JP5298460B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置および照明装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置および照明装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子及び該有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置、照明装置に関する。
従来、発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)が挙げられる。無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
一方、有機EL素子は発光する化合物を含有する発光層を陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、更に自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
今後の実用化に向けた有機EL素子の開発としては、更に低消費電力で、効率よく高輝度に発光する有機EL素子が望まれているわけであり、例えば、特許第3093796号公報には、スチルベン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体またはトリススチリルアリーレン誘導体に、微量の蛍光体をドープし、発光輝度の向上、素子の長寿命化を達成する技術、特開昭63−264692号公報には、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これに微量の蛍光体をドープした有機発光層を有する素子、特開平3−255190号公報には、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これにキナクリドン系色素をドープした有機発光層を有する素子等が開示されている。
上記特許文献に開示されている技術では、励起一重項からの発光を用いる場合、一重項励起子と三重項励起子の生成比が1:3であるため発光性励起種の生成確率が25%であることと、光の取り出し効率が約20%であるため、外部取り出し量子効率(ηext)の限界は5%とされている。
ところが、M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151−154頁(1998年)において、プリンストン大より、励起三重項からのリン光発光を用いる有機EL素子の報告がされて以来、M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750−753頁(2000年)に記載のように、室温でリン光を示す材料の研究が活発になってきている。
励起三重項を使用すると、内部量子効率の上限が100%となるため、励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率が4倍となり、冷陰極管とほぼ同等の性能が得られ照明用にも応用可能であり注目されている。
例えば、S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)に記載のように、多くの化合物がイリジウム錯体系等重金属錯体を中心に合成検討がなされている。
また、M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750−753頁(2000年)には、ドーパントとしてトリス(2−フェニルピリジン)イリジウムを用いた検討がなされている。その他、ドーパントとしてL2Ir(acac)、例えば、M.E.Tompson et al.,The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)には、(ppy)2Ir(acac)の記載が、また、Moon−Jae Youn.0g,Tetsuo Tsutsui et al.,The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)には、ドーパントとして、トリス(2−(p−トリル)ピリジン)イリジウム(Ir(ptpy)3)、トリス(ベンゾ[h]キノリン)イリジウム(Ir(bzq)3)、Ir(bzq)2ClP(Bu)3を用いた検討があり、また、フェニルピラゾールを配位子に用いたイリジウム錯体等を用いた検討が行われている(例えば、特許文献1参照。)。
代表的なりん光青色ドーパントであるFIrpicは、主配位子のフェニルピリジンにフッ素置換をすること、及び副配位子としてピコリン酸を用いることにより短波化が実現なされている。副配位子としてはその他にも、ピラザボール系の配位子を導入することにより、発光波長が短波化することが知られている。(例えば、特許文献1及び非特許文献1、2参照。)しかしながら、これらの青色ドーパントでは発光材料の発光波長が短波化して青色を達成し、高効率の素子を達成できる一方、素子の発光寿命は大幅に劣化するため、そのトレードオフの改善が求められていた。りん光性素子において、発光層のドーパントのHOMOと正孔輸送層のHOMOの差が大きくなると、ホールが正孔輸送層側から発光層側に移動するさいに大きな障壁を超える必要があり、そこで発生するジュール熱等により寿命劣化の大きな要因の一つとなっている。正孔輸送層の電位を電子吸引基の導入により、下げてその障壁を緩和させる工夫がなされている。しかしながら、この方法だと発光素子の効率を大きく向上させる一方で、素子の寿命に関しては大きく劣化を伴う場合が多い。
一般に知られている青色ドーパントはいずれも電位を深くするタイプの化合物である。これらの青色ドーパントは、代表的なりん光緑色ドーパントであるIr(ppy)3に比較すると、HOMO、LUMOの値共に約1eV程度、深くなっている。このように、電位を深くするタイプの青色ドーパントは知られているが、電位を浅くするタイプの青色ドーパントはあまり知られていない。配位子の母核をフェニルピリジンから、6員環と5員環が結合した化合物を配位子に有する化合物、特に、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール等に変更することにより、電位を浅くしつつ短波化できることがわかってきた(例えば、特許文献2、3参照。)。
しかしながら、これらの電位の浅い青色ドーパントと組み合わせて使用される正孔輸送材料は、一般に知られているトリアリールアミン系の材料(例えばαNPD、TPD等)以外に知られていない(例えば、特許文献4参照。)。ところが、従来の正孔輸送材料を使用した有機EL素子では、発光層との電位の差が最適化されていないため、その本来の実力を発揮できていないのが現状である。ドーパントとしてフェニルピラゾール、フェニルイミダゾール系の配位子を使用した場合、素子性能の向上が認められるが、その主配位子と副配位子の組み合わせを最適化による、更なる性能の向上が求められている(例えば、特許文献5参照。)。
国際公開第02/15645号パンフレット 米国特許出願公開第2004/0048101号明細書 国際公開第04号/085450号パンフレット 特開2005−53912号公報 特開2003−109758号公報 C.Adachi et al., Applied Physics Letters、第79巻、13号、2082−2084頁(2003年) R.J.Holmes et al., Applied Physics Letters、第83巻、18号、3818−3820頁(2003年)
本発明の課題は、発光寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子、該有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置及び照明装置を提供することである。
