JP5297395B2 - 液滴径予測方法及び液滴径予測シミュレータ - Google Patents
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Description
この均質バルブ機構における乳化の効果としては、例えば、乳化処理路を通過することにより、乳化前エマルション中に含まれる分散相の液滴径がどれほど微細化(均質化)されて、乳化後エマルション中の分散相の液滴径となっているかを指標とすることができる。
しかしながら、例えば、特許文献1に記載の均質バルブ機構では、当該均質バルブ機構における乳化の効果について上記指標に基づいて検討する際には、乳化前エマルション中の分散相の液滴径と、乳化後エマルション中の分散相の液滴径とを実際に測定し、両者を比較する必要があった。従って、例えば、均質バルブ機構を構成するディスクバルブやバルブシートの形状を変更する場合などには、これら変更後の部材を実際に作成する必要があるとともに、さらに作成した部材を均質バルブ機構にその都度設置して乳化前エマルションを乳化処理路に通過させる必要があり、乳化の効果の検証には手間が非常に掛かるという問題があった。同様に、例えば、乳化前エマルションの種類が変わった場合にも、それぞれの乳化前エマルションを実際に乳化処理路に通過させる必要があり、非常に手間が掛かっていた。
前記隙間平行部を形成する前記対向壁面におけるせん断応力の代表値である壁面せん断応力の平均値τave、前記乳化処理路通過時の圧力損失から算出される前記隙間平行部における前記対向壁面間の有効間隔δ、前記乳化前エマルション中の分散相と連続相との界面の界面張力γ、前記乳化前エマルション中の分散相の液滴径dbeforeに基づいて、前記乳化後エマルション中の分散相の液滴径を、
液滴径dthe=(kγ/(τaveδ))1/m・dbefore(ただし、k,mは定数)として予測する点にある。
以下、本特徴構成による液滴径予測方法について説明する。
具体的には、乳化後エマルション中の分散相の液滴径を、
液滴径dthe=(kγ/(τaveδ))1/m・dbefore(ただし、k,mは定数)として予測する。
Weτ=τl/γ
Weτ=k(d0/d)m
として、それぞれ別個の式として示される。
次に、本願の発明者らは、代表長さlを乳化処理路における隙間平行部の有効間隔δとして、両式を下記式のように仮定した。このような仮定は、本願の発明者らが独自に考案したものである。
τδ/γ=k(dbefore/dthe)m
なお、乳化前エマルション中の分散相の液滴径dbefore、乳化後エマルション中の分散相の液滴径dthe(予測値)とした。
そして、本願の発明者らは、せん断応力τの代表値として壁面せん断応力の平均値τaveを採用することにより、乳化処理後の乳化後エマルションの分散相の液滴径は、
液滴径dthe=(kγ/(τaveδ))1/m・dbeforeと予測することができることを見出した。このように、せん断応力τの代表値として壁面せん断応力の平均値τaveを採用する点についても、本願の発明者らが独自に考案したものである。
また、当該式中には、乳化前エマルションの物性、及びバルブシートの形状等により決定される条件(界面張力γ、せん断応力の平均値τave)が含まれていることから、これら条件を加味して、より正確で現実に沿う状態で乳化後エマルション中の分散相の液滴径を液滴径dtheとして予測することが可能となる。特に、当該式中には、乳化前エマルションの物性である界面張力γが含まれており、複数種の乳化前エマルションのそれぞれに対応する界面張力γに比例する形態で、乳化後エマルション中の分散相の液滴径を液滴径dtheとして予測することが可能となる。
前記壁面せん断応力の平均値τaveを、τave=6μQ/(πδ2(y1+y2))として、
前記乳化後エマルション中の分散相の液滴径を、
液滴径dthe=(kπγδ・(y1+y2)/(6μQ))1/m・dbefore(ただし、k,mは定数)として予測する点にある。
