JP5324069B2 - 歯科用補綴物 - Google Patents

歯科用補綴物 Download PDF

Info

Publication number
JP5324069B2
JP5324069B2 JP2007215435A JP2007215435A JP5324069B2 JP 5324069 B2 JP5324069 B2 JP 5324069B2 JP 2007215435 A JP2007215435 A JP 2007215435A JP 2007215435 A JP2007215435 A JP 2007215435A JP 5324069 B2 JP5324069 B2 JP 5324069B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
evoh
vinyl
dental prosthesis
mol
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007215435A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008074842A (ja
Inventor
定美 堤
仁夫 岡野
健太郎 豊栖
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd filed Critical Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2007215435A priority Critical patent/JP5324069B2/ja
Publication of JP2008074842A publication Critical patent/JP2008074842A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5324069B2 publication Critical patent/JP5324069B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Dental Tools And Instruments Or Auxiliary Dental Instruments (AREA)
  • Dental Preparations (AREA)
  • Dental Prosthetics (AREA)

Description

本発明はプラスチック材料を主成分とする歯科用補綴物に関するものであり、さらに詳しくは適度な強度を有し、安全性が高く、口腔粘膜への親和性・密着性に優れた歯科用補綴物に関するものである。
歯科用補綴物とは、口腔内に装着して用いる、総義歯、部分義歯、歯科矯正具等の欠損歯を補う器具もしくはその一部を構成する部材や治療器具を意味し、例えば、義歯、義歯床、歯肉カバー、人体への固定のための係留部材(クラスプやレスト)、ブリッジ、クラウン、インプラント上部構造物、インレー、アンレー、各部品をつなげる連結子またはバー、歯列矯正のためのワイヤー、ブラケット、歯や口内を防護するマウスピースやナイトガード、スプリント等が挙げられる。
かかる歯科用補綴物に用いられる材料には、安全性、強度、審美性、成形性等、多岐にわたる高度な条件が要求される。これらの条件を満たすため、歯科用補綴物の材料には様々な検討がされている。
例えば、総義歯、部分義歯等の義歯床の材料としては、従来はポリアクリル系樹脂が使用されていたが、ポリアクリル系樹脂は耐久性および機械的強度が低いという問題点があった。
これに対して近年は機械的強度が高いポリカーボネート系樹脂を溶融成形してなる義歯床が用いられており、最近では、溶融粘度が比較的低いため成形性に優れ、しかも機械的強度が大きい材料として、ポリカーボネートと液晶性ポリエステルによる複合材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、ポリカーボネートは内分泌かく乱作用を有するビスフェノールAを原料としており、加水分解によってもビスフェノールAを生じる可能性があるため、人体への安全性に問題があった。
そこで、内分泌かく乱作用の問題がない代替材料として、ポリエステル樹脂を用いた義歯床が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、これらの材料はいずれも口腔粘膜との親和性が不十分であり、さらに使い続けていると歯槽堤の吸収等により口腔粘膜との適合が悪くなるため、咬んだ時に力のかかる部位が痛くなる等の問題があった。
また、最近では、プラスチック材料のみからなる総義歯および部分義歯において、義歯床が天然歯の歯冠部に当接する特殊な固定構造を採用することで、金属製の係留部材を用いずとも口腔内へ良好に固定される、審美性のよい義歯が提案された(例えば、特許文献3および4参照)。しかし、かかる明細書中には、前述の課題に関する記載はなく、その解決につながるプラスチック材料の具体的な明示もないことから、かかる技術への適用も可能で、かつ前述の課題を解決できるような材料の開発が求められている。
一方、部分義歯や矯正具等を固定するための係留部材(クラスプやレスト等)には、一般的に、高強度・高弾性率であるために固定能に優れ、固定角度の微調整がしやすい材料として金属材料が用いられている。しかし、脱着時に近隣の天然歯や口腔粘膜を傷つけ、金属アレルギーを起こすという問題があった。これに対して、例えばアセタール樹脂等のプラスチック材料を係留部材として用いる歯科用補綴物が提案された(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、かかる歯科用補綴物は繊維状あるいは微粒子状充填材を併用して、曲げ弾性率を10〜80GPa、最大伸び率を0.8〜4%にすることで金属材料と同等の維持特性を得ているもので、かかる弾性率は未だ高く、装着脱着時における近隣歯等への負担の点で、改善が求められていた。そこで、より可とう性が大きい材料を用い、曲げ弾性率が10GPa未満であるプラスチック製係留部材を有する補綴物が検討されているが、総合的な特性を充分に満足する材料は得られていないのが現状である。
