JP5323860B2 - 混合された信号を複数の成分信号に分離する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、信号処理の一般的な技術分野に関するものであり、より具体的には、ブラインドソース分離を用いてソース信号の混合体からソース信号を分離する一般的な技術分野に関するものである。
本発明は、数多くの分野に応用できる。特に、脳波図、無線通信の分野における信号処理、さらには質量スペクトル処理にこれを応用することができる。
いずれも所与の瞬間にセンサーネットワークによって記録された複数の混合体から統計的に独立した複数のソースを分離すること(空間分散)からなるソース分離の問題は、信号処理において比較的新しい問題である。
観察された物理的現象が、複数の独立した基本的現象の積み重ねであり、この積み重ねが瞬間線形結合(または混合体)によって表現されることは、頻繁にあることである。
この現象の観察に由来する測定データは、このとき、各々の独立した基本的現象からの寄与の瞬間線形混合体である。
この場合、複数のセンサーを設置することによって、これらの寄与の複数の異なる瞬間線形混合体を測定することが可能である。例えば、脳波検査においては、患者の頭皮上にさまざまな電極が設置される。これらの電極によって、患者の脳活動を測定することができる。
各電極は、脳のさまざまなソースが発出する電気信号の混合体を測定し、異なる電極が異なる混合体を測定する。ソースの混合体は、ソースがその中で異なる割合でまたは異なる重みをもって出現する場合に、異なるものであると考えられている。
この場合、次のものについてのその他の情報、すなわち、
−ソースについて、および、
−これらのソース由来の信号がどのように混合されているか
は全く知られていない。
このとき、第一段階において混合体の重みを識別するために、そして第二段階において測定値内で各ソースの寄与を分離するために、ソース分離が使用される。こうして、混合体に妨害されることなく異なる寄与の個別分析が可能となる。
現在、ソース分離方法には二つのタイプが存在する。
第一のタイプの方法は、予備ステップ、いわゆる「白色化(whitening)」ステップを使用し、これにより、混合体の重みを識別するために後続する計算ステップを容易にすることができる。しかしながら、この白色化ステップは、各ソースの寄与の分離時点で補正不能なエラーを誘発する。したがって、このタイプの方法はあまり正確ではない。
第二のタイプの方法は、白色化ステップを一切必要としない。しかしながら、この第二のタイプの方法は、効率および計算コストに関する問題を誘発する。
本発明の一つの目的は、混合された信号を複数の成分信号に分離するための方法を提案することにあり、これにより前述のタイプの方法の欠点を少なくとも一つ克服することができる。
この目的で、少なくとも二つのセンサーにより記録された混合された信号(x(t),...,x(t))を複数の成分信号(s(t),...,s(t))へと分離するための方法が提供されるものであり、該方法においては、混合された信号(x(t),...,x(t))は独立したソースに由来するM個の成分信号(s(t),...,s(t))のN個の線形結合に対応しており、ソースに由来する成分信号(s(t)、...、s(t))のベクトルを混合行列(A)に乗じた積として各混合された信号を記すことが可能であり、該方法はさらに結合対角化ステップを含み、このステップでは一つまたは複数のギブンス回転行列(Givens rotation matrices)(G(θ))、および、一つまたは複数の「ハイパボリック(双曲線)回転」行列(hyperbolic rotation matrices)(H(φ))に対応する複数の回転行列の積から混合行列Aが推定される。
本発明の範囲内で「ハイパボリック回転行列」というのは、ハイパボリック関数(例えばcosh、sinh)である項を含み、かつ1に等しい行列式を有する回転行列を意味する。
かくして、本発明によると、高速で信頼性の高い単一の最適化ステップにより混合行列を識別できる。単一のステップしか存在しないという事実によって、後述の文献[1]、[1b]、[2]の場合などの2ステップの方法(白色化と、それに続く結合対角化)に比べてさらに正確な結果が得られる。実際、第一のステップの不可避なエラーを第二のステップにより補正することはできない。さらに、提案される方法では、特にロバストな、そして計算能力の観点からみてさほどコストが高くない代数アルゴリズムが使用される(これは、2×2サイズの「三角法」および「ハイパボリック」回転行列の積である)。
白色化ステップを備える方法は、基本直交行列(elementary orthogonal matrices)の積により直交混合行列(orthogonal mixture matrix)を確立する(ギブンス回転)。
本発明に関して言うと、これは1に等しい行列式を有する行列を乗算することにより、1に等しい行列式を有する混合行列を構築することを可能にする。直交行列群(正の行列式+1を有する)は、1に等しい行列式を有する行列群の中に含み入れられる。したがって、混合行列を計算するステップは、混合体が当初受けていた制約を制限することのできる本発明の方法によって容易になる。最初の「白色化」ステップはもはや不可欠ではなく、それでも「代数」法のロバスト性および効率は保たれる。
結果として、本発明の方法は、白色化ステップを含む方法で得られた混合行列よりも混合体の物理的現実に近い混合行列の計算を可能にする。
本発明に係る方法の好ましいものの非限定的な態様は、以下の通りである。
−ギブンス回転行列が、θの三角関数に対応する要素を含み、ハイパボリック回転行列がφのハイパボリック関数に対応する要素を含む;
−対角化ステップには、右にはギブンス回転行列とハイパボリック回転行列の積、そして左にはこの積の転置行列により推定行列族(R:)を乗算するためのステップ、そして、この乗算の結果としてのn次の行列の非対角項を最小化するためにθおよびφの値を計算するためのステップとが含まれている;
なお、本明細書においては、明細書の記載として使用できる文字の制約を考慮し、
Figure 0005323860
上記〔数1〕を、テキスト上、「(R:)」と表記する。
−結果として得られたn次の行列に対して乗算ステップが反復される;
−cosθおよびcoshφがそれぞれ1に向かうギブンス角度θおよび「ハイパボリック角度」φになるまで乗算ステップが反復される;
−推定行列R:は、(推定エラーの範囲内で)混合行列と対角行列と転置された混合行列との積に等しく(R=AD)、これらは例えば、キュムラント(cumulants)行列、または異なる周派数帯域内の共分散行列、または異なる時間推移を有する相互相関行列、または異なる時間的間隔にわたって推定された共分散行列である;
−ギブンス回転行列は、対角線上のcosθ要素、対角線より下のsinθ要素および対角線より上の−sinθ要素を含み、「ハイパボリック回転」行列は対角線上のcoshφ要素、対角線より下のsinhφおよび対角線より上のsinhφ要素を含む;
−ギブンス回転行列は、
Figure 0005323860
タイプのものであり、「ハイパボリック回転」行列は、
Figure 0005323860
タイプのものである。
本発明は同様に、少なくとも二つのセンサーによって記録された混合された信号を複数の成分信号へと分離するための装置に関するものであり、各混合された信号は独立したソースに由来する成分信号の瞬間線形結合に対応し、ソースに由来する成分信号のベクトルを混合行列に乗じた積として各混合された信号を記すことができるものであり、該装置は、さらに結合対角化用手段を備え、該手段では一つまたは複数のギブンス回転行列および一つまたは複数のハイパボリック回転行列に対応する複数の回転行列の積から混合行列が推定されることを特徴とする。
本発明は同様に、コンピュータで使用することのできる媒体に記録されたプログラムコード命令を含むコンピュータプログラム製品にも関するものであり、該プログラム製品は上述の方法を応用するための命令を含むことを特徴とする。
本発明のその他の特徴、目的および利点は以下の記述からさらに明らかとなるが、この記述は、純粋に例証であって限定的なものではなく、添付図面を参照に読まれるべきものである。
本発明にしたがった方法の実施態様を示す。 混合された信号を分離するための三つの異なる方法(J−Di、FFDiagおよびLUJ1D)について、サイズN=50のK=50の行列のセットを用いた、50回の独立した試行での、多くのスイープ(sweeps)に応じて、対角性に向かう収束を示す図である。 混合された信号を分離するための三つの異なる方法(J−Di、FFDiagおよびLUJ1D)について、サイズN=50のK=50の行列のセットを用いた50回の独立した試行での、多くのスイープに応じて、分離基準(separation criterion)の収束を示す図である。 K=N(N+1)/2=210 四次キュムラントスライスN=20およびσ=0.1である場合の、50回の独立した試行での、多くのスイープに応じて、分離基準の収束を示す図である。 本発明に係る混合された信号を分離するためのシステムの実施態様を表示したものである。
当業者にとって公知の以下の代数的性質が、以降で使用されている:
−二つの行列AおよびBの積の転置:
(AB)=B
−二つの行列AおよびBの積のインバース:
(AB)−1=B−1−1
−ギブンス回転:
G(θ)−1=G(θ)=G(−θ)
−ハイパボリック回転
H(φ)−1=H(−φ)
−ハイパボリック回転の対称性:
H(φ)=H(φ)
本発明に係る方法の一つの実施態様についてここで図1を参考にしながらより詳細に記述する。
混合体を独立した成分に分解することは、混合体の中で相互に隠れている現象の各々の解釈、分析または処理を容易にすることから有利である。
これらの現象は、例えば以下のものであってよい:
−脳波信号(EEG)に寄与するさまざまな(脳および筋肉)電気現象、
−狭周波数帯域のさまざまな無線送信機、
−溶液中に存在する、異なる蛍光色素からの発光(light emission)、
−同じ分子の異なる混合体の質量スペクトル。
異なる寄与を分離することにより、このとき次のことが可能である。
−筋肉寄生(muscular parasite)を免れたEEG信号を研究すること(明滅(blink)、ECGなど);
−各高周波ソースからの信号を別々に復調すること;
−各蛍光色素の濃度を(例えばサイトメトリによって)推定すること、または、
−質量分析法を通して研究された媒質内に存在する、異なる分子を識別すること。
ソースの信号は、時間(EEG、高周波数)、波長(蛍光性)、質量(質量スペクトル)などであってもよい可変数量に左右される。
以下では、ソース由来の信号が時間に左右されるという点を考慮に入れながら、本発明に係る方法を提示するが、これによってこの方法の全体的内容が限定されることはない。
ソースの分離の問題は、以下の要領で数学的にモデル化される。
M個のソースの各々は、他のソースが発出する信号とは独立した形で信号s(t)を発出する。
これらのM個の寄与の(所与の瞬間tにおける)混合体は、N個の全く異なる混合体を提供するN個のセンサーのネットワーク(ここでN>MまたはN=M)により観察される。
したがって、x(t)と記される瞬間tにおいて観察されたデータは、多次元である。
所与の瞬間におけるこれらのN回の観察のベクトルは、行列A(N行、M列)つまりいわゆる「混合行列」とソース信号のベクトルs(t)との積として記してよい。すなわち
Figure 0005323860
先の等式を再公式化することで測定値x(t)に対する異なるソースの寄与s(t)を示してもよい。
Figure 0005323860
本発明に係る方法によると、混合行列Aに対するいかなる先験的情報もなくこの混合行列を推定することができ(この行列は単に非特異行列であることだけが仮定されている)、このときソース信号が推定される。
ソース信号は独立していると仮定され、その非ガウス性(non−Gaussian character)、そのスペクトル差、またはその非定常性などのその統計的特性が利用される。
第一のステップ100においては、K個の推定された行列R:の族が、センサーネットワークにより記録されたデータから(1とKの間に含まれるkについて)計算される。
これらの推定された行列R:は、以下の構造を有する行列Rと(推定エラー内まで)等しい:
Figure 0005323860
なお式中、Dは対角行列であり、Aは転置された混合行列Aである。当然のことながら、当業者であれば、行列Dがブロック状に対角であってよいということを理解すると思われる。
等式の第3項は、rankが1のM個の行列の加重和(a )としての、R個の行列を示す第2項の再公式化にすぎない。項D(m,m)a は、行列Rに対するソースmの寄与である。
これらの状況に応じて、これらの推定行列R:は、3次または4次のキュムラントの行列(JADE方法[1]、[1b])、異なる周波数帯域内の共分散行列[3]、異なる時間推移の相互相関行列(SOBI方法[2])または異なる時間的間隔にわたり推定された共分散行列[3]であってよい。当然のことながら、これらの推定行列は、当業者にとって公知のその他のタイプのものであってよい。
第二のステップ200においては、推定行列の結合対角化が、以下でより詳細に記述されているように実施される。
本発明に係る方法は、A行列をR:,...,R:,...R:行列から計算することを可能にする。
行列Bは、すべての行列BR:Bが可能なかぎり「対角」となるように求められる:
BR:=D
Bは、以下の形の基本N×N行列の積として構築される:

Figure 0005323860
ここで、i<jは、1とNの間の任意の二つのインデックスであり、Iは、p×pサイズの恒等行列を表わし、下記〔数8〕は、下記〔数11〕の等式を満たすような、下記〔数9〕タイプのギブンス行列(なお式中θは、ギブンス回転の角度である)と〔数10〕タイプのハイパボリック回転行列(なお式中φはハイパボリック回転角度である)との積である。
Figure 0005323860
Figure 0005323860
Figure 0005323860
Figure 0005323860
したがって、先行技術の対角化方法との差異は、行列B(ひいては混合行列A)が、回転行列と一つまたは複数のギブンス回転行列および一つまたは複数のハイパボリック回転行列との積から推定されるという点にある。
「ハイパボリック回転行列」とは、φのハイパボリック関数に対応する要素を含む行列のことである。
より詳細には、推定行列R:の族には以下のものが乗算される:
−各推定行列R:の右側に、ギブンス回転行列とハイパボリック回転行列との積。当業者にとっては、該方法の等価のインプリメンテーション(equivalent implementation)が回転の反転(inversion)からもたらされるであろうことは明白である(最初にギブンス回転で次にハイパボリック回転ではなく、ハイパボリック回転で次にギブンス回転)。
−そして、各推定行列R:の左側に、この積の転置行列:すなわち
Figure 0005323860
となる。ここで
Figure 0005323860
である。
この積の結果としてもたらされる行列、下記〔数14〕の非対角項を最小化する角度θおよびφが次に求められる。
Figure 0005323860
この演算は、ギブンスおよびハイパボリック回転行列の要素を、結果として得られる行列の以下の要素へと移動させることによって、結果として得られた行列について反復される:
Figure 0005323860
ここで
Figure 0005323860
であって、インデックスiおよびjの全ての対について同様である。
Figure 0005323860
これらの演算は、cosθおよびcoshφがそれぞれに1に向かうような、全てのギブンス回転角度θおよび全てのハイパボリック回転角度φとなるまで、インデックスiおよびjの全ての対について複数回反復される。
当然のことながら、当業者であれば、(該方法の大域収束性を意味する)他の停止基準が可能であるということを知っている。例えば、対角要素の全体的増加または非対角要素の全体的減少を監視して、反復停止を決定してもよい。
行列M(i,j,θ,φ)×R:×M(i,j,θ,φ)の非対角項を全体的に最小化する角度θおよびφは、以下の要領で得ることができる:
−行列Cを以下のように構築する。
Figure 0005323860
−C×Cおよび対角行列(−1,1,1)の一般固有分解(generalized eigendecomposition)を計算する。固有ベクトルはz>0および−x+y+z=1となるような正の最小の一般固有値のν=(x,y.z)として記される。
Figure 0005323860
を計算する。
Figure 0005323860
を計算する。
問題は以下の等式を解くことのみにあることから、その他の等価の式も存在することを当業者であれば認識する:
Figure 0005323860
上述の式は、該方法の収束の終りでxが0に向かう場合に優れた数値的安定性を有するという利点をもつ。
コンピュータ計算の有限精度に適応させるためには、その他のマイナーな修正が有用であるかもしれない。例えば、正の最小の固有値は、理論的には実際上ごくわずかに負であるかもしれない。それでも、それを保持することが必要である。これらの点は、当業者にとって明白である。
行列Cからの角度θおよびφの計算のより完全な説明を以下で記述する。
論理的進行は以下の通りである。
k=1,...,Kについて、結果として得られる行列の積(R’と記す)はR’=M(i,j,θ,φ)×R:×M(i,j,θ,φ)と計算される:
Figure 0005323860
θのコサインとθのサインの積ならびにφのハイパボリックコサイン(hyperbolic cosines)とφのハイパボリックサイン(hyperbolic sines)の積が出現し、倍角(2θ、2φ)のコサインおよびサインへと変換され、これらは項のグルーピングの時点で、以下の等式を提供する:
Figure 0005323860
ここで、
Figure 0005323860
このとき、結果として得られる行列の積M(i,j,θ,φ)×R:×M(i,j,θ,φ)の非対角要素(i,j)の二乗の和は二次形式ν(θ,φ)Cν(θ,φ)に等しい。
ベクトルν(θ,φ)がν(θ,φ)Jν(θ,φ)=1(なおJ=diag(−1,1,1))により定義される双曲面(hyperboloid)を記述する、という点に留意されたい。
制約ν(θ,φ)Jν(θ,φ〉=1の下で二次形式ν(θ,φ)Cν(θ,φ)を最大化するベクトルν(θ,φ)が求められる。このベクトルが必然的に行列対(CC,J)の三つの一般固有ベクトルのうちの一つであるということは周知である。
この一般固有分解の研究は、これが(CC,J)の正の最小の一般固有値に対応する一般固有値ν=(xyz)であることを示している:
Figure 0005323860
最終的に、積M(i,j,θ,φ)×R:×M(i,j,θ,φ)を計算するために、θおよびφの最適値は不要である。その(従来のおよびハイパボリックの)コサインおよびサインの値のみが必要とされ、これは例えば以下の式から得られる:
Figure 0005323860
したがって該方法は、1とNの間のi<jについて、収束まで数回、
M(i,j,θ,φ)×R:×M(i,j,θ,φ)、
の積の反復を含む。
混合行列Aはこのとき
Figure 0005323860
のインバース(inverse)に等しい。混合行列Aがひとたび決定されると、ソース信号を分離することが可能になる。
Matlab言語での例示的なインプランテーション(implantation)を以下に示す:
function[A,number_of_loops,matrices]=J_Di[matrices,threshold]

