JP5305615B2 - メナキノンの新規生合成経路に関与するタンパク質の遺伝子群を利用したメナキノンの製造方法 - Google Patents
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Description
また、これらのメナキノン生産菌の中には胃潰瘍の原因菌であるHelicobacter属や食中毒の原因菌であるCampylobacter 属が含まれる。これらの菌に対して抗菌作用を示す薬剤はマクロライド系のクラリスロマイシンやセファム系のアモキシシリン等いくつか知られているが、抗菌スペクトルが広くほとんどの微生物に対して作用を示し有用な腸内細菌まで死滅させることから、選択性の高い薬剤が望まれている。
A.下記(A1)〜(A3)のいずれかを有する塩基配列;
(A1)配列番号1の塩基配列 (オープン・リーディング・フレームSCO 4506)であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(A2)配列番号1において1〜10個の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入されている塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(A3)配列番号1の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
B.下記(B1)〜(B3)のいずれかを有する塩基配列;
(B1)配列番号2の塩基配列 (オープン・リーディング・フレームSCO 4327)であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(B2)配列番号2において1〜10個の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入されている塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(B3)配列番号2の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
C.下記(C1)〜(C3)のいずれかを有する塩基配列;
(C1)配列番号3の塩基配列 (オープン・リーディング・フレームSCO 4550)であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(C2)配列番号3において1〜10個の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入されている塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(C3)配列番号3の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
D.下記(D1)〜(D3)のいずれかを有する塩基配列;
(D1)配列番号4の塩基配列(オープン・リーディング・フレームSCO 4326)であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(D2)配列番号4において1〜10個の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入されている塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(D3)配列番号4の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
E.下記(E1)〜(E3)のいずれかを有する塩基配列;
(E1)配列番号5の塩基配列(オープン・リーディング・フレームSCO 4490)であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(E2)配列番号5において1〜10個の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入されている塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(E3)配列番号5の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
F.下記(F1)〜(F3)のいずれかを有する塩基配列;
(F1)配列番号6の塩基配列(オープン・リーディング・フレームSCO 4492)であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(F2)配列番号6において1〜10個の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入されている塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(F3)配列番号6の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
G.下記(G1)〜(G3)のいずれかを有する塩基配列;
(G1)配列番号7の塩基配列(オープン・リーディング・フレームSCO 4494) であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(G2)配列番号7において1〜10個の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入されている塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(G3)配列番号7の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
このような塩基配列とは、例えば、同一のアミノ酸を示す他の塩基コドンや、類似の物性を示すアミノ酸グループ内(酸性アミノ酸間、塩基性アミノ酸間、疎水性アミノ酸間、アロマティックアミノ酸間等)での他のアミノ酸を示す他の塩基コドンなどであり、欠失、置換、付加および/または挿入の結果、配列番号1〜7の塩基配列等と少なくとも60%以上の相同性となる塩基配列である。
このようなアミノ酸とは、酸性アミノ酸(Asp,Glu) 、塩基性アミノ酸(Lys,Arg) 、疎水性アミノ酸(Val,Leu,Ile) 、酸と酸アミド(Glu,GlnまたはAsp,Asn)、水酸基を持つアミノ酸(Ser,Thr) 、アロマティックアミノ酸(Trp,Tyr,Phe) 、酸アミドアミノ酸(Asn,Gln) 等、物性の類似しているアミノ酸のグループ間の他のアミノ酸である。
ハイブリダイゼーションは、モレキュラー・クローニング第二版等に記載されている方法に準じて行うことができる。ストリンジェントな条件でハイブリダイズすることができるDNAとしては、プローブとして使用するDNAの塩基配列と一定以上の相同性を有するDNAが挙げられ、相同性は、例えば60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、もっとも好ましくは98%以上である。
本発明は、A)メナキノンの新規生合成経路に関与するタンパク質をコードする遺伝子の同定と、それら遺伝子DNAの取得、B)メナキノン新規生合成経路のタンパク質をコードするDNAを有する形質転換体の作成および上記タンパク質の発現、C)メナキノン生産、D)メナキノンの新規生合成経路に特異的な阻害剤の探索方法、より構成される。以下、放線菌を例示して詳述するが、放線菌に限定するものではない。他の微生物を試料とする場合は順次読み替えてもよい。
伝子欠損株の取得、(4)メナキノン新規経路遺伝子DNAの取得、(5)変異処理で得たメナキノン新規経路欠損株を相補するDNAの取得、の5段階より構成される。
