JP5334051B2 - 電子写真用弾性ロールの製造方法 - Google Patents
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Description
そして、高精度の弾性ロールの製造方法として、特許文献1は、リング状塗工ヘッド内側のスリットから高粘度の液状ゴム材料を吐出させて、円筒体の周面に液状ゴム組成物の層を形成した後、該液状ゴムを硬化させて弾性層を形成する方法を開示している。
環状スリットを中心孔の内周面に有するリング形状の塗工ヘッドと、該塗工ヘッドに至る流路と、該流路に通じて、該液状シリコーン混合物を貯蔵するタンクから該液状シリコーンゴム混合物を該塗工ヘッドに供給するポンプとを有している塗工装置を用いて、該環状スリットから該液状シリコーンゴム混合物を吐出させつつ、該塗工ヘッドの中心孔に該塗工ヘッドと同軸となるように配置した軸芯体を、該軸芯体の軸方向に移動させて該軸芯体の周囲に該液状シリコーンゴム混合物を塗布する工程を含み、
該液状シリコーンゴム混合物は、20Pa以上、600Pa以下の降伏応力を有するものであり、該塗工ヘッドは、該塗工ヘッドと該軸芯体とを同軸に配置するために該塗工ヘッドを該中心孔に配置された軸芯体の軸方向と直交する方向の平面内を移動可能に構成されており、
さらに、該流路は、該塗工ヘッドに直結し、中間にフィルタ部を有している金属管と、該金属管の上流側に連なる、歪み荷重が100g以上、600g以下であり、1MPa加圧時の膨張率が1.0%以下の硬質管とを有し、該金属管は、該平面に対して水平に配置され、該硬質管は、該平面に対する垂線との為す角度が0°以上、45°以下に配置され、
更に、該フィルタ部は、金属製のメッシュで構成され、かつ、該液状シリコーンゴム混合物の吐出時における該フィルタ部の下流側圧力の、上流側圧力に対する減衰率が40%以上、80%以下であることを特徴とする。
環状スリットを中心孔の内周面に有するリング形状の塗工ヘッドと、
該塗工ヘッドに至る流路と、
該流路に通じて、該液状シリコーン混合物を貯蔵するタンクから該液状シリコーンゴム混合物を該塗工ヘッドに供給するポンプとを有している塗工装置を用いて、
該環状スリットから該液状シリコーンゴム混合物を吐出させつつ、該塗工ヘッドの中心孔に該塗工ヘッドと同軸となるように配置した軸芯体を、該軸芯体の軸方向に移動させて該軸芯体の周囲に該液状シリコーンゴム混合物を塗布する工程を含み、
該液状シリコーンゴム混合物は、20Pa以上、600Pa以下の降伏応力を有するものであり、
該塗工ヘッドは、該塗工ヘッドと該軸芯体とを同軸に配置するために該塗工ヘッドを該中心孔に配置された軸芯体の軸方向と直交する方向の平面内を移動可能に構成されており、
さらに、該流路は、
該塗工ヘッドに直結し、中間にフィルタ部を有している金属管と、
該金属管の上流側に連なる、歪み荷重が100g以上、600g以下であり、1MPa加圧時の膨張率が1.0%以下の硬質管とを有し、
該金属管は、該平面に対して水平に配置され、
該硬質管は、該平面の垂線との為す角度が0°以上、45°以下に配置され、更に、
該フィルタ部は、金属製のメッシュで構成され、かつ、該液状シリコーンゴム混合物の吐出時における該フィルタ部の下流側圧力の、上流側圧力に対する減衰率が40%以上、80%以下である。
本発明の製造方法で使用する液状シリコーンゴム混合物の降伏応力は、液状シリコーンゴム混合物の温度が一般的な製造温度範囲において、20Pa以上、600Pa以下の範囲にあるものを用いる。降伏応力とは液状の材料が応力に対してどの程度流動性を示すのかを表す指標である。たとえば、降伏値100Paの材料の場合、100Pa未満の応力しか材料にかからないときには材料は流動性を示さず固体のような性状を示すが、100Paを臨界値としてそれ以上の応力が材料にかかったときにはじめて流動性を示し液体としての性状を表す。つまり、材料を軸芯体上に成形したときに形状を保持しつづけるためには重力に負けない降伏値が必要となる。このような液状シリコーンゴム混合物は、液状シリコーンゴムに、凝集力を持つフィラーを分散させることで得られる。このようなフィラーの例を以下に示す。ヒュームドシリカ、湿式シリカ、石英微粉末、ケイソウ土、カーボンブラック、酸化亜鉛、塩基性炭酸マグネシウム、活性炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、雲母粉末、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム。凝集力を発揮させるには比表面積の大きいシリカ微粉末やカーボンブラックが好ましい。
