JP5313219B2 - ガラス複合体、ガラス複合材料及びそれを形成する方法 - Google Patents

ガラス複合体、ガラス複合材料及びそれを形成する方法 Download PDF

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本発明は、ガラス複合体、前記ガラス複合体を基材上に形成してなるガラス複合材料、及び前記ガラス複合材料を形成する方法に関し、詳しくは指紋が付着しにくく、また付着した指紋を容易に拭き取ることができる、特にタッチパネル、各種ディスプレイ等の保護用に好適なガラス複合体、ガラス複合材料及びそれを形成する方法に関するものである。
近年、市場が増大している携帯用の情報端末への入力装置として、ディスプレイ画面を直接指、ペン等で触れることによってデータを入力するタッチパネルが利用されている。耐擦傷性や耐摩耗性の観点から、タッチパネルの最表面にはガラス板が多く使用されている。
更にタッチパネルの表面には、防汚性や汚れ除去性を付与するために、シリコーン系化合物やフッ素系化合物、又はそれらを含む組成物をコートして、撥水加工が施されている場合がある。
例えば、特開2008-136963号(特許文献1)は、透明基材上に、スピンコート法により、フッ素樹脂を溶媒に溶かしたフッ素樹脂液を塗布・乾燥させて透明保護材を形成する方法を開示している。
しかしながら、特許文献1に記載されたようにフッ素系樹脂をコートしただけの場合、基材とコート層との密着性が不十分なため、コート層が比較的簡単にはがれてしまい効果が長期にわたって持続しない。また付着した指紋を除去しようとして指やティッシュで擦ると、指紋の油脂がフッ素系化合物と混ざり合って、拭き跡が残る場合がある。
特開平9-111185号(特許文献2)は、テトラアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物と、ビニル基含有アルコキシシラン、ビニル基含有ポリシロキサン、水酸基を有するメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル等の単量体とを共重合させて得られるシリコ−ン変性アクリル共重合体を配合してなる透明な硬化性組成物を表層に塗布してなるディスプレイを開示している。特許文献2は、前記硬化性組成物を塗布してなるディスプレイは、指紋等の汚れに対し、汚れにくく又汚れた場合でも、容易に拭き取ることが可能であると記載している。
しかしながら、特許文献2に記載の発明の硬化性組成物は、プラスチック、ガラス等の基材との密着性がある程度改良され、指紋等の汚れに対してある程度効果を有するものの、耐擦傷性や耐摩耗性に劣るため、例えばタッチパネル等に使用した場合、指紋等の汚れを防止する効果が持続しないという欠点がある。
特開2010-49221号(特許文献3)は、LCDパネル、コントラスト促進フィルム、液晶保護ガラス等の積層体の表面に、指紋付着防止表面層としてSiO2、Ti、Sn等を主成分とするナノスケールの被膜を真空蒸着、スパッタリング等の方法によって形成してなる液晶表示装置を開示している。特許文献3は、前記指紋付着防止表面層を設けることにより、指紋が付かず、透過率が向上した液晶表示装置を提供することができると記載している。
しかしながら、特許文献3に記載の指紋付着防止表面層は、耐擦傷性や耐摩耗性はある程度改良されているものの、いったん傷が付いた場合に傷部分からはがれが生じることがあり、更に高い耐擦傷性や耐摩耗性が望まれている。
特開2008-136963号公報 特開平9-111185号公報 特開2010-49221号公報
従って、本発明の目的は、耐擦傷性や耐摩耗性に優れるとともに、指紋が付着しにくく、また付着した指紋を容易に拭き取ることができる、タッチパネル、各種ディスプレイ等の保護用に好適なガラス複合体、ガラス複合材料、及びそれらの製造方法を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、ケイ素及び/又はフッ素を有するダイヤモンド微粒子をガラスに含有させることにより、ガラス表面に指紋が付着しにくくなり、また付着した指紋を容易に拭き取ることができ、かつその効果が長期間にわたって持続することを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明のガラス複合体は、ガラスと、ケイ素を有するダイヤモンド微粒子及び/又はフッ素を有するダイヤモンド微粒子とからなり、前記ケイ素を有するダイヤモンド微粒子及び/又はフッ素を有するダイヤモンド微粒子は、前記ガラスに対して合計で0.1〜30質量%含まれることを特徴とする。
本発明のもう一つのガラス複合体は、ガラスと、ケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子とからなるガラス複合体であって、前記ケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子は、前記ガラスに対して0.1〜30質量%含まれることを特徴とする。
前記ケイ素を有するダイヤモンド微粒子はケイ素化処理されたダイヤモンド微粒子であるのが好ましく、前記フッ素を有するダイヤモンド微粒はフッ素化処理されたダイヤモンド微粒子であるのが好ましい。
前記ケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子は、ケイ素化処理及びフッ素化処理されたダイヤモンド微粒子であるのが好ましい。