基本的な方針としては、メナキノンを生合成しているにも関わらず既存のメナキノン生合成遺伝子群(Men遺伝子群) を持たない微生物に共通して存在する遺伝子の検索を、遺伝情報データベースを活用して進める(in silico) 。使用可能な遺伝情報データベースはどのようなものでも構わないが、含まれる遺伝情報が多く、出来るだけ最新の結果が反映されているものが好ましい。また、検索速度が速くなるような処理がなされている方が好ましい。このようなデータベースとしてKyoto Encyclopedia of Genes and Genomes (http://www.genome.ad.jp/kegg/)、The Institute for Genomic Research (TIGR、http://www.tigr.org/) 、The Joint Genome Institute(JGI 、http://genome.jgi-psf.org/mic _home.html)、The Sanger Institute(http://www.sanger.ac.uk/)、Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology (JAMSTEC 、http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/XBR/db/exbase/exbase.html) 、The Institut Pasteur(http://www.pasteur.fr/english.html)、The Kitasato Institute for Life Sciences(http://genome.ls.kitasato-u.ac.jp/index _j.html)、Real Environmental Genomix (Max Planck Institute、http://www.regx.de/m_home.php) 、Gottingen Genomics Laboratory, Institute of Microbiology and Genetics, Georg August University(http://www.g2l.bio.uni-goettingen.de/index.html)、National Institute of Technology and Evaluation (NITE 、http://www.bio.nite.go.jp/dogan/Top)、等があげられる。検索は遺伝子同士の相同性を数値化できるものであればどのようなものでも良いが、例えばダイナミックプログラミングアルゴリズム、FASTA アルゴリズム、BLAST アルゴリズム等を利用した汎用のソフトウエアを使用してもよい。このようなソフトウエアとしてはSSearch 3.4 、FASTA 3.4 、NCBI-BLAST 2.2. 等があげられる。また、検索は通常データベースを保有ないし直接アクセス可能なホストコンピュータ上で行うが、ホストコンピュータとのコミュニケーションおよび、目的の配列が限定した条件下(例えば菌株の限定等)での詳細な相同性の検索はパーソナルコンピュータを使用する。パーソナルコンピュータのハードウエアやプラットホームは使用するソフトウエアが実行可能であればどのようなものでも構わないが、実行速度が速い方が好ましい。
(1)で絞り込んだ遺伝子が実際にメナキノン新規生合成経路に関与することを遺伝子破壊により実証できる。以下、SCO 4506遺伝子の破壊株の取得を例示しながら説明するが、他の遺伝子破壊株でも同様に実施可能である。
Streptomyces coelicolor A3(2) 株用に用いられるプラスミドベクターpIJ702をBclI切断し、チオストレプトン耐性遺伝子を含むDNA断片を得る。本断片を大腸菌用のプラスミドベクターpUC19 のBamHI サイトにクローン化し、pUC19-tsr を得る。Streptomyces coelicolor A3(2) 株をYEME液体培地に植菌し、適当な条件で培養した後、常法に従い染色体DNAを単離・精製する。次いで、このDNAを鋳型に用い、in silico で絞り込んだSCO 4506の翻訳開始コドン上流3Kb のDNA領域を一対のプライマーを用いてPCR で増幅する。また、SCO 4506翻訳終止コドン下流域のDNAも一対のプライマーを用いてPCR で増幅する。PCR には、TaKaRa LA-PCR TM Kit Ver.2 (宝酒造社製) またはExpandTM High-Fidelity PCR System(ベーリンガー・マンハイム社製) 等を用い、DNA Thermal Cycler(パーキンエルマージャパン社製) を用いる。なお、後のクローニング操作を容易にするために、プライマーには適当な制限酵素部位を付加させておくことが好ましい。
上記in silico による新規経路に関与する遺伝子群の探索と遺伝子破壊実験による実証では、検索条件(検索に用いる母集団の数、オーソログ判定のための期待値の設定など)により、新規経路遺伝子(産物)を見逃す可能性がある。そこで、確実に全経路遺伝子の取得が可能な変異剤を用いたメナキノン要求性変異株の取得も行うことができる。放線菌Streptomyces coelicolor A3(2) 株を通常の変異処理を行い、メナキノン要求性変異株を取得する。この時に使用する変異処理は特に限定しないが、効率的に変異株が得られる方法が好ましい。このような方法としては、紫外線や放射線を照射する方法、N−メチル−N−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(ニトロソグアニジン;NTG)等のDNAのメチル化剤、等の変異源を有する薬剤と接触処理する方法、遺伝子工学的手法の一つである部位特異的変異誘発方法等があげられる。変異処理により得られた菌株は、培地中にメナキノンを添加した場合のみに増殖する菌株を選抜することで目的の変異株を得ることができる。変異株を培養するために使用する培地としては菌が増殖可能であればどのようなものでも構わないが、メナキノンの添加効果が現れやすい培地が好ましい。このような培地としては、合成培地のM9などがあげられる。培養条件は特に限定しないが、適当な温度(例えば30℃)で数日間培養する。また、培地に添加するメナキノンはプレニル側鎖の長さの違いによりいくつか存在するが、前記構造中n=1〜7のものが好ましく、放線菌S. coelicolor A3(2) 株が細胞内で生産する長さ(n=7)がもっとも添加効果が得られやすい。ただし、経済性を配慮して安価に入手可能なメナキノン4{長さ(n=3)}がもっとも好ましい。メナキノンの添加濃度は、0.1〜1000μg/ml、好ましくは1〜100μg/ml、もっとも好ましくは、2〜50μg/mlが良い。
前記(1)および(2)で実証できるメナキノン新規生合成経路に関与する遺伝子を取得できる。以下、SCO 4506遺伝子の取得を例示しながら具体的に説明するが、他の遺伝子の取得に関しても同様に実施可能である。
PCR 法により配列番号1の塩基配列を有するDNAを取得するためには、Streptomyces coelicolor A3(2) 株の染色体DNAを鋳型として使用し、ゲノム情報に基づき設計した1対のプライマーDNAを使用して、TaKaRa LA-PCR TM Kit Ver.2 (宝酒造社製) またはExpandTM High-Fidelity PCR System(ベーリンガー・マンハイム社製) 等を用い、DNAThermal Cycler (パーキンエルマージャパン社製) でPCRを行う。なお、後のクローニング操作を容易にするために、プライマーには適当な制限酵素部位を付加させておくことが好ましい。
例えば、配列番号1の塩基配列を有する放線菌由来のDNA断片の塩基配列を利用し、他の微生物等より、該DNAのホモログを適当な条件下でスクリーニングすることにより単離することができる。あるいは、上記したように変異DNAは化学合成、遺伝子工学的手法、突然変異誘発などの当業者が既知の任意の方法で作製することもできる。具体的には配列番号1の塩基配列を有するDNAを利用し、これらDNAに変異を導入することにより変異DNAを取得することができる。
例えば、配列番号1の塩基配列を有するDNAに対し、変異源となる薬剤と接触作用させる方法、紫外線を照射する方法、遺伝子工学的手法を用いて行うことができる。遺伝子工学的手法の一つである部位特異的変異誘発方法は特定の位置に特定の変異を導入できる手法であることから有用であり、モレキュラー・クローニング第2版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、Nucleic Acids Research,10,6487(1982)、Nucleic Acids Research,12,9441(1984)、Nucleic Acids Research,13,4431(1985)、Nucleic Acids Research,13,8749(1985)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,79,6409(1982)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,82,488(1985) 、Gene,102,67(1991) 等に記載の方法に準じて行うことができる。
