JP5309948B2 - 左右同軸ボールねじ用のねじ軸の製造方法 - Google Patents
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Description
また、下記特許文献1には、一対のロールダイス群相互を、軸方向に1/2ピッチずらして配置することで、右ねじ部と左ねじ部との間に不正規のねじ溝が形成されることを防止する技術も提案されている。
右ねじ部と左ねじ部とを同時に加工する上記特許文献1の製造方法では、同軸に連結されている右ねじ用ダイス及び左ねじ用ダイスのそれぞれから、互いに逆向きの軸方向移動力が素材軸に作用することになって、素材軸の軸方向移動が無理に抑えられる結果となり、上記したようにねじ溝の加工精度が低下する虞があった。
しかし、ねじ軸に形成した左右のねじ部が、これらのねじ部に螺合しているナット部材をねじ軸の回転に応じて相反する軸方向に移動させる左右同軸ボールねじに使用されるねじ軸の場合、上記の位相差や、ねじ部の端部位置のずれ等で、ねじ部上のナット部材の位置決め精度が低下する虞があった。
そのため、左右同軸ボールねじ用のねじ軸の製造に対しては、左右のねじ部を位相差なく、高精度に加工できる技術の開発が要求されていた。
本発明の目的は上記課題を解消することに係り、左右の各ねじ部におけるねじ溝の位相や、各ねじ部の端部の基準位置を高精度に設定したねじ軸の製造を可能にするねじ軸の製造方法を提供することである。
(1)1本の軸の一端側に右ねじ溝を形成した右ねじ部が装備されると共に、他端側には左ねじ溝を形成した左ねじ部が装備される左右同軸ボールねじ用のねじ軸の製造方法であって、
素材軸の長手方向の中心及び両端に、軸外周面を平滑に仕上げた基準平面を形成する基準平面形成工程と、
前記基準平面を形成した前記素材軸の一端側にねじ部を転造盤によるインフィード転造によって形成した後、転造盤への前記素材軸の取り付け向きを変えて他端側に逆方向のねじ部をインフィード転造によって形成するねじ軸形成工程と、
前記ねじ軸形成工程により形成したねじ軸の両端に、左右ねじ交点から規定の長さとなる基準端面位置を設定する基準端面設定工程と、
前記基準端面位置が前記ねじ軸の端部となるように端面研削砥石で仕上げる端面仕上げ工程とを備え、
前記素材軸を転造盤に取り付ける際には、軸外周に設けた基準を使用し、転造盤のNC軸の数値制御機能により軸方向の位置調整を行って加工すべきねじ溝の位相合わせを実施することを特徴とする左右同軸ボールねじ用のねじ軸の製造方法。
また、各ねじ部を加工する際には、転造盤の数値制御機能を使って高精度に位置決めして、加工すべきねじ溝の位相合わせを実施するため、同軸上に形成される各ねじ溝の位相を正確に整合させることができる。
更に、各ねじ部の加工後には、各ねじ部の左右ねじ交点から規定の長さに揃えられるため、ねじ部の端部の位置も、高精度に管理することができる。
図1は本発明に係るねじ軸の製造方法による第1の実施の形態で製造したねじ軸の正面図、図2はねじ軸の製造方法を説明するフローチャート、図3はねじ軸形成工程の説明図、図4は基準端面設定工程の説明図である。
ねじ軸1は、それぞれのねじ部3,5に螺合した図示せぬナット部材相互を軸の回転により相反する軸方向に移動させる左右同軸ボールねじに使用されるものである。
その際、転造盤のNC軸11の数値制御機能(NC機能)により軸方向(図3の矢印X方向)の位置調整を行って、予め素材軸6の長さ方向の中心に形成された基準平面h3を基準にして加工すべきねじ溝の位相合わせを実施する。なお、図3に示した素材軸6は、便宜上、ねじ部3,5が形成された形態を図示しているが、素材軸6自体は、当初はねじ部3,5を形成する前の丸棒状態である。