前記ケイ素化処理はシリル化処理であるのが好ましい。
前記フッ素化処理はフルオロアルキル基含有オリゴマーによる処理であるのが好ましい。
前記ダイヤモンド微粒子は爆射法で得られたナノダイヤモンドであるのが好ましい。
前記ガラスの軟化温度は150〜620℃の範囲にあるのが好ましい。
本発明のガラス複合材料は、基材上に、前記ガラス複合体を薄膜状に形成してなる。
前記基材はガラスからなるのが好ましい。
前記ガラス複合材料を形成する方法は、(a) ケイ素を有するダイヤモンド微粒子及び/又はフッ素を有するダイヤモンド微粒子、ガラス質材料粉末、バインダー、及び溶剤を含有する塗料を作製する工程、(b)前記塗料を基材に塗装し塗装膜を形成する工程、及び(c)前記塗装膜を焼結する工程を有することを特徴とする。
前記ガラス複合材料を形成するもう一つの方法は、(a) ケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子、ガラス質材料粉末、バインダー、及び溶剤を含有する塗料を作製する工程、(b)前記塗料を基材に塗装し塗装膜を形成する工程、及び(c)前記塗装膜を焼結する工程を有することを特徴とする。
前記塗料を作製する工程は、ケイ素を有するダイヤモンド微粒子及び/又はフッ素を有するダイヤモンド微粒子、ガラス質材料粉末、及びバインダーを含有するペーストを作製する工程と、前記ペーストに溶剤を添加して塗料を作製する工程とからなるのが好ましい。
前記塗料を作製する工程は、ケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子、ガラス質材料粉末、及びバインダーを含有するペーストを作製する工程と、前記ペーストに溶剤を添加して塗料を作製する工程とからなるのが好ましい。
本発明のタッチパネルは、前記ガラス複合体を最表面に配置してなる。
本発明のタッチパネルは、前記ガラス複合材料を最表面に配置してなる。
本発明のガラス複合体及びガラス複合材料は、耐擦傷性、耐摩耗性に著しく優れ、指紋が付着しにくく、また付着した指紋を容易に拭き取ることができるので、タッチパネル、各種ディスプレイ等の保護用に好適である。また、本発明のガラス複合体及びガラス複合材料は、防汚性や汚れ除去性に優れ、その効果が長期間にわたって持続するので、各種ガラス製品、例えば、自動車、電車、飛行機等のフロントガラス、ショーウィンド等のガラス、ビル等のガラス等に好適に用いることができる。
本発明のガラス複合体の一例を示す模式断面図である。 本発明のガラス複合材料の一例を示す模式断面図である。
[1] ガラス複合体
(1)構造
本発明のガラス複合体は、ガラスと、ケイ素を有するダイヤモンド微粒子及び/又はフッ素を有するダイヤモンド微粒子とからなり、前記ケイ素を有するダイヤモンド微粒子及び/又はフッ素を有するダイヤモンド微粒子は、前記ガラスに対して合計で0.1〜30質量%含まれる。
本発明のもう一つのガラス複合体は、ガラスと、ケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子とからなり、前記ケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子は、前記ガラスに対して0.1〜30質量%含まれる。
なお、本願において、前記ケイ素を有するダイヤモンド微粒子、前記フッ素を有するダイヤモンド微粒子、及び前記ケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子をまとめて修飾ダイヤモンド微粒子という。
本発明のガラス複合体10は、図1に示すように、修飾ダイヤモンド微粒子1が分散されたガラス2からなる。前記修飾ダイヤモンド微粒子1は、(i)ケイ素を有するダイヤモンド微粒子、(ii)フッ素を有するダイヤモンド微粒子、(iii)ケイ素を有するダイヤモンド微粒子及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子の混合物、又は(iv)ケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子を含む。なお、本願の図において、ガラス中に存在する修飾ダイヤモンド微粒子1の様子をわかりやすくするために、修飾ダイヤモンド微粒子1を実際よりも大きく誇張して描いている。
ガラス複合体中の修飾ダイヤモンド微粒子(ケイ素を有するダイヤモンド微粒子、フッ素を有するダイヤモンド微粒子、及びケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子の合計)の含有量は、ガラスに対して、0.1〜30質量%であり、0.2〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜10質量%であるのがより好ましく、1〜10質量%であるのが最も好ましい。修飾ダイヤモンド微粒子の含有量が、0.1質量%未満である場合、指紋の付着を防止する効果が不十分であり、30質量%を越える場合、修飾ダイヤモンド微粒子がガラス内で凝集を起こし、ガラスのヘイズが上昇する場合がある。