本発明の上記課題は、下記手段1〜により解決され
1.基板上に少なくとも陽極と陰極を有し、該陽極と該陰極間に少なくとも一層の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機層の少なくとも一層は、下記一般式(1)または一般式(1A)で表される燐光性化合物を含有する発光層であり、つ、該発光層よりも該陽極側にある少なくとも一つの層に含有される化合物が、分子軌道計算用ソフトウェア:Gaussian98を用い、かつキーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出したHOMOのエネルギー準位が−4.65eV〜−3.50eVであり、LUMOのエネルギー準位が−1.05eV〜−0.05eVであって、下記一般式(2)で表されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005298460
〔式中、Rは置換基を表す。Zは5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。n1は0〜5の整数を表す。BおよびBは、各々窒素原子を表し、B、BおよびBは各々炭素原子を表す。該窒素原子は、B 〜B により形成される環構成によっては、単に窒素原子の場合と、−N(R)−(ここで、Rは、水素原子または置換基を表し、該置換基としては、一般式(1)で表される燐光性化合物において、R で表される置換基と同義である。)で表される場合も含む。は元素周期表における8族〜10族の金属を表す。XおよびXは、炭素原子または窒素原子を表し、Lは、XおよびXとともに2座の配位子を形成する原子群を表す。m1は1、2または3の整数を表し、m2は0、1または2の整数を表すが、m1+m2は2または3である。〕
Figure 0005298460
〔式中、R およびは置換基を表す。Zは5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Zは炭化水素環基または複素環基を形成するのに必要な原子群を表す。Rは、該Zから構成される炭化水素環基または複素環基がイミダゾール環と結合する位置からオルト位に位置する立体パラメーター値(Es値)が−0.5以下の置換基を表す。n2は0〜5の整数を表す。n3は0〜2の整数を表す。Mは元素周期表における8族〜10族の金属を表す。XおよびXは、各々炭素原子または窒素原子を表し、Lは、XおよびXとともに2座の配位子を形成する原子群を表す。m3は、1、2または3の整数を表し、m4は0、1または2の整数を表すが、m3+m4は2または3である。〕
Figure 0005298460
〔式中、Ar11は、単環の芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表し、Ar12,Ar13,Ar14 およびAr15は、各々芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。
.前記発光層よりも陽極側にある少なくとも一つの層に含有される化合物が下記一般式(3)で表されることを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005298460
〔式中、Ar21、Ar22 および21は、各々2価の連結基を表し、Ar23、Ar24、Ar25 およびAr26は、各々芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。〕
.前記一般式(3)のL21が、下記一般式(a)で表されることを特徴とする第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005298460
〔式中、R31は置換基を表す。*はAr21 またはAr22との連結部位を表す。〕
.前記一般式(3)のL21が、下記一般式(b)で表されることを特徴とする第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005298460
〔式中、Ar41は2価の連結基を表し、Ar42 およびAr43は、各々芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。*はAr21 またはAr22との連結部位を表す。〕
.前記一般式(3)のL21が、下記一般式(c)で表されることを特徴とする第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005298460
〔式中、Ar51は、芳香族炭化水素環または芳香族複素環から導出される3価の連結基を表し、R51は、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。*はAr21 またはAr22との連結部位を表す。〕
.前記一般式(3)のL21が、下記一般式(d)で表されることを特徴とする第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005298460
〔式中、Ar61は芳香族炭化水素環または芳香族複素環から導出される3価の基を表し、Ar62は2価の連結基を表し、Ar63 およびAr64は、各々芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。*はAr21 またはAr22との連結部位を表す。〕
.前記発光層よりも陽極側にある少なくとも一つの層に含有される化合物が下記一般式(4)で表されることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0005298460
〔式中、Ar73 およびAr74は、各々芳香族炭化水素環または芳香族複素環から導出される3価の基を表し、Ar71、Ar72、Ar75 およびAr76は、各々芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。L71は2価の連結基を表す。〕
第1項から第7項までのいずれか項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
第1項から第7項までのいずれか項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする照明装置。
本発明により、発光寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子、該有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた表示装置及び照明装置を提供することができ
本発明の有機EL素子においては、前記手段1〜のいずれか項に規定される手段により、発光寿命の長い有機EL素子を提供し、更に、前記有機EL素子を用いた照明装置及び表示装置を提供することができ
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について、順次説明する。
本発明者等は、鋭意検討の結果、一般式(1)または一般式(1A)で表される燐光性化合物を発光層に含有する有機EL素子において、前記発光層よりも陽極側にある少なくとも一つの層に、後述する特定の算出方法によるHOMOのエネルギー準位(単に、HOMO準位ともいう。)とLUMOのエネルギー準位(単に、LUMO準位ともいう。)が特定の範囲内にあって、前記一般式(2)で表される化合物を用いると、上記課題を解決できる道筋を見出し、本発明に到達した。
