実施の形態1.
図1に、実施の形態1に係るOFDM受信装置10を例示するブロック図を示す。受信装置10は、OFDM信号を有線または無線の方式で受信可能な装置であり、例えばデジタル放送受信装置、無線LAN受信装置等を構成可能である。
例示の受信装置10は、アナログ処理部11と、A/D変換部12と、直交復調部13と、有効シンボル抽出部14と、FFT部15と、P/S変換部16と、OFDMシンボル識別部17とを含んでいる。なお、図面では各種要素の表記を適宜、略記している。
アナログ処理部11は、アナログのOFDM信号を取得し、当該信号に所定のアナログ処理を施して出力する。所定のアナログ処理として、例えば、増幅器によるゲイン調整、ミキサーによる周波数変換、バンドパスフィルタによる帯域制限等が挙げられる。
A/D変換部12は、アナログ処理部11からの出力信号を取得し、当該信号に対してアナログ/デジタル変換を行って出力する。
直交復調部13は、A/D変換部12からの出力信号を取得し、当該信号を複素ベースバンド信号S13に変換して出力する。
有効シンボル抽出部14は、直交復調部13からの出力信号S13を取得し、当該信号からOFDMシンボルごとにガードインターバルを除去する。これにより、取得した信号S13からOFDMシンボルの有効シンボルが抽出される。抽出された有効シンボルで構成される信号が有効シンボル抽出部14から出力される。
FFT部15は、有効シンボル抽出部14からの出力信号を取得し、当該信号に対して高速離散フーリエ変換を行う。これにより各サブキャリアに対応したパラレルデータが得られ、FFT部15から出力される。
P/S変換部16は、FFT部15からの出力信号、すなわちパラレルデータを取得し、シリアルデータに変換する。これにより複素シンボルデータが得られ、P/S変換部16から出力される。なお、P/S変換部16から出力された信号、すなわち複素シンボルデータは、例えば不図示の構成によって再生処理等に供される。
OFDMシンボル識別部17は、直交復調部13からの出力信号(複素ベースバンド信号)S13を取得し、当該信号S13のOFDMシンボルを識別、換言すれば同定する。より具体的には、有効シンボル長およびガードインターバル長を識別する。識別結果S17、すなわち同定された有効シンボル長およびガードインターバル長は、有効シンボル抽出部14と、FFT部15と、P/S変換部16へ出力される。
有効シンボル抽出部14では、シンボル識別結果S17は、例えば、抽出すべき有効シンボル部分を決定するために、換言すれば除去すべきガードインターバル部分を決定するために利用される。また、FFT部15では、例えばFFTサイズを設定するために、シンボル識別結果S17が利用される。また、P/S変換部16では、例えば、シンボル識別結果S17に基づいてP/S変換処理の所望の設定がなされる。
このように、シンボル識別部17が設けられていることにより、上記各部14,15,16はOFDM信号の特性に応じた適切な動作を実行することができる。つまり、受信装置10は複数種類のOFDM信号に対処可能である。
以下に、OFDMシンボル識別部17の具体例を説明する。図2に、シンボル識別部17を例示するブロック図を示す。
例示のシンボル識別部17は、遅延部50と、相関算出部70と、ピーク位置検出部90と、ピーク位置評価部110と、識別部130とを含んでいる。
遅延部50は、直交復調部13から出力される複素ベースバンド信号S13を識別対象信号として取得し、当該信号S13を所定の遅延時間だけ遅延させた遅延信号を生成して出力する。遅延時間は、識別対象信号S13に採用されている可能性のある有効シンボル長と同じ時間長さに設定される。
ここでは、有効シンボル長として可能性のある値(候補値)がA,B,C(A<B<Cとする)の3種類の場合を例示する。なお、時間長さAを有する有効シンボル長等に参照符号Aを用いることにし、他についても同様とする。この例の場合、3種類の時間長さA,B,Cで以て3種類の遅延信号S50A,S50B,S50C(図3参照)が生成される。
より具体的には、遅延部50は、識別対象信号S13を有効シンボル長Aだけ遅延させた遅延信号S50Aと、信号S13を有効シンボル長Bだけ遅延させた遅延信号S50Bと、信号S13を有効シンボル長Cだけ遅延させた遅延信号S50Cとを生成する。
図3に遅延部50の構成例を示す。図3の例では、遅延部50は直列接続された4つの遅延処理部51〜54を含んでおり、第1段目の遅延処理部51に入力された信号S13が遅延処理部51〜54において順次、累積的に遅延される。図3の例では、第1段目、第2段目および第4段目の遅延処理部51,52,54の出力信号が、遅延信号S50A,S50B,S50Cにそれぞれ対応する。
この場合、遅延処理部51の遅延時間が有効シンボル長Aに設定され、遅延処理部51,52の遅延時間の合計が有効シンボル長Bに設定され、遅延処理部51〜54の遅延時間の合計が有効シンボル長Cに設定されている。
図4に遅延部50の他の構成例を示す。図4の例では、遅延部50は並列に設けられた3つの遅延処理部55A,55B,55Cを含んでおり、遅延部55A,55B,55Cのそれぞれに識別対象信号S13が入力される。遅延処理部55A,55B,55Cの遅延時間は有効シンボル長A,B,Cにそれぞれ設定されており、これにより遅延処理部55A,55B,55Cから遅延信号S50A,S50B,S50Cがそれぞれ出力される。
図3および図4の構成の場合、遅延信号50A,50B,50Cは並列的に、換言すれば同時に、遅延部50から出力される。
相関算出部70(図2参照)は、識別対象信号S13および遅延信号S50A,S50B,S50Cを取得し、識別対象信号S13と各遅延信号S50A,S50B,S50Cとの相関を算出し、算出結果を出力する。
図5に相関算出部70の構成例を示す。図5に例示の相関算出部70は、複素共役乗算部71と、移動平均算出部75とを含んでいる。
複素共役乗算部71は、識別対象信号である複素ベースバンド信号S13と、遅延信号S50A,S50B,S50Cとを取得し、識別対象信号S13と各遅延信号S50A,S50B,S50Cとの複素共役乗算を行って出力する。
図5の例では、複素共役乗算部71は、複素ベースバンド信号S13と遅延信号S50Aとの複素共役乗算を行う複素共役乗算処理部72Aと、信号S13,S50Bの複素共役乗算を行う複素共役乗算処理部72Bと、信号S13,S50Cの複素共役乗算を行う複素共役乗算処理部72Cとを有している。複素共役乗算処理部72A,72B,72Cは、乗算結果S71A,S71B,S71Cをそれぞれ出力する。図5の構成の場合、複素共役乗算は並列的に行われ、その演算結果S71A,S71B,S71Cは複素共役乗算部71から並列的に出力される。
なお、複素共役乗算は、複素ベースバンド信号S13と、各遅延信号S50A,S50B,S50Cの共役複素数とを乗算してもよいし、逆に、複素ベースバンド信号S13の共役複素数と、各遅延信号S50A,S50B,S50Cとを乗算してもよい。
移動平均算出部75は、複素共役乗算結果信号S71A,S71B,S71Cを取得し、各信号S71A,S71B,S71Cの移動平均を算出し、算出結果を出力する。移動平均の算出対象期間、換言すれば算出用窓は、識別対象信号S13に採用されている可能性のあるガードインターバル長と同じ時間長さに設定される。
ここで、一般に、ガードインターバルは、有効シンボルの後部のコピーから成り、当該有効シンボルの先頭に付加される。なお、有効シンボル長に対するコピー部分の長さの比率、すなわち有効シンボル長に対するガードインターバル長の比率は、ガードインターバル比と呼ばれる場合がある。ガードインターバル比は、予め規定されており、ここではk,l,m,n(0<k,l,m,n<1)の4種類を例示する。
かかる例の場合、有効シンボル長Aに対するガードインターバル長は、A×k,A×l,A×m,A×nの4種類の値が候補となる。同様に、有効シンボル長Bに対してはB×k,B×l,B×m,B×nがガードインターバル長の候補値となり、有効シンボル長Cに対してはC×k,C×l,C×m,C×nがガードインターバル長の候補値となる。なお、時間長さA×kを有するガードインターバル長等に参照符号Akを用いることにし、他についても同様に表記する。
したがって、移動平均算出部75は、有効シンボル長Aに関する複素共役乗算結果信号S71Aの移動平均を、A×k,A×l,A×m,A×nの各時間長さをそれぞれ算出対象期間として算出し、算出結果75Ak,S75Al,S75Am,S75Anを出力する。なお、算出結果S75Ak,S75Al,S75Am,S75Anは算出対象期間Ak,Al,Am,Anにそれぞれ対応する。
なお、図5では、図面の煩雑化を避けるため、信号S71Aを期間Akについて移動平均して算出結果信号S75Akを出力する移動平均算出処理部76Akだけを図示している。
同様にして、移動平均算出部75は、有効シンボル長Bに関する複素共役乗算結果信号S71Bに、算出対象期間Bk,Bl,Bm,Bnをそれぞれ適用して移動平均を算出し、算出結果S75Bk,S75Bl,S75Bm,S75Bnを出力する。また、移動平均算出部75は、有効シンボル長Cに関する複素共役乗算結果信号S71Cに、算出対象期間Ck,Cl,Cm,Cnをそれぞれ適用して移動平均を算出し、算出結果S75Ck,S75Cl,S75Cm,S75Cnを出力する。
このように、移動平均算出結果は、有効シンボル長の候補値の個数とガードインターバル比の候補値の個数との積算値と同数(換言すれば有効シンボル長の候補値とガードインターバル長の候補値との組み合わせの総数と同数であり、ここでは12個)の系統(以下、候補系統とも称する)について生成される。
図5の例では、移動平均算出結果信号S75Ak,S75Al,S75Am,S75An,S75Bk,S75Bl,S75Bm,S75Bn,S75Ck,S75Cl,S75Cm,S75Cnが、相関算出部70からの出力信号である相関算出結果信号に相当する。図5の構成の場合、移動平均算出結果S75Ak,S75Al,S75Am,S75An,S75Bk,S75Bl,S75Bm,S75Bn,S75Ck,S75Cl,S75Cm,S75Cnは、並列的に生成され、移動平均算出部75から、すなわち相関算出部70から並列的に出力される。
ピーク位置検出部90(図2参照)は、相関算出結果信号S75Ak,S75Al,S75Am,S75An,S75Bk,S75Bl,S75Bm,S75Bn,S75Ck,S75Cl,S75Cm,S75Cnを取得する。そして、ピーク位置検出部90は、相関算出結果信号ごとに、換言すれば候補系統ごとに、当該信号中のピーク位置(信号レベルが局所的に大きくなる位置。ここでは信号レベルが最大になる位置とする)を検出し、検出結果S90Ak,S90Al,S90Am,S90An,S90Bk,S90Bl,S90Bm,S90Bn,S90Ck,S90Cl,S90Cm,S90Cn(図6参照)を出力する。
なお、相関算出結果信号とピーク位置検出結果信号について、参照符号の末尾2文字が同じ信号は互いに対応する。例えば、相関算出結果信号S75Akに基づいてピーク位置検出結果信号S90Akが得られる。参照符号のかかる表記法は後述の各種信号についても用いることにする。
図6にピーク位置検出部90の構成例を示す。図6の例では、図面の煩雑化を避けるため、相関算出結果信号S75Akのピーク位置を検出して検出結果信号S90Akを出力するピーク位置検出処理部91Akだけを図示している。
ピーク位置の検出は、所定の時間長さに設定された観測期間を1単位として、繰り返し行われる。ここでは、観測期間の開始時刻を基準(原点)にした場合のピークの発現時刻、換言すれば観測期間の開始時刻からピークの発現時刻までの時間長さを、ピーク位置の値とする。
上記の観測期間の長さは、観測対象とする相関算出結果信号の生成に関与した有効シンボル長の候補値とガードインターバル長の候補値との合算値(以下、シンボル長の候補値とも称する)に設定される。例えば、相関算出結果信号S75Akは有効シンボル長Aとガードインターバル長Akとに基づいて生成されているため、当該信号S75Akに対するピーク位置観測期間の長さはA+Akに設定されている。ここでは、ピーク位置観測期間の長さは、候補系統と同数(ここでは12)の種類がある。
図6の構成の場合、入力信号S75Ak,S75Al,S75Am,S75An,S75Bk,S75Bl,S75Bm,S75Bn,S75Ck,S75Cl,S75Cm,S75Cnに対するピーク位置の検出は並列的に行われる。また、ピーク位置検出結果S90Ak,S90Al,S90Am,S90An,S90Bk,S90Bl,S90Bm,S90Bn,S90Ck,S90Cl,S90Cm,S90Cnは、ピーク位置検出部90から並列的に出力される。
ピーク位置評価部110(図2参照)は、ピーク位置検出結果信号S90Ak,S90Al,S90Am,S90An,S90Bk,S90Bl,S90Bm,S90Bn,S90Ck,S90Cl,S90Cm,S90Cnを取得する。そして、ピーク位置評価部110は、ピーク位置の同一性を評価し、評価結果を出力する。
図7にピーク位置評価部110の構成例を示す。図7に例示のピーク位置評価部110は、ピーク位置差分算出部111と、絶対値加算部116とを含んでいる。
ピーク位置差分算出部111は、複数のピーク位置について差分を算出し、得られた差分値を出力する。図7では、図面の煩雑化を避けるため、ピーク位置検出結果S90Akについてピーク位置差分を算出し、算出結果(換言すれば差分値)S111Akを出力するピーク位置差分算出処理部112Akだけを図示している。
図8に、ピーク位置差分算出処理部112Akの構成例を示す。図8の例では、ピーク位置検出結果S90Akは、減算部113へ直接入力されるとともに、ラッチ部114を介して当該減算部113へ入力される。
ラッチ部114は、ピーク位置検出結果S90Akが入力され、当該ピーク位置検出結果S90Akを次回の入力(ピーク位置検出結果S90Ak)があるまで保持する。そして、ラッチ部114は、当該保持の終了に伴って、保持していたピーク位置検出結果S90Akを出力する。
減算部113には、ラッチ部114へ入力されるピーク位置検出結果S90Akと、ラッチ部114から出力されるピーク位置検出結果S90Ak(すなわち前回の入力であるピーク位置検出結果S90Ak)とが入力される。そして、減算部113は、上記2つの入力についての差分、すなわちピーク位置差分を算出して出力する。この場合、減算部113は、連続するピーク位置検出結果S90Akについてピーク位置差分を算出することになる。
同様にして、ピーク位置差分算出部111は、ピーク位置検出結果S90Al,S90Am,S90An,S90Bk,S90Bl,S90Bm,S90Bn,S90Ck,S90Cl,S90Cm,S90Cnごとに、換言すれば候補系統ごとに、ピーク位置差分を算出し、算出結果(すなわち差分値)S111Al,S111Am,S111An,S111Bk,S111Bl,S111Bm,S111Bn,S111Ck,S111Cl,S111Cm,S111Cnを出力する。
絶対値加算部116は、ピーク位置差分算出結果S111Ak,S111Al,S111Am,S111An,S111Bk,S111Bl,S111Bm,S111Bn,S111Ck,S111Cl,S111Cm,S111Cnを取得し、当該ピーク位置差分算出結果ごとに、換言すれば候補系統ごとに、差分値の絶対値を取った値を累積加算する。そして、絶対値加算部116は、得られた累積加算結果(すなわち累積加算値)を出力する。
図7では、図面の煩雑化を避けるため、ピーク位置差分算出結果信号S111Akについて上記の絶対値加算を行い、算出結果(すなわち絶対値加算値)S115Akを出力する絶対値加算処理部117Akだけを図示している。
図9に絶対値加算処理部117Akの構成例を示す。図9の例では、ピーク位置検出結果S90Akは、入力信号の絶対値をとる絶対値演算部118を介して、加算部119へ入力される。加算部119の出力は、ラッチ部120を介して、当該加算部119に入力される。
ラッチ部120は、加算部119による加算結果が入力され、当該加算結果を加算部119に次回の入力があるまで保持する。そして、ラッチ部120は、当該保持の終了に伴って、保持していた加算結果を加算部119へ出力する。これにより、加算部119は、絶対値演算部118から出力される新たなピーク位置差分の絶対値と、ラッチ部120から出力される前回までの累積加算結果とを加算する。つまり、順次得られるピーク位置差分の絶対値が累積加算される。
同様にして、絶対値加算部116は、ピーク位置差分算出結果S111Al,S111Am,S111An,S111Bk,S111Bl,S111Bm,S111Bn,S111Ck,S111Cl,S111Cm,S111Cnごとに、換言すれば候補系統ごとにピーク位置差分の絶対値を累積加算し、算出結果S115Al,S115Am,S115An,S115Bk,S115Bl,S115Bm,S115Bn,S115Ck,S115Cl,S115Cm,S115Cnを出力する。
図7の例では、絶対値加算の結果信号S115Ak,S115Al,S115Am,S115An,S115Bk,S115Bl,S115Bm,S115Bn,S115Ck,S115Cl,S115Cm,S115Cnは、ピーク位置評価部110からの出力信号であるピーク位置評価結果信号に相当する。
図7の構成の場合、入力信号S90Ak,S90Al,S90Am,S90An,S90Bk,S90Bl,S90Bm,S90Bn,S90Ck,S90Cl,S90Cm,S90Cnに対するピーク位置差分算出が並列的に行われる。絶対値加算についても同様である。また、評価結果信号S115Ak,S115Al,S115Am,S115An,S115Bk,S115Bl,S115Bm,S115Bn,S115Ck,S115Cl,S115Cm,S115Cnは、絶対値加算部116から、換言すればピーク位置評価部110から、並列的に出力される。
ここで、図7の構成によれば、ピーク位置差分の絶対値が小さいほど、各観測期間において同じ位置にピークが発現する頻度が高い、すなわちピーク位置の同一性が高いと評価することが可能である。ピーク位置差分の絶対値を累積加算しても、この傾向は同様である。また、ピーク位置差分の絶対値を累積加算することにより、毎回のピーク位置差分の絶対値だけを用いるよりも、確度の高い、すなわち信頼性の高い評価を行うことができる。
なお、例えば予め設定された所定時間の経過により、絶対値加算部116のラッチ部120をリセットして累積加算値をゼロに戻すように構成してもよい。
識別部130(図2参照)は、候補系統ごとの、換言すれば複数種類のピーク位置評価結果S115Ak,S115Al,S115Am,S115An,S115Bk,S115Bl,S115Bm,S115Bn,S115Ck,S115Cl,S115Cm,S115Cnを取得し、これらの評価結果に基づいて、シンボル識別部17へ入力された複素ベースバンド信号S13の有効シンボル長およびガードインターバル長を識別する、換言すれば同定する。そして、識別部130は、識別結果の信号S17を出力する。
図10に識別部130の構成例を示す。図10に例示の識別部130は、最小値判定部131を含んでいる。
最小値判定部131は、ピーク位置評価結果S115Ak,S115Al,S115Am,S115An,S115Bk,S115Bl,S115Bm,S115Bn,S115Ck,S115Cl,S115Cm,S115Cnを取得し、これらの評価結果のうちで最良の評価結果を判定・選出する。ここで、ピーク位置評価結果が良好、さらには最良であるとは、ピーク位置差分の絶対値の累積加算値が相対的に小さい、さらには最小であることによって、判定可能である。
そして、最小値判定部131は、選出された評価結果の生成に関与した有効シンボル長およびガードインターバル長の候補値を、シンボル識別部17へ入力された複素ベースバンド信号S13の有効シンボル長およびガードインターバル長として認定する。
最小値判定部131は、認定した有効シンボル長およびガードインターバル長の情報S131を出力する。
図10の例では、かかる認定結果信号S131が、識別部130からの出力信号である識別結果信号S17に相当する。また、図2の例では、かかる識別結果信号S17が、シンボル識別部17からの出力信号に相当する。
ここで、有効シンボル長およびガードインターバル長の候補値は、シンボル識別部17内の遅延部50等が利用可能な態様で以て、シンボル識別部17内または受信装置10内に予め与えられている。なお、ガードインターバル長の候補値に代えてまたは加えて、ガードインターバル比の候補値を予め与えてもよい。
例えば、上記候補値を不図示の記憶部(以下、候補値記憶部と称する)に予め格納することにより、遅延部50等は候補値記憶部から所定の候補値を取得することが可能である。
あるいは、例えば、上記候補値を表す信号を生成するハードウェア回路によって、上記候補値を遅延部50等に供給するようにしてもよい。
あるいは、例えば、遅延部50等がソフトウェアを利用して自身の処理の一部または全部を行う場合、実行するプログラム中に上記候補値を予め記述するようにしてもよい。
また、上記のいずれの態様においても、製造者、オペレータ、ユーザ等が例えば操作パネル、キーボード等の不図示の入力部を介して上記候補値を編集可能であることは好ましい。例えば、シンボル識別部17の適用範囲を柔軟に変更することができるからである。なお、編集には変更、追加、削除のうちの少なくとも1つが含まれる。
なお、シンボル識別部17の外部に設けられている有効シンボル抽出部14等も、上記の各種態様を採用することにより、上記候補値を利用可能である。
ここで、上記構成例によるシンボル識別部17の処理を概説する。
上記のように、ガードインターバルは、有効シンボルの後部のコピーが当該有効シンボルの先頭に付加されることにより形成される。このため、かかる構成を有するOFDMシンボルと、当該シンボルの実際の有効シンボル長だけ遅延させた遅延シンボルとの相関を相関算出部70によって算出すると、OFDMシンボルの上記後部と遅延シンボルのガードインターバル部分とが強く相関する。
しかも、かかる強い相関、換言すれば相関のピークは、識別対象のOFDMシンボルのシンボル長と同じ時間長さの周期で観測される。このため、ピーク位置検出部90において、上記OFDMシンボルの実際のシンボル長と同じ長さを有するピーク位置観測期間を用いて、ピーク位置を検出することにより、各観測期間において同じ位置にピークが観測される。
これに対し、識別対象とするOFDMシンボルの実際の有効シンボル長およびガードインターバル長とは異なる候補値を用いた場合、上述のピーク位置の同一性は低く、あるいは当該同一性が見られない。
したがって、ピーク位置の同一性を評価することによって、OFDMシンボルの有効シンボル長およびガードインターバル長を同定することができる。
OFDM受信装置10によれば、次のような効果が得られる。
シンボル識別部17は、上記のように、ピーク位置差分を利用して、入力OFDM信号の有効シンボル長およびガードインターバル長を識別する。すなわち、第1の従来例とは異なり、OFDMシンボルの識別に相関信号のピークの大きさを利用しない。このため、識別対象とするOFDM信号の信号レベルが大きく変動した場合であっても、シンボル識別の精度が低下することがない。したがって、良好な識別精度を得ることができる。
さらに、シンボル識別部17によれば、第2の従来例とは異なり、ピーク位置の分散値を利用せずに、OFDMシンボルを識別可能である。このため、第2の従来例に比べて、回路規模が小さくて済み、低コスト化、装置の小型化等を図ることができる。
また、上記の例によるシンボル識別部17ではピーク位置の同一性評価に、ピーク位置差分の絶対値を累積加算して利用する。このため、図8および図9の構成例のように簡易な回路構成を採用可能である。したがって、回路規模の抑制により、低コスト化、装置の小型化等を図ることができる。
また、シンボル識別部17によれば、有効シンボル長およびガードインターバル長の候補値の組み合わせの全てを並列的に処理する。したがって、候補値の組み合わせを順次に、換言すれば直列的に処理する構成に比べて、高速な処理を行うことができる。
実施の形態1の変形例1.
図11に、識別部130について、本変形例1に係る構成例を示す。図11に例示の識別部130は、図10に例示した構成に、比較部133を追加した構成を有している。比較部133は、最小値判定部131が選出した最良の評価結果S132(ここではピーク位置差分の絶対値の累積加算値の最小値を例示する)を取得する。そして、比較部133は、当該最小値S132と所定の閾値THとを比較して、比較結果S133を出力する。
例えば、比較部133は、上記最小値S132が閾値THよりも大きいと判断した場合、認定した有効シンボル長およびガードインターバル長は識別精度が不十分である旨の情報を信号S133によって出力する。
これに対し、例えば、比較部133は、上記最小値S132が閾値TH以下であると判断した場合、十分な識別精度で以て有効シンボル長およびガードインターバル長は認定されている旨の情報を信号S133によって出力する。
比較結果133は、例えば、有効シンボル抽出部14、FFT部15、P/S変換部16等によって利用される。
このように、選出された最良のピーク位置評価結果が所定の基準を満足しない場合に、同定した有効シンボル長および前記ガードインターバル長は識別不十分であると判断することにより、有効シンボル抽出部14等は自身の処理で利用する有効シンボル長およびガードインターバル長の値の確度、換言すれば信頼性を知ることができる。
このため、例えば、認定された有効シンボル長およびガードインターバル長の確度が低い場合、有効シンボル抽出部14等は、所望のOFDM信号が受信されていないと判断して、自身の処理を実行しないようにする(例えば待機モードにする)ことが可能である。これによれば、例えば消費電力の低減を図ることができる。
なお、比較部133は、最良の評価結果S132として、例えば、認定された有効シンボル長およびガードインターバル長を利用してもよい。すなわち、認定された有効シンボル長およびガードインターバル長と、これらのために準備された所定の閾値THとを比較するように、比較部133を構成してもよい。
実施の形態1の変形例2.
図12に、絶対値加算処理部117Ak(図7参照)について、本変形例2に係る構成例を示す。
図12に例示の絶対値加算処理部117Akは、図9で例示した構成に、減算部121と、比較部122と、選択部123とを追加した構成を有している。より具体的には、ピーク位置差分算出結果S111Akは、絶対値演算部118を経た後、減算部121と、比較部122と、選択部123とに入力される。
減算部121は、絶対値演算部118から出力されたピーク位置差分S111Akの絶対値を、ピーク位置差分S111Akの生成に関与しているシンボル長の候補値(換言すれば、ピーク位置差分S111Akの生成に関与しているピーク位置観測期間の長さ)から減算する。減算結果(以下、参考値とも称する)は比較部122と選択部123へ出力される。
比較部122は、ピーク位置差分の絶対値と、上記参考値とを比較し、比較結果を選択部123へ出力する。
選択部123は、比較結果部122による比較結果に基づいて、ピーク位置差分の絶対値と、上記参考値とのうちで小さい方の値を選択する。
選択部123が選択した小さい方の値は、加算部119へ入力される。加算部119の出力S115Akは、図9の構成例と同様に、ラッチ部120を介して、当該加算部119に入力される。したがって、図12の構成の場合、ピーク位置差分の絶対値が上記参考値に比べて大きい場合、ピーク位置差分の絶対値に代えて上記参考値を用いて累積加算が行われる。
なお、信号S111Ak以外のピーク位置差分算出結果信号S111Al等に対しても、図12の例と同様の絶対値加算処理部を適用可能である。
図12の構成によれば、ピーク位置が観測期間の境界付近に発現する場合であっても、ピーク位置の同一性を正確に評価することができる。この点について図13の模式図を参照して説明する。
図13の例では相関信号が、連続する観測期間T1,T2(期間の長さはいずれもTとする)の境界をまたいで局所的に大きくなっている。この例の場合、先の観測期間T1では、当該期間T1の終点付近にピーク位置P1が検出され、このピーク位置P1の値Q1は観測期間T1の値(すなわちシンボル長の候補値)に近い値を取る。これに対し、後の観測期間T2では、当該期間T2の始点にピーク位置P2が検出され、このピーク位置P2の値Q2は0(ゼロ)である。なお、説明を分かりやすくするために、図13ではピーク位置P2を観測期間T2の始点からずらして図示している。
したがって、図13の例の場合、ピーク位置差分値Q1−Q2の絶対値はシンボル長の候補値に近い、大きな値となる。
しかし、ピーク位置P1,P2は本来的に同一性が高いため、ピーク位置P1,P2の差分値は小さい値となるべきである。例えば、ピーク位置P1からピーク位置P2までの距離(具体的には時間長さ)δが、ピーク位置P1,P2の差分値として取得されるのが好ましい。ピーク位置P1,P2間の距離δは、図13の図解からも分かるように{(シンボル長の候補値T)−(ピーク位置差分Q1−Q2の絶対値)}によって算出される。すなわち、当該距離δは、減算部121(図12参照)の出力である上記の参考値である。
なお、上記例示とは逆に、観測期間T1,T2をまたいでいる波形のピークが観測期間T2内に在る場合についても、上記と同様の説明が当てはまる。
このように、上記参考値とピーク位置差分の絶対値とのうちで小さい方の値を用いることにより、ピーク位置の同一性を正確に評価することができる。
図12の構成によれば、ピーク位置検出部90の観測期間に対してずれた観測期間によってピーク位置の検出を行う別個のピーク位置検出部を設ける必要がない。したがって、簡易な回路構成によって、低コスト化、装置の小型化等を図ることができる。
実施の形態1の変形例3.
本変形例3では、ピーク位置評価部110の他の構成例を説明する。図14および図15に、ピーク位置差分算出処理部112Ak(図7参照)および絶対値加算処理部117Ak(図7参照)について、本変形例3に係る構成例を示す。
図14に例示のピーク位置差分算出処理部112Akは、図8に例示したピーク位置差分算出処理部112Akに、減算部124とラッチ部125とを追加した構成を有している。
減算部124は、ピーク位置検出結果S90Akが直接入力されるとともに、上記のラッチ部114の出力がラッチ部125を介して入力される、すなわちピーク位置検出結果S90Akが2つのラッチ部114,125を介して入力される。
この場合、2つのラッチ部114,125から成る構成は、ピーク位置検出結果S90Akが入力され、当該ピーク位置検出結果S90Akを次々回の入力(ピーク位置検出結果S90Ak)があるまで保持する手段に相当する。そして、当該構成は、当該保持の終了に伴って、保持していたピーク位置検出結果S90Akを出力する。
減算部124には、ラッチ部114,125から成る保持手段へ入力されるピーク位置検出結果S90Akと、当該保持手段から出力されるピーク位置検出結果S90Ak(すなわち前々回の入力であるピーク位置検出結果S90Ak)とが入力される。そして、減算部124は、上記2つの入力についての差分、すなわちピーク位置差分を算出して出力する。この場合、減算部124は、一つおきのピーク位置検出結果S90Akについてピーク位置差分を算出することになる。
したがって、図14に例示のピーク位置差分算出処理部112Akは、今回と前回のピーク位置検出結果について算出された差分値S111Ak1と、今回と前々回のピーク位置検出結果について算出された差分値S111Ak2とを出力する。なお、この2種類のピーク位置差分算出結果S111Ak1,S111Ak2の総称が、実施の形態1で説明したピーク位置差分算出結果信号S111Akに相当する。
図15に例示の絶対値加算処理部117Akは、図14のピーク位置差分算出処理部112Akに対して採用可能な構成を有している。具体的には、図15の構成は、図9の構成と比較すれば分かるように、上記の2種類のピーク位置差分算出結果S111Ak1,S111Ak2のそれぞれに対して、絶対値演算部118が設けられている。この2つの絶対値演算部118の出力は、加算部126で加算されて、既述の加算部119に入力される。なお、既述の加算部119およびラッチ部120が、図15の構成においても、図9の構成と同様の態様で設けられている。
なお、信号S90Ak以外のピーク位置検出結果信号S90l等に対しても、図14と同様の構成を有するピーク位置差分算出処理部を適用可能である。また、信号S111Ak1,S111Ak2以外のピーク位置差分算出結果信号に対しても、図15と同様の構成を有する絶対値加算処理部を適用可能である。
ところで、ピーク位置検出結果A90Akの生成に関与しているシンボル長の候補値が実際のシンボル長とは異なる場合、ピーク位置の同一性は低い。このため、図14および図15の構成のように今回と前々回に得られたピーク位置検出結果A90Akを利用することにより、ピーク位置差分、さらにはその絶対値を大きくすることができる。
これに対し、シンボル長の候補値が実際のシンボル長と同じである場合は、ピーク位置の同一性が高いので、今回と前々回のピーク位置検出結果A90Akを利用しても、ピーク位置差分およびその絶対値への影響は小さい。
したがって、図14および図15の構成によれば、シンボル識別の精度を向上させることができる。特にガードインターバル長が相対的に小さい場合に有用である。
かかる点に鑑みれば、今回と前回のピーク位置の差分を利用せずに、今回と前々回のピーク位置の差分だけを利用する構成も採用可能である。
これに対し、図14および図15の構成のように上記2種類のピーク位置差分を累積加算の対象とすることにより、シンボル識別の精度をさらに向上させることができる。また、上記2種類のいずれかのみを利用する構成に比べて、少ないデータで以てシンボルの識別をすることが可能になる。このため、シンボル識別にかかる時間を短縮することができる。
ここで、図14の構成に比べて、図8の構成の方が、回路構成が簡易であるため、低コスト化、装置の小型化等を図ることができる。
なお、図14の構成と図8の構成とのいずれを採用するかについては、例えば識別精度の要請、低コスト化の要請等を比較考量することによって決めればよい。
ここで、図14のピーク位置差分算出処理部112Akに対して、図16に例示する絶対値加算処理部117Akを適用することも可能である。図16に例示の構成では、図12の構成中の絶対値演算部118と、減算部121と、比較部122と、選択部123とで構成される部分が、上記の2種類のピーク位置差分算出結果S111Ak1,S111Ak2のそれぞれに対して設けられている。2つの選択部123の出力は、加算部126で加算されて、加算部119へ入力される。なお、既述の加算部119およびラッチ部120が、図16の構成においても、図12の構成と同様の態様で設けられている。
なお、信号S111Ak1,S111Ak2以外のピーク位置差分算出結果信号に対しても、図16と同様の構成を有する絶対値加算処理部を適用可能である。
図16の構成によれば、図14の構成による効果と、図12の構成による効果との両方が得られる。
実施の形態2.
図17に、実施の形態2に係るOFDMシンボル識別部217を例示するブロック図を示す。当該シンボル識別部217は、シンボル識別部17(図1参照)の代わりに、受信装置10(図1参照)に適用可能である。
例示のシンボル識別部217は、遅延部250と、相関算出部270と、ピーク位置検出部290と、ピーク位置評価部310と、識別部330とを含んでいる。これらの要素250,270,290,310,330は、基本的には、実施の形態1に係る上記要素50,70,90,110,130と同様の機能をそれぞれ有している。
図18に、遅延部250を例示するブロック図を示す。例示の遅延部250は、図3に例示した構成に、選択部251を追加した構成を有している。
選択部251は、遅延信号S50A,S50B,S50Cを取得し、これらの遅延信号S50A,S50B,S50Cのうちの1つを選択的に出力する。遅延信号S50A,S50B,S50Cのうちのいずれを選択するのかは、選択部251へ入力される選択制御信号S251によって制御される。これにより、例えば所定の周期で循環的に、遅延信号S50A,S50B,S50Cが選択される。図18の構成では、選択部251から出力される遅延信号が、遅延部250の出力信号S250に相当する。
なお、例えば図4に例示した遅延部50と選択部251とを組み合わせて、遅延部250を構成することも可能である。
相関算出部270は、実施の形態1に係る相関算出部70を利用して構成可能である。ピーク位置検出部290およびピーク位置評価部310についても同様である。
特に遅延信号S50A,S50B,S50Cは上記のように順次に、換言すれば直列的に出力されるので、相関算出部270、ピーク位置検出部290およびピーク位置評価部310は、実施の形態1に係る相関算出部70、ピーク位置検出部90およびピーク位置評価部110に比べて簡易な構成で済む。
例えば、相関算出部270において、複素共役乗算部は複素共役乗算処理部72A(図5参照)に相当する1つの要素で構成可能であり、また、移動平均算出部は移動平均算出処理部76Ak(図5参照)に相当する1つの要素で構成可能である。
同様に、ピーク位置検出部290は、例えば、ピーク位置検出処理部91Ak(図6参照)に相当する1つの要素で構成可能である。また、ピーク位置評価部310では、例えば、ピーク位置差分算出部はピーク位置差分算出処理部112Ak(図7参照)に相当する1つの要素で構成可能であり、また、絶対値加算部は絶対値加算処理部117Ak(図7参照)に相当する1つの要素で構成可能である。
但し、遅延部250からは遅延信号S50A,S50B,S50Cが切り替わり出力されるので、相関算出部270は遅延部250から出力される遅延信号の種類に応じて動作する。
例えば、遅延部250から遅延信号S50Aが出力されている場合、相関算出部270は、4種類の移動平均算出期間Ak,Al,Am,Anを順次切り替えて複素共役乗算結果S71A(図5参照)の移動平均を算出する。他の遅延信号S50B,S50Cについても同様である。つまり、相関算出部270は、遅延部250からの出力信号の生成に関与した有効シンボル長の候補値と、それに関連するガードインターバル長の候補値との全ての組み合わせについて、直列的に、相関算出結果を生成し出力する。
また、ピーク位置検出部290およびピーク位置評価部310も同様である。例えばピーク位置観測期間やラッチ部114等のデータ保持期間は、処理対象の信号に関与しているシンボル長の候補値に応じて設定される。
上記各部250,270,290,310は、例えば、候補値切り替え制御部(図示略)から送られてくる候補値切り替え制御信号に基づいて、自身の処理に適用する有効シンボル長およびガードインターバル長の候補値を切り替えるように構成可能である。上記の選択制御信号S251(図18参照)は、候補値切り替え制御信号の一例である。候補値切り替え制御部は、例えばタイマを利用して所定周期ごとに候補値制御信号を出力するように構成可能である。
図19に、識別部330を例示するブロック図を示す。例示の識別部330は、図11に例示した構成に、記憶部331を追加した構成を有している。
記憶部331は、ピーク位置評価部310から直列的に出力される評価結果を順次、記憶する。例えば、ピーク位置評価結果は、当該評価結果に関与した有効シンボル長およびガードインターバル長の候補値と関連付けて記憶される。かかる関連付けは、例えば上記の候補値切り替え制御信号を利用して記憶部331または前段のピーク位置評価部310が行うことが可能である。記憶部331に記憶された情報は最小値判定部131による処理に利用される。
最小値判定部131は、記憶部331に格納されているピーク位置評価結果のうちで最良の結果を判定し選出する。そして、最小値判定部131は、選出した信号に関与している有効シンボル長およびガードインターバル長の候補値を、シンボル識別部17へ入力された複素ベースバンド信号S13の有効シンボル長およびガードインターバル長として認定する。
なお、図19の構成から比較部133を取り除いて識別部330を構成することも可能である。
OFDMシンボル識別部217によれば、有効シンボル長の候補値とガードインターバル長の候補値との全ての組み合わせについて、直列的に処理が行われる。このため、上記のように、実施の形態1に係るシンボル識別部17に比べて、構成回路を少なくすることができる。したがって、回路規模の削減により、低コスト化、装置の小型化等を図ることができる。
なお、直列処理型のシンボル識別部217よりも、並列処理型のシンボル識別部17の方が、高速処理に好適である。このため、例えば高速処理の要請、低コスト化の要請等を比較考量することによって、シンボル識別部17,217のいずれかを採用するかを決めればよい。
実施の形態1,2に共通の変形例.
OFDMシンボル識別部17,217の構成を利用してOFDMシンボル識別装置を構成することも可能である。かかるOFDMシンボル識別装置は、例えば、当該装置単独で、あるいは、別個のOFDM受信装置と組み合わせて利用することが可能である。
また、上記例示のOFDMシンボル識別部17,217にアナログ処理部11と、A/D変換部12と、直交復調部13とを含めた構成によれば、アナログのOFDM信号を入力信号とする場合に適用可能なOFDMシンボル識別部またはOFDMシンボル識別装置を構成可能である。