ところで、近年、携帯キーの識別情報がスキマーにより不正に読み取られ、同一の識別情報を有する携帯キーが偽造により複製される被害(いわゆるスキミング被害)が増加している。上記特許文献1のシステムにおいて、この偽造携帯キーがドアの解錠に際して用いられると、認証により正規キーであると判断されるためドアが不正に解錠され不審者に建物内への侵入を許すこととなる。そのため、従来のシステムは、防犯性の面で更なる改善の余地があると考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、スキミング等により偽造された携帯キーによる不正解錠を防止することで、防犯性を高めることができる建物の施解錠システムを提供することを主たる目的とするものである。
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の施解錠システムは、ユーザにより携帯され固有の識別情報を記憶するとともに該識別情報を送信可能とする携帯キーと、建物の開口部に設けられ該開口部の開閉部材を施錠又は解錠する施解錠手段と、を備え、前記携帯キーから受信した識別情報に基づいて前記施解錠手段を施錠又は解錠する建物の施解錠システムにおいて、前記携帯キーの位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段による携帯キーの検出位置に応じて前記施解錠手段による施解錠の実施を許可又は禁止する施解錠制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、位置検出手段により検出された携帯キーの検出位置に応じて、建物の開口部を開閉する開閉部材が施解錠手段により施錠又は解錠されるため、ユーザが携帯することでユーザと共に移動する正規の携帯キーが開閉部材の周辺にある場合には開閉部材を解錠したり、開閉部材の周辺にない場合には開閉部材を施錠したりする等、正規の携帯キーの位置に応じて施解錠手段による施解錠の実施を許可又は禁止することができる。したがって、スキミング等により同じ識別情報を有する携帯キーが偽造により複製された場合でもその偽造携帯キーによる開閉部材の解錠を防止することができる。すなわち、スキミング等により偽造された携帯キーによる不正解錠を防止することで、防犯性を高めることができる。
第2の発明の建物の施解錠システムは、第1の発明において、前記施解錠制御手段は、前記施解錠手段に対して解錠操作が行われたことに伴い、前記携帯キーの検出位置が前記開閉部材付近であるかどうかを判定し、該携帯キーの検出位置が前記開閉部材付近であれば前記施解錠手段による施解錠の実施を許可し、同検出位置が前記開閉部材付近でなければ前記施解錠手段による施解錠の実施を禁止することを特徴とする。
本発明によれば、施解錠手段に対して解錠操作が行われたことに伴い、携帯キーの検出位置が開閉部材付近であれば、すなわち正規の携帯キーを所持するユーザが開閉部材付近にいるとみなされる場合には施解錠手段による施解錠の実施が許可され、携帯キーの検出位置が開閉部材付近でなければ、すなわち正規の携帯キーを所持するユーザが開閉部材付近にいないとみなされる場合には施解錠手段による施解錠の実施が禁止される。これにより、正規の携帯キーを携帯するユーザが開閉部材付近にいない場合には開閉部材が解錠されないため、第1の発明の効果を具体的に実現することができる。
第3の発明の建物の施解錠システムは、第1又は第2の発明において、前記ユーザが所持又は使用することで当該ユーザと共に移動し、該移動先から前記建物への通信を可能とする移動通信手段を備え、前記位置検出手段は、前記移動通信手段から送信される位置情報に基づいて、前記携帯キーの位置を検出することを特徴とする。
本発明によれば、ユーザが所持又は使用することでユーザと共に移動する移動通信手段により移動先から建物へ通信をすることができ、その移動通信手段から送信される位置情報に基づいて携帯キーの位置が検出される。これにより、携帯キー自身が移動先から建物への通信を可能とする通信機能を有していなくても携帯キーの位置を検出することができる。
第4の発明の建物の施解錠システムは、第3の発明において、前記移動通信手段と前記携帯キーとが比較的近い位置にある場合にこれら両者間で通信が可能であり、前記移動通信手段は、前記携帯キーとの間で通信が行われていることを条件に、前記位置情報を送信することを特徴とする。
本発明によれば、ユーザが移動通信手段及び携帯キーと共に移動(行動)しており、移動通信手段と携帯キーとが比較的近い位置にある場合にはこれら両者間で通信をすることができる。そして、移動通信手段は、携帯キーとの間で通信が行われていることを条件に、すなわち携帯キーと比較的近い位置にある場合に位置情報を送信する。これにより、ユーザが携帯キー及び移動通信手段とともに移動していることを判定することができるため、携帯キーの位置の検出精度を高めることができる。