シリコーンゴム材料の降伏値が20Pa未満のときは、材料が流動し形状を保持するのが困難になり、寸法精度の良いものができない。降伏値が600Paよりも大きいときには、材料中に含まれるフィラーの凝集性が強すぎて、成形物にスジが発生する不具合が生じる。シリコーンゴム材料の降伏値は20Pa乃至600Paの範囲にあるときに寸法精度のよい成形物を得ることができる。
ここで本発明の製造方法で使用する塗工装置である、リング形状の塗工ヘッドを有するリングコート機の概略説明図を図2に示す。
このリングコート機は、架台1の上に略垂直にコラム2が取り付けられ、架台1とコラム2の上部に精密ボールネジ3が略垂直に取り付けられている。15はリニアガイドであり、精密ボールネジ3と平行にコラム2に該リニアガイド15は2本取り付けられている。LMガイド4はリニアガイド15と精密ボールネジ3とを連結し、サーボモータ5よりプーリ6を介して回転運動が伝達され昇降できるようになっている。コラム2には軸芯体101の外周側に液状シリコーンゴム混合物を軸芯体の周面に塗布するリング形状の塗工ヘッド8が取り付けられている。リングコート機は、塗工ヘッド8に至る流路12と、不図示の液状シリコーンゴム混合物の貯蔵タンクから流路12を経て塗工ヘッド8に液状シリコーンゴム混合物を供給するためのポンプ13を備えている。
該塗工ヘッド8の中心軸は、軸芯体下保持軸9と軸芯体上保持軸10の移動方向と平行となるようにそれぞれに支持されている。該塗工ヘッドは、中心孔の中心と、該中心孔に配置される軸芯体の軸とが一致、即ち同軸となるように調整するために、該軸芯体の軸とは直交する方向の平面内を移動可能に構成されている。このような構成により塗工ヘッド8の環状スリットになっている吐出口の中心軸を軸芯体101の中心軸に略同心に合わせることができ、リング形状の塗工ヘッドの内周面と前記軸芯体101の外周面との間に均一な隙間が形成される。
本発明の製造方法で使用するリングコート機においては、ポンプ13から塗工ヘッド8に至る流路12が、塗工ヘッド8に直結した、中間にフィルタ部を備えた金属管と、該金属管の上流側に連なる硬質管とを有する。該金属管は、該塗工ヘッドが移動可能な平面に水平に配置されている。一方、該硬質管は、該平面の垂線とのなす角度が0°以上、45°以下に配置されている。
上記したような硬質管としては、ポリテトラフルオロエチレンチューブと金網で構成されたものを使用できる。ポリテトラフルオロエチレンチューブの外側が金属製の網で覆われているので、屈曲性が適度にありかつ高い圧力に対して膨張することがないので好ましく用いることができる。ポリテトラフルオロエチレンチューブは材料の流れに滞留部を発生させないなどの面で、ストレートのものが好ましい。
金属管に設けられたフィルタ部は、液状シリコーンゴム混合物の吐出時におけるフィルタ部の下流側圧力の、上流側圧力に対する減衰率が、40%以上、80%以下となるような、金属製のメッシュで構成する。これは、塗工ヘッド直前の管中で材料圧力を小さくすることを意味する。使用される液状シリコーンゴム材料は、圧力に対して圧縮性が高いので、材料供給ポンプが動き出した瞬間に配管中の材料が瞬時に圧縮され、圧縮の限界に達したとき一気に吐出される、という現象が起きる。このため、成形初期の吐出は不安定になり、成形物の先端付近の形状を高精度で制御することができなくなる。そこで、材料圧力が減衰するフィルタ部を設置することにより、圧縮される材料容積は激減するため吐出初期の不安定さを抑制することができる。吐出時におけるフィルタ部の上流側と下流側の圧力減衰率は40%以上80%以下が好ましい。圧力減衰率を上記の範囲内とすることで、圧縮される材料容積が充分に減少されるため、吐出の不安定さを抑制できる。また、材料供給ポンプの始動に対する材料吐出の応答性の低下が抑制できる。
