JP5284386B2 - 風力発電設備 - Google Patents

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Description

本発明は風力発電設備に係り、特に、頂部に発電装置が設置されている塔の内部に変圧器を備えているものに好適な風力発電設備に関する。
一般に、風力発電設備は、基礎の上に塔を建て、その塔の頂部にナセルが設置され、ブレードを備えたロータがナセル内の発電機と連結され、ブレードが風で回転することにより発電機で電力を発生させている。更に、発電機で発生した電力を電力系統に供給できるように変圧する変圧器、電力を直流又は交流に変換する変換器等の電力機器を備えている。
これらの機器は、従来から塔とは別の建物内に据え付けられていたが、近年、塔の内部に変圧器等の電力機器を収容し、別の建物を建築する必要をなくした風力発電設備とする傾向にあり、この塔の内部に変圧器等を収容した例が特許文献1に開示されている。
この特許文献1には、含塩空気や湿気などが発電機や整流器、変圧器等の壊れやすい部品に接触することのないように、変圧器等の発熱体を途中に配置した閉回路からなる冷却回路を塔の内部に設けたものが記載されている。即ち、塔の内部に変圧器等の発熱体が設置され、この変圧器等の発熱体を途中に位置させた閉回路からなる冷却回路を設け、変圧器等の発熱体から発生する加熱空気を、冷却回路中に設けられている換気装置等で強制的に上記冷却回路を循環させる過程で、塔の外壁を介して外気と熱交換させて冷却し、この冷却された空気を再度発熱体の冷却に利用することが記載されている。
ところで、変圧器は、通常、運転時に主に鉄心と巻線で発熱し、タンク内の冷却媒体は、鉄心や巻線で発生した熱を奪い、温度上昇する。高温になった冷却媒体は、複数の放熱リブを外面に形成した波形リブタンク、或いはタンクと上下の配管で接続された自冷式放熱器を介して変圧器周囲の空気に熱を放出するが、特許文献1には、このような点については、全く触れられていない。
特表2003-504562号公報
風力発電設備の塔の内部に変圧器を収容した場合、波形リブタンクを形成する複数の放熱リブ、或いは自冷式放熱器から熱を奪って温度上昇した空気は、密度が小さく、軽くなり、波形リブタンクの放熱リブや自冷式放熱器から上へ向かって流出する。流出した空気は、流出直後から拡散して塔内の温度の低い空気と混合し、混合が進むにつれて温度は低下し、流速も遅くなる。つまり、流出した空気が高い温度を保ったまま、上へ向かってどこまでも上がって行くわけではなく、上昇する範囲は、波形リブタンクの放熱リブや自冷式放熱器の高さの数倍と考えられる。
他方、塔の外壁は、外を吹く風の強制対流及び大気の自然対流によって冷却されるため、外壁近傍の塔内部の空気は、外壁を介して大気に熱を奪われて温度が低くなる。熱を奪われて温度が下がり、重くなった空気は、外壁に沿って下降する。
前述した波形リブタンクの複数の放熱リブ、或いは自冷式放熱器からの上昇流と塔の外壁に沿う下降流は、つながって一体となり、自然対流による循環流を形成する。変圧器で発生した熱は、この循環流によって塔の外壁に伝わり、更に、大気に放出される。
そのため、変圧器で発生した熱を塔内の空気から大気に放熱するのに寄与する塔の外壁は、循環流の高さの範囲であり、波形リブタンクの放熱リブや自冷式放熱器の高さの数倍と考えられる。この高さは、数十m以上ある風力発電設備の塔のごく一部であり、変圧器の発熱量を放出する伝熱面積としては不十分で、変圧器周辺の塔内部の空気温度は、ビルに設置した変圧器の電気室と同様に上昇し、所謂熱がこもった状態になる。
これは、風力発電設備の塔の内部に配置された変圧器特有の課題であり、これを解決しないと、塔内部の変圧器周辺の空気温度を低減することは難しい。
しかしながら、特許文献1には、変圧器の構造については全く触れられておらず、上記した課題について認識していないことは明らかである。
