。その代わり、ベースバンドプロセッサ106は、NACKのような再送要求を発行する前に、デコードに失敗した信号ストリームの再デコードを少なくとも1回試みる。
図7は、最初に正しくデコードされなかったシンボルストリームを再デコードするための処理ロジックの一実施形態を示す図である。このように、受信機100は、問題のある信号ストリームについて、再送を要求する前に再デコードするための機会を少なくとも1回有する。第4ベースバンドプロセッサステージ114は、シンボル再デコード処理を再度開始する(ステップ700)。デコードに失敗した信号ストリームは、最高順位の信号ストリームが最初に処理されるよう、決定メトリック算出結果に基づいて再度順位付けされる(ステップ702)。これは、問題のある信号ストリームが正しくデコードされる確率を向上させる。
信号ストリームインデックスjがj = 1にセットされる(ステップ704)。j番目の信号ストリームについて、シンボルはデコードされ、決定メトリックが再算出される(ステップ706)。第5ステージ116はj番目の信号ストリームについてCRC値を算出し、コントローラ120はCRC値が有効かどうか判定する(ステップ708)。このとき、シンボルが依然として正しくデコードされていないなら、受信機100は再送要求を発行する(ステップ710)。一方、CRC値が有効なら、受信機100は正しくデコードされたことを示す肯定応答メッセージを発行する(ステップ712)。再デコード処理は、(NUDによって示される)最後のストリームが再デコードされるまで、残りの信号ストリームに対して継続される(ステップ714および716)。そして第4ステージ114はシンボル再デコード処理を終了する(ステップ718)。シンボル再デコード処理は、所望の回数だけ繰り返されてよく、処理遅延などに依存する最大試行回数の範囲内で、各反復において決定メトリックが増加している限りは、CRC値が無効であっても各反復において図7のステップ700〜718が行われる。
なお、一部の実施形態においては、マルチバンド受信器のベースバンドプロセッサ106が、シンボルを検出するために用いられる決定メトリックを算出するために用いられるユニタリ行列および三角行列を得るために複数の信号ストリームをQR分解し、信号ストリームについて決定メトリックを算出するように構成されてもよい。
ベースバンドプロセッサ106は、ソフトシリアル干渉除去を合成信号に実施する前に、QR分解を用い、全ての信号ストリームについて、シンボルを検出するとともに決定メトリックを算出するように構成されてもよい。
ベースバンドプロセッサ106は、
QR分解を用いて検出された対応するシンボルから各信号ストリームを再生成し、
順位に基づく順番で合成信号から個々の再生成された信号ストリームを除去する、
ように構成されてもよい。
ベースバンドプロセッサ106は、順位の高い信号ストリームからの干渉がない状態で合成信号から順位の低い信号ストリームのシンボルを検出できるように、順位の低い信号ストリームのシンボルを検出する前に順位の高い信号ストリームを再生成して合成信号から除去するように構成されてもよい。
ベースバンドプロセッサ106が、QR分解を用いて異なる複数の信号ストリームについて算出された決定メトリックに基づいて複数の信号ストリームを再度順位付けするように構成されてもよい。なお、ソフトシリアル干渉除去は再度の順位付けに基づいて実行される。
一部の実施形態において、ベースバンドプロセッサ106は、
複数の信号ストリームを順位に基づく順番でデコードし、
デコードに成功した信号ストリームからの干渉がない状態で合成信号から残りのデコードされていない信号ストリームをデコードすることができるように、デコードに成功した信号ストリームを合成信号から除去し、
デコードに失敗した信号ストリームの再デコードを少なくとも1回試行する、
ように構成されてもよい。
ベースバンドプロセッサ106は、一部の実施形態において、
デコードに成功した信号ストリームについて精密なチャネル推定を行い、
デコードに成功した信号ストリームを合成信号から除去するために、対応する精密なチャネル推定結果を用いる、
ように構成されてもよい。
ベースバンドプロセッサ106は、デコードの成功を、デコードされた信号ストリームの各々について求められた巡回冗長チェック(CRC)値に基づいて判定するように構成されてもよい。
さらに、ベースバンドプロセッサ106は、
デコードされた高い順位の信号ストリームがデコードに成功したら、順位の高い信号ストリームからの干渉がない状態で合成信号から低い順位の信号ストリームをデコードすることができるように、高い順位の信号ストリームを合成信号から除去し、
