ところで、ヒートポンプ式給湯機は、給湯用として水を加熱する以外に、風呂の追い焚き、床暖房用循環水の加熱などの用途にも使用され、これらの用途の場合には入水温度が比較的高くなりやすい。また、冷媒として例えば二酸化炭素を用いて、高圧側の冷媒圧力を臨界圧力以上にして運転すると、入水温度の上昇に伴う加熱能力および成績係数の低下が大きくなる。
したがって、高圧側の冷媒圧力を臨界圧力以上とするヒートポンプ式給湯機において、入水温度が上昇したときであっても、加熱能力および成績係数の低下を抑制することが望まれる。
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高圧側の冷媒圧力を臨界圧力以上とするヒートポンプ式給湯機において、入水温度が上昇した場合であっても加熱能力および成績係数の低下を効果的に抑制できるヒートポンプ式給湯機を提供することにある。
本発明のヒートポンプ式給湯機は、圧縮機と、水熱交換器と、減圧機構と、蒸発器と、これらを接続する配管とを有し、高圧側の冷媒圧力を臨界圧力以上にして冷媒を循環させる冷媒回路と、水が貯留されるタンクと、前記タンクの水を前記水熱交換器に送る入水配管と、前記水熱交換器により加熱された水を前記タンクに戻す出湯配管とを有する貯湯回路と、前記水熱交換器に流入する水の温度を入水温度とし、前記水熱交換器により温度調節された水の温度を出湯温度としたとき、第1の出湯温度での成績係数と、この第1の出湯温度よりも高い第2の出湯温度での成績係数とが同じ値になる入水温度を基準値とし、前記入水温度が前記基準値よりも低温側では前記第1の出湯温度での成績係数の方が前記第2の出湯温度での成績係数よりも高く、前記入水温度が前記基準値よりも高温側では前記第2の出湯温度での成績係数の方が前記第1の出湯温度での成績係数よりも高くなるように設定された成績係数の特性を利用して、前記基準値よりも前記入水温度が高くなった場合に前記出湯温度を前記第1の出湯温度から前記第2の出湯温度に上げる制御を実行する制御手段と、を備えている。
この構成では、制御手段は、出湯温度が異なっても成績係数が同じ値になる入水温度の特異的な点である基準値と実際の入水温度との比較結果に基づいて出湯温度を制御する。
具体的には、例えば、入水温度が基準値よりも低い温度で出湯温度をある値T1に制御しているケースで、入水温度が基準値よりも高くなった場合には、出湯温度をT1より大きなT2に上げる。このように出湯温度をT1からT2に上げると、圧縮機の消費エネルギー(圧縮仕事)は増加するが、その増加率よりも大きな増加率で水熱交換器における加熱能力が増加するので、結果的に成績係数を高くすることができる。
また、入水温度が高くなって入水温度と出湯温度との差が小さくなると、水熱交換器の加熱能力が低下するが、入水温度が基準値よりも高くなった場合に出湯温度をT1からT2に上げることによって、入水温度と出湯温度との差を広げることができるので、加熱能力も高めることができる。
これにより、入水温度が上昇した場合であっても加熱能力および成績係数の低下を効果的に抑制することができる。
前記制御手段は、前記入水温度が前記基準値よりも高くなり、かつ、その時点での出湯温度が出湯温度上限値よりも低い場合に、前記出湯温度を上げる制御を実行するのが好ましい。
このように出湯温度上限値を出湯温度の制御に加えることによって、出湯温度の上限管理を適切に行うことができる。
本発明では、前記基準値が第1基準値であり、この第1基準値よりも低い温度の第2基準値がさらに設定されており、前記制御手段は、前記第1基準値よりも前記入水温度が高くなり前記出湯温度を上げた後、前記第2基準値よりも前記入水温度が低くなった場合に前記出湯温度を下げる制御を実行するのが好ましい。
この構成では、第1基準値(基準値)よりも入水温度が高くなり出湯温度を上げた後、第2基準値よりも入水温度が低くなった場合に出湯温度を下げる。具体的には、例えば、入水温度が第2基準値よりも低くなった場合に出湯温度を前記T2から前記T1に下げると、水熱交換器における加熱能力は低下するが、その低下率よりも大きな低下率で圧縮機の消費エネルギーが低下するので、結果的に成績係数の低下を効果的に抑制できる。また、このように本構成によれば、入水温度の上昇時だけでなく下降時にも適切な出湯温度の制御ができるので、入水温度の長時間にわたる上下の変動に対しても出湯温度を適切に制御して加熱能力および成績係数の低下を長時間にわたり効果的に抑制することができる。