前記隙間平行部を形成する前記対向壁面におけるせん断応力の代表値である壁面せん断応力の平均値τave、前記乳化処理路通過時の圧力損失から算出される前記隙間平行部における前記対向壁面間の有効間隔δ、前記乳化前エマルション中の分散相と連続相との界面の界面張力γ、前記乳化前エマルション中の分散相の液滴径dbeforeが前記制御部に入力され、
前記制御部が、前記壁面せん断応力の平均値τave、前記有効間隔δ、前記界面張力γ、前記乳化前エマルション中の分散相の液滴径dbeforeに基づいて、前記乳化後エマルション中の分散相の液滴径を、
液滴径dthe=(kγ/(τaveδ))1/m・dbefore(ただし、k,mは定数)として予測して出力する点にある。
また、当該式中には、乳化前エマルションの物性、及びバルブシートの形状等により決定される条件(界面張力γ、せん断応力の平均値τave)が含まれていることから、これら条件を加味して、より正確で現実に沿う状態で乳化後エマルション中の分散相の液滴径を液滴径dtheとして予測及び出力することが可能となる。特に、当該式中には、乳化前エマルションの物性である界面張力γが含まれており、複数種の乳化前エマルションのそれぞれに対応する界面張力γに比例する形態で、乳化後エマルション中の分散相の液滴径を液滴径dtheとして予測及び出力することが可能となる。
前記隙間平行部における流れを二次元軸対称のポアズイユ流れとするときの流速分布により算出される壁面せん断応力の平均値である、前記壁面せん断応力の平均値τave=6μQ/(πδ2(y1+y2))が前記制御部に入力され、
前記制御部が、前記乳化後エマルション中の分散相の液滴径を、
液滴径dthe=(kπγδ・(y1+y2)/(6μQ))1/m・dbefore(ただし、k,mは定数)として予測する点にある。
すなわち、当該壁面せん断応力の平均値τaveが、ディスクバルブやバルブシートの形状で決定される乳化処理路の隙間平行部の長さ(ディスクバルブの中心軸からの第1距離y1、第2距離y2)、乳化前エマルションの粘度μ、乳化処理路を通流する乳化前エマルションの流量Qの条件を含むように構成される。この壁面せん断応力の平均値τaveを採用することにより、乳化後エマルション中の液滴径をバルブシートの形状や乳化前エマルションの物性等に、より正確に対応する状態で、乳化後エマルション中の分散相の液滴径を液滴径dtheとして予測することが可能となる。特に、当該壁面せん断応力の平均値τaveには、隙間平行部の長さ(ディスクバルブの中心軸からの第1距離y1、第2距離y2)が含まれており、隙間平行部を形成する複数種のディスクバルブやバルブシートのそれぞれに対応する形態で、乳化後エマルション中の分散相の液滴径を液滴径dtheとして予測することが可能となる。
図1に示すように、乳化分散装置1は、被処理流体である乳化前エマルションBを受け入れる受入部2と、受入部2にて受け入れた乳化前エマルションBを一定圧力に昇圧するプランジャーポンプ機構3と、プランジャーポンプ機構3にて昇圧されて導入される乳化前エマルションBを微細化及び均質化する均質バルブ機構4と、均質バルブ機構4にて均質化された乳化後エマルションAを送出する送出部5とが設けられている。また、乳化分散装置1は、運転を制御する制御部6を備えて構成されており、この制御部6が本願に係る液滴径予測シミュレータ50としての機能を実現するように構成されている。なお、制御部6と液滴径予測シミュレータ50とを別々の構成とすることも当然可能である。さらに、乳化分散装置1は、均質バルブ機構4に導入される前の乳化前エマルションBの圧力及び均質バルブ機構4から送出された後の乳化後エマルションAの圧力を検出可能な圧力検出部7と、均質バルブ機構4における流量を検出可能な流量検出部8とを備える。
従って、乳化分散装置1は、受入部2から導入されプランジャーポンプ機構3により高圧とされた乳化前エマルションBを均質バルブ機構4に通過させ、乳化されて微細化及び均質化された乳化後エマルションAとすることができるように構成されている。なお、液滴径予測シミュレータ50の構成及び機能については後述する。