前記(3)の方法で得ることができるメナキノン新規経路欠損株を相補する遺伝子を取得することにより、メナキノン新規経路遺伝子DNAを取得できる。放線菌S. coelicolor A3(2) 株の染色体DNAのプラスミドライブラリを調製し、このライブラリィから挿入配列の中に前記(3)で得たメナキノン新規経路欠損株を相補する遺伝子を取得することができる。染色体DNAの調製は、放線菌S. coelicolor A3(2) 株を適当な培地、例えばDifco yeast extract 3g, Difco Bacto-peptone 5g, oxoid malt extract 3g, glucose 10g, sucrose 340g, 5 mM MgCl2・6H2Oより成るYEME培地で適当な温度(例えば30℃) で数日間培養する。培養後、得られた培養液より遠心分離により菌体を取得し、菌体より公知の方法(Practical Streptomyces Genetics, T. Kieser et al., The John Innes Foundation, Norwich) に従い染色体DNAを単離精製する。得られた染色体DNAは公知の方法、例えば適当な制限酵素による切断と適当なプラスミド、例えばpIJ702とのリガ−ゼを用いた連結により、メナキノン要求性変異株に導入する。プラスミドDNAのメナキノン要求性変異株への導入は公知の方法、例えば、Practical Streptomyces Genetics, T. Kieser et al., The John Innes Foundation, Norwich に記載されているプロトプラスト・ポリエチレングリコール法で行うことができる。このようにして得られる形質転換株の中から、培地中にメナキノン類を添加することなく生育可能となった株を選抜できる。これらの株が持つプラスミドに挿入されているDNAを回収し、挿入されている配列の両端について塩基配列を決定することで挿入配列が染色体のどの部分のオペロンかを正確に知ることができる。なお、挿入配列の塩基配列の決定は公知の方法により決定できる。このように、オペロンによる相補性およびメナキノン要求性を確認することで、メナキノンの新規生合成経路を構成するタンパク質をコードするDNAを得ることができる。
以上より得られた配列番号1〜7の塩基配列を用いて、遺伝情報データベースに対して再度これらのORF 配列を持っている生物を検索し生物中での分布を調べ、表1のように分布していることを確認した。即ちヘリコバクター、カンピロバクター、クラミジア等一部の病原性や食中毒原因菌を含むことから、当該新規生合成経路をターゲットとする薬剤を開発することで、選択性の高い薬剤を得ることができる。
得られたORF を含むDNA断片を宿主細胞中で発現させるためにはまず目的とする該DNA断片を制限酵素あるいはDNA分解酵素で該遺伝子を含む適当な長さのDNA断片とした後、発現ベクター中においてプロモーターの下流に挿入し、次いで上記DNAを挿入した発現ベクターを、発現ベクターに適合した宿主細胞中に導入する。
宿主細胞としてはSaccharomyces cerevisae 、Schizosaccharomyces probe 、Kluyveromyces lactis、Trichosporon pullulans、Schwanniomyces alluvius 等をあげることができる。
組み換えベクターの導入方法は、酵母にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法[Methods. Enzymol, 194, 182(1990)]、 スフェロプラスト法[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75, 1929(1978)]、 酢酸リチウム法[J. Bacteriol., 153, 163(1983)]、あるいはProc. Natl. Acad. Sci. USA, 75, 1929(1978)に記載の方法等をあげることができる。
プロモーターとしては、動物細胞中で発現できるものであればいずれも用いることができ、例えば、サイトメガロウイルス(ヒトCMV)のIE(immediate early) 遺伝子のプロモーター,SV40 の初期プロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、SRαプロモーター等をあげることができる。また、ヒトCMV のIE遺伝子のエンハンサーをプロモーターとともに用いても良い。宿主細胞としては、ナマルバ細胞、HBT5637(特開昭63-299号公報) 、COS1細胞、COS7細胞、CHO 細胞等をあげることができる。
動物細胞への組み換えベクターの導入法としては、動物細胞にDNAを導入できるいかなる方法でもよいが、例えば、エレクトロポレーション法(Cytotecnology, 3, 133(1990)) 、リン酸カルシウム法( 特開平2-227075) 、リポフェクション法[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 7413(1987)]、virology, 52, 456(1973) に記載の方法等を用いることができる。形質転換体の取得および培養は、特開平2-227075号公報あるいは特開平2-257891号公報に記載されている方法に準じて行うことができる。
バキュロウイルスとしては、例えば、夜盗蛾科昆虫に感染するウイルスであるアウトグラファ・カリフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus) 等を用いることができる。昆虫細胞としては、Spodoptera frugiperda の卵巣細胞であるSf9 、Sf21[バキュロウイルス・エクスプレッション・ベクターズ、ア・ラボラトリー・マニュアル、ダブリュー・エイチ・フリーマン・アンド・カンパニー(W. H. Freeman and Company) 、ニューヨーク(New York)、(1992)]、Trichoplusia ni の卵巣細胞であるHigh5(インビトロジェン社製) 等を用いることができる。
組み換えウイルスを調製するための、昆虫細胞への上記組み換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウイルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法(特開平2-227075号公報) 、リポフェクション法[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 7413(1987)]等をあげることができる。遺伝子の発現方法としては、直接発現以外に、モレキュラー・クローニング第2版に記載されている方法に準じて、分泌生産、融合タンパク質発現等を行うことができる。酵母、動物細胞または昆虫細胞により発現させた場合、糖あるいは糖鎖が付加されたタンパク質を得ることができる。
上記B)で取得した形質転換体を、上記B)の方法に準じて培養し、培養物中にメナキノンを生成蓄積させ、該培養物からメナキノンを採取することにより、メナキノンを製造あるいは通常細胞内に存在するよりも大量に製造することができる。該培養により例えば、Escherichia 属に属する微生物を形質転換体としてメナキノンの製造や、Streptomyces属に属する微生物を形質転換体としてメナキノンの製造をあげることができる。培養終了後、培養物に適当な有機溶媒を加えてメナキノンを抽出し、遠心分離や濾過等で沈殿物を除去した後、各種クロマトグラフィーを行うことによりメナキノンを単離・精製することができる。
本発明のメナキノンの新規な生合成経路は表1のような微生物に分布している。表1の微生物には、胃潰瘍の原因菌とされる、ヘリコバクター属の微生物や、食中毒の原因菌のひとつであるカンピロバクター属、性器クラミジア感染症の原因菌であるクラミジア属、等の微生物が多く含まれる。このため、本発明のメナキノンの新規な生合成経路に特異的な薬剤は選択性の高い薬剤であると期待できる。また、メナキノンの新規な生合成経路はヒトを含む哺乳類には全く存在しないことから、安全性が高いことも期待できる。
(1)in silico による候補DNAの推定