第5の発明の建物の施解錠システムは、第3又は第4の発明において、前記移動通信手段は、前記ユーザにより携帯される携帯機であることを特徴とする。
本発明によれば、ユーザにより携帯される携帯機から送信される位置情報に基づいて携帯キーの位置が検出される。ここで、携帯機はユーザにより携帯されるものであり、それ故携帯機はユーザと共に移動する頻度が他の移動通信手段と比べ高い。そのため、位置情報の送信頻度を高めることができ、ひいては携帯キーの位置の検出頻度を高めることができる。
また、移動通信手段を携帯キーと一体化する構成としてもよい。この場合、ユーザにより携帯キーが所持されることにより移動通信手段がユーザと共に移動されるため、携帯キーを所持しさえすれば第3の発明の効果を得ることができる。したがって、ユーザの利便性を高めることができる。また、移動通信手段を携帯キーに内蔵すれば、さらに携帯性を高める効果も期待できる。
第6の発明の建物の施解錠システムは、第3又は第4の発明において、前記移動通信手段は、車両に設けられた車載装置であることを特徴とする。
本発明によれば、ユーザと共に移動する車両に設けられた車載装置から送信される位置情報に基づいて携帯キーの位置が検出される。これにより、ユーザが車両に搭乗している場合には、携帯キーの位置を検出することができる。また、この場合、信頼性の高いGPS通信機をさらに車両に設ければ、GPS通信機から安定して位置情報が送信されるため、携帯キーの位置をより確実に検出することが可能となる。
なお、移動通信手段が車載装置と第5の発明における携帯機との双方であってもよい。そうすれば、ユーザが歩行等している場合には携帯機からの位置情報に基づいて携帯キーの位置を検出することができ、ユーザが車両に搭乗している場合には車載装置からの位置情報に基づいて携帯キーの位置を検出することができる。したがって、携帯キーの位置の検出頻度をより一層高めることができる。
第7の発明の建物の施解錠システムは、第6の発明において、前記車載装置は、前記車両が運転状態である場合に前記位置情報を送信し、前記施解錠制御手段は、前記車載装置からの前記位置情報を建物側にて受信している場合には、前記開閉部材を解錠しないよう前記施解錠手段を制御することを特徴とする。
本発明によれば、車両が運転状態である場合には、車載装置から位置情報が送信される。そして、その位置情報が建物側にて受信されている場合には、開閉部材が解錠されない。したがって、携帯キーを所持するユーザが車両を運転している場合、すなわちユーザが開閉部材の周辺にいない場合には、開閉部材が解錠されないため、不正解錠を防止する効果を高めることができる。
第8の発明の建物の施解錠システムは、第3乃至第7のいずれかの発明において、前記施解錠制御手段により前記施解錠手段の施解錠が禁止される場合に、通報手段を介して前記移動通信手段に対して通報を実施することを特徴とする。
本発明によれば、施解錠制御手段により施解錠手段の施解錠が禁止される場合に、すなわち不正に解錠操作が行われた場合に、通報手段を介して移動通信手段へ通報が行われる。これにより、ユーザは外出中であっても不正に解錠操作が行われたことを知ることができるため、至急帰宅して不審者に警告を行う等、建物内への侵入を未然に防止する措置をとることが可能となる。
また、移動通信手段を複数備えている場合には、施解錠制御手段により各移動通信手段のうちいずれから位置情報が送信されているのかを判別するとともに、その判別した移動通信手段へ通報を実施するよう制御するのが望ましい。そうすれば、ユーザと共に移動する移動通信手段へ不正解錠があった旨の通報が行われるため、移動通信手段を複数備えるシステムにおいてもユーザは不正解錠が行われたことを知ることができる。
第9の発明の建物の施解錠システムは、第3乃至第8のいずれかの発明において、所定周期で又は要求(例えば建物側から又はユーザからの要求)により前記移動通信手段から送信される位置情報を時系列的に記憶する位置記憶手段を備え、前記位置検出手段は、前記位置記憶手段に記憶されている時系列の位置情報に基づいて、前記携帯キーの位置を検出することを特徴とする。
