以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書において、双眼鏡の対物レンズ側を正面または前方側とし、接眼レンズ側を後方側とする。また、上下方向は双眼鏡を通常に水平に構えた状態について言い、左右方向は双眼鏡を通常に水平に構えて接眼部側から見た状態について言う。
図1、4、6においては紙面左側が対物レンズ側で紙面右側が接眼レンズ側である。図2、7においては紙面手前側が対物レンズ側であり紙面奥側が接眼レンズ側である。図3、5、8においては紙面左側が対物レンズ側で紙面右側が接眼レンズ側であり、紙面手前側が上方向である。
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る双眼鏡保持装置を側面から見た断面図であり、図2は正面図、図3は平面図である。図4は第1実施形態に係る保持装置1に双眼鏡4を取付けた状態を側面から見た断面図であり、図5は第1実施形態に係る双眼鏡保持装置1に双眼鏡4を取付けた状態の平面図である。
第1実施形態に係る双眼鏡保持装置1(以下、単に保持装置1と略記する。)は、双眼鏡4の左右の鏡筒7L、7Rを載置するための載せ台13と、載せ台13の上側面13aの前方側に設けられた可倒式の支柱16と、載せ台13に載置された双眼鏡4の左右の鏡筒7L、7Rを載せ台13との間に挟持するための押え部材19とを備えている。
載せ台13は、図3に示すように、前後方向、すなわち載置される双眼鏡4の望遠光学系の光軸LL、LR方向が長い方の辺となる略長方形の板状に形成されている。載せ台13の左右方向の幅は載置される双眼鏡4の左右の対物レンズの中心間距離と同程度の大きさである。つまり、載置される左右の鏡筒7L、7Rの光軸LL、LR間距離と同程度の大きさである。また、載せ台13の前後方向の長さは、左右方向の長さの約1.5倍から2倍程度の長さとなっている。載せ台13の上下方向の厚さは、図1に示すように、載せ台13の下側面13bを水平にした状態で、前方側の方が薄く、後方側の方に向かうに従い厚くなるように形成されている。つまり左右の鏡筒7L、7Rが接触する面である載せ台13の上側面13aは、水平にした下側面13bに対して傾斜した面となっている。載せ台13の上側面13aには、左右方向の中央部に前後方向に延在する溝22が設けられている。溝22は載せ台13の前方側の端部から後方側の端部に亘って設けられている。溝22の幅および深さは支柱16の径よりも大きく形成されている。載せ台13の上側面13aにはゴム等からなる1対の緩衝部材25、25が貼り付けられている。載せ台13の下側面13bには三脚等の架台を取付けるための雌ねじ28が設けられている。雌ねじ28の設置位置は、保持装置1の重心位置とほぼ同じ位置に設けられており、三脚取付け時にバランスが取れるような位置に設定している。
支柱16は載せ台13の上側面13aに設けられた溝22の前方側端部近傍に設けられている。支柱16の載せ台13側の端部には左右方向に突出する1対の突出部31、31が形成されている。この突起部31は、図2に示すように、溝22を形成する両壁にそれぞれ形成された凹部34に回動可能に係合している。このような構成なので、支柱16は左右の突出部31、31を軸にして前後方向に回動が可能になっている。後述するように、双眼鏡4を載置するときは支柱16を載せ台13に対してほぼ直立する状態まで回動させて使用する。そのため、溝22の前方側端部近傍には、支柱16が載せ台13に対して直立した状態からさらに前方側に傾かないようにストッパ37が設けられている。なお、本明細書において水平とは載せ台13の下側面13bを水平にした状態を言い、直立とは載せ台13の下側面13bを水平にした状態において、下側面13bに対して直立していることを言う(以下、第2および第3実施形態においても同様。)。
以下、支柱16を直立させた状態で第1実施形態に係る保持装置1の構成を説明する。
支柱16の上方側の一端にはクランプノブ40が連結されている。クランプノブ40は、ノブ部40aと、ノブ部40aの下側面から下方に向かってノブ部40aと一体に形成された軸43とからなっている。軸43の下方側には、軸43よりも外径が大きい雄ねじ46が形成されている。また、支柱16の上方側には、上下方向、すなわち支柱16の軸方向に雌ねじ16aが形成されている。この雌ねじ16aに軸43の雄ねじ46が上方からねじ込まれ、螺合している。この螺合により、クランプノブ40と支柱16とは同軸上に連結されている。クランプノブ40は、クランプノブ40を回転させることで軸43の雄ねじ46が回転し、その雄ねじ46と支柱16の雌ねじ16aとの螺合量を変化させ、支柱16に対して上下方向に移動が可能となっている。またクランプノブ40は、クランプノブ40が上昇する方向に回転させることで支柱16から抜くことができる。つまり、クランプノブ40は支柱16から取り外すことができるようになっており、支柱16に対して着脱自在となっている。
クランプノブ40のノブ部40aの方から下方へ順に押え部材19と軸受け49とが設けられている。押え部材19と軸受け49は、ともに軸43が挿通されている。また、押え部材19は左右方向の中央部でかつ前後方向の前側に軸43を挿通している。軸受け49は雄ねじ46によって支えられ、押え部材19は軸受け49に支えられている。押え部材19は図1、2、3に示すように略長方形に形成され、左右方向の幅は載せ台13とほぼ同じ大きさに形成されている。つまり載置される双眼鏡4の左右の光軸LL、LR間距離とほぼ同じ大きさに形成されている。また押え部材19の前後方向の長さは載せ台13の半分程度の大きさとなっている。なお、左右の鏡筒7L、7Rが接触する面である押え部材19の下側面19bにはゴム等の緩衝部材52が貼り付けられている。
軸受け49はスラスト軸受けである。クランプノブ40の軸43は軸受け49の中心を貫通し、軸受け49は軸43と一体に設けられている。軸受け49の外径はクランプノブ40の径と同程度またはそれよりも大きな外径を有するが、載せ台13の溝22の幅よりも小さな外径となっている。
押え部材19の下側面19bの前方側で左右方向の中央部には、上方に凹んだ凹部55が形成されている。凹部55の径は軸受け49の径よりも少し大きめに形成されている。クランプノブ40の軸43は凹部55の中央部で押え部材19を挿通している。軸43が挿通する押え部材19の貫通孔45の径は、軸43の径よりも少し大きく形成されている。軸受け49は上側の半分ほどが押え部材19の凹部55に係合し、凹部55の底面を回転自在に支持している。この係合により、押え部材19はクランプノブ40に対して軸43方向には移動が規制されているが、軸43周りに回転自在となっている。凹部55の底面は、軸受け49と凹部55の底面とが相互に水平状態で係合した状態において、押え部材19の後方側が載せ台3に近づく方向に少し傾くように、傾斜を持って形成されている。つまり、凹部55の底面を水平にすると押え部材19は後方側が載せ台3に近づく方向に傾くようになっている。凹部55の底面がこのような形状となるように、凹部55の深さは前方側が浅く、後方に向かうに従い深くなるように形成されている。
一方、押え部材19の上側面19aには、下側面19bの凹部55に対応する位置に下方に凹んだ凹部56が形成されている。凹部56の中心は軸43が貫通している。凹部56の底面も、当該底面を水平にすると押え部材19の後方側が載せ台3に近づく方向に傾くように、凹部55の底面の傾斜と対応した傾斜を持って形成されている。つまり凹部56の深さは前方側が深く、後方に向かうに従い浅くなるように形成されている。凹部56には、押え部材19とクランプノブ40のノブ部40aとの間に介装されたワッシャ57が配置されている。ワッシャ57の上部はノブ部40aの下側面に接触し、下部は凹部56の底面に接触している。
このように、押え部材19は、凹部55および凹部56において、軸受け49と、ワッシャ57を介したノブ部40aとによって上下方向に挟持された状態でクランプノブ40に取付けられている。そして、軸43が貫通する押え部材19の貫通孔45の径は、軸43の径よりも少し大きく形成されているので、軸43が貫通孔45内部で貫通孔45に対して相対的に傾くことができる分だけ、押え部材19は軸43が貫通する貫通孔45を中心部として上下方向に傾動可能となっている。そして、クランプノブ40を回転させると、クランプノブ40の上下動に伴って押え部材19も上下動することができる。このように、クランプノブ40は押え部材19を上下方向に移動させるための操作手段となっている。
次に、第1実施形態に係る保持装置1の使用方法について説明する。なお、双眼鏡4の眼幅の調整は済んでいるものとする。
図4は第1実施形態に係る保持装置1に双眼鏡4を取付けた状態を側面から見た断面図であり、図5は第1実施形態に係る双眼鏡保持装置1に双眼鏡4を取付けた状態の平面図である。図6は双眼鏡4を取付けた保持装置1を三脚76に取付けた状態を、一部を切り欠いて示す側面図であり、図7は、図6に示すように双眼鏡4を保持装置1に取付けた状態で一部を切り欠いて示す正面図である。また、図8は第1実施形態に係る双眼鏡保持装置1に保持される双眼鏡4の形状を示す平面図である。
第1実施形態に係る保持装置1において保持する双眼鏡4は、図8に示すように、接眼レンズ64L、64R側から見て左の鏡筒7Lおよび右の鏡筒7Rと、鏡筒7Lと鏡筒7Rとを連結して並置する連結部58とを備えている。鏡筒7L内には、対物レンズ61Lと接眼レンズ64Lとを含む左の望遠光学系が設けられている。また、鏡筒7Rも同様に、対物レンズ61Rと接眼レンズ64Rとを含む右の望遠光学系が設けられている。連結部58は、左右の鏡筒7L、7Rの中央部近傍の1箇所で鏡筒7Lと7Rとを連結している。
連結部58は、図7に示すように、鏡筒7Lに一体に設けられた腕部67Lと、鏡筒7Rに一体に設けられた腕部67Rと、これら腕部67L、67Rを連結し、これら腕部67L、67Rとともに関節構造を構成し、関節構造の中心軸部材となる円筒状の関節軸70とで構成されている。腕部67Lには光軸LL、LR方向の穴(図示省略)が設けられ、腕部67Rにも光軸LL、LR方向の穴73Rが設けられている。これら腕部67Lの図示しない穴と腕部67Rの穴73Rとが光軸LL、LR方向で同軸に連なるように配置され、これらの穴に関節軸70が挿入されている。関節軸70は穴73Rに嵌合して、一方の腕部67Lを関節軸70周りに回動可能に、もう一方の腕部67Rを関節軸70周りに回動不能に支持している。こうして、腕部67Lと67Rとは、鏡筒7L、7Rの中央部で関節軸70の軸MA(図8参照)を中心に互いに相対的に回動できるように関節軸70を介して連結されている。したがって、鏡筒7L、7Rを、軸MAを中心として互いに相対的に回動させることにより、双眼鏡4の眼幅を調整することができる。なお、軸MAと左右の望遠光学系の光軸LL、LRとは平行である。
このような、腕部67L、67Rを介して軸MAで左右の鏡筒を連結している双眼鏡4においては、図8に示すように、左右の対物レンズ61L、61R間には必ず隙間Aができる。支柱16を直立させてクランプノブ40を上昇させた状態、すなわち押え部材19を上昇させた状態の保持装置1に、正面から見て左右の対物レンズ61L、61Rの間の隙間Aに支柱16が位置するように、左右の鏡筒7L、7Rを載せ台13に載置する。より詳細には、図5に示すように、支柱16の位置が双眼鏡4の関節軸70の軸MA上で、左右の鏡筒7L、7Rの対物レンズ61L、61R側端部よりも前方に支柱16が位置するように左右の鏡筒7L、7Rを載置する。あるいは、支柱16の位置が上側から見て対物レンズ61Lと61Rとの間、すなわち隙間Aに位置するように左右の鏡筒7L、7Rを載置しても良い。この状態において、載せ台13の左右方向の端部は、図7に示すように、左右の対物レンズ61L、61Rの中心すなわち光軸LL、LRからそれぞれ載せ台13へ下ろした垂線が載せ台13に交わる位置からそれぞれ左右方向に少し張り出した位置にある。つまり双眼鏡4の左右方向の端部よりも内側に位置している。また、載せ台13の光軸LL、LR方向の端部については、図5、図6に示すように、前方側の端部は双眼鏡4の対物レンズ61L、61R側端部よりも前方に位置しているが、後方側の端部は双眼鏡4の中央部よりも少し後方側に位置している。つまり、載せ台13の光軸LL、LR方向の長さは、双眼鏡4の光軸LL、LR方向の長さに比べてかなり短いものとなっている。しかし載せ台13は双眼鏡4の重心位置を支持するための必要な長さは有しているので双眼鏡4が不安定になることはない。
このように左右の鏡筒7L、7Rを載置したら、クランプノブ40を回転させ、押え部材19を下方に移動させる。上述したように、載せ台13は上側面13aが斜面になっており、双眼鏡の鏡筒の外装形状の光軸方向の傾斜角に合わせた斜面になっている。さらに、緩衝部材25、25が貼付されているので、左右の望遠光学系の光軸LL、LRが水平になるように左右の鏡筒7L、7Rを載置することができる。そして押え部材19の左右側と載せ台13の左右側とがそれぞれ光軸LL、LR方向に沿うように揃える。押え部材19は、クランプノブ40が挿通している貫通孔45を中心に上下方向に傾動可能であるため、下降しつつ下側面19bが鏡筒7L、7Rの傾斜形状に沿って配置されてゆく。このように、第1実施形態に係る保持装置1は押え部材19が上下方向に傾動するので、押え部材19が傾動する範囲において載置された双眼鏡の鏡筒の傾斜形状に沿って鏡筒を挟持することができる。
こうして、載せ台13に載置された双眼鏡4は、左右の鏡筒7L、7Rの対物レンズ61L、61R側が載せ台13と押え部材19とによって挟み込まれ、固定される。載せ台13の上側面13aと押え部材19の下側面19bにはそれぞれ緩衝部材25、52が設けられているので、双眼鏡4の鏡筒7L、7Rに傷がつくことが防止され、また滑りも防止されるため安定してクランプすることができる。このとき、押え部材19と支柱16とは、正面から見て略T字形状となっている。また、載せ台13の上側面13aと押え部材19の下側面19bとは、それぞれ左右の鏡筒7L、7Rの傾斜形状に沿って各鏡筒7L、7Rに接触しているので、非平行な状態で左右の鏡筒7L、7Rを挟持することとなる。
保持装置1に固定された双眼鏡4は、三脚等の架台に取付けられる。本実施形態においては、図6、図7に示すように、三脚76に取付けられた雲台79に取付けられている。載せ台13の下側面13bに設けられた雌ねじ28に、三脚76に取付けられた雲台79の雲台座面82に形成された雄ねじ(図示省略)がねじ込まれている。こうして、保持装置1に取付けられた双眼鏡4は雲台79を介して三脚76に取付けられ、観察者は雲台79によって双眼鏡4を所望の方向に向け、視準後雲台79を固定して安定して観察することができる。
このように、第1実施形態に係る双眼鏡保持装置1は、前後方向の大きさおよび左右方向の大きさが、保持する双眼鏡4の前後方向および左右方向の大きさよりも大きく張り出す必要は無いため、いずれも小さく形成され、小型軽量化が可能となっている。
次に、保持装置1を持ち運ぶ時等、使用しない場合の状態について説明する。
第1実施形態に係る保持装置1は、上述したようにクランプノブ40および押え部材19が支柱16に対して着脱自在となっている。また、支柱16は載せ台13に対して下方側端部の突出部31、31を中心に光軸LL、LR方向に回動可能となっている。保持装置1はこれらの機構により、双眼鏡4を保持しないときはよりコンパクトに変形できるようになっている。
図9(a)は、第1実施形態に係る保持装置1をコンパクトに変形した状態を示す平面図であり、図9(b)は同状態を側方から見た断面図である。なお、図9(a)においては、紙面左側が双眼鏡装着時に対物レンズ61L、61Rを配置する側で紙面右側が接眼レンズ64L、64Rを配置する側であり、紙面手前側が上方向である。また、図9(b)においては、紙面左側が双眼鏡装着時に対物レンズ61L、61Rを配置する側で紙面右側が接眼レンズ64L、64Rを配置する側である。
載せ台13の上側面13aに形成された溝22の後部側には、図1、図3、および図4に示すように、雌ねじ85が設けられている。雌ねじ85はクランプノブ40の雄ねじ46が螺合できるようになっている。載せ台13の下側面13bには三脚76等の架台の雄ねじが螺合する雌ねじ28が設けてあるが、図1に示すように、上側面13aの雌ねじ85と下側面13bの雌ねじ28とは上下方向に位置が重ならないように前後方向にずらして形成してある。
双眼鏡4が挟持されている状態から押え部材19が上方に移動する方向にクランプノブ40を回転操作し、双眼鏡4の挟持状態を解く。そして載せ台13から双眼鏡4を取り外す。この状態から、クランプノブ40をさらに同方向に回転操作し、クランプノブ40およびクランプノブ40に取付けてある押え部材19を上方に移動させ、クランプノブ40および押え部材19を支柱16から抜いて取り外す。次に支柱16を下端の突出部31、31を中心に後方側に回動させ、溝22の面上に倒す。支柱16は溝22の前方側端部から溝22の中央部にかけて延在する状態となる。支柱16の径は溝22の深さ寸法よりも小さく形成されているので、支柱16が載せ台13の上側面13aよりも上方に突出することはない。
次に、支柱16から取り外したクランプノブ40を溝22に形成された雌ねじ85に取付ける。このとき、図9(a)、(b)に示すように、押え部材19の向きを使用時とは前後方向を逆にする。つまり、クランプノブ40が接眼レンズ64L、64R側に位置するようにする。そしてクランプノブ40の雄ねじ46と溝22の雌ねじ85との位置を合わせ、クランプノブ40を回転操作して雄ねじ46と溝22の雌ねじ85とを螺合させる。クランプノブ40の雄ねじ46と溝22の雌ねじ85との螺合が進行するに伴って押え部材19は載せ台13の方に接近し、そして上側面13aに接触する。このとき、押え部材19の左右側と載せ台13の左右側とがそれぞれ前後方向に沿って揃うようにする。こうすることで、押え部材19は載せ台13の溝22の中央部を覆い、載せ台13の上側面13aから前後方向および左右方向にはみ出すことなく載せ台13に載置された状態となる。この状態から押え部材19と載せ台13とがずれないように、クランプノブ40を回転操作して適度に締め付ける。こうして押え部材19は載せ台13に載置された状態で固定される。また、溝22は押え部材19によって覆われるので、溝22の面上に沿って倒されている支柱16は、溝22から飛び出すことはない。
こうして保持装置1は、図9(b)に示すように、使用時の状態よりもコンパクトになり、携行、収納時に便利な形態となる。
このように、第1実施形態に係る双眼鏡保持装置1は軽量且つコンパクトであり、さらに携行あるいは収納にも便利なものとなっている。
なお、第1実施形態においては、図5に示すように、双眼鏡4を載せ台13に載置した状態において、押え部材19の後端部が双眼鏡4の連結部58の前端部と上下方向に重なっているが、押え部材19の前後方向の長さを短く形成して連結部58とは上下方向に重ならないようにしても良い。双眼鏡の機種によっては、眼幅の調整具合によって連結部58が左右の対物レンズ61L、61Rの上端を結ぶ線よりも上方側に突出する場合があるが、押え部材19の前後方向の長さを短くすれば押え部材19と連結部58とが上下方向に重ならないので、双眼鏡4は眼幅の調整具合に関わらず左右の鏡筒7L、7Rが挟持される。そうすると、双眼鏡4を挟持した際に眼幅が変わってしまうことを防ぐことができる。
(第2実施形態)
次に第2実施形態について説明する。
第2実施形態に係る保持装置101に載置される双眼鏡104の形状は、第1実施形態とは異なっている。
第2実施形態に係る保持装置101において保持される双眼鏡104は、図10に示すように、対物レンズ161L、161R側と接眼レンズ164L、164R側との2箇所において左の鏡筒107Lと右の鏡筒107Rとが連結されている。対物レンズ161L、161R側の連結部158aおよび接眼レンズ164L、164R側の連結部158bの構造は第1実施形態の連結部58と同様で、眼幅の調整ができるようになっている。左右の鏡筒107L、107Rと2箇所の連結部158a、158bによって、左右の鏡筒107L、107Rの間には前後方向に細長い中空部Sが形成されている。他の構成は第1実施形態で用いた双眼鏡4と同様である。
次に第2実施形態に係る保持装置について説明する。
図11は第2実施形態に係る双眼鏡保持装置101の一部を切り欠いて示す側面図であり、図12は上側から見た平面図である。図11においては紙面左側が対物レンズ161L、161R側で、紙面右側が接眼レンズ164L、164R側である。図12においては紙面左側が対物レンズ161L、161R側で、紙面右側が接眼レンズ164L、164R側であり、紙面手前側が上方向である。
第2実施形態に係る双眼鏡保持装置101は、双眼鏡104の左右の鏡筒107L、107Rを載置するための載せ台113と、載せ台113の中央部に設けられた支柱116と、載せ台113に載置された双眼鏡104の左右の鏡筒107L、107Rを載せ台113との間に挟持するための押え部材119とを備えている。
載せ台113は、図12に示すように、左右方向が長い方の辺となる略長方形の板状に形成されている。載せ台113の左右方向の幅は載置される双眼鏡104の左右の鏡筒107L、107Rの光軸LL、LR間距離と同程度の大きさである。また、載せ台113の前後方向の長さは、左右方向の長さよりも短く形成されている。載せ台113の上下方向の厚さは、図11に示すように、載せ台113の下側面113bを水平にした状態で、対物レンズ161L、161R側の方が薄く、接眼レンズ164L、164R側の方に向かうに従い厚くなるように形成されている。つまり左右の鏡筒107L、107Rが接触する載せ台113の上側面113aは斜面となっている。載せ台113の下側面113bには三脚等の架台を取付けるための雌ねじ128が設けられている。
支柱116は載せ台113の中央部に設けられている。第2実施形態においては、支柱116は載せ台113に対して直立した状態で固定してある。
支柱116の上方にはクランプノブ140が連結されている。クランプノブ140は、ノブ部140aと、ノブ部140aの下側面から下方に向かってノブ部140aと一体に形成された軸143とからなっている。軸143はクランプノブ140の回転軸である。クランプノブ140と支柱116との係合は第1実施形態と同様の構成になっている。すなわち、支柱116の上側に設けられた雌ねじ116aにクランプノブ140の雄ねじ146が上方からねじ込まれ、螺合している。クランプノブ140は、第1実施形態と同様に、回転させることで螺合の量を変化させ、支柱116に対して上下方向に移動が可能となっている。
クランプノブ140のノブ部140aと雄ねじ146との間の軸143には、上方から順に押え部材119と軸受け149とが設けられている。クランプノブ140は押え部材119の中央部に位置している。雄ねじ146は軸受け149の下側に形成されている。押え部材119は図11、12に示すように略長方形に形成され、長い方の辺の寸法は載せ台113の左右の幅とほぼ同じ大きさに形成されている。つまり載置される双眼鏡104の左右の光軸LL、LR間距離とほぼ同じ大きさに形成されている。そして長い方の辺の寸法は、左右の鏡筒107L、107Rと2つの連結部158a、158bによって形成される中空部Sの光軸LL、LR方向の長さよりも小さく形成されている。また押え部材119の短い方の辺の寸法は支柱116の径よりも少し大きく形成されている。そして短い方の辺の寸法は中空部Sの左右方向の長さよりも小さく形成されている。左右の鏡筒107L、107Rが接触する押え部材119の下側面119bには緩衝部材(図示省略)が貼付されている。
軸受け149は第1実施形態と同様にスラスト軸受けである。クランプノブ140の軸143は軸受け149の中心を貫通し、軸受け149は軸143と一体に設けられている。
押え部材119は第1実施形態と同様の構成でクランプノブ140へ取付けてある。したがって、押え部材119は、クランプノブ140に対して軸143方向には移動が規制されているが、軸143周りに回転自在となっている。図11、12において、破線は押え部材119が前後方向に沿った状態を示している。そして押え部材119は、軸143が貫通する貫通孔145を中心部として所定範囲で上下方向に傾動可能となっている。このような構成なので、クランプノブ140は押え部材119を上下方向に移動させるための操作手段となっており、クランプノブ140を回転させると、クランプノブ140の上下動に伴って押え部材119も上下動する。
次に、第2実施形態に係る保持装置101の使用方法について説明する。なお、双眼鏡104の眼幅の調整は済んでいるものとする。
図13は第2実施形態に係る保持装置101に双眼鏡104を取付けた状態を側面から見た断面図であり、図14は上側から見た平面図である。なお、図13においては紙面左側が対物レンズ161L、161R側で、紙面右側が接眼レンズ164L、164R側である。図14においては紙面左側が対物レンズ161L、161R側で、紙面右側が接眼レンズ164L、164R側であり、紙面手前側が上方向である。
まず、クランプノブ140を上昇させた状態、すなわち押え部材119を上昇させた状態で、押え部材119を回動させ、押え部材の長い方の辺を前後方向に沿って揃える。第2実施形態における双眼鏡104においては、上述したように、左右の鏡筒107L、107Rおよび2つの連結部158a、158bによって左右の鏡筒107L、107R間に中空部Sが形成されている。双眼鏡104を、中空部Sと保持装置104の押え部材119とが上下方向に重なるように保持装置101の上方に位置させる。その位置から双眼鏡104を下方に移動させると、図13および図14の破線で示したように、押え部材119は中空部Sを下から上へ通り抜ける。双眼鏡104をさらに下方に移動させ、左右の鏡筒107L、107Rが載せ台113に接触したら、長い方の辺が光軸LL、LRに沿った方向を向いている押え部材119を90°回転させ、長い方の辺を光軸LL、LRと直交する方向にする。そしてクランプノブ140を回転操作して押え部材119を下方に移動させる。上述したように、載せ台113は上側面113aが斜面形状になっているので左右の望遠光学系の光軸LL、LRが水平になるように載置することができる。そして押え部材119は、クランプノブ140が貫通している貫通孔145を中心に上下方向に傾動可能であるため、下降しつつ下側面119bが鏡筒107L、107Rの傾斜形状に沿って配置されてゆく。
こうして、載せ台113に載置された双眼鏡104は、左右の鏡筒107L、107Rの中央部付近が載せ台113と押え部材119とによって挟み込まれ、固定される。載せ台113の上側面113aには緩衝部材125が設けられ(図12参照)、また、押え部材119の下側面119bにも緩衝部材(図示省略)が設けられているので、双眼鏡104の鏡筒107L、107Rに傷がつくことを防止し、また滑りも防止するので安定してクランプすることができる。このとき、押え部材119と支柱116とは、正面から見て略T字形状となっている。また、載せ台113の上側面113aと押え部材119の下側面119bとは、左右の鏡筒107L、107Rの傾斜形状に沿って各鏡筒107L、107Rに接触しているので、非平行な状態で左右の鏡筒107L、107Rを挟持することとなる。
双眼鏡104を挟持した状態において、載せ台113および押え部材119の左右方向の端部は、図14に示すように、左右の光軸LL、LRからそれぞれ左右方向に少し張り出した位置にある。つまり双眼鏡104の左右方向の端部よりも内側に位置している。また、載せ台113の光軸LL、LR方向の端部は、前方側の端部は対物レンズ161L、161R側の連結部158aよりも後方に位置し、後方側の端部は接眼レンズ164L、164R側の連結部158bよりも前方に位置している。このように載せ台113の光軸LL、LR方向の長さは、双眼鏡104の光軸LL、LR方向の長さに比べてかなり短いものとなっている。また、押え部材119が双眼鏡104を挟持する部分の光軸LL、LR方向の長さは短いものとなっているが、この部分は双眼鏡104の重心位置に近い位置なので支持力は充分であり、双眼鏡104が不安定になることはない。このように第2実施形態においては、双眼鏡104の重心位置に近い位置で双眼鏡104を挟持するので、保持装置101はより小型化ができる。そして保持装置101に固定された双眼鏡104は、第1実施形態と同様に三脚等の架台に取付けられる。
このように、第2実施形態に係る双眼鏡保持装置101においても、前後方向の大きさおよび左右方向の大きさが、保持する双眼鏡104の前後方向および左右方向の大きさよりも小さく形成され、小型軽量となっている。
(第3実施形態)
次に第3実施形態について説明する。
図15(a)は第3実施形態に係る双眼鏡保持装置201に双眼鏡204を取付けた状態を示す平面図であり、(b)は側面図である。なお、図15(a)においては紙面左側が対物レンズ側で、紙面右側が接眼レンズ側であり、紙面手前側が上方向である。図15(b)においては紙面左側が対物レンズ側で、紙面右側が接眼レンズ側である。
第3実施形態に係る保持装置201は、第1実施形態に係る保持装置1とは押え部材219の形状と押え部材219を上下動させ、左右の鏡筒を挟持する機構が異なっている。第3実施形態において保持される双眼鏡204は、第1実施形態における双眼鏡4と同じタイプで、左右の鏡筒207L、207Rの中央部近傍の1箇所で鏡筒207Lと207Rとを連結している。
上述したように、第1実施形態(および第2実施形態)においては、押え部材19(119)の上下動をクランプノブ40(140)の雄ねじ46(146)と支柱16(116)の雌ねじ16a(116a)との螺合量を変えることによって行い、クランプノブ40(140)を支柱16(116)にねじ込むことで双眼鏡1(101)を挟持したが、第3実施形態においては、押え部材219の上下動および双眼鏡201の挟持をクリップ構造によって行っている。
図15(a)、(b)に示すように、支柱216は載せ台213の前方側端部近傍の中央部に設けられている。支柱216は可倒式となっている。また、図15(b)に示すように、支柱216が載せ台213に対して直立した状態において、支柱216の上端部には押え部材219が取付けられている。押え部材219は、前方側端部の中央部に、前方に向かって突出する突出部219aが形成されており、突出部219aが支柱216の上端部に取付けられている。また、支柱216が載せ台213に対して直立した状態において、押え部材219は図15(b)に示すように、後方側が載せ台213の方に近づく方向に傾斜して支柱216に取付けられている。また、載せ台213の上側面213aは第1実施形態と同様に斜面形状となっている。したがって載せ台213の上側面213aと押え部材219の下側面219bとは非平行になっている。
支柱216の下端部には第1実施形態と同様に左右方向に突出部231、231が形成されている。支柱216の下端部は載せ台213に形成された凹部213c内部に配置され、突出部231、231が凹部213c内部の壁に設けられた凹部(図示省略)に対して回動可能に係合している。したがって支柱216は下端部の突出部231、231を中心にして前後方向に回動可能となっている。支柱216に取付けられた押え部材219は支柱216と一体に回動する。支柱216の左側面および右側面の下方部には、1対のスプリング部材222、222の一方の端部が1対1に対応して取付けられている。スプリング部材222、222のもう一方の端部は、スプリング部材222、222を所定量伸ばした状態で、載せ台213の凹部213cよりも後方側の位置にそれぞれ取付けられている。したがって、支柱216はスプリング部材222、222の弾性力により、下端部の突出部231、231を中心にして後方側に倒れる方向に力が加わっている。双眼鏡204を載置していない状態においては、支柱216および押え部材219は押え部材219の後方側端部が載せ台213の上側面213aに接触している状態まで後方側に傾斜している。
次に第3実施形態に係る双眼鏡保持装置201の使用方法について説明する。なお、双眼鏡204の眼幅の調整は済んでいるものとする。
操作者はまず、双眼鏡204が載置されていない状態における、後方側に傾斜している支柱216および押え部材219を、スプリング部材222、222の弾性力に抗して前方側に回動させる。すると、押え部材219は載せ台213との間隔を広げて上昇しながら前方に回動する。支柱216が載せ台213に対して直立状態または直立状態よりも前方側に傾斜して押え部材219と載せ台213間の間隔が充分に開いたら、その状態で左右の鏡筒207L、207Rを載せ台213に載置する。このとき、正面から見て支柱216が左右の鏡筒207L、207R間に位置し、また、各鏡筒207L、207Rの対物レンズ側端部が支柱216近傍に位置するように載置する。
このように左右の鏡筒207L、207Rを載せ台213に載置したら、支柱216および押え部材219を静かに後方側に回動させる。後方側へはスプリング部材222、222の弾性力が働いているので、勢い良く戻らないように手で押えながら回動させ方が良い。押え部材219が回動しながら下降し、下側面219bが左右の鏡筒207L、207Rの上側面に接触したら、操作者は手を離す。この状態において、支柱216および押え部材219はスプリング部材222、222の弾性力により、後方側に倒れる方向に力が加わっている。したがって押え部材219は、接触している双眼鏡204の左右の鏡筒207L、207Rを上側から下側方向へ押し付ける。こうして左右の鏡筒207L、207Rは押え部材219と載せ台213とによって挟持される。このとき、押え部材219と支柱216とは、正面から見て略T字形状となっている。また、載せ台213の上側面213aと押え部材219の下側面219bとは、左右の鏡筒207L、207Rの傾斜形状に沿って各鏡筒207L、207Rに接触しているので、非平行な状態で左右の鏡筒207L、207Rを挟持することとなる。なお、図示は省略したが、第3実施形態においても載せ台213の上側面213aおよび押え部材219の下側面219bには、それぞれ緩衝部材が貼り付けてある。
第3実施形態においても、載せ台213および押え部材219の左右方向側の端部は図15(a)に示すように、左右の光軸LL、LRからそれぞれ左右方向に少し張り出した位置にある。つまり双眼鏡204の左右方向の端部よりも内側に位置している。また、載せ台213の前後方向の端部については、前方側の端部は双眼鏡204の対物レンズ側端部よりも前方に位置しているが、後方側の端部は双眼鏡204の中央部の少し後方側に位置している。つまり、載せ台213の前後方向の長さは、双眼鏡204の前後方向の長さに比べてかなり短いものとなっている。
このように、第3実施形態に係る双眼鏡保持装置201においても、前後方向の大きさおよび左右方向の大きさが、保持する双眼鏡204の前後方向および左右方向の大きさよりも小さく形成され、小型軽量となっている。
以上、第1実施形態から第3実施形態まで説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1実施形態において、支柱16を光軸LL、LR方向に回動させる機構を蝶番を用いた構成にしても良い。また、第2実施形態において、押え部材119は板状に形成されているが、断面形状を略球状にしても良い。また、支柱116を載せ台113に固定しているが、第1実施形態のように可倒式としても良い。このように本発明は適宜変更が可能である。