JP5298014B2 - インフルエンザ治療 - Google Patents

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Description

本発明は、二本鎖RNA、ヘアピン型RNA、及びベクター、並びに、これらを含有する医薬組成物、抗インフルエンザウイルス剤、及びB型インフルエンザウイルスの検出キットに関する。
インフルエンザは、世界中で最も蔓延している感染症の1つであり、毎年25万〜50万人の死者が発生している。日本においても、毎年人口の5〜15%がインフルエンザに罹患し、高齢者及び免疫低下患者等がインフルエンザに罹患した場合には、肺炎を併発して死亡する例もある。
インフルエンザウイルスは、ウイルス粒子を構成するタンパク質の抗原性の違いから、A型、B型及びC型の3属に分類されるが、人に感染を引き起こし、毎年冬期に流行を繰り返すのは、主にA型とB型である。
インフルエンザの予防には、インフルエンザワクチンが利用されている。世界的には、弱毒生ワクチン(弱毒性の生きた病原体を使うもの)、不活化ワクチン(不活化処理をして感染性を失わせた病原体を使うもの)、及び成分ワクチン(病原体の特定の成分を精製して使うもの)が使用されているが、日本では、インフルエンザウイルスの予防のために、成分ワクチンのみが実用化されている。
インフルエンザワクチンは、前シーズンに流行したインフルエンザウイルス株の情報、同時期に外国で分離されたインフルエンザウイルスの遺伝子情報、及びインフルエンザウイルス株に対する国民の抗体保有状況等に基づいて、その年の流行株を予測して製造される。
インフルエンザの治療方法としては、抗インフルエンザウイルス剤による薬物療法が挙げられ、日本では、抗インフルエンザウイルス剤として、アマンタジンとノイラミニダーゼ阻害剤(オセルタミビル及びザナミビル)が許可されている(非特許文献1)。
一方、近年になって、特定の遺伝子の発現を抑制する手法の一つとして、RNA干渉(RNAi;RNA interferenceの略)が発見された。RNA干渉とは、標的遺伝子の特定領域と相同な二本鎖RNAによって、標的遺伝子の転写産物であるmRNAの相同部分が特異的に切断され、標的遺伝子の発現が抑制される生命現象である(特許文献1)。
哺乳動物細胞では、長鎖の二本鎖RNAを細胞内に導入すると、インターフェロンが誘導され、アポトーシスが引き起こされるが、21〜23bpの短鎖の二本鎖RNAを細胞内に導入すれば、アポトーシスが引き起こされることなく標的遺伝子のmRNAを特異的に切断し、標的遺伝子の機能を阻害できることが明らかになっている(特許文献2)。なお、哺乳動物細胞にRNA干渉を引き起こす短鎖の二本鎖RNAは、siRNA(small interfering RNAの略)と呼ばれている。
国際公開1999/32619号パンフレット 国際公開2001/075164号パンフレット 菅谷憲夫、日本臨床、2006年、64巻、p.1840−1844
しかしながら、インフルエンザウイルスの流行株を正確に予測することは非常に難しく、流行株の予測が外れた場合には、インフルエンザワクチンの効果が著しく低下するのが現状である。
また、流行株の予測が当たった場合であっても、インフルエンザワクチンの投与によって、発熱、発疹、痙攣、アナフィラキシーショック、及び肝機能障害等の副作用が生じ、最悪の場合には死亡する例もある。
さらに、アマンタジンは、A型インフルエンザウイルスのM2タンパク質を標的とする抗インフルエンザウイルス剤であるため、M2タンパク質を有さないB型インフルエンザウイルスに対しては無効である。また、ノイラミニダーゼ阻害剤は、B型インフルエンザウイルスに対する効果が弱く、その一方で、重篤な副作用が問題となっている。すなわち、A型インフルエンザウイルスと比較して、B型インフルエンザウイルスに対する効果的な治療方法がないのが現状である。
そこで本発明は、広範囲のB型インフルエンザウイルス株の複製を抑制し、B型インフルエンザウイルスによる感染症を治療し予防することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明は、RNA干渉によってB型インフルエンザウイルスの複製を抑制する二本鎖RNAであって、B型インフルエンザウイルスのゲノムRNAから転写されたmRNAの一部に相同な19〜25塩基のRNAと、そのRNAのアンチセンスRNAとからなる二本鎖RNAを提供する。
本発明者らは、B型インフルエンザウイルスのゲノムRNAから転写されたmRNAの一部に相同な19〜25塩基のRNAと、そのRNAのアンチセンスRNAとからなる二本鎖RNAが、B型インフルエンザウイルスの複製を抑制することを発見し、哺乳動物細胞内に当該二本鎖RNAを導入すれば、B型インフルエンザウイルスによる感染症を効果的に治療し予防できることを見出した。
上記mRNAは、NPタンパク質遺伝子、RNAポリメラーゼPAサブユニット遺伝子、RNAポリメラーゼPB1サブユニット遺伝子、又はRNAポリメラーゼPB2サブユニット遺伝子のmRNAであることが好ましい。
NPタンパク質遺伝子、RNAポリメラーゼPAサブユニット遺伝子、RNAポリメラーゼPB1サブユニット遺伝子、又はRNAポリメラーゼPB2サブユニット遺伝子から転写されたmRNAの一部に相同な19〜25塩基のRNAと、そのRNAのアンチセンスRNAとからなる二本鎖RNAを細胞内に導入すれば、RNA干渉によってこれらの遺伝子から転写されて発現するmRNAを特異的に切断でき、B型インフルエンザウイルスの複製を抑制できる。
上記RNAは、配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるか、又は、配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAからなる群から選択されることが好ましいが、配列表の配列番号1〜11に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるか、又は、配列表の配列番号1〜11に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAからなる群から選択されることがさらに好ましい。
配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列を有するいずれかのRNAと、そのRNAのアンチセンスRNAとからなる二本鎖RNAを細胞内に導入すれば、RNA干渉によってB型インフルエンザウイルスの複製をさらに強く抑制できる。また、配列表の配列番号1〜11に示される塩基配列を有するいずれかのRNAと、そのRNAのアンチセンスRNAとからなる二本鎖RNAを細胞内に導入すれば、さらに広範囲のB型インフルエンザウイルス株の複製を抑制できる。
上記二本鎖RNAは、B/Johannesburg/5/99株を用いたトランスフェクションマイクロアレイによる二本鎖RNAのスクリーニングで、S/N比が3以上であることが好ましい。
S/N比が3以上ある二本鎖RNAは、RNA干渉によるmRNAの切断をより特異的に行うことができる。
上記RNAは、1個以上の修飾リボヌクレオチドを含むことができ、上記修飾リボヌクレオチドは、リボース環の2’−OH基が、フルオロ基、メチル基、メトキシエチル基、又はプロピル基で置換されていることが好ましい。また、上記RNAは、1個以上のホスホジエステル結合が、ホスホロチオエート結合に置換されていてもよい。
細胞内に導入されたRNAは、細胞中のリボヌクレアーゼによって分解され得るが、RNA鎖に上記の修飾がなされていれば、リボヌクレアーゼに対して耐性となり、効率的にRNA干渉作用を発揮できる。
上記二本鎖RNAは、平滑末端を形成していてもよいが、そのセンス鎖及びアンチセンス鎖の3’末端に1〜4塩基のDNA又はRNAが付加され、突出端を形成している二本鎖RNAであることが好ましい。
突出端を形成している二本鎖RNAは、RNA干渉作用が強まり、B型インフルエンザウイルスの複製をより顕著に抑制できる。
また、本発明は、上記の二本鎖RNAを細胞内で形成するヘアピン型RNAであって、B型インフルエンザウイルスのゲノムRNAから転写されたmRNAの一部に相同なRNAと、そのRNAのアンチセンスRNAとがリンカー配列を介して連結されているヘアピン型RNAを提供する。
上記ヘアピン型RNAは、2種類の一本鎖RNAをアニールさせて二本鎖RNAを形成することが不要であり、1種類のRNAを化学合成等して作成できるため、取り扱いが容易である。さらに、ヘアピン型RNAは、細胞内で二本鎖RNAを形成するため、RNA干渉作用を発揮し、B型インフルエンザウイルスの複製を抑制できる。
上記二本鎖RNAは、B型インフルエンザウイルス株である、B/Johannesburg/5/99株、B/Shangdong/07/97株、B/Hong Kong/8/73株、B/Shanghai/361/2002株及びB/Victoria/2/87株のすべての複製を抑制することが好ましい。
上記のすべてのインフルエンザウイルス株の複製を抑制できる二本鎖RNAは、インフルエンザウイルス株が変異した場合であっても、有効となる可能性が高い。
本発明は、配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNA又は配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNA、に相補的な第1のDNAと、該第1のDNAに相補的な第2のDNAとを含み、かつ、上記第1のDNA及び上記第2のDNAのそれぞれの5’側にプロモーターを含む、二本鎖RNA発現用のベクターであって、上記ベクターは、導入された細胞内で、上記第1のDNAに相補的な第1のRNAと、上記第2のDNAに相補的な第2のRNAとを転写し、第1のRNAと第2のRNAとは、それぞれハイブリダイズして二本鎖RNAを形成するベクターを提供する。
また本発明は、配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNA又は配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNA、の3’末端に1〜4塩基のRNAが付加されたRNAに相補的な第1のDNAと、配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNAのアンチセンスRNA又は配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNAのアンチセンスRNA、の3’末端に1〜4塩基のRNAが付加されたRNAに相補的な第2のDNAとを含み、かつ、上記第1のDNAと上記第2のDNAのそれぞれの5’側にプロモーターを含む、二本鎖RNA発現用のベクターであって、上記ベクターは、導入された細胞内で、上記第1のDNAに相補的な第1のRNAと上記第2のDNAに相補的な第2のRNAとを転写し、第1のRNAと第2のRNAとは、それぞれハイブリダイズして二本鎖RNAを形成するベクターを提供する。
また本発明は、配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNAに相補的なアンチセンスDNA又は配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNAに相補的なアンチセンスDNAと、該アンチセンスDNAに相補的なDNAとがリンカー配列を介して連結されたヘアピン型RNAをコードするDNA鎖を含み、かつ、上記DNA鎖の5’側にプロモーターを含む、ヘアピン型RNA発現用のベクターであって、上記ベクターは、導入された細胞内で上記ヘアピン型RNAを転写し、このヘアピン型RNAは、細胞内でプロセシングされて二本鎖RNAを形成するベクターを提供する。
上記ベクターを細胞内に導入すれば、RNA干渉を引き起こす二本鎖RNAが細胞内で継続的に転写され、B型インフルエンザウイルスの複製を長期にわたって抑制できる。
上記ベクターは、哺乳動物細胞で二本鎖RNAを効率的に発現させるために、プラスミドベクター又はウイルスベクターであることが好ましい。
また、上記二本鎖RNA、上記ヘアピン型RNA、又は上記ベクターは、哺乳動物の細胞に導入すればB型インフルエンザウイルスの複製を抑制できるため、医薬組成物又は抗インフルエンザウイルス剤として利用できる。
上記医薬組成物又は抗インフルエンザウイルス剤は、上記二本鎖RNA、上記ヘアピン型RNA、又は上記ベクターを複数含有することもできる。実施例に示すように、二本鎖RNAの配列によっては、あるウイルス株に効果を示さない場合もあるが、複数の二本鎖RNAを併用することにより、そのような株にも効果を発揮できる場合がある。
また、実施例に示すように、1種類の二本鎖RNAでは時間が経つと効果が減弱することがあるが、複数の二本鎖RNAを併用することにより、効果がより長時間持続する場合がある。
さらに、上記二本鎖RNA、又は上記ヘアピン型RNA若しくは上記ベクターから生じる二本鎖RNAは、B型インフルエンザウイルス由来のmRNAを特異的に切断する活性を有するため、上記二本鎖RNA、上記ヘアピン型RNA、又は上記ベクターと、形質導入試薬とを含むキットは、B型インフルエンザウイルスの検出キットとして利用できる。
上記医薬組成物又は抗インフルエンザウイルス剤は、RNA干渉によってA型インフルエンザウイルスの複製を抑制する二本鎖RNAを更に含有してもよい。
このような医薬組成物又は抗インフルエンザウイルス剤は、感染病原体がA型、B型インフルエンザウイルスのいずれであるかを問わずに治療効果を発揮でき、同時に両株による重複感染が生じた場合でも対応可能である。
本発明の二本鎖RNA、ヘアピン型RNA、及びベクターを哺乳動物の細胞に導入すれば、B型インフルエンザウイルスによる感染症を効果的に治療し予防できる。また、本発明の二本鎖RNAは、複数種類のB型インフルエンザウイルス株に対してウイルスの複製を抑制する活性を有するため、二本鎖RNAの標的配列に変異をもったB型インフルエンザウイルスが出現した場合であっても、ウイルス由来のmRNAを切断し、B型インフルエンザウイルスの複製を抑制できる。このため、B型インフルエンザウイルスの流行株が不明の場合であっても、B型インフルエンザウイルスによる感染症に対して治療効果を発揮できる。
本発明の医薬組成物および抗インフルエンザウイルス剤は、同時に2種類以上の二本鎖RNAを含み得る。一例を挙げれば、A型インフルエンザウイルスにターゲティングされた二本鎖RNAを少なくとも1種類と、B型インフルエンザウイルスにターゲティングされた二本鎖RNAを少なくとも1種類同時に使用できる。この使用法により、感染病原体がA型、B型インフルエンザウイルスのいずれであるかを問わずに本医薬組成物を使用でき、同時に両株による重複感染が生じた場合でも対応可能となる。また別の例を挙げれば、B型インフルエンザウイルスにターゲティングされた二本鎖RNAを少なくとも2種類以上同時に使用できる。この使用法により、感染病原体がB型インフルエンザウイルスであった場合の二本鎖RNAの効果を拡大および増強することが可能となる。
トランスフェクションマイクロアレイによる、B型インフルエンザウイルスの複製を抑制する二本鎖RNAのスクリーニング方法の手順を示したものである。 (A)インフルエンザウイルスB/Johannesburg/5/99株に対する、二本鎖RNA NP−1496単独、B−NP−1999−13単独並びにNP−1496及びB−NP−1999−13の組み合わせの阻害率を示す。(B)インフルエンザウイルスA/PR/8/34株に対する、二本鎖RNA NP−1496単独、B−NP−1999−13単独並びにNP−1496及びB−NP−1999−13の組み合わせの阻害率を示す。 (A)インフルエンザウイルスB/Shanghai/361/2002株に対する、二本鎖RNA B−PB2−1997−7単独、B−PB1−1999−1単独並びにB−PB2−1997−7及びB−PB1−1999−1の組み合わせの阻害率を示す。(B)インフルエンザウイルスB/Shangdong/07/97株に対する、二本鎖RNA B−PB2−1997−7単独、B−PB1−1999−1単独並びにB−PB2−1997−7及びB−PB1−1999−1の組み合わせの阻害率を示す。 (A)18時間培養における、インフルエンザウイルスB/Shanghai/361/2002株に対する、二本鎖RNA B−NP−1999−3単独、B−NP−1999−13単独並びにB−NP−1999−3及びB−NP−1999−13の組み合わせの阻害率を示す。(B)18時間培養における、インフルエンザウイルスB/Shangdong/07/97株に対する、二本鎖RNA B−NP−1999−3単独、B−NP−1999−13単独並びにB−NP−1999−3及びB−NP−1999−13の組み合わせの阻害率を示す。(C)30時間培養における、インフルエンザウイルスB/Shanghai/361/2002株に対する、二本鎖RNA B−NP−1999−3単独、B−NP−1999−13単独並びにB−NP−1999−3及びB−NP−1999−13の組み合わせの阻害率を示す。(D)30時間培養における、インフルエンザウイルスB/Shangdong/07/97株に対する、二本鎖RNA B−NP−1999−3単独、B−NP−1999−13単独並びにB−NP−1999−3及びB−NP−1999−13の組み合わせの阻害率を示す。
符号の説明
1…スポット位置、2…スポッター、3…ガラススライド、4…二本鎖RNAマイクロアレイ、5…細胞懸濁液、6…シャーレ、7…B型インフルエンザウイルス液、8…染色後の二本鎖RNAマイクロアレイ
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
まず、本発明の二本鎖RNAについて説明する。
本発明の二本鎖RNAは、RNA干渉によってB型インフルエンザウイルスの複製を抑制する二本鎖RNAであって、B型インフルエンザウイルスのゲノムRNAから転写されたmRNAの一部に相同な19〜25塩基のRNAと、そのRNAのアンチセンスRNAとからなることを特徴としている。
「RNA干渉によってB型インフルエンザウイルスの複製を抑制する」とは、インフルエンザウイルスを構成するタンパク質の合成を直接的に抑制することではなく、標的となるウイルス遺伝子のmRNAを配列特異的に切断することによって抑制することをいい、ウイルスの複製を一過性に抑制することも含むものである。
これは「RNA干渉によってA型インフルエンザウイルスの複製を抑制する」場合においても同様である。
「RNA」とは、核酸の一つであって、リボースと、リン酸と、塩基(アデニン、グアニン、シトシン又はウラシル)とからなるリボヌクレオチドのポリマーのことをいう。RNAは、DNAと同様に相補水素結合を形成することができるため、一本鎖、二本鎖、又はヘアピン型RNAの構造をとることが可能である。
RNAは、従来の化学合成手法に基づいて合成することができ、例えば、核酸合成機で合成したり、in vitroで鋳型DNAを転写させること(インビトロ転写)によっても合成できる。その際、予め長い二本鎖RNAを合成し、ダイサー酵素で処理することによって、19〜25bpの短い二本鎖RNAの混合集団を得ることもできる。
「B型インフルエンザウイルス」とは、オルトミクソウイルス科に属し、ヒトに感染してインフルエンザを起こすRNAウイルスである。B型インフルエンザウイルスは、マイナス鎖の一本鎖RNAからなるRNAゲノム上に、ヘマグルチニン(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)、NBタンパク質(NB)、RNAポリメラーゼPAサブユニット(PA)、RNAポリメラーゼPB1サブユニット(PB1)、RNAポリメラーゼPB2サブユニット(PB2)、M1タンパク質(M1)、BM2タンパク質(BM2)、NPタンパク質(核蛋白;NP)、及びNSタンパク質(非構造蛋白;NS)をコードするウイルス遺伝子を有している。
B型インフルエンザウイルスがヒトに感染すると、ゲノムRNAを鋳型に、ウイルス自身の持つRNA依存RNAポリメラーゼによって各ウイルス遺伝子のmRNAが転写され、宿主細胞のリボソームで各ウイルスタンパク質が合成され、別経路で複製されたウイルスゲノムとこれらのウイルスタンパク質の1セットが細胞内で集合することによって、ウイルス粒子が複製される。このため、上記のウイルス遺伝子の翻訳産物は、B型インフルエンザウイルスの複製に必須であり、これらの遺伝子の発現を抑制できれば、B型インフルエンザウイルスによる感染症を治療し、予防することが可能となる。
上記の二本鎖RNAは、B型インフルエンザウイルスのヘマグルチニン(HA)遺伝子、ノイラミニダーゼ遺伝子、NBタンパク質遺伝子、RNAポリメラーゼPAサブユニット遺伝子、RNAポリメラーゼPB1サブユニット遺伝子、RNAポリメラーゼPB2サブユニット遺伝子、M1タンパク質遺伝子、BM2タンパク質遺伝子、NPタンパク質遺伝子、又はNSタンパク質遺伝子のmRNAの一部に相同な19〜25塩基のRNAと、そのRNAのアンチセンスRNAとをそれぞれ合成し、これらのRNAをアニールさせることによって作成できる。
B型インフルエンザウイルスの複製を強く抑制するためには、標的とするmRNAが、B型インフルエンザウイルスのNPタンパク質遺伝子、RNAポリメラーゼPAサブユニット遺伝子、RNAポリメラーゼPB1サブユニット遺伝子、又はRNAポリメラーゼPB2サブユニット遺伝子のmRNAであることが好ましく、NPタンパク質遺伝子のmRNAであることがより好ましい。
B型インフルエンザウイルスの各遺伝子の塩基配列は、GenBank等の遺伝子データベースにおいて公開されており、これらの塩基配列情報に基づいて二本鎖RNAを構成するRNAを設計できる。
上記RNAは、配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるか、又は、配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAからなる群から選択されることが好ましいが、配列表の配列番号1〜11に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるか、又は、配列表の配列番号1〜11に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAからなる群から選択されることがさらに好ましい。
配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列は、B型インフルエンザウイルスのNPタンパク質遺伝子、RNAポリメラーゼPAサブユニット遺伝子、RNAポリメラーゼPB1サブユニット遺伝子、及びRNAポリメラーゼPB2サブユニット遺伝子、のmRNAの一部配列であり、これらの遺伝子の塩基配列情報に基づいて二本鎖RNAを構成するRNAを設計できる。
上記RNAは、リボヌクレアーゼによる分解に対して耐性を付与するために、1個以上の修飾リボヌクレオチドを含むことができ、修飾リボヌクレオチドとしては、リボース環の2’−OH基がフルオロ基、メチル基、メトキシエチル基、又はプロピル基で置換されたリボヌクレオチドが例示できる。
置換されるリボース環は、ピリミジン、プリン又はそれらの組み合わせであってもよいが、ピリミジン、例えば、シトシン、シトシン誘導体、ウラシル、ウラシル誘導体又はそれらの組み合わせであることが好ましい。リボヌクレアーゼによる分解からRNAを保護するためには、二本鎖RNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖の一方のRNA鎖において上記の修飾リボヌクレオチドが含まれていても、両方のRNA鎖に修飾リボヌクレオチドが含まれていてもよい。
RNAをリボヌクレアーゼによる分解に対して耐性とするためには、RNAの1個以上のホスホジエステル結合を、ホスホロチオエート結合に置換してもよい。
リボース環の2’−OH基を他の官能基に置換したり、ホスホジエステル結合をホスホロチオエート結合に置換したりすることは、当業者であれば従来法の化学合成的手法を用いて行うことができる。
B型インフルエンザウイルスの流行株は、ヘマグルチニン(HA)の抗原性の違いから、B/ビクトリア/2/87と、B/山形/16/88という2つのグループに大別されるが、毎年流行するウイルス株は、各グループに属する異なるウイルス株である。B型インフルエンザウイルス株としては、例えば、B/Johannesburg/5/99株、B/Shangdong/07/97株、B/Hong Kong/8/73株、B/Shanghai/361/2002株及びB/Victoria/2/87株が例示できる。
上記二本鎖RNAは、B型インフルエンザウイルス株である、B/Johannesburg/5/99株、B/Shangdong/07/97株、B/Hong Kong/8/73株、B/Shanghai/361/2002株及びB/Victoria/2/87株の中の2以上のウイルス株の複製を抑制することが好ましく、3以上のウイルス株の複製を抑制することがより好ましく、すべてのウイルス株の複製を抑制することがさらに好ましい。
上記二本鎖RNAは、哺乳動物細胞にインターフェロンを誘導し、アポトーシスが引き起こされるのを避けるために、19〜25bpであることが好ましく、19〜23bpであることがより好ましく、19〜21bpであることがさらに好ましい。
また、本発明の二本鎖RNAは、センス鎖及びアンチセンス鎖の3’末端に1〜4塩基のDNA又はRNAが付加され、突出端を形成していることが好ましく、この突出端は、2塩基のDNA又はRNAからなることがより好ましい。また、二本鎖RNAのアンチセンス鎖の突出端の塩基配列は、標的遺伝子のmRNAと相補的であることが好ましいが、必ずしも相補的である必要はなく、任意の塩基配列を有するDNA又はRNAが3’末端に付加されていればよい。さらに、この突出端はDNAからなることが好ましい。
また、本発明のヘアピン型RNAは、上記の二本鎖RNAを細胞内で形成するヘアピン型RNAであって、B型インフルエンザウイルスのゲノムRNAから転写されたmRNAの一部に相同なRNAと、そのRNAのアンチセンスRNAとがリンカー配列を介して連結されていることを特徴としている。リンカー配列は、ヘアピン構造の形成を阻害しない配列であれば任意の配列を使用できるが、リンカー配列の長さは4〜6塩基が好ましく、4塩基がより好ましい。
B型インフルエンザウイルスの複製を抑制する二本鎖RNAのスクリーニングは、例えば、動物細胞(例えば、MDCK細胞)に二本鎖RNAを導入し、そこにB型インフルエンザウイルスを感染させることによってアポトーシスが誘導されるか否かを指標に行えばよい。
すなわち、B型インフルエンザウイルス由来のmRNAを切断する二本鎖RNAが細胞に導入された場合には、動物細胞がB型インフルエンザウイルスの侵入を受けた場合であっても、細胞内でウイルスの複製が抑制され、アポトーシスが誘導されなくなる。このため、細胞が生存している場合には、その細胞に導入された二本鎖RNAは、B型インフルエンザウイルスの複製を抑制する二本鎖RNAであると判定できる。一方、B型インフルエンザウイルス由来のmRNAを切断しない二本鎖RNAが細胞に導入された場合には、細胞内でウイルスの複製が起こり、最終的にアポトーシスが誘導されることとなる。さらに、アポトーシスが誘導された細胞は死滅し、培養プレート上から剥離するため、培養プレート上に張り付いて生存している細胞数の割合から、B型インフルエンザウイルスの複製を抑制する二本鎖RNAの活性(以下、抗インフルエンザウイルス活性)の強さについても判定できる。
上記のスクリーニングは、トランスフェクションマイクロアレイを用いて行うことができる。トランスフェクションマイクロアレイのシステムは、例えば、CytoPathfinder社の有する固相系遺伝子導入技術を用いることができる。
トランスフェクションマイクロアレイを用いたスクリーニングでは、まず、ランダムに合成した二本鎖RNAをガラススライド上にスポットし、二本鎖RNAマイクロアレイを作製する。その際、どの二本鎖RNAがガラススライド上のどのスポット位置にスポットされたかがわかるように、二本鎖RNAの塩基配列とスポット位置との関係をデータベース化しておく。
その後、二本鎖RNAマイクロアレイをシャーレの中に入れて固定し、そこに細胞と培地の懸濁液を注ぎ入れることによって、MDCK細胞を二本鎖RNAマイクロアレイ上に播種する。1日間培養すると、二本鎖RNAマイクロアレイ上にスポットされた二本鎖RNAは、細胞膜を通じて細胞内に導入されるため、B型インフルエンザウイルス溶液を培地に加えて培養すれば、アポトーシスが誘導されずに生存している細胞は二本鎖RNAマイクロアレイの特定のスポット位置上に付着し続け、アポトーシスが誘導された細胞は二本鎖RNAマイクロアレイ上から剥離することとなるため、細胞が付着しているスポット位置を指標に、抗インフルエンザウイルス活性を有する二本鎖RNAをスクリーニングできる。すなわち、細胞が付着しているスポット位置の情報から、抗インフルエンザウイルス活性を有する二本鎖RNAの塩基配列を得ることができる。
次に、本発明のベクターについて説明する。
本発明のベクターの第一の態様は、配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNA又は配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNA、に相補的な第1のDNAと、該第1のDNAに相補的な第2のDNAとを含み、かつ、上記第1のDNA及び上記第2のDNAのそれぞれの5’側にプロモーターを含む、二本鎖RNA発現用のベクターであって、上記ベクターは、導入された細胞内で、上記第1のDNAに相補的な第1のRNAと、上記第2のDNAに相補的な第2のRNAとを転写し、第1のRNAと第2のRNAとは、それぞれハイブリダイズして二本鎖RNAを形成することを特徴としている。
例えば、二本鎖RNAのセンス鎖をコードするDNAが第一プロモーターと制御可能に連結されており、かつ、二本鎖RNAのアンチセンス鎖をコードするDNAが第二プロモーターに制御可能に連結されているベクターを例示できる。この場合、二本鎖RNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖は、それぞれ独立に転写されることになるが、それぞれのプロモーターは同一であってもよく、又は相互に異なっていてもよい。
上記の態様は、配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNA又は配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNA、の3’末端に1〜4塩基のRNAが付加されたRNAに相補的な第1のDNAと、配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNAのアンチセンスRNA又は配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNAのアンチセンスRNA、の3’末端に1〜4塩基のRNAが付加されたRNAに相補的な第2のDNAとを含み、かつ、上記第1のDNAと上記第2のDNAのそれぞれの5’側にプロモーターを含む、二本鎖RNA発現用のベクターであって、上記ベクターは、導入された細胞内で、上記第1のDNAに相補的な第1のRNAと、上記第2のDNAに相補的な第2のRNAとを転写し、第1のRNAと第2のRNAとは、それぞれハイブリダイズして二本鎖RNAを形成するものであってもよい。
本発明のベクターの第二の態様は、配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNAに相補的なアンチセンスDNA又は配列表の配列番号1〜57に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNAに相補的なアンチセンスDNAと、該アンチセンスDNAに相補的なDNAとがリンカー配列を介して連結されたヘアピン型RNAをコードするDNA鎖を含み、かつ、上記DNA鎖の5’側にプロモーターを含む、ヘアピン型RNA発現用のベクターであって、上記ベクターは、導入された細胞内で上記ヘアピン型RNAを転写し、このヘアピン型RNAは、細胞内でプロセシングされて二本鎖RNAを形成することを特徴としている。
例えば、二本鎖RNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖をコードするDNAがリンカー配列を介して連結されたヘアピン型RNAをコードするDNAが単一のプロモーターに制御可能に連結されているベクターを例示できる。この場合、二本鎖RNAのセンス鎖とアンチセンス鎖とがリンカー配列によって連結された一本鎖RNAが産生される。この一本鎖RNAは、センス鎖部分とアンチセンス鎖部分とがアニールすることによって、ヘアピン型RNAを形成することになる。リンカー配列は、ヘアピン構造の形成を阻害しない配列であれば任意の配列を使用できるが、リンカー配列の長さは4〜6塩基が好ましく、4塩基がより好ましい。
上記のベクターは、遺伝子組換え技術によって、B型インフルエンザウイルスの複製を抑制する二本鎖RNAを作成するために用いられるものであり、宿主細胞において目的とするRNAを転写して二本鎖RNAを作成できるものであればよい。上記ベクターは、プラスミド又はウイルスの形態をとることができ、プロモーター以外に、複製開始点、転写終結配列(ターミネーター)、選択マーカー(ネオマイシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子等)を含み、必要に応じてエンハンサー、ポリアデニル化シグナル等を含み得る。
プラスミドベクターとしては、例えば、pcDNA3、pUC、pBR322、pBluescript等が挙げられ、ウイルスベクターとしては、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、バキュロウイルス、ワクシニアウイルス等が挙げられる。
RNAの鋳型としてベクターに組み込むDNAは、当技術分野において公知の方法により合成でき、RNAの転写合成を指示する適切なプロモーターの制御下に挿入すればよい。
プロモーターとしては、CMVプロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、SV40プロモーター、レトロウイルスのLTR及びメタロチオネインプロモーター、さらには、RNAポリメラーゼIIIプロモーターであるU6プロモーター及びH1プロモーターを例示できる。また、プロモーターは、発現の「オン」又は「オフ」を変更可能とした誘導性のプロモーターであってもよい。
なお、ベクターの構築に必要な分子生物学的手法は、Molecular Cloning A Laboratory Manual(Sambrookら、Cold Spring Harbor、N.Y.、1989年)に記載されている。
また、上記二本鎖RNA、上記ヘアピン型RNA、又は上記ベクターは、B型インフルエンザウイルスによる感染症の治療及び予防を目的とした医薬組成物又は抗インフルエンザウイルス剤として使用できる。
上記の医薬組成物及び抗インフルエンザウイルス剤は、上記二本鎖RNA、上記ヘアピン型RNA、又は上記ベクターを有効成分として少なくとも1種以上含んでおり、必要に応じて薬学的に許容される添加物を含んでいてもよい。
また、上記二本鎖RNA、又は上記ヘアピン型RNA若しくは上記ベクターから生じる二本鎖RNAは、B型インフルエンザウイルスの標的遺伝子のmRNAを特異的に切断できることから、この特性を利用したB型インフルエンザウイルスの検出キットとして使用できる。
上記検出キットは、上記二本鎖RNA、上記ヘアピン型RNA、又は上記ベクターに加えて、形質導入試薬を含むことを特徴としている。
形質導入試薬としては、例えば、脂質を含む試薬であって、当該脂質と目的のベクターが複合体を形成し、標的細胞にベクターを導入できる試薬が挙げられる。形質導入試薬に適した脂質としては、例えば、ポリアミン脂質、カチオン性脂質、ポリカチオン性脂質、コレステロール、中性脂質、カチオン性ポリアミン脂質を例示できる。
上記の医薬組成物及び抗インフルエンザウイルス剤は、RNA干渉によってA型インフルエンザウイルスの複製を抑制する二本鎖RNAを更に含有してもよい。A型インフルエンザウイルスの複製を抑制する二本鎖RNAは公知であり、例えば米国特許出願公開2006/0160759号明細書、米国特許出願公開2006/0275265号明細書、国際公開2004/028471号パンフレット及び国際公開2006/102461号パンフレットなどに記載されたものを好ましく利用することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
(二本鎖RNAの設計及び合成)
B型インフルエンザウイルスのウイルス遺伝子から転写されるmRNAを、RNA干渉によって切断し得る二本鎖RNAを得るために、B型インフルエンザウイルスのB/Johannesburg/5/99株の8種類のウイルス遺伝子の塩基配列情報(GenBankのアクセッション番号:CY018613(ヘマグルチニン遺伝子)、CY018614(M1タンパク質遺伝子及びBM2タンパク質遺伝子)、CY018615(ノイラミニダーゼ遺伝子及びNBタンパク質遺伝子)、CY018616(NPタンパク質遺伝子)、CY018617(NS1タンパク質遺伝子及びNS2タンパク質遺伝子)、CY018618(RNAポリメラーゼPAサブユニット遺伝子)、CY018619(RNAポリメラーゼPB1サブユニット遺伝子)、CY018620(RNAポリメラーゼPB2サブユニット遺伝子))を基に、これらの遺伝子の一部配列に相補的な19〜25塩基のRNAと、そのRNAのアンチセンスRNAとからなる2,360種類の二本鎖RNAを設計した。これらの二本鎖RNAがRNA干渉のターゲットとするmRNAの配列は、配列表の配列番号1〜2,360に示した通りである。
二本鎖RNAの設計には、Khvorova A.らの文献(Cell、2003年、115巻、2号、p.209−216)、Schwarz DS.らの文献(Cell、2003年、115巻、2号、p.199−208)、Hsieh AC.らの文献(Nucl. Acids Res.、2004年、32巻、3号、p.893−901)、Reynolds A.らの文献(Nat. Biotechnol.、2004年、22巻、3号、p.326−330)、及びUi−Tei K.らの文献(Nucl. Acids Res.、2004年、32巻、3号、p.936−948)を参考にして、RNA干渉を引き起こし得る配列を選択した。
設計した2,360種類の二本鎖RNAから80種類の二本鎖RNAを選択し、B型インフルエンザウイルスのウイルス遺伝子から転写されるmRNAと相同な配列を有するRNAの3’末端に2個のdTTPが付加されたRNAと、そのアンチセンスRNAの3’末端に上記塩基配列情報に基づきmRNAに対して相補的な2塩基のDNAが付加されたRNAとをそれぞれ化学合成した。合成されたRNAとそのアンチセンスRNAのセットは、両者のモル数が等しくなるようにアニーリングバッファー(100mM KOAc、2mM MgOAc、30mM HEPES-KOH、pH7.4)中で混合し、90℃で5分間の変性処理を行った後、37℃で1時間インキュベートすることによってアニールさせ、二本鎖RNAとした。
(トランスフェクションマイクロアレイによる二本鎖RNAのスクリーニング方法)
図1は、トランスフェクションマイクロアレイによる、B型インフルエンザウイルスの複製を抑制する二本鎖RNAのスクリーニング方法の手順を示したものである。
まず、図1(A)に示される手順に従って、二本鎖RNA混合溶液を調製した。具体的には、マイクロチューブに、血清を含まないDMEM培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)を25μL入れ、そこに100μMの二本鎖RNA(1〜10μL)加えて混合し、引き続き、1〜5μLの形質導入試薬(Lipofectamine 2000;インビトロジェン社)を加えて混合し、20分間静置した。その後、マイクロチューブ中の溶液に細胞接着因子(フィブロネクチン)を10〜200μg加えて混合し、二本鎖RNAマイクロアレイ4の作成に用いる二本鎖RNA混合溶液を調製した。
次いで、図1(B)に示されるように、二本鎖RNA混合溶液をスポッター2に充填し、ガラススライド3上に設けた所定のスポット位置1にスポットし、二本鎖RNAマイクロアレイ4を作製した。その際、B型インフルエンザウイルスの複製を抑制しないネガティブコントロール用の二本鎖RNA(QIAGEN Cat.No.1022076;以下、コントロール二本鎖RNA)の二本鎖RNA混合溶液についても、同じガラススライド3上にスポットした。
こうして作製された二本鎖RNAマイクロアレイ4は、どのスポット位置にどの塩基配列を有する二本鎖RNAがスポットされているかを事後的に追跡できるように、スポット位置1と二本鎖RNAの配列情報との関係をデータベース化した。
その後、図1(B)に示されるように、二本鎖RNAマイクロアレイ4をシャーレ6の中にセットし、MDCK細胞を含有する細胞懸濁液5を注ぎ込むことによって播種し、二本鎖RNAマイクロアレイ4上に細胞を付着させて、37℃で1日間培養した。この結果、二本鎖RNAマイクロアレイ4上にスポットされた各二本鎖RNAは、各スポット位置1上に張り付いたMDCK細胞の細胞膜を通過して、細胞内に導入されることになる。
その後、1.8×10pfu/mLのタイターに調製した5mLのB型インフルエンザウイルス液7をシャーレ6に注ぎ込んで、37℃で23〜47時間培養した。この結果、MDCK細胞中でウイルスの複製が起こり、アポトーシスが誘導された細胞は、二本鎖RNAマイクロアレイ4から剥離することになる。
その後、二本鎖RNAマイクロアレイ4をシャーレ6から取り出し、PBSで洗浄し、二本鎖RNAマイクロアレイ4上に残存する生存細胞をエタノールで固定し、固定された生存細胞をクリスタルバイオレットで染色した。染色後の二本鎖RNAマイクロアレイ8は、風乾後に、DNAマイクロアレイスキャナ(GenePix4200)でスキャンし、生存細胞が残存しているスポット位置1の分析に使用する蛍光画像を取得した。
こうして得られた蛍光画像は、画像解析ソフト(GenePix Pro Ver.6.0)で分析し、各スポット位置1内の総ピクセル数を算出した。総ピクセル数は、細胞残存面積及び生存細胞数に相当する値であるため、この総ピクセル数に基づいて、抗インフルエンザウイルス活性及その強さを評価できる。
トランスフェクションマイクロアレイによる二本鎖RNAのスクリーニングは、各二本鎖RNAのスポット位置1が異なる6枚の二本鎖RNAマイクロアレイ4で繰り返し行い、各二本鎖RNAのスポット位置1における総ピクセル数とコントロール二本鎖RNAのスポット位置1の総ピクセル数との間で以下に示す統計的仮説検定を行い、6枚中4枚以上で統計的有意差が認められた二本鎖RNAを、抗インフルエンザウイルス活性を有する二本鎖RNAであると判定した。
統計的仮説検定の手順:
1.まず、6枚の二本鎖RNAマイクロアレイを用いて得られたコントロール二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数と各二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数の正規性をチェックした(W−test、有意水準10%)。両者が正規分布に従っている場合は、2群の平均値の差の検定を行い(手順2へ)、いずれか一方の総ピクセル数が正規分布に従っていない場合は、ノンパラメトリックな2群の代表値の差の検定を行った(手順5へ)。
2.コントロール二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数と各二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数の等分散性の検定を行った(F−test、有意水準25%、両側検定)。等分散の場合は、Student’s t−testを(手順3)、非等分散の場合はWelch’s t−test(手順4)を行った。
3.Student’s t−testで、コントロール二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数と各二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数の平均値の差の検定を行った(有意水準1%、片側検定)。
4.Welch’s t−testで、コントロール二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数と各二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数の平均値の差の検定を行った(有意水準1%、片側検定)。
5.Mann−Whitney’s U−testで、コントロール二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数の代表値と各二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数の代表値の差の検定を行った(有意水準1%、片側検定)。
さらに、抗インフルエンザウイルス活性を有する二本鎖RNAであると判定された二本鎖RNAのうち、S/N比(Signal to Noise ratio)の平均が3以上である二本鎖RNAについては、顕著な抗インフルエンザウイルス活性を有する二本鎖RNAであると判定した。
ここでS/N比とは、マイクロアレイを利用したスクリーニング系において、ネガティブコントロールで得られるシグナルの強さ(N)と、評価している検体で得られるシグナルの強さ(S)との比であって、トランスフェクションマイクロアレイによる二本鎖RNAのスクリーニングにおいては、RNA干渉効果の強さを表すために用いられる指標である。具体的には、S/N比は、上記の統計的仮説検定によって抗インフルエンザウイルス活性を有すると認められた各二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数の平均値(μsample)と、コントロール二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数の平均値(μneg)と、不偏標準偏差(δneg)とを用いて、次式のように定義される値である。
S/N比=μsample−μneg/δneg
本スクリーニング方法では各スポット位置の残存細胞数がRNA干渉効果の強さを表しているため、上記の統計的仮説検定において有意差が認められた二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数が、コントロール二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数に比べてどの程度多いかをS/N比によって評価できる。
コントロール二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数の分布が正規分布に適合している場合、不偏標準偏差(δneg)は正規分布曲線の変曲点に相当し、μneg±3δnegの範囲に99.73%のデータが含まれることになる。この場合、S/N比の検出限界を3以上にすると、上式では平均値の差が3δneg以上となり、二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数の平均値は、コントロール二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数の分布の99.73%範囲に含まれないことが保障されることとなる。
本スクリーニング方法では、6枚の二本鎖RNAマイクロアレイで抗インフルエンザウイルス活性を調べているため、以下の手順に従って、二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数を予め正規化(標準化)してS/N比を求めた。
1.二本鎖RNAマイクロアレイごとに、コントロール二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数の平均値(μneg)と不偏標準偏差(δneg)とを用いて、各二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数を正規化した。
2.正規化された各二本鎖RNAのスポット位置の総ピクセル数を用いてS/N比を計算した。
3.S/N比の平均値が3以上である二本鎖RNAを、顕著な抗インフルエンザウイルス活性を有する二本鎖RNAであると判定した。
上記のスクリーニング方法では、B型インフルエンザウイルス由来のmRNAを切断する二本鎖RNAがMDCK細胞に導入された場合には、MDCK細胞がB型インフルエンザウイルスの侵入を受けた場合であっても細胞内でウイルスの複製が抑制され、その結果、アポトーシスが誘導されなくなる。このため、スポット位置1上に細胞が生存し付着している場合には、その細胞に導入された二本鎖RNAは、B型インフルエンザウイルスの複製を抑制する二本鎖RNAであると判定され、B型インフルエンザウイルスの複製を抑制する作用は、スポット位置1内の総ピクセル数が大きいほど強いと判定されることとなる。一方、B型インフルエンザウイルス由来のmRNAを切断しない二本鎖RNAがMDCK細胞に導入された場合には、細胞内でウイルスの複製が進行し、最終的にアポトーシスが誘導されることとなる。アポトーシスが引き起こされた細胞は、二本鎖RNAマイクロアレイ4から剥離するため、スポット位置1上の細胞が剥離した場合には、その細胞に導入された二本鎖RNAは、B型インフルエンザウイルスの複製を抑制できない二本鎖RNAであると判定されることとなる。
したがって、生存細胞が残存し付着しているスポット位置1がわかれば、予め構築したデータベースを検索することよって、抗インフルエンザウイルス活性のある二本鎖RNAの塩基配列が明らかとなる。
なお、上記のトランスフェクションマイクロアレイを用いたスクリーニングには、CytoPathfinder社のトランスフェクションマイクロアレイシステム(Transfection MicroArray(商標登録))を使用した。
(実施例1):B型インフルエンザウイルスのB/Johannesburg/5/99株の複製を抑制する二本鎖RNAのスクリーニング
上記のトランスフェクションマイクロアレイによる二本鎖RNAのスクリーニング方法に従って、合成した80種類の二本鎖RNAの中からB型インフルエンザウイルスのB/Johannesburg/5/99株の複製を抑制する二本鎖RNAをスクリーニングした。その際、ウイルス株添加後の培養時間は34時間とした。
表1は、B型インフルエンザウイルスのB/Johannesburg/5/99株の感染によって引き起こされるウイルスの複製を抑制し、アポトーシスの誘導を阻害した二本鎖RNAのアンチセンス鎖及びセンス鎖の塩基配列を示したものである。なお、S/N比≧3の列に白丸のある二本鎖RNAは、S/N比の平均が3以上あり、ウイルスの複製に対して顕著な抗インフルエンザウイルス活性を有する二本鎖RNAであることを意味している。
Figure 0005298014
その結果、コントロール二本鎖RNAとの間で統計的有意差が認められた二本鎖RNAは52個あり、これらのうちS/N比の平均が3以上ある二本鎖RNAは26個あった。
(実施例2):B型インフルエンザウイルスのB/Johannesburg/5/99株以外のウイルス株の複製を抑制する二本鎖RNAのスクリーニング
合成した80種類の二本鎖RNAのうち、B/Johannesburg/5/99株に対して抗インフルエンザウイルス活性を示さなかった28個について、他のB型インフルエンザウイルス株に対して抗インフルエンザウイルス活性を有するものがあるどうかについて検討した。
B型インフルエンザウイルス株としては、B/Shangdong/07/97、B/Hong Kong/8/73、B/Shanghai/361/2002、及びB/Victoria/2/87株を用い、実施例1と同様に、上記のトランスフェクションマイクロアレイによる二本鎖RNAのスクリーニング方法に従って試験した。
但し、ウイルス株をシャーレ内に加えた後、細胞の剥離が起こるまでの培養時間はウイルス株によって異なっていたため、ウイルス株添加後の培養時間は、B/Shangdong/07/97株の場合に23時間、B/Hong Kong/8/73株の場合に36時間、B/Shanghai/361/2002株の場合に26時間、B/Victoria/2/87株の場合に47時間とした。
表2は、B型インフルエンザウイルスのB/Shangdong/07/97、B/Hong Kong/8/73、B/Shanghai/361/2002、又はB/Victoria/2/87株の感染によって引き起こされるウイルスの複製を抑制し、アポトーシスの誘導を阻害した二本鎖RNAのアンチセンス鎖及びセンス鎖の塩基配列を示したものである。なお、S/N比≧3の列に白丸のある二本鎖RNAは、S/N比の平均がいずれかのウイルス株で3以上あり、ウイルスの複製に対して顕著な抗インフルエンザウイルス活性を有する二本鎖RNAであることを意味している。
Figure 0005298014
その結果、B/Shangdong/07/97株の感染に対しコントロール二本鎖RNAとの間で統計的有意差が認められた二本鎖RNAは3個(B−PB2−1999−02、B−PB1−1999−17、及びB−PB1−1999−26)あり、これらのうちS/N比の平均が3以上である二本鎖RNAは1個(B−PB2−1999−2)あった。B/Hong Kong/8/73株の感染に対しコントロール二本鎖RNAとの間で統計的有意差が認められた二本鎖RNAは2個(B−PB2−1999−2及びB−PB1−1999−24)あったが、S/N比の平均が3以上である二本鎖RNAはなかった。B/Shanghai/361/2002株の感染に対しコントロール二本鎖RNAとの間で統計的有意差が認められた二本鎖RNAは1個(B−PB2−1999−6)あったが、S/N比の平均が3以上である二本鎖RNAはなかった。一方、B/Victoria/2/87株の感染に対しコントロール二本鎖RNAとの間で統計的有意差が認められた二本鎖RNAは1個もなかった。
実施例1の結果と合わせると、B型インフルエンザウイルスの5株のいずれかに対して抗インフルエンザウイルス活性を示した二本鎖RNAは57個あった。また、この57個の二本鎖RNAのうち39個は、S/N比の平均がいずれかのウイルス株で3以上あり、顕著な抗インフルエンザウイルス活性を有していた。したがって、今後流行するB型インフルエンザウイルス株がさまざまな変異を起こした場合であっても、57個の二本鎖RNAのうちのいずれかがウイルスの複製を抑制し、B型インフルエンザの治療に有効性を示し得るものと思われた。
(実施例3):複数のB型インフルエンザウイルス株の複製を同時に抑制する二本鎖RNAのスクリーニング
流行するB型インフルエンザウイルス株の予想が困難であり、予想できた場合であっても変異を起こす可能性が高いため、1種類の二本鎖RNAが複数のB型インフルエンザウイルス株の複製を抑制することができれば、B型インフルエンザウイルスによる感染症を治療し予防することを実現し得るものと思われる。そこで、実施例1でB型インフルエンザウイルスのB/Johannesburg/5/99株に対して抗インフルエンザウイルス活性を示した52個の二本鎖RNAのうち、さらに、B/Shangdong/07/97、B/Hong Kong/8/73、B/Shanghai/361/2002、及びB/Victoria/2/87株のすべてのウイルス株に対しても、抗インフルエンザウイルス活性を有する二本鎖RNAをスクリーニングした。
スクリーニングは、実施例1及び2と同様に、上述のトランスフェクションマイクロアレイによる二本鎖RNAのスクリーニング方法で試験した。その際、実施例1で抗インフルエンザウイルス活性を示した52個の二本鎖RNAに加えて、B型インフルエンザウイルスの複製を抑制することが報告されている二本鎖RNA(PB1−POS及びPB2−POS)をポジティブコントロールとしてスライド上にスポットした二本鎖RNAマイクロアレイを用いた。なお、PB1−POS及びPB2−POSは、いずれもAntiviral Therapy(2006年、11巻、p.431−438)に記載されたPB1−2196及びPB2−1999と同じ塩基配列からなる二本鎖RNAであり、それぞれRNAポリメラーゼPB1サブユニット(PB1)遺伝子及びRNAポリメラーゼPB2サブユニット(PB2)遺伝子のmRNAをRNA干渉により切断することが報告されている。
表3は、B型インフルエンザウイルスのB/Johannesburg/5/99株、B/Shangdong/07/97株、B/Hong Kong/8/73株、B/Shanghai/361/2002株及びB/Victoria/2/87株の感染によって引き起こされるウイルスの複製を抑制し、アポトーシスの誘導を阻害した二本鎖RNAのID及びそのS/N比の値を示したものである。
Figure 0005298014
その結果、52個の二本鎖RNAのうち、上記5株の全てのウイルス株の感染に対して、コントロール二本鎖RNAとの間で統計的有意差が認められた二本鎖RNAは11個あり、その11個の二本鎖RNAは、どのウイルス株に対してもS/N比の平均が3以上ある顕著な抗インフルエンザウイルス活性を示すものであった。
一方、ポジティブコントロールのPB1−POSは、B/Shangdong/07/97株及びB/Shanghai/361/2002株に対しては抗インフルエンザウイルス活性を示すものの、その他のウイルス株に対してはほとんど抗インフルエンザウイルス活性を示さなかった。
また、ポジティブコントロールのPB2−POSは、B/Johannesburg/5/99株及びB/Shangdong/07/97株に対しては抗インフルエンザウイルス活性を示すものの、その活性は非常に弱く、その他のウイルス株に対しては抗インフルエンザウイルス活性を示さなかった。
なお、興味深いことに、上記の11個の二本鎖RNAのアンチセンス鎖は、いずれもがNPタンパク質のmRNAに対して相補的な配列を有するRNAであった。
(実施例4):ターゲット配列に変異のある二本鎖RNAの抗インフルエンザウイルス活性
実施例3で見出された、B型インフルエンザウイルス5株に対して顕著な抗インフルエンザウイルス活性を有する二本鎖RNAのうち、B−NP−1999−13(配列番号10)について、上記5株のウイルス株のmRNAの塩基配列との相同性を比較した。
B/Johannesburg/5/99株以外の4株については、Genbankに登録された塩基配列(B/Shangdong/7/97株はアクセッション番号AY0441698、B/Hong Kong/8/73株はアクセッション番号EF456777、B/Shanghai/361/2002株はアクセッション番号AJ784078、B/Victoria/2/87株はアクセッション番号AF100359)を参照した。
その結果、B−NP−1999−13は、B/Hong Kong/8/73に対し、3塩基のミスマッチを有していたものの、顕著な抗インフルエンザウイルス活性を示した。また、B/Victoria/2/87株に対しては、アンチセンス鎖の5’末端から2塩基目にミスマッチがあったものの、同様に顕著な抗インフルエンザウイルス活性を示した。
一般に、二本鎖RNAのミスマッチは末端から中央に近くなるほど、またミスマッチの塩基が多くなるほどRNA干渉作用が減弱するとされているが、特に、B−NP−1999−13においては、3塩基のミスマッチがあってもRNA干渉作用を有し、顕著な抗インフルエンザウイルス活性を示した。
この結果より、二本鎖RNAの塩基配列によっては、ミスマッチがあっても顕著な抗インフルエンザウイルス活性を有するものが存在することが示唆された。このような二本鎖RNAは、1種類のみでなく、複数種類のB型インフルエンザウイルス株に対して抗インフルエンザウイルス活性を有するため、二本鎖RNAの標的配列に変異をもったインフルエンザウイルス株が流行株となった場合であっても、その感染症に対して十分な治療効果を発揮し得ることが示唆された。
(実施例5):A型インフルエンザウイルスおよびB型インフルエンザウイルスにターゲティングされた二本鎖RNAの併用
複数の二本鎖RNAを同時に使用した時のインフルエンザウイルスに対する効果を検証した。A型インフルエンザウイルスに対する二本鎖RNAとして、国際公開2004/028471号パンフレットに記載されているsiRNA、NP−1496を化学合成した。表4にNP−1496の塩基配列を5’末端から3’末端に向かって示す。NP−1496のセンス鎖及びアンチセンス鎖の3’末端には2個のデオキシチミジンヌクレオチドが付加されており、表4ではこれらの残基を小文字で表す。合成されたRNAとそのアンチセンスRNAのセットは、両モル数が等しくなるようにアニーリングバッファー(100mM 酢酸カリウム、2mM 酢酸マグネシウム、30mM HEPES−KOH、pH7.4)中で混合し、90℃で5分の変性処理を行った後、37℃で1時間インキュベートすることによってアニールさせ、二本鎖RNAとした。B型インフルエンザウイルスに対する二本鎖RNAとして既出のB−NP−1999−13を使用した。
Figure 0005298014
MDCK細胞をRPMI1640培地に懸濁し、1×10 cells/mLに調製した。そこにNP−1496およびB−NP−1999−13を混合した。MDCK細胞と二本鎖RNAの混合液800μLを電極間距離4mm幅のelectroporation用キュベット(メーカー:島津製作所)に移した。島津遺伝子導入装置(GTE−10)によって、電圧400V、コンデンサ容量800μFで電気パルスを加えた後、5分間氷上で静置した。懸濁液を1×10 cells/mLになるようRPMI1640培地にて希釈し、終濃度10%になるようにFCSを加えた。これを0.1mL/wellで96well plateに播種した。37℃、5%CO存在下で1日培養した。
A型インフルエンザウイルスとしてA/PR/8/34、B型インフルエンザウイルスとしてB/Johannesburg/5/99を用いた。1×10 pfu/mLに調製した各ウイルスを、siRNAを導入したMDCK細胞に50μL/wellで添加し、ウイルス感染させた。24時間培養した後、感染細胞をエタノールで固定した。ELISA法にて感染細胞に発現しているウイルスタンパクを定量するため、固定後の細胞を10%スキムミルクでブロッキングした後、一次抗体として抗A型インフルエンザウイルスNucleoprotein抗体(メーカー:Serotec、MCA400)または抗B型インフルエンザウイルスNucleoprotein抗体(メーカー:Serotec、MCA403)を添加した。その後二次抗体としてHRP(horse radish peroxidase)標識ウサギ免疫抗マウスIgGを添加し一次抗体を認識させ、HRPの基質であるTMB(3,3’,5,5’−tetramethyl−benzidene)にて発色を行い、波長450nmの吸光度を測定した。ウイルスを感染させないネガティブコントロールウェルと、siRNAを加えずウイルスを感染させたポジティブコントロールウェルの値から、次式によりsiRNAを導入したwellでの阻害率を算出した。
阻害率=(ポジティブコントロールウェルの吸光度−サンプルウェルの吸光度)×100/(ポジティブコントロールの吸光度−ネガティブコントロールウェルの吸光度)
図2に結果を示す。図2(A)に示すように、B−NP−1999−13 0.1 nmol/mLを単独で使用した時、B/Johannesburg/5/99ウイルスに対して約100%の阻害活性が見られた。また、図2(B)に示すように、二本鎖RNA、NP−1496 1 nmol/mLを単独で使用した時、A/PR/8/34に対して約90%の阻害活性が見られた。これらの二本鎖RNAを混合して使用した時、どちらのウイルスに感染した場合でも抗ウイルス活性があり、それぞれの二本鎖RNAを単独で使用した時と同程度の活性が見られた。
(実施例6):B型インフルエンザウイルスにターゲティングされた二本鎖RNAの併用・スペクトルの拡大
二本鎖RNA、B−PB2−1999−7およびB−PB1−1999−1を試験に使用した。ウイルスとしてB/Shanghai/361/2002とB/Shangdong/07/97を使用した。実施例5と同様にMDCK細胞に上記二本鎖RNAを混合し、electroporationによって細胞内導入を行った。1日培養後、上記B型インフルエンザウイルスをそれぞれ感染させ、18時間後のウイルスタンパクをB型インフルエンザウイルス抗体を用いたELISAで定量することにより、二本鎖RNAの併用効果を測定した。
図3に結果を示す。図3(A)に示すように、B−PB2−1999−7は0.25 nmol/mLで使用した時、B/Shanghai/361/2002に対して約100%の阻害活性を示したが、図3(B)に示すように、B/Shangdong/07/97には約30%と弱い活性しか示さなかった。また図3Aに示すように、B−PB1−1999−1は0.25nmol/mLで使用した時、B/Shanghai/361/2002に対して約20%の阻害活性しか示さなかったが、図3(B)に示すように、B/Shangdong/07/97には約90%の阻害活性を示した。これら2種類の二本鎖RNAを混合して使用することにより、どちらのウイルス株に対しても約90%以上の強い活性が認められた。このように、二本鎖RNAの配列によってはあるウイルス株に効果を示さない場合もあるが、複数の二本鎖RNAを併用することにより、そのような株にも効果を発揮しうることが示された。
(実施例7):B型インフルエンザウイルスにターゲティングされた二本鎖RNAの併用効果
二本鎖RNA、B−NP−1999−3およびB−NP−1999−13を試験に使用した。ウイルスとしてB/Shanghai/361/2002とB/Shangdong/07/97を使用した。実施例5と同様にMDCK細胞に上記二本鎖RNAを混合し、electroporationによって細胞内導入を行った。1日培養後、上記B型インフルエンザウイルス株をそれぞれ感染させ、18−30時間後のウイルスタンパクをB型インフルエンザウイルス抗体を用いたELISAで定量することにより、二本鎖RNAの併用効果を測定した。
図4に結果を示す。図4(A)及び図4(B)に示すように、2種類の二本鎖RNAは18時間培養の場合、両ウイルス株に対して単独でも併用でも80%以上の阻害活性を示した。一方、図4(C)に示すように、30時間培養した場合、B−NP−1999−3を0.1nmol/mL、B−NP−1999−13を0.05nmol/mL、単独で使用した時、B/Shanghai/361/2002に対してそれぞれ約10%の効果しか認められなかった。これら2種類の二本鎖RNAを混合して使用した時、B/Shanghai/361/2002に対して約70%の阻害活性が認められた。また、同様に図4(D)に示すように、B−NP−1999−3を0.1nmol/mL、B−NP−1999−13を0.05nmol/mL、それぞれ単独で使用した時、B/Shangdong/07/97に対してそれぞれ50%及び0%の阻害効果であったが、これらを混合して使用した時、B/Shangdong/07/97に対して80%の阻害活性が認められた。このように、1種類の二本鎖RNAではウイルスの培養時間が長くなると効果が減弱することがあるが、この場合でも複数の二本鎖RNAを併用することにより、効果が持続することが示された。

Claims (15)

  1. RNA干渉によってB型インフルエンザウイルスの複製を抑制する二本鎖RNAであって、配列表の配列番号〜11に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNAと、該RNAのアンチセンスRNAと、からなる二本鎖RNA。
  2. RNA干渉によってB型インフルエンザウイルスの複製を抑制する二本鎖RNAであって、配列表の配列番号10に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAと、該RNAのアンチセンスRNAと、からなる二本鎖RNA。
  3. 前記RNAは、1個以上の修飾リボヌクレオチドを含んでもよい、請求項1又は2記載の二本鎖RNA。
  4. 前記RNAは、1個以上のホスホジエステル結合が、ホスホロチオエート結合に置換されていてもよい、請求項1〜のいずれか一項記載の二本鎖RNA。
  5. 平滑末端を形成している、請求項1〜のいずれか一項記載の二本鎖RNA。
  6. 請求項1〜のいずれか一項記載の二本鎖RNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖の3’末端に1〜4塩基のDNA又はRNAが付加され、突出端を形成している、二本鎖RNA。
  7. 請求項1又は2記載の二本鎖RNAを細胞内で形成するヘアピン型RNAであって、
    前記B型インフルエンザウイルスのゲノムRNAから転写されたmRNAの一部に相同なRNAと、該RNAのアンチセンスRNAと、がリンカー配列を介して連結されている、ヘアピン型RNA。
  8. 配列表の配列番号11に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNA又は配列表の配列番号10に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNA、に相補的な第1のDNAと、該第1のDNAに相補的な第2のDNAと、を含み、かつ、前記第1のDNA及び前記第2のDNAのそれぞれの5’側にプロモーターを含む、二本鎖RNA発現用のベクターであって、
    前記ベクターは、導入された細胞内で、前記第1のDNAに相補的な第1のRNAと、前記第2のDNAに相補的な第2のRNAと、を転写し、
    前記第1のRNAと前記第2のRNAとは、それぞれハイブリダイズして二本鎖RNAを形成する、
    ベクター。
  9. 配列表の配列番号11に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNA又は配列表の配列番号10に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNA、の3’末端に1〜4塩基のRNAが付加されたRNAに相補的な第1のDNAと、
    配列表の配列番号11に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNAのアンチセンスRNA又は配列表の配列番号10に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNAのアンチセンスRNA、の3’末端に1〜4塩基のRNAが付加されたRNAに相補的な第2のDNAと、を含み、かつ、
    前記第1のDNAと前記第2のDNAのそれぞれの5’側にプロモーターを含む、二本鎖RNA発現用のベクターであって、
    前記ベクターは、導入された細胞内で、前記第1のDNAに相補的な第1のRNAと、前記第2のDNAに相補的な第2のRNAと、を転写し、
    前記第1のRNAと前記第2のRNAとは、それぞれハイブリダイズして二本鎖RNAを形成する、
    ベクター。
  10. 配列表の配列番号11に示される塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNAに相補的なアンチセンスDNA又は配列表の配列番号10に示される塩基配列の1乃至3個のヌクレオチドが置換された塩基配列からなるRNAからなる群から選択されるRNAに相補的なアンチセンスDNAと、該アンチセンスDNAに相補的なDNAと、がリンカー配列を介して連結されたヘアピン型RNAをコードするDNA鎖を含み、かつ、前記DNA鎖の5’側にプロモーターを含む、ヘアピン型RNA発現用のベクターであって、
    前記ベクターは、導入された細胞内で前記ヘアピン型RNAを転写し、
    前記ヘアピン型RNAは、細胞内でプロセシングされて二本鎖RNAを形成する、
    ベクター。
  11. 請求項1〜のいずれか一項記載の二本鎖RNA、請求項記載のヘアピン型RNA、又は請求項10のいずれか一項記載のベクター、を有効成分として少なくとも1種以上含有する、医薬組成物。
  12. 請求項1〜のいずれか一項記載の二本鎖RNA、請求項記載のヘアピン型RNA、又は請求項10のいずれか一項記載のベクター、を有効成分として少なくとも1種以上含有する、抗インフルエンザウイルス剤。
  13. 請求項1〜のいずれか一項記載の二本鎖RNA、請求項記載のヘアピン型RNA、又は請求項10のいずれか一項記載のベクターと、形質導入試薬と、を含む、B型インフルエンザウイルスの検出キット。
  14. RNA干渉によってA型インフルエンザウイルスの複製を抑制する二本鎖RNAを更に含有する、請求項11に記載の医薬組成物。
  15. RNA干渉によってA型インフルエンザウイルスの複製を抑制する二本鎖RNAを更に含有する、請求項12に記載の抗インフルエンザウイルス剤。
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