JP5325693B2 - 電力シミュレーションのための装置および方法 - Google Patents

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Description

本発明は、変電所等電力供給施設から負荷に対して供給される電力をシミュレーションするための装置および方法に関し、特に、電気鉄道においてき電用変電所等電力供給施設が負荷である電気車に対して供給する電力をシミュレーションするための装置および方法に関する。
近年においては、主要な鉄道システムは電化されて電気鉄道システムとして運輸事業の一翼を担っている。電気鉄道システムでは、列車は、電気車を含めて編成され、電車線路から電力の供給を受けて走行する。ここでの電気車には、車外から電力の供給を受けて電気的に走行する電気機関車および電動車が含まれるものとする。
電気鉄道システムにおいては、電気車が走行するために必要な電力を供給する変電所(き電用変電所)が鉄道線路に沿って設置され、電力は、各変電所から電気車の集電装置に至る電線路(電車線路)を介して電気車へ供給される。また、電気車に供給された電力は、帰線路(一般に、レール)を通って変電所へ戻る。加速および減速を繰り返しながら走行する列車は、き電用変電所から見れば、時間的に負荷特性が激しく変動する負荷である。また、一般に、鉄道事業にあっては、予め輸送需要を予測し、予測された輸送需要に適合するように列車ダイヤが計画される。列車は、計画された列車ダイヤに基づいて運行される。したがって、き電用変電所が供給する電力は、列車ダイヤに関係して時間的に激しく変動する。
き電用変電所には、そのようにして時間的に激しく変動する負荷(列車)に対応可能な電力容量を備えることが求められる。しかるに、き電用変電所の電力容量の設計にあっては、求められる電力容量を精度よく見積もることが重要である。
き電用変電所に要求される電力容量を見積もる方法としては、類似線区の電力消費率[kW・h/(t・km)](または[kW・h/car・km])と運転本数から求める方法(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)と、計画された列車ダイヤの個々の列車の運行にかかる電気的な負荷を模擬するコンピュータシミュレーションから求める方法が知られている。
前者の方法においては、1時間最大電力Y[kW]は、次式より概算される。
1時間最大電力Y[kw]=P×W×D×C/1000 ・・・・・・・・ (1)
ここで、P:電力消費率[kW・h/(1000t・km)]、
W:列車重量[ton]、
D:き電距離[km]、
C:列車本数[本/h]
また、瞬時最大電力Z[kW]は、式(1)で得た1時間最大電力Y[kW]から、次式で概算される。
瞬時最大電力Z[kw]=Y+C×(√Y) ・・・・・・・・・・・・・ (2)
ここで、係数Cは、C≒k×(√Imax)とされ、kは、統計的に与えられる係数であり、Imaxは、1列車の最大電流であって、kおよびImaxは、例えば、類似線区における値から推定される(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。
後者の方法においては、計画された列車ダイヤに従って線区内を走行する列車が消費するであろう電力が数値的に評価され、その値に基づいて、時々刻々と変化するき電用変電所における電力供給の状態が推定される。
例えば、所定の列車ダイヤに基づく鉄道運行シミュレーションの方法を開示するものとして、以下の先行技術文献が知られている。
特許文献1(特開2002−037077号公報)は、列車運行の模擬装置、およびその方法を開示する。特許文献1の模擬装置は、連続系の処理に適化された連続系処理プログラム、離散系の処理に適化された離散系処理プログラム、ならびに、これら連続系および離散系の両処理プログラムを統合的に管理する管理プログラム、の少なくとも3つのプログラムを実行することにより実現される。
連続系処理プログラムは、列車の運行の模擬を行う。ここでの列車の運行の模擬には、時系列に沿った列車の位置、速度、消費電力等の模擬が含まれる。
離散系処理プログラムは、列車の運行に伴って、離散的に発生する事象に関する模擬を行う。列車の運行に伴い離散的に発生する事象とは、例えば、停車場に停止する列車についての出発事象、列車の軌道回路への進入/進出事象、列車の速度がゼロになった場合に生じる旅客流動事象、等である。
管理プログラムは、連続系処理プログラムに対し、列車の運行の模擬に関し或る時刻から所定時間幅だけ時刻を進める指示を行い、該指示に基づいて連続系処理プログラムが行った模擬の結果を受け取って、当該結果から或る時刻と所定時間幅だけ後の時刻の間の時間帯における離散系事象の発生の有無を判断する。管理プログラムは、発生したと判断した離散系事象に関し、離散系処理プログラムに対して当該事象の模擬を指示する。離散系処理プログラムが全ての離散系事象について模擬を終了すると、管理プログラムは、当該離散系事象の模擬の結果を受け取ってから、連続系処理プログラムに対してさらに所定時間幅だけ列車の運行の模擬を進める指示を出す。以下、同様にして交代的に連続系処理プログラムおよび離散系処理プログラムによる処理が反復実行される。
このように、特許文献1は、列車運行模擬のプログラムを、連続系事象の模擬を行うプログラムと、離散系事象の模擬を行うプログラムとに分けて記述することによって、模擬装置の開発効率および保守性の向上を図っている。
特許文献2(特開平8−314987号公報)は、電気鉄道変電所容量計算装置を開示する。特許文献2の装置は、列車ダイヤのデータ、列車の電力特性に関するデータ等に基づき、計算対象とする時刻における列車の在線状況、列車の位置・速度、列車の使用電力を求め、求めた結果と変電所が配置される位置に関するデータとに基づき、各変電所が担う電力を求める。
特許文献3(特開2006−254536号公報)は、鉄道システムを模擬するシミュレーション装置を開示する。特許文献3の装置は、列車の運行ダイヤ等を入力として、列車運行に関わる列車制御システム、車両システム、エネルギ供給システムをシミュレートし、列車の運行状態や電力供給の状態、および、列車に蓄積されたエネルギの状態等をシミュレートする。
特許文献4(特開2006−240547号公報)は、電気車の走行を模擬するシミュレータを開示する。特許文献4のシミュレータは、電力蓄積装置を備えた電気車の走行をシミュレートし、当該電力蓄積装置の電力またはエネルギを算出する。
特開2002−037077号公報 特開平8−314987号公報 特開2006−254536号公報 特開2006−240547号公報
電気学会技術報告、No.58、社団法人電気学会、昭和38年8月 「回生車両に対応した直流変電所要量設計法」、電鉄直流き電システム最適化委員会、電気学会技術報告、II部、360号、社団法人電気学会、平成3年(1991年)1月 電気鉄道ハンドブック編集委員会編、電気鉄道ハンドブック、コロナ社、平成19年(2007)2月28日
しかしながら、鉄道システムの実際として、列車は、必ずしも、計画された列車ダイヤに厳密に従って運行されるとは限らない。実際の列車は、列車ダイヤから数秒ないし数十秒程度の誤差(計画された列車ダイヤからの変動)を含んで運行されることがある。ここでの計画された列車ダイヤからの誤差(変動)には、実際の列車が計画された列車ダイヤよりも早く運行される場合の誤差と実際の列車が列車ダイヤよりも遅れて運行される場合の誤差の両方が含まれる。
また、実際の運用にかかる列車ダイヤには、各列車の運行における列車ダイヤからの誤差(変動)が、同時に在線する他の列車の運行状態から独立して生じ得る程度の余裕が設けられている。従って、実際の列車運行にあっては、地上信号機や車内信号機等を含んで構成される保安システムが許す範囲内において、同一時刻に在線する各列車が、それぞれ独立に、様々な程度の誤差(変動)を含んで運行される状況が生じうる。
そのため、現実の鉄道システムにおいては、計画された列車ダイヤに厳密に従って全列車が運行されることを想定してなされた数値シミュレーションでは現れなかったような力行時間の重なりが、各列車の運行状態の列車ダイヤからの誤差に起因して頻繁に現れる。そのような力行時間の重なりは、き電用変電所が供給する電力の瞬時値を増大させる。
よって、き電用変電所の電力容量を設計するための鉄道運行シミュレーションにあっては、運行される各列車の計画された列車ダイヤに対する誤差(変動)を考慮することが、電力シミュレーションの精度を向上させる上で重要である。
だが、上述したように、各列車の誤差は、所定の範囲内で他の列車から独立して生じ得る。そのため、各列車それぞれについて誤差を様々に変化させ、計画された列車ダイヤに含まれる全列車に関して、各列車が取り得る誤差のあらゆる組み合わせについて網羅的に数値シミュレーションすることにより、き電用変電所に要求される電力容量を見積もることは、全列車が列車ダイヤに厳密に従って運行される場合についての数値シミュレーションとは比較にならない程に計算量を要するもので、計算時間、コスト等の増大を招く。
そのため、従来のき電用変電所の電力容量の設計においては、非特許文献1ないし3に記載の類似線区の電力消費率と運転本数から求める方法、あるいは、鉄道運行シミュレーションから求める方法によって得た瞬時最大電力の予測値に対し十分な余裕を持たせた値をもって、き電用変電所の電力容量値としていた。
このような現状を鑑み、本発明は、極めて少ない計算量のみで精度よく、計画された列車ダイヤに基づくき電用変電所等電力供給施設に対する電力シミュレーションを実行するための装置および方法を提供する。