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

% J_Di.m written the 19th of december 2007 by Antoine Souloumiac.

% This software computes the Joint Diagonalisation of a set of matrices.

% input:

% matrices: array of matrices to be jointly diagonalized
% threshold: threshold for stop criterion on maximal sines

% outputs:
% A: estimated mixture matrix
% number_of_loops:number of loops necessary for convergence
% matrices:array of matrices after joint diagonalization

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

% initialization
mat size = size(matrices,1);
nb mat = size(matrices,3);
A = eye(mat_size);
go_on = 1;
number_of_loops = −1;

% joint dyadization loops
while go_on

for n= 2:mat_size
for m= 1:n−1

% initialization
max = 0.0;
sh max = 0.0;

% Givens and hyperbolic angles calculation
C=[(squeeze(matrices(m,m,:))+squeeze(matrices(n,n,:)))/2...
(squeeze(matrices(m,m,:))−squeeze(matrices(n,n,:)))/2...
squeeze(matrices(m,n,:))];
[V,D]=eig(C’C,diag([−1 1 1]));
% normalisation(−1 1 1 ) of generalized eigenvectors
V=Vdiag(1./sqrt(abs(diag(V’diag([−1 11])V))));
% computation of the medium generalized eigenvalue
[sortD,index]= sort(diag(D));
ind_min = index(2);
v=V(:,ind_min)sign(V(3,ind_min));

% computation of trigonometric and hyperbolic cosines and sines
ch = sqrt((1+sqrt(1+v(1)2))/2);
sh = v(1)/(2ch);
c = sqrt((1+v(3)/sqrt(1+v(1)2))/2);
s = −v(2)/(2sqrt(1+v(1)2));
% maximal sine and sinh computation for stop test
max = max(s_max,abs(s));
sh_max = max(sh_max,abs(sh));

% product of Givens and hyperbolic rotations
rm11 = cch − ssh;
rm12 = csh − sch;
rm21 = csh + sch;
rm22 = cch + ssh;

% matrices Givens update
h_slice1 = squeeze(matrices(m,:,:));
h_slice2 = squeeze(matrices(n,:,:));
matrices(m,:,:)= rm11h_slice1 + rm21h_slice2;
matrices(n,:,:)= rm12h_slice1 + rm22h_slice2;
v_slice1 = squeeze(matrices(:,m,:));
v_slice2 = squeeze(matrices(:,n,:));
matrices(:,m,:)= rm11v_slice1 + rm21v_slice2;
matrices(:,n,:)= rm12v_slice1 + rm22v_slice2;

% dyads Givens update
col1 = A(:,m);
col2 = A(:,n);
A(:,m)= rm22col1 − rm12col2;
A(:,n)= −rm21col1 + rm11col2;

end
end
number_of_loops=number_of_loops+1;

% renormalization of the A columns(equal norm)
col_norm = sqrt(sum(A.2,1));
d =(prod(col_norm).(1/mat_size))./col_norm;
A = A.repmat(d,mat_size,1);
matrices = matrices.repmat((1./d)’(1./d),[1 1 nb_mat]);

