JP5310470B2 - 弾薬 - Google Patents
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本発明の実施形態1について図を用いて説明する。図1は本発明に係る弾薬(10)を示している。なお、詳細については後述するが、本実施形態の弾薬(10)は、榴弾を改修することによって作成されている。弾薬(10)は、弾体(11)と、該弾体(11)を発射するための発射薬(12)とを備えている。
図2に示すように、砲身から発射された弾薬(10)の弾体(11)は、装甲板や構造物外壁等の目標物(20)に向かって飛翔し、弾着して目標物(20)を侵徹する。なお、弾薬(10)の弾体は、弾帯(18)と噛み合う砲内の螺旋溝によって発射時に回転力が加えられ、回転しながら飛翔する。これにより、弾殻(15)とその内部に充填された粉体状のエネルギ材料(19)との間に摩擦が生じ、エネルギ材料(19)は昇温する。また、エネルギ材料(19)は、弾着時の衝撃による運動エネルギから転換された熱エネルギを受けても昇温し、また、侵徹時に内部空間(S1)が圧縮されることによっても昇温する。
本弾薬(10)によれば、弾殻(15)内にエネルギ材料(19)を充填し、弾着時の運動エネルギや侵徹時の圧縮エネルギを利用して弾殻(15)内において炸薬よりも遅い化学反応を生起して弾殻(15)を破裂させることにより、徹甲弾のように目標物(20)を侵徹するだけでなく、飛散する破片(15a)によっても目標物(20)を破壊することができる。なお、弾殻(15)内に炸薬よりも反応速度の遅いエネルギ材料(19)を充填したことにより、炸薬が充填された榴弾に比べて低い速度で破片(15a)を飛散させることができる。従って、破壊効果が徹甲弾よりも高く榴弾よりも低い弾薬を提供することができる。
上記実施形態1では、本発明に係るエネルギ材料(19)は、アルミニウム(Al)とニッケル(Ni)の粉体を混合することによって構成されていた。しかしながら、本発明に係るエネルギ材料(19)はこれに限られない。例えば、ニッケル(Ni)とチタン(Ti)の粉体を混合することによって構成することとしてもよい。このような場合であっても、実施形態1と同様に、侵徹後に、弾殻(15)内において所定の閾値温度まで昇温したニッケル(Ni)とチタン(Ti)とが炸薬よりも遅い化学反応を生じて大きな化学エネルギ(熱エネルギ)を発生する。これにより、弾殻(15)内が昇圧し、その内部圧力によって弾殻(15)が破裂して破片化する。従って、上述のようなエネルギ材料(19)を用いても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
また、本発明に係るエネルギ材料(19)は、粉体状の所定のエネルギ物質と、所定温度を超えると該エネルギ物質と炸薬よりも遅い化学反応を生じて発熱する所定の反応物とが混合されたものであってもよい。例えば、化学反応として酸化反応が挙げられ、エネルギ物質としてボロン(B)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)が挙げられる。これらのエネルギ物質の粉体と、例えば、過塩素酸アンモニウム等の酸化剤とを混合してエネルギ材料(19)を構成する。このような場合であっても、侵徹後に、弾殻(15)内において所定の閾値温度まで昇温した所定のエネルギ物質が反応物(酸化剤等)と炸薬よりも遅い化学反応を生じて化学エネルギ(熱エネルギ)を発生する。これにより、弾殻(15)内が昇圧し、その内部圧力によって弾殻(15)が破裂して破片化する。従って、上述のような充填材を用いても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
上記実施形態1及び変形例1、2では、本発明に係るエネルギ材料(19)は粉体状に形成されて弾殻(15)内に充填されていた。しかしながら、エネルギ材料(19)は固形状に形成されて弾殻(15)内に充填されていてもよい。
実施形態2の弾薬(30)は、図3に示すように、実施形態1の弾薬(10)の弾体(11)の構造を変更したものである。弾薬(30)は、図3では図示を省略しているが、実施形態1と略同様の発射薬(12)、薬莢(13)及び火管(14)を備えている。なお、詳細については後述するが、弾薬(30)は、徹甲弾を改修することによって作成されている。
図4に示すように、砲身の砲腔内において、発射薬の燃焼により、弾体(31)が前方に加速される。このとき、弾殻(32)の外周に取り付けられた装弾筒(34)が燃焼圧の大部分を受けて弾体(31)を加速させる。そして、弾体(31)が砲身の砲腔から出るとすぐに、装弾筒(34)が空気抵抗を受けて3つの部材に分割されて弾殻(32)から離脱する。これにより、弾体(31)が小径化して空気抵抗が小さくなるために速度低下を抑制でき、高速度のまま目標物(20)に弾着させることができる。
