JP5331743B2 - ガスタービン翼 - Google Patents

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本発明はガスタービンにおけるタービン翼に係り、特に、その冷却構造を改良したガスタービンにおけるタービン翼に関するものである。
ガスタービン翼の冷却構造の一つとして、内部空間に供給された冷却空気を翼部の表面に設けられたフィルム孔より翼外部に放出し、翼表面の燃焼ガスの温度を低下させることで翼を冷却する、フィルム冷却が採用されている。一般に、このフィルム孔は翼本体の翼高さ方向に線状に等間隔で配置されたフィルム孔列として翼面に加工される。
フィルム冷却に着目したものとして、例えば、特許文献1には、翼の内部空間に小孔を有したインサートが挿入され、内部空間に導いた冷却空気を翼の内壁に衝突してインピンジ面と冷却し、インピンジメント冷却後の冷却空気をフィルム孔から翼外表面付近へと導いてフィルム冷却する方式が開示されている。
また、特許文献2には、タービン動翼において翼面の高さ方向に複数のフィルム孔を設け、翼面を冷却する技術が開示されている。
特開2002−242610号公報 特開2007−56875号公報
しかし、ガスタービン翼外部の流れ次第でフィルム空気による冷却が局所的に不十分となってしまう場合がある。本発明の目的は、冷却ムラの少ない、信頼性が高いガスタービン翼を提供することにある。
本発明は、径方向に並んだ複数の第一のフィルム孔からなる第一のフィルム孔列と、前記第一のフィルム孔の下流側に位置し、径方向に並んだ複数の第二のフィルム孔からなる第二のフィルム孔列を有するガスタービン翼において、前記第一のフィルム孔と、前記第二のフィルム孔のうち前記第一のフィルム孔から最も近い孔との距離が、径方向で異なる部分を有し、下流側に向かって内径方向に傾斜する外径側エンドウォールと、内径側エンドウォールを有し、前記第一のフィルム孔と、前記第二のフィルム孔のうち前記第一のフィルム孔から内径側で最も近い孔との距離が、内径側と外径側で等距離か、内径側より外径側の方が離れている部分を有し、隣接する前記第一のフィルム孔同士の間隔が、等間隔な部分を内径側に有し、前記等間隔な部分の外径側に、外径側へ向かうにしたがって広くなる部分を有することを特徴とする。

本発明によれば、冷却ムラの少ない、信頼性が高いガスタービン翼を提供することができる。
本発明の実施例1である静翼1の背側フィルム孔配置図。 ガスタービン静翼周りの構成図。 図2に示すA−A線に沿う静翼1の断面図。 本発明の実施例1である静翼1の背側翼面斜視図。 比較例のガスタービン静翼の背側フィルム孔配置図。 本発明の実施例2である静翼1の背側翼面斜視図。
ガスタービンは、圧縮機により圧縮された高圧力の空気を酸化剤として燃料を燃焼させ、発生した高温高圧ガスによりタービンを駆動し、例えば電力等のエネルギーに変換するものである。消費された燃料に対して得られる電気エネルギーはできるだけ多い方が望ましく、周知のごとく、ガスタービンにおいてはタービン入口における燃焼ガスの高温化による性能向上が期待されている。
しかし、ガスタービンの燃焼ガス温度は、翼材が主にガス温度に起因する高温酸化腐食に耐え得る能力、および熱応力に耐え得る能力によって制限される。そこで、燃焼ガス温度の高温化に際し、翼材の耐用温度を満足させるため、ガスタービン翼の内部を中空に形成し、すなわち冷却媒体流通路を形成し、この冷却媒体流通路に冷却空気を通過させることによってガスタービン翼を冷却する方法が良く採られている。
かかる冷却空気は一般に圧縮機から抽気した空気の一部を利用するため、冷却空気の多量の消費はガスタービン効率の低下をきたす。そこでガスタービン翼においては、より少ない空気により効率良く冷却することが重要であり、様々な冷却構造が取られている。
