JP5300575B2 - ボイラ動特性試験解析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、高負荷変化率における発電出力と蒸気温度の追従性能を同時に向上させるのに好適な事業用ボイラ装置に係わり、特に、追従性能の最適化のための前処理としてのボイラ運転動特性試験解析装置に関する。
ボイラにおける発電出力(MW)制御に着目した水燃比制御又は給水制御の最適化のため、前処理としての動特性試験の解析方法に関する技術は、例えば、非特許文献1に紹介されていて公知である。この公知の解析方法では、ステップ応答の出力からムダ時間τと遅れ時間TおよびゲインKを後述する方法にて算定し、出力を入力の(1次遅れ+ムダ時間)近似で表現している(後述する図7を参照)。
種々の制御入力から種々の出力への信号伝達について、上述したような(1次遅れ+ムダ時間)のシステムとして近似し、この近似に基づき出力から制御入力へのフィードバックの係数を決めている。しかし、この非特許文献1によるステップ応答解析方法では2つの課題がある。
1つ目は、先ず、(1次遅れ+ムダ時間)系で近似できない入出力ループが取り扱えないことである。この方法では応答の初期特性のみを見てこれを(1次遅れ+ムダ時間)系としてフィットしてしまうため、近似の度合いが非常に悪く、従って制御の最適化もできない。
2つ目は、この方法では、ムダ時間が実際の値より大きく算出されるという課題がある。これはボイラのような制御ループ間の干渉が強いときに好適な、ムダ時間値の異なる制御ループ間にバイアスを作用させるような制御方式、において課題となる。このようなバイアスではムダ時間の差だけの遅れあるいはリードが必要となるが、いずれもムダ時間差が大きいほどその制御回路による表現の誤差が大きくなる。
すなわち、非特許文献1のような従来技術による動特性試験結果の解析方法にあっては、(1次遅れ+ムダ時間)で近似できない系を表現できないという課題と、ムダ時間が大きく算出され制御ループ間のバイアスを生成する際の遅れあるいはリード要素の制御回路による表現が大きな誤差を含む、という2つの課題が存在している。
「プロセス制御」、松原正一著、養賢堂出版、1986年発行
まず、上記非特許文献1に記載のような従来技術のボイラ動特性試験の解析方法の課題について図面を用いて説明する。初めに、従来技術によるボイラ動特性試験の解析方法と解析装置の構成を図13に示す。以下の説明は、主として従来技術とその課題を示すが、この説明は、本発明における基礎、基盤となる技術をも示すものである。
図13に示すボイラ動特性試験の解析装置は、応答波形記憶装置(データロガーに収納されたデジタル値のデータ)101と、応答解析装置112と、PID定数最適化装置114と、から構成され、応答解析装置112で得られたPID最適値がボイラ制御装置106に入力される。
応答波形記憶装置101は、制御入力個数だけの行数と出力個数だけの列数を有する行列の形式で構成されるが、ここでは、制御入力がタービン・マスタu1、ボイラ・マスタu2と水燃比u3の3個であり、出力が発電出力y1、主蒸気圧力y2及び1SH(1次過熱器)入口エンタルピy3の3個である場合を説明する。この場合には、図13の行列の中身は図3の通りであり(入出力はいずれも無次元化されている)、行はα=1(タービン・マスタ)、α=2(ボイラ・マスタ)とα=3(水燃比)、列はj=1(発電出力)、j=2(主蒸気圧力)とj=3(1次過熱器入口エンタルピ)である。ここで、応答波形記憶装置101に例示された9個の波形は、図7に示すようなステップ状の波形を入力(タービンマスタ(タービン出力指令値:例.後述するガバナの閉アクション)、ボイラマスタ(ボイラの蒸気流量指令値:例.後述する給水・燃料の同時減少)、水燃比(給水流量と燃料量との比)としたときに、ボイラの試運転時にその動特性試験の結果得られた出力(発電出力、主蒸気圧力、1次SH入口エンタルピ)、すなわち、応答トレンドである。
具体的には応答波形記憶装置には3×3=9通りの(時間、応答値)の組511,512,513,521,522,523,531,532と533が、データ収録装置の時間刻みごとに格納されている。この9通りが順不同であるが一つずつ、くまなくスイッチを介して応答解析装置112にてデータ解析される。なお、この応答解析装置112でのデータ解析は人力もしくは自動化されたアルゴリズムによるものである。
応答解析装置112は、次に詳述する図7の方法によりデータを解析しすべての応答トレンドを1次遅れ時間T、ムダ時間τと応答のゲインKでパラメトライズする。すなわち、応答解析装置112は、入力が応答波形記憶装置101からの波形(応答トレンド)であり、その出力が1次遅れ時間T、ムダ時間τ、ゲインKである。このパラメトライズにより図13の行列の対角成分に対応する制御ループのPID最適値が、例えばZiegler−Nicholsの方法によりPID定数最適化装置114にて得られ、ボイラ制御装置106に入力される。ここでもPID定数最適化装置114は人力(手計算)であることが多い。