高い順位の信号ストリームがデコードに失敗した場合に、順位の低い信号ストリームからの干渉がない状態で合成信号から高い順位の信号ストリームを除去できるよう、低い順位の信号ストリームをデコードし、デコードされた低い順位のストリームを合成信号から除去する、ように構成されてもよい。
上述した変化物や用途の範囲を念頭におけば、本発明が上述した説明によっても添付図面によっても限定されないことが理解されるべきである。本発明は、特許請求の範囲およびそれらの法的均等物によってのみ限定される。

Claims (16)

  1. 多アンテナ受信機によって受信された、複数のコンポーネント信号ストリームを含んだ合成信号を処理する方法であって、
    前記複数の信号ストリームの各々について、シンボルの検出および決定メトリックの算出を行うためにQR分解を用いるステップ(202)と、
    前記複数の信号ストリームの異なるものについて検出された前記シンボルと、受信電力または予め定められた決定メトリックに基づく前記複数の信号ストリームの順位とに基づいて前記合成信号にソフトシリアル干渉除去を実施するステップ(204)と、
    前記ソフトシリアル干渉除去の結果に基づいて前記複数の信号ストリームの各々について前記シンボルを再検出するとともに決定メトリックを再算出するステップ(206)と、
    前記ソフトシリアル干渉除去を行った場合と行わない場合のどちらがシンボル検出の精度が高いかを判定するために前記複数の信号ストリームの少なくとも1つに対する異なる決定メトリック算出結果を比較するステップ(208)と、
    前記ソフトシリアル干渉除去を行った方が精度が高いと判定された場合には前記ソフトシリアル干渉除去の結果に基づいて検出された前記シンボルを用いて前記複数の信号ストリームをデコードし、前記ソフトシリアル干渉除去を行わない方が精度が高いと判定された場合には前記QR分解を用いて検出された前記シンボルに基づいて前記複数の信号ストリームをデコードするステップ(210)とを有することを特徴とする方法。
  2. 前記複数の信号ストリームの各々について、シンボルの検出および決定メトリックの算出を行うためにQR分解を用いる前記ステップが、前記複数の信号ストリームの各々について前記シンボルを検出し、また前記決定メトリックを算出するために用いられるユニタリ行列および三角行列を得るために前記複数の信号ストリームをQR分解するステップを有することを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. ユニタリ行列および三角行列を得るために前記複数の信号ストリームをQR分解する前記ステップが、前記複数の信号ストリームの各々について受信したパイロット電力に基づいて前記複数の信号ストリームをQR分解するステップを有することを特徴とする請求項2記載の方法。
  4. ユニタリ行列および三角行列を得るために前記複数の信号ストリームをQR分解する前記ステップが、前記複数の信号ストリームをQR分解し、信号対干渉および雑音比の最大推定値を有する信号ストリームを選択するステップを有することを特徴とする請求項2記載の方法。
  5. ソフトシリアル干渉除去を前記合成信号に実施する前に、QR分解を用い、全ての信号ストリームについて前記シンボルが検出されるとともに前記決定メトリックが算出される(300-314)ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 前記合成信号にソフトシリアル干渉除去を実施する前記ステップが、
    QR分解を用いて検出された対応するシンボルから各信号ストリームを再生成するステップ(410)と、
    順位に基づく順番で前記合成信号から個々の再生成された信号ストリームを除去するステップ(410)と、
    を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 順位の高い信号ストリームからの干渉がない状態で前記合成信号から順位の低い信号ストリームの前記シンボルを検出できるように、前記順位の低い信号ストリームの前記シンボルを検出する前に前記順位の高い信号ストリームを再生成して前記合成信号から除去する(410-416)ことを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. QR分解を用いて異なる複数の信号ストリームについて算出された前記決定メトリックに基づいて前記複数の信号ストリームを再度順位付けするステップをさらに有し、前記ソフトシリアル干渉除去が前記再度の順位付けに基づいて実行されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  9. 前記ソフトシリアル干渉除去を行った場合と行わない場合のどちらがシンボル検出の精度が高いかを判定するために前記複数の信号ストリームの少なくとも1つに対する異なる決定メトリック算出結果を比較する前記ステップが、前記異なる決定メトリック算出結果の比較を1つ以上の最も順位の高い信号ストリームについて比較するステップ(502)を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