そして、位相合わせが完了したら、転造盤のロールダイス13で、該当するねじ溝の形成を行う。
なお、Vブロック21上の各位置決めピン23,24は、予め設定した基準位置にあり、左右ねじ交点15からはL1,L2の距離に装備されている。
この実施の形態では、基準端面設定工程S103は、図5に示すように、ねじ軸形成工程S102で形成したねじ軸7を端面研削盤31のセンタ軸33に取り付け、ねじ軸7の左右ねじ交点15を基準に左右の各ねじ溝位置を端面研削盤31に装備した軸方向位置測定用の一対のプローブ35,36により測定し、一対のプローブ35,36の位置を移動させながら各ねじ部3,5において規定の長さとなる基準端面位置を決定する。
この第3の実施の形態では、基準端面設定工程S103は、図6及び図7に示すように、ねじ軸形成工程S102で形成したねじ軸7の長さ方向の中間部には、中間ブッシュ41を嵌合させ、更に、両ねじ部3,5にはスリーブ状の治具43,44を装着した状態で、端面研削盤31のセンタ軸33にねじ軸7を取り付ける。
更に、中間ブッシュ41の軸方向の中間部には、左右ねじ交点15を視認可能な開口部41aが設けられている。
3 右ねじ部
3a 右ねじ溝
5 左ねじ部
5a 左ねじ溝
6 素材軸
11 NC軸
13 ロールダイス
21 Vブロック(測定用基台)
21a V溝
23,24 位置決めピン
31 端面研削盤
33 センタ軸
35,36 プローブ
38 端面研削砥石
41 中間ブッシュ
43,44 治具
h1,h2,h3 基準平面
S101 基準平面形成工程
S102 ねじ軸形成工程
S103 基準端面設定工程
S104 端面仕上げ工程
Claims (4)
- 1本の軸の一端側に右ねじ溝を形成した右ねじ部が装備されると共に、他端側には左ねじ溝を形成した左ねじ部が装備される左右同軸ボールねじ用のねじ軸の製造方法であって、
素材軸の長手方向の中心及び両端に、軸外周面を平滑に仕上げた基準平面を形成する基準平面形成工程と、
前記基準平面を形成した前記素材軸の一端側にねじ部を転造盤によるインフィード転造によって形成した後、転造盤への前記素材軸の取り付け向きを変えて他端側に逆方向のねじ部をインフィード転造によって形成するねじ軸形成工程と、
前記ねじ軸形成工程により形成したねじ軸の両端に、左右ねじ交点から規定の長さとなる基準端面位置を設定する基準端面設定工程と、
前記基準端面位置が前記ねじ軸端部となるように端面研削砥石で仕上げる端面仕上げ工程とを備え、
前記素材軸を転造盤に取り付ける際には、軸外周に設けた基準を使用し、転造盤のNC軸の数値制御機能により軸方向の位置調整を行って前記ねじ溝の位相合わせを実施することを特徴とする左右同軸ボールねじ用のねじ軸の製造方法。 - 前記基準端面設定工程では、前記各ねじ部のねじ溝を測定用基台に配置された位置決めピンに整合させて、前記左右ねじ交点を前記測定用基台上の定位置に位置決めすることを特徴とする請求項1に記載の左右同軸ボールねじ用のねじ軸の製造方法。
- 前記基準端面設定工程では、前記ねじ軸を端面研削盤に取り付け、前記左右の各ねじ溝位置を前記端面研削盤に装備したプローブにより測定し、前記基準端面位置を決定することを特徴とする請求項1に記載の左右同軸ボールねじ用のねじ軸の製造方法。
- 前記基準端面設定工程では、前記ねじ軸の両ねじ部には、前記左右ねじ交点から端面までの長さが規定の長さになるスリーブ状の治具を装着し、前記治具の端面を前記ねじ部の基準端面位置に設定することを特徴とする請求項1に記載の左右同軸ボールねじ用のねじ軸の製造方法。
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