ケイ素を有するダイヤモンド微粒子及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子を混合して使用する場合は、それらの比率はどのような比率でも良いが、ケイ素とフッ素との質量比率が2:8〜9:1の範囲であるのが好ましく、3:7〜8:2の範囲であるのがより好ましい。またケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子を使用する場合であっても、ケイ素とフッ素との質量比率が前記範囲になるようにするのが好ましい。
(2) 修飾ダイヤモンド微粒子
修飾ダイヤモンド微粒子(ケイ素を有するダイヤモンド微粒子、フッ素を有するダイヤモンド微粒子、並びにケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子)は、10〜500 nm程度のダイヤモンド微粒子を、ケイ素原子を含有する基及び/又はフッ素原子を含有する基で修飾したものである。すなわち、ケイ素のみを有するダイヤモンド微粒子であってもよいし、フッ素のみを有するダイヤモンド微粒子であってもよいし、ケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子であってもよい。
ケイ素原子を含有する基及び/又はフッ素原子を含有する基を修飾するためのダイヤモンド微粒子としては、爆射法で得られたナノダイヤモンドを用いるのが好ましい。爆射法としては、水及び/又は氷の存在下で爆薬を爆発させて行うウエット法、水及び/又は氷を使用しないで気流によって冷却するドライ法等があるが、本発明では爆射法であればどの方法を採用しても良い。
前記爆射法としては、Science, Vol. 133, No.3467(1961), pp1821-1822、特開平1-234311号、特開平2-141414号、Bull. Soc. Chem. Fr. Vol. 134(1997), pp. 875-890、Diamond and Related materials Vol. 9(2000), pp861-865、Chemical Physics Letters, 222(1994), pp. 343-346、Carbon, Vol. 33, No. 12(1995), pp. 1663-1671、Physics of the Solid State, Vol. 42, No. 8 (2000), pp. 1575-1578、K. Xu. Z. Jin, F. Wei and T. Jiang, Energetic Materials, 1, 19(1993)、特開昭63-303806号、特開昭56-26711報、英国特許第1154633号、特開平3-271109号、特表平6-505694号(WO93/13016号)、炭素, 第22巻, No. 2, 189〜191頁(1984)、Van Thiei. M. & Rec., F. H., J. Appl. Phys. 62, pp. 1761〜1767 (1987)、特表平7-505831号 (WO94/18123号)、米国特許第5861349号及び特開2006-239511号等に記載の方法を用いることができる。
爆射法で得られた未精製のナノダイヤモンドは、ナノダイヤモンドの表面をグラファイト系炭素が覆ったコア/シェル構造を有しており黒く着色している。未精製のナノダイヤモンドをこのまま用いても良いが、より着色の少ないガラス複合体を得るためには、未精製のナノダイヤモンドを酸化処理し、グラファイト相の一部又はほぼ全部を除去して用いるのが好ましい。また、ナノダイヤモンド中に含まれる鉄等の不純物は、後述の焼結工程においてダイヤモンドの酸化を促進するので、これらの鉄等の不純物をできるだけ除去するのが好ましい。
酸化処理したナノダイヤモンドの比重は、グラファイト系炭素(グラファイトの比重:2.25 g/cm3)の残存量が少なくなればなるほどダイヤモンドの比重(3.50 g/cm3)に近づく。従って、精製度が高くグラファイト系炭素の残存量が少ないほど比重が高くなる。本発明で用いるナノダイヤモンドの比重は2.55 g/cm3(ダイヤモンド24体積%)以上3.48 g/cm3(ダイヤモンド98体積%)以下であるのが好ましく、3.0 g/cm3(ダイヤモンド84体積%)以上3.46 g/cm3(ダイヤモンド97体積%)以下であるのがより好ましく、3.38 g/cm3(ダイヤモンド90体積%)以上3.45 g/cm3(ダイヤモンド96体積%)以下であるのが最も好ましい。なおナノダイヤモンド中のダイヤモンドの体積%は、前記ダイヤモンドの比重3.50 g/cm3及びグラファイトの比重2.25 g/cm3を用いて、ナノダイヤモンドの比重から算出した。
酸化処理して得られたナノダイヤモンドは、2〜10 nm程度のダイヤモンドの一次粒子からなるメジアン径30〜250 nm(動的光散乱法)の二次粒子である。グラファイト相を除去することにより、着色成分はほとんどなくなるが、微量に残ったグラファイト系炭素の表面に-COOH、-OH等の親水性官能基が存在するため、水、アルコール等の親水的な溶剤への分散に優れている。
爆射法で得られた未精製のダイヤモンドの酸化処理方法としては、(a) 硝酸等の共存下で高温高圧処理する方法(酸化処理A)、(b)水及び/又はアルコールからなる超臨界流体中で処理する方法(酸化処理B)、(c)水及び/又はアルコールからなる溶媒に酸素を共存させて、前記溶媒の標準沸点以上の温度及び0.1 MPa(ゲージ圧)以上の圧力で処理する方法(酸化処理C)、又は(d)380〜450℃で酸素を含む気体により処理する方法(酸化処理D)が挙げられる。これらの酸化処理は、単独で行ってもよいし、組み合せて行っても良い。酸化処理を組み合せる場合は、爆射法で得られた未精製のダイヤモンドにまず酸化処理Aを施し、更に酸化処理B〜Cのいずれかを施すのが好ましい。