特開2002−173408号公報 特開2005−060353号公報 特開2002−078721号公報 特開2003−116884号公報 特開2004−081857号公報
本発明は、口腔粘膜との親和性・密着性に優れた歯科用補綴物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記事情に鑑み鋭意検討した結果、歯科用補綴物の材料として、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物(以下、EVOHと略する)を用いることにより本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明はEVOHからなる歯科用補綴物に存する。EVOHは親水性が良く、口腔内では唾液で膨潤するため口腔粘膜への密着性が良く、適度な硬さを有し、加熱や加水分解等でも人体に有毒な成分を出さないために安全性に優れ、熱可塑性樹脂であるために成形性に優れるという特長を持つ樹脂であり、これらの特長を活かすことで本発明特有の効果が得られたものである。
また、本発明ではEVOHからなる義歯床を提供するものである。かかる義歯床は親水性が良く、口腔内では唾液で膨潤するため口腔粘膜への密着性が良いため違和感や痛みを覚えにくいという特長を有するものである。
さらに、本発明ではEVOHからなる係留部材を提供するものである。かかる係留部材は親水性が良く、かつ適度な硬さを有するため、隣接歯や口内を傷つけないにもかかわらず、適度な固定能を有するという特長を有するものである。
本発明による歯科用補綴物は、口腔粘膜への密着性に優れ、さらに適度な強度を有し、安全性が高く、かつ作製が容易であるため、特に有用である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いられるEVOHは、エチレンとビニルエステル系モノマーからなる共重合体をケン化して得られるエチレン構造単位とビニルアルコール構造単位を有する共重合体であり、ケン化度が100%でない場合は、ケン化によりビニルアルコール構造とならなかったビニルエステル構造単位を有するものである。
本発明に用いるEVOHにおけるエチレン含有量としては、通常1〜70モル%、さらには10〜60モル%、特には20〜55モル%、殊には25〜50モル%が好ましく、かかるエチレン含有量が少なすぎた場合には吸水性が大きくなり口腔内で使用時に曲げ弾性率などの機械的強度が低下する傾向があり、多すぎた場合には曲げ弾性率などの機械的強度が不足する傾向がある。
また、ビニルアルコール構造単位は、通常30〜99モル%、さらには40〜90モル%、特には45〜80モル%、殊には50〜75モル%が好ましく、かかるビニルアルコール構造単位が多すぎた場合には吸水性が大きくなり口腔内で使用時に曲げ弾性率などの機械的強度が低下する傾向があり、少なすぎた場合には曲げ弾性率などの機械的強度が不足する傾向がある。
また、平均ケン化度は通常80〜100モル%、さらには90〜100モル%、特には95〜100モル%、殊には99〜100モル%が好ましく、かかる平均ケン化度が低すぎた場合には吸水性が大きくなり口腔内で使用時に曲げ弾性率などの機械的強度が低下するとなる傾向がある。かかるケン化の際に副生する酢酸ナトリウムのEVOH中の残存量は通常ナトリウム換算で1000ppm以下、さらには500ppm以下、特には300ppm以下が好ましい。
またEVOHは、ケン化度が100%でない場合は、ケン化後に残存するビニルエステル構造単位を含有する。かかるビニルエステル構造単位は、通常0〜75モル%、さらには0〜54モル%、特には0〜36モル%、殊には0〜25モル%である。
また、EVOHの、メルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)は0.5〜100g/10分、さらには1〜50g/10分、特には3〜40g/10分、殊には5〜30g/10分のものが好ましく、該メルトフローレートが低すぎた場合には射出成形や圧縮成形などの溶融成形時にEVOH樹脂の充填が困難になるという傾向があり、高すぎた場合には同EVOH樹脂の充填が不安定になるという傾向がある。
また、EVOHのぬれ性は接触角測定機(「協和界面科学株式会社」製、”FAMAS”、23℃、50%RH)で、液滴法にて測定した、水の接触角の値で通常5°〜85°、さらには30°〜80°が好ましく、特には45°〜80°であることが好ましい。
また、EVOHの曲げ弾性率は、ISO14663に従ってISO178に準拠して測定した値で通常1〜9.9GPa、さらには2〜9.8GPaが好ましく、特には3〜9.7GPaであることが好ましい。
EVOHの、ケン化前のエチレン−ビニルエステル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば溶液重合、懸濁重合、乳化重合などにより製造することが可能で、通常はメタノールを用いた溶液重合により製造される。また、ケン化は酸触媒やアルカリ触媒を用いた公知の方法で行うことができ、通常は水酸化ナトリウムを用いたアルカリケン化が行われる。