その冷却構造の一つとして、燃焼ガス温度が高温となる翼においては、内部空間に供給された冷却空気を翼部の表面に設けられたフィルム孔より翼外部に放出し、翼表面の燃焼ガスの温度を低下させることで翼を冷却する、フィルム冷却が採用されている。一般に、このフィルム孔は翼本体の翼高さ方向に線状に等間隔で配置されたフィルム孔列として翼面に加工される。フィルム孔の穴径と間隔がその位置での熱負荷に応じて最適に選択される。
翼面の燃焼ガスの熱負荷が高い場所においては、フィルム孔を密に配置するのが望ましい。ただし翼の強度上の制限や、フィルム孔加工上の制限を考慮し、ある距離以上の間隔を確保する必要がある。このような場合においては、翼弦方向後流側にさらにもう1列平行に配置して、前列のフィルム孔位置に対して翼高さ方向に間隔の半分の距離ずらし、前列のフィルム孔から出たフィルム空気が後列のフィルム孔列でフィルム孔間の中央を流れるように配置して、2列のフィルム空気が翼面を均一に覆うように冷却する手法がとられ得る。
しかしこの手法において、翼高さ方向に等しい距離で配列されるフィルム冷却孔が、翼弦方向に複数列配列されている場合、エンドウォール付近においては翼表面の冷却が不十分となり、長期信頼性を損なう場合がある。
たとえば、ガスタービン静翼は、内部が中空の複数の翼部と、内径側エンドウォールと外径側エンドウォールが一体となったセグメント構造をとり、複数のセグメントを環状に配置することで燃焼ガスの流路を形成するが、内径側エンドウォールもしくは外径側エンドウォールがタービン回転軸を中心とする円筒面に対して角度を有して傾いている場合、エンドウォールに近い領域の流れ場がその傾きに応じて変化することとなり、翼部のフィルム孔から出たフィルム空気に対してエンドウォールが傾斜する方向への流れを加える。その結果、傾斜するエンドウォール付近では、前列のフィルム孔から出たフィルム空気が後列のフィルム孔列において隣接するフィルム孔の間の中央位置を通ることができないため、フィルム空気が翼面を均一に覆うことができず、冷却が局所的に不十分となってしまう可能性がある。
また、隣接する静翼エンドウォール同士の間には、熱変形による応力集中を緩和するために間隙が設けられているが、この間隙によって燃焼ガスの流れに乱れが生じる。この乱れはエンドウォール付近の作動流体を燃焼ガス流路の中央方向へと巻き上げるため、エンドウォールが流路を狭くするように傾いている場合、エンドウォール付近で傾斜して流れるフィルム空気に対して、その傾斜を助長させるように働き、フィルム冷却効果のムラを更に大きなものとしてしまうこととなる。
以下説明する各実施例の翼によれば、フィルム空気によって翼表面をより均一に覆うようにフィルム孔を配置することで、翼部の局所における温度ムラを小さくできる。したがって長期の運転に対しても、高温酸化による腐食や、温度差に起因する翼の局所熱応力により裂が発生したり破損したりする可能性の低い、信頼性の高いガスタービン翼を得ることができる。
以下、本発明の実施例を説明する。
図2は本発明の静翼近傍のガスタービン内部構造を表す図である。トランジションピース4を通過してきた高温高圧の燃焼ガス5は、静翼1,動翼2,静翼3を通過してタービン後段へと導かれる。静翼1は、翼本体10と外径側エンドウォール15と内径側エンドウォール16とにより一体構造で構成されている。本実施例では、外径側エンドウォール15が燃焼ガスの流れ方向に対し内径方向に傾斜しているものについて説明する。静翼1は、外径側ではシュラウド6を介してタービンケーシング7に連結され、内径側ではサポートリング8に連結されて固定されている。ガスタービンの燃焼ガス温度は高温のため、翼材が主にガス温度に起因する高温酸化腐食や熱応力に耐え得るように、タービン翼の内部を中空に形成して冷却媒体流通路を形成している。この流通路に冷却媒体を通過させることによって翼材を冷却している。この内部空洞20は外径端が開口しており、冷却空気9が供給されている。