更に、検討を進めた結果、一般式(1)または一般式(1A)で表される燐光性化合物を発光ドーパント(単に、ドーパントともいう)として用いた場合、前記発光層よりも陽極側にある少なくとも一つの層に含有される材料のHOMO及びLUMO準位を以下のように最適化することにより、本発明に記載の効果である、発光寿命の長い有機EL素子が得られることがわかった。特に、前記の材料を正孔輸送層中に正孔輸送材料として用いることにより、更に発光寿命が増大するという効果を得ることができた。
具体的には、発光層よりも陽極側にある少なくとも一つの層に含有される材料のHOMO準位が−4.65eV〜−3.50eV、且つ、LUMO準位が−1.05eV〜−0.05eVのもの、好ましくは、HOMO準位が−4.55eV〜−3.50eV、且つ、LUMO準位が−0.95eV〜−0.05eVを用いることで、前記材料のHOMO準位がドーパントのHOMO準位と適度に近いことにより、ホールがドーパントに効率的に注入され、余分なジュール熱が発生することを防いでいると考えられる。
《HOMO(最高被占軌道)、LUMO(最低空軌道)》
ここで、本発明に係るHOMO,LUMOの値は、米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用いて計算した時の値であり、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)と定義する。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いためである。
《一般式(1)で表される燐光性化合物》
本発明に係る、一般式(1)で表される化合物について説明する。
一般式(1)で表される燐光性化合物において、R1で表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、芳香族炭化水素基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。これらの置換基のうち、好ましいものはアルキル基もしくはアリール基である。
一般式(1)で表される燐光性化合物において、Zは、5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Zにより形成される5〜7員環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピロール環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環及びチアゾール環等が挙げられる。これらのうちで好ましいものは、ベンゼン環である。
一般式(1)で表される燐光性化合物において、B1〜B5は、各々炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、少なくとも一つは窒素原子を表す。ここで、窒素原子の場合、該窒素原子は、B1〜B5により形成される環構成によっては、単に窒素原子の場合と、−N(R)−(ここで、Rは、水素原子または置換基を表し、該置換基としては、一般式(1)で表される燐光性化合物において、R1で表される置換基と同義である。)で表される場合も含む。
これらB1〜B5により形成される芳香族含窒素複素環としては単環が好ましく、例えば、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサジアゾール環及びチアジアゾー環ル等が挙げられる。これらのうちでより好ましいものは、ピラゾール環、イミダゾール環であり、特に好ましくはイミダゾール環である。
これらの環は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。置換基として好ましいものはアルキル基、芳香族炭化水素環基(アリール基ともいう)であり、さらに好ましくは、芳香族炭化水素環基(アリール基ともいう)である。
一般式(1)で表される燐光性化合物において、L1は、X1、X2と共に2座の配位子を形成する原子群を表す。X1−L1−X2で表される2座の配位子の具体例としては、例えば、置換または無置換のフェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボール等が挙げられる。
これらの基は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。
一般式(1)で表される燐光性化合物において、m1は1、2または3の整数を表し、m2は0、1または2の整数を表すが、m1+m2は2または3である。中でも、m2は0である場合が好ましい。
一般式(1)で表される燐光性化合物において、M1で表される金属としては、元素周期表の8族〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)が用いられるが、中でも、イリジウム、白金が好ましく、さらに好ましくはイリジウムである。
尚、一般式(1)で表される燐光性化合物は、重合性基または反応性基を有していてもいなくてもよい。
ここで、前記重合性基または反応性基としては、下記に示すような基が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005298460
上記一般式(1)で表される化合物の中でも、好ましく用いられるのは、一般式(1A)で表される化合物である。
《一般式(1A)で表される化合物》
本発明に係る一般式(1A)で表される化合物について説明する。
一般式(1A)において、R2、R3で各々表される置換基は、一般式(1)のR1で表される置換基と同義である。
一般式(1A)において、ZAにより形成される5〜7員環は、一般式(1)のZにより形成される5〜7員環と同義である。
一般式(1A)において、ZBにより表される炭化水素環基としては、非芳香族炭化水素環基、芳香族炭化水素環基が挙げられ、非芳香族炭化水素環基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの基は、無置換でも、一般式(1)のR1で表される置換基を有していてもよい。
また、芳香族炭化水素環基(芳香族炭化水素基、アリール基等ともいう)としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
中でも、好ましく用いられるのは、メシチル基である。
これらの基は、無置換でもよく、一般式(1)のR1で表される置換基を有していてもよい。
一般式(1A)において、ZBにより表される複素環基としては、非芳香族複素環基、芳香族複素環基が挙げられ、非芳香族複素環基としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1、1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環等から導出される基を挙げることが出来る。これらの基は無置換でも、一般式(1)のR1で表される置換基を有していてもよい。
また、芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。
これらの基は、無置換でも、更に一般式(1)のR1で表される置換基を有していてもよい。
一般式(1A)において、R4は、上記ZBから構成される炭化水素環基または複素環基がイミダゾール環と結合する位置からオルト位に位置する立体パラメーター値(Es値)が−0.5以下の置換基を表すが、好ましくは−7.0〜−0.6であり、最も好ましくは−7.0〜−1.0である。
(立体パラメータ(Es値))
本発明に係る立体パラメータ(Es値)について説明する。
本発明に係る立体パラメータ(Es値)とは化学反応性より誘導された立体パラメーターであり、この値が小さければ小さいほど立体的に嵩高い置換基ということができる。
