JP5331338B2 - 呼吸器疾患治療用新規持続性気管支拡張剤 - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
本発明は、一般式(1)の化合物:
Figure 0005331338
(式中、n、A、B、D、R1、R2、R3及びR4は、特許請求の範囲及び明細書に示した意味を有していてもよい。)、それらを調製する方法及びそれらの医薬組成物としての使用、特には呼吸器疾患治療用医薬組成物に関する。
(発明の説明)
本発明は、一般式(1)の化合物に関し、これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい:
Figure 0005331338
(式中、
nは、1、2又は3、好ましくは1及び2を示し、
Aは、O、N又は単結合を示し、
Bは、-CH2-CH2-、-CH=CH- 及び -CH2-O-の中から選ばれる、2つの結合を有する(double-bonded)基を示し、
Lは、-CO-(CH2)m-、 -CO-(CH2)m-NH-CO-(CH2)o-、 -CO-(CH2)m-CO-NH-(CH2)o-、-CO-(CH2)m-O-(CH2)p-、-(CH2)p-、 -(CH2)p-O-(CH2)r-、-(CH2)p-NH-CO-(CH2)o-、 -(CH2)p-CO-NH-(CH2)o-、SO2-(CH2)m-、-SO2-(CH2)m-NH-CO-(CH2)o-、-SO2-(CH2)m-CO-NH-(CH2)o-、-SO2-(CH2)m-O-(CH2)p-の中から選ばれる、2つの結合を有する基を示し、
m、oは、それぞれ独立に(independently of one another)1から12を示し、
p、rは、それぞれ独立に2から12を示し、
1、R2、R3は、同一でも異なっていてもよく、水素、C1-C6アルキル、 ハロゲン-C1-C6アルキレン、OH、-CF3、CHF2、HO-C1-6アルキレン、-O-C1-C6アルキル、C6-C10アリール、C6-C10アリール-C1-C4アルキレン、C6-C10アリール-C1-C6アルキレン-O、-COOH、
-COOC1-C6アルキル、-O-C1-C6アルキレン-OOH、-O-C1-C6アルキレン-COOC1-C6アルキル、-NHSO3H、-NHSO2-C1-C6アルキル、CN、NH2、-NH-C1-C6アルキル、-N(C1-C6アルキル)2、NO2、-S-C1-C6アルキル、-SO2-C1-C6アルキル、-SO-C1-C6アルキル、
-O(CO)C1-C6アルキル、-COC1-C6アルキル、-NHCOC1-C6アルキル又はハロゲン、特にはフッ素、塩素又は臭素を示し、
Dは、
Figure 0005331338
の中から選ばれる、2つの結合を有する基を示し、
4は、水素、C1-C6アルキル、C6-C10アリール、C6-C10アリール-C1-C4アルキレン、又は下記の基を示し、
Figure 0005331338
Eは
Figure 0005331338
中から選ばれる基を示し、
5は、水素、水酸基、-C1-C4アルキル、- C1-C4アルキルオキシ、- C1-C4アルキレン-ハロゲン、-O- C1-C4アルキレン-ハロゲン、- C1-C4アルキレン-OH、-CF3、CHF2、-C1-C4アルキレン- C1-C4アルキルオキシ、-O-CO C1-C4アルキル、-O-CO C1-C4アルキレン-ハロゲン、- C1-C4アルキレン-C3-C6シクロアルキル、-O-COCF3又はハロゲンを示し、
M及びQは、同一でも異なっていてもよく、好ましくは同一で、-O-、-S-、-NH-、-CH2-、-CH=CH-又は-N(C1-C4アルキル)-を示し、
6、R7、R6'及びR7'は、同一でも異なっていてもよく、水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルキルオキシ、水酸基、-CF3、-CHF2、CN、NO2又はハロゲンを示し、
x及びRx'は、同一でも異なっていてもよく、水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルキルオキシ、水酸基、-CF3、-CHF2、CN、NO2又はハロゲンを示すか、又は、
x及びRx'が一緒になって、単結合又は、-O-、-S-、-NH-、-CH2-、-CH2-CH2-、-N(C1-C4アルキル)-、-CH(C1-C4アルキル)及びC(C1-C4アルキル)2の中から選ばれる架橋基を示す。)
一般式(1)の化合物で好ましいものは、
式中、
nが、1又は2を示し、
Aが、O、N又は単結合を示し、
Bが、-CH2-CH2-、-CH=CH-及び-CH2-O-の中から選ばれる、2つの結合を有する基を示し、
Lが、-CO-(CH2)m-、-CO-(CH2)m-NH-CO-(CH2)o-、-CO-(CH2)m-CO-NH-(CH2)o-、-CO-(CH2)m-O-(CH2)p-、-(CH2)p-、-(CH2)p-O-(CH2)r-、-(CH2)p-NH-CO-(CH2)o-の中から選ばれる、2つの結合を有する基を示し、
m、oが、それぞれ独立に1から10を示し、
p、rが、それぞれ独立に2から10を示し、
1、R2、R3が、同一でも異なっていてもよく、水素、C1-C4アルキル、ハロゲン-C1-C4アルキレン、OH、-CF3、CHF2、HO-C1-4アルキレン、-O-C1-C4アルキル、C6-C10アリール、C6-C10アリール-C1-C2アルキレン、C6-C10アリール-C1-C4アルキレン-O、-COOH、
-COOC1-C4アルキル、-O-C1-C4アルキレン-COOH、-O-C1-C4アルキレン-COOC1-C4アルキル、-NHSO3H、-NHSO2-C1-C4アルキル、CN、NH2、-NH-C1-C4アルキル、-N(C1-C4アルキル)2、NO2、-S-C1-C4アルキル、-SO2-C1-C4アルキル、-SO-C1-C4アルキル、-O(CO)C1-C4アルキル、-COC1-C4アルキル、-NHCOC1-C4アルキル、又はハロゲン、特にはフッ素、塩素又は臭素を示し、
Dが、
Figure 0005331338
の中から選ばれる、2つの結合を有する基を示し、
4が、水素、C1-C4アルキル、C6-C10アリール、C6-C10アリール-C1-C2アルキレン、又は下記の基を示し、
Figure 0005331338
Eが、
Figure 0005331338
の中から選ばれる基を示し、
5が、水素、水酸基、-C1-C4アルキル、-C1-C4アルキルオキシ、-CF3、-CHF2、HO-CH2、HO-CH2-CH2、フッ素、塩素又は臭素を示し、
M及びQが、同一でも異なっていてもよく、好ましくは同一で、-O-、-S-、-NH-又は
-CH=CH-を示し、
6、R7、R6'及びR7'が、同一でも異なっていてもよく、水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルキルオキシ、水酸基、-CF3、-CHF2、CN、NO2、フッ素、塩素又は臭素を示し、
x及びRx'が、同一でも異なっていてもよく、水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルキルオキシ、水酸基、-CF3、-CHF2、CN、NO2、フッ素、塩素又は臭素を示すか、又は、
x及びRx'が一緒になって、単結合又は、-O-、-S-、-NH-及び-CH2-の中から選ばれる架橋基を示し、
これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
また、一般式(1)の化合物で好ましいものは、
式中、
nが、1又は2、好ましくは1を示し、
Aが、O、N又は単結合を示し、
Bが、-CH2-CH2-、-CH=CH-及び-CH2-O-の中から選ばれる2つの結合を有する基を示し、
Lが、-CO-(CH2)m-、-CO-(CH2)m-NH-CO-(CH2)o-、-CO-(CH2)m-CO-NH-(CH2)o-、-CO-(CH2)m-O-(CH2)p-、-(CH2)p-、-(CH2)p-O-(CH2)r-、-(CH2)p-NH-CO-(CH2)o-の中から選ばれる、2つの結合を有する基を示し、
m、oが、それぞれ独立に1から8を示し、
p、rが、それぞれ独立に2から8を示し、
1、R2、R3が、同一でも異なっていてもよく、水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルキルオキシ、水酸基、-CF3、-CHF2、フェニル、ベンジル、-COOH、-COOメチル、-O-CH2-COOH、 -O-CH2-COOメチル、-O-CH2-COOエチル、-O-CH2-CH2-COOH、-O-CH2-CH2-COOメチル、-O-CH2-CH2-COOエチル、CN、NO2、フッ素、塩素又は臭素を示し、
Dが、
Figure 0005331338
の中から選ばれる2つの結合を有する基を示し、
4が、水素、メチル、エチル、フェニル、ベンジル又は下記の基を示し、
Figure 0005331338
Eが、
Figure 0005331338
の中から選ばれる基を示し、
5が、水素、水酸基、メチル、エチル、メチルオキシ、エチルオキシ、-CF3、HO-CH2-、HO-CH2-CH2-又はフッ素を示し、
M及びQが、同一でも異なっていてもよく、好ましくは同一で、-S-又は-CH=CHを示し、