% stop test
if s_max<threshold & sh_max<threshold
go_on=0;
disp([’stop with max sinus and sinh=’ num2str([s_max sh_max])])
end
if number_of_loops>100
go_on = 0;
warning(’maximum number of loops has been reached’)
end
end
計算の複雑性は以下のような近似値を有する:
スイープ数×2KN
なお式中、
−スイープ数は、インデックス対(i,j)全体について反復が行われる回数であり、
−KはR:行列の数であり、
−NはR:行列のサイズである。
本発明および既存のアルゴリズム例えばFFDiag[4]、DNJD[6]、LUJ1D[7]などは、2KNに等しくスイープすることにより等価の計算コストを有する。本発明の利点は、スイープ数にある。より具体的には、当該方法によると、先行技術の公知の方法と比べてスイープ数を削減してよい。
一例として、本発明に係る方法(以下「J−Di」と呼ぶ)とFFDiag(Ziehe[4])およびLUJ1D(Afsari[7])方法の比較は以下の通りに提示される。すなわちこの比較は、先行技術の方法が、本発明の方法のものの少なくとも二倍のスイープ数を有するという事実を示す。
その上、先行技術の一部の方法は、特定の行列セットに特化されている(Pham[3]:正値定符号行列、Vollgraf[5]:少なくとも一つの正値定符号行列を含むセット)。本発明に係る方法はあらゆるタイプの行列セットの処理を可能にする。
図5は本発明に係る混合された信号を分離するためのシステムの実施態様を示す。このシステムは、例えばプロセッサーのような処理手段10(一つまたは複数のギブンス回転行列および一つまたは複数のハイパボリック回転行列に対応する回転行列の積から混合行列Aを推定する結合対角化用)、例えば表示スクリーンのような表示手段20、そして、例えばキーボードやマウスのような入力手段30を備える。システムは、処理すべき混合された信号(x(t),...,x(t))を受信するため通信手段に接続されている。
読者は、本明細書の教示から実質的に逸脱することなく上述に記載の本発明に対し数多くの修正を加えることができると認識するものである。
例えば、ギブンス回転(G(θ))とハイパボリック回転(H(φ))行列の積は、ハイパボリック回転行列にギブンス回転行列を乗じたもの、または、ギブンス回転行列にハイパボリック回転行列を乗じたもののいずれかに対応することができる。
結果として、このタイプのすべての修正は、添付の請求の範囲に包含されるものと意図される。
「ANNEX」
添付の図面により、上述の方法をよりよく理解することができる。先に用いた一部の表記法は、以下では異なる可能性がある。いずれにせよ、表記法の変更は読者の理解を容易にする目的で特定されるものである。
I.要約
独立成分分析およびブラインドソース分離(blind source separation)のアプリケーション用として、行列セットの非直交結合対角化を計算するための新しいアルゴリズムが提案されている。
このアルゴリズムは、直交結合対角化用の、固有行列の同時近似対角化(Joint Approximate diagonalization of eigenmatrices)(JADE)方法において最初に提案されたヤコビのようなアルゴリズムの拡張である。改善は、主として、直交混合行列の代りに等ノルム(equal norm)の列および行列式1の混合行列を計算することからなる。この標的行列は、ギブンス回転のみならずハイパボリック回転および対角行列の連続的乗算によって反復的に構築される。合成データについて評価されたアルゴリズム性能は、収束速度および複雑性の視点から既存の方法と比較して有利である。
II.序
結合対角化アルゴリズムは、ブラインドソース分離(BSS)および独立成分分析(ICA)のアプリケーションにおいて使用される。
これらのアプリケーションでは、瞬時に混合された独立した信号(ソース)を分離すること、すなわち、混合体のみを観察する行列Aによる一時的コンボリューション(temporal convolution)無しで、かつ、ソースの統計的独立性以外の先行情報無しで、独立した信号(ソース)を分離することが目標とされる。
[1]、[1b]、[2]、[3]、[4]、[5]、[11]などの数多くのBSS方法は、N×NサイズのK個の対称行列R,...,R,...,RのセットRの結合対角化ステップを含む。手元のアプリケーションおよびソース信号の対応する予想特性によると、考慮対象の行列Rは、例えば異なる時間窓で、三次または四次([1],[1b])以上のキュムラントスライスに基づいて推定される共分散行列、または時間推移を伴う相互相関行列[2]などである。これらの行列はすべて、共通の構造を共有する:
Figure 0005323860
なお式中、Aは混合行列であり、Dは対角行列である。これらの条件下で、
Figure 0005323860
[数29]により定義される分離行列は、各Rを対角化する特性、すなわち1≦k≦KについてBR=Dにより特徴づけられる。弱い仮説の下で、置換および不定スケーリング(scaling indetermination)までは、R行列の結合対角化手順により分離行列また同等に混合行列を推定するのにこの特性で充分である。実際には、R行列は、一部の推定エラーによって破損され、A(またはB)はセットRの近似結合対角化を介して効率良く推定される。
その上、例えばJADE[1]、[1b]またはSOBI[2]のような最初の結合対角化技術には、R内の一つの行列の、一般的には(ノイズ無しの)混合されたソースの共分散行列の、正定性が必要とされる。これに関連して、このとき、混合されたソースを予め白色化することが可能であり、こうして直交(または複雑なケースではユニタリ)混合行列を計算する上での結合対角化の問題が削減される。残念ながら、この白色化ステップは、混合されたソースの共分散行列内の推定エラーに起因して決して正確ではない。この予備的エラーは、後続する直交結合対角化(OJD)により補正できない。結果として、数多くの製作者が、予備白色化を回避するための非直交結合対角化(NOJD)方法を開発した。これらの最適化方法は、正値定符号行列のセット[3]、またはQDiagのような一つの正値定符号行列を含むセット[12]、[5]または最終的に任意の行列セット[11]、[4]、[7]に対応している。
JADFなどのヤコビ技術の優れた収束特性を享受する代数アプローチに基づいたBSSおよびICAアプリケーション用の任意の行列セットのための新たな非直交結合対角化アルゴリズムが提案されている。この結果を得るために、混合行列Aは同じく基本行列の乗算によって構築される。しかしながら、Aは直交でないことから、下位群として直交行列群を含む新しい乗法群、およびギブンス回転を一般化する基本行列の新しいセットを定義することが必要である。これは、ギブンス回転、ハイパボリック回転および対角行列の連続的乗算により等ノルムの列を有し1に等しい行列式の混合行列を反復的に構築することによって達成できる。
以下の第三節では、混合行列の列ノルムおよび行列式の制約およびそれがNOJD問題の不確定にもたらす帰結について吟味する。
第四節では、行列式1の行列をいかにしてギブンス回転、ハイパボリック回転および対角行列の積として生成することができるかを示す。
Joint−Diagonalization(結合対角化)を略してJ−Diと呼ばれる新しい非直交近似結合対角化アルゴリズムは第五節で記述されており、その性能は、第六節内で合成データについて評価される。特に、例えば200×200サイズの200個の行列などの大きい行列の大きいセットについてのシミュレーションが提供されている。これは、電極数が128個または256個に達する場合の脳波図などの利用分野にとって有利である。
最後に、[6]においてWang、LiuおよびZhangによって提案された最近のアルゴリズムとの短い複雑性比較が付加されている。
III.1に等しい行列式および等ノルム列の行列
III.A.特性
モデル(1)内の任意の正則正方混合行列Aが1に等しい行列式および等ノルムの列を有するものと仮定される。実際のところ、(1)の中に正則対角行列Dを挿入することは常に可能である。
Figure 0005323860
Figure 0005323860
行列D −1 −1は明らかに対角であり、Dは、ADが所要の行列式および列ノルム特性を確認するような形で調整可能である。
Figure 0005323860
Figure 0005323860
を考慮するだけで充分である。