次に、応答解析装置112でのトレンドの解析方法について、図7を用いて応答パラメータの算出方法を示す。入力u(501)を時点O(508)にてステップ変化させたときの出力y(502)(実線)の時間変化が実線で示されている。従来技術においては出力yの変曲点I(503)を応答結果のデジタル値もしくは目視により求め、それとゼロ点あるいは漸近値505との交点をそれぞれA(504)およびB(507)とし、Bからの垂線と直線OAとの交点をC(506)とする。これにより、ムダ時間をτ=OA、1次遅れ時間をT=AC、さらにゲインをK=BCと算出する(入力u、出力yともに無次元化されていて、uのステップ幅は1に規格化されている)。これらのK、Tとτを使って入出力応答の(1次遅れ+ムダ時間)近似が得られるが、それを破線602で示す(破線602は、τ,T,Kを用いた入出力応答における実線502の近似特性曲線)。この方法によりボイラの入出力応答の一例とそれらを近似したトレンドを図8に示す。
図8は第1行がタービン・マスタのステップ、第2行がボイラ・マスタのステップさらに第3行が水燃比のステップを示しており、いずれもステップ幅はマイナス(減)である(図7の例示ではステップ入力は増であるが、図8ではステップ減の例示)。出力が列方向に示されており、第1列が発電出力、第2列が主蒸気圧力さらに第3列が1次SH入口エンタルピのそれぞれ応答トレンドである。すなわち、実線511はタービン・マスタのステップ減に対する発電出力の応答トレンド、512は同じく主蒸気圧力の応答トレンド、また513は1次過熱器入口エンタルピの応答トレンドである。また、実線521,522と523はそれぞれボイラ・マスタのステップ減に対する発電出力、主蒸気圧力と1次過熱器入口エンタルピの応答トレンドであり、実線531,532と533は水燃比ステップ減の下での発電出力、主蒸気圧力と1次過熱器入口エンタルピの応答トレンドである。
図8において、破線を併記している応答トレンドがあり、これはタービン・マスタのステップ応答に関しては612、ボイラ・マスタのステップ応答については621と622、さらに水燃比のステップ応答では3つの出力すべてで631,632と633であり、これらの破線は、実線の応答トレンドを近似する(1次遅れ+ムダ時間)系の応答トレンドである。
ところが、図8から直ちに分かるように、実線511,513と523を近似できる単純な(1次遅れ+ムダ時間)系は存在しない。すなわち、実線511は前述したようにタービン・マスタのステップ変化の下での発電出力の変化を示し、ガバナ(タービンの入り口側に設けられた調速機)の閉アクションに伴い初期一時的に発電出力が下がるが、同時に主蒸気圧力が高まるため発電出力が増方向に転じこれら両者の作用の重ね合わせによって漸近的に発電出力が元の値に戻っていくことが分かる。
また、実線513のタービン・マスタのステップ減に伴う1次過熱器入口エンタルピの応答では、初期のガバナ閉のアクションで蒸気流量が減じることによる入熱量の減少が初期のエンタルピの低下を引き起こすものの、漸近的には主蒸気圧力が高めにキープされることが効いてエンタルピは元の値より高めの値に漸近することを示している。さらに、実線523ではボイラ・マスタのステップ状の減少により給水も燃料も同時に減少するが、初期は給水減少の効果がより早く現われてエンタルピの上昇となっていること、また漸近的には逆に燃料の減少効果がより顕著にあらわれエンタルピが元の値より低めキープとなることを示している。
これらの3ケースではいずれも出力は初期にいったん上昇あるいは下降した後で漸近的にゼロあるいは元の値より高め・低めの点に収束していくが、このようなトレンドは単純な(1次遅れ+ムダ時間)近似では表現できない。さらに、たとえ(1次遅れ+ムダ時間)系として近似できている制御ループであっても、図8のステップ初期を拡大した図9に見るように、ムダ時間を大きく評価し過ぎている、という問題がある。
すなわち、図9の第3行第1列の水燃比のステップ減での発電出力の応答トレンド531とその図7の従来アルゴリズムになる(1次遅れ+ムダ時間)近似631の比較を例とすると、実機応答のムダ時間真値τ310(500)はたかだか20秒程度と見積もられるが、図7の従来方法によればムダ時間がτ31(600)が100秒程度と算定されている。すなわち、ボイラの試運転での動特性試験ではムダ時間はトレンド531からその真値τは符号500で表されて20秒であるのに対して、このトレンド531を基にした応答解析装置112では近似トレンド631となり、この近似トレンドのムダ時間は符号600で表され、100秒程度となる。このような状況が引き起こす問題について、図を用いて以下詳しく説明する。
図10は干渉する制御ループ間(例.u2−y2ループとu3−y3ループとの間)に互いにバイアス(例.バイアス項452と453)を作用することで干渉を無くする、あるいは抑制する制御方式を示すものであって、このようなバイアスを前置することによりボイラ制御のPID制御パラメータの最適化がより容易になるものである。ここでは、ボイラ入力として、図3で説明したタービン・マスタu1、ボイラ・マスタu2と水燃比u3の内で、ボイラ・マスタu2(402)と水燃比u3(403)のバイアスについて示している。