本発明は、その一態様にあっては、所定の列車ダイヤに基づいて、所定の位置に設置されるき電用変電所が供給する電力を模擬する電力シミュレーション装置であって、電力シミュレーション装置は、データを保持するための記憶装置およびデータを処理するための処理装置を備え、記憶装置は、所定の列車ダイヤのデータを保持する模擬環境データ記憶部を含み、処理装置は、列車ダイヤに基づく鉄道運行シミュレーションを実行することにより、時刻と、列車ダイヤに規定された少なくとも1つの列車の位置および消費電力ならびにき電用変電所の供給電力それぞれとが関連付けされたデータを含んだ模擬結果データを出力する列車運行模擬実行部と、模擬結果データに基づき、列車の位置と、列車が消費する電力におけるき電用変電所が供給する電力の割合を導出する変電所電力負担率導出部と、模擬結果データに基づき、き電用変電所が供給する電力の時間変動が極大点を示す時刻の少なくとも1つを候補時刻として抽出する変電所瞬時最大電力抽出部と、候補時刻でのき電用変電所が供給する電力が、鉄道運行シミュレーションにより得られた候補時刻におけるき電用変電所の供給電力の値よりも大きくなるように、列車の運行ダイヤからの運行誤差を決定する列車ダイヤ変動量決定部と、を含み、列車運行模擬実行部が、所定の列車ダイヤに運行誤差を与えて得られる列車ダイヤを用いて鉄道運行シミュレーションを実行することにより、き電用変電所の供給電力の模擬結果を算出する、ことを特徴とする、電力シミュレーション装置である。
本発明の一態様においては、列車ダイヤ変動量決定部は、列車の運行ダイヤからの運行誤差を所定の時間幅内で決定し、所定の時間幅は、列車が、列車の進行方向前方および進行方向後方の少なくともいずれかにある他の列車との距離を所定の距離以上に保って、運行可能な運行誤差の値域と一致するか、または、より小さい、ことが好ましい。
本発明の一態様においては、列車ダイヤ変動量決定部は、候補時刻において複数の列車が鉄道線路に在線する場合には、候補時刻においてき電用変電所により近くにある列車から順々に、複数の列車のそれぞれについて、運行誤差を決定する、ことが好ましい。
本発明は、その別の一態様にあっては、所定の列車ダイヤに基づいて、所定の位置に設置されるき電用変電所が供給する電力を、データを保持するための記憶装置およびデータを処理するための処理装置を備えたコンピュータを用いて模擬する電力シミュレーション方法であって、処理装置に含まれる列車運行模擬実行部が、列車ダイヤに基づく鉄道運行シミュレーションを実行することにより、時刻と、列車ダイヤに規定された少なくとも1つの列車の位置および消費電力ならびにき電用変電所の供給電力それぞれとが関連付けされたデータを含んだ模擬結果データを出力するステップと、処理装置に含まれる変電所電力負担率導出部が、模擬結果データに基づき、列車の位置と、列車が消費する電力におけるき電用変電所が供給する電力の割合を導出するステップと、処理装置に含まれる変電所瞬時最大電力抽出部が、模擬結果データに基づき、き電用変電所が供給する電力の時間変動が極大点を示す時刻の少なくとも1つを候補時刻として抽出するステップと、処理装置に含まれる列車ダイヤ変動量決定部が、候補時刻でのき電用変電所が供給する電力が、鉄道運行シミュレーションにより得られた候補時刻におけるき電用変電所の供給電力の値よりも大きくなるように、列車の運行ダイヤからの運行誤差を決定するステップと、処理装置に含まれる列車運行模擬実行部が、記憶装置に保持された所定の列車ダイヤに運行誤差を与えて得られる列車ダイヤを用いて鉄道運行シミュレーションを実行することにより、き電用変電所の供給電力の模擬結果を算出するステップと、を有する電力シミュレーション方法である。
本発明は、そのさらに別の一態様にあっては、コンピュータに、所与の列車ダイヤに基づいて、鉄道線路に沿って所定の位置に設置されるき電用変電所が供給する電力を模擬する電力シミュレーションを実行させるためのプログラムであって、コンピュータに、列車ダイヤに基づく鉄道運行シミュレーションを実行することにより、時刻と、列車ダイヤに規定された少なくとも1つの列車の位置および消費電力ならびにき電用変電所の供給電力それぞれとが関連付けされたデータを含んだ模擬結果データを出力するステップと、模擬結果データに基づき、列車の位置と、列車が消費する電力におけるき電用変電所が供給する電力の割合を導出するステップと、模擬結果データに基づき、き電用変電所が供給する電力の時間変動が極大点を示す時刻の少なくとも1つを候補時刻として抽出するステップと、候補時刻でのき電用変電所が供給する電力が、鉄道運行シミュレーションにより得られた候補時刻におけるき電用変電所の供給電力の値よりも大きくなるように、列車の運行ダイヤからの運行誤差を決定するステップと、所定の列車ダイヤに運行誤差を与えて得られる列車ダイヤを用いて鉄道運行シミュレーションを実行することにより、き電用変電所の供給電力の模擬結果を算出するステップとを実行させるためのプログラムである。
本発明は、極めて少ない計算量のみで精度よく、計画された列車ダイヤに基づくき電用変電所等電力供給施設に対する電力シミュレーションを実行可能である、という効果を奏する。
本発明の第1の実施の形態に係る電力シミュレーション装置のブロック図 列車運行模擬部3の詳細を示すブロック図 当初計画された列車ダイヤの例図 模擬対象線区の模式図 電力シミュレーションにかかる処理のフローチャート 電力負担率の導出にかかる処理を示すフローチャート 一列車運行模擬より得た、電力負担率と列車位置の関係を示す図 変電所電力負担率導出部59が導出した電力負担率のグラフ 第1複数列車運行模擬より得た、き電用変電所の供給電力の時系列プロット 供給電力の各候補時刻最大値の算出にかかる処理を示すフローチャート 供給電力の各候補時刻最大値の算出にかかる処理を示すフローチャート 第1複数列車運行模擬より得られるデータテーブル 後続列車接近許容位置、および、常用最大制動停止可能位置を説明する図 当初計画列車ダイヤと運行誤差を考慮したダイヤとの関係を示す図 第2複数列車運行模擬より得たき電用変電所の供給電力の時系列プロット 当初計画列車ダイヤに重畳的に描かれた運行誤差考慮ダイヤの図 従来技術および本実施の形態によるシミュレーションの結果を示す図
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
以下に説明する実施の形態による電力シミュレーションのための装置および方法は、各列車の計画された列車ダイヤに対する誤差(変動)を考慮した電力シミュレーションを、少ない計算量で精度よく実行することが可能である。そのため、従来よりも精度よく電力シミュレーションを実施できるため、その結果に基づいてき電用変電所等電力供給施設の電力容量を設計する場合、シミュレーション結果に対して考慮するべき(加算するべき)余裕幅(安全率)を、従来よりも少なくすることができ、より適切な電力容量設計が可能になる。
本実施の形態による電力シミュレーションのための装置(および方法)は、列車ダイヤのデータ、鉄道線路の線形に関するデータ、き電設備に関するデータ、鉄道車両の特性に関するデータ等に基づいて、所定の位置に配置されるき電設備(例えば、き電用変電所)に要求される電力(例えば、瞬時最大電力[W])の数値的シミュレーションを行うことができる。また、本実施の形態による電力シミュレーションのための装置(および方法)は、列車ダイヤに記載された全列車が厳密に列車ダイヤにしたがって運行される場合のみならず、列車ダイヤに記載された列車の少なくとも1列車が列車ダイヤからの誤差(変動)を有して運行される場合に所定の位置に配置されたき電設備に要求される電力を、数値的に求めることが可能である。
本実施の形態による電力シミュレーションのための装置(および方法)は、例えば、一日を周期として計画される列車ダイヤに関係して変動する、き電用変電所に要求される電力の最大値(瞬時最大電力)を数値的に求めることができる。このとき、本実施の形態による装置(および方法)は、列車ダイヤに記載された列車のそれぞれの運行状況について列車ダイヤからの誤差(変動)を考慮した最大値を求めることができる。
換言すれば、本実施の形態による電力シミュレーションのための装置(および方法)は、列車ダイヤ、線形の特性、き電設備の特性、および、車両の特性等が与えられた場合における、各列車に他列車から独立して生じる運行誤差を考慮した最適化問題の高速解法を提供する。ここでの、最適化により求められるべき量は、き電用変電所の瞬時最大電力であり、最適化すべき変数は、時刻、ならびに、列車ダイヤに記載された列車それぞれの列車ダイヤからの運行誤差(ダイヤ変動)である。
つまり、本実施の形態による装置(および方法)は、N本の列車からなる列車ダイヤにより一日の列車運行計画が策定されている場合、N個の独立して生じうる各列車運行誤差と時刻とからなる(N+1)個の変数を最適に(変電所の瞬時最大電力が最大になるように)変化させ、そのときの瞬時最大電力を数値的に高速に与えることができる。
本実施の形態による電力シミュレーションのための装置(および方法)は、先ず、列車ダイヤに記載された列車それぞれの運行状況における列車ダイヤからの誤差(変動)を、一定値(例えば、ゼロ)に固定し、時刻tのみを変化させ、鉄道運行シミュレーションを実施し、一日の瞬時最大電力を出力する可能性がある時刻(候補時刻)を、ピックアップする。このピックアップ工程は、上記した鉄道運行シミュレーションにおいて、き電用変電所の供給電力が所定値以上になる時間帯の、電力ピーク(極値(極大値))を示す時刻を抽出することで実施してよい。
次に、本実施の形態による装置(および方法)は、候補時刻において当該き電用変電所が供給する電力がより高くなるように、列車ダイヤに記載された列車それぞれの運行状況における列車ダイヤからの運行誤差(変動)を上記一定値(例えば、ゼロ)から変化させ、鉄道運行シミュレーションを実施し、当該き電用変電所における候補時刻における供給電力を求める。各列車についての誤差の決定工程は、候補時刻において、関心を寄せているき電用変電所の設置位置の近くに在線する列車から順々に、各列車が候補時刻において当該き電用変電所から受ける電力がより大きくなるように、運行誤差(ダイヤ変動)を決定することで実施してよい。鉄道線路上の任意の位置に在線する列車は、通常、複数のき電用変電所から電力の供給を受けるが、その位置の近くに設置されたき電用変電所から受ける電力が全電力に占める割合が最も大きいからである。言い換えれば、各き電用変電所は、通常、変電所が設置された位置から近い列車に対して、遠くにある列車に対するよりも、より多くの電力を提供しているから、き電用変電所の供給電力の増減により大きく寄与する列車は、当該き電用変電所の設置位置により近く在線する列車である。