なお、ビニルエステル系モノマーとしては、例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の脂肪族炭化水素ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族炭化水素ビニルエステル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、経済的な点から、通常炭素数3〜15、さらには3〜10が好ましく、特には4〜6が好ましく、殊には炭素数4の酢酸ビニルが好ましく用いられる。これらは単独で、もしくは複数種を同時に用いてもよい。
また、上記のEVOHは、本発明の目的を逸脱しない範囲で、共重合可能な不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の不飽和炭化水素類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和カルボン酸類あるいはその塩、あるいはモノアルキルエステル類またはジアルキルエステル類、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のモノあるいはジアルキル置換アクリルアミド類、アクリルアミドアルカンスルホン酸類あるいはその塩、アクリルアミドアルキルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド等のモノあるいはジアルキル置換アクリルアミド類、2−メタクリルアミドアルカンスルホン酸類あるいはその塩、メタクリルアミドアルキルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド誘導体、N−ビニルピロリドン等の環状ビニルアミド類、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール等のアリル化合物類、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン基含有不飽和化合物類、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメトキシラウリロキシシラン等のケイ素含有不飽和化合物類、アセトアセチル基含有不飽和化合物等が挙げられ、これらを単独でもしくは2種以上で用いることができる。これらは生産効率および生成物の安定性の点から、通常炭素数1〜30であり、さらには炭素数1〜15が好ましく、特には1〜10が好ましい。
また、樹脂特性を損なわない範囲で、エポキシ化合物によるヒドロキシアルキルエーテル化、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化等、公知の方法で後変性されたものであっても差し支えない。
さらに本発明では、EVOHが下記一般式(1)のような、側鎖に1,2−ジオール構造単位を含有するものであっても差し支えない。かかるEVOH中の一般式(1)で表される構造単位の含有量は、通常0.1〜20モル%であり、好ましくは0.1〜15モル%、特に好ましくは0.1〜10モル%である。
Figure 0005324069
[一般式(1)において、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。]
一般式(1)における有機基としては、特に限定されず、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の飽和炭化水素基、フェニル基、ベンジル基等の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。
1〜R3は通常炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4のアルキル基または水素原子が好ましい。R4〜R5は炭素数1〜30、特には炭素数1〜15、さらには炭素数1〜4のアルキル基または水素原子が好ましく、水素原子が最も好ましい。殊には、R1〜R6がすべて水素で、Xが単結合であるものが好ましい。
本発明においては、かかる一般式(1)の構造単位を有するEVOHを用いることで、さらに親水性を高めることができ、口腔内部との密着性が向上する。
また、一般式(1)で表わされる構造単位中のXは代表的には単結合であるが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば結合鎖であってもよく、かかる結合鎖としては特に限定されないが、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−(CH2O)m−、−(OCH2m−、−(CH2O)mCH2−等のエーテル結合部位を含む構造、−CO−、−COCO−、−CO(CH2mCO−、−CO(C64)CO−等のカルボニル基を含む構造、−S−、−CS−、−SO−、−SO2−等の硫黄原子を含む構造、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−等の窒素原子を含む構造、−HPO4−等のリン原子を含む構造などのヘテロ原子を含む構造、−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−等の珪素原子を含む構造、−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−等のチタン原子を含む構造、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等のアルミニウム原子を含む構造などの金属原子を含む構造等が挙げられる(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数であり、通常1〜30、好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜10である。)。その中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で−CH2OCH2−、および炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、さらには炭素数1〜6のアルキレン基、特には炭素数1であることが好ましい。