  10. 前記複数の信号ストリームをデコードするステップが、
    前記複数の信号ストリームを順位に基づく順番でデコードするステップ(602,604)と、
    デコードに成功した信号ストリームからの干渉がない状態で前記合成信号から残りのデコードされていない信号ストリームをデコードすることができるように、前記デコードに成功した信号ストリームを前記合成信号から除去するステップ(610)と、
    デコードに失敗した信号ストリームの再デコードを少なくとも1回試行するステップと、
    を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
  11. デコードに成功した信号ストリームについて精密なチャネル推定を行うステップ(612)と、
    前記デコードに成功した信号ストリームを前記合成信号から除去するために、対応する前記精密なチャネル推定結果を用いるステップと、
    をさらに有することを特徴とする請求項10記載の方法。
  12. 前記デコードに失敗した信号ストリームの再デコードを少なくとも1回試行した後で、前記複数の信号ストリームがデコードに成功したか失敗したかを報告するステップ(710,712)をさらに有することを特徴とする請求項10記載の方法。
  13. デコードの成功が、デコードされた信号ストリームの各々について求められた巡回冗長チェック(CRC)値に基づいて判定されることを特徴とする請求項10記載の方法。
  14. デコードに失敗した信号ストリームの再デコードを少なくとも1回試行する前記ステップが、前記決定メトリックが各試行において増加している限り、前記CRC値の1つ以上が無効であっても前記デコードに失敗した信号ストリームの再デコードを試行するステップを有することを特徴とする請求項13記載の方法。
  15. 前記デコードに成功した信号ストリームを前記合成信号から除去するステップが、
    デコードされた高い順位の信号ストリームがデコードに成功したら、順位の高い信号ストリームからの干渉がない状態で前記合成信号から前記低い順位の信号ストリームをデコードすることができるように、前記高い順位の信号ストリームを前記合成信号から除去するステップ(610,614,616)と、
    前記高い順位の信号ストリームがデコードに失敗した場合に、順位の低い信号ストリームからの干渉がない状態で前記合成信号から前記高い順位の信号ストリームを除去できるよう、前記低い順位の信号ストリームをデコードし、デコードされた前記低い順位のストリームを前記合成信号から除去するステップ(610,614,616,700-718)と、
    を有することを特徴とする請求項10記載の方法。
  16. 複数のコンポーネント信号ストリームを含んだ合成信号を処理する多アンテナ受信機(100)であって、ベースバンドプロセッサ(106)を有し、
    前記ベースバンドプロセッサが、
    前記複数の信号ストリームの各々について、シンボルの検出および決定メトリックの算出を行うためにQR分解を用い、
    前記複数の信号ストリームの異なるものについて検出された前記シンボルと、受信電力または予め定められた決定メトリックに基づく前記複数の信号ストリームの順位とに基づいて前記合成信号にソフトシリアル干渉除去を実施し、
    前記ソフトシリアル干渉除去の結果に基づいて前記複数の信号ストリームの各々について前記シンボルを再検出するとともに決定メトリックを再算出し、
    前記ソフトシリアル干渉除去を行った場合と行わない場合のどちらがシンボル検出の精度が高いかを判定するために前記複数の信号ストリームの少なくとも1つに対する異なる決定メトリック算出結果を比較し、
    前記ソフトシリアル干渉除去を行った方が精度が高いと判定された場合には前記ソフトシリアル干渉除去の結果に基づいて検出された前記シンボルを用いて前記複数の信号ストリームをデコードし、
    前記ソフトシリアル干渉除去を行わない方が精度が高いと判定された場合には前記QR分解を用いて検出された前記シンボルに基づいて前記複数の信号ストリームをデコードする、
    ように構成されることを特徴とする多アンテナ受信機(100)。
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