JP5317077B2 - ボールディメンジョンゲージ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、3次元座標測定機の性能評価に用いるためのボールディメンジョンゲージ装置に関する。
一般に、3次元座標測定機として、接触型3次元座標測定機が知られており、これは、定盤上に載置した被測定物に対してプローブを、X、Y、Zの3次元方向へ相対移動させるとともに、被測定物に接触させて送り軸方向の座標値を読みとり、コンピュータにより寸法や形状を計測するものである。このような3次元座標測定機においては、高精度を要求されることから、精度検査が不可欠であり、この精度検査に際しては、基準となるゲージを用い、プローブを3次元的に移動させることによりその検出値を評価するようにしている。
従来、この種の接触型3次元座標測定機の性能評価に用いるためのゲージ装置としては、例えば、特許文献1(特開2003−329402号公報)に掲載されたものが知られている。
これは、図18に示すように、金属製の円筒状ゲージ本体100の外周面両側に、この円筒状ゲージ本体100の軸線に平行に、且つ互いに180度離れた対向する位置に嵌合溝101を形成し、この嵌合溝101に対して、その表面に6個の球体102を固定した略直方体状の固定部材103を嵌合して構成されている。
ゲージ本体100は磁着性材料で形成され、固定部材103はゲージ本体100に磁着保持されるように永久磁石を備えて形成されている。このように構成することにより、球体102を固定した固定部材103を円筒状のゲージ本体100から分離した状態で運搬することができ、取り扱い易くしている。
そして、この円筒状のゲージ装置を用いて3次元座標測定機の性能検査の作業を行う際には、3次元座標測定機の座標系に沿ってX−Y平面内、X−Z平面内、更にはY−Z平面内のいずれかに円筒ゲージ装置を定置し、例えば、Y方向に球体102が配置され、X方向は円筒の直径方向とした状態で、3次元座標測定機により片側の列の球体102について全て、その中心位置を求めるための測定を行なう。このようにして求めた球体102の列を0度側とする。次に、この円筒ゲージ装置を180度回転させて他の列の球体102について同様の測定を行う。この一連の測定データから、球体102の中心間距離を求め、予め精密な測定を行っている各球体102間の距離と比較し、その結果から3次元座標測定機の目盛の校正を行うことができる。
また、コンピュータの演算処理により、3次元座標測定機の目盛の校正の他、直角度の評価を同時に行うことが可能となり、極めて簡便にこれらの作業を行うことができるようになる。
特開2003−329402号公報
ところで、上記の従来のゲージ装置においては、球体102を固定した固定部材103はゲージ本体100に磁着保持され、非使用時にはゲージ本体100から分離可能になっており、輸送する際など取り扱いが容易にはなっているが、取外された固定部材103においては、球体102自体が固定されているので、振動や衝撃により標準値が変化する虞があり、高い寸法安定性の保障が不十分になる。また、球体102自体が固定部材103に固定されているので、経年変化を生じる原因となる残留応力が十分に除去されないこともあり、この点でも寸法安定性に関して対策が不十分となっているという問題があった。
また、3次元座標測定機は、上記の接触型のものが主流であるが、近年、レーザ変位計やCCDカメラを使用した非接触型の3次元座標測定機も普及してきており、この非接触型の3次元座標測定機に対しては、上記従来のゲージ装置においては、非接触型の測定原理に適していないので、そのままでは、使用できないという問題もあった。
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、接触型3次元座標測定機と非接触型3次元座標測定機との両方の測定機用に容易に変更可能にするとともに、球体をゲージ本体側との間の応力影響がほとんど作用しないようにして保持できるようにし、振動や衝撃に対して、また、接触型3次元座標測定機用と非接触型3次元座標測定機用との変更時においても、標準値が変化する事態を極力防止して寸法安定性の向上を図ったボールディメンジョンゲージ装置を提供することを目的とする。
また、必要に応じ、球体の配置関係を改善し、各球体からの位置データが偏らないようにして、ゲージの全範囲に亘って3次元座標測定機を適切に評価することができるようにした点も目的とした。
このような目的を達成するため本発明のボールディメンジョンゲージ装置は、3次元座標測定機の定盤上に設置されるゲージ本体と、該ゲージ本体に保持される複数の球体と、上記ゲージ本体に付設され上記球体を保持する保持体とを備えて構成され、上記3次元座標測定機の性能評価に用いるためのボールディメンジョンゲージ装置において、
上記ゲージ本体を、長方形状の外側面,該外側面と反対側の内側面,上記外側面及び内側面の長辺に連続する一対の接地面を有した一対の側板と、該両側板の内側面間に一体に架設され該両側板同士を連結するウェブとを備え全体が横断面H型になるブロック状に形成し、上記保持体を、上記ゲージ本体の両側板の外側面に夫々長手方向に沿って複数列設した構成としている。
これにより、ゲージ本体は横断面H型になり、保持体をゲージ本体の両側板の外側面に夫々長手方向に沿って複数列設したので、球体が左右2列に配置される。そのため、両側の列の球体について測定し、次に、180度回転させて同じ球体について同様の測定を行なう所謂「反転法」を用いることができ、値付けを確実にすることができる。反転法を用いることでゲージ球の真球度誤差や3次元座標測定機の幾何学的誤差が平均化され球の中心座標値のみが抽出できる。反転法で正確に値付けされたゲージを使用して3次元座標測定機の目盛の校正及び直角度の評価を行なうことが可能になる。