本発明によれば、所定周期で又は要求により移動通信手段から送信される位置情報が位置記憶手段により時系列的に記憶される。そして、位置記憶手段に記憶される時系列の位置情報に基づいて携帯キーの位置が検出されるため、ユーザの移動履歴を把握することができる。したがって、ユーザが移動通信手段と共に移動しておらず移動通信手段から現在の位置情報が取得されない場合でも、過去の位置情報に基づいて携帯キーの位置を検出することができる。例えば、所定時間(例えば数分)前の位置情報が位置記憶手段に記憶されている場合には、その位置情報に基づいてユーザが当該所定時間の間に移動する可能性のあるエリアを推定し、その推定したエリアを携帯キーの検出位置とみなす等することができる。
第10の発明の建物の施解錠システムは、第1乃至第9のいずれかの発明において、前記携帯キーを複数備え、前記位置検出手段は、前記複数の携帯キーの各位置を検出し、前記施解錠制御手段は、前記位置検出手段による前記複数の携帯キーの各検出位置に応じて前記開閉部材を施解錠するよう前記施解錠手段を制御することを特徴とする。
本発明によれば、位置検出手段により複数の携帯キーの各位置が検出され、それら検出された各検出位置に応じて開閉部材が施解錠される。これにより、携帯キーを正規に複製し、家族の者それぞれに複製した携帯キーを所持させ使用させる場合でも、これら各携帯キーの位置に応じて開閉部材を施解錠することができる。そのため、全ての携帯キーが開閉部材周辺の所定位置にない場合、すなわち家族の者が全て外出している場合には開閉部材を施錠したり、各携帯キーのうち少なくともひとつが開閉部材周辺の所定位置にある場合、すなわち家族の者のうち少なくとも一人が開閉部材周辺にいる場合には開閉部材を解錠したりすること等が可能となる。したがって、携帯キーを家族の各人が所持して使用する場合においても第1の発明の効果を実現させることができる。
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は本実施形態における施解錠システムを示す全体構成図である。
図1に示すように、建物10には、開口部としての玄関部11が設けられており、この玄関部11を通じて建物10への出入りが可能となっている。玄関部11には、開閉部材としての玄関ドア12が設けられている。玄関ドア12は、例えば回動式のドアであり、この玄関ドア12が回動されることにより玄関部11が開閉される。玄関ドア12には、施解錠手段としての施解錠装置13が設けられている。施解錠装置13は、錠前を電気的に施解錠することにより玄関ドア12の施錠及び解錠(ロック及びアンロック)を行う装置である。
建物10には、本施解錠システムにおいて施解錠制御を行うためのホームサーバ20が設けられている。ホームサーバ20は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを備えて構成されている。ホームサーバ20は、識別情報としてのIDコード情報を記憶するIDコード記憶部21を有している。また、ホームサーバ20の入力側には、入力ボタンや操作スイッチ等からなる操作部24が接続されており、この操作部24に対するユーザの操作により本施解錠システムの動作開始及びその解除を行うことが可能となっている。
建物10には、建物側通信装置14が設けられている。建物側通信装置14は、ユーザUが所持する電子キー25との間で無線通信を行うものであり、例えば玄関ドア12に設けられている。ホームサーバ20は、この建物側通信装置14と電気的に接続されており、建物側通信装置14を介して電子キー25との間で通信可能となっている。
電子キー25は、ユーザUが通常持ち歩くことができるサイズの携帯装置である。電子キー25は、周知のマイクロコンピュータを有してなるキーコントローラ26を内蔵している。キーコントローラ26は、建物側通信装置14等の外部機器との無線通信を可能とする通信機能と、識別情報としてのIDコードを記憶する記憶機能とを有している。キーコントローラ26には、当該電子キー25固有のIDコードがあらかじめ記憶されている。
なお、本実施形態では電子キー25は、基本的に自動車30の付属キーであり、車両ドアロックの施解錠操作機能やエンジンの始動操作機能等を有するものである。但し、電子キー25の形態は任意であり、キー型やカード型としたりする他、リストバンド式として人体に装着できるものとしたりすることも可能である。
ホームサーバ20は、建物側通信装置14を介して所定周期で玄関ドア12周辺の所定エリアにリクエスト信号を送信する。ここで、電子キー25を所持したユーザUがそのエリアに入り、リクエスト信号がキーコントローラ26により受信されると、キーコントローラ26がリクエスト信号の応答としてIDコード信号を送信する。そして、建物側通信装置14がこのIDコード信号を受信するとIDコード信号がホームサーバ20に入力される。