ゲノム解析が終了しており、かつメナキノンを生合成することが確認されている微生物の中から、既知メナキノン生合成経路遺伝子群、すなわちmenF、menD、menC、menE、menBを持っている微生物と持っていない微生物をin silico により探索した。具体的には、National Center for Biotechnology Information のデータベースPubMed(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=PubMed )から、Search for Nucleotide for menFとして検索を行うと、Escherichia coli、Salmonella typhimurium、Haemophilus influenzae、Bacillus subtilis 、Corynebacterium glutamicum、 Mycobacterium tuberculosis 等の微生物が当該遺伝子を持つ菌株として検索された(旧経路菌株)。同様に、順次、menD、menC、menE、menB遺伝子をキーワードに用いることによっても、旧経路菌株の微生物が当該遺伝子を持つ菌株として検索された。さらに、詳細な解析が行われている大腸菌のmenF、menD、menC、menE、menB産物のアミノ酸配列を問い合わせ配列として、DNA Data Bank of Japan(日本DNA データバンク、http://www.ddbj.nig.ac.jp/searches-j.html )の検索・解析サービスを用いてSSearch 、FASTA 、Blast 検索を行うと、旧経路菌株に個々の遺伝子のオーソログが探索できた。したがって、これら微生物では既知経路(旧経路)が作動していることが確認できた。他方、Streptomyces coelicolor 、Streptomyces avermitilis、Geobacter metallireducens 、Helicobacter pylori 、Campylobacter jejuni、Archaeoglobus fulgidus、Aquifex aeolicusなどの微生物では(新経路菌株)、メナキノンを生合成することが確認されているにもかかわらず、上記、National Center for Biotechnology Information のデータベースPubMedを用いた探索においても、日本DNA データバンクを利用したSSearch 、FAS TA 、Blast 検索においても、menF、menD、menC、menE、menBのオーソログの存在を検出できなかった。
1)上記8つの微生物が持つ個々の遺伝子産物に対して、期待値(E値、Eスコア、e-value とも言う)が−10以下のものをオーソログとみなす。
2)旧経路菌株4株の内、少なくとも3株に共通に存在するオーソログを旧経路菌株特異的オーソログとみなす。
3)同様に、新経路菌株4株の内、少なくとも3株に共通に存在するオーソログを新経路菌株特異的オーソログとみなす。
4)最終的に、新経路菌株特異的オーソログの中から、旧経路菌株特異的オーソログを除く。
以上の条件で新規経路に関与すると予想される遺伝子群を絞り込んだ後、転写調節因子、物質輸送に関与する膜タンパクなど、明らかに新規経路に関与していないと推定された遺伝子群を除外することにより、Streptomyces coelicolor については、配列番号1〜7に記載したDNA、および配列番号8〜14に記載したタンパク質を選択できた。
(2)−1、SCO 4506の破壊
Streptomyces coelicolor A3(2) 株用に用いられるプラスミドベクターpIJ702をBclI切断後、アガロースゲル電気泳動し、チオストレプトン耐性遺伝子を含む約800bp のDNA断片を取得した。上記で取得したDNA断片をpUC19 (ニッポンジーン社製)と混合した後、エタノール沈殿を行い、得られたDNA沈殿物を5μlの蒸留水に溶解し、ライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。該組換え体DNAを用い、E. coli (東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。生育してきたアンピシリン耐性の形質転換体のコロニー数個について、アンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃で16時間振盪培養した。得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。該方法により単離したプラスミド中に目的のチオストレプトン耐性遺伝子を含むDNA断片が挿入されていることを確認し、本プラスミドをpUC19-tsr と命名した。次いで、Streptomyces coelicolor A3(2) 株を1白金耳、100mlのYEME液体培地(Difco yeast extract 3g, Difco Bacto-peptone 5g, oxoid malt extract 3g, glucose 10g, sucrose 340g, 5mM MgCl2・6H2O)に植菌し、30℃で3日間培養した後、常法に従い染色体DNAを単離・精製した。次いで、in silico で絞り込んだ候補遺伝子の翻訳開始コドン上流3Kb のDNA領域と翻訳終止コドン下流3Kb のDNA領域をPCR により増幅した。具体的には、SCO 4506の翻訳開始コドン上流3Kb のDNA領域の増幅には、下記の配列2-1-a および配列2-1-b の2つのプライマーを用いた。なお、各々のプライマーには、サブクローニングしやすいようにEcoRI 部位とSacI部位を導入した(下線部)。また、翻訳終止コドン下流3Kb のDNA領域の増幅には、下記の配列2-1-c および配列2-1-d の2つのプライマーを用いた。これらプライマーにも各々制限酵素部位(XbaIとHindIII )を導入した(下線部)。染色体DNAを鋳型として、これらプライマーと、TaKaRa LA-PCR TM Kit Ver.2( 宝酒造社製) 、ExpandTM High-Fidelity PCR System(ロシュ社製) またはTaq DNA polymerase(Promega 社製)を用い、DNA増幅装置 (MJ Research 社製) でPCRを行った。PCRは、95℃で30秒間、55℃で1分間、72℃で2分間からなる反応工程を1サイクルとして、30サイクル行った後、72℃で10分間反応させる条件で行った。PCR終了後、各々の反応液をアガロースゲル電気泳動し、約3KbのDNA断片を取得した。次いで、上記と同じ方法で、各々の断片をpUC19にサブクローン化した。得られたプラスミドの塩基配列を決定することにより、目的のSCO 4506の翻訳領域上流3Kb 、および翻訳領域下流3Kb の領域を含むDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認し、本プラスミドをp4506-UPとp4506-DOWN と命名した。次いで、p4506-UPからSCO 4506の翻訳領域上流3Kb 領域を含むEcoRI-SacI断片を、また、p4506-DOWN からSCO 4506翻訳領域の下流を含むXbaI-HindIII断片を調製し、上記と同様の方法で、pUC19-tsr の対応する各々の制限酵素部位に導入し、SCO 4506破壊用プラスミドpUC-4506-Disrpt を得た。次いで、本プラスミドをEcoRI-HindIII 切断し、SCO 4506の翻訳領域のみがチオストレプトン耐性遺伝子で置き換えられているDNA断片を上記と同じ方法で得た。
配列2-1-a ; 5'-CCGGAATTCGCCGGAGGGCGACTGGTCCGA-3'
配列2-1-b ; 5'-GGCGAGCTCATCGCGAGGCTAGCCCTCCCC-3'
翻訳終止コドン下流3Kb のDNA領域用プライマー
配列2-1-c ; 5'-TGCTCTAGACACGGCCGGGGCGTCGCCGCG-3'
配列2-1-d ; 5'-CCCAAGCTTGACCGCTGGGAGGGGTGGGTG-3'
基本的にSCO 4506の破壊と同様の方法でSCO 4326がメナキノンの新規生合成経路に関与することを実証した。SCO 4326の翻訳開始コドン上流3Kb のDNA領域をプライマー(下記の配列2-2-a および配列2-2-b のプライマー)を用いてPCR で増幅した。PCR による複製エラーが無いことを塩基配列解析により確認した後、pUC19のSacI-BamHI部位に挿入した。次いで、本プラスミドのBamHI 部位にpIJ702から調製したチオストレプトン耐性遺伝子を含むBclI断片を挿入した。さらに、本プラスミドにプライマー(下記の配列2-2-c および配列2-2-d のプライマー)で増幅、塩基配列確認したSCO 4326の翻訳終止コドン下流3Kb のDNA領域を含むPstI-HindIII断片を挿入した。本プラスミドを用いて、上記(2)−1同様の手法でSCO 4326を破壊し、SCO 4326もメナキノンの新規生合成経路に関与することを実証した。