かかる一般式(1)の構造単位を有するEVOHの製造法は特に限定されないが、例えば、ビニルエステル系モノマー、エチレンと下記一般式(2)で表される化合物の共重合体をケン化する方法が好適に用いられる。
Figure 0005324069
[一般式(2)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、
Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または
有機基を示し、R7及びR8はそれぞれ独立して水素原子またはアシル基を示す。]
かかるR7及びR8がアシル基である場合は、加水分解処理することにより上記一般式(1)に表される構造単位に変換することができる。
一般式(2)で示される化合物の代表例としては、R1〜R6はすべて水素であり、Xが単結合であり、R7およびR8がアセチル基である3,4−ジアセトキシブテンが挙げられる。
また、他の方法としてはビニルエステル化合物とエチレンのコモノマーとしてビニルエチレンカーボネートを用い、この共重合物をケン化脱炭酸する方法や、コモノマーとして下記一般式(3)に示す化合物を用いてケン化脱ケタール化する方法、グリセリンモノアリルエーテルをコモノマーとしてこれをケン化する方法等を挙げることができる。
Figure 0005324069
[一般式(3)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、
Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または
有機基を示し、R9及びR10はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。]
また、本発明に用いられるEVOHは下記の構造単位(4)を含有しているものであってもよい。かかる、上記一般式(4)に示す構造単位の含有量は、通常0.1〜50モル%であり、より好ましくは0.5〜30モル%、さらに好ましくは0.8〜20モル%である。
Figure 0005324069
[式中、R11は置換または未置換の炭素数1〜30の炭化水素鎖である]
一般式(4)におけるR11は、置換または未置換の炭素数1〜30の炭化水素鎖であり、好ましくは炭素数3〜15の炭化水素鎖であり、特には4〜10の炭化水素鎖である。例えば、メチレン鎖、エチレン鎖等のアルキレン基があげられ、かかるアルキレン基は樹脂特性を損なわない範囲において、ハロゲン原子、水酸基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ケトン基、スルホン酸基等を有してもよい。
かかる一般式(4)で示される構造単位を有するEVOHは、例えばEVOHにラクトン化合物を開環グラフト化して製造することができ、かかるラクトン化合物としては炭素数が3〜15のもの、特にε−カプロラクトンが好ましく用いられる。なかでも、上記一般式(4)におけるR11が4以上のものはTgが室温以下であるため、口腔内での柔軟性が要求される場合には好適である。
また、本発明では、エチレン含有量、平均ケン化度、平均重合度、MFR、側鎖の変性基の種類、および変性基の含有量等が異なる2種以上のEVOHを混合および/または併用、積層する等してもよい。
本発明の歯科用補綴物におけるEVOHの含有量は、通常1〜100重量%、好ましくは10〜100重量%、特に好ましくは30〜100重量%である。かかる量が少なすぎた場合、本願発明の効果が得られにくい傾向がある。
さらに、本発明の歯科用補綴物においては、使用目的に応じ、EVOHの親水性を阻害しない範囲で、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアクリル系、ポリアクリロニトリル系、ポリアミド系、ポリハロゲン化ビニル系、ポリビニルアルコール系、ポリウレタン系樹脂等の樹脂類、またはシリコン系、フッ素系等のゴム類などを混合および/または併用、積層する等して用いてもよく、異なる2種以上の樹脂およびゴムを併用してもよい。
本発明の歯科用補綴物は、添加剤として、EVOHの特徴を阻害しない範囲で、一般の歯科用樹脂材料に使用されている顔料、着色剤、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、フッ素化合物等の汚れ防止剤、界面活性剤、香料、消臭剤、抗菌剤等を併用しても良い。また、ステアリン酸アミド等の飽和脂肪族アミド、オレイン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等のビス脂肪酸アミド、低分子量ポリオレフィン等の公知の滑剤、離型剤、エチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の多価アルコール、特には脂肪族多価アルコール等の公知の可塑剤、酢酸、リン酸等の酸類およびそのアルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属塩、ホウ酸またはその金属塩等のホウ素化合物など、公知の熱安定剤を用いてもよい。
また、本発明の歯科用補綴物では、強度や剛性の向上、伸び率の低下等の目的でフィラーを混合して用いてもよい。かかるフィラーとしては、有機系、無機系、繊維状、粒子状を問わず、公知のものを使用することができる。例えば繊維状フィラーとしては、アラミド繊維、ビニロン繊維、シルク繊維、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド等の有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、石膏繊維等の無機繊維がある。