6、R7、R6'及びR7'が、同一でも異なっていてもよく、水素、メチル、メチルオキシ、
-CF3又はフッ素を示し、
x及びRx'が、同一でも異なっていてもよく、水素、メチル、メチルオキシ、-CF3又はフッ素を示すか、又は、
x及びRx'が一緒になって、単結合又は、架橋基−O−を示し、
これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
また、一般式(1)の化合物で好ましいものは、式中nが1を示し、ここで、A、B、D、L、R1、R2、R3及びR4が、上記及び下記の意味を有していてもよく、これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
また、一般式(1)の化合物で好ましいものは、式中AがO(酸素)又はN(窒素)、好ましくはNを示し、ここで、n、B、D、L、R1、R2、R3及びR4が、上記及び下記の意味を有していてもよく、これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
また、一般式(1)の化合物で好ましいものは、式中Bが-CH=CH又は-CH2-O、好ましくは-CH2-O-、を示し、ここで、n、A、D、L、R1、R2、R3及びR4が、上記及び下記の意味を有していてもよく、これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
Bが−CH2−O−を示す化合物の中で特に好ましいものは、一般式(1a)の位置異性体であり、
Figure 0005331338
(式中、n、A、D、L、R1、R2、R3及びR4が、上記及び下記の意味を有していてもよい。)
これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
また、一般式(1)の化合物で好ましいものは、式中、
Lが、-CO-(CH2)1-6-、-CO-(CH2)1-6-NH-CO-(CH2)1-4-、-CO-(CH2)1-6-CO-NH-(CH2)1-4-、
-CO-(CH2)1-6-O-(CH2)2-6-、-(CH2)2-6、-(CH2)2-6-O-(CH2)2-6-、-(CH2)2-6-NH-CO-(CH2)1-4-の中から選ばれる、2つの結合を有する基を示し、ここで、n、A、B、D、R1、R2、R3及びR4が、上記及び下記の意味を有していてもよく、これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
また、一般式(1)の化合物で好ましいものは、式中、
Lが、-CO-(CH2)1-6-、-CO-(CH2)1-4-NH-CO-(CH2)1-2-、-CO-(CH2)1-4-CO-NH-(CH2)1-2-、
-CO-(CH2)1-4-O-(CH2)2-4-、-(CH2)2-4、-(CH2)2-4-O-(CH2)2-4-、-(CH2)2-4-NH-CO-(CH2)1-2-の中から選ばれる、2つの結合を有する基を示し、ここで、n、A、B、D、R1、R2、R3及びR4が、上記及び下記の意味を有していてもよく、これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
また、一般式(1)の化合物で好ましいものは、式中、
Lが、-CO-CH2-NH-CO-CH2-、-CO-CH2-NH-CO-CH2-CH2-、-CO-CH2-CH2-NH-CO-CH2-、-CO-CH2-CH2-NH-CO-CH2-CH2--、-CO-CH2-CH2-CH2-NH-CO-CH2-、-CO-CH2-CH2-CH2-NH-CO-CH2-CH2-、-CO-CH2-CH2-CH2-CH2-NH-CO-CH2-、-CO-CH2-CH2-CH2-CH2-NH-CO-CH2-CH2-、-CO-CH2-、-CO-CH2-CH2-、-CO-CH2-CH2-CH2-、-CO-CH2-CH2-CH2-CH2-、
-CO-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CO-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CO-CH2-CO-NH-CH2-、-CO-CH2-CO-NH-CH2-CH2-、-CO-CH2-CH2-CO-NH-CH2-、-CO-CH2-CH2-CO-NH-CH2-CH2-、-CO-CH2-CH2-CH2-CO-NH-CH2-、-CO-CH2-CH2-CH2-CO-NH-CH2-CH2-、-CO-CH2-CH2-CH2-CH2-CO-NH-CH2-及び-CO-CH2-CH2-CH2-CH2-CO-NH-CH2-CH2-の中から選ばれる2つの結合を有する基を示し、ここで、n、A、B、D、R1、R2、R3及びR4が、上記及び下記の意味を有していてもよく、これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
また、一般式(1)の化合物で好ましいものは、式中、
Lが、-CO-CH2-CH2-NH-CO-CH2-、-CO-CH2-CH2-NH-CO-CH2-CH2-、-CO-CH2-CH2-CH2-NH-CO-CH2-、-CO-CH2-CH2-CH2-NH-CO-CH2-CH2-、-CO-CH2-CH2-CH2-CH2-NH-CO-CH2-及び-CO-CH2-CH2-CH2-CH2-NH-CO-CH2-CH2-の中から選ばれる2つの結合を有する基を示し、ここで、n、A、B、D、R1、R2、R3及びR4が、上記及び下記の意味を有していてもよく、これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
また、一般式(1)の化合物で好ましいものは、式中、
1、R2、R3が、同一でも異なっていてもよく、水素、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、OH、-CF3、-CHF2、フッ素、塩素又は臭素、好ましくは水素、メチル、メトキシ、-CF3、-CHF2、又はフッ素、得に好ましくは水素、メチル又はフッ素を示し、ここで、n、A、B、D、L及びR4が、上記及び下記の意味を有していてもよく、これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
また、一般式(1)の化合物で好ましいものは、式中、
Dが、
Figure 0005331338
特に好ましくは-CH2-CH2-を示し、ここで、n、A、B、L、R1、R2、R3及びR4が、上記及び下記の意味を有していてもよく、これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
また、一般式(1)の化合物で好ましいものは、式中、
Dが、
Figure 0005331338
を示し、ここで、n、A、B、L、R1、R2、R3及びR4が、上記及び下記の意味を有していてもよく、これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
また、一般式(1)の化合物で好ましいものは、式中、
4が、水素、メチル、エチル、フェニル又はベンジル、好ましくは水素、メチル又はベンジル、特に好ましくは水素を示し、ここで、n、A、B、D、L、R1、R2及びR3が、上記及び下記の意味を有していてもよく、これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
また、一般式(1)の化合物で好ましいものは、式中、
4が、
Figure 0005331338
を示し、
(式中、
5が、水素、水酸基、メチル又はフッ素、好ましくは、水素、水酸基又はメチル、特に好ましくは、水酸基を示し、
M及びQが、同一でも異なっていてもよく、好ましくは同一で、-S-又は-CH=CH-を示し、
6、R7、R6'及びR7'が、同一でも異なっていてもよく、水素、-CF3又はフッ素、好ましくは水素を示し、
x及びRx'が、同一でも異なっていてもよく、水素、-CF3又はフッ素、好ましくは水素を示すか、又は、
x及びRx'が一緒になって、単結合又は、架橋基-O-を示す。)
ここで、n、A、B、D、L、R1、R2及びR3が、上記及び下記の意味を有していてもよく、これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
また、一般式(1)の化合物で好ましいものは、式中、
4が、
Figure 0005331338
を示し、
(式中、
5が、水素、水酸基、メチル、-CF3又はHO-CH2-を示し、
6及びR7が、同一でも異なっていてもよく、水素、メチル、メチルオキシ、-CF3又はフッ素、好ましくは水素又はフッ素、特に好ましくは水素を示す。)
ここで、n、A、B、D、L、R1、R2及びR3が、上記及び下記の意味を有していてもよく、これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
別の側面において、本発明は、個々の光学異性体、個々のエナンチオマー又は任意にジアステレオマーとの混合物又はラセミ化合物の形態の上記一般式(1)の新規化合物に関する。特に好ましいのは、エナンチオマー又はジアステレオマー的に純粋な化合物の形態の一般式(1)の化合物で、その上一般式(R−1)で表されてもよい本発明の一般式(1)の化合物のR−エナンチオマー又は任意にジアステレオマーが極めて重要である:
Figure 0005331338
(式中、n、A、B、D、L、R1、R2、R3及びR4が、上記の意味を有していてもよい。)
これらは任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
一般式(1)の化合物は水酸基の位置について、3つの異なる位置異性体として得られてもよい。
本発明の一般式(1)の化合物の好ましい位置異性体は、一般式(Regio−1a)の化合物群である:
Figure 0005331338
(式中、n、A、B、D、L、R1、R2、R3及びR4が、上記の意味を有していてもよい。)
これらは、任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの形態で、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物又はラセミ化合物、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
本発明の一般式(1)の化合物のその他の好ましい位置異性体は、一般式(Regio−1b)の化合物群である:
Figure 0005331338
(式中、n、A、B、D、L、R1、R2、R3及びR4が、上記の意味を有していてもよい。)
これらは任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態でもよく、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態であってもよい。
特に明記しない限り、アルキル基は直鎖又は分岐鎖のアルキル基で、炭素数が1から6、好ましくは1から4である。以下にその例を示す:メチル、エチル、プロピル又はブチル。ある場合には、Me、Et、Prop又はBuという略語を、メチル、エチル、プロピル又はブチル基を示すのに用いる。特に明記しない限り、プロピル及びブチルの定義は、当該の化合物の全ての可能な異性体を含む。よって、例えば、プロピルにはn−プロピル及びiso−プロピルが含まれ、ブチルにはiso−ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルなどが含まれる。
特に明記しない限り、アルキレン基は直鎖又は分岐鎖の2つの結合を有するしたアルキル架橋体で、炭素数が1から6、好ましくは1から4である。例として、メチレン、エチレン、プロピレン又はブチレンが含まれる。
特に明記しない限り、アルキレン−ハロゲン基は、直鎖又は分岐鎖の2つの結合を有するアルキル架橋体で、炭素数が1から6、好ましくは1から4であり、ハロゲンで単置換、二置換又は三置換、好ましくは二置換されている。したがって、特に明記しない限り、そのアルキレン−OH基は直鎖又は分岐鎖の2つの結合を有するアルキル架橋体で、炭素数が1から6、好ましくは1から4であり、水酸基で単置換、二置換又は三置換、好ましくは二置換されている。
特に明記しない限り、アルキルオキシ基(又は、−O−アルキル基又はアルコキシ基)という用語は、直鎖又は分岐鎖のアルキル基で、炭素数が1から6、好ましくは1から4で、酸素原子を介して結合しているものを示す。それらの例としては、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ又はブチルオキシがあげられる。その略語であるMeO−、EtO−、PropO−又はBuO−を、ある場合には、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ又はブチルオキシ基を示すのに用いる。特に明記しない限り、プロピルオキシ及びブチルオキシの定義は、当該の化合物の全ての可能な異性体を含む。よって、例えば、プロピルオキシにはn−プロピルオキシ及びiso−プロピルオキシが含まれ、ブチルオキシにはiso−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ及びtert−ブチルオキシなどが含まれる。ある場合には、本発明の範囲内で、アルコキシという用語をアルキルオキシの代わりに使う。したがって、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシという用語を、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ又はブチルオキシ基を示すのに用いてもよい。
C6-C10アリールという用語は、炭素数が6から10の芳香族環系のものを示す。好ましいアリール基は、フェニル又はナフチルである。
C6-C10アリール−C1-C4アルキレンという用語は、炭素数が6から10の芳香族環系に、炭素数が1から4のアルキレン架橋を介して結合しているものを示す。好ましいアラルキレン基は、ベンジル又はフェニルエチルである。
本発明の範囲内で、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を示す。特に明記しない限り、フッ素、塩素及び臭素が好ましいハロゲンである。
別の側面において、本発明は上記の一般式(1)の化合物の薬理学的に許容可能な酸との酸付加塩、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物に関する。
酸付加による、薬理学的に許容可能な酸との塩は、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ハイドロサルフェート(hydrosulphate)、ハイドロホスフェイト(hydrophosphate)、ハイドロメタンスルホネート(hydromethanesulphonate)、アジ化水素酸塩(hydronitrate)、ハイドロマレエート(hydromaleate)、ハイドロアセテート(hydroacetate)、ハイドロベンゾエート(hydrobenzoate)、ハイドロシトレート(hydrocitrate)、ハイドロフマレート(hydrofumarate)、ハイドロタートレート(hydrotartrate)、ハイドロオキサレート(hydrooxalate)、ハイドロスクシネート(hydrosuccinate)、ハイドロベンゾエート(hydrobenzoate)及びハイドロ−p−トルエンスルホネート(hydro-p-toluenesulphonate)、好ましくは塩酸塩、臭化水素酸塩、ハイドロサルフェート、ハイドロホスフェイト、ハイドロフマレート及びハイドロメタンスルホネートの中から選ばれる塩を意味する。
上記の酸付加塩のうち、塩酸、メタンスルホン酸、安息香酸及び酢酸の塩が、本発明において特に好ましい。
本発明の一般式(1)の化合物は、サブタイプM3のムスカリン受容体への拮抗(antagonist)作用及びアドレナリン作用性β2受容体への作用活性(agonistic)を特徴とする。本発明による化合物は、M3受容体へのアフィニティーに関しては1μMよりも低いKi値を有し、β2作用活性に関しては1μMよりも低いEC50値を有する。これらの値は以下に記載された手順を用いて決定した。
M3受容体結合
ヒトムスカリン受容体サブタイプhm3の対応する遺伝子でトランスフェクトしたCHO(チャイニーズハムスターの卵巣)細胞からの膜調製物を、結合アッセイに用いた。この試験は最終容積1mlで行い、これは100μlの種々の濃度のラベルしていない基質、100μlの放射性配位子(3H−N−メチルスコポラミン 2nmol/L(3H−NMS)、200μlの膜調製物及び600μlのHEPES緩衝液(20mmol/LのHEPES、10mmol/LのMgCl2、100mmol/LのNaCl、1mol/LのNaOHでpHを7.4に調整)から成る。その非特異的結合を10μmol/Lのアトロピンで測定した。
膜調製物を45分間37℃、96−ウェルマイクロタイタープレート(ベックマン(Beckman)社製、ポリスチレン、No.267001)内で培養し、二重測定(a double measurement)とした。培養したものを、イノテック社製のセルハーベスター(Inotech Cell Harvester)(IH110型)を用いてワットマン社製のG−7フィルター(Whatman G-7 filter)でろ過することによって停止した。そのフィルターを3mlの氷で冷やしたHEPES緩衝液で洗浄し、測定前に乾燥した。そのフィルターマットの放射能を、2次元デジタルオートラジオグラフ(Autoradiograph)(Berthold、Wildbad、3052型)で同時に測定した。Ki値は、1受容体2配位子反応(シスフィット(SysFit)ソフトウェア、SCHIRRKOWSKI)用モデルを用い、質量作用法(the mass-action law)から直接導いた絶対方程式(implicit equations)を用いて計算した。
文献
BONNER TI, New subtypes of muscarinic acetylcholine receptors
Trends Pharmacol. Sci. 10, Suppl.: 11-15 (1989);
SCHITTKOWSKI K: Parameter estimation in systems of nonlinear equations Numer Math. 68: 129-142 (1994).