図10において、G22(822),G32(832),G23(823)とG33(833)は、それぞれ、ボイラ・マスタu2(402)から主蒸気圧力492へ、水燃比u3(403)から主蒸気圧力492へ、ボイラ・マスタu2(402)から1SH入口エンタルピy3(493)へ、水燃比u3(403)から1SH入口エンタルピy3(493)へ、の作用を示す記号であり、制御装置ではなくボイラ・タービンの動特性を表現するものである。ボイラ・マスタu2(402)は主として主蒸気圧力y2(492)を制御するがその作用は同時に1次SH入口エンタルピy3(493)への外乱ともなる。
同様に、水燃比u3(403)は主として1SH入口エンタルピy3(493)を制御するがその作用は同時に主蒸気圧力y2(492)への外乱としても作用する。そこで、図10の制御回路では、ボイラ・マスタu2(402)に水燃比u3(403)からのバイアス項452を加算し、また逆に、水燃比u3(403)にはボイラ・マスタu2(402)からのバイアス項453を加算している。これにより、バイアス項452あるいは453が外乱項とキャンセルするように、バイアス項452あるいは453の信号を補償器D32(932)あるいはD23(923)で生成する。
ところが、これらの制御ループ{u2,u3}→{y2,y3}では、u2→y2,y3の伝達におけるムダ時間がu3→y2,y3の伝達におけるムダ時間より小さい。すなわち、ボイラ・マスタu2(402)の方が水燃比u3(403)より早く主蒸気圧力y2(492)を、また、1SH入口エンタルピy3(493)についても動かすことが出来る。たとえば、制御ループのムダ時間が図11と図12の記載値(図7の従来方法で算定したムダ時間の値)であったとすると、主蒸気圧力の制御ループu2→y2において外乱となる水燃比u3(403)の作用432はτ32=20秒が経って初めてy2(492)に現われる。
一方、ボイラ・マスタu2(402)はτ22=5秒でy2(492)に作用が現われるので、水燃比u3(403)からのバイアスは20−5=15だけの遅れを持たせておけば同時にy2(492)への作用となって現れ、これをキャンセルすることが可能になる(ボイラマスタへのバイアスとして15の遅れを持たせれば、入力のu2にはムダ5(422)が加算されて20の遅れとなり、符号432からの20の遅れと同時に現れてキャンセルされる)。同様に図12に示すように、水燃比u3(403)→1SH入口エンタルピy3(493)へのボイラ・マスタu2(402)からの外乱をキャンセルするには、12−18=−6秒だけ、すなわち6秒のリード時間要素が必要である。
ところが、これらの遅れ時間要素932やリード時間要素923にあっては、その遅れもしくはリード時間の値が小さいほど実現性、従って制御性が良い。特に、リード時間要素は微分要素を少なくも1回以上適用することで表現され、微分要素は微分パラメータによるパラメータ依存性を持つのでこのリード時間は小さければ小さいほど良好である。
従って、ムダ時間の算定値は小さければ小さいほど良いが、図9の破線に見るように、実際のムダ時間500よりも破線(図7に示す従来の解析方法)は大きなムダ時間600を算定してしまっている(従来方法ではムダ時間を過大評価で算定している)、という問題がある。
本発明の目的は、試運転動特性試験で得られたトレンドデータを従来の単純な(一時遅れ+ムダ時間)系ではなくて、時間微分特性を考慮したアルゴリズムで解析することで、(一時遅れ+ムダ時間)系で近似できない制御ループに対しても適用可能とし、さらに、ムダ時間を実際の値に近い値として算定することを可能とするボイラ運転動特性試験解析装置を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
ガバナにより発電出力を制御し、給水又は燃料で蒸気圧力及び蒸気温度を制御するボイラ運転制御を最適化する前処理としてのボイラ運転動特性試験装置において、
水燃比を含む複数の制御入力を印加したときの発電出力を含む複数の出力の応答波形を収納する応答波形記憶装置と、前記応答波形記憶装置からの応答波形を解析し、一次遅れ、ムダ時間、ゲインを含むパラメータとして出力する応答解析装置と、前記応答解析装置からのパラメータを用いて、ボイラ制御ループのPID最適値を算出するPID定数最適化装置と、前記応答解析装置からのパラメータを用いて、ボイラ制御ループ間の非干渉化のための非干渉補償装置に付与する非干渉補償定数を計算する非干渉補償定数計算装置と、を有し、
前記応答解析装置は、前記応答波形に対して、1次遅れ+ムダ時間で近似できる制御ループに対して当該制御ループに近似する一の伝達関数を用いて解析するとともに、1次遅れ+ムダ時間で近似できない制御ループに対しても当該制御ループに近似する他の伝達関数を用いて解析し、さらに、前記一の伝達関数と前記他の伝達関数は、解析されるムダ時間が前記応答波形による実際のムダ時間に近い値として評価されるものであるボイラ運転動特性試験装置。
