JP5289130B2 - 組立クランクシャフトおよびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、別体として形成されたカウンタウェイト部がクランクシャフト本体部に接続されている組立クランクシャフトおよびその製造方法に係り、特に、カウンタウェイト部のクランクシャフト本体部への接続技術の改良に関する。
自動車エンジン等の内燃機関では、ピストンの往復運動をコネクティングロッドを介して回転運動に変更するクランクシャフトが使用されている。クランクシャフトは、ジャーナル軸部を備え、ジャーナル軸部には、それと平行なクランクピン部がアーム部により連結されている。アーム部はウェブ部およびカウンタウェイト部を有している。ウェブ部にクランクピン部が連結され、カウンタウェイト部のジャーナル軸部に対する形成位置は、クランクピン部の接続箇所の反対側である。
クランクシャフトの製造を鍛造により行う場合、図10に示すように、金型20の下型22にクランクシャフトの素材10を配置し、プレスラムにより上型21を下型22に向けて移動する。これにより、図の矢印方向に素材10を流動させて金型20内に充填させる。ところが、素材10のカウンタウェイト部10Aでは、金型20のキャビティにおける最も深い隅部に対応する部位であるため、そこでは素材10が充填されずに欠肉が生じやすい。
そこで、高荷重を発生させるために、高価な巨大鍛造プレス設備を用いると、製造コストが増大する。また、ヒータ内で素材10を脱炭近くまで加熱して材料を軟化させることにより金型20内への充填を容易にすると、ヒータ内で素材10同士が接着したり、脱炭による素材10の品質低下が生じる。
このような背景からクランクシャフトの製造では、クランクシャフトの各部位を別体で製作し、それらを接続することが提案されている。図11は、ボルト締結により接続された組立クランクシャフト30を表す概略構成図である。ボルト締結では、シャフト本体部31とカウンタウェイト部32とを別体で製作し、カウンタウェイト部32をシャフト本体部31へ接続している。この場合、ジャーナル本体部31およびカウンタウェイト部32の材質として同材あるいは異材を用い、それら部位31,32の端面を、機械加工で仕上げた後にボルト33により締結し、ジャーナル本体部31およびカウンタウェイト部32を互いの端面同士で一体化している。なお、符号31Aはジャーナル軸部、符号31Bはウェブ部、符号31Cはクランクピン部を示している。
ところが、この技術では、それら部位31,32の端面を数本のボルト33のみで締結しているため、クランクシャフト30の回転時(図の矢印方向)にカウンタウェイト部32で発生する慣性力(図の矢印方向)の全てがボルト33に負荷される。このため、ボルト33には、材質・強度・品質について厳しい管理が要求される上に、カウンタウェイト部32のジャーナル本体部31への組付時、ボルト締付による締付座面の破壊(圧縮側耐力不足)が発生する虞がある。また、クランクシャフト30の回転時の振動により、互いの接続面でフレッティングが発生してボルト33の緩みや破壊が生じる虞がある。さらに、それら部位31,32の熱膨張差によるボルト33の緩みや破壊が生じる虞がある。
そこで、ボルト締結の代わりに溶接を用いることが考えられる。たとえばパイプ状としたクランクピン部あるいはジャーナル軸部の端面を接合部とし、その接合部同士に摩擦圧接やビーム溶接等の溶接を行う(たとえば特許文献1,2)。この技術では、ボルト締結の場合と異なり、カウンタウェイト部およびジャーナル本体部を接続部位として用いていない。ビーム溶接を行う場合、上記部位はバルク体であるから、入熱の大きなレーザ(たとえばCOレーザ)が一般的に用いられており、板厚が比較的薄い部位(車体部品や薄板積層構造等)に適用される入熱の小さなファイバレーザ(特許文献3)はほとんど用いられていない。
特開2008−49362号公報 特開昭60−1416号公報 特開2008−245440号公報
以上のような溶接手法では、溶接箇所として用いられるクランクピン部およびジャーナル軸部は、内燃機関での重要な部品であるクランクシャフトにおいて、その高速回転時に生じる遠心力やピストンの爆発荷重を受けとめる部位であるから、耐高負荷性が要求されている。
しかしながら、溶接手法では、クランクピン部およびジャーナル軸部に溶接を行なうため、組織変化による強度低下が生じる虞があった。また、クランクピン部およびジャーナル軸部において仮に必要な強度を確保することができた場合でも、高負荷部位であるため、大量生産では、それら部位について厳しい品質管理を行う必要があり、その結果、製造工程数が増える等の問題が生じる。