図2のA−A線に沿った静翼1の断面を図3に示す。高温高圧の燃焼ガス5に曝される静翼1の翼本体10は、前縁13と後縁14をつなぐ背側翼面11と腹側翼面12に囲まれた構造となっており、内部には複数の内部空洞20を有している。この内部空洞20には表面に複数の小孔を有したインサート21が挿入されており、内部空洞20に導かれた冷却媒体は、この小孔を高速で通過し、翼の内壁に衝突してインピンジメント冷却する。
また、翼面11,12には内部空洞20より燃焼ガスに連通する複数のフィルム孔が設けられており、フィルム孔からインピンジメント冷却後の冷却空気を翼外表面付近へと導き、燃焼ガス5との間に温度境界層を形成することにより翼面を冷却する。フィルム孔列は、フィルム孔の穴径と間隔がその位置での熱負荷に応じて最適に選択される。本実施例においては、背側翼面11にフィルム孔列31,32が、腹側翼面12にフィルム孔列33が、前縁13から後縁14に向かう翼弦方向に連続して配置された静翼について説明する。
図4は、本実施例の静翼の1つのセグメントを背側より斜視したものである。静翼1は翼本体10が、それぞれ湾曲した外径側エンドウォール15と内径側エンドウォール16とにより一体構造で構成されている。ガスタービンに組み込む際には、複数のセグメントを連結する。具体的には外径側エンドウォールのセグメント連結部22,23,内径側エンドウォールのセグメント連結部24,25を連結させ、円錐台側面形状の外径側エンドウォールと円筒側面形状の内径側エンドウォールによって仕切られた燃焼ガス流路を形成する。
図1は、静翼1を背側方向から見た図である。翼本体の高さ方向、すなわちガスタービンの径方向(以下、単に径方向と呼ぶ)に並んだ複数の第一のフィルム孔からなる第一のフィルム孔列31と、この第一のフィルム孔列31の下流側に位置し、径方向に並んだ複数の第二のフィルム孔からなる第二のフィルム孔列32におけるフィルム孔30の詳細配置を示す。
背側翼面11のフィルム孔列31,32は、それぞれ、翼本体の高さ方向に配置されたフィルム孔30の列であり、円筒側面である内径側エンドウォールに対して垂直に配置されている。フィルム孔列31の軸方向位置における翼高さ方向の領域を40とする。
外径側エンドウォールは、フィルム孔列32が配置された軸方向位置において、内径側へ向かって角度αを有しているものとする。角度αは、外径側エンドウォール15と、回転軸に平行な直線との成す角である。なお図1にて、本実施例の角度αは外径側エンドウォール15の外周側として示してあるが、本質的には内周側の角度を意味する。本実施例では該当部分が平行な形状のものを利用しているため、内周側の角度と外周側の角度が等しくαである。
領域40のうち、最内径から所定の位置までの領域である内径側領域41においては、フィルム孔列32のフィルム孔は等間隔Pを持って配置し、フィルム孔列31のフィルム孔間隔61はフィルム孔列32の間隔Pと等しく、フィルム孔列32のフィルム孔位置に対して、翼高さ方向にP/2ずらした位置に配置する。このとき、タービン回転軸に平行な直線51と、フィルム孔列32とフィルム孔列31の隣接するフィルム孔の中心を結んだ直線52が成す角(鋭角)をβとする。最内径から所定の位置までの領域である内径側領域41の成す角は全てβであり、フィルム孔列31の最内径側のフィルム孔についての成す角もβである。
以下成す角とは、第一のフィルム孔であるフィルム孔列31の孔の中心と、第二のフィルム孔であるフィルム孔列32の孔のうち第一のフィルム孔から内径側で最も近い孔の中心とを結んだ直線と、回転軸に平行な直線との成す角(鋭角)を意味することとする。
一方、領域40のうち、所定の位置よりも外径側の領域である外径側領域42では、フィルム孔列32のフィルム孔間隔をPに保ち、フィルム孔列31のフィルム孔間隔62をPよりも広くなるように配置する。ここで、タービン回転軸に平行な直線53と、フィルム孔列32のフィルム孔中心位置を通り軸後方に向って内径方向に傾く直線54の成す角をγとする。すなわち、所定の位置よりも外径側の第一のフィルム孔についての成す角をγとする。そうすると、本実施例においては、角度γが角度βよりも大きい角度となっている。