ここで、aはAのn番目の列であり、||a||はそのユークリッド・ノルムである。混合行列に対するこれらの制約は、数値的精度にとって有用な一種の正規化を提供する。特に、ADの条件数はAの条件数よりも小さいことが多いが、これは通則ではない。
III.B.混合行列の一意性条件および不確定
[9]、[10]に記述されているように、Dの対角線(DはK×Nであり、その(k,n)エントリはDのn番目の対角エントリである)の垂直連結(vertical concatenation)の結果もたらされる行列D内に共線列(colinear columns)が全く存在しない場合、そしてその場合にのみNOJD問題に対する一意解が存在する。Ρnmが、Dのn番目およびm番目の列の角度のコサインの絶対値であり、
Figure 0005323860
である場合には、一意性条件を単に
Figure 0005323860
として再公式化できる。一意性のモジュラスと呼ばれるこのパラメータρは、ρが1に近いほどNOJDはより難しいということを明白な規則として、NOJD問題の難度を示すものでもある。
NOJD問題の「一意解」が、混合行列の列の古典的置換およびスケール不確定までのみ「一意的である」ということが理解される。(本発明の)単位行列式および等しい列ノルム特性は、これらの不確定性をわずかに変える。実際のところ、置換不確定は存在し続けるがスケール不確定が符号不確定(sign indetermination)まで削減されることは容易に示すことができる。より厳密に言うと、偶数の混合行列の列に−1を乗じることができる。
IV.特別な線形群全体にわたる基本行列の新たな部類
この節の最終目標は、反復した乗算によりセットA(R,N)および群SL(R,N)を生成する基本行列セットを提案することにある。
IV.A.A(R,2)内の一意的分解
A(R,2)(det(A)=1および||a||=||a||)内の行列Aおよびその極分解
Figure 0005323860
を考慮し、式中Gは直交であり、Hは対称的正である。AおよびHの行列式は両方共正であることから、Gの行列式はプラス1に等しく、Gは必然的に以下の〔数37〕でギブンス回転G(θ)である。
Figure 0005323860
ここで、同じく行列式がプラス1に等しいHが実際にはハイパボリック回転であることを示す。
Hのエントリをe、fおよびgと表示する。
Figure 0005323860
H=G(−θ)Aは、Aと同様、等ノルムの列を有する。したがって、e+f=f+gであり、Hは構成上正であり、したがってe>0、g>0そしてe=gである。Hの行列式は1に等しく、このときe−f=1であり、e=cosh(φ)およびf=sinh(φ)であるような一意的角度φが存在する。以下の〔数39〕で最終的にH=H(φ)である。
Figure 0005323860
結論として、A(R,2)の任意の行列をギブンスおよびハイパボリック回転の一意的積に分解することができる。
IV.B. SL(R,2)中の複数解
SL(R,2)の任意の行列Fは、A(R、2)内の行列Aに2×2直交行列D(λ)を乗じた積へと、一意的に分解することができる。ここで、
Figure 0005323860
である。f、fはFの列であり、||f||、||f||はそれらのノルムである。上の節で示した通り、ギブンスおよびハイパボリック回転の積へと行列Aを分解することができる。
最終的に、二つの一意的角度、すなわち−пと+пの間のθおよびR内のφそして、一意の正の実数λが存在し、次のような関係となる:
Figure 0005323860
さらなる分解を
Figure 0005323860
の特異値分解(singular value decompositionすなわちSVD)から導出することができる。
必然的に、det(S)=1およびdet(U)=det(V)=±1である。ただし、det(U)=det(V)=+1となるように、UとVの第一列(または行)の符号を交換することがつねに可能であるという点に留意されたい。このことは、UおよびVの両方をギブンス回転すなわちU=G(θ)およびV=G(θ)として選択できることを証明している。明らかに、S=D(s)であり、ここでs>0は第一のS特異値である。以下の式が最終的に得られる。
Figure 0005323860
さらに、任意のハイパボリック回転H(φ)の固有値分解(EVD)から、以下が得られる:
Figure 0005323860
そして結果として
Figure 0005323860
これらの分解は、SL(R,2)の任意の行列を、ギブンス回転と対角行列、またはギブンス回転とハイパボリック回転の乗算によって生成できるということを証明している。さらに、対角行列を使用して、SL(R,2)中の任意の行列の列を正規化し、かくしてA(R,2)の行列を得ることができる。これらの結果はN次元まで拡張できる。
IV.C. SL(R,N)への拡張
以下の表記法が最初に導入される。
任意のi<j∈{1,...,N}G(θ,i,j)は古典的ギブンス回転
Figure 0005323860
を表わし、H(φ,i,j)は、対応するハイパボリック回転
Figure 0005323860
であり、D(λ,i,j)は対角行列
Figure 0005323860
を表わす。
N=2のケースときわめて類似して、SL(R,N)中の、行列Fの以下の〔数49〕のSVDが使用される。
Figure 0005323860
直交行列UおよびVの行列式は、UおよびVの第一列の符号を交換することによりプラス1に等しく選択できる。行列式1(SO(R,N)中)の全ての直交行列をギブンス回転の積の中で分解できるということは周知である。構成上、Sは対角正定値であり、その行列式はプラス1に等しい(特異値s,s,...,sの積は1に等しい)。同様に以下を示すこともできる。
Figure 0005323860
さらに、二次元の場合のように、D(λ,i,j)行列をギブンス回転およびハイパボリック回転の積に変換することができる。最終的に、同じ結論がSL(R,2)内と同様SL(R,N)内にもあてはまる。すなわち、SL(R,N)内の全ての行列を、ギブンス回転と対角行列またはギブンス回転とハイパボリック回転を乗算することによって生成することができる。対角行列を用いてSL(R,N)内の任意の行列の列を正規化し、A(R,N)内の行列を得ることができる。
次節では、上述の三つの基本行列のパラメータをNOJDコンテクスト内で容易に最適化できるということを見ていく。
V. J−DIアルゴリズム
本節では、R,…R,…Rの正確な行列の推定に対応するセットを結合対角化することにより、基本行列G(θ,i,j)、H(φ,i,j)およびD(λ,i,j)の積として、1に等しい行列式および等ノルムの列の未知の行列Aをどのように構築するかについて記述されている。
より厳密には、行列G(θ,i,j)およびH(φ,i,j)は、非対角エントリ(off diagonal entries)を最小化するために使用され、一方でD(λ,i,j)行列は列を正規化するために使用される。
V.A. (i,j)非対角エントリを最小化するためのパラメータθおよびφの最適化
k=1,…,Kについて、以下の要領でR:を更新することによって得られた行列をR’と表わす。
R’=H(φ,i,j)×G(θ,i,j)×R:×G(θ,i,j)×H(φ,i,j) (17)
K個の行列、R’のR’[i,j]で表わされる(i,j)−エントリの二乗の和を最小化することが提案される:すなわち
Figure 0005323860
この数量を最小化することは、例えばJADEにおけるようにグローバルコスト関数(global cost function)または非対角エントリの全てを最小化することとは等価ではない。それでも、以下の性能評価は、この反復的ローカル最小化が実際に行列セットRを結合対角化することを示すものである。一定の操作の後、次のことがわかる:
Figure 0005323860
なお式中
Figure 0005323860
R’中のGおよびHの係数の二乗が倍角(三角法角度およびハイパボリック角度)へと変換されるという点に留意されたい。R’[i,j]の二乗和は、ν(θ,φ)Cν(θ,φ)に等しい。したがって(18)における最小化は次のようになる:
Figure 0005323860
なお式中、ベクトルν(θ,φ)は、ユークリッド・ノルムではなくハイパボリックノルムで正規化される。実際のところ、−v(θ,φ)+v(θ,φ)+v(θ,φ)=1、すなわち、J=diag(−1,1,1)としてν(θ,φ)Jν(θ,φ)=1となる。
ν(θ,φ)Jν(θ,φ)=1で定義されるハイパボリック全体が−п/2≦θ≦п/2そしてR内のφという状態で、ν(θ,φ)により網羅されていることを証明することができる。喚言すると、二次制約(quadratic constraint)vJv=1の下で二次数量(quadratic quantity)vCvの最小化が達成される。解vは(CC,J)の一般固有ベクトルであることがわかっている。