ホームサーバ20のIDコード記憶部21には、識別情報としてのIDコード情報があらかじめ記憶されている。IDコード記憶部21に記憶されているIDコード情報は、電子キー25に記憶されているIDコードに対応したものである。ホームサーバ20は、キーコントローラ26からIDコード信号が入力されると、IDコードの認証を行う。具体的には、ホームサーバ20は、入力されたIDコード信号がIDコード記憶部21に記憶されているIDコードと一致するか否かを判定する。
ホームサーバ20の出力側には、施解錠装置13が接続されている。ホームサーバ20は、上記ID認証の結果に基づいて、施解錠装置13に施解錠信号を出力し、玄関ドア12の施解錠制御を実施する。
ところで、本実施形態の施解錠システムは、施解錠装置13の施解錠制御がさらに電子キー25の位置に応じて実施される点に特徴を有する。そこで、以下、本施解錠システムの特徴的な構成について説明する。
本実施形態では、電子キー25のキーコントローラ26が建物側通信装置14の他、ユーザUが携帯する携帯電話機28やユーザUが搭乗する自動車30との間で無線通信が可能とされている。詳細には、キーコントローラ26は、その通信範囲が例えば半径数m(例えば3m)程度のエリアに設定されており、そのエリア内において携帯電話機28や自動車30等と通信可能とされている。したがって、キーコントローラ26は、携帯電話機28との間ではユーザUが電子キー25と携帯電話機28との双方を所持している場合に通信可能とされ、自動車30との間では電子キー25を所持するユーザUが自動車30に搭乗している場合に通信可能とされる。
携帯電話機28は、周知のマイクロコンピュータを有してなる携帯電話機コントローラ29を備えている。携帯電話機コントローラ29は、キーコントローラ26や外部施設であるコントロールセンタ41との間で無線通信が可能とされている。具体的には、携帯電話機コントローラ29は、キーコントローラ26との間ではユーザUが電子キー25と携帯電話機28との双方を所持している場合に通信可能とされている。一方、自動車30は、周知のマイクロコンピュータを有してなる車両側コントローラ31を備えている。車両側コントローラ31は、携帯電話機コントローラ29と同様、キーコントローラ26やコントロールセンタ41との間で無線通信が可能とされている。具体的には、車両側コントローラ31は、キーコントローラ26との間では電子キー25を所持するユーザUが自動車30に搭乗している場合に通信可能とされている。なおここで、携帯電話機28(携帯電話機コントローラ29)及び自動車30(車両側コントローラ31)は、移動通信手段に相当する。
携帯電話機28及び自動車30は、それぞれ位置情報取得手段としてのGPS端末33,34を備えている。GPS端末33,34は、GPS衛星から発信される電波を受信することで自身の位置情報を生成する構成となっている。携帯電話機28及び自動車30の位置情報は、必要に応じてそれぞれ各コントローラ29,31からコントロールセンタ41に送信される。建物10側のホームサーバ20は、インターネット42を介してコントロールセンタ41に接続されており、それ故コントロールセンタ41から携帯電話機28及び自動車30の位置情報がインターネット42を介してホームサーバ20に送信される。
携帯電話機コントローラ29は、電子キー25のキーコントローラ26に対して所定の周期(例えば1分間隔)でリクエスト信号を送信する。ここで、ユーザUが電子キー25と携帯電話機28との双方を所持している場合には、キーコントローラ26によりそのリクエスト信号が受信され、その応答としてキーコントローラ26からユーザ固有情報が携帯電話機コントローラ29に送信される。そして、携帯電話機コントローラ29によりそのユーザ固有情報が受信されると、携帯電話機コントローラ29から当該ユーザ固有情報と携帯電話機28の位置情報とがコントロールセンタ41に送信され、ひいてはインターネット42を介してホームサーバ20に送信される。これにより、ユーザUが電子キー25と携帯電話機28との双方を所持している場合には、携帯電話機28より当該携帯電話機28の位置情報が逐次ホームサーバ20に送信され、換言すれば携帯電話機28と共に移動する電子キー25の位置情報が逐次ホームサーバ20に送信される。