本弾薬(30)によっても、上記実施形態1と同様の効果を奏することができる。
上記実施形態2では、本発明に係るエネルギ材料(19)は、アルミニウム(Al)とニッケル(Ni)の粉体を混合することによって構成されていた。しかしながら、本発明に係るエネルギ材料(19)はこれに限られず、実施形態1の変形例1のように、ニッケル(Ni)とチタン(Ti)の粉体を混合することによって構成することとしてもよく、実施形態1の変形例2のように、粉体状の所定のエネルギ物質と、所定温度を超えると該エネルギ物質と炸薬よりも遅い化学反応を生じて発熱する所定の反応物とが混合されたものによって構成してもよい。また、実施形態1の変形例3のように、エネルギ材料(19)を固形状に形成して弾殻(32)に充填することとしてもよい。上記いずれの場合であっても、実施形態1と同様の効果を奏することができることは勿論である。
11 弾体
15 弾殻
19 エネルギ材料
20 目標物
30 弾薬
31 弾体
32 弾殻
Claims (8)
- 内部に閉空間(S1,S2)が形成された弾殻(15,32)と上記弾殻(15,32)の内部空間(S1,S2)に充填された充填材とを有する弾体(11,31)を備えて目標物(20)を侵徹する弾薬であって、
上記充填材は、所定温度を越えると炸薬よりも遅い化学反応を生じて発熱する金属からなる複数種のエネルギ物質が混合された粉体状のエネルギ材料(19)によって構成されている
ことを特徴とする弾薬。 - 内部に閉空間(S1,S2)が形成された弾殻(15,32)と上記弾殻(15,32)の内部空間(S1,S2)に充填された充填材とを有する弾体(11,31)を備えて目標物(20)を侵徹する弾薬であって、
上記充填材は、金属からなる所定のエネルギ物質と、所定温度を超えると上記エネルギ物質と炸薬よりも遅い化学反応を生じて発熱する反応物とが混合された粉体状のエネルギ材料(19)によって構成されている
ことを特徴とする弾薬。 - 内部に閉空間(S1,S2)が形成された弾殻(15,32)と上記弾殻(15,32)の内部空間(S1,S2)に充填された充填材とを有する弾体(11,31)を備えて目標物(20)を侵徹する弾薬であって、
上記充填材は、所定温度を超えると炸薬よりも遅い化学反応を生じて発熱する金属からなる複数種のエネルギ物質を含み、固形状に形成されたエネルギ材料(19)によって構成されている
ことを特徴とする弾薬。 - 内部に閉空間(S1,S2)が形成された弾殻(15,32)と上記弾殻(15,32)の内部空間(S1,S2)に充填された充填材とを有する弾体(11,31)を備えて目標物(20)を侵徹する弾薬であって、
上記充填材は、金属からなる所定のエネルギ物質と、所定温度を越えると上記エネルギ物質と炸薬よりも遅い化学反応を生じて発熱する反応物とを含み、固形状に形成されたエネルギ材料(19)によって構成されている
ことを特徴とする弾薬。 - 請求項3又は4において、
上記エネルギ材料(19)は、粉体材料を冷間等方圧加圧することによって固形化されている
ことを特徴とする弾薬。 - 請求項2又は4において、
上記反応物は、活性炭によって構成されている
ことを特徴とする弾薬。 - 請求項1乃至6のいずれか1つにおいて、
内部に空間(S1)が形成された弾殻(15)と、該弾殻(15)の内部に充填された炸薬と、該炸薬を起爆する起爆手段とを備える榴弾の上記起爆手段を省略し、上記炸薬を上記エネルギ材料(19)に置換することによって構成されている
ことを特徴とする弾薬。 - 上記請求項1乃至6のいずれか1つにおいて、
弾心を有する徹甲弾の該弾心を、外形が該弾心に等しく内部に上記エネルギ材料(19)が充填された弾殻(32)に置換することによって構成されている
ことを特徴とする弾薬。
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JP2009238212A JP5310470B2 (ja) | 2009-10-15 | 2009-10-15 | 弾薬 |
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JP2011085319A JP2011085319A (ja) | 2011-04-28 |
JP5310470B2 true JP5310470B2 (ja) | 2013-10-09 |
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