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、波形リブタンク、或いは放熱器を介して周囲の空気に熱を放出する変圧器を塔内部に収容したものであっても、塔内部に換気空調設備を設置することなく、塔内部の変圧器周辺の空気温度を低減することが可能な風力発電設備を提供することである。
本発明の風力発電設備は、上記目的を達成するために、塔の下方に空気を内部に吸気する吸気口を、塔の上方に内部の空気を大気に放出する排気口を設けると共に、変圧器の波形リブタンクの上に、前記吸気口から吸気されて前記波形リブタンクから放出された熱を奪った空気が流れ込むフードを設置し、該フードには、前記塔の上方まで伸び、該フードに流れ込んだ前記波形リブタンクから放出された熱を奪った空気を前記塔内に排気する排気ダクトが接続され、かつ、該排気ダクトで前記塔内に排気された空気は、前記排気口を介して大気に放出されるか、
或いは、塔の下方に空気を内部に吸気する吸気口を、塔の上方に内部の空気を大気に放出する排気口を設けると共に、変圧器の放熱器の上に、前記吸気口から吸気されて前記放熱器から放出された熱を奪った空気が流れ込むフードを設置し、該フードには、前記塔の上方まで伸び、該フードに流れ込んだ前記放熱器から放出された熱を奪った空気を前記塔内に排気する排気ダクトが接続され、かつ、該排気ダクトで前記塔内に排気された空気は、前記排気口を介して大気に放出されることを特徴とする。
上記構成とすることで、吸気口から塔内部へ流入した空気は、変圧器から熱を奪って軽くなり、フードで集められ、排気ダクトを通って排気ダクトの上部開口(排出口)から塔内の上部に流出し、塔の上部からは、塔に開けられた排気口を通って塔外部の大気に放出される。
従って、波形リブタンク、或いは放熱器を介して周囲の空気に熱を放出する変圧器を塔内部に収容したものであっても、塔内部に換気空調設備を設置することなく、塔内部の変圧器周辺の空気温度を低減することが可能となることは勿論、塔吸気口から塔内部へ流入し、変圧器を冷却する空気は、常に、温度の低い大気が供給されるため、変圧器の冷却性能は更に向上する。
本発明によれば、波形リブタンク、或いは放熱器を介して周囲の空気に熱を放出する変圧器を塔内部に収容したものであっても、塔内部に換気空調設備を設置することなく、塔内部の変圧器周辺の空気温度を低減することが可能な風力発電用変圧器を得ることができる。
本発明の風力発電設備の参考例1を示す縦断側面図である。 図1の風力発電設備に採用される波形リブタンク方式の変圧器を示す縦断側面図である。 図2の横断平面図である。 図1の風力発電設備に採用される放熱器方式の変圧器を示す縦断側面図である。 図4の横断平面図である。 本発明の風力発電設備の参考例2を示す縦断側面図である。 本発明の風力発電設備の参考例3を示す縦断側面図である。 図7のA−A線に沿う断面図である。 本発明の風力発電設備の参考例4を示す縦断側面図である。 本発明の風力発電設備の参考例5を示す縦断側面図である。 本発明の風力発電設備の参考例6を示す縦断側面図である。 本発明の風力発電設備の参考例7を示す縦断側面図である。 本発明の風力発電設備の第の実施の形態を示す縦断側面図である。 本発明の風力発電設備の第の実施の形態を示す縦断側面図である。 本発明の風力発電設備の第の実施の形態を示す縦断側面図である。
以下、本発明の風力発電設備の参考例及び実施の形態について、図面を用いて説明する。
本発明の風力発電設備の参考例1を、図1、図2及び図3に示す。該図に示す如く、参考例1の風力発電設備は、基礎上に建てられた塔3と、この塔3の頂部に設置されたナセル25と、ナセル25内に設置された発電機(図示せず)と、この発電機と連結され、該発電機を回転させることで電力を発生させるブレード26と、塔3の内部の基礎上に設置され、発電機で発生した電力を変圧する変圧器1とから概略構成されている。
上記塔3の内部の基礎上に設置されている変圧器1は、図2及び3に示す如く、鉄心(図示せず)と該鉄心に装着された励磁用の巻線(図示せず)とが波形リブタンク2に収容され、この波形リブタンク2内に鉱油等の絶縁性の冷却媒体(図示せず)が充填されて形成され、鉄心と巻線で発生した熱を、冷却媒体で奪い波形リブタンク2を介して塔3内に放出している。尚、符号13は、ブッシングである。