爆射法で得られた未精製のダイヤモンドに酸化処理Aを施すことによりグラファイト相の一部が除去されたナノダイヤモンド(グラファイト-ダイヤモンド粒子)が得られ、このグラファイト-ダイヤモンド粒子に酸化処理B〜Cのいずれかの処理を施すことにより前記グラファイト相を更に除去することができる。
修飾ダイヤモンド微粒子は、前記爆射法で得られた未精製のナノダイヤモンド、又は前記酸化処理して得られたナノダイヤモンドを、ケイ素化処理及び/又はフッ素化処理することによって得られ、前記ナノダイヤモンド表面に存在する-COOH、-OH等の親水性官能基にケイ素原子を有する基、及び/又はフッ素原子を有する基が結合したものである。
ケイ素を有するダイヤモンド微粒子、又はケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子中のケイ素原子の量は、特に限定されないが、ダイヤモンド微粒子に対して、0.1〜25質量%であるのが好ましく、0.2〜20質量%であるのがより好ましい。フッ素を有するダイヤモンド微粒子、又はケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子中のフッ素原子の量は特に限定されないが、ダイヤモンド微粒子に対して、0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.2〜15質量%であるのがより好ましい。
(a)ケイ素化処理
前記爆射法で得られた未精製のナノダイヤモンド、又は前記酸化処理して得られたナノダイヤモンドに、シリル化剤、アルコキシシラン、シランカップリング剤等を反応させることによりナノダイヤモンドの表面にある水酸基等の親水性基を、ケイ素を含む有機基に置換することができる。ケイ素化処理は、シリル化剤を用いるのが好ましい。
好ましいシリル化剤としては、トリエチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、アセトキシトリメチルシラン、アセトキシシラン、ジアセトキシジメチルシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、2-トリメチルシロキシペント-2-エン-4-オン、n-(トリメチルシリル)アセトアミド、2-(トリメチルシリル)酢酸、n-(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルプロピオレート、ノナメチルトリシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、トリフェニルシラノール、t-ブチルジメチルシラノール、ジフェニルシランジオール等が挙げられる。本発明に用いられるシリル化剤は、これらの化合物に限定されない。
シリル化剤溶液の溶媒はヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘプタン等の炭化水素類、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物が好ましい。
シリル化剤の種類や濃度にもよるが、シリル化反応は10〜40℃で十分攪拌しながら進行させるのが好ましい。10℃未満では反応が進行しにくく、40℃超ではナノダイヤモンド表面に均一にシリル化されなくなる。例えば、トリエチルクロロシランのヘキサン溶液をシリル化剤として使用した場合、10〜40℃で10〜40時間程度攪拌しながら反応させると、ナノダイヤモンド表面の水酸基が十分にシリル修飾される。
(b)フッ素化処理
前記爆射法で得られた未精製のナノダイヤモンド、又は前記酸化処理により得られたナノダイヤモンドは、(i)フルオロアルキル基含有オリゴマーを使用した方法、(ii)フルオロアルキルアゾ化合物を用いた方法、(iii)フッ素ガスと直接反応させる方法、(iv)ClF、ClF3、ClF5等のハロゲンフッ化物を反応させる方法、(v)フッ素プラズマによる方法等により、その表面をフッ素又はフッ素を有する基で修飾することができる。本発明の目的には、前記フルオロアルキル基含有オリゴマーを使用した方法を用いるのが好ましい。
(i)フルオロアルキル基含有オリゴマーを使用した方法
高分子主鎖の両末端にフルオロアルキル基が直接炭素−炭素結合により導入された高分子界面活性剤(含フッ素オリゴマー)は、水溶液中又は有機溶媒中において自己組織化したナノレベルの分子集合体を形成することが知られている。このフルオロアルキル基が末端に導入された含フッ素オリゴマーを用いることにより、フルオロアルキル基で修飾したナノダイヤモンドを形成することができる。
フルオロアルキル基で修飾したナノダイヤモンドは、爆射法で得られた未精製のナノダイヤモンド、又は前記酸化処理により得られたナノダイヤモンドを、一般式(A)で表される含フッ素オリゴマーで処理することによって得ることができる。
Figure 0005313219
ここで、RFはフルオロアルキル基であり、具体的には、-CF(CF3)OC3F7、-CF(C3F)OCF2CF(CF3)OC3F7等の基が好ましい。Rは置換基であり、-N(CH3)2、-OH、-NHC(CH3)2CH2C(=O)CH3、-Si(OCH3)3、-COOH等の基が好ましい。nは5〜2000であるのが好ましい。