配列2-2-a ; 5'-GGCGAGCTCCATACGCCGTCTCACGAGTGC-3'
配列2-2-b ; 5'-GGGGGATCCTCAGCGCTCATGCGGTTTCCA-3'
翻訳終止コドン下流3Kb のDNA領域用プライマー
配列2-2-c ; 5'-AAACTGCAGGACGGCCGGGGCGAGGAGATC-3'
配列2-2-d ; 5'-CCCAAGCTTAGGTCGTCTTCGAGTATCTGA-3'
SCO 4327については基本的にSCO 4506の破壊と同様の方法でSCO 4327がメナキノンの新規生合成経路に関与することを実証した。なお、以下のプライマーを用いてPCR で増幅した。
翻訳開始コドン上流3Kb のDNA領域用プライマー
配列2-3-a ; 5'-GCGGAATTCGGGCCGTAGCCCTCCTCCCAG-3'
配列2-3-b ; 5'-GCGGGTACCCTCCGTGCCCGGCGCGGGGAA-3'
翻訳終止コドン下流3Kb のDNA領域用プライマー
配列2-3-c ; 5'-GAGTCTAGACACCCTGCAGATCGCGTACTC-3'
配列2-3-d ; 5'-GTGAAGCTTCACCGAGGGCCGCTGGGGCGA-3'
SCO 4550については基本的にSCO 4506の破壊と同様の方法でSCO 4550がメナキノンの新規生合成経路に関与することを実証した。なお、以下のプライマーを用いてPCR で増幅した。
翻訳開始コドン上流3Kb のDNA領域用プライマー
配列2-4-a ; 5'-CCCAAGCTTGCTGGTCGAGATGCCCGACGA-3'
配列2-4-b ; 5'-TGCTCTAGACGGCGTCCCTTTCGCAAGGTT-3'
翻訳終止コドン下流3Kb のDNA領域用プライマー
配列2-4-c ; 5'-CGGGGTACCGGCCGCCGTGCTGAGGATCCA-3'
配列2-4-d ; 5'-CCGGAATTCGACGGCGGGCCGTTTCCAGTC-3'
SCO 4490については基本的にSCO 4506の破壊と同様の方法でSCO 4490がメナキノンの新規生合成経路に関与することを実証した。なお、以下のプライマーを用いてPCR で増幅した。
翻訳開始コドン上流3Kb のDNA領域用プライマー
配列2-5-a ; 5'-CCGGAATTCGCCCGGTCGGACTCTGGCCCC-3'
配列2-5-b ; 5'-GGGGGTACCGCCGTCCAGTATCCCCGAGCG-3'
翻訳終止コドン下流3Kb のDNA領域用プライマー
配列2-5-c ; 5'-TGCTCTAGACGTCGGCTTCCGCCGCCCTGC-3'
配列2-5-d ; 5'-CCCAAGCTTCCATCTGCGTCCGCGCCTGGA-3'
SCO 4492については基本的にSCO 4506の破壊と同様の方法でSCO 4492がメナキノンの新規生合成経路に関与することを実証した。なお、以下のプライマーを用いてPCR で増幅した。
翻訳開始コドン上流3Kb のDNA領域用プライマー
配列2-6-a ; 5'-CCGGAATTCAGGAGCGCGAACGCCTGGCTC-3'
配列2-6-b ; 5'-CGGGGTACCGCGCTGCGTCTGTCCTGGCTT-3'
翻訳終止コドン下流3Kb のDNA領域用プライマー
配列2-6-c ; 5'-TGCTCTAGAGCACCGACTCCCCCCACACGT-3'
配列2-6-d ; 5'-CCCAAGCTTTGAGGCGTATCGCCTCGATGC-3'
SCO 4494については基本的にSCO 4506の破壊と同様の方法でSCO 4494がメナキノンの新規生合成経路に関与することを実証した。なお、以下のプライマーを用いてPCR で増幅した。
翻訳開始コドン上流3Kb のDNA領域用プライマー
配列2-7-a ; 5'-GGAAGATCTCACTACCAGGTCGCCGCCCGC-3'
配列2-7-b ; 5'-CCGCTCGAGTTACTGGACCTCTTCGGGCAG-3'
翻訳終止コドン下流3Kb のDNA領域用プライマー
配列2-7-c ; 5'-CCCAAGCTTGTTTCGCGGTAGTTCTCCGCC-3'
配列2-7-d ; 5'-GGCGAGCTCGCTCGGTGACCTTCTGGGTCA-3'
上記(1)、(2)で記載したin silico による新規経路に関与する遺伝子群の探索と遺伝子破壊実験による実証では、検索条件{検索に用いる母集団の数、オーソログ判定のための期待値の設定、新(旧)経路特異的オーソログを設定する際、母集団中、幾つの微生物が持てば新(旧)経路特異的オーソログとみなすかの設定など}により、新規経路遺伝子(産物)を見逃す可能性がある。そこで、確実に全経路遺伝子の取得が可能な変異原を用いたメナキノン要求性変異株の取得を行った。具体的には、病原性が無いStreptomyces coelicolor の胞子(1×1010個)を常法により、N-methyl-N-nitro-N- nitrosoguanidineを用いて変異処理を行い、市販のメナキノンのプレニル側鎖が4であるメナキノン4(100μg/ml)含有ATCC5 培地(スターチ0.2 %、Difco yeast extract 0.1 %、Difco Bacto beef extract 0.1%、 FeSO4・7H2O 0.01 %、寒天 2%、pH 7.5)に塗布した。30℃で4日間培養した後、個々のコロニーを爪楊枝を用いて、メナキノン4(100μg/ml)含有ATCC5 培地とメナキノン4を含まないATCC5 培地の2つのプレートにレプリカした。30℃で4日間培養した後、メナキノン4(100μg/ml)含有ATCC5 培地でのみ生育した株を新規メナキノン経路欠損株とした。
実施例1の(1)と(2)で同定できたメナキノン新規生合成路に関与する各遺伝子群をPCR により増幅した。Streptomyces coelicolor A3(2) 株のゲノム情報に基づき、SCO 4506遺伝子の5'側のプライマーとして、下記の配列4-a を、3'側のプライマーとして、下記の配列4-b を作成した。Streptomyces coelicolor A3(2) 株の染色体DNAを上記の方法で調製した後、このDNAを鋳型として、上記プライマーと、TaKaRa LA-PCR TM Kit Ver.2(宝酒造社製) 、ExpandTM High-Fidelity PCR System(ロシュ社製) またはTaq DNA polymerase(Promega 社製)を用い、DNA増幅装置 (MJ Research 社製) でPCRを行った。PCRは、95℃で30秒間、60℃で1分間、72℃で2分間からなる反応工程を1サイクルとして、30サイクル行った後、72℃で10分間反応させる条件で行った。PCR終了後、該反応液をアガロースゲル電気泳動し、約850 bpのDNA断片を取得した。上記で取得したDNA断片をpGEM-T Easy ベクター(Promega 社製)と混合した後、エタノール沈殿を行い、得られたDNA沈殿物を5μlの蒸留水に溶解し、ライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。該組換え体DNAを用い、E. coli (東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。生育してきたアンピシリン耐性の形質転換体のコロニー数個について、アンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃で16時間振盪培養した。得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、さらに塩基配列を決定することにより、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