一方、自動車30において、車両側コントローラ31は、電子キー25のキーコントローラ26に対して所定の周期(例えば1分間隔)でリクエスト信号を送信する。具体的には、自動車30は、イモビライザシステムを有しており、エンジン始動に際して電子キー25と自動車30との間でイモビ認証が行われるようになっている。そして、車両側コントローラ31は、イモビ認証の結果、正規の手順でエンジンが始動された状態において、電子キー25のキーコントローラ26に対してリクエスト信号を送信する。ここで、電子キー25を所持するユーザUが自動車30に搭乗している場合には、キーコントローラ26により上記リクエスト信号が受信され、その応答としてキーコントローラ26からユーザ固有情報が車両側コントローラ31に送信される。そして、車両側コントローラ31によりそのユーザ固有情報が受信されると、車両側コントローラ31から当該ユーザ固有情報と自動車30の位置情報とがコントロールセンタ41に送信され、ひいてはインターネット42を介してホームサーバ20に送信される。これにより、電子キー25を所持するユーザUが自動車30に搭乗している場合には、車両側コントローラ31より自動車30の位置情報が逐次ホームサーバ20に送信され、換言すれば自動車30と共に移動する電子キー25の位置情報が逐次ホームサーバ20に送信される。なお、車両側コントローラ31は、エンジンが停止されるとリクエスト信号の送信を終了する。したがって、エンジンが停止されると、車両側コントローラ31からホームサーバ20へのユーザ固有情報及び自動車30の位置情報の送信が終了する。
ホームサーバ20は、携帯電話機28及び自動車30の位置情報を記憶する位置情報記憶部22を有している。携帯電話機コントローラ29又は車両側コントローラ31から送信された携帯電話機28又は自動車30の位置情報及び電子キー25のユーザ固有情報がホームサーバ20により受信されると、ホームサーバ20はその都度携帯電話機28又は自動車30の位置情報を位置情報記憶部22に記憶する。位置情報記憶部22は、携帯電話機28又は自動車30の位置情報をそれぞれ個別に位置ログとして記憶するものであり、具体的には各コントローラ29,31からの都度の位置情報をそれぞれ時刻と対応づけて記憶するものである。したがって、位置情報記憶部22には、携帯電話機28及び自動車30の各位置がそれぞれ一連の位置ログとして時系列的に記憶される。これにより、携帯電話機28及び自動車30の移動履歴を把握することができるため、結果としてこれらと共に移動する電子キー25の移動履歴(電子キー25がいつどこにあったか)を把握することができる。なお、位置情報記憶部22に記憶される位置ログは最新の所定期間分(例えば3日分)のみであり、所定期間が経過すると上書きされ消去される。
次に、ホームサーバ20によって実行される施解錠制御処理について図2に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、本処理は、操作部24に対する制御開始操作をトリガとしてホームサーバ20により実行され、制御終了の操作がされるまで所定の周期で繰り返し実行される。
まずステップS11において、建物側通信装置14より玄関ドア12周辺の所定エリアにリクエスト信号を送信する。
続くステップS12では、リクエスト信号の応答として電子キー25より送信されるIDコード信号を建物側通信装置14を介して受信したか否かを判定する。IDコード信号を受信していない場合には、そのまま本処理を終了し、IDコード信号を受信している場合には、ステップS13に進む。
ステップS13では、電子キー25から受信したIDコード信号があらかじめIDコード記憶部21に記憶されているIDコードと一致しているか否かを判定する。電子キー25からのIDコード信号があらかじめ記憶されているIDコードと一致している場合には、ステップS14に進み、一致していない場合には後述するステップS20に進む。
ステップS14では、位置情報記憶部22に記憶されている携帯電話機28及び自動車30の最新の位置ログを読み出す。具体的には、位置情報記憶部22に時系列で記憶されている携帯電話機28及び自動車30の各時刻の位置ログのうちそれぞれ最新時刻の位置ログを読み出す。
ステップS15では、携帯電話機28又は自動車30から現在位置に関する位置情報(以下、現在位置情報という)が取得されているか否かを判定する。具体的には、ステップS14において取得した携帯電話機28及び自動車30の最新の位置ログに基づいて最新の位置ログを取得した時刻を割り出し、その割り出した時刻と現在時刻との時間差が所定時間を超えているか否かを判定する。ここで、所定時間は、例えば1分に設定されている。なお、所定時間は、各コントローラから定期的に送信される位置情報の送信周期と同じ時間に設定してもよい。携帯電話機28又は自動車30から現在位置情報が取得されている場合、詳細には正規の電子キー25を所持するユーザUが今現在携帯電話機28又は自動車30と共に移動しており、その携帯電話機28又は自動車30から現在位置情報が取得されている場合には、ステップS16に進み、その現在位置情報(最新の位置ログ)に基づいて正規の電子キー25の現在位置を検出する。