ナノダイヤモンドと一般式(A)で表される含フッ素オリゴマーとをメタノール、エタノール等のアルコール溶媒中で混合し、室温〜80℃で2〜48時間撹拌することによりナノダイヤモンド表面にフルオロアルキル基(RF)が修飾された複合粒子を高い収率で得ることができる。反応を促進させるために、アンモニア等の塩基を使用してもよい。
(ii) フルオロアルキルアゾ化合物を用いた方法
下記反応式に記載したように、ナノダイヤモンドの存在下で、パーフルオロヘキサンに溶解したアゾビスパーフルオロオクチル1に、Xeエキシマランプにより波長172 nmの光を室温で照射することによりナノダイヤモンドにパーフルオロオクチルを付加させることができる。この反応はアルゴン気流下で行い、前記照射時間は10分〜2時間程度である。なお、この方法に用いるナノダイヤモンドは、パーフルオロヘキサンに分散しやすいようにあらかじめ疎水化処理を行うのが好ましい。
Figure 0005313219
(iii)フッ素ガスと直接反応させる方法
フッ素ガスと直接反応させる方法は、ナノダイヤモンドを入れた反応管(ニッケル製等)に、フッ素ガスとアルゴン等の不活性ガスとの混合ガスを300〜500℃で10〜500時間流すことにより行う。
また、フッ素ガスと反応させる他の方法として、ナノダイヤを入れた反応炉に、150℃、で3〜4時間不活性ガス中で加熱し、その後反応炉にフッ素ガス及びフッ化水素(3:1)を入れ、150℃のまま48時間加熱することによりフッ素を行う方法がある。不活性ガスとしては、ヘリウム、窒素、アルゴンが使用でき、又は真空で処理しても良い。
フッ素化ダイヤモンド微粒子のフッ素含有量は0.1〜20 wt%であるのが好ましく、0.2〜15 wt%であるのが好ましい。フッ素含有量が0.1 wt%未満であると、フッ素含有の高分子樹脂を用いたとき、樹脂との相溶性が低下する。フッ素含有量が20 wt%以上であると、非フッ素系の溶剤や添加剤との相溶性が低下する。
(2) ガラス
ガラス質材料は、前記ダイヤモンド微粒子の分散性がよいものであればどのような材料を用いても良いが、焼結時にダイヤモンド微粒子の熱による損傷を防ぐため、比較的軟化点の低いガラス素材を用いるのが好ましい。ガラスの軟化温度は、150〜620℃の範囲にあるのが好ましく、200〜600℃の範囲にあるのが更に好ましく、250〜580℃の範囲にあるのが最も好ましい。
低軟化点のガラス素材としては、PbO-B2O3系ガラス、PbO-B2O3-SiO2系ガラス、PbO-ZnO-B2O3系ガラス、PbO-B2O3-SiO2系ガラス、特開2007-269530に記載の酸化物微粒子、酸成分及び金属塩化物を含む混合物を熱処理することにより得られる鉛フリー低融点ガラス、特開2007-269531に記載の強リン酸と、金属、金属酸化物及び金属塩の少なくとも1種とを含む混合物を熱処理することにより得られる鉛フリー低融点ガラス等を用いることができる。特に環境に対する影響の低い、鉛フリー低融点ガラスを用いるのが好ましい。
[2]ガラス複合材料
ガラス複合材料20は、図2に示すように、基材4上に、前記ガラス複合体を薄膜状に形成してなる。ガラス複合材料に用いるガラスは、前述のガラス複合体を形成するガラスに必要な要件に加えて、基材との密着性がよいものであればどのようなガラス質材料を用いても良い。
前記ガラス複合体を薄膜状に形成するための基材は、前記ガラス複合体を形成するときの焼結温度で軟化や損傷の起こらない素材を用いるのが好ましい。具体的には、金属、セラミックス、ガラス等が好ましい。ガラス材料を用いる場合、軟化温度が600℃以上のガラス材料が好ましく、650℃以上のものがより好ましく、700℃以上のものが最も好ましい。基材は、平板であっても良いし、使用する目的に応じてどのような形であっても良い。基材の、前記ガラス複合体薄膜を形成する面は、ガラス複合体薄膜との密着性を高めるために表面処理を施すのが好ましい。
ガラス複合体薄膜は、基材の方側の面に設けても良いし、両側の面に設けても良いが、通常手で触れることが多い側の面に設けるのが好ましい。例えば、タッチパネルの最表面にガラス複合体薄膜を設けるのが好ましい。
[3]ガラス複合材料の製造方法
修飾ダイヤモンド微粒子を有するガラス複合体薄膜の形成は、(a) 修飾ダイヤモンド微粒子(ケイ素を有するダイヤモンド微粒子及び/又はフッ素を有するダイヤモンド微粒子、もしくはケイ素及びフッ素を有するダイヤモンド微粒子)、ガラス質材料粉末、バインダー、及び溶剤を含有する塗料を作製する工程、(b)前記塗料を基材に塗装し塗装膜を形成する工程、及び(c)前記塗装膜を焼結する工程を有する。
(a) 塗料を作製する工程
修飾ダイヤモンド微粒子、低軟化点のガラス質材料粉末、バインダー、及び溶剤を混合し、必要に応じて高沸点有機溶剤、着色剤等を添加し、分散処理することによって塗料を作製する。
塗料は、前記修飾ダイヤモンド微粒子及び前記ガラス質材料粉末の分散物なので、長期の保存安定性が必ずしも十分ではない。従って、修飾ダイヤモンド微粒子、ガラス質材料粉末、及びバインダー、必要に応じて高沸点有機溶剤、着色剤等を含有するペーストをあらかじめ作製しておき、使用時に前記ペーストに溶剤を添加して分散処理し、塗料を作製するのが好ましい。この場合、ペーストは公知の混練法により作製することができる。