同様の方法で、SCO 4326は、下記の配列4-c と配列4-d をプライマーに用いて、SCO 4327は、下記の配列4-e と配列4-f をプライマーに用いて、SCO 4550は下記の配列4-g と配列4-h をプライマーに用いて、SCO 4490は、下記の配列4-i と配列4-j をプライマーに用いて、SCO4492は、下記の配列4-k と配列4-l をプライマーに用いて、SCO 4494は、下記の配列4-m と配列4-n をプライマーに用いて、目的遺伝子を各々取得した。
配列4-a ; 5'-GTGGACAATTCTCGCACCCGGCCGCGTGTC-3'
遺伝子増幅用プライマー (SCO 4506遺伝子3'側)
配列4-b ; 5'-TCAGGGCTTGAGCAGCTCGACCTTCACGTC-3'
遺伝子増幅用プライマー (SCO 4326遺伝子5'側)
配列4-c ; 5'-ATGAGCGCTGACACCCTGCAGATCGCGTAC-3'
遺伝子増幅用プライマー (SCO 4326遺伝子3'側)
配列4-d ; 5'-CTACGGGAACGCCAGCGCGTCCGGGCCGAG-3'
遺伝子増幅用プライマー (SCO 4327遺伝子5'側)
配列4-e ; 5'-GTGTCCCGCCCCGGGATCACCCTCCACCGG-3'
遺伝子増幅用プライマー (SCO 4327遺伝子3'側)
配列4-f ; 5'-TCAGCGCTCATGCGGTTTCCAACTCTCAAG-3'
遺伝子増幅用プライマー (SCO 4550遺伝子5'側)
配列4-g ; 5'-GTGACCGAGAAGGCCGACCTTCAGCCCATC-3'
遺伝子増幅用プライマー (SCO 4550遺伝子3'側)
配列4-h ; 5'-TCAGTTGGGGCGAGCAGCTTCAGCTCGGGG -3'
遺伝子増幅用プライマー (SCO 4490遺伝子5'側)
配列4-i ; 5'-ATGGCTTACGACGATCTTCGCTCCCTGCTC-3'
遺伝子増幅用プライマー (SCO 4490遺伝子3'側)
配列4-j ; 5'-TCACAGTCCGTACTCCTTCCAGCGGCGGTC-3'
遺伝子増幅用プライマー (SCO 4492遺伝子5'側)
配列4-k ; 5'-GTGCCTTGGATCGTGGGGGTGTCCGGGGCC-3'
遺伝子増幅用プライマー (SCO 4492遺伝子3'側)
配列4-l ; 5'-TCAGCCGGTGGGGCGGGCCCCGCCGAGGTC-3'
遺伝子増幅用プライマー (SCO 4494遺伝子5'側)
配列4-m ; 5'-ATGGACGCCGGGCTCAAGCGCGAGCTGGAG-3'
遺伝子増幅用プライマー (SCO 4494遺伝子3'側)
配列4-n ; 5'-TCACACCCGCATCGGCTGCGGCGACTCCCG-3'
Streptomyces coelicolor A3(2) 株を1白金耳、100mlのYEME液体培地(Difco yeast extract 3g, Difco Bacto-peptone 5g, oxoid malt extract 3g, glucose 10g, sucrose 340g, 5 mM MgCl2・6H2O)に植菌し、30℃で3日間培養した。常法に従い染色体DNAを単離・精製した後、制限酵素Sau 3 AIによる部分分解を行った。Sau 3 AI部分分解溶液200〜400μl(100〜200μg)を10〜40%ショ糖密度勾配に重層し、28,000rpm 、20℃で16時間遠心した(ローター; SW41TI、BECKMAN )。500μlずつ分画し、一部(10μl)を0.7% Agarose電気泳動にかけ、10 Kbp程度の画分を1つにまとめ回収した。TE緩衝液で10倍希釈し、イソプロピルアルコール沈殿、70%エタノール洗浄後、適当量のTE緩衝液で溶解した。プラスミドベクターpIJ702を制限酵素BglII で切断後、bacterial Alkaline Phosphatase (BAP)による切断末端の脱リン酸化を行い、上記分画したDNAとT4 ligase によって連結した。このDNAをPractical Streptomyces Genetics (ISBN 0-7084-0623-8)に記載の方法を用いて、上記(3)で得たメナキノン新規経路遺伝子欠損株のプロトプラストに導入し、メナキノン類を含まないR5再生培地に塗布した。16時間後に、チオストレプトン(最終濃度25μg/ml)を含む軟寒天培地を重層した後、30℃で3日間培養し、チオストレプトン耐性株を得た。これら形質転換株は、メナキノン4を含まないR5寒天培地やYEME液体培地で生育可能になったこと、また形質転換株から、全メナキノンを抽出し、HPLCでメナキノンの種類を同定すると、本来Streptomyces coelicolor A3(2) 株が持つイソプレン側鎖が8であるメナキノン8が検出できたことから、形質転換株が持つプラスミドに挿入されているDNA断片中には、メナキノン新規経路に関与する遺伝子が含まれていることが確認できた。
実施例1の(4)で実施したのと同じ方法で、S. coelicolor A3(2) 株のゲノム情報に基づき、SCO 4506遺伝子の5'側のプライマーとして、下記の配列6-a を、3'側のプライマーとして、下記の配列6-b を作成した。S. coelicolor A3(2) 株の染色体DNAを上記の方法で調製した後、このDNAを鋳型として、上記プライマーと、TaKaRa LA-PCR TM Kit Ver.2(宝酒造社製) 、ExpandTM High-Fidelity PCR System(ロシュ社製) またはTaq DNA polymerase(Promega 社製)を用い、DNA増幅装置 (MJ Research 社製) でPCRを行った。PCRは、95℃で30秒間、60℃で1分間、72℃で2分間からなる反応工程を1サイクルとして、30サイクル行った後、72℃で10分間反応させる条件で行った。PCR終了後、該反応液をアガロースゲル電気泳動し、約1150bpのDNA断片を取得した。上記で取得したDNA断片をpGEM-T Easy ベクター(Promega 社製)と混合した後、エタノール沈殿を行い、得られたDNA沈殿物を5μlの蒸留水に溶解し、ライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。該組換え体DNAを用い、E. coli (東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。生育してきたアンピシリン耐性の形質転換体のコロニー数個について、アンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃16時間振盪培養した。得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、さらに塩基配列を決定することにより、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
SCO 4326、SCO 4327、SCO 4550、SCO 4490、SCO4492、SCO4494はそれぞれ下記の配列のプライマーを使用する以外はSCO4506と同様に操作することでプラスミドを単離し、さらに塩基配列を決定することにより、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
蛋白質発現用プライマー (SCO 4506遺伝子5'側)
配列6-a ; 5'- ACATGCATGCGACAATTCTCGCACCCGGCC-3' SphI
蛋白質発現用プライマー (SCO 4506遺伝子3'側)
配列6-b ; 5'- ACCAAGCTTTCAGGGCTTGAGCAGCTCGAC-3' HindIII
蛋白質発現用プライマー (SCO 4326遺伝子5'側)
配列6-c ; 5'- GGGGGATCCAGCGCTGACACCCTGCAGATC-3' BamHI
蛋白質発現用プライマー (SCO 4326遺伝子3'側)
配列6-d ; 5'- ACCAAGCTTCTACGGGAACGCCAGCGCGTC-3' HindIII
蛋白質発現用プライマー (SCO 4327遺伝子5'側)
配列6-e ; 5'- GGGGGATCCTCCCGCCCCGGGATCACCCTC-3' BamHI
蛋白質発現用プライマー (SCO 4327遺伝子3'側)
配列6-f ; 5'- ACCAAGCTTTCAGCGCTCATGCGGTTTCCA-3' HindIII
蛋白質発現用プライマー (SCO 4550遺伝子5'側)
配列6-g ; 5'- GGGGGATCCACCGAGAAGGCCGACCTTCAG-3' BamHI
蛋白質発現用プライマー (SCO 4550遺伝子3'側)