また、本発明のボールディメンジョンゲージ装置は、3次元座標測定機に設置されるゲージ本体と、該ゲージ本体に保持される複数の球体とを備えて構成され、上記3次元座標測定機の性能評価に用いるためのボールディメンジョンゲージ装置において、
上記球体を磁着性材料で形成するとともに、上記ゲージ本体に、永久磁石を備えて形成され上記球体を磁着保持する保持体を付設した構成としている。
これにより、本装置の使用時には、球体を保持体に磁着し、非使用時には、球体を保持体から外して別々にしておくことができる。また、球体として、接触型3次元座標測定機に用いられる接触型球体と、非接触型3次元座標測定機に用いられる非接触型球体との二種類の球体を用意しておけば、接触型3次元座標測定機に使用する場合は、接触型球体を保持体に磁着して用い、非接触型3次元座標測定機に使用する場合は、非接触型球体を保持体に磁着して用いることができる。
そのため、球体は保持体に磁着されて保持されるので、従来のように球体を固定部材に一体に固定した場合に比較して、保持体と球体との間に無理な力が作用することがなく、即ち、球体をゲージ本体側との間の応力影響がほとんど作用しないようにして保持できるようになり、そのため、非装着時に本装置を搬送する際に生じる振動や衝撃に対して、また、接触型球体と非接触型球体との変更時においても、保持体と球体との関係に変化を生じさせにくくなり、標準値が変化する事態が極力防止され、寸法安定性の向上が図られる。
また、本発明のボールディメンジョンゲージ装置は、3次元座標測定機に設置されるゲージ本体と、該ゲージ本体に保持される複数の球体とを備えて構成され、上記3次元座標測定機の性能評価に用いるためのボールディメンジョンゲージ装置において、
上記球体を磁着性材料で形成するとともに、該球体として、接触型3次元座標測定機に用いられる接触型球体と、非接触型3次元座標測定機に用いられる非接触型球体との二種類の球体を備え、
上記ゲージ本体に、永久磁石を備えて形成され上記接触型球体及び非接触型球体のうちから選択された何れかの球体を磁着保持する保持体を付設した構成としている。
これにより、球体として、接触型3次元座標測定機用と非接触型3次元座標測定機用との二種類のものを備えたので、接触型3次元座標測定機に使用する場合は、接触型球体を保持体に磁着して用い、非接触型3次元座標測定機に使用する場合は、非接触型球体を保持体に磁着して用いることができる。
即ち、従来の装置では、仮に、別途非接触型の測定原理に適した表面性状を有する球体を用意できても、球体自体を固定部材に固定したものを別途製造しなければならないので、製造が煩雑になり、また、上記の残留応力の影響も、接触型のものと異なることから、接触型の固定部材を装着したときと非接触型の固定部材を装着したときとで標準値にバラツキが生じ不安定になってしまい、寸法安定性に劣る。
本発明では、接触型球体と非接触型球体との変更時においては、球体は保持体に磁着されて保持されるので、従来のように球体を固定部材に一体に固定した場合に比較して、保持体と球体との間に無理な力が作用することがなく、即ち、球体をゲージ本体側との間の応力影響がほとんど作用しないようにして保持できるようになり、標準値が変化する事態が極力防止され、寸法安定性の向上が図られる。そのため、接触型球体を装着したときと非接触型球体を装着したときとで標準値のバラツキも低減される。
そして、必要に応じ、三角測距方式の原理による波長500nm〜700nmのレーザ変位式プローブで球体の表面を測定したとき、レーザ変位式プローブの利得設置値N(ノッチ)が、最小出力値0から最大出力値60を設定可能範囲とした場合に、
上記接触型球体においては、20<Nの範囲に設定し、
上記非接触型球体においては、N≦20の範囲に設定した構成としている。
この範囲で、測定安定性及び磁着再現性が優れ、寸法安定性の向上が図られる。
この場合、上記接触型球体を、表面が鏡面であり、表面粗さがRa0.01μm以下,真球度が0.08μm以下の磁着性金属のみで形成したことが有効である。
また、上記非接触型球体を、表面粗さがRa0.01μm以下,真球度が0.08μm以下の磁着性金属の表面に、ニッケル,クロムのうちの少なくとも一種をメッキ処理して構成したことが有効である。
より一層、測定安定性及び磁着再現性が優れ、寸法安定性の向上が図られる。
また、必要に応じ、上記保持体を上記球体の一部が没入する凹部を備えて構成し、該保持体を、上記ゲージ本体に対して接着剤で接着した構成としている。凹部に球体を磁着保持するので、保持が確実になる。また、保持体をゲージ本体に接着剤で接着したので、ゲージ本体の内部に応力が存在しないことから保持体とゲージ本体との間にも無理な力が作用することがなく、そのため、非装着時に本装置を搬送する際に生じる振動や衝撃に対して、また、接触型球体と非接触型球体との変更時においても、ゲージ本体,保持体及び球体の三者の関係に変化を生じさせにくくなり、標準値が変化する事態が極力防止され、寸法安定性の向上が図られる。
更に、必要に応じ、上記ゲージ本体を、長方形状の外側面,該外側面と反対側の内側面,上記外側面及び内側面の長辺に連続する一対の接地面を有した一対の側板と、該両側板の内側面間に一体に架設され該両側板同士を連結するウェブとを備え全体が横断面H型になる金属製ブロック状に形成し、上記保持体を、上記ゲージ本体の両側板の外側面に夫々長手方向に沿って複数列設した構成としている。
この場合、ゲージ本体は、横断面H型になる金属製ブロックなので、精度よい加工ができ、寸法安定性を容易に高めることができる。例えば、ゲージ本体として、市販のナイフエッジを使用することができる。ナイフエッジの材料はJIS.G−4401(炭素工具鋼鋼材)のSK5またはこれと同等以上のものとし、硬さは焼入れしたものではHv490(Hs65)〜Hv620(Hs75)に示すとおり残留応力除去のための熱処理が施され、経年変化が小さく寸法安定性に優れている。そのため、寸法安定性を容易に高めることができる。
