JP5299889B2 - 複合材料、発光材料、機能材料、複合材料の製造方法、及び、複合材料薄膜の製造方法 - Google Patents

複合材料、発光材料、機能材料、複合材料の製造方法、及び、複合材料薄膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複合材料、発光材料、機能材料、複合材料の製造方法、及び、複合材料薄膜の製造方法に関する。
近年、地球環境問題、石油資源やレアメタルの枯渇、エネルギー需要急増への世界的な注目の高まりから、ありふれた素材を用いた省エネルギープロセスによる材料開発が急務である。現在の汎用性の材料は、シリカ系ガラスやアモルファスポリマーがよく用いられているが、これらの材料も高温プロセスや石油資源を必要としている。これらの材料は、透明性と安定性を兼ね備えたマトリクス(ホスト)として、機能分子や材料(ゲスト)をその中へ分散・複合化させることができる点が材料として有用である。しかし、ゲスト種の分散状態の制御、つまり凝集させることなく均一に分散させることや逆に組織構造を持たせることは、高温のプロセスを経由することから容易ではない。
ゲストを安定に取り込むホストとしては、層状化合物や多孔質材料なども挙げられるが、透明性と安定性を両立させることは技術的に難しい。ゾルゲル法による有機無機複合体も研究例は多いが、導入する有機機能分子に応じた金属アルコキシドの分子設計や反応条件の検討などが必要である。ありふれた素材である炭酸カルシウムと単純な有機高分子を用いて、常温、常圧の温和な条件下、簡便な方法で、多くの機能性分子や材料を均一に分散・複合化できる透明で安定な材料が開発できれば、これまでのホスト材料における様々な問題点を解決できる。低コストで環境に負荷をかけないことや、これまで高い操作温度のため安定に導入することが困難であった材料や分子も複合化できることが挙げられる。
ナノテクノロジーの発展に伴い、様々な有機・無機機能材料が開発されてきた。有機・無機を問わず、ナノ材料は一般的に高温プロセスによる劣化・分解・凝集などの問題から、実用化に際して、温和な条件下で適切なマトリクス=ホストへ分散もしくは組織化する技術は重要である。
特に、様々なタイプの次世代ディスプレイに関する研究の急速な進展にともない、新しい発光材料の開発に注目が集まっている。可視光に対して透明かつ紫外線により発光色を示す無色透明な発光材料は、新しい表示デバイス、照明、調光材料への幅広い応用が期待できる。希土類の発光材料は一般に、適切なホスト材料中へ均一に分散させて使用する必要があり、発光強度の増大や色調のチューニングにあたって、希土類の導入量の増加と高い分散性の相反する要素の両立が問題である。また、発光強度の長期安定性も重要な課題である。有機系発光材料に関しても同様であり、また、可視光に吸収を持つ分子による着色や耐抗性の問題が挙げられる。ありふれた安価な原料を用い、有機や無機の発光材料の均一な分散、高い発光強度、透明性、安定性を兼ね備えた材料の開発が求められている。
バイオミネラリゼーションに倣いそれを超えるナノ・マイクロハイブリッド材料加藤隆史 化学と工業、60、516 (2007) L. Addadi, S. Raz, S. Weiner, Adv. Mater. 2003, 15, 959-970 特開2007-191453 特開2001-314497 特開2003-342565 特開2001-279241 特開2000-265167 特開平10-226786
本発明は、上述の背景技術に鑑みてなされたものであり、有機高分子の様々な特質を生かしつつ汎用性の高い、ゲストを取り込むことで高機能である複合材料などを提供することを目的とする。
この発明によれば、上述の目的を達成するために、特許請求の範囲に記載のとおりの構成を採用している。以下、この発明を詳細に説明する。
本発明の第1の側面は、
ポリアクリル酸、炭酸イオン、カルシウムイオン及び蛍光体となり得る希土類イオンとともに水を内部に含有し、アモルファス構造であることを特徴とする複合材料
にある。
本発明の第2の側面は、
前記蛍光体となり得る希土類イオンは、セリウムイオン、テルビウムイオン、ユーロピウムイオンのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の複合材料
にある。
本発明の第3の側面は、
請求項2に記載された複合材料によって形成された発光材料
にある。
本発明の第4の側面は、
請求項1から請求項2までのいずれかに記載された複合材料によって形成された機能材料
にある。
本発明の第5の側面は、
カルシウムイオン、蛍光体となり得る希土類イオン及びポリアクリル酸を含む第1水溶液と、炭酸イオンを含む第2水溶液とを混合し、
ポリアクリル酸、炭酸イオン、カルシウムイオンとともに水を内部に含有し、アモルファス構造である複合材料を製造する複合材料の製造方法であって、
前記第1水溶液中のポリアクリル酸の濃度は40mM以上であり、前記第1水溶液中のカルシウムイオンの濃度は50mM以上であることを特徴とする複合材料の製造方法
にある。
本発明の第6の側面は、
カルシウムイオン、蛍光体となり得る希土類イオン及びポリアクリル酸を含む第1水溶液と、炭酸イオンを含む第2水溶液とを混合し、
ポリアクリル酸、炭酸イオン、カルシウムイオンとともに水を内部に含有し、アモルファス構造である複合材料を製造する複合材料の製造方法であって、
前記第1水溶液中のポリアクリル酸の濃度は60mM以上であり、前記第1水溶液中のカルシウムイオンの濃度は50mM以上であることを特徴とする複合材料の製造方法
にある。
本発明の第7の側面は、
カルシウムイオン、蛍光体となり得る希土類イオン及びポリアクリル酸を含む第1水溶液と、炭酸イオンを含む第2水溶液とを等体積で混合し、
ポリアクリル酸、炭酸イオン、カルシウムイオンとともに水を内部に含有し、アモルファス構造である複合材料を製造する複合材料の製造方法であって、
前記第1水溶液中のポリアクリル酸の濃度は40mM以上であり、前記第1水溶液中のカルシウムイオンの濃度は50mM以上であることを特徴とする複合材料の製造方法
にある。
本発明の第8の側面は、
カルシウムイオン、蛍光体となり得る希土類イオン及びポリアクリル酸を含む第1水溶液と、炭酸イオンを含む第2水溶液とを等体積で混合し、
ポリアクリル酸、炭酸イオン、カルシウムイオンとともに水を内部に含有し、アモルファス構造である複合材料を製造する複合材料の製造方法であって、