そして、最後に、本実施の形態による装置(および方法)は、各候補時刻における供給電力のうちで最も大きな電力を、当該き電用変電所の瞬時最大電力に決定する。
<電力シミュレーション装置の構成>
図1は、本発明にかかる実施の形態による電力シミュレーション装置100の構成を示すブロック図である。本電力シミュレーション装置100は、データを格納するための記憶装置およびデータを処理するための処理装置を備えたコンピュータと、コンピュータの処理装置上で実行されるプログラムによって実現することも可能である。この場合、プログラムは、コンピュータ読取可能なメディアに保持され、コンピュータによって当該メディアから読み出され、コンピュータの処理装置により実行されて、本電力シミュレーション装置を実現する。また、当該プログラムは、インターネット等の通信回線を介して、外部のサーバ装置から、当該コンピュータへ送信され、コンピュータの処理装置により実行されて、本電力シミュレーション装置を実現してもよい。
電力シミュレーション装置100は、所定のデータに基づいて鉄道運行シミュレーションを実行する列車運行模擬部3、列車運行模擬部3による鉄道運行シミュレーションの結果を評価し、列車ダイヤ中の各列車に与える列車ダイヤと列車運行状況との運行誤差(ダイヤ変動)を決定し、各き電用変電所における瞬時最大電力を求める評価部5、列車運行模擬部3および評価部5の動作を管理する実行管理部1、ユーザが必要に応じてデータを入力するための入力部7、ユーザにデータを提示するための出力部9、を備える。
本電力シミュレーション装置100においては、その評価部5は、列車運行模擬部3が計画された列車ダイヤのデータ(初期値データ(全列車について運行誤差(変動)εはゼロ。))に基づいて実行した鉄道運行シミュレーション(第1複数列車運行模擬)の結果を用いて、特定の時刻におけるき電用変電所の供給電力がより大きくなるように各列車の列車ダイヤに対する運行誤差(変動)εを決定し、列車運行模擬部3が、当該運行誤差(変動)εを考慮した列車ダイヤに基づいて鉄道運行シミュレーション(第2複数列車運行模擬)を行い、評価部5が、その結果からき電用変電所の上記特定の時刻における供給電力を求め、それらのうちで最大の電力を瞬時最大電力として求める。このように、本電力ミュレーション装置100は、列車運行模擬部3と評価部5とが連携して電力シミュレーションを実行する。実行管理部1は、この連携を管理するものである。
また、実行管理部1は、列車運行模擬部3が模擬対象線区の一端から他端までを単一の列車が走行する場合を模擬する鉄道運行シミュレーション(一列車運行模擬)の実行を管理する一列車運行模擬実行管理部11と、列車運行模擬部3が所定の列車ダイヤに従って複数の列車が同時に模擬対象線区内を走行する場合を模擬する複数列車運行模擬実行管理部13とを備える。
列車運行模擬部3は、鉄道運行シミュレーションで用いるデータを保持する模擬環境データ記憶部31と、模擬環境データ記憶部31が保持するデータを用いて模擬対象線区についての鉄道運行シミュレーションを実行する列車運行模擬実行部33と、列車運行模擬実行部33による鉄道運行シミュレーションの結果に関するデータを保持する模擬結果データ記憶部35とを備える。
評価部5は、電力シミュレーションのための解析条件に関するデータを保持する解析条件データ保持部51と、列車ダイヤに記載された列車それぞれに付与する列車ダイヤからの運行誤差(変動)の量を決定する列車ダイヤ変動量決定部53と、列車ダイヤの各列車に付与される誤差(変動)の量を記憶する列車ダイヤ変動量データ記憶部55と、列車運行模擬部3が実行した鉄道運行シミュレーションの結果に基づいて各き電用変電所の瞬時最大電力を求める変電所瞬時最大電力抽出部57と、列車運行模擬部3が実行した鉄道運行シミュレーションの結果に基づいて列車の鉄道線路上の位置と当該列車が消費する電力における各き電用変電所の電力負担率との関係を導出する変電所電力負担率導出部59と、を備える。
図2を参照し、列車運行模擬部3についてさらに詳細に説明する。図2は、列車運行模擬部3の模擬環境データ記憶部31、列車運行模擬実行部33、および、模擬結果データ記憶部35の詳細を示すブロック図である。
模擬環境データ記憶部31は、鉄道運行シミュレーションにおいて使用するデータを記憶する部分である。
模擬環境データ記憶部31は、具体的には、
・計画された列車ダイヤ(ダイヤ初期値)のデータを格納する計画列車ダイヤデータ記憶部311と、
・鉄道線路に設定される閉塞区間や駅場内入口等に関するデータや、自動列車停止装置、自動列車制御装置等の設定等に関するデータを格納する信号保安設備データ記憶部312、
・列車を構成する車両の特性、電気車の電気的特性、旅客の乗車率による電気的特性等の変動特性といった車両に固有のデータを格納する車両特性データ記憶部313、
・模擬対象線区の鉄道線路の線形(平面線形、縦断線形、カント)や分岐器制限速度および曲線制限速度に関するデータを格納する鉄道線路線形データ記憶部314、
・模擬対象線区における任意時刻任意位置における輸送需要に関するデータを格納する旅客データ記憶部315、
・鉄道線路に沿って複数設置されるき電用変電所等き電設備に関するデータを格納するき電設備データ記憶部316と、を備える。
列車運行模擬実行部33は、鉄道運行シミュレーションを実行し、結果を出力する部分である。列車運行模擬実行部33は、単一の列車を模擬対象線区の一端から他端まで走行させる一列車運行模擬と、複数の列車を所定の列車ダイヤに従って走行させる複数列車運行模擬と、を実行する。複数列車運行模擬は、計画列車ダイヤ(初期値データ)に従って複数列車を走行させる第1複数列車運行模擬と、計画列車ダイヤに運行誤差を付与したダイヤデータである変動量考慮列車ダイヤデータに従って複数列車を走行させる第2複数列車運行模擬と、を含む。
列車運行模擬実行部33は、具体的には、
・列車ダイヤのデータ(311)や信号保安設備データ(312)等に基づき、信号設備模擬部333と連動して、進路制御、出発制御、運転整理等を模擬する運行管理模擬部331と、
・信号保安設備データ(312)に基づき、列車検知装置、信号保安装置、連動装置、分岐器等の動作を模擬する信号設備模擬部333と、
・車両特性データ(313)、鉄道線路線形データ(314)、旅客データ(315)等に基づき、信号設備模擬部333およびき電系統模擬部337等と連動して、各列車の運転曲線を生成し、各時刻における各列車の速度、位置、消費電力を算出する列車走行模擬部335と、
・き電設備データ(316)に基づき、列車走行模擬部335等と連動して、き電用変電所や一時的に回生車からの電力を蓄える蓄電設備における電力供給、電力回生を模擬するき電系統模擬部337と、を備える。
運行管理模擬部331は、第1複数列車運行模擬においては、計画列車ダイヤ(初期値ダイヤ)の実績ダイヤデータを模擬結果データ記憶部35の実績ダイヤデータ記憶部351へ出力し、第2複数列車運行模擬においては、変動量考慮列車ダイヤの実績ダイヤデータを同351へ出力する。
列車走行模擬部335は、一列車運行模擬においては、単一列車の各時刻における位置、速度、走行状態(力行、惰行、回生運転等)、消費電力等のデータを列車運行模擬結果データとして出力し、第1および第2複数列車運行模擬の両模擬においては、複数列車のそれぞれについての各時刻における位置、速度、走行状態、消費電力等のデータを列車運行模擬結果データとして列車運行模擬結果データ記憶部353へ出力する。
き電系統模擬部337は、鉄道線路に沿って配置された各き電用変電所や蓄電設備の各時刻における供給電力等のデータを変電所模擬結果データとして変電所模擬結果データ記憶部355へ出力する。き電系統が、き電用変電所のほか、蓄電設備等を備える場合には、変電所模擬結果データは、き電用変電所が供給する電力と、蓄電設備等その他の設備から供給される電力とを区別して記録されることが好ましい。
再度、図1を参照し、評価部5の詳細について説明する。
評価部5は、列車運行模擬部3が実行した鉄道運行シミュレーション(一列車運行模擬)の結果に基づいて、各き電用変電所が走行中の列車に供給する電力の、当該列車が消費する電力に占める割合(電力負担率)と、当該列車の位置との関係である変電所電力負担率を導出し、(第1)複数列車運行模擬の結果と変電所電力負担率を用いて各き電用変電所が供給する電力が(第1複数列車運行模擬の結果に基づいて抽出される)所定の時刻においてより高くなるように列車の運行誤差(変動)の量を定め、運行誤差を考慮した列車ダイヤを計画する。運行誤差を考慮した列車ダイヤは、列車運行模擬部3へ送られ、当該列車ダイヤに基づく鉄道運行シミュレーション(第2複数列車運行模擬)が実行される。そして、評価部5は、第2複数列車運行模擬の結果から、各き電用変電所の瞬時最大電力を求める。ここで求められた瞬時最大電力は、計画された列車ダイヤに対し所定の時間幅の列車運行誤差を考慮した場合における、各き電用変電所の上記計画された列車ダイヤの時間帯における瞬時最大電力である。
評価部5は、具体的には、
・電力基準値 Pth (Pthj) 、ならびに、ダイヤ変動最大時間幅 ta (tai) および tb (tbi) を保持する解析条件データ保持部51と、
・鉄道運行シミュレーションの結果に基づいて、所定の時刻における列車の列車ダイヤからの運行誤差(変動)の量を、当該所定の時刻におけるき電用変電所の供給電力がより大きくなるように決定する列車ダイヤ変動量決定部53と、
・列車ダイヤ変動量決定部53が決定した各列車の運行誤差の量(ダイヤ変動量)を保持する列車ダイヤ変動量データ記憶部55と、
・鉄道運行シミュレーション(一列車運行模擬ならびに第1および第2複数列車運行模擬)の結果、および、変電所電力負担率導出部59が導出した電力負担率に基づいてき電用変電所の瞬時最大電力を抽出する変電所瞬時最大電力抽出部57と、
・走行中の列車が消費する電力における各き電用変電所の電力供給の負担率と当該走行中の列車の位置との関係である電力負担率を導出する変電所電力負担率導出部59と、を備える。