また、前記応答解析装置は、応答波形を、1次遅れとムダ時間で近似される波形と、1次遅れとムダ時間とそれらの時間微分との線形和で近似される波形との2種類に分類し、さらに、前記近似される波形から算出されるムダ時間を、ムダ時間真値と前記ムダ時間真値からの偏差とに分解して多項式近似で表現する機能を有するボイラ運転動特性試験解析装置。
本発明によれば、試運転動特性試験で得られるトレンド・データを従来のような単純な(1次遅れ+ムダ時間)系ではなく、その時間微分特性を考慮してタービン・マスタやボイラ・マスタの操作に対する応答をより詳細に近似したパラメータをトレンド・データの解析から得ることができる。
また、本発明によれば、ムダ時間についても従来のような単純なアルゴリズムで得られる値よりもより実際に近い値を算出することができる。
これら二つの新規要素によって、互いに干渉するボイラ制御ループの非干渉化のためのバイアス入力のための補償要素をより精度よく計算でき、特にバイアスにおいて必要となる遅れ時間とリード時間要素については、その遅れ時間値とリード時間値をいずれも従来アルゴリズムによるムダ時間を用いるときに比べて小さな値に抑えることができ、制御回路における数式演算の近似精度を向上することができる。
本発明の実施形態に係るボイラ運転動特性試験解析装置の全体構成及び関連構成を示すブロック図である。 本実施形態に係るボイラ運転動特性試験解析装置の内部構成である応答解析装置の構成と機能を表す図である。 本実施形態に係るボイラ運転動特性試験解析装置の内部構成である応答波形記憶装置に収録されるトレンド・データの詳細波形を示す図である。 本実施形態に係るボイラ運転動特性試験解析装置の内部構成である応答解析装置で解析された波形に対して算出されたパラメータを用いて、図3の収録した応答波形に近似した近似トレンド・データの詳細波形を示す図である。 本実施形態による近似トレンド・データに対して、従来技術の解析による近似トレンド・データと比較したトレンド・データの初期特性を示す図である。 本実施形態に係るボイラ運転動特性試験解析装置の内部構成である非干渉補償定数計算装置からの出力を用いて非干渉補償装置を前置したボイラ系に対するステップ応答トレンド・データに対して、非干渉補償装置の前置が無いボイラ系に対するステップ応答トレンド・データと比較したトレンド・データの特性を示す図である。 従来技術に関する応答波形解析方法におけるアルゴリズムを明示する原理的な説明図である。 従来技術に関する応答波形解析方法による近似トレンド・データを併記したステップ応答のトレンド・データの詳細を示す図である。 図8に示すトレンド・データの初期特性を示す図である。 本実施形態に係るボイラ運転動特性試験解析装置の内部構成である非干渉補償定数計算装置の演算を説明するための図である。 図10における一つのバイアスにおいてムダ時間差の遅れを介したムダ時間の補償における信号の流れを示す図である。 図10におけるもう一つのバイアスにおいてムダ時間差の進み(リード時間)を介したムダ時間の補償における信号の流れを示す図である。 従来技術に関するボイラ運転動特性試験解析装置の全体構成を示すブロック図である。
本発明の実施形態に係るボイラ運転動特性試験解析装置について、図面を参照しながら以下詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係るボイラ運転動特性試験解析装置の全体構成及び関連構成を示すブロック図である。図2は本実施形態に係るボイラ運転動特性試験解析装置の内部構成である応答解析装置の機能を表す図である。図3は本実施形態に係るボイラ運転動特性試験解析装置の内部構成である応答波形記憶装置に収録されるトレンド・データの詳細波形を示す図である。図4は本実施形態に係るボイラ運転動特性試験解析装置の内部構成である応答解析装置で解析された波形に対して算出されたパラメータを用いて図3の収録した応答波形に近似した近似トレンド・データの詳細波形を示す図である。図5は本実施形態による近似トレンド・データに対して、従来技術の解析による近似トレンド・データと比較したトレンド・データの初期特性を示す図である。
また、図6は本実施形態に係るボイラ運転動特性試験解析装置の内部構成である非干渉補償定数計算装置からの出力を用いて非干渉補償器を前置したボイラ系に対するステップ応答トレンド・データに対して、非干渉補償器の前置が無いボイラ系に対するステップ応答トレンド・データと比較したトレンド・データの特性を示す図である。図7は従来技術に関する応答波形解析方法におけるアルゴリズムを明示する原理的な説明図である。図8は従来技術に関する応答波形解析方法による近似トレンド・データを併記したステップ応答のトレンド・データの詳細を示す図である。図9は図8に示すトレンド・データの初期特性を示す図である。
また、図10は本実施形態に係るボイラ運転動特性試験解析装置の内部構成である非干渉補償定数計算装置の演算を説明するための図である。図11は図10における一つのバイアスにおいてムダ時間差の遅れを介したムダ時間の補償における信号の流れを示す図である。図12は図10におけるもう一つのバイアスにおいてムダ時間差の進み(リード時間)を介したムダ時間の補償における信号の流れを示す図である。図13は従来技術に関するボイラ運転動特性試験解析装置の全体構成を示すブロック図である。