配列6-h ; 5'- ACCAAGCTTTCAGTTGGGGGCGAGCAGCTT-3' HindIII
蛋白質発現用プライマー (SCO 4490遺伝子5'側)
配列6-i ; 5'- CCCGAGCTCGCTTACGACGATCTTCGCTCC-3' SacI
蛋白質発現用プライマー (SCO 4490遺伝子3'側)
配列6-j ; 5'- ACCAAGCTTTCACAGTCCGTACTCCTTCCA-3' HindIII
蛋白質発現用プライマー (SCO 4492遺伝子5'側)
配列6-k ; 5'- GGGGGATCCCCTTGGATCGTGGGGGTGTCC-3' BamHI
蛋白質発現用プライマー (SCO 4492遺伝子3'側)
配列6-l ; 5'- ACCAAGCTTTCAGCCGGTGGGGCGGGCCCC-3' HindIII
蛋白質発現用プライマー (SCO 4494遺伝子5'側)
配列6-m ; 5'- GGGGGATCCGACGCCGGGCTCAAGCGCGAG-3' BamHI
蛋白質発現用プライマー (SCO 4494遺伝子3'側)
配列6-n ; 5'- ACCAAGCTTTCACACCCGCATCGGCTGCGG -3' HindIII
実施例1の(4)で実施したのと同じ方法で、メナキノン新規生合成路に関与する各遺伝子群を持つ表1に記載した菌株の中からThermus thermophilus HB8株を選択し、SCO 4550のオーソログ遺伝子(TTHA1092)(実施例2−1)、SCO 4506のオーソログ遺伝子(TTHA0803)(実施例2−2)、SCO 4494のオーソログ遺伝子(TTHA0804)(実施例2−3)を取得した。
まず実施例2−1について以下に示す。
Thermus thermophilus HB8 株のゲノム情報に基づき、TTHA1092遺伝子の5'側のプライマー(下記の配列TTHA-aのプライマー) および3側のプライマー(下記の配列TTHA-bのプライマー)を作成した。市販のThermus thermophilus HB8株染色体DNA(宝酒造社製、Code 3071 )を鋳型として、これらプライマーと、TaKaRa LA-PCR TM Kit Ver.2(宝酒造社製) 、ExpandTM High-Fidelity PCR System(ロシュ社製) またはTaq DNA polymerase(Promega 社製)を用い、DNA増幅装置 (MJResearch 社製) でPCRを行った。PCRは、95℃で30秒間、60℃で1分間、72℃で2分間からなる反応工程を1サイクルとして、30サイクル行った後、72℃で10分間反応させる条件で行った。PCR終了後、該反応液をアガロースゲル電気泳動し、約1150bpのDNA断片を取得した。上記で取得したDNA断片をpGEM-T Easy ベクター(Promega 社製)と混合した後、エタノール沈殿を行い、得られたDNA沈殿物を5μlの蒸留水に溶解し、ライゲーション反応を行うことにより組換え体DNAを取得した。該組換え体DNAを用い、E. coli (東洋紡より購入)DH5α株を常法に従って形質転換後、該形質転換体をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。生育してきたアンピシリン耐性の形質転換体のコロニー数個について、アンピシリン50μg/mlを含むLB液体培地5mlで37℃16時間振盪培養した。得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。該菌体より常法に従ってプラスミドを単離した。該方法により単離したプラスミドを各種制限酵素で切断して構造を調べ、さらに塩基配列を決定することにより、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。実施例2−2〜2−4については、SCO 4506のオーソログ遺伝子(TTHA0803)(実施例2−2)およびSCO 4494のオーソログ遺伝子(TTHA0804)(実施例2−3)は下記の配列のプライマー(それぞれ下記の配列TTHA-cから配列TTHA-fのプライマー)を使用する以外は実施例2−1と同様に操作することでプラスミドを単離し、さらに塩基配列を決定することにより、目的のDNA断片が挿入されているプラスミドであることを確認した。
TTHA1092遺伝子の5'側のプライマー
配列TTHA-a; 5'-ACATGCATGCAAGGGCATGGACGTCCTGGAGAAGG-3' SphI
TTHA1092遺伝子の3'側のプライマー
配列TTHA-b; 5'-ACCAAGCTTTTAGGCGAGGGGGAGCTCCACGGGCT-3' HindIII
TTHA0803遺伝子の5'側のプライマー
配列TTHA-c; 5'-GGGGGATCCAGGCCCTACGTCCTGGGCCTTCCCCG-3' BamHI
TTH0803遺伝子の3'側のプライマー
配列TTHA-d; 5'-ACCAAGCTTCTACTCAGGATAGAACATAGGGGCGA-3' HindIII
TTHA0804遺伝子の5'側のプライマー
配列TTHA-e; 5'-CGGGGTACCAGAGGCATCCGGGACCCCCGCCTCAT-3' KpnI
TTHA0804遺伝子の3'側のプライマー
配列TTHA-f; 5'-ACCAAGCTTTCACGCCTCCACCCGGTCCCAGACCC-3' HindIII
実施例1の(5)で得たメナキノン新規経路欠損株を相補するDNAの中から、SCO 4327とSCO 4326を含むオペロンを持つプラスミド(pMK4326-7)(実施例3)、SCO 4490、SCO 4491、SCO 4492を含むオペロンを持つプラスミド(pMK4490-2)(実施例4)、SCO 4506を含むオペロンを持つプラスミド(pMK4506)(実施例5)、SCO 4550を含むオペロンを持つプラスミド(pMK4550)(実施例6)を保持する形質転換株を、各々チオストレプトン5μg/mlを含む10mlのYEME液体培地で30℃、3日間振盪培養した。得られた培養液を遠心分離することにより菌体を取得した。該菌体よりPractical Streptomyces Genetics (ISBN 0-7084-0623-8)に記載の方法を用いてプラスミドを単離した。各々の得られたプラスミドを用いて、Streptomyces coelicolor A3(2) 株を、Practical Streptomyces Genetics (ISBN 0-7084-0623-8)に記載のプロトプラスト、ポリエチレングリコール法で形質転換し、4種類の形質転換株{S. coelicolor A3(2)/pMK4326-7 、S. coelicolor A3(2)/pMK4490-2、S. coelicolor A3(2)/pMK4506 、S. coelicolor A3(2)/pMK4550 }を得た。
(1)形質転換体の培養
実施例3〜6で作成した4種類の形質転換株(実施例7〜10)および未処理株{S. coelicolor A3(2)/pIJ702 比較例1}を、各々チオストレプトン5μg/mlを含むSK No.2 (可溶性でんぷん2%、グルコース0.5%、酵母エキス0.5%、Bacto TM Peptone 0.3%、肉エキス0.3%、KH2 PO4 0.02%、MgSO4 0.006%)培地5mlに植菌し、30℃で4日間培養した。本培養として前培養液全量をSK No.2 培地30mlに植菌し、30℃で5日間培養した。培養後、遠心分離(3,600rpm, 10min, R.T.) により菌体を15mlファルコンチューブに回収、滅菌水で洗浄した後再度遠心分離により菌体を回収して−80℃で冷凍、凍結乾燥を行った。得られた乾燥菌体は重量を測った後に、15mlファルコンチューブ内でミクロスパーテルを用いて十分に破砕した。乾燥重量0.1gにつき2ml程度のchloroform-methanol (2:1) を加え30℃で終夜振盪した。濾過により菌体を除き、エバポレーターにより溶媒を除去してオイル状の抽出物を得た。次に前操作で加えたchloroform-methanol (2:1) と等量のacetone を加えVortexにより激しく攪拌し、前操作と同様に濾過により沈殿を除き、溶媒の除去を行った。菌体抽出物にacetone 200μlを加え再溶解させ、Cosmonice Filter S(溶媒系)(Millipore )を通し、それぞれ油状物質を得た。