吐出時におけるフィルタ部の上流側と下流側の圧力減衰率が40%以上80%以下にするような金属製のメッシュで構成するフィルタ部を配置することが好ましい。本発明の製造方法では、成型時のフィルタ部上流側圧力が1MPa以上、5MPa以下であり、フィルタ部の断面流速が1.4mm/s以上、30.1mm/s以下であることが好ましい。フィルタ上流部の圧力を1MPa以上、断面流速を1.4mm/s以上とすることにより、吐出口から出る材料の圧力が過度に低下することを防ぐことができる。また、フィルタ上流部圧力を5MPa以下、断面流速が30.1mm/s以下とすることにより、装置による振動が大きくなりすぎることを防ぐことができる。
図7にフィルタ部の断面図を示す。固定された金属製メッシュを介して材料流れの上流側と下流側に圧力計が設置されており、圧力が測定される。本発明の製造方法では、フィルタ部のメッシュが少なくとも目開きが、50μm以上、96μm以下の金属製スクリーンメッシュを5枚以上重ねて構成する。フィルタ部メッシュの目開きが50μmよりも小さいと目詰まりが起こりやすくなり、結果としてフィルタでの圧力減衰が大きすぎて材料吐出のレスポンスが悪くなる。メッシュの目開きが96μmより大きいと、フィルタ上部と下部における圧力減衰の効果が小さくメッシュの枚数が多く必要となるため、フィルタ部の構造が大きくなるという影響がある。図8(a)〜(e)にフィルタ部の色々な形状を示す。フィルタ部は金属製メッシュが固定されていれば形状は特に限定されるものではないが、できるだけ材料の滞留部が無いものが好ましい。
本発明の製造方法では、液状シリコーンゴム混合物としては、その1MPa加圧時における圧縮率が、0.1%以上、0.5%以下であるものを使用することが好ましい。シリコーンゴム材料の圧縮性は、材料中のフィラーとポリマーの比率、およびポリマーの分子量により大きく影響される。成型時圧力における圧縮率が0.1%よりも小さいときは、ポリマーに対するフィラー量が多く配合されているために成型後のレベリング性に欠け、成型物の表面性が悪くなる。圧縮率が0.5%よりも大きいと、材料吐出時の応答性が悪くなるために成型物先端の形状が不安定になる。
液状ゴム材料の降伏応力は、Haake社製の粘弾性測定装置「RS600」(商品名)を用いて、下記にて測定した貯蔵弾性率G’および損失弾性率G”が交差する点の応力値を求めることにより測定した。
A、Bの混合液約1gを採取し、粘弾性測定装置の試料台の上に載せ、コーンプレート(直径35mm、傾斜角度1°)を徐々に近づけて、試料台から約50μmの位置に測定ギャップを設定した。そのとき、まわりに押し出された材料をきれいに除去して、測定に影響の出ないようにした。次いで、プレート台の温度を成形時の材料温度に設定し、試料をセットしてから10分間置いた後、測定を開始した。試料にかける応力を0.00Paからスタートし50000Paまで180秒かけて変動させ(周波数は1Hz)、貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”および位相差tanδの変化を32ポイント測定した。貯蔵弾性率G’は最初の線形粘弾性領域では一定の値であるが、その後変化する。応力値と貯蔵弾性率G’や損失弾性率G”との関係をグラフに表し、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”が交差する点の応力値を読み取り、降伏応力とした。
図9に示すように、硬質管の片側を動かないように固定治具で固定する。硬質管の固定した端部から50mmの位置にレーザ測定器(キーエンス製LS7030)を配置し、硬質管の位置がわかるようにする。端部から50mmの位置を硬質管の長手方向に垂直にプッシュプルゲージで荷重をかけ、もとの位置から1mm動いたときの荷重を記録する。サンプルを変えて10回繰り返し測定した平均値を硬質管の歪荷重とした。
図6に示したように、硬質管とレーザ測定器(キーエンス製LS7030)とを配置する。材料を流す流量を変化させて、上流側圧力計が1MPaを計測したときの硬質管の外径値を読み取り、圧力がかからない状態の外径値から増加した分の断面積を計算し、その割合を硬質管膨張率とした。このとき、加圧時の外径増加分から計算する断面積と内径増加分断面積は等しいとしている。