上記の特徴を有する本実施例の効果を以下に示す。
図5は比較例における背側翼面のフィルム孔配置図であり、フィルム孔列31,32のフィルム孔は翼高さ方向に全て等間隔で配列されている。このような配置においては、外径側領域42においては、フィルム孔列31のフィルム孔から燃焼ガスに噴出したフィルム空気は、外径側エンドウォール付近での内径側へ向かう流れによって、フィルム孔列32のフィルム孔に近づいてしまい、フィルム冷却の効果が重複した領域や、フィルム冷却効果が小さくなる領域が発生することになる。このようなフィルム冷却効果のムラが生じると、翼表面の温度に局所的に高い温度や低い温度を生じさせることとなり、翼の信頼性を低下させる可能性もある。
一方、本実施例でのガスタービン翼では、上記可能性を考慮した結果として、第一のフィルム孔であるフィルム孔列31の孔と、第二のフィルム孔であるフィルム孔列32の孔のうち第一のフィルム孔から最も近い孔との距離が、径方向で異なる部分を有するように配置している。別の表現をすると、成す角が径方向位置で異なる部分を有するよう配置している。この配置は、第一のフィルム孔からのフィルム空気を、燃焼ガスの流れの影響を受けて回転軸に平行な方向からずれて流れた後に、隣接する第二のフィルム孔の中間を通過させるようにするための非等間隔の配置であり、このようなフィルム孔を用いて冷却することにより、冷却ムラの少ない、信頼性が高いガスタービン翼を提供することができる。
本実施例のガスタービン翼は、下流側に向かって内径方向に傾斜する外径側エンドウォール15と、内径側エンドウォール16を有している。そのため、外径側エンドウォール15に近い領域の流れ場がその傾きに応じて変化することとなり、翼部のフィルム孔30から出たフィルム空気に対して外径側エンドウォール15が傾斜する方向への流れが加わる。その結果、傾斜するエンドウォール付近では、第一のフィルム孔列31のフィルム孔から出たフィルム空気が、第二のフィルム孔列32のフィルム孔列において、隣接するフィルム孔の間の中央位置を通ることができなくなる。その結果、フィルム空気が翼面を均一に覆うことができず、冷却が局所的に不十分となってしまうおそれがある。
この、エンドウォールの傾斜に起因する流れへの影響に対処するために、本実施例のガスタービン翼では、第一のフィルム孔と、第二のフィルム孔のうち第一のフィルム孔から内径側で最も近い孔との距離が、内径側と外径側で等間隔か、内径側より外径側の方が離れている部分を有するようにフィルム孔を配置している。内径側では影響が少ないため、設計のしやすさや強度等の観点から、隣接する第一のフィルム孔同士の間隔が、等間隔な部分を内径側に有するようにしている。最外周へ近づくほど大きく影響を受けるため、等間隔な部分の外径側に、外径側へ向かうにしたがって広くなる部分を有している。前述の成す角で表現すると、外径側の前記成す角が、内径側の前記成す角と同じかそれよりも大きくなるようにフィルム孔を配置している。
その結果、外径側領域42においては、フィルム孔列31のフィルム孔から燃焼ガスに噴出したフィルム空気は、外径側エンドウォール付近での内径側へ向かう流れによって、フィルム孔列32のフィルム孔の中間に近い位置を通過することが可能となり、フィルム孔列32より後流側のフィルム冷却の均一性が向上する。
本実施例の望ましい構成としては、外径側領域42が領域40の50%以内である、すなわち第一のフィルム孔列31のフィルム孔30が等間隔な部分、または前述の所定の位置が、前記第一のフィルム孔列の径方向高さで外径側半分以内に位置していることが挙げられる。なぜなら、外径側エンドウォール15の傾斜は、翼高さ50%の領域の燃焼ガスの流れに対して影響を与えるためである。