得られた油状物質のメナキノン含量を以下のHPLC測定により定量した結果、乾燥菌体1g当たりのメナキノン含量はそれぞれ225μg(実施例7)、120μg(実施例8)、263μg(実施例9)、275μg(実施例10)、72μg(比較例1)であり、比較例1に比べて実施例7〜10の生産性が高いことが明確であった。
カラム :Mightysil RP-18GP 250-4.6 (5μm) (関東化学株式会社製)
溶媒 :2-propanol : methanol = 2:1
流速 :1ml/min
温度 :30℃
検出波長 :210nm,270nm
Inject volume :20μl
実施例2−4で調製した蛋白質の1時間静置後の相互作用を確認するために、Native-PAGE(アトー株式会社製、PAGEL 型式NPU-R12.5L、コード2331468)による分析を行った。その結果、〔図3〕(4℃)及び〔図4〕(50℃)の泳動写真に示すように、蛋白質P-TTHA1092および蛋白質P-TTHA0804は、単独では4℃及び50℃共に電気泳動パターンに変化はないが、蛋白質P-TTHA1092および蛋白質P-TTHA0804を混合した場合では、泳動パターンが4℃に比べて50℃で泳動パターンがクリアになり分子量も大きくなっており、相互作用を証明できた(実施例11)。すなわち、これらの蛋白質をコードする遺伝子TTHA1092、TTHA0804、およびこれらのS. coelicolor A3(2)株のオーソログ遺伝子SCO4550、SCO4494は、メナキノンの新規生合成経路に関する遺伝子であることが明確であり、これらの遺伝子を宿主に組み込むことでメナキノンの増産が可能である。また、蛋白質P-TTHA0803と蛋白質P-TTHA0804の間には相互は、見られなかった。
なお、〔図3〕及び〔図4〕において、レーン1〜レーン7は以下に示す通りである。
レーン1:第一化学 タンパク質分子量マーカー 「第一」・I
レーン2:蛋白質P-TTHA0804
レーン3:蛋白質P-TTHA0803
レーン4:蛋白質P-TTHA0804 + 蛋白質P-TTHA0803(参考例1)
レーン5:蛋白質P-TTHA1092
レーン6:蛋白質P-TTHA1092 + 蛋白質P-TTHA0804(実施例12)
レーン7:第一化学 タンパク質分子量マーカー 「第一」・I
実施例1の(2)と(3)で記載したように、メナキノン新規生合成経路欠損株は、メナキノン4存在下で生育できるが、メナキノン4が無い条件下では生育できない。そこで、メナキノン4入りのATCC5 寒天培地と、メナキノン4を含まないATCC5 寒天培地の2つの固形培地に試験する各種薬剤として、土壌から分離した放線菌の培養液の酢酸エチル抽出物へ培養液10μL相当を添加後、Streptomyces coelicolor A3(2) 株を塗布し、30℃で3日間培養した。メナキノン4入りのATCC5 寒天培地では生育可能であるが、メナキノン4を含まないATCC5 寒天培地では生育できない放線菌培養抽出物の探索を行うという手順により、各種薬剤を評価することで、メナキノンの新規な生合成経路に特異的な阻害剤のスクリーニングを実施した。
Claims (1)
- 下記のA〜Gのいずれかの塩基配列を含むDNAを宿主に形質転換して作製した形質転換体を培養して培養物中にメナキノンを生成させる工程、および該培養物からメナキノンを採取する工程を含む、メナキノンの製造方法。
A.下記(A1)〜(A3)のいずれかを有する塩基配列;
(A1)配列番号1の塩基配列 (オープン・リーディング・フレームSCO 4506)であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(A2)配列番号1において1〜10個の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入されている塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(A3)配列番号1の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
B.下記(B1)〜(B3)のいずれかを有する塩基配列;
(B1)配列番号2の塩基配列 (オープン・リーディング・フレームSCO 4327) であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(B2)配列番号2において1〜10個の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入されている塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(B3)配列番号2の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
C.下記(C1)〜(C3)のいずれかを有する塩基配列;
(C1)配列番号3の塩基配列 (オープン・リーディング・フレームSCO 4550) であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(C2)配列番号3において1〜10個の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入されている塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(C3)配列番号3の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
D.下記(D1)〜(D3)のいずれかを有する塩基配列;
(D1)配列番号4の塩基配列 (オープン・リーディング・フレームSCO 4326) であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(D2)配列番号4において1〜10個の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入されている塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(D3)配列番号4の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
E.下記(E1)〜(E3)のいずれかを有する塩基配列;
(E1)配列番号5の塩基配列 (オープン・リーディング・フレームSCO 4490) であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(E2)配列番号5において1〜10個の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入されている塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(E3)配列番号5の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
F.下記(F1)〜(F3)のいずれかを有する塩基配列;
(F1)配列番号6の塩基配列 (オープン・リーディング・フレームSCO 4492) であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(F2)配列番号6において1〜10個の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入されている塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(F3)配列番号6の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
G.下記(G1)〜(G3)のいずれかを有する塩基配列;
(G1)配列番号7の塩基配列 (オープン・リーディング・フレームSCO 4494) であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(G2)配列番号7において1〜10個の塩基が欠失、置換、付加および/または挿入されている塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
(G3)配列番号7の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列であって、メナキノン生合成経路を機能させるのに必要な酵素をコードする塩基配列
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