図1において、本発明の実施形態に係るボイラ運転動特性試験解析装置は、応答波形記憶装置101と、応答解析装置102と、非干渉補償定数計算装置103と、PID定数最適化装置104と、から構成される。ここで、非干渉補償定数計算装置103の計算結果は非干渉補償装置105に入力され、PID定数最適化装置104の計算結果はボイラ制御装置106に入力される。
図1に示す応答波形記憶装置101は、図13に示す従来技術における応答波形記憶装置101と同様であり、上記の「発明が解決しようとする課題」の欄で説明したように、図3の例示のように、9通りのトレンド・データ(ボイラ試運転で得られた生のデータ)が順不同であるが一つずつくまなくスイッチを介して応答解析装置102に送られてデータ解析される。ここで、本実施形態における応答解析装置102は、図7に示す従来の解析方法(上記の「発明が解決しようとする課題」の欄で説明した方法)を拡張した解析アルゴリズムを具備した自動化装置である(図7に示す,単純な(1次遅れ+ムダ時間)系による解析アルゴリズムを拡張したもの)。この拡張した解析アルゴリズムが本発明の特徴の1つであり、応答解析装置102の内部構成と機能を図2に示す。
本実施形態に関する応答解析装置102は、応答波形記憶装置101からの出力データである応答波形に対して、ステップ入力が行われた時間(time=0)におけるIc(Initial Condition;初期状態)やステップ入力後に応答が安定したFc(Final Condition;最終状態)からの飛び出しの無い波形1と、IcまたはFcからの飛び出しの有る波形2と、を分類する機能1020を有している。さらに、応答解析装置102は、波形1のパラメータを計算する機能1021を有していて、その波形1のパラメータとして、ゲインK、1次遅れ時間T、ムダ時間τ、実機応答のムダ時間真値τ0を出力する。また、応答解析装置102は、波形2のパラメータを計算する機能1022を有していて、その波形2のパラメータとして、ゲインK、1次遅れ時間T、定数a(後述する)、ムダ時間τ、実機応答のムダ時間真値τ0を出力する。
再度、定性的に説明すると、応答解析装置102においては、図3と図8に示すように、応答波形記憶装置101からの波形にIc(Initial Condition;初期状態)やFc(Final Condition;最終状態)からの飛び出しがあるか無いかで分類付け又は仕分けし、波形のパラメータを出力するものである。ここで、Icからの飛び出しがあるのは、図3の例で、1行1列(511)、1行3列(513)、2行3列(523)であり、飛び出しがあれば、1次遅れの微分値を1次遅れに加算する。Fcの値に対してオーバーシュートして飛び出すような波形例は、図3には例示されていない。
本実施形態に関する応答解析装置102では、図3の内で、第1行の第1列(511)と第3列(513)、および第2行の第3列(523)の3つのケース(a)と、それ以外のケース(b)とで、それぞれ別のデータ解析(1021と1022)がなされる。
まず、(b)のケース((1次遅れ+ムダ時間)系で近似できる入出力ループ)は、初めに従来技術における図6の方法にてムダ時間τ、1次遅れ時間TとゲインKが採取される。すなわち、ゲインKはステップ入力501の漸近値に対するステップ応答結果502の漸近値(垂線BCの長さ)の比率として算定される。また、ムダ時間はOA長として、遅れ時間はAC長として算出される(図7を参照)。
次いで、ムダ時間τは真値τ0とそれからの偏差Δτ=τ−τ0に分解される。従来技術の解析方法から得られるムダ時間τは、図9から明らかなように真のムダ時間(図9の500)より大きい値(図9の600)が算出されることが多い。そこで、より真実に近い図9の500(収録したトレンドデータ自体のムダ時間)をτ0と取り、このτ0をムダ時間要素で表現し、残りのΔτ=τ−τ0を高次遅れで近似する。この高次遅れとしてはPade多項式近似を採用する。
すなわち、上記ケース(b)である、9−3=6、すなわち6つのケースでは入出力ループは、
G=K×exp(−τ0×s)×P2(s;Δτ)×1/(1+Ts) (1)
で表現される。このGは、図5に示す3行1列の特性631(従来方法)から特性731を求める関数である。ここで、Kはゲイン、τ0はムダ時間の真値(実際値)、sは微分要素、exp(−τ0×s)は純粋ムダ時間要素、P2(s;Δτ)はPade多項式近似、1/(1+Ts)は1次遅れ要素、をそれぞれ表す。また、P2(s;Δτ)は以下で与えられる。
P2(s;Δτ)=
1/(1+Δτ×s+Δτ/2!×s+・・・+Δτ/n!×s) (2)
このnは例えばn=2である。
次に、ケース(a)((1次遅れ+ムダ時間)系で近似できない入出力ループ)では、1次遅れとその時間微分との線形和がとられ、和の係数(a−1)は漸近値がデータと合うように算出される。すなわち、3つのケースの入出力ループにおける伝達関数の数式表現は、
G=K×exp(−τ0×s)×P2(s;Δτ)×(1+a−1s)/(1+Ts) (3)