すなわちvは、下記〔数55〕となるようなものである。
Figure 0005323860
この一般固有分解について以下で研究する。
その列が一般固有ベクトルである3×3行列をVと表示し、(CC,J)の一般固有値の対角行列をΔと表わすと、CCV=JVΔであり、したがってVCV=VJVΔである。VJVは対角であり、Jのような一つの負の対角エントリと二つの正の対角エントリ(シルベスタの慣性の法則(Sylvester law of inertia)を有することがわかっている。CCは正であることから、ΔはJと同じ慣性(inertia)を有し、次のものが存在する:
・負の一般固有値と負のJ−norm vJv=−1を有する一つの一般固有ベクトル、および
・正の一般固有値と正のJ−norm vJv=+1を有する二つの一般固有ベクトル。
我々が求めている一般固有ベクトルは、vJvが+1に等しく、vCvが最小であるようなものであり、このことはすなわちそれが(CC,J)の最小の正一般固有値に対応することを意味している。
要約すると、最適なギブンスおよびハイパボリック角θおよびφは、以下の等式により定義される:
Figure 0005323860
なお式中、v=(x,y,z)は、最小の正固有値の(CC,J)の一般固有ベクトルである。
固有ベクトルがその符号次第で決定されることから、z>0すなわちcos2θが正となるように、vを選択することが常に可能である。その上、θをθ+пで置換した場合でも、式(17)は不変である。
したがってθは、cosθ>0となるように−п/2と−п/2の間で選択できる。
こうして、cosθとcos2θの両方が正であると仮定することができ、これは、−п/4≦θ≦п/4を仮定することと等価である。
角度θおよびφの明示的表現が不要であるという点に留意されたい。更新(17)をインプリメンテーションするにはcoshφ、sinφ、cosθおよびsinθの計算のみが必要である。単純な三角法により(22)の以下の解が直ちに得られる:
Figure 0005323860
Figure 0005323860
Figure 0005323860
Figure 0005323860
この段階で、ギブンス回転G(θ,i,j)およびハイパボリック回転H(φ,i,j)を用いて所与のインデックスの対1≦i<j≦NについてR’[i,j]を全体的に最小化するための方法が知られる。これらの最適な角度θおよびφがひとたび計算されたならば、セットRの全ての行列は(17)により更新され、これは、Rの行または列iおよびjのわずか二つの線形結合を計算することによって達成することができる。
N×N恒等行列で初期化された混合行列は、AR=A’R’A’を保つために以下の式によって更新される。
Figure 0005323860
Figure 0005323860
更新の後、Aの列のノルムはもはや等しくなく、行列D(i,j,λ)で再正規化され得る。次節では、この正規化を各ステップで行なう必要のないことが説明されている。RおよびAの更新は、ヤコビアルゴリズム[8]の場合と同様に、1≦i<j≦Nで各々のインデックスの対(i,j)について反復される。N(N−1)/2つのインデックスの対にわたる完全な更新は、スイープと呼ばれる。古典的なヤコビアルゴリズムと類似して、完全な収束に至るまで複数のスイープが一般に必要である。
V.B. インプリメンテーションの詳細
その他の回転シーケンスが考えられる。ギブンス回転は直交であるため、これらの回転はハイパボリック回転に比べ発生させる丸めノイズが少ない。したがって、例えば非直交ハイパボリック回転を使用する前に、純粋なギブンス回転更新の複数のスイープ(すなわちJADEスイープ)により結合対角化を開始することができると思われる。この事前準備は、たとえ悪コンディションの混合行列についてさえ(最高100000の条件数)、我々の数値的実験において不要であった。数値的精度の喪失は恐らく、大きい角度φでのハイパボリック回転に結びつけられる:これらの事象も同様に監視可能であると思われる。
JADEまたはSOBI予備白色化は不要であるが、それでもRが正値定符号行列を含む場合、数値精度を改善するために使用することができる。BSSアプリケーションにおいては、ソースの数がセンサーの数よりも少ないという予備的知識が知られている場合、わずかな主成分の部分空間へのデータの削減を明らかに計算することができる。
式(23)、(24)、(25)、(26)は、(22)の考えられる唯一の反転公式(inversion formulae)ではない。これらは、v1およびv2が0まで収束する時のその優れた数値的精度のために選択された。より良い選択肢が存在する可能性もある。収束に近い場合、行列CおよびCCは特異点に近い。このとき、(CC,J)の一般固有分解は数値的に困難であり得、時として標的一般固有ベクトルはもはや、より小さい正の一般固有値に対応せず、非常に小さい負の固有値に対応する。より大きな正の固有値が誤って選択されるのを回避するため、より小さい正の固有値の代りにメジアン一般固有値に付随する固有ベクトルを選択することが好ましい。
以下のシミュレーションでインプリメンテーションが行われる。固有値符号が正しくない場合(+、+、−)に更新を放棄することまたは標的固有ベクトルのみを計算するための具体的手順を開発することといったその他の解決法を調査することができると思われる。
シミュレーションにおいては、Aの列の正規化が各ステップにおいて必要でないが、一回のスイープにつき一回のみ実施してよいということが観察されている。それは、以下の式で、右側では対角行列DをAに乗算し、両側からD−1 をRに乗算する(式(2)および(3)と同様)ことによって簡単に達成される。
Figure 0005323860
なお式中、aはAのn番目の列であり、||a||はそのユークリッド・ノルムである。
各スイープにおけるこの正規化(2KN)のコストは、R(2KN)の更新(17)に比較して無視できるものである。シミュレーションを考慮すると、本発明はなおも、列のノルムのいかなる正規化もなく収束する。
非対角項のノルムを監視することおよびその最小値での安定化を検出することといった複数の停止基準を想像することができる。例えば当該ケースにおいては、スイープの全ての三角法およびハイパボリックサインが非常に小さい場合、反復を停止することが選択される(Matlabの二倍精度で正確に同時対数化することが可能な行列および計算のためには、10−20〜10−25の間の閾値が適切であると思われる:この値は、正確に結合対角化することが可能でないセットについては10−10〜10−20の間で増大されなければならない)。
V.C. J−Diアルゴリズムのまとめ
次節の数値的シミュレーションはJ−Diの以下のバージョンをインプリメンテーションする。
要件:K個の対称N×N行列R1,…RKおよび閾値Τ
Figure 0005323860
該アルゴリズムの計算コストは、主としてインデックスiおよびjの各対についてR行列を更新するコスト、すなわち(17)のコストである。GおよびHの疎性とRの対称性を用いることで、この更新のコストを4KNフロップ(flops)に削減することができる。N(N−1)/2個のインデックスの対の全体にわたる一回のスイープのためのコストは、このときおおよそ2KNである。収束に至るまでに行なうべきスイープの数は、次節で記述する通り、手元のNOJD問題のサイズと難度により左右される。
V.D. Afsariアルゴリズムとの簡潔な比較
J−Diと[7]で提案されている四つのアルゴリズムとの間にあるいくつかの類似性は、強調するに値する。
−両方の方法が共に、平面変換(planar transformation)の積として、対角化手段を構築する、すなわち、QRJ1DおよびQRJ2Dにおけるギブンス回転および三角行列、またはLUJ1DおよびLUJ2D方法における三角行列のみ、そしてJ−Diの場合のギブンス回転およびハイパボリック回転。全てのケースにおいて、これらの変換の行列式は1であり、それらの積は特殊線形群にまたがる。
−LUJ1D、LUJ2D、QRJ1DおよびQRJ2Dは、グローバルコスト関数を最小化し、J−Diは、各々の現行のインデックスの対(i;j)のローカル費用関数を最小化する。
−各々のインデックスの対の二つの角度はJ−Diにより同時に最適化され、一方で、二つの最適化はLUJ1D、LUJ2D、QRJ1DおよびQRJ2Dにおいて独立したものである。
−(必然的に)限定されたシミュレーションを考慮すると、LUJ1D、LUJ2D、QRJ1DおよびQRJ2Dは、一次的に収束し、J−Diは二次的に収束する。
−スイープ一回あたりの計算コストは(二つの(i;j)−更新をグループにした場合)同一である。