一般に、酸性条件下でのエステルの加水分解反応においては、置換基が反応の進行に対して及ぼす影響は立体障害だけと考えてよいことが知られており、この事を利用して置換基の立体障害を数値化したものがEs値である。
置換基XのEs値は、次の化学反応式
X−CH2COORX+H2O→X−CH2COOH+RXOH
で表される、酢酸のメチル基の水素原子1つを置換基Xで置換したα位モノ置換酢酸から誘導されるα位モノ置換酢酸エステルを酸性条件下で加水分解する際の反応速度定数kXと、次の化学反応式
CH3COORY+H2O→CH3COOH+RYOH
(RXはRYと同一)で表される、上記のα位モノ置換酢酸エステルに対応する酢酸エステルを酸性条件下で加水分解する際の反応速度定数kHから下記式で求められる。
Es=log(kX/kH)
置換基Xの立体障害により反応速度は低下し、その結果kX<kHとなるのでEs値は通常負となる。実際にEs値を求める場合には、上記の二つの反応速度定数kXとkHを求め、上記の式により算出する。
Es値の具体的な例は、Unger,S.H.,Hansch,C.,Prog.Phys.Org.Chem.,12,91(1976)に詳しく記載されている。また、『薬物の構造活性相関』(化学の領域増刊122号、南江堂)、「American Chemical Society Professional Reference Book,’Exploring QSAR’p.81 Table 3−3」にも、その具体的な数値の記載がある。次にその一部を表1に示す。
Figure 0005298460
ここで、注意するのは本明細書で定義するところのEs値は、メチル基のそれを0として定義したのではなく、水素原子を0としたものであり、メチル基を0としたEs値から1.24を差し引いたものである。
本発明においては、立体パラメーター値(Es値)が−0.5以下の置換基、例えば、R及びR′にケト−エノール互変異性体が存在し得る場合、ケト部分はエノールの異性体としてEs値を換算している。他の互変異性が存在する場合も同様の換算方法においてEs値を換算する。更にEs値が−0.5以下の置換基は、電子的効果においては電子供与性基(電子供与性の置換基ともいう)であることが好ましい。
(電子供与性基)
本発明において、電子供与性の置換基とは下記に記載のハメットのσp値が負の値を示す置換基のことであり、そのような置換基は水素原子と比べて結合原子側に電子を与えやすい特性を有する。
電子供与性を示す置換基の具体例としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、)、アセチルオキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、アセチルアミノ基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、メシチル基等)が挙げられる。またハメットのσp値については、例えば、下記文献等が参照できる。
本発明に係るハメットのσp値とはハメットの置換基定数σpを指す。ハメットのσpの値は、Hammett等によって安息香酸エチルの加水分解に及ぼす置換基の電子的効果から求められた置換基定数であり、『薬物の構造活性相関』(南江堂:1979年)、『Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology』(C.Hansch and A.Leo,John Wiley&Sons,New York,1979年)等に記載の基を引用することができる。
本発明において、電子供与性の置換基とは下記に記載のハメットのσp値が負の値を示す置換基のことであり、そのような置換基は水素原子と比べて結合原子側に電子を与えやすい特性を有する。
電子供与性を示す置換基の具体例としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、)、アセチルオキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、アセチルアミノ基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、メシチル基等)が挙げられる。またハメットのσp値については、例えば、下記文献等が参照できる。
本発明に係るハメットのσp値とはハメットの置換基定数σpを指す。ハメットのσpの値は、Hammett等によって安息香酸エチルの加水分解に及ぼす置換基の電子的効果から求められた置換基定数であり、『薬物の構造活性相関』(南江堂:1979年)、『Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology』(C.Hansch and A.Leo,John Wiley&Sons,New York,1979年)等に記載の基を引用することができる。
一般式(1A)において、M2は元素周期表における8族〜10族の金属は、は、一般式(1)のMと同義である。
一般式(1A)において、L2、X3およびX4とともに形成される2座の配位子は、一般式(1)のL1、X1およびX2とともに形成される2座の配位子と同義である。
以下に、本発明に係る一般式(1)または一般式(1A)で表される燐光性化合物の具体的な例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005298460
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これらの金属錯体は、例えば、Organic Letter誌、vol3、No.16、2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻、第8号、1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻、第7号、1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻、第12号、3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻、1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻、695〜709頁(2004年)、更にこれらの文献中に記載の参考文献等の方法を適用することにより合成できる。
《発光層よりも陽極側にある少なくとも一つの層に含有される化合物》
本発明に係る、発光層よりも陽極側にある少なくとも一つの層に含有される化合物にういて説明する。
本発明に係る、発光層よりも陽極側にある少なくとも一つの層に含有される化合物としては、例えば、上記の一般式(2)、(3)、(4)または(5)で表される化合物が好ましい化合物としてあげられる。
《一般式(2)で表される化合物》
本発明に係る一般式(2)で表される化合物について説明する。
一般式(2)において、Ar11で表される、2価の連結基としては、アルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、シクロヘキシレン基(例えば、1,6−シクロヘキサンジイル基等)、シクロペンチレン基(例えば、1,5−シクロペンタンジイル基など)等)、アルケニレン基(例えば、プロペニレン基、ビニレン基(エチニレン基ともいう)、4−プロピル−2−ペンテニレン基等が挙げられ)、アルキニレン基(例えば、エチニレン基、3−ペンチニレン基等)、アリーレン基(例えば、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ナフタセンジイル基、ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル基、3,3’−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等)、ヘテロアリーレン基(例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環、オキサジアゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される2価の基等)等が挙げられるが、中でも、アリーレン基、ヘテロアリーレン基が好ましい。