ここで、電力基準値 Pth (Pthj) は、列車ダイヤ変動量決定部53が各列車のダイヤを操作して運行誤差(ダイヤ変動量)を各列車のダイヤに与えることにより、き電用変電所が供給する電力がより大きくなるように誤差(変動)を決定する際に、基準とする時刻を、鉄道運行シミュレーション(第1複数列車運行模擬)の結果から抽出するために用いる閾値である。電力基準値は、ただ1つのみ定めてもよいし、き電用変電所毎に異なる値を設定できるように複数定めてもよい。
ダイヤ変動最大時間幅 ta (tai) および tb (tbi) は、列車ダイヤ変動量決定部53が各列車のダイヤに与えることができる運行誤差(ダイヤ変動量)の最大時間幅である。最大時間幅は、時間に沿ってマイナス方向に ta 、時間に沿ってプラス方向に tb 、に定めることができる。ここで、これら量の単位は、例えば、[秒]である。ダイヤ変動最大時間幅は、時間に沿ってマイナス方向およびプラス方向に各1つずつのみ定めてもよいし、列車ダイヤに含まれる列車毎に異なる値を設定できるように複数組定めてもよい。ダイヤ変動最大時間幅 ta (tai) および tb (tbi) は、それぞれ、数秒ないし数十秒の範囲で定めることが望ましい。例えば、ラッシュ時における乗客の乗降所要時間に関する実績値を考慮して、tb (tbi) を、例えば、約10秒に設定する、といったことも可能である。なお、実際の列車運行において列車ダイヤよりも列車が早発することを一切禁止するような運用がなされる場合には、ta (tai) をゼロに設定することも可能である。
入力部7は、電力基準値 Pth (Pthj) 、ならびに、ダイヤ変動最大時間幅 ta (tai) および tb (tbi) といったデータを入力するために使用される入力装置である。入力部7は、キーボードおよびマウスといったマン−マシン・インタフェース、通信インタフェース、USBポート、等でよい。
出力部9は、電力シミュレーションの結果等を出力するために使用される出力装置である。出力部9は、ディスプレイ装置、プリンタ、通信インタフェース、USBポート等、でよい。
<き電用変電所の電力シミュレーション>
以下、本実施の形態による電力シミュレーション装置によるき電用変電所の電力シミュレーションについて詳細に説明する。
図3は、本電力シミュレーション装置がシミュレーションの対象とする電気鉄道システムの構成を簡略に示す模式図である。電気鉄道システムにおいては、各き電用変電所(SS1〜SS5)が、き電線61に電力を供給する。き電用変電所が設置される位置は、既に決定されているものとする。ここでは、その位置を、XSS1、XSS2、等と称している。列車Mは、電車線路(き電線)61より電力の供給を受けて鉄道線路63上を走行する。例えば、列車Mは、き電用変電所SS3等からの電力の供給を受け、時刻tにおいて位置 Xi(t) を走行中である。また、模擬対象線区(0[m]〜20000[m])においては、複数の駅(St.1〜St.14)が設けられている。図示しないが、地上信号機等保安システムもまた、当然に鉄道線路63に沿って設置されている。また、鉄道線路63は、水平な直線状に図示されているが、勾配、曲線区間、カント等を含んでよい。
地上信号機等保安システムに関するデータは、信号保安設備データ記憶部312(図2)において保持される。
列車Mを構成する車両の特性に関するデータは、車両特性データ記憶部313(図2)において保持される。
鉄道線路63の線形に関するデータは、鉄道線路線形データ314(図2)において保持される。
駅(St.1等)における旅客の流動量に関するデータは、旅客データ記憶部315(図2)において保持される。
き電用変電所(SS1等)に関するデータは、き電設備データ記憶部316(図2)において保持される。
図4は、計画された列車ダイヤの例を示す図である。本実施の形態による装置は、予め計画された列車ダイヤを、計画列車ダイヤデータ記憶部311(図2)に保持する。図4に示すように、計画された列車ダイヤは、縦軸に模擬対象線区の始点からの距離[m]を、そして、横軸に時刻が示され、列車は、距離と時間が規定する平面上における走行の軌跡として示される。また、左縦軸には、駅(St.1〜St.14)の位置が示され、右縦軸にはき電用変電所(SS1〜SS5)の位置が示されている。
周知のように、列車ダイヤにおいて各列車は、所定の傾きを有する線分により、各時刻におけるおおよその位置が示されている。例えば、右下がりあるいは右上がりの傾きを有する線分は、列車が、駅間を走行中であることを示し、水平な線分は、列車が停車中であることを示している。
<電力シミュレーションの流れ>
図5は、本実施の形態による電力シミュレーション装置によるき電用変電所の電力シミュレーションの流れを示すフローチャートである。以下、本フローチャートを参照して、電力シミュレーションの流れについて説明する。
ステップS101において、電力シミュレーション装置100は、模擬環境データ記憶部31(図1)に、計画列車ダイヤ(初期値ダイヤ)に関するデータ、信号保安設備に関するデータ、列車を構成する車両の特性に関するデータ、鉄道線路の線形に関するデータ、旅客流動量に関するデータ、き電設備に関するデータを、ロードする。
ステップS103aにおいて、電力シミュレーション装置100は、入力部7(図1)を介して、電力基準値 Pth (Pthj) (j:jは、き電用変電所を区別するための指標。)ならびに、ダイヤ変動最大時間幅 ta (tai) および tb (tbi) (i:iは、計画列車ダイヤに記載の各列車を区別するための指標。)の入力を受け付ける。受け付けたデータは、評価部5の解析条件データ保持部51に送られ保持される。
ステップS105において、電力シミュレーション装置100の実行管理部1の一列車運行模擬実行管理部11は、列車運行模擬部3に対し、一列車運行模擬の実行を指示する。
列車運行模擬部31は、当該指示を受けて、計画された列車ダイヤ(初期値ダイヤ)(図2の311において保持。)から、1列車のみについてのダイヤを抽出し、当該抽出にかかる1列車のみを運行する鉄道運行シミュレーションを実行する。ここで、抽出される1列車は、模擬対象線区の一端から他端までを走行する列車であることが望ましい。
計画された列車ダイヤ(311)に、模擬対象線区の一端から他端までを走行する列車が存在しないような場合や、存在しても、例えば優等列車のように、列車ダイヤに含まれる他の大多数の列車とは、使用する車両や運転曲線が著しくことなるような列車しか存在しないような場合には、計画された列車ダイヤ(311)において典型的な列車のダイヤを参考にして、1列車ぶんの新たな列車ダイヤを設定し、当該新たなダイヤに従って模擬対象線区の一端から他端までを走行する列車の鉄道運行シミュレーションを実行してもよい。
一列車運行模擬の実行に際し、列車運行模擬部3(図1)においては、運行管理模擬部331、信号設備模擬部333、列車走行模擬部335、および、き電系統模擬部337(図2)は、相互に連携し、信号保安設備データ(312)、車両特性データ(313)、鉄道線路線形データ(314)、き電設備データ(316)等に基づいて、当該一列車の模擬対象線区における運転曲線や消費/回生電力等を求める。
求めた運転曲線および消費/回生電力等は、一列車運行模擬にかかる列車運行模擬結果データとして列車運行模擬結果データ記憶部353に保持される。なお、当該一列車運行模擬にかかる列車運行模擬結果データは、例えば、時刻と、一列車の位置、速度、走行状態、消費/回生電力らとの関係を示すデータであればよい。
き電系統模擬部337は、時刻と、き電用変電所や蓄電施設からの供給される電力や蓄積される電力らとの関係を示すデータを、一列車運行模擬に係る変電所模擬結果データとして変電所模擬結果データ記憶部355に格納する。
ステップS2において、評価部5の変電所電力負担率導出部59は、模擬結果データ記憶部35に保持される一列車運行模擬にかかる列車運行模擬結果データおよびに一列車運行模擬に係る変電所模擬結果データ基づいて、各き電用変電所 SSj (j:1, 2, ..., J) の電力負担率 Rj(x) を導出する。ここで、電力負担率 Rj(x) は、鉄道線路上の位置 x に存在する列車が消費する電力において、き電用変電所 SSj が当該列車に対して供給する電力の割合を示す数である。
図6は、ステップS2の詳細を示すフローチャートである。これより、図6を参照して電力負担率 Rj(x) の導出にかかる処理を説明する。
ステップS201において、変電所電力負担率導出部59(図1)は、一列車運行模擬にかかる列車運行模擬結果データに含まれる、時刻と、列車位置および消費/回生電力との関係を示すデータ、ならびに、一列車運行模擬に係る変電所模擬結果データに含まれる、時刻と、各き電用変電所 SSj (j:j=1, 2, ..., J) が供給する電力との関係を示すデータ、に基づいて、列車位置 x と、各き電用変電所 SSj (j:j=1, 2, ..., J) の電力負担率(=(変電所 SSj の供給電力)/(列車の消費電力))との関係を求める。
図7に、ステップS201において求められる、列車位置 x と、各き電用変電所 SSj (j:j=1, 2, ..., J) の電力負担率の関係をプロットした図を示す。本図において、横軸は、列車位置 x であり、縦軸は、上段においては、列車が列車位置 x において消費する電力が、下段においては、列車が列車位置 x にあるときの、変電所 SSj の電力負担率が示される。加えて、横軸には、各変電所の位置(XSSj jは1から5の整数。)が参考のために記載されている。プロット71は、一列車運行模擬にかかる一列車が消費する電力のプロットである。プロット73、75、77、79、81、は、それぞれ、き電用変電所 SSj (ここでは、jは、1から5の整数。)の電力負担率のプロットである。