LUJ1Dは、特定のシミュレーションされたコンテクスト内で比較的速いと思われることから、次節において比較のために選択される。
VI. 数値的シミュレーションについての性能評価
FFDiag[4]およびLUJ1D[7]という二つの終りのNOJDアルゴリズムがRの任意の行列の正値符号性(positive definiteness)を必要としないことから、これら二つのアルゴリズムと本発明に係る方法(すなわちJ−Di)を比較する。
FFDiagアルゴリズムの1の反復(以下でスイープと呼ぶ)は、一つのJ−DiまたはLUJ1Dスイープと比べてほぼ同じ複雑性を有する(Rを更新するために2KN)。したがって、唯一比較されるのは、収束に必要なスイープ数だけである。
それでも、一つのスイープ内で演算は異なる形で構造化されている。すなわち、J−DiおよびLUJ1DはRの非常に疎な更新を必要とし、一方でFFDiagは、完全な高密度の更新のみを必要とする。
この差がおそらく、Matlabのようなインタプリタ型言語にインプリメンテーションされた場合のJ−DiまたはLUJ1Dスイープに比べ、FFDiagのスイープをわずかに速いものにしている。ただし、例えば、C言語によるインプリメンテーションは類似の実行時間を示すはずである。
二つの異なる性能の基準が定義され、最初に正確に対角化可能な行列のセットについて測定され、第二にほぼ対角化可能な行列のセットについて測定される。シミュレーションは、Matlabの二倍精度で実行される。
VI.A. 非直交結合対角化についての性能の基準
以下では結合対角化の質を測定する二つの方法が用いられる。最初の基準は、Rの非対角エントリの二乗の和として定義される非対角ノルムとRの対角エントリの二乗の和として定義される対角ノルムの比率を計算することから成る。この非標準正規化は、対角ノルムが最初のスイープの間一定でないことから有用である。
第二の基準は、混合行列の推定の質と、対応する分離性能を査定するのに必要である。実際のところ、下記の〔数65〕の推定された混合行列のインバースは、Aによって混合されたソースを分離するのに(付加ノイズが無い場合に)最適な空間フィルタである。なお、本明細書においては、明細書の記載として使用できる文字の制約を考慮し、
Figure 0005323860
上記〔数65〕を、テキスト上、「A:」と表記する。
積A:−1Aが対角行列Dの置換行列Π倍に近いほど、分離は優れたものとなる。したがって、
Figure 0005323860
と、置換行列と対角行列の最も近い積ΠDとの間の距離を計算することによって、分離の質を測定するのが自然である。
BSSにおいては、たとえそれがΠDまでの完全な距離でなくても、
Figure 0005323860
によって定義される性能I(P)のインデックスを使用することが標準的である。正規化項1/2N(N−1)は、Pが対角エントリが1に等しく、非対角エントリがαに等しい行列である場合に、0≦α<1においてI(P)がαに等しくなるような形で選択された。したがって、I(P)は、分離されたソースにおける相対的な干渉振幅(amplitude of interferences)の桁(order of magnitude)を提供する(クロストークインデックス(cross−talk index))。
VI.B. 正確に対角化可能な行列セット
混合行列エントリは独立して正規分布しており、その行列式は1に設定され、その列は、等式(3)を用いて同じノルムに正規化される。これらのランダム混合行列は一般的に、以下の図面で示されている通り、10または10未満の条件数を有し、それより多いことはまれである。J−Diアルゴリズムのより特定的な妥当性確認は、より悪条件の混合行列が関与するアプリケーションのために行なわれるべきである。Dの行列の対角エントリは、同じく、標準的な正規分布から選択される。このようなD生成方法が、KおよびNのみに左右される一意性のモジュラス(modulus of uniqueness)の分布を決定するという点に留意されたい。RはR=ADによって計算される。
1)二次収束:
J−Di、FFDiagおよびLUJ1Dアルゴリズムの対角性比は、収束に至るまで各スイープ後に計算され、図2には、N=K=50および50の独立した試行についてプロットされている。この場合、一意性のモジュラスは小さく、ほぼ常に0.4〜0.6の間にある。
分離基準は、同じ条件下で図3にプロットされている。
これらの結果は、FFDiagおよびJ−Diアルゴリズムが(少なくとも)二次収束を有すると思われるが、J−Diはより少ないスイープしか必要としないことを示している。最終的な一次収束にも関わらず、LUJ1Dは中間の性能を示す。
2)J−Di収束速度に対する行列およびセットサイズの影響
異なる混合行列および異なるセットサイズ(N=K=5、10、20、50、100および200)について、J−DIの収束に達するのに必要なスイープ数が計数され、100回の独立した試行についてのその分布が、下表に示されている:
Figure 0005323860
J−Diスイープ数は行列サイズと共に増大するものの、大きい行列(N=200)の大きなセット(K=200)においても、ほぼ10未満にとどまることがわかる。
VI.C. 正確に対角化できない行列セット:ブラインドソース分離に対する応用
J−Di、FFDiagおよびLUJ1D非直交結合対角化アルゴリズムの性能を、正確に対角化できない行列セットについて比較する。
(共分散行列のように)正でもなく負でもない行列セットについて本発明に係る方法(J−Di)を評価するため、四次キュミュラントスライスセットが選択される。
古典的BBSモデルすなわちx=As+nを考慮する。なお式中、x、sおよびnはそれぞれに観察された混合体のN次元ベクトル、ソースおよび付加的ガウスノイズ(additive Gaussian noise)を表わし、AはN×Nの混合行列である。考慮対象の行列セットRは、
Figure 0005323860
によって定義されるサイズN×NのK=N(N+1)/2個の行列Rmnを含んでいる。ここで、全てのmおよびnが1≦m≦n≦Nであり、式中xはxのn番目のエントリを表わす。
N=20ソースであり、したがってK=N(N+1)/2=210の20×20サイズのキュムラントスライス(行列)であると考えられる。ソース信号のサンプルは独立しており、−√3と√3の間で一様分布して非ガウス、ゼロ平均(zero−mean)かつユニティバリアンスな(unity−variance)信号を提供する。ゼロ平均ガウス付加ノイズ(zero−mean Gaussian noise)σの標準偏差は、まずゼロに設定され、第二にσ=0.1に設定される。キュムラントは、100000個の独立したサンプルについて推定される。これらのケースにおいて、行列数Kは充分大きいため、一意性のモジュラス(modulus of uniqueness)は一般的に0.3〜0.6の間という小さいものとなる。このパラメータがシミュレーションの性能に影響を及ぼしそうにない理由がこれによって説明されており、したがってこれは提示されない。
収束速度
対角性比および分離基準の収束は、図4にノイズを伴うスイープ数の関数としてプロットされている。
全てのケースにおいて、本発明に係る方法(J−Di)は、[7]の場合と同様に挙動すると思われるFFDiagおよびLUJ1Dよりも速く収束する。J−Diは、BSSアプリケーションにとって重要である最終的な分離基準の観点からみて、FFDiagおよびLUJ1Dよりもわずかに性能が優れている。
これらのシミュレーションは同様に、FFDiagは二次でありLUJ1Dは一次である異なる収束速度が、行列セットが正確に対角化可能でない場合の類似の性能と適合可能であることをも示している。
VII. WANG.LIUおよびZHANGのアルゴリズムとの比較
Wang、LiuおよびZhang[6](以下DNJD)のアルゴリズムとの比較について以下で論述する。提案されているアルゴリズムDNJDは、
Figure 0005323860
によって定義される行列J(θ,φ,i,j)の連続的乗算によって混合行列を構築する。
この定義は明らかに、ギブンス回転およびJADEのヤコビのようなアルゴリズムを一般化する試みである。DNJDアルゴリズムが本発明と非常に異なるものであることは明白である。例えば、DNJDは、本発明に係る方法において用いられる行列式制約もハイパボリック三角法も使用しない。
DNJDにおける主たる困難性は、等式(16)の反転にある。R行列が正確に対角化できない場合に、非対角エントリの実際の最小化を保証しない近似式を使用することが必要となり、正確な解は提供されない。したがって、(各インデックスの対について)各反復毎に非対角エントリの進化を計算し、非対角エントリが増大した場合更新を放棄することが必要である。残念なことに、この確認の計算コスト4KNは、アルゴリズム自体のコストと同等である(第III節の終りの5303頁を参照のこと)。したがって、各スイープのコストは二倍となる。さらに、二つ一組の角度(θ,φ)が放棄される毎に、数多くの計算(8KNフロップ)が費用関数の改善無く行なわれる。この無駄が、J−Diに比べてDNJDが用いるスイープ数の多さを説明し得ると思われる([6]中の5303項、図1)(表1)。
要するに、J−Diはスイープ毎の複雑性の観点から見てDNJDよりも二倍以上優れた性能を示す。
VIII. 結論
非直交結合対角化の新しい方法(J−Di)が提示された。一つの実施態様において、この方法は、以下のステップを含む:
−特殊な直交群の中で構築する代わりに、列が等ノルムであり、また、特殊線形群に属する混合行列を構築するステップ;
−ギブンス回転だけでなく、ギブンス回転、ハイパボリック回転および対角行列を乗算するステップ。
この新しい方法は、数多くの変形形態すなわち基本行列の乗算の次数、停止テスト、予備白色化の有無などを許容する。そのロバスト性および削減された複雑性により、標準コンピュータ上で最高N=500およびK=600までの大規模な問題を扱うことが可能になる。
10 処理手段
20 表示手段
30 入力手段
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Claims (10)