これらの繊維フィラーは通常、径が約0.01〜500μm、長さが0.01〜1000μmであり、これらの単繊維が数十〜数十万本単位で収束したロービング、それらを短くした短繊維やストランド、よりをかけたヤーン、織物、編物、混繊状であるマット、クロス、リボン、ストロー等種々の形状を使用することができる。
義歯床に用いる場合には、中でも長繊維の収束糸のロービングや織物、編物形状のものを使用すると高い補強効果が得られる傾向があり、係留部材に用いる場合には、作業性の点から、通常、短繊維やリボン、ストロー状のものが用いられる。
この他にも粒子状フィラーとしては、ウオラストナイト、セピオライト、ゾノトライト、ドーソナイト、マイカ、セリサイト、タルク等の天然鉱物、合成マイカ等の合成鉱物、また、黒鉛、カーボンブラック等の炭素系フィラー、シリカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク、石英粉末、炭化珪素、窒化珪素等の珪素系フィラー、珪酸カルシウム、珪酸ジルコン等の珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩、ホウ酸アルミニウム等のホウ酸塩、チタン酸カリウム、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、酸化マグネシウム等の金属酸化物、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、硫酸バリウム等の硫酸塩等の無機フィラーがあり、これらの形状は破砕状、球状、不定形等特に制限はない。また、平均粒子径に関しても特に制限はなく、レーザー回析散乱法にて測定した値で通常0.001〜1000μmの範囲である。
これらのフィラーには、EVOHとの密着性をより向上させるために、表面をシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等の公知の表面処理剤により表面処理することも好ましい。また、これらのフィラーは、種類および形状の異なるものを単独でも複数種組み合わせて用いてもよい。
これらの樹脂および添加剤をEVOHと混合するにあたっては特に制限はなく、任意の混合方法が採用され、例えば、ドライブレンド、溶解混合、溶融混練等が挙げられる。また、混合する順番に関しても特に制限はなく、任意のタイミングで各成分を混合することができる。
かかるフィラーの配合量はその用途によって求められる特性に応じて適宜選択すればよいが、EVOH100重量部に対し通常0.1〜45重量部である。
かくして得られたEVOHあるいはEVOH組成物は、本発明の歯科用補綴物の原料として用いられる。
本発明の歯科補綴物に用いられるEVOHの性質は、用いられる部品により異なるため、添加剤により適宜調節される。以下、特に義歯床、歯肉カバー、マウスピース等、口腔粘膜に広範囲にわたって直接触れる部品と、係留部材や連結子、ワイヤー、ブラケット等、固定のための部品ついてさらに詳細に述べる。
本発明の歯科用補綴物において、義歯床、歯肉カバー、マウスピース等、口腔粘膜に広範囲にわたって直接触れる部品は、口腔粘膜への密着度が大きいという性質を特に要求される。本発明では親水性に優れた素材であるEVOHを用いるため、使用時に口腔内の唾液により適度に膨潤し、快適な密着性を得ることが出来、ひいては使用し続けた時の痛みを軽減することが出来る。かかる部品に用いる際のEVOHの強度、曲げ弾性率、親水性(ぬれ性)は、添加剤により適宜調節する。
EVOHを義歯床、歯肉カバー、マウスピース等、口腔粘膜に広範囲にわたって直接触れる部品に使用する際のフィラーは、EVOH100重量部に対し通常0.5〜45重量部、さらには5〜35重量部が好ましく、特には10〜25重量部であることが好ましい。特に、繊維の直径が8〜30μmの長繊維が数千本〜数万本の単位で合わさった収束糸のロービングを使用すると機械的な補強効果が高まる傾向がある。
EVOHを義歯床、歯肉カバー、マウスピース等、口腔粘膜に広範囲にわたって直接触れる部品に使用する際のフィラーや添加剤を混合した後のEVOHの曲げ弾性率は、ISO14663に従ってISO178に準拠して測定した値で通常1〜9.9GPa、さらには2〜9.8GPaが好ましく、特には3〜9.7GPa、殊には4〜9.7GPaであることが好ましい。
本発明の歯科用補綴物の作製手順は公知の方法が採用され、一例として以下の手順を挙げる。
1.患者の口腔内を、ガム状物質にて直接かみあわせてかたどりし、かかる凹型へ石膏を流し込み、患者の口腔内を再現した石膏型(印象模型)を作製する。
2.印象模型の余剰部を削除し、技工作業が出来る石膏模型を作製する
3.模型を咬合器に装着し、患者から採得した咬合をもとに、人工歯を配列する。(複模型)
4.ワックスにて彫刻再現し、蝋義歯を作製する。(ワックスアップ、スプルーイング)5.蝋義歯を石膏でフラスコに埋没被覆する。
6.埋没したワックスを熱湯にて流し採るか、または電気炉等で加熱焼却し鋳型を作製する。
7.鋳型に義歯床用樹脂をあらかじめ加熱して流動化し、型に流し込んだ後に冷却して固化させる。
8.鋳型から固化した歯科用補綴物を取り出し、機械加工および研磨加工する。
9.患者の口腔内にあわせて微調整した後に装着する。
前記手順7で行う溶融成形法としては公知のものが採用され、例えば汎用型射出機を用いて加熱し流動化した樹脂を金型内部へ射出し、金型で冷却後製品化するインジェクション成形法等の射出成形法、適温にした汎用型圧縮成形機の金型に材料を仕込んで金型を閉じ、圧力をかけて成形するコンプレッション成形法、また適温にした汎用型圧縮成形機の金型のポットと呼ばれる部分に材料を仕込み、圧力をかけて金型を閉じると同時に材料がポットから注入口を通って金型内へ流れこむトランスファー成形法等の圧縮成形法、真空成形法、押出成形法等がある。