(加圧時増加分断面積/硬質管内径断面積)×100=膨張率
図10に示すような金属製の材料圧縮―圧力測定装置を用いた。測定試料600CCをシンリンダに充填し、真空容器内で真空ポンプを用いて2時間脱泡をおこないシリンダ内の空気を除去した。次に、ピストンのエアー抜き穴を開放してピストンを挿入し、エアーを抜きながら容器内の材料容量が500CCになるまでピストンを移動した。ピストンの移動にはサーボモータを用いた。次にエアー抜き穴を閉じたのち、容器内圧力を測定しながらピストンを移動させ容器内圧力が1MPaになったときの、ピストン移動量を計測し、ピストン移動量T1とシリンダの断面積R1から圧縮率C%を求めた。
((T1×R1)cc/500cc)×100=圧縮率C%
図10に示すように、成形時のフィルタ上流側の圧力と下流側の圧力を測定し、その減少分の割合を計算し圧力減衰率とした。
(上流と下流の圧力差/上流圧力)×100=圧力減衰率%
また、成形時の材料供給シリンジ型ポンプの移動量から材料流量Lを計測し、用いたフィルタ部の断面積Aより断面流速Vを算出した。
L1/A1=V1 mm/s
図2の16に示す軸芯体位置読み取り装置により、成形時の未硬化成形物長手方向の外径を連続的に全長にわたり計測した。計測したデータより成形物の長手方向いずれの個所においても連続した10mmの範囲内に5μm以上の外径差が1箇所でもあれば外径ムラ不良として計上した。
加熱硬化したロールの両端を固定して回転させレーザ測定器(キーエンス製LS7030)用いて測定した。測定点はロール長手方向のゴム両端部から10mm内側の2点とその10mmを4等分する3点の計5点とした。5点の振れの最大値をそのローラの振れとして、その振れの方向が配管接続方向の中心から両側に15°以内に入っているものを硬質管接続に起因する振れと判断した。
塗工ヘッド異動面を形成するステージと平行になるように板を配置して、板の面に垂直方向に棒を立てた。その棒を基準として硬質管の中心線となす角を分度器で測定し硬質管設置角度とした。
(シリコーンゴム混合物の調製)
下記の材料を混合し、プラネタリーミキサーで1時間混合したものを液状シリコーンゴムのベース材料とした。
・シリコーンゴムとして、両末端にビニル基が置換した質量平均分子量10万のジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量0.15質量%):100質量部、
・カーボンブラック(商品名:Printex35、デグサ社製):3.5質量部、
・カーボンブラック(商品名:Printex25、デグサ社製)3.0質量部。
上記ベース材料に、硬化触媒として2重量%の塩化白金酸のイソプロピルアルコール溶液をジメチルポリシロキサンに対して10ppm配合し、プラネタリーミキサーで30分混合してA液を調製した。
また、上記ベース材料に、オルガノハイドロジェンシロキサンを、Si原子に結合するHが前記ジメチルポリシロキサンのビニル基1モルに対して2倍になるように配合して、プラネタリーミキサーで30分混合してB液を調製した。
上記A液及びB液を、質量比1:1で混合し、弾性層形成用の付加反応型の液状シリコーンゴム混合物とした。当該液状シリコーンゴム混合物の降伏応力、圧縮率を表1に示す。
図3に示す硬質管には、周囲を金網で被覆された、テトラフルオロエチレン製チューブ(全長150mm、内径8mm、株式会社キノクニエンタープライズ製)を使用した。また、移動機構面に対して垂直(0°:図3(a)、図3(b))に配置した。使用した硬質管の歪荷重は100gで、膨張率は0.34%であった。また、フィルタ部に図8(a)に示した形状のものを用い、目開き72μmのスクリーンメッシュ250(ケーティーエムメッシュ株式会社製)のφ44の円形のものを5枚重ねて使用した。つぎに図2に示すリング型の塗工ヘッドを有するリングコート機の軸芯体保持軸で外径φ6mmの鉄製軸芯体(SUM材)にニッケルメッキ(Ni)を施したものを垂直にセットした。このとき、軸芯体の配管接続方向にマーキングをして、成形物と配管接続方向の位相が分かるようにした。