β2作用活性
β2受容体への作用活性は、安定的にヒトβ2アドレナリン作用性受容体を発現するCHO(チャイニーズハムスターの卵巣)細胞内での、cAMP合成を測定して決定した。
70−80%の集合に成長した後、細胞をPBSで3回洗浄し、プレートから取り外し、刺激性緩衝液(stimulating buffer)(0.1%のBSA、0.5mMのIBMX、5mMのHepes、1xのHBSS)中に細胞数が0.65×106細胞/mlになるように懸濁させた。次いで、20μlの細胞懸濁液を10μlの検体(0.9%のNaCl、3%のDMSO中)と共に培養した(検体の最終濃度は0.01nMから10μM)。30分間室温で培養した後、細胞に20μlの溶解緩衝液(0.3%のTween20、5mMのHepes、0.1%のBSA)を加えて、氷の上で最低30分間かけて溶解した。そして、5μlの溶解した物質を、四倍測定(a four-fold measurement)の384ウェルプレート(OptiPlate;Packard Bioscience)にピペッティングした。合成したcAMPを、バイオシグナルパッカード(BioSignal Packard)社製のアルファスクリーンcAMP検出キット(AlphaScreen写生 cAMP Detection Kit)を用いて検出し、続いてフュージョンリーダー(Fusion reader)(パッカードバイオサイエンス社製)で測定した。得られたアルファスクリーンカウント(ACS)を、cAMP標準曲線を用いてcAMP合成に直接変換した。それぞれのテストプレートの刺激(stimulation)レベル(固有活性)を決定するために、細胞を対照溶液(0.9%のNaCl、3%のDMSO)(=non-stimulated細胞、“低”)のみと又は、完全なβ受容体作用薬(agonist)イソプレナリン(1nMから10μM;=100%刺激(stimulate)された細胞;“高”)と混合した。データを分析するために、当該の検体の最大cAMP合成を、完全なβ受容体作用薬イソプレナリンの値を用い、以下の式により計算した:[cAMP(基質)]−[cAMP(低)]×100/[cAMP(高)−[cAMP(低)]。ED50を、ソフトウェアグラフパッドプリズム(Software Graph Pad Prism)で計算した。
本発明の一般式(1)の化合物は、治療分野での使用への汎用性で特徴付けられた。一般式(1)の本発明の化合物を、それらの抗コリン作用薬及びベータミメティックス(betamimetics)としての薬学的有効性に基づいて用いるのが好ましく、これらの可能な用途についての発明について特別の記載をすべきである。
別の側面において、本発明は、医薬組成物としての上記一般式(1)の新規化合物に関する。本発明はまた、上記一般式(1)の化合物の、呼吸器疾患治療用医薬組成物を調製するための使用に関する。本発明は、上記一般式(1)の化合物の、呼吸器疾患(種々の原因による閉塞性肺疾患、種々の原因による肺気腫、限定的(restrictive)肺疾患、間質性肺疾患、嚢胞性繊維症、種々の原因による気管支炎、気管支拡張症、ARDS(成人呼吸窮迫症候群)及び全ての形態の肺水腫から選ばれるもの)の治療用医薬組成物の調製を目的とした使用に関するのが好ましい。
一般式(1)の化合物は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管支喘息、小児喘息、重症喘息(severe asthma)、急性喘息発作及び慢性気管支炎から選ばれる閉塞性肺疾患の治療用医薬組成物の調製に用いるのが好ましく、本発明により特に好ましいのは、気管支喘息の治療用医薬組成物を調製するための使用である。
一般式(1)の化合物は、又、COPD(慢性閉塞性肺疾患)又はα1プロテイナーゼ阻害欠損症に由来する、肺気腫の治療用医薬組成物の調製に用いるのも好ましい。
一般式(1)の化合物は、又、アレルギー性歯槽骨炎、石綿症又は珪肺症のように業務用の有害な物質によって引き起こされる限定的肺疾患、例えばlymphangiosis carcinomatosa、気管支肺胞癌及びリンパ腫のような肺腫瘍によって引き起こされる制限から選ばれる限定的肺疾患の治療用医薬組成物の調製に用いるのも好ましい。
一般式(1)の化合物は、又、例えば、ウィルス、バクテリア、菌類、原虫、寄生虫又はその他の病原体からの感染によって引き起こされる肺炎、例えば、吸引及び左心機能不全症などの様々な要因によって引き起こされる肺臓炎、放射線肺臓炎又は繊維症、collagenoses、例えば狼瘡etythematode、全身性強皮症(systemic sclerodermy)又はサルコイドーシス、granulomatoses、例えばBoeck病、特発性間質性肺炎又は特発性肺繊維症から選ばれる間質性肺疾患の治療用医薬組成物の調製に用いるのも好ましい。
一般式(1)の化合物は、又、嚢胞性繊維症又はムコビシドーシスの治療用医薬組成物の調製に用いるのも好ましい。
一般式(1)の化合物は、又、例えば、バクテリア又はウィルス感染によって引き起こされる気管支炎、アレルギー性気管支炎及び中毒性気管支炎のような気管支炎の治療用医薬組成物の調製に用いるのも好ましい。
一般式(1)の化合物は、又、気管支拡張症の治療用医薬組成物の調製に用いるのも好ましい。
一般式(1)の化合物は、又、ARDS(成人呼吸窮迫症候群)の治療用医薬組成物の調製に用いるのも好ましい。
一般式(1)の化合物は、又、例えば有害物質及び異物を吸引又は吸入することで起きる中毒性肺水腫のような肺水腫の治療用医薬組成物の調製に用いるのも好ましい。
特に好ましくは、本発明は、喘息又はCOPDの治療用医薬組成物を調製するための一般式(1)の化合物の使用に関する。また、とりわけ重要なことは、一日一回投与の炎症性及び閉塞性呼吸器疾患の治療(特には一日一回投与の喘息又はCODPの治療)用医薬組成物を調製するための上記一般式(1)の化合物の使用である。
更に、本発明は上記の疾病の治療法に関しており、一つ以上の上記一般式(1)の化合物を治療的に有効な量を投与することを特徴とする。本発明は、喘息又はCOPDの治療法に関するのが好ましく、一つ以上の上記一般式(1)の化合物を治療的に有効な量を一日一回投与することを特徴とする。
一般式(1)の本発明の化合物は、吸入による投与時に長時間効果が持続することを特徴とする。このことは以下の試験で実証されている。
麻酔をかけた犬に、アセチルコリン(ACh)を静脈投与することによって気管支収縮が引き起こされ得る。吸入した気管支拡張剤(例えば抗コリン作用薬又はベータ2模倣剤(mimetics))がACh−誘発気管支痙攣から実験動物を守る。この研究では、プロポフォールで麻酔をかけて人工換気(artificially ventilated)を行ったビーグル犬において、血管(例えば頭部の動脈(cephalic artery))をAChの静脈投与(intravenous administration)のために用意した。麻酔が効いている間、実験動物のバイタルサインを継続的に測定し、生理学上の体温は暖房装置によって一定に保つ。肺差圧は異なる圧力系を用いて測定した。フライシュ(Fleisch)pneumotachometerを気管に取り付け、呼吸数を測定する。ECG及び最低/最高血圧も測定する。
順応時間(a period of acclimatisation)の後、検体を実験動物にレスピマット(Respimat)からの吸入によって与える。検体吸入30及び15分前、及び5、10、20、30、120及び180分後に、AChを投与する。最終測定後、麻酔点滴を取り外し、実験動物は意識を取り戻す。次の日、その実験動物に短時間麻酔をかけ、検体投与から24時間後の気管支保護(bronchoprotection)を測定する。得られたデータを気管支保護の%で計算し、検体を投与する前の値と比べる。
一般式(1)の化合物は、ダイアグラム1に示した方法で得てもよい。
Figure 0005331338
ダイアグラム1
ダイアグラム1に示す出発化合物及び中間生成物において、n、A、B、D、L、R1、R2、R3及びR4は上に定義した通りでもよく、OPG及びX基は以下のように定義されてもよい。