ステップS17では、正規の電子キー25が今現在玄関ドア12周辺の所定エリアにあるか否かを判定する。正規の電子キー25が玄関ドア12周辺の所定エリアにある場合、すなわち正規の電子キー25を所持するユーザUが玄関ドア12の前にいるとみなされる場合には、ステップS22に進み、施解錠装置13に解錠信号を出力する。これにより、玄関ドア12が解錠されるため、ユーザUは玄関ドア12を開いて玄関部11から建物10内に入ることができる。その後、本処理を終了する。
一方、正規の電子キー25が玄関ドア12周辺の所定エリアにない場合、すなわち正規の電子キー25を所持するユーザUが玄関ドア12の前にいないとみなされる場合には、ステップS20に進み、施解錠装置13に施錠信号を出力する。これにより、ID認証の結果、認証OKと判定されても(ステップS13におけるYES判定)玄関ドア12が施錠されるため、スキミング等により同じ識別情報を有する電子キーが偽造により複製された場合でもその偽造電子キーによる玄関ドア12の解錠を防止することができる。なお、このときすでに施解錠装置13が施錠状態にある場合には、そのまま施錠状態を継続する。
続くステップS21では、異常事態が発生したことをユーザUに通知する。具体的には、玄関ドア12が不正に解錠操作されている旨を通知する。この場合、ステップS14において取得した携帯電話機28及び自動車30の位置ログに基づいて、携帯電話機コントローラ29及び車両側コントローラ31のうちいずれから位置情報が送信されているのかを、すなわち携帯電話機28及び自動車30のうちいずれを通じてユーザUと通信可能であるかを判断し、その結果通信可能と判断した携帯電話機28又は自動車30に対しインターネット42及びコントロールセンタ41を介して異常事態発生の通知を送信する。これにより、携帯電話機28(携帯電話機コントローラ29)に上記通知が送信された場合には、携帯電話機28より「不正な解錠操作が行われました」等のアナウンスが行われたり、携帯電話機28が振動したりする。一方、自動車30(車両側コントローラ31)に上記通知が送信された場合には、自動車30に搭載されたスピーカ(図示略)より「不正な解錠操作が行われました」等のアナウンスが行われる。したがって、ユーザUは外出中であっても玄関ドア12が不正に解錠操作されていることを知ることができるため、至急帰宅して不審者に警告を行う等、建物10内への侵入を未然に防止する措置をとることが可能となる。その後、本処理を終了する。
前述のステップS15において、携帯電話機28又は自動車30から現在位置情報が取得されていない場合、詳細には正規の電子キー25を所持するユーザUが今現在携帯電話機28又は自動車30と共に移動しておらず、それ故携帯電話機28又は自動車30から現在位置情報が取得されていない場合には、ステップS18に進む。ステップS18では、ステップS14において取得した自動車30の最新の位置ログに基づいて今現在自動車30が所定の駐車場に駐車されているか否かを判定する。自動車30が所定の駐車場に駐車されている場合には、ステップS19に進む。
ステップS19では、自動車30が駐車場に駐車されてから所定時間が経過していないか否かを判定する。具体的には、ステップS14において取得した自動車30の最新の位置ログに基づいて自動車30が駐車場に駐車された時刻を割り出し、その割り出した駐車時刻と現時刻とに基づいて自動車30の駐車時から所定時間が経過していないか否かの判定をする。ここで、所定時間は、例えば駐車場から建物10の玄関ドア12まで徒歩で移動するのに要する時間に数分程度の時間を付加した時間に設定されている。自動車30が駐車場に駐車されてから所定時間が経過していない場合には、ステップS22に進み、施解錠装置13に解錠信号を出力する。これにより、玄関ドア12が解錠されるため、ユーザUは玄関ドア12を開いて玄関部11から建物10内に入ることができる。したがって、ユーザUは自動車30により帰宅する場合には、携帯電話機28を所持し忘れても、建物10内に入ることができる。その後、本処理を終了する。
一方、ステップS18,S19のうちいずれかにおいて否定判定された場合には、ステップS20に進み、施解錠装置13に施錠信号を出力する。すなわち、自動車30が所定の駐車場に駐車されていない場合(ステップS18)又は自動車30が所定の駐車場に駐車されていてもすでに駐車時点から所定の時間が経過している場合(ステップS19)には、玄関ドア12が施錠される。なお、このときすでに施解錠装置13が施錠状態にある場合には、そのまま施錠状態を継続する。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