また、義歯床が天然歯の歯冠部に当接する、特殊な固定構造を有する総義歯、あるいは部分義歯の製造方法において、特許第3403183号に示されるような、義歯床に係留部材部位を埋設、または接着して一体化する方法や、特許第3732474号に示されるような、単板状の枚葉シートを加熱軟化し、圧風または真空吸引にてシートを型に密着させる方法にても成形可能である。
成形温度は、通常100〜300℃の範囲から選ぶことが多く、かかる成形温度は、従来用いられてきたポリカーボネート系樹脂やポリスルホン系樹脂よりも低く設定することができ、汎用の成形器を用いて容易に成形することができる。
義歯床、歯肉カバー、マウスピース等、口腔内に広範囲にわたって直接触れる部品の形状は、患者の口内をかたどりしたものを基に成形するため任意であるが、総義歯ならば通常10cm×10cm×5cm程度の成形物であり、部分義歯であれば5cm×5cm×5cm程度の成形物である。床部の厚みは0.1〜6mm程度である。さらに、口腔内に対する固定のための超小型磁石や磁性アタッチメントを設置したり、パラジウム、チタン、金などの金属、合金材料や他の樹脂を部分的に併用したり、積層する等して用いてもよい。また、粘着性のある食べ物の付着を防ぐ等の目的で表面を凹凸処理することも好ましい。設置される係留部材や連結子またはバー等の材料については、特に限定せず、パラジウム合金等の金属製係留部材を用いてもよく、ポリカーボネート系、ポリアセタール系樹脂等のプラスチック材料や、後述するEVOH組成物を用いてもよい。
本発明の歯科用補綴物において、係留部材や連結子、ワイヤー、ブラケット等、人体への固定のための部品は、特に強度が要求される。かかる部品に用いる際のEVOHの強度、曲げ弾性率、親水性(ぬれ性)は、添加剤により適宜調節する。
EVOHを係留部材や連結子、ワイヤー、ブラケット等、人体への固定のための部品に使用する際には、かかるフィラーは固定する部位によって任意であるが、EVOH100重量部に対し通常0.5〜45重量部、さらには5〜35重量部が好ましく、特には10〜25重量部であることが好ましい。特に、繊維の直径が例えば8〜30μmの長繊維が数千本〜数万本の単位で合わさった収束糸のロービングを使用すると機械的な補強効果が高まる傾向がある。
フィラーや添加剤を混合した後のEVOHの曲げ弾性率は、固定する部位によって任意であるが、ISO14663に従ってISO178に準拠して測定した値で通常2.0〜9.9GPa、さらには3.0〜9.8GPaが好ましく、特には4.0〜9.7GPaであることが好ましい。
本発明の係留部材や連結子、ワイヤー、ブラケット等、人体への固定のための部品は、通常溶融成形で製造される。かかる溶融成形は公知のものが採用され、例えば前述の射出成形法、またはコンプレッション成形法、トランスファー成形法等の圧縮成形法、真空成形法、押出成形法等があり、望む部品の形態により適宜選択する。係留部材を製作する場合、任意の方法が採用されるが、例えば義歯床を作製する際に同時に成形したり、金属製の係留部材を有する義歯を、患者の口腔内で係留部材の固定具合を微調整した後、該金属製係留部材の形状を基に型をとり、作成するという方法がある。
また、かかる係留部材は特許第3403183号に示されるような、係留部材部位を埋設、または接着して一体化する方法にて義歯床に固定する部分義歯製作方法にも適用可能である。
係留部材や連結子、ワイヤー、ブラケット等、人体への固定のための部品の形状は、固定する部位によって任意である。係留部材とは部分義歯を近隣歯に固定する機能を持つ部材であり、例えばその一部は部分義歯に固定され、近隣歯の歯冠部の外側面に当接するような形状である。係留部材やワイヤー等の形状は、例えば直径0.1〜5mm程度の円柱状または先細りの円柱状、短径0.1〜3mm程度、長径0.2〜10mm程度の楕円柱状または先細りの楕円柱状、または厚み0.1〜3mm程度、幅0.2〜10mm程度のリボン状や板状等任意の形状である。連結子またはバー等の形状は、2つ以上の部分義歯床間を固定する機能をもつ部材であり、例えば厚み0.1〜3mm程度、幅0.2〜10mm程度のリボン状や板状等任意の形状をとる。ブラケットは、歯科矯正の際にワイヤーやゴム等によって生じる歯を動かす為の力を歯に伝えるものであり、ワイヤーを固定するため任意の構造をとる。これらの部品は部分的に金属や合金材料を併用したり、積層して用いることも可能である。
成形温度は、100〜300℃の範囲から選ぶことが多く、かかる成形温度は、従来用いられてきたポリカーボネート系樹脂やポリスルホン系樹脂よりも低く設定することができ、汎用の成形器を用いて容易に成形することができる。
本発明品である歯科用補綴物には、成形後、フッ素化合物等公知の汚れ防止剤、酸化防止剤等をコーティングしてもよい。また、粘着性のある食べ物の付着を防ぐ等の目的で表面を凹凸処理することも好ましい。
本発明における歯科用補綴物は、親水性に優れるため口腔内へ装着したときに唾液により膨潤し、口腔粘膜への密着性が良くなり口腔粘膜が痛くなりにくく、滑りが良くなるため脱着時の近隣天然歯への負担が軽減される。また、適度な強度を有し、加熱時や加水分解時にビスフェノールAやダイオキシン等の有害物を発生することなく、生体への安全性に優れている。さらに、成形温度が比較的低い熱可塑性樹脂であるため、成形が容易であるという特長を持つ。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
なお、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準を示す。