一般式(2)の化合物は、一般式(4)の化合物と溶媒中、好ましくはアルコール中、特に好ましくはエタノール中、で縮合することによってシッフ塩基を形成し、次いで還元剤(例えば、H2/Pd/C又はNaBH4)で還元することによってアミノアルコール(5)を形成する。Xが保護されたアミノ基の場合、次の工程でその保護基、好ましくはBOC基、をトリフルオロ酢酸で脱離し、ωハロカルボン酸ハロゲン化物でアシル化する。その後、それを化合物(6)で置換し、化合物(7)を得る。保護基PGを脱離(ベンジル保護基の場合は水素添加分解的脱離によって)した後、目的の化合物(1)を得る。
化合物(5)のXが脱離基の場合、これは化合物(6)で直接置換してもよい。
A及びLの性質に基づき、化合物(4)は、化合物(3)及び適当な架橋剤Lから本来既知の方法で、アミド形成、エステル形成、アミン形成又はエーテル形成によって調製してもよい。
別の側面において、本発明は一般式(4)の中間生成物に関する。
Figure 0005331338
(式中、Xは、塩素、臭素、ヨウ素、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、p−トルエンスルホネート、又は適当な保護基で保護したアミノ官能基、好ましくは−NH−Boc、−NH−Cbz、−NH−Fmoc、−NH−Teoc又は−NH−Allocを示し、ここで、n、A、L、R1、R2及びR3は上記の意味を有していてもよい。)
当業界で用いられる命名法に基づき、−NH−Bocはtert−ブチルカルバメートを示し、−NH−Cbzはベンジルカルバメートを示し、−NH−Fmocは9−フルオレニル(fluorenyl)メチルカルバメートを示し、−NH−Teocは2−トリメチルシリリルエチルカルバメートを示し、更に−NH−Allocはアリルカルバメートを示す。
好ましいものは、一般式(4)の化合物の中間生成物で、式中、Xが、塩素、臭素、ヨウ素、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、p−トルエンスルホネート又は−NH−Bocを示すもので、ここで、n、A、L、R1、R2及びR3は上記の意味を有していてもよい。
別の側面において、本発明は一般式(5)の中間生成物に関する。
Figure 0005331338
(式中、
OPGは、保護基PGで保護された水酸基を示し、好ましくは-O-C1-C4アルキル、-O-ベンジル又は-O-CH2-O-C1-C4アルキル、好ましくは-O-メチル、-O-エチル、-O-ベンジル又は
-O-CH2-O-メチル、特に好ましくは-O-エチル又は-O-ベンジル、特に好ましくは-O-ベンジルであり、ここで、n、A、L、X、R1、R2及びR3は上記の意味を有していてもよい。)
別の側面において、本発明は一般式(7)の化合物の中間生成物に関する。
Figure 0005331338
(式中、n、A、L、D、X、OPG、R1、R2及びR3は上記の意味を有していてもよい。)
一般式(1)の新規化合物は、以下の実施例と同様に調製してもよい。以下に記載された実施例は、本発明を具体的に説明するためのもので、本発明を制限するものではない。
実施例1
Figure 0005331338
17.00g(203mmol)の4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−酪酸を300mLのTHF中で−25℃まで冷却し、9.7mL(101mmol)のN−メチルモルホリン及び11.4mL(137mmol)のイソブチルクロロホルメートと混合し、−25℃で30分攪拌する。17.5g(201mmol)の4−(2−アミノ−2−メチル−プロピル)−フェニルアミン及び9.7mL(101mmol)のN−メチルモルホリンを加え、その混合物を室温までゆっくりと暖め、更に室温で16時間攪拌する。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液と混合し、相を分離し、水相をEtOAcで抽出する。混合有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、更に減圧留去する。残渣をシリカゲル(溶離液:CH2Cl2/MeOH/NH4OH 95/4.5/0.5から60/35/5に変える)で精製する。対応する画分を集め、減圧留去する。収率は21.5g(74%)で茶色のオイル状。
40g(112mmol)の5−ベンジルオキシ−8−(2−エトキシ−2−ヒドロキシアセチル)−4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン及び40g(114mmol)のN−(2−アミノ−2−メチル−プロピル)−フェニル)−4−(tert−ブチルオキシ−カルボニルアミノ)−ブタン酸アミドを300mLのエタノール中に入れ、80℃まで30分間加熱し、次いで50℃で30分間攪拌する。その後、その混合物を冷却し、NaBH4を加え、得られた混合物を室温で2時間攪拌する。それを少量のアセトンと混合し、室温で30分間攪拌し、氷酢酸で酸性にした後に減圧留去する。残渣をジクロロメタンに溶かし、1MのKHSO4溶液で洗浄し、その後15%のK2CO3溶液で洗浄する。有機相を飽和NaHCO3溶液で抽出し、Na2SO4で乾燥させ、減圧留去する。その残渣をシリカゲル(溶離液:CH2Cl2/MeOH/NH4OH 95/4.5/0.5から60/35/5に変える)で精製する。対応する画分を集め、減圧留去する。収率は60.5g(84%)でオイル状。
実施例2
Figure 0005331338
57g(89mmol)の実施例1の化合物を、800mLのジクロロメタンに溶解し、100mLのトリフルオロ酢酸を加え、この混合物を室温で一晩攪拌する。溶媒は減圧留去し、残渣を酢酸エチル及び水に溶かし、130mLの30%NaOHでアルカリ性にし、相を分離する。水相は再度酢酸エチルで抽出し、有機抽出物を混合して飽和NaHCO3溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧留去する。その残渣をシリカゲル(溶離液:CH2Cl2/MeOH/NH4OH 90/10/1)で精製する。対応する画分を集め、減圧留去する。収率は20.5g(42%)で茶色の固体。
実施例3
Figure 0005331338
2g(3.7mmol)の実施例2の化合物を10mLのジクロロメタンに溶解し、0.65mL(3.7mmol)のヒューニッヒ塩基を加え、その混合物を氷浴で冷却する。0.3mL(3.7mmol)のクロロアセチルクロライドを10mLのジクロロメタンに溶解し、ゆっくりと滴下しながら加える。その混合物を冷却しながら30分間攪拌し、次いで氷浴を取り除き、混合物を室温で2時間攪拌する。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、15%のK2CO3溶液で洗浄する。有機相をNa2SO4で乾燥させ、減圧留去する。その残渣をシリカゲル(溶離液:CH2Cl2/MeOH/NH4OH 95/4.5/0.5から60/35/5に変える)で精製する。対応する画分を集め、減圧留去する。収率は2.1g(92%)でオイル状。
実施例4
Figure 0005331338
470mg(0.7mmol)の実施例3の化合物を、10mLのDMFに溶解し、300mg(0.8mmol)のノルトロパニル(nortropanyl)ベンジレート及び370mgのK2CO3を加え、その混合物を100℃で一晩攪拌する。溶媒を減圧留去し、残渣を水に溶かし、酢酸エチルで2度抽出する。有機抽出物を混合し、Na2SO4で乾燥させ、減圧留去する。その残渣をシリカゲル(溶離液:CH2Cl2/MeOH/NH4OH 95/4.5/0.5から60/35/5に変える)で精製する。対応する画分を集め、減圧留去する。残渣をジイソプロピルエーテル中で粉砕し(triturated)、吸引ろ過する。次いで、それを20mLのメタノールに溶解し、50mgのPd/C(10%)存在下、水素3気圧で室温で2時間振り混ぜる。触媒を吸引ろ過し、溶媒を減圧留去し、その残渣をジイソプロピルエーテル中で粉砕し、吸引ろ過する。収率は102mg(16%);質量分析;[M+H]=834