位置情報記憶部22に記憶されている携帯電話機28又は自動車30の位置ログに基づいて、ユーザUが所持する正規の電子キー25の位置を検出し、その検出位置に応じて玄関ドア12を施解錠する構成とした。具体的には、正規の電子キー25が玄関ドア12周辺の所定エリアにある場合には玄関ドア12を解錠し、正規の電子キー25が玄関ドア12周辺の所定エリアにない場合には自動車30の駐車時から所定時間が経過していない場合を除き玄関ドア12を施錠する等、正規の電子キー25の位置に応じて玄関ドア12を施解錠するようにした。これにより、スキミング等により同じIDコードを有する電子キーが偽造により複製された場合でもその偽造電子キーによる玄関ドア12の解錠を防止することができる。すなわち、スキミング等により偽造された電子キーによる不正解錠を防止することで、防犯性を高めることができる。
施解錠装置13に対して解錠操作が行われた時に、電子キー25の検出位置が玄関ドア12周辺であれば玄関ドア12を解錠し、玄関ドア12周辺でなければ玄関ドア12を施錠するようにした。これにより、正規の電子キー25を携帯するユーザUが玄関ドア12周辺にいない場合には玄関ドア12が解錠されないため、上記の効果を具体的に実現することができる。
ユーザUと共に移動する携帯電話機28(詳細には携帯電話機コントローラ29)又は自動車30(車両側コントローラ31)から送信される位置情報(位置ログ)に基づいて電子キー25の位置を検出する構成とした。これにより、電子キー25自身が移動先から建物10側への通信を可能とする通信機能を有していなくても電子キー25の位置を検出することができる。
ユーザUが携帯電話機28を所持している場合又は自動車30に搭乗している場合に、各コントローラ29,31と電子キー25との間でリクエスト信号の送受信が行われていることを条件に、携帯電話機28又は自動車30から位置情報と電子キー25のユーザ固有情報とをホームサーバ20へ送信するようにした。これにより、電子キー25が携帯電話機28又は自動車30と共に移動していることを判定することができるため、電子キー25の位置の検出精度を高めることができる。
ユーザUにより携帯される携帯電話機28から送信される位置情報に基づいて電子キー25の位置を検出するようにした。ここで、携帯電話機28はユーザUにより日常的に使用されるものであり、ユーザUにより携帯される頻度が比較的高いため、位置情報の送信頻度を高めることができ、ひいては電子キー25の位置の検出頻度を高めることができる。
ユーザUが搭乗している自動車30(車両側コントローラ31)から送信される位置情報に基づいて電子キー25の位置を検出するようにした。これにより、ユーザUが携帯電話機28を所持し忘れた場合でも、ユーザUが自動車30に搭乗している間は、電子キー25の位置を検出することができる。また、自動車30の位置情報を信頼性の高いGPS端末34により生成する構成としたため、自動車30の位置情報が安定してホームサーバ20に送信される。これにより、電子キー25の位置をより確実に検出することが可能となる。
また、移動通信手段として携帯電話機28と自動車30との双方を用いる構成としたため、ユーザUが歩行等している場合には携帯電話機28からの位置情報に基づいて電子キー25の位置を検出することができ、ユーザUが自動車30に搭乗している場合には自動車30からの位置情報に基づいて電子キー25の位置を検出することができる。したがって、電子キー25の位置の検出頻度をより一層高めることができる。
位置情報記憶部22に記憶されている携帯電話機28及び自動車30の最新の位置ログに基づいて最新の位置ログを取得した時刻を割り出し、その割り出した時刻と現在時刻との時間差が所定時間を超えているか否かを判定することとした。これにより、前記時間差が所定時間を超えていない場合には、電子キー25を所持するユーザUが今現在携帯電話機28又は自動車30と共に移動していることを判別することができるため、その最新の位置ログに基づいて電子キー25の現在位置を検出することができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、電子キー25とは別体である携帯電話機28(携帯電話機コントローラ29)及び自動車30(車両側コントローラ31)を移動通信手段として用いたが、移動通信手段を電子キー25と一体化する構成としてもよい。そうすれば、ユーザUは電子キー25を所持することで移動通信手段をユーザUと共に移動させることができる。したがって、ユーザUが電子キー25を所持しさえすれば電子キー25の位置を検出することができるため、ユーザの利便性を高めることができる。なお、移動通信手段を電子キー25に内蔵する構成とすれば、さらに携帯性を高めることができる。