低軟化点のガラス質材料粉末は、後述の焼結工程で溶解する、いわゆるガラスフリットを用いる。低軟化点のガラス質材料粉末としては、PbO-B2O3系ガラス、PbO-B2O3-SiO2系ガラス、PbO-ZnO-B2O3系ガラス、PbO-B2O3-SiO2系ガラス、特開2007-269530に記載の酸化物微粒子、酸成分及び金属塩化物を含む混合物を熱処理することにより得られる鉛フリー低融点ガラス、特開2007-269531に記載の強リン酸と、金属、金属酸化物及び金属塩の少なくとも1種とを含む混合物を熱処理することにより得られる鉛フリー低融点ガラス等を用いることができる。ガラス質材料粉末のメジアン径は1〜30μm程度のものを用いるのが好ましい。
修飾ダイヤモンド微粒子は合計で、ガラス質材料粉末100質量部に対して、5〜200質量部使用するのが好ましく、10〜180質量部であるのがより好ましく、50〜150質量部であるのが最も好ましい。
バインダーは、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、非塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸セルロース等を用いることができるが、特にアクリル樹脂、酢酸セルロースが好ましい。バインダーは、修飾ダイヤモンド微粒子、ダイヤモンドの凝集体及びガラス質材料粉末の合計100質量部に対して、1〜50質量部使用するのが好ましく、2〜20質量部であるのがより好ましく、3〜10質量部であるのが最も好ましい。
溶剤は、水、アルコール(メタノール、エタノール、イソプルピルアルコール等)、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、石油エーテル等を使用するのが好ましい。溶剤の使用量は、修飾ダイヤモンド微粒子及びガラス質材料粉末の合計100質量部に対して、100〜900質量部使用するのが好ましく、150〜600質量部であるのがより好ましく、200〜400質量部であるのが最も好ましい。
高沸点有機溶剤は、特に限定しないが、鉱物油、植物油、合成乾性油等を用いることができ、例えば、テルピン油、プチルカルビトールアセテート、キシレン、ブチルセロソルブ、ターピネオール、セロソルブアセテート、アルキルアルコール、アセテート、プロピオネート、高級アルキルエステル、パインオイル等を使用するのが好ましい。高沸点有機溶剤は、修飾ダイヤモンド微粒子及びガラス質材料粉末の合計100質量部に対して、1〜20質量部使用するのが好ましく、2〜15質量部であるのがより好ましく、3〜10質量部であるのが最も好ましい。
着色剤を添加する場合、無機の顔料を用いるのが好ましく、例えば重クロム酸カリウム、クロム酸ストロンチウム、酸化銅、コバルト、カドミウム系、二酸化チタン等を用いることができる。着色剤の使用量は、目的に応じて適宜決めることができる。
分散処理は、顔料分散等に通常用いられている分散装置等を使用して行うことができる。分散装置としては、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」等)類、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS-5」、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(b)塗装工程
作製した塗料の基材への塗装は、公知の方法、例えば、ディップコート法、スピンコート法、スクリーン印刷法によって行うことができる。塗装後の塗装膜は、200℃で20分〜2時間乾燥し、前記溶剤を除去する。
(c)焼結工程
焼結は、400〜650℃で行うのが好ましい。400℃以下では焼結が不十分となるため焼結後のガラス被膜の強度が低くなる。650℃以上では基材の損傷を招く恐れがある。焼結温度は450〜630℃であるのがより好ましい。焼結時間は、5分〜1時間程度であるのが好ましく、10〜30分程度がより好ましい。450℃以上の温度ではダイヤモンドの酸化が始まるので、このような温度域で焼結を行う場合は、酸素を含まない雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス中、又は真空中)で行うのが好ましい。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
(1)ナノダイヤモンド粉末の作製
TNT(トリニトロトルエン)とRDX(シクロトリメチレントリニトロアミン)を60/40の比で含む0.65 kgの爆発物を3 m3の爆発チャンバー内で爆発させて、生成するナノダイヤモンドを保存するための雰囲気を形成した後、同様の条件で2回目の爆発を起こし未精製のナノダイヤモンドを合成した。爆発生成物が膨張し熱平衡に達した後、15 mmの断面を有する超音速ラバルノズルを通して35秒間ガス混合物をチャンバーより流出させた。チャンバー壁との熱交換及びガスにより行われた仕事(断熱膨張及び気化)のため、生成物の冷却速度は280℃/分であった。サイクロンで捕獲した生成物(黒色の粉末)の比重は2.55 g/cm3、メジアン径(動的光散乱法)は220 nmであった。この未精製のナノダイヤモンドは、比重から計算して、76体積%のグラファイト系炭素と24体積%のダイヤモンドからなっていると推定された。