軸芯体保持軸を垂直に上昇(60mm/sec)させて軸芯体を移動させた。軸芯体の外周にシリコーンゴム混合物の層を円筒形状(ロール形状)に形成して、未硬化の成形物層を有するロール(以下、未硬化のロール)を作成した。このときのフィルタ上流部圧力は1Mpa、フィルタ部の圧力減衰率は50%、断面流速は4.8mm/sであった。
この未硬化の成形物層を有するロールを、軸芯体を中心として60rpmで回転させ、その未硬化の成形物層表面を、株式会社ハイベック製の赤外線加熱ランプ「HYL25」(商品名)で赤外線(出力1000W)で4分間照射し、硬化させた。なお、赤外線照射時の成形物層表面とランプの距離は60mmであり、成形物層表面の温度は200℃であった。その後、硬化したシリコーンゴムの弾性層の物性を安定させるために、電気炉で200℃、4時間の二次硬化を行い、直径12mmの電子写真用ロールを得た。
なお、実施例、比較例において得られた各パラメータは表中に示す。
弾性ロールを1000本成形し、先端から30mmまでの先端付近のみに特異的に発生する気泡、スジ、膨れを有する本数を調べ、その不良率を先端形状の安定性として下記の基準で評価した。
A:不良率0.1%未満
B:不良率0.1%以上0.5%未満
C:不良率0.5%以上1%未満
D:不良率1%以上
弾性ロールを1000本成形し、装置の振動により発生する長手方向の外径ムラを有する本数を調べ、その不良率を装置振動による外径不良として下記の基準で評価した。
A:不良率0.1%未満
B:不良率0.1%以上0.5%未満
C:不良率0.5%以上1%未満
D:不良率1%以上
弾性ロールを1000本成形し、硬質管接続に起因する配管接続方向の振れの中から30μm以上のものを不良とし、その不良率を硬質管接続による振れ不良として下記の基準で評価した。
A:不良率0.1%未満
B:不良率0.1%以上0.5%未満
C:不良率0.5%以上1%未満
D:不良率1%以上
下記の材料をメチルエチルケトン(MEK)に加え、サンドミルで1時間分散した。
・ポリウレタンポリオールプレポリマー(商品名:タケラックTE5060、三井武田ケミカル株式会社製):100質量部、
・イソシアネート(商品名:コロネート2521;日本ポリウレタン株式会社製):77質量部、
・カーボンブラック(商品名:MA100、三菱化学株式会社製):24質量部。
更に、固形分20質量%となるようにMEKを加えて表面層用塗料を得た。この塗料中に、得られた電子写真用ロールのうち先端形状、外径ムラ、振れにおける良品と不良品をそれぞれ浸漬、乾燥させて、乾燥膜厚が20μmの塗料膜を形成した。次いで、140℃にて60分間加熱処理して塗料膜を硬化させ表面層を形成した。こうして画像評価用ロールを得た。
画像評価用のロールを、現像ロールとして画像形成装置(商品名:Color LaserJet 3700、ヒューレットパッカード社製)用の電子写真プロセスカートリッジ(公称寿命6000枚、A4サイズ、印字率5%)に組み込んだ。このプロセスカートリッジに黒のトナーを充填した。この状態で23℃、55%RHの環境に24時間以上放置した後、ベタ画像およびハーフトーン画像を出力した。
シリコーンゴムにカーボンブラック(商品名:Printex35、デグサ社製)5.0質量部、カーボンブラック(商品名:Printex25、デグサ社製)7.0質量部を配合した以外は全て実施例1と同様にしてシリコーンゴム混合物を調製した。A液とB液を質量比1:1で混合したシリコーンゴム混合物の降伏応力は150Paであり、圧縮率は0.2%であった。これ以外は、実施例1と同様にして成形し、評価した。
シリコーンゴムにカーボンブラック(商品名:Printex35、デグサ社製)12.0質量部を配合した以外は全て実施例1と同様にしてシリコーンゴム混合物を調製した。A液とB液を質量比1:1で混合したシリコーンゴム混合物の降伏応力は400Paであり、圧縮率は0.1%であった。硬質管を移動機構面の垂線からX方向5°に配置した以外は、実施例1と同様にして成形し、評価した。