(2)上記実施形態では、携帯電話機28及び自動車30を移動通信手段として用いたが、携帯電話機28及び自動車30のうちいずれか一方のみを移動通信手段として用いるようにしてもよい。また、移動通信手段として携帯電話機28及び自動車30以外のものを用いてもよい。例えば、腕時計やネックレス、スマートキー等、携帯電話機28以外の携行品に通信機能を付加したものを移動通信手段として用いてもよいし、自転車やバイク等、自動車30以外の移動体に通信装置を搭載したものを移動通信手段として用いてもよい。
(3)施解錠システムは、複数の電子キー25を備える構成としてもよい。すなわち、ユーザUが所持する電子キー25(マスターキー)を複製し、その複製した電子キー25(いわゆる合鍵)を家族の者それぞれに所持させ玄関ドア12の施解錠に使用させる構成としてもよい。この場合、各電子キー25とともにそれぞれ移動する携帯電話機28又は自動車30から各々位置情報がホームサーバ20に送信されるようにする。そして、ホームサーバ20は、それら各携帯電話機28又は各自動車30の位置情報を受信すると、都度それらの位置情報を位置ログとして位置情報記憶部22に記憶する。これにより、各携帯電話機28又は各自動車30の位置を把握することができ、ひいては各携帯電話機28又は各自動車30とともに移動する各電子キー25の位置を把握することができる。
また、ホームサーバ20は、位置情報記憶部22に記憶されている各携帯電話機28又は各自動車30の位置ログに基づいて各電子キー25の位置を検出する。そして、ホームサーバ20は、各電子キー25の検出位置に応じて施解錠装置13に施錠又は解錠信号を出力し、玄関ドア12の施解錠制御を行う。具体的には、すべての電子キー25が玄関ドア12周辺の所定エリアにない場合、すなわち電子キー25を所持する家族の者全てが玄関ドア12周辺にいない場合には、玄関ドア12を施錠したり、各電子キー25のうち少なくとも1つが当該所定エリアにある場合、すなわち電子キー25を所持する家族の者のうち少なくとも一人が玄関ドア12周辺にいる場合には玄関ドア12を解錠したりする。したがって、電子キー25を正規に複製し、その複製した電子キー25を家族の者それぞれに所持させ使用させる場合でも、正規に複製した電子キー25とスキミング等により複製された偽造電子キーとを判別することができ、もって偽造電子キーによる玄関ドア12の不正解錠を防止することができる。
(4)上記実施形態の施解錠システムでは、玄関部11に設けられた玄関ドア12を施解錠するようにしたが、勝手口のドアや掃き出し窓等、玄関部11以外に設けられる開閉部材を施解錠するようにしてもよい。
(5)ユーザUが自動車30に搭乗している場合に車両側コントローラ31より送信される自動車30の位置情報及び電子キー25のユーザ固有情報をホームサーバ20が受信している場合には、ホームサーバ20から施解錠装置13に施錠信号を出力するようにしてもよい。これにより、ユーザUが自動車30に搭乗している場合、すなわちユーザUが玄関ドア12周辺にいない場合には、玄関ドア12が解錠されないため、不正解錠を防止する効果を高めることができる。
(6)不正解錠操作が行われた際に、異常事態発生の通知(ステップS21(図2))を必ずしも行う必要はない。
(7)上記実施形態では、電子キー25による解錠操作の際に当該電子キー25から建物側通信装置14に送信されるIDコード信号をホームサーバ20から建物側通信装置14を介して送信されるリクエスト信号の応答として送信されるようにしたが、電子キー25のIDコード信号は必ずしもリクエスト信号の応答として送信されるようにする必要はない。例えば、電子キー25に送信ボタンを設け、その送信ボタンを押すとIDコード信号が建物側通信装置14に送信されるようにしてもよい。
(8)位置情報記憶部22に記憶されている携帯電話機28又は自動車30の過去の位置情報に基づいて電子キー25の位置を検出するようにしてもよい。そうすれば、ユーザUが携帯電話機28又は自動車30と共に移動しておらず携帯電話機28又は自動車30から現在の位置情報が取得されていない場合でも、携帯電話機28又は自動車30の過去の位置情報に基づいて電子キー25の位置を検出することができる。具体的には、例えば所定時間(例えば数分)前の位置情報が位置情報記憶部22に位置ログとして記憶されている場合には、その位置ログに基づいてユーザUが当該所定時間の間に移動する可能性のあるエリアを推定し、その推定したエリアを電子キー25の検出位置とみなす等することができる。