この未精製のナノダイヤモンドを60質量%硝酸水溶液と混合し、160℃、14気圧、20分の条件で酸化性分解処理を行った後、130℃、13気圧、1時間で酸化性エッチング処理を行った。酸化性エッチング処理により、未精製のナノダイヤモンドからグラファイトが一部除去された粒子が得られた。この粒子を、アンモニアを用いて、210℃、20気圧、20分還流し中和処理した後、自然沈降させデカンテーションにより35質量%硝酸での洗浄を行い、更にデカンテーションにより3回水洗し、遠心分離により脱水し、120℃で加熱乾燥し、ナノダイヤモンドの粉末を得た。このナノダイヤモンドの粉末の比重は3.38 g/cm3であり、メジアン径は120 nm(動的光散乱法)であった。比重から計算して、90体積%のダイヤモンドと10体積%のグラファイト系炭素からなっていると推定された。
(2)ケイ素化処理
得られたナノダイヤモンドの粉末をメチルイソブチルケトンに3質量%の濃度で分散させ、トリメチルクロロシランのメチルイソブチルケトン溶液(濃度7.5質量%)を1:1の容量で加え、48時間撹拌してナノダイヤモンドをトリメチルシランで修飾した。得られた分散物をメチルイソブチルケトンで洗浄後、乾燥し、トリメチルシラン修飾ナノダイヤモンド粉末を得た。
(3) ガラス複合材料の作製
硼珪酸鉛系ガラスフリット(78質量%のPbO、10質量%のSiO2、12質量%のB2O3からなる低融点ガラス)100質量部に対して、20質量部の前記トリメチルシラン修飾ナノダイヤモンド粉末と、10質量部の酢酸セルロース、10質量部のパインオイルを混合及び混練し、ペーストを作製した。このペースト100質量部に対して、20質量部のイソプロピルアルコールを混合し、ディゾルバーで分散することにより、塗料を作製した。
この塗料をガラス基材上にディップ法により塗装し、200℃で15分間乾燥し、イソプロピルアルコールを除去した。乾燥後の塗装物を580℃で20分間焼結し、ガラス基材上に150μmの厚さのガラス複合体薄膜を形成してなるガラス複合材料を作製した。
実施例2
(1)フッ素化処理
実施例1で得られたナノダイヤモンドの粉末を3質量%の濃度でメタノールに分散させ、下記式:
Figure 0005313219
(RFは-CF(CF3)OC3F7基、Rは-OH基、nは約800である。)表される含フッ素オリゴマー、及び28質量%アンモニア水を、ナノダイヤモンド分散物100質量部に対してそれぞれ50質量部及び10質量部加え、80℃で20時間撹拌して反応させた。得られた分散物を中和、洗浄及び乾燥し、フルオロアルキル基修飾ナノダイヤモンド粉末を得た。
(2) ガラス複合材料の作製
硼珪酸鉛系ガラスフリット(78質量%のPbO、10質量%のSiO2、12質量%のB2O3からなる低融点ガラス)100質量部に対して、10質量部の前記ダフルオロアルキル基修飾ナノダイヤモンド粉末と、10質量部の酢酸セルロース、10質量部のパインオイルを混合及び混練し、ペーストを作製した。このペースト100質量部に対して、20質量部のエチルアルコールを混合し、ディゾルバーで分散することにより、塗料を作製した。
この塗料をガラス基材上にディップ法により塗装し、200℃で15分間乾燥し、エチルアルコールを除去した。乾燥後の塗装物を580℃で20分間焼結し、ガラス基材上に120μmの厚さのガラス複合体薄膜を形成してなるガラス複合材料を作製した。
実施例3
(1) 精製ダイヤモンド粒子の作製
実施例1で得られたナノダイヤモンド粉末を、以下に示すようにビーズミルにより分散処理した。ビーズミルによる分散は、アシザワファインテック株式会社製スターミルLMZを用いて行った。まず243 gの前記ナノダイヤモンド粉末を水/トリエチレングリコール(50:50の容量比)に分散して5質量%の水分散液を調製し、ディゾルバーで予備分散した。0.1 mm径のジルコニアビーズを0.15 Lのベッセルに充填し、10 m/sの周速で回転子を回転させながら、前記ナノダイヤモンド粉末の分散液を0.12 L/minで供給し、連続的に分散処理を行った。約2.0 h分散処理した後のナノダイヤモンドの粉末はメジアン径40 nmであった。
ビーズミルによって分散処理したナノダイヤモンドの粉末の2.0質量%水分散液30 mLを、オートクレーブ(容量50 mL、SUS316製)に入れ、酸素導入管、温度計及び調圧弁を有する蓋で密封し、炉内に設置した。オートクレーブ内の空気を酸素で置換した後、オートクレーブ内が1.0 MPa(ゲージ圧)の圧力となるように、室温で酸素を導入した。オートクレーブを平均昇温速度6.5℃/分で昇温し、400±5℃の温度及び24.8±1 MPaの圧力で1時間保持した。オートクレーブを室温まで冷却した後、大気圧まで減圧し、精製されたナノダイヤモンドを含む液を回収した。この液は、上澄みと薄い灰色を呈する精製ナノダイヤモンドの沈殿とに分離していた。
精製されたナノダイヤモンドを含む液を、自然沈降させデカンテーションにより3回水洗し、更に遠心分離により脱水し、120℃で加熱乾燥し、精製ダイヤモンド微粒子を得た。得られた精製ダイヤモンド微粒子は、メジアン径50μm、比重3.48 g/cm3であった。この比重から算出した組成は、ダイヤモンド98体積%及びグラファイト2体積%であった。
(2)ケイ素化及びフッ素化
得られた精製ダイヤモンド微粒子に対して、実施例1と同様にして粒子表面をトリメチルシランで修飾した後、更に実施例2と同様にして、粒子表面をフルオロアルキル基で修飾し、ナノダイヤモンド表面がトリメチルシラン及びフルオロアルキル基で修飾された精製ダイヤモンド微粒子を得た。
(3) ガラス複合材料の作製