また、保持体をゲージ本体の両側板の外側面に夫々長手方向に沿って複数列設したので、球体が左右2列に配置される。そのため、両側の列の球体について測定し、次に、180度回転させて同じ球体について同様の測定を行なう所謂「反転法」を用いることができ、値付けを確実にすることができる。反転法を用いることでゲージ球の真球度誤差や3次元座標測定機の幾何学的誤差が平均化され球の中心座標値のみが抽出できる。反転法を適用した詳細な測定方法は図6に示す4形態の設置方法で行う。通常位置となるポジションD0、ポジションD0からZ軸を中心軸に180度回転したポジションDZ、ポジションD0からY軸を中心軸に180度回転したポジションDY、ポジションD0からX軸を中心に180度回転したポジションDXの4形態の測定物座標系で測定を行う。反転法で正確に値付けされたゲージを使用して3次元座標測定機の目盛の校正及び直角度の評価を行なうことが可能になる。
そしてまた、必要に応じ、上記一方の側板の各保持体が保持する球体の列と、上記他方の側板の各保持体が保持する球体の列との位相がずれるように、各保持体を設けた構成としている。
ここで、位相がずれるとは、図4に示すように、両側板を通り且つゲージ本体の長手方向に直交し所定の間隔を隔てて設けられた複数の直線上に、一方の側板上の球体と他方の側板上の球体が順番に且つ交互に位置するように配置することである(以下「千鳥配置」ともいう)。隣接する直線間の各間隔は、夫々一定であってもよく、また、異なっていてもよい。
図15に示す配置、即ち、両側板を通り且つゲージ本体の長手方向に直交し所定の間隔を隔てて設けられた複数の直線上に、夫々一方の側板上の球体と他方の側板上の球体とを順番に設けた配置(以下「並列配置」ともいう)に比較して、千鳥配置することで3次元座標を実現するゲージが位置信号として与える球の位置が均等に配置され、位置信号の間隔を広げることができ、スケールを均等に評価することができる。
また、必要に応じ、上記球体の大きさを異ならせた構成としている。
これにより、接触角の違いによるスタイラスチップの接触安定性及び曲面接触でのプロービング誤差が求められる。接触角の違いによるスタイラスチップの接触安定性は、接触角が小さくなることで不安定な接触による誤差が生じることが推測される。接触角は、図7に示すように、スタイラスチップと球の接触点の接線とプロービング方向とがなす角をプロービング時の接触角とすると、φ1インチ球とφ1/2インチ球ではプロービング方向一定かつ同一プロービング範囲とした場合では接触角が異なる。これは3次元座標測定機による自動測定でのプロービング動作のサブルーチン化や両側に障壁を持つ部分球測定などの場合に該当する。
また、必要に応じ、上記何れか1つの保持体が保持する球体Gの中心(x0,y0)と、他の球体の中心(xi,yi)との距離Miが、下記の式(1)(2)を満たす関係になるように上記保持体を設けた構成としている。
n:球径の異なる球体の種類(n=1,2,3・・・m)に応じて使い分けられる定数であって、中心(xi,yi)の球体Gにおける球径の大きさに依存する振幅(mm)
λi:ゲージ片側の中心(xi,yi)の球体Gとこれに隣接する中心(xi+1,yi+1)の球体Gとの球間距離(mm)
また、必要に応じ、上記3次元座標測定機の定盤に載置され上記ゲージ本体の長手方向が上記3次元座標測定機の定盤面に対して傾斜するように該ゲージ本体の接地面を支承する支承台を備えた構成としている。
これにより、支承台に該ゲージ本体を設置することにより球が3次元座標測定機の測定範囲内の3次元座標に空間配置される。空間配置された球を3次元座標測定機で測定するにはX,Y,Z軸の3軸同時稼働による測定行為が要求され、その場合、3次元座標測定での測定誤差が抽出できる。
本発明のボールディメンジョンゲージ装置によれば、ゲージ本体は横断面H型になり、保持体をゲージ本体の両側板の外側面に夫々長手方向に沿って複数列設したので、球体が左右2列に配置される。そのため、両側の列の球体について測定し、次に、180度回転させて同じ球体について同様の測定を行なう所謂「反転法」を用いることができ、値付けを確実にすることができる。反転法を用いることでゲージ球の真球度誤差や3次元座標測定機の幾何学的誤差が平均化され球の中心座標値のみが抽出できる。反転法で正確に値付けされたゲージを使用して3次元座標測定機の目盛の校正及び直角度の評価を行なうことが可能になる。
また、球体を磁着保持する場合には、本装置の使用時には、球体を保持体に磁着し、非使用時には、球体を保持体から外して別々にしておくことができる。また、球体として、接触型3次元座標測定機に用いられる接触型球体と、非接触型3次元座標測定機に用いられる非接触型球体との二種類の球体を用意しておけば、接触型3次元座標測定機に使用する場合は、接触型球体を保持体に磁着して用い、非接触型3次元座標測定機に使用する場合は、非接触型球体を保持体に磁着して用いることができる。
そのため、球体は保持体に磁着されて保持されるので、従来のように球体を固定部材に一体に固定した場合に比較して、保持体と球体との間に無理な力が作用することがなく、即ち、球体をゲージ本体側との間の応力影響がほとんど作用しないようにして保持できるようになり、そのため、非装着時に本装置を搬送する際に生じる振動や衝撃に対して、また、接触型球体と非接触型球体との変更時においても、保持体と球体との関係に変化を生じさせにくくすることができ、標準値が変化する事態を極力防止して、寸法安定性の向上を図ることができる。
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係るボールディメンジョンゲージ装置について詳細に説明する。
図1乃至図5には、本発明の実施の形態に係るボールディメンジョンゲージ装置が示されている。このボールディメンジョンゲージ装置は、図示外の3次元座標測定機(以下「CMM」という場合がある)の性能評価に用いるための装置であり、定盤上に載置した被測定物に対してプローブを接触させて座標値を読みとって計測する接触型3次元座標測定機と、レーザ変位計やCCDカメラを使用して被測定物の座標値を読みとって計測する非接触型3次元座標測定機との両者に用いることができる。