また、本発明では、前記第1基準値よりも高い温度の第3基準値がさらに設定されており、前記制御手段は、前記第1基準値よりも前記入水温度が高くなり前記出湯温度を上げた後、前記第3基準値よりも前記入水温度が高くなった場合に前記出湯温度をさらに上げる段階的な制御を実行するのが好ましい。
この構成では、入水温度が第1基準値よりも高くなり出湯温度を上げた後、入水温度が第3基準値よりも高くなった場合に、出湯温度をさらに上げる温度制御を行うので、入水温度の上昇度合いに応じて出湯温度を段階的に制御することができる。これにより、加熱能力および成績係数の低下をより効果的に抑制することができる。
また、本発明では、前記第2基準値よりも高く、前記第3基準値よりも低い温度の第4基準値がさらに設定されており、前記制御手段は、前記第3基準値よりも前記入水温度が高くなり前記出湯温度を上げた後、前記第4基準値よりも前記入水温度が低くなった場合に前記出湯温度を下げる段階的な制御を実行するのが好ましい。
この構成では、第3基準値よりも入水温度が高くなり出湯温度を上げた後、第4基準値よりも入水温度が低くなった場合に出湯温度を下げるので、上記した段階的な制御において入水温度が下がったときにも成績係数の低下をより効果的に抑制できる。
前記制御手段は、前記入水温度が上がるにつれて前記出湯温度を上げる連続的な制御を実行してもよい。
この構成では、入水温度が上がるにつれて出湯温度も上げる連続的な制御を行うので、入水温度の上昇に応じて出湯温度をさらに細かく連続的に制御することができる。これにより、加熱能力および成績係数の低下をさらに効果的に抑制することができる。
前記制御手段は、前記入水温度が下がるにつれて前記出湯温度を下げる連続的な制御を実行してもよい。
この構成では、入水温度が下がるにつれて出湯温度を下げるので、上記した連続的な制御において入水温度が下がったときにも成績係数の低下をさらに効果的に抑制できる。また、このように入水温度の上昇時だけでなく、下降時にも適切な出湯温度の制御ができるので、入水温度の長時間にわたる上下の変動に対しても出湯温度を適切に制御して加熱能力および成績係数の低下を長時間にわたり効果的に抑制することができる。
以上説明したように、本発明によれば、高圧側の冷媒圧力を臨界圧力以上とするヒートポンプ式給湯機において、入水温度が上昇した場合であっても加熱能力および成績係数の低下を効果的に抑制することができる。
以下、本発明の一実施形態にかかるヒートポンプ式給湯機について図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態にかかるヒートポンプ式給湯機11は、冷媒を循環させる冷媒回路13と、この冷媒回路13の冷媒との熱交換により低温水を沸き上げてタンク15に高温水を貯湯するための貯湯回路17とを備えている。
冷媒回路13は、圧縮機19と、水熱交換器21と、膨張弁(減圧機構)23と、蒸発器25と、これらを接続する配管とを有している。本実施形態では、冷媒回路13を循環する冷媒として二酸化炭素を用いている。この二酸化炭素は圧縮機19により臨界圧力以上に圧縮される。
貯湯回路17は、水が貯留されるタンク15と、このタンク15の水を水熱交換器21に送る入水配管27と、水熱交換器21との熱交換により加熱された水をタンク15に戻す出湯配管29と、貯湯回路17内において水を循環させるポンプ31とを有している。
入水配管27から水熱交換器21に流入する水の温度(以下、入水温度という。)は、水熱交換器21との接続部近傍の入水配管27に配設された温度センサ39により測定される。水熱交換器21により温度調節された水の温度(以下、出湯温度という。)は、水熱交換器21との接続部近傍の出湯配管29に配設された温度センサ41により測定される。
この給湯機11は、冷媒回路13および貯湯回路17を制御する制御部(制御手段)33を備えている。この制御部33が冷媒回路13の圧縮機19を駆動させるとともに貯湯回路17のポンプ31を駆動させることにより、タンク15の底部に設けられた出水口からタンク15内の低温水が入水配管27を通じて水熱交換器21に送られる。水熱交換器21に送られてきた低温水は、水熱交換器21において加熱され、出湯配管29を通じてタンク15の上部に設けられた入水口からタンク15内に戻される。これにより、タンク15内は、上部に高温水が貯湯され、下部にいくほど水の温度が低くなっている。
タンク15は、貯湯された高温水をタンク15の上部から取り出して浴槽などへ給湯するための給湯配管35と、タンク15の底部に水道水などの低温水を供給するための給水配管37とを備えている。
図2は、給湯機11において、入水温度を10℃から60℃まで変えたときのヒートポンプの成績係数(COP)の変化を示すグラフである。図2において、実線は出湯温度を65℃に設定した場合のデータを示し、破線は出湯温度を85℃に設定した場合のデータを示している。
図2に示すように、入水温度と成績係数の関係を示すグラフ上の曲線は右下がりの挙動を示しており、成績係数は、出湯温度にかかわらず、入水温度が上昇するに伴って低下している。ところが、出湯温度が65℃である場合と出湯温度が85℃である場合とで成績係数の挙動を比較すると、入水温度がA1(図2の場合、約35℃)よりも低温側では出湯温度65℃の方が成績係数が高く、入水温度がA1よりも高温側では出湯温度85℃の方が成績係数が高くなっている。
すなわち、出湯温度65℃の挙動と出湯温度85℃の挙動を比較すると、グラフ上の双方の曲線が交わる座標(A1,COP1)を境にして成績係数が逆転している。しかも、図2には図示されていないが、出湯温度が65℃,85℃である場合だけでなく、これら以外の出湯温度であっても、入水温度と成績係数の関係を示すグラフ上の曲線は右下がりの挙動を示すとともに座標(A1,COP1)またはその近傍を通るという特異的な挙動を示す。以下、この特異的な点である入水温度を第1基準値A1という。
具体例を挙げると、入水温度が10℃である場合と入水温度が50℃である場合とを比較すると以下のようになる。図3のモリエル線図には、入水温度が10℃であるときの冷凍サイクルを例示し、図4のモリエル線図には、入水温度が50℃であるときの冷凍サイクルを例示している。図3および図4において、実線は出湯温度を65℃に設定した場合のデータを示し、破線は出湯温度を85℃に設定した場合のデータを示している。
図2に示す入水温度が10℃で出湯温度が65℃である場合の成績係数COP(10/65)は、図3に示す放熱量Δh2を圧縮仕事の熱量Δh1で除することにより得られる(Δh2/Δh1)。また、図2に示す入水温度が10℃で出湯温度が85℃である場合の成績係数COP(10/85)は、図3に示す放熱量Δh4を圧縮仕事の熱量Δh3で除することにより得られる(Δh4/Δh3)。
図2に示す入水温度が50℃で出湯温度が65℃である場合の成績係数COP(50/65)は、図4に示す放熱量Δh6を圧縮仕事の熱量Δh5で除することにより得られる(Δh6/Δh5)。また、図2に示す入水温度が50℃で出湯温度が85℃である場合の成績係数COP(50/85)は、図4に示す放熱量Δh8を圧縮仕事の熱量Δh7で除することにより得られる(Δh8/Δh7)。
図2に示すように、第1基準値A1よりも温度の低い領域である入水温度10℃の場合には、COP(10/65)>COP(10/85)であるが、第1基準値A1よりも温度の高い領域である入水温度50℃の場合には、COP(50/65)<COP(50/85)となる。
以上のように、高圧側の冷媒圧力を臨界圧力以上にして冷媒を循環させる冷媒回路では、第1の出湯温度での成績係数と、この第1の出湯温度よりも高い第2の出湯温度での成績係数とが同じ値になる第1基準値A1という特異的な入水温度が存在し、この第1基準値A1は、給湯機11の仕様などにも若干左右されるものの、ほぼ冷媒に固有の値となる。例えば、冷媒が二酸化炭素の場合には、この第1基準値A1は35℃〜40℃程度となる。
本実施形態の給湯機11は、この第1基準値A1に基づいて出湯温度の制御を行うものである。すなわち、本実施形態では、以下の制御例で説明するように水熱交換器21に入水する入水温度が第1基準値A1よりも高くなった場合に出湯温度を第1の出湯温度から第2の出湯温度に上げる制御を実行することにより、入水温度が上昇した場合であっても成績係数の低下を抑制することができる。
次に、本実施形態にかかる給湯機11の制御例について説明する。図5は、給湯機11の制御例を示すフローチャートである。本制御例では、冷媒として二酸化炭素を用い、上記した第1基準値A1に基づいて出湯温度を制御することに加え、出湯温度を段階的に制御するための他の基準値として第2基準値A2、第3基準値A3および第4基準値A4がそれぞれ設定されている。これらの大小関係はA3>A4>A1>A2とされ、第1基準値A1が35℃、第2基準値A2が30℃、第3基準値A3が45℃、第4基準値A4が40℃にそれぞれ設定されている。また、本制御例では、運転開始当初の出湯温度(第1の出湯温度)が65℃に設定され、第2の出湯温度が75℃、第3の出湯温度が85℃にそれぞれ設定される場合を例に挙げて説明する。
図5に示すように、給湯機11の運転が開始されると、ステップS1において、制御部33は外気温度、タンク15内の残湯量などから第1の出湯温度(例えば65℃)を決定し、ステップS2に進む。
ステップS2において、制御部33は、入水温度が第1基準値A1(例えば35℃)より大きいか否かについて判断する。入水温度が第1基準値A1より大きい場合には、制御部33はステップS3に進む。入水温度が第1基準値A1以下である場合には、制御部33はステップS4に進む。
ステップS3において、制御部33は、その時点での出湯温度が出湯温度の上限値Amax(例えば90℃)に達しているか否かを判断する。出湯温度が上限値Amaxに達していない場合にはステップS5に進み、出湯温度が上限値Amaxに達している場合にはステップS4に進む。
ステップS4において、制御部33は、タンク15内の水が沸き上げ終了の条件を満たしているか否かを判断する。タンク15内における所定高さにある水の温度が所定値以上になっている場合には沸き上げ終了と判断し、運転を終了する。タンク15内の所定高さの水の温度が所定値未満である場合には、沸き上げを継続するためにステップS2に戻る。
ステップS5では、上記ステップS2およびS3において入水温度が第1基準値A1よりも大きく、かつ、その時点での出湯温度が上限値Amaxに達していないと判断されたので、制御部33は、出湯温度の目標値を第1の出湯温度からd0℃(例えば10℃)上げて出湯温度が第2の出湯温度(例えば75℃)になるように制御する。出湯温度を第1の出湯温度から第2の出湯温度に上げるには、例えば貯湯回路17を循環する水量を下げるとともに、冷媒回路13の膨張弁23の開度を所定量だけ絞ればよい。出湯温度の目標値が第2の出湯温度に変更された後、ステップS6に進む。
ステップS6において、制御部33は、入水温度が第2基準値A2(例えば30℃)未満であるか否かを判断する。第2基準値A2は、入水温度が第1基準値A1よりも大きいと判断されて出湯温度が第1の出湯温度から第2の出湯温度に上げられた後、時間の経過とともに入水温度が再び第1の基準値A1を下回った場合に、出湯温度を第2の出湯温度から第1の出湯温度に戻すか否かを判断するために設けられた基準値である。この第2基準値A2は、第1基準値A1よりもd1℃(例えば5℃)低い温度に設定されている(A2=A1−d1)。
したがって、ステップS2において入水温度が第1基準値A1よりも大きいと判断された直後の時点では、入水温度は第2基準値A2よりも大きいので、ステップS6において制御部33はステップS8に進む。
ステップS8において、制御部33は、入水温度が第3基準値A3(例えば45℃)よりも大きいか否かについて判断する。第3基準値A3は、入水温度が第1基準値A1よりも大きいと判断されて出湯温度が第1の出湯温度から第2の出湯温度に上げられた後、時間の経過とともに入水温度がさらに上昇した場合に、出湯温度を第2の出湯温度から第3の出湯温度にさらに上げるか否かを判断するために設けられた基準値である。この第3基準値A3は第1基準値A1よりも所定値(例えば10℃)だけ高い温度に設定されている。
したがって、入水温度が第3基準値A3より大きい場合には、制御部33はステップS9に進む。入水温度が第3基準値A3以下である場合には、制御部33はステップS10に進む。
ステップS9において、制御部33は、その時点での出湯温度が出湯温度の上限値Amaxに達しているか否かを判断する。出湯温度が上限値Amaxに達していない場合にはステップS11に進み、出湯温度が上限値Amaxに達している場合にはステップS10に進む。
ステップS10において、制御部33は、タンク15内の水が沸き上げ終了の条件を満たしているか否かを判断する。制御部33は、沸き上げ終了の条件を満たしていると判断した場合には運転を終了し、条件を満たしていないと判断した場合には、沸き上げを継続するためにステップS6に戻る。
ステップS11では、上記ステップS8およびS9において入水温度が第3基準値A3よりも大きく、かつ、その時点での出湯温度が上限値Amaxに達していないと判断されたので、制御部33は、出湯温度の目標値を第2の出湯温度からさらにd0℃(例えば10℃)上げて出湯温度が第3の出湯温度(例えば85℃)になるように段階的な制御を行う。その後、ステップS12に進む。
ステップS12において、制御部33は、入水温度が第4基準値A4(例えば40℃)未満であるか否かを判断する。第4基準値A4は、入水温度が第3基準値A3よりも大きいと判断されて出湯温度が第2基準値A2から第3基準値A3に上げられた後、時間の経過とともに入水温度が再び第3基準値A3を下回った場合に、出湯温度を第3の出湯温度から第2の出湯温度に戻すか否かを判断するために設けられた基準値である。この第4基準値A4は、第2基準値A2よりも高く、かつ、第3基準値A3よりもd1℃(例えば5℃)低い温度に設定されている。
したがって、ステップS8において入水温度が第3基準値A3よりも大きいと判断された直後の時点では、入水温度は第4基準値A4よりも大きいので、ステップS12において制御部33はステップS14に進む。
ステップS14において、制御部33は、タンク15内の水が沸き上げ終了の条件を満たしているか否かを判断する。制御部33は、沸き上げ終了の条件を満たしていると判断した場合には運転を終了し、条件を満たしていないと判断した場合には、沸き上げを継続するためにステップS12に戻る。
制御部33は、ステップS12において再び入水温度と第4基準値A4とを比較し、入水温度が依然として入水温度が第4基準値A4よりも大きい場合にはステップS14に進み、ステップS14において上記条件を満たしているか否かを再び判断する。制御部33は、ステップS12およびステップS14のいずれかの条件を満足するまでステップS12とステップS14の条件判断を繰り返す。この条件判断を繰り返す間に、例えば入水温度が低下して第4基準値A4未満となった場合には、制御部33はステップS13に進む。一方、上記条件判断を繰り返す間に、沸き上げ終了条件を満たすこととなった場合には、制御部33は運転を終了する。
ステップS13では、上記ステップS12において入水温度が第4基準値A4未満となったと判断されたので、制御部33は、出湯温度の目標値を第3の出湯温度からd0℃下げて出湯温度が第2の出湯温度になるように制御する。出湯温度を第3の出湯温度から第2の出湯温度に下げるには、例えば貯湯回路17を循環する水量を上げるとともに、冷媒回路13の膨張弁23の開度を所定量だけ開けばよい。出湯温度の目標値が第2の出湯温度に変更された後、ステップS6に戻る。
上記ステップS10において沸き上げ終了条件を満たしていないと判断された後、または上記ステップS13において出湯温度が第2の出湯温度に戻された後、ステップS6では、制御部33は、入水温度が第2基準値A2未満であるか否かを判断する。入水温度が第2基準値A2未満に低下した場合には、制御部33はステップS7に進む。
ステップS7では、上記ステップS6において入水温度が第2基準値A2未満に低下したと判断されたので、制御部33は、出湯温度の目標値を第2の出湯温度からd0℃下げて出湯温度が第1の出湯温度になるように制御する。出湯温度を第2の出湯温度から第1の出湯温度に下げるには、例えば貯湯回路17を循環する水量を上げるとともに、冷媒回路13の膨張弁23の開度を所定量だけ開けばよい。出湯温度の目標値が第1の出湯温度に変更された後、制御部33は、ステップS2に戻り、上記した制御を繰り返す。
以上説明したように、上記実施形態では、第1の出湯温度での成績係数と、この第1の出湯温度よりも高い第2の出湯温度での成績係数とが同じ値になる入水温度を第1基準値A1とし、制御部33は、この第1基準値A1よりも入水温度が高くなった場合に出湯温度を第1の出湯温度から第2の出湯温度に上げる制御を実行するので、入水温度が上昇した場合であっても加熱能力および成績係数の低下を効果的に抑制することができる。
また、上記実施形態では、制御部33は、入水温度が第1基準値A1よりも高くなり、かつ、その時点での出湯温度が出湯温度上限値Amaxよりも低い場合に、出湯温度を上げる制御を実行するので、出湯温度の上限管理を適切に行うことができる。
また、上記実施形態では、第1基準値A1よりも低い温度の第2基準値A2がさらに設定されており、制御部33は、第1基準値A1よりも入水温度が高くなり出湯温度を第1の出湯温度から第2の出湯温度に上げた後、第2基準値A2よりも入水温度が低くなった場合に出湯温度を第2の出湯温度から第1の出湯温度に下げる制御を実行するので、入水温度の長時間にわたる上下の変動に対しても出湯温度を適切に制御して加熱能力および成績係数の低下を長時間にわたり効果的に抑制することができる。
また、上記実施形態では、第1基準値A1よりも高い温度の第3基準値A3がさらに設定されており、制御部33は、第1基準値A1よりも入水温度が高くなり出湯温度を第1の出湯温度から第2の出湯温度に上げた後、第3基準値A3よりも入水温度が高くなった場合に出湯温度を第2の出湯温度から第3の出湯温度にさらに上げる段階的な制御を実行するので、入水温度の上昇度合いに応じて出湯温度を段階的に制御することができる。これにより、加熱能力および成績係数の低下をより効果的に抑制することができる。
また、上記実施形態では、第2基準値A2よりも高く、第3基準値A3よりも低い温度の第4基準値A4がさらに設定されており、制御部33は、第3基準値A3よりも入水温度が高くなり出湯温度を第2の出湯温度から第3の出湯温度に上げた後、第4基準値A4よりも入水温度が低くなった場合に出湯温度を第3の出湯温度から第2の出湯温度に下げる段階的な制御を実行するので、上記した段階的な制御において入水温度が下がったときにも成績係数の低下をより効果的に抑制できる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、上記実施形態では、第1基準値から第4基準値まで設定して出湯温度の目標値を3段階に設定した段階的な制御を行う場合を例に挙げて説明したが、2段階の制御であってもよく、4段階以上の段階的な制御であってもよい。
また、上記実施形態では、基準値A1〜A4がそれぞれ35℃、30℃、45℃、40℃であり、第1〜第3の出湯温度がそれぞれ65℃、80℃、85℃である場合を例に挙げて説明したが、これらの各基準値、各出湯温度は上記数値に限定されるものではなく、給湯機の仕様、使用地域などの各条件に応じて適宜設定することができる。
また、上記実施形態では、段階的な制御を行う場合を例に挙げて説明したが、制御手段は、入水温度が上がるにつれて出湯温度を上げる連続的な制御を実行してもよい。この形態では、入水温度が上がるにつれて出湯温度も上げる連続的な制御を行うので、入水温度の上昇に応じて出湯温度をさらに細かく連続的に制御することができる。これにより、加熱能力および成績係数の低下をさらに効果的に抑制することができる。これに加えて、制御手段は、入水温度が下がるにつれて出湯温度を下げる連続的な制御を実行してもよい。この形態では、入水温度が下がるにつれて出湯温度を下げるので、上記した連続的な制御において入水温度が下がったときにも成績係数の低下をさらに効果的に抑制できる。また、このように入水温度の上昇時だけでなく、下降時にも適切な出湯温度の制御ができるので、入水温度の長時間にわたる上下の変動に対しても出湯温度を適切に制御して加熱能力および成績係数の低下を長時間にわたり効果的に抑制することができる。