き電用変電所 SS3 を例に本図を説明する。き電用変電所 SS3 の電力負担率のプロットは、プロット77であるが、プロット77は、列車位置 x が、左方から変電所 SS3 の位置に近づくにつれて増加し、変電所 SS3 が配置されている位置 XSS3 においてピークを示し、右方へ遠ざかるにつれて減少する。また、プロット77を見れば、変電所 SS3 の電力負担率の変化率(勾配)は、変電所 SSj が配置されている位置において、不連続に変化することがわかる。なお、電力負担率において、断続的に負担率がゼロを示す列車位置が存在するが、これは、列車が回生運転を行っている区間である。
ステップS203において、変電所電力負担率導出部59(図1)は、上述した電力負担率がゼロを示している区間のデータを除外する。
ステップS205において、変電所電力負担率導出部59(図1)は、隣接する変電所間の区間(XSS1 から XSS2 の区間、XSS2 から XSS3 の区間等。)において電力負担率の変化率(図7のプロット73、75、77、79、81の勾配)は、一定であると仮定し、各き電用変電所 SSj (ここでは、jは、1から5の整数。)についての電力負担率 Rj(x) (xは、列車位置。)を、例えば、最小二乗法等を用いて直線近似することにより導出する。
ステップS207において、変電所電力負担率導出部59(図1)は、変電所 SSj の電力負担率 Rj(x) を、模擬対象区間に含まれる全ての隣接変電所間区間において求めたか否か、を判断する。
変電所 SSj の電力負担率 Rj(x) については、全ての隣接変電所間区間において求めたと判断した場合には、処理は、ステップS209へ進む。
変電所 SSj の電力負担率 Rj(x) について、未だ、全ての隣接変電所間区間において求めていないと判断した場合には、処理は、ステップS205へ戻る。
ステップS209において、変電所電力負担率導出部59(図1)は、全ての変電所 SSj の電力負担率 Rj(x) を求めたか否か、を判断する。
全ての変電所 SSj の電力負担率 Rj(x) を求めたと判断した場合には、処理は、終了し、ステップS103b(図5)へ進む。
未だ、電力負担率 Rj(x) を求めていない変電所が残っていると判断した場合には、処理は、ステップS205へ戻る。
図8は、電力負担率 Rj(x) 導出処理(図6)により導出された電力負担率 Rj(x) を示す図である。電力負担率 Rj(x) は、各き電用変電所について求められ、位置 x において在線する列車が消費する電力に対して変電所 SSj が供給する電力の割合を示す関数として用いることができる。本実施の形態においては、電力負担率 Rj(X) は、複数列車運行模擬において、在線する各列車について、各き電用変電所が供給する電力を導出するときに使用される。
図5に戻り、ステップS103bにおいて、電力シミュレーション装置100は、入力部7(図1)を介して、電力基準値 Pth (Pthj) (j:jは、き電用変電所を区別するための指標。)ならびに、ダイヤ変動最大時間幅 ta (tai) および tb (tbi) (i:iは、計画列車ダイヤに記載の各列車を区別するための指標。)の入力を受け付ける。受け付けたデータは、評価部5の解析条件データ保持部51に送られ保持される。本ステップは、ステップS103aと同一の処理を有してよい。ただし、本ステップは、電力負担率 Rj(x) についての結果を操作者に提示しつつ、実施することができ、そうすることによって、操作者は、電力負担率 Rj(x) についての知見に基づいて、電力基準値やダイヤ変動最大時間幅を設定することが可能である。
ステップS107において、実行管理部1の複数列車運行模擬実行管理部13(図1)は、列車運行模擬部3に対し、第1複数列車運行模擬の実行を指示する。
列車運行模擬部31は、当該指示を受けて、計画された列車ダイヤ(初期値ダイヤ)(図2の311において保持。)に従って、複数の列車を運行する鉄道運行シミュレーションを実行する。
第1複数列車運行模擬の実行に際し、列車運行模擬部3(図1)においては、運行管理模擬部331、信号設備模擬部333、列車走行模擬部335、および、き電系統模擬部337(図2)は、相互に連携し、計画列車ダイヤデータ(311)、信号保安設備データ(312)、車両特性データ(313)、鉄道線路線形データ(314)、き電設備データ(316)等に基づいて、計画列車ダイヤに記載された複数列車の模擬対象線区における運転曲線や消費/回生電力等を求める。
求めた運転曲線および消費/回生電力等は、第1複数列車運行模擬にかかる列車運行模擬結果データとして列車運行模擬結果データ記憶部353に保持される。なお、当該第1複数列車運行模擬にかかる列車運行模擬結果データは、例えば、時刻と、各列車の位置、速度、走行状態、消費/回生電力らとの関係を示すデータであればよい。
き電系統模擬部337は、時刻と、き電用変電所や蓄電施設から供給される電力や蓄積される電力らとの関係を示すデータを、第1複数列車運行模擬に係る変電所模擬結果データとして変電所模擬結果データ記憶部355に格納する。
ステップS103cにおいて、電力シミュレーション装置100は、入力部7(図1)を介して、電力基準値 Pth (Pthj) (j:jは、き電用変電所を区別するための指標。)ならびに、ダイヤ変動最大時間幅 ta (tai) および tb (tbi) (i:iは、計画列車ダイヤに記載の各列車を区別するための指標。)の入力を受け付ける。受け付けたデータは、評価部5の解析条件データ保持部51に送られ保持される。本ステップは、ステップS103a、ステップS103bと同一の処理を有してよい。ただし、本ステップは、電力負担率 Rj(x)、および、第1複数列車運行模擬の結果を操作者に提示しつつ、実施することができ、そうすることによって、操作者は、電力負担率 Rj(x) 、および、第1複数列車運行模擬の結果についての知見に基づいて、電力基準値やダイヤ変動最大時間幅を設定することが可能である。そのため、電力基準値等の設定をより適切に行い、シミュレーション時間のより一層の短縮化が期待できる。
なお、ステップS103a、S103b、S103cは、少なくともいずれか1ステップあればよい。
ステップS111において、変電所瞬時最大電力抽出部57(図1)は、変電所模擬結果データ記憶部355に保持される第1複数列車運行模擬に係る変電所模擬結果データを読み出し、き電用変電所 SSj (j:j=1, 2, ....., J) が供給した電力の時系列データを取得する。図9は、き電用変電所 SSj が供給した電力の時系列データ91の例図である。変電所瞬時最大電力抽出部57は、供給電力時系列データ91から、電力基準値 Pthj (Pth) 93よりも大きな値を有する時間帯を抽出し、各時間帯における電力のピークを示す時刻(候補時刻)を抽出する。図9においては、候補時刻は、Tj1、Tj2、・・・、Tjk、・・・として示される。なお、基準電力値 Pthj (Pth) は、各き電用変電所毎に異なる値(Pthjは、変電所 SSj についての基準電力値とする。)であってもよいし、全変電所に対して共通の値(Pth)であってもよい。また、基準電力値は、時系列データ91全体における最大の瞬時電力に対応する値(例えば、最大の瞬時電力の80%)として定めてもよい。
図5に戻り、ステップS3において、列車ダイヤ変動量決定部53(図1)は、各候補時刻 Tjk において、き電用変電所 SSj が供給する電力がさらに大きくなるように、計画列車ダイヤ(初期値ダイヤ)に含まれる各列車に計画列車ダイヤからの運行誤差(ダイヤ変動)を与える。そして、そのようにして各列車に与えられた運行誤差を考慮した列車ダイヤに基づく鉄道運行シミュレーション(第2複数列車運行模擬)を列車運行模擬部3(図1)において実施し、その結果から、候補時刻 Tjk における変電所 SSj の供給電力(候補時刻 Tjk の時刻最大値 PSSjk)を求める。
図10Aおよび図10Bは、図5のステップS3の詳細を示すフローチャートである。以下、図10Aおよび図10Bを参照し、図5のステップS3(時刻最大値 PSSjk の算出処理)について、詳細に説明する。
ステップS301において、列車ダイヤ変動量決定部53は、計画列車ダイヤデータ(初期値ダイヤデータ)(311)を参照し、候補時刻 Tjk において、計画列車ダイヤデータ上模擬対象線区に在線する列車(群)Mを抽出する。そして、第1複数列車運行模擬にかかる列車運行模擬結果データを参照し、列車(群)Mに含まれる各列車の候補時刻 Tjk における鉄道線路上の位置を取得し、当該位置がき電用変電所 SSj の設置位置に近い順に、列車(群)Mに含まれる列車をソートする。ここでは、ソート後の列車をそれぞれ、き電用変電所 SSj から近い順に、列車 M1、列車M2、・・・・、列車Mmとする。
ステップS303において、処理対象列車指定変数 i を、1とする。
ステップS305において、列車ダイヤ変動量決定部53は、列車 Mi について、時刻 Tjk から時間方向に関してマイナス側にダイヤ変動最大時間幅 tai 、時間方向に関してプラス側にダイヤ変動最大時間幅 tbi だけの幅を有する時間帯 Ti (Ti: Tjk-tai <= Ti <= Tjk+tbi) における第1複数列車運行模擬にかかる列車運行模擬結果データを、所定の時間幅Δt刻みで抽出する。このとき、Δt は、例えば、1[sec]とすることができる。
図11は、ステップS305において抽出されたデータを含むテーブルである。第1列(最も左端の列)は、時刻を示す列である。
第2列から第7列には、各時刻における列車 Mi に関するデータが含まれる。
第2列には、各時刻における列車 Mi の位置 Xi のデータが含まれる。本図においては、列車 Mi の列車位置 Xi は、時刻の関数のように記載されているが、このことは、列車位置 Xi が時刻の関数として、電力シミュレーション装置100に保存されていることを意味するものではない。列車位置 Xi は、第1複数列車運行模擬にかかる列車運行模擬結果データ内に、時刻と関係づけて保持される離散的なデータでよい。
第3列は、各時刻における列車 Mi の速度 Vi のデータが含まれる。
同様、第4列は、各時刻における列車 Mi の消費電力 Pi のデータが含まれる。
第5列、および、第6列の、列車 Mi の許容接近位置 Xai および可能停止位置 Xbi については、ステップS307と関連して後述する。