本実施の形態に係るボールディメンジョンゲージ装置は、3次元座標測定機に設置されるゲージ本体1と、ゲージ本体1に保持される複数の球体Gとを備えて構成されている。球体Gは、磁着性材料で形成されるとともに、ゲージ本体1には、永久磁石を備えて形成され球体Gを磁着保持する保持体10が付設されている。
ゲージ本体1は、図3に示すように、長方形平面状の外側面2a,外側面2aに直交して連続する平面状の一対の接地面2b及び各接地面2bに連続し外側面2aと反対側の内側面部2cを有した一対の側板2と、両側板2の内側面部2c間に一体に架設され両側板2同士を連結するウェブ3とを備え、全体が横断面H型になる金属製ブロック状に形成されている。
詳しくは、ゲージ本体1は、例えば、市販のナイフエッジが用いられる。ナイフエッジの材料はJIS.G−4401(炭素工具鋼鋼材)のSK5またはこれと同等以上のものとし、硬さは焼入れしたものでは、Hv490(Hs65)〜Hv620(Hs75)に示すとおり残留応力除去のための熱処理が施され、経年変化が小さく寸法安定性に優れている。そのため、寸法安定性を容易に高めることができる。
球体Gとして、接触型3次元座標測定機に用いられる接触型球体G(a)と、非接触型3次元座標測定機に用いられる非接触型球体G(b)との二種類の球体Gを備えている。二種類の球体Gは、夫々、その大きさが異なるものが用意される。実施の形態では、例えば、直径が1インチのものと、1/2インチのものが用意される。
接触型球体G(a)は、表面が鏡面であり、表面粗さがRa0.01μm以下,真球度が0.08μm以下の磁着性金属のみで形成されている。例えば、接触型球体G(a)としては、市販の高精度ベアリング球が適し、磁性体であるので磁石に磁着できる。
そして、接触型球体G(a)においては、三角測距方式の原理による波長500nm〜700nm(実施の形態では波長670nm)のレーザ変位式プローブで球体の表面を測定したとき、レーザ変位式プローブの利得設置値N(ノッチ)が、最小出力値0から最大出力値60を設定可能範囲とした場合に、20<Nの範囲になるようにその表面状態(輝度,色,反射率など総合的条件)が設定されている。
非接触型球体G(b)は、表面粗さがRa0.01μm以下,真球度が0.08μm以下の磁着性金属の表面に、ニッケル,クロムのうちの少なくとも一種をメッキ処理してある。
非接触型球体G(b)においては、三角測距方式の原理による波長500nm〜700nm(実施の形態では波長670nm)のレーザ変位式プローブで球体の表面を測定したとき、レーザ変位式プローブの利得設置値N(ノッチ)が、最小出力値0から最大出力値60を設定可能範囲とした場合に、N≦20の範囲になるようにその表面状態(輝度,色,反射率など総合的条件)が設定されている。
詳しくは、以下の通りである。
(1)ニッケルメッキの場合、
表面粗さがRa0.01μm以下,真球度が0.08μm以下の磁着性金属の表面に、無電解ニッケルメッキ(通称カニゼン,黄土色)を行なう。この場合、磁着性金属を35%塩酸に1分間浸水(65%は水)し、被膜のアンカー効果と非接触型プローブでの測定安定性をねらう。その後,無電解ニッケルメッキを行なう。
(2)クロムメッキの場合
表面粗さがRa0.01μm以下,真球度が0.08μm以下の磁着性金属の表面に、クロムメッキを行なう。この場合、磁着性金属を35%塩酸に2分間浸水(65%は水)し、その後、クロム電気メッキを行なう。
保持体10は、接触型球体G(a)及び非接触型球体G(b)のうちから選択された何れかの球体Gを磁着保持するもので、ゲージ本体1に付設されている。図5に示すように、保持体10は、円柱状に形成されており、内部に永久磁石11が埋設されている。また、保持体10は、一方の端面に球体Gの一部が没入する円錐台状の凹部12を備えて構成されている。保持体10は、直径の異なる球体Gごとに対応して設けられ、夫々、球体Gの直径に合わせた凹部12が形成されている。即ち、実施の形態では、例えば、球体Gの直径が1インチ用の保持体10(A)と、球体Gの直径が1/2インチ用の保持体10(A)とが用意される。
また、図1乃至図4に示すように、保持体10は、直径の異なる球体Gが適宜混在してゲージ本体1の両側板2の外側面2aに夫々長手方向に沿って複数列設されるように、当該ゲージ本体1の両側板2の外側面2aに夫々長手方向に沿い、且つ、各保持体10の他方の端面を外側面2aに接合させて複数列設されている。各保持体10の他方の端面はゲージ本体1に対して接着剤で接着されている。接着剤としては、例えば、市販の瞬間接着剤が用いられる。
また、一方の側板2の各保持体10が保持する球体Gの列と、他方の側板2の各保持体10が保持する球体Gの列との位相がずれるように、各保持体10がゲージ本体1に設けられている。
詳しくは、図4に示すように、何れか1つの保持体10が保持する球体G(図では右端部の球体G(15))の中心(x0,y0)と、他の球体の中心(xi,yi)との距離Miが、下記の式(1)(2)を満たす関係になるように保持体10を設けている。
n:球径の異なる球体の種類(n=1,2,3・・・m)に応じて使い分けられる定数であって、中心(xi,yi)の球体Gにおける球径の大きさに依存する振幅(mm)
λi:ゲージ片側の中心(xi,yi)の球体Gとこれに隣接する中心(xi+1,yi+1)の球体Gとの球間距離(mm)
図4(a)に示す実施の形態では、球径の大きさに応じて振幅anを代入して式を使い分け、φ1インチ球の場合はa1=54.8mm,φ1/2インチ球の場合はa2=52.1mmにしている。また、ゲージ本体1の長さは500mm,片側の球間隔が3間隔(球体が4個)になっており、λiは、130.363mm,168.181mm,159.297mmになっている。