バルブシート9は、中心部に開口部9aを備えた円筒状の部材であり、プランジャーポンプ機構3に接続される導入路形成部材12の先端に装着され、ディスクバルブ10と対向するように設けられている。また、バルブシート9は、導入路形成部材12の軸方向端面12aに当接された状態で位置決めされ、導入路形成部材12とは反対側でありディスクバルブ10と対向する表面を乳化処理路形成面9bとしている。なお、導入路形成部材12は、円筒状に形成され、その内側には乳化前エマルションBを通流可能な導入路12bが形成されている。
図3に示すように、乳化処理路14は、バルブシート9とディスクバルブ10との対向壁面間である乳化処理路形成面9bと乳化処理路形成面10aとの間に形成され、バルブシート9やディスクバルブ10の径方向に放射状に形成された概略円板状の流路として形成されている。なお、以下では、図3に示すように、ディスクバルブ10の中心軸をX軸(軸方向)とし、これに直交し、X軸方向において乳化処理路14の幅の中間(有効間隔δの半分)に位置する軸をY軸(径方向)として説明する。
なお、図3では、隙間入口部14aは、X軸(y=0)からの距離y0の位置から第1距離y1の位置にまで形成され(y0≦y≦y1)、隙間平行部14bは、X軸(y=0)からの第1距離y1の位置から第2距離y2の位置にまで形成されている(y1≦y≦y2)。従って、距離y0の位置は隙間入口部14a(及び乳化処理路14)の入口を示し、第1距離y1の位置は隙間平行部14bの入口を示し、第2距離y2の位置は隙間平行部14b(及び乳化処理路14)の出口をそれぞれ示している。また、第1距離y1の位置から第2距離y2の位置までの距離を距離Lで示している。
h=(y1−y)tanθ+δとなる。・・(1)式
また、隙間平行部14b(y1≦y≦y2)においては、h=δとなる。・・(2)式
なお、有効間隔δは、X軸方向における、バルブシート9の乳化処理路形成面9bにおける隙間平行面9b1と、ディスクバルブ10の乳化処理路形成面10aとの間隔である(y1≦y≦y2)。
本願の乳化分散装置1においては、制御部6が、乳化された乳化後エマルションA中の分散相の液滴径を液滴径dtheとして予測する液滴径予測方法を実行する液滴径予測シミュレータ50として機能する。以下、本願の液滴径予測シミュレータ50により、乳化された乳化後エマルションA中の分散相の液滴径を液滴径dtheとして予測可能な点について説明する。
乳化処理路14における間隔hは、上記(1)、(2)式に示すように、隙間入口部14a(y0≦y≦y1)においては、h=(y1−y)tanθ+δとなり、隙間平行部14b(y1≦y≦y2)においては、h=δとなる。従って、乳化処理路14の間隔hにおける(y0≦y≦y2)、平均流速vは連続の式より、v=Q/(2πyh)となる。・・・(3)式
従って、隙間平行部14bの有効間隔δにおける平均流速vδは、
vδ=Q/(2πyδ)となる。・・・(4)式
Re=vδ・2δ/(μ/ρ)=ρQ/(πyμ)となる。・・・(5)式
なお、隙間平行部14bでのレイノルズ数Reは、流量QとY軸方向の距離yに依存し、有効間隔δには依存しない。
ΔP=P0−P2
=(ζρ/2)・(Q/(2πy1δ))2+(6μQ/(πδ3))・ln(y2/y1)+(ρ/2)・(Q/(2πy2δ))2となる(ここで、ζは、隙間平行部14bへ流入する際の入口損失係数である)。・・(6)式
この(6)式の右辺第一項は隙間平行部14bの入口における入口損失を、第二項は隙間平行部14bにおける摩擦損失を表し、第三項は隙間平行部14bの出口における出口損失を表している。
vgap=(3Q/(4πyδ))・(1−(2x/δ)2)として求める。・・(7)式
τw=−μ(∂vgap/∂x)x=δ/2=3μQ/(πyδ2)として求める。・・(8)式
従って、せん断応力τwは、Y軸方向の距離yに反比例し、有効間隔δの二乗に反比例する。
Fs=∫τw2πydy=(6μQ/δ2)・(y2−y1)とする。・・(9)式
さらに、隙間平行部14bにおける壁面でのせん断応力の平均値τaveを、
τave=Fs/(π(y2 2−y1 2))=6μQ/(πδ2(y1+y2))とする。・・(10)式
Weτ=τl/γ ・・(11)式
Weτ=k(d0/d)m・・(12)式
で示される。
これら(11)式と(12)式とを(13)式のように仮定し、代表長さlとして乳化処理路14における隙間平行部14bの有効間隔δを採用し、乳化前エマルションBの分散相の液滴径をdbeforeとして、乳化後エマルションAの分散相の液滴径をdtheとすると、
τδ/γ=k(dbefore/dthe)mとなる。・・(13)式
液滴径dthe=(kγ/(τδ))1/m・dbeforeとなる。・・(14)式
(14)式において、せん断応力τとして隙間平行部14bに作用するτaveを採用すると、乳化後エマルションAの分散相の液滴径は、
液滴径dthe=(kπγδ(y1+y2)/(6μQ))1/m・dbefore(ただし、k,mは定数)となる。・・(15)式
実際に、本願に係る液滴径予測シミュレータ50により液滴径予測方法を実行して、2種類の乳化前エマルションB1、B2について、均質バルブ機構4の乳化処理路14を通過させて乳化処理したとした場合における、乳化後エマルションA1、A2中の分散相の液滴径を液滴径dtheとして予測した結果を示す。
乳化前エマルションB2は、流動パラフィンの予備乳化液(20℃)で、密度ρは982kg/m3、粘度μは1.5mPa・s、界面張力γは4.4mN/m、液滴径dbeforeである体積基準の液滴径分布のメジアン径は約15.4μmであり、水89質量%、流動パラフィン10質量%、乳化剤1質量%の混合液である。この場合、連続相が水で、分散相が流動パラフィンである。
なお、乳化前エマルションB1、B2であるシリコーンオイルの予備乳化液(乳化処理前液)、流動パラフィンの予備乳化液(乳化処理前液)は、ホモミキサー(T.K.ROBOMICS,PRIMIX製)を使用して作製した。
また、均質バルブ機構4におけるバルブシート9の形状を変化させ、隙間平行部14bの長さLを変化させているが、この場合でも、その変化に正確に対応した状態で、それぞれ乳化処理後の分散相のメジアン径を、実験により測定したメジアン径dにほぼ一致するメジアン径dtheとして、正確に予測できていることが判る。
さらに、異なる種類の乳化前エマルションB1、B2を用いているが、この場合でも、その変化に正確に対応した状態で両者とも、乳化処理後の分散相のメジアン径を、実験により測定したメジアン径dにほぼ一致するメジアン径dtheとして、正確に予測できていることが判る。
(1)上記実施形態では、上記(6)式に、隙間入口部14aの上流側(0≦y<y0)の圧力P0と隙間平行部14bの出口の圧力P2との圧力差ΔP等の条件を代入して、液滴径dtheを予測する度ごとに有効間隔δを計算したが、当該条件を(6)式に代入した複数の結果を予め計算して、図4に示す圧力差ΔPと有効間隔δとの関係を液滴径予測シミュレータ50内に記憶しておき、これを用いて、圧力差ΔPから有効間隔δを計算する構成としても良い。ここで、図4は、上記均質バルブ機構4におけるシャープ形状のバルブシート9及びディスクバルブ10を用い、流量Qが70l/h、所定圧力(10,20,40,60,80MPa)で乳化処理したとした場合の圧力差ΔPと有効間隔δとの関係である。
図6は、液滴径予測シミュレータ50が予測した乳化後エマルションA1、A2の分散相の液滴径分布の体面積平均径(液滴径)dtheと、実際に実験により測定した乳化後エマルションA1、A2の分散相の液滴径分布の体面積平均径(液滴径)dとの関係を示す。図6中、黒塗りが乳化前エマルションB1(シリコーンオイルの予備乳化液)を乳化した乳化後エマルションA1、白抜きが乳化前エマルションB2(流動パラフィンの予備乳化液)を乳化した乳化後エマルションA2の結果である。両体面積平均径d及びdtheが完全に一致する場合を、d=dtheの直線として示している。
図6に示すように、液滴径分布の代表値としてのメジアン径の替わりに体面積平均径を用いた場合であっても、上記メジアン径の場合と同様に、隙間平行部14bの壁面せん断応力の平均値τaveから乳化処理後の分散相の体面積平均径を、実験により測定した体面積平均径dにほぼ一致する体面積平均径dtheとして、正確に予測できていることが判る。
また、均質バルブ機構4におけるバルブシート9の形状を変化させ、隙間平行部14bの長さLを変化させているが、この場合でも、その変化に正確に対応した状態で、それぞれ乳化処理後の分散相の体面積平均径を、実験により測定した体面積平均径dにほぼ一致する体面積平均径dtheとして、正確に予測できていることが判る。
さらに、異なる種類の乳化前エマルションB1、B2を用いているが、この場合でも、その変化に正確に対応した状態で両者とも、乳化処理後の分散相の体面積平均径を、実験により測定した体面積平均径dにほぼ一致する体面積平均径dtheとして、正確に予測できていることが判る。
基本的には、上記実施例で示した条件と同様の条件で2種類の乳化前エマルションB1、B2について、均質バルブ機構4の乳化処理路14を通過させて乳化処理したとした場合における乳化後エマルションA1、A2中の分散相の液滴径を液滴径dtheとして、上記(1)式から(15)式を用いて予測した。なお、隙間平行部14bの隙間平行面29bの長さLは、L=5.5mmとし、角度θが0度又は90度であるので、入口損失係数ζを、ζ=0.5とした。
図8に示すように、液滴径予測シミュレータ50が予測したメジアン径dtheと、実際に実験により測定したメジアン径dとは、ほぼ同じ値となっており、上記実施例と同様に、本願の液滴径予測方法を用いた液滴径予測シミュレータ50により、フラット形状のバルブシート29とディスクバルブ10を備えた均質バルブ機構4の乳化処理路14において乳化された乳化後エマルションA中の分散相の液滴径を液滴径dtheとして、バルブシート29やディスクバルブ10の形状、乳化前エマルションBの特性の影響を加味して、より正確で現実に沿う状態で予測することが可能となることが実証された。
同様に、図9に示すように、液滴径予測シミュレータ50が予測した体面積平均径dtheと、実際に実験により測定した体面積平均径dとは、ほぼ同じ値となっており、上記と同様に、乳化後エマルションA中の分散相の液滴径を液滴径dtheとして、フラット形状のバルブシート29やディスクバルブ10の形状、乳化前エマルションBの特性の影響を加味して、より正確で現実に沿う状態で予測することが可能となることが実証された。
すなわち、隙間入口部14aの上流側(0≦y<y0)の圧力P0と隙間平行部14bの出口の圧力P2との圧力差ΔP´を、
ΔP´=P0−P2
=(ζρ/2)・(Q/(2πy1δ))2+((0.02687・ρ3/4・μ1/4)/δ3)・(Q/π)7/4・((1/y1 3/4)−(1/y2 3/4))+(ρ/2)・(Q/(2πy2δ))2とする(ここで、ζは、隙間平行部14bへ流入する際の入口損失係数である)。・・(6)´式
すなわち、隙間平行部14bでの流れを円管内の乱流速度分布の1/7乗則に従うとするときの主流速度vgap´(Y軸方向の速度)は、
vgap´=(4Q/(7πyδ))として求める。・・(7)´式
なお、この(7)´式は、境界層厚さをδ/2として、円管内の乱流速度分布の1/7乗則及び管摩擦の式が隙間平行部14bの流れに適用できると仮定した場合に、壁面(x´=0)から隙間平行部14bの中央(x´=δ/2)間での速度分布uを、u/vgap´=(x´/(δ/2))1/7として求め、次に、隙間平行部14bの流量をQとして、Q=2∫u・2πydx´との関係から求められる。なお、x´=0の軸は隙間平行部14bにおける対向壁面に設定されている点で、上記実施形態におけるx=0の位置(対向壁面から±δ/2の位置)とは異なる軸に設定されている。
すなわち、隙間平行部14bにおけるせん断応力τw´を、
τw´=((0.0225・21/4・ρ3/4・μ1/4)/δ2)・(4Q/(7πy))7/4として求める。・・(8)´式
なお、この(8)´式は、動粘度ν(ν=μ/ρ)として、τw´=(0.0225・ρvgap´7/4)・(ν/(δ/2))1/4、及び上記(7)´式に基づいて求められる。
すなわち、隙間平行部14bの壁面で受けるせん断力を求めるために、隙間平行部14bの入口y1から出口y2までのせん断応力τw´を積分し、壁面でのせん断力Fs´を、
Fs´=∫τw´2πydy=((0.2141・ρ3/4・μ1/4)/(δ2・π3/4))・(4Q/7)7/4・(y2 1/4−y1 1/4)とする。・・(9)´式
そして、上記(10)式に替えて、下記(10)´式を採用し、隙間平行部14bにおける壁面でのせん断応力の平均値τave´を、
τave´=Fs´/(π(y2 2−y1 2))とする。・・(10)´式
液滴径dthe=(kγ/(τave´δ))1/m・dbefore(ただし、k,mは定数)として予測することができる。・・(15)´式
すなわち、隙間入口部14aの上流側(0≦y<y0)の圧力P0と隙間平行部14bの出口の圧力P2との圧力差ΔP´´を、
ΔP´´=P0−P2
=(ζρ/2)・(Q/(2πy1δ))2+((5・ρ2/5・μ3/5)/δ3)・(Q/(2π))7/5・((1/y1 2/5)−(1/y2 2/5))+(ρ/2)・(Q/(2πy2δ))2とすることもできる(ここで、ζは、隙間平行部14bへ流入する際の入口損失係数である)。・・(6)´´式
この(6)´´式に基づいて有効間隔δを算出し、レイノルズReが層流状態或いは乱流状態の何れに近いかを参考にすることにより、層流の場合の(7)式から(15)式を用いるか若しくは乱流の場合の(7)´式から(15)´式を用いるかを決定したり、又は、層流の場合の式と乱流の場合の式との両方の式群を用い、それら両式群に重みをつけた状態で、乳化後エマルションAの分散相の液滴径を液滴径dtheとして予測することもできる。
まず、隙間平行部14bの流れが層流の場合と乱流の場合のそれぞれについて、隙間平行部14bの入口(第1距離y1)と出口(第2距離y2)とにおけるそれぞれのせん断応力τin、τoutを求める。
層流の場合には、上記(8)式により、
τin=3μQ/(πy1δ2)
τout=3μQ/(πy2δ2)となる。
乱流の場合には、上記(8)´式により、
τin´=((0.0225・21/4・ρ3/4・μ1/4)/δ2)・(4Q/(7πy1))7/4
τout´=((0.0225・21/4・ρ3/4・μ1/4)/δ2)・(4Q/(7πy2))7/4となる。
τave=(Cin・τin+Cout・τout)/(Cin+Cout)を採用することができる。入口のせん断応力τinは最大のせん断応力となるので、Cin>Cout>0とする方がよい予測となると考えられる。なお、乱流の場合には、τin及びτoutに替えて、τin´及びτout´を代入する。
τave=(τin+τout)/2を採用することができる。なお、乱流の場合には、τin及びτoutに替えて、τin´及びτout´を代入する。
τave=(τin・τout)1/2を採用することができる。なお、乱流の場合には、τin及びτoutに替えて、τin´及びτout´を代入する。
τave=((τin 2+τout 2)/2)1/2を採用することができる。なお、乱流の場合には、τin及びτoutに替えて、τin´及びτout´を代入する。
τave=2/((1/τin)+(1/τout))
=(2τin・τout)/(τin+τout)を採用することができる。なお、乱流の場合には、τin及びτoutに替えて、τin´及びτout´を代入する。
この場合、まず、隙間平行部14bのせん断応力分布は、
τ=−μ(∂vgap/∂x)=(6μQ/(πyδ3))xとなる。ここで、隙間平行部14bの流速分布は放物線速度分布であり、隙間平行部14bの流れ方向(Y軸)について対称であるため、せん断応力τを隙間平行部14bの幅方向(X軸方向)で0から(δ/2)まで積分し、さらに(δ/2)で割ることにより、当該せん断応力τを幅方向で平均化する。この幅方向平均のせん断応力τhは、
τh=∫τdx/(δ/2)=3μQ/(2πyδ2)となる。
(vi−1)
この幅方向平均のせん断応力τhからせん断力Fsを求めて、平均せん断応力τaveを求める。
この幅方向平均のせん断応力τhを、隙間平行部14bの入口y1から出口y2まで積分し、せん断力Fsを、
Fs=∫τh2πydy=(3μQ/δ2)・(y2−y1)とすると、
平均せん断応力である平均値τaveは、
τave=Fs/(π(y2 2−y1 2))=3μQ/(πδ2(y1+y2))となり、この平均値τaveを採用することができる。
(vi−2)
上記幅方向平均のせん断応力τhから平均のせん断応力τin、τoutを求めて、上記(i)〜(v)のそれぞれの方法で平均せん断応力τaveを求めたものを採用することもできる。
すなわち、τin=3μQ/(2πy1δ2)、τout=3μQ/(2πy2δ2)の2式から、平均のせん断応力τin、τoutを求め、それを(i)〜(v)のそれぞれの方法へ適用することもできる。
隙間平行部14bでの流れが層流の場合には、上記(8)式により、
τw=3μQ/(πyδ2)とし、
せん断応力τwを隙間平行部14bの入口y1から出口y2まで積分して、さらに(y2−y1)で割ることにより得られる壁面での平均せん断応力τave、
τave=∫τwdy/(y2−y1)=(3μQ/(πδ2(y2−y1)))・ln(y2/y1)を採用することができる。
一方で、隙間平行部14bでの流れが乱流の場合には、上記(8)´式により、
τw´=((0.0225・21/4・ρ3/4・μ1/4)/δ2)・(4Q/(7πy))7/4とし、動粘度ν(ν=μ/ρ)として、せん断応力τw´を隙間平行部14bの入口y1から出口y2まで積分して、さらに(y2−y1)で割ることにより得られる壁面での平均せん断応力τave、
τave=∫τwdy/(y2−y1)=((0.02676・ρ3/4・μ1/4)/(δ2・π7/4))・(4Q/7)7/4・((4(y1 −3/4−y2 −3/4))/(3(y2−y1)))
この場合には、本願に係る液滴径予測方法において、第1の均質バルブ機構により乳化されたエマルションにおける分散相の液滴径、及び第2の均質バルブ機構により乳化されたエマルションにおける分散相の液滴径を予測することが可能である。すなわち、第1の均質バルブ機構による乳化処理前後で液滴径予測方法を用い、続いて、予測された分散相の液滴径等の情報を用い、第2の均質バルブ機構による乳化処理前後で液滴径予測方法を用いて、第1及び第2の均質バルブ機構を通過した後のエマルションにおける分散相の液滴径を予測することが可能である。
4 均質バルブ機構
6 制御部
9 バルブシート
9b 乳化処理路形成面(バルブシート側の対向壁面)
9b1 隙間平行面
9b2 傾斜面
10 ディスクバルブ
10a 乳化処理路形成面(ディスクバルブ側の対向壁面)
14 乳化処理路
14a 隙間入口部
14b 隙間平行部
50 液滴径予測シミュレータ(制御部)
y1 第1距離の位置
y2 第2距離の位置
X ディスクバルブの中心軸(軸方向)
Y 径方向
B 乳化前エマルション
A 乳化後エマルション
dbefore 乳化前エマルション中の分散相の液滴径
dthe 乳化後エマルション中の分散相の液滴径
τave 壁面せん断応力の平均値
δ 有効間隔
γ 界面張力
k 定数
m 定数
μ 粘度
Q 流量
Claims (6)
- ディスクバルブと、前記ディスクバルブに対向して設けられるバルブシートとを備えて構成されるとともに、前記ディスクバルブと前記バルブシートとの対向壁面間に径方向に放射状に延びる乳化処理路が形成され、前記乳化処理路には前記対向壁面同士が平行な隙間平行部が前記ディスクバルブの中心軸に対して径方向に第1距離の位置から第2距離の位置にまで形成される均質バルブ機構において、前記均質バルブ機構の前記乳化処理路に、分散相と連続相とを含む乳化前エマルションを通過させ、乳化された乳化後エマルション中の分散相の液滴径を予測する液滴径予測方法であって、
前記隙間平行部を形成する前記対向壁面におけるせん断応力の代表値である壁面せん断応力の平均値τave、前記乳化処理路通過時の圧力損失から算出される前記隙間平行部における前記対向壁面間の有効間隔δ、前記乳化前エマルション中の分散相と連続相との界面の界面張力γ、前記乳化前エマルション中の分散相の液滴径dbeforeに基づいて、前記乳化後エマルション中の分散相の液滴径を、
液滴径dthe=(kγ/(τaveδ))1/m・dbefore(ただし、k,mは定数)として予測する液滴径予測方法。 - 前記隙間平行部における流れが層流である場合には、前記壁面せん断応力の平均値τaveが、前記隙間平行部における流れを二次元軸対称のポアズイユ流れとするときの流速分布により算出される壁面せん断応力の平均値であり、前記隙間平行部における流れが乱流である場合には、前記壁面せん断応力の平均値τaveが、前記隙間平行部における流れを円管内の乱流速度分布の1/7乗則に従うとするときの流速分布により算出される壁面せん断応力の平均値である請求項1に記載の液滴径予測方法。
- 前記隙間平行部における流れが層流である場合には、前記隙間平行部が形成される前記第1距離を第1距離y1、前記第2距離を第2距離y2とするとともに、前記乳化前エマルションの粘度を粘度μ、前記乳化処理路を通流する前記乳化前エマルションの流量を流量Qとし、
前記壁面せん断応力の平均値τaveを、τave=6μQ/(πδ2(y1+y2))として、
前記乳化後エマルション中の分散相の液滴径を、
液滴径dthe=(kπγδ・(y1+y2)/(6μQ))1/m・dbefore(ただし、k,mは定数)として予測する請求項2に記載の液滴径予測方法。 - 前記乳化処理路における前記バルブシート側の前記対向壁面が、前記隙間平行部の上流側において、前記径方向に対して前記ディスクバルブ側とは反対側に傾斜する傾斜面を備える請求項1から3の何れか一項に記載の液滴径予測方法。
- ディスクバルブと、前記ディスクバルブに対向して設けられるバルブシートとを備えて構成されるとともに、前記ディスクバルブと前記バルブシートとの対向壁面間に径方向に放射状に延びる乳化処理路が形成され、前記乳化処理路には前記対向壁面同士が平行な隙間平行部が前記ディスクバルブの中心軸に対して径方向に第1距離の位置から第2距離の位置にまで形成される均質バルブ機構において、前記均質バルブ機構の前記乳化処理路に、分散相と連続相とを含む乳化前エマルションを通過させ、乳化された乳化後エマルション中の分散相の液滴径を予測する液滴径予測方法を実行する制御部を備えた液滴径予測シミュレータであって、
前記隙間平行部を形成する前記対向壁面におけるせん断応力の代表値である壁面せん断応力の平均値τave、前記乳化処理路通過時の圧力損失から算出される前記隙間平行部における前記対向壁面間の有効間隔δ、前記乳化前エマルション中の分散相と連続相との界面の界面張力γ、前記乳化前エマルション中の分散相の液滴径dbeforeが前記制御部に入力され、
前記制御部が、前記壁面せん断応力の平均値τave、前記有効間隔δ、前記界面張力γ、前記乳化前エマルション中の分散相の液滴径dbeforeに基づいて、前記乳化後エマルション中の分散相の液滴径を、
液滴径dthe=(kγ/(τaveδ))1/m・dbefore(ただし、k,mは定数)として予測して出力する液滴径予測シミュレータ。 - 前記隙間平行部における流れが層流である場合には、前記隙間平行部が形成される前記第1距離を第1距離y1、前記第2距離を第2距離y2とするとともに、前記乳化前エマルションの粘度を粘度μ、前記乳化処理路を通流する前記乳化前エマルションの流量を流量Qとし、
前記隙間平行部における流れを二次元軸対称のポアズイユ流れとするときの流速分布により算出される壁面せん断応力の平均値である、前記壁面せん断応力の平均値τave=6μQ/(πδ2(y1+y2))が前記制御部に入力され、
前記制御部が、前記乳化後エマルション中の分散相の液滴径を、
液滴径dthe=(kπγδ・(y1+y2)/(6μQ))1/m・dbefore(ただし、k,mは定数)として予測する請求項5に記載の液滴径予測シミュレータ。
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