前記第1水溶液中のポリアクリル酸の濃度は60mM以上であり、前記第1水溶液中のカルシウムイオンの濃度は80mM以上であることを特徴とする複合材料の製造方法
にある。
本発明の第9の側面は、
カルシウムイオン、蛍光体となり得る希土類イオン及びポリアクリル酸を含む第1水溶液と、炭酸イオンを含む第2水溶液とを等体積で混合し、
ポリアクリル酸、炭酸イオン、カルシウムイオンとともに水を内部に含有し、アモルファス構造である複合材料を製造する複合材料の製造方法であって、
前記第1水溶液中のポリアクリル酸の濃度は40mM以上であり、前記第1水溶液中のカルシウムイオンの濃度は50mM以上であり、前記第2水溶液中の炭酸イオンの濃度は100mMであることを特徴とする複合材料の製造方法
にある。
本発明の第10の側面は、
カルシウムイオン、蛍光体となり得る希土類イオン及びポリアクリル酸を含む第1水溶液と、炭酸イオンを含む第2水溶液とを等体積で混合し、
ポリアクリル酸、炭酸イオン、カルシウムイオンとともに水を内部に含有し、アモルファス構造である複合材料を製造する複合材料の製造方法であって、
前記第1水溶液中のポリアクリル酸の濃度は60mM以上200mM未満以上であり、前記第1水溶液中のカルシウムイオンの濃度は100mM以上であり、前記第2水溶液中の炭酸イオンの濃度は100mMであることを特徴とする複合材料の製造方法
にある。
本発明の第11の側面は、
カルシウムイオン、蛍光体となり得る希土類イオン及びポリアクリル酸を含む第1水溶液と、炭酸イオンを含む第2水溶液とを等体積で混合し、コロイド分散液を形成する工程と、
前記コロイド分散液を基板上に塗布し、ポリアクリル酸、炭酸イオン、カルシウムイオンとともに水を内部に含有し、アモルファス構造であるである複合材料を有する薄膜を形成する工程と
を備えること複合材料薄膜の製造方法であって
前記第1水溶液中のポリアクリル酸の濃度は60mM以上200mM未満以上であり、前記第1水溶液中のカルシウムイオンの濃度は100mM以上であり、前記第2水溶液中の炭酸イオンの濃度は100mMであることを特徴とする複合材料の製造方法
にある。
なお、本明細書中では、複合材料とは、2つ以上の異なる材料物質を一体的に組み合わせたものをいう。高分子とは、多数の原子が結合してできる分子であり、例えば、平均分子量が1000以上、さらに好ましくは10000以上のものをいう。アモルファスとされるものには、X線や電子線などに対して明確な回折を示さない結晶構造を持たないものと結晶性の低いものを含む。また、発光には、蛍光だけでなく燐光も含まれる。
本発明によれば、有機高分子の様々な特質を生かしつつ汎用性の高い、ゲストを取り込むことで高機能である複合材料などが得られる。
本発明のさらに他の目的、特徴又は利点は、後述する本発明の実施の形態や添付する図面に基づく詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
[発明の概要]
ここでは、炭酸カルシウムと有機高分子からなるアモルファスナノ複合体に希土類イオンを導入することで、透明性と発光を両立した発光材料を作製する技術などについて主に説明する。
可視光に対して透明かつ紫外線により発光色を示す無色透明な蛍光体は、新しい表示デバイス、照明、調光材料への幅広い応用が期待できる。有機色素蛍光体を用いると、多くの場合可視光に吸収を持つため着色してしまう。そこで、本発明者らは、開発を進めていた透明なアモルファス炭酸カルシウム(ACC)/ポリアクリル酸(PAA)複合体内に、希土類イオンを導入することで、無色透明かつ安定な蛍光体材料の開発を進め、これに成功した。希土類イオンを適切なホスト材料へ分散させることで、環境にやさしい発光材料を得ることができる。ごく少量の希土類化合物とありふれた炭酸カルシムやポリマーを利用し、安価で環境にやさしい常温・常圧のプロセスで無色透明な蛍光体材料が作製できる点で本実施形態の技術は重要である。
本発明者らは、モデルケースとして、3種類の希土類の導入を試みた。セリウムイオン(Ce3+)を導入した場合には青色発光、テルビウムイオン(Tb3+)を導入した場合には緑色発光、ユーロピウムイオン(Eu3+)を導入した場合には、赤色発光が観察された。
図1は、実験操作の概略を示す図である。図のように、所定濃度のカルシウムイオン/希土類イオン/ポリアクリル酸が溶解している水溶液と、炭酸ナトリウムが溶解している水溶液を室温で混合し、25°Cで1時間静置後、沈殿物を水洗して回収し、室温で乾燥させた。各種濃度の最適条件を調査し、透明性と発光を両立する条件を探した。
本実施形態では、ごく少量の希土類化合物とありふれた炭酸カルシムやポリマーを利用しており、安価で環境にやさしい常温・常圧のプロセスで無色透明な蛍光体材料が作製できる。また、配位子との組み合わせによる発光強度の上昇や他の様々な希土類イオンの導入も可能である。また、希土類イオンの混合によって、色調や発光色のチューニングも可能である。
現在、省エネルギーな照明材料の開発、新型ディスプレイ材料の開発は急速に進んでおり、電気メーカーから化学素材メーカーによってよく研究されている。本実施形態の技術は、環境問題へ配慮した次世代の新しい発光材料として、幅広い利用価値が出てくることが見込まれる。
[物性など]
図2は、希土類イオンを導入したバルク状アモルファスナノ複合体のマクロな外観および紫外線照射による発光の写真などである。具体的には、Tb3+導入後のACC/PAA複合体(a)と紫外線照射による発光の様子(b)を示す図である。ここでは、左から仕込みのTb3+濃度を0mMから20mMまで増やしたサンプルを使用した。Tb3+の導入を例に結果を示す。左から[Tb3+]= 0, 1, 2, 5, 10, 20 mM導入した場合のスペクトルである。この際には[Ca2+]=[CO3 2-]=[PAA]= 100 mMであった。
図のように、Tb3+導入後も、濃度条件によっては透明性を維持していた。紫外線(波長254 nm)で励起することで緑色の発光が観察できた。これは、希土類イオンが均一に分散されて、ACC/PAA複合体に導入された結果と考えられる。
図3は、アモルファス炭酸カルシウムで構成されていることを示す赤外線吸収スペクトルである。なお、通常結晶であるかアモルファスであるか結晶性を評価するためにはXRDを用いるが、炭酸カルシウムに関しては、先行研究より、FT-IRやラマン分光を用いてもその結晶構造に関する解析が可能であることが報告されている。
表1は、炭酸カルシウムの結晶性とFT-IRスペクトルのピークとの関係を示す表である。