尚、一方の球体の列の端部にある球体G(15)と、同位において、他方の側板2側に別途設けた球体G(16)が位置するように、保持体10が別途設けられている。球体G(15)と球体G(16)及び球体G(17)により平面を規定して空間軸とする。球体G(15)と球体G(17)で直線を規定して回転軸とし、球体G(15)をX,Y,Z軸のゼロ点としてゲージの測定物座標系を定める。
また、図1及び図2に示すように、本装置において、ゲージ本体1は、3次元座標測定機の定盤に載置されゲージ本体1の長手方向が3次元座標測定機の定盤面に対して傾斜するように、ゲージ本体1の接地面2bを支承する支承台20を備えている。支承台20は、3次元座標測定機の定盤に載置されるベース21と、ベース21に対して傾動可能(角度調整可能)に設けられゲージ本体1を支承する支承板22と、ベース21と支承板22との間に架設され支承板22を適宜の角度調整可能に位置決めする位置決め部材23を備えて構成されている。位置決め部材23は、一端が支承板22に回動可能に設けられ、他端がベース21の長手方向に沿っていくつか列設された係合凹部24に係合して固定される。
従って、本発明の実施の形態に係るボールディメンジョンゲージ装置によれば、非使用時には、球体Gを保持体10から外して別々にしておくことができる。そのため、輸送する際など取り扱いが容易になる。
また、本発明の実施の形態に係るボールディメンジョンゲージ装置を用いて3次元座標測定機の評価を行なうときは以下のようにして行なう。
(1)接触型3次元座標測定機の場合
接触型3次元座標測定機は、プローブと呼ばれる位置検出器を有し、スタイラス先端の硬質材料で作られたチップが被測定物の表面に接触することでトリガ信号が出力される。これにより、トリガ信号出力時のチップ中心座標(X,Y,Z)が測定値として得られ、多点の組み合わせからコンピュータのソフトウエアにより幾何学的形状が算出される。
接触型3次元座標測定機の場合には、先ず、ゲージの測定要素球である球体Gとして、接触型球体G(a)を用い、ゲージ本体1の保持体10に磁着する。そして、接触型3次元座標測定機の定盤に支承台20を載置するとともに、支承台20の支承板22上にゲージ本体1の設置面を接地させて支承させる。支承台20の支承板22は、ベース21に対して適宜の角度に傾斜させて固定する。
そして、接触型3次元座標測定機を作動させ、全ての球体Gについて、その中心位置を求めるための測定を行なう。このようにして求めた球体Gの列を0度側とする。次に、このゲージ本体1を180度回転させて同様の測定を行う。即ち、所謂「反転法」による測定を行なう。この一連の測定データから、球体Gの中心間距離を求め、予め測定を行っている各球体G間の距離と比較し、その結果から3次元座標測定機の目盛の校正を行うことができる。また、コンピュータの演算処理により、3次元座標測定機の目盛の校正の他、直角度の評価を同時に行うことが可能となり、極めて簡便にこれらの作業を行うことができるようになる。
この場合、球体Gは保持体10に磁着されて保持されるので、従来のように球体Gを固定部材に一体に固定した場合に比較して、保持体10と球体Gとの間に無理な力が作用することがなく、即ち、球体Gをゲージ本体1側との間の応力影響がほとんど作用しないようにして保持できるようになり、そのため、非装着時に本装置を搬送する際に生じる振動や衝撃に対して、また、接触型球体G(a)と非接触型球体G(b)との変更時においても、保持体10と球体Gとの関係に変化を生じさせにくくなり、標準値が変化する事態が極力防止され、寸法安定性の向上が図られる。
また、保持体10はゲージ本体1に接着剤で接着されているので、ゲージ本体1の内部に応力が存在しないことから保持体10とゲージ本体1との間にも無理な力が作用することがなく、そのため、ゲージ本体1,保持体10及び球体Gの三者の関係に変化を生じさせにくくなり、標準値が変化する事態が極力防止され、寸法安定性の向上が図られる。
更に、ゲージ本体1は、ナイフエッジを使用しているので、経年変化が小さく寸法安定性に優れていることから、より一層、寸法安定性の向上が図られる。
また、保持体10をゲージ本体1の両側板2の外側面2aに夫々長手方向に沿って複数列設したので、球体Gが左右2列に配置される。そのため、所謂「反転法」による測定において、値付けを確実にすることができるとともに、この一連の測定データから、3次元座標測定機の目盛の校正,直角度の評価を同時に行うことが可能となり、値付けを確実にして、極めて簡便にこれらの作業を行うことができるようになる。
そしてまた、球体Gを「千鳥配置」にしているので、即ち、上記の関係式(1)の関係を満たすように配置しているので、「並列配置」に比較して、3次元座標を実現するゲージが位置信号として与える球の位置が均等に配置され、位置信号の間隔を広げることができ、スケールを均等に評価することができる。
また、球体Gの大きさを異ならせた構成としているので、接触角の違いによるスタイラスチップの接触安定性及び曲面接触でのプロービング誤差が求められる。接触角の違いによるスタイラスチップの接触安定性は、接触角が小さくなることで不安定な接触による誤差が生じることが推測される。接触角は、図7に示すように、スタイラスチップと球の接触点の接線とプロービング方向とがなす角をプロービング時の接触角とすると、φ1インチ球とφ1/2インチ球ではプロービング方向一定かつ同一プロービング範囲とした場合では接触角が異なる。これは3次元座標測定機による自動測定でのプロービング動作のサブルーチン化や両側に障壁を持つ部分球測定などの場合に該当する。
(2)非接触型3次元座標測定機の場合
非接触型3次元座標測定機は、レーザ変位計やCCDカメラを使用して被測定物の座標値を読みとって計測する。非接触型3次元座標測定機の場合には、先ず、ゲージの測定要素球である球体Gとして、非接触型球体G(b)を用い、ゲージ本体1の保持体10に磁着する。そして、非接触型3次元座標測定機の定盤に支承台20を載置するとともに、支承台20の支承板22上にゲージ本体1の設置面を接地させて支承させる。支承台20の支承板22は、ベース21に対して適宜の角度に傾斜させて固定する。