実施例5
Figure 0005331338
100mg(0.16mmol)の実施例3の化合物をTHFに溶解し、25mg(0.20mmol)のノルトロパノール(nortropanol)及び0.035mL(0.20mmol)のヒューニッヒ塩基を加える。その混合物を60℃で72時間攪拌し、溶媒を減圧留去し、その残渣をジクロロメタンに溶かし、飽和NaHCO3溶液で洗浄する。有機相をNa2SO4で乾燥させ、減圧留去する。その残渣をシリカゲル(溶離液:CH2Cl2/MeOH/NH4OH 95/4.5/0.5から60/35/5に変える)で精製する。対応する画分を集め、減圧留去する。残渣をジイソプロピルエーテル中で粉砕し、吸引ろ過する。次いで、それを10mLのメタノールに溶解し、40mgのPd/C(10%)存在下、水素3気圧で室温で2時間振り混ぜる。触媒を吸引ろ過し、溶媒を減圧留去し、その残渣をジイソプロピルエーテル中で粉砕し、吸引ろ過する。収率は64mg(64%);質量分析;[M+H]=624
実施例6
Figure 0005331338
470mg(0.75mmol)の実施例3の化合物を100mLのDMFに溶解し、210mg(0.76mmol)のノルトロパニルトロパノエート(tropanoaate)及び370mgのK2CO3を加え、その混合物を室温で一晩攪拌する。溶媒を減圧留去し、その残渣を15%のK2CO3溶液に溶かし、ジクロロメタンで2度抽出する。有機抽出物を混合し、Na2SO4で乾燥させ、減圧留去する。その残渣をシリカゲル(溶離液:CH2Cl2/MeOH/NH4OH 95/4.5/0.5から60/35/5に変える)で精製する。対応する画分を集め、減圧留去し、残渣をジイソプロピルエーテル中で粉砕し、吸引ろ過する。次いで、それを15mLのメタノールに溶解し、50mgのPd/C(10%)存在下、水素3気圧で室温で1時間振り混ぜる。触媒を吸引ろ過し、溶媒を減圧留去し、その残渣をジイソプロピルエーテル中で粉砕し、吸引ろ過する。収率は85mg(16%);質量分析;[M+H]=772
一般式(1)の化合物の投与に適した製剤には、錠剤、カプセル、座剤、液体、粉末などがある。医薬活性化合物の割合は、全組成物量の0.05から90wt%、好ましくは0.1から50wt%、にするべきである。既知の賦形剤、例えば、又は不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はラクトース)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ又はアルギン酸)、結合剤(例えば、スターチ又はゼラチン)、潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム又はタルク)及び/又は、放出遅延剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース又はポリ酢酸ビニル)と共に活性物質を混ぜることにより、適した錠剤を得てもよい。また錠剤はいくつかの層で構成されていてもよい。
コーティングした錠剤は、錠剤と同じように製造したコアを、通常錠剤をコーティングするのに使われる物質(例えばコリドン(collidone)又はセラック、アラビアガム、タルク、二酸化チタン又は糖)でコーティングすることによって調製してもよい。放出を遅らせる又は不適合を防ぐために、コアは数層から成っていてもよい。同様に、錠剤コーティングは薬剤の放出を遅らせるために数層から成っていてもよく、あるいは上記の賦形剤を錠剤に用いてもよい。
本発明の活性物質又は活性物質の組み合わせを含むシロップ剤又はエリキシル剤は、甘味料(例えば、サッカリン、シクラメート、グリセロール又は糖)及び調味料(例えば、バニリン又はオレンジエキスといった香味料)を付加的に含んでいてもよい。それらは懸濁補助剤又は増粘剤(例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、湿潤剤(例えば、脂肪族アルコールとエチレンオキシドの縮合物)又は防腐剤(例えば、p−ヒドロキシベンゾエート)を含んでいてもよい。
液体は通常の方法(例えば、等張剤、防腐剤(例えば、p−ヒドロキシベンゾエート)又は安定剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩)を添加)(ここで、任意に乳化剤及び/又は分散剤を用いていてもよい)で調製し、水を希釈剤として用いる場合は、例えば、有機溶媒を任意に溶媒和剤又は溶解助剤として用いて、注射器又はアンプル又は輸液瓶に移してもよい。
一つ以上の活性物質又は活性物質の組み合わせを含むカプセルは、例えば、活性物質を不活性担体(例えば、ラクトース又はソルビトール)と混合し、さらにそれらをゼラチンカプセルに入れて調製してもよい。
適当な座剤は、例えば、この目的のために用意した担体(例えば、中性脂肪又はポリエチレングリコール又はそれらの誘導体)と混合して調製してもよい。
使用してもよい賦形剤には、例えば、水、パラフィンなどの薬学的に受容可能な有機溶媒(例えば、石油画分)、植物油(例えば、落花生又はごま油)、モノ又はポリ官能性アルコール(例えば、エタノール又はグリセロール)、天然鉱物粉などの担体(例えば、カオリン、クレー、タルク、石灰)、合成鉱物粉(例えば、高分散ケイ酸及びケイ酸塩)、糖類(例えば、甘蔗糖、ラクトース及びグルコース)、乳化剤(例えば、リグニン、亜硫酸パルプ廃液、メチルセルロース、でんぷん及びポリビニルピロリドン)及び潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸及びラウリル硫酸ナトリウム)が含まれる。
経口投与に関して、錠剤は、当然に、上記の担体以外に、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸ニカルシウムなどの添加剤と、でんぷん、好ましくはポテトデンプン、ゼラチンなどの種々の添加剤を共に含んでいてもよい。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクなどの潤滑剤を、同時に錠剤形成工程(tabletting process)で用いてもよい。水性懸濁液の場合、活性物質は、上記の賦形剤に加えて、種々の香味料又は着色剤と混合してもよい。
一般式(1)の化合物を、本発明で好ましい呼吸器疾患の治療に用いる時、吸入投与可能な製剤又は医薬配合物を用いるのが特に好ましい。吸入に適当な配合には、吸入可能な粉末、噴射剤を用いる計量式エアゾール噴霧器又は噴射剤なしの吸入可能な液体が含まれる。本発明の範囲内で、噴射剤なしの吸入可能な液体には、濃縮物又は消毒済みですぐに使用できる(sterile ready-to-use)吸入可能な液体も含まれる。本発明の範囲内で使用してもよい配合は、明細書の次の項に詳細に記載する。本発明により使用してもよい吸入可能な粉末は、そのまま、もしくは適当な生理学的に許容可能な賦形剤との混合剤として(1)を含んでいてもよい。
活性物質(1)が生理学的に許容可能な賦形剤との混合剤として存在する場合、以下の生理学的に許容可能な賦形剤を、次に示す本発明の吸入可能な粉末の調製に用いてもよい:単糖類(例えば、グルコース又はアラビノース)、ニ糖類(例えば、ラクトース、サッカロース、マルトース)、オリゴ糖又は多糖類(例えば、デキストラン)、多価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩(例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)又はこれらの賦形剤の混合物。単糖類又はニ糖類を使用するのが好ましく、その上ラクトース又はグルコースを水和物の形態で使用するのが特に(しかし唯一ではない)好ましい。本発明の目的に関して、ラクトースが特に好ましい賦形剤で、その上ラクトース一水和物が最も好ましい。