そして、参考例1では、変圧器1の波形リブタンク2の上に、その波形リブタンク2の上部を覆い、波形リブタンク2から放出された熱を奪った空気が流れ込むフード4を設置し、更に、このフード4に開けた排気口5に塔3の上方まで伸び、フード4に流れ込んだ波形リブタンク2から放出された熱を奪った空気を塔3内に排気する円筒状に形成された排気ダクト6が接続されている。
このような参考例1によれば、波形リブタンク2の複数の放熱リブ7から熱を奪って温度上昇した空気8Aは、密度が小さく軽くなり、波形リブタンク2の放熱リブ7から上へ向かつて流出する。流出した空気8Aは、フード4によって集められ、フード4の上に続く排気ダクト6に流れ込む。温度上昇し、軽くなって排気ダクト6に流れ込んだ空気8Aと排気ダクト6の外側の温度の低い空気8Bは、排気ダクト6によって仕切られているので、これらの空気8Aと8Bは混合することはなく、排気ダクト6内の空気8Aは高い温度を保ったままになり、密度が小さい状態を維持できる。
このため、排気ダクト6に流入した空気8Aは、煙突の中を煙が上がって行くように、排気ダクト6の上端まで上昇し、そこから塔3内へ流出する。塔3内へ流出した空気8Bは、塔3の外壁を介して外を吹く風の強制対流及び大気の自然対流によって冷却されるため、温度が低下し、密度が大きくなって外壁に沿って下降する。下降した空気8Bは、再び、波形リブタンク2の複数の放熱リブ7を冷却することになり、塔3内には、数十m以上の塔3の高さの大部分に及ぶ大きな自然対流の循環流が形成される。
変圧器1で発生した熱は、この循環流によって塔3の外壁に伝わり、更に、大気に放出される。そのため、排気ダクト6の上端から変圧器1の基礎の間の外壁が、変圧器1で発生した熱を塔3内の空気から大気に放熱する伝熱面になり、塔3の外壁の大部分を冷却に有効に利用することができる。
この結果、変圧器1を収容する風力発電設備の塔3の内部の空気の大気に対する温度上昇を小さく抑えることができる。
尚、参考例1では、排気ダクト6の流路断面形状が円形になっているが、必ずしも円形である必要はなく、楕円形や長方形といった塔内の空間を有効に活用できる形状を選ぶことができる。また、排気ダクト6内の空気8Aの温度をできるだけ高く保つことで循環流量を多くすることができるので、排気ダクト6の材質は熱伝導率の小さいものが好ましく、金属よりもプラスチックや布が良く、更にそれ以上に断熱材が望ましい。
更に、塔3内の空気を介さないで、変圧器1から直接、塔3の外壁に熱を伝える形態として輻射がある。この輻射による伝熱量を増やすことができれば、塔3内の空気の温度を低く抑えることができるので、変圧器1の外面と塔3外壁の内面の輻射率を大きくすることは有効な手段であり、それらの対向する面を輻射率の高い塗料、例えば黒体塗料で塗装することで簡単に達成できる。
次に、上述した波形リブタンク方式の変圧器に代えて、放熱器方式の変圧器を採用した場合の例を図4及び図5に基づいて説明する。
図4及び5に示す放熱器方式の変圧器1Aは、鉄心(図示せず)と当該鉄心に装着された励磁用の巻線(図示せず)を密閉容器であるタンク2Aに収容し、タンク2A内に鉱油等の絶縁性の冷却媒体を充填している変圧器本体9と、この変圧器本体9のタンク2Aと上部配管10及び下部配管11で接続された自冷式放熱器12から構成されている。この変圧器1Aを風力発電設備の塔3の内部に据え付け、自冷式放熱器12の上にその上部を覆うフード4を設置し、更に、フード4にあけた排気口5に塔3の上部まで伸びる円筒状の排気ダクト6を接続している。
このような放熱器方式の変圧器1Aを採用しても、前述した波形リブタンク方式の変圧器と同じ現象が生じるため、同様な効果が得られる。また、フード4や排気ダクト6が、ブッシング13等の部品が取り付けられていない自冷式放熱器12の上だけに配置されるので、構造を単純化できる。更に、自冷式放熱器12は高電圧部を有しないことから、保守、点検等の作業時の高い安全性が保証される効果もある。
図6は、本発明における風力発電設備の参考例2を示すものである。尚、図1と同一符号は、同一構成部材を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
該図に示す参考例2において、参考例1(図1)と異なる構成は、塔3の外壁の内側に、外壁と二重構造になる案内板14を配置し、外壁と案内板14で上下に通じる流路を形成した点である。そして、流路の上端は、排気ダクト6の上端とほぼ同じ高さで、また、流路の下端は、変圧器1の高さで塔3の内部と連通するように開放してある。
このような参考例2によれば、参考例1と同様な効果を奏するほか、塔3の外壁と案内板14で形成された流路内を下降する空気8Bは、常に、塔3の外壁を介して外を吹く風の強制対流及び大気の自然対流によって熱を奪われると共に、案内板14によって、該案内板14の内側の塔3内の空気と仕切られているので、案内板14の内側の塔3内の空気と混合することがなく、効率よく冷却され、塔3内部の変圧器1の周辺の空気の温度をさらに低減することができる。
図7は、本発明による風力発電設備の参考例3を示すものである。尚、図1と同一符号は、同一構成部材を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
該図に示す参考例3において、参考例1(図1)と異なる構成は、塔3の外壁の内側に変圧器1の高さからほぼ排気ダクト6の上端に至るフィン15を付けた点である。
このような参考例3によれば、参考例1と同様な効果を奏するほか、塔3の内部を循環する空気が、変圧器1から奪った熱を塔3の外壁に伝える伝熱面積が拡大するので、塔3内の空気と外壁の温度差、ひいては塔3内の空気と大気の温度差が小さくなり、塔3内部の空気の温度をさらに低減することができる。
塔3の外壁の外側にフィンを取り付ける構造も考えられるが、塔3の外壁から大気への伝熱は、塔3の外を吹く風の強制対流及び大気の自然対流によって行われるのに対して、塔3内の空気から塔3の外壁への伝熱は、循環流の自然対流のみによって行われるので、熱伝達率は、塔3の外壁の外側に比べて外壁の内側の方が小さい。このため、外壁の内側の伝熱面積を拡大する方が、外側の伝熱面積を拡大するよりも効果が大きい。
図8は、図7のフィン15の一例を示すものである。伝熱面積を拡大するフィン15としては、直線フィンがよく用いられており、本実施の形態においても適用できるが、図8に示す例は、案内板14を兼ねることができるフィン15として、薄板を波状に折り曲げて谷を塔3の外壁に溶接した構造である。
このような参考例3によれば、フィン15としての伝熱面積の拡大は勿論、塔3の外壁とフィン15の間が塔3内と連通する上下方向の流路になるので、案内板14の役目も果たすことができる。このため、直線フィンに比べて冷却性能を向上させることができ、塔3内部の変圧器1周辺の空気の温度をさらに低減することができる。
図9は、本発明による風力発電設備の参考例4を示すものである。尚、図1と同一符号は同一構成部材を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
該図に示す参考例4において、参考例1(図1)と異なる構成は、フード4と排気ダクト6の間にファン16を取り付けた点である。
このような参考例4によれば、参考例1と同様な効果が得られるほか、自然対流による循環流を生じさせる温度が低く、密度が大きい排気ダクト6の外側の塔3内の空気8Bと温度が高く、密度が小さい排気ダクト6内の空気8Aとの圧力差に、ファン16によって発生する圧力差が加わり、この駆動力をもとに塔3内の空気が循環することになるので、ファン16で発生した圧力差の分だけ循環する空気の量が増加する。
このため、塔3の外壁近傍を流れる循環流の流速が増大し、循環流から塔3の外壁に熱が伝わる熱伝達率が大きくなるので、塔3内の空気と外壁の温度差、更に、塔3内の空気と大気の温度差が小さくなり、塔3内部の空気の温度をさらに低減することができる。また、循環流は、ファン16の圧力差だけで駆動するわけではなく、密度差に起因する自然対流の圧力差も寄与するので、ファン16単体で空気を流すときに比べて低出力、小型化が可能になる。
図10は、本発明による風力発電設備の参考例5を示すものである。尚、図1と同一符号は同一構成部材を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
該図に示す参考例5は、風力発電設備の塔3の内部に収容した変圧器1の波形リブタンク2の上にその上部を覆うフード4を設置し、更に、該フード4の上に塔3の上部まで伸びる排気ダクト6を接続し、その排気ダクト6を塔3の内部の他の発熱機器17を覆うフード19につながる排気ダクト18と別配置にしたものである。
風力発電設備の塔3内に設置される代表的な発熱機器17として、パワーコンディショナがあるが、ファン20の強制対流によって冷却されるのが一般的である。変圧器1の放熱リブ7で生じる自然対流は、ファン20の強制対流に比べて流れが弱いため、両方の流れを合流させて一本の同じ排気ダクトで流そうとすると、両方の流れが合流する領域で自然対流の流れが阻害される。更に、合流後の排気ダクトが数十mにも及ぶ長さを有する場合には、ファン20による強制対流が自然対流に打ち勝って逆流することも生じ得る。このため、変圧器1からの排気ダクト6と他の発熱機器17からの排気ダクト18を途中で合わせて一本の排気ダクトにすると、変圧器1で発生した熱を大気へ放出する塔3の外壁まで運ぶ循環流が弱くなり、変圧器1周辺の塔3内部の空気の温度は上昇する。
ところが、上記構成よれば、他の発熱機器17で高い温度になって上昇する空気8Aと波形リブタンク2の複数の放熱リブ7から熱を奪って高い温度になって上昇する空気8Aが別々の排気ダクト6、18内を流れるので、変圧器1で発生した熱が循環流によって塔3の外壁に伝えられ、外壁から大気へ放出されるという伝熱経路はなんら影響を受けない。このため、参考例1と同様の効果が得られる。
図11及び図12は、本発明による風力発電設備の参考例6及び参考例7を示すもので、いずれも図6に示した参考例2の変形例である。尚、図1と同一符号は同一構成部材を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
図11及び図12に示す如く、上述した各参考例における塔3は、実際には、高さ方向に複数のプロックに分割され、各プロックの上端と下端には、内側に突出したフランジ21が形成されており、この各プロックの上端と下端のフランジ21を締め付け固定することで組み立て、高さ数十m以上の塔3を構成している。
このような構成において、塔3の外壁に沿って下降する空気8Bの流れは、フランジ21が内側に突出しているため、ここの締結部分では、塔3の外壁から離れた流れになってしまい、効率よく空気8Bが冷却されない恐れがある。
図11に示す参考例6は、上記の点を改善して、強制的に塔3の外壁に沿った空気8Bの流れにするために、各ブロックのフランジ21間に案内板14を設けると共に、フランジ21の点検用に設けられている踊り場22で、案内板14の内側に空気8Bが流れないように塞いだ構造にしている。
このように構成することにより、塔3を下降する空気8Bは、案内板14の外側を流れることができ、塔3の外壁に沿った流れが形成され、効率よく空気8Bを冷却することが可能となる。
図12に示す参考例7は、図11に示した参考例6の変形例であり、案内板14Aを踊り場22とフランジ21の間にのみ設置した例である。
このように構成しても、フランジ21で下降する空気8Bの流れが塔3の外壁から離れたものを強制的に外壁に沿う流れに戻すことができるので、図11に示した参考例6より多少効果は落ちるかもしれないが、効率よく空気8Bを冷却することが可能となる。
図13は、本発明による風力発電設備の第の実施の形態を示すものである。尚、図1と同一符号は同一構成部材を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
該図に示す本実施の形態は、風力発電設備の塔3の下部に、空気を塔3の内部に吸気する塔吸気口27を設けると共に、排気ダクト6の上部開口(排出口)近くの塔3の上部に、塔3内部の空気を大気に放出する塔排気口28を設けたものである。
このような本実施の形態とすることにより、塔吸気口27から塔3内部へ流入した空気は、変圧器1から熱を奪って軽くなり、フード4で集められ、排気ダクト6を通って排気ダクト6の上部開口(排出口)から塔3内の上部に流出する。塔3の上部からは、塔3に開けられた塔排気口28を通って塔3外部の大気に放出される。
従って、波形リブタンク、或いは放熱器を介して周囲の空気に熱を放出する変圧器1を塔3内部に収容したものであっても、塔3内部に換気空調設備を設置することなく、塔3内部の変圧器1周辺の空気温度を低減することが可能となることは勿論、本実施の形態では、塔吸気口27から塔3内部へ流入し、変圧器1を冷却する空気は、常に、温度の低い大気が供給されるため、変圧器1の冷却性能は更に向上する。
尚、本実施の形態における塔吸気口27と塔排気口28は、風の吹く方向の影響を受けないように、塔3の周方向に複数個設けることが好ましい。
図14は、本発明による風力発電設備の第の実施の形態を示すもので、図13に示した第の実施の形態の変形例である。尚、図1と同一符号は同一構成部材を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
本実施の形態が、図13に示した第の実施の形態と異なる点は、フード4と排気ダクト6の間にファン16を設けた点である(排気ダクト6内にファン16を設けても構わない)。
本実施の形態では、図13に示した第の実施の形態の自然対流だけによる空気8Aの流れに、ファン16によって強制的に流す力が加わるため、変圧器1周辺を流れる空気の量が多くなり、空気の流速も大きくなる。その結果、変圧器1から空気に熱が伝わる熱伝達率が大きくなり、変圧器1の冷却性能が、図13に示した第の実施の形態より、更に向上する。
また、本実施の形態では、風の吹く方向の影響を受けないように、塔3の周方向に複数個設けた塔排気口28の外側に、塔排気口28に風が吹き込むのを防ぐ防風板29が取付けられている。
塔吸気口27は、風が吹き込む作用をするので防風板29は必要ないが、塔排気口28は、風が向かい風の場合、塔3内の空気8Aが大気に放出するのを妨げられるため、風の影響で変圧器1周囲を流れる空気の量が減り、冷却性能が低下することが考えられる。
本実施の形態のように、塔排気口28の外側に、塔排気口28に風が吹き込むのを防ぐ防風板29を取付けることにより、防風板29が向かい風を遮り、塔3内から空気8Aが大気に放出するのを助けるので、変圧器1周囲を流れる空気の量が減り、冷却性能が低下する恐れはなくなる。
図15は、本発明による風力発電設備の第の実施の形態を示すもので、図14に示した第の実施の形態の変形例である。尚、図1と同一符号は同一構成部材を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
該図に示す本実施の形態は、変圧器1以外の発熱機器17が塔3内に設置されている場合であり、このような場合には、変圧器1以外の排気ダクト6と他の発熱機器17の排気ダクト18を別設置している。他の構成は、図14に示した第の実施の形態と同様である。
このような本実施の形態では、他の発熱機器17で高い温度になって上昇する空気8Aと波形リブタンク2の複数の放熱リブ7から熱を奪って高い温度になって上昇する空気8Aが別々の排気ダクト6、18内を流れるので、変圧器1で発生した熱が塔排気口28から大気へ放出されるという経路は、なんら影響を受けない。このため、第の実施の形態と同様の効果が得られる。
以上のように、本発明による風力発電用変圧器では、塔内に、数十m以上の塔の高さの大部分に及ぶ大きな自然対流の循環流が形成され、塔の外壁の大部分を伝熱面として変圧器で発生した熱が塔内の空気から大気に放出されるため、塔内部に換気空調設備を設置しなくても、塔内部の変圧器周辺の空気温度を低減することが可能であり、本発明の利用可能性は高い。
1…波形リブタンク方式の変圧器、1A…放熱器方式の変圧器、2…波形リブタンク、2A…タンク、3…塔、4、19…フード、5…排気口、6、18…排気ダクト、7…放熱リブ、8A…温度が上昇した空気、8B…温度が低下した空気、9…変圧器本体、10…上部配管、11…下部配管、12…自冷式放熱器、13…ブッシング、14、14A…案内板、15…フィン、16、20…ファン、17…発熱機器、21…フランジ、22…踊り場、25…ナセル、26…ブレード、27…塔吸気口、28…塔排気口、29…防風板。

Claims (6)

  1. 基礎上に建てられた塔と、該塔の頂部に設置されたナセルと、該ナセル内に設置された発電機と、該発電機と連結され、該発電機を回転させることで電力を発生させるブレードと、前記塔の内部の基礎上に設置され、前記発電機で発生した電力を変圧する変圧器と備え、
    前記変圧器は、鉄心と該鉄心に装着された巻線とが波形リブタンクに収容され、該波形リブタンク内に冷却媒体が充填されて形成され、前記鉄心と巻線で発生した熱を、前記冷却媒体で奪い前記波形リブタンクを介して放出する風力発電設備において、
    前記塔の下方に空気を内部に吸気する吸気口を、前記塔の上方に内部の空気を大気に放出する排気口を設けると共に、前記変圧器の波形リブタンクの上に、前記吸気口から吸気されて前記波形リブタンクから放出された熱を奪った空気が流れ込むフードを設置し、該フードには、前記塔の上方まで伸び、該フードに流れ込んだ前記波形リブタンクから放出された熱を奪った空気を前記塔内に排気する排気ダクトが接続され、かつ、該排気ダクトで前記塔内に排気された空気は、前記排気口を介して大気に放出されることを特徴とする風力発電設備。
  2. 基礎上に建てられた塔と、該塔の頂部に設置されたナセルと、該ナセル内に設置された発電機と、該発電機と連結され、該発電機を回転させることで電力を発生させるブレードと、前記塔の内部の基礎上に設置され、前記発電機で発生した電力を変圧する変圧器とを備え、
    前記変圧器は、鉄心と該鉄心に装着された巻線とがタンクに収容され、該タンク内に冷却媒体が充填されている変圧器本体と、該変圧器本体の前記タンクと配管で接続されている放熱器とから成り、前記鉄心と巻線で発生した熱を、前記冷却媒体で奪い前記配管を介して前記放熱器から放出する風力発電設備において、
    前記塔の下方に空気を内部に吸気する吸気口を、前記塔の上方に内部の空気を大気に放出する排気口を設けると共に、前記変圧器の放熱器の上に、前記吸気口から吸気されて前記放熱器から放出された熱を奪った空気が流れ込むフードを設置し、該フードには、前記塔の上方まで伸び、該フードに流れ込んだ前記放熱器から放出された熱を奪った空気を前記塔内に排気する排気ダクトが接続され、かつ、該排気ダクトで前記塔内に排気された空気は、前記排気口を介して大気に放出されることを特徴とする風力発電設備。
  3. 請求項又はに記載の風力発電設備において、
    前記排気口は、前記排気ダクトの上部開口近くの前記塔上部に設けられていることを特徴とする風力発電設備。
  4. 請求項乃至のいずれかに記載の風力発電設備において、
    前記排気ダクトは、前記塔の内部の他の発熱機器につながる排気ダクトと別配置されていることを特徴とする風力発電設備。
  5. 請求項乃至のいずれかに記載の風力発電設備において、
    前記排気ダクト内若しくは排気ダクトと前記フードとの間にファンが設置されていることを特徴とする風力発電設備。
  6. 請求項乃至のいずれかに記載の風力発電設備において、
    前記排気口の塔外側に、該排気口に風の吹き込みを防ぐ防風板が設置されていることを特徴とする風力発電設備。
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