そして、非接触型3次元座標測定機を作動させ、上記接触型3次元座標測定機の場合と同様に、所謂「反転法」による測定を行なう。
この場合も、球体Gは保持体10に磁着されて保持されるので、従来のように球体Gを固定部材に一体に固定した場合に比較して、保持体10と球体Gとの間に無理な力が作用することがなく、即ち、球体Gをゲージ本体1側との間の応力影響がほとんど作用しないようにして保持できるようになり、そのため、非装着時に本装置を搬送する際に生じる振動や衝撃に対して、また、接触型球体G(a)と非接触型球体G(b)との変更時においても、保持体10と球体Gとの関係に変化を生じさせにくくなり、標準値が変化する事態が極力防止され、寸法安定性の向上が図られるなど、上記接触型3次元座標測定機の場合と同様の作用,効果が奏される。
次に、球体Gの実施例1,2について示す。
(1)実施例1
母材としては、接触型プローブで使用する高精度ベアリング球を母材として用いた。母材を35%塩酸,65%水の溶液に2分間浸水して適度な表面荒れ性を生成し、表面被膜に対するアンカー効果と非接触型プローブによる測定安定性を同時に生み出す。次に、硬質クロムによる電気メッキを施す。この表面改質法により灰色で適度な散乱光を生じる非接触型プローブに適した表面性状が得られる。
(2)実施例2
母材としては、接触型プローブで使用する高精度ベアリング球を母材として用いた。母材を35%塩酸,65%水に1分間浸水して適度な表面荒れ性を生成し,表面被膜に対するアンカー効果と非接触型プローブによる測定安定性を同時に生み出す。次に、無電解ニッケルメッキを施す。この表面改質法により黄土色で適度な散乱光を生じる非接触型プローブに適した表面性状が得られる。鋼材質の高精度ベアリング球が母材となっているために磁性体であり非接触型プローブを使用する場合にはマグネット治具に磁性により取り付けてゲージを使用できる。マグネット治具に着脱することで表面性状が損傷する問題は本来の耐摩耗性の機能被膜である硬質クロムメッキと無電解ニッケルメッキの特長により解決できる。
この球体Gの各実施例1,2について、球体Gの比較例とともに、上記と同様に波長670nmのレーザ変位式プローブで球体Gの表面を測定した。比較例としては、白色のセラミック材質で表面に凹凸を施した基準球を用いた。
このレーザ感度の利得を比較した結果,白色セラミック材質の基準球では利得が12ノッチの場合に、実施例1及び2では、15ノッチが得られ、散乱光の発生を主に設計された基準球と同等の利得となった。
また、球体Gの実施例2について、図8に示すテストピース(以下「BDG−T」という)により、検証実験を行った。開発した非接触型プローブに適応した装置の利点は、輸送時の小型収納における測定要素球の着脱の位置再現性が高く、かつ非接触型プローブでのセンシングにおいて低出力で高感度の利得が得られることである。以下に,着脱再現性と非接触型プローブの感度特性に関して検証実験を行った。
比較条件として、図9に示すように、「標示因子A:表面性状」を4水準設定した。水準1に鏡面,水準2に黒塗り,水準3にイオンプレートの表面性状を設定し、実施例2は「水準4:無電解メッキ」で示した。鏡面はベアリング球の表面となる光沢面、黒塗りは表面に黒色の被膜を施す黒染めによる表面、イオンプレートは真空炉内で行うイオンプレーティング処理による表面である。
球体Gの表面性状が影響する保持体10への取り付け取り外しの着脱再現性を検証するために「標示因子B:球の着脱」を3水準設定した。また、「標示因子C:測定の繰り返し」は表面性状が影響する繰り返し誤差を求めるために2水準設定した。特性値はφ1インチ球とφ1/2インチ球における測定要素球の中心座標のX座標,Y座標,Z座標,直径,真球度として、標示因子毎の標準偏差の工程平均を算出し、標示因子の影響の大きさを求めた。
ここで、標示因子Aの表面性状とは表面粗さを言う。標示因子Bの球体Gの着脱は一旦球体Gを保持体10から取り外し再度取り付け後測定を行う行為を言う。標示因子Cの測定の繰り返しは同一状態で球体Gに対し繰り返し測定を行う行為を言う。
また、精度検証実験におけるワーク座標系を図8に示す。尚、図9において、「CMM」は、3次元座標測定機をいう。
着脱再現性は球体Gの表面粗さと関連すると思われることから、各表面性状の表面粗さを、フォームタリサーフPGI1240(テーラーホブソン社製)により測定した。その結果、φ1インチ球では,鏡面がRa0.004μm,黒塗りがRa0.071μm,イオンプレートが0.310μm,無電解メッキがRa0.353μmの結果となった。φ1/2インチ球では鏡面がRa0.021μm,黒塗りがRa0.023μm,イオンプレートが0.299μm,無電解メッキがRa0.309μmの結果となった。開発した装置で使用する非接触型プローブの測定要素球体Gは着脱再現性と高感度性の両立が求められるが、表面粗さでは鏡面と黒塗りが良好となった。
球体Gの着脱再現性を検証するために、図8に示すテストピース(以下「BDG−T」という)を非接触型プローブで測定した。実験結果及び考察を以下に示す。「標示因子A:表面性状」の4水準の球に対してレーザ変位式の非接触型プローブにより測定を行った結果、鏡面と黒塗りの水準はφ1/2インチ球が測定できなかった。
図10と図11に示すとおり、鏡面はZ座標値で2.1μm,黒塗りはZ座標値で4.3μmとなり球体Gの表面粗さは小さいが、非接触型プローブでの感度特性が悪いため正確な測定が出来ないことが原因と推測した。図12と図13からイオンプレートと無電解メッキの場合に「標示因子C:測定の繰り返し」でφ1インチ球の球径以外の特性値で標準偏差の平均値が1μm未満となり良好な結果であった。「標示因子B:球の着脱」では無電解メッキの場合でφ1/2インチ球でのZ座標値の標準偏差の平均値は1.13μmが最大値となり、他の特性値は1μm未満となった.これは、接触型プローブの場合よりも「標示因子B:球の着脱」の標準偏差は小さく良好な結果である。