第7列の変電所 SSj から列車 Mi への供給電力 Pji についても、ステップS307と関連して後述する。
なお、本図は、各データについて、時刻の関数のように示しているが、このことは、列車位置 Xi と同様、各データが時刻の関数として、電力シミュレーション装置100に保存されていることを意味するものではない。各データは、第1複数列車運行模擬にかかる列車運行模擬結果データおよび第1複数列車運行模擬にかかる変電所模擬結果データならびに電力負担率 Rj(x) から取得される。
ステップS307において、列車ダイヤ変動量決定部53は、時間帯 Ti において変電所 SSj が列車 Mi へ供給する電力 Pji(Ti)、列車 Mi の後続列車接近許容位置 Xai(Ti)、列車 Mi の常用最大制動停止可能位置 Xbi(Ti) を求める。
変電所 SSj が列車 Mi へ供給する電力 Pji(Ti) は、以下のようにして求められる。
図11に例示するように、列車 Mi が時間帯 Ti の各時刻において消費する電力(Pi(t))は、第1複数列車運行模擬より既知である。また、列車 Mi の時間帯 Ti の各時刻における列車位置 Xi もまた既知である。よって、一列車運行模擬より求めた電力負担率 Rj(x) を用いれば、時刻tにおいて変電所 SSj から列車 Mi へ供給される電力は、Pi(t)×Rj(Xi(t))より求めることができる。
次に、図12は、列車の後続列車接近許容位置 Xai(t) および常用最大制動停止可能位置 Xbi(t) を説明するための模式図である。
時刻tにおける列車の後続列車接近許容位置 Xai(t) は、信号保安設備データ(図2の312)と、列車位置 Xi(t) と、予め定める保安余裕距離とから求めることができる。例えば、列車Mが、閉塞区間BLK内にあるとき、列車Mの後方側の閉塞区間BLKの端点からさらに後方へ保安余裕距離ぶん進んだ位置を、後続列車接近許容位置 Xai(t) とすればよい。
時刻tにおける列車の常用最大制動停止可能位置 Xbi(t) は、車両特性データ(図2の313)、列車位置 Xi(t) および列車速度 Vi(t) より求めることができる。より具体的には、車両特性データより列車Mが列車速度 Vi(t) から常用最大制動で停止できるまでに走行する距離を求め、そして、求めた距離ぶんだけ列車Mの列車位置 Xi(t) から前方へ進んだ位置を、常用最大制動停止可能位置 Xbi(t) とすればよい。
ステップS309において、現在の処理対象の列車が、列車 M1 であるか、否かについて判断される。
現在の処理対象の列車が、列車 M1 である場合(ステップS309における「YES」)、処理は、ステップS311へ進む。
現在の処理対象の列車が、列車 M1 でない場合(ステップS309における「NO」)、処理は、ステップS319へ進む。
以下、現在の処理対象の列車を列車 M1 であるとして、ステップS311からステップS317までの処理を説明する。
ステップS311において、列車ダイヤ変動量決定部53は、時間帯 T1 (T1: Tjk-ta1 <= T1 <= Tjk+tb1) において、変電所 SSj から列車 M1 へ供給される電力 Pj1(T1) が最大になる時刻 T1max を求める。時刻 T1max は、例えば、図11の第7列、変電所 SSj から列車 Mi (M1, i=1) への供給電力 Pji (Pj1, i=1) に含まれるデータのうちで最大のデータを決定し、当該データが記される時刻tを、時刻 T1max とすればよい。
ステップS313において、列車ダイヤ変動量決定部53は、列車 M1 に与える運行誤差(ダイヤ変動)の量ε1 を、候補時刻 Tjk と、時刻 T1max との差、すなわち、ε1 = Tjk - T1max より決定する。
図13は、計画された列車ダイヤと、本ステップ等(ステップS313、ステップS323、ステップS335)において決定される運行誤差ε(ステップS335においては「ε’」)を考慮した列車ダイヤとの関係を示す図である。実線で示されるダイヤが、当初計画された列車ダイヤ(初期値ダイヤ)であり、破線で示されるダイヤ95、97、99が、運行誤差ε(ダイヤ99についてはε’)を考慮した列車ダイヤである。当初計画された列車ダイヤ上、候補時刻 Tjk において、模擬対象線区に在線し、例えば、き電用変電所 SS3 に最も近い列車は、本図の例では、列車M1である。その次に変電所 SS3 に近い列車が、列車M2である。(列車M’1は、候補時刻 Tjk よりも後に始発駅 St. 6 を出発する列車であるから、候補時刻 Tjk において在線する列車としては取り扱われない。)先ず、列車M1について、ステップS305〜ステップS313により、運行誤差ε1 が決定される。このとき、列車M1の運行誤差ε1 を考慮した列車ダイヤ95は、図のように、当初計画された列車ダイヤを、ε1 だけ平行移動することで決定される。よって、運行誤差ε1 を考慮した列車M1の運転曲線は、運行誤差を考慮しない場合と、形状は同一であり、時間のみがε1 だけずれる。次に、列車M2については、ステップS319〜ステップS323により、列車M2の後続列車接近許容位置 Xa2 から常用最大制動停止可能位置 Xb2 までの範囲が列車M1の後続列車接近許容位置 Xa1 から常用最大制動停止可能位置 Xb1 までの範囲と重複しないように、運行誤差ε2 が決定される。図示しない、これら以外の列車についても同様である。また、候補時刻 Tjk において模擬対象線区に在線しない列車(例えば、列車M’1)については、ステップS333およびステップS335で、運行誤差ε’が決定される。
ステップS315において、列車ダイヤ変動量決定部53は、列車 M1 が運行誤差(ダイヤ変動)ε1 を含んで運行された場合の、時刻 Tjk における列車 M1 の後続列車接近許容位置 Xa1(Tjk, ε1)、および、列車 M1 の常用最大制動停止可能位置 Xb1(Tjk, ε1) を求める。ここで、Xai(t, ε)、および、Xbi(t, ε) は、運行誤差εを含んで運行される列車 Mi の時刻tにおける後続列車接近許容位置、および、常用最大制動停止可能位置であるとする。
なお、Xai(t, ε) は、図13の例図よりも明らかだが、Xai(t, ε) = Xai(t-ε) の関係を有する。この関係より、任意のεについて、Xai(t, ε) は、既得のデータから導出可能である。Xbi(t, ε) についても同様に、Xbi(t, ε) = Xbi(t-ε) の関係を有する。この関係より、任意のεについて、Xbi(t, ε) もまた既得のデータから導出可能である。
ステップS317において、列車ダイヤ変動量決定部53は、列車 M1 について、運行誤差ε1 を含んで運行された場合に候補時刻 Tjk においてき電用変電所 SSj から列車 M1 へ供給される電力 Pj1(Tjk, ε1) を求める。
電力 Pj1(Tjk, ε1) についてもまた、図13の例図よりも明らかだが、Pji(t, ε) = Pji(t-ε) の関係を有する。この関係より、任意のε1 について、Pj1(t, ε1) も、既得のデータから導出可能である。
次に、列車 M1 以外の在線中の列車(例として列車 M2)を処理対象の列車として、ステップS319からステップS327までの処理を説明する。ステップS319からステップS327までの処理は、既に説明したステップS311〜ステップS317までの処理と同様、処理対象の列車 Mi についての運行誤差εi を決定することを趣旨とするが、既に運行誤差εが決定された列車の後続列車接近許容位置 Xa と、常用最大制動停止可能位置 Xb を考慮して列車 Mi についての運行誤差εi を決定する点において既に説明したステップS311〜ステップS317の処理と異なる。
ステップS319において、列車ダイヤ変動量決定部53は、現在の処理対象列車 M2 よりもダイヤ変動処理対象列車順序が早い、列車 M1 の運行誤差ε1 を考慮した場合における候補時刻 Tjk での後続列車接近許容位置 Xa1(Tjk, ε1) および常用最大制動停止可能位置 Xb1(Tjk, ε1) を取得する。
また、列車ダイヤ変動量決定部53は、時間帯 T2 (T2: Tjk-ta2 <= T2 <= Tjk+tb2) での現在の処理対象列車 M2 の後続列車接近許容位置 Xa2(T2) および常用最大制動停止可能位置 Xa2(T2) を所定の時間幅Δt刻みで求める。
そして、列車ダイヤ変動量決定部53は、時間帯 T2 を、処理対象列車 M2 の後続列車接近許容位置 Xa2(T2) から常用最大制動停止可能位置 Xb2(T2) までの範囲が列車 M1 の運行誤差ε1 を考慮した場合における候補時刻 Tjk での後続列車接近許容位置 Xa1(Tjk, ε1) から常用最大制動停止可能位置 Xb1(Tjk, ε1) までの範囲のいずれとも重複しないような時間帯に限定し、これを前後列車考慮時間帯 T2' とする。
より一般には、ステップS319において、列車ダイヤ変動量決定部53は、現在の処理対象列車 Mi よりもダイヤ変動処理対象列車順序が早い、列車 Mf (f: f=1, 2, 3, ....,i-1))の運行誤差εf を考慮した場合における候補時刻 Tjk での後続列車接近許容位置 Xaf(Tjk, εf) および常用最大制動停止可能位置 Xbf(Tjk, εf) を取得する。
また、列車ダイヤ変動量決定部53は、時間帯 Ti (Ti: Tjk-tai <= Ti <= Tjk+tbi) での現在の処理対象列車 Mi の後続列車接近許容位置 Xai(Ti) および常用最大制動停止可能位置 Xbi(Ti) を所定の時間幅Δt刻みで求める。
そして、列車ダイヤ変動量決定部53は、時間帯 Ti を、処理対象列車 Mi の後続列車接近許容位置 Xai(Ti) から常用最大制動停止可能位置 Xbi(Ti) までの範囲が列車 Mf (f: f=1, 2, 3, ....,i-1) の運行誤差εf を考慮した場合における候補時刻 Tjk での後続列車接近許容位置 Xaf(Tjk, εf) から常用最大制動停止可能位置 Xbf(Tjk, εf) までの範囲のいずれとも重複しないような時間帯に限定し、これを前後列車考慮時間帯 Ti' とする。