したがって、本発明は、強度低下を防止することができ、かつ接合部の厳しい品質管理を不要とする組立クランクシャフトおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の組立クランクシャフトは、シャフト本体部とカウンタウェイト部とを備え、シャフト本体部の軸線回り方向に延在するとともにシャフト本体部の軸線方向に所定間隔をおいて対向する接合面を有する一対の突起部が形成され、一対の突起部の接合面同士の間隔は、シャフト本体部の軸線から離れる従って大きくなるように設定され、シャフト本体部の一対の突起部の接合面により形成される凹部にカウンタウェイト部の端部が挿入され、一対の突起部の接合面がカウンタウェイト部の端部の接合面と接合され、その接合部が断面V字形状をなしていることを特徴としている。
本発明の組立クランクシャフトは、次のような製造方法により得られる。本発明の組立クランクシャフトの製造方法は、シャフト本体部の軸線回り方向に延在するとともにシャフト本体部の軸線方向に所定間隔をおいて対向する接合面を有する一対の突起部を形成し、シャフト本体部の一対の突起部の接合面により形成される凹部にカウンタウェイト部の端部を挿入し、シャフト本体部の一対の突起部の接合面とカウンタウェイト部の端部の接合面とからなる接合部を溶接し、一対の突起部の形成では、接合部の形状が断面V字形状となるように一対の突起部の接合面同士の間隔をシャフト本体部の軸線から離れる従って大きく設定することを特徴としている。
本発明の組立クランクシャフトの製造方法では、突起部の形成において、接合部の形状が断面V字形状となるように突起部の形状を設定しているので、カウンタウェイト部のシャフト本体部に対する位置合わせを容易に行うことができる。したがって、作業性および位置精度の向上を図ることができる。また、断面V字形状の接合部は、シャフト本体部の軸線方向から所定角度の傾斜を有するので、レーザ溶接を行う場合、隣接するカウンタウェイト部を回避してレーザビームの照射を行うことができる。また、接合部の接合面積が大きくなるから、接合強度を向上させることができる。
また、シャフト本体部とカウンタウェイト部とを別体で製作しているので、一体成形を行う鍛造とは異なり、材料の金型内への充填の容易化のための高価な巨大鍛造プレス設備が不要となり、製造コストを低減することができる。また、材料の金型内への充填の容易化のために脱炭近くまでの素材の加熱が不要となるから、製品の品質低下を防止することができる。また、成形時の欠肉防止のためにカウンタウェイト部の形状が制限される鍛造とは異なり、カウンタウェイト部の形状設計が自由であるから、その形状設計によりカウンタウェイト部の性能を最大限に得ることができる。したがって、クランクシャフトのダイナミックバランスの保持と軽量化の両立が可能となる。また、従来技術のように溶接箇所としてクランクピン部およびジャーナル軸部の端面を用いていないから、溶接部位の厳しい品質管理を不要となる。したがって、製造工程数の増大を防止することができる。
本発明の組立クランクシャフトの製造方法は種々の構成を用いることができる。たとえば、シャフト本体部とカウンタウェイト部との間では、接合部の底部に空間を形成することができる。この態様では、レーザ溶接を行う場合、接合面上を通過したり反射したレーザビームが空間に到達することができるので、溶接条件が安定化する。また、その空間の形成領域は組立クランクシャフトの回転中心の近傍領域であるから、その領域は錘としての作用をほとんど有しない。したがって、その領域に空間を形成することにより、カウンタウェイト部の作用効率を向上させることができる。
たとえば接合部を350〜400℃で予熱し、予熱後にレーザを用いて溶接を行うことができる。常温あるいは低温での溶接では、溶融状態から凝固収縮による引張り応力場が接合面に生じてクラックが発生する虞がある。これに対して、上記態様では、溶接時に十分な予熱を与えることができるから、接合部の急冷凝固によるクラックの発生を防止することができる。
また、溶接では、ファイバレーザを用いることができる。この態様では、レーザ照射を局所的に行うことができ、かつエネルギー密度が高いから、接合影響領域(レーザ照射の熱による金属組織の変化領域)を減少させることができ、その結果、高品質化および高強度化を図ることができる。さらに、シャフト本体部とカウンタウェイト部との接合面は、Ryが100μm以下の面粗さに設定することが好適である。
本発明の、組立クランクシャフトあるいはその製造方法によれば、製造コストを低減することができるのはもちろんのこと、強度の向上を図ることができるとともに、品質の向上を図ることができる。この場合、接合部の厳しい品質管理が不要となる。
本発明の一実施形態に係る組立クランクシャフトを表し、(A)は組立クランクシャフトの全体構成を表す側面図、(B)は(A)の1A−1A線の断面図である。 コンロッドを介して、クランクピン部にピストンが接続された組立クランクシャフトと一体鍛造クランクシャフトとを比較するための図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。 本発明の一実施形態に係る組立クランクシャフトの製造方法を表し、レーザ溶接を行っている状態を表す断面図である。 本発明の一実施形態に係る組立クランクシャフトの製造方法を表し、レーザ溶接を行っている状態を表す拡大斜視図である。 (A),(B)は、本発明の一実施形態に係る組立クランクシャフトの製造方法で用いる別体で製作されたシャフト本体部およびカウンタウェイト部の部分構成を表す斜視図である。 ファイバレーザを用いた溶接により形成された接合部断面の状態を表す写真である。 COレーザを用いた溶接により形成された接合部断面の状態を表す写真である。 溶接前に予熱後を行った本発明の実験例の接合部断面の状態を表す写真である。 溶接前に予熱を行わなかった比較実験例の接合部断面の状態を表す写真である。 シャフト本体部とカウンタウェイト部を一体的に成形を行う従来の鍛造を表す断面図である。 別体で製作したシャフト本体部とカウンタウェイト部をボルト締結した従来の組立クランクシャフトを表す正面図である。
(1)組立クランクシャフトの構成
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る組立クランクシャフト100を表し、(A)は組立クランクシャフト100の全体構成を表す側面図、(B)は(A)の1A−1A線の断面図である。図1(B)は、組立クランクシャフト100のジャーナル軸部101の軸線に垂直方向の断面を表している。
組立クランクシャフト100はジャーナル部101を備え、ジャーナル軸部101には、それと平行なクランクピン部103がアーム部102により連結されている。アーム部102は、カウンタウェイト部102Aとウェブ部102Bとを有し、それら部位102A,102Bは、接合部104により接合されている。ジャーナル軸部101、ウェブ部102B、および、クランクピン部103は、シャフト本体部110を構成している。シャフト本体部110とカウンタウェイト部102Aの材質として異材を用いることができ、たとえばシャフト本体部110として炭素鋼等のスチール、カウンタウェイト部102Aとして鋳鉄を用いることができる。
シャフト本体部110のウェブ部102Bの外周部には、ジャーナル軸部101の軸線方向に所定の間隔をおいて一対の突起部121,122が形成されている。突起部121,122は、ジャーナル軸部101の軸線回り方向に延在し、接合部104においてカウンタウェイト部102Aと溶接されている。接合部104は断面V字形状をなし、断面V字形状のなす角度αは、たとえば80〜90度に設定されている。
カウンタウェイト部102Aとウェブ部102Bの間では、接合部104の底部に中空状の空間部105が形成されている。空間部105は、溶接時に接合部104の接合面上を通過したり反射したレーザビームが到達する部位である。カウンタウェイト部102Aには、接合部104に隣接する切欠部106が形成されている。切欠部106は、接合部104の溶接時のレーザの入射部として用いられる。
(2)組立クランクシャフトの製造方法
組立クランクシャフト100の製造方法について、おもに図3〜5を参照して説明する。図3,4は、組立クランクシャフト100の製造においてレーザ溶接を行っている状態を表し、図3は断面図、図4は、シャフト本体部110とカウンタウェイト部102Aとの接合部104を含む部分拡大斜視図である。図5(A),(B)は、シャフト本体部110の一部構成を表す拡大斜視図、および、カウンタウェイト部102Aの構成を表す拡大斜視図である。なお、図3では、レーザビームBを1本のみ図示している。図4では、カウンタウェイト部102Aにおけるレーザビームの照射部分を図示するために、カウンタウェイト部102Aの一部の図示を省略している。
まず、シャフト本体部110を鍛造により製作し、カウンタウェイト部102Aを鋳造により製作する。このようにシャフト本体部110およびカウンタウェイト部102Aを別体で製作する。次いで、シャフト本体部110のウェブ部102Bの外周部を加工し、図5(A)に示すように、断面V字形状をなす接合面121A,122Aを有する突起部121,122を形成する。カウンタウェイト部102Aの外周部を加工し、図5(B)に示すように、接合面123A,124Aを形成する。接合面121A〜124Aは、接合部104を構成し、この場合、Ryが100μm以下の面粗さ(一発加工(▽)以上)に設定することが好適である。続いて、カウンタウェイト部102Aの接合面123A,124Aを350〜400℃で予熱する。
カウンタウェイト部102Aへの予熱後、図3,4に示すように、シャフト本体部110とカウンタウェイト部102Aを溶接装置(図示略)に配置する。この場合、シャフト本体部110の接合面121A,122Aとカウンタウェイト部102Aの接合面123A,124Aとを当接させる。
次いで、カウンタウェイト部102Aとウェブ部102Bとの接合部104にレーザビームBを照射してレーザ溶接を行う。これにより、接合面121A,123Aを接合し、かつ接合面122A,124Aを接合する。この場合、レーザビームBの照射方向は接合面に略平行な方向とし、切欠部106はレーザビームBの入射部として用いられる。接合面上を通過したり反射したレーザビームBは、空間部105に到達する。レーザ溶接ではファイバレーザを用いることが好適である。
ファイバレーザを用いる場合、たとえばレーザ出力が4kwのとき、素材への溶込み深さが8mmを超えると、熱影響による表面品質の低下が生じるから、その深さをたとえば8mm程度とする。ファイバレーザは、COレーザと異なり、レーザ照射を局所的に行うことができるとともに、エネルギー密度が高く、かつ金属反射率が低い。これにより、シャフト本体部110のスチールとカウンタウェイト部102Aの鋳鉄の母材同士の溶接にフィラー(溶接補助剤)が不要となる。また、接合影響領域(レーザ照射の熱による金属組織の変化領域)を減少させることができる。図6はファイバレーザを用いた場合の接合部断面の状態を表す写真である。図7はCOレーザを用いた場合の接合部断面の状態を表す写真である。図6,7から判るように、ファイバレーザを用いた場合の接合部は、COレーザを用いた場合の接合部よりも細いビード形状をなす。
本実施形態では、一対の突起部121,122の形成において接合部104の形状を断面V字形状に設定しているので、溶接時におけるカウンタウェイト部102Aのシャフト本体部110に対する位置合わせを容易に行うことができる。したがって、作業性および位置精度の向上を図ることができる。また、断面V字形状の接合部104は、シャフト本体部110の軸線方向から所定角度αの傾斜を有するので、レーザ溶接を行う場合、隣接するカウンタウェイト部102Aを回避してレーザビームBの照射を行うことができる。また、接合部104の接合面積が大きくなるから、接合強度を向上させることができる。
また、シャフト本体部110とカウンタウェイト部102Aとを別体で製作しているので、一体成形を行う鍛造とは異なり、材料の金型内への充填の容易化のための高価な巨大鍛造プレス設備が不要となり、製造コストを低減することができる。また、材料の金型内への充填の容易化のために脱炭近くまでの素材の加熱が不要となるから、製品の品質低下を防止することができる。また、成形時の欠肉防止のためにカウンタウェイト部の形状が制限される鍛造とは異なり、カウンタウェイト部の形状設計が自由であるから、その形状設計によりカウンタウェイト部の性能を最大限に得ることができる。
図2は、コンロッド202を介して、クランクピン部103にピストン201が接続された組立クランクシャフトと一体鍛造クランクシャフトとを比較するための図であり、(A)は正面図、(B)は側面図である。符号2Aは、一体鍛造成形されたカウンタウェイト部2Aを示し、別体製作されたカウンタウェイト部102Aは斜線部で示している。たとえば鋳造により扇形状のカウンタウェイト部102Aを別体で製作すると、重心位置を大きく設定することができ、これによりダイナミックバランス(=重量×重心位置)を一定に保持しつつ、重量を減少させることが可能となる(たとえば1スローあたり100g程度の軽量化が可能となる)。このように組立クランクシャフト100のダイナミックバランスの保持と軽量化の両立が可能となる。
また、溶接箇所としてクランクピン部およびジャーナル軸部の端面を用いていないから、溶接部位の厳しい品質管理を不要となる。したがって、製造工程数の増大を防止することができる。
特に、接合面121A〜124A上を通過したり反射したレーザビームBが空間105に到達することができるので、溶接条件が安定化する。また、その空間105の形成領域は組立クランクシャフト100の回転中心の近傍領域であるから、その領域は錘としての作用をほとんど有しない。したがって、その領域に空間を形成することにより、カウンタウェイト部102Aの作用効率を向上させることができる。
溶接前にカウンタウェイト部102Aに予熱を行うことにより、十分な熱を与えることができるから、接合部104の急冷凝固によるクラックの発生を防止することができる。また、レーザ溶接ではファイバレーザを用いることにより、レーザビームBの照射を局所的に行うことができ、かつエネルギー密度が高くすることができる。これにより、接合影響領域(レーザ照射の熱による金属組織の変化領域)を減少させることができるから、高品質化および高強度化を図ることができる。
実施例では、シャフト本体部とカウンタウェイト部との接合部への予熱の有無の影響を調べた。
実施例では、全ての試料について、シャフト本体部を鍛造により製作し、カウンタウェイト部を鋳造により製作した。シャフト本体部のスチールとして炭素鋼を用い、カウンタウェイト部の鋳鉄として球状黒鉛鋳鉄を用いた。続いて、シャフト本体部に接合面を有する突起部を加工し、カウンタウェイト部に接合面を加工した。これにより本実施形態の図5に示す形状を有するシャフト本体部およびカウンタウェイト部の試験品を得た。この場合、接合面の面粗さRyを100μm以下とし、突起部の接合面のV字形状の角度を86度とした。
続いて、実験例では、カウンタウェイト部の接合面を350〜400℃で予熱した後、ファイバレーザを用い、本実施形態の図3,4に示す手法と同様に、シャフト本体部とカウンタウェイト部をレーザ溶接により接合した。溶接条件は、レーザ出力を3〜4kW、レーザビームの送り速度を0.5〜1.5mm/min、フォーカスサイズを50〜150μm、焦点距離を0〜ー1mm、シールドガスとしてHe(供給量:5〜10L/min)を用いた。一方、比較実験例では、カウンタウェイト部の接合面への予熱を行わなかった以外は、実験例と同様にレーザ溶接によりシャフト本体部とカウンタウェイト部を接合した。その結果を図8,9に示す。図8は実験例の接合部断面の状態を表す写真、図9は比較実験例の接合部断面の状態を表す写真である。
図8から判るように、溶接前に350〜400℃で予熱した実験例の接合部にはクラックが発生しなかったが、図9から判るように、溶接前に予熱を行わなかった比較実験例の接合部にはクラックが発生した。これにより、溶接前に350〜400℃の予熱を行うことにより、高品質の接合部を有する組立クランクシャフトトを得ることができることが確認した。
100…組立クランクシャフト、101…ジャーナル軸部(シャフト本体部)、102A…カウンタウェイト部、102B…ウェブ部(シャフト本体部)、104…接合部、105…空間、110…シャフト本体部、121,122…突起部、121A〜124A…接合面

Claims (7)

  1. シャフト本体部とカウンタウェイト部とを備え、
    前記シャフト本体部の軸線回り方向に延在するとともに前記シャフト本体部の軸線方向に所定間隔をおいて対向する接合面を有する一対の突起部が形成され、前記一対の突起部の接合面同士の間隔は、前記シャフト本体部の軸線から離れる従って大きくなるように設定され、
    前記シャフト本体部の一対の突起部の接合面により形成される凹部に前記カウンタウェイト部の端部が挿入され、前記一対の突起部の接合面が前記カウンタウェイト部の端部の接合面と接合され、その接合部が断面V字形状をなしていることを特徴とする組立クランクシャフト。
  2. 前記シャフト本体部と前記カウンタウェイト部との間では、前記接合部の底部に空間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の組立クランクシャフト。
  3. シャフト本体部の軸線回り方向に延在するとともに前記シャフト本体部の軸線方向に所定間隔をおいて対向する接合面を有する一対の突起部を形成し、
    前記シャフト本体部の一対の突起部の接合面により形成される凹部にカウンタウェイト部の端部を挿入し、
    前記シャフト本体部の一対の突起部の接合面と前記カウンタウェイト部の端部の接合面とからなる接合部を溶接し、
    前記一対の突起部の形成では、前記接合部の形状が断面V字形状となるように前記一対の突起部の接合面同士の間隔を前記シャフト本体部の軸線から離れる従って大きく設定することを特徴とする組立クランクシャフトの製造方法。
  4. 前記シャフト本体部と前記カウンタウェイト部との間では、前記接合部の底部に空間を形成することを特徴とする請求項3に記載の組立クランクシャフトの製造方法。
  5. 前記接合部を350〜400℃で予熱し、
    予熱後にレーザを用いて前記溶接を行うことを特徴とする請求項3または4に記載の組立クランクシャフトの製造方法。
  6. 前記溶接では、ファイバレーザを用いることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の組立クランクシャフトの製造方法。
  7. 前記接合面の面粗さRyを100μm以下に設定することを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の組立クランクシャフトの製造方法。
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