接触型プローブによるXYZ座標値及び球径を標準値として、非接触型プローブによる「標示因子A:表面性状」毎の測定値と比較した結果を図14に示す。φ1インチ球とφ1/2インチ球を合わせたXYZ座標値における標準値との差の平均値はイオンプレートで−1.33μm,無電解メッキで−3.92μm,φ1インチ球のみで黒塗り−6.62μm,鏡面−2.76μmとなった。接触型プローブにおける表面被膜と無電解メッキの「標示因子B:球の着脱」の効果がそれぞれ1.45μm,2.66μmと算出された。この結果、保持体10への装着再現性の誤差と接触型プローブの測定値を標準値としたとき非接触型プローブとの差の大きさが一致した。散乱光の発生を目的に行った表面荒れ性が球中心座標のずれに直接影響している。
非接触型プローブでは感度特性を表す利得が0〜60ノッチまで設定できる状況において、鏡面60,黒塗り30,イオンプレート34,無電解メッキ15,基準球12が適した利得設定であった。利得設定ノッチが小さい設定の方が標準偏差の小さい測定が行える。開発した非接触型プローブ用の測定要素球体Gはレーザ変位式で高い利得が得られる。上記の通り、白色のセラミック材質で表面に凹凸を施した基準球に対してレーザ感度の利得を比較した結果、白色セラミック材質の基準球では利得が12ノッチの場合に、実施例1及び実施例2は15ノッチが得られ、散乱光の発生を主に設計された基準球と同等の利得となった。
測定要素球体Gの着脱再現性を検証した実験の結論を示す。「標示因子A:表面性状」では無電解メッキの場合に保持体10への球体Gの着脱の効果が標準偏差の平均値でφ1/2インチのZ座標値を除き1μm未満となり良好であった。非接触型プローブの感度特性においても白色セラミックス基準球の12ノッチと同等な15ノッチの利得を示した。この結果、実施例2に示した無電解ニッケルメッキによる方法が着脱再現性と非接触型プローブの感度特性を両立し、測定要素球体Gに適していることが検証された。
次にまた、ボールディメンジョンゲージ装置の実施例の優位性について、比較例と比較して検証した。
図4に示すように、実施例は、千鳥配置したものであり、図15に示すように、比較例は、並列配置としたものである。
実施例において、図4に示すように、何れか1つの保持体が保持する球体G(図では右端部の球体G(15))の中心(x0,y0)と、他の球体の中心(xi,yi)との距離Miが、下記の式(1)(2)を満たす関係になるように上記保持体を設けている。
n:球径の異なる球体の種類(n=1,2,3・・・m)に応じて使い分けられる定数であって、中心(xi,yi)の球体Gにおける球径の大きさに依存する振幅(mm)
λi:ゲージ片側の中心(xi,yi)の球体Gとこれに隣接する中心(xi+1,yi+1)の球体Gとの球間距離(mm)
実施例では、上記と同様に、球径の大きさに応じて振幅anを代入して式を使い分け、φ1インチ球の場合はa1=54.8mm,φ1/2インチ球の場合はa2=52.1mmにしている。また、ゲージ本体1の長さは500mm,片側の球間隔が3間隔(球体が4個)になっており、λiは、130.363mm,168.181mm,159.297mmになっている。
これらの実施例と比較例において、図16に示す並列配置と千鳥配置の信号間隔の違いを表した表、及び、図17に示す並列配置と千鳥配置の信号間隔の違いを表したグラフに示されるように、比較例では、入出力関係図のとおり、隣り合う信号間の間隔が非常に狭くスケールの全範囲を適切に評価することができない。特に、バー形状のゲージでは信号の間隔が狭い。
一方、実施例では、球体Gを交互にずらし千鳥配置することで信号の間隔を広げることができる。
即ち、球体Gの並列配置の信号間隔は34mm,20mm,13mmと狭い場合と、134mm,110mmと広い場合に分けられ、3次元座標測定機のスケールを均等に評価できない。一方、千鳥配置の信号間隔は25mm,111mm,57mm,83mm,48mmとなり信号間隔が均等に配置されている。信号間隔のばらつきの度合いを信号間隔の標準偏差として算出した。並列配置では56mmに対し千鳥配置では33mmとなり千鳥配置の場合で信号間隔のばらつきが小さいことが分かる。
即ち、本実施例では、比較例と比較すると信号の間隔が広くなり3次元座標測定機のスケールを均等に評価することができる。
尚、上記実施の形態において、球体Gの数,大きさや隣接する球体Gとの間隔は必ずしも上記のものに限定されるものではなく、適宜変更して差支えない。
尚また、保持体10は、永久磁石11を内部に備えているが必ずしもこれに限定されるものではなく、保持体10自体を永久磁石で構成してもよい。
本発明の実施の形態に係るボールディメンジョンゲージ装置を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係るボールディメンジョンゲージ装置を示す分解斜視図である。 本発明の実施の形態に係るボールディメンジョンゲージ装置を示す別の斜視図である。 本発明の実施の形態に係るボールディメンジョンゲージ装置を示し、(a)は正面図、(b)側面図、(c)は別の正面図、(d)は平面図である。 本発明の実施の形態に係るボールディメンジョンゲージ装置の保持体を示す図である。 反転法による4形態の測定物座標系を示す図である。 異なる2種類の球径によるプロービング時のスタイラスチップと球の接触角の違いを示す図である。 本発明の実施例に関する実験例に使用したテストピースを示す図である。 本発明の実施例に関する実験例に係り、(a)は標準因子を示す表、(b)は割り付け表である。 本発明の実験例に係り、水準1の鏡面における測定結果を示すグラフ図である。 本発明の実験例に係り、水準2の黒塗りにおける測定結果を示すグラフ図である。 本発明の実験例に係り、水準3のイオンプレートにおける測定結果を示すグラフ図である。 本発明の実験例に係り、水準4の無電解メッキにおける測定結果を示すグラフ図である。 本発明の実験例に係り、接触型プローブを標準値にしたときの非接触型プローブとの差を示すグラフ図である。 本発明の実験例に係り、比較例に係る装置を示す正面図である。 本発明の実験例に係り、実施例及び比較例の信号間隔の違いを示す表図である。 本発明の実験例に係り、(a)は比較例の場合の信号間隔を示すグラフ図、(b)は実施例の場合の信号間隔を示すグラフ図である。 従来のゲージ装置の一例を示す図である。