つまり、ステップS319において、列車ダイヤ変動量決定部53は、処理対象列車 Mi に運行誤差εi を与えることによって、既に、運行誤差εが定められた列車(列車 Mi よりも変電所 SSj の近くに在線する列車)に処理対象列車 Mi が近づきすぎることがないように、処理対象列車に与えることができる運行誤差εi の値域を限定する。
ステップS321において、列車ダイヤ変動量決定部53は、前後列車考慮時間帯 T2' (Ti') において、変電所 SSj から列車 M2 (Mi) へ供給される電力 Pj2(T2') (Pji(Ti')) が最大になる時刻 T2max (Timax) を求める。時刻 T2max (Timax) は、例えば、ステップS311と同様にして決定すればよい。
ステップS323において、列車ダイヤ変動量決定部53は、列車 M2 (Mi) に与える運行誤差(ダイヤ変動)の量ε2 (εi) を、候補時刻 Tjk と、時刻 T2max (Timax) との差、すなわち、ε2 = Tjk - T2max (εi = Tjk - Timax) より決定する。
ステップS325において、列車ダイヤ変動量決定部53は、列車 M2 (Mi) が運行誤差(ダイヤ変動)ε2 (εi) を含んで運行された場合の、時刻 Tjk における列車 M2 (Mi) の後続列車接近許容位置 Xa2(Tjk, ε2) (Xai(Tjk, εi))、および、列車 M2 (Mi) の常用最大制動停止可能位置 Xb2(Tjk, ε2) (Xbi(Tjk, εi)) を求める。ここでは、ステップS315と同様、Xai(t, ε) および Xbi(t, ε) は、Xai(t, ε) = Xai(t-ε) および Xbi(t, ε) = Xbi(t-ε) の関係を有する。この関係より、任意のεについて、Xai(t, ε) および Xbi(t, ε) は、既得のデータから導出可能である。
ステップS327において、列車ダイヤ変動量決定部53は、列車 M2 (Mi) について、運行誤差ε2 (εi) を含んで運行された場合に候補時刻 Tjk においてき電用変電所 SSj から列車 M2 (Mi) へ供給される電力 Pj2(Tjk, ε2) (Pji(Tjk, εi)) を求める。
ここでは、ステップS317と同様、電力 Pji(Tjk, εi) は、Pji(t, εi) = Pji(t-εi) の関係を有する。この関係より、任意のεについて、Pji(Tjk, εi) も、既得のデータから導出可能である。
ステップS329において、列車ダイヤ変動量決定部53は、全ての処理対象列車(候補時刻 Tjk において在線する列車 Mi)について、運行誤差εi 等が決定されたか、否か、を判定する。
列車ダイヤ変動量決定部53が、候補時刻 Tjk において在線する全ての列車 Mi について、運行誤差εi 等が決定されたと判定した場合(ステップS329における「YES」)、処理は、ステップS333へ進む。
列車ダイヤ変動量決定部53が、候補時刻 Tjk において在線する全ての列車 Mi について、運行誤差εi 等が決定されていないと判定した場合(ステップS329における「NO」)、処理は、ステップS331へ進む。
ステップS331において、列車ダイヤ変動量決定部53は、処理対象列車指定変数 i を1だけ進める。そして処理は、ステップS305へ戻る。
ステップS333およびステップS335では、列車ダイヤ変動量決定部53は、候補時刻 Tjk において、当初計画された列車ダイヤ(初期値ダイヤ)上は在線しない列車について、変電所 SSj が供給する電力に対する影響を検討する。
ステップS333において、列車ダイヤ変動量決定部53は、当初計画された列車ダイヤ上、候補時刻 Tjk から時間についてマイナス方向に時間幅 ta0、プラス方向に時間幅 tb0 の幅を有する時間帯 T0 (T0: Tjk-ta0 <= Tjk <= Tjk+tb0) において在線する列車(群) M' を抽出する。
ここで、ta0 および tb0 は、上述のように候補時刻 Tjk において在線しない列車群 M' に対して設定されるダイヤ変動最大時間幅である。ダイヤ変動最大時間幅 ta0 および tb0 もまた、数秒ないし数十秒の範囲で定めることが望ましい。例えば、ラッシュ時における乗客の乗降所要時間に関する実績値を考慮して、tb0 を、例えば、約10秒に設定する、といったことも可能である。なお、実際の列車運行において列車ダイヤよりも早く列車が始発駅を出発することを一切禁止するような運用がなされる場合には、ta0 をゼロに設定することも可能である。
図13を参照すれば、列車 M'1 が、ステップS333において抽出される列車を例示する。列車 M'1 は、候補時刻 Tjk よりも後の時刻において始発駅 St. 6 を出発する列車である。そのため、候補時刻 Tjk において列車 M'1 は、在線しない。しかしながら、列車 M'1 について時間幅 ta0 の範囲で早発を許す場合には、列車 M'1 は、候補時刻 Tjk において在線することが可能である。次に説明するステップS335では、このような列車群 M' についての変電所 SSj の供給電力への影響を定量する。
ステップS335において、列車ダイヤ変動量決定部53は、列車群 M' に含まれる各列車について、変電所 SSj から近い順に、範囲 -ta0 <= ε <= tb0 の範囲で最も変電所 SSj からの供給電力が大きくなる運行誤差(ダイヤ変動)ε’を、決定する。
ステップS337において、列車ダイヤ変動量決定部53は、ステップS313、ステップS323、および、ステップS335において求めた、各列車についての運行誤差εおよびε’を考慮した列車ダイヤを作成し、当該ダイヤを列車ダイヤ変動量データ記憶部55(図1)に格納する。
そして、実行管理部1の複数列車運行模擬実行管理部13は、列車運行模擬部3に対し、運行誤差εおよびε’を考慮した列車ダイヤに基づく鉄道運行シミュレーション(第2複数列車運行模擬)の実行を指示する。
当該指示を受けた列車運行模擬部3は、上記第2複数列車運行模擬を実行し、その結果を、第2複数列車運行模擬にかかる列車運行模擬結果データおよび変電所模擬結果データとして、模擬結果データ記憶部35に格納する。
次に、評価部5の変電所瞬時最大電力抽出部57が、第2複数列車運行模擬にかかる変電所模擬結果データと各き電用変電所 SSj (j:1, 2, ..., J) の電力負担率 Rj(x) とに基づき、候補時刻 Tjk において各き電用変電所 SSj が供給する電力 PSSjk を算出する。ステップS337の処理が完了すると、処理は、ステップS113(図5)へ進む。
ステップS113において、変電所瞬時最大電力抽出部57は、全ての変電所 SSj についての全ての候補時刻 Tjk (j: j=1, 2, ...., J, k: k=1, 2, 3, ....) について、各候補時刻電力最大値 PSSjk を求めたか、否か、を判定する。
変電所瞬時最大電力抽出部57が、全ての候補時刻電力最大値 PSSjk を求めたと判定した場合(ステップS113における「YES」)、処理は、ステップS115へ進む。
変電所瞬時最大電力抽出部57が、未だ、全ての候補時刻電力最大値 PSSjk を求めていないと判定した場合(ステップS113における「NO」)、処理は、ステップS3へ戻り、未だ求めていない候補時刻電力最大値 PSSjk を求める。
ステップS115において、評価部5は、各変電所 SSj について、それぞれについての候補時刻電力最大値 PSSjk の最大値(供給電力最大値) Max{PSSjk}_k を求める。
ステップS117において、評価部5は、全ての変電所 SSj について、供給電力最大値 Max{PSSjk}_k を求めたか、否か、を判定する。
評価部5が、全ての変電所 SSj について、供給電力最大値 Max{PSSjk}_k を求めたと判定した場合(ステップS117における「YES」)、処理は、ステップS119へ進む。
評価部5が、未だ、全ての変電所 SSj について、供給電力最大値 Max{PSSjk}_k を求めていないと判定した場合(ステップS117における「NO」)、処理は、ステップS111へ戻り、未だ供給電力最大値が得られていない変電所について、処理を行う。
ステップS121において、評価部5は、当初計画された列車ダイヤ(初期値ダイヤ)、各列車について運行誤差(ダイヤ変動)を考慮した列車ダイヤ(実績ダイヤ)、および、各き電用変電所 SSj の瞬時最大電力(供給電力最大値 Max{PSSjk}_k)を、出力部9に表示させる。
図14は、運行誤差(ダイヤ変動)を考慮した列車ダイヤに基づいて算出されたき電用変電所 SSj の供給電力の時系列プロット93mを示す図である。図9のプロット93と比較すればわかるように、き電用変電所 SSj の瞬時最大電力MAXmは、プロット93(図9)よりも大きく評価されている。これは、本電力シミュレーション装置100が、当初計画された列車ダイヤに各列車の運行誤差を考慮することによって、実運用上想定される運行状態で最も大きな瞬時最大電力を要するような運行状態を作り出して、そのような運行状態についての電力シミュレーションを実行することによって得られた結果である。
図15は、出力部9に出力されるダイヤデータの出力例である。このように、電力シミュレーション装置100は、当初計画された列車ダイヤに、瞬時最大電力MAXm(図14)が記録されたときの列車運行誤差に基づく変動を加えたダイヤDmを重ね合わせて出力することができる。
このように、本実施の形態による電力シミュレーション装置100は、先ず、候補時刻を抽出し、各候補時刻について、各列車の運行誤差の量を、き電用変電所に近い順に、順々に、決定することにより、き電用変電所の電力シミュレーション、特に、き電用変電所の瞬時最大電力の模擬を、少ない計算量で精度よく実施することができる。
これより、電力シミュレーション装置100の実施例1について説明する。