一般式(2)において、Ar12,Ar13,Ar14,Ar15で、各々表される芳香族炭化水素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。
これらの基は、更に、一般式(1)で表される燐光性化合物において、R1で表される置換基を有してもよい。
一般式(2)において、Ar12,Ar13,Ar14,Ar15で、各々表される芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。
これらの基は、更に、一般式(1)で表される燐光性化合物において、R1で表される置換基を有してもよい。
但し、一般式(2)において、上記のAr11〜Ar15の置換基のうち、少なくとも3つの電子供与性基を有する場合が好ましいが、更に好ましい態様としては、前記3つの電子供与性基の少なくとも一つのハメットのσp値が、−1.0〜−0.20の範囲にあることである。
《電子供与性基》
ここで、本発明に係る電子供与性基としては、ハメットの置換基定数σpが0以下のものを表し、例えば、メチル基(−0.17)、エチル基(−0.15)、イソプロピル基(−0.15)、n−ブチル基(−0.16)、シクロプロピル基(−0.21)、シクロヘキシル基(−0.22)、tert−ブチル基(−0.20)、−CH2Si(CH33(−0.21)、アミノ基(−0.66)、ヒドロキシルアミノ基(−0.34)、−NHNH2(−0.55)、−NHCONH2(−0.24)、−NHCH3(−0.84)、−NHC25(−0.61)、−NHCONHC25(−0.26)、−NHC49(−0.51)、−NHC65(−0.40)、−N=CHC65(−0.55)、−OH(−0.37)、−OCH3(−0.27)、−OCH2COOH(−0.33)、−OC25(−0.24)、−OC37(−0.25)、−OCH(CH32(−0.45)、−OC511(−0.34)、−OCH265(−0.42)等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
《ハメットのσp値》
本発明に係るハメットのσp値とは、ハメットの置換基定数σpを指す。ハメットのσpの値は、Hammett等によって安息香酸エチルの加水分解に及ぼす置換基の電子的効果から求められた置換基定数であり、『薬物の構造活性相関』(南江堂:1979年)、『Substituent Constants for Correlation Analysis in chemistry and biology』(C.Hansch and A.Leo,John Wiley&Sons,New York,1979年)等に記載の基を引用することができる。
《一般式(3)で表される化合物》
本発明に係る一般式(3)で表される化合物について説明する。
一般式(3)において、Ar21、Ar22、L21で、各々表される2価の連結基は、一般式(2)において、Ar11で表される、2価の連結基と同義である。
一般式(3)において、Ar23、Ar24、Ar25、Ar26で、各々表される芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基は、各々、一般式(2)において、Ar12,Ar13,Ar14,Ar15で、各々表される芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基と各々同義である。
《L21で表される2価の連結基の好ましい態様》
一般式(3)において、L21で表される2価の連結基の好ましい態様としては、上記一般式(a)、(b)、(c)または(d)で表される基が挙げられる。
(一般式(a)で表される基)
一般式(a)において、R31で表される置換基は、一般式(1)で表される燐光性化合物において、R1で表される置換基と同義である。
(一般式(b)で表される基)
一般式(b)において、Ar41で表される2価の連結基は、一般式(2)において、Ar11で表される、2価の連結基と同義である。
一般式(b)において、Ar42、Ar43で、各々表される芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基は、各々、一般式(2)において、Ar12,Ar13,Ar14,Ar15で、各々表される芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基と各々同義である。
(一般式(c)で表される基)
一般式(c)において、Ar51で表される、芳香族炭化水素環または芳香族複素環から導出される3価の連結基とは、例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環、オキサジアゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される3価の基等が挙げられる。これらの基は、更に、一般式(1)で表される燐光性化合物において、R1で表される置換基を有してもよい。
一般式(c)において、R51で表される、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基は、各々、一般式(2)において、Ar12,Ar13,Ar14,Ar15で、各々表される芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基と各々同義である。
(一般式(d)で表される基)
一般式(d)において、Ar61で表される、芳香族炭化水素環または芳香族複素環から導出される3価の基は、一般式(c)において、Ar51で表される、芳香族炭化水素環または芳香族複素環から導出される3価の連結基と同義である。
また、これらの基は、更に、一般式(1)で表される燐光性化合物において、R1で表される置換基を有してもよい。
一般式(d)において、Ar62で表される2価の連結基は、一般式(2)において、Ar11で表される、2価の連結基と同義である。
一般式(d)において、Ar63、Ar64で各々表される、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基は、各々、一般式(2)において、Ar12,Ar13,Ar14,Ar15で、各々表される芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基と各々同義である。
《一般式(4)で表される化合物》
本発明に係る一般式(4)で表される化合物について説明する。
一般式(4)において、Ar73、Ar74で各々表される、芳香族炭化水素環または芳香族複素環から導出される3価の基は、一般式(c)において、Ar51で表される、芳香族炭化水素環または芳香族複素環から導出される3価の連結基と同義である。
一般式(4)において、Ar71、Ar72、Ar75、Ar76で、各々表される、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基は、各々、一般式(2)において、Ar12,Ar13,Ar14,Ar15で、各々表される芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基と各々同義である。
一般式(4)において、L71で表される2価の連結基は、一般式(2)において、Ar11で表される、2価の連結基と同義である。
以下に、発光層よりも陽極側にある少なくとも一つの層に含有される化合物の具体例、(例えば、一般式(2)、(3)または(4)で表される化合物の具体例)を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005298460
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本発明に係る、上記一般式(2)、(3)、または、(4)で表される化合物は、東ソー研究・技術報告、第47巻(2003年)、に記載の方法を参照して合成することが出来る。
《有機EL素子の構成層》
本発明の有機EL素子の構成層について説明する。本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
本発明の有機EL素子においては、青色発光層の発光極大波長は430nm〜480nmにあるものが好ましく、緑色発光層は発光極大波長が510nm〜550nm、赤色発光層は発光極大波長が600nm〜640nmの範囲にある単色発光層であることが好ましく、これらを用いた表示装置であることが好ましい。また、これらの少なくとも3層の発光層を積層して白色発光層としたものであってもよい。更に、発光層間には非発光性の中間層を有していてもよい。本発明の有機EL素子としては白色発光層であることが好ましく、これらを用いた照明装置であることが好ましい。
本発明の有機EL素子を構成する各層について説明する。
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜5μmの範囲に調整することが好ましく、さらに好ましくは2nm〜200nmの範囲に調整され、特に好ましくは、10nm〜20nmの範囲である。
発光層の作製には、後述する発光ドーパントやホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。
本発明の有機EL素子の発光層には、ホスト化合物と、発光ドーパント(リン光ドーパント(リン光発光性ドーパントともいう)や蛍光ドーパント等)の少なくとも1種類とを含有することが好ましい。
(ホスト化合物(発光ホスト等ともいう))
本発明に用いられるホスト化合物について説明する。
ここで、本発明においてホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内でその層中での質量比が20%以上であり、且つ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光ドーパントを複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
また、本発明に用いられる発光ホストとしては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
併用してもよい公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、なお且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
(発光ドーパント)
本発明に係る発光ドーパントについて説明する。
本発明に係る発光ドーパントとしては、蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう)、リン光ドーパント(リン光発光体、リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう)を用いることができるが、より発光効率の高い有機EL素子を得る観点からは、本発明の有機EL素子の発光層や発光ユニットに使用される発光ドーパント(単に、発光材料ということもある)としては、上記のホスト化合物を含有すると同時に、リン光ドーパントを含有することが好ましい。
(リン光ドーパント)
本発明に係るリン光ドーパントについて説明する。
本発明に係るリン光ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光ドーパントの発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光ドーパントに移動させることでリン光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光ドーパント上でキャリアの再結合が起こりリン光ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
リン光ドーパントは、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
本発明に係るリン光ドーパントとしては、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
以下に、リン光ドーパントとして用いられる化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。
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(蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう))
蛍光ドーパント(蛍光性化合物)としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
次に、本発明の有機EL素子の構成層として用いられる、注入層、阻止層、電子輸送層等について説明する。
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係わる正孔阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
正孔阻止層には、前述のホスト化合物として挙げたアザカルバゾール誘導体を含有することが好ましい。
また、本発明においては、複数の発光色の異なる複数の発光層を有する場合、その発光極大波長が最も短波にある発光層が、全発光層中、最も陽極に近いことが好ましいが、このような場合、該最短波層と該層の次に陽極に近い発光層との間に正孔阻止層を追加して設けることが好ましい。更には、該位置に設けられる正孔阻止層に含有される化合物の50質量%以上が、前記最短波発光層のホスト化合物に対しそのイオン化ポテンシャルが0.3eV以上大きいことが好ましい。
イオン化ポテンシャルは化合物のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義され、例えば下記に示すような方法により求めることができる。
(1)米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)の小数点第2位を四捨五入した値としてイオン化ポテンシャルを求めることができる。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いためである。
(2)イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接測定する方法により求めることもできる。例えば、理研計器社製の低エネルギー電子分光装置「Model AC−1」を用いて、あるいは紫外光電子分光として知られている方法を好適に用いることができる。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては、好ましくは3nm〜100nmであり、更に好ましくは5nm〜30nmである。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることからこれらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5nm〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5nm〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In23−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常、10nm〜1000nmの範囲、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。尚、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1nm〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《支持基板》
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等とも言う)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m2・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10-3ml/(m2・24h・MPa)以下、水蒸気透過度が、10-5g/(m2・24h)以下以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
《封止》
本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。更には、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10-3ml/(m2・24h・MPa)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10-3g/(m2・24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
尚、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量且つ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
《光取り出し》
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また、更に1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚みは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が1次の回折や2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述の通り、いずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。
回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
《集光シート》
本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
まず適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10nm〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ陽極を作製する。
次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔阻止層の有機化合物薄膜を形成させる。
これら各層の形成方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、本発明においてはスピンコート法、インクジェット法、印刷法等の塗布法による成膜が好ましく、特にインクジェット法が好ましい。
本発明においては、発光層の形成において、本発明に係る有機金属錯体を溶解または分散した液を用いて塗布法により成膜することが好ましく、特に塗布法がインクジェット法であることが好ましい。
本発明に係る有機金属錯体を溶解または分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。また分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは、50nm〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
《用途》
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000Cd/m2でのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.07の領域内にあることを言う。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。また、実施例に用いる化合物を下記に示す。
Figure 0005298460
Figure 0005298460
実施例1
《材料のHOMO準位及びLUMO準位の計算》
以下に示す材料について、HOMO、LUMOの値を計算した。米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用いて計算した時の値であり、HOMO、LUMOの値は、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いた。結果を以下に示す。
Figure 0005298460
《有機EL素子1−1の作製》
陽極としてガラス上にITOを150nm成膜した基板(NHテクノグラス社製:NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をiso−プロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この透明支持基板を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、5つのタンタル製抵抗加熱ボートに、α−NPD、CBP、Ir−12、BC、Alq3をそれぞれ入れ、真空蒸着装置(第1真空槽)に取付けた。
さらに、タンタル製抵抗加熱ボートにフッ化リチウムを、タングステン製抵抗加熱ボートにアルミニウムをそれぞれ入れ、真空蒸着装置の第2真空槽に取り付けた。
まず、第1の真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で透明支持基板に膜厚90nmの厚さになるように蒸着し、正孔注入/輸送層を設けた。
さらに、CBPの入った前記加熱ボートとIr−12の入ったボートをそれぞれ独立に通電して発光ホストであるCBPと発光ドーパントであるIr−12の蒸着速度が100:6になるように調節し膜厚30nmの厚さになるように蒸着し、発光層を設けた。
ついで、BCの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で厚さ10nmの正孔阻止層を設けた。
更に、Alq3の入った前記加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で膜厚20nmの電子輸送層を設けた。
次に、電子輸送層まで成膜した素子を真空のまま第2真空槽に移した後、電子輸送層の上にステンレス鋼製の長方形穴あきマスクが配置されるように装置外部からリモートコントロールして設置した。
第2真空槽を2×10-4Paまで減圧した後、フッ化リチウム入りのボートに通電して蒸着速度0.01nm/秒〜0.02nm/秒で膜厚0.5nmの陰極バッファー層を設け、次いでアルミニウムの入ったボートに通電して蒸着速度1nm/秒〜2nm/秒で膜厚150nmの陰極をつけ、封止することで有機EL素子1−1を作製した。
《有機EL素子1−2〜1−18の作製》
有機EL素子1−1の作製において、表3に記載のように正孔輸送材料、発光ドーパントを変更した以外は同様にして、有機EL素子1−2〜1−18を作製した。
《有機EL素子の評価》
得られた有機EL素子1−1〜1−18について室温下、2.5mA/cm2の定電流条件下による連続点灯を行い、初期輝度の半分の輝度になるのに要する時間(τ1/2)を測定した。発光寿命は、有機EL素子1−1を100とする相対値で表した。
得られた結果を表3に示す。
Figure 0005298460
表3から、本発明に係るHOMO、LUMO準位の関係を有する正孔輸送材料とドーパントを組み合わせた有機EL素子は、比較例の有機EL素子に比べ、駆動寿命が長くなることが明らかである。
照明装置の概略図である。 照明装置の断面図である。
符号の説明
101 有機EL素子
102 ガラスカバー
105 陰極
106 有機EL層
107 透明電極付きガラス基板
108 窒素ガス
109 捕水剤

Claims (9)

  1. 基板上に少なくとも陽極と陰極を有し、該陽極と該陰極間に少なくとも一層の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機層の少なくとも一層は、下記一般式(1)または一般式(1A)で表される燐光性化合物を含有する発光層であり、つ、該発光層よりも該陽極側にある少なくとも一つの層に含有される化合物が、分子軌道計算用ソフトウェア:Gaussian98を用い、かつキーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出したHOMOのエネルギー準位が−4.65eV〜−3.50eVであり、LUMOのエネルギー準位が−1.05eV〜−0.05eVであって、下記一般式(2)で表されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005298460
    〔式中、Rは置換基を表す。Zは5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。n1は0〜5の整数を表す。BおよびBは、各々窒素原子を表し、B、BおよびBは各々炭素原子を表す。該窒素原子は、B 〜B により形成される環構成によっては、単に窒素原子の場合と、−N(R)−(ここで、Rは、水素原子または置換基を表し、該置換基としては、一般式(1)で表される燐光性化合物において、R で表される置換基と同義である。)で表される場合も含む。は元素周期表における8族〜10族の金属を表す。XおよびXは、炭素原子または窒素原子を表し、Lは、XおよびXとともに2座の配位子を形成する原子群を表す。m1は1、2または3の整数を表し、m2は0、1または2の整数を表すが、m1+m2は2または3である。〕
    Figure 0005298460
    〔式中、RおよびRは置換基を表す。Zは5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Zは炭化水素環基または複素環基を形成するのに必要な原子群を表す。Rは、該Zから構成される炭化水素環基または複素環基がイミダゾール環と結合する位置からオルト位に位置する立体パラメーター値(Es値)が−0.5以下の置換基を表す。n2は0〜5の整数を表す。n3は0〜2の整数を表す。Mは元素周期表における8族〜10族の金属を表す。XおよびXは、各々炭素原子または窒素原子を表し、Lは、XおよびXとともに2座の配位子を形成する原子群を表す。m3は、1、2または3の整数を表し、m4は0、1または2の整数を表すが、m3+m4は2または3である。〕
    Figure 0005298460
    〔式中、Ar11は、単環の芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表し、Ar12 Ar13 Ar14およびAr15は、各々芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。〕
  2. 前記発光層よりも陽極側にある少なくとも一つの層に含有される化合物が下記一般式(3
    )で表されることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005298460
    〔式中、Ar 21 、Ar 22 およびL 21 は、各々2価の連結基を表し、Ar 23 、Ar 24 、Ar 25 およびAr 26 は、各々芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。〕
  3. 前記一般式(3)のL 21 が、下記一般式(a)で表されることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005298460
    〔式中、R 31 は置換基を表す。*はAr 21 またはAr 22 との連結部位を表す。〕
  4. 前記一般式(3)のL 21 が、下記一般式(b)で表されることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005298460
    〔式中、Ar 41 は2価の連結基を表し、Ar 42 およびAr 43 は、各々芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。*はAr 21 またはAr 22 との連結部位を表す。〕
  5. 前記一般式(3)のL 21 が、下記一般式(c)で表されることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005298460
    〔式中、Ar 51 は、芳香族炭化水素環または芳香族複素環から導出される3価の連結基を表し、R 51 は、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。*はAr 21 またはAr 22 との連結部位を表す。〕
  6. 前記一般式(3)のL 21 が、下記一般式(d)で表されることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005298460
    〔式中、Ar 61 は芳香族炭化水素環または芳香族複素環から導出される3価の基を表し、Ar 62 は2価の連結基を表し、Ar 63 およびAr 64 は、各々芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。*はAr 21 またはAr 22 との連結部位を表す。〕
  7. 前記発光層よりも陽極側にある少なくとも一つの層に含有される化合物が下記一般式(4
    )で表されることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0005298460
    〔式中、Ar 73 およびAr 74 は、各々芳香族炭化水素環または芳香族複素環から導出される3価の基を表し、Ar 71 、Ar 72 、Ar 75 およびAr 76 は、各々芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。L 71 は2価の連結基を表す。〕
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
  9. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする照明装置。
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