得られたトリメチルシラン及びフルオロアルキル基で修飾された精製ダイヤモンド微粒子を用いた以外実施例1と同様にして、ガラス基材上に150μmの厚さのガラス複合体薄膜を形成してなるガラス複合材料を作製した。
実施例1〜3で作製したガラス複合材料のガラス複合体薄膜を形成してなる面は、指紋が付着しにくく、また付着した指紋を容易に拭き取ることができるものであった。
1・・・ダイヤモンド粒子
2・・・ガラス
3・・・ガラス複合体薄膜
4・・・基材
10・・・ガラス複合体
20・・・ガラス複合材料

Claims (16)

  1. ガラスと、ケイ素化処理されたダイヤモンド微粒子及び/又はフッ素化処理されたダイヤモンド微粒子とからなるガラス複合体であって、
    前記ガラスの軟化温度が150〜620℃の範囲にあり、
    前記ダイヤモンド微粒子が爆射法で得られたナノダイヤモンドであり、
    前記ケイ素化処理が、シリル化剤、アルコキシシラン又はシランカップリング剤を反応させる処理であり、
    前記フッ素化処理が、(i)フルオロアルキル基含有オリゴマーを使用した方法、(ii)フルオロアルキルアゾ化合物を用いた方法、(iii)フッ素ガスと直接反応させる方法、(iv)ハロゲンフッ化物を反応させる方法、又は(v)フッ素プラズマによる方法により行う処理であり、
    前記ケイ素化処理されたダイヤモンド微粒子及び/又はフッ素化処理されたダイヤモンド微粒子が前記ガラスに対して合計で0.1〜30質量%含まれることを特徴とするガラス複合体。
  2. 請求項1に記載のガラス複合体において、前記ケイ素化処理がシリル化処理であることを特徴とするガラス複合体。
  3. 請求項1又は2に記載のガラス複合体において、前記フッ素化処理がフルオロアルキル基含有オリゴマーによる処理であることを特徴とするガラス複合体。
  4. ガラスと、ケイ素化処理及びフッ素化処理されたダイヤモンド微粒子とからなるガラス複合体であって、
    前記ガラスの軟化温度が150〜620℃の範囲にあり、
    前記ダイヤモンド微粒子が爆射法で得られたナノダイヤモンドであり、
    前記ケイ素化処理が、ダイヤモンド微粒子にシリル化剤、アルコキシシラン又はシランカップリング剤を反応させる処理であり、
    前記フッ素化処理が、(i)フルオロアルキル基含有オリゴマーを使用した方法、(ii)フルオロアルキルアゾ化合物を用いた方法、(iii)フッ素ガスと直接反応させる方法、(iv)ハロゲンフッ化物を反応させる方法、又は(v)フッ素プラズマによる方法により行う処理であり、
    前記ケイ素化処理及びフッ素化処理されたダイヤモンド微粒子が前記ガラスに対して0.1〜30質量%含まれることを特徴とするガラス複合体。
  5. 請求項4に記載のガラス複合体において、前記ケイ素化処理がシリル化処理であることを特徴とするガラス複合体。
  6. 請求項4又は5に記載のガラス複合体において、前記フッ素化処理がフルオロアルキル基含有オリゴマーによる処理であることを特徴とするガラス複合体。
  7. 基材上に、請求項1〜3のいずれかに記載のガラス複合体を薄膜状に形成してなるガラス複合材料。
  8. 請求項7に記載のガラス複合体材料において、前記基材がガラスからなることを特徴とするガラス複合材料。
  9. 基材上に、請求項4〜6のいずれかに記載のガラス複合体を薄膜状に形成してなるガラス複合材料。
  10. 請求項9に記載のガラス複合体材料において、前記基材がガラスからなることを特徴とするガラス複合材料。
  11. 請求項7又は8に記載のガラス複合材料を形成する方法であって、(a) ケイ素化処理されたダイヤモンド微粒子及び/又はフッ素化処理されたダイヤモンド微粒子、軟化温度が150〜620℃の範囲にあるガラス質材料粉末、バインダー、及び溶剤を含有する塗料を作製する工程、(b)前記塗料を基材に塗装し塗装膜を形成する工程、及び(c)前記塗装膜を400〜650℃で焼結する工程を有することを特徴とする方法。
  12. 請求項9又は10に記載のガラス複合材料を形成する方法であって、(a) ケイ素化処理及びフッ素化処理されたダイヤモンド微粒子、軟化温度が150〜620℃の範囲にあるガラス質材料粉末、バインダー、及び溶剤を含有する塗料を作製する工程、(b)前記塗料を基材に塗装し塗装膜を形成する工程、及び(c)前記塗装膜を400〜650℃で焼結する工程を有することを特徴とする方法。
  13. 請求項11に記載のガラス複合材料を形成する方法において、前記塗料を作製する工程が、ケイ素化処理されたダイヤモンド微粒子及び/又はフッ素化処理されたダイヤモンド微粒子、ガラス質材料粉末、及びバインダーを含有するペーストを作製する工程と、前記ペーストに溶剤を添加して塗料を作製する工程とからなることを特徴とする方法。
  14. 請求項12に記載のガラス複合材料を形成する方法において、前記塗料を作製する工程が、ケイ素化処理及びフッ素化処理されたダイヤモンド微粒子、ガラス質材料粉末、及びバインダーを含有するペーストを作製する工程と、前記ペーストに溶剤を添加して塗料を作製する工程とからなることを特徴とする方法。
  15. 請求項1〜6のいずれかに記載のガラス複合体を最表面に配置してなるタッチパネル。
  16. 請求項7〜10のいずれかに記載のガラス複合材料を最表面に配置してなるタッチパネル。
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