シリコーンゴムにカーボンブラック(商品名:Printex55、デグサ社製)18.0質量部を配合した以外は全て実施例1と同様にしてシリコーンゴム混合物を調製した。A液とB液を質量比1:1で混合したシリコーンゴム混合物の降伏応力は600Paであり、圧縮率は0.1%であった。これ以外は、実施例1と同様にして成形し、評価した。
硬質管に全長150mm、内径8mmのテトラフルオロエチレン樹脂製のホース
を使用した以外は実施例2と同様にして成形し、評価した。使用した硬質管の歪荷重は200gで、膨張率は1.0%であった。
硬質管に全長150mm、内径8mmの銅配管(肉厚0.5mm)を使用し、該硬質管を移動機構面の垂線に対してY方向10°に配置した。さらに、スクリーンメッシュに直径30mmのものを使用した。それ以外は実施例2と同様にして成形し、評価した。使用した硬質管の歪荷重は500gで、膨張率は0%であった。
硬質管に全長150mm、内径8mmの銅配管(肉厚0.8mm)を使用し、該硬質管を移動機構面の垂線に対してX方向30°に配置した以外は実施例2と同様にして成形をおこない、評価をおこなった。使用した硬質管の歪荷重は600gで、膨張率は0%であった。
硬質管を移動機構面の垂線に対してX方向、Y方向それぞれ45°に配置した以外は実施例5と同様にして成形し、評価した。
フィルタ部にスクリーンメッシュ180(目開き96μm、ケーティーエムメッシュ株式会社製)のφ30の円形のものを5枚重ねて使用した。さらに、外径φ10mmの鉄製軸芯体(SUM材)を使用し、成形速度を30mm/secとした。それ以外は、実施例5と同様にして成形し、評価した。
フィルタ部にスクリーンメッシュ300(目開き50μm、ケーティーエムメッシュ株式会社製)のφ30の円形のものを5枚重ねて使用した。さらに、外径φ8mmの鉄製軸芯体(SUM材)を使用し、成形速度120mm/secで外径14mmのローラを成形した。それ以外は、実施例5と同様にして成形し、評価した。
外径φ10mmの鉄製軸芯体(SUM材)を使用し、成形速度を30mm/secとした以外は、実施例1と同様にして成形し、評価した。
フィルタ部にφ20の円形のものを5枚重ねて使用し、成形速度を120mm/secとした以外は、実施例1と同様にして成形し、評価した。
フィルタ部にスクリーンメッシュ150(目開き104μm、ケーティーエムメッシュ株式会社製)のφ30の円形のものを5枚重ねて使用した。外径φ10mmの鉄製軸芯体(SUM材)を使用し、成形速度を30mm/secとした。それ以外は、実施例4と同様にして成形し、評価した。
フィルタ部にスクリーンメッシュ500(目開き33μm、ケーティーエムメッシュ株式会社製)のφ30の円形のものを5枚重ねて使用した以外は、実施例4と同様にして成形し、評価した。
フィルタ部にスクリーンメッシュ500(目開き33μm、ケーティーエムメッシュ株式会社製)のφ30の円形のものを5枚重ねて使用し、硬質管を移動機構面の垂線に対してX方向、Y方向それぞれ45°に配置した以外は、実施例4と同様にして成形し、評価した。
シリコーンゴムにカーボンブラック(商品名:Printex35、デグサ社製)3.0質量部、及びカーボンブラック(商品名:Printex25、デグサ社製)3.0質量部を配合した以外は全て実施例1と同様にしてシリコーンゴム混合物を調製した。A液とB液を質量比1:1で混合したシリコーンゴム混合物の降伏応力は5Paであり、圧縮率は0.5%であった。これ以外は、実施例1と同様にして成形し、評価した。
シリコーンゴムにカーボンブラック(商品名:Printex55、デグサ社製)22.0質量部を配合した以外は全て実施例4と同様にしてシリコーンゴム混合物を調製した。A液とB液を質量比1:1で混合したシリコーンゴム混合物の降伏応力は850Paであり、圧縮率は0.08%であった。これ以外は実施例4と同様にして成形し、評価した。
硬質管に全長150mm、内径8mmのステンレス配管(肉厚0.8mm)を使用した以外は実施例6と同様にして成形し、評価した。使用した硬質管の歪荷重は700gで、膨張率は0%であった。
硬質管に全長150mm、内径6.4mmの高圧ゴム管(PB−4−BK、スウェジロック製)を使用した以外は実施例6と同様にして成形し、評価した。使用した硬質管の歪荷重は10gで、膨張率は3%であった。