以下、同一のモデルを、3通りの手法で模擬して得た、き電用変電所の瞬時最大電力の評価結果について記す。3通りの手法とは、
a. 簡易計算法
b. 従来のシミュレーションによる方法
c. 本実施の形態による電力シミュレーションによる方法、である。
a.の簡易計算法とは、背景技術として紹介した式(1)および式(2)による方法である。
b.の従来のシミュレーションによる方法は、計画された列車ダイヤに従って瞬時最大電力を評価するものであり、ここでは、運行誤差は考慮されない。
c.は、本願実施の形態において示すように、計画された列車ダイヤに運行誤差を考慮して瞬時最大電力を評価するものである。
<モデル>
モデルとした模擬対象線区は、全長20[km](20000[m])の鉄道線路であり、列車は、特定の車種からなる3両編成とした。変電所は、所定の位置に5機設置されているものとした。模擬対象線区および列車は、図3に示したものに類似する。
<評価対象>
ここでの評価対象は、模擬対象線区の中央部付近に設置されたき電用変電所 SS3 の瞬時最大電力とした。
<評価結果>
a.簡易計算法による評価の結果
電力消費率P=60[kWh/(1000ton・km)]、列車重量W=146.5[ton](乗客率200%とする)、き電距離D=4.206[km]、列車本数N=27[本/h]、とする。このうち、電力消費率Pの値や列車重量を設定する際の乗車率200%は、実在する地下鉄における計算での使用例を引用した。
1時間最大電力 Y= P×W×D×N/1000
= 60×146.5×4.206×27/1000
= 998 [kW]
より、瞬時最大電力Zは次式により算出される。
瞬時最大電力 Z = Y+C√(Y)
= 998+120×√(998)
= 4789 [kW]
ここで、C=120とした。この値もまた、上記実在する地下鉄における使用例からの引用である。)
b.従来のシミュレーションによる方法
図16の(a)は、従来のシミュレーションによる電力シミュレーション結果である。
図中MAXにて示す時刻において、瞬時最大電力 3459 [kW]との結果を得た。
c.本実施の形態による方法
図16の(b)は、本実施の形態による電力シミュレーションによる結果である。
図中MAXにて示す時刻において、瞬時最大電力 4063 [kW]との結果を得た。
以上、a〜cの結果をまとめると、
a. 簡易計算法 :4789 [kW]
b. 従来のシミュレーションによる方法 :3459 [kW]
c. 本実施の形態による方法 :4063 [kW](b.の+17.5%) となった。
ここで、c.(本実施の形態による方法)の結果は、列車運行模擬部3として実機データとの誤差が±5%未満の列車運行シミュレータを用いた結果である。
よって、
実運用の際の瞬時最大電力(推定値)= 4063×0.95 〜 4063×1.05
= 3860[kW] 〜 4266[kW]
と評価できる。
これに対し、
簡易計算法の実運用(推定値)に対する誤差
= 4789/4266〜4789/3860
= 12.3[%] 〜 24.1[%]
となり、誤差は、本発明による方法の計算誤差よりも大きくなった。
簡易計算法では乗車率を固定する(今回の例では200%)ために安全側の設定が必要となるので、計算結果は大きめの値となる。また瞬時最大電力を求める際の係数Cの値として実在する他の地下鉄では140として計算する場合もあり、これも余裕代が大きくなる要因である。
このように、本実施の形態による方法は、従来のシミュレーションよりも17.5%程度大きい値を、瞬時最大電力として算出し、また、実運用(推定値)に対して、簡易計算法では12.3%〜24.1%の誤差が生じるのに対し、本発明での誤差は±5%未満である。このように、本実施の形態による方法は、他の従来の手法よりも精度よく計算が可能である。
本発明は、電気鉄道におけるき電用変電所の電力容量の推定工程に利用することができる。
1 ・・・ 実行管理部
3 ・・・ 列車運行模擬部
5 ・・・ 評価部
7 ・・・ 入力部
9 ・・・ 出力部
11 ・・・ 一列車運行模擬実行管理部
13 ・・・ 複数列車運行模擬実行管理部
31 ・・・ 模擬環境データ記憶部
33 ・・・ 列車運行模擬実行部
35 ・・・ 模擬結果データ記憶部
51 ・・・ 解析条件データ保持部
53 ・・・ 列車ダイヤ変動量決定部
55 ・・・ 列車ダイヤ変動量データ記憶部
57 ・・・ 変電所瞬時最大電力抽出部
59 ・・・ 変電所電力負担率導出部
100 ・・・ 電力シミュレーション装置

Claims (5)

  1. 所定の列車ダイヤに基づいて、所定の位置に設置されるき電用変電所が供給する電力を模擬する電力シミュレーション装置であって、
    前記電力シミュレーション装置は、データを保持するための記憶装置およびデータを処理するための処理装置を備え、
    前記記憶装置は、
    前記所定の列車ダイヤのデータを保持する模擬環境データ記憶部を含み、
    前記処理装置は、
    列車ダイヤに基づく鉄道運行シミュレーションを実行することにより、時刻と、前記列車ダイヤに規定された少なくとも1つの列車の位置および消費電力ならびに前記き電用変電所の供給電力それぞれとが関連付けされたデータを含んだ模擬結果データを出力する列車運行模擬実行部と、
    前記模擬結果データに基づき、列車の位置と、前記列車が消費する電力における前記き電用変電所が供給する電力の割合を導出する変電所電力負担率導出部と、
    前記模擬結果データに基づき、前記き電用変電所が供給する電力の時間変動が極大点を示す時刻の少なくとも1つを候補時刻として抽出する変電所瞬時最大電力抽出部と、
    前記候補時刻での前記き電用変電所が供給する電力が、前記鉄道運行シミュレーションにより得られた前記候補時刻における前記き電用変電所の前記供給電力の値よりも大きくなるように、前記列車の運行ダイヤからの運行誤差を決定する列車ダイヤ変動量決定部と、を含み、
    列車運行模擬実行部が、前記所定の列車ダイヤに前記運行誤差を与えて得られる列車ダイヤを用いて鉄道運行シミュレーションを実行することにより、前記き電用変電所の供給電力の模擬結果を算出する、ことを特徴とする、電力シミュレーション装置。
  2. 前記列車ダイヤ変動量決定部は、前記列車の運行ダイヤからの運行誤差を所定の時間幅内で決定し、
    前記所定の時間幅は、前記列車が、前記列車の進行方向前方および進行方向後方の少なくともいずれかにある他の列車との距離を所定の距離以上に保って、運行可能な運行誤差の値域と一致するか、または、より小さいことを特徴とする、請求項1に記載の電力シミュレーション装置。
  3. 前記列車ダイヤ変動量決定部は、前記候補時刻において複数の列車が前記鉄道線路に在線する場合には、前記候補時刻において前記き電用変電所により近くにある列車から順々に、前記複数の列車のそれぞれについて、前記運行誤差を決定する、ことを特徴とする請求項2に記載の電力シミュレーション装置。
  4. 所定の列車ダイヤに基づいて、所定の位置に設置されるき電用変電所が供給する電力を、データを保持するための記憶装置およびデータを処理するための処理装置を備えたコンピュータを用いて模擬する電力シミュレーション方法であって、
    前記処理装置に含まれる列車運行模擬実行部が、列車ダイヤに基づく鉄道運行シミュレーションを実行することにより、時刻と、前記列車ダイヤに規定された少なくとも1つの列車の位置および消費電力ならびに前記き電用変電所の供給電力それぞれとが関連付けされたデータを含んだ模擬結果データを出力するステップと、
    前記処理装置に含まれる変電所電力負担率導出部が、前記模擬結果データに基づき、列車の位置と、前記列車が消費する電力における前記き電用変電所が供給する電力の割合を導出するステップと、
    前記処理装置に含まれる変電所瞬時最大電力抽出部が、前記模擬結果データに基づき、前記き電用変電所が供給する電力の時間変動が極大点を示す時刻の少なくとも1つを候補時刻として抽出するステップと、
    前記処理装置に含まれる列車ダイヤ変動量決定部が、前記候補時刻での前記き電用変電所が供給する電力が、前記鉄道運行シミュレーションにより得られた前記候補時刻における前記き電用変電所の前記供給電力の値よりも大きくなるように、前記列車の運行ダイヤからの運行誤差を決定するステップと、
    前記処理装置に含まれる前記列車運行模擬実行部が、前記記憶装置に保持された前記所定の列車ダイヤに前記運行誤差を与えて得られる列車ダイヤを用いて鉄道運行シミュレーションを実行することにより、前記き電用変電所の供給電力の模擬結果を算出するステップと、を有する電力シミュレーション方法。
  5. コンピュータに、所与の列車ダイヤに基づいて、鉄道線路に沿って所定の位置に設置されるき電用変電所が供給する電力を模擬する電力シミュレーションを実行させるためのプログラムであって、
    前記コンピュータに、
    列車ダイヤに基づく鉄道運行シミュレーションを実行することにより、時刻と、前記列車ダイヤに規定された少なくとも1つの列車の位置および消費電力ならびに前記き電用変電所の供給電力それぞれとが関連付けされたデータを含んだ模擬結果データを出力するステップと、
    前記模擬結果データに基づき、列車の位置と、前記列車が消費する電力における前記き電用変電所が供給する電力の割合を導出するステップと、
    前記模擬結果データに基づき、前記き電用変電所が供給する電力の時間変動が極大点を示す時刻の少なくとも1つを候補時刻として抽出するステップと、
    前記候補時刻での前記き電用変電所が供給する電力が、前記鉄道運行シミュレーションにより得られた前記候補時刻における前記き電用変電所の前記供給電力の値よりも大きくなるように、前記列車の運行ダイヤからの運行誤差を決定するステップと、
    前記所定の列車ダイヤに前記運行誤差を与えて得られる列車ダイヤを用いて鉄道運行シミュレーションを実行することにより、前記き電用変電所の供給電力の模擬結果を算出するステップとを実行させるためのプログラム。
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