実施例1
診断用模型を咬合器に装着し、サベヤーにてサベイングを行ったのち、硬石膏にて複模型を作製した。複模型にて幅2mm、長さ30mm、厚み1.8mmの既製パターンワックス4本を用い、係留部のワックスアップを行った。次にアクリル樹脂製人工歯を配列後、さらにワックスを20部用いて歯肉形成を行い、スプルーイングし石膏系埋没材にて埋没を行った。
脱蝋した後、スプルーイングにより予め設置した注入孔より、加熱炉内にて250℃で完全に溶融したエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(エチレン含有量29モル%、平均ケン化度99.6モル%、MFR8.2g/10分(ISO14663に従ってISO1133に基づいて測定した)、曲げ弾性率3.9GPa(ISO14663に従ってISO178に準拠して測定した)、接触角64°(接触角測定機(「協和界面科学株式会社」製、”FAMAS”、23℃、50%RH、を用いて液滴法(水)にて測定)17部を4〜6気圧にて加圧注入を行った。その後、室温にて30分間冷やし、埋没型より取り出し後、診断用模型にて適合性を確認し、床および係留部材部分を研磨して仕上げを行い、[図1]のような歯科用補綴物を得た。
製作中、射出成形時には溶融樹脂が型内の末端まで完全に満たされ、気泡が混入することなく均一に成形できた。また、型から取り出したときの外表面の平滑性は良好であった。一方内表面は石膏型表面を忠実に再現し凹凸が見られたが、サンドブラスト処理により良好な平滑面とすることができた。
実施例2
エチレン含有量38モル%、平均ケン化度99.6モル%、MFR3.3g/10分(ISO14663に従ってISO1133に基づいて測定した)、曲げ弾性率3.2GPa(ISO14663に従ってISO178に準拠して測定した)接触角74°(接触角測定機(「協和界面科学株式会社」製、”FAMAS”、23℃、50%RH)を用いて液滴法(水)にて測定)のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を用い、射出成型により1mm厚のシート成型後、切り出しを行い6×20mm×1mmのチップを作成した。
チップを上唇内粘膜と歯肉との間に3時間挟み、口腔内材料として装着感を確認したところ、唾液とのなじみ良好で異物感が無く、歯肉表面への吸着感が得られた。また会話への影響も見られなかった。
実施例3
実施例2において、一般式(1)で示される構造単位(R1〜R6が水素、Xが単結合)を1.5モル%有し、エチレン含有量37モル%、平均ケン化度99.6モル%、MFR4.0g/10分(ISO14663に従ってISO1133に基づいて測定した)、曲げ弾性率は3.2GPa[一般式(1)で示される構造単位(R1〜R6が水素、Xが単結合)を2.0モル%有する以外は上記と同条件のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の曲げ弾性率が3.1GPaであり、一般式(1)で示される構造単位(R1〜R6が水素、Xが単結合)を有しない以外は上記と同条件のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の曲げ弾性率が3.2GPaであったことに基づく推測値]であり、接触角72°(接触角測定機(接触角測定機(「協和界面科学株式会社」製、”FAMAS”、23℃、50%RH)を用いて液滴法(水)にて測定)のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を用いた以外は実施例2と同様の方法でチップを作成し、同様の方法で評価したところ、良好な装着感を得ることができた。
比較例1
実施例2においてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物に替えて接触角104°(接触角測定機(「協和界面科学株式会社」製、”FAMAS”、23℃、50%RH)を用いて液滴法(水)にて測定)である高密度ポリエチレンを用いた以外は実施例2と同様の方法でチップを作成し、同様の方法で評価したところ、装着に関して当初より違和感がし、また経時による改善も見られなかった。
比較例2
実施例2においてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物に替えてポリエチレンテレフタレートを用いた以外は実施例2と同様の方法でチップを作成し、同様の方法で評価したところ、装着に関しては当初より違和感がし、また経時による改善も見られなかった。
比較例3
実施例3においてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物に替えてポリカーボネートを用いた以外は実施例2と同様の方法でチップを作成し、同様の方法で評価したところ、装着に関しては当初より違和感がし、また経時による改善も見られなかった。
比較例4
実施例3においてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物に替えてポリアミドを用いた以外は実施例2と同様の方法でチップを作成し、同様の方法で評価したところ、装着に関しては当初より違和感がし、また経時による改善も見られなかった。
本発明の歯科用補綴物はEVOHを用いることにより適度な強度を有し、安全性が高く、親水性に優れ、口腔粘膜への密着性に優れ、成形加工が容易であることから、歯科用補綴物として有用である。かかる親水性や成形性などの性質は公知一般のEVOH樹脂が有するものであり、EVOH樹脂を歯科用補綴物に適用する場合に、本願発明の効果が得られることは自明である。
本発明における部分義歯床の実施形態である。
符号の説明
1 義歯床
2 係留部材(クラスプ)
3 義歯