角度γが外径側エンドウォール15に近づくにつれて徐々に大きくなり、外径側エンドウォール15に最も近いフィルム孔位置で、γがβとαの和以下であること(γ≦β+α)であることが望ましい。なぜなら、領域42における外径側エンドウォール15の燃焼ガスの流れに対する影響は径方向に連続的に大きくなり、フィルム孔列31から噴出した冷却空気がフィルム孔列32の中間を通過するには、フィルム孔の成す角γも成す角βに対して連続的に大きくしなければならないためである。また、成す角γの最大値は、成す角βに、外径側エンドウォール15の近傍の燃焼ガスの傾斜角αを加えた角度となるためである。
次に、本発明の他の実施例であるガスタービンについて説明する。本実施例のガスタービンは、高圧空気を生成する圧縮空気と、高圧空気と燃料とから燃焼ガスを生成する燃焼器と、燃焼ガスで駆動するタービンを有し、タービンは静翼と動翼を有し、前記静翼は、複数の静翼を有するセグメントを複数連結させた構造を備えている。
本実施例について、図2で示した静翼近傍のガスタービン内部構造や図3で示した静翼1の断面は、実施例1と同様である。
図6に、本実施例の第一段静翼を背側より斜視した図を示す。静翼1は翼本体と外径側エンドウォール15,内径側エンドウォール16とにより一体構造で構成されている。
静翼1は二つの翼本体10が、それぞれ湾曲した外径側エンドウォール15と内径側エンドウォール16とにより一体構造で構成されている。ガスタービンに組み込む際は、複数のセグメントを外径側エンドウォールのセグメント連結部22,23,内径側エンドウォールのセグメント連結部24,25を連結させて、円錐台側面形状の外径側エンドウォールと円筒側面形状の内径側エンドウォールによって仕切られた燃焼ガス流路を形成する。翼本体10には翼の熱負荷に合わせてフィルム孔が配置されるが、本実施例においては2つの翼本体10のそれぞれに背側翼面に軸方向に連続するフィルム孔列を配置した翼について説明する。
本実施例においては、2つの翼本体には、フィルム孔列31および32が配置されており、更に、セグメント連結部側の背側翼面17と、セグメント連結部を含まないセグメント翼間側の背側翼面18とで詳細なフィルム孔位置を変更する。
それぞれの背側翼面17,18におけるフィルム孔の位置を図1を用いて説明する。実施例1と同様に、内径側領域41においては、フィルム孔列31,32のフィルム孔は翼高さ方向に等間隔Pで配置され、外径側領域42においては、フィルム孔列32のフィルム孔間隔はPに保ち、フィルム孔列31のフィルム孔間隔をPよりも広くなるように配置する。フィルム孔列31,32の隣接するフィルム孔の中心位置は、内径側領域41においてはタービン回転軸に対して鋭角β、外径側領域42では鋭角γの傾きを有する直線上に配置される。
本実施例のガスタービンは、第一,第二のフィルム孔列31,32を有する面がセグメントの連結部側に面する第一の静翼と、第一,第二のフィルム孔列31,32を有する面が前記セグメントの連結部側に面しない第二の静翼とを有している。第一の静翼はセグメント連結部側に位置する背側翼面17を有し、第二の静翼は、セグメント翼間側の背側翼面18を有している。第一の静翼,第二の静翼ともに、第一のフィルム孔と、前記第二のフィルム孔のうち第一のフィルム孔よりも内径側で最も近い孔との距離が、内径側より外径側の方が離れている部分を有しているが、第一の静翼と第二の静翼で同位置に存在する第二のフィルム孔に関し、上記距離が、第一の静翼の方が前記第二の静翼よりも離れている。より具体的には、セグメント連結部側の背側翼面17の領域40に対応する翼高さに対する外径側領域42の割合、および鋭角γの角度を、セグメント翼間側の背側翼面18に比較して大きく設定している。この特徴を有する本実施例で得られる効果を以下に示す。
外径側領域42においては、フィルム孔列31のフィルム孔から燃焼ガスに噴出したフィルム空気は、外径側エンドウォール付近での内径側へ向かう流れによって、フィルム孔列32のフィルム孔の中間に近い位置を通過することが可能となり、フィルム孔列32より後流側のフィルム冷却の均一性を向上することができる。更に、セグメント連結部側においては、セグメント翼間側よりも外径側エンドウォール付近での内径側へ向かう流れが強くなるため、セグメント連結部側の外径側領域42の割合、および鋭角γを大きくすることにより、背側翼面17,18のそれぞれでフィルム冷却の均一性を向上することが可能となる。
本実施例の最適な形態としては、セグメント連結部側の背側翼面17においては、外径側領域42が領域40の50%以内であり、角度γは外径側エンドウォール15に近づくにつれて徐々に大きくなり、外径側エンドウォール15に最も近いフィルム孔位置で、
γ≦β+α
であることが望ましい。また、セグメント翼間側の背側翼面18においては、外径側領域42が領域40の30%以内であり、角度γは外径側エンドウォール15に近づくにつれて徐々に大きくなり、外径側エンドウォール15に最も近いフィルム孔位置で、
γ≦β+α/2
であることが望ましい。
また、本実施例では第一段静翼を例にとって説明したが、後流の翼でも同様の構成であれば、同じ効果を得ることができる。
1,3 静翼
2 動翼
4 トランジションピース
5 燃焼ガス
6 シュラウド
7 タービンケーシング
8 サポートリング
9 冷却空気
10 翼本体
11,17,18 背側翼面
12 腹側翼面
13 前縁
14 後縁
15 外径側エンドウォール
16 内径側エンドウォール
20 空洞
21 インサート
22,23 外径側セグメント連結部
24,25 内径側セグメント連結部
30 フィルム孔
31,32,33 フィルム孔列
40 領域
41 内径側領域
42 外径側領域
61,62 フィルム孔列31のフィルム孔間隔

Claims (7)

  1. 径方向に並んだ複数の第一のフィルム孔からなる第一のフィルム孔列と、
    前記第一のフィルム孔の下流側に位置し、径方向に並んだ複数の第二のフィルム孔からなる第二のフィルム孔列を有するガスタービン翼において、
    前記第一のフィルム孔と、前記第二のフィルム孔のうち前記第一のフィルム孔から最も近い孔との距離が、径方向で異なる部分を有し、
    下流側に向かって内径方向に傾斜する外径側エンドウォールと、内径側エンドウォールを有し、
    前記第一のフィルム孔と、前記第二のフィルム孔のうち前記第一のフィルム孔から内径側で最も近い孔との距離が、内径側と外径側で等距離か、内径側より外径側の方が離れている部分を有し、
    隣接する前記第一のフィルム孔同士の間隔が、等間隔な部分を内径側に有し、前記等間隔な部分の外径側に、外径側へ向かうにしたがって広くなる部分を有することを特徴とするガスタービン翼。
  2. 径方向に並んだ複数の第一のフィルム孔からなる第一のフィルム孔列と、
    前記第一のフィルム孔の下流側に位置し、径方向に並んだ複数の第二のフィルム孔からなる第二のフィルム孔列を有するガスタービン翼において、
    前記第一のフィルム孔の中心と、前記第二のフィルム孔のうち前記第一のフィルム孔から内径側で最も近い孔の中心とを結んだ直線と、回転軸に平行な直線との成す角が、径方向位置で異なる部分を有し、
    下流側に向かって内径方向に傾斜する外径側エンドウォールと、内径側エンドウォールを有し、
    外径側の前記成す角が、内径側の前記成す角と同じかそれよりも大きく、
    最内径側の前記第一のフィルム孔についての前記成す角をβとし、
    最内径から所定の位置までの前記成す角がβであり、
    前記所定の位置よりも外径側の前記第一のフィルム孔についての前記成す角をγとし、
    前記外径側エンドウォールと回転軸に平行な直線との成す角をαとし、
    γがβとαの和以下であることを特徴とするガスタービン翼。
  3. 請求項1または2のガスタービン翼において、
    前記等間隔な部分または前記所定の位置が、前記第一のフィルム孔列の径方向高さで外径側半分以内に位置していることを特徴とするガスタービン翼。
  4. 請求項1から3の何れかのガスタービン翼において、
    隣接する前記第二のフィルム孔同士の間隔が等間隔であることを特徴とするガスタービン翼。
  5. 高圧空気を生成する圧縮空気と、前記高圧空気と燃料とから燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼ガスで駆動するタービンを有し、前記タービンは静翼と動翼を有し、前記静翼は、複数の静翼を有するセグメントを複数連結させた構造を備え、
    前記複数の静翼はそれぞれ、径方向に並んだ複数の第一のフィルム孔からなる第一のフィルム孔列と、前記第一のフィルム孔の下流側に位置し、半径方向に並んだ複数の第二のフィルム孔からなる第二のフィルム孔列を有し、
    前記第一のフィルム孔列と前記第二のフィルム孔列とを有する面が前記セグメントの連結部側に面する第一の静翼と、前記第一のフィルム孔列と前記第二のフィルム孔列とを有する面が前記セグメントの連結部側に面しない第二の静翼とを備えたガスタービンにおいて、
    前記第一のフィルム孔と、前記第二のフィルム孔のうち前記第一のフィルム孔よりも内径側で最も近い孔との距離が、内径側より外径側の方が離れている部分を有し、
    下流側に向かって内径方向に傾斜する外径側エンドウォールと、内径側エンドウォールを有し、
    前記第一のフィルム孔と、前記第二のフィルム孔のうち前記第一のフィルム孔から内径側で最も近い孔との距離が、内径側と外径側で等距離か、内径側より外径側の方が離れている部分を有し、
    隣接する前記第一のフィルム孔同士の間隔が、等間隔な部分を内径側に有し、前記等間隔な部分の外径側に、外径側へ向かうにしたがって広くなる部分を有し、
    前記第一の静翼と前記第二の静翼で同位置に存在する前記第二のフィルム孔に関し、前記距離が、前記第一の静翼の方が前記第二の静翼よりも離れていることを特徴とするガスタービン。
  6. 径方向に並んだ複数の第一のフィルム孔からなる第一のフィルム孔列と、
    前記第一のフィルム孔の下流側に位置し、径方向に等間隔に並んだ複数の第二のフィルム孔からなる第二のフィルム孔列を有するガスタービン翼において、
    下流側に向かって内径方向に傾斜する外径側エンドウォールと、内径側エンドウォールを有し、
    前記第一のフィルム孔からのフィルム空気が、隣接する前記第二のフィルム孔の中間を通過するように、前記第一のフィルム孔を、隣接する前記第一のフィルム孔同士の間隔が等間隔な部分を内径側に有し、前記等間隔な部分の外径側に、外径側へ向かうにしたがって広くなる非等間隔な部分を有するように配置したことを特徴とするガスタービン翼。
  7. 径方向に並んだ複数の第一のフィルム孔からなる第一のフィルム孔列と、
    前記第一のフィルム孔の下流側に位置し、径方向に等間隔に並んだ複数の第二のフィルム孔からなる第二のフィルム孔列と、
    下流側に向かって内径方向に傾斜する外径側エンドウォールと、内径側エンドウォールとを有するガスタービン翼のフィルム冷却方法において、
    隣接する前記第一のフィルム孔同士の間隔が、等間隔な部分を内径側に有し、前記等間隔な部分の外径側に、外径側へ向かうにしたがって広くなる部分を有するように配置された前記第一のフィルム孔からのフィルム空気を、燃焼ガスの流れの影響を受けて回転軸に平行な方向からずれて流れた後に、隣接する前記第二のフィルム孔の中間を通過させることを特徴とするガスタービン翼のフィルム冷却方法。
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