であり、P2(s;Δτ)は式(2)と同じ多項式である。式(3)に示す伝達関数によって、図5の1行1列に示す波形511から波形711が求まる。式(3)が式(2)と異なるのは、第4番目の項の分子が1から(1+a−1s)となることである。
繰り返して説明すると、式(1)と式(2)は、図3に示す6つのケースに適用し、式(3)と式(2)は3つのケース(1−1,1−3,2−3)に適用するものであり、式(1)と式(3)は、図5の例えば、波形731と波形711をそれぞれ求めるための関数であって、波形531と波形511にそれぞれ可成りよい近似をあらわすものである。式(3)の線形和(1+a−1s)の1がT,τ系であり、a−1sが時間微分を表しており、式(1)と式(3)は、その基本的な機能上の差異としては、オーバーシュート/アンダーシュートの表現で云えば、式(1)は図3に示すすべてのyがIcとFcの内側にあり、式(3)は図3に示す或るyがIcとFcから飛び出すものを表す。図3に示す応答波形を図5に示す一点鎖線に変換する手段(関数)は、応答波形(実線)からムダ時間の真値τ0の観察と、求めたT,K,τ,aとによって、Δτ=τ−τ0とし、P2(s;Δτ)を計算し、基本式のe(−τ×s)をe(−τ0×s)に置き換えて変換するものである。
ここで、上記式(3)において、K,T,τとaはそれぞれ以下のように算定される。はじめに、Kは図7と同様に出力漸近値の入力ステップ量に対する比率として算出される。そこで、ムダ時間τ、遅れ時間TでゲインがKである系を、ステップ応答データから差し引くと、これは、ゲインがK×a−1でムダ時間τ、遅れ時間Tの時間変化率を表す微分特性の系であることがわかる。この微分特性の系を時間積分すればムダ時間τ、遅れ時間Tの系になるので、このτとTは図7の方法で算出する。ここで、aは、図3に示す或るyがIcとFcから飛び出す挙動を規定する定数(sec−1)であり、KとKa−1の2つを計測することができるので、a−1はKa−1/Kで計算することができる。
なお、ステップ応答データから差し引くべき系のムダ時間τも遅れ時間Tも予め分からないため、推定値から出発して推定と算定値が等しくなるまで収束計算を行う。実際には図3に示すような系にあっては2、3回の収束でムダ時間τと遅れ時間Tを計算でき、収束に伴う計算長時間化や発散などの困難はない。
上述したような本実施形態に関する応答解析装置102における解析アルゴリズムでの伝達関数の数式表現による応答トレンドの近似が、図4の一点鎖線711〜733として表されている。また、その初期特性を拡大したものを図5に示す。図5では一点鎖線(本実施形態の特徴の1つである解析アルゴリズムの数式表現によるトレンドデータ)とともに破線612,621,622,631,632と633も併記するが、これは図7の従来技術になる(1次遅れ+ムダ時間)近似である。図4と図5で一点鎖線は9ケースすべてを近似している。図5に示すように、従来技術による破線は6ケースしか近似できていないことに注視すべきである。
再度繰り返して説明すると、図5において、水燃比入力−発電出力のトレンドを例とした場合、実線の符号531は応答波形記憶装置に収納された応答波形であってムダ時間は実線が下降傾向をし始めるまでの時間であってこれが実際のムダ時間τ0である。破線の符号631は図7に示す従来の解析アルゴリズムで解析された応答トレンドであり、これによると、ムダ時間τは下降開始の時間であってτ0の略数倍(略3倍)の時間である。そこで、本実施形態では、式(1)と式(2)に示す伝達関数を用いて実線531を解析すると一点鎖線の符号731となり、この一点鎖線731によると、一点鎖線が下降し始めるまでの時間であるムダ時間はτ0に相当近似することとなる(略1倍)。
さらに、タービンマスタ−発電出力(図3に示す1行1列)のトレンドを例とした場合、図7に示す従来の解析アルゴリズムでは近似することができないが(図8で破線の特性が示されていない)、式(3)と式(2)に示す伝達関数を用いて、収納された応答波形である実線511を解析すると、一点鎖線711となって実線に可成り近似させることができる(図4と図5に示す符号711を参照)。応答波形511に漸近性のある波形が得られ、この波形を基にして、実際のムダ時間τ0に近いムダ時間τ、応答波形に近似した一次遅れT、応答波形に近似したゲインKが出力可能となる。
次に、非干渉補償定数計算装置103では制御ループ間の非干渉化のために、本実施形態にあっては次のような補償要素が設計され、その各パラメータが算定される。すなわち、ボイラ・マスタu2と水燃比u3の非干渉化を例として(図10を参照)、詳細に数式を用いて説明すると以下のとおりである。本実施形態では、非干渉化バイアスとして、ボイラ・マスタu2から水燃比u3への補償要素D23と、水燃比u3からボイラ・マスタu2への補償要素D32の2つが前置される。はじめに、補償要素D23は次式によって計算される。なお、補償要素D32とD23は、図1に示す非干渉補償装置105の構成要素である。
D23=−K23/K33×(1+T23・s)/(1+T33・s)
×P2(s;Δτ23)/P2(s;Δτ33)
×(1−(τ230−τ330)・s+(τ230−τ330)・s/2!