Claims (3)

  1. チレン−ビニルエステル共重合体ケン化物からなる歯科用補綴物であって、該歯科用補綴物が義歯床であることを特徴とする歯科用補綴物。
  2. エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物からなる歯科用補綴物であって、該歯科用補綴物が義歯用の係留部材であることを特徴とする歯科用補綴物。
  3. エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物の曲げ弾性率が2GPa以上9.9GPa以下であることを特徴とする請求項記載の歯科用補綴物。
JP2007215435A 2006-08-23 2007-08-22 歯科用補綴物 Expired - Fee Related JP5324069B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007215435A JP5324069B2 (ja) 2006-08-23 2007-08-22 歯科用補綴物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006226662 2006-08-23
JP2006226662 2006-08-23
JP2007215435A JP5324069B2 (ja) 2006-08-23 2007-08-22 歯科用補綴物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008074842A JP2008074842A (ja) 2008-04-03
JP5324069B2 true JP5324069B2 (ja) 2013-10-23

Family

ID=39347262

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007215435A Expired - Fee Related JP5324069B2 (ja) 2006-08-23 2007-08-22 歯科用補綴物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5324069B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101584504B1 (ko) * 2015-03-19 2016-01-22 박영수 치과용 교정장치 제조방법
CN105167869A (zh) * 2015-10-09 2015-12-23 东莞定远陶齿制品有限公司 一种局部义齿成品树脂牙的制作工艺
JP2017108998A (ja) * 2015-12-18 2017-06-22 小林製薬株式会社 歯間清掃具
JP2020010950A (ja) * 2018-07-20 2020-01-23 Dgshape株式会社 義歯床の製造方法および切削装置ならびに切削材料

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61143059A (ja) * 1984-12-17 1986-06-30 株式会社 モルテン 義歯床及びその製造方法
JPS62204740A (ja) * 1985-11-14 1987-09-09 日石三菱株式会社 義歯床

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008074842A (ja) 2008-04-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6752953B2 (ja) マウスピース
JP2913102B2 (ja) 繊維強化複合材料よりなる受動的歯科装置
US20090305195A1 (en) Preformed malleable solid crown
JP5324069B2 (ja) 歯科用補綴物
CN110087578A (zh) 牙齿矫正器系统
JPWO2004049967A1 (ja) 歯科用成形体及びその成形方法
US5171147A (en) Dental bridge
EP2077795A1 (en) Preformed malleable multilayer dental articles
CN102715957A (zh) 一种新型口腔正畸矫治器
CN209136930U (zh) 大面积黏膜支持式义齿
JP6196522B2 (ja) 光透過性を有する硬化性シリコーン組成物及びそれを用いた光硬化性樹脂成型物の作製方法
US20080124678A1 (en) Dental prosthetic appliance
CN215228624U (zh) 一种新型牙齿保持器
WO2019188919A1 (ja) 歯科用成形体及び歯科用樹脂材料
JP2010131181A (ja) マウスガードの製造方法
JP2020158395A (ja) 歯科用成形体及び歯科用樹脂材料
KR102627132B1 (ko) 기준 의치상, 기준 의치, 의치 제작 키트 및 의치 제작 방법
CN212997517U (zh) 一种纤维复合的聚合物义齿垫片
KR20130047003A (ko) 세라믹 유치관 및 세라믹 유치관과 상악 전유치 간의 결합구조와 방법
JP3040297B2 (ja) 歯科用軟質裏装材
WO2021132274A1 (ja) マウスピースおよびその製造方法
CN211049660U (zh) 一种基于3d打印技术制备的义齿基托
JP2007312840A (ja) 象牙質層を先に成型する顎歯模型用の歯牙およびその製造方法
JP5416693B2 (ja) 義歯及びその製造方法
JP2017184862A (ja) 基礎床形成用シートおよびそれを用いた基礎床、有床義歯の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100722

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121009

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130205

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130319

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130716

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130718

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees