JP5315080B2 - 1ポンプ方式熱源設備の運転制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、地域冷暖房設備等の熱源供給システムや、工場、一般ビルなどの熱源供給システムに用いられる1ポンプ方式熱源設備の運転制御方法に関する。
従来より、地域冷暖房施設等の熱源供給システムや、工場、一般ビルなどの熱源供給システムには、図15に示されるように、1ポンプ方式熱源設備50が用いられている。
前記1ポンプ方式熱源設備50は、図15に示されるように、熱媒を加熱又は冷却する第1〜第3の熱源機器51A〜51C、及び各熱源機器51A〜51Cで加熱又は冷却された熱媒を圧送する各熱媒ポンプ52A〜52C、各熱媒ポンプ52A〜52Cに対応して設けられるとともに、ポンプ回転周波数を可変制御する周波数制御器53A〜53Cと、各熱媒ポンプ52A〜52Cで圧送された熱媒を集約する送りヘッダ54と、各部位(部屋)に配置された熱交換器(空調機)58、58…に供給された後、熱交換器(空調機)58、58…から還ってきた熱媒を各熱源機器51A〜51Cに分配する戻りヘッダ55と、前記送りヘッダ54と戻りヘッダ55とを繋ぐバイパス62と、その中間に設けられたバイパス弁63と、前記送りヘッダ54と戻りヘッダ55との間の差圧を計測する差圧計64と、熱源機器51A〜51Cの制御及びバイパス弁63の開度制御を行う制御装置60とを備える構成である。
また、計測機器類として、前記送りヘッダ54から外部負荷機器側に循環する循環流量を測定するための流量計65と、前記送りヘッダ54と戻りヘッダ55の間の差圧を測定する差圧計64とを備える。
かかる1ポンプ方式熱源設備50においては、熱媒ポンプ52A〜52Cにより圧送された熱媒は、熱源機器51A〜51Cにより冷却又は加熱され、送りヘッダ54において混合され、往水管路を介して熱交換器(空調機)58、58…へ供給される。そして、熱交換器(空調機)58、58…において熱交換された後、還水管路を介して戻りヘッダ55に戻され、再び熱媒ポンプ52A〜52Cによって圧送され循環する(下記特許文献1〜3等参照)。
前記1ポンプ方式熱源設備においては、熱媒ポンプ52A〜52Cは熱源機器51A〜51Cの運転と連動して運転を行い、熱源機器51A〜51Cの流量測定値(Qmn)が設定値(Qsn)になるように熱媒ポンプ52A〜52Cの運転周波数(fsn)を制御し、ポンプ吐出圧が設定値(Ps)になるようにバイパス弁63の開度を制御している(以下、従来法A)。
前記従来の1ポンプ方式熱源設備においては、前記制御装置からの周波数制御器への操作及びバイパス弁への操作がそれぞれ独立して行われていたため、圧力及び流量の制御が干渉し、熱源機器の出力の不安定化(ハンチング等)が生じていた。このような不安定化を回避するため、ポンプを定格で稼働して吐出圧を一定とすることで、熱源機器における流量をある程度多く確保するようにしているため、小負荷時においてポンプ動力が低減できないなどの問題があった。
そこで、本出願人は、1ポンプ方式熱源設備の運転制御方法において、圧力と流量の制御を安定して行うとともに、ポンプ動力の低減を図るようにするため、下記特許文献4において、予め、熱媒ポンプ、熱源機器、送りヘッダ、バイパス路、戻りヘッダを巡る循環系において、各熱媒ポンプ毎に、ヘッダ間差圧Pとポンプ流量Qをパラメータとするポンプ運転周波数fの算出式を得ておき、制御装置は、外部負荷機器を循環する熱媒の循環流量に応じて前記両ヘッダ間の差圧設定値Psを決定し、前記バイパス弁の開度を制御するとともに、各熱源機器の運転可能流量の最大値、最小値を夫々、上限値、下限値とする条件および前記外部負荷機器側を循環する熱媒循環流量を各熱源機器で分配する考えの下で、各熱媒ポンプの流量設定値Qsを決定し、これらPs、Qsを前記ポンプ運転周波数fの算出式に代入して運転周波数Fsを求め、この運転周波数Fsで前記熱媒ポンプを運転する1ポンプ方式熱源設備の運転制御方法(以下、従来法B)を提案した。
特開2000−18683号公報 特開2004−184052号公報 特開2004−245560号公報 特開2008−224182号公報
しかしながら、前記従来法Aにおいて、空調機58、58…側への負荷流量が急激に小さくなった場合、熱源機器51A〜51Cでの流量低下による凍結事故を防止するため、バイパス弁63の開度を急激に開いて、最低流量を確保する必要があるところ、バイパス弁63の動作が緩慢に制御されているため、負荷流量の急激な低下に対応できず、ポンプ吐出圧の測定値が設定値を超えて過大となり、熱源機器の流量が凍結事故を防止するために必要な最低流量を維持できず、熱源機器が凍結する事態が生じていた。
このような熱源機器での流量低下を防止する方法として、図16及び図17に示されるように、ヘッダ間差圧の測定値(Pm)が設定値(Ps)より過大になった場合(図17(A))若しくは熱源機器の流量測定値(Qm)が設定値(Qs)より過小になった場合(図17(B))、又はこれら双方の場合の異常時に、緊急避難的にバイパス弁63の開度制御を行う制御機器のパラメータ(比例帯、積分時間、微分時間)を敏感に反応するように切り替えることにより対処する方法が考えられる。ところが、パラメータの切り替えにより制御特性を敏感にし過ぎるとハンチングを起こすなど、かえって熱源設備の運転が不安定になる危険性があった。
一方、前記従来法Bの場合は、ヘッダ間差圧の測定値(Pm)と設定値(Ps)との間に差が無いことを前提としていたため、ヘッダ間差圧の測定値(Pm)が設定値(Ps)より過大になった場合や、若しくは熱源機器の流量測定値(Qm)が設定値(Qs)より過小になった場合、又はこれら双方の場合の異常時には対応できず、熱源機器の流量が凍結事故を防止するために必要な最低流量を維持できず、熱源機器が凍結するおそれが生じていた。
そこで本発明の主たる課題は、熱源機器及び外部負荷機器側の流量が急激に低下し凍結事故のおそれが生じる異常時において、熱源機器の凍結事故を防止するとともに、安定的な制御を行うことができる1ポンプ方式熱源設備の運転制御方法を提供することにある。
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、熱媒を冷却又は加熱する1又は複数の熱源機器と、各熱源機器に対応して設けられるとともに、冷却又は加熱された熱媒を圧送する熱媒ポンプと、各熱媒ポンプに対応して設けられるとともに、ポンプ回転周波数を可変制御する周波数制御器と、前記熱源機器からの熱媒を集約する送りヘッダと、この送りヘッダから熱媒を供給される外部負荷機器と、前記各外部負荷機器に対応して設けられるとともに、該外部負荷機器を流れる熱媒の流量を調整する流量調整弁と、外部負荷機器で熱交換された熱媒が戻されるとともに、各熱源機器に分配する戻りヘッダと、前記送りヘッダ部又はその近傍と前記戻りヘッダ部又はその近傍とを繋ぐバイパス路と、このバイパス路を流れる熱媒の流量を調整するバイパス弁と、前記熱媒ポンプの運転制御及び前記バイパス弁の開度制御を行う制御装置とを備える1ポンプ方式熱源設備の運転制御方法であって、
前記送りヘッダから外部負荷機器側に循環する循環流量を測定するための流量計と、各熱媒ポンプに対応して設けられるとともに、各熱媒ポンプの流量を測定するためのポンプ流量計と、前記送りヘッダと戻りヘッダの間の差圧を測定する差圧計とを配設し、
予め、前記熱媒ポンプ、熱源機器、送りヘッダ、バイパス路、戻りヘッダを巡る循環系において、各熱媒ポンプ毎に、ヘッダ間差圧Pとポンプ流量Qとの関係式を得るとともに、この関係式に基づいて、ヘッダ間差圧Pとポンプ流量Qをパラメータとするポンプ運転周波数fの算出式を得ておき、
通常時においては、
前記制御装置は、前記外部負荷機器側を循環する熱媒の循環流量又はその流量変化率に応じて前記両ヘッダ間の差圧設定値Psを決定し、前記バイパス弁の開度を制御するとともに、各熱源機器の運転可能流量の最大値Q rmax 、最小値Q rmin を夫々、上限値、下限値とする条件および前記外部負荷機器側を循環する熱媒循環流量を各熱源機器で分配する考えの下で、各熱媒ポンプの前記流量設定値Qsを決定し、前記両ヘッダ間の差圧設定値Ps及び各熱媒ポンプの流量設定値Qsを前記ポンプ運転周波数fの算出式に代入して、熱媒ポンプの運転周波数fsを求め、この運転周波数の設定値を前記周波数制御器に与えて前記熱媒ポンプの運転周波数を制御し、
前記差圧計による前記両ヘッダ間の差圧測定値Pmが前記差圧設定値Psより過大な場合及び/又は前記ポンプ流量計による流量測定値Qmが流量設定値Qsより過小な場合の異常時において
前記制御装置は、前記外部負荷機器側を循環する熱媒の循環流量又はその流量変化率に応じて前記両ヘッダ間の差圧設定値Psを決定し、前記バイパス弁の開度を制御するとともに、各熱源機器の運転可能流量の最大値Qrmax、最小値Qrminを夫々、上限値、下限値とする条件および前記外部負荷機器側を循環する熱媒循環流量を各熱源機器で分配する考えの下で、各熱媒ポンプの前記流量設定値Qsを決定し、前記両ヘッダ間の差圧測定値Pm及び各熱媒ポンプの流量設定値Qsを前記ポンプ運転周波数fの算出式に代入して、熱媒ポンプの運転周波数fsを求め、この運転周波数の設定値を前記周波数制御器に与えて前記熱媒ポンプの運転周波数を制御することを特徴とする1ポンプ方式熱源設備の運転制御方法が提供される。
上記請求項1記載の発明は、先ず通常時において、前記制御装置は、前記外部負荷機器側を循環する熱媒の循環流量又はその流量変化率に応じて前記両ヘッダ間の差圧設定値Psを決定し、前記バイパス弁の開度を制御するとともに、各熱源機器の運転可能流量の最大値Q rmax 、最小値Q rmin を夫々、上限値、下限値とする条件および前記外部負荷機器側を循環する熱媒循環流量を各熱源機器で分配する考えの下で、各熱媒ポンプの前記流量設定値Qsを決定し、前記両ヘッダ間の差圧設定値Ps及び各熱媒ポンプの流量設定値Qsを前記ポンプ運転周波数fの算出式に代入して、熱媒ポンプの運転周波数fsを求め、この運転周波数の設定値を前記周波数制御器に与えて前記熱媒ポンプの運転周波数を制御するようにしている。
この通常時の運転制御方法では、前記制御装置により、前記外部負荷機器側を循環する熱媒の循環流量又はその流量変化率に応じて前記両ヘッダ間の差圧設定値Psが決定され、前記バイパス弁の開度が制御されている。熱媒ポンプの運転周波数の制御においては、ヘッダ間の差圧設定値Ps及び熱媒ポンプの流量設定値Qsを前記ポンプ運転周波数fの算出式に代入して、熱媒ポンプの運転周波数fsが求められ、この運転周波数の設定値を周波数制御器に与えることにより行われている。このため、バイパス弁でのハンチングが防止されるとともに、各設定値に近い状態で熱媒ポンプの運転周波数fsが制御される。
一方、前記差圧計による前記両ヘッダ間の差圧測定値Pmが前記差圧設定値Psより過大な場合及び/又は前記熱媒ポンプに対応して設けられるポンプ流量計による流量測定値Qmが流量設定値Qsより過小な場合の異常時においては、過大なヘッダ間差圧の測定値Pmであっても、熱源機器の設定流量Qsを確保できる熱媒ポンプの運転周波数fsを求め、この運転周波数の設定値を前記周波数制御器に与えて前記熱媒ポンプの運転周波数を制御しているため、熱源機器及び外部負荷機器側の流量が急変した異常時でも、熱源機器の流量低下が抑えられ、熱源機器の凍結事故が防止できるようになる。このとき、バイパス弁は、通常時と同様に、制御装置により外部負荷機器側を循環する熱媒の循環流量又はその流量変化率に応じて前記両ヘッダ間の差圧設定値Psが決定され、開度が制御されているため、ハンチングなどの不安定な動作となることがなく、安定的な制御が行われる。
請求項に係る本発明として、前記両ヘッダ間の差圧設定値Psは、予め、前記流量計により測定した外部負荷機器側の流量と、前記差圧計により測定した各流量における両ヘッダ間の差圧との配管抵抗曲線の関係式を求めておき、この関係式に、前記流量計により測定した前記外部負荷機器側の循環流量を代入して算出することにより求める請求項1記載の1ポンプ方式熱源設備の運転制御方法が提供される。
上記請求項記載の本発明は、前記両ヘッダ間の差圧の設定値の第1の具体的な算出方法を示したものであり、予め、前記流量計により測定した外部負荷機器側の流量と、前記差圧計により測定した各流量における両ヘッダ間の差圧との関係式(配管抵抗曲線)を求めておき、この配管抵抗曲線の関係式に、前記流量計により測定した前記外部負荷機器側の循環流量を代入して前記両ヘッダ間の差圧の設定値を算出するものである。
請求項に係る本発明として、前記流量調整弁に対応して設けられ、前記流量調整弁の開度を測定する開度測定器を配設し、前記両ヘッダ間の差圧設定値Psは、前記開度測定器により測定した各流量調整弁の開度のうち最大値に対して、開度の大きさを基準に区分された範囲毎にそれぞれ両ヘッダ間の差圧の設定値の増減を示した前記制御装置が保有する変化量テーブルに基づいて設定する請求項1記載の1ポンプ方式熱源設備の運転制御方法が提供される。
上記請求項記載の本発明は、前記両ヘッダ間の差圧の設定値の第2の具体的な算出方法を示したものであり、外部負荷機器側を循環する熱媒の流量変化率に応じて前記両ヘッダ間の差圧設定値Psを決定する態様を示したものである。具体的には、前記流量調整弁に対応して設けられ、前記流量調整弁の開度を測定する開度測定器を配設し、前記開度測定器により測定した各流量調整弁の開度のうち最大値に対して、開度の大きさを基準に区分された範囲毎にそれぞれ両ヘッダ間の差圧の設定値の増減を示した前記制御装置が保有する変化量テーブルに基づいて設定することができる。
請求項に係る本発明として、前記両ヘッダ間の差圧の設定値及び前記熱媒ポンプの運転周波数の設定値は、数十秒から数分の時間間隔で算出するとともに、前記バイパス弁の開度は、1秒以下の時間間隔で制御する請求項1〜いずれかに記載の1ポンプ方式熱源設備の運転制御方法が提供される。
上記請求項記載の本発明は、熱源機器の出力が不安定化(ハンチング等)するのを防止するために、両ヘッダ間の差圧の設定値及び熱媒ポンプの運転周波数の設定値を算出する時間間隔の目安と、バイパス弁の開度を制御する時間間隔の目安を示したものである。
以上詳説のとおり本発明によれば、熱源機器及び外部負荷機器側の流量が急変した異常時でも、熱源機器の凍結事故を防止するとともに、安定的な制御を行うことができる1ポンプ方式熱源設備の運転制御方法が提供できる。
本発明に係る1ポンプ方式熱源設備1を示す配管図である。 その運転制御方法を示す流れ図である。 (A)、(B)は、異常時と通常時の判別方法を示す流れ図である。 熱媒ポンプの実機特性試験における熱媒の流量Qとヘッダ間差圧Pとの関係を示すグラフである。 熱媒の流量Qとヘッダ間差圧Pとの一般的関係を示すグラフである。 通常時における熱媒ポンプの運転周波数に対する熱媒の流量Qとヘッダ間差圧Pとの関係を示すグラフである。 通常時における第1の運転制御方法を示すP−Q特性線図である。 異常時における熱媒ポンプの運転周波数に対する熱媒の流量Qとヘッダ間差圧Pとの関係を示すグラフである。 従来の運転制御方法による流量及び差圧の時系列線図である。 従来の運転制御方法による流量の時系列線図である。 従来の運転制御方法による熱媒ポンプの運転周波数の時系列線図である。 本発明に係る運転制御方法による流量及び差圧の時系列線図である。 本発明に係る運転制御方法による流量の時系列線図である。 本発明に係る運転制御方法による熱媒ポンプの運転周波数の時系列線図である。 従来の1ポンプ方式熱源設備50を示す配管図である。 従来の運転制御方法を示す流れ図である。 (A)、(B)は、従来の異常時と通常時の判別方法を示す流れ図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔1ポンプ方式熱源設備の構成〕
図1に示される1ポンプ方式熱源設備1は、熱媒を冷却又は加熱する1又は複数の熱源機器2A〜2Cと、各熱源機器2A〜2Cに対応して設けられるとともに、冷却又は加熱された熱媒を圧送する熱媒ポンプ3A〜3Cと、各熱媒ポンプに対応して設けられるとともに、ポンプ回転周波数を可変制御する周波数制御器14A〜14Cと、前記熱源機器2A〜2Cからの熱媒を集約する送りヘッダ4と、この送りヘッダ4から熱媒を供給される外部負荷機器9,9…と、前記各外部負荷機器9に対応して設けられるとともに、該外部負荷機器を流れる熱媒の流量を調整する流量調整弁11と、外部負荷機器9,9…で熱交換された熱媒が戻されるとともに、各熱源機器2A〜2Cに分配する戻りヘッダ10と、前記送りヘッダ4又はその近傍と前記戻りヘッダ10又はその近傍とを繋ぐバイパス路13と、このバイパス路13を流れる熱媒の流量を調整するバイパス弁12と、前記熱媒ポンプ3A〜3Cの運転制御及び前記バイパス弁12の開度制御を行う制御装置8とを備えるものである。
また、計測機器類として、前記送りヘッダ4から外部負荷機器9側に循環する循環流量を測定するための流量計15と、各熱媒ポンプに対応して設けられるとともに、各熱媒ポンプの流量を測定するためのポンプ流量計20A〜20Cと、前記送りヘッダ4と戻りヘッダ10の間の差圧を測定する差圧計16と、前記流量調整弁11の開度を測定するための開度測定器19とを配設している。
〔運転制御方法〕
前記1ポンプ方式熱源設備1では、図2及び図3に示されるように、前記差圧計16による両ヘッダ間の差圧測定値Pmが前記差圧設定値Psより過大な場合及び/又は前記ポンプ流量計20A〜20Cによる流量測定値Qmが流量設定値Qsより過小な場合の異常時と、それ以外の通常時とを切替可能とされており、それぞれの場合において前記制御装置8による運転制御方法が異なっている。
〈通常時の運転制御方法〉
先ず通常時の運転制御方法について説明する。通常時とは、前記異常時以外のときであり、具体的には、差圧計16による前記両ヘッダ間の差圧測定値Pmが前記差圧設定値Psより過大でない場合及び/又はポンプ流量計20A〜20Cによる流量測定値Qmが流量設定値Qsより過小でない場合のことをいう。この通常時の運転制御方法は、以下に詳述するように、特開2008−224182号公報に記載の方法とすることができる。
運転制御にあたって、予め、前記熱媒ポンプ、熱源機器、送りヘッダ、バイパス路、戻りヘッダを巡る循環系において、各熱媒ポンプ毎に、ヘッダ間差圧Pとポンプ流量Qとの関係式を得るとともに、この関係式に基づいて、ヘッダ間差圧Pとポンプ流量Qをパラメータとするポンプ運転周波数fの算出式を得ておく。
前記熱源機器2A〜2Cは、流量範囲や機種などの仕様がそれぞれ同一のものでも、それぞれ仕様が異なるものでもよい。熱源機器の仕様がそれぞれ異なる場合、各熱源機器の前記仕様に対応した熱媒ポンプが備えられ、制御装置8は、予め、実機での運転試験によって測定した前記各熱媒ポンプのヘッダ間差圧と流量との関係式を保有するようにする。これにより、流量範囲や機種などの仕様が異なる熱源機器2A〜2Cを設置しても、それぞれ最適な運転状態となるように個別的に熱源機器2A〜2Cを制御することが可能となる。
以下、具体的に詳述する。
(熱媒ポンプの実機特性試験)
先ず初めに、前記熱媒ポンプ、熱源機器、送りヘッダ、バイパス路、戻りヘッダを巡る循環系において、各熱媒ポンプ毎に、ヘッダ間差圧Pとポンプ流量Qとの関係式を予め得ておく。
実機において、前記外部負荷機器9,9…側への熱媒の供給を遮断して前記バイパス13を循環する流路を形成し、前記各熱媒ポンプ3A〜3Cを定格周波数F(50Hz又は60Hz)で運転した状態で、前記バイパス弁12の開度を変え(例えば、開度10%ステップで100%→0%)、前記差圧計16による両ヘッダ間の差圧Pと前記バイパス13を流れる熱媒の流量Qとを測定し、両者の関係式を実験的に求める。図4は、熱媒ポンプ単体の場合(条件1)、熱媒ポンプにチャッキバルブ及びストレーナーを取り付け、熱源機器を接続した場合(条件2)について、両ヘッダ間の差圧Pと熱媒の流量Qとの関係を示した実施例である。なお、本発明で使用する両ヘッダ間の差圧Pと熱媒の流量Qとの関係式は、熱源機器及び配管抵抗を考慮した条件2のものである。
ここで、前記外部負荷機器側への熱媒の供給を遮断するには、前記送りヘッダ4と外部負荷機器9、9…との間にバルブ18を設けておき、該バルブ18を全閉とする。また、前記バイパス13には、該バイパス13を流れる熱媒の流量を測定するための流量計17を設けておく。この流量計17は、本熱媒ポンプの実機特性試験において計測できるものであればよく、運転時には除去できるように配設してもよい。
前記両ヘッダ間の差圧Pと熱媒の流量Qとの関係式は、下式(1)のように近似することができる。
Figure 0005315080
上記関係式は、定格周波数F(50Hz又は60Hz)で運転した条件のものであるから、ポンプの運転周波数が任意の周波数fの時の関係式は、下式(2)のように近似することができる。
Figure 0005315080
ここで、P:両ヘッダ間の差圧
Q:熱媒の流量
f:熱媒ポンプの運転周波数
F:熱媒ポンプの定格周波数
A,B,C:係数
ところで、上記手法は、実験的に求める方法であるが、ポンプのP−Q特性図、熱源機器のP−Q特性図、配管系のP−Q特性図が予め判明している場合は、(ポンプのP−Q特性図による圧力)−(熱源機器及び配管系のP−Q特性図による圧力低下)によるP−Q特性図を上式(1)で近似させることにより、上式(2)を導くことができる。
(両ヘッダ間の差圧の設定値Pの算出)
両ヘッダ間の差圧の設定値Pの算出方法は、配管抵抗曲線による算出方法と、外部負荷機器側の流量調整弁11の開度による算出方法とがあり、これらの算出方法は、本熱源設備1の設置状況や目的等によって使い分けられる。
先ず、前記配管抵抗曲線による算出方法について詳述する。本算出方法では、予め、流量計15により測定した外部負荷機器側の流量と、前記差圧計16により測定した各流量における両ヘッダ間の差圧との関係式(配管抵抗曲線)を求めておく。この配管抵抗曲線は、一般に図5に示されるように、次式(3)のような二次関数で表される。この次式(3)に、流量計15により測定した前記外部負荷機器側の循環流量Qを代入して、現状の運転状態に応じた両ヘッダ間の差圧の設定値Pを求めることができるようになる。
Figure 0005315080
ここで、P:両ヘッダ間の差圧の設定値
:外部負荷機器側の循環流量
a,b,c:実験的に求まる配管抵抗曲線の係数
次に、前記流量調整弁11の開度による算出方法について詳述する。本算出方法では、前記開度測定器19、19…により測定した各流量調整弁11、11…の開度のうち最大値に対して、開度の大きさを基準に区分された範囲毎にそれぞれ両ヘッダ間の差圧の設定値の増減を示した前記制御装置8が保有する変化量テーブルに基づいて設定する。前記変化量テーブルは、表1に示されるように作成することができる。表2は、その具体的な実施例である。本実施例において、前記制御装置8は、例えば、開度測定器19、19…による前記流量調整弁11、11…の各開度のうち最大開度が75〜85%と適値の区分に属する場合には、両ヘッダ間の差圧の設定値Pは維持する制御信号を出力し、前記流量調整弁11、11…の最大開度が90%と適値より大きい場合には、両ヘッダ間の差圧の設定値Pは2kPa増加させる制御信号を出力するようにしている。
Figure 0005315080
Figure 0005315080
(熱媒ポンプの運転流量の設定値Qの算出)
次に、熱媒ポンプ3A〜3Cの運転流量の設定値Qを算出する。前記運転流量の設定値Qは、各熱源機器の運転可能流量の最大値Qrmax、最小値Qrminを夫々、上限値、下限値とする条件および前記外部負荷機器側を循環する熱媒循環流量を各熱源機器で分配する考えの下で、各熱媒ポンプの流量設定値Qを決定する。
具体的には、各熱源機器の容量範囲が同一の場合は、外部負荷機器9、9…側の循環流量Qを流量計15により測定し、この外部負荷機器側の循環流量Qに余裕流量qを見込んだ熱媒ポンプ1台当たり(熱媒ポンプ3A〜3Cの運転台数N)の運転流量Q’を次式(4)から算出する。
Figure 0005315080
ここで、Q’:熱媒ポンプの運転流量
:外部負荷機器側の循環流量
N:熱媒ポンプの運転台数
q:余裕流量
そして、この熱媒ポンプ3A〜3Cの運転流量Q’から、熱源機器2A〜2Cの流量範囲(Qrmin〜Qrmax)に応じた熱媒ポンプの運転流量の設定値Qを、次式(5)の関係式から算出する
Figure 0005315080
ここで、Q:熱媒ポンプの運転流量の設定値
rmax:熱源機器の運転可能流量の最大値
rmin:熱源機器の運転可能流量の最小値
ここで、上式(4)は、各熱源機器2A〜2Cの容量範囲が同一の場合について示したものであり、流量範囲が異なる熱源機器が用いられている場合には、各熱源機器の容量に対応して比例配分することにより、各熱媒ポンプの運転流量の設定値Qを算出するようにする。具体的に2台の熱源機器が設けられた場合を例に挙げて説明すると、第1熱源機器REF-1(運転可能流量:Qrmin=8.0m3/h、Qrmax=10.0m3/h)及び第2熱源機器REF-2(運転可能流量:Qrmin=4.0m3/h、Qrmax=5.0m3/h)の流量範囲が異なる熱源機器が混在して設置された場合、外部負荷機器側の循環流量Q=13m3/h、各熱源機器の余裕流量q=0.5m3/hとしたとすると、前記第1熱源機器REF-1に対する熱媒ポンプCP1の運転流量の設定値Qs1及び前記第2熱源機器REF-2に対する熱媒ポンプCP2の運転流量の設定値Qs2は、次式(6)のように求めることができる。
Figure 0005315080
ここで、Qs1,Qs2:それぞれ熱媒ポンプCP1、CP2の運転流量
:外部負荷機器側の循環流量
irmax:i番目の熱源機器の流量範囲の最大流量
N:熱媒ポンプの運転台数
q:余裕流量
上式(6)より、各熱媒ポンプの運転流量の設定値は、Qs1=9.2m3/h(=13×10/15+0.5)、Qs2=4.8m3/h(=13×5/15+0.5)となる。
(熱媒ポンプの運転周波数の設定値fの算出)
次に、上式(5)から算出した熱媒ポンプの運転流量Qに対応する運転周波数の設定値fを、上式(2)に基づいて算出する。具体的には、上式(2)を熱媒ポンプの運転周波数fについて解いて、次式(7)のように変形する。
Figure 0005315080
ここで、X=C/F
Y=B×Q/F
Z=A×Q−P
これにより、熱媒ポンプの運転周波数の設定値fは、上式(7)のP、Qにそれぞれ上式(3)で算出した両ヘッダ間の差圧の設定値P及び上式(5)で算出した熱媒ポンプの運転流量の設定値Qを与えて、次式(8)から算出することができる。
Figure 0005315080
ここで、Y’=B×Q/F
Z’=A×Q −P
ここで、具体的に2台の熱源機器が設けられた場合を例に挙げて説明する。前記具体例と同様に、流量範囲の異なる第1熱源機器REF-1(運転可能流量:Qrmin=8.0m3/h、Qrmax=10.0m3/h)及び第2熱源機器REF-2(運転可能流量:Qrmin=4.0m3/h、Qrmax=5.0m3/h)が混在し、かつ各熱源機器に接続する熱媒ポンプのP-Q特性線図(上式(1)の係数A=-1.0111、B=-3.0184、C=327.64とする)及び定格周波数F=60Hzが同一と仮定する。なお、前記具体例において、各熱媒ポンプの運転流量の設定値はQs1=9.2m3/h、Qs2=4.8m3/hである。この場合、両ヘッダ間の差圧の設定値P=200kPaとすると、各熱媒ポンプの運転周波数の設定値はfs1=58.6Hz、fs2=50.9Hzとなり、P=100kPaとするとfs1=47.8Hz、fs2=38.2Hzとなる。
(運転制御)
前記制御装置8は、上式(3)で算出した両ヘッダ間の差圧の設定値Pに基づき、前記バイパス弁12の開度をPID制御器(図示せず)により制御するとともに、上式(8)で算出した熱媒ポンプの運転周波数の設定値fを前記周波数制御器14A〜14Cに与え、熱媒ポンプの運転制御を行う。
図6は、運転制御の実施例を示した図である。熱媒ポンプの運転流量の設定値Q及びヘッダ間の差圧の設定値Pを算出することにより、これら設定値を満足する熱媒ポンプの運転周波数の設定値fが決定される。
ここで、両ヘッダ4,10間の差圧の設定値P及び熱媒ポンプの運転周波数の設定値fは、数十秒から数分の時間間隔で算出するとともに、前記バイパス弁の開度調整は、1秒以下の時間間隔で行うことが好ましい。これにより、バイパス弁の不安定化(ハンチング等)を防止することができるようになる。
通常時には、図7に示されるように、熱媒ポンプの運転周波数は、熱媒ポンプのP−Q特性線図の定格ポンプ揚程曲線と必要末端圧を考慮した配管抵抗曲線との交点から求められる。
〈異常時の運転制御方法〉
次に、異常時の運転制御方法について説明する。異常時とは、上記通常時以外のときであり、具体的には、差圧計16による両ヘッダ間の差圧測定値Pmが前記差圧設定値Psより過大な場合及び/又は前記ポンプ流量計20A〜20Cによる流量測定値Qmが流量設定値Qsより過小な場合のことをいう。
異常時か通常時かの判別は、図2に示されるように、上記(両ヘッダ間の差圧の設定値Pの算出)及び(熱媒ポンプの運転流量の設定値Qの算出)をした後に行われる。判別は、図3(A)に示されるように、両ヘッダ間の差圧の測定値Pmが算出した設定値Psより過大の場合であるか否か、同図(B)に示されるように、ポンプ流量計20A〜20Cによる熱源機器流量の測定値Qmが算出した設定値Qsより過小の場合であるか否かにより行われ、これらの少なくともいずれか一方に該当した場合、異常時と判別される。ここで、両ヘッダ間の差圧測定値Pmが差圧設定値Psより過大な場合とは、両者の差が例えば10kPa以上の場合をいい、ポンプ流量計20A〜20Cによる流量測定値Qmが流量設定値Qsより過小な場合とは、両者の差が流量設定値Qsの5%以上の場合をいう。
異常時は、上記通常時と比較して上記(熱媒ポンプの運転周波数の設定値fの算出)の工程が異なる。
具体的には、熱媒ポンプの運転周波数の設定値fは、上式(7)のP、Qにそれぞれ差圧計16による前記両ヘッダ間の差圧の測定値P及び上式(5)で算出した熱媒ポンプの運転流量の設定値Qを与えて、次式(9)から算出することができる。
Figure 0005315080
ここで、Y’=B×Q/F
Z’=A×Q −P
ここで、具体的に2台の熱源機器が設けられた場合を例に挙げて説明する。前記具体例と同様に、流量範囲の異なる第1熱源機器REF-1(運転可能流量:Qrmin=8.0m3/h、Qrmax=10.0m3/h)及び第2熱源機器REF-2(運転可能流量:Qrmin=4.0m3/h、Qrmax=5.0m3/h)が混在し、かつ各熱源機器に接続する熱媒ポンプのP-Q特性線図(上式(1)の係数A=-1.0111、B=-3.0184、C=327.64とする)及び定格周波数F=60Hzが同一と仮定する。この場合、両ヘッダ間の差圧の測定値P=200kPa、各熱媒ポンプの運転流量の設定値Qs1=9.2m3/h、Qs2=4.8m3/hとすると、各熱媒ポンプの運転周波数の設定値はfs1=58.6Hz、fs2=50.9Hzとなり、P=100kPa、Qs1=9.2m3/h、Qs2=4.8m3/hとするとfs1=47.8Hz、fs2=38.2Hzとなる。
(運転制御)
異常時の運転制御も通常時と同様に、前記制御装置8が、上式(3)で算出した両ヘッダ間の差圧の設定値Pに基づき、前記バイパス弁12の開度をPID制御器(図示せず)により制御するとともに、上式(9)で算出した熱媒ポンプの運転周波数の設定値fを前記周波数制御器14A〜14Cに与え、熱媒ポンプの運転制御を行う。
図8は、運転制御の実施例を示した図である。熱媒ポンプの運転流量の設定値Qの算出及びヘッダ間の差圧の測定値Pの計測をすることにより、これらの値を満足する熱媒ポンプの運転周波数の設定値fが決定される。
実験では、2台の熱媒ポンプCP1、CP2が設けられた1ポンプ方式熱源設備1において、ほぼ一定の負荷流量を維持した状態から時間35秒付近で負荷流量を急激に低下させ、ポンプ流量計20A〜20Cによる流量測定値Qmが流量設定値Qsより過小な異常時とした場合、上記本発明に係る異常時の運転制御方法と、上記通常時の第1の運転制御方法を異常時にもそのまま用いた運転制御方法(以下、従来の運転制御方法という)とについて、それぞれ、各熱媒ポンプの流量測定値Qmと、両ヘッダ間の差圧測定値Pmおよび差圧設定値Psとの時系列線図、各熱媒ポンプの流量測定値Qmおよび流量設定値Qsの時系列線図並びに各熱媒ポンプの運転周波数の時系列線図を求めた。ここで、熱源ポンプCP1、CP2の流量設定値Qsを定格流量で一定とし、ヘッダ間差圧の設定値Psを負荷流量にあわせて可変とし、周波数制御器の加減速時間は90秒とした。その結果を図9〜図14に示す。
実験の結果、熱媒ポンプの流量は、図10および図13に示されるように、従来の運転制御方法でも本発明に係る運転制御方法でも、前記異常時となった直後から一旦低下し、その後定常状態に回復するという傾向にある。ところが、本発明に係る運転制御方法では、従来の運転制御方法と比較して、定常状態の流量と最低流量との差である流量変動幅と、異常時の開始から定常状態の流量まで回復するのに要した流量回復時間とが、大きく改善されている。具体的には、従来の運転制御方法では、図10に示されるように、前記流量変動幅は28.2−22.3=5.9リットル/分(定常状態の流量に対して21%変動)であり、前記流量回復時間は約120秒であった。これに対して、本発明に係る運転制御方法では、図13に示されるように、前記流量変動幅は29.3−27.3=2.0リットル/分(定常状態の流量に対して7%変動)と、従来の運転制御方法に比べると大幅に低減し、異常時においても熱媒ポンプの流量が比較的安定するようになる。また、前記流量回復時間も約10秒と、従来の運転制御方法に比べると大幅に低減し、若干の流量変動が発生しても、速やかに定常状態に回復できる。このように、従来の運転制御方法では、差圧計による前記両ヘッダ間の差圧測定値Pmが前記差圧設定値Psより過大な場合及び/又は各熱媒ポンプに対応して設けられるポンプ流量計20A〜20Cによる流量測定値Qmが流量設定値Qsより過小な場合の異常時において、熱媒ポンプの流量が長時間に亘って大きく低下するため、熱源機器の凍結事故を引き起すという問題があったが、本発明に係る運転制御方法では流量変動幅及び流量回復時間が大幅に改善されるため凍結事故などが防止できるようになる。
一方、図9および図12に示されるように、両ヘッダー間の差圧は、負荷流量の変動(低下)に伴って、設定値を変化させているため、測定値も低下する。本実験では、前記異常時の開始直後に差圧の測定値が一旦上昇した後、差圧設定値の変化に伴って変動している。
さらに、図11および図14に示されるように、熱媒ポンプのポンプ回転周波数は、従来の運転制御方法では異常時の開始後から直線的に推移しているのに対して、本発明に係る運転制御方法では異常時が開始した後に一旦上昇し、その後周波数制御器のインバーター制御により徐々に変化するようになる。