本発明の吸入可能な粉末の範囲内で、賦形剤の最大平均粒子サイズは250μmまでで、好ましくは10から150μm、最も好ましくは15から80μmである。ある場合には、平均粒子サイズが1から9μmのより細かい賦形剤画分を上記の賦形剤に加えるのが適当であるかもしれない。これらのより細かい賦形剤も、上記の可能な賦形剤のグループから選ぶ。最後に、本発明の吸入可能な粉末を調製するために、微粉化した活性物質(1)、好ましくは平均粒子サイズが0.5から10μm、より好ましくは1から5μmのものを賦形剤混合物に加える。本発明の吸入可能な粉末を、粉砕及び微粉化を経て最後に材料を混合することによって製造する過程は、先行文献から既知である。
本発明に準ずる吸入可能な粉末は、先行文献から既知である吸入器を用いて投与してもよい。
本発明の噴射ガスを含む吸入エアゾールは、化合物(1)を噴射ガスに溶解した形態又は分散した形態で含んでいてもよい。吸入エアゾールを調製するのに用いてもよい噴射ガスは、先行文献から既知である。適当な噴射ガスは、n−プロパン、n−ブタン又はイソブタンなどの炭化水素、及びメタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン又はシクロブタンのフッ化誘導体などのハロ炭化水素から選ぶ。上記の噴射ガスは、そのまま用いても混合剤として用いてもよい。特に好ましい噴射ガスは、TG134a及びTG227及びそれらの混合物から選ばれるハロゲン化アルカン誘導体である。
噴射剤を用いる吸入エアゾールは、共溶媒、安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、潤滑剤及びpH調整剤などの成分を含んでいてもよい。これらの全ての成分は当業界で既知である。
上述の本発明の噴射剤を用いる吸入エアゾールは、当業界で既知である吸入器を用いて投与してもよい(MDIs=計量式吸入器)。
さらに、本発明の活性物質(1)は、噴射剤なしの吸入可能な溶液及び懸濁液の形態で投与してもよい。使用する溶媒は、水性又はアルコール性、好ましくはエタノール溶液であってもよい。溶媒は、水そのもの又は水とエタノールの混合物であってもよい。水に対するエタノールの組成比に制限はないが、最大で70vol%までが好ましく、より好ましくは60vol%までで、最も好ましいのは30vol%までである。容積の残部は水で構成されている。(1)を含む溶液又は懸濁液は適当な酸を用いて、pHを2から7、好ましくは2から5に調節する。pHは、無機酸又は有機酸から選ばれる酸を用いて調節してもよい。特に適した無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸があげられる。特に適した有機酸としては、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、琥珀酸、フマル酸、酢酸、蟻酸及び/又はプロピオン酸などがあげられる。好ましい無機酸は塩酸及び硫酸である。既に活性物質の一つと酸付加塩を形成した酸を用いることも可能である。有機酸のうち、アスコルビン酸、フマル酸及びクエン酸が好ましい。必要に応じて、上記の酸の混合物を用いてもよく、これは特に酸がその酸化能に加えて他の特性(例えば、香味料、酸化防止剤又は錯化剤)を有する酸(例えば、クエン酸又はアスコルビン酸)である場合において用いてもよい。本発明により、塩酸を用いてpHを調整するのが特に好ましい。
必要に応じて、エデト酸(EDTA)又はそれらの既知の塩の一つであるエデト酸ナトリウムを安定剤又は錯化剤として添加することを、配合物から省略してもよい。その他の実施態様は、この化合物又はこれらの化合物を含んでいてもよい。好ましい実施態様において、エデト酸ナトリウムの含有量は100mg/100mlより少なく、50mg/100mlよりも少ないのが好ましく、20mg/100mlよりも少ないのが更に好ましい。一般的に、吸入可能な溶液は、エデト酸ナトリウムの含有量が0から10mg/100mlであるのが好ましい。
共溶媒及び/又はその他の賦形剤を、噴射剤なしの吸入可能な溶液に加えてもよい。好ましい共溶媒は、水酸基又はその他の極性基(例えば、アルコール(特には、イソプロピルアルコール)、グリコール(特には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロール、ポリオキシエチレンアルコール及びポリオキシエチレン脂肪酸エステル)を含む共溶媒である。本文脈中の賦形剤及び添加剤という用語は、薬理学的に受容可能ないずれの物質で、活性物質ではないが、活性物質配合の質的性質を向上させるために、活性物質又は生理学的に適当な溶媒中の物質と配合可能なものも示す。好ましくは、それらの物質は、薬理学的効果を有さず、望ましい治療に関して、感知できるほどの薬理学的効果を有さない又は少なくとも好ましくない薬理学的効果を有さない。賦形剤及び添加剤には、例えば、大豆レシチンなどの界面活性剤、オレイン酸、ソルビタンエステル、例えばポリソルベート、ポリビニルピロリドン、その他の安定剤、錯化剤、酸化防止剤及び/又は防腐剤が含まれ、これらは最終医薬配合物、香味料、ビタミン及び/又はその他の当業界で既知の添加剤の有効期限を保障又は長引かせる。添加剤も等張剤として塩化ナトリウムなどの薬理学的に受容可能な塩を含む。
好ましい賦形剤には、アスコルビン酸のなどの酸化防止剤、(例えば、pHを調整する為に使用されてはいないという条件で)ビタミンA、ビタミンE、トコフェノール及び類似のビタミン及び人体で生成されるプロビタミンが含まれる。
防腐剤は、病原体による汚染から配合物を防ぐために使用してもよい。適当な防腐剤は当業界で既知であるもので、特には先行文献より既知である濃度の塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、又は安息香酸又は安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩である。上記の防腐剤は50mg/100mlまでの濃度で存在するのが好ましく、5から20mg/100mlの間であるのが更に好ましい。
好ましい配合は、溶媒水及び活性物質(1)に加えて、塩化ベンザルコニウム及びエデト酸ナトリウムのみを含む。別の好ましい実施態様においては、エデト酸ナトリウムは存在しない。
本発明による化合物の投薬量は、必然的に投与方法及び治療する疾病に大きく依存する。吸引によって投与した場合に、一般式(1)の化合物は投薬量がμg程度でも高い有効性を有することを特徴とする。一般式(1)の化合物も、μg程度で効果的に使用してもよい。投薬量はしたがって、例えばグラム程度であってもよい。
別の側面において、本発明は一般式(1)の化合物を含むことを特徴とする上記の医薬配合物に関し、したがって、特に好ましいのは吸引による上記の医薬配合物の使用である。
以下の配合例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
A) アンプル溶液
一般式(1)の活性物質 25mg
塩化ナトリウム 50mg
注入用の水 5ml
活性物質をそれ自体のpH又は任意にpH5.5から6.5で水に溶解し、塩化ナトリウムを加えて等張性にする。得られた溶液を、ろ過して発熱物質をなくし、更にろ液を無菌状態でアンプルに移し、これを消毒し、溶融して密封する。アンプルは5mg、25mg及び50mgの活性物質を含む。
B) 計量式エアゾール(懸濁液)
一般式(1)の活性物質 0.03重量%
ソルビトラントリオレート 0.6重量%
TG134A:TG227 2:1 99.37重量%
懸濁液を従来の絞り弁付きのエアゾール容器に注ぎ込む。毎回50μlの懸濁液が出るのが好ましい。活性物質は、必要に応じて、より多くの投薬量として放出されてもよい。
C) 計量式エアゾール(溶液)
一般式(1)の活性物質 0.03重量%
無水エタノール 20 重量%
HCl水溶液 0.01mol/l 2.0 重量%
TG134A 77.97重量%
溶液は、個々の成分を混合する従来の方法で調製する。
D) 吸入可能な粉末