硬質管を移動機構面の垂線に対してX方向60°に配置し、フィルタ部にスクリーンメッシュ500(目開き33μm、ケーティーエムメッシュ株式会社製)のものを3枚重ねて使用した以外は実施例2と同様にして成形し、評価した。
硬質管を移動機構面の垂線に対してX方向90°に配置した以外は実施例2と同様にして成形し、評価した。
フィルタ部にスクリーンメッシュ100(目開き224μm、ケーティーエムメッシュ株式会社製)のφ30の円形のものを5枚重ねて使用した。外径φ10mmの鉄製軸芯体(SUM材)を使用し、成形速度を30mm/secとした。それ以外は、実施例1と同様にして成形し、評価した。
フィルタ部にスクリーンメッシュ500(目開き33μm、ケーティーエムメッシュ株式会社製)のものを8枚重ねて使用した以外は、実施例4と同様にして成形し、評価した。
上記各実施例及び各比較例の測定結果および評価結果をそれぞれ表1および表2に示す。
先端形状、外径ムラ、振れの3項目について良品と不良品の画像評価をおこなった。それぞれの良品については全て良好な画像が得られた。先端形状不良については形状の悪い部分に画像上の濃度の濃い部分と薄い部分の差がはっきりと見られた。外径ムラ不良についてはムラのある個所に画像上に縦筋が見られた。振れ不良については画像上にロールピッチで縞模様が見られ、これらは全て画像上の不良となった。
<不良率評価結果>
表2の結果より、本発明の製造方法により製造されたローラは、先端形状、外径ムラ、振れなどの寸法精度が非常に良く、高い良品率で製造することが可能である結果となった。
102 弾性体
8 塗工ヘッド
13 材料供給ポンプ
14 塗工ヘッド移動機構
Claims (5)
- 付加反応型の液状シリコ−ンゴム混合物を使用する、電子写真用の弾性ロールの製造方法であって、
環状スリットを中心孔の内周面に有するリング形状の塗工ヘッドと、
該塗工ヘッドに至る流路と、該流路に通じて、該液状シリコーン混合物を貯蔵するタンクから該液状シリコーンゴム混合物を該塗工ヘッドに供給するポンプとを有している塗工装置を用いて、
該環状スリットから該液状シリコーンゴム混合物を吐出させつつ、該塗工ヘッドの中心孔に該塗工ヘッドと同軸となるように配置した軸芯体を、該軸芯体の軸方向に移動させて該軸芯体の周囲に該液状シリコーンゴム混合物を塗布する工程を含み、
該液状シリコーンゴム混合物は、20Pa以上、600Pa以下の降伏応力を有するものであり、
該塗工ヘッドは、該塗工ヘッドと該軸芯体とを同軸に配置するために該塗工ヘッドを該中心孔に配置された軸芯体の軸方向と直交する方向の平面内を移動可能に構成されており、
さらに、該流路は、
該塗工ヘッドに直結し、中間にフィルタ部を有している金属管と、
該金属管の上流側に連なる、歪み荷重が100g以上、600g以下であり、1MPa加圧時の膨張率が1.0%以下の硬質管とを有し、
該金属管は、該平面に対して水平に配置され、
該硬質管は、該平面に対する垂線との為す角度が0°以上、45°以下に配置され、更に、
該フィルタ部は、金属製のメッシュで構成され、かつ、該液状シリコーンゴム混合物の吐出時における該フィルタ部の下流側圧力の、上流側圧力に対する減衰率が40%以上、80%以下であることを特徴とする電子写真用の弾性ロールの製造方法。 - 成形時における該フィルタ部の上流側圧力が1MPa以上、5MPa以下であり、該フィルタ部の断面流速が1.4mm/s以上、30.1mm/s以下である請求項1記載の弾性ロールの製造方法。
- 前記液状シリコーンゴム混合物の圧縮率が、0.1%以上、0.5%以下である請求項2記載の弾性ロールの製造方法。
- 前記フィルタ部のメッシュが、少なくとも目開きが、50μm以上、96μm以下の金属製スクリーンメッシュの少なくとも5枚を重ねて構成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の弾性ロールの製造方法。
- 前記硬質管が、ポリテトラフルオロエチレンチューブと金網とで構成されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の弾性ロールの製造方法。
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