+・・・+(τ230−τ330)・s/m!)
×(1+a23−1・s) (4)
であり、通常m=2をとる。K23はu2系からu3系への非干渉化バイアスのループにおけるゲイン、K33はu3系からy3系へのループにおけるゲイン、T23とτ23は同様なループの一次遅れ時間とムダ時間を表す。また、τ230は、同様な非干渉化バイアスのループにおけるムダ時間の真値を表す。
また、D32は以下で与えられる。
D32=−K32/K22×(1+T32・s)/(1+T22・s)
×P2(s;Δτ32)/P2(s;Δτ22)
×exp(−(τ320−τ220)・s) (5)
以上のとおり、補償要素D23とD32は、微分要素s,s、遅れ要素1/(1+A・s)、P2(s;Δτ)および純粋ムダ時間要素exp(−τ0・s)の組み合わせで構成されるが、非干渉補償定数計算装置103ではこれらの補償要素に対して上式に示すパラメータ値が計算・設定される。また、微分要素は微分係数γを含む不完全微分要素で表現され、このパラメータγも非干渉補償定数計算装置103で設定される。式(4)のD23)、式(5)のD32は非干渉化補償装置105の構成要素であり、図10に示す符号923、符号932に示すとおりである。
また、PID定数最適化装置104は、式(4)および式(5)で計算され、非干渉補償定数計算装置103から出力されるパラメータを用いて設定された補償要素を前置したボイラ/タービン・プラントに対して、PIDによる制御を最適化するための比例定数、積分時間と微分時間を非干渉化された制御ループそれぞれに対し算出する。すなわち、図6に非干渉化補償を前置した系のステップ特性を示すが、上段図の実線222と223がボイラ・マスタu2のステップ入力による出力y2(主蒸気圧力)とy3(1SH入口エンタルピ)トレンドであり、下段図の実線232と233が水燃比u3のステップ入力による出力y2(主蒸気圧力)とy3(1SH入口エンタルピ)トレンドであり、併記されている破線322,323,332と333は非干渉化補償を前置していないときの応答である。
図6に示す特性から分かるように、応答は「対角的」になっている。すなわち、ボイラ・マスタu2の作用はほぼ主蒸気圧力y2にのみ、また、水燃比u3の作用はほぼ1SH入口エンタルピy3にのみ作用し、ボイラ・マスタu2から1SH入口エンタルピy3への外乱作用と水燃比u3から主蒸気圧力y2への外乱作用は十分に抑制されている。
そこで、PID定数最適化装置104では、u2→y2すなわち実線222と、u3→y3すなわち実線233のそれぞれの応答を(1次遅れ+ムダ時間)でフィットし、そのゲインK2もしくはK3、1次遅れ時間T2もしくはT3と、ムダ時間τ2とτ3を算定する。この算定は従来技術の図7の手法を適用する。そして、得られたゲイン、1次遅れ時間とムダ時間を使って次のようにPID制御の最適パラメータを算出する。先ずu2→y2の制御ループでは最適値は以下のとおりである。
P2=α2×T2/(K2×τ2) (6)
TI2=β2×τ2 (7)
TD2=γ2×τ2 (8)
ここで、P2はu2→y2ループにおける比例定数、TI2は積分定数、TD2は微分定数のそれぞれの最適値を表す。
次に、u3→y3の最適値は以下のとおりである。
P3=α3×T3/(K3×τ3) (9)
TI3=β3×τ3 (10)
TD3=γ3×τ3 (11)
ここで、P3はu3→y3ループにおける比例定数、TI3は積分定数、TD3は微分定数のそれぞれの最適値を表す。
また、PID制御装置の構成は、制御偏差を入力して操作量を出力する伝達関数が
C2(s)=P2×(1+1/(TI2×s)+TD2×s) (12)
C3(s)=P3×(1+1/(TI3×s)+TD3×s) (13)
で与えられるものである。以上においてパラメータは、例えばα2=α3=1.2、β2=β3=2、γ2=γ3=0.5である。
ここで、本発明の実施形態を取り纏めると、次のような構成を備え、機能乃至作用を奏することを特徴とするものである。すなわち、先ず、(1次遅れ+ムダ時間)で近似できない制御ループに対して、当該制御ループに近似する伝達関数の数式表現(図4に示す一点鎖線の伝達関数)を求め、さらに、ムダ時間τを実際のムダ時間値τ0に出来る限り近い値として評価して伝達関数を構成する。すなわち、(1次遅れ+ムダ時間)で近似できない制御ループについては、その時間微分との線形和を取ることで応答波形との漸近特性を表現する。また、ムダ時間については、(1次遅れ+ムダ時間)あるいはその時間微分との線形和で表現される数式において、ムダ時間τを真値と考えられる値τ0とそれからの誤差Δτ=τ―τ0に分解し、ΔτをPade近似で数式表現するものである。