一般式(1)の活性物質 80μg
ラクトース一水和物 全量で 10mg

吸入可能な粉末は、個々の成分を混合する従来の方法で調製する。

Claims (9)

  1. 一般式(1)の化合物、任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態の化合物:
    Figure 0005331338
    (式中、
    nは、1を示し、
    Aは、NHを示し、
    Bは、-CH2-O-である、2つの結合を有する基を示し、
    Lは、-CO-(CH2)m-NH-CO-(CH2)o-である、2つの結合を有する基を示し、
    mは3、oは1を示し、
    1、R2、R3は、水素を示し、
    Dは、−CH2−CH2−である、2つの結合を有する基を示し、
    4は、水素、C1-C6アルキル、C6-C10アリール、C6-C10アリール-C1-C4アルキレン、又は下記の基を示し、
    Figure 0005331338
    Eは
    Figure 0005331338
    中から選ばれる基を示し、
    5は、水素、水酸基、-C1-C4アルキル、- C1-C4アルキルオキシ、- C1-C4アルキレン-ハロゲン、-O- C1-C4アルキレン-ハロゲン、- C1-C4アルキレン-OH、-CF3、CHF2、-C1-C4アルキレン- C1-C4アルキルオキシ、-O-CO C1-C4アルキル、-O-CO C1-C4アルキレン-ハロゲン、- C1-C4アルキレン-C3-C6シクロアルキル、-O-COCF3又はハロゲンを示し、
    M及びQは、同一でも異なっていてもよく、-O-、-S-、-NH-、-CH2-、-CH=CH-又は-N(C1-C4アルキル)-を示し、
    6、R7、R6'及びR7'は、同一でも異なっていてもよく、水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルキルオキシ、水酸基、-CF3、-CHF2、CN、NO2又はハロゲンを示し、
    x及びRx'は、同一でも異なっていてもよく、水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルキルオキシ、水酸基、-CF3、-CHF2、CN、NO2又はハロゲンを示すか、又は、
    x及びRx'が一緒になって、単結合又は、-O-、-S-、-NH-、-CH2-、-CH2-CH2-、-N(C1-C4アルキル)-、-CH(C1-C4アルキル)及びC(C1-C4アルキル)2の中から選ばれる架橋基を示す。)
  2. 請求項1の一般式(1)の化合物、任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態の化合物:
    (式中、
    4が、水素、C1-C4アルキル、C6-C10アリール、C6-C10アリール-C1-C2アルキレン、又は下記の基を示し、
    Figure 0005331338
    Eが、
    Figure 0005331338
    の中から選ばれる基を示し、
    5が、水素、水酸基、-C1-C4アルキル、-C1-C4アルキルオキシ、-CF3、-CHF2、HO-CH2、HO-CH2-CH2、フッ素、塩素又は臭素を示し、
    M及びQが、同一でも異なっていてもよく、-O-、-S-、-NH-又は
    -CH=CH-を示し、
    6、R7、R6'及びR7'が、同一でも異なっていてもよく、水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルキルオキシ、水酸基、-CF3、-CHF2、CN、NO2、フッ素、塩素又は臭素を示し、
    x及びRx'が、同一でも異なっていてもよく、水素、C1-C4アルキル、C1-C4アルキルオキシ、水酸基、-CF3、-CHF2、CN、NO2、フッ素、塩素又は臭素を示すか、又は、
    x及びRx'が一緒になって、単結合又は、-O-、-S-、-NH-及び-CH2-の中から選ばれる架橋基を示す。)
  3. 請求項1又は2の化合物の一般式(1)の化合物、任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態の化合物:
    (式中、
    4が、水素、メチル、エチル、フェニル、ベンジル又は下記の基を示し、
    Figure 0005331338
    Eが、
    Figure 0005331338
    の中から選ばれる基を示し、
    5が、水素、水酸基、メチル、エチル、メチルオキシ、エチルオキシ、-CF3、HO-CH2-、HO-CH2-CH2-又はフッ素を示し、
    M及びQが、同一でも異なっていてもよく、-S-又は-CH=CH-を示し、
    6、R7、R6'及びR7'が同一でも異なっていてもよく、水素、メチル、メチルオキシ、-CF3又はフッ素を示し、
    x及びRx'が、同一でも異なっていてもよく、水素、メチル、メチルオキシ、-CF3又はフッ素を示すか、又は、
    x及びRx'が一緒になって、単結合又は、架橋基−O−を示す。)
  4. 塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ハイドロサルフェート、ハイドロホスフェイト、ハイドロメタンスルホネート、アジ化水素酸塩、ハイドロマレエート、ハイドロアセテート、ハイドロベンゾエート、ハイドロシトレート、ハイドロフマレート、ハイドロタートレート、ハイドロオキサレート、ハイドロスクシネート、ハイドロベンゾエート及びハイドロ−p−トルエンスルホネートから選ばれる、薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の一つの形態であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項記載の一般式(1)の化合物。
  5. 一般式R−1のR−エナンチオマーの形態であることを特徴とする、
    Figure 0005331338
    請求項1から4のいずれか1項記載の一般式(1)の化合物、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態の化合物。
  6. 一般式Regio−1aの位置異性体の形態の化合物であることを特徴とする、
    Figure 0005331338
    請求項1から4のいずれか1項記載の一般式(1)の化合物、任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態の化合物。
  7. 一般式Regio−1bの位置異性体の形態の化合物であることを特徴とする、
    Figure 0005331338
    請求項1から4のいずれか1項記載の一般式(1)の化合物、任意に個々のエナンチオマー又はジアステレオマー、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、又はラセミ化合物の形態、任意に薬理学的に許容可能な酸とのそれらの酸付加塩の形態、また同様にそれらの溶媒和物及び/又は水和物の形態の化合物。
  8. 式中、n、A、B、L、R 1、R2及びR3が、請求項1から4のいずれか1項に記載の意味を有する、一般式(5)の中間生成物:
    Figure 0005331338
    (式中、OPGが、保護基PGで保護された水酸基を、Xが、塩素、臭素、ヨウ素、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、p−トルエンスルホネート、又は適当な保護基で保護したアミノ官能基を示す。)
  9. 式中、n、A、B、L、D、OPG、R1、R2、R3及びR4が、請求項1から4及び8のいずれか1項に記載の意味を有する、一般式(7)の中間生成物。
    Figure 0005331338
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