図4は、希土類イオンを導入したアモルファスナノ複合体の発光スペクトルなどである。A: [Ce3+]= 2 mM, B: [Tb3+]= 2 mM, C: [Eu3+]= 2 mM導入した場合のスペクトルである。この際には[Ca2+]=[CO3 2-]=[PAA]=100 mMであった。
図5は、複数種の希土類イオンを導入したアモルファスナノ複合体の発光スペクトルなどである。A: [Ce3+]= 3 mM, [Tb3+]= 2 mM, [Eu3+]= 2 mMおよびB: [Ce3+]= 3.5 mM, [Tb3+]= 2 mM, [Eu3+]= 4 mMを導入したスペクトルである。この際には[Ca2+]=[CO3 2-]=[PAA]=100 mMであった。
[希土類イオンを導入したアモルファス複合体による発光材料の製造方法]
希土類イオンを導入したアモルファス複合体による発光材料の製造方法について説明する。本実験は、透明性と発光の両立を目指して行った。セリウムイオン(Ce3+)を導入した場合には青色発光、テルビウムイオン(Tb3+)を導入した場合には緑色発光、ユーロピウムイオン(Eu3+)を導入した場合には、赤色発光が観察された。
アモルファス炭酸カルシウム(ACC)/ポリアクリル酸(PAA)複合体の製造方法は後述する。また、各種濃度の最適条件は調査済である。
所定濃度のカルシウムイオン([Ca2+])/希土類イオン([RE])/ポリアクリル酸([PAA])が溶解している水溶液と、炭酸ナトリウム([CO3 2-])が溶解している水溶液を室温で混合し、25°Cで1時間静置後、沈殿物を水洗して回収し、室温で乾燥させた。本実験においては、希土類イオンはおよびカルシウムイオンは当該塩化物より、炭酸イオンは炭酸ナトリウムより供給した。
[条件の検討および結果]
各種濃度の最適条件を調査し、複合体の透明性と発光が両立する条件を探した。[Ca2+]= 100 mM, [CO3 2-]= 70, 100 mM, [PAA]=0, 20, 40, 60, 80, 100 mM, [RE] = 0mM以上20 mM以下の範囲で実験を行った。
PAA濃度および希土類イオン濃度が透明性と発光の両立に重要であることが判明した。PAA濃度は60 mM以上が好ましい。60 mMであれば白濁による透明性の著しい低下とアモルファス構造の不安定化という不都合が起こるためである。さらには80 mMより大きく、かつ200 mM以下がより好ましい。80 mM以下ではアモルファス複合体にならない現象又は白濁する現象が観察されることもあったためであり、200 mMより大きければアクリル系アモルファスポリマーの物性値に近づき、希土類イオンの不均一な分散性により高い発光強度が得られない可能性、もしくは仕込みのPAA量に対して最終生成物に取り込まれるPAA量に変化が無い可能性がある。RE(Rare Earth Metal)濃度は、1 mMより大きく、かつ10 mM以下が好ましい。1mM以下であれば、肉眼では発光が認識できないような発光強度の低下という不都合が起こり、10 mMより大きければ希土類水酸化物や炭酸塩の生成による著しい透明性の低下という不都合が起こるためである。さらには2 mM より大きく、かつ5 mM以下がより好ましい。この濃度範囲以下では発光強度が弱いこと、この濃度範囲以上では徐々に白濁して透明性が低下することが観察されたためである。
上記の各濃度条件において作製した試料は、数ミリメートル程度の大きさを持つバルク状の物質として得られた。図1に得られたTb3+を導入したアモルファス複合体の可視光下での透明性および紫外光照射下でのそれぞれ透明性と発光に関する写真を示す。図1では、[PAA] = 100 mMとして、 [Tb3+]=0 mM 以上20 mM以下まで変化させた場合の様子を示す。また、図2に示すFT-IRスペクトルから、希土類イオンを導入した場合にもアモルファス状態を維持しており、希土類イオンの炭酸塩や水酸化物が析出していないことが示唆される。図3に示す蛍光スペクトル測定により、導入した希土類イオンが均一に分散し、特徴的な鋭い発光スペクトルが観察できる。
また、複数種の希土類イオンを組み合わせて導入することによって、単独では実現できない発光色を出すことも可能であった。例えば[Ce3+]= 3 mM, [Tb3+]= 2 mM, [Eu3+]= 2 mMおよび[Ce3+]= 3.5 mM, [Tb3+]= 2 mM, [Eu3+]= 4 mMにした場合には、それぞれ肉眼でうすい黄色およびオレンジ色の発光が観察できた。また、図4にこのときの発光スペクトルを示す。各希土類イオンの発光に由来するピークが観察できた。
[ゲストとなる材料]
アモルファス複合体へは下記のような化学種なども導入可能である。これらは、ゲストとして複合される。
1)水溶性化学種:イオン(希土類など)・錯体・水溶性低分子・水溶性高分子・イオン液体
2)分子:水溶性ではない有機分子(低分子から高分子まで)・無機高分子・生体分子
3)分子集合体:ミセル・ミセル内に機能分子が可溶化されている構造・液晶材料・
4)ナノ材料・無機材料:クラスター・粒子・1次元ナノ材料(ロッド・ワイヤー・チューブ状など)・2次元ナノ材料(シート・プレート状など)
ここで、ナノ材料は、光の散乱を無視できる程度のサイズが好ましい。サイズが大きい場合や凝集している場合には散乱によって白濁し、透明性を保つことができない場合があるからである。
また、希土類イオン以外にも導入可能な化学種などとして、一部上述のものと重複するが次に挙げる物質も考えられる。イオン種、錯体(希土類錯体)、水溶性低分子/高分子、生体分子/高分子(アミノ酸、タンパク質、酵素などの生体分子ならびにその誘導体含む)、有機分子/高分子(様々な機能、例えば導電性・磁性・光機能などを持つ分子およびその誘導体)、イオン液体、ゾルおよびゲル状物質、無機高分子(シリカ系オリゴマー、など)、無機材料(粘土鉱物など)、層状物質、分子集合体(ミセル・ミセル内に機能分子が可溶化されている構造など)、液晶材料、ナノ材料(クラスター・粒子・1次元ナノ材料(ロッド・ワイヤー・チューブ状など)・2次元ナノ材料(シート・プレート))、マクロなテンプレート(コロイド粒子によるオパール構造の鋳型内への充填など)、セルロースファイバー、キチンナノファイバーなどのナノファイバー、繊維状分子。
[複合する材料の組み合わせ]
さらに、上述の化学種などの中から複数の要素を組み合わせて導入することも可能と考えられる。希土類イオンを複数種導入した色調のチューニング、希土類イオン+配位子+有機分子によるエネルギー移動を伴う発光波長の制御、有機ELのように各種の構成要素を組み込んだ系を本実施形態の方法で実現することを例として挙げることができる。
[複合化の手法]
基本的には水溶性分子を原料溶液に溶解もしくは分散させておくことが好ましい。カルシウムイオン・ポリアクリル酸の水溶液と炭酸イオンの水溶液を混合した後の沈殿を遠心分離して得られるペースト状の物質と機能性材料とを混ぜ合わせる方法も可能である。この手法は水溶性でない分子、分子集合体、高分子量物質に有効であると考えられる。また、同上のペースト状の物質を、適当に希釈して鋳型となる物質の中へ流し込んで充填させる方法も可能である。以上のような手法から種々の物質・材料との混合および複合化が可能であると考えている。
[複合体の形態]
基本的には、バルク状の破片で得られるが、基盤技術と同様に透明薄膜化・コーティングも可能である。さらには、粒子径制御や分散制御によってインクのように流動性のある状態で扱うことも可能と考えている。
<<アモルファス炭酸カルシウム/ポリアクリル酸ナノハイブリッド材料>>
ここで、アモルファス炭酸カルシウム/ポリアクリル酸ナノハイブリッド材料の合成方法などについて詳細に説明する。たとえば、好ましい原料の選択、高分子の分子量、温度などの作製条件、好ましい範囲などに関しては、上述の実施形態も以下説明する実施形態も同様であると考えられる。
<概要>
図6は、バルク状態のアモルファス炭酸カルシウム/ポリアクリル酸ナノハイブリッド材料の写真である。図7は、ガラス基板上への薄膜コーティングしたアモルファス炭酸カルシウム/ポリアクリル酸(ACC(amorphous calcium carbonate)/PAA(poly(acrylic acid)))ナノハイブリッド材料の外観写真(a)とその薄膜断面を斜め上方より見た模式図(b)と走査型電子顕微鏡写真(c)である。
図に示すような、透明かつ安定なアモルファス炭酸カルシウム/ポリアクリル酸ハイブリッド材料が得られた。大気中に数ヶ月静置した後も透明性を維持しており、結晶への転移などの変化は起こらなかった。同様の構造体は、炭酸カルシウムをリン酸カルシウムとした場合にも作製が可能である。また、機能分子のモデルとして有機色素や貴金属コロイドなどをハイブリッド中に透明性を維持したまま均一に取り込むこと、基材への透明薄膜のコーティングが可能であることを見出した。
<合成方法>
図8は、合成方法の概要を示す図である。図に示すように、まず、0-100mMのPAAおよび100mMのカルシウムイオンを含む水溶液と、100mMの炭酸イオンを含む水溶液を別々に作製した。次に、これらの水溶液を等体積で混合し、数時間静置した後に沈殿生成物を遠心分離によって洗浄および回収した。回収した沈殿物を室温・大気圧下で乾燥させることで、透明のアモルファス状炭酸カルシウム/ポリアクリル酸複合体が得られた。これら一連の実験操作は、全て室温・大気圧下で行った。なお、この複合体は、ガラスに比べ、強度に優れ、軽量であり、材質は飴細工のような印象を与えるものであった。なお、この複合体は常温・常圧下で加工することができ、その加工性はガラスよりも優れていることも判明している。
以下、合成方法の変形例などについて説明する。
PAAの濃度範囲は、100mM以上であれば、複合体として有機成分が多く含まれ、200mMまでぐらいが適切でないかと考える。200mM以上の濃度とすると、プラスチックの物性に近づいてしまう可能性がある。
PAA(平均分子量 2000、濃度はCH2C(COOH)Hのアクリル酸モノマー単位で換算して表記。)を主体として説明したが、PAAの代わりに、ポリグルタミン酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールでの実験も行った。その結果、透明な物質と思われるものが得られたのはPAAを使用した場合であった。
また、PAAに対してさらにポリグルタミン酸、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールを加えた場合、PAAに対してそれぞれ50モル%、20モル%以上100モル%以下、10モル%以上100 モル%以下となるように添加した場合にも、透明かつアモルファスな材料を保ったまま得られた。PAAの分子量を変化(2000から250000)させた場合やまたこれら分子量の異なるPAAを混合した場合にも、同様の透明・アモルファス複合体の固体が得られた。
上述の手法では、カルシウムイオンとして塩化カルシウムを用いて合成したが、100mM程度の溶液ができる溶解度を持っていれば、CaXのXにあたる部分は他のものでも構わない。その例としては、リン酸を挙げることができる。80mM以上であれば同様の透明・アモルファス固体が得られるが、70 mMになると、固体ではなく白濁したコロイド分散液となる。このコロイドを利用することで薄膜材料が得られることになる。なお、70mM以下であっても、収量に変動があるとは言え50mM以上であればコロイドが得られることが判明している。
また、上述の手法では、カルシウム(A+)と炭酸(X-)の組み合わせを採用したが、カルシウム以外にもバリウム・鉄・コバルトのように水に溶け、高分子が配位して相互作用しうる陽イオン種(A+)であれば、アルカリ・アルカリ土類・遷移金属イオンなどの他のものでも使用できると予想される。炭酸に関しても同様に、リン酸、硫酸、タングステン酸、モリブデン酸、水酸化物、硫化物イオンなど、やはり水に溶けるような陰イオン種(X-)であれば他のものでもよいと予想される。組み合わせ例としては、リン酸カルシウムのみであります。今後、硫酸カルシウム(セッコウ)、タングステン酸カルシウム(蛍光体)、シュウ酸カルシウム(バイオミネラル)、硫化亜鉛(蛍光体)、硫化カドミウム(蛍光体)、水酸化コバルト(電極材料)、リン酸鉄リチウム(電極材料)などを挙げることができる。生成物AXの溶解度が溶解度積で示されるような、難溶性塩であることが、アモルファス構造の複合体を誘導することに重要と考えている。組み合わせによっては、極めて有用な電極材料・光機能材料などの機能材料としても機能することも考えられる。例としては、リン酸鉄化合物の場合は電極、タングステン酸塩の場合は蛍光体を挙げることができる。
炭酸イオンの濃度を上げても変化があまり無いかと思われる。ただし、濃度を下げることでポリマー/陽イオンの配位構造が多くなり、陰イオン種の含有量が少ない複合体になってしまうと考えられる。
カルシウム/PAAの溶液に炭酸原料を直接溶解させても、同様の物質が得られることが予想できる。例えば、二酸化炭素ガスの導入などがその手法である。
2つの水溶液の混合比を変化させた場合にも、PAAや炭酸イオンの濃度をそれぞれ変化させる場合と同様の結果になると考えられる。
上述の手法における静置時間は、1時間以上2時間以下としていた。静置時間を変化させた場合には、0時間から2週間程度までは同様に透明・アモルファス固体が得られる。2週間以降静置した場合は、溶液中にさらされることで、一部結晶への転移がおこってしまい、アモルファスではなくなる場合があることが判明している。
沈殿物の回収方法は、遠心分離でなくとも、沈殿物が回収できれば他の方法でもよい。
上述の手法では、反応時の操作環境は、室温・大気圧下であった。ただし、溶媒である水に変化が無ければ、60 ℃程度であれば最初から結晶が析出してしまう可能性もあるが、10℃以上90℃以下程度の範囲内で同様の構造が得られると考えられる。
乾燥は、真空乾燥によって行うと、生成物がやや白濁する。なるべく急激に水を飛ばすことなく、大気圧下の穏やかな環境で行うことが望ましい。
また、凍結乾燥を行うと、多孔質状の白色粉末が得られることがわかっている。
<評価方法>
得られた生成物の形状は、光学顕微鏡・電解放出型走査型電子顕微鏡(FESEM)、アモルファス状態の解析は、粉末X線回折(XRD)、赤外線吸収スペクトル(FT-IR)、ラマン分光、熱重量・示差熱分析(TG-DTA)から行った。また、色素などの機能分子の導入及びその特性は、紫外可視吸収および透過率スペクトル(UV/Vis)、蛍光スペクトルによって解析を行った。
なお、通常結晶であるかアモルファスであるか結晶性を評価するためにはXRDを用いるが、炭酸カルシウムに関しては、先行研究より、FT-IRやラマン分光を用いてもその結晶構造に関する解析が可能であることが報告されている。
表2は、炭酸カルシウムの結晶性とFT-IRスペクトルのピークとの関係を示す表である。
<バルク状アモルファスナノ複合体の構造>
図9(a)は、マクロな外観の写真である。図に示すように、破片は、薄い直方体板状のものが多いが、特に決まった形を持つわけではない。図9(b)は光学顕微鏡写真である。また、図9(c)は、偏光顕微鏡写真である。偏光顕微鏡写真が暗視野になることから結晶ではないことが示唆される。図9(d)は、バルク状の複合体の紫外・可視光の透過率スペクトルである。バルク状複合体を石英ガラスに塗布して測定、紫外・可視領域で光の散乱による透過率の低下はあるものの、特徴的な吸収ピークは存在しない。図9(e)は、XRDスペクトルである。図に示すとおり、ピークが存在しないことから結晶ではないことがわかる。図9(f)は、FT-IRスペクトルである。下記の非特許文献よりアモルファス炭酸カルシウム(ACC)に特有なスペクトルを示していることがわかる(矢印A〜C)。
Y. Politi, T. Arad, E. Klein, S. Weiner, L. Addadi, Science 2004, 306, 1161-1164
図9(g)は、ラマンスペクトルである。FT-IRの場合と同様に、ACCに特有なスペクトルを示している。図9(h)は、熱重量・示差熱分析のチャートである。温度上昇に伴う重量減少(左軸)より、CaCO3、ポリアクリル酸(PAA)、水の割合を見積もることができ、CaCO3:PAA:water=57:25:18(重量比)、=30:18:52(モル比)となる。
<バルク状アモルファスナノ複合体のかたち>
図10(a)及び図10(b)は、走査型電子顕微鏡の写真である。マイクロメートルおよびサブマイクロメートルスケールにおいて平滑であり、粒子などが存在しないことがわかる。図10(c)は、透過型電子顕微鏡写真である。また、図10(d)は、暗視野イメージング(白い部分が試料)である。ナノメートルスケールでの観察から、2nm〜3nm程度の粒子が集まって構成されていることがわかる。図10(e) は、高分解能像である。結晶格子の縞模様は観察できない。
図10 (f)及び図10(g)は、ナノスケールでの複合構造のモデル図である。水を含むACCのナノ粒子(2nm〜3 nm)にPAAが相互作用することで複合構造を作っていると推定される。
なお、本実施形態において通常不安定なアモルファスの安定化に成功した原因のひとつとして、これまで報告例が無いほどの多量のPAAと水が、結晶への転移を抑制しているものと考えられる。また、通常の実験レベルの10倍程度という、カルシウムと炭酸の濃度が極端に高いことも原因の一つとして挙げられる。
[形成条件と構造−ポリアクリル酸濃度の影響]
図11(a)は、PAA濃度変化にともなう結晶構造の変化を示すXRDパターンである。図11(b)は、PAA濃度変化にともなう結晶構造の変化を示すFT-IRスペクトルである。0、20 mMのスペクトルに記入してあるCおよびVはそれぞれ、結晶形のカルサイトおよびバテライトを示す。いずれの場合にも、 [Ca2+]=100 mM、[CO3 2-]= 100 mMと条件を固定し、PAA濃度を0から100 mMまで変化させ、複合体を得た。
ここでは、結晶性を、XRDとFT-IRスペクトルから検討する。XRD を考察すると、40 mMからピークが現れていないことから、ほぼアモルファス状態になっていることが推定できる。また、FT-IR を考察すると、0, 20, 40 mMにおいては結晶由来の吸収P, Rが現れているが、60 mM以上ではアモルファス由来の吸収Q, Sのみとなる。つまり、0, 20 mMにおいては、XRDからも明らかにピークが観察できるが、40 mMにした場合にXRDのピークは見えなくなる一方、FT-IRスペクトルから、40 mMのときにはわずかに結晶由来の713 cm-1および874 cm-1のピークが残っていることがわかる。このことより、PAA濃度が40 mM以上の場合にはほぼアモルファスであり、少なくともPAA濃度が60 mM以上であれば完全にアモルファスになると考えられる。
<色素・金属ナノ微粒子の導入など>
いずれの場合にも、原料溶液に予め色素やナノ微粒子を分散させておくことで、生成物への導入が可能であった。所定濃度の水溶性色素(ローダミンBおよびルテニウムトリスビピリジン錯体)を用意し、そこにCa2+/PAAを溶解させて前駆溶液とし、CO3 2-水溶液を添加した。一方、ナノ微粒子(粒子径5nmの金)は分散安定剤(クエン酸)によって分散させ、水に溶けない分子(ピレン)は界面活性剤(ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド)と供に水中に溶解させ、その後CO3 2-を溶解させた前駆溶液を作製し、そこにCa2+水溶液を添加した。これらを、出発の前駆溶液として用い、その他の実験手順は上述の手法と同様であった。
なお、どちらの前駆溶液に色素などを予め溶解させておくかに関しては、Ca2+とCO3 2-の混合前に沈殿が生成しない方を選択するほうが望ましい。導入することができる材料は、水に溶けるものであれば低分子から高分子まで可能であり、水に溶けない分子は界面活性剤とともに、ナノ粒子やナノチューブ、ワイヤー、シートなどの形状を持つ無機もしくは有機ナノ材料は分散安定剤などとともに水中への安定な分散が実現できれば、均一な導入が可能である。これらのゲストとなる材料は、水中に凝集せずに分散していれば、生成物のアモルファス物質内に凝集することなく導入することが可能である。
図面を参照しながら、バルク状アモルファスナノ複合体への機能材料の導入例について説明する。
図12(a)は、機能材料導入前の外観である。図12(b)及び図12(c)は、水溶性色素ローダミンBおよびルテニウムトリスビピリジン錯体(略称:RBおよびRU)導入後の外観(上段)および紫外線照射による蛍光発光の外観(下段)である。図12(d)は、界面活性剤によって可溶化された疎水性有機分子ピレン(PY)の導入後(上段)および紫外線照射による蛍光発光の様子(下段)である。図12(e)は、金ナノ粒子導入後の外観である。表面プラズモン共鳴により呈色する。図12(f)は、RB, RUを導入したアモルファスナノ複合体の紫外可視吸収スペクトルである。図12(g)は、RB, RUを導入したアモルファスナノ複合体の蛍光スペクトルである。ピーク位置が水溶液中のスペクトルとほぼ同じことから、アモルファスナノ複合体内に凝集することなく均一に分散していることが示唆される。図12(h)は、PYを導入したアモルファスナノ複合体の蛍光スペクトルである。RB、RUと同様に凝集することなく均一に分散していることが示唆される。図12(i)は、金ナノ粒子を導入した試料のFETEMによる暗視野イメージングである。濃い白い点が金ナノ粒子であり、均一に分散していることを示している。
以上の結果は、これらのゲストとなる材料が均一にアモルファスナノ複合体内に導入されていることを示している。
<薄膜の作製>
上述の合成条件において、[Ca2+]=70mMにすることで、コロイド分散液が得られた。この分散液をガラス基板上へスピンコートし、純水で洗浄することで基板上へ透明なアモルファスナノ複合体の薄膜が得られた。
なお、ここでは、ガラス基板を使用したが、基板の材料を特に限定する必要は無い。フレキシブルなポリマーフィルムへのコーティングも可能である。さらに、大面積化もできると考えられ、これらの点は、実用化を考えると極めて大きい利点である。
純水で洗浄したのは、合成上、塩化カルシウムと炭酸ナトリウムを使用しているため、乾燥時に対イオンによってNaClができてしまうからである。
上述のゲストとなる材料の導入と、この薄膜コーティングの技術を組み合わせることも可能である。
図面を参照しながら、アモルファスナノ複合体の薄膜コーティング例について説明する。
図13(a)は、[Ca2+]=70mMのときに得られるコロイド分散液の外観である。レーザーポインターの光を散乱することから、ナノ粒子が生成していることが示唆される。図13(b)は、コロイド分散液をスピンコートすることによってガラス基板上に作製した薄膜である。図13(c)及び図13(d)は、得られた薄膜を上から撮ったFESEM写真である。マイクロメートルスケール、サブマイクロメートルスケールでクラックが無く平滑な膜であることがわかる。図13(e)は、断面のFESEM写真である。膜厚が約200 nm程度であった。図13(f)は、薄膜のラマンスペクトルである。アモルファス炭酸カルシウムに由来する特徴的なピークが観察できる。図13(g)は、得られた薄膜の透過率スペクトルである。クラックが無いため光を散乱せず、紫外・可視領域にわたってほぼ透明であることがわかる。
<安定性の評価>
図14は、本実施形態の複合材料のアモルファス構造の安定性について熱安定性と長期安定性についての評価を行った際の図である。
熱安定性は、所定温度まで昇温の後1時間保持し、長期安定性は所定時間室温で静置し、FT-IRスペクトルや偏光顕微鏡写真によってアモルファス状態であるかを評価した。図に示すように、熱安定性に関しては、ポリアクリル酸の熱分解にともなって、500℃で結晶性の炭酸カルシウムとなるが、400℃程度まではアモルファス構造を維持していることがわかった。また、長期安定性に関しては、三ヶ月経過後もアモルファス構造であることもわかった。
<好ましい数値範囲>
上述の手法によって、下記のように、好ましい数値範囲が判明した。
[1]バルク構造形成の場合 Ca2+濃度を80mM以上とするとアモルファス複合体(バルク)が形成する。さらには、より安定かつ透明なアモルファス複合体を得るためには、Ca2+濃度を100mM以上とすることが好ましい。また、PAA濃度を40mM以上とするとアモルファス複合体(バルク)が形成する。さらには、ごく微量の結晶質の混入を避けて完全にアモルファスの構造を得るためには、PAA濃度を、60 mM以上とすることが好ましい。
[2]薄膜構造形成の場合 Ca2+濃度を50mM以上とするとアモルファス複合体コロイドが形成する。さらには、緻密でクラックの無い均質な膜を得るため、Ca2+濃度を70 mM以上80 mM以下とすることが好ましい。
[3]色素濃度など 水に色素分子が溶解する濃度範囲であれば、色素濃度はいくらでもよいと考えられる。実際には0.01mM以上5 mM以下の濃度で試した。コロイドなども凝集せずに均一な分散が実現できていれば、どんな固形分率でもよいと考えられる。
<将来性など>
上述の実施形態によれば、特殊な装置や設備ならびに温度や圧力などの制御を必要とせずに、低コストの溶液系のワンポット合成からプラスチックやガラスのような透明で安定な材料を得ることができる。また、このハイブリッド材料に種々の機能分子を導入することで、そのホスト・ゲストの組み合わせによって所望の電磁気・光学・力学特性などを付与した機能材料を得ることも期待できる。さらに、基材へのコーティングなどによって、紫外・可視光に対してほぼ透明かつ安定な薄膜材料としての可能性も期待される。
すなわち、上述の実施形態によれば、光学・コーティング・装飾などの材料に用いることが可能な、有機高分子とアモルファス炭酸塩(又はリン酸塩)等とによって構成される安定で透明な新しい有機無機ナノハイブリッド材料、プラスチックやガラスに代わり得る安価で汎用性の高い新素材、明確な粒界を持たず光散乱などの影響を受けない新たな材料、紫外・可視光に対しほぼ透明、かつ、常温・常圧下において極めて安定な、有機高分子とアモルファス炭酸塩(又はリン酸塩)等によって構成されるナノハイブリッド材料、上述の材料を用いた機能分子のホスト材料や各種基材へのコーティング剤などが実現される。
[その他の実施形態]
本実施形態の材料は汎用性が高く、上述したもの以外にも様々な用途が考えられる。例としては、光学材料、器、窓、レンズ、鏡、光ファイバー、ブラウン管、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの各種ディスプレイ、蛍光灯、白熱電球、時計、玩具、装飾品、各種日用品、包装材料、ボトル、電子機器、家電製品、家具、小型機械、コンパクトディスクなどのメディア、船舶、自動車などの内装、農業用フィルム、浴槽、タンク、建築材料、繊維原料などを挙げることができる。また、絶縁、封止、接着、接続用端子、各種センサー、光触媒、電子部品材料、導電膜、透明導電膜などに適用することも考えられる。さらに、フラットパネルディスプレイ、太陽電池、タッチパネルなどの透明電極へ適用が考えられる。また、反射防止膜に用いられる電磁波の遮蔽、静電気により埃がつかないようにするフィルム、熱遮断膜、熱線反射膜、紫外線反射膜へ適用も考えられる。多層膜を作製し、帯電防止膜などとしても適用できる。
炭酸カルシウムなどは生体適合性に優れるため、生体材料に適用することも考えられる。また、水に溶解しない機能分子や材料であっても、界面活性剤とともに取り込むことができるため、それらの材料や分子の特性を生かした材料とすることもできる。
さらに具体的な用途として、色素増感太陽電池の電極、ディスプレイパネル、有機ELパネル、発光素子、発光ダイオード(LED)、白色LEDや青色レーザの透明電極、面発光レーザの透明電極、照明装置、通信装置、特定の波長の光(例えば、青色光だけ)を通すというアプリケーションも考えられる。透過率は可視光全領域で90%以上となることが望ましいが、長波長の赤色領域をカットし、青色のみ透過することも可能である。透過率が90%以上になるのは必須ではなく、アプリケーションによって、又は、抵抗率と透過率の兼ね合いによって、材料を選択すればよい。また、RBやRUなどの色素や希土類イオンを取り込むことにより、透明性と着色や発光特性を兼ね備えた複合材料にすることも可能である。
さらに詳しくは、用途として次のものを挙げることもできる。液晶ディスプレイ(LCD: Liquid Crystal Display)における透明導電膜、カラーフィルタ部における透明導電性膜、EL(EL: Electro Luminescence)ディスプレイにおける透明導電性膜、プラズマディスプレイ(PDP)における透明導電膜、PDP光学フィルタ、電磁波遮蔽のための透明導電膜、近赤外線遮蔽のための透明導電膜、表面反射防止のための透明導電膜、色再現性の向上のための透明導電膜、破損対策のための透明導電膜、光学フィルタ、タッチパネル、抵抗膜式タッチパネル、電磁誘導式タッチパネル、超音波式タッチパネル、光学式タッチパネル、静電容量式タッチパネル、携帯情報端末向け抵抗膜式タッチパネル、ディスプレイと一体化したタッチパネル(インナータッチパネル)、太陽電池、アモルファスシリコン(a-Si)系太陽電池、微結晶Si薄膜太陽電池、CIGS太陽電池、色素増感太陽電池(DSC)、電子部品の静電気対策用透明導電材料、帯電防止用透明導電材、調光材料、調光ミラー、発熱体(面ヒーター、電熱膜)、電磁波遮蔽膜、紫外線遮断材料(UVカットフィルター)。
適切な蛍光材料などと組み合わせることによって白色発光体として応用することも考えられる。光の三原色に相当する波長にほぼ均等なピークを持つように材料を適宜組み合わせて白色発光体を形成してもよい。
さらに、希土類を導入してコロイド状にした液をペンのインクのように使うことも考えられる。この方法であれば、一見、透明なサインであっても、紫外線をあてると筆跡が浮かび上がるセキュリティーインクなどに応用できる。
[まとめ]
近年、地球環境問題への関心の高まりから、省エネルギーな照明や表示デバイスの開発が急務である。また、次世代ディスプレイに関する研究が急速に進展しており、新しい発光材料の開発に注目が集まっている。可視光に対して透明かつ紫外線により発光色を示す無色透明な蛍光体は、新しい表示デバイス、照明、調光材料への幅広い応用が期待できる。有機色素蛍光体を用いると、多くの場合可視光に吸収を持つため着色してしまう。希土類を発光材料は一般に、適切なホスト材料に均一に分散させて使用する必要がある。有機配位子が配位した希土類イオンをシリカやポリマーへ導入した例もあるが、ホスト材料の作製には高温・高圧などの反応条件を必要とする場合が多い。ありふれた安価な原料を用い、製造工程から省エネルギーな透明で安定な発光材料の開発が求められている。
ここでは、透明なアモルファス炭酸カルシウム(ACC)/ポリアクリル酸(PAA)複合体内に、希土類イオンを導入することで、無色透明かつ安定な蛍光体材料を与える技術などを説明してきた。ごく少量の希土類化合物とありふれた炭酸カルシムやポリマーを利用し、安価で環境に負担をかけない常温・常圧のプロセスで無色透明な蛍光体材料が作製できる技術は学術的にも工業的にも重要である。
本実施形態よれば、アモルファス複合体へ水溶性化学種・分子・分子集合体・ナノ材料を導入した複合体およびその製造方法などを実現できる。
具体的には、上述の化学種および材料などを均一に導入して複合化でき、アモルファス複合体の透明性と安定性を保ったまま、導入した材料の機能を発揮できる材料を得ることができる。特に、ありふれた炭酸カルシムやポリマーを利用し、そこに機能分子や材料を均一に分散・導入することで、安価で環境にやさしい常温・常圧のプロセスによって、無色透明でガラスのような汎用性かつ多機能なホスト材料が作製できる点で本実施形態の手法は優れている。ここで機能分子や材料によって、光学的(蛍光・りん光・屈折率)、電気的(電子伝導性・イオン伝導性・誘電率)、磁気的(磁性・磁化率・保磁力)、力学的(硬度・引っ張り強度・ヤング率)、生体親和性などの特性が付与できると考えている。また、導入量や作製条件の制御によって物性値のチューニングも容易に可能であると考える。
[権利解釈など]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について説明してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施形態の修正又は代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
また、この発明の説明用の実施形態が上述の目的を達成することは明らかであるが、多くの変更や他の実施例を当業者が行うことができることも理解されるところである。特許請求の範囲、明細書、図面及び説明用の各実施形態のエレメント又はコンポーネントを他の1つまたは組み合わせとともに採用してもよい。特許請求の範囲は、かかる変更や他の実施形態をも範囲に含むことを意図されており、これらは、この発明の技術思想および技術的範囲に含まれる。
実験操作の概略を示す図である。 希土類イオンを導入したバルク状アモルファスナノ複合体のマクロな外観および紫外線照射による発光の写真などである。 アモルファス炭酸カルシウムで構成されていることを示す赤外線吸収スペクトルである。 希土類イオンを導入したアモルファスナノ複合体の発光スペクトルなどである。 複数種の希土類イオンを導入したアモルファスナノ複合体の発光スペクトルなどである。 バルク状態のアモルファス炭酸カルシウム/ポリアクリル酸ナノハイブリッド材料の写真である。 ガラス基板上への薄膜コーティングしたアモルファス炭酸カルシウム/ポリアクリル酸(ACC(amorphous calcium carbonate)/PAA(poly(acrylic acid)))ナノハイブリッド材料の外観写真などである。 合成方法の概要を示す図である。 バルク状アモルファスナノ複合体のマクロな外観の写真などである。 走査型電子顕微鏡の写真などである。 PAA濃度変化にともなう結晶構造の変化を示すXRDパターンなどである。 機能材料導入前の外観などである。 コロイド分散液の外観などである。 複合材料のアモルファス構造の安定性について熱安定性と長期安定性についての評価を行った際の図である。

Claims (11)

  1. ポリアクリル酸、炭酸イオン、カルシウムイオン及び蛍光体となり得る希土類イオンとともに水を内部に含有し、アモルファス構造であることを特徴とする複合材料。
  2. 前記蛍光体となり得る希土類イオンは、セリウムイオン、テルビウムイオン、ユーロピウムイオンのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の複合材料。
  3. 請求項2に記載された複合材料によって形成された発光材料。
  4. 請求項1から請求項2までのいずれかに記載された複合材料によって形成された機能材料。
  5. カルシウムイオン、蛍光体となり得る希土類イオン及びポリアクリル酸を含む第1溶液と、炭酸イオンを含む第2溶液とを混合し、
    ポリアクリル酸、炭酸イオン、カルシウムイオンとともに水を内部に含有し、アモルファス構造である複合材料を製造する複合材料の製造方法であって、
    前記第1水溶液中のポリアクリル酸の濃度は40mM以上であり、前記第1水溶液中のカルシウムイオンの濃度は50mM以上であることを特徴とする複合材料の製造方法。
  6. カルシウムイオン、蛍光体となり得る希土類イオン及びポリアクリル酸を含む第1溶液と、炭酸イオンを含む第2溶液とを混合し、
    ポリアクリル酸、炭酸イオン、カルシウムイオンとともに水を内部に含有し、アモルファス構造である複合材料を製造する複合材料の製造方法であって、
    前記第1水溶液中のポリアクリル酸の濃度は60mM以上であり、前記第1水溶液中のカルシウムイオンの濃度は50mM以上であることを特徴とする複合材料の製造方法。
  7. カルシウムイオン、蛍光体となり得る希土類イオン及びポリアクリル酸を含む第1溶液と、炭酸イオンを含む第2溶液とを等体積で混合し、
    ポリアクリル酸、炭酸イオン、カルシウムイオンとともに水を内部に含有し、アモルファス構造である複合材料を製造する複合材料の製造方法であって、
    前記第1水溶液中のポリアクリル酸の濃度は40mM以上であり、前記第1水溶液中のカルシウムイオンの濃度は50mM以上であることを特徴とする複合材料の製造方法。
  8. カルシウムイオン、蛍光体となり得る希土類イオン及びポリアクリル酸を含む第1溶液と、炭酸イオンを含む第2溶液とを等体積で混合し、
    ポリアクリル酸、炭酸イオン、カルシウムイオンとともに水を内部に含有し、アモルファス構造である複合材料を製造する複合材料の製造方法であって、
    前記第1水溶液中のポリアクリル酸の濃度は60mM以上であり、前記第1水溶液中のカルシウムイオンの濃度は80mM以上であることを特徴とする複合材料の製造方法。
  9. カルシウムイオン、蛍光体となり得る希土類イオン及びポリアクリル酸を含む第1溶液と、炭酸イオンを含む第2溶液とを等体積で混合し、
    ポリアクリル酸、炭酸イオン、カルシウムイオンとともに水を内部に含有し、アモルファス構造である複合材料を製造する複合材料の製造方法であって、
    前記第1水溶液中のポリアクリル酸の濃度は40mM以上であり、前記第1水溶液中のカルシウムイオンの濃度は50mM以上であり、前記第2水溶液中の炭酸イオンの濃度は100mMであることを特徴とする複合材料の製造方法。
  10. カルシウムイオン、蛍光体となり得る希土類イオン及びポリアクリル酸を含む第1溶液と、炭酸イオンを含む第2溶液とを等体積で混合し、
    ポリアクリル酸、炭酸イオン、カルシウムイオンとともに水を内部に含有し、アモルファス構造である複合材料を製造する複合材料の製造方法であって、
    前記第1水溶液中のポリアクリル酸の濃度は60mM以上200mM未満以上であり、前記第1水溶液中のカルシウムイオンの濃度は100mM以上であり、前記第2水溶液中の炭酸イオンの濃度は100mMであることを特徴とする複合材料の製造方法。
  11. カルシウムイオン、蛍光体となり得る希土類イオン及びポリアクリル酸を含む第1水溶液と、炭酸イオンを含む第2溶液とを等体積で混合し、コロイド分散液を形成する工程と、
    前記コロイド分散液を基板上に塗布し、ポリアクリル酸、炭酸イオン、カルシウムイオンとともに水を内部に含有し、アモルファス構造であるである複合材料を有する薄膜を形成する工程と
    を備えること複合材料薄膜の製造方法であって
    前記第1水溶液中のポリアクリル酸の濃度は60mM以上200mM未満以上であり、前記第1水溶液中のカルシウムイオンの濃度は100mM以上であり、前記第2水溶液中の炭酸イオンの濃度は100mMであることを特徴とする複合材料の製造方法。
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