そして、本実施形態の具体的な構成として、ガバナで出力を制御し、給水もしくは燃料で蒸気圧力及び蒸気温度を制御するボイラ制御を最適化するための前処理としての運転動特性試験装置において、応答波形記憶装置101、応答解析装置102、非干渉補償定数計算装置103とPID定数最適化装置104を有するものである。
ここで、前記応答解析装置102は、応答波形(応答波形記憶装置101に収納された波形であり、図5で実線、例.符号531)について、1次遅れとムダ時間で近似される波形(図5で破線、例.631)と、1次遅れとムダ時間とその時間微分との線形和で近似される波形(図5で一点鎖線、例.731,711)との2種類に分類し、前記近似される波形631から算出されるムダ時間を真値(τ0)と真値からの偏差(Δτ=τ−τ0)とに分解して多項式近似(式(2))で表現する機能を奏させるものである。
さらに、前記非干渉補償定数計算装置103は、ムダ時間真値の差で演算される時間値が正であるときは遅れ要素、また前記時間値が負であるときはリード要素をそれぞれ計算する機能(式(4)と式(5))を奏するものである。また、前記PID定数最適化装置104は、前記非干渉補償定数計算装置103にて算出され、出力されたパラメータ値を用いた非干渉補償要素を介したボイラ系のステップ応答に対して、ゲイン、遅れ時間とムダ時間の組み合わせとしてPID定数を算出する機能(式(6)〜式(13))を奏するものである。
そして、上述した構成を備えることにより、試運転動特性試験において得られた出力応答トレンドをすべて数式表現で近似できるため、制御パラメータの最適化が可能である。また、ムダ時間が実際の値にできるだけ近い値として算定されるため、バイアス前置において必要な遅れあるいはリード時間値が可能な限り小さく設定でき、このため遅れ時間あるいはリード時間要素の制御回路としての実現性能が良いものとなる。
101 応答波形記憶装置
102 応答解析装置
103 非干渉補償定数計算装置
104 PID定数最適化装置
105 非干渉補償装置
106 ボイラ制御装置
BC ゲインK(図7)
500 実機応答のムダ時間真値(図9)
600 従来の解析方法によるムダ時間(図9)
OA ムダ時間τ(図7)
AC 一次遅れ時間T(図7)

Claims (4)

  1. ガバナにより発電出力を制御し、給水又は燃料により蒸気圧力及び蒸気温度を制御するボイラ運転制御を最適化する前処理としてのボイラ運転動特性試験装置において、
    水燃比を含む複数の制御入力を印加したときの発電出力を含む複数の出力の応答波形を収納する応答波形記憶装置と、
    前記応答波形記憶装置からの応答波形を解析し、一次遅れ、ムダ時間、ゲインを含むパラメータとして出力する応答解析装置と、
    前記応答解析装置からのパラメータを用いて、ボイラ制御ループのPID最適値を算出するPID定数最適化装置と、
    前記応答解析装置からのパラメータを用いて、ボイラ制御ループ間の非干渉化のための非干渉補償装置に付与する非干渉補償定数を計算する非干渉補償定数計算装置と、を有し、
    前記応答解析装置は、前記応答波形に対して、1次遅れ+ムダ時間で近似できる制御ループに対して当該制御ループに近似する一の伝達関数を用いて解析するとともに、1次遅れ+ムダ時間で近似できない制御ループに対しても当該制御ループに近似する他の伝達関数を用いて解析し、さらに、前記一の伝達関数と前記他の伝達関数は、解析されるムダ時間が前記応答波形による実際のムダ時間に近い値として評価されるものである
    ことを特徴とするボイラ運転動特性試験装置。
  2. 請求項1において、
    前記応答解析装置は、応答波形を、1次遅れとムダ時間で近似される波形と、1次遅れとムダ時間とそれらの時間微分との線形和で近似される波形との2種類に分類し、
    さらに、前記近似される波形から算出されるムダ時間を、ムダ時間真値と前記ムダ時間真値からの偏差とに分解して多項式近似で表現する機能を有する
    ことを特徴とするボイラ運転動特性試験解析装置。
  3. 請求項1において、
    前記非干渉補償定数計算装置は、ムダ時間真値の差で演算される時間値が正であるときは遅れ要素、また、前記時間値が負であるときはリード要素をそれぞれ計算する機能を有する
    ことを特徴とするボイラ運転動特性試験解析装置。
  4. 請求項1において、
    前記PID定数最適化装置は、前記非干渉補償定数計算装置にて計算され出力されたパラメータを用いた非干渉補償要素を介したボイラ系のステップ応答に対して、ゲイン、遅れ時間とムダ時間の組み合わせとしてPID定数を算出する機能を有する
    ことを特徴とするボイラ運転動特性試験解析装置。
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