符号の説明
1 ゲージ本体
2 側板
3 ウェブ
G 球体
G(a) 接触型球体
G(b) 非接触型球体
10 保持体
11 永久磁石
12 凹部
20 支承台
21 ベース
22 支承板
23 位置決め部材

Claims (10)

  1. 3次元座標測定機の定盤上に設置されるゲージ本体と、該ゲージ本体に保持される複数の球体と、上記ゲージ本体に付設され上記球体を保持する保持体とを備えて構成され、上記3次元座標測定機の性能評価に用いるためのボールディメンジョンゲージ装置において、
    上記ゲージ本体を、長方形状の外側面,該外側面と反対側の内側面,上記外側面及び内側面の長辺に連続する一対の接地面を有した一対の側板と、該両側板の内側面間に一体に架設され該両側板同士を連結するウェブとを備え全体が横断面H型になるブロック状に形成し、
    上記保持体を、上記ゲージ本体の両側板の外側面に夫々長手方向に沿って複数列設したことを特徴とするボールディメンジョンゲージ装置。
  2. 3次元座標測定機の定盤上に設置されるゲージ本体と、該ゲージ本体に保持される複数の球体とを備えて構成され、上記3次元座標測定機の性能評価に用いるためのボールディメンジョンゲージ装置において、
    上記球体を磁着性材料で形成するとともに、上記ゲージ本体に、永久磁石を備えて形成され上記球体を磁着保持する保持体を付設し、
    上記ゲージ本体を、長方形状の外側面,該外側面と反対側の内側面,上記外側面及び内側面の長辺に連続する一対の接地面を有した一対の側板と、該両側板の内側面間に一体に架設され該両側板同士を連結するウェブとを備え全体が横断面H型になる金属製ブロック状に形成し、
    上記保持体を、上記ゲージ本体の両側板の外側面に夫々長手方向に沿って複数列設したことを特徴とするボールディメンジョンゲージ装置。
  3. 3次元座標測定機に設置されるゲージ本体と、該ゲージ本体に保持される複数の球体とを備えて構成され、上記3次元座標測定機の性能評価に用いるためのボールディメンジョンゲージ装置において、
    上記球体を磁着性材料で形成するとともに、該球体として、接触型3次元座標測定機に用いられる接触型球体と、非接触型3次元座標測定機に用いられる非接触型球体との二種類の球体を備え、
    上記ゲージ本体に、永久磁石を備えて形成され上記接触型球体及び非接触型球体のうちから選択された何れかの球体を磁着保持する保持体を付設し、
    上記ゲージ本体を、長方形状の外側面,該外側面と反対側の内側面,上記外側面及び内側面の長辺に連続する一対の接地面を有した一対の側板と、該両側板の内側面間に一体に架設され該両側板同士を連結するウェブとを備え全体が横断面H型になる金属製ブロック状に形成し、
    上記保持体を、上記ゲージ本体の両側板の外側面に夫々長手方向に沿って複数列設したことを特徴とするボールディメンジョンゲージ装置。
  4. 三角測距方式の原理による波長500nm〜700nmのレーザ変位式プローブで球体の表面を測定したとき、レーザ変位式プローブの利得設置値N(ノッチ)が、最小出力値0から最大出力値60を設定可能範囲とした場合に、
    上記接触型球体においては、20<Nの範囲に設定し、
    上記非接触型球体においては、N≦20の範囲に設定したことを特徴とする請求項3記載のボールディメンジョンゲージ装置。
  5. 上記接触型球体を、表面が鏡面であり、表面粗さがRa0.01μm以下,真球度が0.08μm以下の磁着性金属のみで形成したことを特徴とする請求項4記載のボールディメンジョンゲージ装置。
  6. 上記非接触型球体を、表面粗さがRa0.01μm以下,真球度が0.08μm以下の磁着性金属の表面に、ニッケル,クロムのうちの少なくとも一種をメッキ処理して構成したことを特徴とする請求項4または5記載のボールディメンジョンゲージ装置。
  7. 上記一方の側板の各保持体が保持する球体の列と、上記他方の側板の各保持体が保持する球体の列との位相がずれるように、各保持体を設けたことを特徴とする請求項1乃至6何れかに記載のボールディメンジョンゲージ装置。
  8. 上記球体の大きさを異ならせたことを特徴とする請求項1乃至7何れかに記載のボールディメンジョンゲージ装置。
  9. 上記何れか1つの保持体が保持する球体Gの中心(x0,y0)と、他の球体の中心(xi,yi)との距離Miが、下記の式(1)(2)を満たす関係になるように上記保持体を設けたことを特徴とする請求項1乃至8何れかに記載のボールディメンジョンゲージ装置。
    n:球径の異なる球体の種類(N=1,2,3・・・m)に応じて使い分けられる定数であって、中心(xi,yi)の球体Gにおける球径の大きさに依存する振幅(mm)
    λi:ゲージ片側の中心(xi,yi)の球体Gとこれに隣接する中心(xi+1,yi+1)の球体Gとの球間距離(mm)
  10. 上記3次元座標測定機の定盤に載置され上記ゲージ本体の長手方向が上記3次元座標測定機の定盤面に対して傾斜するように該ゲージ本体の接地面を支承する支承台を備えたことを特徴とする請求項1乃至9何れかに記載のボールディメンジョンゲージ装置。
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