このように、異常時において、差圧測定値Pmを用いてポンプ回転周波数を算出することにより、熱媒ポンプの流量が安定するなどの点で有効である。一方、前記異常時以外の通常時においても、差圧測定値Pmを用いて算出したポンプ回転周波数を与えると、ヘッダ間差圧がハンチングを起こすなどの問題が生じることが確認されている。
1…1ポンプ方式熱源設備、2A〜2C…熱源機器、3A〜3C…熱媒ポンプ、4…送りヘッダ、8…制御機器、9…外部負荷機器、10…戻りヘッダ、12…バイパス弁、13…バイパス、14A〜14C…周波数制御器、15…流量計、16…差圧計、17…流量計、18…バルブ、20A〜20C…ポンプ流量計

Claims (4)

  1. 熱媒を冷却又は加熱する1又は複数の熱源機器と、各熱源機器に対応して設けられるとともに、冷却又は加熱された熱媒を圧送する熱媒ポンプと、各熱媒ポンプに対応して設けられるとともに、ポンプ回転周波数を可変制御する周波数制御器と、前記熱源機器からの熱媒を集約する送りヘッダと、この送りヘッダから熱媒を供給される外部負荷機器と、前記各外部負荷機器に対応して設けられるとともに、該外部負荷機器を流れる熱媒の流量を調整する流量調整弁と、外部負荷機器で熱交換された熱媒が戻されるとともに、各熱源機器に分配する戻りヘッダと、前記送りヘッダ部又はその近傍と前記戻りヘッダ部又はその近傍とを繋ぐバイパス路と、このバイパス路を流れる熱媒の流量を調整するバイパス弁と、前記熱媒ポンプの運転制御及び前記バイパス弁の開度制御を行う制御装置とを備える1ポンプ方式熱源設備の運転制御方法であって、
    前記送りヘッダから外部負荷機器側に循環する循環流量を測定するための流量計と、各熱媒ポンプに対応して設けられるとともに、各熱媒ポンプの流量を測定するためのポンプ流量計と、前記送りヘッダと戻りヘッダの間の差圧を測定する差圧計とを配設し、
    予め、前記熱媒ポンプ、熱源機器、送りヘッダ、バイパス路、戻りヘッダを巡る循環系において、各熱媒ポンプ毎に、ヘッダ間差圧Pとポンプ流量Qとの関係式を得るとともに、この関係式に基づいて、ヘッダ間差圧Pとポンプ流量Qをパラメータとするポンプ運転周波数fの算出式を得ておき、
    通常時においては、
    前記制御装置は、前記外部負荷機器側を循環する熱媒の循環流量又はその流量変化率に応じて前記両ヘッダ間の差圧設定値Psを決定し、前記バイパス弁の開度を制御するとともに、各熱源機器の運転可能流量の最大値Q rmax 、最小値Q rmin を夫々、上限値、下限値とする条件および前記外部負荷機器側を循環する熱媒循環流量を各熱源機器で分配する考えの下で、各熱媒ポンプの前記流量設定値Qsを決定し、前記両ヘッダ間の差圧設定値Ps及び各熱媒ポンプの流量設定値Qsを前記ポンプ運転周波数fの算出式に代入して、熱媒ポンプの運転周波数fsを求め、この運転周波数の設定値を前記周波数制御器に与えて前記熱媒ポンプの運転周波数を制御し、
    前記差圧計による前記両ヘッダ間の差圧測定値Pmが前記差圧設定値Psより過大な場合及び/又は前記ポンプ流量計による流量測定値Qmが流量設定値Qsより過小な場合の異常時において
    前記制御装置は、前記外部負荷機器側を循環する熱媒の循環流量又はその流量変化率に応じて前記両ヘッダ間の差圧設定値Psを決定し、前記バイパス弁の開度を制御するとともに、各熱源機器の運転可能流量の最大値Qrmax、最小値Qrminを夫々、上限値、下限値とする条件および前記外部負荷機器側を循環する熱媒循環流量を各熱源機器で分配する考えの下で、各熱媒ポンプの前記流量設定値Qsを決定し、前記両ヘッダ間の差圧測定値Pm及び各熱媒ポンプの流量設定値Qsを前記ポンプ運転周波数fの算出式に代入して、熱媒ポンプの運転周波数fsを求め、この運転周波数の設定値を前記周波数制御器に与えて前記熱媒ポンプの運転周波数を制御することを特徴とする1ポンプ方式熱源設備の運転制御方法。
  2. 前記両ヘッダ間の差圧設定値Psは、予め、前記流量計により測定した外部負荷機器側の流量と、前記差圧計により測定した各流量における両ヘッダ間の差圧との配管抵抗曲線の関係式を求めておき、この関係式に、前記流量計により測定した前記外部負荷機器側の循環流量を代入して算出することにより求める請求項1記載の1ポンプ方式熱源設備の運転制御方法。
  3. 前記流量調整弁に対応して設けられ、前記流量調整弁の開度を測定する開度測定器を配設し、前記両ヘッダ間の差圧設定値Psは、前記開度測定器により測定した各流量調整弁の開度のうち最大値に対して、開度の大きさを基準に区分された範囲毎にそれぞれ両ヘッダ間の差圧の設定値の増減を示した前記制御装置が保有する変化量テーブルに基づいて設定する請求項1記載の1ポンプ方式熱源設備の運転制御方法。
  4. 前記両ヘッダ間の差圧の設定値及び前記熱媒ポンプの運転周波数の設定値は、数十秒から数分の時間間隔で算出するとともに、前記バイパス弁の開度は、1秒以下の時間間隔で制御する請求項1〜いずれかに記載の1ポンプ方式熱源設備の運転制御方法。
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