  1. 少なくとも二つのセンサーにより記録された混合された信号(x(t),...,x(t))を複数の成分信号(s(t),...,s(t))へと分離するための方法であり、各混合された信号X(t)は独立したソースに由来する成分信号(s(t),...,s(t))の線形結合に対応しており、ソースに由来する成分信号(s(t),...,s(t))のベクトルを混合行列(A)に乗じた積として各混合された信号を記すことが可能であり、
    該方法は、さらに結合対角化ステップ(300)を含み、このステップでは一つまたは複数のギブンス回転行列(G(θ))および一つまたは複数のハイパボリック回転行列(H(φ))に対応する複数の回転行列の積から混合行列(A)が推定されることを特徴とする方法。
  2. ギブンス回転行列が、θの三角関数に対応する要素を含み、ハイパボリック回転行列がφのハイパボリック関数に対応する要素を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 対角化ステップには、一方にはギブンス回転行列とハイパボリック回転行列の積、そして他方にはこの積の転置行列による推定された行列の族
    Figure 0005323860
    の乗算と、この乗算の結果としてのn次の行列の非対角項を最小化しうるθおよびφ値の推定
    とが含まれることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 結果として得られたn次の行列に対して乗算ステップが反復されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. cosθおよびcoshφがそれぞれ1に向かうか、対応するサインがゼロに向かうギブンス角度θおよびハイパボリック角度φになるまで乗算ステップが反復されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. 推定された行列が、混合行列と任意の対角行列による転置された混合行列との積に等しく、これらが例えば、キュムラント行列、または異なる周派数帯域内の共分散行列、または異なる時間推移を有する相互相関行列、または異なる時間的間隔にわたって推定された共分散行列であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
  7. ギブンス回転行列が、対角線上のcosθ項、対角線より下のsinθ項および対角線より上の−sinθ項を含み、ハイパボリック回転行列が対角線上のcoshφ要素、対角線より下のsinhφおよび対角線より上のsinhφ要素を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
  8. ギブンス回転行列が、
    Figure 0005323860
    タイプのものであり、ハイパボリック回転行列が、
    Figure 0005323860
    タイプのものであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
  9. 少なくとも二つのセンサーによって記録された混合された信号(x(t),...,x(t))を複数の成分信号(s(t),...,s(t))へと分離するための装置であり、各混合された信号X(t)は独立したソースに由来する成分信号(s(t),...,s(t))の線形結合に対応し、これらのソースに由来する成分信号のベクトルを混合行列(A)に乗じた積として各混合された信号を記すことができるものであり、
    該装置は、さらに結合対角化用手段を備え、該手段では一つまたは複数のギブンス回転行列および一つまたは複数のハイパボリック回転行列に対応する複数の回転行列の積から混合行列Aが推定されることを特徴とする、装置。
  10. コンピュータ請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
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